JP3554185B2 - 電子源駆動装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子源駆動装置及びそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子源駆動装置およびその応用である画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型大画面表示装置の研究開発が盛んに行われている。本発明者は、薄型大画面表示装置として、冷陰極素子を電子源に用いた研究を行っている。
【0003】
従来から、電子放出素子として熱陰極素子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰極素子では、たとえば表面伝導型放出素子や、電界放出型素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下MIM型と記す)、などが知られている。
【0004】
表面伝導型放出素子としては、たとえば、M.I.Elinson,Radio Eng.Electron Phys.,10,1290,(1965)や、後述する他の例が知られている。
【0005】
表面伝導型放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO2 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:”Thin Solid Films”,9,317(1972)]や、In2 O3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:”IEEE Trans.ED Conf.”,519(1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]等が報告されている。
【0006】
これらの表面伝導型放出素子の素子構成の典型的な例として、図47に前述のM.Hartwellらによる素子の平面図を示す。同図において、3001は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示のようにH字形の平面形状に形成されている。該導電性薄膜3004に後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成される。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],Wは、0.1[mm]で設定されている。尚、図示の便宜から、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0007】
M.Hartwellらによる素子をはじめとして上述の表面伝導型放出素子においては、電子放出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォーミングとは、通電により電子放出部を形成するものであり、例えば、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりとしたレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀裂が発生する。前記通電フォーミング後に導電性薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近において電子放出が行われる。
【0008】
また、FE型の例は、たとえば、W.P.Dyke&W.W.Dolan,”Field emission”,Advance in Electron Physics,8,89(1956)や、あるいは、 C.A.Spindt,”Physicalproperties of thin−film field emissioncathodes with molybdenium cones”,J.Appl.Phys.,47,5248(1976)などが知られている。
【0009】
FE型の素子構成の典型的な例として、図48に前述のC.A.Spindtらによる素子の断面図を示す。同図において、3010は基板で、3011は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタコーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極である。本素子は、エミッタコーン3012とゲート電極3014の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッタコーン3012の先端部より電界放出を起こさせるものである。
【0010】
また、FE型の他の素子構成として、図48のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0011】
また、MIM型の例としては、たとえば、C.A.Mead,”Operationof tunnel−emission Devices,J.Appl.Phys.,32,646(1961)などが知られている。MIM型の素子構成の典型的な例を図49に示す。同図は断面図であり、図において、3020は基板で、3021は金属よりなる下電極、3022は厚さ100オングストローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80〜300オングストローム程度の金属よりなる上電極である。MIM型においては、上電極3023と下電極3021の間に適宜の電圧を印加することにより、上電極3023の表面より電子放出を起こさせるものである。
【0012】
上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較して低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒーターを必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒーターの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利点もある。
【0013】
このため、冷陰極素子を応用するための研究が盛んに行われてきている。
【0014】
たとえば、表面伝導型放出素子は、冷陰極素子のなかでも特に構造が単純で製造も容易であることから、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点がある。そこで、たとえば本出願人による特開昭64−31332において開示されるように、多数の素子を配列して駆動するための方法が研究されている。
【0015】
また、表面伝導型放出素子の応用については、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの画像形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0016】
特に、画像表示装置への応用としては、たとえば本出願人によるUSP5,066,883や特開平2−257551や特開平4−28137において開示されているように、表面伝導型放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置が研究されている。表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されている。たとえば、近年普及してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるためバックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優れていると言える。
【0017】
また、FE型を多数個ならべて駆動する方法は、たとえば本出願人によるUSP4,904,895に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応用した例として、たとえば、R.Meyerらにより報告された平板型表示装置が知られている[R.Meyer:”Recent Development on MicrotipsDisplay at LETI”,Tech.Digest of 4th Int. Vacuum Microele−ctronics Conf.,Nagahama,pp.6〜9(1991)]。
【0018】
また、MIM型を多数個並べて画像表示装置に応用した例は、たとえば本出願人による特開平3−55738に開示されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、上記従来技術に記載したものをはじめとして、さまざまな材料、製法、構造の冷陰極素子を試みてきた。さらに、多数の冷陰極素子を配列したマルチ電子ビーム源、ならびにこのマルチ電子ビーム源を応用した画像表示装置について研究を行ってきた。
【0020】
発明者らは、たとえば図50に示す電気的な配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。すなわち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子ビーム源である。
【0021】
図中、4001は冷陰極素子を模式的に示したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配線である。行方向配線4002および列方向配線4003は、実際には有限の電気抵抗を有するものであるが、図においては配線抵抗4004および4005として示されている。上述のような配線方法を、単純マトリクス配線と呼ぶ。
【0022】
なお、図示の便宜上、6×6のマトリクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限ったわけではなく、たとえば画像表示装置用のマルチ電子ビーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだけの素子を配列し配線するものである。
【0023】
冷陰極素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビームを出力させるため、行方向配線4002および列方向配線4003に適宜の電気信号を印加する。たとえば、マトリクスの中の任意の1行の冷陰極素子を駆動するには、選択する行の行方向配線4002には選択電圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4002には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗4004および4005による電圧降下を無視すれば、選択する行の冷陰極素子には、Ve−Vsの電圧が印加され、また非選択行の冷陰極素子にはVe−Vnsの電圧が印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜の大きさの電圧にすれば選択する行の冷陰極素子だけから所望の強度の電子ビームが出力されるはずであり、また列方向配線の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビームが出力されるはずである。また、駆動電圧Veを印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時間の長さも変えることができるはずである。
【0024】
なお、以上では、駆動すべき素子にVe−Vsなる素子印加電圧Vfを印加するようにして電子放出をせしめるが、単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源から電子ビームを得る別の手法として、列方向配線に駆動電圧Veを印加するための電圧源を接続するのではなく、所望の電子ビームを出力するのに必要な電流を供給するための電流源を接続して駆動する方法もある。この場合、電子ビーム源に流れる電流を以下素子電流Ifと呼び、放出される電子ビーム量を放出電流Ieと呼ぶ。
【0025】
したがって、冷陰極素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源はいろいろな応用可能性があり、たとえば画像情報に応じた電気信号を適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に用いることができる。
【0026】
しかしながら、冷陰極素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源には、実際には以下に述べるような問題が発生していた。
【0027】
本研究者らの研究により、輝度むらの発生原因は、配線の有する電気抵抗4004,4005のために電圧降下が発生し、各表面伝導型放出素子に本来意図した駆動信号よりも小さな電圧しか印加されていないことによるものであることが判明した。以下詳細に説明する。なお、行方向配線4002に印加する信号を走査信号、列方向配線4003に印加する信号を変調信号と呼ぶことにする。
【0028】
上述したようなマルチ電子ビーム源では、一般に、前述の駆動電圧Veを印加する時間の長さを変えることにより、電子ビームが出力される時間の長さを変え、画像表示を行うことを基本としている。まず、この画像表示駆動について、マルチ電子ビーム源の一般的な駆動形態を示す図51及び図52を参照して説明する。
【0029】
図51において、Dy1〜DyNは変調信号供給端子、Dx1〜DxMは走査信号供給端子を表している。また、全ての表面伝導型放出素子4001は、ほぼ等しい抵抗値Rdを各々有するものとする。走査信号供給端子Dx1〜Dxmは順次選択されて、走査信号であるところの負のパルス(電圧Vs)が印加される。各変調信号供給端子Dy1〜Dynには所望の長さの正のパルス(電圧Ve)が印加される。
【0030】
図52は、一般的なパルス幅変調駆動方式における走査信号、変調信号について説明するためのタイムチャートである。図52にあるように、期間Kでは図51の1行目の冷陰極素子が駆動され、期間K+1では2行目の冷陰極素子が駆動され、期間K+2では3行目の冷陰極素子が駆動されており、行方向配線4002には走査信号、列方向配線4003には変調信号が印加される。変調信号としては、例えば図52に示すように、立ち上がりがそろった時間幅の異なるパルスを印加する。ここで、変調信号のパルス幅を画像信号に対応して変調して、長くしたり短くすることにより、電子の放出される量を制御して画像を表示する。選択する行の行方向配線4002には、上述の変調信号とは逆の極性をもつパルスを印加し、選択しない行の行方向配線はグランド電位に接地する。図52にあるように、行方向配線側の駆動回路は1水平走査期間ごとにその選択する行を切り替えてこの電圧を印加していく。
【0031】
上述のマルチ電子ビーム源に用いられる冷陰極素子は、一般に次のような特性を有する。すなわち、
第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0032】
すなわち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0033】
第二に、放出電流Ieは素子に印加する電圧Vf(Ve−Vs)に依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大きさを制御できる。
【0034】
第三に、素子に印加する電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0035】
第四に、閾値電圧Vthよりも高い電圧を素子に印加すると、素子電流Ifが急激に増加するが、一方、閾値電圧以下で流れる素子電流は非常に小さい。
【0036】
特に第一、及び第四の特性により、冷陰極素子にVthを印加した場合には、素子電流Ifにしても、放出電流Ieにしてもほとんど流れないが、冷陰極素子に(2×Vth)を印加した場合にはIf,Ieの量は急激に増加する。
【0037】
前述したタイムチャートにおいて走査信号及び変調信号の波高値をそれぞれ−Vth,+Vthに設定することで、選択されている行に配置されている冷陰極素子から変調信号の時間幅に対応して、電子を放出させ一行ごと画像を表示させることができ、選択行を一水平期間ごとに切り替えていくことにより画面全体の画像を表示させることができる。
