JP3781400B2 - 画像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置に関し、特に、そのフェイスプレート構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CRTをはじめとする画像表示装置は、より一層の大型化が求められ、その点で研究が盛んに行われている。また、大型化に伴い装置の薄型化・軽量化・低コスト化が重要な課題になっている。発明者らは、上記の問題を解決し得る画像表示装置として、表面伝導型電子放出素子、ならびに、この表面伝導型電子放出素子を用いた画像表示装置について研究を行ってきた。
【0003】
発明者らは、たとえば、従来の、図15に示すような電気的な配線方法によるマルチ電子ビーム源の応用を試みてきた。即ち、マルチ電子ビーム源として、表面伝導型放出素子を2次元的に多数個、配列し、これらの素子を、図示のように、単純マトリクス状に配線したのである。
【0004】
なお、図中、4001は表面伝導型放出素子を模式的に示したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配線である。ここでは、図示の便宜上、6×6のマトリクスで示しているが、マトリクスの規模は、勿論、これに限ったわけではなく、所望の画像表示を行うのに足りるだけの素子を配列し、配線するものである。
【0005】
従来において、図16のような、マルチ電子ビーム源を用いた陰極線管は、マルチ電子ビーム源4004を備えた外容器底4005と外容器枠4007と、蛍光体層4008およびメタルバック4009を備えたフェイスプレート4006とからなる構造である。ここでは、フェイスプレート4006におけるメタルバック4009には、高圧導入端子4011を通じて、高圧電源4010により高圧が印加されている。
【0006】
表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビームを出力させるため、行方向配線4002、および、列方向配線4003に適宜の電気信号を印加する。たとえば、マトリクスの中の任意の1行の表面伝導型放出素子を駆動するには、選択する行の行方向配線4002に選択電圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4002に非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して、列方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧Veを印加する。この方法によれば、選択する行の表面伝導型放出素子にはVe−Vsの電圧が印加され、また、非選択行の表面伝導型放出素子にはVe−Vnsの電圧が印加される。
【0007】
そこで、Ve、Vs、Vnsを適宜の大きさの電圧にすれば、選択する行の表面伝導型放出素子だけから所望の強度の電子ビームが出力され、また、列方向配線の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の素子の各々から、異なる強度の電子ビームが出力される。また、表面伝導型放出素子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時間の長さも変えることができる。
【0008】
上記のような電圧印加により、マルチ電子ビーム源4004から出力された電子ビームは、高圧印加されているメタルバック4009に照射され、ターゲットである蛍光体を励起して発光させる。したがって、たとえば、画像情報に応じた電圧信号を適宜印加すれば、画像表示装置となる。
【0009】
上記画像表示装置は、ガラス真空容器中にマルチ電子ビーム源および蛍光体層などが形成されており、また、その他の画像表示装置においても、画面を表示する部分にガラス部材を用いることが大半である。これらの画像表示装置の画像表示部が破損し、危険なガラスの破片が飛散することにより、観察者が重大な危険に曝される畏れがあり、特に、装置の大型化に伴い、この危険性は増す一方である。そこで、画像表示装置のフェイスプレートの前面に安全性を確保するために、透明な樹脂板や強化ガラスの前面板を設けることが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前面板として、透明な樹脂板を用いることとし、この透明な樹脂板をガラスフェイスプレートに接着する時には、以下のような問題が生じる。即ち、画像表示装置のフェイスプレートに、透明前面板を接着した際に、フェイスプレートのガラスと、接着した透明樹脂板あるいはフェイスプレートとは、異なる熱膨張係数であるために、装置の温度が上昇した際に、熱膨張差で、接着層と接着層の界面に応力が発生し、画像表示装置パネルの変形や、接着層の破壊、画像表示パネルの破壊などが問題となるのである。
【0011】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、互いに熱膨張係数の異なるガラスフェイスプレートと透明前面板とを接着する際に、熱によるパネルの変形・破壊や接着層の破壊を防ぐために、所要の接着層を用いて、前面板を接着した画像表示装置を実現することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
画像表示装置において、熱膨張係数が互いに異なるガラス製フェイスプレートと透明前面板とを、透明な接着剤を用いて接着する構造を採用する場合、上記透明前面板の最大対角寸法をL、同じく、その線膨張係数をβp [K-1]、上記フェイスプレートの線膨張係数をβg [K-1]、室温と設定環境温度との最大温度差をΔT[℃]とした時の接着層の厚さtと、弾性層材料の最大の伸び率sとすると、画像表示装置の温度が上昇した際に、フェイスプレートと透明前面板の熱膨張の差が最も大きくなるのは、上記弾性層の変位が最大になる点では、原点を弾性層の中心とすると、ガラスフェイスプレートと透明前面板の熱膨張の差は以下のように表される。
{L/2×(βp−βg)×ΔT}
従って、上記弾性層の伸びが最大になる点の弾性層の伸びは、
[t2+{L/2×(βp−βg)×ΔT}21/2
と表すことができる。この伸びが、接着層材料の最大の伸びs×tよりも小さければ、接着層は破壊されないので、接着層の破壊されない条件は
s×t>[t2+{L/2×(βp−βg)×ΔT}21/2
と表される。
【0013】
