JP2000295974A - 海水を利用した飲料及びその製造方法 - Google Patents

海水を利用した飲料及びその製造方法

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JP2000295974A
JP2000295974A JP11035145A JP3514599A JP2000295974A JP 2000295974 A JP2000295974 A JP 2000295974A JP 11035145 A JP11035145 A JP 11035145A JP 3514599 A JP3514599 A JP 3514599A JP 2000295974 A JP2000295974 A JP 2000295974A
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water
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calcium
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Yoshinari Ikegami
良成 池上
Hiroshi Tabuchi
浩 田淵
Koji Nakagawa
光司 中川
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Ako Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 マグネシウム、カルシウム、鉄などのミ
ネラル成分などを含む健康機能性改善のための飲料。 【解決手段】 海水を脱塩処理して水と濃縮液に分離
し、次いで分離した水に水溶性のミネラル成分を、又は
該濃縮液から得た水溶性のミネラル成分を添加すること
により海水を利用した飲料を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミネラル成分を有
効に補給できる飲料及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】現代の多様化社会においては、食品や飲
料などの消費材料へのニ−ズも多様化し、健康志向や美
味指向を背景に、種々の工夫や改良がなされ、多くの新
製品が消費生活に供給されている。飲料においては、炭
酸飲料やコ−ヒ−飲料やジュ−ス類などが従来から汎用
されているが、これらの主成分である糖類やカフェイン
などは健康にはむしろ良くない影響があるとされ、消費
者から敬遠されつゝあり、健康緑茶やスポ−ツドリンク
などが最近では消費者の人気を集めている。今後も美味
志向と健康志向が、飲料において重要となると予測さ
れ、美味志向と健康志向を満たす健康飲料が、飲料産業
として成長するものと予想される。この健康飲料のなか
でも、特に、日本人に不足がちと言われているマグネシ
ウムやカルシウムや鉄などの必須ミネラル及びビタミン
類などを含有する飲料が、その優れた健康機能性のため
に注目されつゝある。
【0003】ミネラル成分を添加した飲料は、いわゆる
ミネラル水に代表され、これは水道水のような飲料水に
鉱石などから採取したミネラル成分を添加したもので、
特許公報も多数提示され、特開平9−164390号公
報や特開平9−187777号公報などが代表的なもの
である。しかし、これらの飲料は単にミネラル成分を添
加しているだけであり、人体に必要とされるミネラルの
うち、目的成分の1種類又は数種類しか含まれておら
ず、マグネシウムやカルシウムや鉄などの必須ミネラル
成分は添加されているが、健康を微妙に支えるその他の
ヨウ素や銅などの必須微量ミネラル成分は含まれていな
い。糖分や酸味料を添加して味を調整して飲料としたも
のもあるが、いずれにしろ、ミネラルバランスがとれた
健康飲料として満足するものは得られていない。
【0004】このような、従来のミネラル水における、
必須ミネラル成分や必須微量ミネラル成分の不足という
問題点を解決するために、画期的に、新たにミネラル源
として、海水を利用する方法が提案され、特開昭60−
255729号公報に、海水を脱塩処理して海水中のN
aCl含量を低減し、殺菌処理したミネラル栄養補強
剤、特開平3−77689号公報に、海水を酸性にし、
強アルカリ剤を加え、生成する沈殿物を除去して得られ
た溶液を濃縮し、さらに冷却して生成する沈殿物と、沈
殿物除去後の溶液から水分を除去して得られた固体を水
に溶解させた飲食品製造用イオン水、特開平5−219
921号公報に、飲料水に海洋深層水を配合した飲料、
特開平9−57257号公報に、海水を逆浸透法で脱塩
し、ミネラル鉱石と接触させるミネラル化装置等の技術
が開示されている。しかし、これらの技術は、殆どが飲
料を目指すものではなく、海水をそのまゝ添加するもの
では、塩辛さが避けられず、塩辛さをおさえて添加量を
少なくすると必須微量ミネラル成分が非常に少なくなっ
てしまい、いずれにしろ、海水中のミネラル成分を有効
に利用し、俗に言う”おいしい”飲料としたものは実現
されていない。また、死海の水やグレートソルトレイク
の水を調味料や清涼飲料水の添加剤とする製品もある
が、いずれも天然物であるため組成が一定しておらず、
