JP2000319452A - クロロプレンラテックス組成物およびその製造方法 - Google Patents

クロロプレンラテックス組成物およびその製造方法

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JP2000319452A JP11125895A JP12589599A JP2000319452A JP 2000319452 A JP2000319452 A JP 2000319452A JP 11125895 A JP11125895 A JP 11125895A JP 12589599 A JP12589599 A JP 12589599A JP 2000319452 A JP2000319452 A JP 2000319452A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機溶剤を含まない水系接着剤であって、初
期接着性能、特に湿潤状態における強度発現性能に優
れ、かつ可使時間の長いクロロプレンラテックス組成物
を提供する。 【解決手段】 ロジン酸、ロジン酸ナトリウムおよびロ
ジン酸カリウムから選ばれる1種または2種以上と、水
酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムとを含
み、30℃以上で重合を行い、かつクロロプレン重合体
のゲル分が3〜70重量%、ゾルの重量平均分子量が3
0万以上のクロロプレンラテックス組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤として有効
なポリクロロプレンラテックス組成物およびその製造方
法に関する。さらに詳しくは初期接着性能、特に湿潤状
態における接着性能に優れ、かつ可使時間の長い接着剤
組成物を与えるクロロプレンラテックス組成物およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリクロロプレンをベースとした
接着剤は溶剤型が主流であった。しかし、近年溶剤型接
着剤は製造や使用の際の有機溶剤による毒性、火気危険
性、環境汚染などの問題から、脱溶剤化の要求が高まっ
ている。
【0003】脱溶剤化の手法としては、溶剤型接着剤を
ラテックス接着剤に代替する方法が有効と考えられ、各
種ポリマーを使用したラテックス接着剤の検討が盛んに
行われている。
【0004】なかでもクロロプレンラテックス接着剤
は、接合する被着体の双方に塗布し、これら接着剤層を
乾燥した後に貼り合わせることにより、貼り合わせ直後
から高い接着性を発現する。こうした特徴から水系コン
タクト型接着剤として利用が期待されている反面、乾燥
時間が必要となるために、接着剤を塗布してから接着す
るのに時間を要すること、また乾燥時間を短縮するには
特殊な乾燥設備が必要となりコストアップにつながるな
どの課題があった。
【0005】例えば特公昭51−39262号公報に
は、クロロプレン100重量部に対し、3〜5重量部の
長鎖脂肪酸またはロジン酸の塩類を乳化剤に用い、n−
ドデシルメルカプタン0.09〜0.15重量部の存在
下で、該単量体を20℃より低温でアルカリ性乳化液中
で重合を行い、単量体の転化率90〜98%で重合を停
止し、ゲル分40〜90重量%を含有するポリクロロプ
レンのラテックスをつくり粘着付与樹脂を配合したポリ
クロロプレンラテックス接着剤の製造方法が開示されて
いる。また特開昭51−136773号公報、特開昭5
2−992号公報、特開昭56−74108号公報、特
開昭57−162709号公報にもロジン酸の塩類を使
用したクロロプレンラテックスが開示されているが、こ
れらの公報の実施例に従い作製されたラテックスは、初
期接着性能、特に湿潤状態における接着性能が不足して
いるほか、接着剤塗布乾燥後の時間経過とともに接着力
が著しく低下するため、接着可能な時間が短い、即ち可
使時間が短いという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の問題点を解決し、初期接着性能、特に湿潤状
態における接着性能に優れ、かつ可使時間の長い接着剤
組成物を与えるクロロプレンラテックス組成物とその製
造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、30℃以上の
温度で重合し、クロロプレン重合体が特定量のゲル分と
ゾルの重量平均分子量であり、ラテックス中に特定量の
ナトリウムイオンとカリウムイオンを含有するクロロプ
レンラテックスにより、初期接着性能、特に湿潤状態に
おける接着性能に優れ、かつ可使時間の長いクロロプレ
ンラテックス組成物が得られることを見いだし、本発明
を完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明は、クロロプレンまたはクロ
