JP2000251781A - 画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置

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JP2000251781A
JP2000251781A JP11049198A JP4919899A JP2000251781A JP 2000251781 A JP2000251781 A JP 2000251781A JP 11049198 A JP11049198 A JP 11049198A JP 4919899 A JP4919899 A JP 4919899A JP 2000251781 A JP2000251781 A JP 2000251781A
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Tomoya Onishi
智也 大西
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光体層を有するフェースプレートとフェー
スプレートを保護する前面板とを接着する接着剤をはみ
出しにくくし、接着剤の量を少なくし、更には、温度上
昇時に前面板端部で接着が破壊され難くする。 【解決手段】 ソーダライムガラス製で3mm厚のフェ
イスプレート1007の内面には約20μm厚の蛍光体
層1008と、蛍光体層を覆うように約1000Å厚の
アルミメタルバック層1009が形成されている。フェ
イスプレート1007の外側には接着層1013を用い
て透明前面板1012が接着されている。前面板101
2は、非接着面が平面であり接着面は凸形状な物を用い
た。また前面板1012は厚さ2mmの中心領域101
7と厚さが2mm〜1mmへ連続的に減少している端部
領域1018に分かれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、画像表示装置のフ
ェイスプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】CRTをはじめとする画像表示装置は、
より一層の大型化が求められ研究が盛んに行なわれてい
る。また大型化に伴い装置の薄型化・軽量化・低コスト
化が重要な課題になっている。発明者らは上記の問題を
解決し得る画像表示装置として、表面伝導型電子放出素
子、ならびにこの表面伝導型電子放出素子を用いた画像
表示装置について研究を行なってきた。
【0003】図15は、本発明者が試みた電気的な配線
方法によるマルチ電子ビーム源の概念図である。すなわ
ち、表面伝導型放出素子を2次元的に多数個配列し、こ
れらの素子を図示のように単純マトリクス状に配線した
マルチ電子ビーム源である。
【0004】図中、4001は表面伝導型放出素子を模
式的に示したもの、4002は行方向配線、4003は
列方向配線である。なお、図示の便宜上、6×6のマト
リクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれ
に限ったわけではなく、所望の画像表示を行うのに足り
るだけの素子を配列し配線するものである。
【0005】図16はこのマルチ電子ビーム源を用いた陰
極線管の構造であり、マルチ電子ビーム源4004を備
えた外容器底4005と外容器枠4007と、蛍光体層
4008およびメタルバック4009を備えたフェース
プレート4006からなる構造である。また、フェース
プレート4006のメタルバック4009には高圧導入
端子4011を通じて高圧電源4010により高圧が印
加されている。
【0006】表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビーム
を出力させるため、行方向配線4002および列方向配
線4003に適宜の電気信号を印加する。たとえば、マ
トリクスの中の任意の1行の表面伝導型放出素子を駆動
するには、選択する行の行方向配線4002には選択電
圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線400
2には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列
方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動電
圧Veを印加する。この方法によれば、選択する行の表
面伝導型放出素子には、Ve−Vsの電圧が印加され、
また非選択行の表面伝導型放出素子にはVe−Vnsの
電圧が印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜の大きさ
の電圧にすれば選択する行の表面伝導型放出素子だけか
ら所望の強度の電子ビームが出力され、また列方向配線
の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行
の素子の各々から異なる強度の電子ビームが出力され
る。また、表面伝導型放出素子の応答速度は高速である
ため、駆動電圧Veを印加する時間の長さを変えれば、
電子ビームが出力される時間の長さも変えることができ
る。
【0007】上記のような電圧印加によりマルチ電子ビ
ーム源4004から出力された電子ビームは、高圧印加
されているメタルバック4009に照射され、ターゲッ
トである蛍光体を励起して発光させる。したがって、た
とえば画像情報に応じた電圧記号を適宜印加すれば、画
像表示装置となる。
【0008】上記画像表示装置はガラス真空容器中にマ
ルチ電子ビーム源および蛍光体層などが形成されてお
り、またその他の画像表示装置においても画面を表示す
る部分にガラス部材を用い、更に、このガラス部材の全
面に、透明な樹脂板や強化ガラスの前面板を設ける。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記透明樹脂
板等をフェイスプレートであるガラス部材に接着する時
には、接着層に気泡が混入することを防ぐ為に、接着剤
は必要最低限よりも多めに用いなければならない。一方
余分な接着剤がはみ出すと、そこにゴミや埃が付着する
ことが問題になる。
【0010】またガラスフェイスプレートと前面板の材
質が異なると、その熱膨張係数も異なる為、温度上昇時
に膨張熱の差が生じ、それにより特に端部に応力が生じ
る。この応力を吸収するためには、接着層の膜厚を厚く
する必要が有るが、接着領域すべてで接着層を厚く作製
すると多量な接着剤を必要とし、コストが増大する。
【0011】そこで、本発明は、接着剤をはみ出しにく
くし、接着剤の量を少なくし、更には、温度上昇時に前
面板端部で接着が破壊され難くすることを課題としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明は、ガラスフェイスプレートの前面に接着剤
を用いて透明な前面板を接着する構造において、前面板
