JP3630394B2 - 異常箇所検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水、油、あるいはその他の液体またはガス等の気体である流体を通す被検査管としての例えば導管の異常箇所を検出する異常箇所検出装置に関するもので、特に導管の複数箇所において異常箇所からの漏洩音を受信し、受信信号の相互相関関数を計算することから異常箇所の位置を検出する方式を採用した異常箇所検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の異常箇所検出装置としては、特開平5−87669号公報に開示されているように、2つのセンサで受信した受信信号に前処理および後処理を施す異常箇所検出装置が知られている。
図9は上述した異常箇所検出装置を示す構成図である。
図9において、1は導管、2は異常箇所、3aおよび3bは超音波センサ、4は音圧測定器、5は相関器である。
【0003】
上述した異常箇所検出装置においては、導管1に異常箇所2が存在すると、それにより漏洩が生じ、それに伴い漏洩音が発生する。上記漏洩音は、雑音とともに、上記導管1を伝搬して2つの超音波センサ3aおよび3bで受信される。
受信信号は、雑音を除去するため、予め決められた帯域を持つバンドパスフィルタによりフィルタリングされる。その後、音圧測定器4を経て相関器5にて相互相関関数が計算され、相互相関関数がピークをとる時間と、上記超音波信号が導管1を伝搬する伝搬速度とから異常箇所2の位置を特定する。
【0004】
その他の従来のこの種の異常箇所検出装置としては、特開平8−226865号公報に開示されているような、2つのセンサで受信した受信信号に前処理および後処理を施す異常箇所検出装置が知られている。
図10は上述した異常箇所検出装置を示す構成図である。
図10において、図9と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、3cは超音波センサである。
【0005】
上述した異常箇所検出装置においては、導管1に異常箇所2が存在すると、それにより漏洩が生じ、それに伴い漏洩音が発生する。上記漏洩音は、雑音とともに、上記導管1を伝搬して2つの超音波センサ3a、3b、3cで受信される。
受信信号における雑音を除去するため、受信信号は、予め決められた帯域を持つバンドパスフィルタ、および単一周波数を除去するためのフィルタによりフィルタリングされる。その後、超音波センサ3aと3bで得られた信号を用いて、相関処理部にて相互相関関数が計算され、さらに後処理部において包絡線検波される。
【0006】
この相互相関関数の包絡線がピークをとる時間と、2つの超音波センサ3aと超音波センサ3bとの間の距離とから異常箇所の伝搬速度を求める。さらに、超音波センサ3aと3cで得られた信号を用いて、相関処理部にて相互相関関数が計算され、さらに後処理部において包絡線検波される。この相互相関関数の包絡線がピークをとる時間と、上述の過程で求めた伝搬速度とから、異常箇所の伝搬速度を求める。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、導管の2箇所で超音波信号を受信し、2つの受信信号に前処理し、次に、前処理した信号を相関処理し、さらに後処理を施すことから、異常箇所2の位置を特定する技術が知られている。
【0008】
しかしながら、漏洩音の周波数スペクトルは、異常箇所の大きさや形状、および導管中を流れる媒質にかかる圧力により変化するので、予め漏洩音の周波数帯域を正確に予測することはできない。したがって、相関処理の前処理として、予めその帯域が定められたバンドパスフィルタでフィルタリングしても、予め定めた周波数帯域が漏水音の持つ周波数帯域であるとは限らない。また、予め定めた周波数帯域が漏水音の持つ周波数帯域であったとしても、雑音も上記周波数帯域を持つ場合もある。
【0009】
以上のことから、上記バンドパスフィルタのみでは、雑音を除去するには不十分である。したがって、上記バンドパスフィルタにより抽出した信号に対して相関処理を行うことから異常箇所の位置の特定を行ってもその特定精度には問題がある。
【0010】
また、後処理として、相互相関関数の包絡線を計算し、包絡線がピークをとる時間から異常箇所の位置の特定を行っているが、例えば水道管からの漏水音等の導管からの漏洩音は一般的に周期性のないランダム信号であり、したがって、一つの限られた測定時間において、相互相関関数の包絡線がピークをとる時間から異常箇所2の位置の特定を行っても検査の安定性に乏しいという問題がある。
【0011】
このように、従来の異常箇所検出装置における相関処理の前処理および後処理の方法は、漏洩音の周波数帯域が未知の場合には適用不可能であり、また、異常箇所からの漏洩音の特徴を十分に考慮したものではなかった。したがって、特に漏洩音の周波数帯域が未知の場合においては、異常箇所の有無の検出精度、および位置の特定精度には問題があった。
