JP2000290276A - ビタミンe誘導体およびその製造方法 - Google Patents

ビタミンe誘導体およびその製造方法

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JP2000290276A JP11093876A JP9387699A JP2000290276A JP 2000290276 A JP2000290276 A JP 2000290276A JP 11093876 A JP11093876 A JP 11093876A JP 9387699 A JP9387699 A JP 9387699A JP 2000290276 A JP2000290276 A JP 2000290276A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた抗酸化活性と保湿性を兼ね備えた新
規なビタミンE誘導体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2、R3、およびR4は同一または異なる
水素原子、低級アルキル基または低級アシル基を表し、
5は水素原子、低級アルキル基、低級アシル基、ベン
ジル基、トリメチルシリル基またはトリフェニルメチル
基を表し、Xは水酸基の水素原子が低級アルキル基また
は低級アシル基で置換されていてもよい多価アルコール
を表し、nは0〜4の整数を表す)で示されるビタミン
E誘導体およびその製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なビタミンE
誘導体およびその製造方法に関する。詳しくは、2−置
換アルコールと多価アルコールとを縮合させることによ
り得られる、化学的に安定でかつ優れた保湿性および抗
酸化作用を有するビタミンE誘導体およびその製造方法
である。
【0002】
【従来の技術】皮膚は、身体の最外部であるため様々な
刺激を常に受けており、最も老化が進行しやすい。皮膚
の老化を防止するには、酸化、乾燥、紫外線等の外部環
境から皮膚を防御することが特に重要であり、酸化から
の防御としては抗酸化剤、乾燥からの防御としては保湿
剤、紫外線からの防御としては紫外線吸収剤が用いられ
ている。
【0003】これらの中でも、近年、酸素ストレスや紫
外線暴露により生ずる活性酸素と皮膚の老化との関係が
明らかになるにつれて、抗酸化剤による皮膚の老化制御
が多くの注目を集めている。抗酸化剤としてはビタミン
E、C、B2、カロチノイド等が化粧品原料として用い
られているが、これらは抗酸化作用は有するものの、乾
燥からの防御においては有効ではない。一方、保湿剤と
してはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトー
ル等の多価アルコールが良く知られているが、上述した
抗酸化剤と混合した場合、溶解性および分散性が悪いと
いう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的と
するところは、優れた抗酸化活性と保湿性を兼ね備えた
新規なビタミンE誘導体を提供することにある。
【0005】本発明の他の目的は、かかるビタミンE誘
導体を簡易かつ効率的に製造する方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビタミン
Eの優れた抗酸化活性と多価アルコールの保湿性に着目
し、これらを兼ね備えたビタミンE誘導体を得るべく鋭
意研究を行った結果、2−置換アルコールと、結合させ
る水酸基に脱離基を導入し他の水酸基を保護基で保護し
た多価アルコール供与体とを縮合させることにより、目
的とするビタミンE誘導体を効率よく合成できることを
見出し本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0008】
【化4】
【0009】(式中、R1、R2、R3、およびR4は同一
または異なる水素原子、低級アルキル基または低級アシ
ル基を表し、R5は水素原子、低級アルキル基、低級ア
シル基、ベンジル基、トリメチルシリル基またはトリフ
ェニルメチル基を表し、Xは水酸基の水素原子が低級ア
ルキル基または低級アシル基で置換されていてもよい多
価アルコールを表し、nは0〜4の整数を表す)で示さ
れるビタミンE誘導体である。
【0010】本発明はまた、2−(1−グリセロキシ)
メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−
オールである前記ビタミンE誘導体である。
【0011】本発明はさらに、下記一般式(2)
【0012】
【化5】
【0013】(式中、R1、R2、R3、R4、R5および
nは前記と同義である)で示される2−置換アルコール
と、該2−置換アルコールと結合させる水酸基に脱離基
を導入し他の水酸基を保護基で保護した多価アルコール
供与体とを縮合させることを特徴とする下記一般式
(1)
【0014】
【化6】
【0015】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、Xお
よびnは前記と同義でる)で示されるビタミンE誘導体