【0038】
さて、図51に示したマルチビーム電子源を上記の如く行単位で駆動する場合、即ち、行方向配線4002の内1つを選択したときを考える。このとき、行方向及び列方向配線自体の配線抵抗4004及び4005がある為に、そこでの電圧降下を生じる。一方、列方向配線4003から注入されたライン上のそれぞれの表面伝導型放出素子を流れた駆動電流は、選択した行方向配線4002を通して流れる。従って、特に行方向配線4002における電圧降下が無視できない大きさとなり、選択した行方向配線4002に接続された表面伝導型放出素子に印加される電圧に分布を生じてしまい、電子放出特性に差が生じて均一な電子放出が得られないとういう問題点が生じる。
【0039】
上述したように、冷陰極素子の抵抗成分は、素子の両端に印加される電圧によりその大きさが変わる。即ち、単純マトリクス駆動における半選択駆動を受けている状態では選択駆動を受けている場合に比べ抵抗成分が大きい値を示す。従って、半選択駆動を受けている素子は解放状態と見なすことができ、図51を参考にM行N列の表面伝導型放出素子を有するマルチビーム電子源の等価回路は、選択駆動しているライン上の素子のみを用いた図53の等価回路で示すことができる。同図において、配線抵抗4006はそれぞれの列方向配線4003の駆動端から駆動する素子までの累積抵抗を示す。各行方向配線4003を通り、それぞれの素子に流れた駆動電流は、行方向配線4002に合流して流れる。
【0040】
この結果、行方向配線4002の配線抵抗4004による電圧降下を生じることになる。従って、ある行に着目し、各表面伝導型放出素子の走査信号線側の電位をプロットすると図54のようになる。ここで、電位の変化が一様でないのは、走査信号線を流れる電流が走査信号供給端子Dx1〜Dxmに近いほど多くなるため、電圧降下も大きくなるからである。変調信号線側の電位は等しいので、結局、各表面伝導型放出素子にかかる電圧は図55のようになる。その結果、各表面伝導型放出素子から放出される電子ビームのビーム電流は、走査信号供給端子Dx1〜Dxmに近い側で大きく、遠い側で小さくなる。
【0041】
これらのビーム電流量のばらつきは、画像表示装置に応用した場合、輝度ばらつきとなってあらわれるので、極めて不都合である。特に、画素数の多い大容量表示装置を実現しようとする場合には、上記ばらつきの割合は顕著となり、画像表示を行った際における表示輝度の分布の均一性が劣化し、大きな問題となるのである。
【0042】
また、上述したような電圧降下の問題を解決するための一方法として、行方向配線の両端に走査信号を印加することが提案されている。
【0043】
図56は行方向配線の両側に走査信号を印加して駆動する方法を説明する図である。この図では1行目の冷陰極素子を駆動していて、1行目の行方向配線の両端に走査信号(波高値−Vth)、各列方向配線に変調信号(波高値+Vth)を印加している。従って、1行目の冷陰極素子には、2×Vth、他の行の冷陰極素子にはVth以下の電圧がかかることが理想であるが、実際には図57に示すように、配線抵抗での電圧降下のため1行目の行方向配線上では、その両端では−Vthであっても、中心部では電位が上昇している。このため一行目の各冷陰極素子に印加される電圧は行方向配線の端部に近い素子には2×Vthの電圧が印加されるが、中心部の冷陰極素子には印加電圧が2×Vthよりも低くなってしまっていた。
【0044】
以上のような印加電圧の分布のため、放出電流Ieも、印加電圧の影響をうけて、中心部では小さくなるという問題が発生していた。この様に、両端に走査信号を印加するというような形態を採用しても、やはり電圧降下の影響があらわれてしまい、輝度むら等の問題が発生していた。
【0045】
また、上述のように、多数個の電子放出素子を用いて画像形成を行う場合には、その総和としての消費電力も大きな問題となる。すなわち放出された電子ビームは高圧アノード電圧(以下Vaと呼ぶ)により加速され蛍光体に衝突するわけだが電子放出素子の数が増加するほど装置の消費電力が大きくなってしまう。電子放出素子の数が(m×n)とすると高圧部で発生する消費電力Wは
W=(m×n)×Ie×Va
となる。さらに、駆動している時間成分を考慮すると消費電力Wは
W={(m×n)×Ie×Va}dt
となり、例えばTv信号やコンピュータ信号を表示する画像装置に応用する場合の電子放出素子の数ともなると、この消費電力が大きな問題となる。また電子ビームが衝突する蛍光板の発熱が大きくなるという問題もある。
【0046】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、行方向配線の抵抗分に起因する表示パネルの発光輝度の分布を改善し、輝度を均一化し、画像表示装置全体での輝度の不均一性を低減する電子源駆動装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0047】
また、本発明の他の目的は、画像に輝度むらが生じてしまうという課題を解消し、薄型で大面積の大容量画像形成装置の実用性能を大幅に向上することにある。
【0048】
また、本発明の他の目的は、ある行方向配線を選択している期間内で同時に通電される素子数を減らすことを可能とし、選択した行方向配線に流れる電流量を減らして、配線抵抗による電圧降下による影響を軽減させることにある。
【0049】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の一態様による電子源駆動装置は、たとえば、以下の構成を備える。すなわち、
複数の電子放出素子を有し、前記複数の電子放出素子が複数の行配線と複数の列配線に接続され、行配線の選択を一水平期間毎に切り替えて、各水平期間中に各列方向配線へ変調信号を印加する電子源の駆動装置であって、
画像情報に基づいて前記複数の列方向配線のそれぞれに前記一水平期間中に印加する変調信号の時間幅を決定する決定手段と、
あらかじめ決められた複数種類の時間幅のパルス印加期間の組み合わせによって前記決定手段で決定された時間幅分のパルス列を形成して、前記一水平期間中に前記複数の列方向配線のそれぞれに当該パルス列に基づく駆動信号を印加する列駆動手段とを備え、
前記列駆動手段において、前記複数種類の時間幅のパルス印加期間の組み合わせの順序を前記複数の列方向配線毎に異ならせている
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態の幾つかを説明する。
【0051】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態による画像表示装置の構成例を示すブロック図である。また、図2、図3は第1の実施形態における幾つかの信号のタイミングを説明するタイミングチャートである。
【0052】
図1において、1は画像表示パネルであり、ここでは仮に水平480、垂直240の蛍光体が、R,G,B縦ストライプ状に配列され、各蛍光体に対応する表面伝導型放出素子が行方向配線電極と列方向配線電極により単純マトリクス状に配線されているものとする。以下、この画像表示パネル1を線順次駆動する場合を例として本実施形態の説明を行う。
【0053】
入力TV信号s1は、デコーダ部2によりアナログR,G,B信号にデコードされアナログプリプロセス部3に入力される。アナログプリプロセス部3は、同期分離回路、色調整回路、コントラスト制御回路、直流再生回路、ブライトネス制御回路、マトリクス回路、ローパスフィルターなどからなり、信号レベル制御、直流再生、帯域制限されたR,G,B信号を各色のA/Dコンバータ4へ出力する。また、アナログプリプロセス部3は、PLLのための同期信号(sync)をタイミング制御部5へ送るほか、R,G,B信号をマトリクス部で混合して得た輝度信号s20をビデオ検出部13へ送る。
【0054】
A/Dコンバータ4は、タイミング制御部5からのサンプリングクロックs2により、アナログR,G,B信号を必要な階調数、本実施形態では8諧調でデジタイズする。A/Dコンバータ4からのデジタル画像信号s9を受けたデジタルプロセス部6は、ガンマ処理や、輪郭強調やノイズ抑制のためのデジタルフィルタ処理を行い、タイミング制御部5からのクロック信号s3に同期して、データ並び変え部7ヘデジタル画像信号を出力する(図3参照)。また、ディジタルプロセス部6は、システム制御部14からの係数データs15により輪郭強調の制御やコントラスト制御も行う(図3参照)。
【0055】
データ並び変え部7は、1水平期間R,G,B各160個のデータ(s9)をクロックs4に同期して時間軸圧縮し、かつ蛍光体の色配列に対応した順にデータを並び変えたデータ列信号s10を生成し、シフトレジスタ8に1ライン480個のシリアル画像データとして転送する。従って、クロックs4はクロックs3の3倍の周波数を有する(図3参照)。
【0056】
シフトレジスタ8は、シリアル画像データs10をシフトクロックs6により読み込み、1ライン480個のシリアル画像データをパラレルデータに変換して水平ブランキング期間に変調信号発生部9に送る。
【0057】
変調信号発生部9はパルス幅変調方式によって駆動信号を形成するものであり、1行の表面伝導型放出素子数に対応する480個のパルス幅変調器から構成される。そして各々のパルス幅変調器に読み込まれた画像データの大きさに比例した時間幅を持つパルス信号を、1水平期間中に、パルス幅変調信号s7及び場合によりパルス並べ替え用信号s22、s23により発生し、水平駆動ドライバ10へ送る。
【0058】
水平駆動ドライバ10は、Vf制御部15からの信号s17により表面伝導型放出素子に印加するパルス信号の電圧振幅Veを制御された駆動信号を、画像表示パネル1に出力する。
【0059】
タイミング制御部5からの行走査のためのタイミング信号s8(V_START,H_CLK)を受けるシフトレジスタ11は、走査のための行選択信号を垂直駆動ドライバ12に送る。垂直駆動ドライバ12は240行分のトランジスタなどのスイッチ素子からなり、選択時に導通してVf制御部15から送られるバイアスVsを画像表示パネル1に印加する(図2参照)。
【0060】
このように1水平ライン毎の水平駆動ドライバ10からの画像変調データ出力を垂直駆動ドライバ12が順次走査選択していることにより、画像表示パネル1に画像信号が表示される。
【0061】
図4にシステム制御部14の構成を示す。システム制御部14は、CPU21、ROM22、RAM23、EEPROM24、A/Dコンバータ25、D/Aコンバータ26、I/Oポート27からなり、ROM22に格納されたプログラムにより、装置の制御が行われる。D/Aコンバータ26の出力信号s13,s14はコントラスト制御、ブライトネス制御信号であり、アナログプリプロセス部3に伝達され、R,G,B信号のレベルや直流再生量をコントロールする。s16は、選択時の素子印加電圧Vfの制御信号で、Vf制御部15に伝達される。s18は、電子ビーム加速のための高圧電圧Va(s19)を出力する高圧発生部17に伝達され高圧電圧Va(s19)を制御する。
【0062】
ユーザインターフェース部16は、画質調整などのユーザ要求のシステム制御部14への伝達や、システム制御部14からの諸情報の表示などを信号s12により行う。
【0063】
次に、以上のような構成を備えた第1の実施形態の画像表示装置における、変調信号の発生方法(変調信号発生部9の動作)について説明する。
【0064】
図5は第1の実施形態による変調信号の出力タイミング例を示すタイムチャートである。変調信号発生部9は480本の各列方向配線X1からX480に対して、図5に示すようなタイミングでパルスを発生させる。
【0065】
例えば、ある行方向配線を選択している期間1Hを8等分(2^3等分(ここで、X^Yは、XのY乗を表す。なお、べき乗については、以下同様の表記を用いる))した長さを基本パルス期間t0とする。そして、8階調即ち3bitで表された画像データの各bitに対応するパルス期間を設定しておき、値が1となっているビットに対応するパルス期間において駆動信号を印加する。すなわち、2^0のビットには2^0×t0の長さのパルス期間、2^1のビットには2^1×t0の長さのパルス期間、2^2のビットには2^2×t0の長さのパルス期間が割り当てられており、値が1となっているビットに対応するパルス期間をオンにする。
【0066】
図5の例では、X1の列方向配線においては、2^0のビットにはT7が、2^1のビットにはT5,T6が、2^2のビットにはT1〜T4が割り当てられている。そして、X1の行に「3」という値が印加されると、2^0と2^1のビットが1となるので、これらに対応する期間(T5、T6及びT7)において駆動信号が印加される。
【0067】
更に図5に示したように各bitに対応するパルスの発生期間を列方向配線毎に分散させる。例えば、X2の列方向配線では、2^0のビットにはT3が、2^1のビットにはT1,T2が、2^2のビットにはT5〜T8が割り当てられている。そして、X2の行に「5」が印加されると、2^0と2^2のビットが1となるので、これらに対応する期間(T3及びT5〜T8)において駆動信号が印加される。
【0068】
この結果、例えば列方向配線X1,X2,X3,X4,…に対して画像データが3,5,7,1,0,2,2,2,2,2,2,2,…であった場合、図5で黒く塗り潰した期間にパルスを発生させることになる。
【0069】
このようにある行方向配線が選択されている期間1H間でパルスの位置を分散させることにより、配線抵抗による電圧降下を低減でき、画像の輝度むらを低減することができる。
【0070】
なお、上述した変調信号発生部9におけるパルス位置の分散は例えば図6に示すような回路で実現できるであろう。図6は、変調信号発生部9における、1つのパルス幅変調器の回路構成例を示す図である。図において、31はカウンタであり、1水平期間(図5の1H)を8等分した周期を有するクロックを計数してその計数値を出力する。なお、本例では、カウンタ31は計数値として0〜7(3ビット)を出力する。32はデコーダであり、カウンタ31より入力された計数値に対応するビットをオンとして出力する。例えば、カウンタ31よりの入力値が6である間は、6番の出力ビットがオンとなる。33は8個のアンドゲートであり、それぞれ、一方の入力がデコーダ32の出力ビットと接続され、他方が画像データ値の各ビットと接続される。
【0071】
8個のアンドゲート33は、図6において上から順に図5の期間T1〜T8に対応しており、接続されている画像データの各ビットの値に応じてその出力がオン、オフされる。図6では、図5におけるX1の列方向配線に対応する回路構成が示されているが、他の列方向配線に対応させるためには、アンドゲート33と画素データの各ビットとの接続を変更すればよいことは明らかである。
【0072】
なお、上記実施形態において、入力信号としてTV信号を用いたがこれに限定されるものではなく、NTSC,PAL,SECAMやハイビジョンのMUSEでも同一の考え方で実現できる。さらにTV信号以外の例えばコンピュータの信号についても同様に適用できることは明らかであろう。
【0073】
また、1行中の画像データの輝度が高い場合には、各列方向配線に印加されるパルスの時間的な重なりが増大し、上述のごとき駆動パルスの分散による効果が低下してしまう。従って、1行中の画像データの輝度が所定値よりも高い場合には、当該行における画像データの値を低下させて、駆動パルスの分散性を向上するようにしても良い。この点については第3の実施形態において後述する。
【0074】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態として、変調信号発生部9から発生される信号の別の形態を説明する。図7は、第2の実施形態による変調信号の出力タイミング例を示すタイムチャートである。第2の実施形態では、480本の各列方向配線X1からX480に対して図7に示したタイミングでパルスを発生させる。即ち、ある行方向配線を選択している期間1Hを7等分(2^3−1等分)した長さの期間を基本パルス期間t0とする。そして、上記第1の実施形態と同様に、8階調即ち3bitで表された画像データの各bitに対応する長さ、即ち2^0×t0,2^1×t0,2^2×t0の長さのパルスを印加する。このとき、図7に示したように、各bitに対応するパルスの発生期間を列方向配線毎に分散させる。例えば列方向配線X1,X2,X3,X4,…に対して画像データが3,5,4,1,0,2,2,2,2,2,2,…であった場合、図2で黒く塗り潰した期間にパルスを発生させる。
