JP2000251785A - 電子線装置、および画像形成装置 - Google Patents

電子線装置、および画像形成装置

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JP2000251785A
JP2000251785A JP11046874A JP4687499A JP2000251785A JP 2000251785 A JP2000251785 A JP 2000251785A JP 11046874 A JP11046874 A JP 11046874A JP 4687499 A JP4687499 A JP 4687499A JP 2000251785 A JP2000251785 A JP 2000251785A
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electron beam
electrode
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Masahiro Fushimi
正弘 伏見
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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペーサの正帯電により引き寄せられる電子
の電子軌道をスペーサの立ち位置ずれに影響されること
なく精度良く補正できる電子線装置およびそれを応用し
た画像形成装置を提供する。 【解決手段】 スペーサ20の帯電により引き寄せられ
る電子の電子軌道補正するために、スペーサ20と接続
する配線42の高さが他の配線13の高さより大きくし
てある。また同時に、スペーサ20の端面にスペーサ電
極41が形成され配線42と接続してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線装置および
その応用である表示装置等の画像形成装置に関し、特
に、画像形成装置の外囲器内部に支持部材(スペーサ)
を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば表面伝導型放出素子や、電界放出
型素子(以下、FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属
型放出素子(以下、MIM型と記す)、などが知られて
いる。
【0003】表面伝導型放出素子としては、たとえば、
M.I.Elinson,Radio Eng.Ele
ctron Phys.,10,1290,(196
5)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:”Thin Solid Fi
lms”,9,317(1972)]や、In23/S
nO2薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:”IEEE Trans.
ED Conf.”,519(1975)]や、カ−ボ
ン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1
号、22(1983)]等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図24に前述のM.Hartwel
l らによる素子の平面図を示す。同図において、符号
3001は基板を示す。符号3004はスパッタで形成
された金属酸化物よりなる導電性薄膜を示す。導電性薄
膜3004は図24に示すようにH字形の平面形状に形
成されている。導電性薄膜3004に後述の通電フォ−
ミングと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出
部3005が形成される。図中の間隔Lは、0.5〜1
[mm],Wは、0.1[mm]で設定されている。
尚、図示の便宜から、電子放出部3005は導電性薄膜
3004の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的
なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に
表現しているわけではない。
【0006】M.Hartwellらによる素子をはじ
めとして上述の表面伝導型放出素子においては、電子放
出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォ−ミングと
呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005
を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォ−
ミングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直
流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっく
りとしたレ−トで昇圧する直流電圧を印加して通電し、
導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしく
は変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部30
05を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは
変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、
亀裂が発生する。前記通電フォ−ミング後に導電性薄膜
3004に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付
近において電子放出が行われる。また、FE型の例は、
たとえば、W.P.Dyke&W.W.Dolan,”
Field emission”,Advance i
n ElectronPhysics,8,89(19
56)や、あるいは、 C.A.Spindt,”Ph
ysical properties of thi
n−filmfield emission cath
odes with molybd−enium co
nes”,J.Appl.Phys.,47,5248
(1976)などが知られている。
【0007】FE型の素子構成の典型的な例として、図
25に前述のC.A.Spindtらによる素子の断面
図を示す。同図において、符号3010は基板で、符号
3011は導電材料よりなるエミッタ配線、符号301
2はエミッタコ−ン、符号3013は絶縁層、符号30
14はゲ−ト電極を示す。本素子は、エミッタコ−ン3
012とゲ−ト電極3014の間に適宜の電圧を印加す
ることにより、エミッタコ−ン3012の先端部より電
界放出を起こさせるものである。
【0008】また、FE型の他の素子構成として、図2
5に示すような積層構造ではなく、基板上に基板平面と
ほぼ平行にエミッタとゲ−ト電極を配置した例もある。
【0009】また、MIM型の例としては、たとえば、
C.A.Mead,”Operation of tu
nnel−emission Devices,J.A
ppl.Phys.,32,646(1961)などが
知られている。MIM型の素子構成の典型的な例を図2
6に示す。同図は断面図であり、図26において、符号
3020は基板で、符号3021は金属よりなる下電
極、符号3022は厚さ100オングストロ−ム程度の
薄い絶縁層、符号3023は厚さ80〜300オングス
トロ−ム程度の金属よりなる上電極を示す。MIM型に
おいては、上電極3023と下電極3021の間に適宜
の電圧を印加することにより、上電極3023の表面よ
り電子放出を起こさせるものである。
【0010】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒ−
タ−を必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構
造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、
基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱
溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒ
−タ−の加熱により動作するため応答速度が遅いのとは
異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利
点もある。
【0011】このため、冷陰極素子を応用するための研
究が盛んに行われてきている。たとえば、表面伝導型放
出素子は、冷陰極素子のなかでも特に構造が単純で製造
も容易であることから、大面積にわたり多数の素子を形
成できる利点がある。そこで、たとえば本出願人による
特開昭64−31332において開示されるように、多
数の素子を配列して駆動するための方法が研究されてい
る。
【0012】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの画像
形成装置や、荷電ビ−ム源、等が研究されている。
【0013】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP 5,066,883や特
開平2−257551や特開平4−28137において
開示されているように、表面伝導型放出素子と電子ビ−
ムの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた
画像表示装置が研究されている。表面伝導型放出素子と
蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の
他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されて
いる。たとえば、近年普及してきた液晶表示装置と比較
しても、自発光型であるためバックライトを必要としな
い点や、視野角が広い点が優れていると言える。
【0014】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、たとえば本出願人によるUSP4,904,89
5に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応
用した例として、たとえば、R.Meyer らにより
報告された平板型表示装置が知られている。[R.Me
yer:”Recent Developmenton
Micro−tips Display at LE
TI”,Tech.Digest of 4th In
t. Vacuum Micro ele−ctron
ics Conf.,Nagahama,pp.6〜9
(1991)] また、MIM型を多数個並べて画像表示装置に応用した
例は、たとえば本出願人による特開平3−55738に
開示されている。
【0015】上記のような電子放出素子を用いた画像形
成装置のうちで、奥行きの薄い平面型表示装置は省スペ
ースかつ軽量であることから、ブラウン管型の表示装置
に置き換わるものとして注目されている。
【0016】図27は平面型の画像表示装置をなす表示
パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示すた
めにパネルの一部を切り欠いて示している。図中、符号
3115はリアプレート、符号3116は側壁、符号3
117はフェースプレートを示し、リアプレート311
