JPH10326580A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH10326580A
JPH10326580A JP7200898A JP7200898A JPH10326580A JP H10326580 A JPH10326580 A JP H10326580A JP 7200898 A JP7200898 A JP 7200898A JP 7200898 A JP7200898 A JP 7200898A JP H10326580 A JPH10326580 A JP H10326580A
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JP
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image forming
voltage
forming apparatus
electron
container
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JP7200898A
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Yasuyuki Todokoro
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像表示装置などの画像形成装置において、
画像形成面側(フェースプレート側)での光透過性の経
時的な低下を抑制することにより、画質の経時劣化を防
止する。 【解決手段】 容器と、該容器内に配置され、電圧Va
が印加される部材1009を有する画像形成手段とを備
える画像形成装置において、前記電圧Vaが印加される
部材1009がその内面に配置された、該容器を構成す
る部材1006の外面に、前記電圧Vaと同程度の電圧
を印加する手段1014を備えることを特徴とする画像
形成装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像表示装置等の
画像形成装置に関する発明であり、とりわけそのフェー
スプレート構成に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】CRTを始めとする陰極線管による画像
表示装置は、より大画面化が盛んに検討されている。そ
れに伴い薄型化、軽量化、低コスト化が重要な課題とな
っている。
【0003】これら課題に対して、発明者らは、さまざ
まな材料、製法、構造の表面伝導型放出素子を多数配列
したマルチ電子ビーム源、ならびにこのマルチ電子ビー
ム源を応用した画像表示装置について研究を行ってき
た。
【0004】発明者らは、たとえば図16に示す電気的
な配線方法によるマルチ電子ビーム源の応用を試みてき
た。すなわち、表面伝導型放出素子を2次元的に多数個
配列し、これらの素子を図示のように単純マトリクス状
に配線したマルチ電子ビーム源である。
【0005】図中、4001は表面伝導型放出素子を模
式的に示したもの、4003は行方向配線、4002は
列方向配線である。なお、図示の便宜上、6×6のマト
リクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれ
に限ったわけではなく、所望の画像表示を行うのに足り
るだけの素子を配列し配線するものである。
【0006】図17は、このマルチ電子ビーム源を用い
た陰極線管の構造であり、マルチ電子ビーム源4004
を備えた外容器底4005と外容器枠4007と、蛍光
体層4008およびメタルバック4009を備えたフェ
ースプレート4006からなる構造である。また、フェ
ースプレート4006のメタルバック4009には高圧
導入端子4011を通じて高圧電源4010により高圧
が印加されている。
【0007】表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビーム
を出力させるため、行方向配線4003および列方向配
線4002に適宜の電気信号を印加する。たとえば、マ
トリクス中の任意の1行の表面伝導型放出素子を駆動す
るには、選択する行の行方向配線4003は選択電圧V
sを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4003に
は非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列方向
配線4002に電子ビームを出力するための駆動電圧V
eを印加する。この方法によれば、選択する行の表面伝
導型放出素子には、Ve−Vsの電圧が印加され、また
非選択行の表面伝導型放出素子にはVe−Vnsの電圧
が印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜の大きさの電
圧にすれば選択する行の表面伝導型放出素子だけから所
望の電子ビームが出力され、また列方向配線の各々に異
なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の素子の各
々から異なる強度の電子ビームが出力される。また、表
面伝導型放出素子の応答速度は高速であるため、駆動電
圧Veを印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが
出力される時間の長さも変えることができる。
【0008】上記のような電圧印加によりマルチ電子ビ
ーム源4004から出力された電子ビームは、高圧印加
されているメタルバック4009に照射され、ターゲッ
トである蛍光体を励起して発光させる。したがって、た
とえば画像情報に応じた電圧信号を適宜印加すれば、画
像表示装置となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の画像表示装置に
おいては、フェースプレート4006、外容器底400
5、外容器枠4007は画像表示装置のコスト、外容器
の組み立て易さ等から、青板ガラス(あるいはソーダラ
イムガラスと標記する)が好ましく用いられる。
【0010】上記のように、フェースプレート4006
の内面に高圧が印加されると、装置周囲のGND電位と
の間で作られる電界によりフェースプレート内面から外
表面に向かって微少な電流が流れる。これはフェースプ
レート4006の青板ガラス内のNaが陽イオン化して
移動することによる電流である。Na陽イオンが移動し
てフェースプレート4006外表面に達すると、Na陽
イオンの析出によりガラス表面の形状が変化して粗面と
なる、あるいは析出したNa陽イオンが空気中の水分等
と反応して水酸化物に変化し表面が白濁するなどの現象
が起り、光透過率が劣化したりコントラストが劣化する
など、画質が著しく低下することになる。またNa移動
により絶縁耐圧が劣化するといった問題が生じる。
【0011】またフェースプレート4006の外表面電
位が上昇し、塵埃の付着により画質が低下したり、外表
面電位の影響で、内表面電位が変化して画質が劣化す
る、あるいは近づいた観察者に放電するなどの問題も生
じる。
【0012】これに対して、図18に示すように、フェ
ースプレート4006表面に透明な帯電防止膜4012
を形成し、この帯電防止膜を接地することによりフェー
スプレート表面電位の上昇を無くし、上記問題が発生し
ないようにする手段がある。
【0013】しかし、図18のようにガラスフェースプ
レート4006表面に帯電防止膜4012を形成してそ
の電位を接地電位とすると、フェースプレート裏面の陰
極線ターゲットすなわちメタルバック4009に高圧V
aを印加した際、フェースプレートの表裏間に高圧Va
が印加されることになる。ここでガラスフェースプレー
トがNaを多量に含む青板ガラスであると、上述の帯電
防止膜4012を設けない例と同様に、長期間高圧Va
が印加された場合、ガラス内部のNa陽イオンが移動し
て接地電極側、すなわち帯電防止膜4012側に析出す
ることになる。
【0014】これを避けるためには、フェースプレート
のガラスを数センチメートルの厚さとして電界強度を低
減してNaの移動速度を下げるか、Na含有量の非常に
少ないガラスを用いる必要があった。しかし前者では軽
量化が非常に困難となり、後者では低コスト化が非常に
困難となる。
【0015】また後述するように、ガラスと比較して比
重の軽い樹脂製の保護板をガラスフェースプレートに装
荷してガラスフェースプレートへの印加電圧を低減する
方法もある。
【0016】[発明の目的]本発明は、画像表示装置な
どの画像形成装置における、画質の経時劣化を抑制する
ことを目的とする。
【0017】また、本発明は、上記画像形成装置におい
て、とりわけ、その画像形成面側(フェースプレート
側)での光透過性の経時的な低下を抑制することを目的
とする。
【0018】また、本発明は、軽量化、低コスト化を可
能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、上記課
題を解決するための手段として、容器と、該容器内に配
置され、電圧Vaが印加される部材を有する画像形成手
段とを備える画像形成装置において、前記電圧Vaが印
加される部材がその内面に配置された、該容器を構成す
る部材の外面に、前記電圧Vaと同程度の電圧を印加す
る手段を備えることを特徴とする画像形成装置を有す
る。
【0020】また、前記容器を構成する部材は、光透過
性の部材である画像形成装置でもある。
【0021】また、前記容器を構成する部材は、Naを