【0075】
このようにある行方向配線が選択されている期間1H間でパルスの位置を分散させることにより、配線抵抗による電圧降下を低減できる。なお、第1の実施形態同様、1行中の画像データの輝度が所定値よりも高い場合には、当該行における画像データの値を低下させて、駆動パルスの分散性を向上するようにしても良い。
【0076】
以上説明した第2の実施形態と前述の第1の実施形態を比較すると、第2の実施形態の方が単位時間t0が長くなるので、同じ放出電流Ieで同じ高電圧Vaでも、第1の実施形態よりも相対的に輝度が上がる。一方、第1の実施形態の方が、第2の実施形態よりもパルスの立ち上がり位置の種類が多い分、全体に輝度値が低い画面で特に同時に点灯する素子数を減らすことが可能であり、配線抵抗による電圧効果の低減をより良好に達成できる。
【0077】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態として、変調信号発生部9から発生させる信号の更に別の形態を説明する。図8は、第3の実施形態による変調信号の出力タイミング例を示すタイムチャートである。第3の実施形態では、480本の各列方向配線X1からX480に対して図8に示したタイミングでパルスを発生させる。即ち、ある行方向配線を選択している期間1Hを8等分(2^3等分)した長さの期間を基本パルス期間t0とし、基本時間幅t0の時間幅を持つ基本パルス印加を期間P0とする。そして、2^0個の基本パルス印加期間P0を含む期間を第1グループ、2^1個の基本パルス印加期間P0を含む期間を第2グループ、2^2個の基本パルス印加期間P0を含む期間を第3グループ、基本時間幅t0の時間幅を持つパルスを印加しない期間を第4グループとしてグループ分けする。
【0078】
ここで、第1グループは画像データの2^0のビットに、第2グループは画像データの2^1のビットに、第3グループは画像データの2^2のビットにそれぞれ対応する。そして、これら4種類のグループの組み合わせによりパルス幅変調を行う。このとき、4種類のグループの何れかに属する2^3個の基本パルス印加期間P0の出現順番を列毎に変える。例えば、第1グループに属する基本パルス印加期間をP0-1、第2グループに属する基本パルス印加期間をP0-2、第3グループに属する基本パルス印加期間をP0-3とすると、1個のP0-1、2個のP0-2、4個のP0-3が存在し、これら7個の基本パルス印加期間の出現順序を、図8に示すように、列配線毎に入れ替える。そして上記実施形態1と同様に、8階調即ち3bitで表された画像データの各bitが1であれば対応するグループに割り当てられた期間にパルスを発生する。
【0079】
さらに第3の実施形態では、図1のビデオ検出部13で、アナログプリプロセス部3からの輝度信号s20をタイミング制御部5からの水平ブランキングが付加された1フィールド毎のゲート信号s5(図2参照)により積分し、輝度信号の平均値をフィールド毎に検出し、輝度信号s11としてシステム制御部14に伝達する。
【0080】
システム制御部14において、検出平均輝度信号s11は、A/Dコンバータ25によってCPU21に取り込まれ(図4)、システム制御部14内部で持っている基準値と比較される。検出平均輝度信号s11がその基準値、第3の実施形態ではレベル4、よりも大きい場合に、D/Aコンバータ26の出力信号s13によりコントラスト制御を行い、結果として水平駆動ドライバ10からの出力パルス幅を抑制することにより、パネル1の発光輝度を所定の基準値以下に制御する。本実施形態では全体の輝度レベルを1/2にする。この輝度レベルの制御は参考例5で詳述する。
【0081】
さらに図8に示したように各bitに対応するパルスの基本パルス印加期間P0を列方向配線毎にほぼ乱数的に分散させる。ここで例えば列方向配線X1,X2,X3,X4,…に対する画像データが6,5,7,2,0,7,7,7,7,7,7,7…であった場合、検出平均輝度信号s11は基準値レベル4よりも大きいので、全体の輝度信号を1/2として3,3,4,1,0,4,4,4,4,4,4,4,…とし、図8で黒く塗り潰した期間にパルスを発生させる。
【0082】
このようにある行方向配線が選択されている期間1H間でパルスの位置を分散させただけでは、全体の輝度レベルが大きいときには同時に通電されている素子数が増え、パルス位置を分散させた効果が弱くなるが、第3の実施形態のようにその場合に全体の輝度レベルを下げることにより、配線抵抗による電圧降下を低減する効果が保たれる。さらに輝度の増加に伴って放出された電子ビーム量が増大し、装置の消費電力が大きくなってしまうという課題も解決される。
【0083】
以上R,G,B縦ストライプ配列の場合の、アナログプリプロセス部3からの輝度信号s20を用いた輝度評価値で発光輝度を制御する例を記した。この場合、輝度信号s20はR,G,B信号が同等の割合で混合されているが(例;s20=1/3(R+G+B))市松配列のようにR,G,Bの蛍光体の数が異なる場合には、その割合で輝度信号s20を生成する。
【0084】
参考例1
次に、参考例1を説明する。図9は参考例1による画像形成装置の一部である駆動回路部分の構成を示したブロック図である。同図において、101はマルチ電子ビーム源を用いた表示パネル、102は線順次による表示の為の選択ラインの走査駆動を行うための走査側駆動回路、103は画像に基づいたパルス信号を駆動信号として出力する変調側駆動回路、104は画像データ信号を所定の駆動パルスに変換する電圧−パルス変換回路、105は放出電子を加速するための高圧電源である。
【0085】
前述したように、マルチビーム電子源基板上のマトリクス配線での電圧降下により、各電子放出素子に印加される電圧に分布を生じる。この分布は、配線抵抗を小さくするか駆動電流を小さくすることにより抑制することができる。
【0086】
以下、参考例1による、図9に示された駆動回路部分の動作を説明する。まず、走査制御信号により走査側駆動回路102から所定の選択ラインに選択電圧が出力される。次に、電圧−パルス変換回路104により、選択ラインに対応した画像データ信号を信号の振幅に応じたパルス幅に相当するパルス列に変換し、そのパルス信号を変調側駆動回路103により駆動信号としてパネルに印加させる。以上の動作を、走査側駆動回路102によって順次選択されるラインについて行うことにより表示を行わせる。
【0087】
次に、図10乃至図14を用いて電圧−パルス変換回路104の動作について説明する。図10は参考例1による電圧−パルス変換回路の詳細な構成を示すブロック図である。図10において、141は、画像データ信号の振幅に応じた幅に相当するパルス列に変換する電圧−パルス列変換回路である。また、142乃至144は、電圧−パルス列変換回路141により変換されたパルス列を以下に説明するような規則に従って並べ替えるパルス列並べ替え回路である。
【0088】
まず、1ラインの走査期間の分割数Pを3とした場合(パルス列並べ替え回路の数も少なくとも3個となる)を例にとって、電圧−パルス変換回路104の動作について説明する。図11は任意の隣接する3つ変調側端子m−1、m、m+1に対応する画像信号の例を示す図である。表示画像に応じ、各隣接する3つの素子には異なる振幅の画像信号入力されている。
【0089】
図12は、図11に示した素子番号m−1、m、m+1の画像信号を振幅に応じたパルス幅に変換した信号を示す図である。図12において、1ライン走査期間とは、1画面を走査する場合に線順次でライン駆動しているときの特定ラインについて割り当てられる時間(1H、1水平期間)をさす。
【0090】
図13(1)、(2)、(3)はパルス列並べ替え回路142、143、144のブロック図である。パルス列並べ替え回路142では各パルス信号ラインに1ライン走査期間1H分だけ信号を遅延させる1Hディレイラインが挿入されている。これによりパルス信号x1、x4、…m−1…は1Hだけ遅延した信号x1’、x4’…mー1’…として出力される。すなわち図14に示したように、素子番号m−1に対応する電圧−パルス列変換回路141の出力信号は信号m−1’に変換される。
【0091】
パルス並べ替え回路143では各パルス信号ラインは(4/3)・Hディレイラインを挿入したラインと(1/3)・Hディレイラインを挿入したラインとに分岐され、Gate-1で合成される。Gate-1では、タイミング制御部5で発生されたゲートタイミング信号s22に従って、信号s22が1のときは4/3ディレイラインが挿入されたラインを選択し、0のときはH/3ディレイラインが挿入されたラインを選択する。これによりパルス信号x2、x5…は一部パルス並べ替え処理が施された信号x2’、x5’、…として出力される。すなわち図14に示したように、素子番号mに対応する電圧−パルス列変換回路141の出力信号はパルス幅が(2/3)・H以上の場合は一部パルスが並べ替えられた信号m’に変換される。
【0092】
パルス並べ替え回路144では同様に各パルス信号ラインは(5/3)・Hディレイラインを挿入したラインと(2/3)・Hディレイラインを挿入したラインとに分岐され、Gate-2で合成される。Gate-2ではゲートタイミング信号s23に従って、1のときは(5/3)・Hディレイラインが挿入されたラインを選択し、0のときは(2/3)・Hディレイラインが挿入されたラインを選択する。これによりパルス信号x3、x6…m+1…は一部パルス並べ替え処理が施された信号x3’、x6’、…m+1…として出力される。すなわち図14に示したように、素子番号m+1に対応する電圧−パルス列変換回路141の出力信号は、パルス幅がH/3以上の場合は一部パルスが並べ替えられた信号m+1’に変換される。
【0093】
ここで、パルス列並べ替え回路143、144において、パルス幅bあるいはdのパルスを1番目のH/3の期間に配置したのは、異なるパルス列並べ替え回路毎にパルスを配置する最初の位置を変えていったとき1Hの期間に収まらないパルスが出てきたので最初の位置にずらして配置したものである。実際の表示パネルの駆動においては、以上説明したような動作をすべての素子番号について行えばよい。
【0094】
以上説明した電圧−パルス変換回路の動作をすべての素子番号に対応する変調信号について行えば、画像表示を行う場合に、素子番号によって異なる時間に立ち上がるような駆動信号を印加させることが可能となる。従って、同時に駆動される電子放出素子の数が減少し、走査側配線を流れる駆動電流の瞬時値が小さくなる。このため、図15の実線によって示したように行方向配線での電圧降下を抑制することが可能となる。なお、図15において破線で示したのは、上述のようなパルスの立ち上がりタイミングを分散させない従来の手法によって電子源を駆動した場合の電圧降下を示す。
【0095】
また、本参考例では分割数Pを3とした場合について説明したが、これに限られるものではなく、他の分割数を採用した場合でも、上記と同様に行方向配線での電圧効果が抑制され、輝度分布の均一な高画質の画像表示を行うことができる。
【0096】
参考例2
図16は、参考例2による画像形成装置の駆動回路部分の構成を示すブロック図である。同図において、図9と同様の動作を行うものについては同一の番号を付した。図16において、106は画像データ信号を所定の駆動パルスに変換する電圧−パルス変換回路である。参考例1における電圧−パルス変換回路104と比して、輝度評価回路108の評価値に基づいてパルス幅を制御する構成が追加されている。107は表示パネル101における放出電流を測定する為の電流計、108は放出電流から輝度を予測する輝度評価回路である。
【0097】
前述したように、マルチビーム電子源基板上のマトリクス配線での電圧降下により、各電子放出素子に印加される電圧に分布を生じる。この分布は、配線抵抗を小さくするか駆動電流を小さくすることにより抑制することができる。
【0098】
以下、参考例2による図16に示した駆動回路部分の動作を説明する。まず、走査制御信号により走査側駆動回路102から所定の選択ラインに選択電圧が出力される。一方、電圧−パルス変換回路106により、選択ラインに対応した画像データ信号の振幅と、輝度評価回路108で予測した輝度とに基づいてパルス列を生成し、そのパルス信号を変調側駆動回路103により駆動信号として表示パネル101に印加させる。以上の動作を順次走査する選択ラインについて行うことにより表示を行わせる。
【0099】
次に、図17及び図18を用いて輝度評価回路108の動作について説明する。図17は、画像を表示したときの電流計107の出力を複数画面分示したものである。図中の表示期間内で線順次に電子放出素子が駆動され1画面分の表示がなされる。帰線期間は例えばテレビ信号に見られる画面間の画像を表示しない期間である。また、図18は、電流計107の出力を輝度評価回路108に含まれる図示されないローパスフィルタ(LPF)に入力した際の、LPFの出力信号を示したものである。この出力信号は画面間の1画面分の平均電子放出量の緩やかな変化を示す信号となる。即ち、電子放出量に輝度が比例するものとすると、この信号は輝度予測した信号となる。
【0100】
図19は参考例2による電圧−パルス変換回路の詳細な構成を示すブロック図である。以下、図19を用いて電圧−パルス変換回路106の動作について説明する。この場合も、領域分割数を3とした場合を例にとって説明する。
【0101】
図19において、161は電圧−パルス列変換回路であり、画像データ信号の振幅及び輝度評価回路108の出力に応じて電圧−パルス幅変換の変換係数を決定し、入力された画像データ信号をこれらに応じた幅のパルス列に変換する。162乃至164は、図10で説明したパルス列並べ替え回路142乃至144と同様の動作をなすパルス列並べ替え回路である。電圧−パルス変換回路161は、変調信号のレベルに輝度評価回路108で予測した輝度信号に応じた変換係数を乗じた長さのパルスに変換する動作をなすものである。
【0102】
図20は、図11に示した任意の隣接する3つ変調側端子s−1、s、s+1に対応する画像信号を電圧−パルス列変換回路161によりパルスに変換した信号を示した図である。1ライン走査期間(1水平期間)のほぼ全期間内のパルス長さの場合の輝度を最大輝度Bmとし、輝度評価回路108より得られる輝度評価値をBとする。このBm値を、B値に分割数である3を掛けた値で割った値をr(r=Bm÷(B×3))とする。図12におけるパルス長さに、輝度に応じた信号であるrを掛けた信号が図20のパルス信号である。但し、rが1以上のとき(すなわち、B値がBm値の1/3以下のとき)には、rは掛けないものとする。以上の処理の結果、パルスa、b、cの幅は必ず1ライン走査期間1Hの1/3(1/q)の値以下になる。
【0103】
次に、図21に示すように、パルス列並べ替え回路162〜164により、1ライン走査期間である1Hを3つに区切った時間のそれぞれの期間に、変換されたパルスを位置を変えて再配置させる。仮に、素子番号s−1に対応するパルス列を並べ替える為の回路をパルス列並べ替え回路162とする。同様に、素子番号sにはパルス列並べ替え回路163が、素子番号s+1にはパルス列並べ替え回路164が対応するものとする。即ち、パルス列並べ替え回路162は、1番目のH/3の期間にパルス幅aのパルスを、パルス列並べ替え回路163は、1番目のH/3の期間にはパルスを配置せず、2番目のH/3の期間にパルス幅bのパルスを配置し、パルス列並べ替え回路164は、3番目のH/3の期間にパルス幅cのパルスを配置し、1番目及び2番目のH/3の期間にはパルスを配置しない。実際の表示パネルの駆動においては、以上説明したような動作をすべての素子番号について行えばよい。
【0104】
以上説明した電圧−パルス変換回路の動作をすべての素子番号に対応する変調信号について行えば、画像表示を行う場合に、素子番号によって3種類の期間のいずれかにおいて立ち上がるような駆動信号を印加させることが可能となる。この結果、同時に駆動される電子放出素子の数が減って走査側配線を流れる駆動電流の瞬時値が小さくなり、図15で説明したように配線での電圧降下を抑制することが可能となる。また、全画面が明るい画面となった場合にも輝度が制限されるために、高圧電源の実効電流が下がり、消費電力を抑える効果も得られる。
