JP2000208075A - 画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置

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JP2000208075A
JP2000208075A JP11007714A JP771499A JP2000208075A JP 2000208075 A JP2000208075 A JP 2000208075A JP 11007714 A JP11007714 A JP 11007714A JP 771499 A JP771499 A JP 771499A JP 2000208075 A JP2000208075 A JP 2000208075A
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electron
image display
rear plate
wiring
substrate
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JP11007714A
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Naohito Nakamura
尚人 中村
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Canon Inc
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像表示面周辺の、画像表示に寄与しない無
駄な部分である額縁部分の距離を増大させることなく、
十分な沿面距離を確保した画像表示装置を提供し、装置
の小型化、軽量化を損なうことなく、十分な放電耐性を
持った装置が作製でき、輝度が高く、コントラストが良
好な画像を表示することを可能とする。 【解決手段】 複数の電子放出素子が形成されたリアプ
レートと、該電子放出素子から放出された電子の照射を
受けて発光し、画像を形成する蛍光体が内面に塗布され
ているフェースプレートと、該リアプレートとフェース
プレートと共に真空容器を形成する外枠とを装備した画
像表示装置において、前記複数の電子放出素子を駆動す
るための電気信号が印加される配線電極を、真空容器外
に引き出すための引き出し配線部が、電子放出素子が形
成された基板平面に対して、画像表示面から見て、後方
に配置されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子から
放出された電子線を蛍光体に照射して、画像を形成する
画像表示装置、特に、薄型の画像表示装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として、熱陰極
素子と冷陰極素子の2種類が知られている。この内、冷
陰極素子では、例えば、表面伝導型放出素子や、電界放
出型素子(以下、FE型と記す)や、金属/絶縁層/金
属型放出素子(以下、MIM型と記す)などが知られて
いる。
【0003】表面伝導型放出素子としては、例えば、
M.I.Elinson,RadioE−ng.Ele
ctron Phys.,10,1290,(196
5)や、後述する他の例が知られている。表面伝導型放
出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、その膜
面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現
象を利用するものである。この表面伝導型放出素子とし
ては、前記エリンソンなどによるSnO2 薄膜を用いた
ものの他に、Au薄膜によるもの[G.Dittme
r:“Thin Solid Films”,9,31
7(1972)]や、In2 3 /SnO2 薄膜による
もの[M.Hartwell and C.G.Fon
stad:“IEEE Trans.ED Con
f.”,519(1975)]や、カーボン薄膜による
もの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22(1
983)]などが報告されている。
【0004】これらの表面伝導型放出素子の、素子構成
の典型的な例として、前述のM.Hartwellらに
よる素子の平面図を図1に示す。ここで、符号3001
は基板であり、3004はスパッタで形成された金属酸
化物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004
は、図示のように、H字形の平面形状に形成されてい
る。該導電性薄膜3004に、後述の通電フォーミング
と呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部30
05が形成される。
【0005】図中の間隔Lは0.5〜1[mm]、Wは
0.1[mm]で設定されている。なお、図示の便宜
上、電子放出部3005は、導電性薄膜3004の中央
に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、
これが実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現して
いる訳ではない。
【0006】M.Hartwellらによる素子を始め
として、上述の表面伝導型放出素子においては、電子放
出を行う前に、導電性薄膜3004に通電フォーミング
と呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部30
05を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォー
ミングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直
流電圧、もしくは、例えば、1V/分程度の、非常にゆ
っくりとしたレートで昇圧する直流電圧を、印加して、
その際の通電で、導電性薄膜3004を局所的に破壊、
変形もしくは変質させて、電気的に高抵抗な状態の電子
放出部3005を形成することである。なお、局所的に
破壊、変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部
には、亀裂が発生する。前記通電フォーミング後に、導
電性薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合には、前
記亀裂付近において、電子放出が行われる。
【0007】また、FE型では、例えば、W.P.Dy
ke&W.W.Dolan,”Field emiss
ion”,Advance in Electron
Physics,8,89(1956)や、C.A.S
pindt,“Physical propertie