5、側壁3116およびフュースプレート3117によ
り、表示パネルの内部を真空に維持するための外囲器
(気密容器)が形成されている。
【0017】リアプレート3115には基板3111が
固定されているが、この基板3111上には冷陰極素子
3112が、N×M個形成されている。(N、Mは2以
上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適
宜設定される。)また、前記N×M個の冷陰極素子31
12は、図27に示すとおり、M本の行方向配線311
3とN本の列方向配線3114により配線されている。
これら基板3111、冷陰極素子3112、行方向配線
3113および列方向配線3114によって構成される
部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。また、行方向配線3
113と列方向配線3114の少なくとも交差する部分
には、両配線間に絶縁層(不図示)が形成されており、電
気的な絶縁が保たれている。
【0018】フェースプレート3117の下面には、蛍
光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤
(R)、緑(G)、育(B)の3原色の蛍光体(不図
示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をな
す上記各色蛍光体の間には黒色体(不図示)が設けられ
ており、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115
側の面には、Al等からなるメタルバック3119が形
成されている。
【0019】図中のDx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行
方向配線3113と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線3114と、Hvはメタルバック31
19と各々電気的に接続されている。
【0020】また、上記気密容器の内部は10のマイナ
ス6乗Torr程度の真空に保持されており、画像表示
装置の表示面積が大きくなるにしたがい、気密容器内部
と外部の気圧差によるリアプレート3115およびフェ
ースプレート3117の変形あるいは破壊を防止する手
段が必要となる。リアプレート3115およびフェース
プレート3116を厚くすることによる方法は、画像表
示装置の重量を増加させるのみならず、斜め方向から見
たときに画像のゆがみや視差を生ずる。これに対し、図
27においては、比較的薄いガラス板からなり大気圧を
支えるための構造支持体(スペーサあるいはリブと呼ば
れる)3120が設けられている。このようにして、マ
ルチビーム電子源が形成された基板3111と蛍光膜3
118が形成されたフェースプレート3116間は通常
サブミリないし数ミリに保たれ、前述したように気密容
器内部は高真空に保たれている。
【0021】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子3112に電圧を印加する
と、各冷陰極素子3112から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック3119に容器外端子Hvを通じ
て数百[V]ないし数[kV]の高電圧を印加して、上
記放出された電子を加速し、フェースプレート3117
の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜3118をな
す各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示され
る。
【0022】スペーサは大気圧を支持するために十分な
機械的強度が求められ、リアプレートとフェースプレー
ト間を飛翔する電子の軌道に大きく影響してはならな
い。電子軌道に影響を与える原因はスペーサの帯電であ
る。スペーサ帯電は電子源から放出した電子の一部ある
いはフェースプレートで反射した電子がスペーサに入射
し、スペーサから二次電子が放出されることにより、あ
るいは電子の衝突により電離したイオンが表面に付着す
ることによるものと考えられる。
【0023】スペーサが正帯電するとスペーサ近傍を飛
翔する電子がスペーサに引き寄せられるためスペーサ近
傍で表示画像に歪みを生ずる。帯電の影響はリアプレー
トとフェースプレート間隔が大きくなるに従い顕著にな
る。
【0024】一般に帯電を抑制する手段として、帯電面
に導電性を付与し、若干の電流を流すことで電荷を除去
することが行なわれる。この概念をスペーサに応用しス
ペーサ表面を酸化スズで被覆する手法が特開昭57−1
18355号公報に開示されている。また、特開平3−
49135号公報にはPdO系ガラス材で被覆する手法
が開示されている。
【0025】画像表示装置として輝度が高いことは重要
な要素である。フェースプレートに形成されている蛍光
体を効率よく発光させるためには、高い電圧で加速した
電子を蛍光体に照射すればよく、十分な効率で発光させ
るためには電子を3kV以上に、望ましくは5kV以上
に加速するとよい。したがって、リアプレートとフェー
スプレート間には数kV以上の電圧が印加されているこ
とになり、スペーサ両端にもこれとほぼ同電位の電圧が
印加される。スペーサに使われる材料は加速電圧の印加
において放電しないことが求められる。
【0026】沿面放電耐圧の向上手段として二次電子放
出率が小さい材料で表面を被覆すると効果的である。二
次電子放出率が小さい材料で被覆した例として、酸化ク
ロム(T.S.Sudarshan and J.D.Cross:IEEE Tran.EI-1
1,32(1976))、酸化銅(J.D.Cross and T.S.sudarshan:
IEEE Tran.EI-9146(1974))が知られている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、スペ
ーサの正帯電によりスペーサ近傍を飛翔する電子がスペ
ーサに引き寄せられるためスペーサ近傍で表示画像に歪
みを生ずる。この問題に対し、電子源近傍のスペーサ部
に電極を設け、配線部と接続させることにより、帯電に
よる電子偏向に対し補正を加え、蛍光体の正規の位置に
電子が到達させることが可能である(特開平10−33
4833号参照)。
【0028】この様子を図28を用いて説明する。図2
8において、符号30はフェースプレート、符号20は
スペーサ、符号21はスペーサ電極、符号13は配線、
符号111は電子放出部、符号31は電子源の形成され
たリアプレート基板、符号112は電子軌道、符号25
は等電位線を示す。
【0029】図28に示すようにスペーサ20の帯電に
より電子はスペーサ側に引き寄せられる。これを補正す
るために、スペーサ20の電子放出部11側端部の表面
にスペーサ電極21を形成し、スペーサ近傍の電子放出
部111付近の電位を補正することにより、電子放出部
111付近での電子の軌道をスペーサ20から反発する
方向に修正し、電子をフェースプレート30の正規の位
置に到達させることが可能である。
【0030】しかしながら、組み立て誤差により発生す
るスペーサ20の立ち位置ずれは、電子軌道に影響を与
えるため、スペーサを正規の位置に組み立てるための調
整が複雑であった。これは、しばしば量産性の低下に繋
がったり、歩留まりの低下をもたらすことがあった。
【0031】本発明の目的は、上述した従来技術の問題
点に鑑み、スペーサの正帯電により引き寄せられる電子
の電子軌道をスペーサの立ち位置ずれに影響されること
なく精度良く補正できる電子線装置およびそれを応用し
た画像形成装置を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、基板上に複数の電子放出素子と該電子放出
素子に駆動信号を送る配線とを有する電子源と、前記電
子放出素子に対向配置され前記電子放出素子より放出さ
れた電子を制御する制御電極と、前記電子源と前記制御
電極間に配置され、前記配線と接触して前記配線上に配
置される支持部材とを含む電子線装置において、前記支
持部材の接触する部分もしくは接触する部分の近傍にお
ける配線の高さが、前記支持部材と接しない配線の高さ
より大きいことを特徴とする。
【0033】上記の電子線装置は、前記支持部材の形状
が略直方体形状を有していることや、前記支持部材の形
状が円柱形状を有していることを特徴とする。
【0034】また上記の電子線装置における前記電子放
出素子は、対向する一対の素子電極と該素子電極間に跨
る電子放出部を含む薄膜とで構成される電子放出素子で
ある。この場合、前記薄膜が導電性微粒子で構成された
膜である。
【0035】さらに上記の電子線装置において、前記電
子源は、電流を供給する複数の行方向配線及び列方向配
線とを絶縁層を介して配置し、前記一対の素子電極をそ
れぞれ該行方向配線および該列方向配線とに結線するこ
とで、絶縁基板上に前記複数の電子放出素子を行列状に
配列して構成されることや、また、複数の行方向配線を
配置し、前記電子放出素子を構成する一対の素子電極が
前記複数の行方向配線のうちの一対の行方向配線とそれ
ぞれ結線されることで、絶縁性基板上に複数の前記電子
放出素子を行列状に配列して構成されることを特徴をす
る。
【0036】また本発明は、前記加速電圧により加速さ
れた電子線の衝突により画像が形成される画像形成部材
をさらに設けた上記何れかの電子線装置から構成された
画像形成装置を含む。
【0037】(作用)上記のとおりの発明では、前記支
持部材の接触する部分もしくは接触する部分の近傍にお
ける配線の高さを前記支持部材と接しない配線の高さよ
り大きくすることで、この大きくした配線の電位を利用
して、支持部材近傍での電子軌道を支持部材から反発す
る方向に修正し、電子を正規の位置に到達させることが
可能である。また、従来のような支持部材の電子源側の
端部表面に形成したスペーサ電極によって電子軌道を修
正する構造ではないので、支持部材の組立て位置ずれが
電子軌道の補正に影響を及ぼすことがない。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0039】(発明の基本概念)まず、本発明の概念を
図1、図2及び図3を用いて説明する。図1及び図2に
おいて、符号30はフェースプレート、符号31は電子
源の形成されたリアプレート基板、符号20はフェース
プレート30とリアプレート基板31の間に配置された
スペーサ、41はスペーサ20の端面のみに形成された
スペーサ電極、13は配線、42はスペーサと接続され
る配線、111は電子放出部、112は電子軌道、25
は等電位線を示す。
【0040】スペーサ20の帯電により引き寄せられる
電子の電子軌道補正するために、スペーサ20と接続す
る配線42の高さが他の配線13の高さより大きくして
ある。また同時に、スペーサ20の端面にスペーサ電極
41が形成され配線42と接続してある。スペーサ端面
に形成した電極41は、絶縁性材料でスペーサ20を作
製した場合には、単純マトリクス配線における交差部の
段差や作製時のわずかの高さむらを均一化する効果を奏
する。しかしながら、そのような段差や高さむらがなけ
れば必ずしも電極41は必要としない。
【0041】この様子を図3を用いて説明する。図3に
おいて、符号3113は行方向配線、符号3114は列
方向配線、符号44は配線間の絶縁性を保つための層間
絶縁層を示す。また、符号20はスペーサ、符号43は
行方向配線3113と列方向配線3114の交差部を示
す。スペーサ20は高くなって形成される交差部43で
配線3113と接続されている。このとき、配線311
