JP2000275539A - 顕微鏡写真撮影装置 - Google Patents

顕微鏡写真撮影装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、外部からの刺激や生体内秩序に応じ
て経時的に変化する生細胞の瞬間的な状態を、高画質な
静止画像として撮影すること。 【解決手段】標本3として心筋細胞などの自序的な周期
運動を行う生細胞において、コンピュータ9の静止画像
取得手段10によって、画像データ内で明るさが周期的
に変化する部分を選択してその明るさの変化をモニタ
し、特定のしきい値でトリガ信号を発生して、所定の遅
延時間後に繰り返しカメラ本体8で撮像してその加算平
均を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば蛍光プロー
ブによる生細胞等の標本の生態機能観察に適用されるも
ので、動的な挙動を示す生細胞等を撮像してその静止画
像を取得する顕微鏡写真撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学顕微鏡を用いて蛍光プローブ
によるイオン濃度、膜電位などの可視化が行われるよう
になっており、例えば標本として神経細胞などの生態機
能観察、特に動的挙動の観察が行われるようになってい
る。
【0003】このような神経細胞等の観察は、細胞の動
的挙動を観察することが目的であるが、動的挙動の一過
程を静止した画像として鮮明に記録する写真撮影を行う
ことも有用である。
【0004】しかしながら、神経細胞などの動的挙動の
一過程を捉えるには、ミリセカンド(msec)程度の
時間分解能が必要であり、写真撮影する場合の露光時間
は1000分の1秒程度と短くなる。
【0005】このため、銀塩フィルムなどの感光材料を
用いた従来の写真撮影装置では、感光材料の感度が不十
分であり、また増感に伴って粒状性が劣化する。このた
め、このような短時間の露光で蛍光標識された細胞を蛍
光顕微鏡下で写真撮影することは不可能であった。
【0006】一方、固体撮像素子や光走査型顕微鏡を用
いて生物標本の動的な挙動を観察する装置・方法につい
ては、例えば特開平5−219937号公報などの先行
技術に開示されている。この技術には、固体撮像素子を
用いた生物標本観察システムが開示されているが、この
システムでは生物標本の成長・増殖を追跡する長時間観
察を目的としており、一定時間間隔で画像を取り込みな
がら数時間〜数十時間オーダーの時間スパンで生物標本
の成長・増殖を追跡するいわゆる「間欠撮影」を行う装
置である。すなわち、その露光・撮影のタイミングは細
胞の動的挙動によって決定されるものではなく、予めセ
ットされた時間間隔で作動するに過ぎない。このため、
この技術では、神経細胞など高速で変化する生細胞の動
的な挙動を画像記録する用途には不充分である。
【0007】又、特開平10−10436号公報には、
光走査型顕微鏡によるトリガ信号の直前・直後における
細胞の生理現象を観察する手段が開示されている。この
技術には、標本からの光を検出して得られるトリガ信号
によって標本への刺激を与え、この刺激直後の画像を得
ることが開示されている。
【0008】しかしながら、標本への刺激の直後(又は
直前)の画像(1回)しか取得しないため、特に高速な
現象を測定する用途では、画像を取得する短時間(10
00分の1秒程度)のうちに1画素当たりに検出できる
蛍光の光量子(フォトン)が数個〜数十個のオーダーま
で減少する。このため、蛍光検出器の受光感度やSN比
などの電気回路の仕様・性能が充分であったとしても、
光量子数の平方根で決定される量子ノイズによるランダ
ムノイズが画像に重畳して画質を劣化することは、量子
物理学的現象として避けることができない。すなわち、
かかる技術は、光走査型顕微鏡を用いて細胞の動的挙動
を観察する手段を提供しているものの、高速検出に伴っ
て増大する量子ノイズによる画質の劣化に対する手だて
が講じられておらず、神経細胞など高速で変化する生細
胞の動的な挙動を高画質の静止画像として取得する用途
には不充分である。
【0009】又、この特開平10−10436号公報に
記載されているような単一の光ビームを走査するタイプ
よりも、多数の光ビームを同時に走査する回転式ディス
クスキャナの方が神経細胞の動的な挙動を観察する高速
撮像に適している。
【0010】しかしながら、多数の光ビームを同時に走
査する回転式ディスクスキャナを用いる方式では、回転
式ディスクスキャナによる高画質の静止画像撮影時に、
撮影のための露光時間とディスク回転との同期をとる必
要があるが、細胞の挙動に対する同期が取られていない
ため、神経細胞など生細胞の動的な挙動を静止画像とし
て記録する用途には不充分である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、いずれ
の技術も神経細胞などの高速で変化する生細胞の動的な
挙動を高画質な静止画像として得ることはできないもの
であった。
【0012】本発明の目的は、外部からの刺激や生体内
秩序に応じて経時的に変化する生細胞の瞬間的な状態
を、高画質な静止画像として撮影することのできる顕微
鏡写真撮影装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、動的な挙動を示す標本を撮像してその静止画像を取
得する顕微鏡写真撮影装置において、標本の動的な挙動
に基づいたタイミングで繰り返し標本の画像を取り込
み、これら画像を蓄積又は加算平均して静止画像を得る
手段を備えた顕微鏡写真撮影装置である。
【0014】請求項2記載の本発明は、請求項1記載の
顕微鏡写真撮影装置において、標本の周期的な明るさの
変化を検出し、この明るさの変化に同期して標本の画像