使用時に希釈の必要があり、且つ味覚の調製が困難であ
るため、一部の消費者にしか受け入れられていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の問題
点をふまえて、美味志向と健康志向を満たすべき今後の
飲料として重要なミネラル飲料を改良し、ミネラルバラ
ンスのとれたミネラル飲料を開発することを目指し、併
せて海水をミネラル源とした新しいミネラル飲料を製造
することが、本発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の従来
の飲料を改良するべく、かゝる課題を鋭意に検討し、ミ
ネラルバランスのとれたミネラル飲料を開発することを
目指し、併せて海水をミネラル源とした新しいミネラル
飲料を製造することを可能として本発明に至った。本発
明は、海水を脱塩処理して得た水に、水溶性のミネラル
成分を添加し飲料とすることを、基本的な特徴としてい
る。
【0007】本発明の構成は、基本的には次の(1)から
(10)よりなるものである。 (1)海水を脱塩処理して得た水に、水溶性のミネラル成
分を添加した飲料。 (2)水溶性のミネラル成分が、海水より得たものである
飲料。 (3)海水を脱塩処理して得た水に、同じ海水より採取し
た水溶性のミネラル成分 を添加した飲料。 (4)海水より採取したミネラル成分が、マグネシウム及
びカルシウムである飲料 。 (5)カルシウムに対するマグネシウムの重量割合(Mg
/Ca)を、4/1から 1/3に調整した飲料。 (6)カルシウムに対するマグネシウムの重量割合(Mg
/Ca)が3/1に調製 した飲料。 (7)EDTA法により測定した硬度が、100から3,
000である飲料。 (8)EDTA法により測定した硬度が250又は100
0である飲料。 (9)糖分や酸味料により味の調整がなされた飲料。 (10)採取された海水を脱塩処理して水と濃縮液に分離
し、次いで分離した該水に該濃縮液を添加するか、又は
別途濃縮液から得た水溶性のミネラル成分を添加する飲
料の製造方法。
【0008】以下において、本発明を詳述する。本発明
は、従来にない新規な飲料及びその製造方法に関する発
明で、健康上必要な日々の必須ミネラルを充分に供給で
き、必須微量ミネラルも補給できるミネラルバランスの
とれたミネラル飲料と、併せてミネラルの宝庫である海
水をミネラル源とした新しいミネラル飲料の製造を実現
するものである。海洋は、地球上のあらゆる生命体の起
源であり、全てのミネラル成分や鉱物資源などの宝庫で
あり、地球上の水資源の大部分を占めるものであるが、
その塩分のために飲料水としては忌避され続き、例外的
に飲料水として僅か寡雨乾燥地域においてのみ、コスト
高で海水の真水化により使用されているだけで、そのミ
ネラル成分の利用は食塩の採取を除き以前から殆ど全く
行なわれていない。
【0009】本発明は、今まで殆ど利用されることの無
かった、海水のミネラル成分を有効に使用して新しい飲
料を得るもので、海水を脱塩処理して水を製造して原料
とし、これに水溶性のミネラル成分を添加して飲料とす
る。本発明で用いる海水は、表面水、深海水が挙げられ
るが、どの水深及び海域のものでもよいが、浮遊物や有
害物質の少ない、きれいな海水であるべきなのは当然で
ある。また、本発明の脱塩処理は、海水に多く含まれる
塩化ナトリウムを除去するもので、通常の種々の方法が
使用され、逆浸透膜法や電気透析法や蒸留濃縮法などが
好ましい。脱塩処理により水と濃縮液に分離され、この
水を飲料の原料とする。一方、濃縮液から必要に応じて
さらに加熱濃縮法などにより塩化ナトリウムを除き、人
間が生きていく上で必要なマグネシウムやカルシウムな
どのミネラル成分を多く含んだミネラル濃縮液が得られ
る。このミネラル濃縮液を処理することで、越冬苦汁、
苦汁石膏等を得ることができ、これらもまた、添加用に
用いることができる。なお、本発明における海水として
は、深度100〜10000m程度の深海水、好ましく
は深度200〜1000mの深海水が適当である。
【0010】そして、海水を脱塩処理した原料水に、水
溶性のミネラル成分を添加配合することにより飲料を得
ることができる。水溶性のミネラル成分は鉱石などから
採取できるが、上記の海水の濃縮により入手したものが
より好ましい。本発明で使用する水溶性のミネラル成分
とは、塩化ナトリウムを除いた、マグネシウムやカルシ
ウムや鉄などの主要ミネラルとヨウ素や銅や亜鉛などの
必須微量ミネラルを意味するものである。海水を脱塩処
理した原料水に、塩化ナトリウムを除去した上記の海水
の濃縮液や越冬苦汁、苦汁石膏等を溶かし込むことによ
り、ヨウ素や銅や亜鉛などの海水中の必須微量ミネラル
成分も付随して溶かし込まれ飲料を得ることができる。
【0011】マグネシウムとカルシウムは、人体にとっ
て最も重要なミネラルであるが、これまでマグネシウム
を配合した健康飲料は殆ど無く、カルシウムも骨や歯の
形成維持のために多量に必要であり、本発明はこの二種
のミネラルを主要成分として添加するものである。この
二種のミネラルの配合割合は、任意のものでよいが、カ
ルシウムに対するマグネシウムの重量割合(Mg/C
a)を4/1から1/3に調整するのが好ましい。これ
は、カルシウムに対するマグネシウムの重量割合が4よ