含有するガラスである画像形成装置でもある。
【0022】また、前記容器を構成する部材の該内面と
該外面との間での電界強度が、10V/mm以下である
画像形成装置でもある。
【0023】また、前記容器を構成する部材の該内面と
該外面との間での電位差が、0Vである画像形成装置で
もある。
【0024】また、前記電圧Vaと同程度の電圧を印加
する手段は、前記容器を構成する部材の外面を被覆した
導電層を有する画像形成装置でもある。
【0025】また、前記導電層及び前記容器を構成する
部材は、いずれも光透過性の部材である画像形成装置で
もある。
【0026】また、前記導電層は、前記電圧Vaと同程
度の電圧を発生する電源と抵抗体を介して接続されてい
る画像形成装置でもある。
【0027】また、前記導電層は、その表面を被覆した
絶縁層を有する画像形成装置でもある。
【0028】また、前記絶縁層、前記導電層及び前記容
器を構成する部材は、いずれも光透過性の部材である画
像形成装置でもある。
【0029】また、前記絶縁層は、その表面を被覆した
導電性膜を有する画像形成装置でもある。
【0030】また、前記導電性膜、前記絶縁層、前記導
電層及び前記容器を構成する部材は、いずれも光透過性
の部材である画像形成装置でもある。
【0031】また、前記導電性膜は、接地されている画
像形成装置でもある。
【0032】また、前記導電性膜は、102 Ω/口〜1
3 Ω/口の範囲内の抵抗を有する画像形成装置でもあ
る。
【0033】また、前記電圧Vaが印加される部材は、
画像形成部材である画像形成装置でもある。
【0034】また、前記画像形成部材は、蛍光体と電極
とを有する画像形成装置でもある。
【0035】また、前記画像形成部材は、蛍光体とメタ
ルバックとを有する画像形成装置でもある。
【0036】また、前記画像形成手段は、前記画像形成
部材及び電子源を有する画像形成装置でもある。
【0037】また、前記電子源は、配線で結線された複
数の電子放出素子を有する画像形成装置でもある。
【0038】また、前記電子源は、複数の電子放出素子
が、複数の行方向配線及び複数の列方向配線にてマトリ
クス状に結線された電子源である画像形成装置でもあ
る。
【0039】また、前記電子放出素子は、冷陰極型の電
子放出素子である画像形成装置でもある。
【0040】また、前記冷陰極型の電子放出素子は、表
面伝導型電子放出素子である画像形成装置でもある。本
発明は、上述した従来技術に関する以下の知見に鑑みな
された発明である。即ち、 (1)まず、例えば3mm厚の60℃に加熱した青板ガ
ラスの両面に10kVを100時間印加した場合(室温
の数千時間相当)、光透過率は平均で初期の約60%に
低下してしまう。これをESCAおよびXPSで表面分
析したところNa炭酸塩が主な析出物と判断された。
【0041】Na反応生成物による透過率の劣化は電圧
が印加されている面全体で均一に劣化するのではなく、
むらになって劣化する。平均で約10%も劣化すると、
このむらは顕著になり、上述したような従来の画像表示
装置等においては、表示画質は著しく劣化する。よって
透過率の劣化は10%以下が望まれる。
【0042】3mm厚の青板ガラスに室温で約300時
間10kV印加すると光透過率は約10%劣化する。N
aの析出量は印加電圧にほぼ比例するので、これは10
0Vでも3mm厚の青板の両面に印加されると、約3万
時間後にはNa析出物のために画質が著しく劣化するこ
とを意味する。 (2)また、図19(a)のように、ガラスと比較して
比重の軽い樹脂製の保護板4013をガラスフェースプ
レート4006に装荷してガラスフェースプレートへの
印加電圧を低減する方法があるが、(なお図では便宜上
蛍光体層は省略してある。)ガラスフェースプレートと
保護板の抵抗値、容量をRg,Rp,Cg,Cpとする
と、この構造の等価回路は図19(b)に示したように
なる。
【0043】図19(b)で示した等価回路は保護板4
013とガラスフェースプレート4006間は電気的に
問題無く接続されると仮定したもの、すなわち両者は均
一に接触していて、界面の電位は場所によらず一定であ
るとしている。また実際にはある一定の空隙、あるいは
接着層が界面に存在することもあるが、その容量成分や
抵抗成分を考慮しても同様の等価回路に簡略化されるた
めに、それらを保護板のパラメータに含めて図19
(b)の様に仮定した。
【0044】ここで、ガラスフェースプレートと保護板
の中間の電位Vf−pの変化は、図19(c)に示した
ようになる。すなわち、高圧印加初期はガラスと保護板
の誘電率εg,εpおよび厚さTg,Tpで決まる電位
Viすなわち、
【0045】
【数1】 となり、時間とともに各体積抵抗値ρg,ρpで決まる
電位Vfすなわち、
【0046】
【数2】 へと変化する。このときの時定数τは、
【0047】
【数3】 である。ここで、ガラスフェースプレート4006とし
てソーダライムガラス、保護板4013としてアクリル
あるいはポリカーボネートを用いるとすると、体積抵抗
率ρg,ρpはそれぞれ101214 ,101517 [Ω
・cm]、誘電率εg,εpは7〜8,2〜3、ε0は
8.8[pF/m]である。また各板厚を同じとする
(Tg=Tp)と、Vf−pは初期値Vi=(Vaの
0.6から0.7倍の電位)から始まり、徐々にVfに
変化する。
【0048】室温で数万時間画像表示装置を駆動しても
ソーダライムガラス内のNa移動による画質劣化が起ら
ないようにするには、ソーダライムガラスに印加する電
界をおおよそ10V/mm以下とする必要がある。
【0049】ガラスフェースプレートに印加される電圧
はVa−Vf-p であるので、上式よりVaを数kVから
10kVとすると、時定数τが非常に大きい場合はソー
ダライムガラスへの印加電圧の初期値Viを、またτが
比較的小さい場合は収束値VfをVaに近づける必要が
ある。ViをVaに近づけるためには式(1)よりガラ
スフェースプレート4006の板厚Tgを非常に薄くす
るか、保護板4013の板厚Tpを厚くする必要があ
る。しかし、ガラス板厚は耐大気圧保持のために2mm
程度以下に薄くすることは強度の面から非常に困難であ
る。また保護板厚TpをTp>>Tgと厚くするには、
例えば2mm厚のガラスフェースプレートに対しては樹
脂製の保護板を400mmにする必要があり、薄型化が
困難となり、また重量が著しく増加することになる。ま
た保護板の光透過率を考えても現実的ではなくなる。
【0050】以上の知見に鑑みなされた本発明につい
て、その好ましい実施態様を挙げ以下に説明する。
【0051】本発明に係る画像形成装置は、電圧Vaが
印加される手段がその内面に配置された容器部材(フェ
ースプレート)の外面に、前記電圧Vaと同程度の電圧
を印加する手段を備えるものである。
【0052】ここで、本実施態様における、上記フェー
スプレートは、その光透過性が、そこに電圧が印加され
ることにより経時的に低下するような部材から構成され
るものであり、例えば、Naを含有する青板ガラスなど
である。
【0053】また、上記電圧Vaと同程度の電圧を印加
する手段は、本実施態様においては、例えば、上記フェ
ースプレートの外面に設けられる電位規定のための導電
層を含むものであり、該導電層に上記電圧Vaと同程度
の電圧が印加されることによって上記フェースプレート
外面の電位規定がなされる。上記電圧Vaと同程度の電
圧とは、フェースプレート内面に印加する電圧Vaと同
電位あるいは電圧Vaに近い電位であり、ガラスフェー
スプレートに印加される電圧を0Vあるいは数10V以
下とすることが好ましい。
【0054】また、本態様の画像形成装置は、上記フェ
ースプレート上に更に透明部材による保護層、たとえば
保護板を積層することで、観察者が高圧の印加された電
位規定導電層に接触するのを防止することができる。
【0055】また、本態様の画像形成装置は、上記保護
板の表面に更に帯電防止膜を備えることにより、塵埃の
付着や観察者への放電を防止することができる。
【0056】また本態様の画像形成装置は、上記電位規
定導電層がフェースプレート内面の電極と抵抗値rの導
電体で接続され、抵抗値rが透明保護板表面の帯電防止
膜と電位規定導電層間の抵抗値Rより十分小さくしたも
のである。さらに、抵抗値rは該導電体にVaが印加さ
れたときに流れる電流Va/rが1mAより小さくなる
値としたものである。
【0057】あるいは、上記電位規定導電層を透明導電
層としたものである。あるいは、上記電位規定導電層を
特定の開口率を持つ微小ピンホールを多数備えた黒色導
電体としたものである。あるいは、上記電位規定導電層
を透明保護板の裏面に設けられた透明導電性膜としたも
のである。あるいは、上記電位規定導電層をガラスフェ
ースプレート表面に設けられた透明導電性膜としたもの
である。あるいは、上記電位規定導電層を導電性を付与
した透明接着剤層としたものである。
【0058】また本態様の画像形成装置は、上記保護板
表面に、外光反射防止のための多層膜を形成してある、
あるいは防眩効果を持たせてあるものである。
【0059】上記構成において、ガラスフェースプレー
トと透明保護板間に備えた電位規定層に印加する規定電
位を陰極線ターゲットに印加される高圧電位と同電位と
する、あるいはガラスフェースプレートに印加される電
位が十分低い電位、すなわちフェースプレート内のNa
イオンの移動が起らないあるいは抑制される電位とす
る。これにより画像表示装置が数万時間駆動される間に
Naが移動して、光透過率が劣化するのを防ぐものであ
る。