【0012】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、導管の2箇所で異常箇所からの漏洩による漏洩音を受信し、従来とは異なり、漏洩音の周波数帯域が未知の場合にも適用可能で、且つ、異常箇所からの漏洩音の特徴と、導管の異常箇所の検査の際にしばしば問題となるような雑音の特徴とを、十分に考慮した前処理を施し、その後に相関処理を行い、さらに後処理を行うことにより、導管における異常箇所の存在の有無と異常箇所の位置の特定の確度や精度を向上すると共に安定した検出を可能とする異常箇所検出装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る異常箇所検出装置は、被検査管に設けたバルブの閉鎖によって被検査管に存在する異常箇所に向かう方向の管内流体の流れが存在する領域と存在しない領域とに配置されて被検査管内に異常箇所が存在することにより発生する漏洩音を受信するための3つの超音波センサを備えると共に、これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、漏洩音の周波数スペクトルを求める演算部、及びその演算結果をもとに周波数特性が決められたフィルタを含む前処理部と、上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数を演算する相関処理部とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
また、上記前処理部は、上記3つの超音波センサの内、被検査管内の流体の流れが存在する領域に配置された超音波センサで受信した受信信号をフィルタによりフィルタリングすることを特徴とするものである。
【0015】
また、上記前処理部は、上記3つの超音波センサの内、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルから上記フィルタの周波数特性を決定することを特徴とするものである。
【0016】
また、上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルと同じ周波数特性を持つことを特徴とするものである。
【0017】
また、上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルの絶対値が予め決められたある閾値を超える周波数を中心周波数とし、上記中心周波数と予め決められた周波数帯域幅とから上限周波数と下限周波数が決められたバンドパスフィルタであることを特徴とするものである。
【0018】
また、上記信号処理部は、上記相関処理部により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたことを特徴とするものである。
【0019】
また、上記後処理部は、上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを特徴とするものである。
【0020】
また、上記後処理部は、異常箇所が存在する場合としない場合の予備実験から得られる統計データに基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値に関する閾値を決定することを特徴とするものである。
【0021】
また、上記後処理部は、3つの超音波センサの内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号についての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間と、3つの超音波センサの内、上記2つの超音波センサの片方のセンサと、上記2つの超音波センサ以外の超音波センサとで受信した受信信号についての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間と、上記3つの超音波センサの各離間距離とから異常箇所の位置を特定することを特徴とするものである。
【0022】
また、他の発明係る異常箇所検出装置は、被検査管に設けたバルブの閉鎖によって被検査管に存在する異常箇所に向かう方向の管内流体の流れが存在する領域と存在しない領域とに配置されて被検査管内に異常箇所が存在することにより発生する漏洩音を受信するための2つの超音波センサを備えると共に、これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、漏洩音の周波数スペクトルを求める演算部、及びその演算結果をもとに周波数特性が決められたフィルタとを含む前処理部と、上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数を演算する相関処理部とを備えたことを特徴とするものである。
【0023】
また、上記前処理部は、上記2つの超音波センサの内、被検査管内の流体の流れが存在する領域に配置された超音波センサで受信した受信信号をフィルタによりフィルタリングすることを特徴とするものである。
【0024】
また、上記前処理部は、上記2つの超音波センサの内、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルから上記フィルタの周波数特性を決定することを特徴とするものである。
【0025】
また、上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルと同じ周波数特性を持つことを特徴とするものである。
【0026】
また、上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルの絶対値が予め決められたある閾値を超える周波数を中心周波数とし、上記中心周波数と予め決められた周波数帯域幅とから上限周波数と下限周波数が決められたバンドパスフィルタであることを特徴とするものである。
【0027】
また、上記信号処理部は、上記相関処理部により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたことを特徴とするものである。
【0028】