の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のビタミンE誘導体は、前
記一般式(1)で示される新規な化合物である。前記一
般式(1)において、R1、R2、R3、R4およびR5
低級アルキル基としては、炭素原子数が1〜8、好まし
くは1〜6の低級アルキル基がよく、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキ
シル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。これ
らの中では、メチル基またはエチル基が好ましい。ま
た、低級アシル基としては、炭素原子数が1〜8、好ま
しくは1〜6の低級アシル基がよく、例えば、ホルミル
基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブ
チリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル
基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル等
が挙げられる。これらの中では、アセチル基、プロピオ
ニル基またはブチリル基が好ましい。また、R5は、前
記の低級アルキル基または低級アシル基の他にベンジル
基、トリメチルシリル基またはトリフェニルメチル基で
あってもよい。Xの多価アルコールとしては、D,L−
グリセロール、D,L−エリトリトール、D,L−トレ
イトール、D,L−アラビニトール、D,L−アリトー
ル、D,L−キシリトール、D,L−リビトール、D,
L−イジトール、D,L−ガラクチトール、D,L−ソ
ルビトール、D,L−マンニトール、D,L−タリトー
ル、D,L−リキシトールが挙げられ、これらの中では
グリセロールが好ましい。また、Xの多価アルコールの
水酸基の水素原子は低級アルキル基、好ましくは炭素原
子数が1〜8の低級アルキル基、または低級アシル基、
好ましくは炭素原子数が1〜10の低級アシル基で置換
されていてもよい。さらに、nは0〜4、好ましくは1
〜2の整数である。一般式(1)で表されるビタミンE
誘導体の好ましい例としては、2−(1−グリセロキ
シ)メチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−
6−オール、2−(1−グリセロキシ)エチル−2,
5,7,8−テトラメチルクロマン−6−オール等が挙
げられる。
【0017】本発明のビタミンE誘導体は、前記一般式
(2)で示される2−置換アルコール(以下、単に「2
−置換アルコール」という)と多価アルコール供与体と
の縮合反応により製造することができる。
【0018】前記2−置換アルコールとしては、2−ヒ
ドロキシメチル−2,5,7,8−テトラメチルクロマ
ン−6−オール、2−ヒドロキシエチル−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−6−オール等があげられ
る。かかる2−置換アルコールはは公知の物質であり、
例えば、特公平1−43755号公報や特公平1−49
135号公報等に開示された方法により得ることができ
る。また、例えば、一般式(2)中、R1、R2、R3
よびR4がメチル基、R5が水素原子であり、nが1であ
る2−置換アルコールは、α−トコフェロールのクロマ
ン環の2位のフィチル基がカルボキシル基で置換された
構造を有する6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ
メチルクロマン−2−カルボン酸(商品名「トロロック
ス(Trolox)」)を水素化リチウムアルミニウム
の存在下においてジエチルエーテル中で加熱還流処理す
ること等により容易に得ることができる。
【0019】前記縮合反応においては、2−置換アルコ
ールはそのまま用いてもよいが、好ましくは、6位水酸
基に保護基を導入して用いたほうが、好収率で縮合物が
得られる。かかる保護基としては、アセチル基、ベンゾ
イル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、及びレブリ
ノイル基のようなエステル系の保護基、またはメチル
基、エチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、p−メ
トキシベンジル基、アリル基、トリメチルシリル基、t
−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリ
ル基、およびトリチル基などのエーテル系の保護基が挙
げられる。これらの保護基のなかでは、エーテル系保護
基、とくにベンジル基が好ましく使用される。
【0020】かかる6位水酸基を保護した2−置換アル
コールの調製の一実施態様を示せば、次のとおりであ
る。2−置換アルコール1gに対してアセトン5〜20
ml、好ましくは10〜15mlの割合で添加して溶解
させる。この溶液に、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨ
ウ化ベンジル等のハロゲン化ベンジル、好ましくは臭化
ベンジル1〜3ml、および、炭酸カリウム、炭酸ナト
リウム等の塩基、好ましくは炭酸カリウム0.5〜1.
