JP2000315931A - Saw共振子、複合sawフィルタ及びsawフィルタ - Google Patents
Saw共振子、複合sawフィルタ及びsawフィルタInfo
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Abstract
隔を狭めることができ、例えばSAWフィルタに接続し
て直列または並列トラップとして用いた場合に、通過帯
域近傍の急峻性を高めることができると共に、通過帯域
内の挿入損失を良好なものとし得るSAW共振子を得
る。 【解決手段】 圧電基板8上に、第1,第2のくし歯電
極を有するIDT6を有し、該IDT6において、第1
のくし歯電極の電極指が正の電位に接続される場合に、
第2のくし歯電極の電極指が負の電位に接続され、該正
の電位に接続される電極指と負の電位に接続される電極
指とが表面波伝搬方向において交互に配置されている領
域において、少なくとも一対以上の電極指において、正
の電位に接続される電極指と負の電位に接続される電極
指とが反転されているSAW共振子。
Description
どの通信機器において帯域フィルタなどに用いられる1
端子対型SAW共振子及びSAWフィルタに関し、より
詳細には、共振周波数と反共振周波数との間の周波数間
隔を制御し得るSAW共振子及び該SAW共振子を用い
たSAWフィルタに関する。
信機器において帯域フィルタとして幅広く用いられてい
る。近年、携帯電話などの通信システムでは、送信周波
数帯域と、受信周波数帯域とが近接している。従って、
SAWフィルタにおいて、通過帯域ごく近傍の減衰特
性、すなわち減衰特性の急峻化が強く求められている。
開平7−131290号公報には、複合SAWフィルタ
が開示されている。この複合SAWフィルタでは、SA
Wフィルタの入力端または出力端に、第1のSAW共振
子が並列に接続されており、第2のSAW共振子が直列
に接続されている。
SAW共振子の反共振周波数近傍における高インピーダ
ンスにより、SAWフィルタの通過帯域高域側のカット
オフ特性の急峻化が図られると記載されている。また、
並列接続された第2のSAW共振子の共振周波数近傍に
おける低インピーダンスにより、SAWフィルタの通過
帯域の低域側におけるカットオフ特性の急峻化が図られ
ていると述べられている。
方法において、SAWフィルタの通過帯域のごく近傍に
おいて、大きな減衰量を得ようとするには、通過帯域高
域側においては第1のSAW共振子の反共振周波数を通
過帯域にさらに近づける必要があり、通過帯域低域側に
おいては、第2のSAW共振子の共振周波数を通過帯域
にさらに近づける必要があった。
振周波数を通過帯域にさらに近づけると、反共振周波数
近傍の高インピーダンスによる影響が通過帯域の高域側
にも及ぶ。そのため、通過帯域内の高域側において挿入
損失が大きくなる。同様に、第2のSAW共振子の共振
周波数をSAWフィルタの通過帯域にさらに近づける
と、共振周波数近傍の低インピーダンスの影響が通過帯
域内の低域側に及ぶ。そのため、通過帯域内の低域側に
おける挿入損失が大きくなる。
は、通過帯域ごく近傍の減衰量を大きくしようとする
と、通過帯域における挿入損失が悪化するという問題が
あった。図25は、SAWフィルタにSAW共振子を並
列接続した場合の上記悪影響を説明するための周波数振
幅特性を示す図である。
体の周波数振幅特性を示し、実線は図15に破線で示す
インピーダンス−周波数特性を示すSAW共振子を、上
記SAWフィルタに並列に接続した場合の特性を示す。
側のスケールによって拡大した特性であることを示す。
また、以下の周波数振幅特性を示す図についても同様に
図示されている。
が並列接続されると、通過帯域低域側近傍、特に減衰量
が10dBからより大きくなる周波数領域において、減
衰量が増大する。
をSAWフィルタの通過帯域に近づけたことにより、S
AW共振子の共振周波数近傍における低インピーダンス
の影響により、通過帯域の低域側が影響されている。す
なわち、実線で示されているように、通過帯域低域側の
挿入損失が大きくなっている。その結果、通過帯域低域
側における急峻性を、減衰量が3dB及び20dBの位
置の周波数間隔を基準として判断すると、該周波数間隔
はSAWフィルタ単体では3.3MHzであったのに対
し、SAW共振子を並列接続した場合3.6MHzにと
どまり、結果的に急峻性が向上していないことがわか
る。
を直列接続した場合の上記悪影響を説明するための周波
数振幅特性を示す図である。図26において、破線はS
AWフィルタ単体の特性を示し、実線は該SAWフィル
タに図18に破線で示すインピーダンス−周波数特性を
有するSAW共振子を直列接続した場合の特性を示す。
がSAWフィルタに直列接続されると、通過帯域高域側
近傍、特にSAW共振子の反共振周波数にあたる913
MHz付近で減衰量が大きくなることがわかる。しかし
ながら、やはり、SAW共振子の反共振周波数近傍の高
インピーダンスの影響が通過帯域の高域側に及び、通過
帯域の高域側が欠けている。従って、周波数振幅特性に
おいて、通過帯域高域側の急峻性を、減衰量レベルが3
dB及び8dBの位置の周波数間隔を基準として判断す
ると、該周波数間隔は、SAWフィルタ単体の場合に
2.2MHzであったのに対し、SAW共振子が直列接
続されている場合3.4MHzであり、結果として、急
峻性が向上していないことがわかる。
を防止するには、並列接続の場合にはSAW共振子の反
共振周波数近傍が通過帯域と一致するようにすればよ
く、また、直列接続の場合にはSAW共振子の共振周波
数近傍を通過帯域と一致するように構成すればよい。し
かしながら、実際にこのように接続すると、直列接続の
場合には反共振周波数が、並列接続の場合には共振周波
数が通過帯域近傍から遠ざかり、通過帯域の極めて近傍
において大きな減衰量を得ることはできなくなる。すな
わち、SAWフィルタにSAW共振子が接続されている
従来法では、通過帯域のごく近傍における大きな減衰量
と、通過帯域における良好な挿入損失とを両立すること
はできなかった。
の周波数間隔を制御することができ、ラダー型などの様
々なSAWフィルタを構成するのに好適であり、さらに
上記複合型SAWフィルタにおいてSAWフィルタに接
続されるのに好適に用いられるSAW共振子、及び該S
AW共振子を用いたSAWフィルタを提供することにあ
る。
共振子がSAWフィルタに直列及び/または並列に接続
されており、従って通過帯域近傍のフィルタ特性の急峻
性が高められ、かつ通過帯域の挿入損失が良好な複合S
AWフィルタを提供することにある。
SAW共振子は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成さ
れており、互いに間挿し合う1以上の電極指を有する第
