JP2006308563A - 配管漏洩箇所検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 漏洩箇所からの漏洩音による音波信号とその他の雑音による音波信号とを明確に識別することが可能な方法を提供する。
【解決手段】 漏洩箇所Pを挟む位置に第1信号受信手段3と第2信号受信手段4とを配置する工程と、第1信号受信手段3および第2信号受信手段4でそれぞれ受信した音波信号に基づいてクロススペクトルSを得る工程と、クロススペクトルSから測定ベクトルYに関する共分散行列Rを作成する工程と、共分散行列Rを解析して固有値dおよび固有ベクトルeを得る工程と、固有値dの大きさと固有ベクトルeから雑音部分空間を求める工程と、雑音部分空間を用いて遅延時間に対して評価関数を計算する工程と、評価関数の高い遅延時間を漏洩箇所から伝わる漏洩音の遅延時間とし、漏洩音の遅延時間から漏洩箇所Pを推定する工程とを包含する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、主配管と、この主配管に接続された少なくとも一つの分岐配管とを含む配管系において、漏洩箇所を検出する配管漏洩箇所検出方法に関する。
ユーティリティ管の一つであるガス管が土壌等の媒質中に埋設されている場合、例えば、長年の腐食作用等によって管に穴が開き、ガスが漏洩することがある。このような場合、ガスの漏洩箇所を検出し、その場所を掘り起こして穴が開いたガス管部分の交換が行われる。
従来、ガス管等の配管の漏洩箇所を検出する技術として、配管系の任意の二箇所(例えば、ガスメータの検査穴)にマイクロホンを設置し、それぞれのマイクロホンで受信した漏洩音の音波信号について相互相関を求めることで漏洩箇所の解析を行う方法があった(例えば、特許文献1を参照)。
また、漏洩箇所を有する配管の両端にマイクを取り付け、各マイクで検出した漏洩音波信号の伝搬時間差に基づいて配管の漏洩箇所を検出する配管漏洩箇所検出方法において、各マイクで検出した漏洩音波信号の低周波数成分をフィルタによってカットし、さらにノイズ成分を除去してから、音波信号を解析処理する方法もあった(例えば、特許文献2を参照)。
また、漏洩箇所を有する配管の両端にマイクを取り付け、各マイクで検出した漏洩音波信号の伝搬時間差に基づいて配管の漏洩箇所を検出する配管漏洩箇所検出方法において、各マイクで検出した漏洩音波信号をフーリエ変換した後、クロススペクトルを算出し、当該クロススペクトルの振幅特性について平滑化処理および不必要帯域の零値化を行った上で、二つの音波信号の相互相関を求める方法もあった(例えば、特許文献3を参照)。
さらに、漏洩箇所を有する配管の両端にマイクを取り付け、各マイクで検出した漏洩音波信号を複数の周波数帯域に分別して周波数帯域毎の相関係数を算出し、相関係数の高い周波数帯域の波形を合成した上で、二つの音波信号の相互相関を求める方法もあった(例えば、特許文献4を参照)。
特開昭56−73331号公報 特開平10−62292号公報 特開平10−185745号公報 特開平11−64151号公報
ところが、実際の配管内には漏洩箇所からの漏洩音だけでなく、様々な雑音が存在している。その例として、分岐配管等に設置したマイクロホンが検知する通常のバックグラウンドノイズや、検査中の配管と同系統の配管に接続された測定対象区間外にあるガス機器を使用しているときに発生する燃焼音等に起因する外来雑音等が挙げられる。従って、漏洩音の強度が弱い場合、特許文献1に記載の配管漏洩箇所検出方法で行っているような二つの音波信号について単純に相互相関を求める方法では、漏洩音と他の雑音(バックグラウンドノイズや外来雑音等)とを区別することが困難であり、配管の漏洩位置を正確に検知することができない場合があった。特に、測定対象区間外から強度の大きい外来雑音が到来してきた場合では、その外来雑音の音源がマイクロホンを設置した分岐配管の分岐部にあると推定されてしまうこととなり、真の漏洩箇所との判別が困難になる。