s of thin−film field emis
sion cathodes with molybd
enium cones”,J.Appl.Phy
s.,47,5248(1976)などが知られてい
る。
【0008】FE型の素子構成の典型的な例として、前
述のC.A.Spindtらによる素子の断面図を図2
に示す。同図において、符号3010は基板、3011
は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタ
コーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極であ
る。FE型素子は、エミッタコーン3012とゲート電
極3014の間に適宜の電圧を印加することにより、エ
ミッタコーン3012の先端部より、電界放出を起こさ
せるものである。また、FE型の他の素子構成として、
上述の、図2のような積層構造ではなく、基板上に、基
板平面とほぼ平行に、エミッタとゲート電極を配置した
例もある。
【0009】また、MIM型では、例えば、C.A.M
ead,“Operation of tunnel−
emission Devices,J.Appl.P
hys.,32,646(1961)などが知られてい
る。MIM型の素子構成の典型的な例を図3に示す。同
図は断面図であり、図において、3020は基板で、3
021は金属よりなる下電極、3022は厚さ100オ
ングストローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80
〜300オングストローム程度の金属よりなる上電極で
ある。MIM型においては、上電極3023と下電極3
021の間に適宜の電圧を印加することにより、上電極
3023の表面より電子放出を起こさせる。
【0010】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て、低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒ
ーターを必要としない。従って、熱陰極素子よりも構造
が単純であり、微細な素子を作成することができる。ま
た、基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板
の熱溶融などの問題が発生し難い。また、熱陰極素子が
ヒーターの加熱により動作するために応答速度が遅いの
とは異って、冷陰極素子の場合には、応答速度が速いと
いう利点もある。
【0011】このため、冷陰極素子を応用するための研
究が盛んに行われる用になった。例えば、表面伝導型放
出素子では、冷陰極素子の中でも、特に、構造が単純
で、製造も容易であることから、大面積にわたり、多数
の素子を形成できる利点がある。そこで、本出願人の出
願に係わる特開昭64−31332号公報において開示
されるように、多数の素子を配列して駆動するための方
法が研究されている。
【0012】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画像形
成装置や、荷電ビーム源などが研究されている。特に、
画像表示装置への応用としては、例えば、本出願人の出
願に係わるUSP5,066,883号明細書や、特開
平2−257551号公報、特開平4−28137号公
報において開示されているように、表面伝導型放出素子
と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わ
せて用いた画像表示装置が研究されている。
【0013】この表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み
合わせて用いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像
表示装置よりも優れた特性が期待されている。例えば、
近年普及してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型
であるため、バックライトを必要としない点や、視野角
が広い点などが優れていると言える。
【0014】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、例えば、本出願人の出願に係わるUSP4,90
4,895号明細書に開示されている。また、FE型を
画像表示装置に応用した例として、例えば、R.Mey
erらにより報告された平板型表示装置[R.Meye
r:“Recent DevelopmentonMi
crotips Display at LETI”,
Tech.Digest of 4th Int. V
acuum Microele−etronics C
onf.,Nagahama,pp.6〜9(199
1)]が知られている。また、MIM型を多数個並べて
画像表示装置に応用した例は、本出願人の出願に係わる
特開平3−55738号公報に開示されている。
【0015】発明者らは、上述の従来技術に記載したも
のを始めとして、さまざまな材料、製法、構造の冷陰極
素子を試みてきた。さらに、多数の冷陰極素子を配列し
たマルチ電子ビーム源、ならびに、このマルチ電子ビー
ム源を応用した画像表示装置についても研究を行ってき
た。例えば、発明者らは、図4に示すような、電気的な
配線方法によるマルチ電子ビーム源をも試みた。
【0016】即ち、このマルチ電子ビーム源は、冷陰極
素子を2次元的に多数個配列し、これらの素子を、図示
のように、マトリクス状に配線したものである。なお、
図中の符号4001は冷陰極素子を模式的に示したも
の、4002は行方向配線、また、4003は列方向配
線である。ここでの、行方向配線4002および列方向
配線4003は、実際には、有限の電気抵抗を有するも
のであるが、図においては、配線抵抗4004および4
005として示されている。上述のような配線方法を、
単純マトリクス配線と呼ぶ。
【0017】なお、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模は、勿論、これに限
ったわけではなく、例えば、画像表示装置用のマルチ電
子ビーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足り
るだけの素子を配列し、配線するものである。
【0018】そして、冷陰極素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源では、所望の電子ビームを出力
させるため、行方向配線4002および列方向配線40
03に適宜の電気信号を印加する。例えば、マトリクス
の中の任意の1行の冷陰極素子を駆動するには、選択す
る行の、行方向配線4002には、選択電圧Vsを印加
し、同時に、非選択の行の、行方向配線4002には、
