JP2000291488A - 水冷式内燃機関のシリンダブロック - Google Patents
水冷式内燃機関のシリンダブロックInfo
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Abstract
部4付近での残留応力および引張応力の集中による亀裂
発生を防止する。 【解決手段】 シリンダボア3を構成する略円筒状のシ
リンダ壁6の外周にウォータジャケット壁5が形成さ
れ、両者間に、クローズドデッキ型のウォータジャケッ
ト7が構成される。ウォータジャケット壁5の上部を部
分的に厚肉にした略円柱状のヘッドボルトボス部4の中
心に、シリンダヘッドボルト孔2が加工されている。シ
リンダブロック1端部に位置するヘッドボルトボス部4
とシリンダ壁6との間にリブ11が設けられ、互いに一
体化されている。リブ11下方のウォータジャケット7
上部は、曲率半径の大きなR形状となり、応力の集中が
回避される。リブ11が連結されたシリンダ壁6のシリ
ンダブロック1端部側の部分6aは、他の部分に比べて
厚肉となっている。
Description
のシリンダブロックに関し、特に、クローズドデッキ型
のトップデッキ部を有するシリンダブロックの改良に関
する。
一般に、シリンダボアを構成するシリンダ壁やウォータ
ジャケットを構成するウォータジャケット壁等を含めて
各部一体に鋳造されている。特に、シリンダヘッドガス
ケットのシール性を高めるために、ウォータジャケット
の上端をトップデッキ部によって覆ったいわゆるクロー
ズドデッキ型のシリンダブロックにあっては、砂中子を
用いて材料コストに優れた鋳鉄により鋳造する場合が多
い。
デッキ部の上には、燃焼室を構成するシリンダヘッドが
載置され、かつ複数本のシリンダヘッドボルトによって
固定される。このシリンダヘッドボルトが螺合するシリ
ンダヘッドボルト孔は、特開平10−311242号公
報や特開平8−28342号公報等に見られるように、
ウォータジャケット外周のウォータジャケット壁を部分
的に厚肉にしてなる略円柱状のヘッドボルトボス部に機
械加工されている。また、シリンダヘッドボルトは、シ
リンダボアをそれぞれ囲むように配置され、複数気筒が
直列に並んだシリンダブロックでは、該シリンダブロッ
クの前後両端と気筒間位置とにそれぞれ設けられてい
る。
機関のシリンダブロック1のトップデッキ部上面および
その要部の断面形状を示しており、図6に示すように、
シリンダヘッドボルト孔2が各シリンダボア3の四隅に
配置され、計10本のシリンダヘッドボルトによって図
示せぬシリンダヘッドが固定されるようになっている。
このシリンダヘッドボルト孔2が設けられるヘッドボル
トボス部4は、図7に示すように、ウォータジャケット
壁5の上部に、該ウォータジャケット壁5と一体に形成
されている。上記ヘッドボルトボス部4は、ウォータジ
ャケット壁5を内側および外側の双方へ向かって膨出さ
せた形状をなしており、従って、シリンダ壁6とウォー
タジャケット壁5との間に形成されるウォータジャケッ
ト7は、このヘッドボルトボス部4によって部分的に狭
められている。なお、上記ウォータジャケット7の上端
は、トップデッキ部8によって覆われており、かつこの
トップデッキ部8には、図6に示すように、シリンダヘ
ッド側のウォータジャケットと連通する複数の連通孔9
が開口形成されている。
は、気筒間に位置するシリンダヘッドボルトは、その軸
力が両側の気筒にそれぞれ作用するのに対し、シリンダ
ブロックの端部に位置するシリンダヘッドボルトは、そ
の軸力が1つの気筒にのみ作用する形となる。換言すれ
ば、端部に位置する各シリンダヘッドボルトは、図6に
斜線を施して示す領域をそれぞれ締め付けており、また
気筒間に位置するシリンダヘッドボルトは、それぞれ隣
接するシリンダボア3の中心に挟まれたほぼ倍の面積の
領域を締め付けている。従って、シリンダブロック端部
のヘッドボルトボス部4においては、気筒間に位置する
ヘッドボルトボス部4に比較して、ボルト軸力によって