の取り込みタイミングを決定するものである。
【0015】請求項3記載の本発明は、請求項1記載の
顕微鏡写真撮影装置において、標本の動的な挙動に応じ
て検出される電気信号に同期して標本の画像の取り込み
タイミングを決定するものである。
【0016】請求項4記載の本発明は、請求項1記載の
顕微鏡写真撮影装置において、標本に刺激を与えるタイ
ミングに同期して標本の画像の取り込みタイミングを決
定するものである。
【0017】請求項5記載の本発明は、請求項1記載の
顕微鏡写真撮影装置において、顕微鏡写真撮影装置は、
標本上でレーザを走査するスキャナを備えており、標本
の動的な挙動に基づいたタイミングに合わせてスキャナ
を制御するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
(1) 以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参
照して説明する。
【0019】図1は顕微鏡写真撮影装置の構成図であ
る。
【0020】顕微鏡本体1のステージ2上には、標本3
が載置されている。
【0021】この標本3は、生細胞であり、シャーレな
どの容器内の培養液に水浸されている。ここで、標本3
は、容器に保温装置やCO2 灌流装置などが接続され、
温度やPHなどの生環境維持を行うことによって、細胞
の生命が維持されている。
【0022】顕微鏡本体1に取り付けられている対物レ
ンズ4は、水浸対物であり、標本3を入れる容器内の培
養液に浸されている。この対物レンズ4による像は、三
眼鏡筒5の前方にある双眼観察部の接眼レンズ6で目視
観察することができるようになっている。
【0023】又、光路切換レバー7は、その操作により
三眼鏡筒5の上方にある直筒部へ光路を切換え、固体撮
像素子を内蔵したカメラ本体8に標本3の像を導くもの
となっており、これによりカメラ本体8によって標本3
の拡大像を撮影することができるものとなっている。
【0024】なお、顕微鏡本体1は、照明装置として透
過照明装置と落射蛍光装置とを内蔵しており、標本3の
透過光観察と蛍光観察が可能となっている。
【0025】カメラ本体8は、固体撮像素子を備えると
ともに、コンピュータ9との間での制御信号の授受の機
能や固体撮像素子の撮像により得られた画像データのコ
ンピュータ9への転送を行う機能を有する電子回路を内
蔵している。そして、このカメラ本体8は、コンピュー
タ9との接続がシリアル接続(RS−232C)のよう
な汎用の通信ポートやSCSIアダプタなどを用いるも
のでもよいが、本発明の目的とする高速動態観察の用途
に用いるには、専用のI/Oポートをコンピュータ9の
PCI拡張スロットに接続し、画像データをI/Oポー
ト上のバッファメモリを介してCPUメモリへとDMA
転送する方式を採用したものが好適である。
【0026】コンピュータ9は、カメラ本体8の固体撮
像素子による画像観察において画像を高速に読み出して
細胞の動態を追跡処理する機能を有している。この処理
の際、短時間で得られる画素あたりの光量子(フォト
ン)数が少なくなるため、特に画像内の暗い部分でラン
ダムノイズが目立つことになるが、このコンピュータ9
は、ユーザがコンピュータ9上のモニタ上で画像を確認
しながら、その画像内の明るい部分を予め選択して指定
することができるようにソフトウエアが構築されてい
る。
【0027】又、コンピュータ9は、標本3の動的な挙
動に基づいたタイミング、すなわち標本3の周期的な明
るさの変化を検出し、この明るさの変化に同期して標本
3の画像の取り込みタイミングを決定し、このタイミン
グで繰り返し標本3の画像を取り込み、これら画像のデ
ータを蓄積又は加算平均して静止画像を得る静止画像取
得手段10の機能を有している。
【0028】具体的に説明するとコンピュータ9は、ソ
フトウエアを実行することにより、固体撮像素子で選択
した領域の明るさ(画像データ値)の変化を連続的に読
み取り、特定のしきい値を超えたところで、内部的なト
リガ信号(コンピュータ内のパラメータ値の変更などソ
フト的な信号を含む)を発生し、ユーザが設定する所定
の時間後に画像を取り込むようにカメラ本体8に対して
制御信号を発生する機能を有している。
【0029】このカメラ本体8は、コンピュータ9から
の制御信号を受けて画像を撮影し、その画像データをコ
ンピュータ9へ転送する。
【0030】このコンピュータ9は、転送された画像デ
ータをCPUメモリ上で確保された画像メモリの上に一
時的に保存し、逐次追記される画像データとの加算平均
処理を行いながら上書きする機能を有している。
【0031】なお、画像メモリは、CPUメモリ上に確
保されているので、ソフトウエアの指示に従ってCPU
により高速にアクセスされて上書きすることが容易であ
る。
【0032】次に上記の如く構成された装置の作用につ
いて説明する。
【0033】顕微鏡本体1の上で生環境を維持された生
細胞である標本3は、透過光又は蛍光を用いて、対物レ
ンズ4から接眼レンズ6を通して目視観察される。この
目視観察することにより、標本3の細胞の位置出しやピ
ント合わせ、明るさの調整などが行われる。
【0034】光路切換レバー7が操作されて光路がカメ
ラ本体8側に切り換えられると、標本2の像がカメラ本
体8内の固体撮像素子の撮像面上に結像される。このカ
メラ本体8は、標本3を撮像してその画像データをコン
ピュータ9に転送する。このコンピュータ9は、カメラ
本体8からの画像データを取り込み、標本3の画像をモ
ニタ画面上に映し出す。これにより、コンピュータ9の
モニタ上で画像の確認、又はCPUメモリやハードディ
スクへ画像データの保存が行われる。
【0035】ところで、コンピュータ9による固体撮像
素子の画像観察においては、画像を高速に読み出して細