り大きくなると、苦みが生じ飲みにくゝなり、マグネシ
ウムに対するカルシウムの重量割合が3より大きくなる
と、味がかたくなるからである。また、現在のカルシウ
ム摂取状況は1日600mgに対して570mgとなっ
ており、マグネシウムの摂取状況は300mgに対して
200mgであるといわれている(厚生省データ)。こ
の不足分補うためには、カルシウムとマグネシウムの補
給の点でも味覚の面でもカルシウムに対するマグネシウ
ムの重量割合(Mg/Ca)を3/1に調整することが
もっとも望ましい。
【0012】飲料においては、硬度も重要なもので、う
ま味や飲みやすさに影響する。本発明の硬度は、水のマ
グネシウムイオンとカルシウムイオンの含有量を表わす
指標で、炭酸カルシウムに換算して表わす。硬度の測定
は、EDTA法による。本発明の飲料の硬度は、100
から3,000のものが好ましく、100未満のもので
は、マグネシウムやカルシウムの主要ミネラルや必須微
量ミネラルの含有量が非常に少なくなり、3,000を
越えると、味がかたくなり飲みにくゝなる。飲みやす
く、且つ、マグネシウムやカルシウムの主要ミネラルの
摂取量を増やすには、硬度500から1,500がより
好ましい。ここで、ミネラル補給を主とする飲料の観点
からは、味覚の点から硬度1000がもっとも望まし
い。また、炊飯等の一般的な調理用に用いる場合は、料
理にもよるが硬度250が汎用性があり、望ましい。ま
た、本発明は飲料としての、美味しさや飲みやすさを高
めるために、糖分や酸味料などで味の調整も当然に行な
われる。これにより、甘味や塩味や微妙な風味などが醸
しだされる。さらに、本発明は上記の飲料の製法にも、
新規な特徴を有し、その製法は上述したように、海水を
脱塩処理して水と濃縮液に分離し、その水に濃縮液を、
又は濃縮液から得た水溶性のミネラル成分を添加するこ
とをその工程とするものである。
【0013】
【発明の作用】本発明の飲料においては、海水から水を
取り出し、添加するマグネシウムやカルシウムなどのミ
ネラル成分は海水濃縮物であるため、海水に含まれる微
量元素を豊富に添加することができる。海水から取り出
した水と濃縮物の双方に、必須微量ミネラルや微量元素
や極微量の種々の物質が含有されており、飲料としての
微妙な風味と不思議な健康機能を醸しだすものと考えら
れる。また、塩化ナトリウムを充分に除去しているた
め、塩辛くなく、塩化ナトリウムの健康への悪影響もな
く、適度に味付けも可能なので、飲みやすく、健康、且
つ、清涼の特性を有する飲料として、消費者に十分満足
される飲料が得られる。さらに、果汁原料やビタミンな
ども添加することができ、栄養成分を補強した栄養飲料
としての機能も発揮でき、薬効成分を添加することによ
って健康増進の機能も発揮できる。また、海水より得た
ナトリウムやカリウムを特別に添加して、ワ−キングや
スポ−ツ後の発汗対応としての飲料とすることもでき
る。
【0014】
【実施の態様】次に、実施例に基いて、本発明の実施の
態様を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0015】[実施例1] 海水の処理;海水を逆浸透膜法を用いて水と濃縮水とに
分離した。逆浸透膜分離装置は、東レ(株)製小型試験
機を使用し、以下の操作条件で分離した。 運転条件:液温15℃ 圧力:56MPa 水側流量:1.9L/min 濃縮水側流量:16L/min 上記操作で分離処理した水の伝導度は、以下の通りであ
った。
【0016】
【表1】
【0017】越冬苦汁を電気透析装置で調整した苦汁に
加え、苦汁石膏を得た。この苦汁石膏の含有量及び微量
成分の含有量は表2に示すとおりであった。
【0018】
【表2】
【0019】マグネシウム塩の含有量は、脱塩化ナトリ
ウム処理のため濃縮水を加熱し、カルシウム塩、塩化ナ
トリウムを分離しマグネシウム塩溶液を得た。このマグ
ネシウム塩の含有量及び微量成分の含有量は表3に示す
とおりであった。
【表3】
【0020】味覚テスト結果 上記原料を用い、味覚官能テストを実施し、味覚テスト
結果を表4に示す。なお、飲料の硬度及びMg/Ca重
量割合は以下の通りとした。 Mg/Ca比(カルシウムに対するマグネシウムの重量
割合) A=6/1、B=5/1、C=4/1、D=3/1、E
=2/1、F=1/1、G=1/2、H=1/3、I=
1/4、J=1/5 また、硬度(EDTA法)は、以下の通りとした。 50、100、200、500、1000、1500、
2000、3000、4000
【0021】
【表4】 注;評価方法 5人の成人男女のモニタ−により、味覚感覚によってテ
ストした。 □:最も良好 ○:良好 △:やゝ不良 ×:不
【0022】テスト結果の評価 飲料の硬度が100未満であると、おいしいが、マグネ
シウムやカルシウムや微量ミネラルの含有量が非常に少
なく、ミネラル補強の観点から好ましくなく、硬度が1
00以上でもカルシウムに対するマグネシウムの重量割
合が4より大きくなると、マグネシウムの苦みが出始
め、好ましくない。硬度が100以上で、マグネシウム
に対するカルシウムの重量割合が3より大きくなると、
味がかたくなるため、好ましくない。飲料の硬度が3,
000より高く、マグネシウムに対するカルシウムの重