また、上記後処理部は、上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを特徴とするものである。
【0029】
また、上記後処理部は、異常箇所が存在する場合としない場合の予備実験から得られる統計データに基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値に関する閾値を決定することを特徴とするものである。
【0030】
さらに、上記後処理部は、2つの超音波センサの内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号についての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間と、漏洩音が上記被検査管を伝搬するときの伝搬速度と、上記2つの超音波センサの各離間距離とから異常箇所の位置を特定することを特徴とするものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る異常箇所検出装置について図1から図8を参照しながら説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る異常箇所検出装置を示す構成図である。
図1において、1は水、油、あるいはその他の液体またはガス等気体である流体を通す被検査管としての導管、2は上記導管1の異常箇所、3a、3bおよび3cは異常箇所2が存在することにより発生する漏洩音を受信するための超音波センサ、6は地中、7は受信装置、8はバルブである。
【0032】
図1においては、上記導管1が上記地中6に埋もれている場合について示しているが、上記導管1は、そのすべての部分もしくはその一部分が上記地中6より上に存在していても構わない。また、図1において、上記異常箇所2が1箇所である場合について述べているが、上記異常箇所2は1箇所でなくても、複数箇所でも構わない。
【0033】
また、図1において、L1は超音波センサ2aと超音波センサ2bの間の導管1に沿った距離、L2は超音波センサ2bと超音波センサ2cの間の導管1に沿った距離であり、xは超音波センサ2aから異常箇所2までの導管1に沿った距離である。
【0034】
なお、超音波は、人間の耳に聞こえない程度に高い周波数の音波や弾性波を指す言葉として使われるが、この発明では、周波数は特に規定しないものとする。すなわち、この発明における「超音波」という文言には、人間の耳で聞こえる周波数の上限の限界よりも高い周波数の音波や弾性波に限らず、この上限よりも低い周波数の音波や弾性波も含めた波という意味を含んでおり、無論、人間の耳で聞こえる周波数の下限の限界よりも低い周波数の音波や弾性波という意味も含む。
【0035】
また、図1においては、超音波センサ3a、3bおよび3cが導管1に当てて置かれている場合を示しているが、上記超音波センサ3a、3bおよび3cは、上記導管1の3箇所において漏洩音を受信することが目的であり、この目的が達成できるならば、上記超音波センサ3a、3bおよび3cは上記導管1に直接接触していなくても構わない。また、この目的が達成できるならば、上記超音波センサ3a、3bおよび3cは、上記導管1の内部に配置されても構わない。
【0036】
ここで、異常箇所2と、超音波センサ3a、3b、および3cとの位置関係について説明する。
3つの超音波センサの内の2つの超音波センサ、例えば、図1における超音波センサ3bと3cとの間は、地表上に露出していてその間に異常箇所がないことが目視により判断できる領域等の、異常箇所2がないことが既知である領域である。異常箇所2は、3つの超音波センサの内の、上記2つの超音波センサ以外の超音波センサ、例えば図1における超音波センサ3aと、上記2つの超音波センサの内、上記2つの超音波センサ以外の超音波センサに近い方の超音波センサ、例えば、図1における超音波センサ3bとの間に位置している。
【0037】
なお、図1において、バルブ8は閉鎖されている。したがって、導管1の中の水、油、あるいはその他の液体またはガス等の気体である流体は、異常箇所2とバルブの間においては、その流れは存在しない。また、その他の部分においては、上記流れは異常箇所に向かう方向で存在している。つまり、図1においては、超音波センサ3aは、流れが存在しない導管1上の領域に、超音波センサ3bおよび3cは、流れが存在する導管1上の領域に、それぞれ配置されている。また、上記バルブ8は超音波センサ3aの左側に存在しているが、上記バルブ8は超音波センサ3cの右側に存在していても良い。この場合には、超音波センサ3aは、流れが存在する導管1上の領域に、超音波センサ3bおよび3cは、流れが存在しない導管1上の領域に、それぞれ配置されていることとなる。
【0038】
図1において、受信装置7は、受信部71と、信号処理部72と、報知手段としての表示部73と、制御部74とを含む。
超音波センサ3a、3bおよび3cは、受信部71に接続されている。受信部71は信号処理部72に接続されている。信号処理部72は表示部73に接続されている。
【0039】
制御部74は、受信部71、信号処理部72、および表示部73に接続されており、検査を行うための情報やコマンドが入力され、また、受信部71、信号処理部72、および表示部73に対し、これらの動作を制御するための制御信号や、検査の進行状況の情報に関する信号を、逐次送受信してこれらの機能を司る。
【0040】
また、受信部71は、図示はしないが、受信信号を増幅するためのアンプと、A/D変換部とを含む。