ヘッドボルトボス部4の周囲に生じる締付応力が大きな
ものとなり、好ましくない。特に、図7に示すように、
ウォータジャケット7がヘッドボルトボス部4によって
狭められており、ウォータジャケット7上端の断面形状
のRが小さなものとなるので、ここに応力が集中しやす
い。
状態を示したものであり、ヘッドボルトボス部4が矢印
Aのようにボルト軸力でもって上方へ引っ張られるのに
対し、シリンダ壁6上面部分はシリンダヘッドガスケッ
トのビードによって矢印Bのように下方へ押さえつけら
れるので、ウォータジャケット7上端の符号Cで示す部
分に大きな引張応力が作用する。
も、気筒間に位置するヘッドボルトボス部4に比較して
シリンダブロック端部のヘッドボルトボス部4の方が大
きなものとなる。
際しては、シリンダボア3の耐摩耗性向上に寄与するパ
ーライトを析出させるために、あるいは生産タクトを短
縮するために、一般に、組織成長が終わる共析変態点
(約720℃)以下に温度低下する前に型ばらしが行わ
れる。この型ばらしの後、外気に触れるトップデッキ部
8は冷却の進行が早く、表面の輻射で熱がこもりやすい
シリンダボア3周囲のシリンダ壁6は冷却の進行が遅
い。この結果、シリンダ壁6がトップデッキ部8を引き
込みながら組織成長を終えるため、シリンダ壁6上端と
トップデッキ部8との接続部となるウォータジャケット
7上端部分に残留応力が発生する。
ルトボス部4については、この残留応力と上記のボルト
軸力による締付応力とが合わさることによって、ウォー
タジャケット7上端の狭小なR部分を始点とする亀裂が
発生しやすい。
残留応力を除去することも一部でなされているが、この
ような熱処理はコストの増加を招く要因となる。
に複数並んで形成され、かつシリンダボアを構成する略
円筒状のシリンダ壁と、このシリンダ壁を囲むように形
成され、該シリンダ壁との間にウォータジャケットを構
成するウォータジャケット壁と、このウォータジャケッ
ト壁を部分的に略円柱状に厚肉にしてなり、かつ内部に
シリンダヘッドボルト孔が形成されるヘッドボルトボス
部と、上記シリンダ壁の上端と上記ウォータジャケット
壁の上端とを連結して上記ウォータジャケットの上端を
覆うトップデッキ部と、を備えてなる水冷式内燃機関の
シリンダブロックにおいて、シリンダブロック端部に位
置するヘッドボルトボス部について、該ヘッドボルトボ
ス部とシリンダ壁との間の間隙を埋めるように、これら
のヘッドボルトボス部,シリンダ壁およびトップデッキ
部の三者に連結されたリブが形成されていることを特徴
としている。
ロック端部に位置する複数のヘッドボルトボス部の中の
一部であってもよく、あるいはシリンダブロック端部の
全てのヘッドボルトボス部にリブを設けるようにしても
よい。
が、上記ヘッドボルトボス部の直径と略等しい幅を有し
ている。
シリンダ軸方向の厚さを、部分的に延長したような構成
となり、ヘッドボルトボス部とシリンダ壁とトップデッ
キ部とが互いに堅固に一体化される。そのため、シリン
ダヘッドボルトの軸力による締付応力や残留応力が分散
されるとともに、剛性が向上し、亀裂が発生しにくくな
る。また、トップデッキ部の変形も抑制される。
化した請求項3の発明では、上記リブが、上記ヘッドボ
ルトボス部の軸方向の略全長に亘って形成されており、
該リブ下部により構成されるウォータジャケット上部
が、上記ヘッドボルトボス部より下方のウォータジャケ
ット一般部の厚さと等しく、かつR形状の断面形状を有
している。
との間がリブにより埋められた形となるので、ウォータ
ジャケット上部に狭小な部分が生じない。その結果、リ
ブ下端に相当するウォータジャケット上端のR部分の曲
率半径が大きくなり、それだけ応力集中を抑制できる。
されたシリンダ壁のシリンダブロック端部側部分が厚肉
となっている。
トボス部にリブを介してシリンダ壁が連結されることか
ら、シリンダ壁が部分的に半径方向外側へ引っ張られ、
シリンダボアの変形を生じるおそれがある。請求項4の