量割合が4より大きくなると、カルシウム塩が溶解しな
くなり、好ましくなく、硬度が4,000になると、お
いしくないので、好ましくない。その結果、飲料の硬度
100〜3000で、Mg/Caが4/1〜1/3の範
囲が美味しい範囲であることがわかった。上記の原料を
用い、カルシウムに対するマグネシウムの重量割合(M
g/Ca)を3/1、硬度を1000に調製した飲料の
ICP−MS分析結果は、以下の通りである。
【表5】
【0023】
【実施例2】海水の処理;海水をイオン交換電気透析装
置を用いて、希薄水と濃縮水とに分離した。イオン交換
電気透析装置は、旭硝子(株)製小型試験機を使用し
た。 ○操作条件は以下の通りであった。 運転条件:有効膜面積1.72dm2/枚(陽イオン交
換膜14枚、陰イオン交換膜10枚使用) 定電流:8A 流速:200L/H 液温:14℃ ○分離水の伝導度;上記操作で、得られた分離処理水の
伝導度は表6に示すものであった。
【0024】
【表6】
【0025】○カルシウム、マグネシウムの含有量;濃
縮水を濃縮し、脱塩化ナトリウム処理を行い、塩化ナト
リウムとカルシウム、マグネシウム塩溶液を分離した。
分離したカルシウム、マグネシウム塩溶液の含有量は表
7に示す通りであった。(なお、実施例1と同様に、銅
やマンガンなどの微量ミネラルも含有されていた。)
【0026】
【表7】
【0027】上記逆浸透膜処理で得た伝導度131μS
/cmの水と表7のカルシウムとマグネシウム溶液を用
い、硬度を以下の下記a〜iに調整した飲料の味覚官能
試験を行なった。味覚テスト結果を表8に示す。なお、
飲料の硬度は以下の通りである。 a=50、b=100、c=200、d=500、e=
1,000、f=1,500、g=2,000、h=
3,000 i=4,000
【0028】
【表8】 (注)評価方法は以下の通りである。 5人の成人男女のモニタ−により、味覚感覚によってテ
ストした。 □:最も良好 ○:良好 ×:不良
【0029】テスト結果の評価;飲料の硬度が100未
満であると、おいしいが、カルシウムやマグネシウムや
微量ミネラルの含有量が非常に少なく、ミネラル補給の
観点から好ましくない。また、硬度が4,000になる
と、おいしくないので、好ましくない。その結果、実施
例1と同様に飲料の硬度100〜3000で、Mg/C
aが4/1〜1/3の範囲が美味しい範囲であることが
確かめられた。上記の原料を用い、カルシウムに対する
マグネシウムの重量割合(Mg/Ca)を3/1、硬度
を250に調製した飲料のICP−MS分析結果は以下
の通りである。
【表9】
【0030】
【実施例3】実施例1と同様の原料を用い、梅風味の清
涼飲料を作成し味覚官能テストを実施し、味覚テスト結
果を以下に示す。なお、試験に用いた飲料は、カルシウ
ムに対するマグネシウムの重量割合(Mg/Ca)は3
/1とし、硬度は全体で1000になるように調整し
た。
【表10】
【0031 】(注)評価方法は以下の通りである。5人
の成人男女のモニタ−により、味覚感覚によってテスト
した。 □:最も良好 ○:良好 △:やゝ不良 ×:不
【0032】
【実施例4】高コレステロール食餌ラットに、実施例1
の硬度1000に調整した飲料を自由摂取させ、4週間
飼育後、血漿中の総コレステロール、LDL−Chを測
定した。試験動物は、Wister系ラット♂10週齢(1群
8匹)を使用した。総コレステロール、LDL−Chの
結果を表11に示す。
【0033】
【表11】
【0034】テスト結果の評価;ミネラルが豊富な硬度
1000の飲料を飲水摂取することで、総コレステロー
ル及び動脈硬化の原因とされるLDL−Chの増加を抑
制することが確かめられた。
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の海水を利用した飲料は、海水に含まれるマグネシウム
やカルシウムなどの必須ミネラルや必須微量ミネラルを
有効に利用でき、マグネシウムやカルシウムなどの量も
任意に変更できるものであって、また、塩化ナトリウム
を充分に除去しているため、塩辛くなく塩化ナトリウム
の健康への悪影響もなく、適度に味付けも可能なので、
飲みやすい”健康”、且つ、”清涼”などに適当な飲料
として、消費者に十分満足される飲料が得られる。
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】海水を利用した飲料及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ミネラル成分を有
効に補給できる飲料及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】現代の多様化社会においては、食品や飲
料などの消費材料へのニ−ズも多様化し、健康志向や美
味指向を背景に、種々の工夫や改良がなされ、多くの新
製品が消費生活に供給されている。飲料においては、炭
酸飲料やコ−ヒ−飲料やジュ−ス類などが従来から汎用
されているが、これらの主成分である糖類やカフェイン
などは健康にはむしろ良くない影響があるとされ、消費
者から敬遠されつゝあり、健康緑茶やスポ−ツドリンク
などが最近では消費者の人気を集めている。今後も美味
志向と健康志向が、飲料において重要となると予測さ