【0060】また、樹脂製の透明保護板はソーダライム
ガラスに比べて、耐圧が十分に高く、またNaを含まな
いために、薄い板厚として高圧電位を印加しても上記問
題が発生しない。したがって重量および厚さの著しい増
加はない。
【0061】また、この電位規定層は陰極線管システム
から放出される漏洩電磁波を遮蔽し、人体や他の機器へ
の影響を防止する効果を持たせることもできる。
【0062】また、保護層はガラスフェースプレート破
壊時の粉砕片飛散防止の防爆効果を兼ね備えることがで
きる。また、保護板は外光反射によるコントラスト劣化
を低減する効果を兼ね備えることができる。
【0063】また、電位規定層の電位を規定する手段と
しては、該導電層に引き出し配線を設けて、アルミメタ
ルバック等の陰極線ターゲットに印加される高電圧電源
の高圧導入端子と接続する方式や、引き出し配線の代わ
りに、抵抗値rのバイヤホールあるいは抵抗値rの導電
膜等の導体で、陰極線ターゲットと接続する方式があ
る。
【0064】また、一般にミリアンペア程度の電流で人
体は痛みを感じると言われている。よって電流制限手段
は万一、上記電位規定手段に人が接触するような状況で
も人体に流れ込む電流をミリアンペア以下に制限し、そ
の被害を最小限にするものである。
【0065】
【発明の実施の形態】
【0066】
【実施例】
[実施例1]次に、図1により、本発明の主題である画
像表示装置のフェースプレート構成について説明する。
【0067】ソーダライムガラス製で3mm厚のフェー
スプレート1006の内面には約20μm厚の蛍光体層
1008が形成され、さらに蛍光体層を覆うように約1
000Å厚のアルミメタルバック層1009が形成され
ている。高圧導入端子1011はアルミメタルバック1
009に接続されている。
【0068】またフェースプレート表面にはITO製の
透明導電膜である電位規定導電層1014を蒸着してあ
る。
【0069】電位規定層1014と引き出し線1015
の間に導電性膜1019として酸化ルテニウムの粒子を
ガラス材料を混合し約109 Ω/□の膜抵抗を持った厚
膜抵抗体を形成している。この時、電位規定層1014
と引き出し線1015との間の抵抗値は約109 Ωであ
った。また本実施例では電流制限に酸化ルテニウムの粒
子とガラス材料からなる厚膜抵抗体を用いたがこの材料
に限ったものではなく目的の電流制限値を実現する抵抗
値を実現できるものであれば良く、Ta−Si−O、T
A−Ti−Nt等をスパッタで成膜したもの等、一般に
高抵抗な抵抗材料として利用されているものでよい。図
21に電位規定層1014、導電膜1019、引き出し
配線1015の接続部分付近の上面図を示す。そして引
き出し配線1015は高圧導入端子1011と接続され
ている。
【0070】高圧導入端子1011はさらに高圧電源1
010に接続され、アルミメタルバック(陰極線ターゲ
ット)1009と電位規定導電層1014に高圧電位、
本実施例では10kVを印加できる。
【0071】1013はアクリル(PMMA)製で3m
m厚の保護板で表面にITO製透明導電膜である帯電防
止膜1012が蒸着されている。
【0072】透明電位規定導電層1014および帯電防
止膜1012は、蒸着ITOに限られるものではなく、
酸化すず、酸化インジウムの蒸着膜あるいはそれらを含
む溶液を塗布後、加熱して成膜してもよい。
【0073】高圧電源をオンにした時には上記保護板の
容量Cと導電性膜1019の抵抗rに基づく時定数で電
位規定層の電位は高圧電位に近づいていく。すなわち電
源をON/OFFする毎にソーダライムガラス製のフェ
ースプレート1006の表裏間に電位差が生じる時間が
ある。しかし、本実施例の保護板の容量Cは約2000
pFであり、導電性膜1019の抵抗Rが109 Ωであ
るためフェースプレート1006の表裏間に電位差が生
じる時間は約1秒程度であり、この程度の時間はNaの
析出で光透過率に影響が生じるほどの問題とはならな
い。
【0074】帯電防止膜1012は導電性ゴム1017
により筺体1018に接続され、さらに筺体1018は
接地されている。これにより保護板表面の電位は接地電
位に保たれ、表面の帯電を防止している。保護板101
3は周囲を厚さ1mmの接着層1016によりガラスフ
ェースプレート1006に固定されている。電位規定導
電層1014には高圧が印加されるが、周囲を密閉する
ことにより、塵埃の付着を防止できる。
【0075】また、帯電防止膜の抵抗値は102 〜10
3 Ω/□であり、画像表示装置内部から発生する電磁波
がフェースプレートを通して漏洩し、観測者および周囲
の装置に影響を与えることを防止している。
【0076】次に、本発明を適用した画像表示装置の表
示パネルの構成と製造法について、具体的な例を示して
説明する。
【0077】図2は、実施例に用いた表示パネルの斜視
図であり、内部構造を示すためにパネルの1部を切り欠
いて示している。
【0078】図中、1005は外容器底(なおリアプレ
ートと標記する場合もある)、1006は側壁、100
7はフェースプレートであり、1005〜1007によ
り表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器を
形成している。
【0079】気密容器を組み立てるにあたっては、各部
材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるために封
着する必要があるが、たとえばフリットガラスを接合部
に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏400
〜500度で10分以上焼成することにより封着を達成
した。気密容器内部を真空に排気する方法については後
述する。
【0080】フェースプレート1007表面には前述の
ようにITO膜(電位規定導電膜)1014が蒸着して
ある。さらにその上に帯電防止膜1012を備えた保護
板1013を接着層1016により装荷し固定してあ
る。
【0081】リアプレート1005には、基板1004
が固定されているが、該基板上には表面伝導型放出素子
1001がN×M個形成されている(N,Mは2以上の
正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設
定される。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的
とした表示装置においては、N=3000,M=100
0以上の数を設定することが望ましい。本実施例におい
ては、N=3072,M=1024とした。)。
【0082】前記N×M個の表面伝導型放出素子は、M
本の行方向配線1003とN本の列方向配線1002に
より単純マトリクス配線されている。前記1001〜1
004によって構成される部分をマルチ電子ビーム源と
呼ぶ。なお、マルチ電子ビーム源の製造方法や構造につ
いては、後で詳しくは述べる。
【0083】本実施例においては、気密容器のリアプレ
ート1005にマルチ電子ビーム源の基板1004を固
定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板100
4が十分な強度を有するものである場合には、気密容器
のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板100
4自体を用いてもよい。
【0084】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施例はカラ
ー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはCR
Tの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が
塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図3の
(a)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光
体のストライプの間には黒色の導電体3010が設けて
ある。黒色の導電体3010を設ける目的は、電子ビー
ムの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生
じないようにする事や、外光の反射を防止して表示コン
トラストの低下を防ぐ事、電子ビームによる蛍光膜のチ
ャージアップを防止する事などである。黒色の導電体3
010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的
に適するものであればこれ以外の材料を用いても良い。
【0085】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は、前
記図3(a)に示したストライプ状の配列に限られるも
のではなく、たとえば図3(b)に示すようなデルタ状
配列や、それ以外の配列であってもよい。
【0086】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。
【0087】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜100
8を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するため
の電極として作用させる事や、蛍光膜1008を励起し
た電子の導電路として作用させる事などである。メタル
