JP2000264140A - ハーネス用グロメット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハーネスの方向付けを容易かつ確実に行うこ
とができ、ハーネス貫通部のシール性が確保され、且つ
グロメットとハーネスの組付立作業の容易化を図ること
のできるハーネス用グロメットを得ること。 【解決手段】 グロメット本体１１には、ハーネス２５
の屈曲状態を許容するための蛇腹部１３が設けられ、蛇
腹部１３の屈曲状態を維持するための板金ガイド１９を
グロメット本体１１に取付けるためのガイド支持部１５
がグロメット本体１１に設けられている。これにより、
グロメット本体１１にハーネス２５を挿通した後にハー
ネス２５並びにグロメット本体１１を屈曲することがで
きる。そして、予め、所望の曲率半径で屈曲してある板
金ガイド１９の両端を、ガイド支持部１５に固定支持す
る。これによって、ハーネス２５は所望の屈曲状態にて
保持される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車体などの所定の
貫通孔部分に挿通されるハーネスを機密性よく保持し、
且つハーネスの方向付けを行うハーネス用グロメットに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、車体などの所定の孔部にハー
ネスを挿通させ、その貫通部分のシール及びハーネスの
方向付けを行うために、この貫通部分にグロメットが用
いられている。例えば、図２３に示すように、車のボデ
ィ１の孔部に比較的剛性のある断面形状Ｌ字形のグロメ
ット３を取り付け、このグロメット３の内孔３ａにハー
ネス５を挿通して、ボディ１の孔部内外の部品の配線等
を行っている。

【０００３】なお、ハーネス５をグロメット３に挿通さ
せた状態で孔部に取り付けられる場合であれば、予めハ
ーネス５の所定位置にグロメット３を固着しておいても
良い。このようなハーネス用グロメットを用いることに
より、ハーネス貫通部のシール性及びハーネスの方向付
けが行われている。

【０００４】例えば、特開平６ー３６６０４号公報の技
術では、ゴム変性ポリプロピレンなどのエラストマー材
のハーネスに、そのエラストマー材より剛性の高い樹脂
製のグロメットを取り付け、グロメット部分を車体の孔
部に固着し、ハーネス貫通部分のシール性及びハーネス
の方向付けが行われている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来のハーネス用グロメットを用いた場合、次の
ような問題を生じる。すなわち、グロメットの剛性の高
さとハーネスの剛性の高さが近似であると、グロメット
が狙った方向がハーネスの反発力によって変えられ、ハ
ーネスを必要とする方向に調整保持することができなく
なることがある。また、ハーネスの曲がり反発力によっ
てグロメットが変形して、シール性が損なわれることも
あるが、このような不具合を防ぐためには、ハーネスの
剛性に比べてグロメットの剛性を相当高くしなければな
らない。しかし、グロメットの剛性が高すぎると、ボデ
ィの孔部に対するグロメットの弾力的な取付けができな
くなり、密着機密性が損なわれてシール性が悪くなるな
どの問題がある。

【０００６】更に、予め断面形状Ｌ字型のグロメットを
ボディの孔部に固定してからハーネスを挿通する場合
は、作業性が悪くなり、挿通時にグロメットやハーネス
を傷つけるおそれもある。また、グロメットをハーネス
に組み付けるときの、取り付け位置精度が出しにくかっ
たり、ハーネスの方向の調整が出来ないなどの不具合が
ある。

【０００７】本発明は、上記種々の課題を解決するため
になされたものであり、その目的は、ハーネスの方向付
けを容易かつ確実に行うことができ、ハーネス貫通部の
シール性が確保され、且つグロメットとハーネスの組付
立作業の容易化性を図ったハーネス用グロメットを提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に係るハーネス用グロメットは、ハーネス
が貫通される部材の当該貫通部に取り付けられ、貫通さ
れたハーネスの方向付けと貫通部のシールを行うハーネ
ス用グロメットであって、グロメット本体と、このグロ
メット本体の屈曲状態を維持可能な屈曲状態維持手段と
を備えている。そして、グロメット本体がハーネスを挿
通可能な貫通孔を有し、且つ一部に屈曲自在の変形許容
手段を有し、更に、屈曲状態維持手段がグロメット本体
に装着可能な構成を有し、その装着状態でグロメット本
体の屈曲状態を維持するように構成されている。

