JPH09231920A - 電子発生装置及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

電子発生装置及びそれを用いた画像表示装置

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JPH09231920A
JPH09231920A JP8034892A JP3489296A JPH09231920A JP H09231920 A JPH09231920 A JP H09231920A JP 8034892 A JP8034892 A JP 8034892A JP 3489296 A JP3489296 A JP 3489296A JP H09231920 A JPH09231920 A JP H09231920A
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JP
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electron
surface conduction
voltage
emitting
wiring
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JP8034892A
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Masahiro Takeda
昌広 竹田
Eiji Yamaguchi
英司 山口
Hidetoshi Suzuki
英俊 鱸
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Canon Inc
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Publication date
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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の電子放出素子2を複数のデータ配線4
と複数の走査配線5でマトリックス配線した電子発生装
置において、反射波などが発生するリンギングによっ
て、所望の画像が表示できない問題を解消する。 【解決手段】 複数の走査配線5間に非線形抵抗1を配
置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子発生装置とそれ
を用いた画像表示装置に関し、とくに内部の電子放出素
子として表面伝導型放出素子を用いた電子発生装置と画
像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば電界放出型素子(以下FE型と記
す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下MIM型
と記す)や、表面伝導型放出素子などが知られている。
FE型の例としては、たとえば、W.P.Dyke&
W.W.Dolan,“Fie−ld emissio
n”,Advance in Electron Ph
ysics,8,89(1956)や、あるいは、C.
A.Spindt,“Physicalpropert
ies of thin−film field em
issioncathodes withmolybd
enium cones”,J.Appl.Phy
s.,47,5248(197619)などが知られて
いる。また、MIM型の例としては、たとえば、C.
A.Mead,“Operationof tunne
l−emission Devices,J.App
l.Phys.,32,646(1961)などが知ら
れている。また、表面伝導型放出素子としては、たとえ
ば、M.I.Elinson,Radio Eng.E
lectron Phys.,10,1290,(19
65)や、後述する他の例が知られている。表面伝導型
放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面
に平行に電流を流すことにより電子放出が生ずる現象を
利用するものである。この表面伝導型放出素子として
は、前記エリンソン等によりSnO2 薄膜を用いたもの
の他に、Au薄膜によるもの〔G.Dittmer:
“Thin Solid Films”,9,317
(1972)〕や、In23 /SnO2 薄膜によるも
の〔M.Hartwelland C.G.Fonst
ad:“IEEE Trans.ED Conf.”,
519(1975)〕や、カーボン薄膜によるもの〔荒
木久 他:真空、第26巻、第1号、22(198
3)〕等が報告されている。これらの表面伝導型放出素
子の素子構成の典型的な例として、図17に前述のM.
Hartwellらによる素子の平面図を示す。同図に
おいて、3001は基板で、3004はスパッタで形成
された金属酸化物よりなる導電性薄膜である。導電性薄
膜3004は図示のようにH字形の平面形状に形成され
ている。該導電性薄膜3004に後述の通電フォーミン
グと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部3
005が形成される。図中の間隔Lは、0.5〜1〔m
m〕,Wは、0.1〔mm〕で設定されている。尚、図
示の便宜から、電子放出部3005は導電性薄膜300
4の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なもの
であり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現し
ているわけではない。M.Hartwellらによる素
子をはじめとして上述の表面伝導型放出素子において
は、電子放出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォ
ーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出
部3005を形成するのが一般的であった。すなわち、
通電フォーミングとは、前記導電性薄膜3004の両端
に一定の直流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非
常にゆっくりとしたレートで昇圧する直流電圧を印加し
て通電し、導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは
変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子
放出部3005を形成することである。尚、局所的に破
壊もしくは変形もしくは変質した導電性薄膜3004の
一部には、亀裂が発生する。前記通電フォーミング後に
導電性薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合には、
前記亀裂付近において電子放出が行われる。上述の表面
伝導型放出素子は、構造が単純で製造も容易であること
から、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで、たとえば本出願人による特開昭64−31
332号公報において開示されるように、多数の素子を
配列して駆動するための方法が研究されている。また、
表面伝導型放出素子の応用については、たとえば、画像
表示装置、画像記録装置などの画像形成装置や、荷電ビ