ロプレン及びそれと共重合可能な単量体を30℃以上の
温度で重合して得られ、ロジン酸、ロジン酸ナトリウム
およびロジン酸カリウムから選ばれる1種または2種以
上と、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム
とを含み、かつクロロプレンラテックス中のナトリウム
イオン量がラテックスの固形分あたり0.15〜1.0
重量%、カリウムイオン量がラテックスの固形分あたり
0.15〜1.0重量%であり、クロロプレン重合体が
3〜70重量%のゲル分を含み、ゾルの重量平均分子量
が30万以上であるクロロプレンラテックス組成物であ
る。また本発明は、ロジン酸、ロジン酸ナトリウムおよ
びロジン酸カリウムから選ばれる1種または2種以上を
クロロプレンまたはクロロプレン及びそれと共重合可能
な単量体100重量部に対して3〜7重量部含み、かつ
水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムをナト
リウムイオン量とカリウムイオン量の合計量がロジン酸
の中和量より過剰となるように含む上記のクロロプレン
ラテックス組成物である。
【0009】更に本発明は、クロロプレンまたはクロロ
プレン及びそれと共重合可能な単量体100重量部に対
して、ロジン酸、ロジン酸ナトリウムおよびロジン酸カ
リウムから選ばれる1種または2種以上を3〜7重量部
と、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを
ナトリウムイオン量とカリウムイオン量の合計量がロジ
ン酸の中和量より過剰であり、かつクロロプレンラテッ
クス中のナトリウムイオン量がラテックスの固形分あた
り0.15〜1.0重量%、カリウムイオン量がラテッ
クスの固形分あたり0.15〜1.0重量%になるよう
に使用して、連鎖移動剤の存在下に30℃以上の重合温
度で単量体の転化率80〜95%まで重合する上記のク
ロロプレンラテックス組成物の製造方法である。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
けるクロロプレン重合体は、2−クロロ−1,3−ブタ
ジエン(以下クロロプレンと記す)の単独重合体および
クロロプレンと共重合可能な単量体の1種以上を共重合
して得られる共重合体である。
【0011】本発明におけるクロロプレンと共重合可能
な単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−
ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、ブタジ
エン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アク
リル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエス
テル類等が挙げられ、必要に応じてこれらを2種以上用
いてもかまわない。
【0012】本発明におけるクロロプレン重合体のゲル
分とは、トルエン溶媒に不溶な成分の含有率をいい、ゾ
ルとはトルエン溶媒に可溶な成分をいう。本発明におけ
るクロロプレン重合体は、そのゲル分が3〜70重量%
の範囲にあることが必要であり、より好ましくは3〜4
0重量%の範囲である。なお、ゲル分は下記の方法で求
めることができる。クロロプレン重合体ラテックスを凍
結乾燥して重量をAとする。23℃で20時間トルエン
に溶解(0.6重量%に調整)し、遠心分離機を使用し
て、更に200メッシュの金網を用いて不溶分すなわち
ゲルを分離した。ゲルを分離した残りをゾルとする。ゲ
ルを風乾後110℃雰囲気下で、1時間乾燥し重量をB
とする。下記の式に従ってゲル分を算出した。 ゲル分=B/A×100 (%)
【0013】また本発明においては、クロロプレン重合
体のゾル、即ちトルエン溶媒可溶成分の重量平均分子量
が重要な役割を果たし、本発明におけるクロロプレン重
合体のゾルの重量平均分子量は30万以上であることが
必要である。重量平均分子量の好ましい範囲は35万以
上120万以下である。
【0014】本発明においてクロロプレン重合体のゲル
分、およびゾルの重量平均分子量を以上のように規定し
ているのは以下の理由による。
【0015】本発明における優れた初期接着性能の発現
は、クロロプレン重合体が分子運動性に優れたゾルを多
量に含むことによる。この為クロロプレンラテックス粒
子間および接着界面におけるクロロプレン分子鎖の融合
がすみやかに起こり、接着強度が瞬時に発現し、優れた
初期接着性能を発現することが可能となる。クロロプレ
ン重合体のゲル分が70重量%を越えると、この初期接
着性能が大幅に低下するため好ましくない。
【0016】本発明においては、クロロプレン重合体の
ゲル分が3〜70重量%、ゾルの重量平均分子量を30
