JP2000247041A - 熱転写記録方法 - Google Patents

熱転写記録方法

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JP2000247041A
JP2000247041A JP11023223A JP2322399A JP2000247041A JP 2000247041 A JP2000247041 A JP 2000247041A JP 11023223 A JP11023223 A JP 11023223A JP 2322399 A JP2322399 A JP 2322399A JP 2000247041 A JP2000247041 A JP 2000247041A
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Yorihiro Yamatani
自広 山谷
Shigeru Mano
茂 間野
Iku Fukumuro
郁 福室
Hiroshi Watanabe
洋 渡▲辺▼
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 受像シート自身の表面性を落とさず、再加熱
時の搬送性に問題なく、画像ムラが生じない、画像の保
存性に優れた熱転写記録方法を提供する。 【解決手段】 支持体3上に熱拡散性染料を含有するイ
ンク層2を有するインクシートの該インク層と、染料を
受容可能受像層を有する受像シートの受像層を対向して
重ね合わせ、サーマルヘッドで像様加熱し画像形成し、
該受像シートの画像形成面に接するように薄膜材料を介
してサーマルヘッドにより再加熱を施すとともに、再加
熱処理時のサーマルヘッドの1ラインあたりのパルス通
電周期が染料転写時におけるそれより短く、印加エネル
ギーが染料転写時において最高濃度を印画する時のそれ
より低い熱転写記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱転写により画
像を記録する熱転写記録方法に関し、詳しくは、受像紙
等の受像シート自身の表面性を落とすことなく、画像品
質、画像保存性に優れた熱転写記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カラー又はモノクロの画像の形成
技術として、加熱により拡散移行する性質を有する熱拡
散性染料を含有するインクシートを、受像シートの受像
層と対向させて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱印
字手段を用いて、該受像層に該熱拡散性染料を画像様に
転写して画像を形成する技術が知られている。このよう
な感熱転写記録においては、インクシートに用いられる
熱拡散性染料が重要な役割を有するが、従来の熱拡散性
染料では、得られた画像の保存性が十分でないという欠
点を有している。
【0003】この点を改良する手段として、例えば、特
開平4−29890号、特公平4−52223号等の公
報には、熱拡散性染料転写後の受像シートに、ヒートロ
ーラ、ヒートプレス、熱風、遠赤外線等の加熱手段を用
いて加熱処理を行うことによって、受像層表面近傍に存
在する熱拡散性染料を内部に拡散させることにより保存
性を上げる方法が開示されている。しかしこの方法は、
熱転写記録装置内に、加熱のための機構を該装置内に設
けることによる装置の大型化、安全性、コストアップ等
の問題があり、好ましくない。また、熱転写記録装置と
は別に加熱装置を準備してもよいが、画像形成に2工程
の作業が必要となり、ハンドリング性が悪くなってしま
う。その上、ヒートローラやヒートプレス等、接触方式
の加熱手段の場合、染料転写による汚染を防ぐために、
それらと受像シートとの間に保護材料を付して加熱処理
を行う必要があり、ハンドリング性、コストアップ等の
問題がある。
【0004】また、再加熱手段としてサーマルヘッドを
用いる方法も提案されている。たとえば、特公平4−5
5870号公報には、面順次の昇華転写紙に未塗布領域
を設け、染料の転写後さらにその領域を介してサーマル
ヘッドにより染料転写後の受像シートを再加熱する方法
が開示されている。この方法においては、熱転写記録装
置と同一装置内で加熱処理を行うことができるため、コ
スト、ハンドリング性等の点で有利である。
【0005】一方、熱拡散性染料の側からも保存性を上
げる手段は検討されており、その一つとして、熱転写に
よりインク層中の化合物と受像層中の化合物を反応させ
ることにより画像を形成する、反応型の染料を用いた画
像形成方法が提案されている。ここで、インク層側に含
有させる化合物を染料前駆体、受像層中に含有させる化
合物を染料定着体と定義した場合、たとえば、特開平9
−327976号公報、米国特許第4,880,769
号、米国特許第5,534,479号等の明細書には、
染料前駆体として脱プロトン化されたカチオン色素を、
染料定着体として該カチオン色素をプロトン化し得る有
機ポリマー酸またはオリゴマー酸等を用い、熱転写によ
りカチオン色素を再プロトン化させることにより画像を
形成する方法が提案されている。また、特開平5−22
1151号公報等には、染料前駆体として反応基を有す
る特定構造の色素を用い、染料定着体として活性水素化
合物を用いて、熱転写によりそれらを反応させることに
より画像を形成する方法が提案されている。
【0006】さらに、特開昭59−78893号、特開
昭59−109394号、特開昭60−2398号の各
公報等には、染料前駆体としてキレート化可能な熱拡散
性染料(以下ポストキレート染料と称することもある)
を用い、染料定着体として金属イオン含有化合物(以下
メタルソースと称することもある)を含有させ、熱転写
によりそれらを反応させて金属キレートを形成させるこ
とにより、画像を形成する方法が開示されている。
【0007】ところで、このような反応型の染料を用い
て画像を形成する場合、当然その反応率が高いほど定着
性が向上することから、これらの染料で形成した画像を
前述のごとき手段により再加熱処理を施すことにより、
さらに画像保存性は向上する。たとえば、キレート率を
高める方法として、ポストキレート染料転写後の画像
を、さらに加熱処理する画像形成方法が、特開平4ー8
9292号等に提案されている。また、特定構造の色素
と活性水素化合物の反応によって得られた画像を加熱処
理する方法が、特開平10−138646号公報で提案
されている。
【0008】当然、この反応型の染料を用いて形成した
画像の加熱方法としても、前述のようなサーマルヘッド
を用いる方法が最も好ましい。
【0009】ところで、サーマルヘッドを用いて再加熱
処理を行う場合、その目的からすれば、印字領域一面に
最高濃度を印字する(以下、このような印字を「ベタ印
字」などとも称する)場合におけると同様のエネルギー
制御を行うことが最適と考えられるが、その場合、本来
染料が転写する分の熱エネルギーが画像形成面に与えら
れることになることから、受像シートに用いられている
支持体や受像層によっては、支持体表面や受像層表面が
変質することで、受像紙等の受像シート本来のもつ表面
性が失われてしまうことがある。また、現実的には、ベ
タ印字は制御的には過酷な条件であることから、受像層
とインク層との間、及び/又は、インクシート裏面とサ
ーマルヘッドとの滑り性が変化することで、特に高濃度
領域で搬送不良による段状のムラが現れたり、サーマル
ヘッドと受像シートの間に介する材料と受像シートとの
融着が生じたり、インクシートとサーマルヘッドとのス
ティッキングが発生するというおそれがある。そのた
め、再加熱時のエネルギー制御はベタ印字の場合の条件
より低く設定することが好ましいということになるが、
単に印加エネルギーを上記問題のある現象が生じなくな
るレベルまで低くすると、本来の目的である再加熱処理
による画像保存性の向上効果が十分には得られないとい
う問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反応型の染
料を用いた場合の上記再加熱処理を行う際に生じる上記
のような問題を解決し、受像紙等の受像シートのそれ自
身の表面性を落とすことなく、又、再加熱処理時におけ
る搬送性に問題無く、画像品質、画像の保存性に優れた
熱転写記録方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成によって達成される。
【0012】すなわち、 (1)支持体上に、熱拡散性染料を含有するインク層を
少なくとも1層有するインクシートのインク層と、支持
体上に、前記染料を受容しうる受像層を少なくとも1層
有する受像シートの受像層を対向するように重ね合わ
せ、サーマルヘッドで像様に加熱することにより、前記
熱拡散性染料を転写させて画像を形成した後に、該受像
シートの画像形成面に接するように薄膜材料を介して、
サーマルヘッドによって再加熱を施す熱転写記録方法に
おいて、再加熱処理時のサーマルヘッドの1ラインあた
りのパルス通電周期が、染料転写時におけるそれに対し
短く、かつ1ドットあたりの印加エネルギーが、染料転
写時において最高濃度を印画する時のそれに対し低いこ
とを特徴とする熱転写記録方法。 (2)再加熱処理時のサーマルヘッドの1ラインあたり
のパルス通電周期が、染料転写時におけるそれに対し6
5〜95%であり、かつ1ドットあたりの印加エネルギ
ーが、染料転写時において最高濃度を印画する時のそれ
に対し、40〜80%であることを特徴とする(1)記
載の熱転写記録方法。 (3)前記インク層に、熱拡散性の染料前駆体を含有
し、かつ前記受像層に該染料前駆体と反応し染料を形成
しうる染料定着体を含有することを特徴とする(1)又
は(2)記載の熱転写記録方法。 (4)前記インク層に、染料前駆体としてキレート化可
能な熱拡散性染料が含有されており、かつ前記受像層に
染料定着体として前記キレート化可能な熱拡散性染料と
キレート反応しうる金属イオン含有化合物が含有されて
いることを特徴とする(3)記載の熱転写記録方法。 (5)前記薄膜材料上に、前記金属イオン含有化合物を
含有する層が設けられていることを特徴とする(4)記
載の熱転写記録方法。 によって、達成される。
【0013】以下、本発明をより詳細に説明する。
【0014】本発明においては、サーマルヘッドを用い
て薄膜材料を介して再加熱処理を行う。サーマルヘッド
は、染料転写時と同じものを用いても、また再加熱処理
用に別のサーマルヘッドを設けても良い。
【0015】本発明者は、サーマルヘッドの制御方法と
して、再加熱処理時のサーマルヘッドの1ラインあたり
のパルス通電周期を、染料転写時におけるそれに対し短
くし、かつ印加エネルギーを、染料転写時において最高
濃度を印画する時のそれに対し低くすることで、再加熱
処理後の画像の保存性を劣化させずに、上述した問題点
を解決できることを見出した。特に、サーマルヘッドの
1ラインあたりのパルス通電周期を、染料転写時におけ
るそれに対し65〜95%にし、かつ1ドットあたりの
印加エネルギーを、染料転写時において最高濃度を印画
する時のそれに対し、40〜80%にすることで、最も
高い効果を得ることができることを見出した。なおここ
で、パルス通電周期の比較の定義として、複数色の染料
を転写し、各色のパルス通電周期が異なる場合は、最も
長いものに対する比較とする。同様に印加エネルギー
も、最も高いものに対する比較とする。
【0016】本発明の印加エネルギーの範囲において
も、パルス通電周期が上記した95%を超える場合は、
保存性向上の効果が満足できないレベルにとどまった
り、搬送性や表面性との両立が難しくなる傾向がある。
また、パルス通電周期が上記した65%未満である場合
は、それだけでは蓄熱により表面温度が徐々に上昇し加
熱ムラが生じ、またサーマルヘッドへの負荷が大きく、
ヘッドの寿命が短くなる等の問題が生じる懸念なしとし
ない。一方、保存性を満足するパルス通電周期の範囲に
おいても、印加エネルギーが上記した80%を超える場
合は、それだけではエネルギーが過剰となり搬送性や表
面性が劣化したり、蓄熱による加熱ムラが生じる傾向が
生じるおそれがある。また、印加エネルギーが上記した
40%未満の場合は、それだけでは再加熱処理による保
存性向上の効果が満足できるレベルに達しないというお
それがある。
【0017】上記本発明の印加エネルギー制御の意味と
しては、1ドットあたりのパルス通電時間(パルス幅)
を短くし、すなわち印加エネルギーを小さくし、かつパ
ルス通電周期も短くすることにある。すなわち、パルス
通電時間を短くしても、パルス通電周期を短くしなけれ
ば、ヘッドの放熱時間が長くなるために逆に均一に加熱
が行われず加熱ムラが生じる。また、パルス通電周期を
短くしても、パルス通電時間を短くしなければ、ヘッド
の蓄熱が起こり、加熱ムラや、ヘッドへの負荷増大等の