このため、本発明の画像表示装置は、上記条件を満たすような構造とすることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明の画像表示装置を実現する際は、上記の条件を満たす接着層の厚さを均一な厚さで実現するために、スペーサを用いるが、このスペーサとして、屈折率のわずかな差により、境界面が見えないように、接着層に用いるのと同じ透明接着剤を用いて、あらかじめスペーサを作製し、そこに接着剤を充填・硬化させて、そのスペーサにより、均一な接着剤の厚さを制御して、前記透明前面板を接着するのがよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像表示装置について、図2の(a)を参照して具体的に説明する。ここでは、スペーサ1015を、透明前面板1012もしくはフェイスプレート1007の表面に予め作製しておく構造を採用する。また、この画像表示装置は、スペーサ1015と接着層1013との界面で、わずかに存在する屈折率の差が事実上無視できるように、例えば、図3に示すように、パネル中央正面から画像表示領域の高さhの2倍の距離にある観察者から見て、画像領域1017の全ての箇所にあるスペーサ1015の境界面が、視線と一致しないように、スペーサ1015のすべての接面において、フェイスプレート1007および透明前面板1012とのなす角度1018が60度以下である構造とする。
【0016】
また、本発明の画像表示装置は、上記境界面が事実上無視できるように、パネルの一方の端の正面から画像表示領域の高さhの2倍の距離にある観察者から見て、画像領域すべての箇所にあるスペーサ1015の境界面が視線と一致しないように、スペーサ1015のすべての接面がフェイスプレート1007および前面板1012とのなす角度1019が40度以下である構造である。
【0017】
また、本発明の画像表示装置は、スペーサ1015として、フェイスプレート1007もしくは前面板1012に、あらかじめ、透明接着剤により、均一な厚さで透明弾性層1013を作製したものであり、また、前面板1012として透明樹脂板を用いた構造である。
【0018】
なお、本発明の画像表示装置では、前面板1012に透過率制限のフィルターを用いることにより、蛍光体1008表面で反射する外光の量を減らし、コントラストを向上することのできる構造とする。また、要すれば、接着層1013に透過率制限の機能を持たせ、蛍光体1008表面で反射する外光の量を減らし、コントラストを向上するとともに、スペーサ1015と接着層1013の界面を視認し難くした構造とすることができる。
【0019】
このように、本発明によれば、フェイスプレート1007と透明前面板1012とを接着する接着層1013の厚さを制御することにより、パネルの温度変化によって発生する熱膨張の差を、透明弾性層1013で緩和することができ、パネルの変形や破壊、接着層の破壊を防ぐことができる。また、このように、フェイスプレート1007と、接着層1013の厚さを制御して接着する手段として、スペーサ1015を用いる場合において、スペーサ1015を接着層1013と同じ透明接着剤を用いて作製することにより、屈折率の違いによる光学的な悪影響を大幅に減少させることができ、また、均一な厚さの接着層1013で、透明前面板1012を接着することができる。
【0020】
また、予め、透明接着剤で作製したスペーサ1015のすべての接面と、フェイスプレート1007および前面板1012とのなす角を60度以下とすることにより、図3に示す画像表示パネル中央正面から画像表示領域の高さhの2倍の距離にある観察者の視線と画面のなす角1018よりも小さくなるため、画像領域1017すべての箇所にあるスペーサ1015と接着層1013の境界面が視線と一致せず、境界面でのわずかな屈折率の差が、事実上、無視できる。
【0021】
また、予め、透明接着剤で作製したスペーサ1015のすべての接面と、フェイスプレート1007および前面板1012とのなす角を40度以下とすることにより、図3に示す画像表示パネルの一方の端の正面から画像表示領域の高さhの2倍の距離にある観察者の視線と画面のなす角1019よりも小さくなるため、画像領域1017すべての箇所にあるスペーサ1015と接着層1013の境界面が視線と一致せず、境界面でのわずかな屈折率の差が、事実上、無視できる。
【0022】
また、予め、透明接着剤で均一厚さの弾性層であるスペーサ1015を作製し、それを用いることにより、均一な膜厚の接着層1013で透明前面板1012を接着でき、スペーサ1015と接着剤1013の境界面が観察者の視線と一致せず、境界面でのわずかな屈折率の差が、事実上、無視できる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
次に、図1および図2の(a)を参照して、本発明の主題である画像表示装置のフェイスプレートおよび前面板の具体的な構成について説明する。ソーダライムガラスを用いて、3mm厚のフェイスプレート1007を作製し、この内面に、約20μm厚の蛍光体層1008を形成し、更に、この蛍光体層を覆うように、約1000オングストローム厚のアルミメタルバック層1009を形成する。なお、高圧導入端子1021は、アルミメタルバック1009に接続され、高圧電源1020と接続され、高圧電位、本実施例では、10kVを印加される。
【0024】
フェイスプレート1007の外側には、接着層1013を用いて、透明前面板1012が接着されている。本実施例では、フェイスプレートが800×600mm、前面板が700×400mmの大きさとした。また、本実施例で使用した弾性接着剤の伸び率sはs=5程度であり、接着層1013の厚さtは、
s×t>[t2+{L/2×(βp−βg)×ΔT}21/2
を満たせば、どのような値でもかまわないが、好ましくは0.5〜1mm程度とすることにより、接着剤層によりパネルの温度変化により発生する熱膨張の差を緩和することができ、本実施例では概ねt=1mmとした。ここで、透明前面板1012として、絶縁性および難燃性および光透過性を考慮し、厚さ:1mmのポリカーボネートを用いたが、概ね0.5mm以上の厚さのポリカーボネートやアクリルなどの透明樹脂板であれば、本発明の目的は達成される。
【0025】
接着層1013の厚さを均一に制御して、前面板1012を接着するために、フェイスプレート1007上に、予め、接着剤、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の熱硬化型シリコン接着剤SE1740を用いて、スペーサ1015を作製した。スペーサ1015は、テフロンの型を用いて、高さ:1mmの円錐の形状に作製し、硬化条件を80℃で30分以上とした。円錐の底面以外の曲面は、フェイスプレート1007および前面板1012のなす角が、60度以下、更に、好ましくは、40度以下になるような円錐とした。スペーサ1015を作製した後、接着剤をフェイスプレート1007に充填して、前面板1012を静置し、80℃で接着した。なお、前面板1012に用いたポリカーボネートの接着層側には表面処理を行った。
【0026】
このような形状のスペーサ1015を予め、接着剤で作製することにより、接着層1013の厚さを均一に制御して接着することができ、しかも、接着後において、光学的に悪影響のないことが確認できた。接着剤としては、弾性に富んでいれば、熱硬化型シリコン系接着剤でなくてもよく、例えば、光硬化性の接着剤などを用いてもよい。作製したパネルで、−20〜70℃、100サイクルの温度環境試験を行った結果、接着層1013の剥離や、パネルの変形・破壊は確認されなかった。しかも、光学特性にも変化はなかった。