胞の動態を追跡することができる。この際、上述したよ
うに短時間で得られる画素あたりの光量子(フォトン)
数が少なくなるため、画像内の暗い部分で特にランダム
ノイズが目立つことになる。
【0036】そこで、本実施の形態では、例えばflu
o−3などのCa蛍光指示薬を注入した心筋細胞を蛍光
観察する場合、心筋の脈動に伴う蛍光強度の経時的変化
が顕著な部分をユーザがコンピュータ9のモニタ画面上
の画像で確認して、画像内の部分を選択する。
【0037】ここで、コンピュータ9の静止画像取得手
段10は、標本3の画像データから選択した領域の明る
さ(画像データ値)の変化を連続的に読み取ることで、
心筋の脈動をモニタする。
【0038】さらに、静止画像取得手段10は、画像デ
ータ値が特定のしきい値を超えたタイミングで、内部的
なトリガ信号(コンピュータ内のパラメータ値の変更な
どソフト的な信号)を発生し、ユーザが設定する所定の
時間後に標本3の画像を取り込むようカメラ本体8に対
して制御信号を発生する。
【0039】これにより、カメラ本体8は、コンピュー
タ9からの制御信号を受けることにより、心筋の脈動の
周期的な変動内の特定のタイミングだけで繰り返し撮像
するものとなる。
【0040】このようなタイミングで撮影された各画像
は、順次CPUメモリ上で確保された画像メモリの上に
保存され、次の周期で撮影された画像データが逐次追記
される画像と加算平均処理を行いながら上書きされる。
従って、心筋の脈動の周期毎に画像メモリ上のデータが
加算平均される。そして、この周期的な過程を繰り返す
ことにより、ランダムノイズは平均化され消滅してい
く。
【0041】このように上記第1の実施の形態において
は、標本3として心筋細胞などの自序的な周期運動を行
う生細胞において、画像データ内で明るさが周期的に変
化する部分を選択してその明るさの変化をモニタし、特
定のしきい値でトリガ信号を発生して、所定の遅延時間
後に繰り返しカメラ本体8で撮像してその加算平均を求
めるので、標本3として心筋細胞などの生体内秩序に応
じて経時的に変化する生細胞の瞬間的な状態を、高画質
な静止画像として撮影することができる。
【0042】なお、上記第1の実施の形態では、観察・
撮影する対象である生細胞そのものの画像の明るさの変
化をモニタする場合について説明したが、心筋細胞にお
いては組織内の細胞が連携して脈動しており、明るさの
変化をモニタする領域は、観察・撮影する対象である生
細胞と同一である必要はなく、隣接細胞など周辺領域の
明るさの変化をモニタしても、上記第1の実施の形態と
同様の作用・効果を得ることができる。
【0043】(2) 次に本発明の第2の実施の形態につい
て説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付し
てその詳しい説明は省略する。
【0044】図2は顕微鏡写真撮影装置の構成図であ
る。
【0045】顕微鏡本体1の向かって右側面には、支持
台11が設置され、この支持台11に駆動機構から成る
マイクロマニピレータ12が設けられている。このマイ
クロマニピレータ12は、先端部に細胞電極13を取り
付けたもので、この細胞電極13は、標本3である神経
細胞に穿刺され、この標本3の興奮伝達に応じて変化す
る細胞生理学的な電気信号を検出するプローブであっ
て、神経細胞の動作に伴い、パルス状の信号を検出する
機能を有している。そして、この細胞電極13は、増幅
器14を介してコンピュータ9のI/Oポートに接続さ
れている。
【0046】このコンピュータ9は、標本3の動的な挙
動に基づいたタイミング、すなわち標本3の動的な挙動
に応じて検出される細胞電極13からの電気信号に同期
して標本3の画像の取り込みタイミングを決定し、この
タイミングで繰り返し細胞神経3の画像を取り込み、こ
れら画像のデータを蓄積又は加算平均して静止画像を得
る静止画像取得手段15の機能を有している。
【0047】次に上記の如く構成された装置の作用につ
いて説明する。
【0048】標本3は、例えば実験用の小動物や生組
織、生細胞であり、ここではその神経細胞の挙動を観察
するものとなる。
【0049】ここで、細胞電極13は、マイクロマニピ
レータ12の駆動により標本3である神経細胞に対して
穿刺され、この標本3の興奮伝達に応じて変化する細胞
生理学的なパルス状の電気信号を検出する。この細胞電
極13で検出した電気信号は、増幅器14により増幅さ
れてコンピュータ9に送られる。
【0050】このコンピュータ9は、細胞電極13から
の電気信号を入力し、信号処理することにより標本3の
状況をモニタする。これにより、標本3の挙動が検出さ
れる。
【0051】一方、カメラ本体8は、標本3の画像を撮
像してその画像データをコンピュータ9に転送する。こ
のコンピュータ9は、カメラ本体8からの画像データを
取り込み、標本3の画像をモニタ画面上に映し出す。
【0052】このとき、コンピュータ9の静止画像取得
手段10は、標本3の動的な挙動に応じて検出される細
胞電極13からの電気信号を入力し、この電気信号に同
期して標本3の画像の取り込むタイミングを決定し、こ
のタイミングで繰り返し細胞神経3の画像を取り込み、
これら画像のデータを蓄積又は加算平均して静止画像を
得る。
【0053】又、コンピュータ9の静止画像取得手段1
5は、細胞電極13からの電気信号が特定のしきい値を
超えたタイミングで、内部的なトリガ信号(コンピュー
タ9内のパラメータ値の変更などソフト的な信号)を発
生し、ユーザが設定する所定の時間後に標本3の画像を
取り込むようカメラ本体8に対して制御信号を発生す
る。
【0054】これにより、カメラ本体8は、コンピュー
タ9からの制御信号を受けることにより、標本3の挙動
が発生した直後の特定のタイミングだけで撮像する。