非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して、列方向
配線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧V
eを印加する。
【0019】この方法によれば、配線抵抗4004およ
び4005による電圧降下を無視すれば、選択する行の
冷陰極素子には、Ve−Vsの電圧が印加され、また、
非選択行の冷陰極素子にはVe−Vnsの電圧が印加さ
れる。Ve、Vs、Vnsを適宜の大きさの電圧にすれ
ば、選択する行の冷陰極素子だけから所望の強度の電子
ビームが出力される筈であり、また、列方向配線の各々
に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の素子
の各々から異なる強度の電子ビームが出力される筈であ
る。
【0020】また、駆動電圧Veを印加する時間の長さ
を変えれば、電子ビームが出力される時間の長さも変え
ることができる筈である。従って、冷陰極素子を単純マ
トリクス配線したマルチ電子ビーム源は、いろいろな応
用の可能性があり、例えば、画像情報に応じた電気信号
を適宜、印加すれば、画像表示装置用の電子源として好
適に用いることができる。
【0021】マルチ電子ビーム源を用いた画像表示装置
の一例を、図5の斜視図に、また、その断面を図6に示
す。ここでは、基板1001上に冷陰極素子1002が
多数形成されており、基板1001に対向して配置され
たフェースプレート1007の内面には、蛍光体100
8が設けられている。また、蛍光体1008を覆うよう
に、Al蒸着膜からなるメタルバック1009が形成さ
れている。更に、素子が形成された基板1001は、リ
アプレート1005に固定され、該リアプレート100
5、外枠1006、および、フェースプレート1007
とで、真空容器が形成される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】電子線励起で発光する
蛍光体には、CRTで使われる蛍光体の他に、加速電圧
1kV以下の低速電子線で発光する蛍光体がある。しか
し、低速電子線励起発光体は、緑色に発光するZnO:
Zn蛍光体以外では、発光効率が悪く、動作寿命も十分
でない。また、CRT用の蛍光体に較べると、色純度も
劣っている。
【0023】したがって、CRT並の表示画質を得るに
は、CRT用の蛍光体を用いることが望ましい。一方、
CRT用の蛍光体を発光させるには、励起電子ビームの
加速電圧を最低限4kV、望ましくは、6kV以上にす
る必要がある。面板上の加速電極に4〜6kV以上の電
圧を印加するには、絶縁耐圧の点から、蛍光体と素子基
板との間の距離を数mm以上にしなければならない。
【0024】また、真空容器内面(沿面)を伝わる放
電、所謂、沿面放電に対する耐圧は、通常、真空中の空
間距離より1桁程度、劣ると考えられており、このた
め、高電圧が印加される蛍光体面と、蛍光体に印加され
る高電圧から比較すると略接地電位に等しい電圧が供給
される素子駆動用の配線電極との、真空容器内面に沿っ
た沿面距離(図6のLx+Lz)は、数十mm以上をと
る必要があった。
【0025】但し、図6中、Z方向の、素子と蛍光体と
の距離Lz(図6で厳密に言うと、Lz’だが、素子と
蛍光体の厚さは、両者を足しても、高々100μm程度
であり、実質的にLz=Lz’と考えて差し支えないた
め、以下、素子〜蛍光体との距離として、Lzを用い
る)は、画素のピッチなどに応じて設計値が決まる、電
子ビームのスポットサイズを決めるのに、電子のX方向
への放出速度と共に、重量なパラメーターであるため、
その値を任意に変更することはできず、通常、数mmか
ら5mm程度である。
【0026】もし、Lzをこれ以上の距離とすると、付
加的な収束電極などが必要となり、装置が大変、複雑と
なる。このため、装置の複雑化を避け、かつ、十分な沿
面距離を得ようとすると、フェースプレート面と平行な
方向(図中、X方向)において、沿面距離確保する必要
があり、図中のLxを大きく取ることが必要となる。そ
して、この必要なLxは、蛍光体印加電圧にもよるが、
10kV程度の加速電圧では、30mm以上が必要と考
えられる。
【0027】この場合、画像表示領域(=高電圧が印加
される蛍光体領域)の外側に、画像表示の点から見て無
駄な距離を広く必要とすることになり、装置の小型化、
および、軽量化に対して、問題があった。
【0028】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたもので、画像表示面周辺の、画像表示に寄与しない
無駄な部分である額縁部分の距離を増大させることな
く、十分な沿面距離を確保した画像表示装置を提供し、
装置の小型化、軽量化を損なうことなく、十分な放電耐
性を持った装置が作製でき、輝度が高く、コントラスト
が良好な画像を表示することを可能とするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】これを達成するために、
本発明では、複数の電子放出素子が形成されたリアプレ
ートと、該電子放出素子から放出された電子の照射を受
けて発光し、画像を形成する蛍光体が内面に塗布されて
いるフェースプレートと、該リアプレートとフェースプ
レートと共に真空容器を形成する外枠とを装備した画像
表示装置において、前記複数の電子放出素子を駆動する
ための電気信号が印加される配線電極を、真空容器外に
引き出すための引き出し配線部が、電子放出素子が形成
された基板平面に対して、画像表示面から見て、後方に
配置されていることを特徴とする。
【0030】この場合、本発明の実施の形態として、前
記リアプレートは、複数の電子放出素子が形成された素
子基板の裏面に接着された第一の外枠を介して、引き出
し配線基板を接着し、前記素子基板内の配線と引き出し
配線とを電気的に接続しており、前記リアプレートの引
き出し配線基板が、フェースプレート裏面に接着された
第二の外枠の、裏面方向の端部と接着され、これによ
り、前記真空容器が完成することが、更には、前記リア
プレートは、複数の電子放出素子が形成される素子基板
の面と、該素子基板の面に対して、画像表示面から見
て、後方に配置される、前記電子放出素子の駆動用配線
の、真空容器外への引き出し配線部を、一体形成してい
ることが、好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図
7、図8を参照して、具体的に説明する。なお、図7
は、従来技術の画像表示装置の断面図である図6に対応
して、用意した図であり、本発明を用いた画像表示装置
の主要部を説明するための断面図である。また、図8は
本発明の特徴的な部分である、リアプレート側の構成を
示す斜視図である。
【0032】図7において、フェースプレート7は、従