また、特許文献2では、配管内の漏洩音の識別性を高めるため(すなわち、S/N比を向上させるため)に元の音波波形に対してフィルタ処理を行っているが、種々の音波波形の中から漏洩音の音波波形のみを抽出することには限界があった。従って、特許文献2の方法においては、漏洩音の強度が一定以上でなければ期待できるほどの音波識別効果は見られなかった。また、漏洩音の強度が一定以上であっても、外来雑音の強度が測定対象である漏洩音の強度を上回る場合には、音波識別効果はほとんど期待できなかった。
一方、特許文献3や特許文献4においては、相互関係を求める前段階において種々の信号処理を行っている。このような特許文献3や特許文献4において行われる信号処理は、非常に複雑なアルゴリズムに基づいた処理である。ところが、信号処理が複雑であっても、その割には音波信号のS/N比を十分に高めることはできなかった。また、特許文献3や特許文献4においても、外来雑音の強度が測定対象である漏洩音の強度を上回る場合には、音波識別効果はほとんど期待できなかった。
従って、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、配管の漏洩箇所を検出する配管漏洩箇所検出方法において、漏洩箇所からの漏洩音による音波信号とその他の雑音による音波信号とを明確に識別することが可能な配管漏洩箇所検出方法を提供することにある。また、測定対象区間外の配管から外来雑音が到来するような場合、そのような外来雑音によるノイズを除去し、配管の漏洩箇所を精度高く特定することが可能な配管漏洩箇所検出方法を提供することにある。
本発明に係る配管漏洩箇所検出方法の特徴構成は、主配管と、この主配管に接続された少なくとも一つの分岐配管とを含む配管系において、漏洩箇所を検出する配管漏洩箇所検出方法であって、前記漏洩箇所を挟む位置に第1信号受信手段と第2信号受信手段とを配置する工程と、前記第1信号受信手段および前記第2信号受信手段でそれぞれ受信した音波信号に基づいてクロススペクトルSを得る工程と、前記クロススペクトルSから測定ベクトルyに関する共分散行列Rを作成する工程と、前記共分散行列Rを解析して固有値dおよび固有ベクトルeを得る工程と、前記共分散行列Rの前記固有値dの大きさと前記固有ベクトルeから雑音部分空間を求める工程と、前記雑音部分空間を用いて遅延時間に対して評価関数を計算する工程と、前記評価関数の高い遅延時間を前記漏洩箇所から伝わる漏洩音の遅延時間とし、前記漏洩音の遅延時間から前記漏洩箇所を推定する工程とを包含する点にある。
本構成の配管漏洩箇所検出方法によれば、共分散行列Rの固有値dの大きさと固有ベクトルeから雑音部分空間を求め、この雑音部分空間を用いて遅延時間に対して評価関数を計算するという所謂MUSIC法の評価関数を用いて、配管の漏洩箇所から伝わる漏洩音の遅延時間を求めている。このようにMUSIC法による信号処理を行うと、有意な信号音(漏洩音)とその他の雑音とを明確に分離した状態で、漏洩音の遅延時間を識別することができるようになり、その結果、配管の漏洩箇所を正確に推定することが可能となる。
本発明の配管漏洩箇所検出方法において、前記共分散行列Rを作成する工程は、前記クロススペクトルSから作成した測定ベクトルyと、前記主配管と前記分岐配管との接続部の位置に基づいて事前に把握可能な遅延時間より形成される投影行列Pとから、投影ベクトルy´を作成する工程と、前記投影ベクトルy´に関する共分散行列Rを作成する工程とを包含することが好ましい。
本構成の配管漏洩箇所検出方法は、共分散行列Rを作成する工程において、クロススペクトルSから作成した測定ベクトルyと、主配管と分岐配管との接続部の位置に基づいて事前に把握可能な遅延時間より形成される投影行列Pとから投影ベクトルy´を作成し、この投影ベクトルy´に関する共分散行列Rを作成するという所謂Constrained MUSIC法を利用するものである。ここで、測定対象区間外から到来してくる外来雑音の音源は主配管と分岐配管との接続部にあるとみなされることから、主配管と分岐配管との接続部に相当する遅延時間を事前に把握することができれば、Constrained MUSIC法を用いて測定対象区間外の配管から到来してくる外来雑音を確実に除去することが可能となり、有意な信号音(漏洩音)とその他の雑音(バックグラウンドノイズや外来雑音等)とを明確に分離した状態で、漏洩音の遅延時間を識別することができるようになる。その結果、配管の漏洩箇所をより正確に推定することが可能となる。