信号処理部72は、受信信号をフィルタリングするための前処理部72aと、2つの信号の相互相関関数を計算するための相関処理部72bと、相互相関関数に包絡線検波等の処理を行うための後処理部72cとを含む。前処理部72aは相関処理部72bに接続されており、相関処理部72bは後処理部72cに接続されている。また、上記信号処理部72は、図示はしていないが、内部にメモリを有する。このメモリに演算処理された種々の結果が適宜記憶される。
【0041】
また、信号処理部72における前処理部72aは、図示はしないが、超音波センサ3a、3b、および3cで受信した受信信号について、周波数スペクトルを求める演算装置と、その演算結果をもとに周波数特性が決められたフィルタとを含んでいる。
【0042】
なお、後述するが、漏洩音が導管1を伝搬するときの伝搬速度が既知であれば、超音波センサ3a、3b、3cの2つの内、どれか一つを取り除いても、異常箇所の有無、異常箇所の位置の特定を行うことができる。このような場合であれば、超音波センサ2a、2b、および2cの内、どれか一つを取り除けば、検査を容易にし、異常箇所検出装置を廉価にできるという効果がある。
【0043】
次に、図1に示した異常箇所検出装置の動作について図2〜図8を用いて説明する。
図2は、この発明の実施の形態1に係る異常箇所検出装置の動作を説明するフローチャートである。
図1において、導管1に異常箇所2が存在すると、上記異常箇所2から漏洩が生じ、それに伴って漏洩音が発生する。発生した漏洩音は、導管1を伝搬して超音波センサ3a、3bおよび3cで受信される。
【0044】
まず、制御部74に、超音波センサ2aと超音波センサ3bの離間距離、超音波センサ3bと超音波センサ3cの離間距離、1回の受信における受信時間、後述する異常箇所2の位置の特定精度を安定させるための受信の繰り返し回数M、および漏洩の有無を判断するための予め決められた閾値が入力される(ステップS1)。
【0045】
また、上記1回の受信時間における受信時間、および上記繰り返し回数Mは、許容される検査の安定性、および検査にかかる許容時間により設定され、上記1回の受信における受信時間、上記繰り返し回数を多くすることにより、検査の安定性を増加させることができる。また、許容される検査時間が短ければ、上記1回の受信における受信時間を小さくし、上記繰り返し回数Mを少なくすればよい。
【0046】
また、制御部74においては、検査を行った日付け、検査を行った時間、超音波センサ3a、3b、および3cの種類やシリアルナンバー、検査を行った導管の地図上の位置等の情報の内、すべての情報、あるいは、上記の情報の内のいずれか1つあるいは2つ以上を入力できるようにし、さらに入力した情報を表示部73に表示できるようにし、上記入力した情報を、記録、保管しておけば、検査の安定性が増すばかりでなく、異常箇所の発生傾向に関するデータベースの構築に役立つ。さらに、ある一定期間後の定期検査の際の参照データとして役立つ作用効果を奏する。また、ある一定期間を過ぎて、再度の検査を行う際に、検査データの再現性の確認や、経時変化の調査に役立てることもできる。
【0047】
次に、検査者により、検査開始のタイミングが入力される。上記タイミングの入力は、スイッチのオン・オフにより行われても良いし、例えば検査者の音声や検査者が手を叩いた音をマイクで拾うことにより行われても良い。また、制御部74にタイマーを備えることにより、上記タイミングが入力されてからある時間が経過した時点で検査が開始されるようにしてもよい。
【0048】
次に、制御部74から超音波センサ3a、3bおよび3cでの受信を開始するための信号を受信部71に送信し、超音波センサ3a、3bおよび3cで受信した受信信号を、受信部71に取り込む(ステップS2)。受信部71において、受信信号は、増幅された後にA/D変換され、信号処理部72に含まれる前処理部72aに送られ、前処理部72aにおいて、3つの受信信号の内、流れが存在する領域に配置されている超音波センサ、例えば図1における超音波センサ3bおよび3cで受信された受信信号は、フィルタによりフィルタリングされる(ステップS3)。
【0049】
ここで、上記フィルタの周波数特性の決め方(ステップS4)について図3から図6を用いて説明する。
図3は、漏水音を実際に受信して周波数スペクトルを求めた例であり、図3(a)は、導管1中に流れが存在しない部分に配置された超音波センサ3aの受信信号の周波数スペクトルの絶対値、図3(b)は、導管1中に流れが存在する部分に配置された超音波センサ3bの受信信号の周波数スペクトルの絶対値、図3(c)は導管1中に流れが存在する部分に配置された超音波センサ3cの受信信号の周波数スペクトルの絶対値である。
【0050】
導管1中に流れが存在する部分においては、導管1中の流れに伴い、様々な周波数成分を持つ雑音が発生する。上記雑音は、導管1中の特定箇所から時間に関して連続的に発生するような雑音も存在し得るし、導管1中の様々な箇所から時間に関して断続的に発生するような雑音も存在し得る。このような雑音により、図3(b)と図3(c)に示す導管1中に流れが存在する部分に配置されている超音波サンサ3bおよび3cでの受信信号の周波数スペクトルの絶対値においては、多数の雑音成分によるピークが見られる。
【0051】
一方、図3(a)に示すように、導管1中に流れが存在しない部分に配置されている超音波サンサ3aでの受信信号の周波数スペクトルの絶対値においては、導管1中に流れが存在しないので、上記流れに伴った雑音が生じることはなく、図3(b)および図3(c)に見られるような多数のピークが見られない。つまり、導管1中に流れが存在しない部分に配置されている超音波サンサ3aでの受信信号の周波数スペクトルの絶対値が漏洩音の周波数スペクトルの絶対値であると考えることができる。
