JP5141198B2 - 自動車のシート装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のシート装置に関する。
近時、自動車のシート装置には、チャイルドシートを固縛する手間を省くべく、チャイルドシート機能が組み込まれたものが提案されている。特許文献1には、シートクッション上に座らせた幼児の転倒を防止すること等を目的として、シート両側におけるアームレストの基端部をシートバックの両側中段部に水平軸を中心として回動自在にそれぞれ取付け、そのうちの一方のアームレストの先端部に延出部を、他方のアームレスト側に向けて連続的に設けたものが提案されている。このものによれば、延出部は、一方のアームレストの非使用時(起立時)にはヘッドレストとして機能し、使用時(倒伏時)には、両アームレストと協働して、幼児の移動規制部材として機能することになる。また、特許文献2には、シートバックの前面側に凹所を形成し、その凹所内に幼児用シートと学童用シートとを起立状態をもって収納し、使用時に、その幼児用シート、学童用シートを、シートクッション上においてシートバック前方に倒伏させるものが提案されている。
ところで、子供がシートに着座する場合、その子供の頭部が左右に動かないようにを支持することが重要である。
実開平05−530号公報 特開平06−16079号公報
しかし、シート装置においては、上述の如く、幼児の転倒防止、子供の大きさ等を考慮したチャイルドシート機能を備えたものは存在するものの、子供の頭部を左右に動かないように支持するヘッドサポート機能まで備えたものは未だ開発されていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、子供が着座したときに、その子供の頭部が左右に動くことを的確に規制できる自動車のシート装置を提供することにある。
前記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)においては、
シートクッションと、該シートクッションの後部から起立されるシートバックと、が備えられて、チャイルドシートとしても用いられる自動車のシート装置であって、
前記シートバックが、シートバック本体部と、該シートバック本体部と区分され該シートバックの幅方向に間隔をあけて配置される左右一対の分割構成部と、を備え、
前記各分割構成部が、ヘッドサポート部として、前記シートバック本体部の前方側において該シートバック本体部に対して起倒動可能とされていると共に、任意の起立状態で保持されるように設定され、
前記シートバック本体部が、前記シートクッションに着座する乗員の背中を支持するセンタサポート部とされ、
前記一対の分割構成部が、前記センタサポート部の両側部に配設されて乗員の側部を支持する左右一対のサイドサポート部のそれぞれの一部とされ、
前記各サイドサポート部が、上側サイドサポート部と下側サイドサポート部とからなる上下2分割構造とされ、
前記各サイドサポート部の一部が、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部であり、
前記シートクッションが、昇降動可能な座部を有し、
前記各サイドサポート部における上側サイドサポート部が、その上部を中心とした回動により起倒動可能に設定され、
前記シートクッションの内側側方に配設されるシートベルト保持具に向けて、シートベルトのうち、ショルダーベルト部が、車体側部から前記シートバックの上端を通って引き延ばされるように設定され、
前記各サイドサポート部の一部に、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部の他に、該各サイドサポート部における下側サイドサポート部も含まれ、
前記各サイドサポート部における下側サイドサポート部も、その上部を中心とした回動により起倒動可能に設定されている、
構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項以下の記載の通りとなる。
前記技術的課題を達成するために本発明(請求項2に係る発明)においては、
シートクッションと、該シートクッションの後部から起立されるシートバックと、が備えられて、チャイルドシートとしても用いられる自動車のシート装置であって、
前記シートバックが、シートバック本体部と、該シートバック本体部と区分され該シートバックの幅方向に間隔をあけて配置される左右一対の分割構成部と、を備え、
前記各分割構成部が、ヘッドサポート部として、前記シートバック本体部の前方側において該シートバック本体部に対して起倒動可能とされていると共に、任意の起立状態で保持されるように設定され、
前記シートバック本体部が、前記シートクッションに着座する乗員の背中を支持するセンタサポート部とされ、