本発明の配管漏洩箇所検出方法において、前記クロススペクトルSを得る工程は、前記第1信号受信手段および前記第2信号受信手段でそれぞれ受信した音波信号から相互相関関数を導出する工程と、前記相互相関関数をフーリエ変換する工程とを包含することが好ましい。
本構成の配管漏洩箇所検出方法によれば、第1信号受信手段および第2信号受信手段でそれぞれ受信した音波信号から相互相関関数を導出し、この相互相関関数をフーリエ変換してクロススペクトルSを得ている。このように、音波信号からクロススペクトルSを求めるに際し、通用の手法を用いることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施の形態および図面に記載される構成に限定されるものではない。
(配管漏洩箇所検出方法に用いる装置)
図1は、本発明の配管漏洩箇所検出方法を実施するために使用する装置を、漏洩箇所を有する配管系に対して適用した状態を示す模式図である。なお、本実施形態では、例として、この配管系がガス配管系であることを想定して説明する。
この配管系では、第1分岐配管1が、第1接続部位であるサービスバルブ6を介して主配管10に接続されている。また、第2分岐配管2が、第2接続部位であるサービスバルブ7を介して主配管10に接続されて構成されている。主配管10は、例えば、土壌等の媒質中に埋設されており、第1分岐配管1と第2分岐配管2との間のある漏洩箇所Pからガスが漏洩しているものとする。一例として、図1に主配管10のスケールおよび漏洩箇所Pの位置を示す。本実施形態における測定対象区間は主配管10のうち第1分岐配管1と第2分岐配管2との間の3.35mの部分であり、漏洩箇所Pは第1分岐配管1と第2分岐配管2との中間地点から第2分岐配管2側に1.17m寄った地点に位置するものとする。当然ながら、この漏洩箇所Pの位置は測定前は未知である。
第1分岐配管1には、第1部位としてのメータM1の接続部11が設けられており、メータM1の接続部11には第1信号受信手段であるマイクロホン3が取り付けられている。また、第2分岐配管2には、第2部位としてのメータM2の接続部12が設けられており、メータM2の接続部12には第2信号受信手段であるマイクロホン4が取り付けられている。マイクロホン3およびマイクロホン4は、それぞれ漏洩箇所Pからの漏洩音を検知することができる。同時に、マイクロホン3およびマイクロホン4は、漏洩箇所Pからの漏洩音が、例えば、第1分岐配管1および第2分岐配管2にそれぞれ取り付けられたマイクロホン3およびマイクロホン4で反射された反射音も検知することができる。すなわち、各マイクロホン3、4で検知される音波信号は、漏洩音と反射音とが混在したものとなる。ここで、反射音は、漏洩音の検知を妨害する妨害音となる。各マイクロホン3、4で検知された漏洩音および反射音は、コンピュータCに送信される。コンピュータCでは、二つの漏洩音および反射音の波形の時間的なずれ(遅延時間)について、後述するMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いた解析処理が行われる。この解析処理では、漏洩音または反射音の候補を抽出し、例えば、その強度の最も高いものとして漏洩箇所Pの位置を検出することができる。