【0055】又、コンピュータ9の静止画像取得手段1
0は、上記第1の実施の形態と同様に、標本3に対して
興奮伝達を起こすような刺激を繰り返しながらそのタイ
ミングで標本3の画像を取り込み、これら画像を蓄積又
は加算平均しながら画像データを上書きし、静止画像を
得る。
【0056】このように上記第2の実施の形態において
は、標本3の動的な挙動に基づいたタイミング、すなわ
ち標本3の動的な挙動に応じて検出される細胞電極13
からの電気信号に同期して標本3の画像の取り込みタイ
ミングを決定し、このタイミングで繰り返し細胞神経3
の画像を取り込み、これら画像のデータを蓄積又は加算
平均して静止画像を得るようにしたので、標本3におけ
る興奮伝達など、パルシブな動的挙動をする観察条件に
おいて、細胞電極13を用いて標本3の細胞生理学的な
電気信号の変化をモニタし、特定のしきい値でトリガ信
号を発生して、所定の遅延時間後に繰り返し撮像して加
算平均することにより、興奮伝達の過程における特定の
タイミングで高画質の静止画像を取得することができ
る。
【0057】なお、上記第2の実施の形態では、細胞電
極13を標本3に穿刺するものとして説明したが、これ
に限らずパッチクランプ法など細胞に密着させるタイプ
や、培養容器に電極を内蔵した構成など、細胞電極13
の構成が変わっても適用可能である。
【0058】(3) 次に本発明の上記第2の実施の形態の
変形例について説明する。なお、図2と同一部分には同
一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0059】図3は顕微鏡写真撮影装置の外観構成図で
ある。
【0060】この顕微鏡写真撮影装置は、上記第2の実
施の形態と比較して、倒立型顕微鏡16で培養容器の底
からステージ17上の標本3を乾燥系の対物レンズ18
で観察することが構成上の相違であり、同様の作用・効
果が得られることは言うまでもない。
【0061】この倒立型顕微鏡16は、対物レンズ18
からの観察光路上に三眼鏡筒19が設けられ、この三眼
鏡筒19の光路切換レバー20によって対物レンズ18
からの像が接眼レンズ21側又はカメラ本体22側に切
り換えられるようになっている。
【0062】又、この支持台11には、マイクロマニピ
レータ12が設けられ、このマイクロマニピレータ12
は、先端部に細胞電極13を取り付けており、この細胞
電極13は、標本3に穿刺され、この標本3の興奮伝達
に応じて変化する細胞生理学的な電気信号を検出するプ
ローブであって、神経細胞の動作に伴い、パルス状の信
号を検出する機能を有している。そして、この細胞電極
13は、増幅器14を介してコンピュータ9のI/Oポ
ートに接続されている。
【0063】このコンピュータ9は、上記第2の実施の
形態と同様に、標本3の動的な挙動に基づいたタイミン
グ、すなわち標本3の動的な挙動に応じて検出される細
胞電極13からの電気信号に同期して標本3の画像の取
り込みタイミングを決定し、このタイミングで繰り返し
細胞神経3の画像を取り込み、これら画像のデータを蓄
積又は加算平均して静止画像を得る静止画像取得手段1
5の機能を有している。
【0064】このような上記変形例であれば、上記第1
の実施の形態と異なり、標本3の画像データの変化をモ
ニタする必要はないため、必ずしも撮影の度ごとに画像
データをコンピュータ9へ転送する必要はない。すなわ
ち、標本3である神経細胞に穿刺した細胞電極13から
の電気信号でカメラ本体22内の固体撮像素子を短時間
駆動して固体撮像素子上で光電子を蓄積して量子ノイズ
を軽減し、最終的な静止画像データだけをコンピュータ
9へ転送しても構わない。これにより、コンピュータ9
上での加算平均処理が省けるので、コンピュータ9の演
算能力の負荷が軽くなり、性能の低い安価なコンピュー
タでも所期の効果を得ることが可能である。
【0065】なお、上記変形例においては、細胞電極1
3を用いて観察・撮影する対象である生細胞そのものの
細胞生理学的な電気信号を検出する場合について説明し
たが、標本3においては組織内の細胞が連携して機能し
ており、細胞電極13により電気信号を検出する領域
は、観察・撮影する対象の生細胞と同一である必要はな
く、隣接細胞や組織の別の部位など周辺領域の電気信号
をモニタしても、上記第2の実施の形態と同様の作用・
効果を得ることができる。
【0066】(4) 次に本発明の第3の実施の形態につい
て説明する。なお、図2と同一部分には同一符号を付し
てその詳しい説明は省略する。
【0067】図4は顕微鏡写真撮影装置の構成図であ
る。
【0068】この顕微鏡写真撮影装置は、上記第2の実
施の形態と比較して、細胞電極13の代りに微小注入器
23を用いていることである。すなわち、支持台11に
は、駆動機構からなるマイクロマニピレータ12が設け
られており、このマイクロマニピレータ12に微小注入
器23が取り付けられている。
【0069】この微小注入器23は、標本3として神経
細胞の興奮を促進または阻害する試薬を標本3内へ所定
量パルス的に注入するもので、電磁式のインクジェクタ
ーを具えており、コントローラ24からの電気的な制御
信号を受けて、所定量の試薬を注入するようになってい
る。
【0070】このコントローラ24への制御信号は、コ
ンピュータ9のI/O信号出力から接続されており、コ
ンピュータ9からの制御信号で微小注入器23の微小注
入が作動するようになっている。
【0071】このコンピュータ9は、微小注入器23に
より試薬を標本3に注入してこの標本3に刺激を与える
タイミングに同期して標本3の画像の取り込みタイミン
グを決定し、この微小注入器36が作動した直後の特定
のタイミングだけで標本3の画像を取り込み、これら画
像を蓄積又は加算平均して静止画像を得る静止画像取得