1,第2のくし歯電極を含むインターデジタルトランス
デューサ(以下、IDTと略す。)とを備え、前記第1
のくし歯電極の電極指が正の電位に接続される場合、第
2のくし歯電極の電極指が負の電位に接続され、該正の
電位に接続される電極指と負の電位に接続される電極指
とが表面波伝搬方向において交互に配置されている領域
において、少なくとも一対以上の電極指対において、正
の電位に接続される電極指と負の電位に接続される電極
指とが反転されていることを特徴とする。
圧電基板と、前記圧電基板上に形成されており、互いに
間挿し合う1以上の電極指を有する第1,第2のくし歯
電極を含むIDTとを備え、前記IDTが間引き重み付
けあるいは電極反転されており、かつIDTの有効電極
率が10〜80%の範囲にあることを特徴とする。な
お、電極反転とは第1の発明における正の電位に接続さ
れる電極指と負の電位に接続される電極指とが反転され
ている構成を意味し、この電極反転の意味については後
ほど詳述する。
いては、好ましくは、共振周波数−反共振周波数の周波
数間隔が、同じ電極指対数の正規型IDTの場合の共振
周波数−反共振周波数の周波数間隔の5〜75%の範囲
とされている。
ましくは10〜50%の範囲とされる。第1,第2の発
明に係るSAW共振子の特定の局面では、前記SAW共
振子の共振周波数−反共振周波数の周波数間隔が、同じ
対数の正規型IDTの場合の共振周波数−反共振周波数
間隔の5〜30%の範囲とされている。
子では、IDTの表面波伝搬方向外側に反射器が設けら
れていてもよい。本願の第3の発明によれば、複合SA
Wフィルタが提供され、この複合SAWフィルタは、S
AWフィルタと、SAWフィルタの入力端側または出力
端側の少なくとも一方に、少なくとも1個以上の第1,
第2の発明に係るSAW共振子が電気的に直列及び/ま
たは並列に接続されている。
共振子がSAWフィルタに直列に接続されており、該S
AW共振子の反共振周波数が、SAWフィルタの通過帯
域高域側近傍の阻止帯域の周波数とされている。
定の局面では、前記SAW共振子が前記SAWフィルタ
に並列接続されており、前記SAW共振子の共振周波数
が、前記SAWフィルタの通過帯域低域側近傍の阻止帯
域にあるように構成される。
成を有するSAWフィルタが提供される。この梯子型回
路構成を有するSAWフィルタでは、複数のSAW共振
子が直列碗と並列碗に配置されて梯子型回路が構成され
ており、これらのSAW共振子のうち、少なくとも1つ
のSAW共振子が、第1,第2の発明に係るSAW共振
子により構成されている。
成を有するSAWフィルタが提供され、このSAWフィ
ルタでは、複数のSAW共振子が直列碗及び並列碗に配
置されて梯子型回路が構成されている。また、これらの
SAW共振子のうち、少なくとも1つのSAW共振子に
おいて、IDTの有効電極率が10〜95%の範囲とさ
れる。
係るSAW共振子及び複合SAWフィルタの詳細を説明
する。
実施例に係る複合SAWフィルタを説明するための模式
的平面図である。
°YカットX伝搬LiTaO3 基板からなる圧電基板8
上に、SAWフィルタ1とSAW共振子2とが形成され
ている。SAWフィルタ1及びSAW共振子2を構成す
るための電極材料としては、特に限定されないが、アル
ミニウムが用いられている。
a,4bを有する3IDT構成の縦結合二重モードSA
Wフィルタである。また、IDT3,4a,4bが表面
波伝搬方向に並べられている領域の表面波伝搬方向両側
には、反射器5a,5bが形成されている。
のくし歯電極により構成されている。IDT4a,4b
の一方のくし歯電極が共通接続されており、入力端子I
Nに接続されている。IDT4a,4bの他方のくし歯
電極がアース電位に接続されている。
ス電位に接続されており、他方のくし歯電極が出力端子
OUTに接続されている。IDT3の出力側には、SA
Wフィルタ1に対して並列に一端子対SAW共振子2が
接続されている。すなわち、IDT3の出力端がSAW
共振子2のIDT6の第1のくし歯電極に電気的に接続
されている。また、IDT6の第2のくし歯電極がアー
ス電位に接続されている。
搬方向両側に反射器7a,7bが形成されている。な
お、SAWフィルタ1においては、IDT4a,4bが
入力側IDTとされており、IDT3が出力側IDTと
されていたが、逆に、IDT3を入力端子に接続し、I
DT4a,4bを出力端子に接続してもよい。
り具体的な例に基づいて説明するが、本実施例は、以下
の具体的な構成に限定されるものではない。いま、SA
Wフィルタ1のIDT3の電極指の対数が36対、ID
T4a,4bの電極指の対数が22対、反射器5a,5
bの電極指の本数を100本、IDT3,4a,4bの
電極指交叉幅を60μmとする。なお、これらの条件を
含むSAWフィルタ1の設計条件は、所望のフィルタ特
性に応じて任意に変更し得る。
交叉幅は80μm、電極指の対数は80対、すなわち電
極指の本数は161本とする。SAW共振子2の反射器
7a,7bの電極指の本数は50本である。SAW共振
子2の反射器7a,7bを省略した場合であっても、I
DT6の電極指の本数が161本と多く、内部反射が存
在するので、SAW共振子2の共振点及び反共振点にお
けるQ値の低下は大きな問題とはならない。
けるIDT及び反射器のそれぞれのピッチ、すなわち電
極指の幅+電極指間の間隔の幅は、所望の周波数に対し
て励振すべき弾性表面波の波長λの1/2とされてい
る。
DTではない。すなわち、正規型IDTでは、第1のく
し歯電極に接続された電極指と第2のくし歯電極に接続
された電極指とが表面波伝搬方向において交互に配置さ
れている。言い換えれば、ある瞬間に正の電位に接続さ
れる電極指(以下、正電極とする)と、負の電位に接続
される電極指(以下、負電極とする)とは交互に配置さ
れている。
電極とが交互に配置されていない。このIDT6におけ
る電極指の配列の規則性を、図3(d)の電極配列20
Jとして示す。
配列の表現方法の定義を、図4(a)〜図6(c)を参
照して説明する。図4(a)及び(b)は、それぞれ、
第1,第2のくし歯電極10a,10bを有するIDT
10の平面図及び該平面図におけるA−A線に沿う断面
図である。
第2のくし歯電極10a,10b間に交流電界が印加さ
れるが、くし歯電極10aが正の電位に接続されたとき
には、くし歯電極10bは負の電位に接続される。従っ
て、くし歯電極10aの電極指を正電極とすると、くし
歯電極10bの電極指が負電極となる。
の電極指を表面波伝搬方向に沿う面で切断した場合の断
面図である。図5(a)のように、正規型IDTでは、
ある瞬間において、正電極12aと負電極12bとが表
面波伝搬方向において交互に配置されている。この場
合、圧電基板を励振させるのは特性の異なる隣合う電極