ところで、実際の測定環境では、図1中の矢印Nで示すように、測定対象区間外の配管からガス機器の燃焼音等に起因する外来雑音が到来してくる場合がある。このとき、外来雑音は主配管10と第1分岐配管1との接続部Q、および主配管10と第2分岐配管2との接続部Qで分岐し、それぞれのマイクロホン3、4に伝達される。外来雑音の強度が漏洩音の強度よりも小さい場合は、マイクロホン3、4で検知した音波に対してそのまま上記の解析処理を行っても漏洩音と雑音とを識別できるため特に問題はない。しかし、外来雑音の強度が漏洩音の強度よりも大きい場合は、漏洩音と雑音との識別が困難になる。そこで、このような場合は、上記MUSIC法に代えて後述するConstrained MUSIC法の評価関数を利用して解析処理を行うことも有効である。Constrained MUSIC法による解析処理においては、主配管10と各分岐配管1、2との接続部Q、Qに相当する遅延時間τ、τを事前に把握しておくことにより、測定対象区間外の配管から到来してくる外来雑音を除去することが可能となる。このため、有意な信号音(漏洩音)とその他の雑音(バックグラウンドノイズや外来雑音等)とを明確に分離した状態で、漏洩音の遅延時間τを識別することができるようになる。そしてその結果、配管の漏洩箇所Pをより正確に推定することが可能となる。
図1に示した装置において、マイクロホン3、4とコンピュータCとを無線接続しておくことも可能である。このような構成とすれば、マイクロホン3、4とコンピュータCとの配線が不要となるので、計測装置を簡略化することができる。従って、測定対象となる配管が長い場合や配管の形状が複雑な場合であっても、配線の煩わしさがないので円滑に計測作業を進めることができる。
また、マイクロホン3、4とコンピュータCとにそれぞれクロック手段を設けておき、マイクロホン3、4における漏洩音波信号と反射音波信号とが混在した音波信号の受信時刻をコンピュータCがそれぞれカウントするように構成することも可能である。このような構成とすれば、マイクロホン3、4およびコンピュータCの各クロック手段を同期させておくことで、正確な時間測定が可能となるため、遅延時間の計測の精度および信頼性が向上する。また、クロックの作動中は連続して信号の計測が可能であるので、仮に一回の計測に失敗しても直ちに次の計測を実施することができるので、作業効率が向上する。
(配管漏洩箇所検出方法)
<第1実施形態>
第1実施形態では、MUSIC法を利用した配管漏洩箇所検出方法について説明する。
図2は、本実施形態の配管漏洩箇所検出方法を実施する際の信号処理手順を示すフローチャートである。この配管漏洩箇所検出方法の特徴は、所謂MUSIC法を利用して音波信号処理を行うことにある。MUSIC法は、従来の相互相関法等と比較して高分解能性を有するという利点がある。
ステップ1では、2素子アレー(すなわち、マイクロホン3、4)の音波信号間の相互相関関数を計算する(S1)。具体的には、まず図1のように主配管10の漏洩箇所Pを挟む位置にマイクロホン3、4をそれぞれ配置する。
次に、マイクロホン3、4で主配管10の管内を介して到来する音波信号を受信する。音波信号の一例を図3に示す。図3において、例えば、ch1として示したものがマイクロホン3の受信波形であり、ch2として示したものがマイクロホン4の受信波形である。漏洩音の周波数帯域は通常200〜800Hz程度であるが、漏洩音のバックグラウンドには多くの雑音成分が含まれているため、この段階では漏洩音のみを明確に推定することはできない。
次に、この2つの受信波形から、遅延時間に対して相互相関関数を求める。求めた相互相関関数の一例を図4に示す。図4において、遅延時間が0msの近傍において、3本の大きなピーク(a、b、c)が見られるが、これらうちのいずれか一つが漏洩箇所Pから発せられる漏洩音に対応し、残りの二つが測定対象区間の両端部(図1のマイクロホン3、4)において漏洩音が反射したことによる反射音に対応すると予測される。但し、この段階においても具体的にどのピークがどの音波信号に対応しているかはまだ明確ではない。また、受信した音波信号はS/N比があまり良くないため、図4の相互相関関数のグラフでは3本のピーク(a、b、c)が広がっている。そこで、このようなノイズを多く含むピークからより明確なピークを得るために、以下に続く処理を行う。