【0027】
このように、接着層1013の厚さを規定することにより、パネルの温度が上昇した際に発生する熱膨張の差と、それによる応力を接着層で吸収することができ、パネルの破壊や反り、接着層の破壊を防ぐことができる。
【0028】
次に、本発明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製造法について、具体的な事例を示して説明する。図4は、本発明の実施例に用いた表示パネルの斜視図であり、内部構造を示すために、パネルの一部を切り欠いて示している。ここで、符号1005は外容器底(なお、リアプレートと表記する場合もある)、1006は側壁、1007はフェイスプレートであり、部材1005〜1007により、表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器を形成している。
【0029】
気密容器を組み立てるに際しては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるために封着が必要であるが、例えば、フリットガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することにより、封着を達成することができる。なお、気密容器内部を真空に排気する方法については後述する。
【0030】
リアプレート1005には、基板1001が固定されているが、該基板上には表面伝導型放出素子1002が、N×M個形成されている(N、Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレビジョンの表示を目的とした表示装置では、N=3000、M=1000以上の数を設定することが望ましい。なお、本実施例においては、N=3072、M=1024とした。)。前記N×M個の表面伝導型放出素子は、M本の行方向配線1003とN本の列方向配線1004とにより単純マトリクス配線されている。上述の部材1001〜1004によって構成される部分を、マルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、マルチ電子ビーム源の製造方法や構造については、後で詳しく述べる。
【0031】
なお、本実施例において気密容器のリアプレート1005にマルチ電子ビーム源の基板1001を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板1001が十分な強度を有するものである場合には気密容器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板1001自体を用いてもよい。
【0032】
また、フェイスプレート1007の下面には蛍光膜1008が形成される。本実施例は、カラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えば、図5の(A)に示すように、ストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けてある。ここで、黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても、表示色にずれが生じないようにすること、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐこと、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止することなどのためである。なお、黒色の導電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するものであれば、これ以外の材料を用いても良い。また、3原色の蛍光体の塗り分け方は、図5の(A)に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、例えば、図5の(B)に示すような、デルタ状配列や、それ以外の配列であってもよい。
【0033】
なお、モノクロームの表示パネルを作製する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用いればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。また、蛍光膜1008のリアプレート側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させること、負イオンの衝突から蛍光膜1008を保護すること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、更には、蛍光膜1008を励起した電子の導電路として作用させることなどである。また、メタルバック1009は、蛍光膜1008をフェイスプレート基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、メタルバック1009を用いない。
【0034】
また、本実施例では用いなかったが、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェイスプレート基板1007と蛍光膜1008との間に、例えば、ITOを材料とする透明電極を設けてもよい。また、Dx1〜DxmおよびDy1〜DynおよびHvは、当該表示パネルと電気回路(図示せず)とを電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子である。ここで、端子Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配線1003と、端子Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方向配線1004と、端子Hvはフェイスプレートのメタルバック1009と、それぞれ、電気的に接続している。
【0035】
また、気密容器内部を真空に排気するには、気密容器を組み立てた後、排気管と真空ポンプと(いずれも図示せず)を接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[Torr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(図示せず)を形成する。ゲッター膜とは、例えば、Baを主成分とするゲッター材料を、ヒーターもしくは高周波加熱により加熱し、蒸着して、形成した膜であり、該ゲッター膜の吸着作用により、気密容器内は1×10マイナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr]の真空度に維持される。
【0036】