前記一対の分割構成部が、前記センタサポート部の両側部に配設されて乗員の側部を支持する左右一対のサイドサポート部のそれぞれの一部とされ、
前記各サイドサポート部が、上側サイドサポート部と下側サイドサポート部とからなり、
前記各サイドサポート部の一部が、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部であり、
前記シートクッションが、昇降動可能な座部を有し、
前記各サイドサポート部における上側サイドサポート部が、起倒動可能に設定され、
前記各サイドサポート部の一部に、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部の他に、該各サイドサポート部における下側サイドサポート部も含まれ、
前記各サイドサポート部における下側サイドサポート部も、起倒動可能に設定されている、
構成としてある。この請求項2の好ましい態様としては、請求項3以下の記載の通りとなる。
請求項1に係る発明によれば、次のような種々の効果(1)〜(5)を奏する。
(1)シートバックの一部である一対の分割構成部を前方に起立させるだけで、ヘッドサポート部を構成できることになり、その一対の分割構成部が構成するヘッドサポート部により、シートクッションに着座する子供の頭部が左右に動くことを的確に規制できる。
(2)シートバック本体部が、シートクッションに着座する乗員の背中を支持するセンタサポート部とされ、一対の分割構成部が、センタサポート部の両側部に配設されて乗員の側部を支持する左右一対のサイドサポート部のそれぞれの一部とされることから、子供に対して寄与度が低いサイドサポートを利用することにより、着座時の違和感を与えることなくコンパクトにヘッドサポート部を構成できる。
(3)各サイドサポート部が、上側サイドサポート部と下側サイドサポート部とからなる上下2分割構造とされ、各サイドサポート部の一部が、各サイドサポート部における上側サイドサポート部であることから、上側サイドサポート部をヘッドサポート部として機能させることができ、下側サイドサポート部に本来の機能(乗員の胴部支持機能)を発揮させることができる。このため、当該装置においては、子供の胴部を支持しつつその子供の頭部も支持できる。
(4)シートクッションが、昇降動可能な座部を有し、各サイドサポート部における上側サイドサポート部が、その上部を中心とした回動により起倒動可能に設定され、シートクッションの内側側方に配設されるシートベルト保持具に向けて、シートベルトのうち、ショルダーベルト部が、車体側部から前記シートバックの上端を通って引き延ばされるように設定されていることから、子供がシートクッションに着座する場合であっても、シートクッションの座部高さ位置を調整して、大人と同様の着座状態を作り出すことができ、通常装備のシートベルトを利用する場合であっても、シートベルト本来の装着時のフィット感を得ることができる。
(5)各サイドサポート部の一部に、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部の他に、該各サイドサポート部における下側サイドサポート部も含まれ、各サイドサポート部における下側サイドサポート部も、その上部を中心とした回動により起倒動可能に設定されていることから、比較的大きな子供に対しては、上側サイドサポート部をヘッドサポート部として利用することができ、小さい幼児に対しては下側サイドサポート部をヘッドサポート部として利用することができ、利用できる子供の幅を拡げることができる。勿論、比較的大きな子供に対して、上側サイドサポート部をヘッドサポート部として利用する場合には、下側サイドサポート部は、本来の機能を発揮する。
請求項2に係る発明によれば、シートベルトの点を除いて、請求項1に対応した効果と同様の効果を得ることができる。
請求項に係る発明によれば、シートバック本体部と前記サイドサポート部の一部との間に回動調整機構が介在され、回動調整機構が、サイドサポート部の一部をシートバック本体部に対して倒伏姿勢状態から起立方向に回動させることのみを許容するように設定されていることから、回動調整機構を用いて、サイドサポート部の一部を、起立動させると共に任意の起立状態に保持できることになり、サイドサポート部の一部を用いて具体的に子供のヘッドサポートを行うことができる。
