JP2000292302A - 異常箇所検出装置 - Google Patents

異常箇所検出装置

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JP2000292302A JP11138351A JP13835199A JP2000292302A JP 2000292302 A JP2000292302 A JP 2000292302A JP 11138351 A JP11138351 A JP 11138351A JP 13835199 A JP13835199 A JP 13835199A JP 2000292302 A JP2000292302 A JP 2000292302A
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俊平 亀山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導管からの雑音中に含まれる漏洩音を効率良
く抽出し導管に存在する異常箇所の位置を精度良く特定
する。 【解決手段】 被検査管に発生する漏洩音を受信する3
つの超音波センサを備えると共に、これらセンサからの
受信信号を処理する信号処理部に、ある2つの超音波セ
ンサで受信した漏洩音からのクロススペクトルをフィル
タ処理する周波数特性H1(f)、周波数特性H
2(f)、周波数特性H3(f)及び周波数特性H
4(f)を持つ各フィルタと、少なくともlogj|C
(f)|と|C(f)|1/kのいずれかの周波数特性とSC
OT(Smoothed Coherence Transform)フィルタの周波
数特性1/√(C11(f)・C22(f))とをそれぞれ
重み付けして乗じた周波数特性を持つフィルタとの内一
つまたは二つ以上のフィルタを含む前処理部と、前処理
された信号から相互相関関数を演算する相関処理部とを
備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水、油、あるい
はその他の液体またはガス等の気体を通す被検査管とし
ての例えば導管の異常箇所を検出する異常箇所検出装置
に関するもので、特に、導管の複数箇所において異常箇
所からの漏洩音を受信し、受信信号の相互相関関数を計
算することから異常箇所の位置を検出する方式を採用し
た異常箇所検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の異常箇所検出装置として
は、特開平5−87669号公報に開示されているよう
に、2つのセンサで受信した受信信号に前処理および後
処理を施す異常箇所検出装置が知られている。図35は
上述した異常箇所検出装置を示す構成図である。図35
において、1は導管、2は異常箇所、3aおよび3bは
超音波センサ、4は音圧測定器、5は相関器である。
【0003】上述した異常箇所検出装置においては、導
管1に異常箇所2が存在すると、それにより漏洩が生
じ、それに伴い漏洩音が発生する。上記漏洩音は、雑音
とともに、上記導管1を伝搬して2つの超音波センサ3
aおよび3bで受信される。受信信号は、雑音を除去す
るため、予め決められた帯域を持つバンドパスフィルタ
によりフィルタリングされる。その後、音圧測定器4を
経て、相関器5にて相互相関関数が計算され、相互相関
関数がピークをとる時間と、上記漏洩音が導管1を伝搬
する伝搬速度とから、異常箇所2の位置を特定する。
【0004】その他の従来のこの種の異常箇所検出装置
としては、特開平8−226865号公報に開示されて
いるような、2つのセンサで受信した受信信号に前処理
および後処理を施す異常箇所検出装置が知られている。
図36は上述した異常箇所検出装置を示す構成図であ
る。図36において、図35と同一部分は同一符号を付
して示しその説明は省略する。新たな符号として、3c
は超音波センサである。
【0005】上述した異常箇所検出装置においては、導
管1に異常箇所2が存在すると、それにより漏洩が生
じ、それに伴い漏洩音が発生する。上記漏洩音は、雑音
とともに、上記導管1を伝搬して3つの超音波センサ3
a、3b、3cで受信される。受信信号における雑音を
除去するため、受信信号は、予め決められた帯域を持つ
バンドパスフィルタ、およびSCOT(Smoothed Coher
ence Transform)フィルタ(Carter他著 Proc. IEEE
(Lett), 61, 10, pp 1497-1498, 1973)によりフィル
タリングされる。その後、超音波センサ3aと3bで得
られた信号を用いて、相関処理部にて相互相関関数が計
算され、さらに後処理部において包絡線検波される。
【0006】この相互相関関数の包絡線がピークをとる
時間と、2つの超音波センサ3aと超音波センサ3bと
の間の距離とから、異常箇所の伝搬速度を求める。さら
に、超音波センサ3aと3cで得られた信号を用いて、
相関処理部にて相互相関関数が計算され、さらに後処理
部において包絡線検波される。この相互相関関数の包絡
線がピークをとる時間と、上述の過程で求めた伝搬速度
とから、異常箇所の伝搬速度を求める。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、導管の
2箇所で超音波信号を受信し、2つの受信信号に前処理
し、次に、前処理した信号を相関処理し、さらに後処理
を施すことから、異常箇所2の位置を特定する技術が知
られている。
【0008】しかしながら、漏洩音の周波数スペクトル
は、異常箇所の大きさや形状、および導管中を流れる媒
質にかかる圧力により変化するので、予め漏洩音の周波
数帯域を正確に予測することはできない。したがって、
相関処理の前処理として、予めその帯域が定められたバ
ンドパスフィルタでフィルタリングしても、予め定めた
周波数帯域が漏水音の持つ周波数帯域であるとは限らな
い。また、予め定めた周波数帯域が漏水音の持つ周波数
帯域であったとしても、雑音も上記周波数帯域を持つ場
合もある。
【0009】以上のことから、上記バンドパスフィルタ
のみでは、雑音を除去するには不十分である。したがっ
て、上記バンドパスフィルタにより抽出した信号に対し
て相関処理を行うことから、異常箇所の位置の特定を行
っても、その特定精度には問題がある。
【0010】また、上記SCOTフィルタは、後で詳し
く述べるように、フィルタリングされたクロススペクト
ルの絶対値を、フィルタリングされる前のクロススペク
トルの絶対値とは無関係に、一定位置の発信源からの時
間的に連続的な信号の、移動する発信源からの信号であ
るか、もしくは、時間的に不連続な信号であるかの、少
なくともどちらかの特徴を持つ信号に対するレベル比を
反映した関数にするフィルタである。
【0011】したがって、一定位置の発信源からの時間
的に連続的な信号が漏洩音で、移動する発信源からの信
号であるか、もしくは、時間的に不連続な信号であるか
の、少なくともどちらかの特徴を持つ信号が雑音であれ
ば、フィルタリングされたクロススペクトルの絶対値
を、フィルタリングされる前のクロススペクトルの絶対
値とは無関係に、SN比を反映した関数にするので、雑
音が支配的な周波数成分を抑圧する効果を持つ。
【0012】しかし、一定位置の発信源からの時間的に
連続的な信号が漏洩音で、移動する発信源からの信号で
あるか、もしくは、時間的に不連続な信号であるかの、
少なくともどちらかの特徴を持つ信号が雑音であり、あ
る周波数成分において、この雑音が支配的であったとし
ても、例えば移動する発信源の移動速度が小さければ、
フィルタリングされたクロススペクトルの絶対値は、漏
洩音が支配的な周波数成分の絶対値とほぼ同じレベルに
なってしまうので、SN比を十分に反映した関数にはな
らない。つまり、上記雑音が支配的な周波数成分を十分
に抑圧することはできない。
【0013】また、工場からの機械音や、停止している
車のエンジン音のような、一定位置からの時間的に連続
な雑音に関しては、漏洩音と区別することができない。
さらに、後述するSCOTフィルタの特性から、例えば
上記工場や上記停止している車がはるか遠方にあり、こ
れらような一定位置からの時間的に連続な雑音が支配的
な周波数成分が、フィルタリングされる前のクロススペ
クトルにおいて、本来ならば無視できる程小さいレベル
であっても、この周波数成分を漏洩音が支配的な周波数
成分とほぼ同じレベルまで増幅する逆効果を生じてしま
うという問題もある。
【0014】したがって、SCOTフィルタを相関処理
の前処理に用いることにより、異常箇所の位置の特定を
行っても、その精度には問題がある。なお、上記バンド
パスフィルタと、上記SCOTフィルタを組み合わせて
も、以上に述べたような課題は解決できないことは言う
までもない。
【0015】また、後処理として、相互相関関数の包絡
線を計算し、包絡線がピークをとる時間から、異常箇所
の位置の特定を行っているが、例えば水道管からの漏水
音等の、導管からの漏洩音は、一般的に周期性のないラ
ンダム信号であり、したがって、一つの限られた測定時
間において、相互相関関数の包絡線がピークをとる時間
から、異常箇所2の位置の特定を行っても、検査の安定
性に乏しいという問題がある。
【0016】このように、従来の異常箇所検出装置にお
ける、相関処理の前処理および後処理の方法は、異常箇
所からの漏洩音の特徴と、および導管の異常箇所の検査
の際にしばしば問題となるような雑音の特徴とを、十分
に考慮したものではなかった。したがって、異常箇所の
有無の検出精度、および位置の特定精度には問題があっ
た。
【0017】この発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、異常箇所からの漏洩音の特徴と、導管の異常箇所の
検査の際にしばしば問題となるような雑音の特徴とを、
十分に考慮した前処理を施し、その後に相関処理を行
い、さらに後処理を行うようにすることにより、導管に
おける異常箇所の存在の有無と異常箇所の位置の特定の
確度や精度を向上すると共に安定した検出を可能とする
異常箇所検出装置を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明に係る異常箇所
検出装置は、被検査管に異常箇所が存在することにより
発生する漏洩音を受信するための3つの超音波センサを
備えると共に、これら超音波センサによる漏洩音の受信
信号をそれぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号
処理部に、fを受信信号の周波数、iを0以上のある実
数、上記3つの超音波センサの内、ある2つのセンサで
受信した受信信号から求めたコヒーレンシィをγ
(f)、上記2つのセンサの内の片方の超音波センサで
受信した受信信号から求めたパワースペクトルをC
11(f)、上記2つの超音波センサの他方で受信した受
信信号から求めたパワースペクトルをC22(f)とし
て、
【0019】
【数25】
【0020】で表わされる周波数特性H1(f)を持
ち、漏洩音の受信信号から求めたクロススペクトルをフ
ィルタリングするためのフィルタAと、上記コヒーレン
シィγ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値をγ
l(f)として、
【0021】
【数26】
【0022】で表わされる周波数特性H2(f)を持つ
フィルタBと、jを0以上のある実数、上記3つの超音
波センサの内、2つのセンサで受信した受信信号から求
めたクロススペクトルをC(f)として、
【0023】
【数27】
【0024】で表わされる周波数特性H3(f)を持つ
フィルタCと、kを1以上のある実数として、
【0025】
【数28】
【0026】で表わされる周波数特性H4(f)を持つ
フィルタDと、上記4つの式の内、少なくともlogj
(|C(f)|)と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波
数特性と、SCOT(Smoothed Coherence Transform)
フィルタの周波数特性1/√(C11(f)・C
22(f))とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれ
らの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタEと
の内、一つまたは二つ以上のフィルタを含む前処理部
と、上記前処理部により前処理された信号から相互相関
関数を演算する相関処理部とを備えたことを特徴とする
ものである。
【0027】また、上記フィルタEは、|γ(f)|i
の周波数特性、logj(|C(f)|)、および|C
(f)|1/kの内、いずれか1つの周波数特性と、SCO
Tフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み
付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つ
フィルタ、またはlogj(|C(f)|)、および|C
(f)|1/kの内、いずれか1つの周波数特性において、
コヒーレンシィγ(f)の絶対値がある閾値以下になる
周波数成分が0とするような周波数特性と、SCOTフ
ィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付け
したこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィ
ルタのいずれかであることを特徴とするものである。
【0028】また、上記前処理部は、下限周波数をf
s、上限周波数をfeとして、
【0029】
【数29】
【0030】で表わされる周波数特性H5(f)を持つ
バンドパスフィルタをさらに含むことを特徴とするもの
である。
【0031】また、上記前処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記実数i、j、kおよび上記コヒーレンシ
ィγ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
l(f)を決定することを特徴とするものである。
【0032】また、上記信号処理部は、上記相関処理部
により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに
予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相
関関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたこ
とを特徴とするものである。
【0033】また、上記後処理部は、上記平均化された
相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある
閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを
特徴とするものである。
【0034】また、上記後処理部は、3つの超音波セン
サの内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号に
ついての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピー
クになる時間と、3つの超音波センサの内、上記2つの
超音波センサの片方のセンサと上記2つの超音波センサ
以外の超音波センサとで受信した受信信号についての上
記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時
間と、上記3つの超音波センサの各離間距離とから異常
箇所の位置を特定することを特徴とするものである。
【0035】また、上記後処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピ
ーク値に関する閾値を決定することを特徴とするもので
ある。
【0036】また、他の発明に係る異常箇所検出装置
は、被検査管に異常箇所が存在することにより発生する
漏洩音を受信するための2つの超音波センサを備えると
共に、これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそ
れぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部
に、fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、上
記2つの超音波センサで受信した受信信号から求めたコ
ヒーレンシィをγ(f)、上記2つのセンサの内の片方
の超音波センサで受信した受信信号から求めたパワース
ペクトルをC11(f)、上記2つの超音波センサの他方
で受信した受信信号から求めたパワースペクトルをC22
(f)として、
【0037】
【数30】
【0038】で表わされる周波数特性H1(f)を持
ち、漏洩音の受信信号から求めたクロススペクトルをフ
ィルタリングするためのフィルタAと、上記コヒーレン
シィγ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値をγ
l(f)として、
【0039】
【数31】
【0040】で表わされる周波数特性H2(f)を持つ
フィルタBと、jを0以上のある実数、上記2つのセン
サで受信した受信信号から求めたクロススペクトルをC
(f)として、
【0041】
【数32】
【0042】で表わされる周波数特性H3(f)を持つ
フィルタCと、kを1以上のある実数として、
【0043】
【数33】
【0044】で表わされる周波数特性H4(f)を持つ
フィルタDと、上記4つの式の内、少なくともlogj
(|C(f)|)と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波
数特性と、SCOTフィルタの周波数特性1/√(C11
(f)・C22(f))とをそれぞれ重み付けし、重み付
けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフ
ィルタEとの内、一つまたは二つ以上のフィルタを含む
前処理部と、上記前処理部により前処理された信号から
相互相関関数を演算する相関処理部とを備えたことを特
徴とするものである。
【0045】また、上記フィルタEは、|γ(f)|i
の周波数特性、logj(|C(f)|)、および|C
(f)|1/kの内、いずれか1つの周波数特性と、SCO
Tフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み
付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つ
フィルタ、またはlogj(|C(f)|)、および|C
(f)|1/kの内、いずれか1つの周波数特性において、
コヒーレンシィγ(f)の絶対値がある閾値以下になる
周波数成分が0とするような周波数特性と、SCOT
(Smoothed Coherence Transform)フィルタの周波数特
性とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの周波