れ、美味志向と健康志向を満たす健康飲料が、飲料産業
として成長するものと予想される。この健康飲料のなか
でも、特に、日本人に不足がちと言われているマグネシ
ウムやカルシウムや鉄などの必須ミネラル及びビタミン
類などを含有する飲料が、その優れた健康機能性のため
に注目されつゝある。
【0003】従来、ミネラル成分を添加した飲料は、い
わゆるミネラル水に代表され、これは水道水のような飲
料水に鉱石などから採取したミネラル成分を添加したも
ので、特許公報も多数提示され、特開平9−16439
0号公報や特開平9−187777号公報などが代表的
なものである。しかし、これらの飲料は単にミネラル成
分を添加しているだけであり、人体に必要とされるミネ
ラルのうち、目的成分の1種類又は数種類しか含まれて
おらず、マグネシウムやカルシウムや鉄などの必須ミネ
ラル成分は添加されているが、健康を微妙に支えるその
他のヨウ素や銅などの必須微量ミネラル成分は含まれて
いない。糖分や酸味料を添加して味を調整して飲料とし
たものもあるが、いずれにしろ、ミネラルバランスがと
れた健康飲料として満足するものは得られていない。
【0004】このような、従来のミネラル水における、
必須ミネラル成分や必須微量ミネラル成分の不足という
問題点を解決するために、画期的に、新たにミネラル源
として、海水を利用する方法が提案され、特開昭60−
255729号公報に、海水を脱塩処理して海水中のN
aCl含量を低減し、殺菌処理したミネラル栄養補強
剤、特開平3−77689号公報に、海水を酸性にし、
強アルカリ剤を加え、生成する沈殿物を除去して得られ
た溶液を濃縮し、さらに冷却して生成する沈殿物と、沈
殿物除去後の溶液から水分を除去して得られた固体を水
に溶解させた飲食品製造用イオン水、特開平5−219
921号公報に、飲料水に海洋深層水を配合した飲料、
特開平9−57257号公報に、海水を逆浸透法で脱塩
し、ミネラル鉱石と接触させるミネラル化装置等の技術
が開示されている。しかし、これらの技術は、殆どが飲
料として適当なものでなく、海水をそのまゝ添加するも
のでは、塩辛さが避けられず、塩辛さをおさえて添加量
を少なくすると必須微量ミネラル成分が非常に少なくな
ってしまい、いずれにしろ、海水中のミネラル成分を有
効に利用し、俗に言う”おいしい”飲料としたものは実
現されていない。また、死海の水やグレートソルトレイ
クの水を調味料や清涼飲料水の添加剤とする製品もある
が、いずれも天然物であるため組成が一定しておらず、
使用時に希釈の必要があり、且つ味覚の調整が困難であ
るため、一部の消費者にしか受け入れられていない。本
発明者等は、飲料における海水の利用について種々検討
した結果、海水を脱塩処理した水に対して、ミネラル成
分を添加することにかかる発明に至り、既に特願平10
−51308号、特願平11−32760号及び特願平
11−34162号として出願したが、本発明はさらに
これを改善するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の問題
点をふまえて、美味志向と健康志向を満たすべき今後の
飲料として重要なミネラル飲料を改良し、ミネラルバラ
ンスのとれたミネラル飲料を開発することを目指し、併
せて海水をミネラル源とした新しいミネラル飲料を製造
することが、本発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の従来
の飲料を改良するべく、かゝる課題を鋭意に検討し、ミ
ネラルバランスのとれたミネラル飲料を開発することを
目指し、併せて海水をミネラル源とした新しいミネラル
飲料を製造することを可能とした。海洋は、地球上のあ
らゆる生命体の起源であり、全てのミネラル成分や鉱物
資源などの宝庫であり、地球上の水資源の大部分を占め
るものであるが、その塩分のために飲料水としては忌避
され続き、例外的に飲料水として僅か寡雨乾燥地域にお
いてのみ、コスト高で海水の真水化により使用されてい
るだけで、そのミネラル成分の利用は食塩の採取を除き
以前から全く行なわれていない。本発明は、今まで利用
されることの無かった、海水のミネラル成分を有効に使
用して新しい飲料を得るもので、海水を脱塩処理して水
を製造して原料とし、これに水溶性のミネラル成分を添
加して飲料とする。本発明で用いる海水は、表面水、深
海水が挙げられるが、どのような水深や海域のものでも
よいが、浮遊物や有害物質の少ない、きれいな海水であ
るべきなのは当然である。
【0007】また、本発明の脱塩処理は、海水に多く含
まれる塩化ナトリウムを除去するもので、通常の種々の
方法が使用され、逆浸透膜法や電気透析法や蒸留濃縮法
などが好ましい。脱塩処理により水と濃縮液に分離さ
れ、この水を飲料の原料とする。一方、濃縮液から必要
に応じてさらに加熱濃縮法などにより塩化ナトリウムを
除き、人間が生きていく上で必要なマグネシウムやカル
シウムなどのミネラル成分を多く含んだミネラル濃縮液
が得られる。このミネラル濃縮液を処理することで、越
冬苦汁、苦汁石膏等を得ることができ、これらもまた、
添加用に用いることができる。本発明における海水とし
ては、表層水も使用できるが、深度100〜10000
m程度の深海水、好ましくは深度100〜1000m、