手段25の機能を有している。
【0072】次に上記の如く構成された装置の作用につ
いて説明する。
【0073】標本3は、例えば実験用の小動物や生組
織、生細胞であり、ここでは神経細胞の挙動を観察する
ものとなる。
【0074】微小注入器23は、コントローラ24から
の電気的な制御信号を受けて、標本3として標本3の興
奮を促進または阻害する試薬を細胞内へ所定量パルス的
に注入する。
【0075】実験のプロセスは、予め入力されたプログ
ラムに従ってコンピュータ24で制御されており、所定
のタイミングでコンピュータ9から制御信号がコントロ
ーラ24へ送出され、上記の如く微小注入器23の微小
注入が作動する。
【0076】又、コンピュータ9の静止画像取得手段2
5は、所定のタイミングで画像を取り込むようにカメラ
本体22に対して制御信号を送出し、微小注入器23が
作動した直後の特定のタイミングだけで撮像を行うよう
にする。
【0077】さらに、コンピュータ9の静止画像取得手
段25は、標本3に対する試薬注入を繰り返し、このタ
イミングで繰り返し細胞神経3の画像を取り込み、これ
ら画像を蓄積又は加算平均して画像データを上書きし、
細胞神経3の静止画像を得る。
【0078】このように上記第3の実施の形態において
は、微小注入器23により試薬を標本3に注入してこの
標本3に刺激を与え、このタイミングに同期して標本3
の画像の取り込みタイミングを決定して、例えば微小注
入器36が作動した直後の特定のタイミングだけで標本
3の画像を取り込み、これら画像を蓄積又は加算平均し
て静止画像を得るようにしたので、標本3への薬物注入
後の挙動など、パルシブな動的挙動をする観察条件にお
いて、実験プログラムの設定に従って薬物刺激のタイミ
ングと関連したトリガ信号をコンピュータ9により発生
して、所定の遅延時間後に繰り返し撮像して加算平均す
ることにより、薬物刺激の過程における特定のタイミン
グで標本3の高画質の静止画像を取得することができ
る。
【0079】又、コンピュータ9に予め設定されたプロ
グラムに従って、試薬注入と画像撮影が行われるので、
画像撮影のタイミングを試薬注入の前に設定することも
可能であり、画像撮影は試薬注入の後だけに限定される
ものではない。
【0080】なお、上記第3の実施の形態では、微小注
入器23による薬物刺激を例として挙げたが、微小注入
器23の代りに細胞に穿刺または密着させた細胞電極を
用い、コントローラ9からの制御信号を細胞への電気刺
激として印加することも可能である。このような電気刺
激は、標本の動的挙動を引き起こすものとして知られて
おり、上記第3の実施の形態と同様の作用・効果が得ら
れることは言うまでもない。
【0081】さらに、上記第3の実施の形態においても
上記第2の実施の形態と同様、上記図3に示したような
倒立型顕微鏡16で培養容器の底から乾燥系の対物レン
ズ18で観察する場合にも、同様の作用・効果が得られ
る。
【0082】なお、上記第3の実施の形態においては、
観察・撮影する対象である生細胞そのものに微小注入す
る場合について説明したが、これに限らず標本において
は組織内の細胞が連携して機能しており、電気信号を検
出する領域は、観察・撮影する対象の生細胞と同一であ
る必要はなく、隣接細胞や細胞外の培養液中など周辺領
域に微小注入しても、上記説明と同様の作用・効果を得
ることができる。
【0083】(5) 次に本発明の第4の実施の形態につい
て説明する。なお、図4と同一部分には同一符号を付し
てその詳しい説明は省略する。
【0084】この第4の実施の形態の上記第3の実施の
形態との相違点は、微小注入器23による薬物刺激の代
りに光刺激を用いていることであり、ここではその相違
点について説明する。
【0085】図5はかかる相違点のみを示した顕微鏡写
真撮影装置の構成図である。
【0086】上記第3の実施の形態と同様に顕微鏡本体
1、カメラ本体22及びコンピュータ9を用いており、
このうち顕微鏡本体1には、紫外線光源26による光刺
激光学系が組み込まれている。
【0087】ここで、この光刺激光学系の構成について
説明すると、対物レンズ4により標本3の像面27が形
成されており、これら対物レンズ4と像面27との間に
は、紫外線を反射し可視光を透過させるダイクロイック
ミラー28が配置されている。そして、このダイクロイ
ックミラー28により像面29が形成されている。
【0088】このダイクロイックミラー28により形成
される像面29の光路上には、光刺激用の紫外線光源2
6及び集光レンズ30が配置されており、像面29に電
磁シャッター31を介してUV光を集光するようになっ
ている。
【0089】紫外線光源26は、標本3の生細胞に導入
したケージド化合物を開烈させるための波長・パワーに
設定しており、標本3上で集光部位における生理活性物
質の放出を制御するものとなっている。
【0090】そして、電磁シャッター31が開いたと
き、像面29に集光されたUV光は、ダイクロイックミ
ラー28で反射され、対物レンズ4によって標本3に集
光するものとなっている。
【0091】一方、電気系の構成について説明すると、
電磁シャッター31は通常閉じた状態であり、コントロ
ーラ32からの電気的な制御信号を受けて所定の時間だ
け開閉するようになっている。
【0092】コントローラ32への制御信号は、コンピ
ュータ9のI/O信号出力から接続されており、このコ
ンピュータ9からの制御信号で電磁シャッター31が作
動するようになっている。
【0093】このコンピュータ9は、紫外線光源26か
らのUV光を標本3に対して放射して標本3を刺激し、
この標本3に刺激を与えるタイミングに同期して標本3
の画像の取り込みタイミングを決定し、紫外線光源26
の作動した直後の特定のタイミングだけで標本3の画像