の接着側は凸形状である。
【0013】すなわち、本発明においては、前面板は中
央部より端部の方が薄くなっており、画像表示領域を覆
った接着剤の過剰な分量は端部の前面板が薄くなってい
る部分にとどめて、接着剤をはみ出しにくくしている。
また、温度上昇によりフェイスプレートと前面板の熱膨
張の差が生じた際に、最も応力が大きくなる前面板端部
で接着層を厚くして、応力を吸収する。また端部に比べ
熱応力が小さい中心部では、接着層を薄くして、使用す
る接着剤の量を減少させる。また接着層と前面板の厚さ
の合計は前面板接着領域でほぼ一定として、光学的な悪
影響がなくしている。
【0014】また、上記前面板の中心部は厚さaで一定
であり平面である為、中心部の領域で前面板および接着
層の厚さを高い均一性で作製するのに適しており、また
厚さaの中心領域を画像表示領域より大きくすることに
より、2つの領域の境界面が観察者から見えることもな
く、画像の劣化はおこらない。
【0015】また、前面板が一定の厚さaの中心領域
と、厚さがaからbへ連続的に変化している端部に分け
られa>bである為に、2つの領域の境界が光学的に問
題とはならない。
【0016】また、上記の前面板端部を少なくとも接着
の際に特に接着剤のはみ出し易い長辺側に設けて、接着
剤のはみ出しを軽減している。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について説明する。
【0018】[実施形態1]図1は、本発明の画像表示
装置の前面板とフェイスプレートの接着状態を示す断面
図である。
【0019】ソーダライムガラス製で3mm厚のフェイ
スプレート1007の内面には約20μm厚の蛍光体層
1008が形成され、更に蛍光体層を覆うように約10
00Å厚のアルミメタルバック層1009が形成されて
いる。高圧導入端子1021はアルミメタルバック10
09に接続され、高圧電源1020と接続され高圧電
位、本実施形態では10kVが印加される。
【0020】フェイスプレート1007の外側には接着
層1013を用いて透明前面板1012が接着されてい
る。前面板1012は、非接着面が平面でなければ画像
が歪んで見えるため非接着面は平面とし、接着面は凸形
状のものを用いた。
【0021】図2に示すように、前面板1012は厚さ
2mmの中心領域1015と厚さ1mmの端部領域10
16に分かれており、中心領域1015は画像表示領域
を覆っており、またその境界線は筐体1014に隠れる
ように設計した。端部1016は前面板が薄くなってい
る為、過剰な接着剤をとどめることができ、同時に端部
1016の接着層が厚くなる為に、温度変化時にフェイ
スプレートと前面板の熱膨張の差により発生する応力の
うち、もっとも影響が大きい端部1016での応力を吸
収できる。また熱により発生する応力が弱い中央部10
15は接着層1013を薄くすることにより、接着剤の
必要量を減じることができる。
【0022】なお本実施形態では前面板1012の材質
として、絶縁性・難燃性・光透過性を考慮しポリカーボ
ネートを用いた。
【0023】接着層1013に用いる接着剤としては、
弾性に富んでおり、屈折率が1.4〜1.6でガラスお
よび前面板に近いことが望まれる。本実施形態では東レ
・ダウコーニング・シリコーン株式会社の熱硬化シリコ
ン接着剤SE1740を用い、80℃30分以上で硬化
した。本実施形態では熱硬化シリコン接着剤を用いた
が、もちろんこれに限定されるものではなく、たとえば
光硬化性の接着剤を用いてもよい。
【0024】また、画像表示領域内の接着層1013の
厚さが均一でなければ、前面板1012と接着層101
3の合計の厚さが不均一になり、表面画像が歪むなどの
問題が生じる為、あらかじめ接着剤にスペーサを混入す
ることにより、画像表示領域の接着層1013の厚さの
均一化を実現する。スペーサとしては屈折率が接着剤と
近いことが要求される。本実施形態ではスペーサとし
て、粒径が50〜200μmの球形のガラススペーサを
用いたが、もちろんこれに限定されるものではなく、た
とえば樹脂製のスペーサで屈折率が1.4〜1.6のも
のを用いてもよい。
【0025】以上のようにフェイスプレート1007に
前面板1012を接着した結果、接着剤のはみ出しが減
少した。また接着に必要となる接着剤の量も、平板の前
面板を接着する際と比較し大幅に減少した。作製したパ
ネルで−20〜70℃の温度環境試験を行なった結果、
接着層1013の剥離や、パネルの変形・破壊は確認さ
れず、光学特性にも変化はなかった。
【0026】[実施形態2]図3は、本発明の第2の実
施形態を説明するためのフェースプレートと前面板との
接着状態を示した断面図である。
【0027】ソーダライムガラス製で3mm厚のフェイ
スプレート1007の内面には約20μm厚の蛍光体層
1008が形成され、更に蛍光体層を覆うように約10
00Å厚のアルミメタルバック層1009が形成されて
いる。高圧導入端子1021はアルミメタルバック10
09に接続され、高圧電源1020と接続され高圧電
位、本実施形態では10kVが印加される。
【0028】フェイスプレート1007の外側には接着
層1013を用いて透明前面板1012が接着されてい
る。前面板1012は、実施形態1と同様に非接着面が
平面であり接着面は凸形状な物を用いた。また前面板1
012は厚さ2mmの中心領域1017と厚さが2mm
〜1mmへ連続的に減少している端部領域1018に分
かれている。端部領域1018は前面板が端に近付くに
つれ薄くなっている為、過剰な接着剤をとどめることが
でき、同時に端部領域1018の接着層が厚くなる為
に、温度変化時にフェイスプレートと前面板の熱膨張の
差により発生する応力のうち、もっとも影響が大きい端
部領域1018での応力を吸収できる。また端部領域の
前面板の厚さは連続的に変わっている為、2つの領域の
境界面や端部領域での厚さの変化によって光学特性に悪
影響を及ぼすことはない。また熱により発生する応力が
弱い中央部1017は接着層1013を薄くすることに
より、接着剤の必要量を減じることができる。なお本実
施形態では前面板1012の材質として、絶縁性・難燃
性・光透過性を考慮しポリカーボネートを用いた。
【0029】接着層1013に用いる接着剤としては、
弾性に富んでおり、屈折率が1.4〜1.6でガラスお
よび前面板に近いことが望まれる。本実施形態では接着
剤として実施形態1と同様の東レ・ダウコーニング・シ
リコーン株式会社の熱硬化シリコン接着剤SE1740
を用い、80℃30分以上で硬化した。本実施形態では
熱硬化シリコン接着剤を用いたが、もちろんこれに限定
されるものではなく、たとえば光硬化性の接着剤を用い
てもよい。
【0030】また、画像表示領域内において前面板10
12と接着層1013の合計の厚さが不均一であると、
表示画像が歪むなどの問題が生じる為、前面板1012
において接着面が平面である中央部1017において接
着層の厚さを制御することにより、画像表示領域全体の