5g、好ましくは0.8gから1.2gを加える。還流
装置を使用して、4〜24時間、好ましくは6〜10時
間、加熱還流を行う。析出したカリウム塩またはナトリ
ウム塩を除去した後、減圧下で濃縮する。得られた残査
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すること
により、6位水酸基をベンジル基で保護した2−置換ア
ルコールが得られる。
【0021】一方、前記多価アルコール供与体とは、2
−置換アルコールに結合させる水酸基のみに脱離基を導
入し、他の水酸基は保護基で保護した多価アルコールの
誘導体である。かかる多価アルコールとしては、D,L
−グリセロール、D,L−エリトリトール、D,L−ト
レイトール、D,L−アラビニトール、D,L−アリト
ール、D,L−キシリトール、D,L−リビトール、
D,L−イジトール、D,L−ガラクチトール、D,L
−ソルビトール、D,L−マンニトール、D,L−タリ
トール、D,L−リキシトールが挙げられ、これらの中
ではグリセロールが好ましい。前記多価アルコール供与
体に使用される脱離基としては、臭素、塩素、ヨウ素等
のハロゲン原子、p−トルエンスルホニル基、メタンス
ルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のスル
ホニル基等が挙げられ、これらの中ではp−トルエンス
ルホニル基が好ましく使用される。
【0022】また、前記多価アルコール供与体におい
て、縮合する水酸基以外の水酸基は保護基で保護してお
くことが好ましく、かかる保護基としては、アセチル
基、ベンゾイル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、
レブリノイル基等のエステル系の保護基、およびメチル
基、エチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、p−メ
トキシベンジル基、アリル基、トリメチルシリル基、t
−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリ
ル基、およびトリチル基等のエーテル系の保護基が挙げ
られ、また、多価アルコール中の2個の水酸基を同時に
保護する保護基として、イソプロピリデン基、ベンジリ
デン基等の環状アセタール系の保護基が挙げられる。こ
れらの中ではグリセロールを使用する場合はイソプロピ
リデン基が好ましい。
【0023】かかる多価アルコール供与体の調製方法の
一実施態様を示せば、次のとおりである。3価の多価ア
ルコールであるグリセロールの場合は、グリセロール中
に3個ある水酸基中の2個の水酸基を環状アセタール系
の保護基、好ましくはイソプロピリデン基で保護したの
ち、残った水酸基に脱離基を導入することが好ましい。
例えば、グリセロール1gをアセトン5〜20ml、好
ましくは10〜15mlに溶解させ、塩化アルミニウ
ム、塩化鉄、塩化スズ等の金属酸触媒、好ましくは塩化
アルミニウム1.5mlを添加して、室温で18時間〜
48時間、好ましくは20時間〜24時間攪拌する。反
応液を水酸化ナトリウム等の塩基で中和した後、沈殿物
を除去する。ろ液を減圧下で濃縮し、得られた残査をピ
リジン5〜20ml、好ましくは10〜15mlの割合
で加えて溶解させる。さらにこの溶液に1〜3g、好ま
しくは1.5〜2gのp−トルエンスルホニルクロリド
を加える。室温で4〜24時間、好ましくは8〜16時
間攪拌する。反応液に蒸留水を添加した後、生成したグ
リセロール供与体をクロロホルム、塩化メチレン、酢酸
エチル、ベンゼン、トルエン、エーテル等の有機溶媒、
好ましくは、クロロホルムで抽出する。得られた抽出液
を減圧下で濃縮後、残査を結晶化することにより、グリ
セロール供与体を得る。4価以上の多価アルコールにつ
いては、上記した環状アセタール系の保護基、およびア
セチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基、クロロアセチ
ル基、レブリノイル基等のエステル系の保護基、または
メチル基、エチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、
p−メトキシベンジル基、アリル基、トリメチルシリル
基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニ
ルシリル基、トリチル基等のエーテル系の保護基を組み
合わせて、水酸基を保護した後、結合させる水酸基に脱
離基を導入して多価アルコール供与体を調製する。
【0024】前記縮合反応は、前記多価アルコール供与
体と2−置換アルコールを溶媒および塩基の存在下で反
応させることにより行われる。
【0025】前記縮合反応で使用される溶媒としては、
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族
炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲ
ン化炭化水素類、ピリジン、トリエチルアミン等の有機
塩基類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド
等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
類、スルホラン等のスルホン酸が挙げられる。これらの
中では、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド
等の非プロトン性極性溶媒が好ましく使用される。
【0026】また、前記縮合反応に添加する塩基として
