JPH11185654A - 表示盤及び該表示盤を有する画像表示装置 - Google Patents

表示盤及び該表示盤を有する画像表示装置

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JPH11185654A
JPH11185654A JP9358395A JP35839597A JPH11185654A JP H11185654 A JPH11185654 A JP H11185654A JP 9358395 A JP9358395 A JP 9358395A JP 35839597 A JP35839597 A JP 35839597A JP H11185654 A JPH11185654 A JP H11185654A
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electron
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JP9358395A
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Yukio Masuda
幸男 増田
Kohei Inamura
浩平 稲村
Izumi Kanai
泉 金井
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Original Assignee
Canon Inc
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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2行2列の基本配列の行の輝度差、列の輝度
差が少なくなるので輝度差による横縞あるいは縦縞によ
る視覚妨害が少なくし画質を向上させる。 【解決手段】 RGBの3原色表示要素と画像表示に寄
与しない1要素により2行2列のパターンを構成する
際、潜在的な各表示要素の輝度に着目し、1行目の輝度
合計と2行目の輝度合計、更には、1列目の輝度合計と
2列目の輝度合計の差が最小にする配列を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は行列配置された原色
表示要素を用いてカラー表示を行なう表示盤及び該表示
盤を備えた画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば表面伝導型放出素子や、電界放出
型素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型
放出素子(以下MIM型と記す)、などが知られてい
る。
【0003】表面伝導型放出素子としては、たとえば、
M.I.Elinson,Radio E−ng.El
ectron Phys.,10,1290,(196
5)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
O2 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:”Thin Solid Fi
lms”,9,317(1972)]や、In2 O3 /
SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell an
d C.G.Fonstad:”IEEE Tran
s.ED Conf.”,519(1975)]や、カ
ーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、
第1号、22(1983)]等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図18に前述のM.Hartwel
lらによる素子の平面図を示す。同図において、300
1は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化
物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図
示のようにH字形の平面形状に形成されている。該導電
性薄膜3004に後述の通電フォーミングと呼ばれる通
電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成さ
れる。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],Wは、
0.1[mm]で設定されている。尚、図示の便宜か
ら、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央に
矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実
際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけ
ではない。
【0006】M.Hartwellらによる素子をはじ
めとして上述の表面伝導型放出素子においては、電子放
出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと
呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005
を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォー
ミングとは、通電により電子放出部を形成するものであ
り、例えば前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流
電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくり
としたレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導
電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは
変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部300
5を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは変
形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀
裂が発生する。前記通電フォーミング後に導電性薄膜3
004に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近
において電子放出が行われる。
【0007】また、FE型の例は、たとえば、W.P.
Dyke&W.W.Dolan,”Fie−ld em
ission”,Advance in Electr
onPhysics,8,89(1956)や、あるい
は、 C.A.Spindt,”Physicalpr
operties of thin−film fie
ld emissioncathodes with
molybdenium cones”,J.App
l.Phys.,47,5248(1976)などが知
られている。
【0008】FE型の素子構成の典型的な例として、図
19に前述のC.A.Spindtらによる素子の断面
図を示す。同図において、3010は基板で、3011
は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタ
コーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極であ
る。本素子は、エミッタコーン3012とゲート電極3
014の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッ
タコーン3012の先端部より電界放出を起こさせるも
のである。
【0009】また、FE型の他の素子構成として、図1
9のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ
平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0010】また、MIM型の例としては、たとえば、
C.A.Mead,”Operationof tun
nel−emission Devices,J.Ap
pl.Phys.,32,646(1961)などが知
られている。MIM型の素子構成の典型的な例を図20
に示す。同図は断面図であり、図において、3020は
基板で、3021は金属よりなる下電極、3022は厚
さ100オングストローム程度の薄い絶縁層、3023
は厚さ80〜300オングストローム程度の金属よりな
る上電極である。MIM型においては、上電極3023
と下電極3021の間に適宜の電圧を印加することによ
り、上電極3023の表面より電子放出を起こさせるも
のである。
【0011】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒー
ターを必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構
造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、
基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱
溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒ
ーターの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは
異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利
点もある。
【0012】このため、冷陰極素子を応用するための研
究が盛んに行われてきている。
【0013】たとえば、表面伝導型放出素子は、冷陰極
素子のなかでも特に構造が単純で製造も容易であること
から、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで、たとえば本出願人による特開昭64−31
332号公報において開示されるように、多数の素子を
配列して駆動するための方法が研究されている。
【0014】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの画像
形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0015】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP5,066,883や特開
平2−257551号公報や特開平4−28137号公
報において開示されているように、表面伝導型放出素子
と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わ
せて用いた画像表示装置が研究されている。表面伝導型
放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置
は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が
期待されている。たとえば、近年普及してきた液晶表示
装置と比較しても、自発光型であるためバックライトを
必要としない点や、視野角が広い点が優れていると言え
る。
【0016】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、たとえば本出願人によるUSP4,904,89
5に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応
用した例として、たとえば、R.Meyerらにより報
告された平板型表示装置が知られている。[R.Mey
er:”Recent Developmenton
MicrotipsDisplay at LET
I”,Tech.Digest of 4th In
t. Vacuum Microele−ctroni
cs Conf.,Nagahama,pp.6〜9
(1991)]また、MIM型を多数個並べて画像表示
装置に応用した例は、たとえば本出願人による特開平3
−55738号公報に開示されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従来、このような画像
表示装置の画素配列としては、水平方向に並んだR,
G,B3つの蛍光体を1つの画素とするストライプ配列
が多く用いられてきた。しかし、このストライプ配列に
おいて、図3(a)のように蛍光体が正方形に近い形状
をしている場合、R,G,Bの組である画素が横長にな
るため、水平方向解像度が低くなる。また、垂直方向に
同一色の蛍光体が並ぶため、画像を表示した際、縦縞が
目立つといった欠点があった。
【0018】このような問題を解決するために、図3
(b)に示すような市松配列が考えられる。この市松配
列では、図に示すように1画素につき水平2要素、垂直
2要素を基本配列とし、解像度を向上させるため、緑
(G)に2要素が割り当てられ、赤(R)と青(B)は
1要素ずつ割り当てる。
【0019】この市松配列を用いてカラー表示を行った
場合、解像度は期待どおり向上するが、赤,青の表示要
素が水平方向には2行に1行、垂直方向には2列に1列
となるため、観察者には、赤水平線と青水平線が交互に
現われている、あるいは、赤垂直線と青垂直線が交互に
現われているように見えることがあり、画質低下の原因
となっていた。
【0020】また、上記の市松配列では、2要素の緑の
出力を、それぞれ1/2に制限することでカラーバラン
スをとるため、素子の性能を最大限に生かしているとは
言えなかった。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる点に着目
したものであり、2行2列の基本配列の行の輝度差、列
の輝度差が少なくして、輝度差による横縞あるいは縦縞
による視覚妨害が少なくし画質を向上させることを可能
ならしめる表示盤及び該表示盤を有する画像表示装置を
提供しようとするものである。
【0022】この課題を解決するため、例えば本発明の
表示盤はいかに示す構成を備える。すなわち、原色表示
要素を行列配置してカラー画像を表示するための表示盤
であって、3原色表示要素と画像表示に寄与しない1要
素により2行2列の基本配列を形成し、原色表示要素の
うち輝度値が最大の原色表示要素と2番目に高い原色表
示要素を基本配列の対角位置に配置することを特徴とす
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明に
係る実施形態を詳細に説明する。
【0024】一般に、原色表示要素を2行2列に配置し
面積的加法混色で所望の1色を再現するとき、その原色
表示要素の配置には各要素の輝度値の配慮が必要であ
る。
【0025】3原色表示要素RGBの色度をCIE−X
YZ色度座標で表現したものを R(XR,YR,ZR),G(XG,YG,ZG)B(XB,
YB,ZB) とすれば、3原色表示要素の輝度値は、YR,YG,YB
である。
【0026】具体的には、3原色表示要素RGBとして
NTSC方式の三原色、基礎刺激としてC光源を選んだ
場合、 YR=0.30,YG=0.59,YB=0.11 となる。
【0027】このような3原色表示要素と1非表示要素
を2行2列の行列Mに配置する場合、行列Mの各要素m
11,m12,m21,m22に配する要素により、行ごと、列
ごとの輝度和を計算でき、また、行間の輝度差、列間の
輝度差の大きい方をもって行間・列間の最大輝度差とす
れば、最大輝度差が小さいほど輝度縞差が小さく、観察
者に縞状妨害感を与えない表示装置と言えよう。
【0028】図21は、上記3原色表示要素と1非表示
要素を2行2列に配置した場合の行・列ごとの輝度和
と、行間・列間の輝度差の大なる方を計算したものであ
る。NTSC方式の三原色を用いた場合、行間・列間の
最大輝度差の中で最小のものは0.40であり、これ
は、赤色(R)と緑色(G)を対角位置に配置した場合
である。
【0029】これに従う配列させたのが図1である。図
示で、Bは青色表示要素、Rは赤色表示要素、Gは緑色