指間における電界である。従って、図5(a)の複数の
破線で示すようにIDTを分割し、隣合う破線間、すな
わち、ピッチ(電極指幅+電極指間間隔)を1ユニット
として考える。隣合う破線間で挟まれた1ユニットで
は、正電極と負電極の配置方法については、図5(b)
〜(e)に示す4種類の配置態様が考えられる。すなわ
ち、図5(b)に示す配置では、表面波伝搬方向を図5
(a)の矢印X方向とすると、表面波伝搬方向に沿っ
て、正電極及び負電極が配置されている。従って、図5
(b)に示す配置を「正・負」とする。このようにして
符号を定義すると、図5(c)に示す電極配置は「正・
正」となる。同様に、図5(d)に示す配置は「負・
負」となる。さらに、図5(e)に示す配置は、「負・
正」となる。
(b)に示した「正・負」の配置または図5(e)に示
されている「負・正」の配置となる。従って、波長λの
弾性表面波を効率良く励振させることができる。この正
規型IDTにおける1ユニットを、「正・負」あるいは
「負・正」の如何にかかわらず、符号「1」とする。
配置)あるいは「負・負」(図5(a)の配置)の場合
には、隣合う電極指が同電位となるため、隣合う電極指
間に電界は発生しない。このときユニットの符号を
「0」とする。
であるユニットを、「負・正」に置き換えたり、逆に、
「負・正」のユニットを「正・負」に置き換えた場合、
すなわち電極反転を施した場合には、隣合う電極指間の
電界が、正規型IDTにおける相当の電極指間の電界と
反対のベクトルを持つことになる。このときのユニット
の符号を、「−1」とする。
味し、符号「0」は「無効」を意味し、符号「−1」は
「打消し」を意味する。上記符号「1」、「0」及び
「−1」による表現を用いて、IDTにおける正電極1
2aと負電極12bとの配列をコード化することができ
る。
指配列は、4対周期の周期性を有する電極指配列の1周
期分を抜き出したものである。図6(a)の電極指配列
は正規型IDTの電極指配列であり、正電極12aと負
電極12bとが交互に並べられているので、全てのユニ
ットの符号は「1」であり、すなわち、全てのユニット
の電界が励振に寄与している。
に示した電極指配列から、4対周期で1対の負電極が間
引かれており、間引かれた電極位置においてダミー電極
として正電極が設けられている。この場合の1周期の符
号の並びは、図6(b)に示すとおり、「1,1,1,
1,0,0,1,1」となる。すなわち、間引きによ
り、励振に寄与しない「0」が現れている。
(a)に示した正規型IDTの電極指配列から、4対周
期で1対の正電極と負電極とが反転されている。この反
転を、本明細書においては電極反転ということとする。
「1,1,1,0,−1,0,1,1」となる。上記電
極反転により励振がキャンセルされ、符号「−1」が現
れている。通常の間引き重み付けでは現れない符号「−
1」が現れることが、上記電極反転が施されていること
を意味する。
を1ユニットとして符号化することにより、1つのID
Tを各ユニットに分解した場合の各ユニットの符号の総
和が、そのIDTにおいて実際に共振するユニットの数
(以下、有効ユニット数と称する)を表すことになる。
図6の各電極指配列を例にとると、図6(a)に示した
正規型IDTの電極指配列では、1周期あたりの符号の
総和は8となり、有効ユニット数が8であり、8個のユ
ニットの全てが励振に寄与している。図6(b)に示し
た電極指配列では、一対の電極指に間引きが施されてお
り、符号の総和は6、すなわち有効ユニット数は6とな
る。図6(c)に示した電極指配列では、一対の電極指
において電極反転が施されており、有効ユニット数は4
となる。
Tの総ユニット数に対する有効ユニット数の割合を、有
効電極率と定義する。この有効電極率により表現する
と、図6(a)に示した電極指配列は、有効電極率10
0%となり、図6(b)に示された電極指配列の有効電
極率は75%となり、図6(c)に示した電極指配列の
有効電極率は50%となる。
A〜20F、並びに図3(a)〜(f)に示す電極指配
列20G〜20Lにおいては、上記符号化に従って算出
される有効電極率を併せて示す。なお、図2及び図3で
は、正電極12aと負電極12bはハッチングの向きが
逆方向となるように区別されて図示されている(図2
(a)参照)。
WフィルタにおけるIDT6の電極指配列は、図3
(d)に示す電極指配列20Jに相当し、有効電極率は
25%である。
極と負電極とのランダムな並び方を定量的に扱い、かつ
本願発明を明確にするために近似を用いている。すなわ
ち、符号「0」のユニットにおいても隣合う電極指間に
幾らかの電界は発生し、幾分かは励振に寄与しており、
他方、符号「−1」のユニットにおける隣合う電極指に
おいても、単純に励振を完全に相殺するものではなく、
複雑な電界分布が発生している。従って、同じ有効電極
率の電極指配列であっても、間引きと電極反転とではI
DTの特性は異なることになる。しかしながら、本発明
の構成を明確にし、かつ該構成と本発明により得られる
後述の効果とを説明する上で、上記近似は有効であると
考えられる。
極反転を施すことにより、有効電極率を低下させた場合
の作用効果を説明する。前述したように、図2(a)〜
(f)及び図3(a)〜(f)は、IDTにおける様々
な電極指配列を示す図である。電極指配列20Aは、正
規型IDTにおける電極指配列であり、有効電極率は1
00%である。図2(b)の電極指配列20Bでは、間
引きが施されて有効電極率が75%とされており、図2
(c)の電極指配列20Cでは、電極反転が施されて有
効電極率が75%とされている。同様に、電極指配列2
0D,20F,20G,20I及び20Kでは、間引き
が施されて有効電極率が低下されている。また、電極指
配列20E,20H,20J,20Lでは、電極反転が
施されて有効電極率が低下されている。
列のIDTを有する各SAW共振子のインピーダンス特
性を示す図である。図7及び図8においては、図2及び
図3との比較を容易とするために、各電極指配列20A
〜20LのIDTの特性に、それぞれ、20A〜20L
の符号を付して示してある。
ンス特性では、全ての電極指配列において、IDTの電
極指の対数は80対、交叉幅は80μmとした。図7及
び図8から明らかなように、間引きを施した場合及び電
極反転を施した場合のいずれにおいても、有効電極率を
低下させることにより、反共振周波数が低下するが、共
振周波数はほとんど動かないことがわかる。すなわち、
有効電極率を低下させることにより、共振周波数を移動
させずに、共振周波数と反共振周波数との間の周波数間
隔を狭くし得ることがわかる。よって、間引きあるいは
電極反転を利用することにより有効電極率を調整すれ
ば、共振周波数と反共振周波数との間の周波数間隔を、