【0105】
また、輝度評価回路108は、高圧電源を流れる電子放出電流を測定することにより輝度を評価する例を説明したが、実際の表示面の輝度を輝度計を用いたり、変調信号を評価して輝度を予測しても同様に配線での電圧降下を抑制することができる。
【0106】
また、本参考例では分割数qを3とした場合について説明したが、これに限られるものではなく、他の場合にも同様に配線での電圧効果が抑制することができる。
【0107】
参考例3
次に、参考例3を説明する。本参考例においても、走査方法を線順次走査とし、表示画像に階調をつけるために、一水平走査時間(1H)内の電子放出期間を変調信号の時間幅で制御することにより、蛍光体の発光総量を制御し、階調表現することを基本とする。参考例3では、以下に説明する手法により、特に配線の抵抗分によって生じる電子放出量及び輝度の分布(ばらつき)を改善する。
【0108】
まず、参考例3の概要を説明する。図22は参考例3におけるマルチ電子源および画像表示装置の駆動方法を説明するための図である。参考例3では行方向素子数M=1000、列方向素子数N=3000の例について説明する。
【0109】
図22において表示パネル201はM本の行方向配線202、N本の列方向配線203、N×M個の冷陰極素子204を有する。各配線の端部にかかれているVx1〜VxMはそれぞれ1行目からM行目までの行方向配線202の端部に印加する電圧、Vy1〜VyNはそれぞれ1列目からN列目までの列方向配線203の端部に印加する電圧を表わしている。
【0110】
図23は参考例3による行方向配線及び列方向配線への電圧印加(Vx1〜VxM,Vy1〜VyN)のタイミングを表すタイムチャートである。図23では、期間Kにおいて1行目の冷陰極素子、期間K+1では2行目、期間K+2では3行目、期間K+3では4行目の冷陰極素子にしきい値電圧Vth以上の電圧を印加して、1行毎に冷陰極素子から電子を放出させている。
【0111】
期間Kでは、1行目の冷陰極素子を駆動するため、走査信号Vx1を−Vth(本参考例ではVth=7Vとなるように冷陰極素子を設計した)とし、各列方向配線に画像信号に対応した時間幅を有する変調信号(波高値+Vth)を印加する。参考例3では、図23のタイムチャートに示されるように、各列方向配線に印加される変調信号は、一水平走査期間の始まりに同期して立ち上がるグループと、終わりに同期して立ち下がるグループに分けて作成される。このグループ分けの方法については、いろいろな方法が適用可能であるがその方法については後述する。
【0112】
図23に示すように変調信号の立ち上がり位置を分散させて表示パネルを駆動することにより、変調信号側から選択している行の冷陰極素子を通って選択行の行方向配線へと流れ出る電流を時間的に分散させることができる。この結果、選択行の行方向配線上での電圧降下を低減させることができる。よって、行方向配線上での電圧降下に起因する輝度の分布が低減し、輝度の均一性を向上させることができた。
【0113】
以下、変調信号の印加タイミングのグループ分けについて詳細に説明する。
【0114】
参考例3では、変調信号の分散のさせ方の一例として、奇数番目の列方向配線には立ち上がりを一水平走査期間の始めに同期させたパルスを、偶数番目の列方向配線には立ち下がりを一水平走査期間の終わりに同期させたパルスを印加する。
【0115】
図24は、参考例3による画像表示装置を説明するための図である。図24に沿って信号の流れを説明する。
【0116】
まずNTSC信号などの映像信号はデコーダ221に入力される。図25はデコーダ221の詳細な構成を示すブロック図である。デコーダ221は、図25に示すように、デコーダ部250、アナログプリプロセス部251、A/Dコンバータ252、ディジタルプロセス部253などから構成されている。デコーダ部250は、映像中間周波数回路や、映像検波回路から成り立っており、入力されるNTSC信号などの映像信号をアナログR,G,B信号にデコードする。アナログプリプロセス部251は、同期分離回路、色調整回路、コントラスト制御回路、直流再生回路、ブライトネス制御回路、ローパスフィルタなどからなり、信号レベル制御、直流再生、帯域制限されたR,G,B信号を各色のA/Dコンバータ252に出力する。また、PLLのための同期信号(sync)をタイミング制御回路223(図24)へ送る。
【0117】
A/Dコンバータ252はタイミング制御回路からのサンプリングクロックによリアナログR,G,B信号を必要な階調数でディジタイズする。A/Dコンバータ252からのディジタル画像信号をうけたディジタルプロセス部253はガンマ処理や、輪郭強調や、ノイズ抑制のためのディジタルフィルタ処理を行い、データ配列変換回路222(図24)ヘディジタル画像信号を出力する。なお、同期信号Syncは、垂直同期信号と水平同期信号とを含む。またR,G,Bは赤、緑、青の各色についての輝度データを含んでいる。
【0118】
図24に戻り、タイミング制御回路223はデコーダ221より供給される同期信号syncに基づいて各部の動作タイミングを調整するためのタイミング制御信号を発生する。タイミング制御回路223から各部へのタイミング信号の流れは図24中、点線矢印で表わした。
【0119】
データ配列変換回路322はデコーダ221から供給される3原色の輝度データR、G、Bを表示パネルの画素配列に合わせて配列し、シリアルなディジタル画像信号Dataとして出力する。参考例3では、1つの例としてこのディジタル画像信号Dataを8bitのデータとした。
【0120】
データ配列変換回路222から出力されたディジタル画像信号Dataは、タイミング制御回路から供給されるタイミング信号に基づいてS/P変換回路224に順次蓄えられる。S/P変換回路224は1水平期間分のディジタル映像信号を蓄積すると、タイミング制御回路223から送られるタイミング信号に従って、ディジタル映像信号を1ラインメモリ225に転送する。1ラインメモリ225の出力はパルス幅変調回路226の入力に接続されている。
【0121】
パルス幅変調回路226はおもにカウンタやラッチによって構成されていて、タイミング制御回路から供給されるタイミングに合わせてカウントを行い1ラインメモリから供給されるディジタル映像信号に対応した時間幅を持つパルス幅変調信号に変換する回路である。
【0122】
図26は参考例3によるパルス幅変調回路226の構成を示すブロック図である。参考例3のパルス幅変調回路226では、図26に示すように、奇数番目の列にはアップカウンタ240、偶数番目の列にはダウンカウンタ241が配置されている。各カウンタは、タイミング制御回路223から送られてくるタイミング信号Load,CLKに基づいて動作する。
【0123】
パルス幅変調回路226の奇数番目の列に対応するアップカウンタ240は、Load信号に同期して出力をHighとするとともに1ラインメモリ225からデータをロードし、タイミング信号CLKによってアップカウントを行い、Carryとなるとともにその出力をLowとする仕組となっている。この結果、アップカウンタ240では、1水平期間の開始に同期して立ち上がり、設定された期間(パルス幅)が経過した後に立ち下がるパルスが出力される。
【0124】
一方、パルス幅変調回路226の偶数番目の列に対応するダウンカウンタ241は、Load信号に同期して出力をLowとするとともに1ラインメモリ225からデータをロードし、タイミング信号CLKに従ってダウンカウントを行い、Borrowとなるとともにその出力をHighとし、1水平期間の終了時に出力をLowとする仕組となっている。この結果、ダウンカウンタ241では、1水平期間の終了時に同期して立ち下がるパルスが出力される。
【0125】
以上の動作タイミングをタイミングチャートに表わすと図27のようになる。図27は参考例3によるパルス幅変調回路226の動作を説明するタイミングチャートである。奇数列にはアップカウンタ240が配置されているので、1水平期間の開始(データロード)に同期してパルス信号が立ち上がり、ロードされたデータ分だけCLK信号をカウントした後に当該信号を立ち下げる。一方、偶数列においてはダウンカウンタ241が配置され、CLK信号によって255からダウンカウントを行う。そして、ロードされたデータよりもカウント値が小さくなった時点でパルス信号を立ち上げ、ダウンカウンタが0となった時点でパルス信号を立ち下げる。
【0126】
さて、図24に戻り、変調信号電圧変換回路227ではパルス幅変調回路226から供給されるパルス幅変調信号Dy1〜DyNを表示パネルを駆動するのに最適な電圧レベルに変換する回路である。表示パネル201には図中に示すようにHv端子があり、高圧電源Vaが印加されている。
【0127】
走査信号発生回路228は、Mbitのシフトレジスタ、ラッチ、トランジスタによって構成される回路で、一水平走査期間ごとに、その時選択している行方向配線の端部に選択電圧を印加し、非選択の行方向配線の端部を接地する。さらに、一水平走査期間が終了すると、その選択している行を切り替えて同様に電圧を印加する仕組を有する。走査信号発生回路のM個の出力は図24には図示しなかったが、各行方向配線の両端に接続されていて、その両端に同じ電圧を印加するような仕組をとっている。
【0128】
表示パネルの各行方向配線、列方向配線に印加される電圧のタイムチャートを表わすと前述の図23のようになる。選択信号はほぼ一水平走査期間の時間幅をもった、波高値−Vthの矩形波であり、各列方向配線に印加される変調信号はそれぞれ表示する行の画像に対応したパルス幅を有する、波高値+Vthの矩形波で、奇数番目の列方向配線には立ち上がり位置が一水平走査期間の始めに同期したパルスが、偶数番目の列方向配線には立ち下がり位置が一水平走査期間の終わりに同期したパルスが印加される。
【0129】
以上のようにして、変調信号の電圧を印加するタイミングを分散させたことにより、列方向配線から選択している行方向配線に流れ込む素子電流を分散させることができ、それによって選択している行方向配線上の配線抵抗による電圧降下を減少させることができた。これにより、課題で説明した、配線抵抗の抵抗分による電圧降下に起因する輝度の分布を低減することができ、従来よりも均一な輝度を得ることができた。具体的には、一般的な駆動方法で動画を表示した際にも、人間の目で見ても明らかに分布があったが、参考例3の駆動回路で駆動した際にはほとんど肉眼では確認できなくなった。
【0130】
以上、参考例3によれば、前述したように変調信号の立ち上がり位置及び立ち下がり位置を制御してやることにより、配線抵抗の影響を低減し、輝度の均一性を上昇させることができた。
【0131】
参考例4
参考例4では、参考例3で述べた変調信号の分散のさせ方の変形例について説明する。参考例4では、変調信号の分散方法として、映像信号に応じて分散をさせる方法を採用する。すなわち、各列方向配線に印加するパルス幅変調信号の時間幅に対応したディジタル画像信号が256段階(8bit)であるとした場合に、0から127までの信号値の列方向配線には立ち上がり期間が一水平走査期間の始めに同期したその信号値に対応した時間幅を持つパルスを、128から255までの信号値の列方向配線には立ち下がり期間が一水平走査期間の終わりに同期したその信号値に対応した時間幅を持つパルスを印加する。
【0132】
参考例の画像表示装置を説明するための概略図はおおむね図24(参考例3)と同じであるので図示は省略する。参考例3と異なる点は、パルス幅変調回路226の構成である。
【0133】
図28は参考例4によるパルス幅変調回路226の構成を説明するブロック図である。パルス幅変調回路226はおもにカウンタやラッチによって構成されており、タイミング制御回路223から供給されるタイミングに合わせてカウントを行い、1ラインメモリ225から供給されるディジタル映像信号に対応した時間幅を持つパルス幅変調信号に変換する。具体的には、図28に示すように各列に対応してアップダウンカウンタ242が配置されている。各アップダウンカウンタ242は、タイミング制御回路から送られてくるLoad信号の値によってアップカウンタ、ダウンカウンタのいずれかに切り替わり、CLK信号をアップカウント或いはダウンカウントをする仕組となっている。
【0134】
ここで、1ラインメモリ225から送られてくるディジタル画像信号が0〜127(8bit)の範囲である場合には、アップダウンカウンタ242はアップカウンタとして動作し、ディジタル画像信号が128〜255の範囲である場合には、アップダウンカウンタ242はダウンカウンタとして動作する。例えば、1ラインメモリ225からロードされたディジタル画像信号の値が「100」であった場合は、アップダウンカウンタ242はCLK信号に従ってダウンカウントをおこなう。
【0135】
図29は参考例4によるパルス幅変調回路226の動作を説明するタイミングチャートである。上述したパルス幅変調回路226の構成により、1水平期間の半分未満のパルス幅の矩形信号はその立ち上がりが水平期間の開始に同期する。また、1水平期間の半分以上のパルス幅を有する矩形信号はその立ち下がりが水平期間の終了に同期するようになる。
【0136】
以上のような構成により、1ラインメモリから供給されるディジタル画像信号が0〜127までの信号値の列方向配線には、立ち上がり期間が一水平走査期間の始めに同期した、その信号値に対応した時間幅を持つパルスを、128〜255までの信号値の列方向配線には立ち下がり期間が一水平走査期間の終わりに同期した、その信号値に対応した時間幅を持つパルスを印加する。参考例4の駆動装置によって表示パネルの各配線に印加される電圧のタイムチャートを図30に示す。
【0137】
このようにして変調信号の立ち上がり位置を分散させて表示パネルを駆動したところ、従来の場合と比較して表示パネルの中心部での輝度が上昇し、表示パネル全体で見ると輝度の分布が改善した。具体的には人間の目で見ても明らかに分布があったが、本参考例の画像表示装置で動画を表示した際にはほとんど肉眼では確認できなくなった。
【0138】
以上本参考例によれば、前述しように変調信号の立ち上がり位置及び立ち下がり位置を制御してやることにより、配線抵抗の影響を低減し、輝度の均一性を向上させることができた。
【0139】
参考例5
上述した参考例3及び参考例4で述べたパルス信号分散の方法では、特に変調信号の時間幅が長い場合或いは、輝度信号が高いほと、変調信号を分散した効果が滅少する傾向がある。これは変調信号の時間幅が長くなることにより、同時に点灯する列が多くなり、その影響として素子電流を分散させた効果が減少するためであることを本発明者らは確認している。
【0140】
ところで、表示パネル全体の発光輝度が高い場合には、表示パネル内の輝度の相対関係を残して、全体的に輝度を低下させても人間の目には輝度の低下はほとんど認識されないという現象がある。そこで、参考例5では、参考例3で述べた画像表示装置において、前述したデコーダ221の内部に、表示画面の輝度が平均して高い場合に表示画面全体として輝度を抑制するための回路を設け、さらに輝度の均一性を向上する。
【0141】
すなわち、参考例5では、表示パネルの発光輝度が全体として高い場合には、各列方向配線に印加する変調信号の時間幅を抑制し、表示パネル全体の輝度を抑制する構成を上述の参考例3の駆動回路に追加する。この回路の効果としては、人間の目には輝度の低下を認識されない一方で各列方向配線に印加する変調信号パルスが時間的に重なる期間を減少させることである。この結果、素子電流を分散させる効果があり、これにより配線の抵抗分に起因する行方向配線上での電圧降下を減少させ、表示パネル全体での輝度の均一化を実現する効果がある。更に、発光輝度が抑制されるので、消費電力の低減も図れる。
【0142】
参考例5の駆動回路の概要は図24に示した参考例3の駆動回路とおおむね同じである。参考例5の特徴となるのは、すなわち参考例3と相違するのは、デコーダ221である。図31は参考例5によるデコーダ221の構成を説明するブロック図である。
【0143】
NTSC信号などの映像信号はデコーダ221に入力される。デコーダ221は、図31に示すように、デコーダ部250、アナログプリプロセス部261、A/Dコンバータ252、ディジタルプロセス部253、ビデオ検出部262、コントローラ263によって構成される。ここで、アナログプリプロセス部261は、参考例3で説明したアナログプリプロセス部251の機能に加えて、コントローラ263から入力される輝度抑制信号に従って、その輝度値を抑制する機能を備える。