請求項に係る発明によれば、回動調整機構は、サイドサポート部の一部が倒伏姿勢からシートバック本体部に沿って仰向け姿勢になる前の作動解除姿勢に達したことを条件に、該回動調整機構の作動を解除するように設定され、サイドサポート部の一部の回動を規制する規制手段が備えられ、規制手段が、サイドサポート部の一部が作動解除姿勢を経て前記仰向け姿勢に至る前の起立動限度姿勢に達することを条件に、該仰向け姿勢側に向けた該サイドサポート部の一部の回動を規制するように設定されていることから、シートクッションに着座している子供が腕を上に伸ばしてサイドサポートの一部を掴み、回動調整機構の作動を解除してサイドサポートの一部の起立姿勢を再調整する場合であっても、そのサイドサポートの一部の回動角度がシートバック本体部の角度よりも前方の角度に規制されることに基づき、サイドサポート部の一部が掴みにくく操作しづらくなることを抑制できる。
請求項に係る発明によれば、サイドサポート部の一部の起立動限度姿勢が、鉛直方向を基準として倒伏姿勢側に傾斜するように設定されていることから、サイドサポート部の一部を倒伏姿勢に戻すに際して、サイドサポート部の一部の自重を利用できる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図3において、符号1は第1実施形態に係るシート装置1であり、このシート装置1は、自動車内のフロア2上に配置されている。このシート装置1は、シートクッション3と、そのシートクッション3の後部に配置されて起倒動可能とされたシートバック4とを備えている。
前記シートクッション3は、図1〜図3に示すように、既知の如く、ガイドレール機構(ロアレール、アッパレール等)5を介してフロア2に固定されている。ガイドレール機構5は、図示を略す操作レバーにより、シートクッション3を前後方向に変位動可能とすると共に、そのシートクッション3を任意の位置で固定する機能を有している。シートクッション3は、シートクッション本体部6と座部7とを備えている。シートクッション本体部6は、座部収納用の凹所8を有しており、その凹所8は、シートクッション本体部6の上方及び前方に対して開口されている。座部7は、前側座部7aと後側座部7bとからなり、これらは前記凹所8内に前後して配設されている。座部7のうち、前側座部7aとシートクッション本体部6の凹所底部8aとの間には昇降機構9が介在されている。昇降機構9は、図外の操作レバーにより作動される平行リンク機構等から構成されており、この昇降機構9は、前側座部7aを上昇させつつ後退させて、その前側座部7aをシートバック4の前面に当接させた状態で後側座部7bの上方位置に位置させると共にその上方位置に保持できることになっている。この座部7の上昇した位置は、子供用着座位置として設定されており、この座部7の位置は、シートバック4との関係を考慮して、適宜、設定されることになっている。
前記シートバック4は、図1〜図3に示すように、シートバック本体部としてのセンタサポート部10と、左右一対のサイドサポート部11とを備えている。センタサポート部10は、シートバック4の幅方向(左右方向)内方側をなす部分を占めており、このセンタサポート部10により、シートクッション3に着座する乗員の背中が支持されることになっている。一対のサイドサポート部11は、センタサポート部10の両側部においてシートバック4の下端側から上端側へと延びており、そのサイドサポート部11は、センタサポート部10の前面よりも前方に突出されている。これにより、このセンタサポート部10は、シートクッション3に着座する乗員の体(胴部)が左右に移動することを規制することになる。このサイドサポート部11は、下側サイドサポート部11aと上側サイドサポート部11bとからなる上下に二分割構造とされており、下側サイドサポート部11a及び上側サイドサポート部11bは、上下方向に延びる延び形状をもって連続的に配置されている。
前記シートバック4は、図4に示すように、その内部における骨組として、シートバックフレーム13を備えている。シートバックフレーム13は、所定間隔だけ離間して延びる一対の縦フレーム部14と、その両縦フレーム部14を連結する下側フレーム部15と、両縦フレーム部14の上側を連結する上側フレーム部16とを備えている。各縦フレーム部14には、その上部においてスリーブ17が設けられており、そのスリーブ17の開口は外側側方(左右方向)に向けられている。このスリーブ17には、その内周面においてその軸心方向に延びるようにしてセレーション(図示略)が形成されていると共に、周回り方向において部分的に内外を連通させるスリット(図示略)が形成されている。そのスリットには図示を略すバネクリップ17aが嵌め込まれている。下側フレーム部15は、構造体をもって一対の縦フレーム部14よりも外側に延出することになっており、この下側フレーム部15は、シートバック4下側の支持強度を確保する共に、シートクッション3側に対するセンタサポート部10の回動支持構成を形成することになっている。上側フレーム部16には、一対のヘッドレストボールガイド18が間隔をあけて取付けられており、そのヘッドレストボールガイド18を利用してヘッドレストが取付けられることになっている。