来と同様で、内面に蛍光体8、メタルバック9が形成さ
れている。また、リアプレート3は、電子放出素子2が
その面に作成された素子基板1が固定されて、完成す
る。素子基板1が、十分な厚さを有す場合、素子基板1
がリアプレートを兼ねても良い。リアプレート3の、画
像表示方向から見て裏面側には、第一のガラス枠4を介
して、引き出し配線基板6が接着されている。
【0033】配線基板6は、この場合、図8のように、
中央部分がくり抜かれた形状の絶縁性基板から成り、素
子基板1の配線電極11、12と対応する引き出し配線
電極14、15が形成されているが、ガラス枠4を介し
て、図中、Z軸方向に離間した状態で配置されているた
め、それぞれの配線電極間は、ワイヤボンディングなど
の手法で、電気的に接続される。
【0034】素子基板内配線と引き出し配線とが、電気
的に接続された後、リアプレート3、ガラス枠4、引き
出し配線基板6とから成るリアプレート部材は、従来例
のリアプレートと全く同様に、フェースプレート7と位
置合わせされた後、第二のガラス枠5を介して、リアプ
レート部材の引き出し配線基板6と接着され、画像表示
装置の真空容器を完成している。
【0035】この実施の形態においては、上述のよう
に、ガラス枠5と接着される引き出し配線基板6は、ガ
ラス枠4を介して、素子基板1が形成されたリアプレー
ト3の、画像表示面から見て裏面側に、配置されている
ため、ガラス枠5のZ軸方向の長さは、素子と蛍光体と
の距離が、仮に、従来と同様であったとしても、従来よ
り長くすることができ、これにより、高電圧が印加され
る蛍光体部分と、低電圧な配線電極との容器内面の沿っ
た沿面距離とを、大きく取ることができる。
【0036】また、第二のガラス枠5の厚さ(Z軸方向
長さ)は、従来のように、素子と蛍光体との距離によっ
て左右されず、第一のガラス枠4の厚さとの関係で、任
意に設定することができるため、十分な沿面距離を確保
するにも、画像表示面外の無駄な領域の幅Lxを、最低
限とすることができる。このため、蛍光体に高電圧を印
加し、輝度・コントラストが良好な画像を得るのに、装
置を小型で、軽量なものにすることができる。
【0037】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の具体例(構造と
製法)を、図7〜9の表示パネルについて、説明する。
なお、図中、3はリアプレート、4は第一のガラス枠、
5は第二のガラス枠、6は引き出し配線基板、7はフェ
ースプレートであり、符号3、4、5、6、7の構成部
品により、表示パネルの内部を真空に維持するための気
密容器を形成している。
【0038】本実施例では、後述するプロセスで、複数
の表面型電子放出素子が形成された2mm厚の電子源基
板1を、3mm厚の青板ガラスからなるリアプレート3
に固定した後、リアプレートの裏面側に、Z軸方向の高
さ(=厚さ)が15mmのガラス枠4を介し、引き出し
配線基板6を位置決めし、リアプレート3とガラス枠
4、および、引き出し配線基板6の、それぞれの接合面
に、フリットガラスを塗布し、450℃で、約1時間、
ホールド焼成し、封着を行った。
【0039】その後、電子源基板内の行方向配線11、
列方向配線12と、それぞれに対応する引き出し配線電
極基板上の行方向引き出し配線電極14と、列方向配線
電極15とを、ワイヤボンディングにて、それぞれ、電
気的に接続した。なお、引き出し配線電極上の配線電極
は、本実施例では、更に、端子Dx、Dy等と電気的に
接続され、真空容器外に引き出される。
【0040】そのようにして作成したリアプレート部材
と、フェースプレート7とを位置決めした後、Z軸方向
高さが25mmのガラス枠5を介して、フェースプレー
ト7、ガラス枠5、および、引き出し配線基板6の接合
面に、フリットガラスを塗布して、420℃で、約1時
間、ホールド焼成し、これにより、封着した。
【0041】従って、本実施例において、電子放出素子
と蛍光体との距離は、約5mmに設定した。また、上述
のように、ガラス枠5の高さを25mmとしており、こ
の長さで、略十分な沿面距離が得られるため、X方向の
画像領域面と、ガラス枠5の内壁面との距離(Lx)は
5mmとした。また、気密容器を組み立てるに際して
は、各部材の接合部に、十分な強度と気密性を保持させ
るために、封着する必要がある。なお、気密容器内部を
真空に排気する方法については後述する。
【0042】以下、電子源基板の作成などにつき、詳述
する。リアプレート3には、電子源基板1が固定されて
いるが、電子源基板1上には、それぞれ、M個の表面伝
導型放出素子が形成され、各素子は行方向配線113と
列方向配線12とにより、マトリクス配線されている。
この電子源基板上の構成は、マルチ電子ビーム源であ
り、該マルチ電子ビーム源は、N×M個の表面伝導型放
出素子を具備していると言える。
【0043】なお、この表示パネルでは、平面型もしく
は垂直型の表面伝導型放出素子を用いたが、これについ
ては、後に詳しく述べる。また、フェースプレート7の
下面には蛍光体8が形成されている。本実施例では、カ
ラー表示装置を想定しているために、蛍光体8の部分に
は、CRTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の
蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例え
ば、図10の(a)に示すように、ストライプ状に塗り
分けられ、蛍光体のストライプの間には、黒色の導電体
1010を設けている。
【0044】黒色の導電体1010を設ける目的は、電
子ビームの照射位置に多少のずれがあっても、表示色に
ずれが生じないようにすることや、外光の反射を防止し
て、表示コントラストの低下を防ぐこと、電子ビームに
よる蛍光体のチャージアップを防止することなどであ
る。なお、ここでは、黒色の導電体1010に、黒鉛を
主成分として用いたが、上記の目的に適するものであれ
ば、これ以外の材料を用いても良い。また、モノクロー
ムの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材料
を蛍光体8に用いればよく、また、黒色導電材料は必ず
しも用いなくとも良い。
【0045】また、蛍光体8のリアプレート側の面に
は、CRTの分野では公知の、メタルバック9を設けて
ある。メタルバック9を設けた目的は、蛍光体8が発す
る光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させること
や、負イオンの衝突から蛍光体8を保護すること、電子
ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させる
こと、蛍光体8を励起した電子の導電路として作用させ
ることなどである。なお、メタルバック9は、蛍光体8
をフェースプレート基板7上に形成した後、蛍光体表面