特に好ましくは200〜500mの深海水が適当であ
る。すなわち、本発明は、海水を脱塩処理して得た水
に、水溶性のミネラル成分を添加して飲料とすること
を、特徴とするもので、その基本的構成は、次の(1)
から(15)よりなるものである。
【0008】(1)海水を脱塩処理して得た水に、水溶
性のミネラル成分を添加した飲料。 (2)水溶性のミネラル成分が、海水より得たものであ
る上記(1)の飲料。 (3)海水を脱塩処理して得た水に、同じ海水より採取
した水溶性のミネラル成分を添加した上記(1)又は
(2)の飲料。 (4)海水より採取したミネラル成分が、マグネシウム
及びカルシウムである上記(1)〜(3)飲料。 (5)カルシウムに対するマグネシウムの重量割合(M
g/Ca)を、4/1から1/3に調整した上記(1)
〜(4)の飲料。 (6)カルシウムに対するマグネシウムの重量割合(M
g/Ca)が3/1に調整した上記(1)〜(5)の飲
料。 (7)EDTA法により測定した硬度が、100から
3,000である上記(1)〜(6)の飲料。 (8)EDTA法により測定した硬度が250又は10
00である上記(1)〜(7)の飲料。 (9)糖分や酸味料により味の調整がなされた上記
(1)〜(8)の飲料。 (10)海水が、表層水である上記(1)〜(9)のい
ずれかに記載の飲料。 (11)海水が、深海水である上記(1)〜(9)のい
ずれかに記載の飲料。 (12)海水が、深度100m以深の深海水であること
を特徴とする上記(11)に記載の飲料。 (13)海水が、深度200〜500mの深海水である
ことを特徴とする上記(11)又は(12)に記載の飲
料。 (14)採取された海水を脱塩処理して水と濃縮液に分
離し、次いで分離した該水に該濃縮液を添加するか、又
は別途濃縮液から得た水溶性のミネラル成分を添加する
飲料の製造方法。 (15)採取された海水が、深度100m以深の深海水
であることを特徴とする上記(14)の飲料の製造方
法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、従来にない新規な飲料
及びその製造方法に関する発明で、健康上必要な日々の
必須ミネラルを十分に供給でき、必須微量ミネラルも補
給できるミネラルバランスのとれたミネラル飲料と、併
せてミネラルの宝庫である海水をミネラル源とした新し
いミネラル飲料の製造を実現するものである。本発明で
は、海水を脱塩処理した原料水に、水溶性のミネラル成
分を添加配合することにより飲料を得ることができる。
水溶性のミネラル成分は鉱石などから採取できるが、上
記の海水の濃縮により入手したものがより好ましい。本
発明で使用する水溶性のミネラル成分とは、塩化ナトリ
ウムを除いた、マグネシウムやカルシウムや鉄などの主
要ミネラルとヨウ素や銅や亜鉛などの必須微量ミネラル
を意味する。さらに、詳しくは本発明においては、海水
を脱塩処理した原料水に、塩化ナトリウムを除去した上
記の海水の濃縮液や越冬苦汁、苦汁石膏等を溶かし込む
ことにより、ヨウ素や銅や亜鉛などの海水中の必須微量
ミネラル成分も付随して溶かし込まれ飲料を得ることが
できる。
【0010】マグネシウムとカルシウムは、人体にとっ
て最も重要なミネラルであるが、これまでマグネシウム
を配合した健康飲料は殆ど無く、カルシウムも骨や歯の
形成維持のために多量に必要であり、本発明はこの二種
のミネラルを主要成分として添加するものである。この
二種のミネラルの配合割合は、任意のものでよいが、カ
ルシウムに対するマグネシウムの重量割合(Mg/C
a)を4/1から1/3に調整するのが好ましい。これ
は、カルシウムに対するマグネシウムの重量割合が4よ
り大きくなると、苦みが生じ飲みにくゝなり、マグネシ
ウムに対するカルシウムの重量割合が3より大きくなる
と、味が硬くなるからである。また、現在のカルシウム
摂取状況は1日600mgに対して570mgとなって
おり、マグネシウムの摂取状況は300mgに対して2
00mgであるといわれている(厚生省データ)。この
不足分補うためには、カルシウムとマグネシウムの補給
の点でも味覚の面でもカルシウムに対するマグネシウム
の重量割合(Mg/Ca)を3/1に調整することがも
っとも望ましい。
【0011】飲料においては、硬度も重要なもので、う
ま味や飲みやすさに影響する。本発明の飲料硬度は、水
のマグネシウムイオンとカルシウムイオンの含有量を表
わす指標で、炭酸カルシウムに換算して表わす。なお、
本発明における硬度の測定は、EDTA法による。本発
明の飲料の硬度は、100から3,000のものが好ま
しく、100未満のものでは、マグネシウムやカルシウ
ムの主要ミネラルや必須微量ミネラルの含有量が非常に
少なくなり、3,000を越えると、味がかたくなり、
飲みにくゝなる。飲みやすく、且つ、マグネシウムやカ
ルシウムの主要ミネラルの摂取量を増やすには、硬度5
00から1,500がより好ましい。ここで、ミネラル
補給を主とする飲料の観点からは、味覚の点から硬度1
000がもっとも望ましい。また、炊飯等の一般的な調
理用に用いる場合は、料理にもよるが、硬度250が汎
用性があり、望ましい。また、本発明は飲料としての、
美味しさや飲みやすさを高めるために、糖分や酸味料な
どで味の調整も当然に行なわれる。これにより、甘味や