ーム源、等が研究されている。特に、画像表示装置への
応用としては、たとえば本出願人によるUSP5,06
6,883や特開平2−257551号公報において開
示されているように、表面伝導型放出素子と電子ビーム
の照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた画
像表示装置が研究されている。表面伝導型放出素子と蛍
光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の他
の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されてい
る。たとえば、近年普及してきた液晶表示装置と比較し
ても、自発光型であるためバックライトを必要としない
点や、視野角が広い点が優れていると言える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記従来
技術に記載したものをはじめとして、さまざまな材料、
製法、構造の表面伝導型放出素子を試みてきた。さら
に、多数の表面伝導型放出素子を配列したマルチ電子ビ
ーム源、ならびにこのマルチ電子ビーム源を応用した画
像表示装置について研究を行ってきた。発明者らは、た
とえば(図18)に示す電気的な配線方法によるマルチ
電子ビーム源を試みてきた。すなわち、表面伝導型放出
素子を2次元的に多数個配列し、これらの素子を図示の
ようにマトリクス状に配線したマルチ電子ビーム源であ
る。図中、4001は表面伝導型放出素子を模式的に示
したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配
線である。行方向配線4002および列方向配線400
3は、実際には有限の電気抵抗を有するものであるが、
図においては配線抵抗4004および4005として示
されている。上述のような配線方法を、単純マトリクス
配線と呼ぶ。なお、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限っ
たわけではなく、たとえば画像表示装置用のマルチ電子
ビーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りる
だけの素子を配列し配線するものである。表面伝導型放
出素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源に
おいては、所望の電子ビームを出力させるため、行方向
配線4002および列方向配線4003に適宜の電気信
号を印加する。たとえば、マトリクスの中の任意の1行
の表面伝導型放出素子を駆動するには、選択する行の行
方向配線4002には選択電圧Vsを印加し、同時に非
選択の行の行方向配線4002には非選択電圧Vnsを
印加する。これと同期して列方向配線4003に電子ビ
ームを出力するための駆動電圧Veを印加する。この方
法によれば、配線抵抗4004および4005による電
圧降下を無視すれば、選択する行の表面伝導型放出素子
には、Ve−Vsの電圧が印加され、また非選択行の表
面伝導型放出素子にはVe−Vnsの電圧が印加され
る。Ve、Vs、Vnsを適宜の大きさの電圧にすれば
選択する行の表面伝導型放出素子だけから所望の強度の
電子ビームが出力されるはずであり、また列方向配線の
各々に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の
素子の各々から異なる強度の電子ビームが出力されるは
ずである。また、表面伝導型放出素子の応答速度は高速
であるため、駆動電圧Veを印加する時間の長さを変え
れば、電子ビームが出力される時間の長さも変えること
ができるはずである。したがって、表面伝導型放出素子
を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源はいろい
ろな応用可能性があり、たとえば画像情報に応じた電気
信号を適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として
好適に用いることができる。しかしながら、表面伝導型
放出素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源
には、実際には以下に述べるような問題が発生してい
た。
【0004】平板型CRTをはじめとして、表面伝導型
放出素子を応用した各種画像形成パネルにおいては、高
品位、高精細な画像形成が望まれる。これを実現するた
めには、例えば上述の通り、単純マトリクス配線された
多数の表面伝導型放出素子を用いる方法が考えられる。
この場合、行、および列の数が数百〜数千にも達し、非
常に多くの素子配列が必要となり、かつ各表面伝導型放
出素子が均一量の電子を放出することが望ましい。
【0005】しかしながら、これらの素子を画像形成装
置に応用し、m本の行方向(あるいは、以下X方向と呼
ぶ。)の配線とn本の列方向(あるいは、以下、Y方向
と呼ぶ。)の配線とによって、表面伝導型電子放出素子
の対向する一対の素子電極にそれぞれ結線することで、
行列状に多数個の表面伝導型電子放出素子を配列した電
子源を構成する単純マトリクス構成を採った場合、行方
向、及び列方向の配線材料や接続されている素子によっ
て駆動する波形が配線上で反射を起こす。この反射によ
って駆動波形が乱れるばかりではなく、反射電流の吸収
による駆動デバイスの負担や表面伝導型電子放出素子へ
の悪影響、不要輻射の発生など引き起こされる問題は大
きく、多い。
【0006】そこで、以上の問題を解決し、電子放出の
安定な電子発生装置とそれを用いた画像表示装置を提供
することを本発明の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上に挙げた問題を解決
するために、本発明者が鋭意努力した結果、以下の発明
を得た。すなわち、本発明の電子発生装置は、複数の電
子放出素子を複数のデータ配線と複数の走査配線でマト
リックス配線した電子発生装置において、前記複数のデ
ータ配線間または前記複数の走査配線間に、抵抗を接続
することを特徴とする。このとき、前記抵抗は非線形抵
抗でも線形抵抗であってもいい。抵抗が非線形抵抗であ
るときは、ツェナダイオードが望ましい。前記電子放出
素子は表面伝導型放出素子が望ましい。本発明の電子発
生装置と電子によって励起発光する蛍光板を用いて、本
発明を画像表示装置としてもいい。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)図1は実施形態1を表す回路図である。
走査配線の間に非線形素子1をつなぐ。この非線形素子
1は表面伝導型放出素子2の特性曲線と非常に似たもの
を使用する。つまりある一定以上の電圧印加がある場合
に電流が流れ出す特性を持つ。この非線形素子1を製造
するためには、印刷等の製造プロセスで行われている表
面伝導型放出素子と同じ工程で、違う素子長の表面伝導
型放出素子を作成する。非線形素子を同じ工程で違う素
子長で作成するのは、異なる部品の削減、工程の軽減に
つながり好都合であるからである。
【0009】ところで、表面伝導型放出素子はあるしき
い値以上の電圧を加えると電流が流れやすい特性であ
る。この特性により、電流が流れるon時のインピーダ
ンスと電流が流れないoff時のインピーダンスの差が
100倍以上になる。この差が駆動する回路側から走査
配線を見たときにインピーダンスの大きな変化となっ
て、大きな反射波を生むことにもなる。この反射波を起
こさないようにするには、この差を感じさせなくするよ