【０００９】これにより、グロメット本体の貫通孔に挿
通されたハーネスの屈曲は、グロメット本体の変形許容
手段によって許容され、更に、ハーネスの屈曲状態は屈
曲状態維持手段によって維持される。すなわち、ハーネ
スの曲がり反発力によるグロメット本体の変形は防止さ
れ、したがってシール性は確保される。また、上記変形
許容手段によってハーネスの屈曲状態の方向付けも確実
に行われる。

【００１０】請求項２に係るハーネス用グロメットは、
変形許容手段がグロメット本体に形成された蛇腹部にて
構成されており、また、屈曲状態維持手段がハーネスの
屈曲時の反力に抗しうる剛性を有する屈曲ガイドと、こ
の屈曲ガイドを蛇腹部の両端間で支持するようにグロメ
ット本体に形成された支持部材とにより構成されてい
る。

【００１１】すなわち、グロメット本体に形成された蛇
腹部が屈曲することにより貫通されたハーネスの所望の
屈曲動作は許容さる。そして、グロメット本体には不要
な変形は生じない。また、屈曲ガイドとそれを支持する
支持手段によって蛇腹部の屈曲状態が維持されるので、
ハーネスの方向付けの安定性も確保される。

【００１２】請求項３に係るハーネス用グロメットは、
屈曲ガイドが、所望の曲率半径で屈曲された円弧状の形
状を有している。ハーネスの方向付けのための屈曲をよ
り滑らかなカーブをもって行うためには円形状の屈曲が
好適であり、このように所定曲率の円弧状とすることに
より、ハーネスの無理のない方向付けが可能となる。

【００１３】請求項４に係るハーネス用グロメットは、
前記屈曲ガイドは、その円弧長さを調整可能に構成され
ている。これにより、ハーネスの方向付けに際しての方
向調整がより容易となる。すなわち、グロメット本体の
蛇腹部の存在により、ハーネスの屈曲は容易に行われ
る。そして、その方向付けに対応した屈曲ガイドの設置
の際に１つの屈曲ガイドにより複数のハーネスの方向付
けに対応することができる。円弧を長くすることによ
り、ハーネスのより鋭角な方向付けに対応することがで
きる。

【００１４】請求項５に係るハーネス用グロメットは、
屈曲ガイドは、少なくとも２個の接続可能な板状ガイド
で構成され、その少なくとも２個の板状ガイドの接続位
置を複数段階に調整可能とすることにより、屈曲ガイド
の円弧長さの調整を行うようにしている。このような構
成により、上記円弧長さ調整可能な屈曲ガイドを簡単に
構成することができ、その円弧長さ調整も極めて容易で
ある。

【００１５】請求項６に係るハーネス用グロメットは、
支持部材には屈曲ガイド取付け用の孔部が設けられ、屈
曲ガイドの一端部はその孔部に挿入取付けされ、この取
付け状態で孔部を中心として回転自在とされている。

【００１６】これによって、ハーネス用グロメットの組
立工程の途中で、円弧状の屈曲ガイドの一端を支持部材
に仮取り付けして、更に作業の邪魔にならない方向に回
転させて廻しておき、ハーネスの方向付けを行う工程で
屈曲ガイドの他端を支持部材にて支持させることができ
る。これにより、組立作業性がより容易なものとなる。
また、ハーネス用グロメットを取り付けた後、グロメッ
ト取付部分の捻れにも対応することができ、また、その
捻れをグロメットを廻しながら修正することも可能とな
る。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の具
体的な実施形態の幾つかを詳細に説明する。図１〜図４
は、本発明の第１の実施形態のハーネス用グロメットの
構成を示している。図１は、第１の実施形態のハーネス
用グロメットの最終形態を示している。