数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタのいずれかで
あることを特徴とするものである。
【0046】また、上記前処理部は、下限周波数をf
s、上限周波数をfeとして、
【0047】
【数34】
【0048】で表わされる周波数特性H5(f)を持つ
バンドパスフィルタをさらに含むことを特徴とするもの
である。
【0049】また、上記前処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記実数i、j、kおよび上記コヒーレンシ
ィγ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
l(f)を決定することを特徴とするものである。
【0050】また、上記信号処理部は、上記相関処理部
により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに
予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相
関関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたこ
とを特徴とするものである。
【0051】また、上記後処理部は、上記平均化された
相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある
閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを
特徴とするものである。
【0052】また、上記後処理部は、2つの超音波セン
サで受信した受信信号についての上記平均化された相互
相関関数の包絡線がピークになる時間と、被検査管を漏
洩音を伝搬するときの伝搬速度と、上記2つの超音波セ
ンサの各離間距離とから異常箇所の位置を特定すること
を特徴とするものである。
【0053】さらに、上記後処理部は、異常箇所が存在
する場合としない場合の予備実験から得られる統計デー
タに基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線の
ピーク値に関する閾値を決定することを特徴とするもの
である。
【0054】また、他の発明に係る異常箇所検出装置
は、被検査管に異常箇所が存在することにより発生する
漏洩音を受信するための3つの超音波センサを備えると
共に、これらの超音波センサによる漏洩音の受信信号を
それぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部
に、fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、上
記3つの超音波センサの内、ある2つのセンサで受信し
た受信信号から求めたコヒーレンシィをγ(f)、上記
2つのセンサの内の片方の超音波センサで受信した受信
信号から求めたパワースペクトルをC11(f)、上記2
つの超音波センサの他方で受信した受信信号から求めた
パワースペクトルをC22(f)として、
【0055】
【数35】
【0056】で表わされる周波数特性H1(f)を持
ち、漏洩音の受信信号から求めたクロススペクトルをフ
ィルタリングするためのフィルタAと、上記コヒーレン
シィγ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値をγ
1(f)として、
【0057】
【数36】
【0058】で表わされる周波数特性H2(f)を持つ
フィルタBと、jを0以上のある実数、上記3つの超音
波センサの内、2つのセンサで受信した受信信号から求
めたクロススペクトルをC(f)として、
【0059】
【数37】
【0060】で表わされる周波数特性H3(f)を持つ
フィルタCと、kを1以上のある実数として、
【0061】
【数38】
【0062】で表わされる周波数特性H4(f)を持つ
フィルタDと、σabs(f)を上記3つの超音波センサ
の内、ある2つのセンサで受信した2つの受信信号の周
波数スペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受信
信号間の分散とし、σφ(f)を上記2つのセンサで受
信した2つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の分
割された複数個の受信信号間の分散として、
【0063】
【数39】
【0064】で表わされる周波数特性H7(f)を持つ
フィルタEと、上記3つの超音波センサの内、ある2つ
のセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトル
の絶対値の比の分割された複数個の受信信号間の分散σ
abs(f)と、上記2つのセンサで受信した2つの受信
信号の周波数スペクトルの位相差の分割された複数個の
受信信号間の分散σφ(f)との積に関する閾値をσl
(f)とし、
【0065】
【数40】
【0066】で表わされる周波数特性H8(f)を持つ
フィルタFと、上記6つの式の内、少なくともlogj
(|C(f)|)と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波
数特性と、SCOT(Smoothed Coherence Transform)
フィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付
けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフ
ィルタGとの内、一つまたは二つ以上のフィルタを含む
前処理部と、上記前処理部により前処理された信号から
相互相関関数を演算する相関処理部とを備えたことを特
徴とするものである。
【0067】また、上記フィルタGは、|γ(f)|i
および{1/(σabs(f)・σφ(f))}iの内、い
ずれか一つの周波数特性と、logj(|C(f)|)、
および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付
けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数
特性を持つフィルタ、または、logj(|C(f)
|)、および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数
特性において、コヒーレンシィγ(f)の絶対値が予め
決められたある閾値以下になる周波数成分が0とするよ
うな周波数特性、もしくは、上記3つの超音波センサの
内、ある2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波
数スペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受信信
号間の分散σab s(f)と、上記2つのセンサで受信し
た2つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の分割さ
れた複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積関する
閾値σl(f)がある閾値以上になる周波数成分が0と
するような周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特
性とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの周波
数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタのいずれかで
あることを特徴とするものである。
【0068】また、上記前処理部は、下限周波数をf
s、上限周波数をfeとして、
【0069】
【数41】
【0070】で表わされる周波数特性H5(f)を持つ
バンドパスフィルタをさらに含むことを特徴とするもの
である。
【0071】また、上記前処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記実数i、j、kおよび上記コヒーレンシ
ィγ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
l(f)、上記3つの超音波センサの内、ある2つのセ
ンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの絶
対値の比の分割された複数個の受信信号間の分散σabs
(f)と、上記2つのセンサで受信した2つの受信信号
の周波数スペクトルの位相差の分割された複数個の受信
信号間の分散σφ(f)との積に関する閾値σl(f)
を決定することを特徴とするものである。
【0072】また、上記信号処理部は、上記相関処理部
により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに
予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相
関関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたこ
とを特徴とするものである。
【0073】また、上記後処理部は、上記平均化された
相互相関関数の包絡線のピーク値と、予め決められたあ
る閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定すること
を特徴とするものである。
【0074】また、上記後処理部は、3つの超音波セン
サの内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号に
ついての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピー
クになる時間と、3つの超音波センサの内、上記2つの
超音波センサの片方のセンサと上記2つの超音波センサ
以外の超音波センサとで受信した受信信号についての上
記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時
間と、上記3つの超音波センサの各離間距離とから異常
箇所の位置を特定することを特徴とするものである。
【0075】また、上記後処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピ
ーク値に関する閾値を決定することを特徴とするもので
ある。
【0076】また、さらに他の発明に係る異常箇所検出
装置は、被検査管に異常箇所が存在することにより発生
する漏洩音を受信するための2つの超音波センサを備え
ると共に、これら超音波センサによる漏洩音の受信信号
をそれぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理
部に、fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、
上記2つの超音波センサで受信した受信信号から求めた
コヒーレンシィをγ(f)、上記2つのセンサの内の片
方の超音波センサで受信した受信信号から求めたパワー
スペクトルをC11(f)とし、上記2つの超音波センサ
の他方で受信した受信信号から求めたパワースペクトル
をC22(f)として、
【0077】
【数42】 で表わされる周波数特性H1(f)を持ち、漏洩音の受
信信号から求めたクロススペクトルをフィルタリングす
るためのフィルタAと、上記コヒーレンシィγ(f)の
絶対値に関する予め決められた閾値をγl(f)とし
て、
【0078】
【数43】
【0079】で表わされる周波数特性H2(f)を持つ
フィルタBと、jを0以上のある実数、上記2つのセン
サで受信した受信信号から求めたクロススペクトルをC
(f)として、
【0080】
【数44】
【0081】で表わされる周波数特性H3(f)を持つ
フィルタCと、kを1以上のある実数として、
【0082】
【数45】
【0083】で表わされる周波数特性H4(f)を持つ
フィルタDと、σabs(f)を上記2つのセンサで受信
した2つの受信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の
分割された複数個の受信信号間の分散とし、σφ(f)
を上記2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波数
スペクトルの位相差の分割された複数個の受信信号間の
分散として、
【0084】
【数46】
【0085】で表わされる周波数特性H7(f)を持つ
フィルタEと、上記2つのセンサで受信した2つの受信
信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割された複数
個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つのセン
サで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの位相
差の分割された複数個の受信信号間の分散σφ(f)と
の積に関する閾値をσl(f)とし、
【0086】
【数47】
【0087】で表わされる周波数特性H8(f)を持つ
フィルタFと、上記6つの式の内、少なくともlogj
(|C(f)|)と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波
数特性と、SCOT(Smoothed Coherence Transform)
フィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付
けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフ
ィルタGとの内、一つまたは二つ以上のフィルタを含む
前処理部と、上記前処理部により前処理された信号から
相互相関関数を演算する相関処理部とを備えたことを特
徴とするものである。
【0088】また、上記フィルタGは、|γ(f)|i
および{1/(σabs(f)・σφ(f))}iの内、い
ずれか一つの周波数特性と、logj(|C(f)|)、
および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付
けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数
特性を持つフィルタ、またはlogj(|C(f)|)、
および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
において、コヒーレンシィγ(f)の絶対値が予め決め
られたある閾値以下になる周波数成分が0となるような
周波数特性、もしくは上記2つのセンサで受信した2つ
の受信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割され
た複数個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つ
のセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトル
の位相差の分割された複数個の受信信号間の分散σ
φ(f)との積に関する閾値σl(f)が、予め決めら
れたある閾値以上になる周波数成分が0とするような周
波数特性と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞ
れ重み付けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じ
た周波数特性を持つフィルタのいずれかであることを特
徴とするものである。
【0089】また、上記前処理部は、下限周波数をf
s、上限周波数をfeとして、
【0090】
【数48】
【0091】で表わされる周波数特性H5(f)を持つ
バンドパスフィルタをさらに含むことを特徴とするもの
である。
【0092】また、上記前処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記実数i、j、k、上記コヒーレンシィγ
(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
l(f)、および上記2つのセンサで受信した2つの受
信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割された複
数個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つのセ
ンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの位
相差の分割された複数個の受信信号間の分散σφ(f)
との積に関する閾値σl(f)を決定することを特徴と
するものである。
【0093】また、上記信号処理部は、上記相関処理部
により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに
予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相
関関数の包絡線を平均化する後処理部を備えたことを特
徴とするものである。
【0094】また、上記後処理部は、上記平均化された
相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある
閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを
特徴とするものである。
【0095】また、上記後処理部は、2つの超音波セン
サで受信した受信信号についての上記平均化された相互
相関関数の包絡線がピークになる時間と、被検査管を漏
洩音が伝搬するときの伝搬速度と、上記2つの超音波セ
ンサの各離間距離とから異常箇所の位置を特定すること
を特徴とするものである。
【0096】さらに、上記後処理部は、異常箇所が存在
する場合としない場合の予備実験から得られる統計デー
タに基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線の
ピーク値に関する閾値を決定することを特徴とするもの
である。
【0097】
【発明の実施の形態】実施の形態1.この発明の実施の
形態1に係る異常箇所検出装置について図1から図34
を参照しながら説明する。図1はこの発明の実施の形態
1に係る異常箇所検出装置を示す構成図である。図1に
おいて、1は水、油、あるいはその他の液体またはガス
等気体を通す被検査管としての導管、2は上記導管1の
異常箇所、6は地中である。
【0098】また、図1に示す異常箇所検出装置は、異
常箇所2が存在することにより発生する漏洩音を受信す
るための超音波センサ3a、3bおよび3cと、受信装
置7とを備えている。この図1においては、上記導管1
が上記地中6に埋もれている場合について示している
が、上記導管1は、そのすべての部分もしくはその一部
分が上記地中6より上に存在していても構わない。ま
た、上記異常箇所2が1箇所である場合について述べて
いるが、上記異常箇所2は1箇所でなくても、複数箇所
でも構わない。