発明では、リブが連結される部分を厚肉としておくこと
で、シリンダ壁(シリンダボア)の変形が抑制される。
なお、シリンダブロック端部に位置するシリンダボアの
360度の中でリブが接続される一方の側の部分を反対
側の部分に比べて厚肉とするほか、シリンダブロック端
部のシリンダボアのシリンダ壁全体を、シリンダブロッ
ク中間部のシリンダボアのシリンダ壁に比べて厚肉とし
てもよい。また、シリンダ壁が変形しやすいのは、特に
シリンダ上部側の部分であるので、その部分のみを厚肉
としてもよい。
一体に鋳造されているシリンダブロックに特に好適であ
り、冷却の進行の差異による残留応力に耐えることがで
きる。
ダブロックにおいては、シリンダブロック端部に位置す
るヘッドボルトボス部付近での応力集中を回避でき、ボ
ルト軸力および残留応力による破損を防止できるととも
に、トップデッキ部の平滑性が保たれ、シリンダヘッド
との間のシール性が向上する。
ト上端のR部分の曲率半径が大きくなるようにすれば、
このウォータジャケット上端を始点とした亀裂発生を一
層確実に防止できる。また、同時に、鋳造時の湯流れが
良好なものとなり、鋳造欠陥を低減できる。
シリンダ壁を厚肉とすれば、リブに引っ張られることに
よるシリンダ壁の変形、シリンダボアの真円度の低下を
回避できる。
形態を図面に基づいて詳細に説明する。
機関のシリンダブロックに適用した一実施例を示してい
る。このシリンダブロック1は、砂中子を用いて鋳鉄に
より一体に鋳造されたものであって、図2に示すよう
に、いわゆるクローズドデッキ型のトップデッキ部8を
備えている。
で切断した断面図、図3は、図2のD−D線に沿った要
部の断面図であって、図示するように、シリンダボア3
を構成する略円筒状のシリンダ壁6が4個直列に並んで
形成されており、その外周側を囲むようにウォータジャ
ケット壁5が形成されている。この実施例では、4個の
シリンダ壁6は、ボア間の距離を短くすべく、隣接する
気筒同士で一部が互いに一体に連続したいわゆるサイア
ミーズ型の構成となっているが、各シリンダ壁6を個々
に独立させた構成としてもよい。上記ウォータジャケッ
ト壁5は、上記シリンダ壁6に対し略一定の間隙を保つ
ようにシリンダボア3と同心の円弧に沿って形成されて
おり、該ウォータジャケット壁5とシリンダ壁6との間
に、略一定幅のウォータジャケット7が構成されてい
る。このウォータジャケット7の上端は、上記トップデ
ッキ部8によって覆われており、かつ図2に示すよう
に、一部が連通孔9として開口している。
に示すように、シリンダヘッドボルト孔2が設けられて
いる。このシリンダヘッドボルト孔2は、気筒間位置お
よびシリンダブロック1両端部にそれぞれ2カ所づつあ
り、つまり全体で10本のシリンダヘッドボルトによっ
てシリンダブロック1上面にシリンダヘッドが固定され
るようになっている。
るヘッドボルトボス部4は、図1に示すように、ウォー
タジャケット壁5の上部を、内側および外側の双方へ向
かって膨出させ部分的に厚肉にした略円柱状のもので、
その中心に、図3に示すように、シリンダヘッドボルト
孔2が加工されている。
部4については、該ヘッドボルトボス部4はシリンダ壁
6から離れており、両者間に、ウォータジャケット7が
その幅を狭められた形で残存している。
置する4個のヘッドボルトボス部4については、該ヘッ
ドボルトボス部4とシリンダ壁6との間にリブ11が設
けられており、このリブ11によって、ヘッドボルトボ
ス部4とシリンダ壁6とトップデッキ部8との三者が実
質的に一体化している。図3に示すように、上記リブ1
1は、ヘッドボルトボス部4の軸方向の略全長に亘って
形成されており、この結果、該リブ11により構成され
るウォータジャケット7上部7aは、ヘッドボルトボス
部4より下方のウォータジャケット7一般部の厚さと等
しくなっている。そして、この一般部の厚さを略直径と
するR形状の断面形状を有している。また、上記リブ1
1は、図4に示すように、ヘッドボルトボス部4の直径
と略等しい幅Lを有し、かつシリンダボア3の半径方向