うに素子を組み込み、回路を工夫すれば良い。
【0010】実施形態1のような構成にする場合、経験
的に組み込む素子のしきい値以下の時の抵抗値は、駆動
する表面伝導型放出素子のoff時の抵抗値を走査配線
にぶら下がる素子の個数で割った値が好ましい。
【0011】実施形態1の駆動方式には、互いに隣接し
合う表示する素子配線とそうでない素子配線の駆動電圧
の組み合わせがあり、表示する方がしきい値程度の負の
電圧、他はグランドに落としてしまう方式と表示する素
子配線には前述の方式と同様にしきい値程度の負の電
圧、他はしきい値程度の正の電圧を加える方式とがあ
る。本実施形態の場合、両方の駆動方法が、最適な反射
波を押さえる効果を有するばかりでなく、消費する電力
が少ないなどの利点を持つ。
【0012】(表示パネルの構成と製造法)次に、本発
明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製造法
について、具体的な例を示して説明する。図6は、実施
形態1に用いた表示パネルの斜視図であり、内部構造を
示すためにパネルの1部を切り欠いて示している。図
中、1005はリアプレート、1006は側壁、100
7はフェースプレートであり、1005〜1007によ
り表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器を
形成している。気密容器を組み立てるにあたっては、各
部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため封
着する必要があるが、たとえばフリットガラスを接合部
に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏400
〜500度で10分以上焼成することにより封着を達成
した。気密容器内部を真空に排気する方法については後
述する。
【0013】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1002
がN×M個形成されている。(N、Mは2以上の正の整
数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定され
る。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした
表示装置においては、N=3000、M=1000以上
の数を設定することが望ましい。本実施形態において
は、N=3072、M=1024とした。)前記N×M
個の冷陰極素子は、M本の走査配線となる行方向配線1
003とN本のデータ配線となる列方向配線1004に
より単純マトリクス配線されている。前記、1001〜
1004によって構成される部分をマルチ電子ビーム源
と呼ぶ。なお、マルチ電子ビーム源の製造方法や構造に
ついては、後で詳しく述べる。
【0014】本実施例においては、気密容器のリアプレ
ート1005にマルチ電子ビーム源の基板1001を固
定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板100
1が十分な強度を有するものである場合には、気密容器
のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板100
1自体を用いてもよい。
【0015】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施形態はカ
ラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはC
RTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体
が塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図7
の(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍
光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設け
てある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビ
ームの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが
生じないようにする事や、外光の反射を防止して表示コ
ントラストの低下を防ぐ事、電子ビームによる蛍光膜の
チャージアップを防止する事などである。黒色の導電体
1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目
的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良
い。
【0016】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図7(a)に示したストライプ状の配列に限られるもの
ではなく、たとえば図7(b)に示すようなデルタ状配
列や、それ以外の配列であってもよい。
【0017】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用い
ればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよ
い。
【0018】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜100
8を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するため
の電極として作用させる事や、蛍光膜1008を励起し
た電子の導電路として作用させる事などである。メタル
バック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート
基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にA1を真空蒸着する方法により形成した。
なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた
場合には、メタルバック1009は用いない。
【0019】また、本実施例では用いなかったが、加速
電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェ
ースプレート基板1007と蛍光膜1008との間に、
たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0020】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行
方向配線1003と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線1004と、Hvはフェースプレート
のメタルバック1009と電気的に接続している。
【0021】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗〔T
orr〕程度の真空度まて排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、たと
えばBaを主成分とするゲッター材料をヒーターもしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
該ゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10マ
イナス5乗ないしは1×10マイナス7乗〔Torr〕
の真空度に維持される。
【0022】以上、本発明実施形態の表示パネルの基本
構成と製法を説明した。
【0023】次に、前記実施形態の表示パネルに用いた
マルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発
明の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰
極素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰
極素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。したが
って、たとえば表面伝導型放出素子やFE型、あるいは
MIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0024】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極
素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。す
なわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対
位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極め
て高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や
製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。ま
た、MIM型では、絶縁層と上電極の膜圧を薄くてしか
も均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コス
トの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表
面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大
面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明者
らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしく
はその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電
子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見
いだしている。したがって、高輝度で大画面の画像表示
装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適であ
ると言える。そこで、上記実施例の表示パネルにおいて
は、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成
した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適な
表面伝導型放出素子について基本的な構成と製造および
特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配
線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0025】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0026】(平面型の表面伝導型放出素子)まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図8に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面
図(b)である。図中、1101は基板、1102と1
103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は
通電フォーミング処理により形成した電子放出部、11
13は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0027】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0028】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Cu、Pd、
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn23 −SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ
ー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(例えば
印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0029】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常数百オングストロームか
ら数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選んで
設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好ま
しいのは数マイクロメーターより数十マイクロメーター
の範囲である。また、素子電極の厚さdについては、通
常は数百オングストロームから数マイクロメーターの範
囲から適当な数値が選ばれる。
【0030】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0031】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件などである。具体的には、数
オングストロームから数千オングストロームの範囲のな
かで設定するが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから500オングストロームの間である。
【0032】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd、Pt、Ru、Ag、
Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、T
a、W、Pbなどをはじめとする金属や、PdO、Sn
2 、In23 、PbO、Sb23 、などをはじめ
とする酸化物や、HfB2 、ZrB2 、LaB6 、Ce
6 、YB4 、GdB4 、などをはじめとする硼化物
や、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WC、
などをはじめとする炭化物や、TiN、ZrN、Hf
N、などをはじめとする窒化物や、Si、Ge、などを
はじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、こ
れらの中から適宜選択される。
【0033】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗〔オーム/sq〕の範囲に含
まれるよう設定した。