【００１８】ここに示すハーネス用グロメット１０は、
ハーネス２５の挿通されたグロメット本体１１、このグ
ロメット本体１１に設けられた屈曲状態維持手段（屈曲
ガイド）としての板金ガイド１９、この板金ガイド１９
をグロメット本体１１に沿って装着するためのガイド支
持部１５を備えており、また、グロメット本体１１には
変形許容手段としての蛇腹部１３を備えている。

【００１９】また、図２は本実施の形態に係るグロメッ
ト本体単品図で、同図（Ａ）は長手方向の側面図、同図
（Ｂ）は左側面図である。すなわち、ゴムなどの弾性体
の材料からなるグロメット本体１１は、一方の端部にボ
ディに取付ける側の大径部１１ａ、中間位置にハーネス
２５の屈曲状態を許容するための蛇腹部１３が設けられ
ている。そして、蛇腹部１３の両サイド部分に、板金ガ
イド１９を支持するためのガイド支持部１５が立設され
ている。このガイド支持部１５には、同図（Ｂ）に示す
ように、板金ガイド１９の端部を挿通するためのガイド
挿通口１５ａが設けられている。そして、板金ガイド１
９は、両端部が挿通口１５ａに挿通されてガイド支持部
１５にて支持されるようになっている。

【００２０】図３は、本実施の形態に係る板金ガイド１
９の単品図で、同図（Ａ）は厚み方向の側面図、同図
（Ｂ）は右側面図、同図（Ｃ）は底面図である。同図
（Ａ）に示すように、板金ガイド１９は、グロメット本
体のサイズ及び配線方向に適合した曲率半径で屈曲され
た、剛性を有する帯板状の金属製屈曲ガイドであり、同
図（Ｂ）及（Ｃ）に示すように、両端部には、それぞ
れ、嵌まり溝２１及びガイド脱落防止突起部２３が設け
られている。そして、嵌まり溝２１が前述のガイド挿通
口１５ａに嵌った状態で、ガイド脱落防止突起部２３で
係止されることにより、板金ガイド１９がグロメット本
体１１に固定される。

【００２１】本実施の形態に係るハーネス用グロメット
の基本的な装着方法は、まず、図４に示したようにグロ
メット本体１１にハーネス２５を挿通した状態とする。
そして、この装着した状態のまま、蛇腹部１３の部分と
共にハーネス２５を所望の角度に屈曲し、次に、その屈
曲状態に適合した屈曲状態の板金ガイド１９をガイド支
持部１５に装着する。この状態が図１に示した状態であ
る。

【００２２】これにより、ハーネス２５の所望の屈曲状
態は蛇腹部１３によって許容され、且つその屈曲状態は
板金ガイド１９の剛性によって安定して維持される。す
なわち、グロメット本体１１の不要な変形は防止され、
ボディ貫通孔に取り付けられたハーネス用グロメットの
シール性も確実に保たれる。

【００２３】また、グロメット本体１１を直線状態にし
てハーネス２５の挿通並びにボディへの取付け作業を行
うことができるので、作業全体も極めて簡易化される。
更に、板金ガイド１９の取付けを、ハーネス２５の挿通
後に行うことにより、グロメット本体１１のハーネス２
５に対するへの組み付け位置精度が改善される。すなわ
ち位置を予め正確に設定してボディへの装着が可能とな
る。

【００２４】次に、本発明の第２の実施形態について説
明する。図５〜図８は本発明の第２の実施形態のハーネ
ス用グロメット本体の構成を示している。本実施の形態
で特徴的なことは屈曲ガイドを樹脂にて形成しているこ
とである。

【００２５】図５は、樹脂製ガイドの単品図で、同図
（Ａ）は厚み方向の側面図、同図（Ｂ）は右側面図、同
図（Ｃ）は底面図である。図６は、グロメット本体単品
図で、同図（Ａ）は長手方向の側面図、同図（Ｂ）は左
側面図である。図７は、グロメット本体１１にハーネス
２５を挿通した状態を示しており、また、図８は第２の
実施形態のハーネス用グロメットの屈曲状態を示し、同
図（Ａ）は横から見た側面図、同図（Ｂ）は左側面図で
ある。