3に接するスペーサ20の端面にのみ形成されたスペー
サ電極(図1及び図2の符号41参照)によって、交差
部43間の電位の高さや配線の形成時に発生する高さむ
らを均一に補正し、より高い精度で、電子軌道の補正を
行うことが可能になった。
【0042】次に、本発明の最も特徴的な部分であるス
ペーサ20の立ち位置がずれた場合には、スペーサの帯
電による吸引効果にずれは生ずるのもの、スペーサ20
と接する配線は電子放出部111が形成される電子源基
板31に他の配線よりも高く形成されることで、この配
線部が電子放出部111付近での電子の軌道をスペーサ
20から反発する方向に修正する手段として働くので、
スペーサ組み立ての影響を受けず、電子軌道に影響を与
えやすい電子放出部111近傍において、精度の高い補
正ができ、色ずれの少ない高品位な画像装置の実現が可
能となった。
【0043】また、このことは同時に、スペーサを正規
の位置に組み立てるために必要である複雑な調整を簡素
化することを可能とし、スペーサの位置ずれによる歩留
まり低下の抑制も含め量産性の高い装置の提供を可能に
した。
【0044】上述した様に、本発明においては、電子放
出部付近の電子軌道補正はスペーサと接続する配線の高
さを大きくすることにより行っている。配線は、電子源
基板にフォトリソグラフィ法を用いたパターニングやス
クリーン印刷等の精度の高い形成方法を用いて一括形成
することが可能であり、電子放出部に対しての位置ずれ
を小さくすることが可能である。このため、スペーサの
組み立て誤差による電子軌道に与える影響を小さくする
ことが可能となり、高品質な画像を有する画像形成装置
等を高い量産性を持って提供することが可能となった。
【0045】配線材料としては、各種導電材料を適用す
ることができる。例えば、スクリーン印刷法を用いて配
線を形成する場合には、金属とガラスペーストと混合さ
せた塗布材料、また、めっき法を用いて金属を析出させ
る場合には、めっき浴材料が適用可能である。スペーサ
と接続する、電子放出部近傍の他より高くなった配線部
においては、他の配線より高くする部分とその下に形成
される部分とが電気的に接続されていれば、他の配線と
同じ高さ部分は他配線と同様の方法を用いて一括形成
し、他の配線より高くする部分のみは他の製法を適用し
てもよい。
【0046】また、スペーサの形状としては、板状の他
に円柱等の各種形状を適用することが可能である。
【0047】以上、画像形成装置を例に挙げて説明した
が、本発明の電子線装置は、以下のような形態を有する
ものであってもよい。
【0048】前記電子線装置は、前記電極が前記電子
源より放出された電子を加速する加速電極であり、入力
信号に応じて前記冷陰極素子から放出された電子を前記
ターゲットに照射して画像を形成する画像形成装置をな
す。特に、前記ターゲットが蛍光体である画像表示装置
をなす。
【0049】前記冷陰極素子は、電子放出部を含む導
電性膜を一対の電極間に有する冷陰極素子であり、特に
好ましくは表面伝導型放出素子である。
【0050】前記電子源は、複数の行方向配線と複数
の列方向配線とでマトリクス配線された複数の冷陰極素
子を有する単純マトリクス状配置の電子源をなす。
【0051】前記電子源は、並列に配置した複数の冷
陰極素子の個々を両端で接続した冷陰極素子の行を複数
配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列方
向と呼ぶ)に沿って、冷陰極素子の上方に配した制御電
極(グリッドとも呼ぶ)により、冷陰極素子からの電子
を制御するはしご状配置の電子源をなす。
【0052】また、本発明の思想によれば、表示用と
して好適な画像形成装置に限るものでなく、感光性ドラ
ムと発光ダイオード等で構成された光プリンタの発光ダ
イオード等の代替の発光源として、上述の画像形成装置
を用いることもできる。またこの際、上述のm本の行方
向配線とn本の列方向配線を、適宜選択することで、ラ
イン状発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応
用できる。この場合、画像形成部材としては、以下の実
施形態で用いる蛍光体のような直接発光する物質に限る
ものではなく、電子の帯電による潜像画像が形成される
ような部材を用いることもできる。
【0053】また、本発明の思想によれば、例えば電子
顕微鏡のように、電子源からの放出電子の被照射部材
が、蛍光体等の画像形成部材以外のものである場合につ
いても、本発明は適用できる。従って、本発明は被照射
部材を特定しない一般的電子線装置としての形態もとり
うる。
【0054】次に、本発明の最も特徴的な部分である配
線とスペーサについて第1〜第5の実施の形態例を挙げ
てさらに詳細に説明する。
【0055】(第1の実施の形態)図4から図6は、本
発明の画像形成装置の第1の実施形態を説明するための
図であり、図4はパネルの断面の一部でありスペーサ近
傍の様子を示す図、図5はスペーサ近傍の斜視図、図6
はスペーサ端面に電極を形成する方法を説明するための
図である。
【0056】図4および図5において、符号30はフェ
ースプレート、符号20はスペーサ、符号22はスペー
サ20の側面を覆う高抵抗膜、符号23はフェースプレ
ート側スペーサ電極、符号41はスペーサ端面のみに形
成された電子源基板側スペーサ電極、符号46は導電性
接続部、符号13は行方向配線、符号42はスペーサと
接続される行方向配線、符号111は電子放出部、符号
31は電子源の形成されたリアプレート基板、符号11
2は電子軌道、符号25は等電位線、符号aは配線高さ
の補正量を示す。尚、電極23及び41は、高抵抗膜2
2と、配線42、メタルバック等の制御電極との電気的
接続が十分にとれれば、必ずしも必要とするものではな
い。
【0057】本実施形態では、行方向配線(図示せず)
および絶縁層(図示せず)を電子源基板31に形成した
後、Agペーストをスクリーン印刷法により塗布し、行
方向配線13を形成した。また、スペーサと接続される
行方向配線42は、他の行方向配線13と同様に形成し
たあと、さらにスクリーンを変えて、この配線部42の
みに多層印刷することにより形成した。本実施形態にお
いては、20μmの厚さで各行方向配線13を形成した
後、その上に3回の印刷を行い35μmの高さの補正量
aを加えた。また、各配線幅は300μmとして形成し
た。
【0058】また、スペーサ20の厚みは220μm高
にし、端面に形成したスペーサ電極41を厚み0.5μ
mで形成した。
【0059】本実施形態において、高抵抗膜22は酸化
ニッケル膜用いた。酸化ニッケル膜は、アルゴンガスと
酸素ガスの混合ガス中でNiターゲットをスパッタする
反応性スパッタ法を用い約0.1μmの厚さに形成し
た。次に、マスク治具を用いてアルミニウムを0.3〜
0.5μmの厚みに成膜して、フェースプレート側スペ
ーサ電極23および、端面のみに形成された電子源基板
側スペーサ電極41を形成した。
【0060】このときの様子を図6に示した。図6にお
いて、符号501はメタルマスク、符号502は端面の
みに形成する電子源基板側スペーサ電極41の形成位
置、符号503はフェースプレート側スペーサ電極の形
成位置、符号504はスペーサ電極形成用プレートを示
す。図6に示すように、表面が高抵抗膜(不図示)で覆
われたプレート504上にスペーサ20を寝かせて配置
し、スペーサ20のプレート504とは反対側の側面に
メタルマスク501を貼り付ける。このマスク501に
より、スペーサ20の電子源基板側となる端面のみとフ
ェースプレート側となる端面及び側面の一部とを除いて
覆うとともに、この覆われていない二つの面502、5
03にそれぞれ電極を形成した。この後、スペーサ20
の裏表を入れ替えて同様に電極を形成し、スペーサを作
製した。
【0061】本方法を用いることにより、画像装置の電
子源基板側のスペーサ電極はスペーサ端面部のみに形成
することが可能となった。
【0062】なお、本実施形態においては、スペーサ2
0は導電性接続部46にて、フェースプレート30に固
定した後、電子源基板31とフェースプレート30とを
組み立てることにより配置した。導電性接続部46に
は、上述した球状のガラス製絶縁性フィーラに金属めっ
きを施したものをフリットガラス中に分散させたものを
用い、これによりフェースプレート30とフェースプレ
ート側スペーサ電極23との電気的接続とスペーサ20
の固定を行った。
【0063】また、スペーサ20の表面に高抵抗膜22
を形成したことにより、帯電電位の上昇を抑制すると同
時に、スペーサ高さ方向に均一に電位を与え電子軌道の
むらを低減することが可能である。
【0064】行方向配線間の距離を600μm、列配線
方向間の距離を300μm、パネル内厚dを2mm、加
速電圧を8kVとして、上述した構成の画像形成装置を
駆動したところ、色ずれのない非常に高品位な画像の提
供が実現可能となった。
【0065】(第2の実施の形態)図7は本発明の画像
形成装置の第2の実施形態を説明するための図であり、
パネルの一部におけるスペーサ近傍の様子を示す斜視図
である。
【0066】図7において、符号20はスペーサ、符号
22はスペーサ20の側面を覆う高抵抗膜、符号23は
フェースプレート側スペーサ電極、符号41は端面のみ
に形成された電子源基板側スペーサ電極、符号13は行
方向配線、符号45はスペーサと接続される行方向配線
の高さ補正部、符号111は電子放出部、符号aは配線
高さの補正量を示す。
【0067】本実施形態は、導電性フリットを配線の高
さ補正部45として用いた点で第1の実施形態と異な
る。
【0068】本実施形態においては、電子源基板に行方
向配線13を形成した後、ディスペンサを用いて約幅2
50μm、高さ50μmの大きさに補正部45を形成し
た。スペーサ20は、第1の実施形態と同様に導電性フ
リットを用いてフェースプレート(不図示)に固着した
あと、配線の高さ補正部45と接続するように電子源基
板と組み立てた。
【0069】行方向配線間の距離を700μm、列配線
方向間の距離を330μm、パネル内厚dを2.2m
m、加速電圧を10kVとして、上述した構成の画像形
成装置を駆動したところ、第1の実施形態と同様に、色
ずれのない非常に高品位な画像の提供が実現可能となっ
た。
【0070】(第3の実施の形態)図8は本発明の画像
形成装置の第3の実施形態を示す図であり、この装置は
第1の実施形態と同じ構成においてスペーサ20に円柱
形状のスペーサを用いたものである。図示していない
が、円柱状のスペーサ20の端面には、スペーサとなる
円柱部材を束ねて配列させてマスク蒸着により形成した
アルミニウム電極が設けられている。また、配線の高さ
補正部45は、第1の実施形態と同様にスクリーン印刷
を用いて配線幅に略等しい300μmの幅に形成してあ
り、円柱状スペーサ20の径はそれよりも小さい200
μmのものを用いた。また、この補正量aのサイズは4
0μmとした。
【0071】また、スペーサ20はその正帯電による電
子軌道への影響を考慮して電子放出素子より一様に遠い
場所に配置するのがよい。この場所としては例えば行方
向配線と列方向配線の交点が望ましい。この場合、配線
の重なりによってスペーサ配置位置がもともと高くなる
ので、その分高さ補正部45の高さaが低くてすむ。本
実施形態においても、スペーサの位置ずれが少なく、ス
ペーサの位置ずれによりスペーサ近傍で著しく電子ビー
ムが偏向することがなく良好は画像形成装置が提供でき
た。
【0072】(第4の実施の形態) [平面FE型]本実施形態においては、平面フィールド
エミッション(FE)型電子放出素子を本発明の電子放
出素子として用いた例を示す。
【0073】図9は、平面FE型電子放出電子源の上面
図であり、符号3101は電子放出部、符号3103及