バック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート
基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。
なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた
場合には、メタルバック1009は用いない。
【0088】また、本実施例では用いなかったが、加速
電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェ
ースプレート基板1007と蛍光膜1008との間に、
たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0089】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行
方向配線1003と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線1002と、Hvはフェースプレート
のメタルバック1009と電気的に接続している。
【0090】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10-7[torr]程度
の真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、
気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前ある
いは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不
図示)を形成する。ゲッター膜とは、たとえばBaを主
成分とするゲッター材料をヒーターもしくは高周波加熱
により加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲッター膜
の吸着作用により気密容器内は1×10-5〜1×10-7
[torr]の真空度に維持される。
【0091】以上、本発明実施例の表示パネルの基本構
成と製法を説明した。
【0092】次に、前記実施例の表示パネルに用いたマ
ルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発明
の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、表面伝
導型放出素子を単純マトリクス配線した電子源であれ
ば、表面伝導型放出素子の材料や形状あるいは製法に制
限はない。しかしながら、発明者らは、表面伝導型放出
素子の中では、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子
膜から形成したものが電子放出特性に優れ、しかも製造
が容易に行えることを見いだしている。したがって、高
輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用
いるには、最も好適であると言える。そこで上記実施例
の表示パネルにおいては、電子放出部もしくはその周辺
部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用い
た。そこで、まず好適な表面伝導型放出素子について基
本的な構成と製法および特性を説明し、その後で多数の
素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構
造について述べる。
【0093】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0094】(平面型の表面伝導型放出素子)まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。
【0095】図4に示すのは、平面型の表面伝導型放出
素子の構成を説明するための平面図(a)および断面図
(b)である。図中、1101は基板、1102と11
03は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通
電フォーミング処理により形成した電子放出部、111
3は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0096】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上に、たとえば、SiO2 を材料とする絶
縁層を積層した基板、などを用いることができる。
【0097】また、基板1101上に基板上に基板面と
平行に対向して設けられた素子電極1102と1103
は、導電性を有する材料によって形成されている。たと
えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,C
u,Pd,Ag等をはじめとする金属、あるいはこれら
の金属の合金、あるいはIn23 −SnO2 をはじめ
とする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの
中から適宜材料を選択して用いればよい。電極を形成す
るには、たとえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソ
グラフィー、エッチングなどのパターニング技術を組み
合わせて用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法
(たとえば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえな
い。
【0098】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百Åから数百μmの
範囲から適当な数値を選んで設計されるが、なかでも表
示装置に応用するために好ましいのは数μmより数十μ
mの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、
通常数百Åから数μmの範囲から適当な数値が選ばれ
る。
【0099】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0100】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数Åか
ら数千Åの範囲に含まれるものであるが、なかでも好ま
しいのは10Åから200Åの範囲のものである。ま
た、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考
慮して適宜設定される。すなわち、素子電極1102あ
るいは1103と電気的に良好に接続するのに必要な条
件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに必要な
条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にす
るために必要な条件、などである。具体的には数Åから
数千Åの範囲のなかで設定するが、なかでも好ましいの
は10Åから500Åの間である。
【0101】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,S
nO2 ,In23 ,PbO,Sb23 ,などをはじ
めとする酸化物やHfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,Ce
6 ,YB4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼化物
や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,Hf
N,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などを
はじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、こ
れらの中から適宜選択される。
【0102】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
103 から107 [Ω/□]の範囲に含まれるように設
定した。
【0103】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02と1103とは、電気的に良好に接続されるのが望
ましいため、互いの一部が重なりあうような構造をとっ
ている。その重なり方は、図4の例においては、下か
ら、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層したが、
場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電極の順
序で積層してもさしつかえない。
【0104】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数Åから数百Åの粒径の微粒子を配置する場合
がある。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密か
つ正確に図示するのは困難なため、図4においては模式
的に示した。
【0105】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通常フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0106】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[Å]以下とす