万以上とすることにより、優れた初期接着性能を可能と
した。ゲル分が3重量%未満でかつゾルの重量平均分子
量が30万未満の場合には、初期接着強度が低下するほ
か、接着剤層の凝集力が低下し、常態接着力や耐熱性が
低下する。
【0017】この様なクロロプレンラテックス接着剤を
得るには、周知の重合方法を用いて、クロロプレン重合
体のゲル分が3〜70重量%、ゾルの重量平均分子量が
30万以上となるよう調整すればよいが、高度な分子制
御が必要となるため、以下の方法で調整することが好ま
しい。
【0018】一般には、クロロプレンラテックスを得る
には、水性乳化液中でラジカル重合する方法が簡便であ
り工業的にも有利な方法である。この際に使用する乳化
剤としては、例えばロジン酸の塩類、脂肪酸の塩類、ア
ルキルベンセンスルホン酸Naなどのアルキルスルホン
酸塩、ラウリル硫酸Naなどのアルキル硫酸エステル塩
のごときアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、カチオ
ン系乳化剤、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子
などが挙げられる。しかし、本発明においては、重合制
御面、および初期接着性能、特に湿潤状態における接着
性能の観点から、少なくともロジン酸および/またはロ
ジン酸塩を使用することが必要であり、ロジン酸、ロジ
ン酸ナトリウムおよびロジン酸カリウムから選ばれる1
種または2種以上と、水酸化ナトリウムおよび/または
水酸化カリウムとを用いる。また、ロジン酸、ロジン酸
ナトリウムおよびロジン酸カリウムから選ばれる1種ま
たは2種以上をクロロプレンまたはクロロプレン及びそ
れと共重合可能な単量体100重量部に対して3〜7重
量部含み、かつ水酸化ナトリウムおよび/または水酸化
カリウムをナトリウムイオン量とカリウムイオン量の合
計量がロジン酸の中和量より過剰となるように使用する
ことが好ましい。更に、これに上記の乳化剤の1種ある
いは2種以上を併用しても構わない。特にロジン酸とノ
ニオン乳化剤の併用は、ラテックスの多価イオンに対す
る安定性や凍結・低温安定性を高める上で有効であり、
ノニオン乳化剤は重合時あるいは重合後に添加すること
が出来る。
【0019】クロロプレン重合体のゲル分、及びゾルの
分子量の制御は、連鎖移動剤の使用とその使用量、
重合温度と、さらに最終重合率の調整によって可能と
なる。
【0020】まず連鎖移動剤としては、クロロプレン重
合体の製造に一般的に用いられるものであれば特に制限
はなく、例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−
ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン
類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチ
ルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲ
ンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤
を使用することができる。なお、ゲル分、およびゾルの
分子量制御面において長鎖アルキルメルカプタン類また
はジアルキルキサントゲンジスルフィド類の使用が好ま
しい。
【0021】次に重合触媒は、通常クロロプレンの乳化
重合に用いられる過硫酸カリウム等の加硫酸塩、第3−
ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が使用
でき、特に限定されるものではない。またアントラキノ
ンスルホン酸ナトリウムや、ホルムアミジンスルフィン
酸などを併用することでより円滑に重合反応を進めるこ
とが出来る。また重合温度については、一般のクロロプ
レンの乳化重合では0〜55℃の範囲であることが重合
制御上好ましいが、本発明における可使時間の長いクロ
ロプレンラテックスを得るには30℃以上で重合するこ
とが必要であり、30〜55℃で行うことが好ましい。
重合温度を高目に設定することで、クロロプレン重合体
主鎖中の1,4−トランス構造が減少し、結晶性の低い
クロロプレン重合体を得ることができる。このためクロ
ロプレン重合体の結晶化が遅く、可使時間が長くなる。
【0022】本発明の製造方法において用いられるクロ
ロプレンまたはクロロプレン及びそれと共重合可能な単
量体の最終重合率は、80〜95%の範囲であることが
好ましく、この範囲の最終重合率とすることにより、目
的のゲル分とゾルの重量平均分子量を有するクロロプレ
ン重合体の制御が可能となる。最終重合率をこの範囲に
制御するには、フェノチアジン、ヒドロキシアミン、タ
ーシャリーブチルカテコールなどの重合停止剤を添加
し、所定の最終重合率となるよう重合を停止すればよ