共振周波数を移動させずに調整し得ることがわかる。
ダンス特性の共振周波数−反共振周波数の周波数間隔の
正規型IDTにおける共振周波数−反共振周波数間隔に
対する割合を、上記有効電極率に対してプロットした結
果を示す。図9から明らかなように、間引きよりも電極
反転を用いた方が、共振周波数−反共振周波数の周波数
間隔をより効果的に狭くし得ることがわかる。
ーダンス特性の反共振点におけるインピーダンスと、有
効電極率との関係を示す図である。図10から明らかな
ように、間引きを施した場合には、反共振点におけるイ
ンピーダンスはほぼ変らないが、電極反転を施した場合
には有効電極率が低下するほど反共振点のインピーダン
スが大きく低下することがわかる。
ス特性の共振点におけるインピーダンスと、有効電極率
との関係を示す図である。図11から明らかなように、
共振点におけるインピーダンスは、間引き及び電極反転
のいずれの場合にも同じであり、有効電極率が低下する
ほど共振点におけるインピーダンスが増大していること
がわかる。
20F及び20Kの各インピーダンス特性は、図2及び
図3から明らかなように、正電極を間引き、間引かれた
部分にダミー電極として負電極が設けられている配列で
ある。すなわち、符号「0」のユニットは、全て「負・
負」である。
は、符号「0」のユニットには、「負・負」と、「正・
正」の両方が混在している。すなわち、電極指配列20
Gの有効電極率は33%であり、電極指配列20Fと有
効電極率が等しく、ユニットの符号も同じように「1」
及び「0」の組み合わせで構成されているものの、符号
「0」のユニットの内容において異なっている。
ンス特性では、電極指配列20Fのインピーダンス特性
に比べて、共振周波数−反共振周波数間隔が狭くなり、
反共振点におけるインピーダンスが低下している。従っ
て、電極指配列20Gの場合の特性は、電極反転を用い
て有効電極率が33%とされている電極指配列20Hの
特性に近づいている。このように、電極反転を用いず、
間引きだけを用いて同じ有効電極率を達成したとして
も、ユニットの符号の配列によって特性は変化する。
うに、このような変化は大きなものではなく、本発明お
ける共振周波数−反共振周波数間隔を狭くする作用にお
いては、本質的に変わりない。
めに、IDTにおける正電極と負電極の電極指配列とし
ては、図2(a)〜(f)及び図3(a)〜(f)に示
したように、間引きあるいは電極反転のそれぞれについ
て周期的な規則性を有するものを用いた。しかしなが
ら、有効電極率の低下による共振周波数−反共振周波数
間の周波数間隔を狭くする作用は、間引きのみ、電極反
転のみに限定されず、しかも周期的な規則性を有する場
合に限定されない。例えば、間引きと電極反転が混在し
ていてもよい。このときの特性は、図9に示した間引き
が施された電極指配列の特性と、電極反転が施された電
極指配列の場合の特性との中間の特性となる。
である必要が必ずしもなく、共振周波数−反共振周波数
の周波数間隔は、あくまでも総ユニットあたりの有効ユ
ニット数、すなわち有効電極率に依存する。例えば、I
DTにおける電極指配列の符号の並びを「1,1,0,
−1,−1,0,1,1,1,0,0,1,0,0,
1,0,−1,−1,0………」と全く不規則となって
いる場合であっても、共振周波数−反共振周波数間の周
波数間隔は上記有効電極率にほぼ比例して狭くなる。
T内に組み合わせても問題はない。例えば、IDT中央
部の電極指配列を図2(b)に示した電極指配列20B
(有効電極率75%)とし、その外側のIDT部分を電
極指配列20H(有効電極率33%)とした場合であっ
ても、共振周波数−反共振周波数間の周波数間隔は全体
での有効電極率に比例して狭くなる。
述した電極指配列20G(図3(a)、有効電極率33
%)とし、その外側のIDT部分を正規型IDT(有効
電極率100%)の電極指配列とした場合の共振周波数
と反共振周波数との周波数間隔と、電極指配列20Gが
設けられている部分の割合との関係を示す図である。な
お、電極指配列20Gが設けられている割合とは、ID
T全体における電極指配列20Gに従って構成されてい
る部分の割合であり、図12の横軸の0%は、全体が正
規型IDTであることを示し、100%は、IDT全体
が電極指配列20Gで構成されていることを意味する。
0Gの割合により、共振周波数−反共振周波数の周波数
間隔が変化し、特に、電極指配列20Gの割合が大きく
なるにつれて、周波数間隔が狭くなることがわかる。
されている場合には、間引かれた部分に、ダミー電極と
して、間引かれた電極指と反対の極性の電極指が設けら
れていた。もし、単純に間引かれた電極指を削除しただ
けの場合には、間引かれた位置で弾性表面波の音速が変
化し、弾性表面波の位相にズレが生じる。ダミー電極は
このような位相のズレによる悪影響を防止するために設
けられたものであり、この方法は既に周知である。
引かれた位置にダミー電極18を設けてもよく、図13
(b)に示すようにダミー電極18を設けずに間引かれ
た部分を図18(b)に示すように電極指が存在しない
状態としてもよく、図13(c)に示すように、間引き
部分をメタライズし、幅の太い電極指18Aを形成して
もよい。また、上記のような共振周波数−反共振周波数
間の周波数間隔を狭める作用は、間引きに際してのダミ
ー電極の使用の有無にかかわらず得られるものであり、
従って、上述した各種間引き方法を用いた場合であって
も、有効電極率を低下させることにより、同様に共振周
波数−反共振周波数間の周波数間隔を狭めることができ
る。
搬LiTaO3 基板を圧電基板8として用いているが、
他の圧電基板を用いた場合であっても、上記と同様に有
効電極率を低下させることにより共振周波数と反共振周
波数との間の周波数間隔を狭めることができる。
ルタの特性につき説明する。図14に、第1の実施例に
係る複合SAWフィルタの周波数特性を実線で示す。比
較のために、第1の実施例で用いられているSAWフィ
ルタ1単体の特性を破線Y1で示す。さらに、第1の従
来例として従来の複合SAWフィルタ(図25に示した
特性)の特性を破線Y2で示す。なお、拡大スケールに
よる図は、縦軸の右側のスケールによって拡大したもの
である。
ーダンス−周波数特性(実線)と、図25に示した第1
の従来例のSAWフィルタにおいて用いられている正規
型IDTからなるSAW共振子のインピーダンス−周波
数特性(破線)を示す。
たように、通過帯域低域側近傍の減衰量を大きくするた
めに、図15に破線で示した特性のSAW共振子が、S
AWフィルタに電気的に並列に接続されている。この場
合、図14の破線Y2で示したフィルタ特性が得られて
いる。しかしながら、前述したように、通過帯域低域側
において、減衰量が10dBである位置から低周波数側
で減衰量が大きくなっているものの、SAW共振子の共