るが、300[Å]以下とするのがさらに好ましい。
【0107】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図4においては模式的
に示した。また、平面図(a)においては、薄膜111
3の一部を除去した素子を図示した。
【0108】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施例においては以下のような素子を用いた。
【0109】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を得
た。素子電極の厚さdは1000[Å]、電極間隔Lは
2[μm]とした。
【0110】微粒子膜の主要材料としてPbもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[Å]、幅Wは
100[μm]とした。
【0111】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。
【0112】図5の(a)〜(e)は、表面伝導型放出
素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表
記は前記図4と同一である。
【0113】1)まず、図5(a)に示すように、基板
1101上に素子電極1102および1103を形成す
る。
【0114】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる(堆積する方法としては、
たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用
いればよい。)。その後、堆積した電極材料を、フォト
リソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニング
し、図5(a)に示した一対の素子電極(1102と1
103)を形成する。
【0115】2)次に、同図5(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0116】形成するにあたっては、まず前記図5
(a)の基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼
成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィ
ー・エッチングにより所定の形状にパターニングする。
ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子
の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である
(具体的には、本実施例では主要元素としてPdを用い
た。また、実施例では塗布方法として、ディッピング法
を用いたが、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレ
ー法を用いてもよい。)。
【0117】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施例で用いた有機金属溶液の塗布
による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ法、
あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0118】3)次に、同図5(c)に示すように、フ
ォーミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する。
【0119】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0120】通電方法をより詳しく説明するために、図
6に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の
電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜
をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好まし
く、本実施例の場合には同図に示したようにパルス幅T
1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加し
た。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次
昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニ
ターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角
波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1
111で計測した。
【0121】実施例においては、たとえば10-5[to
rr]程度の真空雰囲気下において、たとえばパルス幅
T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]
とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ
昇圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1
回の割りで、モニターパルスPmを挿入した。フォーミ
ング処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニター
パルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そし
て、素子電極1102と1103の間の電気抵抗が1×
106 [Ω]になった段階、すなわちモニターパルス印
加時に電流計1111で測定される電流が1×10
-7[A]以下になった段階で、フォーミング処理にかか
わる通電を終了した。
【0122】なお、上記の方法は、本実施例の表面伝導
型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微粒
子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0123】4)次に、図5の(d)に示すように、活
性化用電源1112から素子電極1102と1103の
間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電
子放出特性の改善を行う。
【0124】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである(図においては、炭素
もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113とし
て模式的に示した。)。なお、通電活性化処理を行うこ
とにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放
出電流を典型的には100倍以上に増加させることがで
きる。
【0125】具体的には、10-4〜10-5[torr]
の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加
することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を
起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積
物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイ
ト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合
物であり、膜厚は500[Å]以下、より好ましくは3
00[Å]以下である。
【0126】通電方法をより詳しく説明するために、図
7(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜の
電圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定電圧
の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行った
が、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V]、パ
ルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間隔T4は10[ミ
リ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施例の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0127】図5の(d)に示す1114は該表面伝導
型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するため
のアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流
計1116が接続されている(なお、基板1101を、
