JP2000281623A - フェニルエステル製造法 - Google Patents
フェニルエステル製造法Info
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Abstract
触媒の存在下に液相で反応させるにあたり、パララジウ
ムの溶出が抑制された工業的に有利なフェニルエステル
の製造法を提供する。 【解決手段】 ベンゼンとカルボン酸と分子状酸素を反
応させてフェニルエステルを製造するにあたり、アルコ
ール類、アルデヒド類、環式炭化水素、ギ酸からなる群
より選ばれた少なくとも1種を共存させてフェニルエス
テルを製造する。
Description
ン酸と分子状酸素を特定の触媒の存在下に反応させて、
高収率でフェニルエステルを製造する方法に関する。
定の触媒の存在下に反応させて、フェニルエステルを製
造する方法はよく知られており、触媒として貴金属を用
いて気相または液相において検討された例が報告されて
いる。主触媒としてはパラジウムが最もよく知られてお
り、さらにそれのみでは有効でない金属を助触媒として
添加する方法も知られている。
46−33024号公報では、パラジウム金属または白
金と金、銀、銅、鉄、マンガン等を用いる方法、また特
公昭48−18219号公報では、パラジウム金属また
は白金とビスマスまたはテルルを用いる方法、特公昭5
5−15455号公報では、パラジウムとカドミウム、
亜鉛、ウラン、錫、鉛、アンチモン、ビスマス、テル
ル、タリウムからなる群から選ばれた化合物と硝酸を用
いる方法が開示されている。
は、特公昭50−34544号公報では、白金、パラジ
ウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミ
ウムの酸化物、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩とアルカリ金
属の硝酸塩を組み合わせた触媒を使用する方法、特開昭
48−4439号公報では、パラジウム化合物と硝酸、
亜硝酸またはこれらの金属塩と金属カルボン酸塩を用い
る方法、特公平2−13653号公報では、酢酸パラジ
ウムと酢酸アンチモンとクロム、ニッケル、マンガン、
鉄からなる群から選ばれた少なくとも1種の酢酸塩を用
いる方法が開示されている。
とカルボン酸と分子状酸素を特定の触媒の存在下に液相
で反応させて、フェニルエステルを製造するに際し、パ
ラジウム金属が原料液に溶出し、触媒活性が経時的に低
下するという問題点がある。パラジウムは高価な貴金属
であるので、そのロスは経済的に大きな負担であり、ま
た、後段にパラジウムの回収工程を設ける場合には、プ
ロセスも煩雑になる。さらに、工業的な観点から、経時
的な活性の低下はそれを補償する運転を行わなければな
らないことを意味し、大きな問題点になる。
用いる方法は、後段において金属塩の回収工程を設ける
必要があり、さらに反応の進行とともに例えば、パラジ
ウム化合物の場合には、パラジウム化合物が金属として
反応器内に析出してしまう問題点がある。この場合でも
触媒活性が経時的に低下し、パラジウムのロスが経済的
な負担となる。
相法反応においてパラジウムとビスマスまたは鉛を触媒
として用いた方法において、可溶性のビスマスまたは鉛
の化合物を反応系に共存させることが開示されている。
この方法によると、可溶性のビスマスまたは鉛化合物
が、触媒に担持されている金属状態のビスマスまたは鉛
の溶出を防止し、主触媒であるパラジウムの溶出が抑制
され、その結果、活性維持に効果があると記載されてい
る。
鉛化合物の添加量が多く、フェニルエステルの分離精製
工程において、これらの化合物を結晶として回収する工
程が必要であることからプロセスとして煩雑になり、実
用的ではない。
ベンゼンとカルボン酸と分子状酸素をパラジウム触媒の
存在下に液相で反応させてフェニルエステルを製造する
に際し、パラジウムの溶出を抑制し、より安定にフェニ
ルエステルを製造する方法を提供することである。
な従来技術の課題を解決するため、鋭意検討した。その
結果、パラジウム触媒の存在下に、ベンゼンとカルボン
酸と分子状酸素を反応させてフェニルエステルを製造す
るにあたり、アルコール類、アルデヒド類、環式炭化水
素、ギ酸のうち少なくとも1種を添加剤として共存させ
ると、従来よりもパラジウム金属の原料液への溶出が抑
制され、触媒活性の経時的な低下が抑制できることを見
いだし本発明を完成した。
に、ベンゼンとカルボン酸と分子状酸素を反応させてフ
ェニルエステルを製造するにあたり、アルコール類、ア
ルデヒド類、環式炭化水素、ギ酸からなる群より選ばれ
た少なくとも1種を添加剤として共存させることを特徴