前記シートバック4は、図2〜図4に示すように、前記シートバックフレーム13の外周囲がシートバックパッド19及びその表皮となるシートバックトリム20により覆われている。このため、シートバックパッド19及びシートバックトリム20には、ヘッドレストを外部から取付けることを可能とすべく、前記各ヘッドレストボールガイド18を外部に臨ませるための開口21がそれぞれ形成されている。但し、各縦フレーム部14に関しては、下側サイドサポート部11aよりも上方部分がシートバックパッド19及びシートバックトリム20により覆われておらず、その縦フレーム部14の上側部分はシートバックパッド19及びシートバックトリム20の外側側方に沿うように配置されている。このため、シートバックパッド19及びシートバックトリム20の上部には、上側フレーム部16を縦フレーム部14に連結を可能とすべく、上側フレーム部16を貫通させるための挿通孔22がそれぞれ形成されている。尚、シートバックトリム20においては、ヘッドレストボールガイド18に対する開口21、上側フレーム部16を挿通させるための挿通孔22は、省略されている。また、図4中、符号23はシートバックボードである。
前記シートバック4は、図2〜図4に示すように、前記各縦フレーム部14の上部に上側サイドサポート部11bをそれぞれ取付けている。上側サイドサポート部11bは、その上部内部に回動調整機構としてのラチェット機構24を内蔵しており、そのラチェット機構24に連係する支持軸25が上側サイドサポート部11bの上部内面から外部に突出されている。この支持軸25が縦フレーム部14のスリーブ17に嵌合されている。支持軸25の外周面には、その突出端側において、軸心延び方向の延びるセレーション26が形成されており(図5参照)、そのセレーション26がスリーブ17内周面のセレーションに係合されて、その支持軸25はスリーブ17に対して相対回転不能となっている。また、この支持軸25の外周面には、周回り方向全周において係合溝27(図5参照)が形成されており、この係合溝27と、スリーブ17内に入り込んでいるバネクリップ17aとが係合することにより、スリーブ17に対する回動軸24の抜け止めが図られている。
前記ラチェット機構24は、図4、図5に示すように、外ケース28とその外ケース28内に組み込まれる内ケース29とからなる中空箱状のケースユニット30内に収納されており、そのケースユニット30は、上側サイドサポート部11b内に内蔵されるサポートフレーム(図示略)に取付けられている。前記支持軸25は、その基端側が外ケース28及び内ケース29を貫通してそれらに相対回転可能に支持されており、上側サイドサポート部11bの起倒動に伴い、ケースユニット30が支持軸25に対して回動することになっている。ラチェット機構24は、図5に示すように、構成要素として、支持軸24に相対回転不能に取付けられその外周面に非歯部31と歯部(鋸歯部)32とを備えたセクターギヤ33、セクターギヤ33の外周面に形成される第1,第2ストッパ面34,35及びアンロック用立ち上がり部36、セクターギヤ33の板面に設けられるロック用ピン37、内ケース29内面に支持ピン38により回動可能に支持されその先端部に歯部(鋸歯部)39が形成されるロックギヤ40、ロックギヤ40に形成されるアンロック用突起部41、支持ピン38にロックギヤ40と一体的に回動可能に支持されるプレート42、ロックギヤ40と内ケース29との間に掛け渡されてロックギヤ40に付勢力を付与するコイルスプリング43、内ケース29内面に取付けられる規制手段としてのストッパピン44、板ばね材45、ワッシャ46,47等を備えており、このラチェット機構24に基づき、上側サイドサポート部11bは、次のように作動される。
チャイルドシートとして使用しない通常時には、上側サイドサポート部11bは、図1,図6に示すように、センタサポート部10の沿う姿勢(倒伏姿勢)S0を取ることになる。このときのラチェット機構24の状態を簡易的に示したものが図7であり、このときには、上側サイドサポート部11bの自重が、支持軸25に対してケースユニット30を図7中、反時計方向に回動させようとする力として多少働くが、内ケース29に設けられたストッパピン44が、図7に示すように、セクターギヤ33の段差状の第1ストッパ面34に当接しており、上側サイドサポート部11bは、倒伏姿勢S1からさらに図6中、反時計方向に回動することが規制される。その一方で、ロックギヤ40の歯部39がコイルスプリング43(一点鎖線で簡易的に図示。以下、図8〜図10においても同じ)の付勢力によりセクターギヤ33に向けて付勢されているが、このとき、そのロックギヤ40の歯部39は、セクターギヤ33の非歯部31に当接しており、ケースユニット30は、図7中、時計方向に回動することが許容されている。このため、上側サイドサポート部11bの下端側を持ち上げて、ケースユニット30を支持軸25を中心として図7中、時計方向に回動させようとしても、その回動は規制されず、上側サイドサポート部11bを倒伏姿勢S0から起立動させることができる。