ステップ2において、ステップ1で求めた相互相関関数を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;FFT)し、クロススペクトルSを計算する(S2)。このように本実施形態では、上記のステップ1およびステップ2によって、マイクロホン3およびマイクロホン4でそれぞれ受信した音波信号に基づいてクロススペクトルSを求めることができる。計算したクロススペクトルSの一例を図5に示す。
ステップ3では、各周波数におけるクロススペクトルSを要素とする測定ベクトルyを形成する(S3)。すなわち、測定ベクトルyは式(1)のように表される。
Figure 2006308563
ここで、Sxy(f)は、10スナップショット(Snapshot)のデータのうち、図5のクロススペクトルSに示すような1スナップショットのみのデータから抽出したものである。
ステップ4では、ステップ3において形成した測定ベクトルyを用いて、以下の式(2)に示す共分散行列Rを算出する(S4)。
Figure 2006308563
この共分散行列Rは、10スナップショットから得られる10個のyy*Tを平均処理E[yy*T]したものである。
ステップ5では、共分散行列Rについて固有値問題を解き(S5)、固有値dおよび固有ベクトルeを求める。図6に、共分散行列Rについて行った固有値の解析結果の一例を示す。
次にステップ6において、例えば、図6中の点線で囲った部分である固有値dの大きいものから3つを信号部分空間に対応させ、残余が雑音部分空間Eであると推定する(S6)。このとき、雑音部分空間Eは、以下の式(3)のように、
Figure 2006308563
と表される。
最後にステップ7において、以下の式(4)に示すMUSIC法の評価関数を遅延時間τに対して計算する(S7)。
Figure 2006308563
ここで、式(4)中のa(τ)は、以下の式(5)のように、
Figure 2006308563
と表される。これは、遅延時間τに対応するモードベクトルを意味する。また、E *TはEの共役転置を表し、a*T(τ)はa(τ)の共役転置を表している。
MUSIC法の評価関数を遅延時間τに対してプロットすると、図7のようになる。遅延時間τが5.0684msにおいて漏洩音と推定される大きなピークが現れ、さらにこのピークを挟む二箇所に反射音と推定される鋭いピークが見られる。この遅延時間τから、主配管10上の漏洩箇所Pを推定することができる。
以上のように、本実施形態の配管漏洩箇所検出方法では、共分散行列Rの固有値dの大きさと固有ベクトルeから雑音部分空間Eを求め、この雑音部分空間Eを用いて遅延時間τに対して評価関数を計算するという所謂MUSIC法の評価関数を用いて、主配管10の漏洩箇所Pから伝わる漏洩音の遅延時間τを求めている。このようにMUSIC法による信号処理を行うと、有意な信号音(漏洩音)とその他の雑音とを明確に分離した状態で、漏洩音の遅延時間を識別することができるので、漏洩箇所Pの測定対象区間に反射箇所があっても、主配管10の漏洩箇所Pを正確に推定することができる。
また、本実施形態の配管漏洩箇所検出方法では、第1信号受信手段および第2信号受信手段でそれぞれ受信した音波信号から相互相関関数を導出し、この相互相関関数をフーリエ変換してクロススペクトルSを得ている。このように、音波信号からクロススペクトルSを求めるに際し、特殊な演算等を行うことなく、通用の手法を用いることができる点において有用である。
さらに、本実施形態の配管漏洩箇所検出方法では、固有値dの大きいもの(例えば、大きいものから3つの固有値)を信号部分空間に対応させ、残余を雑音部分空間Eとして評価関数を計算している。このとき、漏洩音の音波信号は、ほとんどの場合において固有値dの大きいものに含まれる。従って、この場合の評価関数の解析結果を利用すれば、ほぼ確実に主配管10の漏洩箇所Pを推定することができる。