【００２６】なお、第１の実施形態と同様の要素には同
一の符号を付し、その説明を省略する。まず、樹脂製ガ
イド３１（図５）は、弾力性のある帯状の合成樹脂板を
用いて、所望の曲率半径で屈曲して構成している。ま
た、補強のために、中心部の長手方向にガイド補強リブ
３３が設けられ、更に、両端部には、それぞれ、ガイド
係止端３１ａ及びガイドのずれ防止リブ３７が設けられ
ている。

【００２７】一方、図６（Ｂ）に示したように、ガイド
支持部１５のガイド挿通口１５ａは、ガイド係止端３１
ａに対応した扁平形をなし、支持された樹脂製ガイド３
１は回転しない状態となる。また、ガイド挿通口１５ａ
の中央部には、ガイド補強リブ３３の逃げ溝が設けられ
ている。

【００２８】そして、このガイド挿通口１５ａに、樹脂
製ガイド３１のガイド係止端３１ａが挿通され、ガイド
のずれ防止リブ３７で一端が係止されることにより、樹
脂製のガイド３１が２つのガイド支持部１５に支持され
る。このような構成のハーネス用グロメットが所望の角
度に屈曲された状態が図８に示されている。第１の実施
の形態と同様の作用を奏すると共に屈曲ガイドを樹脂に
て形成したことにより、軽量化並びにコストの削減が図
られている。

【００２９】次に、図９〜図１１には第３の実施の形態
が示されている。本実施の形態で特徴的なことは、以下
に説明する屈曲状態維持手段の構成にあり、グロメット
本体単品及びグロメット本体をハーネスに装着した時の
作用等については、第１の実施形態の場合とほぼ同様あ
る。

【００３０】図９は、屈曲状態維持手段としての板金ガ
イド４０の斜視図であり、同図（Ａ）は板金ガイド第１
部材４１、同図（Ｂ）は板金ガイド第１部材４１の部分
Ａ矢視図、同図（Ｃ）は板金ガイド第２部材５３、同図
（Ｄ）は２つの部材４１、５３を長い円弧となるように
連結した状態、同図（Ｅ）は２つの部材４１、５３を短
い円弧となるように連結した状態をそれぞれ示してい
る。

【００３１】図１０は、板金ガイド４０を長い円弧で連
結してグロメット本体１１に装着した状態のハーネス用
グロメット、図１１は板金ガイド４０を短い円弧で連結
してグロメット本体１１に装着した状態のハーネス用グ
ロメットを示している。

【００３２】本実施の形態の特徴は、第１の実施形態で
述べた板金ガイドを２つの部材にて構成し、この２つの
部材の連結位置を変更することにより、板金ガイド４０
の円弧長さを調節可能としたことである。これにより、
１個の板金ガイド４０によるグロメット本体１１の屈曲
状態への対応範囲が広がっている。すなわち、図１０及
び図１１からも理解されるように、ハーネス２５の曲げ
角度がより鋭角にされるときには長い円弧となるように
連結した板金ガイドを、緩やかな角度の場合には短い円
弧となるように連結した板金ガイドが用いられる。

【００３３】板金ガイド４０の具体的な構成は、図９
（Ａ）に示す板金ガイド第１部材４１が、所定の曲率で
円弧状に曲げられて形成され、その一端部には、ガイド
支持部１５のガイド挿通口１５ａに嵌まり合う嵌まり溝
４３とガイド脱落防止突起部４５が形成されている。ま
た、板金ガイド第１部材４１の他端部には、板金ガイド
第２部材５３を挿入できるように、図９（Ｂ）に示した
第２部材受け部４７が形成されている。そして、板金ガ
イド第１部材４１には、長手方向に所定間隔をおいて２
カ所に第２部材係止用穴４９−１、４９−２が設けられ
ている。更に、それぞれの第２部材係止用穴４９−１、
４９−２の近傍位置には、連結時の両部材の固定用穴５
１−１、５１−２が設けられている。