とするフェニルエステルの製造法を提供するものであ
る。
が使用でき、主触媒はパラジウム金属である。また、触
媒に助触媒を添加して使用しても良い。助触媒としては
公知の元素を用いることができ、例えば金、銀、銅、
鉄、マンガン、カドミウム、亜鉛、ウラン、錫、タリウ
ム、鉛、ビスマス、アンチモン、テルル等を例示でき
る。パラジウムとそれらの比率は通常用いられる比率で
良く、パラジウム1に対して好ましくは0.01〜2
0、更に好ましくは0.02〜10であるが、助触媒が
添加剤の効果を低下させることがない限り、この範囲を
逸脱したものであってもかまわない。
の原料は特に制限はなく、例えばパラジウム金属、ヘキ
サクロロパラジウム酸アンモニウム、ヘキサクロロパラ
ジウム酸カリウム、ヘキサクロロパラジウム酸ナトリウ
ム、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラク
ロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジウム酸
ナトリウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、酸化
パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化
パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パ
ラジウム、ジニトロサルファイトパラジウム酸カリウ
ム、クロロカルボニルパラジウム、ジニトロジアンミン
パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラ
アンミンパラジウム硝酸塩、cis−ジクロロジアミン
パラジウム、trans−ジクロロジアミンパラジウ
ム、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、テトラ
シアノパラジウム酸カリウム、パラジウムアセチルアセ
トナート等を例示できる。
な担体に担持されて使用される。好ましい担体としては
活性炭やシリカを例示できる。担体を使用するときのパ
ラジウムの担持量は、担体の重量に対して、0.01〜
10wt%、好ましくは0.1〜5wt%である。この
範囲であると経済的、かつ十分な活性が得られるので好
ましい。
限定されることはなく、担体に触媒成分を担持させる従
来公知の方法、例えばいわゆる含浸法、イオン交換法、
沈着法、混練法等が例示できる。
用いる場合には、パラジウム原料と助触媒成分の原料を
同時に溶解して含浸担持しても良く、いずれか一方を含
浸担持した後、残りの原料を含浸担持しても良い。
る公知の方法に従ってデカンテーション、濾過、加熱ま
たは減圧加熱等の操作で溶媒を除去する。溶媒を除去
後、乾燥するにあたり、加熱乾燥、減圧乾燥等を用いる
ことができる。
っても良い。焼成を行う場合には、酸素または窒素、ヘ
リウム、アルゴン等で希釈した酸素、さらには空気を用
いて通常200〜700℃で行われる。
る。例えば、還元剤として水素、一酸化炭素、エチレ
ン、或いは、メタノール等を用いた気相還元法や、ヒド
ラジン水和物、ホルマリンあるいはギ酸等を用いた液相
還元法が使用できる。気相還元法の場合、還元温度は1
00〜700℃、好ましくは、200〜600℃で行わ
れる。
させてフェニルエステルを製造する際、パラジウムが溶
出する原因を定かではないが敢えて推定すれば、反応中
にパラジウムが酸化され、最終的には酢酸パラジウムと
して溶出すると思われる。
はないが、フェニルエステルを製造する際に反応中に酸
化されようとするパラジウムを金属状態に維持して、パ
ラジウムの溶出を抑制することと考えることもできる。
そのため、添加剤として用いることができるものは、ベ
ンゼンとカルボン酸と分子状酸素を反応させてフェニル
エステルを製造する反応条件下で、酸化されようとする
パラジウムを金属状態に維持できるものであれば良いと
考えられ、本発明においては、アルコール類、アルデヒ
ド類、環式炭化水素、ギ酸からなる群より選ばれた少な
くとも1種である。アルコール類としては、炭素数1〜
10のアルコールであり、具体的に例を挙げるとメタノ
ール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノー
ル、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタ
ノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2
−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチ
ル−2−ブタノール、アミルアルコール、1−ヘキサノ
ール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチ
ル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノー
ル、2,2−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメ
チル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノ
ール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジ
ルアルコール、ヘプタノール、1−オクタノール、2−
メチルヘプタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノ
ナノール、イソノニルアルコール、1−デカノール等が
例示できるが、なかでもエタノールが好ましい。また、
アルデヒド類としては、炭素数1から10までのアルデ
ヒドであり、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プ
ロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルア
ルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、バレルアルデ
ヒド、イソバレルアルデヒド、ピバルアルデヒド、カプ
ロンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、2−メ
チル−n−バレルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、ベ
ンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、カプリルアルデ
ヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、トリルアルデヒ
ド、フタルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒド、カプリ
ンアルデヒド等が例示できるが、なかでもアセトアルデ
ヒドが好ましい。また、環式炭化水素の例を具体的に挙
げると、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキ
サジエン、テトラヒドロナフタレンが例示できるが、な
かでもシクロヘキセンが好ましい。
ルエステルを製造する形式によって異なるので、一概に
範囲を限定することはできないが、好ましくはベンゼン
1に対してモル比で、0.00001〜10である。
子が10個以下のカルボン酸であるが、好ましくは、酢
酸、プロピオン酸等の低級カルボン酸である。
ることができる。好ましいベンゼン/カルボン酸比は、
モル比で1/0.1〜1/100の範囲であれば良い。
ボン酸および分子状酸素との反応は触媒の存在下、液相
の状態で行われる。本発明において液相とは、触媒の表
面が原料液で覆われていることを意味し、反応方法は特
に限定されない。例えば、固定床流通型反応器、流動床
流通反応器、回分式反応器、懸濁床等を用いることがで
きる。
ため一律には規定できないが、経済性を勘案すると、例
えば、固定床の場合、単位触媒体積、単位時間当たりの
ベンゼンとカルボン酸の合計供給量(LHSV)とし
て、0.1〜50h-1の範囲、好ましくは0.1〜30
h-1となる触媒量が好ましく、また、懸濁床の場合に
は、触媒濃度は、原料に対し0.05〜30重量%の範
囲が好ましい。
100〜250℃である。
で覆われていれば良く、好ましくは10〜100気圧で
ある。
いる。酸素は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガ
スで希釈しても良く、空気も使用できる。酸素の供給量
は、反応温度、触媒量等によって最適量が変わるが、触
媒を通過した位置でのガス組成が爆発範囲以下であれば
良い。
設定の仕方、または反応方法によって変わるため一概に
その範囲を決めることは困難であるが、懸濁床での回分
式、半回分式の場合、0.5時間以上が必要である。ま
た、懸濁床による連続式反応、または、固定床連続式反
応においては、滞留時間は0.03〜10時間であれば
良い。
カルボン酸と分子状酸素を反応させてフェニルエステル
を製造するにあたり、アルコール類、アルデヒド類、環
式炭化水素、ギ酸のうち少なくとも1種を添加剤として
共存させることによって、原料液にパラジウム金属が溶
出することを抑制でき、触媒活性の経時的な低下を抑制