【0034】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図8の例においては、下
から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電極
の順序で積層してもさしつかえない。
【0035】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図8においては模式的に示した。
【0036】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0037】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500〔オングストロ
ーム〕以下とするが、300〔オングストローム〕以下
とするのがさらに好ましい。
【0038】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図8においては模式的
に示した。また、平面図(a)においては、薄膜111
3の一部を除去した素子を図示した。
【0039】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施例においては以下のような素子を用いた。
【0040】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000〔オングストロー
ム〕、電極間隔Lは2〔マイクロメーター〕とした。
【0041】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100〔オングストロ
ーム〕、幅Wは100〔マイクロメーター〕とした。
【0042】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。
【0043】図9の(a)〜(d)は、表面伝導型放出
素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表
記は前記図102と同一である。
【0044】1)まず、図9(a)に示すように、基板
1101上に素子電極1102および1103を形成す
る。
【0045】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる(堆積する方法としては、
たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用
いればよい)。その後、堆積した電極材料を、フォトリ
ソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニング
し、(a)に示した一対の素子電極(1102と110
3)を形成する。
【0046】2)次に、同図(b)に示すように、導電
性薄膜1104を形成する。
【0047】形成するにあたっては、まず前記(a)の
基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッ
チングにより所定の形状にパターニングする。ここで、
有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を
主要元素とする有機金属化合物の溶液である(具体的に
は、本実施例では主要元素としてPdを用いた。また、
実施例では塗布方法として、ディッピング法を用いた
が、それ以外の例えばスピンナー法やスプレー法を用い
てもよい)。
【0048】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施例で用いた有機金属溶液の塗布
による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ法、
あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0049】3)次に、同図(c)に示すように、フォ
ーミング用電源1110から素子電極1102と110
3の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を
行って、電子放出部1105を形成する。
【0050】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適に構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0051】通電方法をより詳しく説明するために、図
10に、フォーミング用電源1110から印加する適宜
の電圧波計の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄
膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ま
しく、本実施形態の場合には同図に示したようにパルス
幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加
した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順
次昇圧した。また、電子放出部1105の形状状況をモ
ニターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三
角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計
1111で計測した。
【0052】実施形態においては、たとえば10のマイ
ナス5乗〔torr〕程度の真空雰囲気下において、た
とえばパルス幅T1を1〔ミリ秒〕、パルス間隔T2を
10〔ミリ秒〕とし、波高値Vpfを1パルスごとに
0.1〔V〕ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス
印加するたびに1回の割で、モニターパルスPmを挿入
した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないよ
うに、モニターパルスの電圧Vpmは0.1〔V〕に設
定した。そして、素子電極1102と1103の間の電
気抵抗が1×10の6乗〔オーム〕になった段階、すな
わちモニターパルス印加時に電流計1111で計測され
る電流が1×10のマイナス7乗〔A〕以下になった段
階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0053】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微
粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0054】4)次に、図9の(d)に示すように、活
性化用電源1112から素子電極1102と1103の
間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電
子放出特性の改善を行う。
【0055】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである(図においては、炭素
もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113とし
て模式的に示した)。なお、通電活性化処理を行うこと
により、行う前と比較して、同じ印加電圧における放出
電流を典型的には100倍以上に増加させることができ
る。