び3104は電子放出部3101に電位を与える一対の
素子電極、符号3114はX方向配線、符号3113は
Y方向配線を示す。Y方向配線3113にはスペーサ位
置出し用溝1030が形成されている。
【0074】素子電極3103、3104間に電圧を印
加することにより電子放出部3101内の鋭利な先端部
より電子が放出され、電子源と対向して設けられた加速
電圧(図示せず)に電子が引き寄せられて蛍光体(図示
せず)に衝突し蛍光体を発光させる。
【0075】本実施形態において、第1の実施形態と同
様な方法で画像形成装置を作製し、第1の実施形態と同
様に駆動させたとろ、2次元状に等間隔の発光スポット
列が形成され、隣接画素へのビームのはみ出しがない画
像形成装置が他の実施形態と同様に得られた。
【0076】(その他の実施の形態)また、本発明は、
表面伝導型以外の冷陰極型電子放出素子のうち、いずれ
の電子放出素子に対しても適用できる。具体例として
は、本出願人による特開昭63−274047号公報に
記載されたような対向する一対の電極を電子源を成す基
板面に沿って構成した電界放出型の電子放出素子があ
る。
【0077】また、本発明は、単純マトリクス型以外の
電子源を用いた画像形成装置に対しても適用できる。例
えば、本出願人による特開平2−257551号公報等
に記載されたような制御電極を用いて表面伝導型の選択
を行う画像形成装置において、電子源と制御電極間等に
上記のような支持部材を用いた場合である。
【0078】(本発明を好適に実施する画像表示装置)
以下では本発明を適用する装置について、画像表示装置
を例にあげて、表示パネルの構成と製造法について具体
的に説明する。
【0079】図10は、本発明を適用可能な画像形成装
置の表示パネルの斜視図であり、内部構造を表すために
パネルの一部を切り欠いて示している。図中、符号10
15はリアプレ−ト、符号1016は側壁、符号101
7はフェ−スプレ−トを示す。リアプレート1015と
側壁1016とフェースプレート1017とにより、表
示パネルの内部を真空に維持するための気密容器が形成
されている。気密容器を組み立てるにあたっては、各部
材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため封着
する必要がある。このため、たとえばフリットガラスを
接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏
400〜500度で10分以上焼成することにより封着
を達成した。気密容器内部を真空に排気する方法につい
ては後述する。また、上記気密容器の内部は10のマイ
ナス6乗[Torr]程度の真空に保持されるので、大
気圧や不意の衝撃などによる気密容器の破壊を防止する
目的で、耐大気圧構造体として、スペーサ1020が設
けられている。
【0080】リアプレ−ト1015には、基板1011
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1012
がN×M個形成されている。N,Mは2以上の正の整数
であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定され
る。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした
表示装置においては、N=3000,M=1000以上
の数を設定することが望ましい。前記N×M個の冷陰極
素子は、M本の行方向配線1013とN本の列方向配線
1014により単純マトリクス配線されている。上記の
構成部品1011〜1014によって構成される部分を
マルチ電子ビ−ム源と呼ぶ。
【0081】本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子
ビ−ム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子
源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制
限はない。したがって、たとえば表面伝導型放出素子や
FE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いるこ
とができる。
【0082】次に、冷陰極素子として表面伝導型放出素
子(後述)を基板上に配列して単純マトリクス配線した
マルチ電子ビ−ム源の構造について述べる。
【0083】図11は、図10に示した表示パネルに用
いられたマルチ電子ビ−ム源の平面図である。基板10
11上には、後述の図15で示すものと同様な表面伝導
型放出素子が配列され、これらの素子は行方向配線10
13と列方向配線1014により単純マトリクス状に配
線されている。行方向配線1013と列方向配線101
4の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形
成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0084】図11のB−B’に沿った断面を、図12
に示す。
【0085】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1103、列方向配
線電極1104、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1103および列方向配線電極1104
を介して各素子に給電して通電フォ−ミング処理(後
述)と通電活性化処理(後述)を行うことにより製造し
た。
【0086】本実施形態においては、気密容器のリアプ
レ−ト1015にマルチ電子ビ−ム源の基板1011を
固定する構成としたが、マルチ電子ビ−ム源の基板10
11が十分な強度を有するものである場合には、気密容
器のリアプレ−トとしてマルチ電子ビ−ム源の基板10
11自体を用いてもよい。
【0087】また、フェ−スプレ−ト1017の下面に
は、蛍光膜1018が形成されている。本実施形態はカ
ラ−表示装置であるため、蛍光膜1018の部分にはC
RTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体
が塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図1
3の(a)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、
蛍光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設
けてある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子
ビ−ムの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれ
が生じないようにする事や、外光の反射を防止して表示
コントラストの低下を防ぐ事、電子ビ−ムによる蛍光膜
のチャ−ジアップを防止する事などである。黒色の導電
体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の
目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良
い。
【0088】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図1
3(a)に示したストライプ状の配列に限られるもので
はなく、たとえば図13(b)に示すようなデルタ状配
列や、図14に示すようなそれ以外の配列であってもよ
い。
【0089】なお、モノクロ−ムの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1018に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。また、蛍光膜1018のリアプレ−ト側の面には、
CRTの分野では公知のメタルバック1019が設けて
いる。メタルバック1019を設けた目的は、蛍光膜1
018が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上
させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜1018を保護
する事や、電子ビ−ム加速電圧を印加するための電極と
して作用させる事や、蛍光膜1018を励起した電子の
導電路として作用させる事などである。メタルバック1
019は、蛍光膜1018をフェ−スプレ−ト基板10
17上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その
上にAlを真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍
光膜1018に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合に
は、メタルバック1019は用いない。
【0090】また、本実施形態では用いなかったが、加
速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フ
ェ−スプレ−ト基板1017と蛍光膜1018との間
に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0091】図15は図10のA−A’に沿った断面模
式図であり、各部の符号は図10に対応している。スペ
ーサ1020は絶縁牲部材1020aの表面に帯電防止
を目的とした高抵抗膜1020bを成膜し、かつフェー
スプレート1017の内側(メタルバック1019等)
及び基板1011の表面(行方向配線1013または列
方向配線1014)に面したスペーサの当接面3及びこ
れに接する側面部5に低抵抗膜1020cを成膜した部
材からなるもので、上記目的を達成するのに必要な数だ
け、かつ必要な間隔をおいて配置され、フェースプレー
トの内側および基板1011の表面に接合材1040に
より固定される。また、高抵抗膜1020bは、支持部
材1020aの表面のうち、少なくとも気密容器内の真
空中に露出している面に成膜されており、スペーサ10
20上の低抵抗膜1020cおよび接合材1040を介
して、フェースプレート1017の内側(メタルバック
1019等)及び基板1011の表面(行方向配線10
13または列方向配線1014)に電気的に接続され
る。ここで説明される態様においては、スペーサ102
0の形状は薄板状とし、行方向配線1013に平行に配
置され、行方向配線1013に電気的に接続されてい
る。
【0092】スペーサ1020としては、基板1011
上の行方向配線1013および列方向配線1014とフ
ェースプレート1017内面のメタルバック1019と
の間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有し、
かつスペーサ1020の表面への帯電を防止する程度の
導電性を有する必要がある。この点に関しては、既に述
べた通りである。
【0093】スペーサ1020の支持部材1020aと
しては、例えば石英ガラス、Na等の不純物含有量を減
少したガラス、ソーダライムガラス、アルミナ等のセラ
ミックス部材等が挙げられる。なお、支持部材1020
aはその熱膨張率が気密容器および基板1011を成す
部材と近いものが好ましい。
【0094】また、高抵抗膜1020bとしては、既に
述べたように帯電防止効果の維持及びリーク電流による
消費電力抑制を考慮して、その表面抵抗値が10の5乗
[Ω/□]から10の12乗[Ω/□]の範囲のものであ