本実施形態の配管漏洩箇所検出方法は、配管系において顕著な反射箇所がない場合であっても当然に適用することができる。例えば、ガス検知用に使用する一対の分岐配管と主配管との接続部において音波の反射が発生している場合においても、本実施形態は有効である。
<第2実施形態>
第2実施形態では、Constrained MUSIC法を利用した配管漏洩箇所検出方法について説明する。
図1中の矢印Nで示すように、測定対象区間外の配管からガス機器の燃焼音等の外来雑音が到来する場合がある。このとき、その外来雑音の強度が漏洩音の強度よりも大きいと、上記第1実施形態で説明したMUSIC法による配管漏洩箇所検出方法では、漏洩箇所Pの特定精度が低下する場合がある。そこで、そのような場合は、以下説明するConstrained MUSIC法による配管漏洩箇所検出方法を実施することも有効である。
図8は、Constrained MUSIC法による配管漏洩箇所検出方法を実施する際の信号処理手順を示すフローチャートである。Constrained MUSIC法を利用することの利点は、不要な外来雑音を除去した上で、漏洩音の音波信号処理を実行できることである。
ステップ11は、第1実施形態におけるステップ1と同様であるため手順に関する詳細な説明は省略するが、マイクロホン3、4で受信した音波信号の一例を図9に示す。図9において、例えば、ch1として示したものがマイクロホン3の受信波形であり、ch2として示したものがマイクロホン4の受信波形である。但し、漏洩音のバックグラウンドには外来雑音を含む多くの雑音成分が含まれているため、この段階では漏洩音のみを明確に推定することはできない。
次に、この2つの受信波形から、遅延時間に対して相互相関関数を求める。求めた相互相関関数の一例を図10に示す。図10において、遅延時間が0.01sの周辺において、複数の大きなピーク成分が見られるが、これらのうちのいずれか一つが漏洩箇所Pから発せられる漏洩音に対応し、残りのピーク成分が主配管10と第1分岐配管1および第2分岐配管2との接続部Q、Qが音源と擬制される測定対象区間外から到来してきた外部雑音ならびに測定対象区間の両端部(図1において、マイクロホン3、4)において漏洩音が反射したことによる反射音に対応すると予測される。但し、この段階においても具体的にどのピークがどの音波信号に対応しているかはまだ明確ではない。また、受信した音波信号はS/N比があまり良くないため、図10の相互相関関数のグラフでは複数のピーク成分が広がっている。そこで、このようなノイズを多く含むピークからより明確なピークを得るために、以下に続く処理を行う。
ステップ12は、第1実施形態におけるステップ2と同様であるため手順に関する詳細な説明は省略するが、ステップ12において求めたクロススペクトルSの一例を図11に示す。
ステップ13は、第1実施形態におけるステップ3と同様であるため手順に関する詳細な説明は省略するが、ステップ13において形成した測定ベクトルyは式(6)のように表される。
Figure 2006308563
ここで、Sxy(f)は、10スナップショット(Snapshot)のデータのうち、図11のクロススペクトルSに示すような1スナップショットのみのデータから抽出したものである。
ステップ14は、この第2実施形態において独特のステップである。ステップ14では、ステップ13において形成したクロススペクトルSから作成した測定ベクトルYと、主配管10と第1分岐配管1および第2分岐配管2との接続部Q、Qの位置に基づいて事前に把握可能な遅延時間(図1に示す構成では、主配管10と第1分岐配管1との接続部Qにおける遅延時間がτ、主配管10と第2分岐配管2との接続部Qにおける遅延時間がτとなる)より形成される行列C=[a(τ)|a(τ)|]から求められる投影行列P=(I−C(C*TC)−1*T)とから、式(7)で示す投影ベクトルy´を作成する。ここで、Iは単位行列、C*TはCの共役転置を表している。
Figure 2006308563
