JP2000272390A - チャイルドシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チャイルドシートの安定性を向上させる。 【解決手段】 イス部１１の前端よりカバー３０によっ
て覆われた固定フレームが延出されており、その先端が
前側座席７１に備えられたヘッドレスト７２のステー７
３に固定されている。これにより、チャイルドシートを
後側座席７４のシートベルト７５のみによって固定する
場合に比べ、チャイルドシートの安定性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、チャイルドシート
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ごく幼い子供を自動車に乗せる場
合には、座席にチャイルドシートを装着してそこに子供
を座らせることにより、安全が図られている。このチャ
イルドシートの多くは、座席に備え付けられたシートベ
ルトを利用して座席に固定するようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、シートベルト
はそれ自体柔軟なものであるため、それのみでチャイル
ドシートを座席に対して確実に固定するには必ずしも十
分でない場合がある。そのような場合には、車体の揺れ
に伴ってチャイルドシートが揺れ動いてしまい、安定性
が悪いという問題があった。本発明は、上記事情に鑑み
てなされたもので、その目的は、安定性を向上させたチ
ャイルドシートを提供するところにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの請求項１の発明に係るチャイルドシートは、車両の
後側座席に装着されるチャイルドシートであって、着座
可能なイス部と、このイス部から延出されて前記前側座
席に組付けられることで前記イス部の前方への移動を規
制する固定部とを備えているところに特徴を有する。な
お、座席が三列以上あるものについては、前後に連続し
て並んだ二列のものについて、前側座席と後側座席とが
規定される。

【０００５】請求項２の発明は、請求項１記載のものに
おいて、前記固定部は、前記前側座席に備えられたヘッ
ドレストのステーに組付け可能とされているところに特
徴を有する。

【０００６】請求項３の発明は、請求項１または請求項
２記載のものにおいて、前記イス部は、このチャイルド
シートに設けられる高さ調節機構によって、座面の高さ
調節が可能とされているところに特徴を有する。

【０００７】請求項４の発明は、請求項１から請求項３
に記載のものにおいて、前記イス部の前側下方に高さ調
節可能な足載せ部が備えられているところに特徴を有す
る。

【０００８】

【発明の作用および効果】請求項１の発明によれば、固
定部が前側座席に組み付けられることによりイス部の前
方への移動が規制されるため、安定性が向上する。

【０００９】請求項２の発明によれば、固定部をヘッド
レストのステーに組付けることができるため、既存の構
成をそのまま利用でき、組付けが簡単になる。

【００１０】請求項３の発明によれば、チャイルドシー
トには高さ調節機構が設けられているため、座面を子供
の背丈に合わせて最適な高さ位置に調節することができ
る。

【００１１】請求項４の発明によれば、チャイルドシー
トには足載せ部が備えられているため、子供の足がぶら
つかず、快適に座らせることができる。また、足載せ部
は高さ調節可能であるから、子供の背丈に合わせて最適
な高さ位置に調節することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図１から図６を参照しながら説明する。本実施形態の
チャイルドシート１０は、背もたれ部１１Ａと着座部１
１Ｂとを一体に備えたイス部１１を備えている。このイ
ス部１１は、樹脂フレームの上面にクッションパットを
装着して、さらにそれを表皮で覆って構成されている。
背もたれ部１１Ａの背面側上端には固定金具１３が取り
付けられており、この固定金具１３には背もたれ部１１
Ａの背面を覆う背面板１４の上端が固定されている。ま
た、背もたれ部１１Ａの上方にはヘッドレスト１６が備
えられており、このヘッドレスト１６から延出される一
対のステー１６Ａが、背もたれ部１１Ａの上端に設けら
れた貫通孔に差し込まれて固定金具１３により固定され
ている。さらに、イス部１１の前面側には４点式シート
ベルト１７が備えられており、この４点式シートベルト
１７の上側の２端（１７Ａ）が固定金具１３によって背
面板１４の左右両上端に固着されている。また、この４
点式シートベルト１７の下側の２端（１７Ｂ）は、着座
部１１Ｂの左右両側面に固着されている。