ることが好ましく、その材料としては、前述の各種の材
料が用いられる。
【0095】また、低抵抗膜1020cは、高抵抗膜1
020bに比べ十分に低い抵抗値を選択すればよく、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,
Pd等の金属、あるいは合金、及びPd,Ag,Au,
RuO2,Pd−Ag等の金属や金属酸化物とガラス等
から構成される印刷導体、あるいはIn23−SnO 2
等の透明導体及びポリシリコン等の半導体材料等より適
宜選択される。
【0096】接合材1040はスペーサ1020が行方
向配線1013およびメタルバック1019と電気的に
接続するように、導電性をもたせる必要がある。すなわ
ち、導電性接着材や金属粒子や導電性フィラーを添加し
たフリットガラスが好適である。
【0097】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビ−ム源の行
方向配線1013と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビ−
ム源の列方向配線1014と、Hvはフェ−スプレ−ト
のメタルバック1019と電気的に接続されている。
【0098】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[T
orr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッタ−膜(不図示)を形成する。ゲッタ−膜とは、たと
えばBaを主成分とするゲッタ−材料をヒ−タ−もしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
該ゲッタ−膜の吸着作用により気密容器内は1×10マ
イナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr]
の真空度に維持される。
【0099】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子1012に電圧を印加する
と、各冷陰極素子1012から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック1019に容器外端子Hvを通じ
て数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上記
の放出された電子を加速し、フェースプレート1017
の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜1018をな
す各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示され
る。
【0100】通常、冷陰極素子である本発明の表面伝導
型放出素子1012への印加電圧は12〜16[V]程
度、メタルバック1019と冷陰極素子1012との距
離dは0.1[mm]から8[mm]程度、メタルバッ
ク1019と冷陰極素子1012間の電圧0.1[k
V]から10[kV]程度である。
【0101】以上、本発明を適用する表示パネルの基本
構成と製法、および画像表示装置の概要を説明した。
【0102】次に、前記表示パネルに用いたマルチ電子
ビ−ム源の製造方法について説明する。本発明の画像表
示装置に用いるマルチ電子ビ−ム源は、冷陰極素子を単
純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の材
料や形状あるいは製法に制限はない。したがって、たと
えば表面伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型な
どの冷陰極素子を用いることができる。
【0103】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極
素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。す
なわち、FE型ではエミッタコ−ンとゲ−ト電極の相対
位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極め
て高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や
製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。ま
た、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてしか
も均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コス
トの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表
面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大
面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明者
らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしく
はその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電
子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見
いだしている。したがって、高輝度で大画面の画像表示
装置のマルチ電子ビ−ム源に用いるには、最も好適であ
ると言える。そこで、上記実施例の表示パネルにおいて
は、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成
した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適な
表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法および
特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配
線したマルチ電子ビ−ム源の構造について述べる。
【0104】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0105】「平面型の表面伝導型放出素子」まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図16は平面型の表面伝導型放出素子の
構成を説明するための図で、(a)は平面図、(b)は
断面図である。図中、符号1101は基板、符号110
2と1103は素子電極、符号1104は導電性薄膜、
符号1105は通電フォ−ミング処理により形成した電
子放出部、符号1113は通電活性化処理により形成し
た薄膜を示す。
【0106】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0107】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn23−SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ
−、エッチングなどのパタ−ニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえ
ば印刷技術)を用いて形成しても差しつかえない。
【0108】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストロ−ム
から数百マイクロメ−タ−の範囲から適当な数値を選ん
で設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好
ましいのは数マイクロメ−タ−より数十マイクロメ−タ
−の範囲である。
【0109】また、素子電極の厚さdについては、通常
は数百オングストロ−ムから数マイクロメ−タ−の範囲
から適当な数値が選ばれる。
【0110】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0111】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロ−ムから数千オングストロ−ムの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロ−ムから200オングストロ−ムの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォ−ミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。具体的には、
数オングストロ−ムから数千オングストロ−ムの範囲の
なかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングス
トロ−ムから500オングストロ−ムの間である。
【0112】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,Sn
2 ,In23 ,PbO,Sb23 などをはじめと
する酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,C
eB6 ,YB4 ,GdB4 などをはじめとする硼化
物や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,HfN
などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などをはじ
めとする半導体や、カ−ボンなどがあげられ、これらの
中から適宜選択される。
【0113】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシ−ト抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オ−ム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0114】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図16で示した例におい
ては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積
層したが、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素
子電極、の順序で積層しても差しつかえない。
【0115】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォ−ミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロ−ムから数百オングストロ−ム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図16においては模式的に示した。また、薄
膜1113は、炭素もしくは炭素化合物よりなる薄膜
で、電子放出部1105およびその近傍を被覆してい
る。薄膜1113は、通電フォ−ミング処理後に、後述
する通電活性化の処理を行うことにより形成する。
【0116】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、または非晶質カ−ボンのいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オング
ストロ−ム]以下とするが、300[オングストロ−