そして、ステップ15では、ステップ14において作成した投影ベクトルy´を用いて、以下の式(8)に示す共分散行列Rを作成する(S15)。なお、上記投影ベクトルy´を作成するステップ(S14)を、この共分散行列Rを作成するステップ(S15)の一部として取り扱っても構わない。
Figure 2006308563
共分散行列Rは、10スナップショットから得られる10個のy´y´*Tを平均処理E[y´y´*T]したものである。
ステップ16は、第1実施形態におけるステップ5と同様であるため手順に関する詳細な説明は省略するが、図12に、共分散行列Rについて行った固有値の解析結果の一例を示す。
次にステップ17において、例えば、図12中の点線で囲った部分である固有値dの大きいものから3つを信号部分空間に対応させ、残余が雑音部分空間Eであると推定する(S17)。このとき、雑音部分空間Eは、以下の式(9)のように、
Figure 2006308563
と表される。
最後にステップ18において、以下の式(10)に示すConstrained MUSIC法の評価関数を遅延時間τに対して計算する(S18)。
Figure 2006308563
ここで、式(10)中のPを形成するCは、以下の式(11)のように、
Figure 2006308563
と表される。これは、遅延時間τに対応するモードベクトルを意味する。前述のように、τおよびτは、主配管10と第1分岐配管1および第2分岐配管2との接続部QおよびQにおける遅延時間であり、事前に求めておくことが可能である。また、E *TはEの共役転置を表し、Pa(τ)*TはPa(τ)の共役転置を表している。
Constrained MUSIC法の評価関数を遅延時間τに対してプロットすると、図13のようになる。なお、測定条件として、漏洩音はガスで満たされた配管中を伝搬するものとし、その場合の音速を340m/secとする。また、外来雑音はマイクロホン4の外側から到来し、その周波数帯域は漏洩音と同じ約200〜800Hz、強度は漏洩音の約4倍である。
この測定条件下では、遅延時間τが約0.007sにおいて漏洩音と推定される大きなピークが現れ、さらにこのピークの遅延側である約0.01sにおいて外来雑音と推定される小さなピークが見られる。ここで、外来雑音の音源と擬制される主配管10と第1分岐配管1および第2分岐配管2との接続部Q、Qにおける遅延時間はそれぞれ、τ=−1.675×2/340=−0.01(sec)、τ=1.675×2/340=0.01(sec)であるから、約0.01sにおける小さなピークは外来雑音に起因するものと判断することができる。従って、この外来雑音のピークを除去し、漏洩音の遅延時間τから、主配管10上の漏洩箇所Pを推定することができる。
因みに、上記と同じ測定条件において、通常のMUSIC法の評価関数を遅延時間τに対してプロットすると、図14のようになる。この図14では、図13とは反対に、遅延時間τが約0.007sにおいて漏洩音と推定される小さなピークが現れ、さらにこのピークの遅延側である約0.01sにおいて外来雑音と推定される大きなピークが見られる。このように外来雑音のピークが漏洩音のピークよりも大きい場合、外来雑音の遅延時間を漏洩音の遅延時間τを誤認してしまうおそれがあるため、主配管10上の漏洩箇所Pを正確に推定することは困難である。
Constrained MUSIC法の評価関数を用いた本発明の配管漏洩箇所検出方法は、主配管10に接続される分岐配管の数がさらに増える場合においても適用することができる。その場合、式(11)のPを形成するCを、以下の式(12)に変更するだけでよい。
Figure 2006308563
nは分岐配管の数を表し、τはn番目の分岐配管と主配管10との接続部における遅延時間である。
以上のように、主配管10と第1分岐配管1および第2分岐配管2との接続部Q、Qに相当する遅延時間τ、τを把握することができれば、Constrained MUSIC法を用いて測定対象区間外の配管から到来してくる外来雑音を確実に除去することが可能となるため、有意な信号音(漏洩音)とその他の雑音(バックグラウンドノイズや外来雑音等)とを明確に分離した状態で、漏洩音の遅延時間τを識別することができるようになる。その結果、配管の漏洩箇所Pをより正確に推定することが可能となる。