振周波数における低インピーダンスの影響により通過帯
域の低域側が欠けてしまっていた。
ルタでは、図15に実線で示したインピーダンス特性を
有するSAW共振子2が、SAWフィルタ1に並列に接
続されている。この場合、通過帯域低域側近傍の減衰量
については、従来のSAWフィルタと同様に、通過帯域
低域側の極めて近傍にSAW共振子2の共振周波数を合
わせることにより、図14の実線で示されているよう
に、従来のSAWフィルタと同様に、通過帯域低域側に
おける減衰量が10dBの位置から低周波数側での減衰
量が高められている。加えて、本実施例では、第1の従
来例の欠点であった通過帯域低域側の欠けが改善され、
SAWフィルタ1単体による特性に近い通過帯域低域側
の特性が得られている。これは、SAW共振子2の有効
電極率が低下され、通過帯域低域側にSAW共振子の反
共振周波数が合わせられることにより、従来のSAW共
振子を用いた場合に比べて、通過帯域低域側の周波数に
おけるSAW共振子2のインピーダンスが大幅に増大さ
れ、それによってSAW共振子2のフィルタの通過帯域
低域側に与える影響が低減されていることによる。
を減衰量レベル3dBと20dBの位置の周波数間隔で
判断した場合、SAWフィルタ1単体では3.3MHz
であり、従来のSAWフィルタでは3.6MHzであっ
たのに対し、本実施例では2.5MHzとなり、急峻性
が大幅に向上していることがわかる。
係るSAW共振子を、SAWフィルタに電気的に並列接
続することにより、従来のSAWフィルタでは不可能で
あった点、通過帯域低域側の極めて近傍の高減衰量と、
通過帯域の良好な挿入損失の両方が達成され、通過帯域
低域側におけるフィルタ特性の急峻性を効果的に高め得
ることがわかる。
の有効電極率の低下によるSAW共振子2の共振周波数
−反共振周波数間隔減少効果を利用したものである。こ
の効果は、共振周波数−反共振周波数間隔が、正規型I
DTの場合の共振周波数−反共振周波数間隔の30%以
下であるときに特に大きい。
間隔が5%未満になると、共振点と反共振点におけるイ
ンピーダンスの差が小さくなりすぎ、通過帯域近傍で十
分な高減衰量を得ることができず、通過帯域への影響も
大きくなることがある。従って、第1の実施例において
は、SAW共振子2の共振周波数−反共振周波数間隔
は、正規型IDTの場合の共振周波数−反共振周波数間
隔の5〜30%の範囲とすることが好ましい。また、図
9から、上記共振周波数−反共振周波数間隔を5〜30
%の範囲とするには、有効電極率を10〜50%とすれ
ばよいことがわかる。従って、有効電極率は、10〜5
0%の範囲とすることが望ましい。
の実施例に係る複合SAWフィルタの電極構造を示す概
略構成図である。第2の実施例では、36°YカットX
伝搬LiTaO3 基板からなる圧電基板8上に、SAW
フィルタ21及びSAW共振子22の電極構造がAlを
用いて形成されている。SAWフィルタ21は、第1の
実施例のSAWフィルタ1と全く同様に構成されてい
る。
例で用いたSAW共振子2と基本的には同じように構成
されている。もっとも、SAW共振子22は、IDTの
交叉幅、IDT及び反射器のピッチにおいて、SAW共
振子2とは異なっている。
共振子22が直列に接続されている。なお、本実施例に
おいても、SAWフィルタ21の入力端と出力端とを入
れ換えてもよい。
ルタ21の設計条件は、所望とするフィルタ特性が得ら
れるように任意に変更することができる。SAW共振子
22のIDTの交叉幅は180μmとされており、SA
W共振子2に比べて低インピーダンス特性を有するよう
に構成されている。SAW共振子22におけるIDT2
3及び反射器24a,24bの各ピッチ(電極指幅+電
極指間間隔)は、所望の周波数で励振される弾性表面波
の波長λの1/2の長さとされている。
例の場合と同様に、そのIDT23が、間引きあるいは
電極反転によりその有効電極率が低下されている。図1
7に、第2の実施例に係る複合SAWフィルタの周波数
振幅特性(実線)と、SAWフィルタ21単体の周波数
振幅特性(破線Y3)と、図26に示した特性を有する
第2の従来例の複合SAWフィルタの周波数振幅特性
(破線Y4)を示す。
いられたSAW共振子22のインピーダンス特性を、破
線で第2の従来例で用いられた正規型IDTからなるS
AW共振子のインピーダンス特性を示す。
合SAWフィルタでは、通過帯域高域側近傍における減
衰量を向上させるために、図18に示した破線の特性の
SAW共振子がSAWフィルタに電気的に直列に接続さ
れている。この場合、図17から明らかなように、通過
帯域高域側の913MHz付近の減衰量が向上してい
る。しかしながら、図18に破線で示された特性を有す
るSAW共振子を用いているので、該SAW共振子の反
共振周波数の高インピーダンスの影響がフィルタ特性の
通過帯域の高域側に及んでおり、通過帯域の高域側が大
きく欠けている。
AWフィルタでは、上記SAW共振子22が、SAWフ
ィルタ21に電気的に直列に接続されている。通過帯域
高域側近傍の減衰量については、通過帯域高域側の極め
て近傍にSAW共振子22の反共振周波数を合わせるこ
とにより、図17に実線で示されているように、第2の
従来例には及ばないが、SAWフィルタ21単体におけ
る特性に比べて、通過帯域高域側における913MHz
付近の減衰量が向上している。
側の欠けが改善される。すなわち、SAWフィルタ21
単体の特性に近い通過帯域高域側のフィルタ特性が得ら
れる。これは、有効電極率が低いSAW共振子22の共
振周波数をフィルタ特性の通過帯域高域側に合わせるこ
とにより、SAW共振子22の通過帯域高域側の周波数
におけるインピーダンスが大幅に低下され、SAW共振
子22によるフィルタ特性の通過帯域高域側に与える影
響が小さくされていることによる。従って、図17から
明らかなように、第2の実施例の複合SAWフィルタで
は、通過帯域高域側の急峻性が向上していることがわか
る。
をSAWフィルタに電気的に直列に接続させることによ
り、従来のSAW共振子を直列に接続させる方法では不
可能であった、通過帯域高域側の極めて近傍の高減衰量
及び通過帯域における良好な挿入損失の両方を達成する
ことができ、通過帯域高域側における急峻性を高めるこ
とができる。
施例の場合と同様に、共振周波数−反共振周波数間隔が
正規型IDTの場合の共振周波数−反共振周波数間隔の
5〜30%とすることが、通過帯域近傍における十分大
きな減衰量の実現及び通過帯域への悪影響の低減を図る
上で望ましく、従って、SAW共振子22の有効電極率
については10〜50%の範囲とすることが望ましい。
SAWフィルタは、第1の実施例に係る複合SAWフィ
ルタにおいて、SAW共振子2のIDTの電極指配列、
電極指交叉幅及びピッチを異ならせたことを除いては、