【0099】また、図1において、L1は超音波センサ
3aと超音波センサ3bの間の導管1に沿った距離、L
2は超音波センサ3bと超音波センサ3cの間の導管1
に沿った距離であり、xは超音波センサ3aから異常箇
所2までの導管1に沿った距離である。
【0100】なお、図1において、導管1の中の水、
油、あるいはその他の液体またはガス等の気体は、流れ
ていても、流れていなくても構わない。また、流れてい
る場合には、流れの方向はどちら向きでも構わない。
【0101】なお、超音波は、人間の耳に聞こえない程
度に高い周波数の音波や弾性波を指す言葉として使われ
るが、この発明では、周波数は特に規定しないものとす
る。すなわち、この発明における「超音波」という文言
には、人間の耳で聞こえる周波数の上限の限界よりも高
い周波数の音波や弾性波に限らず、この上限よりも低い
周波数の音波や弾性波も含めた波という意味を含んでお
り、無論、人間の耳で聞こえる周波数の下限の限界より
も低い周波数の音波や弾性波という意味も含む。
【0102】また、図1においては、超音波センサ3
a、3bおよび3cが導管1に当てて置かれている場合
を示しているが、上記超音波センサ3a、3bおよび3
cは、上記導管1の3箇所において漏洩音を受信するこ
とが目的であり、この目的が達成できるならば、上記超
音波センサ3a、3bおよび3cは、上記導管1に直接
接触していなくても構わない。また、この目的が達成で
きるならば、上記超音波センサ3a、3bおよび3c
は、上記導管1の内部に配置されても構わない。
【0103】ここで、異常箇所2と、超音波センサ3
a、3b、および3cとの位置関係について説明する。
3つの超音波センサの内の2つの超音波センサ、例えば
図1における超音波センサ3bと3cとの間は、地表上
に露出していて、その間に異常箇所がないことが目視に
より判断できる領域等の、異常箇所2がないことが既知
である領域である。異常箇所2は、3つの超音波センサ
の内の上記2つの超音波センサ以外の超音波センサ、例
えば図1における超音波センサ3aと、上記2つの超音
波センサの内、上記2つの超音波センサ以外の超音波セ
ンサに近い方の超音波センサ、例えば、図1における超
音波センサ3bとの間に位置している。
【0104】図1において、受信装置7は、3つの受信
部71と、信号処理部72と、報知手段としての表示部
73と、制御部74とを含む。超音波センサ3a、3b
および3cは、受信部71に接続されている。受信部7
1は信号処理部72に接続されている。信号処理部72
は表示部73に接続されている。
【0105】制御部74は、受信部71、信号処理部7
2、および表示部73に接続されており、検査を行うた
めの情報やコマンドが入力され、また、受信部71、信
号処理部72、および表示部73に対し、これらの動作
を制御するための制御信号や、検査の進行状況の情報に
関する信号を、逐次送受信してこれらの制御を司る。
【0106】また、受信部71は、図示はしないが、受
信信号を増幅するためのアンプと、A/D変換部とを含
む。信号処理部72は、受信信号をフィルタリングする
ための前処理部72aと、超音波センサ3a、3bおよ
び3cで受信した3つの受信信号の内の2つの信号の相
互相関関数を計算するための相関処理部72bと、相互
相関関数に包絡線検波等の処理を行うための後処理部7
2cとを含む。前処理部72aは、相関処理部72bに
接続されており、相関処理部72bは、後処理部72c
に接続されている。また、上記信号処理部72は、図示
はしていないが、内部にメモリを有する。このメモリに
演算処理された種々の結果が適宜記憶される。
【0107】また、信号処理部72における前処理部7
2aは、周波数をfとし、iを0以上のある実数とし、
上記超音波センサ3a、3b、および3cの内、ある2
つのセンサで受信した受信信号から求めたコヒーレンシ
ィをγ(f)とし、上記2つのセンサの内の一方で受信
した受信信号から求めたパワースペクトルをC11(f)
とし、上記2つのセンサの内の他方で受信した受信信号
から求めたパワースペクトルをC22(f)として、
【0108】
【数49】
【0109】で表わされる周波数特性H1(f)を持つ
フィルタと、コヒーレンシィγ(f)の絶対値に関する
閾値をγl(f)として、
【0110】
【数50】
【0111】で表わされる周波数特性H2(f)を持つ
フィルタと、jを0以上のある実数とし、上記超音波セ
ンサ3a、3b、および3cの内、上記2つのセンサで
受信した受信信号から求めたクロススペクトルをC
(f)として、
【0112】
【数51】
【0113】で表わされる周波数特性H3(f)を持つ
フィルタと、kを1以上のある実数として、
【0114】
【数52】
【0115】で表わされる周波数特性H4(f)を持つ
フィルタと、式(1)における|γ(f)|iの周波数
特性と、式(3)におけるlogj(|C(f)|)、お
よび式(4)における|C(f)|1/kの内、いずれか一
方の周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特性とを
重み付けし、これらを乗じた周波数特性を持つフィルタ
や、式(3)におけるlogj(|C(f)|)、および
式(4)における|C(f)|1/kの内、いずれか一方の
周波数特性において、式(2)のように、コヒーレンシ
ィγ(f)の絶対値がある閾値以下になる周波数成分が
0とするような周波数特性と、SCOTフィルタの周波
数特性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特性を持
つフィルタとの内、いずれか一つあるいは2つ以上を含
んでいる。さらに、下限周波数をfsとし、上限周波数
をfeとして、
【0116】
【数53】
【0117】で表わされる周波数特性H5(f)を持つ
バンドパスフィルタを含んでいる。
【0118】上記前処理部72aが含んでいるフィルタ
特性において、式(5)における下限周波数fsおよび
上限周波数feは、予備実験の結果に応じて決定され、
制御部74にこれら値が入力される。また、式(1)に
おける実数i、式(2)におけるコヒーレンシィの絶対
値に関する閾値γl(f)、式(3)における実数j、
および式(4)における実数kも、同様の予備実験の結
果に応じて決定される。
【0119】この予備実験は、異常箇所2が存在する場
合と、実質上、存在しない場合について、この実施の形
態1に係る異常箇所検出装置と同じか、または、同様の
異常箇所検出装置を用いて行われる。このような予備実
験から得られた統計データから、検査の状況に応じて異
常箇所2の有無や異常箇所2の位置の検出を最も精度よ
く行えるような、式(1)における実数i、式(2)に
おけるコヒーレンシィの絶対値に関する閾値γ
l(f)、式(3)における実数j、式(4)における
実数k、および式(5)における下限周波数fsと上限
周波数feが決められる。
【0120】なお、後述するが、漏洩音が導管1を伝搬
するときの伝搬速度が既知であれば、超音波センサ3
a、3b、3cの3つの内、2つの超音波センサの間
が、地表上に露出していてその間に異常箇所がないこと
が目視により判断できる領域等の、異常箇所2がないこ
とが既知である領域である2つの超音波センサの内の一
つ、例えば図1における超音波センサ3cを取り除いて
も、異常箇所2の有無、異常箇所2の位置の特定を行う
ことができる。このような場合であれば、超音波センサ
3a、3b、および3cの内の一つを取り除くことによ
り、検査を容易にし、検査システムを廉価にできるとい
う効果がある。
【0121】ここで、漏洩音の特徴および雑音の特徴に
ついて説明する。漏洩音には、一定位置の発信源からの
時間的に連続な信号であるという特徴がある。一方、例
えば水道管の漏水検査においてしばしば受信される自動
車の走行音、一時的な水道使用音等の雑音は、移動する
発信源からの信号であるか、もしくは、時間的に不連続
的な信号であるかの少なくともどちらかの特徴を持つ。
【0122】また、例えば水道管の漏水検査においてし
ばしば受信される工場の機械音や停止している車のエン
ジン音のように、一定位置の発信源からの時間的に連続
であるという特徴を持つ雑音も存在する。漏洩音と、こ
のような雑音とは、信号の連続性や、発信源が時間的に
移動するかどうかといった特徴からは、識別することは
できない。
【0123】しかし、上記工場の機械音や、上記停止し
ている車のエンジン音のように、一定位置の発信源から
の時間的に連続な信号の発信源に関しては、その発信源
が近くに存在していれば、検査に先立って、検査現場附
近の地図や、または、検査現場附近を観察することか
ら、その発信源の位置を知ることは容易であり、工場主
に工場の機械音を一時的に発生させないように依頼した
り、車の運転手にエンジン音を一時的に発生させないよ
うに依頼することにより、そのような発信源からの雑音
が発生しないようにすることが可能である。
【0124】また、そのような発信源が遠方にあり、検
査に先立って、その存在を知ることが容易でないような
場合もあるが、そのような場合には、その信号のレベル
は微弱であるという特徴を持つ。上述したように、漏洩
音と、雑音とは、信号の連続性や、発信源位置の時間的
な安定性や、信号レベルに、それぞれ特徴を持つ。
【0125】次に、図1に示した異常箇所検出装置の動
作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部74に、漏洩音の周波数帯域、超音波セン
サ3aと超音波センサ3bの離間距離、超音波センサ3
bと超音波センサ3cの離間距離、1回の受信で取り込
むデータの時間長さ、1回の受信で取り込んだデータを
時間軸上で分割する分割数N、後述する異常箇所2の位
置の特定精度を安定させるための、データ取込みの繰り
返し回数M、および漏洩の有無を判断するための予め決
められた閾値が入力される(ステップS1)。なお、上
記漏洩音の周波数帯域が、未知である場合には、上記周
波数帯域が未知であるという情報が入力される。
【0126】また、上記1回の受信で取り込むデータの
時間長さ、および上記データ取込みの繰り返し回数M
は、許容される検査の安定性、および検査にかかる許容
時間により設定され、上記1回の受信で取り込むデータ
の長さを大きくし、上記データ取込みの繰り返し回数M
を多くすることにより、検査の安定性を増加させること
ができる。また、許容される検査時間が短ければ、上記
取り込むデータの長さを小さくし、上記データ取込みの
繰り返し回数Mを少なくすればよい。
【0127】また、制御部74においては、検査を行っ
た日付け、検査を行った時間、超音波センサ3a、3
b、および3cの種類やシリアルナンバー、検査を行っ
た導管の地図上の位置等の情報の内、すべての情報、あ
るいは、上記の情報の内のいずれか1つあるいは2つ以
上を入力できるようにし、さらに入力した情報を表示部
73に表示できるようにし、さらに上記入力した情報
を、記録、保管しておけば、検査の安定性が増すばかり
でなく、異常箇所2の発生傾向に関するデータベースの
構築に役立つ。さらに、ある一定期間後の定期検査の際
の参照データとして役立つ作用効果を奏する。また、あ
る一定期間を過ぎて、再度の検査を行う際に、検査デー
タの再現性の確認や、経時変化の調査に役立てることも
できる。
【0128】次に、検査者により、検査開始のタイミン
グが入力される。上記タイミングの入力は、スイッチの
オン・オフにより行われても良いし、例えば検査者の音
声や検査者が手を叩いた音をマイクで拾うことにより行
われても良い。また、制御部74に、タイマーを備える
ことにより、上記タイミングが入力されてからある時間
が経過した時点で、検査が開始されるようにしてもよ
い。
【0129】図1において、導管1に異常箇所2が存在
すると、上記異常箇所2から漏洩が生じ、それに伴って
漏洩音が発生する。発生した漏洩音は、導管1を伝搬し
て超音波センサ3a、3bおよび3cで雑音とともに受
信される。
【0130】次に、制御部74から、超音波センサ3
a、3bおよび3cでの受信を開始するための信号を受
信部71に送信し、超音波センサ3a、3bおよび3c
で受信した受信信号を受信部71に取り込む(ステップ
S2)。受信部71において、受信信号は、増幅された
後にA/D変換され、信号処理部72に含まれる前処理
部72aに送られる。
【0131】前処理部72aにおいて、3つの受信信号
は、時間軸上で予め決められた個数であるN個に各々分
割される。次に、分割されたN個のデータそれぞれがフ
ーリエ変換され、N個のデータそれぞれについての周波
数スペクトルが計算される。
【0132】超音波センサ3aで受信した信号に関し
て、1回の受信で取り込むデータの時間長さをTとし、
上記N個に分割されたデータの第n番目のデータにおい
て、ある周波数fの成分における上記周波数スペクトル
の絶対値をAn とし、その位相をφanとして、共役複素
数を表わす記号を*とし、
【0133】
【数54】
【0134】で表わされるパワースペクトルCaa(f)
が計算される。また、超音波センサ3bで受信した信号
に関して、上記N個に分割されたデータの第n番目のデ
ータにおける、ある周波数fの成分における上記周波数
スペクトルの絶対値をBn とし、その位相をφbnとし
て、
【0135】
【数55】
【0136】で表わされるパワースペクトルCbb(f)
が計算される。また、超音波センサ3cで受信した信号
に関して、上記N個に分割されたデータの第n番目のデ
ータにおける、ある周波数fの成分における上記周波数
スペクトルの絶対値をCn とし、その位相をφcnとし
て、
【0137】
【数56】
【0138】で表わされるパワースペクトルCCC(f)
が計算される(ステップS3)。
【0139】次に、2つの超音波センサ3b、3cの間
の領域が地表上に露出していて、その間に異常箇所がな
いことが目視により判断できる領域等の、異常箇所2が
ないことが既知である領域である2つの超音波センサの
内の一つと、前記2つの超音波センサとは異なる他の一
つの超音波センサ3aとの組み合わせ、例えば図1にお
ける超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合わせ
が選択される。
【0140】さらに、2つの超音波センサ3b、3cの
間の領域が地表上に露出していて、その間に異常箇所が
ないことが目視により判断できる領域等の、異常箇所2
がないことが既知である領域である2つの超音波センサ
の内、上記の超音波センサの組み合わせにおいて選択さ
れなかった超音波センサ3cと、2つの超音波センサの
間の領域が地表上に露出していてその間に異常箇所がな
いことが目視により判断できる領域等の、異常箇所2が
ないことが既知である領域である2つの超音波センサの
他の一つの組み合わせ、例えば図1における超音波セン
サ3aと超音波センサ3cの組み合わせが選択される
(ステップS4)。
【0141】ここで、上記2つの超音波センサの組み合
わせ、超音波センサ3aと3bの組み合わせと、超音波
センサ3aと3cの組み合わせの内、超音波センサ3a
と3bの組み合わせについての信号処理方法について説
明する。2つの超音波センサ3aおよび3bで受信した
受信信号のクロススペクトルC ab(f)が、
【0142】
【数57】
【0143】で計算される(ステップS5)。クロスス
ペクトルC(f)は、式(1)においてC11(f)=C
aa(f)、C22(f)=Cbb(f)とし、式(1)の周
波数特性を持つフィルタによって、さらに、フィルタリ
ングされる。
【0144】ここで、式(1)の周波数特性を持つフィ
ルタの効果について詳しく説明する。式(1)は、SC
OTフィルタの周波数特性に、さらに、コヒーレンシィ
γ(f)の絶対値を実数i乗したものを乗じたものであ
る。
【0145】まず、コヒーレンシィγ(f)の特性につ
いて説明する。コヒーレンシィγ(f)は、
【0146】
【数58】
【0147】で計算される(ステップS6)。式(1
0)で表わされるコヒーレンシィγ(f)は、式(1
0)に式(6)、式(7)および式(9)を代入するこ
とから分かるように、
【0148】
【数59】
【0149】の条件が成立すると、その絶対値が1とな
る値であり、式(11)の条件が成立しなければ、その
絶対値が1以下となる関数である。なお、Aとφaは超
音波センサ3aで受信される受信信号の周波数スペクト
ルの振幅と位相を示し、同様に、Bとφbは超音波セン
サ3bで受信される受信信号の周波数スペクトルの振幅
と位相(添字は時間データ)を示す。
【0150】式(11)の条件が成立するということ
は、上記周波数fにおいて、2つの超音波センサ3aお
よび3bで受信される受信信号の周波数スペクトルの振
幅比と位相差とが時間軸上で分割されたN個のデータ間
で一定であるということを意味している。これは、上記
周波数fの成分は、一定位置の発信源からの時間的に連
続的な信号であるということを意味する。つまりは、こ
の周波数fの信号には、漏洩音や、例えば工場の機械音
や停止している車のエンジン音のような雑音が含まれて
いるということを意味する。
【0151】また、式(11)の条件が成立しないとい
うことは、上記周波数fにおいて、2つの超音波センサ
3aおよび3bで受信される受信信号の周波数スペクト
ルの振幅比と位相差とが時間軸上で分割されたN個のデ
ータ間で一定でないということを意味している。つまり
は、この周波数fの信号は、移動する発信源からの信号
であるか、時間的に不連続的な信号であるかの、少なく
ともどちらかの性質を持つ信号であるということを意味
する。さらには、上記周波数fの成分には、漏洩音や、
例えば工場の機械音や停止している車のエンジン音のよ
うな雑音の他に、自動車の走行音、水道使用音や管内流
水音等の雑音も含まれているということを意味する。
【0152】また、ある周波数fにおいて、漏洩音や、
例えば工場の機械音や停止している車のエンジン音のよ
うな、一定位置の発信源からの時間的に連続的な信号が
支配的であれば、式(11)は近似的には成立し、コヒ
ーレンシィγ(f)の絶対値は近似的に1となるが、自
動車の走行音、水道使用音や管内流水音といった雑音等
の移動する発信源からの信号であるか、時間的に不連続
的な信号であるかの、少なくともどちらかの性質を持つ
信号が支配的になるにつれ、式(11)は近似的にも成
立しなくなり、コヒーレンシィγ(f)の絶対値はそれ
に応じて小さい値をとる。
【0153】以上述べたように、式(10)のコヒーレ
ンシィγ(f)は、上記周波数fにおいて、2つの超音
波センサ、ここでは、超音波センサ3aおよび3bで受
信される受信信号の周波数スペクトルの各周波数成分に
おいて、漏洩音や、工場の機械音や停止している車のエ
ンジン音のような、一定位置の発信源からの時間的に連
続的な信号と、自動車の走行音、水道使用音や管内流水
音といった雑音等の移動する発信源からの信号である
か、時間的に不連続的な信号であるかの、少なくともど
ちらかの性質を持つ信号とのレベル比を反映した関数で
ある。
【0154】次に、SCOTフィルタの特性決定につい
て説明する(ステップS7)。SCOTフィルタは、フ
ィルタリングされたクロススペクトルC'(f)の絶対
値を、フィルタリングされる前のクロススペクトルC