を平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法によ
って形成した。
【0046】また、本実施例では用いなかったが、加速
電圧の印加用や蛍光体の導電性向上を目的として、フェ
ースプレート基板7と蛍光体8との間に、例えば、IT
Oを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0047】また、Dx1〜DxmおよびDx1′〜D
xm′、Dy1〜DynおよびHvは、当該表示パネル
と電気回路(図示せず)とを電気的に接続するために設
けた気密構造の電気接続用端子である。Dx1〜Dxm
およびDx1′〜Dxm′はマルチ電子ビーム源の行方
向配線11と、また、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線12と、更に、Hvはフェースプレー
トのメタルバック9とそれぞれ電気的に接続している。
【0048】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、排気管や真空ポンプ(何
れも図示せず)を接続し、気密容器内を10のマイナス
7乗[Torr]程度の真空度まで排気する。その後、
排気管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するた
めに、封止の直前あるいは封止後に、気密容器内の所定
の位置にゲッター膜(図示せず)を形成するとよい。ゲ
ッター膜とは、例えば、Baを主成分とするゲッター材
料を、ヒーターもしくは高周波加熱により、加熱し、蒸
着たもので、このようにして形成したゲッター膜の吸着
作用により、気密容器内は、1×10マイナス5乗ない
しは1×10マイナス7乗[Torr]の真空度に維持
される。以上によって、本発明の実施例の表示パネルの
基本構成と製法を説明した。
【0049】(電子放出素子の素子構成と製法および特
性)次に、前記実施例の表示パネルに用いた表面伝導型
放出素子について、更に説明する。本発明者らは、電子
放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子が、電子放出特性に優れており、しか
も、設計や製造が容易であることを見出している。即
ち、これは、大画面で高輝度の画像表示装置用のマルチ
電子ビーム源に用いるのに、もっとも適した素子だと言
える。
【0050】そこで、微粒子膜から形成した平面型の表
面伝導型放出素子を用いて、表示パネルを作成したとこ
ろ、極めて良好な結果を得た。また、微粒子膜から形成
した垂直型の表面伝導型放出素子を用いて作成した表示
パネルも良好な結果を得た。この微粒子膜から形成した
平面型および垂直型の表面伝導型放出素子について、以
下に詳しく説明する。
【0051】(平面型の表面伝導型放出素子)まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図11に示すのは、平面型の表面伝導型
放出素子の構成を説明するための図であり、同図の
(a)は平面図、同図の(b)は断面図である。図中、
1101は基板、1102と1103は素子電極、11
04は導電性薄膜、1105は通電フォーミング処理に
より形成した電子放出部、1113は通電活性化処理に
より形成した薄膜である。
【0052】基板1101としては、例えば、石英ガラ
スや青板ガラスを始めとする各種ガラス基板や、アルミ
ナを始めとする各種セラミクス基板、あるいは、上述の
各種基板上に、例えば、SiO2 を材料とする絶縁層を
積層した基板などを用いることができる。
【0053】また、基板1101上に、基板面と平行に
対向して、設けられた素子電極1102、1103は、
導電性を有する材料によって、形成されている。例え
ば、この導電性材料にはNi、Cr、Au、Mo、W、
Pt、Ti、Cu、Pd、Agなどを始めとする金属、
あるいは、これらの金属の合金、あるいは、In2 3
−SnO2 を始めとする金属酸化物、ポリシリコンなど
の半導体、などの中から適宜材料を選択して用いればよ
い。
【0054】なお、この電極は、例えば、真空蒸着など
の成膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングなどの
パターニング技術を組み合わせて用いれば、容易に形成
できるが、それ以外の方法(たとえば印刷技術)を用い
て、形成しても差し支えない。
【0055】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは、通常は、数百オングストロ
ームから数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を
選んで設計されるが、中でも表示装置に応用するために
好ましいのは、数マイクロメーターより数十マイクロメ
ーターの範囲である。また、素子電極の厚さdについて
は、通常、数百オングストロームから数マイクロメータ
ーの範囲から適当な数値が選ばれる。
【0056】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことを指す。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、微粒子が互
いに隣接した構造か、あるいは、微粒子が互いに重なり
合った構造かが観測される。
【0057】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、中でも好ましいのは、10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して、適宜設定される。即ち、素子電極110
2あるいは1103に対して電気的に良好に接続するの
に必要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行う
のに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適
宜の値にするために必要な条件などである。具体的に
は、数オングストロームから数千オングストロームの範
囲の中で設定するが、中でも好ましいのは、10オング
ストロームから500オングストロームの間である。
【0058】また、微粒子膜を形成するのに用いられる
材料としては、例えば、Pd、Pt、Ru、Ag、A
u、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、T
a、W、Pbなどを始めとする金属、PdO、Sn
2 、In2 3 、PbO、Sb2 3 などを始めとす
る酸化物、HfB2 、ZrB2 、LaB6 、CeB6
YB4、GdB4 などを始めとする硼化物、TiC、Z
rC、HfC、TaC、SiC、WCなどを始めとする