第1の実施例のSAWフィルタと同様である。従って、
異なる点のみを説明し、同じ点については第1の実施例
の説明を援用することにより省略する。以下、第3の実
施例におけるSAW共振子を、SAW共振子Zとする。
図2(a)に示した電極指配列20E(有効電極率50
%)とされている。また、SAW共振子Zにおける電極
指交叉幅は60μmであり、ピッチは弾性表面波の波長
λの1/2とされている。
上記のように有効電極率50%と低められているので、
第1の実施例のSAW共振子2の場合と同様に、通過帯
域よりも低域側における減衰量の増大及び挿入損失の改
善を図ることができる。これを、具体的な特性を参照し
て説明する。
フィルタの周波数振幅特性を実線で、SAWフィルタ1
単体の周波数振幅特性を破線Y5で、正規型IDTから
なる従来のSAW共振子を用いたことを除いては同様に
構成された第3の従来例のSAWフィルタの周波数振幅
特性を破線Y6で示す。また、図20に、第3の実施例
で用いたSAW共振子Zのインピーダンス特性(実線)
と、第3の従来例に用いたSAW共振子のインピーダン
ス特性(破線)を示す。
タ1の単体では、884〜887MHzの周波数帯域に
スプリアスが存在している。第3の実施例では、この周
波数帯域における減衰量レベルの向上が図られる。
上記周波数帯域の減衰量を高めるために、図20に示し
た破線の特性のSAW共振子がSAWフィルタ1に電気
的に並列接続されている。従って、図19に示すよう
に、所望の周波数帯域における減衰量は向上しているも
のの、第1の従来例と同様に、SAW共振子の共振周波
数の低インピーダンスによる影響が、通過帯域の低域側
に及び、通過帯域の低域側が欠けている。これに対し
て、第3の実施例では、図20に示したインピーダンス
特性を有するSAW共振子ZがSAWフィルタ1に並列
に接続されている。従って、884〜887MHzの周
波数帯域の減衰量は、SAW共振子Zの共振周波数を該
周波数帯域に合わせることにより、図19に示されてい
るように、第3の従来例と同様の高い減衰量が得られて
いる。
の複合SAWフィルタの欠点であった通過帯域低域側の
欠けが改善され、SAWフィルタ1単体の特性に近い通
過帯域低域側のフィルタ特性が得られている。これは、
SAW共振子Zの有効電極率が50%と低下されて、通
過帯域低域側にSAW共振子Zの共振周波数を合わせる
ことにより、従来のSAW共振子に比べて、通過帯域低
域側の周波数におけるSAW共振子Zのインピーダンス
が大幅に増大され、それによってSAW共振子Zが通過
帯域低域側に与える影響が低減されていることによる。
に通過帯域の極めて近傍の領域において大きな減衰量と
通過帯域の良好な挿入損失を実現し得るだけでなく、第
3の実施例に示したように、通過帯域から少し離れた帯
域における減衰量を大きくする場合にも、従来例に比べ
て良好な通過帯域内特性を確保し得ることがわかる。
との周波数間隔が、正規型IDTの共振周波数−反共振
周波数間隔の75%を超えると、その周波数間隔に応じ
た共振周波数−反共振周波数間隔を有するSAW共振子
Zを用いた場合と、正規型IDTを用いた場合とで、通
過帯域に与える影響の差は問題とならない程度であるた
め、ほとんど改善されない。従って、第3の実施例の効
果は、共振周波数−反共振周波数間隔が正規型IDTの
場合の共振周波数−反共振周波数間隔の75%以下であ
るときに特に大きい。
の周波数間隔が正規型IDTの共振周波数−反共振周波
数間隔の30%未満になると、通過帯域から少し離れた
帯域における減衰量を大きくする効果よりも、第1の実
施例のように通過帯域近傍の減衰量を大きくする効果が
大きくなる。第1の実施例も第3の実施例に含まれると
考えると、第3の実施例においては、SAW共振子Zの
共振周波数−反共振周波数間隔が、正規型IDTの場合
の共振周波数−反共振周波数間隔の5〜75%の範囲で
ある場合に、特に効果が大きく望ましい。また、図9か
ら、上記共振周波数−反共振周波数間隔を得るための有
効電極率は、10〜80%とすればよく、この範囲が望
ましいことがわかる。
AWフィルタ1に並列に接続されて、通過帯域よりも低
周波数側における減衰量の増大を図ったが、第2の実施
例と同様に、SAW共振子をSAWフィルタに直列接続
し、通過帯域より少し離れた高周波数側における減衰量
を増大させてもよい。
いて、SAW共振子Zとして、IDTの電極指の対数が
80対、電極指の本数が161本、交叉幅が80μmで
あり、電極指配列の規則性が図2(e)に示した電極指
配列20E(有効電極率50%)のものを用いた。その
他の点については第3の実施例と同様にして、複合SA
Wフィルタを構成した。
極指配列は、前述した電極指配列20E(図2(e)参
照)であり、電極反転を用いて有効電極率が50%とさ
れている。図9から、このSAW共振子Zの共振周波数
−反共振周波数間隔は、正規型IDTの場合の間隔の約
30%である。
共振周波数間隔を間引きを施して得ようとした場合に
は、電極指配列は図9から電極指配列20Fとすればよ
いことがわかる。電極指配列20Fの有効電極率は33
%である。
に、電極指配列20Eと電極指配列20Fにおける共振
点及び反共振点におけるインピーダンスを比較すると、
電極指配列20Fの場合の方が、電極指配列20Eの場
合に比べて共振点及び反共振点のいずれにおいてもイン
ピーダンスが大きくなることがわかる。
ス特性(電極指配列20E、交叉幅80μm)を実線
で、上記電極指配列20FのIDTを有するSAW共振
子のインピーダンス特性を破線で示す。
共振子については、上記SAW共振子と同様に、電極指
の対数は80対、交叉幅はSAW共振子Zの2倍の16
0μmとした。この交叉幅の違いは、上記インピーダン
スの差を補正するためである。
るには、交叉幅の他に、電極指の対数を変化させてもよ
い。例えば、上記電極指配列20Fの場合、交叉幅は8
0μmのままとし、電極指の対数を160対としても、
ほぼ同様の特性を得ることができる。交叉幅及び電極指
の対数を変化させても、共振周波数−反共振周波数間隔
にはほとんど影響はない。
20Fを構成して、電極反転を施した場合と同じ特性を
得ようとすると、SAW共振子のIDT部分の総面積を
2倍に大きくする必要がある。言い換えれば、有効電極
率の低下を、間引きの代わりに電極反転を用いれば、S
AW共振子のIDT部分の面積を半分にまで小さくする
ことができる。この効果は、間引きされている部分を全
て電極反転に代えるまでもなく、一部の間引き電極を電
極反転に代えるだけで得られる。
板の大きさに直接反映する。そして、圧電基板の大きさ
によって、圧電基板を収めるパッケージが制限される。
従って、圧電基板のサイズは非常に重要である。圧電基
板のサイズが0.1mm大きいだけで、用意したパッケ