【００３４】図９（Ｃ）に示した板金ガイド第２部材５
３も、板金ガイド第１部材４１の屈曲状態に適合するほ
ぼ同様の湾曲を有しており、板金ガイド第１部材４１の
第２部材受け部４７に挿入されない側の板金ガイド第２
部材５３の端部には、ガイド支持部１５のガイド挿通口
１５ａに嵌まり合う嵌まり溝４３とガイド脱落防止突起
部４６が形成されている。

【００３５】また、板金ガイド第２部材５３の挿入側端
部には、係止鉤部５５が設けられ、この係止鉤部５５に
は、板金ガイド第１部材４１の固定用穴５１にそれぞれ
の連結状態で合致する固定用穴５７が設けられている。
板金ガイド第２部材５３の長手方向両側面には、板金ガ
イド第１部材４１の第２部材受け部４７に対する嵌合状
態を確保するために部分的に幅広部が形成されている。

【００３６】このように形成された板金ガイド第１部材
４１と板金ガイド第２部材５３との連結は、図９（Ｄ）
の長い円弧の場合、板金ガイド第１部材４１が第２部材
受け部４７に挿通された状態で、かつ係止鉤部５５が第
２部材係止用穴４９−１に係止されて連結されている。
そして、それぞれの固定用穴５１−１と５７とで図示い
ていないピンなどの固定部材により固定する。

【００３７】他方、図９（Ｅ）の短い円弧の場合、板金
ガイド第１部材４１が第２部材受け部４７に挿通された
状態で、かつ係止鉤部５５が第２部材係止用穴４９−２
に係止されて連結されている。そして、それぞれの固定
用穴５１−２と５７とで図示いていないピンなどの固定
部材により固定する。

【００３８】また、第２部材係止用穴４９を、３つ以上
設けれることにより、円弧長さの調整をより細かく行う
ことができ、ハーネス２５の方向付けに対してより細か
く対応することができる。

【００３９】次に、図１２〜図１４は本発明第４の実施
の形態に係るハーネス用グロメットの構成を示してい
る。グロメット本体単品及びグロメット本体１１にハー
ネス２５に挿通した状態の図面は、第２の実施形態の場
合と同じであるので省略する。本実施の形態の特徴的な
事項は、第３の実施形態で述べた屈曲状態維持手段を、
樹脂製の２つのガイド部材にて構成し、これに対応して
構成を変えていることである。

【００４０】図１２は、本実施の形態の屈曲状態維持手
段としての樹脂製のガイド６０の斜視図であり、同図
（Ａ）は樹脂製のガイド第１部材６１、同図（Ｂ）は樹
脂製のガイド第１部材６１の部分Ａ矢視図、同図（Ｃ）
は樹脂製のガイド第２部材６９、同図（Ｄ）は長い円弧
の連結状態及び同図（Ｅ）は短い円弧の連結状態をそれ
ぞれ示している。図１３は板金ガイド６０を長い円弧で
連結してグロメット本体１１に装着した状態のハーネス
用グロメット、図１４は板金ガイド６０を短い円弧で連
結してグロメット本体１１に装着した状態のハーネス用
グロメットを示している。

【００４１】本実施の形態における係止鉤部７３、ガイ
ド脱落防止突起部６３及び６４、第２部材係止用穴６７
−１、６７−２、第２部材受け部６５の各部材は、第３
の実施の形態における係止鉤部５５、ガイド脱落防止突
起部４５及び４６、第２部材係止用穴４９−１及び４９
−２、第２部材受け部４７にそれぞれ対応するものであ
り、その作用効果については説明を省略する。

【００４２】図１３及び図１４に示すように、このよう
な構成による長い円弧となるように連結された長尺樹脂
ガイドと短い円弧となるように連結された樹脂ガイドと
を使い分けることによって、１種類の樹脂製の屈曲状態
維持手段で２種類のハーネス方向付けを行うことができ
るし、接続長さをさらに変えれば数種類の方向付けがで
きる。したがって、曲率半径の異なる幾つもの樹脂製の
ガイドを用意しなくてもよく、コスト低減につながる。