【0056】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗〔torr〕の範囲内の真空雰囲気中
で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰
囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、の
いずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500
〔オングストローム〕以下、より好ましくは300〔オ
ングストローム〕以下である。
【0057】通電方法をより詳しく説明するために、図
11の(a)に、活性化用電源1112から印加する適
宜の電圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定
電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行っ
たが、具体的には、矩形波の電圧Vacは14〔V〕、
パルス幅T3は1〔ミリ秒〕、パルス間隔T4は10
〔ミリ秒〕とした。なお、上述の通電条件は、本実施形
態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、
表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに
応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0058】図8の(d)に示す1114は該表面伝導
型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するため
のアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流
計1116が接続されている(なお、基板1101を、
表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合
には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114とし
て用いる)。
【0059】活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図11(b)に示すが、活性化電源11
12からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過と
ともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほと
んど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ
飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を
停止し、通電活性化処理を終了する。
【0060】なお、上述の通電条件は、本実施例の表面
伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導
型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条
件を適宜変更するのが望ましい。
【0061】以上のようにして、図9(e)に示す平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0062】(垂直型の表面伝導型放出素子)次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0063】図12は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜、である。
【0064】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。し
たがって、前記図102の平面型における素子電極間隔
Lは、垂直型においては段差形成部材1206の段差高
Lsとして設定される。なお、基板1201、素子電極
1202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜
1204、については、前記平面型の説明中に列挙した
材料を同様に用いることが可能である。また、段差形成
部材1206には、例えばSiO2 のような電気的に絶
縁性の材料を用いる。
【0065】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図13の(a)〜(f)は、製造工
程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図1
2と同一である。
【0066】1)まず、図13(a)に示すように、基
板1201上に素子電極1203を形成する。
【0067】2)次に、同図(b)に示すように、段差
形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0068】3)次に、同図(c)に示すように、絶縁
層の上に素子電極1202を形成する。
【0069】4)次に、同図(d)に示すように、絶縁
層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0070】5)次に、同図(e)に示すように、微粒
子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成する
には、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0071】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図
9(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング処
理と同様の処理を行えばよい)。
【0072】7)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積させる(図9(d)を用いて説明した平
面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
【0073】以上のようにして、図13(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0074】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0075】図14に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0076】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0077】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0078】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0079】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0080】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0081】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0082】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0083】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0084】図15に示すのは、前記図6の表示パネル