【0144】
デコーダ部221は、前述したように映像中間周波数回路や、映像検波回路から成り立っていて、入力されるNTSC信号などの映像信号をアナログR,G,B信号にデコードする。アナログプリプロセス部261は、同期分離回路、色調整回路、コントラスト制御回路、直流再生回路、ブライトネス制御回路、ローパスフィルタとマトリックス回路などからなり、信号レベル制御、直流再生、帯域制限されたR,G,B信号を各色のA/Dコンバータ252へ出力する。また、PLLのための同期信号(sync)をタイミング制御部223へ送るとともに、R,G,B信号をマトリックス回路で混合して得た輝度信号をビデオ検出部262へ送る。A/Dコンバータ252はタイミング制御回路223からのサンプリングクロックによリアナログR,G,B信号を必要な階調数でディジタイズする。A/Dコンバータ252からのディジタル画像信号をうけたディジタルプロセス部253はガンマ処理や、輪郭強調や、ノイズ抑制のためのディジタルフィルタ処理を行い、データ配列変換回路222ヘディジタル画像信号を出力する。
【0145】
ビデオ検出部262はアナログプリプロセス部からの輝度信号を一水平走査期間ごとに積分して、一水平走査期間ごとに検出した輝度信号の平均値をコントローラ263に伝達する。コントローラ263では、平均輝度信号がある基準値よりも大きい場合に、アナログプリプロセス部261に輝度抑制信号を出力してコントラスト制御を行う。参考例5では、コントローラ263は、平均輝度信号に対して、アナログR,G,B信号を図32に示すような倍率で抑制するように、輝度抑制信号を出力している。
【0146】
結果として各列方向配線に出力する、変調信号のパルス幅が抑制されることになり、表示パネルの発光輝度がある基準値以下に制御される。
【0147】
なお、表示パネルをR,G,B縦ストライプ配列とした場合にはマトリックス回路で演算させる混合輝度信号は、R,G,B信号が同等の割合で混合されるが(例:S0=1/3(R+G+B))、市松配列のようにR,G,Bの蛍光体の数が異なる場合にはその割合で混合輝度信号を生成する。
【0148】
また、上記参考例では、輝度を抑制するためにアナログプリプロセス部261のコントラスト制御を用いたが、これに限らない。例えば、ディジタルプロセス部253でのディジタルデータR,G,Bの抑制によって輝度を制御してもよい。
【0149】
さらに輝度評価値を得るために高圧電源Vaに平均高圧アノード電流を検出する回路あるいは高圧電源Vaへ電力供給するラインの供給平均電流を検出する回路を設け、その検出信号をコントローラ263に送るようにしてもよい。
【0150】
以上のようにして輝度信号を制限し、その結果として変調信号の時間幅を制限することで、各列方向配線に印加する変調信号がより分散する効果がある。それによって各列方向配線から、選択行の冷陰極素子を介して選択している行方向配線に流れ込む素子電流を分散させることができ、配線抵抗上での電圧降下をさらに低減することができた。結果として配線抵抗に起因する表示パネルの輝度の均一性をさらに向上することが可能となった。
【0151】
このようにして変調信号の立ち上がり位置を分散させて表示パネルを駆動したところ、従来の場合と比較して表示パネルの中心部での輝度が上昇し、表示パネル全体で見ると輝度の分布が改善した。具体的には人間の目で見ても明らかに分布があったが、本参考例の画像表示装置で動画を表示した際には全く肉眼では確認できなくなった。
【0152】
以上、参考例3から参考例5によれば、変調信号の立ち上がり位置及び立ち下がり位置を制御してやることにより、配線抵抗の影響を低減し、輝度の均一性を上昇させることができた。
【0153】
参考例6
図33は参考例6による画像表示装置の構成を示すブロック図である。同図において、第1の実施形態(図1)と同様の構成には同一の参照番号を付してある。図33において、1は画像表示パネルであり、ここでは仮に水平480、垂直240の蛍光体が、R,G,B縦ストライプ状に配列され、各蛍光体に対応する電子放出素子が行方向配線電極と列方向配線電極により単純マトリクス状に配線されていることとし、このパネルを線順次駆動する例で説明する。
【0154】
入力TV信号s1は、デコーダ部2によりアナログR,G,B信号にデコードされアナログプリプロセス部3に入力される。アナログプリプロセス部3は、同期分離回路、色調整回路、コントラスト制御回路、直流再生回路、ブライトネス制御回路、マトリクス回路、ローパスフィルタなどからなり、信号レベル制御、直流再生、帯域制限されたR,G,B信号を各色のA/Dコンバーター4へ出力する。またPLLのための同期信号(sync)をタイミング制御部5へ送るほか、R,G,B信号をマトリクス部で混合して得た輝度信号をビデオ検出部3へ送る。
【0155】
A/Dコンバーター4は、タイミング制御部305からのサンプリングクロックにより、アナログR,G,B信号を必要な階調数でデジタイズする。A/Dコンバーター4からのデジタル画像信号s9を受けたデジタルプロセス部6は、ガンマ処理や、輪郭強調やノイズ抑制のためのデジタルフィルター処理を行い、データ並び変え部7へデジタル画像信号を出力する。またシステム制御部14からの係数データs15により論郭強調の制御やコントラスト制御も行う。
【0156】
データ並び変え部7は、図2の水平タイミング概要に示すように1水平期間R,G,B各160個のデータ(s9)をs10のように時間軸圧縮し、かつ蛍光体の色配列に対応した順にデータを並び変えて、シフトレジスタ8に1ライン480個のシリアル画像データとして転送する。
【0157】
シフトレジスタ8は、シリアル画像データs10をシフトクロックs7により読み込み、1ライン480個のシリアル画像データをパラレルデータに変換して水平ブランキング期間に変調信号発生部309に送る。
【0158】
参考例6においては、変調信号発生部309は電圧変調方式を使用しており、1行の電子放出素子に対応する480個の電圧変調器から構成される。そして各々の電圧変調器に読み込まれた画像データの大きさに応じた電圧振幅を持つパルス信号を1水平期間中に変調信号s7により発生し、水平駆動ドライバー10へ送る。
【0159】
水平駆動ドライバー310は、パルス幅制御部315からの信号s317により電子放出素子に印加するパルス信号(画像表示パネル1に出力するパルス信号)のパルス幅を制御する。
【0160】
図3の垂直タイミング概要に示すように、タイミング制御部5からの行走査のためのタイミング信号s8(V_START,H_CLK)を受けるシフトレジスタ11は、走査のための行選択信号を垂直駆動ドライバー12に送る。
【0161】
垂直駆動ドライバー12は、240行分のトランジスターなどのスイッチ素子からなり、選択時に導通してVs電圧発生部318から送られるバイアスVsを画像表示パネル1に印加する。このように1水平ライン毎の水平駆動ドライバー310からの画像変調データ出力を垂直駆動ドライバー12が順次走査選択していくことにより、画像表示パネル1に画像信号が表示される。
【0162】
システム制御部14の構成は、図4において上述したとおりであり、CPU21、ROM22、RAM23、EEPROM24、A/Dコンバーター25、D/Aコンバーター26、I/Oポート27からなる。そして、ROM22に格納されたプログラムにより、装置の制御が行われる。D/Aコンバーター26の出力信号s13、s14はコントラスト制御、ブライトネス制御信号であり、アナログプリプロセス部3に伝達されR,G,B信号のレベルや直流再生量をコントロールする。s16は、選択時の素子印加パルスのパルス幅の制御信号でパルス幅制御部15に伝達される。s18は、電子ビーム加速のための高圧電圧Va(s19)を出力する高圧発生部17に伝達され高圧電圧Va(s19)を制御する。
【0163】
ユーザーインターフェース部16は、画質調整などのユーザー要求のシステム制御部14への伝達や、システム制御部14からの諸情報の表示などを信号s12により行う。
【0164】
ビデオ検出部13は、アナログプリプロセス部3からの輝度信号s20をタイミング制御部5からの水平ブランキングが付加された1フィールド毎のゲート信号s5(図2参照)により積分し、輝度信号の平均値をフィールド毎に検出した信号s11をシステム制御部14に伝達する。
【0165】
検出平均輝度信号s11は、図4のA/Dコンバーター25によってCPU21に取り込まれ、システム制御部14内部で持つ基準値と比較され検出平均輝度信号s11がその基準値よりも大きい場合に、D/Aコンバーター26の出力信号s13によりコントラスト制御を行い、結果として水平駆動ドライバー310からの出力パルス幅を抑制することにより、パネル1の発光輝度をある基準値以下に制御する。基準値は、システム制御部14に於いて計算された、数フィールドもしくは数画面分の平均輝度値が用いられる。
【0166】
図34は参考例6による輝度抑制を説明する図である。図34の(a)は変調信号発生部309からの変調信号(電圧変調)を示している。この信号の輝度値が上述の基準値を上回っている場合、システム制御部14からの指示(s316)により、パルス幅制御部315によってパルス幅が制限される。その結果、図34の(b)に示すような駆動信号が水平ドライバ310から出力されることになる。すなわち、各駆動パルスの時間幅がhだけ短くなり、結果として輝度値が抑制される。このhの時間幅が、輝度値の大きさに応じて制御されることは言うまでもない。hは例えば本参考例では、最大電圧パルスを印加した場合に得られる最大輝度値をBmとし、検出平均輝度s11を輝度評価値Bとしたとき、
h={1−Bm/(3×B)}H (B>Bm/3のとき)
h=0 (B≦Bm/3のとき)
とした。また、図34の(b)では、パルスの立ち下がりを早めているが、パルスの立ち上がりタイミングを遅くするようにしてもよいことは明らかであろう。
【0167】
以上R,G,B縦ストライプ配列の場合の、アナログプリプロセス部3からの輝度信号s20を用いた輝度評価値で発光輝度を制御する例を記した。なお、上記参考例の場合、輝度信号s20はR,G,B信号が同等の割合で混合されているが、(例;s20=1/3(R+G+B))市松配列のようにR,G,Bの蛍光体の数が異なる場合には、その割合で輝度信号s20を生成する。
【0168】
さらに輝度評価値を得るために高圧発生部17に平均高圧アノード電流を検出する回路あるいは高圧発生部17へ電力供給するラインの供給平均電流を検出する回路を設け、検出信号s20をシステム制御部14に送ってもよい。
【0169】
また、入力信号としてTV信号と書いたが、とくに限定するものでなく、NTSC,PAL,SECAMやハイビジョンのMUSEでも同一の考え方で実現できる。さらにTV信号以外の例えばコンピューターの信号でも同様である。
【0170】
参考例7
参考例6では、パルスの立ち上がりを遅くするか、パルスの立ち下がりを早めるかのいずれかによって輝度を抑制していた。参考例7では、パルスの立ち上がりを遅らす列方向配線と、パルスの立ち下がりを早める列方向配線を混在させることにより、パルスの分散化を図り、より効果的に輝度むらを低減する。
、図35は参考例7による駆動信号のタイミングを説明するタイミングチャートである。参考例6における水平駆動ドライバー310からの出力パルス信号において、検出平均輝度信号s11がシステム制御部14内部で持つ基準値と比較され、検出平均輝度信号s11がその基準値よりも大きい場合に、奇数列(2n−1;n=1〜240)の出力パルス信号は基本パルスの立ち下がり部の時間が制御(早められ)され、偶数列(2n;n=1〜240)の出力パルス信号は基本パルスの立ち上がり部の時間が制御(遅延)されることにより発光画面全体の平均輝度がある値以上にならないように制御するものである。
【0171】
図4に示したように、検出平均輝度信号s11は、A/Dコンバーター25によってCPU21に取り込まれ、システム制御部14内部で持つ基準値と比較される。そして、検出平均輝度信号s11がその基準値よりも大きい場合には、D/Aコンバーター26の出力信号s13により奇数番目(2n−1;n=1〜240)の出力パルス信号は基本パルスの立ち下がり部の時間が制御され、偶数番目(2n;n=1〜240)の出力パルス信号は基本パルスの立ち上がり部の時間が制御されるようにコントラスト制御を行う。この結果、水平駆動ドライバー310からの出力パルス幅が図5のように抑制されることになり、画像表示パネル1の発光輝度がある基準値以下に制御される。
【0172】
なお、参考例6と同様に、基準値は、システム制御部14に於いて計算された、数フィールドもしくは数画面分の平均輝度値が用いられる。
【0173】
以上、輝度を出力パルス幅により抑制するためにアナログプリプロセス部3のコントラスト制御する例を記したが、デジタルプロセス部6での係数データs15によるコントラスト制御や、s16によるパルス幅制御部15のコントロールを用いてもよい。
【0174】
以上のように参考例7によれば、奇数番目(2n−1;n=1〜240)の出力パルス信号と偶数番目(2n;n=1〜240)の出力パルス信号のパルスをずらすことにより、1フィールド上で全ての素子に電圧がかかる時間を減らすことにより、配線抵抗により電圧降下の影響を軽減できる。
【0175】
以上、第1〜第3の実施形態及び参考例1〜7により、本発明の好ましい実施形態(参考例)を説明した。以下では、上記実施形態(参考例)による電子源駆動を適用するのに好適な画像表示パネルについて詳細に説明する。
【0176】
(表示パネルの構成と製造法)
まず、本発明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製造法について、具体的な例を示して説明する。
【0177】
図36は、実施形態(参考例)に用いた表示パネルの斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの1部を切り欠いて示している。
【0178】
図中、1005はリアプレート、1006は側壁、1007はフェースプレートであり、1005〜1007により表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器を形成している。気密容器を組み立てるにあたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため封着する必要があるが、たとえばフリットガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することにより封着を達成した。気密容器内部を真空に排気する方法については後述する。
【0179】
リアプレート1005には、基板1001が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1002がNxM個形成されている。(N,Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした表示装置においては、N=3000,M=1000以上の数を設定することが望ましい。本実施形態(参考例)においては、N=3072,M=1024とした。)前記NxM個の冷陰極素子は、M本の行方向配線1003とN本の列方向配線1004により単純マトリクス配線されている。前記、1001〜1004によって構成される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、マルチ電子ビーム源の製造方法や構造については、後で詳しく述べる。
【0180】
本実施形態(参考例)においては、気密容器のリアプレート1005にマルチ電子ビーム源の基板1001を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板1001が十分な強度を有するものである場合には、気密容器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板1001自体を用いてもよい。
【0181】