塩味や微妙な風味などが醸しだされる。
【0012】さらに、本発明は上記の飲料の製法にも、
新規な特徴を有し、その製造方法の基本は、上述したよ
うに海水を脱塩処理して水と濃縮液に分離し、その水に
濃縮液を、又は濃縮液から得た水溶性のミネラル成分を
添加することである。本発明で得られた飲料は、海水か
ら水を取り出し、添加するマグネシウムやカルシウムな
どのミネラル成分は海水濃縮物であるため、海水に含ま
れる微量元素を豊富に添加することができる。海水から
取り出した水と濃縮物の双方には、必須微量ミネラルや
微量元素や極微量の種々の物質が含有されており、飲料
としての微妙な風味と不思議な健康機能を醸しだすもの
と考えられる。また、塩化ナトリウムをほとんど除去し
ているため、塩辛くなく、塩化ナトリウムの健康への悪
影響もなく、適度に味付けも可能なので、飲みやすく、
健康増進、且つ、清涼の特性を有する飲料として、消費
者に十分満足される飲料が得られる。さらに、必要に応
じて果汁原料やビタミンなども添加することができ、栄
養成分を補強した栄養飲料としての機能も発揮でき、薬
効成分を添加することによってさらに優れた健康増進の
機能を発揮することができる。また、海水より得たナト
リウムやカリウムを特別に添加して、ワ−キングやスポ
−ツ後の発汗対応としての飲料とすることもできる。
【0013】
【実施例】次に、実施例に基いて、本発明の実施の態様
を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0014】[実施例1] 海水の処理;海水を逆浸透膜法を用いて水と濃縮水とに
分離した。逆浸透膜分離装置は、東レ(株)製小型試験
機を使用し、以下の操作条件で分離した。 運転条件:液温15℃ 圧力:56MPa 水側流量:1.9L/min 濃縮水側流量:16L/min 上記操作で分離処理した水の伝導度は、以下の通りであ
った。
【0015】
【表1】
【0016】越冬苦汁を電気透析装置で調整した苦汁に
加え、苦汁石膏を得た。この苦汁石膏の含有量及び微量
成分の含有量は表2に示すとおりであった。
【0017】
【表2】
【0018】マグネシウム塩の含有量は、脱塩化ナトリ
ウム処理のため濃縮水を加熱し、カルシウム塩、塩化ナ
トリウムを分離しマグネシウム塩溶液を得た。このマグ
ネシウム塩の含有量及び微量成分の含有量は表3に示す
とおりであった。
【0019】
【表3】
【0020】味覚テスト結果 上記原料を用い、味覚官能テストを実施し、味覚テスト
結果を表4に示す。なお、飲料の硬度及びMg/Ca重
量割合は以下の通りとした。 Mg/Ca比(カルシウムに対するマグネシウムの重量
割合) A=6/1、B=5/1、C=4/1、D=3/1、E
=2/1、F=1/1、G=1/2、H=1/3、I=
1/4、J=1/5 また、硬度(EDTA法)は、以下の通りとした。 50、100、200、500、1000、1500、
2000、3000、4000
【0021】
【表4】 注;評価方法 5人の成人男女のモニタ−により、味覚感覚によってテ
ストした。 □:最も良好 ○:良好 △:やゝ不良 ×:不
【0022】テスト結果の評価 飲料の硬度が100未満であると、おいしいが、マグネ
シウムやカルシウムや微量ミネラルの含有量が非常に少
なく、ミネラル補強の観点から好ましくなく、硬度が1
00以上でもカルシウムに対するマグネシウムの重量割
合が4より大きくなると、マグネシウムの苦みが出始
め、好ましくない。硬度が100以上で、マグネシウム
に対するカルシウムの重量割合が3より大きくなると、
味がかたくなるため、好ましくない。飲料の硬度が3,
000より高く、マグネシウムに対するカルシウムの重
量割合が4より大きくなると、カルシウム塩が溶解しな
くなり、好ましくなく、硬度が4,000になると、お
いしくないので、好ましくない。その結果、飲料の硬度
100〜3000で、Mg/Caが4/1〜1/3の範
囲が美味しい範囲であることがわかった。上記の原料を
用い、カルシウムに対するマグネシウムの重量割合(M
g/Ca)を3/1、硬度を1000に調整した飲料の
ICP−MS分析結果は、以下の通りである。
【0023】
【表5】
【0024】[実施例2] 海水の処理;海水をイオン交換電気透析装置を用いて、
希薄水と濃縮水とに分離した。イオン交換電気透析装置
は、旭硝子(株)製小型試験機を使用した。 ○操作条件は以下の通りであった。 運転条件:有効膜面積1.72dm2/枚(陽イオン交
換膜14枚、陰イオン交換膜10枚使用) 定電流:8A 流速:200L/H 液温:14℃ ○分離水の伝導度;上記操作で、得られた分離処理水の
伝導度は表6に示すもので あった。
【0025】
【表6】
【0026】○カルシウム、マグネシウムの含有量;濃
縮水を濃縮し、脱塩化ナトリウム処理を行い、塩化ナト
リウ ムとカルシウム、マグネシウム塩溶液を分離し
た。分離したカル シウム、マグネシウム塩溶液の含有
量は表7に示す通りであった 。(なお、実施例1と同
様に、銅やマンガンなどの微量ミネラルも含 有されて
いた。)
【0027】
【表7】
【0028】上記逆浸透膜処理で得た伝導度131μS
/cmの水と表7のカルシウムとマグネシウム溶液を用
い、硬度を以下の下記a〜iに調整した飲料の味覚官能