【0052】
したがって、導管1中に流れが存在しない部分に配置されている超音波センサ3aでの受信信号の周波数スペクトルの絶対値を上記フィルタの周波数特性とする。このように周波数特性を決めたフィルタを用いてフィルタリングを行うことにより、漏洩音を効率良く抽出できる。
【0053】
図4は、超音波センサ3aで受信した受信信号の周波数スペクトルの絶対値をフィルタの周波数特性とし、超音波センサ3bおよび3cで受信した受信信号の周波数スペクトルを上記フィルタでフィルタリングして、フィルタリングされた周波数スペクトルの絶対値を求めた結果である。図4(a)は、超音波センサ3bで受信した受信信号をフィルタリングしたもの、図4(b)は、超音波センサ3cで受信した受信信号をフィルタリングしたものである。
【0054】
また、上記フィルタの周波数特性は、導管1中に流れが存在しない部分に配置されている超音波センサ3aでの受信信号の周波数スペクトルの絶対値において、その絶対値が予め決められたある閾値を超える周波数を中心周波数とし、上記中心周波数と、予め決めれれた周波数帯域幅とから決められた周波数帯域を通過させるように決めても良い。
【0055】
このとき、上記周波数スペクトルの絶対値に関する閾値および上記周波数帯域幅は、予備実験により決められている。この予備実験は、異常箇所2が存在する場合と、実質上、存在しない場合について、この実施の形態1に係わる異常箇所検出装置と同じか、または、同様の異常箇所検出装置を用いて行われる。このような予備実験から得られた統計データから上記周波数スペクトルの絶対値に関する閾値および上記周波数帯域幅が予め決められている。
【0056】
図5は、導管1中に流れが存在しない部分に配置されている超音波センサ3aでの受信信号の周波数スペクトルの絶対値において、その絶対値が予め決められたある閾値を超える周波数を中心周波数とし、上記中心周波数と、予め決めれれた周波数帯域幅とから決められた周波数帯域を通過させるようにフィルタの周波数特性を決めた結果を説明する図である。
【0057】
図5(a)は、超音波センサ3aで受信した受信信号の周波数スペクトルの絶対値において、その絶対値が予め決められたある閾値を超える周波数から中心周波数を決め、上記中心周波数と予め決められた周波数帯域幅とからフィルタにおいて通過させる周波数帯域を決めた結果である。図5(a)から、周波数f1〜周波数f2の周波数帯域と、周波数f3〜周波数f4の周波数帯域と、周波数f5〜周波数f6の周波数帯域と、周波数f7〜周波数f8の周波数帯域がフィルタにおいて通過させる周波数帯域として決定された。図5(b)は、図5(a)で決められた周波数帯域から決められたフィルタの周波数特性である。
【0058】
図6は、図5(b)で決められた周波数特性をフィルタの周波数特性とし、超音波センサ3bおよび3cで受信した受信信号の周波数スペクトルを上記フィルタでフィルタリングし、フィルタリングされた周波数スペクトルの絶対値を求めた結果である。図6(a)は、超音波センサ3bで受信した受信信号をフィルタリングしたもの、図6(b)は、超音波センサ3cで受信した受信信号をフィルタリングしたものである(ステップS5)。
【0059】
次に、3つの超音波センサの内の2つ、超音波センサ2aと超音波センサ2bの組み合わせが選択され(ステップS6)、超音波センサ3aで受信された受信信号、およびフィルタリングされた超音波センサ3bで受信された受信信号は、相関処理部72bに送られ、相互相関関数が計算される(ステップS7)。相関処理部72bで計算された相互相関関数φ(τ)の計算結果は、後処理部72cに出力される。
【0060】
次に、後処理部72cの動作について、図7を用いて説明する。
図7(a)は、後処理部72cで計算された相互相関関数φ(τ)の例であり、図7(b)は、図7(a)の相互相関関数φ(τ)を包絡線検波した例である。
後処理部72cにおいて、上記相互相関関数φ(τ)は包絡線検波される。上記相互相関関数φ(τ)は、図7に(a)示すように多数のピークを持つ関数であるが、包絡線検波されることにより、図7(b)に示すように、少数のピークを持つ関数に変換される(ステップS8)。
【0061】
後処理部72cにおいて、上記包絡線はその都度メモリに保存される。それと同時に、包絡線をメモリに保存した回数をカウントする。この回数は、制御部74から受信部71に対してデータを取り込むための制御信号を送信した回数と同じである。もし、包絡線をメモリに保存した回数が予め決められた繰り返し回数Mより小さい値であれば、後処理部72cから制御部74に、再度データの取り込みを行うことを要求する信号を送信する。それに従い、制御部74からは、受信部71にデータを取り込むための制御信号を送信する。
【0062】
以上述べた繰り返しを、上記包絡線をメモリに保存した回数が、予め決められた繰り返し回数Mと等しくなるまで行うことにより、包絡線を平均化する(ステップS9,S10)。上記包絡線をメモリに保存した回数が予め決められた繰り返し回数Mと等しくなったら、この繰り返しを終了する。
【0063】
次に、メモリに保存された上記包絡線は平均化された後、平均化された包絡線のピーク値Aabと、上記平均化された包絡線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τabが求められる。
図8は上記包絡線を平均化した結果を示す図であり、実線は平均化された包絡線、点線は平均化される前の包絡線である。
以上の前処理部72a、相関処理部72b、後処理部72cの動作は、超音波センサ3aおよび超音波センサ3bの組み合わせに対して行われる。