い。
【0023】またこの最終重合率範囲において、目標と
するゲル分、およびゾルの分子量を達成できるよう連鎖
移動剤の添加量を調整すればよいが、例えば連鎖移動剤
としてn−ドデシルメルカプタンを使用した場合、その
使用量をクロロプレンまたはクロロプレン及びそれと共
重合可能な単量体100重量部当たり0.08〜0.4
重量部使用し、最終重合率を80〜95%の範囲で重合
することで達成できる。
【0024】本発明において、クロロプレンラテックス
の固形分濃度は特に限定されるものではないが、45〜
65重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましく
は50〜65重量%、更に好ましくは55〜65重量%
の範囲である。より高い固形分濃度とすることにより、
より初期接着性に優れたラテックスとなる。特に湿潤状
態における接着に対して、高固形分化による接着性能の
向上が顕著となる。なお、固形分濃度は、重合時のモノ
マー/水比あるいはモノマー分添などにより調節できる
ほか、濃縮あるいは水等の添加により希釈することで、
必要な濃度に制御することができる。濃縮の方法として
は、減圧濃縮などがあるが、特に限定するものではな
い。
【0025】また本発明においては、このような高濃度
ラテックスを取扱い易くし、また特に湿潤状態における
高度な接着性能を発現するためには、乳化剤としてロジ
ン酸を用い、更にラテックス中にナトリウムイオンとカ
リウムイオンを特定量含有することが好ましい。この際
のロジン酸の使用量としてはクロロプレンまたはクロロ
プレン及びそれと共重合可能な単量体100重量部に対
して3〜7重量部の範囲が好ましく、より好ましくは4
〜6重量部の範囲である。またラテックス中のナトリウ
ムイオン量は、ラテックスの固形分あたり0.15〜
1.0重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%、
更に好ましくは0.5〜1.0重量%であり、カリウム
イオン量がラテックスの固形分あたり0.15〜1.0
重量%であることが好ましい。これにより低温安定性や
放置中の層分離安定性に優れ、かつ貯蔵安定性に優れ、
更に湿潤状態での接着性能に優れたクロロプレンラテッ
クスを得ることができる。
【0026】本発明のクロロプレンラテックスにおいて
は、重合後にPH調整剤、凍結安定剤などの添加が可能
である。また使用の際にその用途の要求特性に応じて、
ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂、重
合ロジン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テル
ペンフェノール樹脂、C5留分系石油樹脂、C9留分系
石油樹脂、C5留分/C9留分系石油樹脂、DCPD系
石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、ク
マロン樹脂、クマロンインデン樹脂などの粘着付与樹脂
を添加することが出来る。粘着付与樹脂の添加方法とし
ては、接着剤組成物中に樹脂を均一に分散させるため
に、エマルジョンとしてから添加するのが好ましい。そ
の他酸化亜鉛など金属酸化物、炭酸カルシウムやシリカ
などの無機充填剤、ジブチルフタレートやプロセスオイ
ルなどの可塑剤・軟化剤、更に各種老化防止剤や加硫促
進剤、イソシアネート類などの硬化剤、増粘剤などを任
意に配合することができる。
【0027】本発明により得られたクロロプレンラテッ
クス接着剤は、紙、木材、布、皮革、レザー、ゴム、プ
ラスチック、フォーム、陶器、ガラス、セラミック、金
属などの同種、あるいは異種の接合接着用として好適で
ある。特に湿潤状態における接着性能に優れており、少
なくとも片面が紙、木材、布、皮革、レザー、フォーム
などの多孔質体である場合より高い接着性能が得られ
る。また接着時の施工方法に関しても、刷毛塗り、コテ
塗り、スプレー塗布、ロールコーター塗布などが可能で
ある。また湿潤状態での接着以外、例えば強制乾燥後の
コンタクト接着においても優れた初期接着性能を発現
し、かつ可使時間の長いクロロプレンラテックス接着剤
を得ることが出来る。
【0028】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、これらの実施例は本発明を限定するものでない。な
お、以下の説明における部および%は重量基準によって
示す。
【0029】実施例1 内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、水1
00部、酸価160の不均化ロジン酸5部、水酸化ナト
リウム0.8部、水酸化カリウム0.3部、ホルムアル
デヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩0.