おそれがある。
【0018】パルス通電周期を短くし、印加エネルギー
を下げる本発明の制御の方法は、反応率を高めるには、
一見したところ逆の作用を示すのではないかと考えられ
るかもしれないが、本発明の構成によれば、適正な効果
を示す。その理由は、染料の転写時は画像様に印加エネ
ルギーを制御せねばならず、隣接するドットに影響を及
ぼすのを防ぐためにパルス通電周期をある程度長くとる
必要があるのに対し、再加熱処理は染料転写時と異なり
一様に画像面に熱エネルギーをかけることが目的である
ため、パルス通電周期を長くとる必要はなく、逆に短く
することにより、印加エネルギーを低くしてもエネルギ
ーが拡散しないうちにまた次のエネルギーがかかるため
に、ベタ印字制御に対し、トータルとしては効率よく熱
エネルギーが受像シートに与えられているためと考えら
れる。
【0019】本発明において、薄膜材料は、従来熱拡散
性染料用のインクシートに使用されているものと同じ材
料を用いることができ、特に限定されるものではない。
好ましい薄膜材料の具体例としては、コンデンサー紙、
グラシン紙、パラフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエ
ーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等の耐熱性の高
いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、
酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、
ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等プラ
スチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材
料を積層したものなどがあげられる。薄膜材料の厚さ
は、強度、熱伝導性、耐熱性などが適切になるように、
材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜
100μm程度のものが好ましく用いられる。
【0020】薄膜材料は枚葉式で供給されてもロールで
供給されても良い。染料転写時と同じサーマルヘッドを
用いて加熱処理を行なう場合は、インクシートのインク
層と面順次に供給されることか好ましく、その場合の薄
膜材料は、製造を簡便にするために、インク層の基材と
同じ材料であることが好ましい。
【0021】薄膜材料がインクシートのインク層と面順
次に供給される場合の実施の形態について、図面に基づ
いて説明する。図1は本発明の1実施例であるインクシ
ートを示す図である。図1のaでは、基材3の同一平面
上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)染
料層2(それぞれ2Y,2M,2Cで示す)が面順次に
設けられ、CとYとの間に、加熱処理のために染料層と
同じ面積分の領域(以下、再加熱処理層等と称すること
もある)1が設けられている。又、図1のbでは、基材
3の同一平面上にY、M、C染料2(2Y,2M,2
C)が面順次に設けられ、Y、M、Cの各染料層の間に
再加熱処理領域1が設けられている。尚、図1では、各
々の層の間に隙間を取っていないが、熱転写記録装置の
制御方法に併せて適宜隙間を設けても良い。又、各層の
頭出しを制度良く行なうために、検知マークをインクシ
ートに設けることが好ましいが、設け方については特に
限定されることはない。a,bは、基材の同一平面上に
インク層と再加熱処理層を設けたが、もちろん図1のc
に示すように、別個の基材にそれぞれインク層2と再加
熱処理層1を設けても良いことは言うまでもない。なお
インク層の定義については、反応型の染料を用いた場
合、インク層に含有されている染料自身は反応前の化合
物であり、厳密に言えばイエロー(Y)、マゼンタ
(M)、シアン(C)染料とは言えないが、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)画像を最終的に
形成するための層という意味で、本明細書中便宜上、同
様に表現する。
【0022】本発明に用いられる熱転写記録装置とし
て、例えば、図2に示すような装置を用いることができ
る。図2において、10はインクシート供給ロール、1
5はインクシート、11は使用されたインクシート15
を巻き取る巻取ロール、12はサーマルヘッド、13は
プラテンローラ、14はサーマルヘッド12とプラテン
ローラ13との間に挿入された受像シートである。
【0023】図2のaに示す熱転写記録装置を用い、イ
ンクシートとして例えば図1のaに示すインクシートを
用いて画像を形成するには、まず、インクシートのイエ
ロー染料を含有する領域2Yと受像シートの受像層とを
重ね合わせ、サーマルヘッドの熱印加により該領域のイ
ンク層中のイエロー染料を画像データにしたがって受像
シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いでこの
イエロー画像の上にマゼンタ染料を含有する領域2Mの
インク層から同様にしてマゼンタ染料を画像様に移行さ
せ、次いでこの転写画像の上にシアン染料を含有する領
域2Cのインク層から同様にしてシアン染料を画像様に
移行させ、最後にこの画像の全面に再加熱処理層1によ
り再加熱処理を行い、画像の形成を完了する。
【0024】又図2のaで、インクシートとして図1の
bを用いた場合は、まず、インクシートのイエロー染料
を含有する領域2Yと受像シートの受像層とを重ね合わ
せ、サーマルヘッドによる熱印加によって該領域のイン
ク層中のイエロー染料を画像データにしたがって受像シ
ートに移行させてイエロー画像を形成し、次いでこの画
像の全面に再加熱処理層1により再加熱処理を行い、次
いでこのイエロー画像の上にマゼンタ染料を含有する領
域2Mのインク層から同様にしてマゼンタ染料を画像様
に移行させ、この画像の全面に再加熱処理層1により再
加熱処理を行い、次いでこの転写画像の上にシアン染料
を含有する領域2Cのインク層から同様にしてシアン染
料を画像様に移行させ、最後にこの画像の全面に再加熱
処理層1により再加熱処理を行い、画像の形成を完了す
る。
【0025】図2のbは、インクシートを図1のcの態
様にした場合である。この場合、まず染料転写用の装置
において、インクシートのイエロー染料を含有する領域
2Yと受像シートの受像層とを重ね合わせ、サーマルヘ
ッドの熱印加により該領域のインク層中のイエロー染料
を画像データにしたがって受像シートに移行させてイエ
ロー画像を形成し、次いでこのイエロー画像の上にマゼ
ンタ染料を含有する領域2Mのインク層から同様にして
マゼンタ染料を画像様に移行させ、次いでこの転写画像
の上にシアン染料を含有する領域2Cのインク層から同
様にしてシアン染料を画像様に移行させ、染料転写画像
を形成し、最後に再加熱処理用装置を用いて、この画像
の全面に再加熱処理層1により再加熱処理を行い、画像
の形成を完了する。
【0026】図2のcは、インクシートを各色別個に
し、各々対応する装置で記録する場合である。この場
合、まずY転写用装置で、イエローインクシート上の染
料を画像データにしたがって受像シートに移行させてイ
エロー画像を形成し、次にM転写用装置で、このイエロ
ー画像の上にマゼンタインクシート上の染料を同様にし
て画像様に移行させ、次にC転写用装置で、この画像上
にシアンインクシート上の染料を画像データにしたがっ
て受像シートに移行させて、最後に図2のbの場合と同
様再加熱処理用装置でこの画像の全面に再加熱処理層1
により再加熱処理を行い、画像の形成を完了する。
【0027】本発明において、再加熱時の薄膜材料と受
像シートとの融着を防止するために、薄膜材料上に離型
剤を含有させた離型層を設けることが好ましい。本発明
に用いられる離型剤としては、シリコーンオイル(シリ
コーン樹脂と称されるものも含む);ポリエチレンワッ
クス、ポリプロピレンワックス、アミドワックス、テフ
ロンパウダー等の固形ワックス類;フッ素化合物、ケイ
素化合物若しくはこれらの複合物、フッ素系若しくは燐
酸エステル系の界面活性剤;カップリング剤;長鎖アル
キル化合物;ポリオキシアルキルポリオール等があげら
れる。中でもシリコーンオイルが好ましい。
【0028】シリコーンオイルは、単に添加するタイプ
(単純添加型)と、硬化もしくは反応させるタイプ(硬
化反応型)とがある。単純添加型の場合には、バインダ
ーとの相溶性を向上させるために、変性シリコーンオイ
ルを使用するのが好ましい。変性シリコーンオイルとし
ては、ポリエステル変性シリコン樹脂(もしくは、シリ
コン変性ポリエステル樹脂)、アクリル変性シリコン樹
脂(もしくは、シリコン変性アクリル樹脂)、ウレタン
変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変性ウレタン樹
脂)、セルロース変性シリコン樹脂(もしくは、シリコ
ン変性セルロース樹脂)、アルキッド変性シリコン樹脂
(もしくは、シリコン変性アルキッド樹脂)、エポキシ
変性シリコン樹脂(もしくは、シリコン変性エポキシ樹
脂)などを挙げることができる。
【0029】上記硬化反応型のシリコーンオイルとして
は例えば、以下に述べるような反応基を有する変性シリ
コーンオイルが挙げられる。
【0030】
【化1】
【0031】(c)その他の反応基を有する変性シリコ
ーン。
【0032】下記の一般式で表され、反応基:R6 によ
り定まる変性シリコーン。
【0033】
【化2】
【0034】 R6 :−NCOのイソシア変性シリコーン、 R6 :−OHのアルコール変性シリコーン、 R6 :−COOHのカルボキシル変性シリコーン。
【0035】なお、上記(a)〜(c)の一般式(構造
式)において、R1 〜R5 は有機基を示し、主にメチル
基から構成されるが、メチル基以外のアルキル基又はフ
ェニル基であってもよい。l,m,nは離型性樹脂の分
子量によって適宜設定されるl以上の整数を示す。また
l及びm部分の原子団はランダムに共重合されている。
【0036】以上の如きシリコーンは反応硬化させるた
めその反応形態により適宜組み合わせられて併用され
る。その反応形態としては、アミノ基又は水酸基を有す
る変性シリコーンが、エポキシ基、イソシア基又はカル
ボキシル基を有する変性シリコーンと各々反応する。
【0037】また触媒硬化型のものとしては、下記
(d),(e)の2タイプのシリコーンが挙げられる。
(d)アルコール変性シリコーンであり、2つのシリコ
ーンにより脱水重合反応可能なもの。
【0038】
【化3】
【0039】(触媒…チタネート、亜鉛、鉄、錫等のカ
ルボン酸塩など)
【0040】(e)ビニル変性シリコーンと有機基の一
部が−Hであるビニル変性シリコーンからなるもの。
【0041】
【化4】
【0042】(触媒…白金系等の金属触媒)
【0043】なお、上記(d)〜(e)の一般式(構造
式)において、R1 〜R6 は有機基を示し、主にメチル
基から構成されるが、メチル基以外のアルキル基、又は
フェニル基であってもよい。但し、(e)においてビニ
ル変性シリコーンの場合はR1 〜R6 のうちいずれか一
部がビニル基(−CH=CH2 )であり、一方、有機基
の一部が−Hであるシリコーン或いはビニル変性シリコ
ーンの場合はR1 〜R6 のうちいずれか一部がビニル基
であり、特にビニル変性シリコーンのものはその−Hに
加えて、R1 〜R6 の少なくとも1つがビニル基であ
る。n,l,mは離型性樹脂の分子量によって適宜設定
されるl以上の整数を示す。またl及びmの部分の原子
団はランダムに共重合されている。
【0044】ビニル変性シリコーンの別の具体例として
次のような変性シリコーンが挙げられる。
【0045】
【化5】
【0046】好ましい1例として、上記式(1)のシリ
コーンと式(4)のシリコーンとを混合使用して触媒硬
化させる場合、下記の如く模式化される。
【0047】
【化6】
【0048】上記の多官能のシリコーンを併用する場合
には、主鎖Aが塗膜強度に寄与し、ペンダントBが離型
性に寄与し、すぐれた塗膜性及び離型性が同時に達成さ
れる。
【0049】長鎖アルキル基(炭素数:n≧16)を側
鎖の一部として有するシリコーンオイルとしては、下記
(f)〜(i)の鎖状ポリマーが挙げられる。
【0050】(f)ポリオレフィン系の鎖状ポリマーか
らなる離型性樹脂。
【0051】
【化7】
【0052】(g)ポリエステル系の鎖状ポリマーから
なる離型性樹脂。
【0053】
【化8】
【0054】なお、上記(f)〜(i)の一般式(構造
式)において、Rは−(CH2 )n−CH3 (n≧1
6)の長鎖アルキル基を示す。R1 とR2 は少なくとも
1つが反応基であり、それ以外は−H又はアルキル基の