ム]以下とするのがさらに好ましい。
【0117】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図16においては模式
的に示した。また、図16(a)の平面図においては、
薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0118】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、本実施形態においては以下のような素子を用いた。
【0119】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロ−
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメ−タ−]とした。
【0120】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
−ム]、幅Wは100[マイクロメ−タ]とした。
【0121】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図17の(a)〜(d)
は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断
面図で、各部材の表記は図16と同一である。
【0122】1)まず、図17(a)に示すように、基
板1101上に素子電極1102および1103を形成
する。
【0123】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる。堆積する方法としては、
たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用
いればよい。その後、堆積した電極材料を、フォトリソ
グラフィ−・エッチング技術を用いてパタ−ニングし、
図17(a)に示した一対の素子電極(1102と11
03)を形成する。
【0124】2)次に、図17(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0125】形成するにあたっては、まず図17(a)
に示す基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成
処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィ−
・エッチングにより所定の形状にパタ−ニングする。こ
こで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の
材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である。具
体的には、本実施形態では主要元素としてPdを用い
た。また、塗布方法として、ディッピング法を用いた
が、それ以外のたとえばスピンナ−法やスプレ−法を用
いてもよい。
【0126】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施形態で用いた有機金属溶液の塗
布による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0127】3)次に、図17(c)に示すように、フ
ォ−ミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォ−ミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する。
【0128】通電フォ−ミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0129】通電方法をより詳しく説明するために、図
18に、フォ−ミング用電源1110から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄
膜をフォ−ミングする場合には、パルス状の電圧が好ま
しく、本実施形態の場合には同図に示したようにパルス
幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加
した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順
次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモ
ニタ−するためのモニタ−パルスPmを適宜の間隔で三
角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計
1111で計測した。
【0130】本実施形態においては、たとえば10のマ
イナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、
たとえばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2
を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに
0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス
印加するたびに1回の割りあいで、モニタ−パルスPm
を挿入した。フォ−ミング処理に悪影響を及ぼすことが
ないように、モニタ−パルスの電圧Vpmは0.1
[V]に設定した。そして、素子電極1102と110
3の間の電気抵抗が1×10の6乗[オ−ム]になった
段階、すなわちモニタ−パルス印加時に電流計1111
で計測される電流が1×10のマイナス7乗[A]以下
になった段階で、フォ−ミング処理にかかわる通電を終
了した。
【0131】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微
粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0132】4)次に、図17(d)に示すように、活
性化用電源1112から素子電極1102と1103の
間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電
子放出特性の改善を行う。
【0133】通電活性化処理とは、前記通電フォ−ミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである。図17(d)におい
ては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1
113として模式的に示した。なお、通電活性化処理を
行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧にお
ける放出電流を典型的には100倍以上に増加させるこ
とができる。
【0134】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中
で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰
囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カ−ボン、の
いずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500
[オングストロ−ム]以下、より好ましくは300[オ
ングストロ−ム]以下である。
【0135】通電方法をより詳しく説明するために、図
19の(a)に、活性化用電源1112から印加する適
宜の電圧波形の一例を示す。本実施形態においては、一
定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行
ったが、具体的には,矩形波の電圧Vacは14
[V],パルス幅T3は 1[ミリ秒],パルス間隔T
4は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、
本実施形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件
であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合に
は、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0136】図17(d)中の符号1114は該表面伝
導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するた
めのアノ−ド電極を示し、この電極には直流高電圧電源
1115および電流計1116が接続されている。な
お、基板1101を、表示パネルの中に組み込んでから
活性化処理を行う場合には、表示パネルの蛍光面をアノ
−ド電極1114として用いる。
【0137】活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニタ−し、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図19(b)に示すが、活性化電源11
12からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過と
ともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほと
んど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ
飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を
停止し、通電活性化処理を終了する。
【0138】なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0139】以上のようにして、図17(e)に示す平
面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0140】「垂直型の表面伝導型放出素子」次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0141】図20は、垂直型の表面伝導型放出素子の
基本構成を説明するための模式的な断面図であり、図中
の符号1201は基板、符号1202と1203は素子
電極、符号1206は段差形成部材、符号1204は微
粒子膜を用いた導電性薄膜、符号1205は通電フォ−
ミング処理により形成した電子放出部、符号1213は
通電活性化処理により形成した薄膜を示す。
【0142】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(符号1202の電極)が段
差形成部材1206上に設けられており、導電性薄膜1
204が段差形成部材1206の側面を被覆している点
にある。したがって、図16に示した平面型の表面伝導
型放出素子における素子電極間隔Lは、垂直型において
は段差形成部材1206の段差高Lsとして設定され
る。なお、基板1201、素子電極1202および12
03、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、について
は、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に用いる
ことが可能である。また、段差形成部材1206には、
たとえばSiO2 のような電気的に絶縁性の材料を用
いる。
【0143】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図21の(a)〜(f)は、その製