3部、亜硫酸水素ナトリウムを0.3部仕込み、溶解
後、撹拌しながらクロロプレン単量体100部とn−ド
デシルメルカプタン0.3部を加えた。過硫酸カリウム
0.1部を開始剤として用い、窒素雰囲気下40℃で重
合し、最終重合率が90%に達したところでフェノチア
ジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応
単量体を除去し、クロロプレンラテックスを得た。更に
減圧下で水分を蒸発させ濃縮を行い、固形分濃度が55
重量%となるよう調整した。ラテックス中のナトリウム
イオン(Naイオン)、カリウムイオン(Kイオン)量
については、各添加剤の含有量を全て合計し、ラテック
ス中の固形分に対する割合(%)で示した。
【0030】次に、このクロロプレンラテックスについ
て、表1に示した処方で接着剤組成物を調整し、以下の
方法により接着性を評価した。 〔初期接着強度〕密度30kg/m3のウレタンフォー
ム(厚さ20mm×長さ50mm×幅50mm)を被着
体に用い、5℃雰囲気下で70g/m2の接着剤を塗布
した。塗布後5℃雰囲気中で1分間放置後、接着剤が未
乾燥の状態で2個のウレタンフォームの接着面同士を重
ね合わせ、厚さ40mmを10mmに圧縮して5秒間保
持した。その後直ちに引張り試験機(引張り速度200
mm/min)で接着面と垂直方向に引張り試験を行い
強度を測定した。 〔放置後の接着強度〕密度30kg/m3のウレタンフ
ォーム(厚さ20mm×長さ50mm×幅50mm)を
被着体に用い、5℃雰囲気下で70g/m2の接着剤を
塗布した。塗布後5℃雰囲気中で25分間放置後、2個
のウレタンフォームの接着面同士を重ね合わせ、厚さ4
0mmを10mmに圧縮し5秒間保持した。その後直ち
に引張り試験機(引張り速度200mm/min)で接
着面と垂直方向に引張り試験を行い強度を測定した。
【0031】また得られたクロロプレン重合体のゲル
分、及びゾルの分子量を下記の方法に従い測定した。 〔ゲル分測定〕ラテックス試料を凍結乾燥し精秤してA
とした。23℃で20時間、トルエンで溶解(0.6%
に調製)し、遠心分離機を使用し、更に200メッシュ
の金網を用いてゲル分を分離した。ゲル分を風乾後11
0℃雰囲気下で、1時間乾燥し、精秤してBとした。ゲ
ル分は下式に従がって算出した。 ゲル分=B/A×100 (%)
【0032】〔分子量測定〕下記の条件でGPC測定を
行った。分子量の算出はポリスチレン換算で求めた。試
料は分離したゾルを0.1%THF溶液に調製した。 カラムサイズ:7.5mmφ×50mm(GUAR
D)、7.5mmφ×300mm(Mixed−B) カラム温度:35℃ 溶媒:THF、流出速度:1ml/min 検出器:SIMADZU RID−6A
【0033】実施例2 実施例1において、水酸化ナトリウムを0.6部、水酸
化カリウムを0.5部として、実施例1同様に重合を行
い、接着性、ゲル分および分子量測定を行った。
【0034】実施例3 実施例1において、水酸化ナトリウムを0.9部、水酸
化カリウムを0.2部として、実施例1同様に重合を行
い、接着性、ゲル分および分子量測定を行った。
【0035】実施例4 実施例1において、n−ドデシルメルカプタンの添加量
を0.15部として、実施例1同様に重合を行い、接着
性、ゲル分および分子量測定を行った。
【0036】実施例5 実施例4において、最終重合率を80%として、実施例
4同様に重合を行い、接着性、ゲル分および分子量測定
を行った。
【0037】実施例6 実施例1において、水酸化ナトリウムを0.6部、水酸
化カリウムを0.3部として、実施例1同様に重合を行
い、接着性、ゲル分および分子量測定を行った。
【0038】比較例1 実施例1において、n−ドデシルメルカプタンの添加量
を0.14部、重合温度を10℃として、実施例1同様
に重合を行い、接着性、ゲル分および分子量測定を行っ
た。
【0039】比較例2 実施例1において、n−ドデシルメルカプタンの添加量
を0.14部、重合温度を15℃として、実施例1同様
に重合を行い、接着性、ゲル分および分子量測定を行っ
た。
【0040】比較例3 実施例1において、n−ドデシルメルカプタンの添加量
を0.04部として、実施例1同様に重合を行い、接着
性、ゲル分および分子量測定を行った。