有機基を示し、R3 とR4 は反応基を有する脂肪族又は
芳香族の鎖を示す。nは離型性樹脂の分子量によって適
宜設定される1以上の整数を示す。
【0055】離型剤を含有する層を設ける場合、バイン
ダーとしては、後述するインクシートの説明の中で記載
されるものも含め、インク層に通常用いられるバインダ
ーと同様のバインダーを用いることが出来、例えばセル
ロース付加化合物、セルロースエステル、セルロースエ
ーテル等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、
ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、
ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、
ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル
アミド、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系エ
ステル、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
共重合体等のビニル系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー
樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げる
ことができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優れた
ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールあ
るいはセルロース系樹脂が好ましい。
【0056】離型剤の好ましい含有量は、含有させる層
の固形分に対し、0.5〜80重量%である。
【0057】熱拡散染料として、反応型の染料を用いた
場合、受像層中の未反応の染料前駆体の反応を促進させ
る及び/又は吸着し除去する目的で、薄膜材料上に、染
料定着体を含有させた層を設けることも好ましい。たと
えば、前述した反応基を有する特定構造色素をインク層
側に含有させた場合は、薄膜材料上に活性水素化合物を
含有させた層を設けることができる。
【0058】染料定着体は、それを含有した単独の層を
塗設してもよいし、上記離型層中に含有させても良い。
含有させる層を単独で設ける場合は、その層に用いられ
るバインダーは、後述するインクシートの説明の中で記
載されるものも含め、インク層に通常用いられるバイン
ダーと同様のバインダーを用いることができる。
【0059】好ましい染料定着体の添加量は、染料前駆
体との組み合わせにもよるが、含有層の固形分に対し、
0.01〜40重量%が好ましく、更に0.1〜20重
量%がより好ましい。
【0060】上記離型層や、染料定着体、バインダー等
を含有した層は、前記各種の成分を溶媒に分散ないし溶
解してなる塗工液を調製し、これを薄膜材料の表面にた
とえばグラビア方式で塗工し、乾燥することにより、形
成することができる。塗工厚みは、全体として0.2〜
10μmが好ましく適当であり、より好ましくは0.3
〜3μmである。
【0061】また、薄膜材料は、バインダーとの接着性
の改善や、熱拡散性染料の薄膜材料への転写、染着を防
止する目的で、下引き層を有していてもよい。さらに、
薄膜材料の裏面(受像シートに接しない側の面)には、
ヘッドの薄膜材料に対する融着やスティッキング、薄膜
材料のシワ発生を防止する目的で、スティッキング防止
層を設けてもよい。上記下引き層やスティッキング防止
層の厚みは、通常好ましくは0.1〜1μmである。
【0062】次に、本発明に用いられるインクシートに
ついて説明する。本発明において、インクシートは、支
持体とその上に設けたインク層から少なくとも形成さ
れ、該インク層は、熱拡散性染料を含有する。
【0063】インクシート用支持体としては、寸法安定
性がよく、感熱ヘッドでの記録の際の熱に耐え得る限り
特に制限がなく、例えば公知の各種のものを使用するこ
とができる。具体的にはたとえば、前述した薄膜材料と
同様のものを用いることができる。
【0064】インク層のバインダーとしては、例えばセ
ルロース付加化合物、セルロースエステル、セルロース
エーテル等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセター
ル、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹
脂、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアク
リルアミド、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸
系エステル、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリ
ル酸共重合体等のビニル系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノ
マー樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙
げることができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優
れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセター
ルあるいはセルロース系樹脂が好ましい。
【0065】インク層のバインダーとして、更に下記の
ような樹脂を用いることができる。
【0066】特公平5−78437号公報に記載の、イ
ソシアネート類と、ポリビニルブチラール、ポリビニル
ホルマール、ポリエステルポリオール及びアクリルポリ
オールから選択される活性水素を有する化合物との反応
生成物、イソシアネート類が、ジイソシアネート又はト
リイソシアネートである上記反応生成物、及び活性水素
を有する化合物100重量部に対して、10〜200重
量部の量である上記反応生成物;天然及び/又は半合成
水溶性高分子の分子内水酸基をエステル化及び/又はウ
レタン化した有機溶媒可溶性高分子、天然及び/又は半
合成水溶性高分子としては、α−グルコースのα−1,
4−グルコシド結合の重合体であるデンプン、β−グル
コースのβ−1,4−グルコシド結合の重合体であるセ
ルロースの水溶性誘導体、ピラノース環のβ−1,4−
グルコシド結合の重合体であるアルギン酸、ブドウ糖の
3量体であるマルトトリオース、α−D−1,6−グル
コースの1,6結合によって繰り返し結合した水溶性多
糖類であるプルラン、蔗糖からつくられるD−グルコピ
ラノースを単位とする重合体であるデキストラン、D−
グルコースが、1,3結合でβ−グルコシド結合した直
鎖のβ−1,3−グルカンであるカードラン等;特開平
3−264393号公報に記載のアセチル化度が2.4
以上かつ総置換度が2.7以上の酢酸セルロース;ポリ
ビニルアルコール(Tg=85℃)、ポリ酢酸ビニル
(Tg=32℃)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体
(Tg=77℃)等のビニル樹脂、ポリビニルブチラー
ル(Tg=84℃)、ポリビニルアセトアセタール(T
g=110℃)等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリ
アクリルアミド(Tg=165℃)等のビニル系樹脂、
脂肪族ポリエステル(Tg=130℃)等のポリエステ
ル樹脂等;特開平7−52564号公報に記載の、イソ
シアネート類と、含有するビニルアルコール部分の重量
が15〜40%であるポリビニルブチラールとの反応生
成物、上記イソシアネート類がジイソシアネート又はト
リイソシアネートである上記反応生成物、具体的には、
パラフェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4
−フェニレンジイソシアネート、2−クロロ−1,4−
フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソ
シアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレン
ジイソシアネート、4,4′,4″−トリメチル−3,
3′,2−トリイソシアネート−2,4,6−トリフェ
ニルシアヌレート等;特開平7−32742号公報に記
載の、式Iのフェニルイソシア変性ポリビニルアセター
ル樹脂;特開平6−155935号公報に記載の、イソ
シアネート反応性セルロース又はイソシアネート反応性
アセタール樹脂の1種と、イソシアネート反応性アセタ
ール樹脂、イソシアネート反応性ビニル樹脂、イソシア
ネート反応性アクリル樹脂、イソシアネート反応性フェ
ノキシ樹脂及びイソシアネート反応性スチロール樹脂か
ら選ばれる1種の樹脂及びポリイソシアネート化合物を
含有する組成物の硬化物;ポリビニルブチラール樹脂
(好ましくは分子量が6万以上、ガラス転移温度が60
℃以上、より好ましくは70℃以上110℃以下、ビニ
ルアルコール部分の重量%がポリビニルブチラール樹脂
中10〜40%、好ましくは15〜30%のもの);ア
クリル変性セルロース系樹脂、セルロース系樹脂として
は、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セ
ルロース等のセルロース系樹脂(好ましくはエチルセル
ロース)、上記セルロース系樹脂をアクリル樹脂で変性
する際に使用する有機溶剤としては、例えば、ギ酸メチ
ル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン
系溶剤、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系
溶剤、n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げら
れ、セルロース系樹脂は好ましくは約5〜50重量%の
濃度で使用する。
【0067】前記各種のバインダーは、その1種を単独
で使用することもできるし、またその2種以上を併用す
ることもできる。
【0068】本発明に用いられるインク層に含有させる
熱拡散性染料としては、従来公知のものを用いることが
でき、特に制限はないが、良好な画像保存性を得られる
観点から、反応性の染料を用いることが好ましい。
【0069】本発明において、反応型の染料とは、前述
の如く、インク層側に含有させた染料前駆体と受像層側
に含有させた染料定着体を熱転写により反応させること
によって画像を形成させるような染料を言う。具体的に
は、前述のものも含め、公知の反応型の染料を用いるこ
とが可能であるが、本発明においては、画像保存性に特
に優れるという観点から、ポストキレート染料と、メタ
ルソースの組み合わせを用いることが好ましい。
【0070】ポストキレート染料としては、熱転写が可
能であれば特に制限はなく、公知の各種の化合物を適宜
に選定して使用することができる。具体的には、例えば
特開昭59−78893号公報、同59−109349
号公報、特願平2−213303号明細書、同2−21
4719号明細書、同2−203742号明細書に記載
されているシアン染料、マゼンタ染料、イエロー染料な
どを使用することができる。
【0071】上記染料の中でも、メタルソースと2座の
キレートを形成することができるメチン染料を使用する
ことが本発明の目的をより効果的に発現するので好まし
い。そのような染料として、下記一般式(1)で表され
る染料を挙げることができる。
【0072】
【化9】
【0073】式中、Xは少なくとも2座のキレート形成
可能な基または原子を有する原子群を表し、Yは芳香族
性炭素環または複素環を形成するに必要な原子群を表
し、R1 ,R2 及びR3 は各々、水素原子、ハロゲン原
子または1座の置換基を表す。nは0,1または2を表
す。Yは好ましくは5〜6員の芳香族性炭素環または複
素環を形成する原子群であり、該環上には更に置換基を
有してもよい。
【0074】X=として特に好ましくは下記一般式
(2)で表されるものである。
【0075】
【化10】
【0076】式中、Zは少なくとも一つのキレート化可
能な窒素原子を含む基で置換された芳香族含窒素複素環
を形成するに必要な原子群を表す。
【0077】該環の具体例としてはベンゼン、ピリジ
ン、ピリミジン、フラン、チオフェン、チアゾール、イ
ミダゾール、ナフタレン等の各環が挙げられる。これら
の環は、更に他の炭素環(ベンゼン環など)や複素環
(ピリジン環など)と縮合環を形成してもよい。
【0078】又、環上の置換基としてはアルキル基、ア