【００１３】また、固定金具１３には、固定フレーム２
０の一端が溶接されている。この固定フレーム２０は、
例えばアルミ製のパイプを湾曲させて形成されており、
固定金具１３からイス部１１の裏面に沿って下方へ延び
て、背もたれ部１１Ａの下端にて前方へ折り曲げられ、
着座部１１Ｂの裏面側に備えられた後述の高さ調節機構
５０に溶接されている。さらに、固定フレーム２０は、
着座部１１Ｂの前端縁中央に凹設された溝部１５を通っ
てイス部１１の前方に延出され、そこから斜め上方に延
びており、全体として略Ｕ字形をなしている。

【００１４】固定フレーム２０の前端には左右方向に延
出する組付け部２１が備えられており、この組付け部２
１の左右両端には上下方向に貫通する一対の貫通孔２２
が備えられている。また、固定フレーム２０の前部にお
いて、イス部１１から突出する部分には、例えば合成樹
脂よりなるカバー３０の断面逆Ｕ字形部分が覆い被され
ており、さらに組付け部２１にもカバー３０の先端部が
覆い被されている。カバー３０の先端部には、各貫通孔
２２と対応する位置にそれぞれ貫通孔３２が設けられて
おり、両貫通孔２２，３２には、前側座席７１に備えら
れるヘッドレスト７２から延出された一対のステー７３
を挿通可能とされている。

【００１５】また、固定フレーム２０の前部において、
イス部１１から突出する部分の中央付近から下方へ向け
てステップ支持柱２５が突設されている（図１及び図２
参照）。このステップ支持柱２５は、その下方に備えら
れるステップ部４０を支持するためのものであり、円筒
状に形成されている。ステップ支持柱２５の下端部前面
には上下方向にスライド溝２７が形成されており、この
スライド溝２７には一定の間隔で、溝幅を広げた円形の
位置決め部２６が形成されている。

【００１６】ステップ部４０は、平板状の足載せ部４１
を備えており、この足載せ部４１の中央付近から上方に
向けて円筒状の組付柱４２が突設されている。この組付
柱４２はステップ支持柱２５内に挿入可能とされてお
り、その先端には調節ピン４３が前側から後方に挿通さ
れた状態で備えられている。この調節ピン４３には、位
置決め部２６の内径より僅かに小さな外径をもつ円形の
ロック部４４が備えられており、常にはバネ４５により
組付柱４２側へ付勢され、位置決め部２６のうちの一つ
と係合することによりステップ部４０がその高さ位置に
保持されるようになっている。また、ロック部４４には
環状の取手部４６が備えられており、この取手部４６を
バネ４５の付勢力に抗して引くとロック部４４と位置決
め部２６との係合が解除され、調節ピン４３がスライド
溝２７に沿って変位可能となるため、足載せ部４１を上
下に移動させることができるようになっている。

【００１７】さて、座面の高さ調節機構５０は、左右両
端に側壁５１Ｂを起立させた上板５１と、平板状の下板
５２とを備えており、両板５１，５２は前端がヒンジ５
３を介して互いに回動可能に連結されている（図１，図
３及び図４参照）。上板５１の左右両側壁５１Ｂはそれ
ぞれ着座部１１Ｂの左右両側壁にボルト止め固定されて
おり、さらに上板５１の上面には固定フレーム２０が溶
接されている。また、上板５１の後端には、コの字形に
屈曲された環状の固定用部材５５の下辺が溶接されてお
り、その左右両端部が背面板１４から後方に突出される
ことにより一対のベルト装着部５６が形成されている。
このベルト装着部５６には、シートベルトを左右方向に
挿通させることができるようになっている。