【0064】
次に、以上の前処理部72a、相関処理部72b、後処理部73cの動作を、超音波センサ3aおよび超音波センサ3cの組み合わせに関して行う。
これにより、上記平均化された相互相関関数φ(τ)のピーク値Aacと、上記平均化された包絡線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacが、超音波センサ3aおよび超音波センサ3cの組み合わせに関しても得られる。
【0065】
次に、超音波センサ3aおよび超音波センサ3bの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aabと、超音波センサ3aおよび超音波センサ3cの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aacの内、いずれか一方、もしくは両方の値が予め決められた異常箇所2の有無を判定するための閾値に比べて大か小かを判定する。これにより、異常箇所2の有無が判定される(ステップS11)。
【0066】
異常箇所2の有無を判定するための上記閾値は、超音波センサ2aおよび超音波センサ2bの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aabに関する閾値であっても、また、超音波センサ2aおよび超音波センサ2cの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aacに関する閾値であってもよい。また、上記閾値は、超音波センサ2aおよび超音波センサ2bの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aabと、超音波センサ2aおよび超音波センサ2cの間の平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値Aacとの積や和に関する閾値であっても構わない。
【0067】
また、異常箇所2の有無を判定するための上記閾値は、平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値に関する閾値でなくても、受信信号のレベルに関する閾値であっても良いし、その周波数スペクトルの絶対値に関する閾値、フィルタリングされたクロススペクトルC(f)の絶対値に関する閾値であってもよい。その場合は、前処理部72の段階で異常箇所2の有無が判定される。
また、異常箇所2の有無に関する判定は、これら全ての閾値の内、いずれか一つによって判定してもよいし、2つあるいは、3つ以上の情報を組み合わせて判定してもよい。
【0068】
上記閾値は、予備実験により決められている。この予備実験は、異常箇所2が存在する場合と、実質上、存在しない場合について、この実施の形態1に係わる異常箇所検出装置と同じか、または、同様の異常箇所検出装置を用いて行われる。このような予備実験から得られた統計データから、異常箇所2の有無を判定するための上記閾値データが予め決められている。
【0069】
また、上記閾値は、異常箇所2の有無の判定だけでなく、異常箇所2の形状やサイズをクラス分けするためのものであってもよい。この場合、上記予備実験は、異常箇所2の形状やサイズに関してクラス分けされる各場合について、この実施の形態1に係わる異常箇所検出装置と同じか、または、同様の異常箇所検出装置を用いて行われる。
【0070】
なお、上記の大小関係に関する情報の内、より多くの情報を組み合わせて異常箇所の有無の判定を行えば、より確度の高い判定を行うことができる効果が得られる。特に、各判定結果について異なる重み付けを行って重み付け多数決の論理を使って判定すれば、上記の3つの判定結果がバラバラの判定結果になったとき、より確度の高い判定結果を得ることができる。重み付け多数決の判定に使う重みの係数については、上述したものと同様の予備実験からきめれば、判定の確度はさらに高くできる。
【0071】
異常箇所2があると判定された場合、超音波センサ3aと3bとの間の離間距離と、超音波センサ3bと超音波センサ3cの間の離間距離と、超音波センサ3aと3bとの間の平均化された相互相関関数の包絡線がピークになるときの、超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τabと、超音波センサ3aと3cとの間の平均化された相互相関関数の包絡線がピークになるときの超音波センサ3aでの受信時間に対する遅延時間τacとから超音波センサ3aから異常箇所2までのの導管1に沿った距離xが式(1)により特定される。つまり、漏洩箇所の位置が特定される(ステップS12)。
【0072】
【数1】
【0073】
なお、漏洩音が導管1を伝搬するときの伝搬速度が既知であれば、超音波センサ3a、3b、および3cの内、2つの超音波センサの間が地表上に露出していてその間に異常箇所がないことが目視により判断できる領域等の、異常箇所2がないことが既知である領域である2つの超音波センサの内の一つ、例えば、図1における超音波センサ3cを取り除いても、異常箇所2の有無、異常箇所2の位置の特定を行うことができる。例えば、超音波センサ3cを取り除いた場合、超音波センサ3aから異常箇所2までの距離xは、漏洩音が導管1を伝搬するときの伝搬速度をvとし、式(2)で与えられる。これにより、検査を容易にし、検査システムを廉価にできるという効果がある。
【0074】
【数2】
【0075】
このように求められた異常箇所2の有無、および特定された異常箇所2の位置は、表示部73に出力される(ステップS13)。