リール基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、
アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコ
キシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられ、それら
の基は更に置換されてもよい。
【0079】R1 ,R2 及びR3 で表されるハロゲン原
子としては弗素原子、塩素原子等が、又、1個の置換基
としてはアルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコ
キシカルボニル基等が挙げられる。
【0080】X=としては下記一般式(3)〜(6)で
表されるものが特に好ましい。
【0081】
【化11】
【0082】式中、R4 及びR5 は各々、水素原子、ハ
ロゲン原子(弗素原子、塩素原子、臭素原子等)または
1個の置換基(アルキル基、アリール基、アシル基、ア
ミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコ
キシ基、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基等)
を表す。Qは前記説明した含窒素複素環を形成する原子
群である。
【0083】以下に具体的化合物例を示すが、本発明は
これらに限定されない。
【0084】
【化12】
【0085】
【化13】
【0086】
【化14】
【0087】
【化15】
【0088】
【化16】
【0089】これらポストキレート染料の含有量は、各
染料の性質、バインダーへの溶解性、使用目的などから
一概に決められないが、通常好ましくは、各染料含有領
域の構成全重量の10〜80重量%で用いられる。
【0090】本発明において、インク層には、前記の成
分の他に、各種の添加剤を適宜に添加することができ
る。添加剤としては前述したような、シリコン樹脂、シ
リコンオイル(反応硬化タイプも可)、シリコン変性樹
脂、フッ素樹脂、界面活性剤、及びワックス類等の離型
性化合物、金属微粉末、シリカゲル、金属酸化物、カー
ボンブラック、及び樹脂微粉末等のフィラー、バインダ
ー成分と反応可能な硬化剤(たとえばイソシアネート類
やアクリル類やエポキシ類等の放射線活性化合物)など
を挙げることができる。
【0091】本発明において、インクシートは、支持体
とインク層とからなる2層構成に限られず、その他の層
が形成されていてもよい。例えば、受像層との融着や染
料の裏移り(ブロッキング)を防止する目的で、前記イ
ンク層の表面にオーバーコート層を設けてもよい。
【0092】またインクシートの支持体にはインク層の
バインダーとの接着性の改良や熱拡散性染料の支持体側
への転写や染着を防止する目的で下引層を有していても
よい。さらに支持体の裏面(インク層と反対側)には、
ヘッドの支持体に対する融着やスティッキング、インク
シートのシワが発生するのを防止する目的でスティッキ
ング防止層を設けてもよい。上記のオーバーコート層、
下引層及びスティッキング防止層の厚みは通常、0.1
〜1μmである。
【0093】インクシートは、インク層を形成する前記
各種の成分を溶媒に分散ないし溶解してなるインク層形
成用塗工液を調製し、これをインクシート用支持体の表
面に、例えばグラビア印刷方式で塗工し、乾燥すること
により製造することができる。形成するインク層の厚み
は、通常、0.2〜10μmが適当であり、好ましく
は、0.3〜3μmである。
【0094】本発明のインク層には、増感剤として、5
0〜150℃の融点を有する低分子量物質を含有しても
良い。融点が50℃未満であると、増感剤がインク層表
面に移行しやすく、ブロッキング等の問題が発生し、一
方融点が150℃を越えると増感作用が急激に低下する
ので好ましくない。
【0095】又、増感剤の分子量は100〜1500の
範囲が好ましい。分子量が100未満では、融点を50
℃以上に保持することが困難であり、一方、分子量が1
500を越えると熱転写時における増感剤の融解のシャ
ープさがなくなり、増感作用が不十分となるので好まし
くない。
【0096】また、上記増感剤は、インク層を形成する
バインダー100重量部あたり1〜100重量部の割合
で使用することが好ましい。使用量が1重量部未満では
満足する増感作用が得難く、一方100重量部を越える
とインク層の耐熱性が低下するので好ましくない。
【0097】以上のごとき増感剤は、50〜150℃の
融点を有する限り、いずれの公知の低分子量物質でもよ
いが、好ましいものとしては、熱可塑性樹脂オリゴマ
ー、例えばポリウレタンオリゴマー、ポリスチレンオリ
ゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリアクリルオリゴ
マー、ポリエチレンオリゴマー、ポリ塩化ビニルオリゴ
マー、ポリ酢酸ビニルオリゴマー、エチレン/酢酸ビニ
ル共重合体オリゴマー、エチレンアクリル共重合体オリ
ゴマー、ポリオキシエチレンオリゴマー、ポリオキシプ
ロピレンオリゴマー、ポリオキシエチレンプロピレンオ
リゴマー等の各種オリゴマー、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モン
タン酸等の脂肪酸、カプロン酸アミド、カプリル酸アミ
ド、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン
酸アミド、エイコセン酸アミド等に脂肪酸アミド、ベヘ
ン酸メチル、パルミチン酸ペンタデシル、ステアリン酸
ヘキサコシル、カルバミン酸[1,4−フェニレンビス
(メチレン)]ビスジメチルエステル等に脂肪酸エステ
ル等、その他、1,4−ジシクロヘキシルベンゼン、安
息香酸、アミノベンゾフェノン、ジメチルテレフタレー
ト、フルオランテン、フェノール類、ナフタレン類、フ
ェノキシ類等の芳香族化合物、各種ワックス等が挙げら
れる。
【0098】次に、本発明に用いられる受像シートにつ
いて説明する。
【0099】本発明の受像シートは、支持体と、支持体
の表面に形成される受像層から少なくとも構成される。
【0100】受像シートの支持体としては、受像層を保
持するという役割を有すると共に、熱転写時には熱が加
えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のな
い程度の機械的強度を有することが好ましい。このよう
な支持体の材料は特に限定されず、例えば、コンデンサ
ーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフ
ィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート
紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又は
エマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成
樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリ
エステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリ
ウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロー
ス誘導体、ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合
体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォ
ン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル、、ポリビニルフルオライド、テトラフル
オロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘ
キサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチ
レン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げ
られ、また、これらの合成樹脂に、後の工程で形成され
る画像の鮮明性を高めるために、白色顔料や充填剤(例
えばチタンホワイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫
酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム
等)を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡
させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
【0101】また、上記支持体の任意の組み合わせによ
る積層体も支持体として使用できる。代表的な積層体の
例として、セルロース繊維紙と合成紙あるいはセルロー
ス繊維紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられ
る。クッション性や熱伝導性等の機能性を分離させるた
めに、該合成紙やプラスチックフィルム上にさらに上記
の材料を積層してもよい。支持体の厚みは用途に応じて
任意で良く、通常10〜300μm程度が用いられる。
又、上記支持体と、その上に設ける層との密着性が乏し
い場合には、支持体の表面に各種プライマー処理やコロ
ナ放電処理を施すのが好ましい。
【0102】受像層は、インクシートのインク層から、
加熱により拡散してくる染料を受容することができる限
り特に制限がなく、基本的にバインダー及び各種の添加
剤で形成される。支持体の表面に受像層を形成する方法
としては、受像層を形成する成分を溶媒に分散あるいは
溶解してなる受像層用塗工液を調製し、その受像層用塗
工液を前記支持体の表面に塗布し、乾燥する塗工法、あ
るいは前記受像層を形成する成分を有する混合物を溶融
押出し、支持体の表面にラミネートするラミネート法等
を挙げることができる。支持体の表面に形成される受像
層の厚みは、一般に0.5〜50μm、好ましくは1〜
20μm程度である。
【0103】受像層用のバインダーとしては、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂及び
各種の耐熱性樹脂などさまざまのバインダーを使用する
ことができる。バインダーの種類の選択は任意である
が、画像保存性などの点において、ポリビニルアセター
ル系樹脂又は塩化ビニル系樹脂が好ましい。前記ポリビ
ニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアセトアセ
タール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホ
ルマール樹脂などがあげられる。前記塩化ビニル系樹脂
としては、ポリ塩化ビニル樹脂と塩化ビニル共重合体と
を挙げることができる。この塩化ビニル共重合体として
は、塩化ビニルをモノマーユニットとして50モル%以
上の割合で含有する塩化ビニルと他のコモノマーとの共
重合体を挙げることができる。前記ポリビニルアセター
ル系樹脂、塩化ビニル系樹脂の他に、ポリエステル系樹
脂も熱転写用の受像層として好適に用いることができ
る。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、特開
昭58−188695号公報、特開昭62−24469
6号公報に記載されている化合物を挙げることができ
る。また、ポリカーボネート系樹脂としては、たとえ
ば、特開昭62−169694号公報に記載の各種の化
合物を使用することができる。アクリル系樹脂として
は、例えばポリアクリルエステルを挙げることができ
る。耐熱性樹脂としては耐熱性がよく、極度に軟化点あ
るいはガラス転移点(Tg)の低い樹脂でなく、前記塩
化ビニル系樹脂と適度に相溶し、実質的に無色である限
り公知の各種の耐熱性樹脂を使用することができる。こ
こで言う「耐熱性」とは耐熱保存した場合に樹脂そのも
のが黄変などの着色を起こさず、物理的強度が極端に劣
化しないことを指す。前記耐熱性樹脂は軟化点が30〜
200℃、特にTgが50〜150℃であるのが好まし
い。軟化点が30℃未満であると、熱転写性染料の転写
を行う際、インクシートと受像層とが融着を起こすこと
があるので好ましくない。軟化点が200℃を越えると
受像層の感度が低下して好ましくない。上記条件を満た
す耐熱性樹脂としてはフェノール樹脂、メラミン樹脂、
ユリア樹脂、ケトン樹脂などがあげられるが、中でも尿
素アルデヒド樹脂、ケトン樹脂が特に好ましい。尿素ア