次に、前記実施例の表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、表面伝導型放出素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。
【0037】
しかしながら、発明者らは、表面伝導型放出素子の中では、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したものが、電子放出特性に優れ、しかも、製造が容易に行えることを見出している。したがって、高輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適であると言える。
【0038】
そこで、上記実施例の表示パネルにおいては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子が用いられた。そこで、まず、好適な表面伝導型放出素子について、基本的な構成と製法および特性を説明し、その後で、多数の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0039】
(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と製法)
電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型と垂直型の2種類があげられる。
【0040】
(1)平面型の表面伝導型放出素子
最初に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法について説明する。図6に示すのは、平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面図(b)である。図中、符号1101は基板、1102と1103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1113は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0041】
基板1101としては、例えば、石英ガラスや青板ガラスを始めとする各種ガラス基板や、アルミナを始めとする各種セラミクス基板、あるいは、上述の各種基板上に、例えば、SiO2 を材料とする絶縁層を積層した基板などを用いることができる。
【0042】
また、基板1101上に、その基板面と平行に対向して、設けられた素子電極1102と1103は、導電性を有する材料によって形成されている。例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Agなどを始めとする金属、あるいは、これらの金属の合金、あるいは、In2 3 −SnO2 を始めとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体などの中から、適宜材料を選択して用いればよい。
【0043】
また、電極を形成するには、例えば、真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて用いれば、容易に形成できるが、それ以外の方法(例えば、印刷技術)を用いて形成しても、何ら差し支えはない。
【0044】
素子電極1102と1103の形状は、当該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般的には、電極間隔Lは、通常、数百オングストロームから数百マイクロメーターの範囲の適当な数値を選んで設計されるが、中でも、表示装置に応用するために好ましいのは、数マイクロメーターより数十マイクロメーターの範囲である。なお、素子電極の厚さdについては、通常、数百オングストロームから数マイクロメーターの範囲の適当な数値が選ばれる。
【0045】
また、導電性薄膜1104の部分には、微粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素として、多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のことを指す。微粒子膜を微視的に調べれば、通常、個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは、微粒子が互いに隣接した構造か、更には、微粒子が互いに重なり合った構造かが観測される。
【0046】
微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロームの範囲に含まれるものであるが、中でも好ましいのは、10オングストロームから200オングストロームの範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考慮して、適宜設定される。即ち、これは、素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にするために必要な条件などである。具体的には、数オングストロームから数千オングストロームの範囲の中で設定するが、特に好ましいのは、10オングストロームから500オングストロームの間である。
【0047】
微粒子膜を形成するのに用いられる材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pbなどを始めとする金属や、PdO,SnO2 ,In2 3 ,PbO,Sb2 3 などを始めとする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB6 ,YB4 ,GdB4 などを始めとする硼化物や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WCなどを始めとする炭化物や、TiN,ZrN,HfNなどを始めとする窒化物や、Si,Geなどを始めとする半導体や、カーボンなどが挙げられ、これらの中から適宜選択される。
【0048】
以上述べたように、導電性薄膜1104を微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含まれるよう設定した。なお、導電性薄膜1104と、素子電極1102、1103とは、電気的に良好に接続されるのが望ましいために、互いの一部が重なり合うような構造を採っている。その重なり方は、図102の例においては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で、積層する形であるが、場合によっては、下から基板、導電性薄膜、素子電極の順序で積層しても差し支えない。
【0049】
また、電子放出部1105は、導電性薄膜1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂内には、数オングストロームから数百オングストロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難であるため、図6においては、これを模式的に示した。