を取り込み、これら画像を蓄積又は加算平均して静止画
像を得る静止画像取得手段33の機能を有している。
【0094】次に上記の如く構成された装置の作用につ
いて説明する。
【0095】標本3は、例えば実験用の小動物や生組
織、生細胞であり、ここでは標本の挙動を観察するもの
とする。
【0096】観察対象の標本3には予めケージド化合物
が導入されている。
【0097】実験のプロセスは、予め入力されたプログ
ラムに従ってコンピュータ9で制御されており、所定の
タイミングでコンピュータ9から制御信号がコントロー
ラ32へ送出され、電磁シャッター31が作動する。
【0098】又、コンピュータ9の静止画像取得手段3
3は、所定のタイミングで画像を取り込むようカメラ本
体22に対して制御信号を送出し、電磁シャッター31
が作動した直後の特定のタイミングで撮像する。
【0099】しかるに、コンピュータ9の静止画像取得
手段33は、紫外線光源26からのUV光を標本3に対
して放射して標本3を刺激し、この標本3に刺激を与え
るタイミングに同期して標本3の画像の取り込みタイミ
ングを決定し、紫外線光源26の作動した直後の特定の
タイミングで標本3の画像を取り込み、これら画像を蓄
積又は加算平均して画像データを上書きし、静止画像を
得る。
【0100】このように上記第4の実施の形態によれ
ば、ケージド化合物による生理活性物質の解放に伴う生
細胞の動的挙動を観察する条件において、実験プログラ
ムの設定に従って生理活性物質の解放のタイミングと関
連したトリガ信号をコンピュータ9により発生して、所
定の遅延時間後に繰り返し撮像して加算平均することに
より、ケージド化合物の開烈直後の過程における特定の
タイミングで高画質の静止画像を取得することができ
る。
【0101】又、コンピュータ9に予め設定されたプロ
グラムに従ってケージド化合物による生理活性物質の解
放と画像撮影を行うので、画像撮影のタイミングを生理
活性物質の解放前に設定することも可能であり、画像撮
影はケージド化合物の開烈直後に限定されるものではな
い。
【0102】(6) 次に本発明の第5の実施の形態につい
て説明する。
【0103】この第5の実施の形態は、上記第1乃至第
4の実施の形態におけるカメラ本体と三眼鏡筒との間
に、回転式コンフォーカルディスクスキャナを挿入し、
共焦点画像が撮影できるように構成されている。そこ
で、マイクロレンズ付き回転式ディスクスキャナを用
い、顕微鏡への取り付けマウントと撮影装置用の取り付
けマウントを備えた共焦点スキャナユニットを使用した
共焦点顕微鏡用写真撮影装置の構成を図6及び図7に示
す。
【0104】かかる共焦点顕微鏡用写真撮影装置の構成
は、顕微鏡40、共焦点スキャナユニット41及び写真
撮影装置42の3つの組み合わせからなる。
【0105】顕微鏡40は、撮影光路をもった三眼鏡筒
43を備えた正立型の顕微鏡であり、ステージ44の上
面から上の観察光学系のみを示している。
【0106】写真撮影装置42は、カメラ本体45と制
御ユニット46とからなり、このうち制御ユニット46
はケーブル47,48によってカメラ本体45と共焦点
スキャナユニット41とにそれぞれ接続されている。
【0107】次に光学系の作用について説明する。
【0108】三眼鏡筒43には、30度プリズム49と
円筒プリズム50とがスライダー上で交換可能に配置さ
れている。
【0109】30度プリズム49が光路に挿入されてい
るときは、接眼レンズ51による肉眼観察が可能であ
り、ステージ44下部の図示しない透過照明光源からの
照明光による透過観察、又はオプションとして落射投光
管52を用いての落射蛍光観察が可能であり、通常の顕
微鏡として使用できる。
【0110】円筒プリズム50が光路に挿入されている
ときは、三眼鏡筒43の直筒部上方に形成される像面5
3と標本3とを共役に結ぶ光路が形成され、共焦点スキ
ャナユニット41による共焦点画像の肉眼観察または写
真撮影が可能となる。
【0111】その作用を以下に説明する。
【0112】共焦点スキャナユニット41は、三眼鏡筒
43の直筒部上方に撮像素子取り付けマウント54を介
して装着されている。この共焦点スキャナユニット41
には図示しないレーザファイバーが接続され、振動や熱
などの伝達を防ぐために顕微鏡が載置されたテーブルか
ら離して床上に配置したレーザに繋がっており、レーザ
光を導入している。
【0113】共焦点スキャナユニット41に導入された
レーザ光は、図示しないコリメータレンズによって平行
光にされた後、マイクロレンズアレイが形成された集光
ディスク55へ入射する。ここで、集光ディスク55上
のマイクロレンズとピンホールディスク56上のピンホ
ールのパターンは半導体プロセスを利用して製作されて
いるためパターンの同一性が確保されており、2つのデ
ィスクを連結シャフト57で連結する製造工程において
予めパターンが一致するようにアライメント調整されて
いる。
【0114】これにより、集光ディスク55上に設けら
れた複数のマイクロレンズによって集光されたレーザ光
は、ピンホールディスク56上で対応する複数のピンホ
ールを通過することができる。
【0115】ここで、ピンホールディスク56は、像面
53に一致するように配置されており、ピンホールを通
過した光は、結像レンズ58、対物レンズ59を経て標
本3の上に集光する。
【0116】ここで、標本3の細胞には蛍光指示薬が注
入されており、レーザ光によって励起されて蛍光を発す
る。
【0117】標本3より出た蛍光は、再び対物レンズ5
9、結像レンズ58を遡り、ピンホールディスク56へ
と戻ってきて共焦点光路を形成する。
【0118】標本3側からピンホールディスク56を通
過した蛍光は、ダイクロイックミラー61によって反射
され、レーザ光路から分離されて図面左方へと向かい、