ージに収納することができず、ひと回り大きなパッケー
ジを用いなければならないことも多い。携帯電話用の帯
域フィルタでは、特に電子部品の小型化が強く求められ
ており、圧電基板のサイズの縮小は重要な課題である。
従って、この変形例から明らかなように、電極反転を用
いたIDT部分の面積の縮小は、このような要求に応え
る上で特に効果が大きい。
は、本発明の第4の実施例としての梯子型回路構成を有
するSAWフィルタを説明するための回路図及びSAW
共振子の構成を示す模式的平面図である。
NbO3 基板上に、複数の直列腕SAW共振子52a〜
52dと、複数の並列腕SAW共振子53a〜53cが
Alにより形成されている。
53cは、いずれも本発明に係る一端子対SAW共振子
により構成されている。すなわち、図22(b)に示す
ように、一端子対SAW共振子は、圧電基板54上にI
DT55と、IDT55の表面波伝搬方向両側に反射器
56,57を形成した構造を有する。なお、圧電基板5
4は、複数のSAW共振子52a〜52d,53a〜5
3cで共通とされている。すなわち、一枚の圧電基板上
に、各SAW共振子の電極構造を形成することにより、
1つの部品として本実施例のSAWフィルタが構成され
ている。
叉幅は50μm、電極指の対数は105対、並列腕共振
子53bの交叉幅は57μm、電極指の対数は150対
とされている。
極指交叉幅が80μm、電極指の対数が125対、反射
器の電極指の本数が80本とされている。直列腕共振子
52aは、図2(b)に示した電極指配列20B(有効
電極率75%)となるように間引きが施されている。こ
こで、IDTと反射器との間の間隔は、反射器の電極指
ピッチにより定められる波長λの0.5倍(0.5λ)
とされている。なお、IDTと反射器との間隔とは、隣
合うIDTの電極指と反射器の反射電極指との中心間距
離をいうものとする。
発明に係るSAW共振子を用いて構成されている。すな
わち、直列腕共振子52aが、第1の実施例で用いられ
たSAW共振子2と同様に、有効電極率が低められたS
AW共振子により構成されている。
を有するSAWフィルタの周波数振幅特性を実線で、直
列腕共振子52aに代えて、通常の正規型SAW共振子
を用いたことを除いては同様に構成された比較のための
梯子型回路構成を有するSAWフィルタの特性を破線で
示す。また、図24に、本実施例で用いた、上記直列腕
共振子52aのインピーダンス特性を実線で、間引きが
施されていない正規型IDTを有する直列腕共振子52
b〜52dのインピーダンス特性を破線で示す。
W共振子を直列腕共振子52aとして用いた場合、図2
3から明らかなように、比較例に比べて、スルーレベル
から3dBにおける通過帯域の帯域幅はほとんど変化し
ていないにもかかわらず、通過帯域高域側ごく近傍にお
ける急峻性が高められている。すなわち、910〜93
0MHz付近の減衰量は、比較例では約8dBであった
のに対し、実施例のSAWフィルタでは約23dBまで
改善されている。
成を有するSAWフィルタにおいて、直列腕共振子の少
なくとも1つとして、本発明に係る有効電極率が小さい
SAW共振子を用いることにより、梯子型回路構成を有
するSAWフィルタの通過帯域高域側におけるフィルタ
特性の急峻性を高め得ることがわかる。
とは異なり、有効電極率が95%以下のときに、正規型
IDTを有するSAW共振子に比べて、減衰量を明らか
に改善することができる。また、有効電極率が低くなれ
ばなる程、通過帯域ごく近傍のフィルタ特性の急峻性を
高めることができる。本実施例では、第1の実施例の場
合と同じ理由により、有効電極率の下限は、好ましくは
10%である。
共振子を直列腕共振子52aに用いたが、並列腕共振子
に用いることにより、通過帯域低域側ごく近傍のフィル
タ特性の急峻性を高めることもできる。
のみを本発明に係るSAW共振子で構成したが、梯子型
回路構成を有するSAWフィルタにおいて、直列腕共振
子の全てを、あるいは並列腕共振子の全てを、また直列
腕共振子及び並列腕共振子の全てを、本発明に係るSA
W共振子で構成してもよい。
共振子及び/または並列腕共振子の少なくとも1つに、
本発明に係るSAW共振子を用いることにより、通過帯
域ごく近傍におけるフィルタ特性の急峻性を高めること
ができる。
よれば、第1のくし歯電極の電極指が正の電位に接続さ
れる場合、第2のくし歯電極の電極指が負の電位に接続
され、該正の電位に接続される電極指と負の電位に接続
される電極指とが表面波伝搬方向において交互に配置さ
れている領域において、少なくとも1対以上の電極指対
において、正の電位に接続される電極指と負の電位の接
続される電極指とが反転されており、すなわち電極反転
されているので、正規型IDTに比べて有効電極率が低
められ、それによって共振周波数−反共振周波数間隔が
狭められる。従って、この電極反転の量をコントロール
することにより、共振周波数−反共振周波数間の周波数
間隔を調整することができるので、SAW共振子をSA
Wフィルタに直列トラップまたは並列トラップとして接
続することにより、通過帯域にほとんど影響を与えるこ
となく、通過帯域近傍のフィルタ特性の急峻性を高める
ことができる。
振子によれば、間引きではなく電極反転を用いて共振周
波数−反共振周波数間隔を狭めているので、IDT部分
の面積を縮小することができる。
は、IDTが間引き重み付けあるいは上記電極反転され
ており、IDTの有効電極率が10〜80%の範囲にあ
るため、第1の発明と同様に、正規型IDTを用いた場
合に比べて共振周波数−反共振周波数間隔を狭めること
ができる。従って、第2の発明に係るSAW共振子を、
SAWフィルタに対して直列または並列トラップとして
用いることにより、通過帯域にほとんど影響を与えるこ
となく、通過帯域近傍のフィルタ特性の急峻性を高める
ことができる。
反共振周波数の周波数間隔が、正規型IDTの場合の共
振周波数−反共振周波数間隔の5〜75%とした場合に
は、SAWフィルタの直列トラップまたは並列トラップ
として用いた場合、より一層効果的にフィルタ特性の通
過帯域近傍の急峻性を高めることができ、かつ通過帯域
から少し離れた帯域における減衰量の増大を効果的に図
ることができる。
いて、有効電極率が10〜50%の範囲にある場合に
は、SAWフィルタに直列トラップまたは並列トラップ
として接続した場合、通過帯域低域側または高域側にお
けるフィルタ特性の急峻性をより効果的に高めることが
でき、かつ通過帯域における良好な挿入損失をより効果
的に実現することができる。
の共振周波数−反共振周波数間隔が、正規型IDTの共
振周波数−反共振周波数間隔の5〜30%とした場合に
は、上記有効電極率を10〜50%とすることができ、
上記と同様に、SAWフィルタの直列トラップまたは並