前面板1012と接着層1013の合計の厚さを均一化
する。そのため接着剤中にはあらかじめスペーサを混入
することとし、中央部1017において接着層1013
の厚さの均一化を実現する。本実施形態ではスペーサと
して、粒径が50〜200μmの球形のガラススペーサ
を用いたが、もちろんこれに限定されるものではなく、
たとえば樹脂製のスペーサで屈折率が1.4〜1.6の
ものを用いてもよい。
【0031】以上のように、フェイスプレート1007
に前面板1012を接着した結果、接着剤のはみ出しが
減少した。また接着に必要となる接着剤の量も、平板の
前面板を接着する際と比較し大幅に減少した。作製した
パネルで−20〜70℃の温度環境試験を行なった結
果、接着層1013の剥離や、パネルの変形・破壊は確
認されず、光学特性にも変化はなかった。
【0032】なお前記実施形態では、前面板1012と
してポリカーボネートを用いたが、もちろんこれに限定
されるものではなく、アクリル、ポリプロピレン(P
P)、ポリエチレンテレフタラート(PET)などの樹
脂板を用いてもよい。また前面板1012に透過率制限
の機能を持たせ、蛍光体表面まで達する室内光等の外部
からの光の強度を減少させ、表示される画像のコントラ
ストを改善することもできる。
【0033】次に、本発明の前面板を備えた画像表示装
置の表示パネルの構成と製造法について、具体的に説明
する。
【0034】図4は、表示パネルの斜視図であり、内部
構造を示すためにパネルの1部を切り欠いて示してい
る。図中、1005は外容器底(なおリアプレートと標
記する場合もある)、1006は側壁、1007はフェ
ースプレートであり、1005〜1007により表示パ
ネルの内部を真空に維持するための気密容器を形成して
いる。
【0035】気密容器を組み立てるにあたっては、各部
材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため封着
する必要があるが、たとえばフリットガラスを接合部に
塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏400〜
500度で10分以上焼成することにより封着を達成し
た。気密容器内部を真空に排気する方法については後述
する。
【0036】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には表面伝導型放出素子
1002がN×M個形成されている。(N,Mは2以上
の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜
設定される。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目
的とした表示装置においては、N=3000,M=10
00以上の数を設定することが望ましい。本実施形態に
おいては、N=3072,M=1024とした。)前記
N×M個の表面伝導型放出素子は、M本の行方向配線1
003とN本の列方向配線1004により単純マトリク
ス配線されている。前記、1001〜1004によって
構成される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、マ
ルチ電子ビーム源の製造方法や構造については、後で詳
しく述べる。
【0037】本実施形態においては、気密容器のリアプ
レート1005にマルチ電子ビーム源の基板1001を
固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板10
01が十分な強度を有するものである場合には、気密容
器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板10
01自体を用いてもよい。
【0038】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施形態はカ
ラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはC
RTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体
が塗り分けられている。
【0039】図5(a)に示すように、各色の蛍光体
は、ストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプ
の間には黒色の導電体1010が設けてある。黒色の導
電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置の
多少のずれがあっても表示色にずれが生じないようにす
ることや、外光の反射を防止して表示コントラストの低
下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光膜のチャージアッ
プを防止することなどである。黒色の導電体1010に
は、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適する
ものであればこれ以外の材料を用いても良い。
【0040】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図5(A)に示したストライプ状の配列に限られるもの
ではない。
【0041】図5(b)に示すようなデルタ状配列や、
それ以外の配列であってもよい。
【0042】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。
【0043】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させることや、負イオンの衝突から蛍光膜10
08を保護することや、電子ビーム加速電圧を印加する
ための電極として作用させることや、蛍光膜1008を
励起した電子の導電路として作用させることなどであ
る。メタルバック1009は、蛍光膜1008をフェー
スプレート基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を
平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により
形成した。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材
料を用いた場合には、メタルバック1009は用いな
い。
【0044】また、本実施形態では用いなかったが、加
速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フ
ェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0045】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよび
Hvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的