表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合
には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114とし
て用いる。)。
【0128】活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図7(b)に示すが、活性化電源111
2からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とと
もに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとん
ど増加しなくなる。このように、放流電圧Ieがほぼ飽
和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停
止し、通電活性化処理を終了する。
【0129】なお、上述の通電条件は、本実施例の表面
伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導
型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条
件を適宜変更するのが望ましい。
【0130】以上のようにして、図5(e)に示す平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0131】(垂直型の表面伝導型放出素子)次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0132】図8は、垂直型の基本構成を説明するため
の模式的な断面図であり、図中の1201は基板、12
02と1203は素子電極、1206は段差形成部材、
1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通
電フォーミング処理により形成した電子放出部、121
3は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0133】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。し
たがって、前記図5の平面型における素子電極間隔L
は、垂直型においては段差形成部材1206の段差高L
sとして設定される。なお、基板1201、素子電極1
202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1
204については、前記平面型の説明中に列挙した材料
を同様に用いることが可能である。また、段差形成部材
1206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶縁
性の材料を用いる。
【0134】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図9の(a)〜(f)は、製造工程
を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図8と
同一である。
【0135】1)まず、図9(a)に示すように、基板
1201上に素子電極1203を形成する。
【0136】2)次に、同図9(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0137】3)次に、同図9(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0138】4)次に、同図9(d)に示すように、絶
縁層の一部を例えばエッチング法を用いて除去し、素子
電極1203を露出させる。
【0139】5)次に、同図9(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成す
るには、前記平面型の場合と同じく、例えば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0140】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図
5(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング処
理と同様の処理を行えばよい。)。
【0141】7)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積させる(図5(d)を用いて説明した平
面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい。)。
【0142】以上のようにして、図9(f)に示す垂直
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0143】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0144】図10に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0145】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0146】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0147】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0148】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0149】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0150】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0151】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0152】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0153】図11に示すのは、前記図2の表示パネル
に用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上に
は、前記図4で示したものと同様な表面伝導型放出素子
が配列され、これらの素子は行方向配線電極4003と
列方向配線電極4002より単純マトリクス状に配線さ
れている。行方向配線電極4003と列行方向配線電極
4002の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図
示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0154】図11のA−A’に沿った断面を、図12
に示す。
【0155】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極4003、列方向配
線電極4002、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極4003および列方向配線電極4002
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0156】[参考例]参考例として、3mm厚および
40mm厚のソーダライムガラス製のフェースプレート
で保護板および電位規定導電層を設けずに外表面に帯電
防止膜を形成した画像表示装置を作製し、上記実施例1
による画像表示装置とともに温度70℃、湿度85%の
雰囲気で高電圧(10kV)印加して48時間駆動し
た。その結果を表1に示す。実施例1によれば軽量薄型
で画質劣化のない画像表示装置が実現できる。
【0157】また、実施例1では人間が触れても安全な
程度の電流制限を施したので万一人間が触れても安全で
ある。
【0158】
【表1】 [実施例2]次に本発明の第2の実施例を図13により
説明する。
【0159】図13(a)でソーダライムガラス製で厚
さ3mmのフェースプレート206の内面には不図示の
約20μm厚の蛍光体層が形成され、さらに蛍光体層を
覆うように約1000Å厚のアルミメタルバック層20
9が形成されている。高圧導入端子211はアルミメタ
ルバック209に接続されている。高圧導入端子211
はさらにスイッチ222の出力に接続されている。スイ
ッチ222はコントローラ221によって制御され、出
力電圧10kVの高圧電源210あるいはグラウンドの
一方を選択して高圧導入端子211の接続するようにな
っている。
【0160】電子源は実施例1で用いたのと同じものを
用いた。213はポリカーボネート製で厚さ3mmの保
護板で表面にITO製透明導電膜である帯電防止膜21
2が蒸着されている。帯電防止膜212の電位は接地電
位に保たれ、表面の帯電を防止している。
【0161】また反対の面には、導電性で少なくとも保
護板側の光反射率が1%以下となる電位規定導電層21
4を形成してある。本実施例では図13(b)のように
φ20μmの開口223を図のようなピッチ(開口率7
0%)で多数配置したカーボンペースト製の電位規定導
電層214である。
【0162】電位規定層214は高圧導入端子215、
ダイオード220を介してスイッチ222に接続されて
いる。SWの制御及び高圧電源の出力はコントローラ2
21により制御され、装置の電源がOFFの時や、後述