上側サイドサポート部11bを、図6に示すように、倒伏姿勢S0から所定角度θ1だけ起立動させて姿勢S1にすると、ケースユニット30も支持軸25を中心として図7中、時計方向に回動し、ロックギヤ40の歯部39は、図8に示すように、コイルスプリング43の付勢力に基づきセクターギヤ33の歯部32に歯合することになる。このロックギヤ40の歯部39とセクターギヤ33の歯部32との歯合関係は、ケースユニット30が、図8中、時計方向に回動することを許容するものの、反時計方向に回動することを規制することになっており、この両歯部32,39の歯合関係が存続する限り、上側サイドサポート部11bは、姿勢S1から図6中、反時計方向に倒伏動させることができないものの、図6中、時計方向に起立動させることができ、その起立動により得た任意の起立位置で姿勢を保持できることになる。本実施形態においては、上側サイドサポート部11bは、図3,図6に示すように、倒伏姿勢S0から作動解除直前角度θ2(θ1<θ2)だけ回動させた姿勢S2(作動解除直前姿勢)まで上記態様をとり得るように設定されており、図9は、そのときのセクターギヤ33の歯部32とロックギヤ40の歯部39の歯合関係が解除される直前を示している。
このため、左右一対の上側サイドサポート部11bを上記姿勢S1〜S2の範囲で起立させることにより、その一対の上側サイドサポート部11bをシートバック4の前方に突出保持させることができ、そのS1〜S2の範囲の起立姿勢を選択することにより、その上側サイドサポート部11bの高さ位置を決めることができる(図6参照)。このため、シートクッション3に子供が着座するときであっても、その子供の頭部が左右に動くことを的確に規制できることになる(ヘッドサポート機能確保)。
この場合、子供の通常使用においては、前側座部7aが上方位置に上昇されて使用されることになり、その前側座部7aに子供が着座して、大人と同様の着座状態(体の高さ位置)が作り出される。このため、シートベルト48は、通常、図2に示すように、そのうちのショルダーベルト部49が、シートクッション3の内側側方に配設されるシートベルト保持具としてのバックル50に向けて、車体側部からシートバック4の上端を通って引き延ばされるように使用されるが、それを変更しなくても、シートベルト48本来の装着時のフィット感(シートベルトの配索位置に合わせたシートベルト装着時のフィット感)を得ることができる。
上側サイドサポート部11bを、さらに起立動させて、図6に示すように、倒伏姿勢S0から作動解除角度θ3だけ回動させた姿勢S3(作動解除姿勢)にすると、ケースユニット30が支持軸25を中心として図9中、時計方向に回動し、ロックギヤ40のアンロック用突起部41がセクターギヤ33のアンロック用立ち上がり部36に当接して、ロックギヤ40は、支持ピン38を中心として、その歯部39がセクターギヤ33の歯部32から離間する方向に回動される(作動解除状態)。これに伴い、コイルスプリング43の配設位置が支持ピン38よりもセクターギヤ33側に変化し、コイルスプリング43の付勢力は、ロックギヤ40に対して、セクターギヤ33側ではなくセクターギヤ33から離す方向の力として作用し(図10参照)、ロックギヤ40の歯部39とセクターギヤ33の歯部32とが歯合しない状態が保持される。これにより、ケースユニット30は、支持軸25に対して相対回転可能な状態となり、上側サイドサポート部11bを倒伏姿勢S1位置に向けて倒伏動させることができることになる。
上記場合において、上側サイドサポート部11bを作動解除姿勢S3に至らせるに際し(セクターギヤ33の歯部とロックギヤ40の歯部との歯合関係を解除するに際し)、上側サイドサポート部11bの回動が勢い余ることが考えられる。このため、本実施形態においては、ロックギヤ40の歯部39とセクターギヤ33の歯部32との歯合関係が解除されるとほぼ同時に、図10に示すように、内ケース29のストッパピン44がセクターギヤ33の第2ストッパ面35に当接し(上側サイドサポート部11bは起立動限度姿勢)、その当接の後、上側サイドサポート部11bは、それ以上の回動が規制されることになっている。
この場合、ストッパピン44と第2ストッパ面35とによる上側サイドサポート部11bの回動規制(起立動限度姿勢の設定)は、上側サイドサポート部11bがセンタサポート部10に沿う姿勢(仰向け姿勢)に達する前に行われる。前側座部7aに着座している子供が腕を上に伸ばして上側サイドサポート部11bを掴み、ラチェット機構24の作動を解除して上側サイドサポート部11bの起立姿勢状態を再調整する場合に、上側サイドサポート部11bが掴みにくく操作しづらくなることを抑制するためである。つまり、上側サイドサポート部11bがセンタサポート部10に沿う姿勢(仰向け姿勢)に達したときに、上側サイドサポート部11bの回動規制を行ったのでは、上側サイドサポート部11bを掴みにくく操作しずらくなることから、これを避けようとしているのである。