に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子であ
る。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配線10
03と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方向配線
1004と、Hvはフェースプレートのメタルバック1
009と電気的に接続している。
【0046】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[T
orr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、たと
えばBaを主成分とするゲッター材料をヒーターもしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
該ゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10マ
イナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr]
の真空度に維持される。
【0047】以上、本発明実施形態の表示パネルの基本
構成と製法を説明した。
【0048】次に、前記実施形態の表示パネルに用いた
マルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発
明の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、表面
伝導型放出素子を単純マトリクス配線した電子源であれ
ば、表面伝導型放出素子の材料や形状あるいは製法に制
限はない。しかしながら、発明者らは、表面伝導型放出
素子の中では、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子
膜から形成したものが電子放出特性に優れ、しかも製造
が容易に行えることを見いだしている。したがって、高
輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用
いるには、最も好適であると言える。そこで、上記実施
形態の表示パネルにおいては、電子放出部もしくはその
周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用
いた。そこで、まず好適な表面伝導型放出素子について
基本的な構成と製法および特性を説明し、その後で多数
の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の
構造について述べる。
【0049】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0050】(平面型の表面伝導型放出素子)図6は、
平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明するための平
面図(a)および断面図(b)である。図中、1101
は基板、1102と1103は素子電極、1104は導
電性薄膜、1105は通電フォーミング処理により形成
した電子放出部、1113は通電活性化処理により形成
した薄膜である。
【0051】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0052】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn2 3 −SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ
ー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえ
ば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0053】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選ん
で設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好
ましいのは数マイクロメーターより数十マイクロメータ
ーの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、
通常は数百オングストロームから数マイクロメーターの
範囲から適当な装置が選ばれる。
【0054】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0055】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。具体的には、
数オングストロームから数千オングストロームの範囲の
なかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングス
トロームから500オングストロームの間である。
【0056】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,S
nO2 ,In2 3 ,PbO,Sb2 3 ,などをはじ
めとする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6,Ce
6 ,Yb4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼化物
や、TiC,ZrC,Hfc,TaC,SiC,WC,
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,Hf
N,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などを
はじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、こ
れらの中から適宜選択される。
【0057】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0058】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図6(b)においては、下
から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0059】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図6(a)(b)においては模式的に示した。
【0060】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0061】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[オングストロ
ーム]以下とするが、300[オングストローム]以下