また、フェースプレート1007の下面には、蛍光膜1008が形成されている。本実施形態(参考例)はカラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、たとえば図37の(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けてある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生じないようにする事や、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐ事、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止する事などである。黒色の導電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良い。
【0182】
また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記図37(A)に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、たとえば図37(B)に示すようなデルタ状配列や、それ以外の配列であってもよい。
【0183】
なお、モノクロームの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用いればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。
【0184】
また、蛍光膜1008のリアプレート側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させる事や、負イオンの衝突から蛍光膜1008を保護する事や、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させる事や、蛍光膜1008を励起した電子の導電路として作用させる事などである。メタルバック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、メタルバック1009は用いない。
【0185】
また、本実施形態(参考例)では用いなかったが、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0186】
また、Dx1〜DxmおよびDy1〜DynおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配線1003と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方向配線1004と、Hvはフェースプレートのメタルバック1009と電気的に接続している。
【0187】
また、気密容器内部を真空に排気するには、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗[Torr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、たとえばBaを主成分とするゲッター材料をヒーターもしくは高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1x10マイナス5乗ないしは1x10マイナス7乗[Torr]の真空度に維持される。
【0188】
以上、本発明実施形態(参考例)の表示パネルの基本構成と製法を説明した。
【0189】
次に、前記実施形態(参考例)の表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制限はない。したがって、たとえば表面伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
【0190】
ただし、表示画面が大きくてしかも安価な表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。すなわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極めて高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。また、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてしかも均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大面積化や製造コストの低減が容易である。また、発明者らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見いだしている。したがって、高輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用いるには、最も好適であると言える。そこで、上記実施形態(参考例 の表示パネルにおいては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用いた。
【0191】
そこで、まず好適な表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法および特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0192】
(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と製法)
電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型と垂直型の2種類があげられる。
【0193】
(平面型の表面伝導型放出素子)
まず最初に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法について説明する。図38に示すのは、平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面図(b)である。図中、1101は基板、1102と1103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1113は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0194】
基板1101としては、たとえば、石英ガラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層を積層した基板、などを用いることができる。
【0195】
また、基板1101上に基板面と平行に対向して設けられた素子電極1102と1103は、導電性を有する材料によって形成されている。たとえば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合金、あるいはIn2 O3 −SnO2 をはじめとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、たとえば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0196】
素子電極1102と1103の形状は、当該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストロームから数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選んで設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好ましいのは数マイクロメーターより数十マイクロメーターの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、通常は数百オングストロームから数マイクロメーターの範囲から適当な数値が選ばれる。
【0197】
また、導電性薄膜1104の部分には、微粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに重なり合った構造が観測される。
【0198】
微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロームの範囲に含まれるものであるが、なかでも好ましいのは10オングストロームから200オングストロームの範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にするために必要な条件、などである。
【0199】
具体的には、数オングストロームから数千オングストロームの範囲のなかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングストロームから500オングストロームの間である。
【0200】
また、微粒子膜を形成するのに用いられうる材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,SnO 2 In 2 3 ,PbO,Sb 2 3 ,などをはじめとする酸化物や、HfB 2 ZrB 2 LaB 6 CeB 6 YB 4 GdB 4 ,などをはじめとする硼化物や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,HfN,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などをはじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、これらの中から適宜選択される。
【0201】
以上述べたように、導電性薄膜1104を微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含まれるよう設定した。
【0202】
なお、導電性薄膜1104と素子電極1102および1103とは、電気的に良好に接続されるのが望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造をとっている。その重なり方は、図38の例においては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層したが、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0203】
また、電子放出部1105は、導電性薄膜1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂内には、数オングストロームから数百オングストロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難なため、図38においては模式的に示した。
【0204】
また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミング処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことにより形成する。
【0205】
薄膜1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下とするが、300[オングストローム]以下とするのがさらに好ましい。
【0206】
なお、実際の薄膜1113の位置や形状を精密に図示するのは困難なため、図38においては模式的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
【0207】
以上、好ましい素子の基本構成を述べたが、実施形態(参考例)においては以下のような素子を用いた。
【0208】
すなわち、基板1101には青板ガラスを用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用いた。素子電極の厚さdは1000[オングストローム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。
【0209】
微粒子膜の主要材料としてPdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストローム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0210】
次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子の製造方法について説明する。図39の(a)〜(d)は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図38と同一である。
【0211】
1)まず、図39(a)に示すように、基板1101上に素子電極1102および1103を形成する。
【0212】
形成するにあたっては、あらかじめ基板1101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、素子電極の材料を堆積させる。(堆積する方法としては、たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用ればよい。)その後、堆積した電極材料を、フォトリソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の素子電極(1102と1103)を形成する。
【0213】
2)次に、同図(b)に示すように、導電性薄膜1104を形成する。
【0214】
形成するにあたっては、まず前記(a)の基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である。(具体的には、本実施形態(参考例)では主要元素としてPdを用いた。また、実施形態(参考例)では塗布方法として、ディッピング法を用いたが、それ以外のたとえばスピンナー法やスプレー法を用いてもよい)。
【0215】
また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成膜方法としては、本実施形態(参考例)で用いた有機金属溶液の塗布による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
【0216】
3)次に、同図(c)に示すように、フォーミング用電源1110から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電子放出部1105を形成する。
【0217】
通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部1105)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子放出部1105が形成される前と比較すると、形成された後は素子電極1102と1103の間で計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0218】
通電方法をより詳しく説明するために、図40に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施形態(参考例)の場合には同図に示したようにパルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計測した。
【0219】
実施形態(参考例)においては、たとえば10のマイナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、たとえばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回の割りで、モニターパルスPmを挿入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニターパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、素子電極1102と1103の間の電気抵抗が1x10の6乗[オーム]になった段階、すなわちモニターパルス印加時に電流計1111で計測される電流が1x10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0220】
なお、上記の方法は、本実施形態(参考例)の表面伝導型放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば微粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0221】