炭化物、TiN、ZrN、HfNなどを始めとする窒化
物、Si、Geなどを始めとする半導体、カーボン、な
どが挙げられ、これらの中から適宜、選択される。
【0059】以上述べたように、ここでは、導電性薄膜
1104を微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値に
ついては、10の3乗から10の7乗[オーム/sq]
の範囲に含まれるように設定した。なお、導電性薄膜1
104、素子電極1102および1103は、電気的に
良好に接続されるのが望ましいために、互いの一部が重
なり合うような構造をとっている。その重なり方は、図
11の(b)の例においては、下から、基板、素子電
極、導電性薄膜の順序で積層しているが、場合によって
は、下から基板、導電性薄膜、素子電極、の順序で積層
しても差し支えない。
【0060】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。この
亀裂内には、数オングストロームから数百オングストロ
ームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際
の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するの
は、困難であるから、図11においては、模式的に示し
た。
【0061】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。この薄膜1113は、単結晶グラファイ
ト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれか
か、もしくは、その混合物であり、膜厚は500[オン
グストローム]以下とするが、300[オングストロー
ム]以下とするのが更に好ましい。なお、実際に、薄膜
1113の位置や形状を精密に図示することは困難であ
るため、図11においては模式的に示した。また、
(a)の平面図においては、薄膜1113の一部を除去
した素子を図示した。
【0062】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、この実施形態においては、以下のような素子を用い
た。即ち、基板1101には青板ガラスを用い、素子電
極1102と1103にはNi薄膜を用いた。素子電極
の厚さdは1000[オングストローム]、電極間隔L
は20[マイクロメーター]とした。また、微粒子膜の
主要材料として、PdもしくはPdOを用い、微粒子膜
の厚さは約100[オングストローム]、幅Wは100
[マイクロメーター]とした。
【0063】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図12の(a)〜(d)
は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断
面図で、各部材の表記は、図11と同一である。
【0064】1)まず、図12の(a)に示すように、
基板1101上に素子電極1102および1103を形
成する。これを形成するに際しては、予め、基板110
1を洗剤、純水、有機溶剤を用いて、十分に洗浄し、そ
の後、素子電極の材料を堆積させる(堆積する方法とし
ては、例えば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術
を用いればよい)。その後、堆積した電極材料を、フォ
トリソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニン
グし、(a)に示すように、一対の素子電極(1102
と1103)を形成する。
【0065】2)次に、図12の(b)に示すように、
導電性薄膜1104を形成する。これを形成するに際し
ては、まず、(a)での基板に、有機金属溶液を塗布し
て乾燥し、加熱焼成処理して、微粒子膜を成膜する。そ
の後、フォトリソグラフィー・エッチングにより、所定
の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液と
は、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする
有機金属化合物の溶液である(具体的には、主要元素と
してPdを用いた。また、ここでは、塗布方法として、
ディッピング法を用いたが、それ以外の、例えば、スピ
ンナー法やスプレー法を用いてもよい)。また、微粒子
膜で作られる導電性薄膜の成膜方法としては、ここで用
いた有機金属溶液の塗布による方法以外の、例えば、真
空蒸着法やスパッタ法、あるいは、化学的気相堆積法な
どを用いる場合もある。
【0066】3)次に、図12の(c)に示すように、
フォーミング用電源1110から素子電極1102と1
103の間に、適宜の電圧を印加し、通電フォーミング
処理を行って、電子放出部1105を形成する。通電フ
ォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1
104に通電を行って、その一部を、適宜に破壊、変
形、もしくは、変質させて、電子放出を行うのに好適な
構造に変化させる処理のことである。微粒子膜で作られ
た導電性薄膜の内、電子放出を行うのに好適な構造に変
化した部分(即ち、電子放出部1105)においては、
薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子放出部
1105が形成される前と比較すると、形成された後
は、素子電極1102と1103の間で計測される電気
抵抗が大幅に増加する。
【0067】通電方法をより詳しく説明するため、図1
3にフォーミング用電源1110から印加する適宜の電
圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜を
フォーミングする場合には、パルス状の電圧が好まし
く、本実施例の場合には、同図に示したように、パルス
幅T1の三角波パルスを、パルス間隔T2で、連続的に
印加した。その際には、三角波パルスの波高値Vpf
を、順次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状
況をモニターするためのモニターパルスPmを、適宜の
間隔で、三角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電
流を電流計1111で計測した。
【0068】本実施例の形態においては、例えば、10
のマイナス5乗[Torr]程度の真空雰囲気下におい
て、パルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を1
0[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.