(f)の絶対値とは無関係に、一定位置の発信源からの
時間的に連続的な信号の、移動する発信源からの時間的
に不連続な信号に対するレベル比を反映した関数である
コヒーレンシィγ(f)の絶対値と同じにするフィルタ
である。
【0155】したがって、一定位置の発信源からの時間
的に連続的な信号が漏洩音で、移動する発信源からの時
間的に不連続な信号が雑音であれば、フィルタリングさ
れたクロススペクトルC'(f)の絶対値を、フィルタ
リングされる前のクロススペクトルC(f)の絶対値と
は無関係に、漏洩音の対雑音比を反映した関数にするの
で、雑音が支配的な周波数成分を抑圧する効果を持つ。
【0156】また、漏洩音の周波数スペクトルが雑音の
それと比較して広帯域である場合であれば、フィルタリ
ングされたクロススペクトルC'(f)を、それに応じ
て広帯域化し、相互相関関数のサイドローブを低減し、
異常箇所2の位置の特定に関する分解能を向上させる効
果を持つ。したがって、式(1)の周波数特性を持つフ
ィルタは、上述のSCOTフィルタの特徴効果を持つ。
【0157】しかし、SCOTフィルタには、以下のよ
うな問題点がある。まず、一定位置の発信源からの時間
的に連続的な信号が漏洩音で、移動する発信源からの信
号であるか、もしくは、時間的に不連続な信号であるか
の、少なくともどちらかの特徴を持つ信号が雑音であ
り、ある周波数成分において、この雑音が支配的であっ
たとしても、例えば移動する発信源の移動速度が小さけ
れば、フィルタリングされたクロススペクトルの絶対値
C'(f)は、漏洩音が支配的な周波数成分の絶対値と
ほぼ同じレベルになってしまうので、漏洩音の対雑音比
を十分に反映した関数にはならない。
【0158】つまり、上記雑音が支配的な周波数成分を
十分に抑圧することはできない。また、SCOTフィル
タは、フィルタリングされたクロススペクトルC'
(f)の絶対値を、一定位置の発信源からの時間的に連
続的な信号の、移動する発信源からの時間的に不連続な
信号に対するレベル比を反映した関数であるコヒーレン
シィγ(f)の絶対値と同じにするので、工場からの機
械音や、停止している車のエンジン音のような、一定位
置からの時間的に連続な雑音に関しては、上記工場や上
記停止している車がはるか遠方にあり、このような一定
位置からの時間的に連続な雑音が支配的な周波数成分
が、フィルタリングされる前のクロススペクトルC
(f)において、本来ならば無視できる程小さいレベル
であっても、この周波数成分を漏洩音が支配的な周波数
成分とほぼ同じレベルまで増幅する逆効果を生じてしま
う。
【0159】以上のSCOTフィルタの問題点を解決す
るために、式(1)の周波数特性を持つフィルタは、S
COTフィルタの周波数特性に、さらにコヒーレンシィ
γ(f)の絶対値を実数i乗したものを乗じた特性を持
っている。SCOTフィルタの周波数特性に、さらにコ
ヒーレンシィγ(f)の絶対値を実数i乗したものを乗
じることは、コヒーレンシィγ(f)の絶対値が大きい
値をとる周波数成分を、さらに強調して抽出し、コヒー
レンシィγ(f)の絶対値が小さい値をとる周波数成分
を、さら抑圧する効果がある。
【0160】したがって、式(1)の周波数特性を持つ
フィルタは、一定位置の発信源からの時間的に連続的な
信号が漏洩音で、移動する発信源からの時間的に不連続
な信号が雑音であれば、移動する発信源の移動速度が小
さく、SCOTフィルタのみの使用では、雑音が支配的
な周波数成分を十分に抑圧できないような場合であって
も、SCOTフィルタの効果を損なうことなく、雑音が
支配的な周波数成分を十分に抑圧することができる。
【0161】なお、コヒーレンシィγ(f)の絶対値に
関してある閾値γl(f)を予め決めておき、式(2)
においてC11(f)=Caa(f)、C22(f)=C
bb(f)として、式(2)の周波数特性を持つフィルタ
を使用してもよい。式(2)の周波数特性を持つフィル
タは、コヒーレンシィγ(f)の絶対値がコヒーレンシ
ィγ(f)に関する上記閾値γl(f)以下になる周波
数成分を完全に除去するので、一定位置の発信源からの
時間的に連続的な信号が漏洩音で、移動する発信源から
の時間的に不連続な信号が雑音であれば、移動する発信
源の移動速度が小さく、SCOTフィルタのみの使用で
は、雑音が支配的な周波数成分を十分に抑圧できないよ
うな場合であっても、SCOTフィルタの効果を損なう
ことなく、雑音が支配的な周波数成分を十分に抑圧する
ことができる。したがって、式(1)の周波数特性を持
つフィルタを使用した場合と同等の効果が得られる。
【0162】また、クロススペクトルC(f)は、式
(3)においてC11(f)=Caa(f)、C22(f)=
bb(f)として、式(3)の周波数特性を持つフィル
タによってフィルタリングされてもよい(ステップS
8)。
【0163】ここで、式(3)の周波数特性を持つフィ
ルタの効果について詳しく説明する。式(3)は、SC
OTフィルタの周波数特性に、さらに、クロススペクト
ルC(f)の絶対値の対数を乗じたものである。したが
って、式(3)の周波数特性を持つフィルタは、上述し
たSCOTフィルタの効果を持つ。
【0164】さらに、クロススペクトルC(f)の絶対
値の対数を乗じることにより、クロススペクトルC
(f)の絶対値の大小、つまり、受信信号のレベルの大
小に応じた関数を乗じていることになるので、例えば、
コヒーレンシィγ(f)の絶対値が大きい値をとる周波
数成分において、漏洩音でなく、工場からの機械音や停
止している車のエンジン音のような一定位置からの時間
的に連続な雑音が支配的になっていても、そのレベルが
低ければ、その周波数成分のレベルを、漏洩音が支配的
な周波数成分のレベルと同程度まで増幅して通過させて
しまうことはない。さらに、絶対値そのものでなく、絶
対値の対数を乗じているので、クロススペクトルC
(f)と比較して広帯域なスペクトルが得られるので、
SCOTフィルタの効果を損なうことはなく、サイドロ
ーブの小さい相関波形を得ることができる。
【0165】なお、式(4)においてC11(f)=Caa
(f)、C22(f)=Cbb(f)として、式(4)の周
波数特性を持つフィルタを用いても構わない。これによ
り、クロススペクトルの絶対値C(f)の大小、つま
り、受信信号のレベルの大小に応じた関数を乗じている
ことになるので、例えば、コヒーレンシィγ(f)の絶
対値が大きい値をとる周波数成分において、漏洩音でな
く、工場からの機械音や停止している車のエンジン音の
ような一定位置からの時間的に連続な雑音が支配的にな
っていても、そのレベルが低ければ、その周波数成分の
レベルを、漏洩音が支配的な周波数成分のレベルと同程
度まで増幅して通過させてしまうことはない。
【0166】さらに、クロススペクトルC(f)の絶対
値そのものでなく、絶対値を1/k乗したものを乗じて
いるので、クロススペクトルC(f)と比較して広帯域
なスペクトルが得られるので、SCOTフィルタの効果
を損なうことはなく、サイドローブの小さい相関波形を
得ることができる。したがって、式(3)の周波数特性
を持つフィルタを使用した場合と同等の効果が得られ
る。以上、式(1)、式(2)、式(3)、および式
(4)の周波数特性を持つフィルタの効果について述べ
た。
【0167】さらに、この発明の実施の形態1における
異常箇所検出装置の信号処理部の前処理部72aにおい
ては、式(1)における|γ(f)|iの周波数特性
と、式(3)におけるlogj(|C(f)|)、および
式(4)における|C(f)|1/kの内、いずれか一方の
周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特性とを重み
付けし、これらを乗じた周波数特性を持つフィルタや、
式(3)におけるlogj(|C(f)|)、および式
(4)における|C(f)|1/kの内、いずれか一方の周
波数特性において、式(2)のように、コヒーレンシィ
γ(f)の絶対値がある閾値以下になる周波数成分が0
とするような周波数特性と、SCOTフィルタの周波数
特性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特性を持つ
フィルタを用いても良い。
【0168】このようなフィルタを用いることにより、
式(1)や式(2)の周波数特性のフィルタが持つ効果
と、式(3)や式(4)の周波数特性のフィルタが持つ
効果とを兼ね備えた効果が得られる。なお、上記周波数
特性に対する重みの係数については、上述したものと同
様の予備実験からきめればよい。
【0169】この発明の実施の形態1においては、以上
述べた前処理部72aにおけるフィルタリングにより、
漏洩音の周波数帯域が未知な場合であっても、漏洩音を
効率良く抽出できるので、式(5)の周波数特性を持つ
バンドパスフィルタは、特に用いなくても良い。したが
って、前処理部72aにおいて、式(5)の周波数特性
を持つバンドパスフィルタは取り除いても良い。これに
より、前処理部72aの構成を簡易にし、装置全体を廉
価にできるという効果がある。なお、漏洩音の周波数帯
域が既知であれば、フィルタリングされたクロススペク
トルを、さらに式(5)のバンドパスフィルタによって
フィルタリングする。これにより、漏洩音の周波数帯域
の範囲外の周波数成分を持つ雑音を完全に除去すること
ができる。
【0170】フィルタリングされたクロススペクトル
C'(f)は、相関処理部72bに送られ、逆フーリエ
変換を示す記号F-1として逆フーリエ変換されて、超音
波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間をτとし、
式(12)の相互相関関数φ(τ)が計算される(ステ
ップS9)。相関処理部72bで計算された相互相関関
数φ(τ)の計算結果は、後処理部72cに出力され
る。
【0171】
【数60】
【0172】次に、後処理部72cの動作について説明
する。後処理部72cにおいて、上記相互相関関数φ
(τ)は包絡線検波される(ステップS10)。上記包
絡線は、その都度メモリに保存される。それと同時に、
包絡線をメモリに保存した回数をカウントする。この回
数は、制御部74から受信部71に対してデータを取り
込むための制御信号を送信した回数と同じである。も
し、包絡線をメモリに保存した回数が、予め決められた
データ取込みの繰り返し回数Mより小さい値であれば、
後処理部72cから制御部74に、再度データの取り込
みを行うことを要求する信号を送信する。それに従い、
制御部74からは、受信部71にデータを取り込むため
の制御信号を送信する。
【0173】以上述べた繰り返しを、上記包絡線をメモ
リに保存した回数が、予め決められたデータ取込みの繰
り返し回数Mと等しくなるまで行う。上記包絡線をメモ
リに保存した回数が、予め決められたデータ取込みの繰
り返し回数Mと等しくなったら、この繰り返しを終了す
る(ステップS11)。
【0174】次に、メモリに保存された上記包絡線は平
均化された後、平均化された包絡線のピーク値Aabと、
上記平均化された包絡線がピークになるときの、超音波
センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τabが求めら
れる(ステップS12)。
【0175】以上述べた信号処理は、超音波センサ3a
および超音波センサ3bの組み合わせに関して行われた
が、超音波センサ3aおよび3bの組み合わせに関して
行われるのと平行して、超音波センサ3aおよび超音波
センサ3cの組み合わせに関しても行われる。これによ
り、超音波センサ3aおよび超音波センサ3cの組み合
わせに関しても、上記平均化された相互相関関数φ
(τ)の包絡線のピーク値Aacと、上記平均化された
包絡線がピークになるときの、超音波センサ3aでの受
信時間に対する遅延時間τacが得られる。
【0176】次に、超音波センサ3aおよび超音波セン
サ3bの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピー
ク値Aabと、超音波センサ3aおよび超音波センサ3c
の間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値A
acの内、いずれか一方、もしくは両方の値が、予め決
められた異常箇所2の有無を判定するための閾値に比べ
て、大か小かを判定する。これにより、異常箇所2の有
無が判定される(ステップS13,S14)。
【0177】異常箇所2の有無を判定するための上記閾
値は、超音波センサ3aおよび超音波センサ3bの間の
平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aabに関
する閾値であっても、また、超音波センサ3aおよび超
音波センサ3cの間の平均化された相互相関関数の包絡
線のピーク値Aacに関する閾値であってもよい。ま
た、上記閾値は、超音波センサ3aおよび超音波センサ
3bの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク
値Aabと、超音波センサ3aおよび超音波センサ3cの
間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aa
cとの積や、和に関する閾値であっても構わない。
【0178】また、異常箇所2の有無を判定するための
上記閾値は、平均化された相互相関関数の包絡線のピー
ク値に関する閾値でなくても、受信信号のレベルに関す
る閾値であっても良いし、その周波数スペクトルの絶対
値に関する閾値、フィルタリングでれたクロススペクト
ルC(f)の絶対値に関する閾値であってもよい。その
場合は、前処理部72の段階で異常箇所2の有無が判定
される。
【0179】また、異常箇所2の有無に関する判定は、
これら全ての閾値の内、いずれか一つによって判定して
もよいし、2つあるいは3つ以上の情報を組み合わせて
判定してもよい。
【0180】上記閾値は、予備実験により決められてい
る。この予備実験は、異常箇所2が存在する場合と、実
質上存在しない場合について、この実施の形態1に係る
異常箇所検出装置と同じか、または、同様の異常箇所検
出装置を用いて行われる。このような予備実験から得ら
れた統計データから、異常箇所2の有無を判定するため
の上記閾値データが予め決められている。
【0181】また、上記閾値は、異常箇所2の有無の判
定だけでなく、異常箇所2の形状やサイズをクラス分け
するためのものであってもよい。この場合、上記予備実
験は、異常箇所2の形状やサイズに関してクラス分けさ
れる各場合について、この実施の形態1に係る異常箇所
検出装置と同じか、または、同様の異常箇所検出装置を
用いて行われる。
【0182】なお、上記の大小関係に関する情報の内、
より多くの情報を組み合わせて異常箇所の有無の判定を
行えば、より確度の高い判定を行うことができる効果が
得られる。特に、各判定結果について異なる重み付けを
行って重み付け多数決の論理を使って判定すれば、上記
の3つの判定結果がバラバラの判定結果になったとき、
より確度の高い判定結果を得ることができる。重み付け
多数決の判定に使う重みの係数については、上述したも
のと同様の予備実験からきめれば、判定の確度はさらに
高くできる。
【0183】異常箇所2があると判定された場合、超音
波センサ3aと3bとの間の離間距離と、超音波センサ
3bと超音波センサ3cの間の離間距離と、超音波セン
サ3aと3bとの間の平均化された相互相関関数の包絡
線がピークになるときの、超音波センサ3aでの受信時
間に対する遅延時間τabと、超音波センサ3aと3cと
の間の平均化された相互相関関数の包絡線がピークにな
るときの、超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延
時間τacとから、超音波センサ3aから異常箇所2ま
でのの導管1に沿った距離xが式(13)により特定さ
れる。
【0184】
【数61】
【0185】なお、漏洩音が導管1を伝搬するときの伝
搬速度が既知であれば、超音波センサ3a、3b、およ
び3cの内、2つの超音波センサの間が、地表上に露出
していてその間に異常箇所がないことが目視により判断
できる領域等の、異常箇所2がないことが既知である領
域である2つの超音波センサの内の一つ、例えば、図1
における超音波センサ3cを取り除いても、異常箇所2
の有無、異常箇所2の位置の特定を行うことができる。
例えば、超音波センサ3cを取り除いた場合、超音波セ
ンサ3aから異常箇所2までの距離xは、漏洩音が導管
1を伝搬するときの伝搬速度をvとし、式(14)で与
えられる。これにより、検査を容易にし、検査システム
を廉価にできるという効果がある。
【0186】
【数62】
【0187】このように求められた異常箇所2の有無、
および特定された異常箇所2の位置は、表示部73に出
力される(ステップS15)。表示部73では、異常箇
所2の有無、および特定された異常箇所2の位置を表示
する。これらの情報は、単に表示するだけでなく、検査
結果の記録として、記録、保管しておけば、異常箇所の
発生傾向に関するデータベースの構築に役立つだけでな
く、ある一定期間後の定期検査の際の参照データとして
役立つ作用効果を奏する。
【0188】また、表示部73には、上述したように、
異常箇所2の有無に関する情報が入力された。この情報
は2値の情報である。したがって、これを光のオン・オ
フや、表示のほかに警報音のオン・オフなど、検査者の
五感に反応する形式で検査者に報知できるように表示部
以外に他の報知手段を設けて伝えるようにしても良い。
また、検査にかかる許容時間が多い場合には、異常箇所
2の有無や、異常箇所2の位置の特定に関する判断を、
検査者が平均化された包絡線を目で見て判断しても良
い。このような場合には、言うまでもないが、表示部2
において異常箇所2の有無や特定した漏水箇所の表示を
行う機能を取り除いても構わない。これにより、装置が
低廉化できる作用効果が得られることは言うまでもな
い。
【0189】また、表示部73において、平均化された
包絡線、平均化された包絡線のピーク値、平均化された
包絡線がピークになる時間、超音波センサ3a、3b、
および3cで得られた受信信号波形、上記受信信号の周
波数スペクトル、上記受信信号から求めたコヒーレンシ
ィなどの内、すべての情報、あるいは、上記の情報の内
のいずれか1つあるいは2つ以上を表示し、これらの情
報を、さらに記録、保管しておけば、検査の安定性が増
すばかりでなく、異常箇所の発生傾向に関するデータベ
ースの構築に役立つ。さらに、ある一定期間後の定期検
査の際の参照データとして役立つ作用効果を奏する。ま
た、ある一定期間を過ぎて、再度の検査を行う際に、検
査データの再現性の確認や、経時変化の調査に役立てる
こともできる。
【0190】次に、以上述べた異常箇所2の位置の特定
方法に関して、その効果を確認した実験結果を図3から
図34を用いて示す。図3は、上記実験の実験系を示す
ものであり、8は消火栓、9はレコーダー、10は計算
機である。また、導管1はここでは水道管であり、超音
波センサ3bと超音波センサ3cの間は、導管1が地上
に出ていて異常箇所2が存在しないことが目視により判
断できる領域である。また、超音波センサ3aと超音波
センサ3bの間の導管1に沿った離間距離L1は19.