造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は図2
0と同一である。
【0144】1)まず、図21(a)に示すように、基
板1201上に素子電極1203を形成する。
【0145】2)次に、図21(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0146】3)次に、図21(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0147】4)次に、図21(d)に示すように、絶
縁層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、
素子電極1203を露出させる。
【0148】5)次に、図21(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成す
るには、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法な
どの成膜技術を用いればよい。
【0149】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォ−ミング処理を行い、電子放出部を形成する。こ
の場合、図17(c)を用いて説明した平面型の通電フ
ォ−ミング処理と同様の処理を行えばよい。
【0150】7)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積させる。ここでも、図17(d)を用い
て説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行え
ばよい。
【0151】以上のようにして、図21(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0152】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0153】図22に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメ−タ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0154】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0155】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0156】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0157】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0158】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0159】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0160】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、階調表示を行うことが可能である。
【0161】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビ−ム源の構造)次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビ−ム源の構造について述べる。
【0162】図11に示すのは、図10に示した表示パ
ネルに用いられたマルチ電子ビ−ム源の平面図である。
基板上には、図16で示したものと同様な表面伝導型放
出素子が配列され、これらの素子は行方向配線電極10
03と列方向配線電極1004により単純マトリクス状
に配線されている。行方向配線電極1003と列方向配
線電極1004の交差する部分には、電極間に絶縁層
(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれて
いる。
【0163】図11のB−B’線に沿った断面を、図1
2に示す。
【0164】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配
線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1003および列方向配線電極1004
を介して各素子に給電して通電フォ−ミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0165】(本発明を適用可能な画像装置の駆動回路
の構成例および駆動方法)図23は、NTSC方式のテ
レビ信号に基づいてテレビジョン表示を行う為の駆動回
路の概略構成をプロック図で示したものである。同図
中、表示パネル1701は前述した表示パネルに相当す
るもので、前述した様に製造され、動作する。また、走
査回路1702は表示ラインを走査し、制御回路170
3は走査回路へ入力する信号等を生成する。シフトレジ
スタ1704は1ライン毎のデータをシフトし、ライン
メモリ1705は、シフトレジスタ1704からの1ラ
イン分のデータを変調信号発生器1707に入力する。
同期信号分離回路1706はNTSC信号から同期信号
を分離する。
【0166】以下、図23に示した装置各部の機能を詳
しく説明する。
【0167】まず表示パネル1701は、端子DX1ない
しDxmおよび端子DY1ないしDYn、および高圧端子Hv
を介して外部の電気回路と接続されている。このうち、
端子DX1ないしDxmには、表示パネル1701内に設け
られているマルチ電子ビーム源、すなわちm行n列の行
列状にマトリクス配線された冷陰極素子を1行(n素
子)ずつ順次駆動してゆく為の走査信号が印加される。
一方、端子DY1ないしD Ynには、前記走査信号により選
択された1行分のn個の各素子の出力電子ビームを制御
する為の変調信号が印加される。また、高圧端子Hvに
は、直流電圧源Vaより、たとえば5[kV]の直流電
圧が供給されるが、これはマルチ電子ビーム源より出力
される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネル
ギーを付与する為の加速電圧である。
【0168】次に、走査回路1702について説明す
る。同回路は、内部にm個のスイッチング素子(図23
中、S1ないしSmで模式的に示されている。)を備え
るもので、各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出
力電圧もしくは0[V](グランドレベル)のいずれか
一方を選択し、表示パネル1701の端子DX1 ないし
xmと電気的に接続するものである。S1ないしSmの
各スイッチング素子は、制御回路1703が出力する制
御信号TSCANに基づいて動作するものだが、実際にはた
とえばFETのようなスイッチング素子を組合わせる事
により容易に構成することが可能である。なお、前記直
流電圧源Vxは、図22に例示した電子放出素子の特性
に基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が
電子放出しきい値電圧Vth電圧以下となるよう、一定
電圧を出力するよう設定されている。
【0169】また、制御回路1703は、外部より入力
する画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように
各部の動作を整合させる働きをもつものである。次に説
明する同期信号分離回路1706より送られる同期信号
SYNCに基づいて、各部に対してTSCANおよびTSFT
よびTMRYの各制御信号を発生する。同期信号分離回路
1706は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ
信号から、同期信号成分と輝度信号成分とを分離する為
の回路で、良く知られているように周波数分離(フィル
タ)回路を用いれば容易に構成できるものである。同期
信号分離回路1706により分離された同期信号は、良
く知られるように垂直同期信号と水平同期信号より成る
が、ここでは説明の便宜上、TSYNC 信号として図示し
た。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信
号成分を便宜上DATA信号と表すが、同信号はシフト
レジスタ1704に入力される。
【0170】シフトレジスタ1704は、時系列的にシ
リアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライ
ン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記
制御回路1703より送られる制御信号TSFTに基づい
て動作する。すなわち、制御信号TSFTは、シフトレジ
スタ1704のシフトクロックであると言い換えること
もできる。シリアル/パラレル変換された画像1ライン
分(電子放出素子n素子分の駆動データに相当する。)
のデータは、ID1ないしIDNのN個の信号として前記シ
フトレジスタ1704より出力される。
【0171】ラインメモリ1705は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路1703より送られる制御信号TMRYにし
たがって適宜ID1 ないしIDN の内容を記憶する。記
憶された内容は、I'D1 ないしI'DNとして出力され、
変調信号発生器1707に入力される。
【0172】変調信号発生器1707は、前記画像デー
タI'D1 ないしI'DN の各々に応じて、電子放出素子
1015の各々を適切に駆動変調する為の信号源で、そ
の出力信号は、端子DY1 ないしDYn を通じて表示パ
ネル1701内の電子放出素子1015に印加される。
【0173】図22を用いて説明したように、本発明に
関わる表面伝導型放出素子は放出電流Ieに対して以下
の基本特性を有している。すなわち、電子放出には明確
な閾値電圧Vth(後述する実施形態の表面伝導型放出
素子では8[V])があり、閾値Vth以上の電圧を印
加された時のみ電子放出が生じる。また、電子放出閾値
Vth以上の電圧に対しては、図22のグラフのように
電圧の変化に応じて放出電流Ieも変化する。このこと
から、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、たとえ
ば電子放出閾値Vth以下の電圧を印加しても電子放出
は生じないが、電子放出閾値Vth以上の電圧を印加す
る場合には表面伝導型放出素子から電子ビームが出力さ
れる。その際、パルスの波高値Vmを変化させることに
より出力電子ビームの強度を制御することが可能であ
る。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力
される電子ビームの電荷の総量を制御することが可能で
ある。
【0174】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器1707として、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの
波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いるこ
とができる。また、パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器1707として、一定の波高値の