とするのがさらに好ましい。
【0062】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図6においては模式的
に示した。また、平面図である図6(a)においては、
薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0063】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施形態においては以下のような素子を用いた。
【0064】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。
【0065】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0066】図7(a)〜(d)は、表面伝導型放出素
子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記
は前記図6と同一である。
【0067】1)まず、図7(a)に示すように、基板
1101上に素子電極1102および1103を形成す
る。
【0068】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる。(堆積する方法として
は、たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術
を用いればよい。)その後、堆積した電極材料を、フォ
トリソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニン
グし、(a)に示した一対の素子電極(1102と11
03)を形成する。
【0069】2)次に、同図(b)に示すように、導電
性薄膜1104を形成する。
【0070】形成するにあたっては、まず前記(a)の
基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッ
チングにより所定の形状にパターニングする。ここで、
有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を
主要元素とする有機金属化合物の溶液である。(具体的
には、本実施形態では主要元素としてPdを用いた。ま
た、実施形態では塗布方法として、ディッピング法を用
いたが、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法
を用いてもよい。)また、微粒子膜で作られる導電性薄
膜の成膜方法としては、本実施形態で用いた有機金属溶
液の塗布による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパ
ッタ法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合も
ある。
【0071】3)次に、同図(c)に示すように、フォ
ーミング用電源1110から素子電極1102と110
3の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を
行って、電子放出部1105を形成する。
【0072】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0073】図8には、フォーミング用電源1110か
ら印加する適宜の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作
られた導電性薄膜をフォーミングする場合には、パルス
状の電圧が好ましく、本実施形態の場合には同図に示し
たようにパルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2
で連続的に印加した。その際には、三角波パルスの波高
値Vpfを、順次昇圧した。また、電子放出部1105
の形成状況をモニターするためのモニターパルスPmを
適宜の間隔で三角波パルスの間に挿入し、その際に流れ
る電流を電流計1111で計測した。
【0074】実施形態においては、たとえば10のマイ
ナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、た
とえばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を
10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに
0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス
印加するたびに1回の割りで、モニターパルスPmを挿
入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがない
ように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に
設定した。そして、素子電極1102と1103の間の
電気抵抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、す
なわちモニターパルス印加時に電流計1111で計測さ
れる電流が1×10のマイナス7乗[A]以下になった
段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0075】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微
粒子膜の材料や薄膜、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0076】4)次に、図7の(d)に示すように、活
性化用電源1112から素子電極1102と1103の
間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電
子放出特性の改善を行う。
【0077】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである。(図においては、炭
素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113と
して模式的に示した。)なお、通電活性化処理を行うこ
とにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放
出電流を典型的には100倍以上に増加させることがで
きる。
【0078】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中
で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰
囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、の
いずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500
[オングストローム]以下、より好ましくは300[オ
ングストローム]以下である。
【0079】図9(a)には、活性化用電源1112か
ら印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実施形態に
おいては、一定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活
性化処理を行ったが、具体的には、矩形波の電圧Vac
は14[V]、パルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間
隔T4は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件
は、本実施形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい
条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合
には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0080】図7の(d)に示す1114は該表面伝導
型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するため
のアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流
計1116が接続されている。(なお、基板1101
を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う
場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114
として用いる。)活性化用電源1112から電圧を印加
する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電
活性化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源11
12の動作を制御する。電流計1116で計測された放
出電流Ieの一例を図9(b)に示すが、活性化電源1
112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過
とともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほ
とんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほ
ぼ飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加
を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0081】なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0082】以上のようにして、図7(e)に示す平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0083】(垂直型の表面伝導型放出素子)次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0084】図10は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜、である。
【0085】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。し
たがって、前記図6の平面型における素子電極間隔L
は、垂直型においては段差形成部材1206の段差高L
sとして設定される。なお、基板1201、素子電極1
202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1
204、については、前記平面型の説明中に列挙した材
料を同様に用いることが可能である。また、段差形成部
材1206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶
縁性の材料を用いる。
【0086】図11の(a)〜(f)は、垂直型の表面
伝導型放出素子の製造工程図である。各部材の表記は前
記図10と同一である。
【0087】1)まず、図11(a)に示すように、基
板1201上に素子電極1203を形成する。
【0088】2)次に、同図(b)に示すように、段差
形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0089】3)次に、同図(c)に示すように、絶縁
層の上に素子電極1202を形成する。
【0090】4)次に、同図(d)に示すように、絶縁
層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0091】5)次に、同図(e)に示すように、微粒
子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成する
には、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0092】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図
7(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング処
理と同様の処理を行えばよい。)。
【0093】7)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積させる(図7(d)を用いて説明した平
面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい。)。
【0094】以上のようにして、図11(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0095】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0096】図12に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0097】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0098】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0099】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0100】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0101】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0102】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0103】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0104】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0105】図13は、前記図4の表示パネルに用いた