ルデヒド樹脂は尿素とアルデヒド類(主としてホルムア
ルデヒド)との縮合により得られるものであり、ケトン
樹脂はケトンとホルムアルデヒドとの縮合反応によって
得られる。
【0104】受像層のバインダーとして、さらに下記の
ような樹脂を用いることができる。
【0105】ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹
脂、前記以外のハロゲン化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニリ
デン等)、前記以外のビニルポリマー(ポリ酢酸ビニル
等)、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレ
ンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーと
の共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテ
ート等のセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイ
ミド樹脂、エポキシ樹脂等。
【0106】特開平5−246152号公報に記載のポ
リカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との併
用;特開平5−246151号公報に記載のカルボキシ
ル基を含有するポリビニルアセタール系樹脂、該カルボ
キシル基を構成する成分がカルボキシル基含有付加重合
性モノマーである上記ポリビニルアセタール系樹脂、該
カルボキシル基を含有するモノマー単位が上記ポリビニ
ルアセタール系樹脂の0.5〜20重量%である樹脂;
特開平5−246150号公報に記載のエポキシ基を含
有する塩化ビニル系共重合体樹脂;特開平5−1317
58号公報に記載のランダム−コ−ポリカーボネート樹
脂;特開平5−64978号公報に記載のジオール成分
又は酸成分の少なくとも一方が脂環族化合物を含むポリ
エステル樹脂、該脂環族化合物が、トリシクロデカンジ
メタノール、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキ
サンジメタノール又はシクロヘキサンジオールであるポ
リエステル樹脂(該樹脂により、画像の耐光性、耐指紋
性、耐可塑性等の耐久性が向上する);特開平4−29
9187号公報に記載のイソホロジンアミン成分とする
ポリアミド樹脂、該樹脂の分子量が5000〜2000
0の範囲であり、軟化点が50〜170℃である樹脂;
特開平4−347690号公報に記載の疎水性樹脂液か
らなる水性樹脂;特開平4−299188号公報に記載
のアミン価が3以下のポリアミド樹脂、分子量が500
0〜20000の範囲であり、軟化点が50〜170℃
である上記ポリアミド樹脂、酸成分がダイマー酸、プロ
ピオン酸、アジピン酸又はアゼライン酸から選ばれる上
記ポリアミド樹脂;特開平4−299184号公報に記
載のポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂;特開平4
−223194号公報に記載の塗膜形成能又はフィルム
形成能を有する高分子物質、該高分子物質とB1及び/
又はB2成分を含有する組成物の硬化物;特開平4−1
31287号に記載の合成樹脂;特開平4−43082
号公報に記載のウレタン変性ポリエステル樹脂;特開平
4−135794号公報に記載の平均重合度400以下
の塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体;特開平2−107
485号公報に記載の、酸価が2以上の酸性樹脂、例え
ば次のような酸変性樹脂:(イ)エステル結合を有する
もの、例えばポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、
スチレンアクリレート樹脂、ビニルトルエンアクリレー
ト樹脂、(ロ)ウレタン結合を有するもの、例えばポリ
ウレタン樹脂等、(ハ)アミド結合を有するもの、例え
ば、ポリアミド樹脂(ナイロン)、(ニ)尿素結合を有
するもの、例えば尿素樹脂等、(ホ)その他極性の高い
結合を有するもの、例えば、ポリカプロラクトン樹脂、
ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等(これ
らのうちで特に好適なものはポリエステル系樹脂であ
る);特開平2−107485号公報に記載の、熱可塑
性樹脂と、反応官能基(メラミン骨格、尿素骨格、ベン
ゾグアナミン骨格又はグリコールウリル骨格を有するア
ミノ樹脂と、イソシアネート化合物)を有する少なくと
も2種以上の化合物(メラミン骨格、尿素骨格、ベンゾ
グアナミン骨格又はグリコールウリル骨格を有するアミ
ノ樹脂と、イソシアネート化合物等)との反応物;特開
平7−40670号公報に記載の、数平均分子量150
00以下の熱可塑性樹脂(製造時における速乾性に優
れ、かつ画像形成時における熱転写シートとの剥離性、
発色濃度、鮮明性に優れる)、及び該熱可塑性樹脂とし
て、受像層のバインダーの5〜100重量%の塩化ビニ
ルスチレン系共重合体(塩化ビニルアクリルスチレン共
重合体、塩化ビニル酢酸ビニルアクリルスチレン共重合
体、塩化ビニル酢酸ビニルスチレン共重合体、塩化ビニ
ルブチルアクリルスチレン共重合体、塩化ビニルブチル
アクリル共重合体、塩化ビニルメタクリルスチレン共重
合体、塩化ビニル酢酸ビニルメタクリルスチレン共重合
体、塩化ビニルブチルアクリルメタクリルスチレン共重
合体、塩化ビニル酢酸ビニルブチルアクリルメタクリル
スチレン共重合体等);特開平5−270151号公報
に記載の、アルデヒド変性ビニルアルコール樹脂と数平
均分子量1万以下のポリエステル樹脂(効果:画像の濃
度、耐光性、耐指紋性、熱可塑性等の耐久性の向上)、
アルデヒド変性ビニルアルコール樹脂のアルデヒド変性
率が30〜50%である上記ポリエステル樹脂、アルデ
ヒド変性ビニルアルコール樹脂の平均重合度が200〜
3000である上記ポリエステル樹脂、上記ポリエステ
ル樹脂のポリオール成分及び/又は酸成分の少なくとも
1部が脂環族化合物である上記ポリエステル樹脂、アル
デヒド変性がホルマリン、アセトアルデヒド又はブチル
アルデヒド(特に好ましくは、アセトアルデヒド又はブ
チルアルデヒド)である上記ポリエステル樹脂;特開平
6−115272号公報に記載の、引張強さ200kg
/cm2 以上の樹脂(効果:受像層のクラック発生の防
止、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ブチラール系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル
共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテー
ト等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等(特に好
ましいものはポリエステル系樹脂及び塩化ビニル・酢酸
ビニル共重合体系樹脂);特開平6−79974号公報
に記載の、ポリビニルアルコールと、−100〜20℃
のガラス転移温度を有するとともに極性基を有する合成
樹脂のエマルジョンとの混合物;特開平6−79974
号公報に記載の、溶剤に不溶性ないし難溶性のポリエス
テル樹脂水性分散物と該ポリエステル樹脂以外の熱可塑
性樹脂の水性分散物との混合物;特開平6−15966
号公報に記載の、ポリオキシアルキレンポリオールと有
機ポリイソシアネートとの反応生成物;特開昭58−2
15398号公報、特開昭61−199997号公報、
特開平2−178089号公報、特開平2−86494
号公報に記載のポリエステル系樹脂とポリイソシアネー
トとの反応生成物;特開平1−160681号公報、特
開平1−123794号公報、特開平3−126587
号公報に記載の活性水素を持つ塩化ビニル・酢酸ビニル
共重合体とポリイソシアネートとの反応生成物;特開平
6−8646号公報に記載の、水酸基含有熱可塑性樹
脂、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルア
ルコール単位の含有量が5〜50重量%である上記ポリ
ビニルアセタール樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合
体、ポリビニルアルコール単位の含有量が1〜30重量
%である上記塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、ポ
リエステル、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体の部分又は完全鹸化物、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂等,特に好適なものはポリビニル
アセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,
好ましいポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルホル
マール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂及びポリ
ビニルブチラール樹脂(効果:上記樹脂と架橋剤とから
なる架橋物は離型性に優れ、かつ発色濃度、鮮明性、各
種耐久性及び非エンボス性に優れる);特開平5−29
4076号公報に記載の、ポリビニルアルコール単位の
含有量が10重量%以上(又は10〜50重量%)であ
るポリビニルアセタール樹脂、重合度が100〜100
00である上記ポリビニルアセタール樹脂等。
【0107】なお、受像層の形成に際しては、上述した
各種の樹脂はその反応活性点を利用して(反応活性点が
無い場合はそれを樹脂に付与する。)、放射線、熱、湿
気、触媒等により架橋もしくは硬化してもよい。その場
合には、エポキシ、アクリルの如き放射線活性モノマー
や、イソシアナートの如き架橋剤を用いることができ、
それらのモノマーや架橋剤は受像層中にそのまま添加し
てもよいし、マイクロカプセルに封入したものでもよ
い。
【0108】本発明において、反応型の染料を用いる場
合、受像層には、バインダーの他に、前述したように、
インクシートに含有させた染料前駆体と反応し得る染料
定着体を含有させる。本発明の好ましい態様としてイン
ク層中にポストキレート染料を含有させた場合、該ポス
トキレート染料と金属キレートを形成し得るメタルソー
スを含有させる。
【0109】メタルソースとしては、金属イオンの無機
又は有機の塩及び金属錯体が挙げられ、中でも有機酸の
塩及び錯体が好ましい。金属としては、周期律表の第I
〜第VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられる
が、中でもAl,Co,Cr,Cu,Fe,Mg,M
n,Mo,Ni,Sn,Ti及びZnが好ましく、特に
Ni,Cu,Cr,Co及びZnが好ましい。メタルソ
ースの具体例としては、Ni2 + ,Cu2 + ,Cr
2 + ,Co2 + 及びZn2 + と酢酸やステアリン酸等の
脂肪族の塩、或いは安息香酸、サルチル酸等の芳香族カ
ルボン酸の塩等が挙げられる。また、下記一般式(2)
で表される錯体が受像層中に安定かつ添加でき、かつ実
質的に無色である為に特に好ましい。
【0110】一般式(2) [M( Q1) X ( Q2) Y ( Q3) Z P + ( L- ) P
【0111】一般式(2)中、Mは金属イオン、好まし
くはNi2 + ,Cu2 + ,Cr2 +,Co2 + 又はZn2
+ を表す。Q1,Q2及びQ3は各々Mで表される金
属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同
じであっても異なっていてもよい。これらの配位化合物
としては、例えばキレート科学(5)(南江堂)に記載
されている配位化合物から選択することができる。L-
は有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニルホ
ウ素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等
を挙げることができる。Xは1、2又は3を表し、Yは
1、2又は0を表し、Zは1又は0を表すが、これらは
前記一般式(2)で表される錯体が4座配位か、6座配
位かによって決定されるか、或いはQ1,Q2,Q3の
配位子の数によって決定される。Pは1又は2を表す。
この種のメタルソースの具体例としては、米国特許第
4,987,049号明細書に例示されたもの、或いは
特開平9−39423号公報に例示された化合物No.