【００４３】次に、図１５〜図１９は本発明の第５の実
施の形態を示しており、図１５はグロメット本体単品図
で、同図（Ａ）は長手方向の側面図、同図（Ｂ）は左側
面図、同図（Ｃ）は同図（Ａ）のＣ−Ｃ断面図である。
図１６は樹脂製のガイド単品図で、同図（Ａ）は厚み方
向の側面図、同図（Ｂ）は右側面図、同図（Ｃ）は底面
図である。

【００４４】本実施の形態の特徴的な事項は、第２の実
施形態の樹脂製のガイド３１の片方のガイド係止端の部
分を回転可能な突起状軸部３２として構成し、グロメッ
ト本体１１の一方のガイド支持部１５（グロメット本体
１１の大径部１１ａ側に設けられる支持部）のガイド挿
通口１５ｂに挿入しそれを軸受けとして回動可能となる
ようにしたものである。すなわち、図１６に示した樹脂
製ガイド３１は、一方のガイド係止端３１ｃは、第２の
実施形態の図６と同様に回転不可能に形成されている
が、他方のガイド係止端は突起状軸部３２として形成さ
れている。また、図１５（Ｃ）に示したガイド挿通口１
５ｂの形状もこれに対応して円形とされている。

【００４５】図１７は、組立途中で樹脂製ガイド３１の
一端の突起状軸部３２をガイド挿通口１５ｂ挿入して仮
取付けした図である。更に、図１８は、次の工程でグロ
メット本体１１にハーネス２５を挿通したときの構成
図、図１９は更に所望の屈曲が行われた状態が示されて
いる。

【００４６】本実施の形態によれば、グロメット本体１
１をボディに装着するにあたり、図１８に示したよう
に、樹脂製ガイド３１を端部３１ｃがグロメット本体１
１から離反するように回動させておくことにより、樹脂
製ガイド３１を予め仮止め状態にしたままでグロメット
本体１１の装着作業を行うことができる。そして、図１
９に示すように、ハーネス２５並びにグロメット本体１
１を蛇腹部１３で所望の形状に屈曲し、他方のガイド支
持部１５のガイド挿通口１５ａにガイド係止端３１ｃを
挿通して、樹脂製のガイド３１をガイド支持部１５に固
定する。

【００４７】これにより、装着作業中における樹脂製の
ガイド３１の紛失防止や、グロメットを捩ることによる
グロメット本体１１の取付状態の修正等を行うことがで
きシール性の確保も容易となる。

【００４８】次に、図２０〜図２２には、本発明の第６
の実施の形態が示されている。図２０は本実施形態の屈
曲状態維持手段としての樹脂製ガイドの斜視図であり、
同図（Ａ）は樹脂製のガイド第１部材６１、同図（Ｂ）
は樹脂製のガイド第１部材６１の部分Ａ矢視図、同図
（Ｃ）は樹脂製のガイド第２部材６９、同図（Ｄ）は長
い円弧の連結状態及び同図（Ｅ）は短い円弧の連結状態
をそれぞれ示している。なお、グロメット本体単品図及
びグロメット本体１１にハーネス２５を挿通した状態の
図面は、第５の実施形態の場合と同じであるので省略す
る。

【００４９】本実施の形態は、第４の実施の形態と第５
の実施の形態を合成したものである。すなわち、第４の
実施の形態における樹脂製の屈曲状態維持手段に対し
て、第５の実施の形態における屈曲ガイドの回動機構を
施したものである。

【００５０】したがって、図２０〜図２２は、樹脂製の
ガイド第２部材６９の端部（第４の実施の形態ではガイ
ド脱落防止突起部６４にあたる部分）に突起状軸部８１
を設けたことが特徴であり、その他の部分については第
４、第５の実施の形態と同様であり、その説明を省略す
る。また、突起状軸部８１を設けることによる作用は、
第５の実施の形態における突起条軸部３２を設けた作用
と同様である。