8mであり、超音波センサ3bと超音波センサ3cの間
の導管1に沿った離間距離L2は10mである。また、
超音波センサ3aから異常箇所2までの導管1に沿った
離間距離xを実測したところ、この値は9mであった。
【0191】図3において、3つの超音波センサ3a、
3b、および3cで、異常箇所2からの漏洩音を受信
し、レコーダー9に受信信号を記録した。レコーダー9
で受信した受信信号は、計算機10に取り込み、計算機
10上で、図1に示した前処理部72a、相関処理部7
2b、後処理部72cにおける処理と同じ処理を行い、
異常箇所2の位置を特定した。なお、漏洩音の周波数帯
域は未知であるとし、1回の受信で取り込むデータの時
間長さを1秒とし、1回の受信で取り込んだデータを時
間軸上で分割する分割数Nを12とし、データ取り込み
の繰り返し回数Mを10とした。また、この実験は、異
常箇所2が存在するという前提のもとで行ったので、異
常箇所の有無を判定するための閾値は設定しなかった。
【0192】図4〜図34は、図3の実験系において、
超音波センサ3a、3b、および3cで得られた受信信
号波形、受信信号の周波数スペクトルの絶対値、受信信
号のパワースペクトルの絶対値、上記3つの超音波セン
サの内の2つの超音波センサで受信した受信信号から求
めたクロススペクトルの絶対値、フィルタリングされた
クロススペクトルの絶対値、相互相関関数の包絡線、お
よび平均化された相互相関関数の包絡線を示す図であ
る。
【0193】上記実験においては、異常箇所2が存在す
るという前提のもとで行い、異常箇所の有無を判定する
ための閾値は設定しなかったので、図4〜図34におけ
る受信信号波形、受信信号の周波数スペクトルの絶対
値、受信信号のパワースペクトルの絶対値、上記3つの
超音波センサの内の2つの超音波センサで受信した受信
信号から求めたクロススペクトルの絶対値、フィルタリ
ングされたクロススペクトルの絶対値、相互相関関数の
包絡線、および平均化された相互相関関数の包絡線の値
は、異常箇所の有無を判定するための閾値との大小関係
を比較されることはない。
【0194】したがって、図4〜図34における受信信
号波形、受信信号の周波数スペクトルの絶対値、受信信
号のパワースペクトルの絶対値、上記3つの超音波セン
サの内の2つの超音波センサで受信した受信信号から求
めたクロススペクトルの絶対値、フィルタリングされた
クロススペクトルの絶対値、相互相関関数の包絡線、お
よび平均化された相互相関関数の包絡線の値は、図を見
易くするために、適当な値を1として規格化し、相対振
幅として示されている。
【0195】図4は、超音波センサ3a、3bおよび3
cで1回の受信で受信した受信信号波形である。図4
(a)は超音波センサ3aで受信した受信信号波形であ
り、図4(b)は超音波センサ3bで受信した受信信号
波形であり、図4(c)は超音波センサ3cで受信した
受信信号波形である。
【0196】図5は、超音波センサ3a、3bおよび3
cで1回の受信で受信した受信信号を時間軸上でN個に
分割し、N個に分割したその1個目のデータに関して求
めた周波数スペクトルの絶対値であり、図5(a)は超
音波センサ3aで1回の受信で受信した受信信号に関す
るものであり、図5(b)は超音波センサ3bで1回の
受信で受信した受信信号に関するものであり、図5
(c)は超音波センサ3cで1回の受信で受信した受信
信号に関するものである。
【0197】図6は、超音波センサ3a、3bおよび3
cで受信した受信信号の周波数スペクトルと、式(6)
〜式(8)とを用いて求めたパワースペクトルの絶対値
である。図6(a)は、超音波センサ3aで受信した受
信信号から求めたパワースペクトルの絶対値であり、図
6(b)は、超音波センサ3bで受信した受信信号から
求めたパワースペクトルの絶対値であり、図6(c)
は、超音波センサ3cで受信した受信信号から求めたパ
ワースペクトルの絶対値である。
【0198】図7は、超音波センサ3aと超音波3bの
組み合わせ、および超音波センサ3aおよび3cの組み
合わせに関するクロススペクトルの絶対値であり、図7
(a)は、超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み
合わせから求めたクロススペクトルの絶対値、図7
(b)は、超音波センサ3aと超音波センサ3cの組み
合わせから求めたクロススペクトルの絶対値である。
【0199】前処理部72aにおけるフィルタに、式
(1)の周波数特性を持つフィルタを用いてクロススペ
クトルをフィルタリングして求めたフィルタリングされ
たクロススペクトルの絶対値を図8に示す。図8(a)
は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合わせに
関するもの、図8(b)は超音波センサ3aと超音波セ
ンサ3cの組み合わせに関するものである。式(1)に
おける実数iは1とした。
【0200】図8のフィルタリングされたクロススペク
トルを逆フーリエ変換して求めた相互相関関数を図9に
示す。図9(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3
bの組み合わせに関するもの、図9(b)は超音波セン
サ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関するもので
ある。
【0201】図9の相互相関関数を包絡線検波して求め
た包絡線を図10に示す。図10(a)は超音波センサ
3aと超音波センサ3bの組み合わせに関するもの、図
10(b)は超音波センサ3aと超音波センサ3cの組
み合わせに関するものである。
【0202】図10(a)において、包絡線がピークに
なるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延
時間τabは0.25ms、図10(b)において、包絡
線がピークになるときの、超音波センサ3aでの受信時
間に対する遅延時間τacは6.54msである。これ
らの遅延時間から、図3における異常箇所2の位置を式
(13)により特定すると、異常箇所2の超音波センサ
3aからの導管1に沿った距離xは9.70mとなっ
た。
【0203】図10の包絡線を求める過程を予め決めら
れたデータ取込みの繰り返し回数Mだけ繰り返し、それ
らを平均化して求めた、平均化された包絡線を図11に
示す。図11(a)は超音波センサ3aと超音波センサ
3bの組み合わせに関するもの、図11(b)は超音波
センサ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関するも
のである。
【0204】図11(a)において、平均化された包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τabは0.54ms、図11(b)に
おいて、平均化された包絡線がピークになるときの超音
波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacは
6.29msである。これらの遅延時間から、図3にお
ける異常箇所2の位置を式(13)により特定すると、
異常箇所2の超音波センサ3aからの導管1に沿った距
離xは9.43mとなった。
【0205】このように、式(1)の周波数特性を持つ
フィルタを用いてクロススペクトルをフィルタリングす
ることにより、異常箇所2の位置を精度良く特定するこ
とができた。また、予め決められた繰り返し回数Mだけ
受信を繰り返し、包絡線を平均化することにより、特定
精度がさらに向上する効果が見られた。
【0206】前処理部72aにおけるフィルタに、式
(2)の周波数特性を持つフィルタを用いてクロススペ
クトルをフィルタリングして求めたフィルタリングされ
たクロススペクトルの絶対値を図12に示す。図12
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図12(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。式
(2)におけるコヒーレンシィγ(f)の絶対値に関す
る閾値γl(f)は0.5とした。
【0207】図12のフィルタリングされたクロススペ
クトルを逆フーリエ変換して求めた相互相関関数を図1
3に示す。図13(a)は超音波センサ3aと超音波セ
ンサ3bの組み合わせに関するもの、図13(b)は超
音波センサ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関す
るものである。
【0208】図13の相互相関関数を包絡線検波して求
めた包絡線を図14に示す。図14(a)は超音波セン
サ3aと超音波センサ3bの組み合わせに関するもの、
図14(b)は超音波センサ3aと超音波センサ3cの
組み合わせに関するものである。
【0209】図14(a)において、包絡線がピークに
なるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延
時間τabは0.54ms、図14(b)において、包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τacは6.17msである。これら
の遅延時間から、図3における異常箇所2の位置を式
(13)により特定すると、異常箇所2の超音波センサ
3aからの導管1に沿った距離xは9.42mとなっ
た。
【0210】図14の包絡線を求める過程を予め決めら
れた繰り返し回数Mだけ繰り返し、それらを平均化して
求めた平均化された包絡線を図15に示す。図15
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図15(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0211】図15(a)において、平均化された包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τabは0.54ms、図15(b)に
おいて、平均化された包絡線がピークになるときの超音
波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacは
6.17msである。これらの遅延時間から、図3にお
ける異常箇所2の位置を式(13)により特定すると、
異常箇所2の超音波センサ3aからの導管1に沿った距
離xは9.42mとなった。
【0212】このように、式(2)の周波数特性を持つ
フィルタを用いてクロススペクトルをフィルタリングす
ることにより、異常箇所2の位置を精度良く特定するこ
とができた。
【0213】前処理部72aにおけるフィルタに、式
(3)の周波数特性を持つフィルタを用いてクロススペ
クトルをフィルタリングして求めたフィルタリングされ
たクロススペクトルの絶対値を図16に示す。図16
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図16(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。式
(3)における実数jは自然対数の底であるe=2.7
182818・・・とした。
【0214】図16のフィルタリングされたクロススペ
クトルを逆フーリエ変換して求めた相互相関関数を図1
7に示す。図17(a)は超音波センサ3aと超音波セ
ンサ3bの組み合わせに関するもの、図17(b)は超
音波センサ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関す
るものである。
【0215】図17の相互相関関数を包絡線検波して求
めた包絡線を図18に示す。図18(a)は超音波セン
サ3aと超音波センサ3bの組み合わせに関するもの、
図18(b)は超音波センサ3aと超音波センサ3cの
組み合わせに関するものである。
【0216】図18(a)において、包絡線がピークに
なるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延
時間τabは0.50ms、図18(b)において、包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τacは6.63msである。これら
の遅延時間から、図3における異常箇所2の位置を式
(13)により特定すると、異常箇所2の超音波センサ
3aからの導管1に沿った距離xは9.49mとなっ
た。
【0217】図18の包絡線を求める過程を予め決めら
れた繰り返し回数Mだけ繰り返し、それらを平均化して
求めた平均化された包絡線を図19に示す。図19
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図19(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0218】図19(a)において、平均化された包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τabは0.54ms、図19(b)に
おいて、平均化された包絡線がピークになるときの超音
波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacは
6.46msである。これらの遅延時間から、図3にお
ける異常箇所2の位置を式(13)により特定すると、
異常箇所2の超音波センサ3aからの導管1に沿った距
離xは9.44mとなった。
【0219】このように、式(3)の周波数特性を持つ
フィルタを用いてクロススペクトルをフィルタリングす
ることにより、異常箇所2の位置を精度良く特定するこ
とができた。また、予め決められた繰り返し回数Mだけ
受信を繰り返し、包絡線を平均化することにより、特定
精度がさらに向上する効果が見られた。
【0220】前処理部72aにおけるフィルタに、式
(4)の周波数特性を持つフィルタを用いてクロススペ
クトルをフィルタリングして求めたフィルタリングされ
たクロススペクトルの絶対値を図20に示す。図20
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図20(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。式
(4)における実数kは2とした。
【0221】図20のフィルタリングされたクロススペ
クトルを逆フーリエ変換して求めた相互相関関数を図2
1に示す。図21(a)は超音波センサ3aと超音波セ
ンサ3bの組み合わせに関するもの、図21(b)は超
音波センサ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関す
るものである。
【0222】図21の相互相関関数を包絡線検波して求
めた包絡線を図22に示す。図22(a)は超音波セン
サ3aと超音波センサ3bの組み合わせに関するもの、
図22(b)は超音波センサ3aと超音波センサ3cの
組み合わせに関するものである。
【0223】図22(a)において、包絡線がピークに
なるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延
時間τabは0.63ms、図22(b)において、包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τacは6.29msである。これら
の遅延時間から、図3における異常箇所2の位置を式
(13)により特定すると、異常箇所2の超音波センサ
3aからの導管1に沿った距離xは9.34mとなっ
た。
【0224】図22の包絡線を求める過程を予め決めら
れた繰り返し回数Mだけ繰り返し、それらを平均化して
求めた平均化された包絡線を図23に示す。図23
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図23(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0225】図23(a)において、平均化された包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τabは0.71ms、図23(b)に
おいて、平均化された包絡線がピークになるときの超音
波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacは
6.29msである。これらの遅延時間から、図3にお
ける異常箇所2の位置を式(13)により特定すると、
異常箇所2の超音波センサ3aからの導管1に沿った距
離xは9.26mとなった。
【0226】このように、式(4)の周波数特性を持つ
フィルタを用いてクロススペクトルをフィルタリングす
ることにより、異常箇所2の位置を精度良く特定するこ
とができた。また、予め決められた繰り返し回数Mだけ
受信を繰り返し、包絡線を平均化することにより、特定
精度がさらに向上する効果が見られた。
【0227】次に、前処理部72aにおけるフィルタ
に、式(1)における|γ(f)|iの周波数特性と、
式(3)におけるlogj(|C(f)|)、および式
(4)における|C(f)|1/kの内、いずれか一方の周
波数特性と、SCOTフィルタの周波数特性とを重み付
けし、これらを乗じた周波数特性を持つフィルタや、式
(3)におけるlogj(|C(f)|)、および式
(4)における|C(f)|1/kの内、いずれか一方の周
波数特性において、式(2)のように、コヒーレンシィ
γ(f)の絶対値がある閾値以下になる周波数成分が0
とするような周波数特性と、SCOTフィルタの周波数
特性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特性を持つ
フィルタの例として、式(1)における|γ(f)|i
の周波数特性と、式(3)におけるlogj(|C(f)
|)の周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特性と
を1:1:1で重み付けし、これらを乗じた式(15)
の周波数特性H6(f)を持つフィルタを用いてクロス
スペクトルをフィルタリングして求めたフィルタリング
されたクロススペクトルの絶対値を図24に示す。
【0228】図24(a)は超音波センサ3aと超音波
センサ3bの組み合わせに関するもの、図24(b)は
超音波センサ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関
するものである。式(15)における実数iは1、実数
jは自然対数の底であるe=2.7182818・・・
とした。
【0229】
【数63】
【0230】図24のフィルタリングされたクロススペ
クトルを逆フーリエ変換して求めた相互相関関数を図2
5に示す。図25(a)は超音波センサ3aと超音波セ
ンサ3bの組み合わせに関するもの、図25(b)は超
音波センサ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関す
るものである。
【0231】図25の相互相関関数を包絡線検波して求
めた包絡線を図26に示す。図26(a)は超音波セン
サ3aと超音波センサ3bの組み合わせに関するもの、
図26(b)は超音波センサ3aと超音波センサ3cの
組み合わせに関するものである。
【0232】図26(a)において、包絡線がピークに
なるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延
時間τabは0.54ms、図26(b)において、包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τacは6.42msである。これら
の遅延時間から、図3における異常箇所2の位置を式
(13)により特定すると、異常箇所2の超音波センサ
3aからの導管1に沿った距離xは9.44mとなっ
た。
【0233】図26の包絡線を求める過程を予め決めら
れた繰り返し回数Mだけ繰り返し、それらを平均化して
求めた平均化された包絡線を図27に示す。図27
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図27(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0234】図27(a)において、平均化された包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τabは0.58ms、図27(b)に
おいて、平均化された包絡線がピークになるときの超音
波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacは
6.25msである。これらの遅延時間から、図3にお
ける異常箇所2の位置を式(13)により特定すると、
異常箇所2の超音波センサ3aからの導管1に沿った距
離xは9.39mとなった。
【0235】このように、式(1)における|γ(f)
iの周波数特性と、式(3)におけるlogj(|C
(f)|)、および式(4)における|C(f)|1/k
内、いずれか一方の周波数特性と、SCOTフィルタの
周波数特性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特性
を持つフィルタや、式(3)におけるlogj(|C
(f)|)、および式(4)における|C(f)|1/k
内、いずれか一方の周波数特性において、式(2)のよ
うに、コヒーレンシィγ(f)の絶対値がある閾値以下
になる周波数成分が0とするような周波数特性と、SC
OTフィルタの周波数特性とを重み付けし、これらを乗
じた周波数特性を持つフィルタの例として、式(1)に
おける|γ(f)|iの周波数特性と、式(3)におけ
るlogj(|C(f)|)の周波数特性と、SCOTフ
ィルタの周波数特性とを1:1:1で重み付けし、これ
らを乗じた式(15)の周波数特性H6(f)を持つフ
ィルタを用いてクロススペクトルをフィルタリングする
ことにより、異常箇所2の位置を精度良く特定すること
ができた。また、予め決められた繰り返し回数Mだけ受
信を繰り返し、包絡線を平均化することにより、特定精
度がさらに向上する効果が見られた。
【0236】なお、比較のため、前処理部72aにおい
て、クロススペクトルをフィルタリングするためのフィ
ルタを用いずに処理を行った時の結果を以下に示す。前
処理部72aにおいて、クロススペクトルをフィルタリ
ングするためのフィルタを用いずに、クロススペクトル
を逆フーリエ変換して求めた相互相関関数を図28に示
す。図28(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3
bの組み合わせに関するもの、図28(b)は超音波セ
ンサ3aと超音波センサ3cの組み合わせに関するもの
である。
【0237】図28の相互相関関数を包絡線検波して求
めた包絡線を図29に示す。図29(a)は超音波セン
サ3aと超音波センサ3bの組み合わせに関するもの、
図29(b)は超音波センサ3aと超音波センサ3cの
組み合わせに関するものである。
【0238】図29(a)において、包絡線がピークに
なるときの、超音波センサ3aでの受信時間に対する遅
延時間τabは4.42ms、図29(b)において、包
絡線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時
間に対する遅延時間τacは6.29msである。これ
らの遅延時間から、図3における異常箇所2の位置を式
(13)により特定すると、異常箇所2の超音波センサ
3aからの導管1に沿った距離xは−1.91mとなっ
た。
【0239】図29の包絡線を求める過程を予め決めら
れた繰り返し回数Mだけ繰り返し、それらを平均化して
求めた平均化された包絡線を図30に示す。図30
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図30(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0240】図30(a)において、平均化された包絡
線がピークになるときの、超音波センサ3aでの受信時
間に対する遅延時間τabは4.42ms、図30(b)
において、平均化された包絡線がピークになるときの超
音波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacは
6.21msである。これらの遅延時間から、図3にお
ける異常箇所2の位置を式(13)により特定すると、
異常箇所2の超音波センサ3aからの導管1に沿った距
離xは−2.46mとなった。
【0241】このように、前処理部72aにおいて、ク
ロススペクトルをフィルタリングするためのフィルタを
用いずに処理を行った場合、包絡線の平均化を行わない
場合、行った場合とも、異常箇所2の位置を精度良く特
定することはできなかった。
【0242】さらに、比較のため、前処理部72aにお