1〜99などを挙げることができる。
【0112】メタルソースの添加量は、通常、受像層の
バインダーに対して5〜80重量%が好ましく、10〜
70重量%がより好ましい。受像層のメタルソース量が
多すぎるとメタルソースの色味が受像シートの白地の色
調に表れてしまい好ましくない。
【0113】受像層には、離型剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料等を添加してもよ
い。また、増感剤として可塑剤、熱溶剤などを添加して
もよい。
【0114】離型剤は、インクシートのインク層と受像
シートの受像層との剥離性を向上させることができる。
このような離型剤としては、前述したシリコーンオイル
(シリコーン樹脂と称されるものも含む);ポリエチレ
ンワックス、ポリプロピレンワックス、アミドワック
ス、テフロンパウダー等の固型ワックス類;フッ素化合
物、ケイ素化合物若しくはこれらの複合物、フッ素系若
しくは燐酸エステル系の界面活性剤;カップリング剤;
長鎖アルキル化合物;ポリオキシアルキルポリオール等
が挙げられ、中でもシリコーンオイルが好ましい。
【0115】紫外線吸収剤としては、染料画像の紫外線
吸収用として機能し、かつ熱転写が可能であればよく、
例えば、特開昭59−158287号、同63−746
86号、同63−145089号、同59−19629
2号、同62−229594号、同63−122596
号、同61−283595号、特開平1−204788
号等の公報に記載の化合物、及び写真その他の画像記録
材料における画像耐久性を改善するものとして公知の化
合物を使用することができる。バインダーと紫外線吸収
剤との重量比は、1:10〜10:1が好ましく、さら
に好ましくは2:8〜7:3の範囲である。
【0116】酸化防止剤としては、特開昭59−182
785号、同60−130735号、特開平1−127
387号各公報等に記載の酸化防止剤、及び写真その他
の画像記録材料における画像耐久性を改善するものとし
て公知の化合物を挙げることができる。紫外線吸収剤及
び光安定剤としては、特開昭59−158287号、同
63−74686号、同63−145089号、同59
−196292号、同62−229594号、同63−
122596号、同61−283595号、特開平1−
204788号等の公報に記載の化合物、及び写真その
他の画像記録材料における画像耐久性を改善するものと
して公知の化合物を挙げることができる。
【0117】フィラーとしては、無機微粒子や有機樹脂
粒子を挙げることができる。この無機微粒子としてはシ
リカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活
性白土、アルミナ等を挙げることができ、有機微粒子と
してはフッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル
樹脂粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げること
ができる。これらの無機・有機樹脂粒子は比重により異
なるが、0.1〜70重量%の添加が好ましい。顔料と
しては、代表例としてチタンホワイト、炭酸カルシウ
ム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレ
ー、カオリン、活性白土、酸性白土などを挙げることが
できる。
【0118】可塑剤としてはフタル酸エステル類(例え
ばフタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオ
クチル、フタル酸ジデシルなど)、トリメリット酸エス
テル類(例えばトリメリット酸オクチルエステル、トリ
メリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸イソデ
ソルエステルなど)、ピロメリット酸オクチルエステル
などのピロメリット酸エステル類、アジピン酸エステル
類などが挙げられる。なお、可塑剤の過度の添加は画像
の保存性を劣化させるので、可塑剤の添加量は、通常、
受像層のバインダーに対して0.1〜30重量%の範囲
である。
【0119】受像シートの裏面に滑性裏面層を設けても
良い。
【0120】受像シートの裏面に滑性裏面層を設ける場
合、用いる樹脂は染料染着性の低いものが好ましい。そ
のような樹脂として、具体的には、アクリル系樹脂、ポ
リスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド
系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコー
ル、酢酸セルロース樹脂などがあげられる。また、特開
平7−186557号公報に記載の非晶質ポリオレフィ
ン樹脂を用いることもできる。この他、ポリビニルブチ
ラール、メラミン、セルロース、アクリル系樹脂等をキ
レート、イソシアネート、放射線照射等の手段で硬化さ
せた硬化性樹脂なども好ましい。市販されているものと
しては、例えば、アクリル樹脂ではBR85、BR8
0、BR113(以上三菱レイヨン製)、非晶質ポリオ
レフィン樹脂としてAPL6509、130A、291
S、150R(以上、三井石油化学工業製)、ゼオネッ
クス480、250、480S(以上日本ゼオン製)、
ポリビニルブチラール樹脂では3000−1(電気化学
工業製)、ポリビニルアルコール樹脂として、SMR−
20H、SMR−20HH、C−20、C−10、MA
−23、PA−20、PA−15(以上信越化学工業
製)、酢酸セルロース樹脂としてL−30、LT−35
(以上ダイセル化学工業製)、メラミン樹脂ではサイメ
ル303(三井サイアッド製)等があげられるが、もち
ろんそれらに限定されるものではない。
【0121】また、自動給紙適性をよくするために、受
像シートの裏面を構成する層の少なくとも1層に、有機
及び/又は無機の充填剤を含有させても良い。具体的に
はポリエチレンワックス、ビスアマイド、ナイロン、ア
クリル樹脂、架橋ポリスチレン、シリコン樹脂、シリコ
ンゴム、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等があげ
られるが、特に限定はされず何でも使用できる。
【0122】上記の中でも、プリンタの給紙ゴムローラ
ーの損耗や、転移によるローラーの摩擦特性の変動を抑
える点から特に好ましいのがナイロンフィラーである。
ナイロンフィラーとしては、分子量が10万〜90万
で、球状であり、平均粒子径が0.01〜30μmのも
のが好ましく、特に分子量が10万〜50万で、平均粒
子径が0.01〜10μmのものがより好ましい。ま
た、ナイロンフィラーの種類としては、ナイロン6やナ
イロン66と比較してナイロン12フィラーが耐水性に
優れ、吸水による特性変化もないためより好ましい。
【0123】ナイロンフィラーは、高融点で熱的にも安
定であり、耐油性、耐薬品性などもよいことから染料に
よって染着されにくい。また、自己潤滑性があり、摩擦
係数も低く、分子量が10万〜90万であると摩耗する
ことも殆どなく、相手材を傷つけることもない。また、
好ましい平均粒子径は、反射画像用熱転写受容要素の場
合は、0.1〜30μm、透過画像用熱転写受像シート
の場合は0.01〜1μmである。粒子径が小さすぎる
と、フィラーが裏面構成層中に隠れてしまい、十分な滑
り性の機能を果たさず、また、粒子径が大きすぎると、
裏面構成層から突出が大きくなり、結果的に摩擦係数を
高めたり、フィラーの欠落を生じてしまうため好ましく
ない。
【0124】なお、上記の充填剤は何れも市場で容易に
入手でき、例えばポリエチレンワックスではSPRAY
30(サゾール社製)、W950(三井石油化学工業
製)等、ナイロンフィラーとしては、例えばMW330
(神東塗料製)などがあげられる。充填剤の添加量は、
添加する層の樹脂100重量部に対して0.01〜20
0重量部の範囲が好ましい。
【0125】裏面層表面の中心線平均表面粗さRaは
0.5〜2.5μmが好ましい。また、単位面積当たり
の平均突起数が2000〜4500個/mm2 であるこ
とが好ましい。このような性質を持たせる方法として
は、例えば上述のような充填剤を用いて調整するほか、
樹脂押しだしコーティング時の冷却ロールの表面形状を
前述のような性質にし、押し出し樹脂を冷却する際にそ
の形状を転写することによっても形成することが出来
る。
【0126】滑性裏面層と、支持体の間に、接着力を高
める目的で、中間層を設けても良い。好ましい中間層の
態様としては、反応硬化型の樹脂を有する中間層を設け
る。
【0127】反応硬化型樹脂としては特開平6−255
276号公報に記載されたような熱硬化型樹脂及び/又
は電離放射線硬化型樹脂を使用するのが好ましい。
【0128】同様の構成の中間層は、支持体と受像層の
間に設けてもよい。
【0129】本発明の受像層は、特開平4−24199
3号公報に記載されたような方法で、表面をマット化処
理及び/又は光沢度調整をしてもよい。
【0130】本発明の受像シートには、受像層及び/又
はその近傍の層に透明な吸熱物質を含有させても良い。
吸熱物質近傍で蓄積し、受像層を膨張させることによ
り、色材を有効に受像層中に転移させることができる。
【0131】吸熱材料としては、各種の近赤外吸収色素
が用いられる。例えば、ニトロソ化合物及びその金属錯
塩、ポリメチン系色素、スクアリリウム系色素、チオー
ルニッケル塩、フタロシアニン系色素、トリアリルメタ
ン系色素、インモニウム系色素、ジインモニウム系色
素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等を用
いることができる。また、多くの透明な潜熱蓄熱材、例
えばパラフィンワックス等の鎖状炭化水素類、パラキシ
レン等の芳香族炭化水素類、フェノール類、ステアリン
酸等のカルボンサン類、C4 8 O・117H2 O等の
包接形水化物、各種のアルコール類、ポリエチレン等の
ガラス転移点の低い高分子物質も用いられる。更には光
異性化反応熱を利用した光化学反応蓄熱材等も用いられ
る。
【0132】本発明の受像シートには、クッション性を
あげるために、気泡を含有させた層を設けても良い。
【0133】気泡を含有させる手段としては、熱膨張性
の中空粒子やカプセル状の中空ポリマーを用いることが
出来る。また、熱で分解して酸素、炭酸ガス、窒素など
のガスを発生するジニトロペンタメチレンテトラミン、
ジアゾアミノベンゼン、アゾビスイソブチルニトリル、
アゾジカルボアミド等の分解型発泡剤を用いてもよい。
【0134】気泡含有層中に含有させる気泡の種類は、