【００５１】なお、本発明は、上記各実施の形態にの構
成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々
の変形が可能である。例えば、屈曲状態維持手段の円弧
長さを変更調節する手段としては屈曲状態維持手段の側
面部に鋸波状の凹凸を設け、一方のガイド支持部のガイ
ド挿通口にも鋸波状の凹凸を設け、双方の係止位置を調
節することによって、ハーネス及び蛇腹部の屈曲状態へ
の対応をより精密に行うようにすることもできる。

【００５２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るハー
ネス用グロメットによれば、グロメット本体に設けられ
た屈曲自在の変形許容部により、グロメット本体に挿通
されたハーネスの方向付けを可能とし、その変形許容部
の屈曲状態は屈曲状態維持手段によって維持される。こ
れにより、ハーネスの方向付けによってもグロメット本
体の無用な変形は防止され、グロメットによる貫通部の
シール性は良好なものとなる。また、グロメット本体の
取付け後におけるハーネスの方向付けが可能であること
から、グロメットの装着作業の容易化も達成されてい
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態に係るハーネス用グ
ロメットの使用時の形状を示す側面図である。

【図２】本発明の第１の実施の形態のグロメット本体単
品図で、同図（Ａ）は正面図、同図（Ｂ）は左側面図で
ある。

【図３】本発明の第１の実施の形態の板金ガイド単品図
で、同図（Ａ）は厚み方向の側面図、同図（Ｂ）は正面
図、同図（Ｃ）は底面図である。

【図４】本発明の第１の実施の形態のグロメット本体に
ハーネスを挿通したときの構成図である。

【図５】本発明の第２の実施の形態の樹脂製のガイド単
品図で、同図（Ａ）は厚み方向の側面図、同図（Ｂ）は
正面図、同図（Ｃ）は底面図である。

【図６】本発明の第２の実施の形態のグロメット本体単
品図で、同図（Ａ）は正面図、同図（Ｂ）は左側面図で
ある。

【図７】本発明の第２の実施の形態のグロメット本体に
ハーネスを挿通したときの構成図である。

【図８】本発明の第２の実施の形態のハーネス用グロメ
ットの使用時の形状を示す側面図であり、同図（Ａ）は
正面図、同図（Ｂ）は左側面図である。

【図９】本発明の第３の実施の形態の屈曲状態維持手段
としての板金ガイドの斜視図であり、同図（Ａ）は板金
ガイド第１部材、同図（Ｂ）は板金ガイド第１部材の部
分Ａ矢視図、同図（Ｃ）は板金ガイド第２部材、同図
（Ｄ）は長い円弧として連結した状態及び同図（Ｅ）は
短い円弧として連結した状態である。

【図１０】本発明の第３の実施の形態で、長い円弧とし
た板金ガイドを用いた時のハーネス用グロメットの屈曲
状態正面図である。

【図１１】本発明の第３の実施の形態で、短い円弧とし
た板金ガイドを用いた時のハーネス用グロメットの屈曲
状態正面図である。

【図１２】本発明の第４の実施の形態の樹脂製のガイド
の斜視図であり、同図（Ａ）は樹脂製のガイド第１部
材、同図（Ｂ）は樹脂製のガイド第１部材の部分Ａ矢視
図、同図（Ｃ）は樹脂製のガイド第２部材、同図（Ｄ）
は長い円弧として連結した状態及び同図（Ｅ）は短い円
弧として連結した状態である。