本発明の配管漏洩箇所検出方法は、上記実施形態の中で例示的に説明したガス配管系に限らず、例えば、地下に埋設されている上下水道配管、工場等に配設されている各種薬液輸送管、各種機械に接続される圧縮空気管等の各種配管系の漏洩箇所の検出にも利用することができる。
本発明の配管漏洩箇所検出方法を実施するために使用する装置を、漏洩箇所を有する配管系に対して適用した状態を示す模式図 第1実施形態の配管漏洩箇所検出方法を実施する際の信号処理手順を示すフローチャート 第1実施形態において、マイクロホンで受信した主配管の管内を到来する音波信号の一例を示す図 第1実施形態において、マイクロホンで受信した二つの受信波形について、遅延時間に対して求めた相互相関関数の一例を示す図 第1実施形態において、相互相関関数を高速フーリエ変換(FFT)して求めたクロススペクトルの一例を示す図 第1実施形態において、共分散行列について行った固有値の解析結果の一例を示す図 第1実施形態において、MUSIC法の評価関数を遅延時間τに対してプロットした図 第2実施形態の配管漏洩箇所検出方法を実施する際の信号処理手順を示すフローチャート 第2実施形態において、マイクロホンで受信した主配管の管内を到来する音波信号の一例を示す図 第2実施形態において、マイクロホンで受信した二つの受信波形について、遅延時間に対して求めた相互相関関数の一例を示す図 第2実施形態において、相互相関関数を高速フーリエ変換(FFT)して求めたクロススペクトルの一例を示す図 第2実施形態において、共分散行列について行った固有値の解析結果の一例を示す図 第2実施形態において、Constrained MUSIC法の評価関数を遅延時間τに対してプロットした図 通常のMUSIC法の評価関数を遅延時間τに対してプロットした図
符号の説明
1 第1分岐配管
2 第2分岐配管
3 第1信号受信手段(マイクロホン)
4 第2信号受信手段(マイクロホン)
10 主配管
P 漏洩箇所

Claims (3)

  1. 主配管と、この主配管に接続された少なくとも一つの分岐配管とを含む配管系において、漏洩箇所を検出する配管漏洩箇所検出方法であって、
    前記漏洩箇所を挟む位置に第1信号受信手段と第2信号受信手段とを配置する工程と、
    前記第1信号受信手段および前記第2信号受信手段でそれぞれ受信した音波信号に基づいてクロススペクトルSを得る工程と、
    前記クロススペクトルSから測定ベクトルyに関する共分散行列Rを作成する工程と、
    前記共分散行列Rを解析して固有値dおよび固有ベクトルeを得る工程と、
    前記共分散行列Rの前記固有値dの大きさと前記固有ベクトルeから雑音部分空間を求める工程と、
    前記雑音部分空間を用いて遅延時間に対して評価関数を計算する工程と、
    前記評価関数の高い遅延時間を前記漏洩箇所から伝わる漏洩音の遅延時間とし、前記漏洩音の遅延時間から前記漏洩箇所を推定する工程と
    を包含する配管漏洩箇所検出方法。
  2. 前記共分散行列Rを作成する工程は、
    前記クロススペクトルSから作成した測定ベクトルyと、前記主配管と前記分岐配管との接続部の位置に基づいて事前に把握可能な遅延時間より形成される投影行列Pとから、投影ベクトルy´を作成する工程と、
    前記投影ベクトルy´に関する共分散行列Rを作成する工程と
    を包含する請求項1に記載の配管漏洩箇所検出方法。
  3. 前記クロススペクトルSを得る工程は、前記第1信号受信手段および前記第2信号受信手段でそれぞれ受信した音波信号から相互相関関数を導出する工程と、前記相互相関関数をフーリエ変換する工程とを包含する請求項1または2に記載の配管漏洩箇所検出方法。
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