クッション性、断熱性の点から独立気泡が好ましく、例
えば特開平6−270559号公報に記載されたような
ものが挙げられる。
【0135】また、気泡含有層自体に公知の接着剤を含
有させても良いが、支持体との接着性を挙げるために、
支持体と気泡含有層の間にプライマー層を設けても良
い。かかるプライマー層としては、例えば特開平5−2
70152号公報に記載のものなどを用いることが出来
る。
【0136】本発明において、受像シート及び/又はイ
ンクシートに帯電防止機能を持たせても良い。帯電防止
の機能を持たせるためには、従来公知の技術を用いるこ
とができる。すなわち、金属、金属酸化物、炭素の微粉
末などの導電性物質、「帯電防止剤」と呼ばれる有機化
合物(陽イオン系、陰イオン系、両性イオン系、非イオ
ン系界面活性剤や、ポリシロキサン系等)、電子伝導性
の無機微粉末(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化イ
ンジウム等の微粉末に、不純物を混合して焼成し、結晶
格子を乱し、電子伝導性を高める、いわゆるドーピング
処理を施したもの)等、公知の導電性物質を用いること
ができる。上記のような導電性物質は、受像シート及び
/又はインクシートの構成層中の少なくとも1層に含有
しても良いし、導電性物質を含有した塗料を塗布した導
電層として少なくとも1層形成しても良い。もちろんそ
の組み合わせも好ましい。
【0137】導電層として、上記のような導電性物質を
用いる場合、導電性塗料は通常の方法により調整できる
が、好ましくは、帯電防止剤はアルコール溶液または水
溶液の形で用い、電子伝導性の無機微粉末はそのままの
形で用い、バインダーとなるべき樹脂の有機溶剤溶液中
に前者であれば溶解もしくは分散、後者であれば分散す
ることにより調整する。
【0138】導電性塗料のバインダーとなるべき樹脂
は、熱硬化性のポリアクリル酸エステル樹脂、ポリウレ
タン樹脂等のような熱硬化性樹脂、又はポリ塩化ビニル
樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂等
のような熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、塗
布、乾燥後(場合により硬化後)の導電層の表面固有抵
抗が1×101 0 Ωcm以下になるよう、バインダーと
導電性物質の比を決定することが好ましい。
【0139】調整した導電性塗料は通常の塗布方法、例
えばブレードコーター、グラビアコーターなどによるコ
ーティング、スプレーコーティング等が採用できる。
【0140】紙基材上に導電層を設けて帯電処理機能を
持たせる場合は、帯電防止剤の水溶液を塗布するか、前
記した電子導電性の無機微粉末を合成樹脂エマルジョ
ン、合成ゴムラテックス、水溶液樹脂の水溶液などの水
性塗料中に分散ないし溶解して乾燥塗膜を塗布形成する
とよい。合成樹脂エマルジョンとしてはポリアクリル酸
エステル樹脂やポリウレタン樹脂等のエマルジョン、合
成ゴムラテックスとしてはメチルメタクリレート−ブタ
ジエン、スチレン−ブタジエン等のゴムラテックス、水
溶性樹脂の水溶液としてはポリビニルアルコール樹脂、
ポリアクリルアミド樹脂、澱粉などの水溶液が例示でき
る。あるいはもっと簡易に帯電防止剤の水溶液をスプレ
ーコートしてもよい。
【0141】また、別の好ましい態様として、受像シー
トやインクシートの芯材あるいは基材上に帯電防止層を
設ける場合、密着性を上げるために、特開平8−529
45号公報に記載されているような、アクリル樹脂とエ
ポキシ樹脂とからなる帯電防止樹脂からなる帯電防止層
を用いることもできる。
【0142】このような帯電防止層は、上記の主剤及び
硬化剤を適当な比率で混合した塗工液を慣用の方法で、
インクシート及び/又は受像シートの芯材あるいは基材
の少なくとも一方の面又はそれらに設けたプライマー層
や接着層等の上に塗工及び乾燥して形成することができ
る。この帯電防止層は、インク層あるいは受像層を形成
する芯材又は基材の面に設けて、その上にインク層ある
いは受像層を設けても良く、また、インク層あるいは受
像層を形成する面と反対側の面に設けても良い。さら
に、この帯電防止層の面に別の層、例えば耐熱滑性層や
背面スリップ層等を設けても良い。塗工方法としては、
慣用の塗工手段で良い。
【0143】受像層中へ帯電防止剤を用いる場合は、帯
電防止剤は有機溶剤可溶性であることが好ましい。有機
溶剤可溶性の帯電防止剤としては、例えば特開平5−6
4979号公報に記載のものなどが挙げられる。
【0144】上記帯電防止剤を受像層に含有させる場合
は、受像層を形成する樹脂100重量部あたり0.1〜
10重量部の範囲で使用することが好ましい。使用量が
少なすぎると帯電防止効果が不十分であり、一方多すぎ
ると受像層の染料受容性や画像の保存性などが低下する
ので好ましくない。また、受像層の厚さ方向における帯
電防止剤の分布は、受像層の表面側の1/5の範囲内
に、帯電防止剤の50重量%以上が含有されるような分
布が好ましい。このように構成することにより、同一領
域の受像層に複数回の染料転写が行われても良好な帯電
防止性が安定して発揮される。尚、このような構成とす
るためには、受像層形成時の乾燥条件をなるべく遅く
し、受像層の樹脂に対して分子量の小さい帯電防止剤が
受像層の表面側へ密に分布するようにすることが好まし
い。
【0145】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。なお、以下の実施例において、「部」は「重量
部」を意味する。
【0146】実施例1 (インクシート1の作成)支持体として、片面に耐熱滑
性層(SP−712,大日精化(株)製)を設けた、厚
み6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ
(株)製、ルミラー6CF531)の該耐熱滑性層とは
反対側の面に、下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン
の各インク層をグラビア法により塗設し(乾燥時の塗布
量1.1g/m2 )、イエロー、マゼンタ、シアン各イ
ンク層及び再加熱処理層を図1のaに示すような順(以
下「面順次」と記す)に形成したインクシートを得た。
【0147】 イエローインク層 下記色素Y−1 30部 ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカブチラールKY−24 ) 5.5部 エポキシ変性アクリル樹脂(東亜合成化学工業(株)製、レゼダGP−305 ) 1部 ウレタン変性シリコンオイル(大日精化工業(株)製、ダイアロマーSP−2 105) 0.5部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 10部
【0148】 マゼンタインク層 下記色素M−1 3部 ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカブチラールKY−24 ) 5.5部 エポキシ変性アクリル樹脂(東亜合成化学工業(株)製、レゼダGP−305 ) 1部 ウレタン変性シリコンオイル(大日精化工業(株)製、ダイアロマーSP−2 105) 0.5部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 10部
【0149】 シアンインク層 下記色素C−1 3部 ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカブチラールKY−24 ) 5.5部 エポキシ変性アクリル樹脂(東亜合成化学工業(株)製、レゼダGP−305 ) 1部 ウレタン変性シリコンオイル(大日精化工業(株)製、ダイアロマーSP−2 105) 0.5部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 10部
【0150】 再加熱処理層 ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカブチラールKY−24 ) 6部 エポキシ変性アクリル樹脂(東亜合成化学工業(株)製、レゼダGP−305 ) 2部 ウレタン変性シリコンオイル(大日精化工業(株)製、ダイアロマーSP−2 105) 2部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 10部
【0151】
【化17】
【0152】(受像シート1の作成)支持体として厚み
118μmの合成紙(ルミラールE60L、東レ(株)
製)の表面に、下記組成のアンカー層と受像層をこの順
に塗設し、厚み0.2μmのアンカー層と、厚み4μm
の受像層を形成し、受像シートを得た。
【0153】 アンカー層 ポリビニルアセトアセタール(積水化学工業(株)製、エスレックBL−1) 7.5部 イソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートHX) 2.5部 メチルエチルケトン 80部 酢酸n−ブチル 10部 受像層 ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、エスレックBX−1) 9.5部 ポリエステル変性シリコン(信越化学(株)製、X−24−8300) 0.5部 メチルエチルケトン 80部 酢酸n−ブチル 10部
【0154】(画像の形成)上記手順で作成した熱転写
受像シートの受像層部とインクシートのインク層部を重
ね合わせ、解像度12dot/mm、平均抵抗値310
0Ωのサーマルヘッドとプラテンロールで圧接し、5〜
80mJ/mm2 の印加エネルギー範囲で順次増加させ
るイエロー、マゼンタ、シアン、ニュートラル(前記3
色重ね)ステップパターンを、通電周期10msec/
lineの条件でインク層の背面側から加熱して受像層
上に染料を転写させた。次いで、同じサーマルヘッドと
プラテンロールで、再加熱処理層と染料転写した受像シ
ートを圧接し、印加エネルギーと、通電周期の条件を表
1に示すように変えて、再加熱処理層の背面側から加熱
して再加熱処理を行った。各インクシートを用いて上記
の手段で形成された画像は、滲み、印字抜け等の発生は
認められなかった。
【0155】上記のようにした試料1〜40の、各得ら
れた画像1〜40について、下記の評価を行った。
【0156】(表面性)再加熱処理前後での表面の面質
の変化を目視にて評価した。熱により主に表面の光沢性
が低下しマット化する傾向であり、受像紙全面に印画を
行わない場合は、印画領域と非印画領域の境界が現れて