本実施形態においてはこれをさらに進め、上側サイドサポート部11bが鉛直状態よりも倒伏姿勢S1側に傾斜しているときに(姿勢S3)、上側サイドサポート部11bの回動規制が行われる。上側サイドサポート部11bを倒伏姿勢S1に戻すに際して、上側サイドサポート部11bの自重を利用でき、操作性をさらに向上させることができるからである。
この後、セクターギヤ33の歯部32とロックギヤ40の歯部39との歯合関係が解除され、上側サイドサポート部11bが倒伏動されると、ケースユニット30が図10中、反時計方向に回動することになり、内ケース29に支持されるプレート42は、セクターギヤ33板面におけるロック用ピン37に当接して、支持ピン38を中心として図10中、反時計方向に回動する。これに伴い、プレート42と一体化しているロックギヤ40も、支持ピン38を中心として、図10中、反時計方向に回動し、このロックギヤ40の姿勢変化に基づき、コイルスプリング43の配設位置は、支持ピン38を中心としてよりもセクターギヤ33と反対側となる(図7参照)。これにより、コイルスプリング43の付勢力が、ロックギヤ40の歯部39をセクターギヤ33の外周面に当接させる方向に働くことになり、上側サイドサポート部11bが倒伏姿勢S1に戻ったときには、図7に示すように、ロックギヤ40の歯部39はセクターギヤ33の非歯部31に当接する。この後、上側サイドサポート部11bの起立姿勢の再調整を行う場合には、前述の操作が繰り返され、大人が着座する通常使用を行う場合には、このままの状態で使用される。
したがって、上記シート装置1においては、シートバック4の一部である左右一対の上側サイドサポート部11bを前方に起立させるだけで、ヘッドサポート部を構成できることになり、その左右一対の上側サイドサポート部11bが構成するヘッドサポート部により、シートクッション3(前側座部7a)に着座する子供の頭部が左右に動くことを的確に規制できる。
図11は第2実施形態を示す。この第2実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図11に示す第2実施形態においては、上側サイドサポート部11bだけでなく、下側サイドサポート部11aについても、ラチェット機構(図示略)を介してシートバックフレーム13に取付けられており、下側サイドサポート部11aは、その上部を中心として、起立動することができると共に、その起立姿勢を保持できることになっている。これにより、比較的大きな子供に対しては、上側サイドサポート部11bをヘッドサポート部として利用することができ、小さい幼児に対しては下側サイドサポート部11aをヘッドサポート部として利用することができることになり、利用できる子供の幅を拡げることができることになる。
第1実施形態に係るシート装置を示す斜視図。 図1に係るシート装置において、上側サイドサポート部をヘッドサポート部として利用している状態を示す斜視図。 図2の状態よりも上側サイドサポート部をさらに回動させて、その上側サイドサポート部が構成するヘッドサポート部の高さ位置を高めた状態を示す側面図。 第1実施形態に係るシートバックの構造を説明する分解斜視図。 第1実施形態に係るシート装置に用いるラチェット機構の構造を説明する分解斜視図。 上側サイドサポート部の作動を簡易に説明する説明図。 ラチェット機構の動作を説明する説明図。 図7に続く状態を示す動作状態図。 図8に続く状態を示す動作状態図。 図9に続く状態を示す動作状態図。 第2実施形態に係るシート装置を示す斜視図。
1 シート装置
3 シートクッション
4 シートバック
7 座部
7a 前側座部
9 昇降機構
10 センタサポート部(シートバック本体部)
11 サイドサポート部
11a 下側サイドサポート部(分解構成部)
11b 上側サイドサポート部(分解構成部)
24 ラチェット機構(回動調整機構)
35 第2ストッパ面(規制手段)
44 ストッパピン(規制手段)
48 シートベルト
49 ショルダーベルト部
50 バックル(シートベルト保持具)




Claims (5)

  1. シートクッションと、該シートクッションの後部から起立されるシートバックと、が備えられて、チャイルドシートとしても用いられる自動車のシート装置であって、
    前記シートバックが、シートバック本体部と、該シートバック本体部と区分され該シートバックの幅方向に間隔をあけて配置される左右一対の分割構成部と、を備え、