【0041】比較例4 実施例1において、n−ドデシルメルカプタンの添加量
を0.5部として、実施例1同様に重合を行い、接着
性、ゲル分および分子量測定を行った。
【0042】比較例5 実施例1において、水酸化ナトリウムを添加せず、水酸
化カリウムを1.5部として、実施例1同様に重合を行
い、接着性、ゲル分および分子量測定を行った。実施例
および比較例の処方、結果を表1、表2に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上の実施例と比較例の比較より、本発
明のクロロプレンラテックス組成物から得られる接着剤
は、初期接着性、特に湿潤状態における接着性能に優
れ、かつ放置後の接着強度に優れており、可使時間との
バランスも良好なことが明かであり、本発明により、合
板など木材接着、ウレタンフォームの接着、紙材などの
接着に特に好適な接着剤組成物を与えるクロロプレンラ
テックス組成物を提供することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/098 C08K 5/098 C09J 111/02 C09J 111/02 Fターム(参考) 4J002 AC091 AF025 BA005 BA015 CC035 CC125 CE005 DE057 EF046 EG026 FD010 FD020 FD030 FD140 FD150 FD330 FD345 GJ01 HA07 4J011 AA05 AB02 BA06 KA02 KA11 KA23 KB01 KB02 KB07 KB29 NA24 NA25 NA28 NB02 4J040 BA202 CA151 CA161 HA146 HB05 HD03 HD05 JA03 KA18 LA01 LA05 LA06 LA07 QA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロプレンまたはクロロプレン及びそ
    れと共重合可能な単量体を30℃以上の温度で重合して
    得られ、ロジン酸、ロジン酸ナトリウムおよびロジン酸
    カリウムから選ばれる1種または2種以上と、水酸化ナ
    トリウムおよび/または水酸化カリウムとを含み、かつ
    クロロプレンラテックス中のナトリウムイオン量がラテ
    ックスの固形分あたり0.15〜1.0重量%、カリウ
    ムイオン量がラテックスの固形分あたり0.15〜1.
    0重量%であり、クロロプレン重合体が3〜70重量%
    のゲル分を含み、ゾルの重量平均分子量が30万以上で
    あることを特徴とするクロロプレンラテックス組成物。
  2. 【請求項2】 ロジン酸、ロジン酸ナトリウムおよびロ
    ジン酸カリウムから選ばれる1種または2種以上をクロ
    ロプレンまたはクロロプレン及びそれと共重合可能な単
    量体100重量部に対して3〜7重量部含み、かつ水酸
    化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムをナトリウ
    ムイオン量とカリウムイオン量の合計量がロジン酸の中
    和量より過剰となるように含むことを特徴とする請求項
    1記載のクロロプレンラテックス組成物。
  3. 【請求項3】 クロロプレンまたはクロロプレン及びそ
    れと共重合可能な単量体100重量部に対して、ロジン
    酸、ロジン酸ナトリウムおよびロジン酸カリウムから選
    ばれる1種または2種以上を3〜7重量部と、水酸化ナ
    トリウムおよび/または水酸化カリウムをナトリウムイ
    オン量とカリウムイオン量の合計量がロジン酸の中和量
    より過剰であり、かつクロロプレンラテックス中のナト
    リウムイオン量がラテックスの固形分あたり0.15〜
    1.0重量%、カリウムイオン量がラテックスの固形分
    あたり0.15〜1.0重量%になるように使用して、
    連鎖移動剤の存在下に30℃以上の重合温度で単量体の
    転化率80〜95%まで重合することを特徴とする請求
    項1記載のクロロプレンラテックス組成物の製造方法。
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