表示部73では、異常箇所2の有無、および特定された異常箇所2の位置を表示する。これらの情報は、単に表示するだけでなく、検査結果の記録として、記録、保管しておけば、異常箇所の発生傾向に関するデータベースの構築に役立つだけでなく、ある一定期間後の定期検査の際の参照データとして役立つ作用効果を奏する。
【0076】
また、表示部73には、上述したように、異常箇所2の有無に関する情報が入力された。この情報は2値の情報である。したがって、これを光のオン・オフや、表示のほかに警報音のオン・オフなど、検査者の五感に反応する形式で検査者に報知できるように表示部以外に他の報知手段を設けて伝えるようにしても良い。また、検査にかかる許容時間が多い場合には、異常箇所2の有無や、異常箇所2の位置の特定に関する判断を、検査者が平均化された包絡線を目で見て判断しても良い。このような場合には、言うまでもないが、表示部2において異常箇所2の有無や特定した漏水箇所の表示を行う機能を取り除いても構わない。これにより、装置が低廉化できる作用効果が得られることは言うまでもない。
【0077】
また、表示部73において、平均化された包絡線、平均化された包絡線のピーク値、平均化された包絡線がピークになる時間、超音波センサ3a、3b、および3cで得られた受信信号波形、上記受信信号の周波数スペクトルなどの内、すべての情報、あるいは上記の情報の内のいずれか1つあるいは2つ以上を表示し、これらの情報を、さらに記録、保管しておけば、検査の安定性が増すばかりでなく、異常箇所の発生傾向に関するデータベースの構築に役立つ。さらに、ある一定期間後の定期検査の際の参照データとして役立つ作用効果を奏する。また、ある一定期間を過ぎて再度の検査を行う際に、検査データの再現性の確認や、経時変化の調査に役立てることもできる。
【0078】
この発明の実施の形態1においては、従来とは異なり、相関処理の前処理に、流れが存在しない領域に配置された超音波センサの受信信号の周波数スペクトルでその周波数特性を決めたフィルタを用いているので、従来とは異なり、漏洩音の周波数帯域が未知の場合であっても、上記フィルタにより漏洩音を効率良く抽出することができる。特に、導管内に流れが生じることにより雑音が生じる場合であっても、上記フィルタにより漏洩音を効率良く抽出することができる。さらに、相互相関関数の包絡線を複数回の繰り返し測定から平均化するという平均化処理をさらに行うことによって、漏洩音や雑音がランダムで周期性のない信号であるという問題を克服することができる。
【0079】
以上のように、この発明によれば、漏洩音や雑音の特徴を考慮した信号処理を行うことから、被検査管に存在する異常箇所の有無の判定や、異常箇所の位置の特定を精度良く安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による漏洩箇所検出装置の構成を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1における信号処理方法を説明するための説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1における信号処理方法を説明するための説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1における信号処理方法を説明するための説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1における信号処理方法を説明するための説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1における信号処理方法を説明するための説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1における信号処理方法を説明するための説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1における信号処理方法を説明するための説明図である。
【図9】従来例に係わる漏洩箇所検出装置を説明するための構成図である。
【図10】従来例に係わる漏洩箇所検出装置を説明するための構成図である。
【符号の説明】
1 導管、2 漏洩箇所、3a 超音波センサ、3b 超音波センサ、3c 超音波センサ、4 音圧測定器、5 相関器、6 地中、7 受信装置、71 受信部、72信号処理部、72a 前処理部、72b 相関処理部、72c 後処理部、73 表示部、74 制御部、8 バルブ。
Claims (18)
- 被検査管に設けたバルブの閉鎖によって被検査管に存在する異常箇所に向かう方向の管内流体の流れが存在する領域と存在しない領域とに配置されて被検査管内に異常箇所が存在することにより発生する漏洩音を受信するための3つの超音波センサを備えると共に、
これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、
漏洩音の周波数スペクトルを求める演算部、及びその演算結果をもとに周波数特性が決められたフィルタを含む前処理部と、
上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数を演算する相関処理部と
を備えたことを特徴とする異常箇所検出装置。 - 上記前処理部は、上記3つの超音波センサの内、被検査管内の流体の流れが存在する領域に配置された超音波センサで受信した受信信号をフィルタによりフィルタリングすることを特徴とする請求項1に記載の異常箇所検出装置。