【００１８】固定用部材５５の上辺にはスプリング５８
の一端が連結されており、このスプリング５８の他端は
下板５２に連結されて、上板５１と下板５２とが常に近
接方向に付勢されている。また、上板５１の下面には左
右方向に回動軸を有するレバー６０が軸支されている。
このレバー６０の先端には変形６角形の調節ナット６１
が備えられており、上板５１にはこの調整ナット６１と
の干渉を避けるための開口５１Ａが設けられている。ま
た、レバー６０の他端は着座部１１Ｂの側方に延出さ
れ、直角に屈曲されて操作部６２が形成されている。

【００１９】下板５２は、スプリング５８の付勢によっ
て常には調節ナット６１の下側の面と接触した状態とな
り、レバー６０を回動させることにより調節ナット６１
が回転して下板５２との当接面を変更できるようになっ
ている。調整ナット６１の所定面は各面ごとに回動軸か
らの距離を変えてあり、当接面を変えることにより上板
５１と下板５２とのなす角度が変更される。即ち、本実
施形態においては、操作部６２を前方（図４の左側）へ
倒したときに上板５１と下板５２とがほぼ平行になり、
ここから操作部６２を所定角度ずつ（図４の時計回り）
回動することにより、調整ナット６１の下板５２との当
接面が順次変更され、上板５１と下板５２とのなす角度
が所定角度ずつ４段階に増加するようになっている。

【００２０】本実施形態は以上の構成であり、以下その
作用を説明する。ここでは、チャイルドシート１０を、
図５に示すように、通常の乗用車の後側座席７４（運転
席とは対角位置）に装着する例を示す。このチャイルド
シート１０を組付ける場合には、まず、前側座席７１
（助手席）のヘッドレスト７２を取り外し、チャイルド
シート１０を後側座席７４の上面に載置する。そして、
ヘッドレスト７２に備えられた各ステー７３を貫通孔２
２，３２に挿通させ、これを前側座席７１に差し込んで
固定する。続いて、後側座席７４に備えられたシートベ
ルト７５を各ベルト装着部５６に左右方向に挿通させて
緊張状態で固定すると、組付けが完了する。

【００２１】次に、ステップ部４０の高さを調節する場
合には、調節ピン４３の取手部４６を引いて、ロック部
４４と位置決め部２６との係合を外す。そして、取手部
４６を引いたまま、足載せ部４１が最適な高さ位置とな
るような位置の位置決め部２６とロック部４４とを整合
させて取手部４６をはなすと、バネ４５の付勢によりロ
ック部４４が位置決め部２６内に進入して係合し、足載
せ部４１がその高さ位置に保持される。

【００２２】また、座面の高さを調節する場合には、イ
ス部１１を持ち上げつつ操作部６２を持って調整ナット
６１を所定角度回転させる。すると、下板５２と調節ナ
ット６１との当接面が変化して、上板５１と下板５２と
がなす角度を調節できる。上板５１はイス部１１に固定
され、一方の下板５２は後側座席７４の座面に当接する
ため、上板５１と下板５２のなす角度を大きくすると、
イス部１１がより高い位置に保持される（図６参照）。
なお、予め操作部６２を前方へ倒してイス部１１を最も
低い位置にした状態でシートベルト７５を張っておく
と、レバー６０を操作してイス部１１を持ち上げたとき
にシートベルト７５がより強く張ってイス部１１がさら
に強固に固定される。

【００２３】以上のように本実施形態によれば、イス部
１１を固定フレーム２０によって前側座席７１に固定す
るようにしたため、シートベルト７５のみによって固定
する場合と比較してイス部１１が座席に対して移動しに
くく、チャイルドシート１０の安定性が向上して座り心
地が良好である。また、固定フレーム２０がイス部１１
の前方に延出し、固定されているため、車体が前面から
衝突した際などにも、チャイルドシート１０が前方へ飛
び出しにくく、さらに、前側座席７１が後方へ押し付け
られても、固定フレーム２０が支えとなって子供の前方
空間が確保されるため、安全性に優れている。また、固
定フレーム２０は前側座席７１に備えられたヘッドレス
ト７２のステー７３に組み付けられるため、既存の構成
をそのまま利用でき、組付け作業が簡単である。