電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電
圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路
を用いることができる。
【0175】シフトレジスタ1704やラインメモリ1
705は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式の
ものでも採用できる。すなわち、画像信号のシリアル/
パラレル変換や記憶が所定の速度で行われればよいから
である。
【0176】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路1706の出力信号DATAをデジタル信号
化する必要があるが、これには同期信号分離回路170
6の出力部にA/D変換器を設ければよい。これに関連
してラインメモリ115の出力信号がデジタル信号かア
ナログ信号かにより、変調信号発生器に用いられる回路
が若干異なったものとなる。すなわち、デジタル信号を
用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器1707に
は、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回
路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号
発生器1707には、例えば高速の発振器および発振器
の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)および計
数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器
(コンパレータ)を組み合せた回路を用いる。必要に応
じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を
電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅
器を付加することもできる。
【0177】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器1707には、例えばオペアンプな
どを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてシフトレ
ベル回路などを付加することもできる。パルス幅変調方
式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)
を採用でき、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧まで
電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0178】このような構成をとりうる本発明の適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子DX1ないしDxm 、DY1ないしDYnを介して電圧
を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子H
vを介してメタルバック1019あるいは透明電極(不
図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速さ
れた電子は、蛍光膜1018に衝突し、発光が生じて画
像が形成される。
【0179】ここで述べた画像表示装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の思
想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号につい
てはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限るも
のではなく、PAL、SECAM方式など他、これらよ
り多数の走査線からなるTV信号(MUSE方式をはじ
めとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0180】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、支持部材
と接する配線の高さを他の配線の高さより大きくし、且
つ電子源側における支持部材の端面にのみ電極を形成す
ることにより、組み立て誤差による支持部材の位置ずれ
に対する電子軌道変化を抑制し、量産性の優れた色ずれ
の少ない高品位の画像形成装置を提供することが可能と
なった。
【0181】また、電子被照射体は特定せず、マルチ平
面電子源を成す電子発生装置においても同様の効果を発
揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の基本概念を最もよく表
したパネルの一部断面図である。
【図2】図1で示したスペーサ近傍の斜視図である。
【図3】図1で示したスペーサが配置される配線の様子
を示す平面図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の実施形態を説明
するための図で、パネルのスペーサ近傍の様子を示す一
部断面図である。
【図5】図4で示したスペーサ近傍の斜視図である。
【図6】図4で示すようにスペーサ端面に電極を形成す
る方法を説明するための図である。
【図7】本発明の画像形成装置の第2の実施形態を説明
するための図で、パネルのスペーサ近傍の様子を示す斜
視図である。
【図8】本発明の画像形成装置の第3の実施形態を説明
するための図で、パネルのスペーサ近傍の様子を示す斜
視図である。
【図9】本発明の画像形成装置の電子源に適用可能な平
面FE型電子放出電子源の上面図である。
【図10】本発明を適用可能な画像表示装置の表示パネ
ルの一部を切り欠いて示した斜視である。
【図11】図10で用いたマルチ電子ビ−ム源の基板の
平面図である。
【図12】図11のB−B’線に沿った断面図である。
【図13】図10で示した表示パネルのフェ−スプレ−
トの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図14】図10で示した表示パネルのフェ−スプレ−
トの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図15】図10のA−A’に沿った断面模式図であ
る。
【図16】平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明す
るための図で、(a)は平面図、(b)は断面図であ
る。
【図17】図16の平面型の表面伝導型放出素子の製造
工程を示す断面図である。
【図18】図17で示す工程中の通電フォ−ミング処理
の際の印加電圧波形を示すグラフである。
【図19】図17で示す工程中の通電活性化処理を説明
する図で、(a)はその際の印加電圧波形を示し、
(b)は放出電流Ieの変化を示すグラフである。
【図20】平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明す
るための図である。
【図21】図20の垂直型の表面伝導型放出素子の製造
工程を示す断面図である。
【図22】本発明の画像形成装置に用いた表面伝導型放
出素子の典型的な特性を示すグラフである。
【図23】本発明の画像表示装置の駆動回路の構成例を
示すブロック図である。
【図24】従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示
す図である。
【図25】従来知られたFE型素子の一例を示す図であ
る。
【図26】従来知られたMIM型素子の一例を示す図で
ある。
【図27】従来の画像表示装置の表示パネルの一部を切
り欠いて示した斜視図である。
【図28】従来の画像表示装置の表示パネルにおけるス
ペーサ近傍の様子を示す一部断面図である。
【符号の説明】
13、42 配線 20 スペーサ 22 高抵抗膜 25 等電位線 30 フェースプレート 31 リアプレート基板 41 端面スペーサ電極 43 交差部 44 層間絶縁層 45 高さ補正部 46 導電性接続部 111、3101 電子放出部 112 電子軌道 501 メタルマスク 502、503 スペーサ電極形成位置 504 スペーサ電極形成用プレート 1030 スペーサ位置出し用溝 1010 黒色導電材 1011 基板 1012 冷陰極素子 1013 行方向配線 1014 列方向配線 1015 リアプレート 1016 側壁 1017 フェースプレート 1018 蛍光膜 1019 メタルバック 1020 スペーサ 1020a 絶縁性部材 1020b 高抵抗膜 1020c 低抵抗膜 1101、1201 基板 1102、1103、1202、1203 素子電極 1104、1204 導電性薄膜 1105、1205 電子放出部 1110 フォーミング用電源 1111、1116 電流計 1112 活性化用電源 1113、1213 薄膜 1114 アノード電極 1115 直流高電圧電源 1206 段差形成部材 3113 行方向配線、Y方向配線 3114 列方向配線、X方向配線

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に複数の電子放出素子と該電子放
    出素子に駆動信号を送る配線とを有する電子源と、前記
    電子放出素子に対向配置され前記電子放出素子より放出
    された電子を制御する制御電極と、前記電子源と前記制
    御電極間に配置され、前記配線と接触して前記配線上に
    配置される支持部材とを含む電子線装置において、 前記支持部材の接触する部分もしくは接触する部分の近
    傍における配線の高さが、前記支持部材と接しない配線
    の高さより大きいことを特徴とする電子線装置。
  2. 【請求項2】 前記支持部材の形状が略直方体形状を有
    していることを特徴とする請求項1に記載の電子線装
    置。
  3. 【請求項3】 前記支持部材の形状が円柱形状を有して
    いることを特徴とする請求項1に記載の電子線装置。
  4. 【請求項4】 前記電子放出素子は、対向する一対の素
    子電極と該素子電極間に跨る電子放出部を含む薄膜とで
    構成される電子放出素子であることを特徴とする請求項
    1に記載の電子線装置。
  5. 【請求項5】 前記薄膜が導電性微粒子で構成された膜
    であることを特徴とする請求項4に記載の電子線装置。
  6. 【請求項6】 前記電子源は、電流を供給する複数の行
    方向配線及び列方向配線とを絶縁層を介して配置し、前
    記一対の素子電極をそれぞれ該行方向配線および該列方
    向配線とに結線することで、絶縁基板上に前記複数の電
    子放出素子を行列状に配列して構成されたことを特徴を
    する請求項1から5の何れか1項に記載の電子線装置。
  7. 【請求項7】 前記電子源は、複数の行方向配線を配置
    し、前記電子放出素子を構成する一対の素子電極が前記
    複数の行方向配線のうちの一対の行方向配線とそれぞれ
    結線されることで、絶縁性基板上に複数の前記電子放出
    素子を行列状に配列して構成されたことを特徴をする請
    求項1から5の何れか1項に記載の電子線装置。
  8. 【請求項8】 前記加速電圧により加速された電子線の
    衝突により画像が形成される画像形成部材をさらに設け
    た請求項1から7の何れか1項に記載の電子線装置から
    構成された画像形成装置。
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