    前記各分割構成部が、ヘッドサポート部として、前記シートバック本体部の前方側において該シートバック本体部に対して起倒動可能とされていると共に、任意の起立状態で保持されるように設定され、
    前記シートバック本体部が、前記シートクッションに着座する乗員の背中を支持するセンタサポート部とされ、
    前記一対の分割構成部が、前記センタサポート部の両側部に配設されて乗員の側部を支持する左右一対のサイドサポート部のそれぞれの一部とされ、
    前記各サイドサポート部が、上側サイドサポート部と下側サイドサポート部とからなる上下2分割構造とされ、
    前記各サイドサポート部の一部が、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部であり、
    前記シートクッションが、昇降動可能な座部を有し、
    前記各サイドサポート部における上側サイドサポート部が、その上部を中心とした回動により起倒動可能に設定され、
    前記シートクッションの内側側方に配設されるシートベルト保持具に向けて、シートベルトのうち、ショルダーベルト部が、車体側部から前記シートバックの上端を通って引き延ばされるように設定され、
    前記各サイドサポート部の一部に、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部の他に、該各サイドサポート部における下側サイドサポート部も含まれ、
    前記各サイドサポート部における下側サイドサポート部も、その上部を中心とした回動により起倒動可能に設定されている、
    ことを特徴とする自動車のシート装置。
  2. シートクッションと、該シートクッションの後部から起立されるシートバックと、が備えられて、チャイルドシートとしても用いられる自動車のシート装置であって、
    前記シートバックが、シートバック本体部と、該シートバック本体部と区分され該シートバックの幅方向に間隔をあけて配置される左右一対の分割構成部と、を備え、
    前記各分割構成部が、ヘッドサポート部として、前記シートバック本体部の前方側において該シートバック本体部に対して起倒動可能とされていると共に、任意の起立状態で保持されるように設定され、
    前記シートバック本体部が、前記シートクッションに着座する乗員の背中を支持するセンタサポート部とされ、
    前記一対の分割構成部が、前記センタサポート部の両側部に配設されて乗員の側部を支持する左右一対のサイドサポート部のそれぞれの一部とされ、
    前記各サイドサポート部が、上側サイドサポート部と下側サイドサポート部とからなり、
    前記各サイドサポート部の一部が、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部であり、
    前記シートクッションが、昇降動可能な座部を有し、
    前記各サイドサポート部における上側サイドサポート部が、起倒動可能に設定され、
    前記各サイドサポート部の一部に、該各サイドサポート部における上側サイドサポート部の他に、該各サイドサポート部における下側サイドサポート部も含まれ、
    前記各サイドサポート部における下側サイドサポート部も、起倒動可能に設定されている、
    ことを特徴とする自動車のシート装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記シートバック本体部と前記サイドサポート部の一部との間に、回動調整機構が介在され、
    前記回動調整機構が、前記サイドサポート部の一部を前記シートバック本体部に対して倒伏姿勢状態から起立方向に回動させることのみを許容するように設定されている、
    ことを特徴とする自動車のシート装置。
  4. 請求項において、
    前記回動調整機構は、前記サイドサポート部の一部が倒伏姿勢から前記シートバック本体部に沿って仰向け姿勢になる前の作動解除姿勢に達したことを条件に、該回動調整機構の作動を解除するように設定され、
    前記サイドサポート部の一部の回動を規制する規制手段が備えられ、
    前記規制手段が、前記サイドサポート部の一部が前記作動解除姿勢を経て前記仰向け姿勢に至る前の起立動限度姿勢に達することを条件に、該仰向け姿勢側に向けた該サイドサポート部の一部の回動を規制するように設定されている、
    ことを特徴とする自動車のシート装置。
  5. 請求項において、
    前記サイドサポート部の一部の起立動限度姿勢が、鉛直方向を基準として倒伏姿勢側に傾斜するように設定されている、
    ことを特徴とする自動車のシート装置。
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