けるフィルタにSCOTフィルタのみを用いて処理を行
った時の結果を以下に示す。前処理部72aにおけるフ
ィルタに、SCOTフィルタのみを用いてクロススペク
トルをフィルタリングして求めたフィルタリングされた
クロススペクトルの絶対値を図31に示す。図31
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図31(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0243】図31のクロススペクトルを逆フーリエ変
換して求めた相互相関関数を図32に示す。図32
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図32(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0244】図32の相互相関関数を包絡線検波して求
めた包絡線を図33に示す。図33(a)は超音波セン
サ3aと超音波センサ3bの組み合わせに関するもの、
図33(b)は超音波センサ3aと超音波センサ3cの
組み合わせに関するものである。
【0245】図33(a)において、包絡線がピークに
なるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延
時間τabは0.63ms、図33(b)において、包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τacは−0.04msである。これ
らの遅延時間から、図3における異常箇所2の位置を式
(13)により特定すると、異常箇所2の超音波センサ
3aからの導管1に沿った距離xは14.6mとなっ
た。
【0246】図33の包絡線を求める過程を予め決めら
れた繰り返し回数Mだけ繰り返し、それらを平均化して
求めた平均化された包絡線を図34に示す。図34
(a)は超音波センサ3aと超音波センサ3bの組み合
わせに関するもの、図34(b)は超音波センサ3aと
超音波センサ3cの組み合わせに関するものである。
【0247】図34(a)において、平均化された包絡
線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間
に対する遅延時間τabは0.50ms、図34(b)に
おいて、平均化された包絡線がピークになるときの超音
波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacは−
0.08msである。これらの遅延時間から、図3にお
ける異常箇所2の位置を式(13)により特定すると、
異常箇所2の超音波センサ3aからの導管1に沿った距
離xは14.21mとなった。
【0248】このように、前処理部72aにおけるフィ
ルタにSCOTフィルタのみを用いて処理を行った場
合、包絡線の平均化を行わない場合、行った場合とも、
異常箇所2の位置を精度良く特定することはできなかっ
た。
【0249】以上の実験結果から、この発明の実施の形
態1における信号処理部72の前処理部72aにおける
信号処理により、導管の異常箇所を、従来よりも精度良
く特定できることが実験的にも確認された。さらに、後
処理部72cにおける信号処理により、導管の異常箇所
の特定を従来よりも安定して特定できることが、実験的
にも確認された。
【0250】また、以上述べた実験結果から、この発明
の実施の形態1における信号処理法により、漏洩音の周
波数帯域が未知な場合であっても、異常箇所2の位置を
精度良く特定できることが実験的にも確認された。
【0251】この発明の実施の形態1においては、従来
とは異なり、相関処理の前処理に、式(1)の周波数特
性を持つフィルタと、式(2)の周波数特性を持つフィ
ルタと、式(3)の周波数特性を持つフィルタと、式
(4)の周波数特性を持つフィルタと、式(1)におけ
る|γ(f)|iの周波数特性と、式(3)におけるl
ogj(|C(f)|)、および式(4)における|C
(f)|1/kの内、いずれか一方の周波数特性と、SCO
Tフィルタの周波数特性とを重み付けし、これらを乗じ
た周波数特性を持つフィルタや、式(3)におけるlo
j(|C(f)|)、および式(4)における|C(f)
|1/kの内、いずれか一方の周波数特性において、式
(2)のように、コヒーレンシィγ(f)がある閾値以
下になる周波数成分が0とするような周波数特性と、S
COTフィルタの周波数特性とを重み付けし、これらを
乗じた周波数特性を持つフィルタとの内のいずれか一
つ、または、二つ以上の周波数特性を持つフィルタを持
ち合わせているので、漏洩音の周波数帯域が未知な場合
であっても異常箇所2の位置を精度良く特定することが
できる。
【0252】また、一定位置の発信源からの時間的に連
続的な信号が漏洩音で、移動する発信源からの時間的に
不連続な信号が雑音であれば、移動する発信源の移動速
度が小さく、SCOTフィルタのみでは、雑音が支配的
な周波数成分を十分に抑圧できないような場合であって
も、漏洩箇所の位置を精度良く特定することができる。
【0253】また、一定位置の発信源からの時間的に連
続的な信号が、漏洩音だけでなく、工場からの機械音や
停止している車のエンジン音のような雑音であり、この
雑音が支配的になっている周波数成分に関しても、精度
良く漏洩箇所の特定を行うことができる。
【0254】さらに、相互相関関数の包絡線を、複数回
の繰り返し測定から平均化するという平均化処理をさら
に行うことによって、漏洩音や雑音が、ランダムで周期
性のない信号であるという問題を克服することができ、
異常箇所2の位置の特定を安定して行うことができる。
【0255】実施の形態2.次に、この発明の実施の形
態2に係る異常箇所検出装置について説明する。この実
施の形態2に係る異常箇所検出装置は、図1に示す実施
の形態2と同様な構成を備えるが、信号処理部72内の
前処理部72aは、式(1)で表される周波数特性H1
(f)を持つフィルタと、式(2)で表される周波数特
性H2(f)を持つフィルタと、式(3)で表される周
波数特性H3(f)を持つフィルタと、式(4)で表さ
れる周波数特性H4(f)を持つフィルタの他に、後述
する周波数特性を持つフィルタの内、いずれか一つまた
は二つ以上のフィルタを含んでいる。
【0256】すなわち、信号処理部72内の前処理部7
2aは、周波数特性H1(f)を持つフィルタと、周波
数特性H2(f)を持つフィルタと、周波数特性H
3(f)を持つフィルタと、周波数特性H4(f)を持つ
フィルタと、σabs(f)を上記3つの超音波センサ3
a、3b及び3cの内、ある2つのセンサで受信した2
つの受信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割さ
れた複数個の受信信号間の分散とし、σφ(f)を上記
2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペク
トルの位相差の分割された複数個の受信信号間の分散と
して、
【0257】
【数64】
【0258】で表わされる周波数特性H7(f)を持つ
フィルタと、上記3つの超音波センサ3a、3b及び3
cの内、ある2つのセンサで受信した2つの受信信号の
周波数スペクトルの振幅の絶対値の比の分割された複数
個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つのセン
サで受信した受信信号の周波数スペクトルの位相差の分
割された複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積に
関する閾値をσl(f)とし、
【0259】
【数65】
【0260】で表わされる周波数特性H8(f)を持つ
フィルタと、式(1)における|γ(f)|i、および
式(16)における{1/(σabs(f)・σ
φ(f))}iの内、いずれか一方の周波数特性と、式
(3)におけるlogj(|C(f)|)及び式(4)に
おける|C(f)|1/kの内、いずれか一方の周波数特性
と、SCOTフィルタの周波数特性とを重み付けし、こ
れらを乗じた周波数特性を持つフィルタや、式(3)に
おけるlogj(|C(f)|)、および式(4)におけ
る|C(f)|1/kの内、いずれか一方の周波数特性にお
いて、式(2)のように、コヒーレンシィγ(f)の絶
対値が予め決められた閾値以下になる周波数成分が0と
するような周波数特性、もしくは、式(17)のよう
に、上記3つの超音波センサの内、ある2つのセンサで
受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの絶対値の
比の分割された複数個の受信信号間の分散σabs(f)
と、上記2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波
数スペクトルの位相差の分割された複数個の受信信号間
の分散σφ(f)との積が予め決められた閾値以上にな
る周波数成分が0とするような周波数特性と、SCOT
フィルタの周波数特性とを重み付けし、これらを乗じた
周波数特性を持つフィルタと、の内、いずれか一つある
いは2つ以上を含んでいる。
【0261】さらに、下限周波数をfsとし、上限周波
数をfeとして、式(5)で表わされる周波数特性H5
(f)を持つバンドパスフィルタを含んでいる。
【0262】上記前処理部72aが含んでいるフィルタ
特性において、式(5)における下限周波数fsおよび
上限周波数feは、予備実験の結果に応じて決定され、
制御部74にこれら値が入力される。また、式(1)に
おける実数i、式(2)におけるコヒーレンシィの絶対
値に関する閾値γl(f)、式(3)における実数j、
式(4)における実数k、および式(17)における上
記3つの超音波センサの内のある2つのセンサで受信し
た2つの受信信号の周波数スペクトルの振幅の絶対値の
比の分割された複数個の受信信号間の分散σabs(f)
と、上記2つのセンサで受信した受信信号の周波数スペ
クトルの位相差の分割された複数個の受信信号間の分散
σφ(f)との積に関する閾値をσl(f)も、同様の
予備実験の結果に応じて決定される。
【0263】この予備実験は、異常箇所2が存在する場
合と、実質上、存在しない場合について、この実施の形
態2に係る異常箇所検出装置と同じか、または、同様の
異常箇所検出装置を用いて行われる。このような予備実
験から得られた統計データから、検査の状況に応じて、
異常箇所2の有無や異常箇所2の位置の検出を最も精度
よく行なえるような、式(1)における実数i、式
(2)におけるコヒーレンシィの絶対値に関する閾値γ
l(f)、式(3)における実数j、式(4)における
実数k、および式(17)における上記3つの超音波セ
ンサの内のある2つのセンサで受信した2つの受信信号
の周波数スペクトルの振幅の絶対値の比の分割された複
数個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つのセ
ンサで受信した受信信号の周波数スペクトルの位相差の
分割された複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積
に関する閾値をσl(f)も、同様の予備実験の結果に
応じて決定される。
【0264】また、実施の形態2と同様に、漏洩音が導
管1を伝搬するときの伝搬速度が既知であれば、超音波
センサ3a、3b、3cの3つの内、2つの超音波セン
サの間が地表上に露出していてその間に異常箇所がない
ことが目視により判断できる領域等の異常箇所2がない
ことが既知である領域である2つの超音波センサの内の
一つ、例えば、図1における超音波センサ3cを取り除
いても、異常箇所2の有無、異常箇所2の位置の特定を
行うことができる。このような場合であれば、超音波セ
ンサ3a、3b、および3cの内の一つを取り除くこと
により、検査を容易にし、検査システムを廉価にできる
という効果がある。
【0265】また、この実施の形態2に係る異常箇所検
出装置は、実施の形態2と同様に、図2に示すフローチ
ャートに従って動作し、同様な効果を奏する。なお、そ
の詳細な説明は省略する。また、この発明の実施の形態
2における異常箇所検出装置の信号処理部の前処理部7
2aにおいては、式(1)における|γ(f)|iの周
波数特性と、式(3)におけるlogj(|C(f)
|)、および式(4)における|C(f)|1/kの内、いず
れか一方の周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特
性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特性を持つフ
ィルタや、式(3)におけるlogj(|C(f)|)、
および式(4)における|C(f)|1/kの内、いずれか
一方の周波数特性において、式(2)のように、コヒー
レンシィγ(f)の絶対値がある閾値以下になる周波数
成分が0とするような周波数特性と、SCOTフィルタ
の周波数特性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特
性を持つフィルタを用いても良い。
【0266】このようなフィルタを用いることにより、
式(1)や式(2)の周波数特性のフィルタが持つ効果
と、式(3)や式(4)の周波数特性のフィルタが持つ
効果とを兼ね備えた効果が得られる。なお、上記周波数
特性に対する重みの係数については、上述したものと同
様の予備実験からきめればよい。
【0267】次に、ある周波数fにおける、2つの超音
波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルの絶対
値の比An/Bnの分割されたN個のデータの間の分散
をσ abs(f)、2つの超音波センサで受信した受信信
号の周波数スペクトルの位相差φan−φbnの分割さ
れたN個にデータに関する分散をσφ(f)とし、
【0268】
【数66】
【0269】で表される周波数特性を持つ関数σ'
(f)について説明する。この関数σ'(f)は、2つ
の超音波センサで受信した受信信号において、振幅比と
位相差が、N個に分割されたデータの間での分散が小さ
い、つまり、時間的なばらつきが小さい周波数成分ほど
大きな値を持つ関数である。したがって、式(18)の
周波数特性は、2つの超音波センサで受信される受信信
号の周波数スペクトルの各周波数成分において、漏洩音
や、工場の機械音や停止している車のエンジン音のよう
な、一定位置の発信源からの時間的に連続的な信号と、
自動車の走行音、水道使用音や管内流水音といった雑音
等の移動する発信源からの信号であるか、時間的に不連
続的な信号であるかの、少なくともどちらかの性質を持
つ信号とのレベル比を反映した関数である。つまり、式
(18)の関数σ'(f)の物理的な意味は、コヒーレ
ンシィの絶対値|γ(f)|の物理的な意味と同じであ
る。
【0270】したがって、クロススペクトルC(f)
は、式(1)において、コヒーレンシィの絶対値|γ
(f)|に式(18)の右辺を代入し、式(16)の周
波数特性を持つフィルタによりフィルタリングしても、
式(1)の周波数特性を持つフィルタによりフィルタリ
ングを行った場合と同様の効果が得られる。
【0271】また、クロススペクトルC(f)は、式
(2)において、コヒーレンシィの絶対値|γ(f)|
に式(18)の右辺を代入し、式(17)の周波数特性
を持つフィルタによりフィルタリングしても、式(2)
の周波数特性を持つフィルタによりフィルタリングを行
った場合と同様の効果が得られる。
【0272】さらに、この発明の実施の形態2における
異常箇所検出装置の信号処理部の前処理部72aにおい
ては、式(16)における{1/(σabs(f)・σφ
(f))}iの周波数特性と、式(3)におけるlogj
(|C(f)|)、および式(4)における|C(f)|
1/kの内、いずれか一方の周波数特性と、SCOTフィ
ルタの周波数特性とを重み付けし、これらを乗じた周波
数特性を持つフィルタや、式(3)におけるlogj(|
C(f)|)、および式(4)における|C(f)|1/k
内、いずれか一方の周波数特性において、式(17)の
ように、2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波
数スペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受信信
号間の分散σabs(f)と、2つのセンサで受信した2
つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の分割された
複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積に関する閾
値σl(f)が、ある閾値以上になる周波数成分が0と
するような周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特
性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特性を持つフ
ィルタを用いても良い。
【0273】このようなフィルタを用いることにより、
式(16)や式(17)の周波数特性のフィルタが持つ
効果と、式(3)や式(4)の周波数特性のフィルタが
持つ効果とを兼ね備えた効果が得られる。なお、上記周
波数特性に対する重みの係数については、上述したもの
と同様の予備実験からきめればよい。
【0274】この発明の実施の形態2においては、以上
述べた前処理部72aにおけるフィルタリングにより、
漏洩音の周波数帯域が未知な場合であっても、漏洩音を
効率良く抽出できるので、式(5)の周波数特性を持つ
バンドパスフィルタは、特に用いなくても良い。したが
って、前処理部72aにおいて、式(5)の周波数特性
を持つバンドパスフィルタは取り除いても良い。これに
より、前処理部72aの構成を簡易にし、装置全体を廉
価にできるという効果がある。なお、漏洩音の周波数帯
域が既知であれば、フィルタリングされたクロススペク
トルを、さらに式(5)のバンドパスフィルタによって
フィルタリングする。これにより、漏洩音の周波数帯域
の範囲外の周波数成分を持つ雑音を完全に除去すること
ができる。
【0275】この実施の形態2における異常箇所2の位
置の特定方法に関して、その効果を確認する実験結果
は、実施の形態1と同様に、図3から図34に示され
る。この実施の形態2において、前処理部におけるフィ
ルタに、式(1)における|γ(f)|i、および式
(16)における{1/(σabs(f)・σ
φ(f))}iの内、いずれか一方の周波数特性と、式
(3)におけるlogj(|C(f)|)及び式(4)に
おける|C(f)|1/kの内、いずれか一方の周波数特性
と、SCOTフィルタの周波数特性とを重み付けし、こ
れらを乗じた周波数特性を持つフィルタや、式(3)に
おけるlogj(|C(f)|)、および式(4)におけ
る|C(f)|1/kの内、いずれか一方の周波数特性にお
いて、式(2)のように、コヒーレンシィγ(f)の絶
対値が予め決めれれた閾値以下になる周波数成分が0と
するような周波数特性、もしくは、式(17)のよう
に、上記3つの超音波センサの内、ある2つのセンサで
受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの絶対値の
比の分割された複数個の受信信号間の分散σabs(f)
と、上記2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波
数スペクトルの位相差の分割された複数個の受信信号間
の分散σφ(f)との積が予め決めれれた閾値以上にな
る周波数成分が0とするような周波数特性と、SCOT
フィルタの周波数特性とを重み付けし、これらを乗じた
周波数特性を持つフィルタの例として、式(1)におけ
る|γ(f)|iの周波数特性と、式(3)におけるl
ogj(|C(f)|)の周波数特性と、SCOTフィル
タの周波数特性とを1:1:1で重み付けし、これらを
乗じた式(15)の周波数特性H6(f)を持つフィル
タを用いてクロススペクトルをフィルタリングして求め
たフィルタリングされたクロススペクトルの絶対値は、
図24に示す実施の形態1と同様なものを得ることがで
き、異常箇所2の位置を精度良く特定することができ
る。また、予め決められた繰り返し回数Mだけ受信を繰
り返し、包絡線を平均化することにより、特定精度がさ
らに向上する効果が見られた。
【0276】このように、この発明の実施の形態2にお
いては、従来とは異なり、相関処理の前処理に、式
(1)の周波数特性を持つフィルタと、式(2)の周波
数特性を持つフィルタと、式(3)の周波数特性を持つ
フィルタと、式(4)の周波数特性を持つフィルタと、
式(16)の周波数特性を持つフィルタと、式(17)
の周波数特性を持つフィルタと、式(1)における|γ
(f)|iおよび式(16)における{1/(σ
abs(f)・σφ(f))}iの内、いずれか一つの周波
数特性を持つフィルタと、式(3)におけるlogj(|
C(f)|)、および式(4)における|C(f)|1/k
内、いずれか一方の周波数特性と、SCOTフィルタの
周波数特性とを重み付けし、これらを乗じた周波数特性
を持つフィルタや、式(3)におけるlogj(|C
(f)|)、および式(4)における|C(f)|1/k
内、いずれか一方の周波数特性において、式(2)もし
くは式(17)のように、コヒーレンシィγ(f)の絶
対値が予め決めれれた閾値以下になる周波数成分が0と
するような周波数特性、もしくは、上記2つのセンサで
受信した受信信号の周波数スペクトルの振幅の絶対値の
比の、分割された複数個の受信信号間の分散σ
abs(f)と、上記2つのセンサで受信した受信信号の
周波数スペクトルの位相差の分割された複数個の受信信
号間の分散σφ(f)との積が予め決められたある閾値
以上になる周波数成分が0とするような周波数特性と、
SCOTフィルタの周波数特性とを重み付けし、これら
を乗じた周波数特性を持つフィルタとの内のいずれか一
つ、または、二つ以上の周波数特性を持つフィルタを持
ち合わせているので、漏洩音の周波数帯域が未知な場合
であっても異常箇所2の位置を精度良く特定することが
できる。
【0277】また、一定位置の発信源からの時間的に連
続的な信号が漏洩音で、移動する発信源からの時間的に
不連続な信号が雑音であれば、移動する発信源の移動速
度が小さく、SCOTフィルタのみでは、雑音が支配的
な周波数成分を十分に抑圧できないような場合であって
も、漏洩箇所の位置を精度良く特定することができる。
【0278】また、一定位置の発信源からの時間的に連
続的な信号が、漏洩音だけでなく、工場からの機械音や
停止している車のエンジン音のような雑音であり、この
雑音が支配的になっている周波数成分に関しても、精度
良く漏洩箇所の特定を行うことができる。
【0279】さらに、相互相関関数の包絡線を、複数回
の繰り返し測定から平均化するという平均化処理をさら
に行うことによって、漏洩音や雑音が、ランダムで周期
性のない信号であるという問題を克服することができ、
異常箇所2の位置の特定を、安定して行うことができ
る。
【0280】上述した実施の形態2に係る異常箇所検出
装置は、実施の形態1と同様な実施形態を採用すること
ができ、要約すれば次の通りとなる。 1.被検査管に異常箇所が存在することにより発生する
漏洩音を受信するための3つの超音波センサを備えると
共に、これらの超音波センサによる漏洩音の受信信号を
それぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部
に、fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、上
記3つの超音波センサの内、ある2つのセンサで受信し
た受信信号から求めたコヒーレンシィをγ(f)、上記
2つのセンサの内の片方の超音波センサで受信した受信
信号から求めたパワースペクトルをC11(f)、上記2
つの超音波センサの他方で受信した受信信号から求めた
パワースペクトルをC22(f)として、式(1)で表わ
される周波数特性H1(f)を持ち、漏洩音の受信信号
から求めたクロススペクトルをフィルタリングするため
のフィルタAと、上記コヒーレンシィγ(f)の絶対値
に関する予め決められた閾値をγ1(f)として、式
(2)で表わされる周波数特性H2(f)を持つフィル
タBと、jを0以上のある実数、上記3つの超音波セン
サの内、2つのセンサで受信した受信信号から求めたク
ロススペクトルをC(f)として、式(3)で表わされ
る周波数特性H3(f)を持つフィルタCと、kを1以
上のある実数として、式(4)で表わされる周波数特性
4(f)を持つフィルタDと、σa bs(f)を上記3つ
の超音波センサの内、ある2つのセンサで受信した2つ
の受信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割され