マルチ電子ビーム源の平面図である。基板上には、前記
図6で示したものと同様な表面伝導型放出素子が配列さ
れ、これらの素子は行方向配線電極1003と列方向配
線電極1004により単純マトリクス状に配線されてい
る。行方向配線電極1003と列方向配線電極1004
の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成
されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0106】図14は、図13のA−A′に沿った断面図
である。
【0107】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配
線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1003および列方向配線電極1004
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0108】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、画像表示
装置においてフェイスプレートに前面板を接着する際
に、接着剤のはみ出しを減少させることができ、また使
用する接着剤の量も減少させることができる。また端部
の接着層を厚くすることによって、温度変化により発生
する熱応力のうちもっとも影響が大きい端部での応力を
吸収することができる。また作製したパネルは、前面板
形状の変化などが視認されることにより画像が劣化する
といったことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の画像表示装置を示す模式的
断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の画像表示パネルのフ
ェイスプレートおよび接着層および前面板を示す断面図
である。
【図3】本発明の第2の実施形態の画像表示パネルのフ
ェイスプレートおよび接着層および前面板を示す断面図
である。
【図4】本発明の実施形態の画像表示装置の、表示パネ
ルの一部分を切り欠いて示した斜視図である。
【図5】表示パネルのフェイスプレートの蛍光体配列を
例示した平面図である。
【図6】実施形態で用いた平面型の表面伝導型放出素子
の平面図(a)、断面図(b)である。
【図7】平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す
断面図である。
【図8】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を示
す図である。
【図9】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)、放
出電流Ieの変化(b)を示す図である。
【図10】実施形態で用いた垂直型の表面伝導型放出素
子の断面図である。
【図11】垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示
す断面図である。
【図12】実施形態で用いた表面伝導型放出素子の典型
的な特性を示すグラフである。
【図13】実施形態で用いたマルチ電子ビーム源の基板
の平面図である。
【図14】実施形態で用いたマルチ電子ビーム源の基板
の一部断面図である。
【図15】表面伝導型放出素子をマトリクス配線接続し
た図である。
【図16】従来の画像表示装置の表示パネルの一部を切
り欠いて示した斜視図である。
【符号の説明】
1001 リアプレート 1002 電子ビーム源 1007 フェイスプレート 1008 蛍光体膜 1009 メタルバック 1012 前面板 1013 接着層 1015 実施形態1における前面板中央領域 1016 実施形態1における前面板端部領域 1017 実施形態2における前面板中央領域 1018 実施形態2における前面板端部領域 1020 高圧電源 4001 リアプレート 4006 フェイスプレート 4008 蛍光体膜 4009 メタルバック 4010 高圧電源 4011 高圧引き出し線

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスフェースプレートの前面に接着す
    る前面板の接着面側を凸形状とすることを特徴とする画
    像表示装置。
  2. 【請求項2】 前記前面板は、厚さaの中心部と厚さb
    の端部とを含み、 a>bとし、 中心部を画像表示領域よりも大きくすることを特徴とす
    る請求項1記載の画像表示装置。
  3. 【請求項3】 前記前面板は、一定の厚さaの中心部
    と、厚さがaからbへと連続的に変化している端部とを
    含み、 a>bとし、 中心部を画像表示領域よりも大きくするすることを特徴
    とする請求項1記載の画像表示装置。
  4. 【請求項4】 前記端部を、前記画像表示領域の長辺側
    に設けることを特徴とする請求項2、3のいずれか一つ
    にに記載された画像表示装置。
  5. 【請求項5】 前記前面板は樹脂板であることを特徴と
    する請求項1記載の画像表示装置。
  6. 【請求項6】 前記前面板は前記ガラスフェースプレー
    トの前記前面に到達する外部からの光を制限して前記画
    像表示領域に表示される画像のコントラストを増加させ
    ることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか一つに記載さ
    れた前面板を設けたフェイスプレートを用いることを特
    徴とする陰極線管。
  8. 【請求項8】 前記陰極線管の電子放出源は、表面伝導
    型電子放出素子であることを特徴とする請求項7記載の
    陰極線管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002298822A (ja) * 2001-03-29 2002-10-11 Toshiba Battery Co Ltd 電池間の接続部材とそれを用いた電池間の接続構造
JP2016189436A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 シャープ株式会社 電子機器

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