4)次に、図39の(d)に示すように、活性化用電源1112から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の改善を行う。
【0222】
通電活性化処理とは、前記通電フォーミング処理により形成された電子放出部1105に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積せしめる処理のことである。(図においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113として模式的に示した。)なお、通電活性化処理を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電流を典型的には100倍以上に増加させることができる。
【0223】
具体的には、10のマイナス4乗ないし10のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下、より好ましくは300[オングストローム]以下である。
【0224】
通電方法をより詳しく説明するために、図41の(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実施形態(参考例)においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行ったが、具体的には,矩形波の電圧Vacは14[V],パルス幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施形態(参考例)の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0225】
図38の(d)に示す1114は該表面伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流計1116が接続されている。(なお、基板1101を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114として用いる。)活性化用電源1112から電圧を印加する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電流Ieの一例を図41(b)に示すが、活性化電源1112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0226】
なお、上述の通電条件は、本実施形態(参考例)の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0227】
以上のようにして、図39(e)に示す平面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0228】
(垂直型の表面伝導型放出素子)
次に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0229】
図42は、垂直型の基本構成を説明するための模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1202と1203は素子電極、1206は段差形成部材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1213は通電活性化処理により形成した薄膜、である。
【0230】
垂直型が先に説明した平面型と異なる点は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段差形成部材1206の側面を被覆している点にある。したがって、前記図38の平面型における素子電極間隔Lは、垂直型においては段差形成部材1206の段差高Lsとして設定される。なお、基板1201、素子電極1202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、については、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に用いることが可能である。また、段差形成部材1206には、たとえばSiO2 のような電気的に絶縁性の材料を用いる。
【0231】
次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法について説明する。図43の(a)〜(f)は、製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図42と同一である。
【0232】
1)まず、図43(a)に示すように、基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0233】
2)次に、同図(b)に示すように、段差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層は、たとえばSiO2 をスパッタ法で積層すればよいが、たとえば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。
【0234】
3)次に、同図(c)に示すように、絶縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0235】
4)次に、同図(d)に示すように、絶縁層の一部を、たとえばエッチング法を用いて除去し、素子電極1203を露出させる。
【0236】
5)次に、同図(e)に示すように、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成するには、前記平面型の場合と同じく、たとえば塗布法などの成膜技術を用いればよい。
【0237】
6)次に、前記平面型の場合と同じく、通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する(図39(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング処理と同様の処理を行えばよい)。
【0238】
7)次に、前記平面型の場合と同じく、通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。(図39(d)を用いて説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
【0239】
以上のようにして、図43(f)に示す垂直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0240】
(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の特性)
以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子について素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用いた素子の特性について述べる。
【0241】
図44に、表示装置に用いた素子の、(放出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを変更することにより変化するものであるため、2本のグラフは各々任意単位で図示した。
【0242】
表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0243】
第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0244】
すなわち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0245】
第二に、放出電流Ieは素子に印加する電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大きさを制御できる。
【0246】
第三に、素子に印加する電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0247】
以上のような特性を有するため、表面伝導型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。たとえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。
【0248】
また、第二の特性かまたは第三の特性を利用することにより、発光輝度を制御することができるため、諧調表示を行うことが可能である。
【0249】
(多数素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造)
次に、上述の表面伝導型放出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0250】
図45に示すのは、前記図36の表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上には、前記図38で示したものと同様な表面伝導型放出素子が配列され、これらの素子は行方向配線電極1003と列方向配線電極1004により単純マトリクス状に配線されている。行方向配線電極1003と列方向配線電極1004の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0251】
図45のA−A’に沿った断面を、図46に示す。
【0252】
なお、このような構造のマルチ電子源は、あらかじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向配線電極1003および列方向配線電極1004を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うことにより製造した。
【0253】
(ディスプレイパネルへの応用例)
図58は、前記説明の表面伝導型放出素子を電子ビーム源として用いたディスプレイパネルに、たとえばテレビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できるように構成した多機能表示装置の一例を示すための図である。図中、2100はディスプレイパネル、2101はディスプレイパネルの駆動回路、2102はディスプレイコントローラ、2103はマルチプレクサ、2104はデコーダ、2105は入出力インターフェース回路、2106はCPU、2107は画像生成回路、2108および2109および2110は画像メモリインターフェース回路、2111は画像入力インターフェース回路、2112および2113はTV信号受信回路、2114は入力部である(なお、本表示装置は、たとえばテレビジョン信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声情報の受信,分離,再生,処理,記憶などに関する回路やスピーカなどについては説明を省略する)。以下、画像信号の流れに沿って各部の機能を説明してゆく。
【0254】
まず、TV信号受信回路2113は、たとえば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路である。受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、たとえば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式などの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走査線よりなるTV信号(たとえばMUSE方式をはじめとするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信号源である。TV信号受信回路2113で受信されたTV信号は、デコーダ2104に出力される。
【0255】
また、TV信号受信回路2112は、たとえば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路である。前記TV信号受信回路2113と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、また本回路で受信されたTV信号もデコーダ2104に出力される。
【0256】
また、画像入力インターフェース回路2111は、たとえばTVカメラや画像読み取りスキャナなどの画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。
【0257】
また、画像メモリインターフェース回路2110は、ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。
【0258】
また、画像メモリインターフェース回路2109は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。
【0259】
また、画像メモリインターフェース回路2108は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像データを記憶している装置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ2104に出力される。
【0260】
また、入出力インターフェース回路2105は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピュータネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続するための回路である。画像データや文字データ・図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示装置の備えるCPU2106と外部との間で制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能である。
【0261】
また、画像生成回路2107は、前記入出力インターフェース回路2105を介して外部から入力される画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU2106より出力される画像データや文字・図形情報に基づき表示用画像データを生成するための回路である。本回路の内部には、たとえば画像データや文字・図形情報を蓄積するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応する画像パターンが記憶されている読みだし専用メモリや、画像処理を行うためのプロセッサなどをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み込まれている。本回路により生成された表示用画像データは、デコーダ2104に出力されるが、場合によっては前記入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータネットワークやプリンタ入出力することも可能である。
【0262】
また、CPU2106は、主として本表示装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業を行う。たとえば、マルチプレクサ2103に制御信号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコントローラ2102に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走査方法(たとえばインターレースかノンインターレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制御する。
【0263】
また、前記画像生成回路2107に対して画像データや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは前記入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・図形情報を入力する。なお、CPU2106は、むろんこれ以外の目的の作業にも関わるものであっても良い。たとえば、パーソナルコンピュータやワードプロセッサなどのように、情報を生成したり処理する機能に直接関わっても良い。あるいは、前述したように入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、たとえば数値計算などの作業を外部機器と協同して行っても良い。