できる。
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
アンチモン0.49gを加え溶解させた。続いて8.2
6wt%硝酸パラジウム水溶液7.27gを加えた。こ
の水溶液にシリカ(富士シリシア社製キャリアクトQ−
30)を20g加えて含浸した。その後、50℃で減圧
下乾燥して、100℃で3時間真空乾燥、400℃で5
時間空気焼成を経て、400℃で5時間水素還元した。
パラジウムのシリカに対する担持量は3wt%、アンチ
モンのパラジウムに対する添加量は、モル比で3/5で
あった。
し、テルル酸0.13g、蒸留水を加えて全量を21m
lとした。この水溶液にシリカ(富士シリシア社製キャ
リアクトQ−30)を20g加えて含浸した。その後、
50℃で減圧下乾燥して、100℃で3時間真空乾燥、
400℃で5時間空気焼成を経て、400℃で5時間水
素還元した。パラジウムのシリカに対する担持量は3w
t%、テルルのパラジウムに対する添加量は、モル比で
1/10であった。
mmのSUS316製の反応管に詰め、触媒層温度19
0℃、反応圧力20atmで、ベンゼンと酢酸の等モル
混合液を2.2g/min、酸素を27Nml/mi
n、窒素を183Nml/minで連続的に供給して反
応した。なお供給する原料液には、メタノールをベンゼ
ン、酢酸及びメタノールの混合割合が、モル比で49:
49:2となるように調整したものを用いた。
成物を捕集し、ガス成分と液成分に分離後、それぞれガ
スクロマトグラフィーで分析した。添加剤の効果の指標
には、5時間目の酢酸フェニル生成量に対する50時間
目の酢酸フェニル生成量の比(50hr/5hr)を用
いた。
液中に溶出したパラジウム量を原子吸光分析法により測
定した。パラジウムの溶出量は、触媒に担持されている
パラジウムの総量に対する割合で示した。
ノール、ギ酸、シクロヘキサンを使用した以外は実施例
1と同様にして反応を行った。それらの結果を表1にま
とめた。
をベンゼン、酢酸及びエタノールの混合割合が、モル比
で45:45:10となるように調整したこと以外は実
施例1と同様にして反応を行った。その結果を表1にま
とめた。
給量をベンゼン、酢酸及びシクロヘキセンの混合割合
が、モル比で49.925:49.925:0.15と
なるように調整したこと以外は実施例1と同様にして反
応を行った。その結果を表1にまとめた。
給量をベンゼン、酢酸及びシクロヘキセンの混合割合
が、モル比で49.75:49.75:0.5となるよ
うに調整したこと以外は実施例1と同様にして反応を行
った。その結果を表1にまとめた。
行った。その結果を表1にまとめた。
剤としてエタノールを使用したこと及びその供給量をベ
ンゼン、酢酸及びエタノールの混合割合が、モル比で4
9:49:2となるように調整したこと以外は実施例1
と同様にして反応した。その結果を表2にまとめた。
モル比で45:45:10となるように調整したこと以
外は実施例10と同様にして反応した。その結果を表2
にまとめた。
給量をベンゼン、酢酸及びシクロヘキセンの混合割合
が、モル比で49.875:49.875:0.25と
なるように調整したこと以外は実施例10と同様にして
反応した。その結果を表2にまとめた。
給量をベンゼン、酢酸及びシクロヘキセンの混合割合
が、モル比で49.75:49.75:0.5となるよ
うに調整したこと以外は実施例10と同様にして反応を
行った。その結果を表2にまとめた。
供給量をベンゼン、酢酸及びアセトアルデヒドの混合割
合が、モル比で49.75:49.75:0.5となる
ように調整したこと以外は実施例10と同様にして反応
を行った。その結果を表2にまとめた。
を行った。その結果を表2にまとめた。
Claims (4)
- 【請求項1】 パラジウム触媒の存在下に、ベンゼンと
カルボン酸と分子状酸素を反応させてフェニルエステル
を製造するにあたり、アルコール類、アルデヒド類、環
式炭化水素、ギ酸からなる群より選ばれた少なくとも1
種を添加剤として共存させることを特徴とするフェニル
エステル製造法。 - 【請求項2】 アルコール類が炭素数1〜10のアルコ
ール類であることを特徴とする請求項1に記載のフェニ
ルエステル製造法。 - 【請求項3】 アルデヒド類が炭素数1〜10のアルデ
ヒド類であることを特徴とする請求項1又は請求項2に
記載のフェニルエステル製造法。 - 【請求項4】 環式炭化水素がシクロヘキサン、シクロ
ヘキセン、シクロヘキサジエン又はテトラヒドロナフタ
レンであることを特徴とする請求項1〜3に記載のフェ
ニルエステル製造法。
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