た複数個の受信信号間の分散とし、σφ(f)を上記2
つのセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクト
ルの位相差の分割された複数個の受信信号間の分散とし
て、式(16)で表わされる周波数特性H7(f)を持
つフィルタEと、上記3つの超音波センサの内、ある2
つのセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクト
ルの絶対値の比の分割された複数個の受信信号間の分散
σabs(f)と、上記2つのセンサで受信した2つの受
信信号の周波数スペクトルの位相差の分割された複数個
の受信信号間の分散σφ(f)との積に関する閾値をσ
l(f)とし、式(17)で表わされる周波数特性H
8(f)を持つフィルタFと、上記6つの式の内、少な
くともlogj(|C(f)|)と|C(f)|1/kのいずれ
か1つの周波数特性と、SCOT(Smoothed Coherence
TrAnsform)フィルタの周波数特性とをそれぞれ重み
付けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波
数特性を持つフィルタGとの内、一つまたは二つ以上の
フィルタを含む前処理部と、上記前処理部により前処理
された信号から相互相関関数を演算する相関処理部とを
備える。
【0281】2.上記フィルタGは、|γ(f)|i
よび{1/(σabs(f)・σφ(f))}iの内、いず
れか一つの周波数特性と、logj(|C(f)|)、お
よび|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付
けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数
特性を持つフィルタ、または、logj(|C(f)
|)、および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数
特性において、コヒーレンシィγ(f)の絶対値が予め
決められたある閾値以下になる周波数成分が0とするよ
うな周波数特性、もしくは、上記3つの超音波センサの
内、ある2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波
数スペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受信信
号間の分散σabs(f)と、上記2つのセンサで受信し
た2つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の分割さ
れた複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積関する
閾値σl(f)がある閾値以上になる周波数成分が0と
するような周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特
性とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの周波
数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタのいずれかで
ある。
【0282】3.上記前処理部は、下限周波数をfs、
上限周波数をfeとして、式(5)で表わされる周波数
特性H5(f)を持つバンドパスフィルタをさらに含
む。
【0283】4.上記前処理部は、異常箇所が存在する
場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
基づいて上記実数i、j、kおよび上記コヒーレンシィ
γ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
l(f)、上記3つの超音波センサの内、ある2つのセ
ンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの絶
対値の比の分割された複数個の受信信号間の分散σabs
(f)と、上記2つのセンサで受信した2つの受信信号
の周波数スペクトルの位相差の分割された複数個の受信
信号間の分散σφ(f)との積に関する閾値σl(f)
を決定する。
【0284】5.上記信号処理部は、上記相関処理部に
より演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予
め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関
関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備える。
【0285】6.上記後処理部は、上記平均化された相
互相関関数の包絡線のピーク値と、予め決められたある
閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定する。
【0286】7.上記後処理部は、3つの超音波センサ
の内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号につ
いての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピーク
になる時間と、3つの超音波センサの内、上記2つの超
音波センサの片方のセンサと上記2つの超音波センサ以
外の超音波センサとで受信した受信信号についての上記
平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間
と、上記3つの超音波センサの各離間距離とから異常箇
所の位置を特定する。
【0287】8.上記後処理部は、異常箇所が存在する
場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピー
ク値に関する閾値を決定する。
【0288】9.被検査管に異常箇所が存在することに
より発生する漏洩音を受信するための2つの超音波セン
サを備えると共に、これら超音波センサによる漏洩音の
受信信号をそれぞれ受信部を介して入力し信号処理する
信号処理部に、fを受信信号の周波数、iを0以上のあ
る実数、上記2つの超音波センサで受信した受信信号か
ら求めたコヒーレンシィをγ(f)、上記2つのセンサ
の内の片方の超音波センサで受信した受信信号から求め
たパワースペクトルをC11(f)とし、上記2つの超音
波センサの他方で受信した受信信号から求めたパワース
ペクトルをC22(f)として、式(1)で表わされる周
波数特性H1(f)を持ち、漏洩音の受信信号から求め
たクロススペクトルをフィルタリングするためのフィル
タAと、上記コヒーレンシィγ(f)の絶対値に関する
予め決められた閾値をγl(f)として、式(2)で表
わされる周波数特性H2(f)を持つフィルタBと、j
を0以上のある実数、上記2つのセンサで受信した受信
信号から求めたクロススペクトルをC(f)として、式
(3)で表わされる周波数特性H3(f)を持つフィル
タCと、kを1以上のある実数として、式(4)で表わ
される周波数特性H 4(f)を持つフィルタDと、σabs
(f)を上記2つのセンサで受信した2つの受信信号の
周波数スペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受
信信号間の分散とし、σφ(f)を上記2つのセンサで
受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の
分割された複数個の受信信号間の分散として、式(1
6)で表わされる周波数特性H7(f)を持つフィルタ
Eと、上記2つのセンサで受信した2つの受信信号の周
波数スペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受信
信号間の分散σabs(f)と、上記2つのセンサで受信
した2つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の分割
された複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積に関
する閾値をσl(f)とし、式(17)で表わされる周
波数特性H8(f)を持つフィルタFと、上記6つの式
の内、少なくともlogj(|C(f)|)と|C(f)|
1/kのいずれか1つの周波数特性と、SCOT(Smoothe
d Coherence TrAnsform)フィルタの周波数特性とを
それぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの周波数特性
を乗じた周波数特性を持つフィルタGとの内、一つまた
は二つ以上のフィルタを含む前処理部と、上記前処理部
により前処理された信号から相互相関関数を演算する相
関処理部とを備える。
【0289】10.上記フィルタGは、|γ(f)|i
および{1/(σabs(f)・σφ(f))}iの内、い
ずれか一つの周波数特性と、logj(|C(f)|)、
および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付
けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数
特性を持つフィルタ、またはlogj(|C(f)|)、
および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
において、コヒーレンシィγ(f)の絶対値が予め決め
られたある閾値以下になる周波数成分が0となるような
周波数特性、もしくは上記2つのセンサで受信した2つ
の受信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割され
た複数個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つ
のセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトル
の位相差の分割された複数個の受信信号間の分散σ
φ(f)との積に関する閾値σl(f)が、予め決めら
れたある閾値以上になる周波数成分が0とするような周
波数特性と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞ
れ重み付けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じ
た周波数特性を持つフィルタのいずれかである。
【0290】11.上記前処理部は、下限周波数をf
s、上限周波数をfeとして、式(5)で表わされる周
波数特性H5(f)を持つバンドパスフィルタをさらに
含む。
【0291】12.上記前処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記実数i、j、k、上記コヒーレンシィγ
(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
l(f)、および上記2つのセンサで受信した2つの受
信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割された複
数個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つのセ
ンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの位
相差の分割された複数個の受信信号間の分散σφ(f)
との積に関する閾値σl(f)を決定する。
【0292】13.上記信号処理部は、上記相関処理部
により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに
予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相
関関数の包絡線を平均化する後処理部を備える。
【0293】14.上記後処理部は、上記平均化された
相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある
閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定する。
【0294】15.上記後処理部は、2つの超音波セン
サで受信した受信信号についての上記平均化された相互
相関関数の包絡線がピークになる時間と、被検査管を漏
洩音が伝搬するときの伝搬速度と、上記2つの超音波セ
ンサの各離間距離とから異常箇所の位置を特定する。
【0295】16.上記後処理部は、異常箇所が存在す
る場合としない場合の予備実験から得られる統計データ
に基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピ
ーク値に関する閾値を決定する。
【0296】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、異常
箇所からの漏洩音の特徴と、導管の異常箇所の検査の際
にしばしば問題となるような雑音の特徴とを、十分に考
慮した前処理を施し、その後に相関処理を行い、さらに
後処理を行うようにすることにより、雑音中に含まれる
導管からの漏洩音を、漏洩音の周波数帯域が未知であ
り、且つ、導管の漏洩箇所の検査においてしばしば問題
となるような雑音が存在するような場合であっても、漏
洩音を効率良く抽出し、導管に存在する異常箇所の存在
の有無と位置を精度良く特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1及び2による漏洩箇
所検出装置の構成を示す模式図である。
【図2】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法を説明するための説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法を説明するための説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図8】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図9】 この発明の実施の形態1及び2における信号
処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図10】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法を説明するための説明図である。
【図11】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図12】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図13】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図14】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法を説明するための説明図である。
【図15】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図16】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図17】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図18】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法を説明するための説明図である。
【図19】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図20】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図21】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図22】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法を説明するための説明図である。
【図23】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図24】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図25】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図26】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法を説明するための説明図である。
【図27】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図28】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図29】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図30】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法を説明するための説明図である。
【図31】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図32】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図33】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図34】 この発明の実施の形態1及び2における信
号処理方法の効果を説明するための説明図である。
【図35】 従来例に係る漏洩箇所検出装置を説明する
ための構成図である。
【図36】 従来例に係る漏洩箇所検出装置を説明する
ための構成図である。
【符号の説明】
1 導管、2 漏洩箇所、3a 超音波センサ、3b
超音波センサ、3c超音波センサ、4 音圧測定器、5
相関器、6 地中、7 受信装置、71受信部、72
信号処理部、72a 前処理部、72b 相関処理部、
72c 後処理部、73 表示部、74 制御部、8
消火栓、9 レコーダー、10 計算機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 和彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 和高 修三 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 2G067 AA12 DD13 EE02 EE03 EE06

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検査管に異常箇所が存在することによ
    り発生する漏洩音を受信するための3つの超音波センサ
    を備えると共に、 これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞれ
    受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、 fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、上記3
    つの超音波センサの内、ある2つのセンサで受信した受
    信信号から求めたコヒーレンシィをγ(f)、上記2つ
    のセンサの内の片方の超音波センサで受信した受信信号
    から求めたパワースペクトルをC11(f)、上記2つの
    超音波センサの他方で受信した受信信号から求めたパワ
    ースペクトルをC22(f)として、 【数1】 で表わされる周波数特性H1(f)を持ち、漏洩音の受
    信信号から求めたクロススペクトルをフィルタリングす
    るためのフィルタAと、 上記コヒーレンシィγ(f)の絶対値に関する予め決め
    られた閾値をγl(f)として、 【数2】 で表わされる周波数特性H2(f)を持つフィルタB
    と、 jを0以上のある実数、上記3つの超音波センサの内、
    2つのセンサで受信した受信信号から求めたクロススペ
    クトルをC(f)として、 【数3】 で表わされる周波数特性H3(f)を持つフィルタC
    と、 kを1以上のある実数として、 【数4】 で表わされる周波数特性H4(f)を持つフィルタD
    と、 上記4つの式の内、少なくともlogj(|C(f)|)
    と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波数特性と、SC
    OT(Smoothed Coherence Transform)フィルタの周波
    数特性1/√(C11(f)・C22(f))とをそれぞれ
    重み付けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた
    周波数特性を持つフィルタEとの内、一つまたは二つ以
    上のフィルタを含む前処理部と、 上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数
    を演算する相関処理部とを備えたことを特徴とする異常
    箇所検出装置。
  2. 【請求項2】 上記フィルタEは、|γ(f)|iの周
    波数特性、logj(|C(f)|)、および|C(f)|
    1/kの内、いずれか1つの周波数特性と、SCOTフィ
    ルタの周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付けし
    たこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィル
    タ、またはlogj(|C(f)|)、および|C(f)|
    1/kの内、いずれか1つの周波数特性において、コヒー
    レンシィγ(f)の絶対値がある閾値以下になる周波数
    成分が0とするような周波数特性と、SCOTフィルタ
    の周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこ
    れらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタの
    いずれかであることを特徴とする請求項1に記載の異常
    箇所検出装置。
  3. 【請求項3】 上記前処理部は、下限周波数をfs、上
    限周波数をfeとして、 【数5】 で表わされる周波数特性H5(f)を持つバンドパスフ
    ィルタをさらに含むことを特徴とする請求項1または2
    に記載の異常箇所検出装置。
  4. 【請求項4】 上記前処理部は、異常箇所が存在する場
    合としない場合の予備実験から得られる統計データに基
    づいて上記実数i、j、kおよび上記コヒーレンシィγ
    (f)の絶対値に関する予め決められた閾値γl(f)
    を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の異常箇所検出装置。
  5. 【請求項5】 上記信号処理部は、上記相関処理部によ
    り演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予め
    決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関関
    数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の異常箇
    所検出装置。
  6. 【請求項6】 上記後処理部は、上記平均化された相互
    相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある閾値
    との大小関係から異常箇所の有無を判定することを特徴
    とする請求項5に記載の異常箇所検出装置。
  7. 【請求項7】 上記後処理部は、3つの超音波センサの
    内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号につい
    ての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピークに
    なる時間と、3つの超音波センサの内、上記2つの超音
    波センサの片方のセンサと上記2つの超音波センサ以外
    の超音波センサとで受信した受信信号についての上記平
    均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間
    と、上記3つの超音波センサの各離間距離とから異常箇
    所の位置を特定することを特徴とする請求項5または6