【0264】
また、入力部2114は、前記CPU2106に使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入力するためのものであり、たとえばキーボードやマウスのほか、ジョイスティック,バーコードリーダー,音声認識装置など多様な入力機器を用いる事が可能である。
【0265】
また、デコーダ2104は、前記2107ないし2113より入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信号とI信号,Q信号に逆変換するための回路である。なお、同図中に点線で示すように、デコーダ2104は内部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、たとえばMUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うためである。また、画像メモリを備えることにより、静止画の表示が容易になる、あるいは前記画像生成回路2107およびCPU2106と協同して画像の間引き,補間,拡大,縮小,合成をはじめとする画像処理や編集が容易に行えるようになるという利点が生まれるからである。
【0266】
また、マルチプレクサ2103は、前記CPU2106より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択するものである。すなわち、マルチプレクサ2103はデコーダ2104から入力される逆変換された画像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動回路2101に出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切り替えて選択することにより、いわゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異なる画像を表示することも可能である。
【0267】
また、ディスプレイパネルコントローラ2102は、前記CPU2106より入力される制御信号に基づき駆動回路2101の動作を制御するための回路である。
【0268】
まず、ディスプレイパネルの基本的な動作にかかわるものとして、たとえばディスプレイパネルの駆動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するための信号を駆動回路2101に対して出力する。また、ディスプレイパネルの駆動方法に関わるものとして、たとえば画面表示周波数や走査方法(たとえばインターレースかノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回路2101に対して出力する。
【0269】
また、場合によっては表示画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスといった画質の調整に関わる制御信号を駆動回路2101に対して出力する場合もある。
【0270】
また、駆動回路2101は、ディスプレイパネル2100に印加する駆動信号を発生するための回路であり、前記マルチプレクサ2103から入力される画像信号と、前記ディスプレイパネルコントローラ2102より入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0271】
以上、各部の機能を説明したが、図58に例示した構成により、本表示装置においては多様な画像情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル2100に表示する事が可能である。すなわち、テレビジョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ2104において逆変換された後、マルチプレクサ2103において適宜選択され、駆動回路2101に入力される。一方、ディスプレイコントローラ2102は、表示する画像信号に応じて駆動回路2101の動作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路2101は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレイパネル2100に駆動信号を印加する。これにより、ディスプレイパネル2100において画像が表示される。これらの一連の動作は、CPU2106により統括的に制御される。
【0272】
また、本表示装置においては、前記デコーダ2104に内蔵する画像メモリや、画像生成回路2107およびCPU2106が関与することにより、単に複数の画像情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、たとえば拡大,縮小,回転,移動,エッジ強調,間引き,補間,色変換,画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合成,消去,接続,入れ換え,はめ込みなどをはじめとする画像編集を行う事も可能である。また、本実施形態(参考例)の説明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行うための専用回路を設けても良い。
【0273】
したがって、本表示装置は、テレビジョン放送の表示機器,テレビ会議の端末機器,静止画像および動画像を扱う画像編集機器,コンピュータの端末機器,ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器,ゲーム機などの機能を一台で兼ね備える事が可能で、産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0274】
なお、上記図58は、表面伝導型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示装置の構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定されるものではない事は言うまでもない。たとえば、図58の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えない。またこれとは逆に、使用目的によってはさらに構成要素を追加しても良い。たとえば、本表示装置をテレビ電話機として応用する場合には、テレビカメラ,音声マイク,照明機,モデムを含む送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0275】
本表示装置においては、とりわけ表面伝導型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルが容易に薄形化できるため、表示装置全体の奥行きを小さくすることが可能である。それに加えて、表面伝導型放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルは大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表示する事が可能である。
【0276】
なお、本発明の適用は、実施形態で示したような平板型画像形成装置以外に、電子放出素子を多数個並列接続した電子源部を有する画像形成装置のほとんどに適用が可能で、例えば電子ビーム描画装置や画像記録装置の分野にも極めて有効なものである。
【0277】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ある行方向配線を選択している期間内で同時に通電される素子数を減らすことが可能となり、選択した行方向配線に流れる電流量を減らして、配線抵抗による電圧降下による影響が軽減される。この結果、行方向配線の抵抗分に起因する表示パネルの発光輝度の分布が改善され、輝度の均一化、画像表示装置全体での輝度の不均一性の低減が図られる。
【0278】
また、本発明によれば、画像に輝度むらが生じてしまうという課題が解消され、薄型で大面積の大容量画像形成装置の実用性能が大幅に向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態による画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における幾つかの信号のタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図3】第1の実施形態における幾つかの信号のタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図4】システム制御部14の構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態による変調信号の出力タイミング例を示すタイムチャートである。
【図6】変調信号発生部9における、1つのパルス幅変調器の回路構成例を示す図である。
【図7】第2の実施形態による変調信号の出力タイミング例を示すタイムチャートである。
【図8】第3の実施形態による変調信号の出力タイミング例を示すタイムチャートである。
【図9】参考例1による画像形成装置の一部である駆動回路部分の構成を示したブロック図である。
【図10】参考例1による電圧−パルス変換回路の詳細な構成を示すブロック図である。
【図11】任意の隣接する3つ変調側端子m−1、m、m+1に対応する画像信号の例を示す図である。
【図12】図11に示した素子番号m−1、m、m+1の画像信号を振幅に応じたパルス幅に変換した信号を示す図である。
【図13】図10に示した電圧−パルス変換回路におけるパルス列並べ替え回路142、143、144の詳細を説明するブロック図である。
【図14】参考例2によるパルス列並べ替え回路によるパルス列の並べ替えの一例を説明する図である。
【図15】行方向配線での電圧降下の抑制を説明する図である。
【図16】参考例2による画像形成装置の駆動回路部分の構成を示すブロック図である。
【図17】画像を表示したときの電流計107の出力を複数画面分示したものである。
【図18】電流計107の出力を輝度評価回路108に含まれる図示されないローパスフィルタ(LPF)に入力した際の、LPFの出力信号を示したものである。
【図19】参考例2による電圧−パルス変換回路の詳細な構成を示すブロック図である。
【図20】図11に示した任意の隣接する3つ変調側端子s−1、s、s+1に対応する画像信号を電圧−パルス列変換回路161によりパルスに変換した信号を示した図である。
【図21】参考例2におけるパルス列並べ替え回路によるパルス列の並べ替えの一例を説明する図である。
【図22】参考例3におけるマルチ電子源および画像表示装置の駆動方法を説明するための図である。
【図23】参考例3による行方向配線及び列方向配線への電圧印加(Vx1〜VxM,Vy1〜VyN)のタイミングを表すタイムチャートである。
【図24】参考例3による画像表示装置を説明するための図である。
【図25】デコーダ221の詳細な構成を示すブロック図である。
【図26】参考例3によるパルス幅変調回路226の構成を示すブロック図である。
【図27】参考例3によるパルス幅変調回路226の動作を説明するタイミングチャートである。
【図28】参考例4によるパルス幅変調回路226の構成を説明するブロック図である。
【図29】参考例4によるパルス幅変調回路226の動作を説明するタイミングチャートである。
【図30】参考例4の駆動装置によって表示パネルの各配線に印加される電圧のタイムチャートを示す図である。
【図31】参考例5によるデコーダ221の構成を説明するブロック図である。
【図32】参考例5による輝度抑制のための輝度信号倍率値を示す図である。
【図33】参考例6による画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図34】参考例6による輝度抑制を説明する図である。
【図35】参考例7による駆動信号のタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図36】本発明の実施形態(参考例)である画像表示装置の、表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図37】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図38】実施形態(参考例)で用いた平面型の表面伝導型放出素子の平面図(a),断面図(b)である。
【図39】平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す断面図である。
【図40】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を示す図である。
【図41】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a),放電電流Ieの変化(b)を示す図である。
【図42】実施形態(参考例)で用いた垂直型の表面伝導型放出素子の断面図である。
【図43】垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す断面図である。
【図44】実施形態(参考例)で用いた表面伝導型放出素子の典型的な特性を示すグラフである。
【図45】実施形態(参考例)で用いたマルチ電子ビーム源の基板の平面図である。
【図46】実施形態(参考例)で用いたマルチ電子ビーム源の基板の一部断面図である。
【図47】従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示す図である。
【図48】従来知られたFEの一例を示す図である。
【図49】従来知られたMIM型の一例を示す図である。
【図50】冷陰極素子のマトリクス配線を説明する図である。
【図51】マトリクス配線によるマルチ電子ビーム源の一例を示す図である。
【図52】一般的なパルス幅変調駆動方式における走査信号、変調信号について説明するためのタイムチャートである。
【図53】1ラインを選択駆動している際のマルチ電子ビーム源の簡略化した等価回路を示す図である。
【図54】ある行における、各表面伝導型放出素子の走査信号線側の電位を示す図である。
【図55】図54で示した行における、各表面伝導型放出素子にかかる電圧を示す図である。
【図56】行方向配線の両側に走査信号を印加して駆動する方法を説明する図である。
【図57】行方向配線の両端に走査信号を印加して駆動した場合の、ある行方向配線上の電位分布を示す図である。
【図58】本発明の実施形態(参考例)である画像表示装置を用いた多機能画像表示装置のブロック図である。

Claims (2)

  1. 複数の電子放出素子を有し、前記複数の電子放出素子が複数の行配線と複数の列配線に接続され、行配線の選択を一水平期間毎に切り替えて、各水平期間中に各列方向配線へ変調信号を印加する電子源の駆動装置であって、
    画像情報に基づいて前記複数の列方向配線のそれぞれに前記一水平期間中に印加する変調信号の時間幅を決定する決定手段と、
    あらかじめ決められた複数種類の時間幅のパルス印加期間の組み合わせによって前記決定手段で決定された時間幅分のパルス列を形成して、前記一水平期間中に前記複数の列方向配線のそれぞれに当該パルス列に基づく駆動信号を印加する列駆動手段とを備え、
    前記列駆動手段において、前記複数種類の時間幅のパルス印加期間の組み合わせの順序を前記複数の列方向配線毎に異ならせていることを特徴とする電子源駆動装置。
  2. 平面上に行列状に配置された表面伝導型放出素子が複数の行方向配線と列方向配線によって接続された単純マトリクス構造の電子源と、
    請求項1に記載の電子源駆動装置と、
    電子源に対向して配置され、該電子源より放出された電子を照射することによって可視画像を形成するターゲットと
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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