試験を行なった。味覚テスト結果を表8に示す。なお、
飲料の硬度は以下の通りである。 a=50、b=100、c=200、d=500、e=
1,000、f=1,500、g=2,000、h=
3,000、i=4,000
【0029】
【表8】 (注)評価方法は以下の通りである。5人の成人男女の
モニタ−により、味覚感覚によってテストした。 □:最も良好 ○:良好 ×:不良
【0030】テスト結果の評価;飲料の硬度が100未
満であると、おいしいが、カルシウムやマグネシウムや
微量ミネラルの含有量が非常に少なく、ミネラル補給の
観点から好ましくない。また、硬度が4,000になる
と、おいしくないので、好ましくない。その結果、実施
例1と同様に飲料の硬度100〜3000で、Mg/C
aが4/1〜1/3の範囲が美味しい範囲であることが
確かめられた。上記の原料を用い、カルシウムに対する
マグネシウムの重量割合(Mg/Ca)を3/1、硬度
を250に調整した飲料のICP−MS分析結果は以下
の通りである。
【0031】
【表9】
【0032】[実施例3]実施例1と同様の原料を用い、
梅風味の清涼飲料を作成し味覚官能テストを実施し、味
覚テスト結果を以下に示す。なお、試験に用いた飲料
は、カルシウムに対するマグネシウムの重量割合(Mg
/Ca)は3/1とし、硬度は全体で1000になるよ
うに調整した。
【0033】
【表10】 (注)評価方法は以下の通りである。5人の成人男女の
モニタ−により、味覚感覚によってテストした。 □:最も良好 ○:良好 △:やゝ不良 ×:不
【0034】[実施例4]ラットに、高コレステロール食
と実施例1の硬度1000に調整した飲料を自由摂取さ
せ、4週間飼育後、血漿中の総コレステロール、LDL
−Chを測定した。試験動物は、Wister系ラット♂10
週齢(1群8匹)を使用した。総コレステロール、LD
L−Chの結果を表11に示す。
【0035】
【表11】
【0036】テスト結果の評価;ミネラルが豊富な硬度
1000の飲料を飲水摂取することで、総コレステロー
ル及び動脈硬化の原因とされるLDL−Chの増加を抑
制することが確かめられた。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の表層水又は深海水を利用して得られた飲料は、海水に
含まれるマグネシウムやカルシウムなどの必須ミネラル
や必須微量ミネラルを有効に活用でき、マグネシウムや
カルシウムなどの量も任意に変更できるものである。ま
た、塩化ナトリウムをほとんど除去しているため、塩辛
くなく、塩化ナトリウムの健康への悪影響もなく、適度
に味付けも可能なので、飲みやすい”健康飲料水”や”
清涼飲料水”などの適当な飲料として、消費者に十分満
足される飲料を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 光司 兵庫県赤穂市坂越329番地 赤穂化成株式 会社内 Fターム(参考) 4B017 LC03 LE10 LK01 LK02 LP08 LP18

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海水を脱塩処理して得た水に、水溶性の
    ミネラル成分を添加したことを特徴とする飲料。
  2. 【請求項2】 水溶性のミネラル成分が、海水より得た
    ものであることを特徴とする請求項1に記載の飲料。
  3. 【請求項3】 海水を脱塩処理して得た水に、同じ海水
    より採取した水溶性のミネラル成分を添加したことを特
    徴とする請求項1又は2に記載の飲料。
  4. 【請求項4】 海水より採取したミネラル成分が、マグ
    ネシウム及びカルシウムであることを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれかに記載の飲料。
  5. 【請求項5】 カルシウムに対するマグネシウムの重量
    割合(Mg/Ca)を、4/1から1/3に調整したこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の飲
    料。
  6. 【請求項6】 カルシウムに対するマグネシウムの重量
    割合(Mg/Ca)が3/1に調製したことを特徴とす
    る請求項5に記載の飲料。
  7. 【請求項7】 EDTA法により測定した硬度が、10
    0から3,000であることを特徴とする請求項1乃至
    6のいずれかに記載の飲料。
  8. 【請求項8】 EDTA法により測定した硬度が、25
    0又は1000であることを特徴とする請求項7に記載
    の飲料。
  9. 【請求項9】 糖分や酸味料により味の調整がなされた
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の飲
    料。
  10. 【請求項10】 採取された海水を脱塩処理して水と濃縮
    液に分離し、次いで分離した該水に該濃縮液を添加する
    か、又は別途濃縮液から得た水溶性のミネラル成分を添
    加することを特徴とする飲料の製造方法。
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