に延びている。
壁6のシリンダブロック1端部側の部分6aは、他の部
分に比べて厚肉となっている。理解を容易にするため
に、図5に、一般部に比して肉厚を増した部分を、斜線
を施して示しているが、この図5のように、略180度
の範囲で厚肉にされており、かつ三日月形に徐々に肉厚
が増えるようになっている。従って、この部分に生じる
ウォータジャケット7は、他の部分に比較して、僅かに
狭くなっている。なお、この肉厚の増加量を、シリンダ
ボア3の軸方向に沿って、下方へ向かうほど小さくなる
ようにしてもよい。
ってヘッドボルトボス部4とシリンダ壁6とトップデッ
キ部8とが互いに堅固に一体化されるため、シリンダヘ
ッドボルトの軸力によるヘッドボルトボス部4付近の締
付応力や残留応力が分散されるとともに、剛性が向上す
る。また、トップデッキ部8の変形が抑制され、その平
滑性が良好となることから、シリンダヘッドとの間のシ
ール性が向上する。そして、このリブ11の形成に伴い
ウォータジャケット7上部7aのR形状の曲率半径が大
きくなるので、応力集中による亀裂発生を防止できる。
やすいシリンダブロック1端部のヘッドボルトボス部4
についてのみリブ11が設けられるので、シリンダブロ
ック1全体の軽量化を損なわずに最小限の重量増加でも
って効果的な強度向上を達成することができる。従っ
て、例えば、鋳鉄による鋳造後に、残留応力除去のため
の焼鈍を行う必要がなくなる。
が存在しないことから、鋳造時の湯流れが良好なものと
なり、鋳造欠陥の低減の上でも有利となる。
ス部4にリブ11を介してシリンダ壁6が連結される
と、シリンダ壁6が部分的に半径方向外側へ引っ張ら
れ、シリンダボア3の変形を生じるおそれがあるが、上
記のようにリブ11が連結される部分を予め厚肉として
おくことで、シリンダ壁6の変形ひいてはシリンダボア
3の真円度の低下を回避できる。
キ部直下付近での断面図。
図。
図。
面図。
ス部の変形状態を示す説明図。
Claims (5)
- 【請求項1】 直列に複数並んで形成され、かつシリン
ダボアを構成する略円筒状のシリンダ壁と、このシリン
ダ壁を囲むように形成され、該シリンダ壁との間にウォ
ータジャケットを構成するウォータジャケット壁と、こ
のウォータジャケット壁を部分的に略円柱状に厚肉にし
てなり、かつ内部にシリンダヘッドボルト孔が形成され
るヘッドボルトボス部と、上記シリンダ壁の上端と上記
ウォータジャケット壁の上端とを連結して上記ウォータ
ジャケットの上端を覆うトップデッキ部と、を備えてな
る水冷式内燃機関のシリンダブロックにおいて、 シリンダブロック端部に位置するヘッドボルトボス部に
ついて、該ヘッドボルトボス部とシリンダ壁との間の間
隙を埋めるように、これらのヘッドボルトボス部,シリ
ンダ壁およびトップデッキ部の三者に連結されたリブが
形成されていることを特徴とする水冷式内燃機関のシリ
ンダブロック。 - 【請求項2】 上記リブが、上記ヘッドボルトボス部の
直径と略等しい幅を有することを特徴とする請求項1記
載の水冷式内燃機関のシリンダブロック。 - 【請求項3】 上記リブが、上記ヘッドボルトボス部の
軸方向の略全長に亘って形成されており、該リブ下部に
より構成されるウォータジャケット上部が、上記ヘッド
ボルトボス部より下方のウォータジャケット一般部の厚
さと等しく、かつR形状の断面形状を有していることを
特徴とする請求項1または2に記載の水冷式内燃機関の
シリンダブロック。 - 【請求項4】 上記リブが連結されたシリンダ壁のシリ
ンダブロック端部側部分が厚肉となっていることを特徴
とする請求項1〜3のいずれかに記載の水冷式内燃機関
のシリンダブロック。 - 【請求項5】 鋳鉄により一体に鋳造されていることを
特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水冷式内燃
機関のシリンダブロック。
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