【0050】
また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその近傍を被覆している。なお、薄膜1113は、通電フォーミング処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことにより形成する。この薄膜1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれかか、もしくは、その混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下とするが、300[オングストローム]以下とするのが、更に好ましい。なお、実際の薄膜1113の位置や形状を精密に図示するのは困難であるために、図6においては、これを模式的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜1113の一部を除去した素子が図示されている。
【0051】
以上、好ましい素子の基本構成を述べたが、本発明の実施例においては、以下のような素子を用いた。即ち、基板1101には青板ガラスを用いており、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い、素子電極の厚さdは1000[オングストローム]を、電極間隔Lは2[マイクロメーター]のものを用いた。また、微粒子膜の主要材料としてPdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストローム]、その幅Wは100[マイクロメーター]とした。
【0052】
次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子の製造方法について説明する。図7の(a)〜(d)は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は図6と同一である。
【0053】
1)まず、図7の(a)に示すように、基板1101上に素子電極1102および1103を形成する。この形成に際しては、予め、基板1101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄し、その後、素子電極の材料を堆積させる(堆積する方法としては、たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用いればよい)。その後、堆積した電極材料を、フォトリソグラフィー・エッチング技術を用いて、パターニングし、(a)に示した一対の素子電極(1102と1103)を形成する。
【0054】
2)次に、図7の(b)に示すように、導電性薄膜1104を形成する。形成するに際しては、まず、(a)の基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理して、微粒子膜を成膜する。その後、フォトリソグラフィー・エッチングにより、所定の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である(具体的には、本実施例では主要元素としてPdを用い、また、実施例では、塗布方法として、ディッピング法を用いたが、それ以外の、例えば、スピンナー法やスプレー法を用いてもよい)。また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成膜方法としては、本実施例で用いた有機金属溶液の塗布による方法以外の、例えば、真空蒸着法やスパッタ法、あるいは、化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0055】
3)次に、図7の(c)に示すように、フォーミング用電源1110から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電子放出部1105を形成する。ここで、通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形、もしくは変質させ、電子放出を行うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性薄膜の内、電子放出を行うのに好適な構造に変化した部分(即ち、電子放出部1105)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子放出部1105が形成される前と比較すると、それが形成された後は、素子電極1102と1103の間で計測される電気抵抗は、大幅に増加する。なお、通電方法をより詳しく説明するために、図8に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の電圧波形の一例を示している。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施例の場合には、図8に示したように、パルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニターするためのモニターパルスPmを、適宜の間隔で三角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計測した。
【0056】
実施例においては、例えば、10のマイナス5乗[Torr]程度の真空雰囲気下において、例えば、パルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加する都度、1回の割りで、モニターパルスPmを挿入した。なお、フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、素子電極1102および1103の間の電気抵抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、即ち、モニターパルス印加時に電流計1111で計測される電流が1×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0057】
なお、上記の方法は、本実施例の表面伝導型放出素子に関する好ましい方法であり、例えば、微粒子膜の材料や膜厚、あるいは、素子電極間隔Lなど表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0058】
4)次に、図7の(d)に示すように、活性化用電源1112から、素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の改善を行う。ここでの通電活性化処理とは、前記通電フォーミング処理により形成された電子放出部1105に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる処理のことである(図においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113として模式的に示した)。なお、通電活性化処理を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電流を、典型的には100倍以上に増加させることができる。