表示要素、xは非表示要素を表わす。図2は、本発明の
第2の実施形態における配列を示しており、図1の実施
形態の緑表示要素と非表示要素を交換したものである。
【0030】以上、図1または図2の配列を2次元的に
繰り返すことで生成した表示盤で実際に画像を表示させ
たところ、先の従来技術の項で説明した問題点が改善さ
れたことが確かめられた。
【0031】<表示パネルの構成と製造法>次に、本発
明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製造法
について、具体的な例を示して説明する。
【0032】図4は、実施形態に用いた表示パネルの斜
視図であり、内部構造を示すためにパネルの1部を切り
欠いて示している。
【0033】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートであり、1005
〜1007により表示パネルの内部を真空に維持するた
めの気密容器を形成している。気密容器を組み立てるに
あたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保
持させるため封着する必要があるが、たとえばフリット
ガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中
で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することに
より封着を達成した。気密容器内部を真空に排気する方
法については後述する。
【0034】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1002
がNxM個形成されている。(N,Mは2以上の正の整
数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定され
る。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした
表示装置においては、N=3000,M=1000以上
の数を設定することが望ましい。本実施形態において
は、N=3072,M=1024とした。)前記NxM
個の冷陰極素子は、M本の行方向配線1003とN本の
列方向配線1004により単純マトリクス配線されてい
る。前記1001〜1004によって構成される部分を
マルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、マルチ電子ビーム源
の製造方法や構造については、後で詳しく述べる。
【0035】本実施形態においては、気密容器のリアプ
レート1005にマルチ電子ビーム源の基板1001を
固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板10
01が十分な強度を有するものである場合には、気密容
器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板10
01自体を用いてもよい。
【0036】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施形態はカ
ラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはC
RTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体
が塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図1
の配列に従うのであれば図5に示すようにストライプ状
に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒色の導
電体1010が設けてある。黒色の導電体1010を設
ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっ
ても表示色にずれが生じないようにする事や、外光の反
射を防止して表示コントラストの低下を防ぐ事、電子ビ
ームによる蛍光膜のチャージアップを防止する事などで
ある。黒色の導電体1010には、黒鉛を主成分として
用いたが、上記の目的に適するものであればこれ以外の
材料を用いても良い。
【0037】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜100
8を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するため
の電極として作用させる事や、蛍光膜1008を励起し
た電子の導電路として作用させる事などである。メタル
バック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート
基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理
し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。
なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた
場合には、メタルバック1009は用いない。
【0038】また、本実施形態では用いなかったが、加
速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フ
ェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0039】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよび
Hvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的
に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子であ
る。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配線10
03と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方向配線
1004と、Hvはフェースプレートのメタルバック1
009と電気的に接続している。
【0040】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[T
orr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、たと
えばBaを主成分とするゲッター材料をヒーターもしく
は高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、
該ゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1x10マ
イナス5乗ないしは1x10マイナス7乗[Torr]
の真空度に維持される。
【0041】以上、本発明実施形態の表示パネルの基本
構成と製法を説明した。
【0042】次に、前記実施形態の表示パネルに用いた
マルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発
明の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰
極素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰
極素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。したが
って、たとえば表面伝導型放出素子やFE型、あるいは
MIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0043】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極
素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。す
なわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対
位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極め
て高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や
製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。ま
た、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてしか
も均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コス
トの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表
面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大
面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明者
らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしく
はその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電
子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見
いだしている。したがって、高輝度で大画面の画像表示
装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適であ
ると言える。そこで、上記実施形態の表示パネルにおい
ては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好適
な表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法およ
び特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス
配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0044】<表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法>電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0045】<平面型の表面伝導型放出素子>まず最初
に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法につ
いて説明する。図6に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面
図(b)である。図中、1101は基板、1102と1
103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は
通電フォーミング処理により形成した電子放出部、11
13は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0046】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0047】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn2 O3 −SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ
ー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえ
ば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0048】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選ん
で設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好
ましいのは数マイクロメーターより数十マイクロメータ
ーの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、
通常は数百オングストロームから数マイクロメーターの
範囲から適当な数値が選ばれる。
【0049】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0050】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。
【0051】具体的には、数オングストロームから数千
オングストロームの範囲のなかで設定するが、なかでも
好ましいのは10オングストロームから500オングス
トロームの間である。
【0052】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,S
nO2 ,In2 O3 ,PbO,Sb2 O3 ,などをはじ
めとする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,C
eB6 ,YB4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼化物
や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,Hf
N,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などを
はじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、こ
れらの中から適宜選択される。
【0053】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0054】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図6の例においては、下
から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0055】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図6においては模式的に示した。また、平面
図(a)においては、薄膜1113の一部を除去した素
子を図示した。
【0056】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0057】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[オングストロ
ーム]以下とするが、300[オングストローム]以下
とするのがさらに好ましい。
【0058】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施形態においては以下のような素子を用いた。
【0059】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。
【0060】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0061】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。図7(a)〜(d)は、
表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図
で、各部材の表記は図6と同一である。
【0062】1)まず、図7(a)に示すように、基板
1101上に素子電極1102および1103を形成す
る。
【0063】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる。(堆積する方法として
は、たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術
を用ればよい。)その後、堆積した電極材料を、フォト
リソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニング
し、同図(a)に示した一対の素子電極(1102と1
103)を形成する。
【0064】2)次に、同図(b)に示すように、導電
性薄膜1104を形成する。
【0065】形成するにあたっては、まず同図(a)の
基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理し
て微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッ
チングにより所定の形状にパターニングする。ここで、
有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を
主要元素とする有機金属化合物の溶液である。(具体的
には、本実施形態では主要元素としてPdを用いた。ま
た、実施形態では塗布方法として、ディッピング法を用
いたが、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法
を用いてもよい。) また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成膜方法として
は、本実施形態で用いた有機金属溶液の塗布による方法
以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ法、あるいは化
学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0066】3)次に、同図(c)に示すように、フォ
ーミング用電源1110から素子電極1102と110
3の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を
行って、電子放出部1105を形成する。
【0067】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0068】通電方法をより詳しく説明するために、図
8に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の
電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜
をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好まし
く、本実施形態の場合には同図に示したようにパルス幅
T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加し
た。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次
昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニ
ターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角
波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1
111で計測した。
【0069】実施形態においては、たとえば10のマイ
ナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、た
とえばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を
10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに
0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス
印加するたびに1回の割りで、モニターパルスPmを挿
入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがない
ように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に
設定した。そして、素子電極1102と1103の間の
電気抵抗が1x10の6乗[オーム]になった段階、す
なわちモニターパルス印加時に電流計1111で計測さ
れる電流が1x10のマイナス7乗[A]以下になった
段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0070】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微
粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0071】4)次に、図7(d)に示すように、活性
化用電源1112から素子電極1102と1103の間
に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電子
放出特性の改善を行う。
【0072】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである。(図においては、炭
素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113と
して模式的に示した。)なお、通電活性化処理を行うこ
とにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放
出電流を典型的には100倍以上に増加させることがで
きる。
【0073】具体的には、10のマイナス4乗ないし1
0のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中
で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰
囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グ
ラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、の
いずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500
[オングストローム]以下、より好ましくは300[オ
ングストローム]以下である。
【0074】通電方法をより詳しく説明するために、図
9(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜の
電圧波形の一例を示す。本実施形態においては、一定電
圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行った
が、具体的には,矩形波の電圧Vacは14[V],パ
ルス幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4は10[ミ
リ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施形態の
表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面
伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じ
て条件を適宜変更するのが望ましい。
【0075】図7(d)に示す1114は該表面伝導型
放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するための
アノード電極で、直流高電圧電源1115および電流計
1116が接続されている。(なお、基板1101を、
表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合
には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114とし
て用いる。)活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図9(b)に示すが、活性化電源111
2からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とと