ミラー62、ミラー63で2回反射されて図面右方向へ
と向きを変える。ここで、ミラー64は挿抜可能に配置
されており、ミラー64が光路から抜き出された状態で
はリレーレンズ65,66によって像面67に再結像さ
れた共焦点画像を接眼レンズ68によって肉眼観察する
ことができる。
【0119】一方、ミラー64が挿入された状態では、
光路は上向きに反射されリレーレンズ65,69によっ
て像面70に再結像された共焦点画像を、マウント71
を介して取り付けたカメラ本体45によって撮像するこ
とができる。
【0120】ここで、カメラ本体45を制御する電気回
路は、制御ユニット46内に構成されており、ケーブル
47によってカメラ本体45と接続されていると同時に
ケーブル48によって共焦点スキャナユニット41の中
の図示しないモータ駆動回路及び回転センサ72と接続
され、モータ60の回転位置を回転センサ72で検出し
ながらモータ60とカメラ本体45とを制御している。
【0121】センサ72は、ピンホールディスク56の
回転位置、特にピンホールパターン上に形成されたスキ
ャントラックの始点・終点、を検出してトリガ信号を生
成する。
【0122】次に、制御ユニット46によるモータ60
とカメラ本体45の制御について図7のブロック図に基
づいて説明する。
【0123】カメラ本体45の測光回路からの測光信号
を露光時間演算回路73へ入力し、露光時間を算出し、
露光時間表示回路74を経て図6に示すディスプレイパ
ネル75に表示するとともに、露光時間信号を露光制御
回路76へ出力する。
【0124】この露光制御回路76は、図6に示すモー
ド切換えボタン77、コントロールノブ78とも接続さ
れていて、測光モードの設定、感度設定、露出補正量の
設定などを行うことができるものとなっている。そし
て、この露光制御回路76は、露光時間演算回路73か
らの露光時間信号に従ってカメラ本体45内の電子シャ
ッター79を開閉し、露光を制御する。ここで、露光開
始信号はユーザが操作する図6に示す露光ボタン80の
他に、共焦点スキャナユニット41内の回転センサ72
による信号から発生させたスキャントラック始点トリガ
信号とも連動しており、回転式ディスクスキャナのピン
ホールディスク56上に形成されたピンホールパターン
のスキャントラックの始点と同期して露光が開始される
ように露光を制御する。
【0125】又、共焦点スキャナユニット41内の回転
センサ72からの信号からは、スキャントラック始点ト
リガ信号と同様に、ピンホールディスク56上に形成さ
れたピンホールパターンのスキャントラックの終点と同
期したスキャントラック終点トリガ信号も生成されてい
る。
【0126】スキャントラック始点・終点トリガ信号
は、スキャントラック始点終点判別回路81を通して回
転周期演算回路82に入力され、ディスクスキャナが1
回転に要する時間が算出され回転周期信号が出力され
る。
【0127】ここで、比較回路83によって前記露光時
間信号と回転周期信号とが比較され、その差信号がモー
タ制御回路84に送られ、このモータ制御回路84から
モータ駆動回路85を通して駆動信号がモータ60に送
られ、回転周期と露光時間とが一致するように制御ルー
プが構成されている。
【0128】これによって、露光時間が回転周期と一致
し、かつ露光開始のタイミングがスキャントラック始点
トリガ信号とも連動しているので、結果として露光終了
のタイミングもスキャントラック終点トリガ信号と同期
することになる。
【0129】すなわち、上記構成の共焦点顕微鏡用写真
撮影装置においては、露光開始、露光終了タイミングを
回転式ディスクスキャナの回転位置と同期させて制御し
ており、露光時間内のディスクの回転回数(総数)を一
定に保つよう制御すること、及び露光の開始・終了のタ
イミングとディスク回転位置との同期をとって露光の開
始・終了時のディスクパターンの位置をスキャントラッ
クパターンの始点・終点に保つことができる。
【0130】以上がマイクロレンズ付き回転式ディスク
スキャナを用いた共焦点顕微鏡用写真撮影装置の構成で
ある。
【0131】ところで、このような共焦点顕微鏡用写真
撮影装置は、静止画像取得手段86を有するコンピュー
タ87のI/O制御信号の入出力を付与することによ
り、細胞の動的挙動と回転スキャナとの同期をとり、繰
り返し撮像におけるスキャンムラなどの画像ノイズの重
畳を防止するものとなっている。
【0132】コンピュータ87には、標本3として細胞
の動的挙動を静止画像として捉える露光時間が予めプロ
グラムとして設定されており、このコンピュータ87か
ら露光時間信号が露光時間演算回路73へ送られて、露
光時間を決定する。なお、カメラ本体45の測光回路及
び測光回路から露光時間演算回路73への接続は省略さ
れている。
【0133】又、露光の開始タイミングは、標本3の動
的挙動によって決定されるので、コンピュータ87から
露光開始信号が露光制御回路76へ接続されている。な
お、ユーザが操作する露光ボタンは省略されている。
【0134】次に上記の如く構成された装置の作用につ
いて説明する。
【0135】標本3の動的挙動とコンピュータ87との
関連付けは、上記第1乃至第4の実施の形態の作用と同
一であり、ここではその説明を省略する。
【0136】コンピュータ87の静止画像取得手段86
が送出する画像取得のタイミングと露光時間に従って、
露光開始信号と露光時間信号とが発生されると、比較回
路83は露光時間信号と回転周期信号との比較をしてス
キャナの回転周期(回転速度)を制御する。これによっ
て、露光時間と回転周期の同期が可能となり、かつ露光
開始のタイミングがスキャントラック始点トリガ信号と
も連動することになり、撮像におけるスキャンムラなど
の画像ノイズの重畳を防止することができる。