する手段により筐体が開放されるなどして電位規定層2
14が露出する可能性を検知した時などに高圧電源の出
力をOFFにし、スイッチ222をグランド側に接続す
る。
【0163】電位規定層214と高圧電源210が、図
示した向きのダイオード220で接続されることによ
り、スイッチ222が高圧電源210に接続されている
時に電位規定層214の電位はダイオードの逆方向特性
に応じて高圧電源の出力電位となる。
【0164】図20に高圧電源のON/OFFに伴う電
位規定層の電位の変化を模式的に示す。本実施例では逆
方向電流が10μA程度のダイオードを選ぶことで10
kVの高圧印加に対して分単位の時間で高圧電位とな
る。万一人間が電位規定層に接触しても電流はダイオー
ドの逆方向電流で制限されるので安全である。
【0165】またコントローラ221により高圧電源が
OFFになった場合には高圧電源の電位に対してダイオ
ード220の順方向特性に応じて追従するので電位規定
層214に電荷が長時間残留することがなくなり図20
に示すように瞬時に電位が下がるのでさらに安全な装置
を実現できた。
【0166】保護板213は、光硬化型接着剤219に
よりガラスフェースプレート206に固定されている。
ここで、保護板213の屈折率は1.56、ガラスフェ
ースプレート206の屈折率は1.51、硬化後の接着
剤の屈折率はその中間で1.54である。これにより、
特に無反射処理を施さなくとも各境界面で光反射率は1
%以下となる。
【0167】接着剤として光硬化型を用いたのは、その
製造工程の容易さのためで、ガラスフェースプレート2
06に接着剤塗布後、保護板213を装荷し、保護板2
13を通して光照射して硬化させる。
【0168】また、帯電防止膜212は図のように接着
剤層まで回り込ませる(ただし図では引き出し線215
を含む断面図であるので一部接着剤層まで帯電防止膜2
12が回り込んでいないが、引き出し線215の近傍以
外の部分は接着層まで回り込んでいる)ことにより、高
圧印加電極、あるいは表面電位が上昇した個所が、表に
露出することを防止している。
【0169】本実施例では電位規定層214が露出する
可能性を検知手段として、筐体が開放されたのを検知す
るインターロックスイッチを設けた。また通常の筐体分
解時ではなく電位規定層214が露出する可能性を検知
する手段として保護層の破壊を検知する手段も設けた。
具体的には図22に示したように帯電防止膜501の周
辺4個所に電極503乃至506を設け、電極504は
グランドに、電極506は出力10Vの電源502に接
続されている。また、電極503と電極505の間には
微小電流検出回路507が接続されている。電極503
乃至506は帯電防止膜501の各辺の中央に対称に配
置されている。正常時は電極503と電極505間には
電流は流れないが、保護層に亀裂が入るなどの破壊が生
じた場合には微小電流検出回路507で電流が検出さ
れ、電位規定層が露出する可能性が生じたことをコント
ローラ221に通知するようにした。
【0170】なお本実施例では帯電防止膜を破壊検出電
極として用いたが、破壊検出専用の電極を用いる、ある
いは電位規定導電層を破壊検出用電極として用いること
も可能である。
【0171】本実施例による画像表示装置を温度70℃
湿度85%の雰囲気で高電圧(10kV)圧印加して4
8時間駆動したが、画質は全く劣化しなかった。本実施
例によれば軽量薄型で画質劣化のない画像表示装置が実
現できる。また、本実施例では電位規定層に電流制限を
施したので万一人間が触れても安全である。
【0172】電位規定導電層214の光透過率が70%
であるので、蛍光体層まで達する外光の反射率を半分以
下に低減することができ、コントラストを改善できる。
【0173】また、この電位規定導電層は陰極線管シス
テムから放出される漏洩電磁波を遮蔽し、人体や他の機
器への影響を防止する効果も持っている。
【0174】[実施例3]次に本発明の第3の実施例を
図14により説明する。
【0175】図14において、ソーダライムガラス製の
フェースプレート306の内面には約20μm厚の蛍光
体層308が形成され、さらに蛍光体層を覆うように約
1000Å厚のアルミメタルバック層309が形成され
ている。高圧導入端子311はアルミメタルバック30
9に接続されている。高圧導入端子311はさらに出力
電圧10kVの高圧電源310に接続されている。
【0176】また透明導電性接着剤層316から引き出
し線315を取り出し107 Ωの抵抗素子321を介し
て高圧電源310に接続されている。したがって10k
V駆動時に電位規定層に人間が触れても1mAに電流が
抑えられ安全である。
【0177】マトリクス配線された電子源を備えたリア
プレート304は実施例1で示したのと同じ物を用い
た。
【0178】313はポリカーボネート製の保護板で表
面は防眩のために粗面加工され、さらにITO製透明導
電膜である帯電防止膜312が蒸着されている。帯電防
止膜312の電位に保たれ、表面の帯電を防止してい
る。帯電防止膜312は導電性ゴム317により筺体3
18に接続され、さらに筺体318は接地されている。
これにより保護板表面の電位は接地電位に保たれ、表面
の帯電を防止している。
【0179】保護板313は透明導電性接着剤316に
よりガラスフェースプレート306に固定され、透明導
電性接着層316が電位規定導電層として働く。ここ
で、保護板313の屈折率は1.56、ガラスフェース
プレート306の屈折率は1.51、接着剤の屈折率は
その中間で1.54である。これにより、特に無反射処
理を施さなくても各境界面での光反射率は1%以下とな
る。透明導電性接着剤層316は光硬化型接着剤にIT
O微粒子を分散させたものを用いた。
【0180】また、導電性ゴム317と筺体318が接
触する周囲を絶縁性ゴム320で囲む。これにより透明
導電性接着層316と、帯電防止膜312あるいは筺体
318間の沿面距離を伸ばして不要な放電の発生を防止
する。
【0181】本実施例による画像表示装置を温度70℃
湿度85%の雰囲気で高電圧(10kV)印加して48
時間駆動したが、画質は全く劣化しなかった。本実施例
によれば軽量薄型で画質劣化のない画像表示装置が実現
できる。また、本実施例では電流制限抵抗321が挿入
されているので万一人が導電性接着層316に接触して
も安全である。
【0182】[実施例4]次に本発明の第4の実施例を
図15により説明する。
【0183】図15において、ソーダライムガラス製の
フェースプレート406の内面には約20μm厚の蛍光
体層408が形成され、さらに蛍光体層を覆うように約
2000Å厚のアルミメタルバック層409が形成され
ている。高圧導入端子411はアルミメタルバック40
9に接続されている。またフェースプレート表面にはI
TO製透明導電膜である電位規定導電層414を蒸着し
ている。電位規定導電層414は、フェースプレート4
06を貫通して、抵抗値rの導電性バイヤホール415
によりアルミメタルバック409と接続されている。高
圧導入端子411は出力電圧10kVの高圧電源410
に接続され、アルミメタルバック409と電位規定導電
層414に高圧を印加できる。
【0184】マトリクス配線された電子源を備えたリア
プレート404は実施例1で示したと同じ物を用いた。
【0185】413がポリカーボネート製の保護板で表
面には最表面が蒸着ITO製透明導電膜となる帯電防止
兼反射防止多層膜412が形成されている。透明電位規
定導電層414および帯電防止膜412は蒸着ITOに
限られるものではなく、酸化すず、酸化インジウムの蒸
着膜あるいはそれらを含む溶液を塗布後、加熱して成膜
してもよい。ここで前記バイヤホール415の抵抗値r
は帯電防止膜412と電位規定導電層414間の抵抗値
Rと比較して十分小さく、すなわち式(2)でRg=r
としたときにVfがVaに十分近い値となり、また式
(3)の時定数が十分小さくなる抵抗値にしておく。本
実施例では107 Ωの抵抗値とした。これにより高圧導
入端子411に10kVを印加しても、フェースプレー
ト406には1V以下の電位しか印加されない。また電
位規定層414に人が接触しても1mA以下の電流しか
流れないので安全である。
【0186】帯電防止膜412は導電性ゴム417によ
り筺体418に接続され、さらに筺体418に接地され
ている。これにより保護板表面の電位は接地電位に保た
れ、表面の帯電を防止している。保護板413は周囲を
接着層416によりガラスフェースプレート406に固
定されている。電位規定導電層414には高圧が印加さ
れるが、周囲を密閉することにより、塵埃の付着を防止
できる。
【0187】本実施例による画像表示装置を温度70℃
湿度85%の雰囲気で高電圧(10kV)印加して48
時間駆動したが、画質は全く劣化しなかった。本実施例
によれば軽量薄型で画質劣化のない画像表示装置が実現
できる。また、本実施例では電位規定層の電流制限を施
したので、万一人間が触れても安全である。
【0188】なお前記実施例では保護板としてアクリル
あるいはポリカーボネートを用いたが、もちろんこれら
に限定される物ではなく、ポリプロピレン(PP)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)などを用いてもよ
い。
【0189】また前記実施例では表面伝導型放出素子を
電子源として用いたが、スピント型あるいはMIM型で
代表される冷陰極電子源を用いてもよい。
【0190】また、フェースプレートに印加される電圧
は数100Vであるが、発熱のためにNaの表面析出が