    に記載の異常箇所検出装置。
  8. 【請求項8】 上記後処理部は、異常箇所が存在する場
    合としない場合の予備実験から得られる統計データに基
    づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク
    値に関する閾値を決定することを特徴とする請求項5な
    いし7のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
  9. 【請求項9】 被検査管に異常箇所が存在することによ
    り発生する漏洩音を受信するための2つの超音波センサ
    を備えると共に、 これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞれ
    受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、 fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、上記2
    つの超音波センサで受信した受信信号から求めたコヒー
    レンシィをγ(f)、上記2つのセンサの内の片方の超
    音波センサで受信した受信信号から求めたパワースペク
    トルをC11(f)、上記2つの超音波センサの他方で受
    信した受信信号から求めたパワースペクトルをC
    22(f)として、 【数6】 で表わされる周波数特性H1(f)を持ち、漏洩音の受
    信信号から求めたクロススペクトルをフィルタリングす
    るためのフィルタAと、 上記コヒーレンシィγ(f)の絶対値に関する予め決め
    られた閾値をγl(f)として、 【数7】 で表わされる周波数特性H2(f)を持つフィルタB
    と、 jを0以上のある実数、上記2つのセンサで受信した受
    信信号から求めたクロススペクトルをC(f)として、 【数8】 で表わされる周波数特性H3(f)を持つフィルタC
    と、 kを1以上のある実数として、 【数9】 で表わされる周波数特性H4(f)を持つフィルタD
    と、 上記4つの式の内、少なくともlogj(|C(f)|)
    と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波数特性と、SC
    OTフィルタの周波数特性1/√(C11(f)・C
    22(f))とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれ
    らの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタEと
    の内、一つまたは二つ以上のフィルタを含む前処理部
    と、 上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数
    を演算する相関処理部とを備えたことを特徴とする異常
    箇所検出装置。
  10. 【請求項10】 上記フィルタEは、|γ(f)|i
    周波数特性、logj(|C(f)|)、および|C(f)
    |1/kの内、いずれか1つの周波数特性と、SCOTフィ
    ルタの周波数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付けし
    たこれらの周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィル
    タ、またはlogj(|C(f)|)、および|C(f)|
    1/kの内、いずれか1つの周波数特性において、コヒー
    レンシィγ(f)の絶対値がある閾値以下になる周波数
    成分が0とするような周波数特性と、SCOT(Smooth
    ed Coherence Transform)フィルタの周波数特性とをそ
    れぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの周波数特性を
    乗じた周波数特性を持つフィルタのいずれかであること
    を特徴とする請求項9に記載の異常箇所検出装置。
  11. 【請求項11】 上記前処理部は、下限周波数をfs、
    上限周波数をfeとして、 【数10】 で表わされる周波数特性H5(f)を持つバンドパスフ
    ィルタをさらに含むことを特徴とする請求項9または1
    0に記載の異常箇所検出装置。
  12. 【請求項12】 上記前処理部は、異常箇所が存在する
    場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
    基づいて上記実数i、j、kおよび上記コヒーレンシィ
    γ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
    l(f)を決定することを特徴とする請求項9ないし1
    1のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
  13. 【請求項13】 上記信号処理部は、上記相関処理部に
    より演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予
    め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関
    関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたこと
    を特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の異
    常箇所検出装置。
  14. 【請求項14】 上記後処理部は、上記平均化された相
    互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある閾
    値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを特
    徴とする請求項13に記載の異常箇所検出装置。
  15. 【請求項15】 上記後処理部は、2つの超音波センサ
    で受信した受信信号についての上記平均化された相互相
    関関数の包絡線がピークになる時間と、被検査管を漏洩
    音を伝搬するときの伝搬速度と、上記2つの超音波セン
    サの各離間距離とから異常箇所の位置を特定することを
    特徴とする請求項13または14に記載の異常箇所検出
    装置。
  16. 【請求項16】 上記後処理部は、異常箇所が存在する
    場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
    基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピー
    ク値に関する閾値を決定することを特徴とする請求項1
    3ないし15のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
  17. 【請求項17】 被検査管に異常箇所が存在することに
    より発生する漏洩音を受信するための3つの超音波セン
    サを備えると共に、 これらの超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞ
    れ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、 fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、上記3
    つの超音波センサの内、ある2つのセンサで受信した受
    信信号から求めたコヒーレンシィをγ(f)、上記2つ
    のセンサの内の片方の超音波センサで受信した受信信号
    から求めたパワースペクトルをC11(f)、上記2つの
    超音波センサの他方で受信した受信信号から求めたパワ
    ースペクトルをC22(f)として、 【数11】 で表わされる周波数特性H1(f)を持ち、漏洩音の受
    信信号から求めたクロススペクトルをフィルタリングす
    るためのフィルタAと、 上記コヒーレンシィγ(f)の絶対値に関する予め決め
    られた閾値をγ1(f)として、 【数12】 で表わされる周波数特性H2(f)を持つフィルタB
    と、 jを0以上のある実数、上記3つの超音波センサの内、
    2つのセンサで受信した受信信号から求めたクロススペ
    クトルをC(f)として、 【数13】 で表わされる周波数特性H3(f)を持つフィルタC
    と、 kを1以上のある実数として、 【数14】 で表わされる周波数特性H4(f)を持つフィルタD
    と、 σabs(f)を上記3つの超音波センサの内、ある2つ
    のセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトル
    の絶対値の比の分割された複数個の受信信号間の分散と
    し、σφ(f)を上記2つのセンサで受信した2つの受
    信信号の周波数スペクトルの位相差の分割された複数個
    の受信信号間の分散として、 【数15】 で表わされる周波数特性H7(f)を持つフィルタE
    と、 上記3つの超音波センサの内、ある2つのセンサで受信
    した2つの受信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の
    分割された複数個の受信信号間の分散σabs(f)と、
    上記2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波数ス
    ペクトルの位相差の分割された複数個の受信信号間の分
    散σφ(f)との積に関する閾値をσl(f)とし、 【数16】 で表わされる周波数特性H8(f)を持つフィルタF
    と、 上記6つの式の内、少なくともlogj(|C(f)|)
    と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波数特性と、SC
    OT(Smoothed Coherence Transform)フィルタの周波
    数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの
    周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタGとの
    内、一つまたは二つ以上のフィルタを含む前処理部と、 上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数
    を演算する相関処理部とを備えたことを特徴とする異常
    箇所検出装置。
  18. 【請求項18】 上記フィルタGは、|γ(f)|i
    よび{1/(σabs(f)・σφ(f))}iの内、いず
    れか一つの周波数特性と、logj(|C(f)|)、お
    よび|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
    と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付
    けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数
    特性を持つフィルタ、または、logj(|C(f)
    |)、および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数
    特性において、コヒーレンシィγ(f)の絶対値が予め
    決められたある閾値以下になる周波数成分が0とするよ
    うな周波数特性、もしくは、上記3つの超音波センサの
    内、ある2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波
    数スペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受信信
    号間の分散σabs(f)と、上記2つのセンサで受信し
    た2つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の分割さ
    れた複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積関する
    閾値σl(f)がある閾値以上になる周波数成分が0と
    するような周波数特性と、SCOTフィルタの周波数特
    性とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの周波
    数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタのいずれかで
    あることを特徴とする請求項17に記載の異常箇所検出
    装置。
  19. 【請求項19】 上記前処理部は、下限周波数をfs、
    上限周波数をfeとして、 【数17】 で表わされる周波数特性H5(f)を持つバンドパスフ
    ィルタをさらに含むことを特徴とする請求項17または
    18に記載の異常箇所検出装置。
  20. 【請求項20】 上記前処理部は、異常箇所が存在する
    場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
    基づいて上記実数i、j、kおよび上記コヒーレンシィ
    γ(f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
    l(f)、上記3つの超音波センサの内、ある2つのセ
    ンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの絶
    対値の比の分割された複数個の受信信号間の分散σabs
    (f)と、上記2つのセンサで受信した2つの受信信号
    の周波数スペクトルの位相差の分割された複数個の受信
    信号間の分散σφ(f)との積に関する閾値σl(f)
    を決定することを特徴とする請求項17ないし19のい
    ずれかに記載の異常箇所検出装置。
  21. 【請求項21】 上記信号処理部は、上記相関処理部に
    より演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予
    め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関
    関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたこと
    を特徴とする請求項17ないし20のいずれかに記載の
    異常箇所検出装置。
  22. 【請求項22】 上記後処理部は、上記平均化された相
    互相関関数の包絡線のピーク値と、予め決められたある
    閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを
    特徴とする請求項21記載の異常箇所検出装置。
  23. 【請求項23】 上記後処理部は、3つの超音波センサ
    の内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号につ
    いての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピーク
    になる時間と、3つの超音波センサの内、上記2つの超
    音波センサの片方のセンサと上記2つの超音波センサ以
    外の超音波センサとで受信した受信信号についての上記
    平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間
    と、上記3つの超音波センサの各離間距離とから異常箇
    所の位置を特定することを特徴とする請求項21または
    22に記載の異常箇所検出装置。
  24. 【請求項24】 上記後処理部は、異常箇所が存在する
    場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
    基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピー
    ク値に関する閾値を決定することを特徴とする請求項2
    1ないし23のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
  25. 【請求項25】 被検査管に異常箇所が存在することに
    より発生する漏洩音を受信するための2つの超音波セン
    サを備えると共に、 これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞれ
    受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、 fを受信信号の周波数、iを0以上のある実数、上記2
    つの超音波センサで受信した受信信号から求めたコヒー
    レンシィをγ(f)、上記2つのセンサの内の片方の超
    音波センサで受信した受信信号から求めたパワースペク
    トルをC11(f)とし、上記2つの超音波センサの他方
    で受信した受信信号から求めたパワースペクトルをC22
    (f)として、 【数18】 で表わされる周波数特性H1(f)を持ち、漏洩音の受
    信信号から求めたクロススペクトルをフィルタリングす
    るためのフィルタAと、 上記コヒーレンシィγ(f)の絶対値に関する予め決め
    られた閾値をγl(f)として、 【数19】 で表わされる周波数特性H2(f)を持つフィルタB
    と、 jを0以上のある実数、上記2つのセンサで受信した受
    信信号から求めたクロススペクトルをC(f)として、 【数20】 で表わされる周波数特性H3(f)を持つフィルタC
    と、 kを1以上のある実数として、 【数21】 で表わされる周波数特性H4(f)を持つフィルタD
    と、 σabs(f)を上記2つのセンサで受信した2つの受信
    信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割された複数
    個の受信信号間の分散とし、σφ(f)を上記2つのセ
    ンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの位
    相差の分割された複数個の受信信号間の分散として、 【数22】 で表わされる周波数特性H7(f)を持つフィルタE
    と、 上記2つのセンサで受信した2つの受信信号の周波数ス
    ペクトルの絶対値の比の分割された複数個の受信信号間
    の分散σabs(f)と、上記2つのセンサで受信した2
    つの受信信号の周波数スペクトルの位相差の分割された
    複数個の受信信号間の分散σφ(f)との積に関する閾
    値をσl(f)とし、 【数23】 で表わされる周波数特性H8(f)を持つフィルタF
    と、 上記6つの式の内、少なくともlogj(|C(f)|)
    と|C(f)|1/kのいずれか1つの周波数特性と、SC
    OT(Smoothed Coherence Transform)フィルタの周波
    数特性とをそれぞれ重み付けし、重み付けしたこれらの
    周波数特性を乗じた周波数特性を持つフィルタGとの
    内、一つまたは二つ以上のフィルタを含む前処理部と、 上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数
    を演算する相関処理部とを備えたことを特徴とする異常
    箇所検出装置。
  26. 【請求項26】 上記フィルタGは、|γ(f)|i
    よび{1/(σabs(f)・σφ(f))}iの内、いず
    れか一つの周波数特性と、logj(|C(f)|)、お
    よび|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
    と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞれ重み付
    けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じた周波数
    特性を持つフィルタ、またはlogj(|C(f)|)、
    および|C(f)|1/kの内、いずれか一つの周波数特性
    において、コヒーレンシィγ(f)の絶対値が予め決め
    られたある閾値以下になる周波数成分が0となるような
    周波数特性、もしくは上記2つのセンサで受信した2つ
    の受信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割され
    た複数個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つ
    のセンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトル
    の位相差の分割された複数個の受信信号間の分散σ
    φ(f)との積に関する閾値σl(f)が、予め決めら
    れたある閾値以上になる周波数成分が0とするような周
    波数特性と、SCOTフィルタの周波数特性とをそれぞ
    れ重み付けし、重み付けしたこれらの周波数特性を乗じ
    た周波数特性を持つフィルタのいずれかであることを特
    徴とする請求項25に記載の異常箇所検出装置。
  27. 【請求項27】 上記前処理部は、下限周波数をfs、
    上限周波数をfeとして、 【数24】 で表わされる周波数特性H5(f)を持つバンドパスフ
    ィルタをさらに含むことを特徴とする請求項25または
    26に記載の異常箇所検出装置。
  28. 【請求項28】 上記前処理部は、異常箇所が存在する
    場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
    基づいて上記実数i、j、k、上記コヒーレンシィγ
    (f)の絶対値に関する予め決められた閾値γ
    l(f)、および上記2つのセンサで受信した2つの受
    信信号の周波数スペクトルの絶対値の比の分割された複
    数個の受信信号間の分散σabs(f)と、上記2つのセ
    ンサで受信した2つの受信信号の周波数スペクトルの位
    相差の分割された複数個の受信信号間の分散σφ(f)
    との積に関する閾値σl(f)を決定することを特徴と
    する請求項25ないし27のいずれかに記載の異常箇所
    検出装置。
  29. 【請求項29】 上記信号処理部は、上記相関処理部に
    より演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予
    め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関
    関数の包絡線を平均化する後処理部を備えたことを特徴
    とする請求項25ないし28のいずれかに記載の異常箇
    所検出装置。
  30. 【請求項30】 上記後処理部は、上記平均化された相
    互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある閾
    値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを特
    徴とする請求項29に記載の異常箇所検出装置。
  31. 【請求項31】 上記後処理部は、2つの超音波センサ
    で受信した受信信号についての上記平均化された相互相
    関関数の包絡線がピークになる時間と、被検査管を漏洩
    音が伝搬するときの伝搬速度と、上記2つの超音波セン
    サの各離間距離とから異常箇所の位置を特定することを
    特徴とする請求項29または30に記載の異常箇所検出
    装置。
  32. 【請求項32】 上記後処理部は、異常箇所が存在する
    場合としない場合の予備実験から得られる統計データに
    基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピー
    ク値に関する閾値を決定することを特徴とする請求項2
    9ないし31のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
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