1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加
する度に1回の割りで、モニターパルスPmを挿入し
た。また、フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがな
いように、モニターパルスの電圧Vpmを0.1[V]
に設定した。そして、素子電極1102と1103との
間の電気抵抗が1×10の6乗[オーム]になった段
階、即ち、モニターパルス印加時に、電流計1111で
計測される電流が1×10のマイナス7乗[A]以下に
なった段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了
した。
【0069】なお、上記の方法は、本実施例の表面伝導
型放出素子に関する好ましい方法であり、例えば、微粒
子膜の材料や膜厚、あるいは、素子電極間隔Lなど、表
面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応
じて、通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0070】4)次に、図12の(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
との間に、適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行っ
て、電子放出特性の改善を行う。通電活性化処理とは、
前記通電フォーミング処理により形成された電子放出部
1105に、適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭
素もしくは炭素化合物を堆積させる処理のことである
(図においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積
物を、部材1113として、模式的に示した)。
【0071】なお、通電活性化処理を行うことにより、
行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電流を典
型的には100倍以上に増加させることができる。具体
的には、10のマイナス4乗ないし10のマイナス5乗
[Torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを
定期的に印加することにより、真空雰囲気中に存在する
有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積
させる。ここでの堆積物1113は、単結晶グラファイ
ト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれか
か、もしくは、その混合物であり、膜厚は500[オン
グストローム]以下、より好ましくは、300[オング
ストローム]以下である。
【0072】通電方法を、より詳しく説明するために、
図14に、活性化用電源1112から印加する適宜の電
圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定電圧の
矩形波を定期的に印加して、通電活性化処理を行った
が、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V]、パ
ルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間隔T4は10[ミ
リ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施形態の
表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て条件を適宜変更するのが望ましい。
【0073】図12の(d)に示す1114は、該表面
伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉する
ためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および
電流計1116が接続されている(なお、基板1101
を、表示パネルの中に組み込んでから、活性化処理を行
う場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極111
4として用いる)。活性化用電源1112から電圧を印
加する間、電流計1116で、放出電流Ieを計測し
て、通電活性化処理の進行状況をモニターし、活性化用
電源1112の動作を制御する。電流計1116で計測
された放出電流Ieの一例を図18に示すが、活性化電
源1112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の
経過とともに放出電流Ieは増加するが、やがて、飽和
して、ほとんど、増加しなくなる。
【0074】このように、放出電流Ieがほぼ飽和した
時点で、活性化用電源1112からの電圧印加を停止
し、通電活性化処理を終了する。なお、上述の通電条件
は、本実施例の表面伝導型放出素子に関する好ましい条
件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合に
は、それに応じて、条件を適宜変更するのが望ましい。
以上のようにして、図12の(e)に示すような、平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0075】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)図15には、表示装置に用いた素子の、(放出電
流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および、(素子
電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を
示す。なお、放出電流Ieは、素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難である上、こ
れらの特性は、素子の大きさや形状などの設計パラメー
ターを変更することにより、変化するものであるため、
2本のグラフは各々、任意単位で図示した。
【0076】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して、以下に述べる3つの特性を有している。第一に
は、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大
きさの電圧を素子に印加すると、急激に放出電流Ieが
増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出
電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放出電流Ie
に関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子で
ある。
【0077】第二には、放出電流Ieは素子に印加する
電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流
Ieの大きさを制御できる。また、第三には、素子に印
加する電圧Vfに対して、素子から放出される電流Ie
の応答速度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さ
によって、素子から放出される電子の電荷量を制御でき
る。
【0078】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。例
えば、多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。即ち、駆動
中の素子には、所望の発光輝度に応じて、閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には、閾