【図１３】本発明の第４の実施の形態で長い円弧の樹脂
ガイドを用いた時のハーネス用グロメットの屈曲状態正
面図である。

【図１４】本発明の第４の実施の形態で、短い円弧の樹
脂ガイドを用いた時のハーネス用グロメットの屈曲状態
正面図である。

【図１５】本発明の第５の実施の形態のグロメット本体
単品図で、同図（Ａ）は正面図、同図（Ｂ）は左側面
図、同図（Ｃ）は同図（Ａ）のＣ−Ｃ断面図である。

【図１６】本発明の第５の実施の形態の樹脂製のガイド
単品図で、同図（Ａ）は左側面図、同図（Ｂ）は正面
図、同図（Ｃ）は底面図である。

【図１７】本発明の第５の実施の形態の組付け過程にお
ける樹脂製ガイドのグロメット本体への仮取付け態説明
図である。

【図１８】本発明の第５の実施の形態のグロメット本体
にハーネスを装着したときの構成図である。

【図１９】本発明の第５の実施の形態のハーネス用グロ
メットの使用時における屈曲状態正面図である。

【図２０】本発明の第６の実施の形態の屈曲状態維持手
段としての樹脂製のガイドの斜視図であり、同図（Ａ）
は樹脂製のガイド第１部材、同図（Ｂ）は樹脂製のガイ
ド第１部材の部分Ａ矢視図、同図（Ｃ）は樹脂製のガイ
ド第２部材、同図（Ｄ）は長い円弧として連結した状態
及び同図（Ｅ）は短い円弧として連結した状態である。

【図２１】本発明の第６の実施の形態で長い円弧の樹脂
ガイドを用いた時のハーネス用グロメットの屈曲状態正
面図である。

【図２２】本発明の第６の実施の形態で短い円弧の樹脂
ガイドを用いた時のハーネス用グロメットの屈曲状態正
面図である。

【図２３】従来のハーネス用グロメットの実施状態を示
す説明図である。

【符号の説明】

１１ グロメット本体 １３ 蛇腹部 １５ ガイド支持部 １５ａ、１５ｂ ガイド挿通口 １９ 板金ガイド ２５ ハーネス ３１ 樹脂製のガイド ４１ 板金ガイド第１部材 ４７、６５ 第２部材受け部 ４９−１、４９−２、６７−１、６７−２ 第２部材係
止用穴 ５３ 板金ガイド第２部材 ５５ 係止鉤部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハーネスが貫通される部材の当該貫通部
   に取り付けられ、貫通されたハーネスの方向付けと前記
   貫通部のシールを行うハーネス用グロメットにおいて、 前記ハーネスを挿通可能な貫通孔を有し、一部に屈曲自
   在の変形許容手段を有するグロメット本体と、 該グロメット本体に装着可能な構成を有し、その装着状
   態で前記グロメット本体の屈曲状態を維持可能な屈曲状
   態維持手段と、 を備えたことを特徴とするハーネス用グロメット。
2. 【請求項２】 前記変形許容手段は、グロメット本体に
   形成された蛇腹部であり、 前記屈曲状態維持手段は、前記ハーネスの屈曲時の反力
   に抗しうる剛性を有する屈曲ガイドにて構成され、 前記グロメットへの装着は、前記蛇腹部の両端部に設け
   られた支持部材によって支持されて行われることを特徴
   とする請求項１記載のハーネス用グロメット。
3. 【請求項３】 前記屈曲ガイドは、所望の曲率半径で屈
   曲された円弧状の形状を有することを特徴とする請求項
   ２に記載のハーネス用グロメット。
4. 【請求項４】 前記屈曲ガイドは、その円弧長さを調整
   可能に構成されたことを特徴とする請求項３に記載のハ
   ーネス用グロメット。
5. 【請求項５】 前記屈曲ガイドは、少なくとも２個の接
   続可能な板状ガイドで構成され、前記少なくとも２個の
   板状ガイドの接続位置を調整可能とすることにより、前
   記屈曲ガイドの円弧長さの調整を行うようにしたことを
   特徴とする請求項４に記載のハーネス用グロメット。
6. 【請求項６】 前記支持部材には前記屈曲ガイド取付け
   用の孔部が設けられ、前記屈曲ガイドの一端部は前記孔
   部に挿入取付けされ、該取付け状態で前記孔部を中心と
   して回転自在とされていることを特徴とする請求項３乃
   至５に記載のハーネス用グロメット。