【0059】
具体的には、10のマイナス4乗ないし10のマイナス5乗[Torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれかか、もしくは、その混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下、より好ましくは、300[オングストローム]以下である。
【0060】
通電方法をより詳しく説明するために、図9の(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行ったが、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V]、パルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間隔T4は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施例の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて、上記条件を適宜変更するのが望ましい。
【0061】
図7の(d)に示す符号1114は、表面伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流計1116が接続されている(なお、基板1101を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合は、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114として用いる)。活性化用電源1112から電圧を印加する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して、通電活性化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電流Ieの一例を、図9の(b)に示すが、ここでは、活性化電源1112からパルス電圧を印加し始めると、時間の経過とともに放出電流Ieが増加し、やがて、飽和してほとんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で、活性化用電源1112からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0062】
なお、上述の通電条件は、本実施例の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて上記条件を適宜変更するのが望ましい。以上のようにして、図7の(e)に示すような、平面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0063】
(2)垂直型の表面伝導型放出素子
次に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子の他の代表的な構成、即ち垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。図10は、垂直型の基本構成を説明するための模式的な断面図であり、図中の符号1201は基板、1202と1203は素子電極、1206は段差形成部材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1213は通電活性化処理により形成した薄膜である。なお、この垂直型が、先に説明した平面型と異なる点は、素子電極の内の片方(1202)が段差形成部材1206上に設けられ、導電性薄膜1204が段差形成部材1206の側面を被覆している点にある。
【0064】
従って、図6の平面型における素子電極間隔Lは、この垂直型においては、段差形成部材1206の段差高Lsとして設定される。なお、基板1201、素子電極1202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204には、前記の平面型の説明中に列挙した材料を、同様に用いることが可能である。また、段差形成部材1206には、例えば、SiO2 のような電気的に絶縁性の材料を用いる。
【0065】
次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法について説明する。図11の(a)〜(f)は、製造工程を説明するための断面図であり、各部材の表記は、前記の図10と同一である。
1)まず、図11の(a)に示すように、基板1201上に素子電極1203を形成する。
2)次に、図11の(b)に示すように、段差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層は、例えば、SiO2 をスパッタ法で積層すればよいが、真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。
3)次に、図11の(c)に示すように、絶縁層の上に素子電極1202を形成する。
4)次に、図11の(d)に示すように、絶縁層の一部を、例えば、エッチング法を用いて除去し、素子電極1203を露出させる。
5)次に、図11の(e)に示すように、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。この形成には、前記平面型の場合と同じく、例えば、塗布法などの成膜技術を用いればよい。
6)次に、前記の平面型の場合と同じく、通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図7の(c)を用いて説明した、平面型の通電フォーミング処理と同様の処理を行えばよい)。
7)次に、前記の平面型の場合と同じく、通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる(図7の(d)を用いて説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
以上のようにして、図11の(f)に示す垂直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0066】
(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の特性)
以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子について素子構成と製法を説明したが、次に、表示装置に用いた素子の特性について述べる。
【0067】