値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順
次切り替えて行くことにより、表示画面を順次走査して
表示を行うことが可能である。また、第二の特性または
第三の特性を利用することにより、発光輝度を制御する
ことができるため、階調表示を行うことが可能である。
【0079】(電子源基板の構造)次に、上述の表面伝
導型放出素子を基板上に配列して、単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。図16
に示すのは、図9の表示パネルに用いた電子源基板1の
平面図である。基板上には、図9で示したものと同様な
表面伝導型放出素子が配列されており、これらの素子は
行方向配線電極11と列方向配線電極12により単純マ
トリクス状に配線されている。行方向配線電極11と列
方向配線電極12の交差する部分には、電極間に絶縁層
(図示せず)が形成されており、電気的な絶縁が保たれ
ている。なお、図16のA−A′に沿った断面を図17
に示す。
【0080】以上のようにして作成した画像表示装置の
行方向および列方向の配線電極に、給電端子Dx1〜D
xmおよびDx1′〜Dxm′を経由して、情報信号な
どに応じた所望電圧を印加して、素子を駆動し、該素子
から電子を放出させ、画像を形成した。
【0081】また、給電端子Hvを経由して、表示パネ
ル内の蛍光体に、10kVの電圧を印加した。加速電圧
として、10kV印加する場合、従来の装置では、沿面
距離を30mm、確保するために、画像表示面と平行な
方向(X方向)の距離を十分にとる必要があったが、こ
の実施例においては、前述のように、X方向距離は5m
mとしても、Z方向で、十分な沿面距離を確保できるた
め、輝度、コントラストが高い画像表示を実現しなが
ら、しかも、装置の面積の増大を最小限にすることがで
きた。
【0082】(実施例2)この実施例2は、画像表示装
置全体の構成が実施例1と同様なので、その説明を省略
する。なお、実施例1においては、電子源基板1が固定
されたリアプレート3の裏面側に、ガラス枠4を介し
て、フリットガラスにより、引き出し配線基板6を封着
して、リアプレート部材を完成したが、この実施例にお
いては、上記リアプレート3、ガラス枠4、引き出し配
線基板6をガラスのプレス成型により一体成形した(図
18を参照)。
【0083】また、引き出し配線基板部6には、引き出
し配線電極16として用いる、素子の行方向と列方向の
配線電極と対応する数の、棒状、あるいはリボン状の金
属部材を、ガラスプレスと同時に、プレス成型で埋め込
んである。特に、この実施例によれば、プレス成型ガラ
スを用いることで、実施例1と同様の効果が得られる他
に、フリットガラスによる、リアプレート、ガラス枠、
引き出し配線基板の封着が不要になるため、装置の作成
プロセスが簡略化される。更に、別体の部材をフリット
ガラスで接着する場合に比べて、強い接合強度で設計す
ることが可能になり、装置をより軽量化することができ
た。
【0084】(実施例3)この実施例3では、装置の表
示パネル部分の構成が、実施例1あるいは実施例2と同
様である。なお、この実施例においては、実施例1ある
いは実施例2の装置構成において、リアプレート背面に
生じる余裕空間を利用し、その部分に装置駆動用の電気
ボード17を埋め込む構成とした(図17を参照)。
【0085】このため、実施例1、2と同様の効果に加
えて、電気ボードまで含めた、画像表示装置全体の小型
化が可能である。
【0086】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の画像表
示装置によれば、画像表示面周辺の、画像表示に寄与し
ない無駄な部分である額縁部分の距離を増大させること
なく、十分な沿面距離を確保でき、装置の小型化、軽量
化を損なうことなく、十分な放電耐性を持った構成にで
き、輝度、コントラストが高く、良好な画像を表示する
ことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の表面伝導型放出素子の一例を示す図であ
る。
【図2】従来知られたFE型素子の一例を示す図であ
る。
【図3】従来知られたMIM型素子の一例を示す図であ
る。
【図4】冷陰極素子からなるマルチ電子ビーム源の配線
図である。
【図5】従来の画像表示装置の斜視図である。
【図6】従来の画像表示装置の断面構成を説明する図で
ある。
【図7】本発明の実施の形態を示す、画像表示装置の断
面構成図である。
【図8】同じく、リアプレート部材の構成を示す斜視図
である。
【図9】同じく、画像表示装置の斜視図である。
【図10】同じく、フェースプレートの蛍光体配列を示
した平面図である。
【図11】表面伝導型放出素子の平面(a)およびその
断面形状(b)を示す図である。
【図12】平面型の表面伝導型放出素子の製造プロセス
を示す図である。
【図13】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を
示す図である。
【図14】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)と
放出電流Ieの変化(b)を示す図である。
【図15】表面伝導型放出素子の典型的な特性を示すグ
ラフ図である。
【図16】電子源基板の平面図である。
【図17】電子源基板の一部断面図である。
【図18】本発明の別の実施形態のリアプレート部材構
成を説明する断面図である。
【図19】本発明の更に別の実施形態の装置構成を説明
するための図である。
【符号の説明】
1 素子(電子源)基板 2 電子放出素子 3 リアプレート 4 (第一)ガラス枠 5 (第二)ガラス枠 6 引き出し配線基板 7 フェースプレート 8 蛍光体 9 メタルバック 10 ボンディングワイヤ 11 素子配線電極(行方向) 12 素子配線電極(列方向) 14 引き出し配線電極(行方向) 15 引き出し配線電極(列方向) 16 引き出し配線電極(プレス成型) 17 電気ボード

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電子放出素子が形成されたリアプ
    レートと、該電子放出素子から放出された電子の照射を
    受けて発光し、画像を形成する蛍光体が内面に塗布され
    ているフェースプレートと、該リアプレートとフェース
    プレートと共に真空容器を形成する外枠とを装備した画
    像表示装置において、 前記複数の電子放出素子を駆動するための電気信号が印
    加される配線電極を、真空容器外に引き出すための引き
    出し配線部が、電子放出素子が形成された基板平面に対
    して、画像表示面から見て、後方に配置されていること
    を特徴とする画像表示装置。
  2. 【請求項2】 前記リアプレートは、複数の電子放出素
    子が形成された素子基板の裏面に接着された第一の外枠
    を介して、引き出し配線基板を接着し、前記素子基板内
    の配線と引き出し配線とを電気的に接続しており、前記
    リアプレートの引き出し配線基板が、フェースプレート
    裏面に接着された第二の外枠の、裏面方向の端部と接着
    され、これにより、前記真空容器が完成することを特徴
    とする、請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 【請求項3】 前記リアプレートは、複数の電子放出素
    子が形成される素子基板の面と、該素子基板の面に対し
    て、画像表示面から見て、後方に配置される、前記電子
    放出素子の駆動用配線の、真空容器外への引き出し配線
    部を、一体形成していることを特徴とした、請求項1に
    記載の画像表示装置。
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