加速されてしまうプラズマディスプレイに同様の手段を
用いても同様の効果が得られる。
【0191】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高圧を印加する陰極線ターゲットを形成してあるソーダ
ライムガラス製のフェースプレートと、表面に帯電防止
用導電膜を形成してある透明保護板とを備え、該フェー
スプレートと保護板との間に電位規定導電層を備え、該
導電層の電位を特定の規定電位にする手段を備え、電位
規定導電層の電位を陰極線ターゲットへの印加電圧と同
じ、あるいは近い電圧とすることにより、フェースプレ
ートへの印加電圧を低減でき、これにより、フェースプ
レート内のNa移動を抑制でき、光透過率の劣化が起ら
ず、長時間画質が劣化することがなく、軽量薄型低コス
トの陰極線管が得られる。
【0192】さらに電位規定層から取り出せる電流を制
限することによって人が電位規定層に接触した場合の安
全性を確保することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の画像表示装置を示す模
式的断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例である画像表示装置の、
表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図3】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を
例示した平面図である。
【図4】実施例で用いた平面型の表面伝導型放出素子の
平面図(a),断面図(b)である。
【図5】平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す
断面図である。
【図6】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を示
す図である。
【図7】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a),放
出電流Ieの変化(b)を示す図である。
【図8】実施例で用いた垂直型の表面伝導型放出素子の
断面図である。
【図9】垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す
断面図である。
【図10】実施例で用いた表面伝導型放出素子の典型的
な特性を示すグラフである。
【図11】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
平面図である。
【図12】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
一部断面図である。
【図13】本発明の第2の実施例を説明する図(a)、
及び第2の実施例で電位規定導電層として用いたメッシ
ュ電極を説明する図(b)である。
【図14】本発明の第3の実施例を説明する図である。
【図15】本発明の第4の実施例を説明する図である。
【図16】表面伝導型放出素子をマトリクス配線接続し
た図である。
【図17】従来の画像表示装置の表示パネルの一部を切
り欠いて示した斜視図である。
【図18】従来のフェースプレート構成を説明する図で
ある。
【図19】電位規定導電層を設けない場合に発生する課
題を説明する図である。
【図20】電位規定導電層の電位の変化を模式的に示す
図である。
【図21】本発明の第1の実施例の画像表示装置の配線
引き出し部分の拡大図である。
【図22】インターロックスイッチを説明する為の模式
図である。
【符号の説明】
1005 リアプレート 1008 蛍光体 1009 メタルバック 1010 高圧電源 1011 高圧引き出し線 1012 帯電防止膜 1013 保護板 1014 電位規定導電層 1015 電位規定導電層からの引き出し線 1016 接着剤層 1017 導電性ゴム 1018 筐体 206 ソーダライムガラス製フェースプレート 209 メタルバック 210 高圧電源 211 高圧引き出し線 212 帯電防止膜 213 保護板 214 電位規定導電層 215 電位規定導電層からの引き出し線 219 光硬化接着剤層 220 カーボン部分 221 カーボン層に開けられた開口部分 304 リアプレート 306 ソーダライムガラス製のフェースプレート 308 蛍光体 309 メタルバック 310 高圧電源 311 高圧引き出し線 312 帯電防止膜 313 保護板 316 導電性接着剤層 317 導電性ゴム 318 筐体 320 絶縁性ゴムパッド 404 リアプレート 406 ソーダライムガラス製のフェースプレート 408 蛍光体 409 メタルバック 410 高圧電源 411 高圧引き出し線 412 帯電防止膜 413 保護板 414 電位規定導電層 415 導電性バイヤホール 416 接着剤層 417 導電性ゴム 418 筐体

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器と、該容器内に配置され、電圧Va
    が印加される部材を有する画像形成手段とを備える画像
    形成装置において、前記電圧Vaが印加される部材がそ
    の内面に配置された、該容器を構成する部材の外面に、
    前記電圧Vaと同程度の電圧を印加する手段を備えるこ
    とを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記容器を構成する部材は、光透過性の
    部材である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記容器を構成する部材は、Naを含有
    するガラスである請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記容器を構成する部材の該内面と該外
    面との間での電界強度が、10V/mm以下である請求
    項1に記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記容器を構成する部材の該内面と該外
    面との間での電位差が、0Vである請求項1に記載の画
    像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記電圧Vaと同程度の電圧を印加する
    手段は、前記容器を構成する部材の外面を被覆した導電
    層を有する請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記導電層及び前記容器を構成する部材
    は、いずれも光透過性の部材である請求項6に記載の画
    像形成装置。
  8. 【請求項8】 前記導電層は、前記電圧Vaと同程度の
    電圧を発生する電源と抵抗体を介して接続されている請
    求項6に記載の画像形成装置。
  9. 【請求項9】 前記導電層は、その表面を被覆した絶縁
    層を有する請求項6に記載の画像形成装置。
  10. 【請求項10】 前記絶縁層、前記導電層及び前記容器
    を構成する部材は、いずれも光透過性の部材である請求
    項9に記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記絶縁層は、その表面を被覆した導
    電性膜を有する請求項9に記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】 前記導電性膜、前記絶縁層、前記導電
    層及び前記容器を構成する部材は、いずれも光透過性の
    部材である請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 【請求項13】 前記導電性膜は、接地されている請求
    項11に記載の画像形成装置。
  14. 【請求項14】 前記導電性膜は、102 Ω/口〜10
    3 Ω/口の範囲内の抵抗を有する請求項11に記載の画
    像形成装置。
  15. 【請求項15】 前記電圧Vaが印加される部材は、画
    像形成部材である請求項1〜14のいずれかに記載の画
    像形成装置。
  16. 【請求項16】 前記画像形成部材は、蛍光体と電極と
    を有する請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 【請求項17】 前記画像形成部材は、蛍光体とメタル
    バックとを有する請求項15に記載の画像形成装置。
  18. 【請求項18】 前記画像形成手段は、前記画像形成部
    材及び電子源を有する請求項15に記載の画像形成装
    置。
  19. 【請求項19】 前記電子源は、配線で結線された複数
    の電子放出素子を有する請求項18に記載の画像形成装
    置。
  20. 【請求項20】 前記電子源は、複数の電子放出素子
    が、複数の行方向配線及び複数の列方向配線にてマトリ
    クス状に結線された電子源である請求項18に記載の画
    像形成装置。
  21. 【請求項21】 前記電子放出素子は、冷陰極型の電子
    放出素子である請求項19又は20に記載の画像形成装
    置。
  22. 【請求項22】 前記冷陰極型の電子放出素子は、表面
    伝導型電子放出素子である請求項21に記載の画像形成
    装置。
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