図12に、表示装置に用いた素子の、(放出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な事例を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難である上、これらの特性は、素子の大きさや形状などの設計パラメータを変更することにより変化するものであるから、2本のグラフは、各々、任意単位で図示している。
【0068】
表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに関して、以下に述べる3つの特性を有している。
第1に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると、急激に放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieは、ほとんど検出されない。即ち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
第2に、放出電流Ieは素子に印加する電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大きさを制御できる。
第3に、素子に印加する電圧Vfに対して、素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって、素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0069】
以上のような特性を有するため、表面伝導型放出素子を表示装置に好適に用いることができるのである。例えば、多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表示装置において、第1の特性を利用すれば、表示画面を順次、走査して表示を行うことが可能である。即ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth以上の電圧を適宜、印加し、非選択状態の素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次切り替えて行くことにより、表示画面を順次、走査して表示を行うことが可能である。また、第2の特性または第3の特性を利用することにより、発光輝度を制御することができるため、階調表示を行うことが可能である。
【0070】
(多数素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造)
次に、上述の表面伝導型放出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。図13に示すのは、図4の表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上には、図6で示したものと同様な表面伝導型放出素子が配列されており、これらの素子は行方向配線電極1003と列方向配線電極1004により単純マトリクス状に配線されている。また、行方向配線電極1003と列方向配線電極1004の交差する部分には、電極間に絶縁層(図示せず)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0071】
なお、図13のA−A′に沿った断面を、図14に示している。このような構造のマルチ電子源は、予め、基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電極1004、電極間絶縁層(図示せず)、および、表面伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向配線電極1003および列方向配線電極1004を介して、各素子に給電して、通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うことによって製造した。
【0072】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を図2の(b)を参照して説明する。ここでは、ソーダライムガラス製であり、3mm厚さであるフェイスプレート1007が、その内面に約20μm厚の蛍光体層1008を形成しており、更に、蛍光体層を覆うように約1000オングストローム厚さのアルミメタルバック層1009が形成されている。高圧導入端子1021はこのアルミメタルバック層に接続され、高圧電源1020と接続され、高圧電位、本実施例では、10kVが印加される。なお、電子源は、実施例1で用いたものと同じものを用いた。
【0073】
フェイスプレート1007の外側には、接着層1013を用いて、透明前面板1012が接着されている。本実施例では、フェイスプレートは800×600mm、透明前面板は700×400mmの大きさとし、接着層の厚さは、実施例1と同様に、パネルの温度変化により発生する熱膨張の差を緩和することのできる、概ね1mmとした。ここで、透明前面板1012として、絶縁性、難燃性および光透過性を考慮し、厚さ:1mmのポリカーボネートを用いたが、概ね厚さ:0.5mm以上のポリカーボネートやアクリルなどの透明樹脂板であれば、実質的に問題ない。
【0074】
接着層1013の厚さを均一に制御して、前面板1012を接着するために、前面板1012に予め、厚さ:約1mmの均一な厚さの透明弾性層であるスペーサ1016を接着剤、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の熱硬化型シリコン接着剤SE1740を、80℃で、30分以上加熱し、硬化させた。次に、少量の接着剤をフェイスプレート1007に塗布し、予め、スペーサ1016を表面に作製しておいた前面板1012を静置し、80℃にて接着した。
【0075】
而して、このように、前面板1012に予め、接着剤により、均一な膜厚のスペーサ1016を作製することにより、接着層1013の膜厚を均一に制御することができ、また、画像が劣化するような光学的な悪影響がないことを確認した。なお、接着剤としては、弾性に富んでいれば、熱硬化型シリコン系接着剤でなくてもよく、例えば、光硬化性の接着剤を用いてもよい。斯くして、この作製したパネルで、−20〜70℃、100サイクルの温度環境試験を行った結果、接着層1013の剥離や、パネルの変形・破壊が確認されなかった。また、光学特性にも変化はなかった。
【0076】
このように接着層1013の厚さを制御することにより、パネルの温度が上昇した際に発生する熱膨張の差とそれによる応力を接着層1013で吸収することができるから、パネルの破壊や反り、接着層1013の破壊を未然に防ぐことができる。
【0077】
なお、実施例では、前面板1012としてポリカーボネートを用いたが、勿論、これに限定されるものではなく、アクリル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂板を用いてもよい。また、前面板1012もしくは接着層1013に透過率制限の機能を持たせ、蛍光体表面まで達する外光の反射率を減少させ、コントラストを改善し、さらに、スペーサを視認し難くすることもできる。