に用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上に
は、前記図102で示したものと同様な表面伝導型放出
素子が配列され、これらの素子は行方向配線電極100
3と列方向配線電極1004により単純マトリクス状に
配線されている。行方向配線電極1003と列方向配線
電極1004の交差する部分には、電極間に絶縁層(不
図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれてい
る。
【0085】図15のA−A′に沿った断面を、図16
に示す。
【0086】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配
線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1003および列方向配線電極1004
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0087】(実施形態2)図2は、実施形態2を表す
回路図である。走査配線間に抵抗を直列につなぐ。これ
らは表面伝導型放出素子2の製造工程でパネル内に印刷
等のプロセスを経て作られる。抵抗をパネル内に組み込
むのは実装時の部品数の削減と工程の軽減につながり、
好都合であるからである。実施形態1と異なる点は走査
配線間に非線形素子の代わりに抵抗素子を組み込むこと
であるが、この実施形態の場合、駆動方式として、互い
に隣接し合う表示する素子配線とそうでない素子配線の
駆動電圧の組み合わせで、表示する素子配線には前述の
方式と同様にしきい値程度の負の電圧、他はしきい値程
度の正の電圧を加える方式の場合、反射波を押さえる効
果を有する。
【0088】(実施形態3)図3は実施形態3を表す回
路図である。本実施形態では走査配線側でなく、変調側
のデータ配線端の隣接間に直列に抵抗をつなぐ。これら
は、表面伝導型放出素子2の製造工程でパネル内に印刷
等のプロセスを経て作られる。抵抗をパネル内に組み込
むのは、実装時の部品数の削減、工程の軽減につなが
り、好都合だからである。データ配線4端の隣接間に直
列につなぐ抵抗の値は、駆動する表面伝導型放出素子の
off時の抵抗値をデータ配線にぶら下がる素子の個数
で割った値が適当である。これにより、簡便な構成で反
射波を押さえることが変調側のデータ配線4でも可能と
なった。
【0089】(実施形態4)図4は、実施形態4を表す
回路図である。走査配線5の隣接間と、変調側のデータ
配線4端の隣接間に抵抗を直列につないだ。これらは素
子2の製造工程でパネル内に印刷等のプロセスを経て作
られる。これら隣接間に接続する抵抗をパネル内に組み
込むのは、実装時の部品数の削減、工程の軽減につなが
り、好都合だからである。隣接間に接続する抵抗値は実
施形態3と同様にするのが適当である。これにより、簡
便な構成で反射波を押さえることが走査配線側、変調側
データ配線の両方でも可能となった。
【0090】(実施形態5)図5は、実施形態5を表す
回路図である。走査配線5の隣接間に非線形素子1を直
列につなぎ、変調側のデータ配線4端の隣接間に抵抗を
直列につないだ。この非線形素子は表面伝導型放出素子
2の特性曲線と非常に似た特性のものを使用する。つま
りある一定以上の電圧印加がある場合に、電流が流れ出
す特性を有する。これらの隣接間に接続する素子の抵抗
値は実施形態1にあるように値が適当である。
【0091】実施形態5は、消費電力の部分で有利であ
る。これにより、簡便な構成で反射波を押さえることが
走査配線側、変調側のデータ配線側の両方でも可能とな
り、消費電力の少ない構成が可能である。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、データ配線や走査配線
に信号の反射波が流れることはない。このため、入力し
た映像信号に忠実な表示ができる。また、配線には、必
要以上の電圧がかからないので、電子放出素子を劣化さ
せることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の電子発生装置の回路図。
【図2】実施形態2の電子発生装置の回路図。
【図3】実施形態3の電子発生装置の回路図。
【図4】実施形態4の電子発生装置の回路図。
【図5】実施形態5の電子発生装置の回路図。
【図6】表示パネルの斜視図。
【図7】フェースプレートの蛍光体配列図。
【図8】平面型の表面伝導型放出素子の平面図(a)と
断面図(b)。
【図9】平面型の表面伝導型放出素子の作製工程を表す
図。
【図10】フォーミング電圧を表すタイムチャート。
【図11】活性化電圧と放出電流のタイムチャート。
【図12】垂直型の表面伝導型放出素子の断面図。
【図13】垂直型の表面伝導型放出素子の作製工程を表
す図。
【図14】表面伝導型放出素子の電圧−電流特性を表す
グラフ。
【図15】マルチ電子ビーム基板の平面図。
【図16】マルチ電子ビーム基板の一部断面図。
【図17】M.Hartwell et al.が開示
している従来の表面伝導型放出素子の平面図。
【図18】単純マトリックス配線の模式図。
【符号の説明】
1 非線形抵抗 2 表面伝導型放出素子 3 抵抗 4 データ配線 5 走査配線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電子放出素子を複数のデータ配線
    と複数の走査配線でマトリックス配線した電子発生装置
    において、 前記複数のデータ配線間または前記複数の走査配線間
    に、接続された付加抵抗を有することを特徴とする電子
    発生装置。
  2. 【請求項2】 前記抵抗は、非線形抵抗である請求項1
    に記載の電子発生装置。
  3. 【請求項3】 前記非線形抵抗は、ツェナダイオードで
    ある請求項2に記載の電子発生装置。
  4. 【請求項4】 前記電子放出素子は、表面伝導型放出素
    子である請求項1〜3のいずれかに記載の電子発生装
    置。
  5. 【請求項5】 電子によって励起発光する蛍光板と請求
    項1〜4のいずれかに記載の電子発生装置を有すること
    を特徴とする画像表示装置。
JP8034892A 1996-02-22 1996-02-22 電子発生装置及びそれを用いた画像表示装置 Withdrawn JPH09231920A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6246178B1 (en) 1998-09-04 2001-06-12 Canon Kabushiki Kaisha Electron source and image forming apparatus using the electron source

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6246178B1 (en) 1998-09-04 2001-06-12 Canon Kabushiki Kaisha Electron source and image forming apparatus using the electron source

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