は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩または
重炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
カルシウムなどの水酸化アルカリ金属または水酸化アル
カリ土類金属、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウム−t−ブトキシド、などのアルカリ金
属アルコキシド、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム
などの有機リチウム化合物、リチウムジイソプロピルア
ミドなどのリチウムジアルキルアミド、ピリジン、トリ
エチルアミンなどの有機塩基が挙げられる。この中で
も、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの水酸化ア
ルカリ金属が好ましく使用される。
【0027】前記縮合反応の一実施態様を、上記で得ら
れた多価アルコール供与体と2−置換アルコールについ
て示せば次のとおりである。2−置換アルコール好まし
くは6位水酸基をベンジル基で保護した2−置換アルコ
ール1gおよびモル比で1〜5等量、好ましくは2.5
〜3.5等量の多価アルコール供与体を前述した溶媒、
好ましくはジメチルホルムアミド2〜10mlに溶解さ
せる。さらに、この溶液に前述した塩基、好ましくは水
酸化カリウム2〜5g加えて、室温で24〜72時間、
好ましくは36〜48時間攪拌する。反応液に蒸留水を
加えて、縮合物をクロロホルム、塩化メチレン、酢酸エ
チル、ベンゼン、トルエン、及びエーテルなどの有機溶
媒、好ましくはトルエンで抽出する。得られた抽出液を
減圧下で濃縮して、得られた残査をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製し、6位水酸基をベンジル基で
保護した2−置換アルコールと多価アルコールとの縮合
物を得る。
【0028】次いで、得られた縮合物の脱保護を行う。
かかる脱保護の方法を、グリセロール供与体を用いた場
合について示せば次のとおりである。得られた縮合物を
酸溶液、このましくは酢酸水溶液(80% w/w)3
0mlに溶解させて18時間から48時間、好ましくは
20時間から24時間攪拌する。減圧下で濃縮して得ら
れた残査を水、低級アルコール、アセトン、酢酸、塩酸
等の極性溶媒、好ましくはメタノールに溶解させ、パラ
ジウム活性炭素、ラネーニッケル、白金等の金属触媒、
好ましくはパラジウム活性炭素を加えて水素雰囲気下で
2時間〜18時間、好ましくは4時間〜8時間攪拌す
る。反応液から触媒を除去した後、減圧下で濃縮し、得
られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製し、目的とするビタミンE誘導体を得る。4価以上の
多価アルコール供与体を使用した場合は、縮合物を保護
基の種類により適当な脱保護処理して、目的とするビタ
ミンE誘導体を得る。
【0029】また上記実施態様においては、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーにより精製を行ったが、この
精製方法に制限されるものではなく、公知の精製方法が
使用できる。
【0030】
【実施例】以下に、本発明のビタミン誘導体およびその
製造方法について、実施例をもってさらに詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】[参考例1]6位水酸基をベンジル基で保護した2−置換アルコール
の製造 2−ヒドロキシメチル−2,5,7,8−テトラメチル
クロマン−6−オール(2−hydroxymethy
l−2,5,7,8−tetramethylchro
man−6−ol)5gをアセトン20mlに溶解さ
せ、炭酸カリウム8gおよび臭化ベンジル7mlを添加
した後、加熱還流8時間を行った。反応終了後、析出し
た臭化カリウムを除去した。反応液を減圧下で濃縮した
後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸
エチル:ヘキサン=2:3(v/v))で精製し、下記
式(3)で示される6位水酸基をベンジル基で保護した
2−置換アルコール5.5gを得た。
【0032】
【化7】
【0033】[参考例2]グリセロール供与体の製造 1,2−O−イソプロピリデングリセロール(1,2−
O−isopropylideneglycerol)
(和光純薬社製)7gをピリジン75mlに溶解させ、
この溶液にp−トルエンスルホニルクロリド10.5g
を添加して室温で24時間反応させた。冷却しながら反
応液に蒸留水75mlを加えた後、クロロホルム150
mlを加えて生成物を抽出した。抽出液を減圧下で濃縮
した後、残査をベンゼン−ヘキサン混合溶液で結晶化を
行い、下記式(4)で示される1,2−O−イソプロピ
リデングリセロール−3−(p−トルエンスルホネー
ト)[(1,2−O−isopropylideneg
lycerol−3−(p−toluenesulfo
nate)]14.3gを得た。
【0034】
【化8】 [実施例1]ビタミンE誘導体の製造 参考例1で得られた2−置換アルコール5.5gをジメ
チルホルムアミド30mlに溶解させ、この溶液に水酸
化カリウム15gと参考例2で得られた1,2−O−イ
ソプロピリデングリセロール−3−(p−トルエンスル
ホネート)14.3gを添加し、反応液を室温で48時
間攪拌した。蒸留水60mlを加えた後、縮合物をトル
エンで抽出した。抽出液を減圧下で濃縮した後、残査を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘ
キサン=2:3(v/v))で精製した。得られた縮合
物3.8gを酢酸水溶液(80% w/w)30mlに
溶解させ、24時間攪拌した。エタノールを加え共沸さ
せながら減圧下で濃縮して酢酸を除去した。得られた残
査をメタノール20mlに溶解させ、パラジウム−活性
炭素2.4gを加えた後、水素雰囲気下で24時間攪拌
した。溶液中の触媒を除去した後、反応液を減圧下で濃
縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(酢酸エチル:メタノール=20:1(v/
v))で精製することにより下記式(5)で示される2
−(1−グリセロキシ)メチル−2,5,7,8−テト
ラメチルクロマン−6−オール[2−(1−glyce
roxy)methyl−2,5,7,8−tetra
methylchroman−6−ol]を1.8g得
た。
【0035】
【化9】 上記化合物のNMR測定の結果は以下のとおりである。13 C−NMRδ(75.5MHz,DMSO−d6,プ
ロトンデカップリング): 11.8 11.8 12.8 19.9 22.0 28.3 63.2 70.6および70.7 73.4および73.4 74.3 76.0 116.8 120.3 120.9 122.7 144.4 145.2 また、この化合物の赤外吸収スペクトルを図1に示す。
【0036】[実施例2]保湿性試験 実施例1で得られた2−(1−グリセロキシ)メチル−
2,5,7,8−テトラメチルクロマン−6−オール
と、比較対照用としてグリセリン、D−ソルビトール、
及びα−トコフェロールを、シリカゲルを入れた真空デ
シケータ中で24時間乾燥し、シャーレに各100mg
ずつ正確に計り取った。その後、これらの試料を20
℃、相対湿度(RH)75%に調製したデシケーター中
に72時間、その後20℃、相対湿度(RH)33%に
調製したデシケーター中に24時間置き、その間24時
間おきに重量を測定した。各測定量に基づいて次式によ
り重量増加率を求め、保湿能を評価した。その結果を表
1に示す。
【0037】
【数1】
【0038】ここで、Wo=デシケーター中に放置前の
重量、Wn=放置後n時間後の重量をそれぞれ表わす。
【0039】
【表1】
【0040】表1の結果から明らかなとおり、本発明の
ビタミンE誘導体はD−ソルビトールと同程度の保湿能
を示した。また、グリセリンは相対温度の変化に伴い保
湿率が急激に変化したが、本発明のビタミンE誘導体は
保湿能が温度の変化によって影響を受けにくいというこ
とが示唆された。
【0041】
【発明の効果】本発明のビタミンE誘導体は、2−置換
アルコールと多価アルコール供与体とを縮合させてなる
ので、ビタミンEの優れた抗酸化活性と多価アルコール
の保湿性を兼ね備えており、皮膚の老化防止に極めて有
効である。したがって、本発明のビタミンE誘導体は、
色素沈着、シワ、タルミ形成等の皮膚老化や紫外線等に
より生ずる皮膚炎症、日焼け、早期老化、皮膚癌、光線
角化症等の各種皮膚障害の予防および治療剤、および化
粧水、ローション、乳液、クリーム、パック、洗浄料、
ファンデーション等の各種化粧料等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のビタミンE誘導体の赤外吸収スペク
トルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/355 A61K 31/355 C09K 15/06 C09K 15/06 Fターム(参考) 4C062 FF57 4C083 AD661 AD662 BB51 CC02 EE12 4C086 AA02 AA03 AA04 BA09 NA14 ZA89 ZB22 ZC21 4H025 AA83

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2、R3、およびR4は同一または異なる
    水素原子、低級アルキル基または低級アシル基を表し、
    5は水素原子、低級アルキル基、低級アシル基、ベン
    ジル基、トリメチルシリル基またはトリフェニルメチル
    基を表し、Xは水酸基の水素原子が低級アルキル基また
    は低級アシル基で置換されていてもよい多価アルコール
    を表し、nは0〜4の整数を表す)で示されるビタミン
    E誘導体。
  2. 【請求項2】 2−(1−グリセロキシ)メチル−2,
    5,7,8−テトラメチルクロマン−6−オールである
    請求項1記載のビタミンE誘導体。
  3. 【請求項3】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、R1、R2、R3、およびR4は同一または異なる
    水素原子、低級アルキル基または低級アシル基を表し、
    5は水素原子、低級アルキル基、低級アシル基、ベン
    ジル基、トリメチルシリル基またはトリフェニルメチル
    基を表し、nは0〜4の整数を表す)で示される2−置
    換アルコールと、該2−置換アルコールと結合させる水
    酸基に脱離基を導入し他の水酸基を保護基で保護した多
    価アルコール供与体とを縮合させることを特徴とする下
    記一般式(1) 【化3】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびnは前記と同
    義であり、Xは水酸基の水素原子が低級アルキル基また
    は低級アシル基で置換されていてもよい多価アルコール
    を表す)で示されるビタミンE誘導体の製造方法。
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