【0078】
また、前記実施例では、表面伝導型電子放出素子を用いた画像表示装置のフェイスプレート1007および前面板1012を作製したが、勿論、これに限定されるものではなく、陰極線管やプラズマディスプレイパネルなど、ガラスフェイスプレートを用いた画像表示装置に用いることができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したようになり、画像表示装置などの、互いに熱膨張係数の異なるガラスフェイスプレートと透明前面板とを、弾性に富んだ接着層により接着することで、熱膨張の差によるパネルの変形・破壊や接着層の破壊を未然に防止し、ガラス外囲器などの製品として、温度に対して、高い信頼性を得ることができる。また、接着層の厚さを制御するために、予め、接着剤で作製したスペーサを用いることにより、スペーサと接着層との屈折率の差が事実上、無視できるように工夫し、接着層の厚さを均一に作製できるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す画像表示装置の模式的断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の画像表示パネルのフェイスプレートおよび接着層および前面板を(a)で、また、本発明の第2の実施例の画像表示パネルのフェイスプレートおよび接着層および前面板を(b)で示す断面図である。
【図3】本発明の画像表示装置を正面から見た時の画像表示領域(a)、上方から見た画像表示装置と観察者の視線(b)を示す図である。
【図4】本発明の実施例の画像表示装置の、表示パネルの一部分を切り欠いて示した斜視図である。
【図5】表示パネルのフェイスプレートの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図6】本発明の実施例で用いた平面型の表面伝導型放出素子の平面図(a)、断面図(b)である。
【図7】平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す断面図である。
【図8】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を示す図である。
【図9】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)、放出電流Ieの変化(b)を示す図である。
【図10】本発明の実施例で用いた垂直型の表面伝導型放出素子の断面図である。
【図11】垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す図である。
【図12】本発明の実施例で用いた表面伝導型放出素子の典型的な特性を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の平面図である。
【図14】本発明の実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の一部断面図である。
【図15】従来の表面伝導型放出素子をマトリクス配線接続した図である。
【図16】従来の画像表示装置の表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【符号の説明】
1001 リアプレート
1002 電子ビーム源
1007 フェイスプレート
1008 蛍光体膜
1009 メタルバック
1012 前面板
1013 接着層
1015 予め、接着剤で作製したスペーサ
1016 予め、接着剤で作製した均一な厚さであるスペーサ
1017 画像表示領域
1018 中央正面にいる観察者の視線と画面とのなす角
1019 一方の端の正面に入る観察者の視線と画面とのなす角
1020 高圧電源
1021 高圧引き出し線
4001 リアプレート
4006 フェイスプレート
4008 蛍光体膜
4009 メタルバック
4010 高圧電源
4011 高圧引き出し線

Claims (10)

  1. 画像表示装置において、ガラスフェイスプレートの前面に、透明で弾性を有する接着層を介して、透明前面板が配置されており、該透明前面板の最大対角寸法をL、線膨張係数をβp[K-1]、上記ガラスフェイスプレートの線膨張係数をβg[K-1]、室温と設定環境温度との最大温度差をΔT[℃]とした時の前記接着層の厚さtと、接着層材料の最大の伸び率sが
    s×t>[t2+{L/2×(βp−βg)×ΔT}21/2を満たすことを特徴とする画像表示装置。
  2. 上記接着層は、その内部に、透明接着剤で形成されたスペーサ有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 上記接着層は、前記ガラスフェイスプレート又は前記透明前面板の表面に、予め形成された前記スペーサを配置し、このスペーサで定められた厚さに、前記ガラスフェイスプレート又は前記透明前面板の表面に、透明接着剤を充填し、硬化させて形成されたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
  4. 上記スペーサのすべての接面と、透明前面板およびフェイスプレートの面とのなす角度が60度以下であることを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
  5. 上記スペーサのすべての接面と、透明前面板およびフェイスプレートの面とのなす角度が40度以下であることを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
  6. 上記透明前面板は、樹脂板であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の画像表示装置。
  7. 上記透明前面板は、透過率制限のフィルターを用いたことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の画像表示装置。
  8. 上記接着層は、透過率制限の機能を持たせてあることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の画像表示装置。
  9. 陰極線管に、上記透明前面板を設けたフェイスプレートを用いていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の画像表示装置。
  10. 上記陰極線管は表面伝導型電子放出素子を用いていることを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
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