【0137】ここで、上記第5の実施の形態の変形例に
ついて説明する。
【0138】例えば、上記第1の実施の形態で説明した
心筋の脈動のような周期的な挙動を示す生体の挙動を観
察する場合、コンピュータ87が発生する露光周期信号
を比較回路83へ接続し、回転スキャナの回転と細胞変
化の周期とを同期させることも可能である。この場合、
心筋細胞の脈動に応じて撮影を開始する瞬間における回
転ディスクのトラック位置を一定に保って撮影条件を均
一に保つことができる。
【0139】なお、常にトラック位置を一定に保つこと
は、走査ムラによる縞上のノイズを繰り返し発生するこ
とになる場合も懸念される。このような場合、例えば全
部で50回の露光を繰り返して静止画像を加算平均する
に際し、心筋の脈動周期毎に回転ディスクスキャナの位
相を一周(360゜)の50分の1ずつ回転位相を進め
ることによって、静止画像の撮影に要する回転ディスク
の位相が均等に配分されるように制御することも可能で
ある。
【0140】このように上記第5の実施の形態によれ
ば、回転式コンフォーカルディスクスキャナを用いて共
焦点モードの静止画像を撮影する場合にも、生体標本の
動的挙動との同期を関連付けて回転スキャナを制御する
ことにより、周期運動の過程における特定のタイミング
で高画質の静止画像を取得すると同時に、撮像における
スキャンムラなどの画像ノイズの重畳を防止することが
できる。これにより、共焦点効果を伴った高画質の静止
画像を得る事が可能となる。
【0141】なお、本発明は、マイクロレンズ付き共焦
点ディスクスキャナとデジタルカメラの組み合わせに限
ることはない。
【0142】
【発明の効果】本発明によれば、外部からの刺激や生体
内秩序に応じて経時的に変化する生細胞の瞬間的な状態
を、高画質な静止画像として撮影することのできる顕微
鏡写真撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる顕微鏡写真撮影装置の第1の実
施の形態を示す構成図。
【図2】本発明に係わる顕微鏡写真撮影装置の第2の実
施の形態を示す構成図。
【図3】同装置の変形例を示す外観構成図。
【図4】本発明に係わる顕微鏡写真撮影装置の第3の実
施の形態を示す構成図。
【図5】本発明に係わる顕微鏡写真撮影装置の第4の実
施の形態を示す特徴点のみを示す一部構成図。
【図6】本発明に係わる顕微鏡写真撮影装置の第5の実
施の形態に適用する共焦点顕微鏡用写真撮影装置を示す
全体構成図。
【図7】同装置における機能ブロックの構成図。
【符号の説明】
1:顕微鏡本体、 2:ステージ、 3:標本、 4:対物レンズ、 5:三眼鏡筒、 6:接眼レンズ、 7:光路切換レバー、 8:カメラ本体、 9:コンピュータ、 10:静止画像取得手段、 11:支持台、 12:マイクロマニピレータ、 13:細胞電極、 14:増幅器、 15:静止画像取得手段、 16:倒立型顕微鏡、 23:微小注入器、 24:コントローラ、 25:静止画像取得手段、 26:紫外線光源、 28:ダイクロイックミラー、 30:集光レンズ、 31:電磁シャッター、 32:コントローラ、 33:静止画像取得手段、 40:顕微鏡、 41:共焦点スキャナユニット、 42:写真撮影装置、 43:三眼鏡筒、 44:ステージ、 45:カメラ本体、 46:制御ユニット、 47,48:ケーブル、 49:30度プリズム、 50:円筒プリズム、 51,68:接眼レンズ、 52:落射投光管、 54:撮像素子取り付けマウント、 55:集光ディスク、 56:ピンホールディスク、 57:連結シャフト、 58:結像レンズ、 59:対物レンズ、 60:モータ、 61:ダイクロイックミラー、 62,63,64:ミラー、 65,66:リレーレンズ、 71:マウント、 72:回転センサ、 73:露光時間演算回路、 74:露光時間表示回路、 75:ディスプレイパネル、 76:露光制御回路、 77:モード切換えボタン、 78:コントロールノブ、 79:電子シャッター、 80:露光ボタン、 81:スキャントラック始点終点判別回路、 82:回転周期演算回路、 83:比較回路、 84:モータ制御回路、 85:モータ駆動回路、 86:静止画像取得手段、 87:コンピュータ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動的な挙動を示す標本を撮像してその静
    止画像を取得する顕微鏡写真撮影装置において、 前記標本の動的な挙動に基づいたタイミングで繰り返し
    前記標本の画像を取り込み、これら画像を蓄積又は加算
    平均して前記静止画像を得る手段を具備したことを特徴
    とする顕微鏡写真撮影装置。
  2. 【請求項2】 前記標本の周期的な明るさの変化を検出
    し、この明るさの変化に同期して前記標本の画像の取り
    込みタイミングを決定することを特徴とする請求項1記
    載の顕微鏡写真撮影装置。
  3. 【請求項3】 前記標本の動的な挙動に応じて検出され
    る電気信号に同期して前記標本の画像の取り込みタイミ
    ングを決定することを特徴とする請求項1記載の顕微鏡
    写真撮影装置。
  4. 【請求項4】 前記標本に刺激を与えるタイミングに同
    期して前記標本の画像の取り込みタイミングを決定する
    ことを特徴とする請求項1記載の顕微鏡写真撮影装置。
  5. 【請求項5】 前記顕微鏡写真撮影装置は、前記標本上
    でレーザを走査するスキャナを備えており、前記標本の
    動的な挙動に基づいたタイミングに合わせて前記スキャ
    ナを制御することを特徴とする請求項1記載の顕微鏡写
    真撮影装置。
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