- 上記前処理部は、上記3つの超音波センサの内、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルから上記フィルタの周波数特性を決定することを特徴とする請求項2に記載の異常箇所検出装置。
- 上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルと同じ周波数特性を持つことを特徴とする請求項3に記載の異常箇所検出装置。
- 上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルの絶対値が予め決められたある閾値を超える周波数を中心周波数とし、上記中心周波数と予め決められた周波数帯域幅とから上限周波数と下限周波数が決められたバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項3に記載の異常箇所検出装置。
- 上記信号処理部は、上記相関処理部により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
- 上記後処理部は、上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを特徴とする請求項6に記載の異常箇所検出装置。
- 上記後処理部は、異常箇所が存在する場合としない場合の予備実験から得られる統計データに基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値に関する閾値を決定することを特徴とする請求項7に記載の異常箇所検出装置。
- 上記後処理部は、3つの超音波センサの内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号についての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間と、3つの超音波センサの内、上記2つの超音波センサの片方のセンサと、上記2つの超音波センサ以外の超音波センサとで受信した受信信号についての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間と、上記3つの超音波センサの各離間距離とから異常箇所の位置を特定することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
- 被検査管に設けたバルブの閉鎖によって被検査管に存在する異常箇所に向かう方向の管内流体の流れが存在する領域と存在しない領域とに配置されて被検査管内に異常箇所が存在することにより発生する漏洩音を受信するための2つの超音波センサを備えると共に、
これら超音波センサによる漏洩音の受信信号をそれぞれ受信部を介して入力し信号処理する信号処理部に、
漏洩音の周波数スペクトルを求める演算部、及びその演算結果をもとに周波数特性が決められたフィルタとを含む前処理部と、
上記前処理部により前処理された信号から相互相関関数を演算する相関処理部と
を備えたことを特徴とする異常箇所検出装置。 - 上記前処理部は、上記2つの超音波センサの内、被検査管内の流体の流れが存在する領域に配置された超音波センサで受信した受信信号をフィルタによりフィルタリングすることを特徴とする請求項10に記載の異常箇所検出装置。
- 上記前処理部は、上記2つの超音波センサの内、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルから上記フィルタの周波数特性を決定することを特徴とする請求項11に記載の異常箇所検出装置。
- 上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルと同じ周波数特性を持つことを特徴とする請求項12に記載の異常箇所検出装置。
- 上記フィルタは、上記バルブを閉鎖することにより被検査管内の流体の流れが存在しない領域に配置された超音波センサで受信した受信信号の周波数スペクトルの絶対値が予め決められたある閾値を超える周波数を中心周波数とし、上記中心周波数と予め決められた周波数帯域幅とから上限周波数と下限周波数が決められたバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項12に記載の異常箇所検出装置。
- 上記信号処理部は、上記相関処理部により演算された相互相関関数の包絡線を求め、さらに予め決められた繰り返し回数だけ求められた上記相互相関関数の包絡線を平均化する後処理部をさらに備えたことを特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
- 上記後処理部は、上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値と予め決められたある閾値との大小関係から異常箇所の有無を判定することを特徴とする請求項15に記載の異常箇所検出装置。
- 上記後処理部は、異常箇所が存在する場合としない場合の予備実験から得られる統計データに基づいて上記平均化された相互相関関数の包絡線のピーク値に関する閾値を決定することを特徴とする請求項16に記載の異常箇所検出装置。
- 上記後処理部は、2つの超音波センサの内、ある2つの超音波センサで受信した受信信号についての上記平均化された相互相関関数の包絡線がピークになる時間と、漏洩音が上記被検査管を伝搬するときの伝搬速度と、上記2つの超音波センサの各離間距離とから異常箇所の位置を特定することを特徴とする請求項15ないし17のいずれかに記載の異常箇所検出装置。
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