しまい、画像品質を落とす。評価基準は以下の通りであ
る。 ○:境界はわからない △:角度により境界が認識できるが実用上問題ない ×:境界がはっきりと現れ見苦しい
【0157】(段状ムラ)搬送系起因による、画像上に
段状にあらわれるムラを、ニュートラルの最大濃度領域
で観察した。評価基準は以下の通りである。 4:ムラは発生していない 3:観察角度によりムラが認識できるが、実用上問題な
いレベル 2:一見してムラが認識できる 1:ムラがひどく、観察に耐えられない
【0158】(画像耐光性の評価)各画像の、Y,M,
C各濃度1.0付近の部分をそれぞれキセノンフェード
メーター(スガ試験機(株)製、WEL−6X−HC−
Ec、光源照度75000ルックス)に14日間暴露し
た後と暴露前の濃度から、濃度の残存率を求めた。再加
熱処理後の定着の度合いが高いほど、残存率は高くな
る。残存率は70%以上であることが好ましい。濃度の
測定にはX−Rite310TR(X−Rite社製)
を用いた。
【0159】(搬送性の評価)各制御条件において、そ
れぞれ100枚ずつ印画を行い、スティッキングの発生
回数を数えた。
【0160】(アルバム保存性の評価)市販のフリーア
ルバム用台紙(ア−194N、コクヨ(株)製)に、上
記で作成した画像のニュートラルパッチ(Visual
Density=1.5±0.1)を挟み込み、20
g/cm2 の加圧状態で50℃、80%RH雰囲気下に
28日保存した時の、透明シート側へ再転写した染料の
透過濃度(ビジュアル濃度)を測定した。測定装置は、
耐光性評価に用いたのと同じものを用いた。透過濃度
は、0.3以下であることが好ましい。
【0161】表1,表2に上記評価結果を示す。
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】実施例2 (インクシート2の作成)イエロー、マゼンタ、シアン
の各インク層に用いた染料を下記のY−2,M−2,C
−2(いずれも反応型染料)に変えた他は実施例1と同
様にして、インクシート2を作成した。
【0165】
【化18】
【0166】(受像シート2の作成)受像層の処方を下
記のものに変更した以外は実施例1と同様にして、受像
シート2を作成した。
【0167】 受像層 ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、エスレックBX−1) 7.9部 エポミン(日本触媒化学工業(株)製) 1.6部 ポリエステル変性シリコン(信越化学(株)製、X−24−8300) 0.5部 メチルエチルケトン 80部 酢酸n−ブチル 10部
【0168】(画像の形成)実施例1と同様の方法に
て、画像を形成した。
【0169】上記のようにした試料41〜80の、各得
られた画像41〜80について、実施例1と同様の評価
を行った。
【0170】表3,表4に評価結果を示す。
【0171】
【表3】
【0172】
【表4】
【0173】実施例3 (インクシート3の作成)イエロー、マゼンタ、シアン
の各インク層に用いた染料を下記の化合物に変えた他は
実施例1と同様にして、インクシート3を作成した。
【0174】 イエロー染料:例示化合物(26) マゼンタ染料:例示化合物(25) シアン染料: 例示化合物(28)
【0175】(インクシート4の作成)また、再加熱処
理層の処方を下記のものに変えた他はインクシート3と
同様にして、インクシート4を作成した。
【0176】 再加熱処理層 Ni2 + (NH2 COCH2 NH2 3 ・2B(C6 5 4 - (メタルソー ス(MS−1)) 0.1部 ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカブチラールKY−24 ) 5.9部 エポキシ変性アクリル樹脂(東亜合成化学工業(株)製、レゼダGP−305 ) 2部 ウレタン変性シリコンオイル(大日精化工業(株)製、ダイアロマーSP−2 105) 2部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 10部
【0177】(受像シート3の作成)受像層の処方を下
記のものに変更した以外は実施例1と同様にして、受像
シート3を作成した。
【0178】 受像層 ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、エスレックBX−1) 6.5部 前記メタルソース(MS−1) 3部 ポリエステル変性シリコン(信越化学(株)製、X−24−8300) 0.5部 メチルエチルケトン 80部 酢酸n−ブチル 10部
【0179】(画像の形成)実施例1と同様の方法に
て、画像を形成した。
【0180】上記のようにした試料81〜120の、各
得られた画像81〜120について、実施例1と同様の
評価を行った。
【0181】表5,表6に評価結果を示す。
【0182】
【表5】
【0183】
【表6】
【0184】実施例4 (インクシート5の作成)実施例3において、イエロ
ー、マゼンタ、シアンの各インク層の代わりに、下記モ
ノクロインク層を作成した。すなわち、モノクロインク
層と再加熱処理層が交互になるような面順次の構成にし
た他は実施例1と同様にして、インクシート5を作成し
た。
【0185】 モノクロインク層 イエロー染料:例示化合物26 1.2部 マゼンタ染料:例示化合物25 1.4部 シアン染料: 例示化合物28 1.4部 ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカブチラールKY−24 ) 4.6部 エポキシ変性アクリル樹脂(東亜合成化学工業(株)製、レゼダGP−305 ) 0.9部 ウレタン変性シリコンオイル(大日精化工業(株)製、ダイアロマーSP−2 105) 0.5部 メチルエチルケトン 80部 トルエン 10部
【0186】(画像の形成)受像シート3を用いて、実
施例1と同様の方法にて、モノクロ画像を形成した。
【0187】上記のようにした試料121〜160の、
各得られた画像121〜160について、実施例1と同
様の評価を行った。耐光性はビジュアル濃度で測定し
た。
【0188】表7,表8に評価結果を示す。
【0189】
【表7】
【0190】
【表8】
【0191】実施例5 イエローインク層、マゼンタインク層、シアンインク
層、再加熱処理層を、処方はインクシート4と同様にし
て、面順次では無く、それぞれに独立に作成し(支持体
及び耐熱滑性層は同じものを用いた、受像シート3を用
いて図2のcに示すような機構で画像形成を行い、同様
の評価を行ったところ、実施例3と同様の結果が得られ
た。
【0192】
【発明の効果】本発明によって、受像紙等の受像シート
自身の表面性を落とすことなく、搬送不良による画像ム
ラがが生じなく、かつ画像の保存性に優れた熱転写画像
を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いられるインクシートに設け
るインク層と再加熱処理層の態様の例を示す平面図であ
る。
【図2】本発明の方法に用いられる熱転写記録装置の一
例の概念図である。
【符号の説明】
1 再加熱処理層 2Y イエロー染料を含有する領域 2M マゼンタ染料を含有する領域 2C シアン染料を含有する領域 3,3’ インクシート支持体 10 インクシート供給ロール 11 巻取ロール 12 サーマルヘッド 13 プラテンローラ 14 受像シート 15 インクシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福室 郁 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 渡▲辺▼ 洋 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2C065 AA01 AB10 AC01 AC03 AC04 CJ02 CJ03 2H111 AA01 AA08 AA14 AA15 AA27 AA33 AA43 AA50 AA51 BA39 BA74 CA03 CA12 CA33

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、熱拡散性染料を含有するイン
    ク層を少なくとも1層有するインクシートのインク層
    と、支持体上に、前記染料を受容しうる受像層を少なく
    とも1層有する受像シートの受像層を対向するように重
    ね合わせ、サーマルヘッドで像様に加熱することによ
    り、前記熱拡散性染料を転写させて画像を形成した後
    に、該受像シートの画像形成面に接するように薄膜材料
    を介して、サーマルヘッドによって受像シートに再加熱
    を施す熱転写記録方法において、 再加熱処理時のサーマルヘッドの1ラインあたりのパル
    ス通電周期が、染料転写時におけるそれに対し短く、か
    つ1ドットあたりの印加エネルギーが、染料転写時にお
    いて最高濃度を印画する時のそれに対し低いことを特徴
    とする熱転写記録方法。
  2. 【請求項2】再加熱処理時のサーマルヘッドの1ライン
    あたりのパルス通電周期が、染料転写時におけるそれに
    対し65〜95%であり、かつ1ドットあたりの印加エ
    ネルギーが、染料転写時において最高濃度を印画する時
    のそれに対し、40〜80%であることを特徴とする請
    求項1記載の熱転写記録方法。
  3. 【請求項3】前記インク層に、熱拡散性の染料前駆体を
    含有し、かつ前記受像層に該染料前駆体と反応し染料を
    形成しうる染料定着体を含有することを特徴とする請求
    項1又は2記載の熱転写記録方法。
  4. 【請求項4】前記インク層に、染料前駆体としてキレー
    ト化可能な熱拡散性染料が含有されており、かつ前記受
    像層に染料定着体として前記キレート化可能な熱拡散性
    染料とキレート反応しうる金属イオン含有化合物が含有
    されていることを特徴とする請求項3記載の熱転写記録
    方法。
  5. 【請求項5】前記薄膜材料上に、前記金属イオン含有化
    合物を含有する層が設けられていることを特徴とする請
    求項4記載の熱転写記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017170844A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 大日本印刷株式会社 印画物の製造方法

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