もに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとん
ど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽
和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停
止し、通電活性化処理を終了する。
【0076】なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0077】以上のようにして、図7(e)に示す平面
型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0078】<垂直型の表面伝導型放出素子>次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0079】図10は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0080】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。し
たがって、図6の平面型における素子電極間隔Lは、垂
直型においては段差形成部材1206の段差高Lsとし
て設定される。なお、基板1201、素子電極1202
および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜120
4、については、前記平面型の説明中に列挙した材料を
同様に用いることが可能である。また、段差形成部材1
206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶縁性
の材料を用いる。
【0081】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図11(a)〜(f)は、製造工程
を説明するための断面図で、各部材の表記は図10と同
一である。
【0082】1)まず、図11(a)に示すように、基
板1201上に素子電極1203を形成する。
【0083】2)次に、同図(b)に示すように、段差
形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよい
が、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を
用いてもよい。
【0084】3)次に、同図(c)に示すように、絶縁
層の上に素子電極1202を形成する。
【0085】4)次に、同図(d)に示すように、絶縁
層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0086】5)次に、同図(e)に示すように、微粒
子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成する
には、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0087】6)次に、前記平面型の場合と同じく、通
電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する。
(図7(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミン
グ処理と同様の処理を行えばよい。) 7)次に、前記平面型の場合と同じく、通電活性化処理
を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆
積させる。(図7(d)を用いて説明した平面型の通電
活性化処理と同様の処理を行えばよい。) 以上のようにして、図11(f)に示す垂直型の表面伝
導型放出素子を製造した。
【0088】<表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性>以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0089】図12に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0090】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0091】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0092】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0093】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0094】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0095】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0096】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0097】<多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造>次に、上述の表面伝導型放出素
子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電
子ビーム源の構造について述べる。
【0098】図13に示すのは、図4の表示パネルに用
いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上には、
図6で示したものと同様な表面伝導型放出素子が配列さ
れ、これらの素子は行方向配線電極1003と列方向配
線電極1004により単純マトリクス状に配線されてい
る。行方向配線電極1003と列方向配線電極1004
の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成
されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0099】図13のA−A’に沿った断面を図14に
示す。
【0100】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配
線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1003および列方向配線電極1004
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0101】<表示装置の構成>図15は、実施形態に
おける表示装置の主要部分のブロック構成図である。同
図において、101は上記の様にして製造された表面伝
導型放出素子を用いた画像表示パネルで、端子Dx1か
らDxmおよびDy1からDynを介して外部の電気回
路と接続されている。また画像表示パネル101上の高
圧端子Daは外部の高圧電源Vaに接続され放出電子を
加速するようになっている。このうち端子Dx1からD
xmには前述のパネル内に設けられているマルチ電子ビ
ーム源すなわちM行N列の行列状にマトリックス配線さ
れた表面伝導型放出素子群を1行ずつ順次駆動してゆく
ための走査信号が印加される。一方、端子Dy1からD
ynには前記走査信号により選択された一行の表面伝導
型放出素子の各素子の出力電子ビームを制御する為の変
調信号が印加される。本実施例では、走査信号は負極性
とし、変調信号を正極性とした。走査信号と変調信号が
同時に印加された素子が、その時間だけ点灯する。
【0102】画像信号の流れに従い各構成を説明する。
【0103】入力されたコンボジット画像信号をデコー
ダ103で3原色(RGB)の輝度信号及び水平、垂直
同期信号(H_SYNC,V_SYNC)に分離する。
タイミング信号発生回路104ではH_SYNC,V_
SYNC信号に同期した各種タイミング信号を発生させ
る。RGB輝度信号はS/H回路105において適当な
タイミングでサンプリングされ保持され、それをデジタ
ル信号(A/D変換回路も内蔵されているものとする)
に変換する(例えば各色成分8ビット)。こうして得ら