列トラップとしてSAW共振子を用いた場合に、通過帯
域近傍のフィルタ特性の急峻化をより効果的に図ること
ができ、かつ通過帯域内における挿入損失を十分な大き
さとすることができる。
タでは、SAWフィルタの入力端側または出力端側の少
なくとも一方に、第1,第2の発明に係るSAW共振子
が少なくとも1個直列及び/または並列に接続されてい
るので、通過帯域近傍の急峻性を高めることができると
共に、通過帯域における挿入損失を低減することができ
る。
て、SAW共振子がSAWフィルタに直列に接続されて
おり、SAW共振子の反共振周波数がSAWフィルタの
通過帯域高域側近傍の阻止帯域の周波数とされている場
合には、上記SAW共振子が直列トラップとして機能
し、通過帯域高域側において通過帯域近傍の減衰量を大
きくすることができ、かつ通過帯域の良好な挿入損失を
実現することができる。
いて、上記SAW共振子がSAWフィルタに並列接続さ
れており、SAW共振子の共振周波数がSAWフィルタ
の通過帯域低域近傍の阻止帯域にある場合には、SAW
共振子の並列トラップとして機能し、通過帯域低域側に
おける通過帯域近傍の減衰量を効果的に高めることがで
きると共に、通過帯域における挿入損失の低減を図るこ
とができる。
は、複数のSAW共振子が直列腕及び並列腕に配置され
ており、少なくとも1つのSAW共振子が、第1,第2
の発明に係るSAW共振子により構成されているので、
通過帯域近傍におけるフィルタ特性の急峻性を高めるこ
とが可能となる。
タでは、複数のSAW共振子が直列腕及び並列腕に配置
されて梯子型回路が構成されており、少なくとも1つの
SAW共振子のIDTの有効電極率が10〜95%の範
囲とされているので、第4の発明の場合と同様に、通過
帯域近傍におけるフィルタ特性の急峻性を効果的に高め
ることができる。
タを説明するための模式的平面図。
電極率との関係を示す模式的断面図。
と有効電極率との関係を示す模式的断面図。
明するための平面図及び(a)のA−A線に沿う断面
図。
するための各模式的断面図。
る符号化を説明するための各模式的断面図。
AW共振子のインピーダンス−周波数特性を示す図。
SAW共振子のインピーダンス−周波数特性を示す図。
との関係を示す図。
率との関係を示す図。
係を示す図。
における電極指配列20Gの割合との関係を示す図。
ーンを説明するための各部分切欠平面図。
AWフィルタ単体及び第1の従来例の複合SAWフィル
タの周波数振幅特性を示す図。
第1の従来例で用いられたSAW共振子のインピーダン
ス−周波数特性を示す図。
極構造を示す模式的平面図。
AWフィルタ単体及び第2の従来例の複合SAWフィル
タの周波数振幅特性を示す図。
及び第2の従来例で用いられているSAW共振子のイン
ピーダンス−周波数特性を示す図。
AWフィルタ単体及び第3の従来例の複合SAWフィル
タの周波数振幅特性を示す図。
第3の従来例で用いられるSAW共振子のインピーダン
ス−周波数特性を示す図。
ルタで用いられSAW共振子及び電極指配列20FのI
DTを有するSAW共振子のインピーダンス−周波数特
性を示す図。
AWフィルタの回路図及び用いられるSAW共振子の電
極構造を説明するための模式的平面図。
較のために用意したSAWフィルタの周波数振幅特性を
示す図。
直列腕共振子の1つとして用いられたSAW共振子及び
間引きが行われていないSAW共振子のインピーダンス
−周波数特性を示す図。
波数振幅特性を示す図。
振幅特性を示す図。
Claims (11)
- 【請求項1】 圧電基板と、 前記圧電基板上に形成されており、互いに間挿し合う1
以上の電極指を有する第1,第2のくし歯電極を含むイ
ンターデジタルトランスデューサとを備え、 前記第1のくし歯電極の電極指が正の電位に接続される
場合、第2のくし歯電極の電極指が負の電位に接続さ
れ、該正の電位に接続される電極指と負の電位に接続さ
れる電極指とが表面波伝搬方向において交互に配置され
ている領域において、少なくとも一対以上の電極指対に
おいて、正の電位に接続される電極指と負の電位に接続
される電極指とが反転されていることを特徴とする、S
AW共振子。 - 【請求項2】 圧電基板と、 前記圧電基板上に形成されており、互いに間挿し合う1
以上の電極指を有する第1,第2のくし歯電極を含むイ
ンターデジタルトランスデューサとを備え、 前記インターデジタルトランスデューサが間引き重み付
けあるいは電極反転されており、かつインターデジタル
トランスデューサの有効電極率が10〜80%の範囲に
あることを特徴とする、SAW共振子。 - 【請求項3】 共振周波数−反共振周波数の周波数間隔
が、同じ電極指対数の正規型インターデジタルトランス
デューサの場合の共振周波数−反共振周波数の周波数間
隔の5〜75%の範囲にある、請求項2に記載のSAW
共振子。 - 【請求項4】 前記インターデジタルトランスデューサ
の有効電極率が10〜50%の範囲にある、請求項2に
記載のSAW共振子。 - 【請求項5】 前記SAW共振子の共振周波数−反共振
周波数の周波数間隔が、同じ対数の正規型インターデジ
タルトランスデューサの場合の共振周波数−反共振周波
数間隔の5〜30%の範囲にある、請求項2に記載のS
AW共振子。 - 【請求項6】 前記インターデジタルトランスデューサ
の表面波伝搬方向外側に設けられた反射器をさらに備え
る、請求項1〜5のいずれかに記載のSAW共振子。 - 【請求項7】 SAWフィルタと、SAWフィルタの入
力端側または出力端側の少なくとも一方に、少なくとも
1個以上の請求項1〜6のいずれかに記載のSAW共振
子が電気的に直列及び/または並列に接続されているこ
とを特徴とする複合SAWフィルタ。 - 【請求項8】 前記SAW共振子がSAWフィルタに直
列に接続されており、該SAW共振子の反共振周波数
が、SAWフィルタの通過帯域高域側近傍の阻止帯域に
ある、請求項7に記載の複合SAWフィルタ。 - 【請求項9】 前記SAW共振子が前記SAWフィルタ
に並列接続されており、前記SAW共振子の共振周波数
が、前記SAWフィルタの通過帯域低域側近傍の阻止帯
域にある、請求項7に記載の複合SAWフィルタ。 - 【請求項10】 複数のSAW共振子が直列腕と並列腕
に配置された梯子型回路構成を有するSAWフィルタに
おいて、 少なくとも1つのSAW共振子が、請求項1〜6のいず
れかに記載のSAW共振子である、SAWフィルタ。 - 【請求項11】 複数のSAW共振子が直列碗及び並列
碗に配置された梯子型の回路構成を有するSAWフィル
タにおいて、 少なくとも1つのSAW共振子のインターデジタルトラ
ンスデューサの有効電極率が10〜95%の範囲にあ
る、SAWフィルタ。
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