【００２４】さらに、チャイルドシート１０には高さ調
節機構５０が設けられているため、イス部１１を子供の
背丈に合わせて最適な高さ位置に調節することができ
る。このため、例えば、運転者がルームミラー７８を通
して子供の姿を常時視野に入れることができるように設
定しておけば、運転中に振り返って子供の様子を見る必
要がないので安全上も望ましく、また、子供からもルー
ムミラー７８を通して運転者の顔を見ることができる。
また、イス部１１を子供が車外の様子を見やすいような
高さ位置に設定することもできる。また、チャイルドシ
ート１０には足載せ部４１が備えられているため、子供
の足がぶらつかず、快適に座らせることができる。この
足載せ部４１は高さ調節可能であるから、子供の背丈に
合わせて最適な高さ位置に調節することができる。

【００２５】〈他の実施形態〉図７には、本発明の他の
実施形態を示した。この実施形態では、固定フレーム
（図示しない）からイス部８０の前面側に上下動可能な
グリップ８１を延出させ、これを子供がつかんで動かす
ことができるようにしている。また、カバー８２の上部
が幅広に形成されており、ここにテレビ、ゲーム機など
のディスプレイ８３が装着されている。これにより、上
述した実施形態と同様の作用効果に加え、チャイルドシ
ートに着座した子供がグリップ８１をつかんで動かせる
ので、退屈感の防止に役立つ。なお、このグリップをハ
ンドル形状としてもよい。また、ディスプレイ８３があ
ることにより、長距離のドライブにおいても、子供を飽
きさせることなくチャイルドシートに着座させておくこ
とができる。

【００２６】本発明は前記実施形態に限定されるもので
はなく、例えば次に記載するようなものも本発明の技術
的範囲に含まれる。 （１）上記実施形態では、固定フレーム２０を着座部１
１Ｂの前端縁中央から延出させたが、イス部の下面ある
いは左右両側部から延出させても良い。 （２）上記実施形態では、固定フレーム２０を前側座席
７１に備えられたヘッドレスト７２のステー７３に組付
けるようにしたが、本発明によれば、固定部はヘッドレ
ストのステーに限らず、前側座席に組み付けられれば良
い。 （３）上記実施形態では、固定フレーム２０がステー７
３に組み付けられることでイス部１１が全方向に移動を
規制されているが、本発明によれば、固定部によってイ
ス部が少なくとも前方に移動を規制されれば良い。 （４）本実施形態では、足載せ部４０は固定フレーム２
０に連結されているが、イス部１１から延設させても良
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施形態のチャイルドシートの分解斜視図

【図２】ステップ部周辺の側断面図

【図３】高さ調節機構の一部を示す斜視図

【図４】高さ調節機構の側断面図

【図５】チャイルドシートを組み付けた状態を示す斜視
図

【図６】高さ調節の様子を示す側面図

【図７】他の実施形態を示す斜視図

【符号の説明】

１０…チャイルドシート １１…イス部 ２０…固定フレーム（固定部） ４１…足載せ部 ５０…高さ調節機構 ７１…前側座席 ７２…ヘッドレスト ７３…ステー ７４…後側座席

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の後側座席に装着されるチャイルド
   シートであって、着座可能なイス部と、このイス部から
   延出されて前記前側座席に組付けられることで前記イス
   部の前方への移動を規制する固定部とを備えていること
   を特徴とするチャイルドシート。
2. 【請求項２】 前記固定部は、前記前側座席に備えられ
   たヘッドレストのステーに組付け可能とされていること
   を特徴とする請求項１記載のチャイルドシート。
3. 【請求項３】 前記イス部は、このチャイルドシートに
   設けられる高さ調節機構によって、座面の高さ調節が可
   能とされていることを特徴とする請求項１または請求項
   ２に記載のチャイルドシート。
4. 【請求項４】 前記イス部の前側下方に高さ調節可能な
   足載せ部が備えられていることを特徴とする請求項１〜
   請求項３のいずれかに記載のチャイルドシート。