れた1ライン分のRGBのデジタルデータは、S/P変
換回路でもってパラレルに画像信号処理回路107に出
力される。
【0104】詳細は後述するが、この画像信号処理回路
107は、入力した1ライン分のRGBのデータから画
像表示パネル101の該当するラインに対応した各色成
分のデータを生成し、それをパルス幅変調回路108に
出力する。
【0105】パルス幅変調回路108は、アナログ電圧
信号に変換するD/Aコンバータ及び三角波発生回路及
びそれらを比較するコンパレータで構成され、パラレル
に入力したそれぞれのデジタルデータに対応するパルス
幅変調信号を生成し、それを表示パネルの端子Dy1な
いしDynを通じて表示パネル101内の各表面伝導型
放出素子に印加し、1ライン単位に駆動する。ここで駆
動されるラインは、走査回路102により選択されたも
のとなる。走査回路102はタイミング信号発生回路1
04より供給されるタイミング信号に応じたラインを選
択するのである。
【0106】次に、実施形態における画像信号処理回路
107について説明する。ここで、実施形態における表
示パネルの蛍光膜1008は、図1のようなパターンで
各色成分の蛍光体が配列されているものとする。
【0107】基本的に、表示パネル上の2ラインが、入
力した映像信号の1ラインに対応する。つまり、図1の
配列を採用した場合には、1走査ラインの画像信号を入
力する度に2ライン駆動することになる。
【0108】図16は、第1の実施形態の蛍光膜パター
ンに適用した場合の画像信号処理回路107のブロック
構成図を示している。
【0109】図示で、201a、201bは、表示パネ
ル101の1ライン分の画像データを蓄積するだけの容
量を持ったレジスタである。
【0110】先に説明したように、1入力ラインに対し
て2ライン駆動することになるわけであるから、入力さ
れた水平同期信号の周波数を2倍に逓倍するため、図示
の如く逓倍回路204を設け、その2倍に逓倍された信
号をカウントするカウンタ205を設けた。このカウン
タはレジスタ201a,201bのいずれか一方を選択
するために用いるものであり、基本的に表示パネル上の
奇数ラインと偶数ラインとを判別できれば良いから、そ
のカウント値は1ビットである。すなわち、セレクタ2
02は、カウンタ205からの出力信号に従いレジスタ
201a、201bの何れか一方を順番に選択し、その
出力データをパルス幅変調回路108に出力する。
【0111】レジスタ201a、201bは、図1の配
列を採用するのであれば、図17のように、S/P変換
回路106に格納されたRGBRGB…形式のデータに
つき、各レジスタの入力が図1に示す色成分を格納する
よう配線されている。尚、図示では最初の1画素のRG
Bデータに対するレジスタ201a、201bについて
のみ示した。
【0112】映像信号の1走査ライン分の入力に対し、
2個のレジスタにデータが供給され、記憶される。そし
て、レジスタ201a、201bを順に駆動すること
で、図1に示すパターンで映像を表示させることが可能
になる。
【0113】尚、レジスタ201bであるが、図示の場
合には非表示要素を格納するメモリを確保して示してい
るが、実際には非表示要素部分のメモリを確保する必要
はなく、レジスタ201aの半分の容量を備えれば良
い。また、これまでの説明から明らかなように、図1の
パターンで画像を表示するのであれば、表示パネルの偶
数ラインに対応する表面伝導型電子放出素子の数は、奇
数行のそれの半分で構わない。
【0114】更に、図21に従えば、行間・列間の最大
輝度差が0.40のパターンは、図1、図2以外にも存
在する。しかしながら、同値のパターンは、基本的に図
1、図2の回転させたパターンであるので、実質的に違
いはない。
【0115】更にまた、仮に図1のパターンをM、図2
のパターンをNとした場合に、1行1列及び2行2列目
をM、1行2列及び2行1列目をNで構成した4×4の
パターンを用いても良い。
【0116】以上説明したように、本実施形態に従え
ば、水平垂直の色縞の出現を低減するので画質を向上さ
せる効果がある。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
2行2列の基本配列の行の輝度差、列の輝度差が少なく
して、輝度差による横縞あるいは縦縞による視覚妨害が
少なくし画質を向上させることが可能になる。
【0118】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における色成分の配列パターン
を示す図である。
【図2】第2の実施形態における色成分の配列パターン
を示す図である。
【図3】一般的なストライプ配列及び、発明者等が考察
した配列を示す図である。
【図4】実施形態における画像表示装置の、表示パネル
の一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図5】実施形態における表示パネルのフェースプレー
トの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図6】実施形態で用いた平面型の表面伝導型放出素子
の平面及び断面図である。
【図7】実施形態における平面型の表面伝導型放出素子
の製造工程を示す図である。
【図8】実施例における通電フォーミング処理の際の印
加電圧波形を示す図である。
【図9】実施形態における通電活性化処理の際の印加電
圧波形及び放電電流Ieの変化を示す図である。
【図10】実施形態における垂直型の表面伝導型放出素
子の断面図である。
【図11】実施形態における垂直型の表面伝導型放出素
子の製造工程を示す図である。
【図12】実施形態で用いた表面伝導型放出素子の典型
的な特性を示す図である。
【図13】実施形態で用いたマルチ電子ビーム源の基板
の平面図である。
【図14】実施形態で用いたマルチ電子ビーム源の基板
の一部断面図である。
【図15】実施形態における表示装置の駆動部分のブロ
ック構成図である。
【図16】図15における画像信号処理回路のブロック
構成図である。
【図17】図16におけるレジスタ群の画像データの格
納状態を示す図である。
【図18】表面伝導型放出素子の一例を示す図である。
【図19】FE型素子の一例を示す図である。
【図20】MIM型素子の一例を示す図である。
【図21】各色成分の組み合せによる行間輝度差を示す
図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原色表示要素を行列配置してカラー画像
    を表示するための表示盤であって、 3原色表示要素と画像表示に寄与しない1要素により2
    行2列の基本配列を形成し、 原色表示要素のうち輝度値が最大の原色表示要素と2番
    目に高い原色表示要素を基本配列の対角位置に配置する
    ことを特徴とする表示盤。
  2. 【請求項2】 原色表示要素のうち緑色(G)と赤色
    (R)を基本配列の対角位置に配置することを特徴とす
    る請求項第1項に記載の表示盤。
  3. 【請求項3】 表示盤上の行列状に配置された各色成分
    の蛍光体に向けて電子源から放出した電子を飛翔させ、
    表示させる画像表示装置であって、 前記表示盤における1画素について、3原色表示要素と
    画像表示に寄与しない1要素による合計4要素を2行2
    列で構成し、原色表示要素のうち輝度値が最大の原色表
    示要素と2番目に高い原色表示要素を基本配列の対角位
    置に配置することを特徴とする画像表示装置。
  4. 【請求項4】 原色表示要素のうち緑色(G)と赤色
    (R)を基本配列の対角位置に配置することを特徴とす
    る請求項第3項に記載の画像表示装置。
  5. 【請求項5】 前記電子源は表面伝導型電子放出素子の
    配列を有することを特徴とする請求項第3項に記載の画
    像表示装置。
JP9358395A 1997-12-25 1997-12-25 表示盤及び該表示盤を有する画像表示装置 Withdrawn JPH11185654A (ja)

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