JP2017170844A - 印画物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】受容層上に保護層を設けることなく、印画物の耐擦過性を向上させることができる印画物の製造方法の提供。【解決手段】本発明による印画物の製造方法は、基材と、多孔質層と、受容層と、を備える被転写体に画像形成を行い、印画物を製造する方法であって、被転写体を準備する工程と、被転写体の受容層上に、基材および染料層を備える熱転写シートを用いて、画像を形成する工程と、加熱加圧処理部材を用いて、樹脂部材が前記受容層に接した状態で、樹脂部材および前記受容層を加熱加圧処理する工程と、受容層が、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上である樹脂組成物Aを含み、加熱加圧処理工程における加熱温度が、樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.2倍以下であり、樹脂部材が樹脂組成物Bを含み、樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)が、加熱加圧処理工程における加熱温度の1.0倍より大きいことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は印画物の製造方法に関し、とりわけ熱転写シートを用いて印画物を製造する方法に関する。
透明性に優れ、中間色の再現性や階調性が高く、従来のフルカラー写真画像と同等の高品質画像を容易に形成することができるという理由から、昇華型熱転写方式により、熱転写画像を形成することが広く行われている。昇華型熱転写方式は、基材の一方の面に染料層が設けられた熱転写シートと、他の基材の一方の面に受容層が設けられた被転写体とを用い、熱転写シートの耐熱滑性層から熱を印加して染料層に含まれる染料を受容層上に移行させて熱転写画像を形成する方法である(例えば、特許文献1および2)。このように、被転写体の受容層上に熱転写画像を形成することで印画物を得ることができる。
しかしながら、昇華型熱転写方式により受容層上に形成した熱転写画像は、階調性に優れるものの、熱転写画像が形成された受容層が、印画物の最表面に位置することから、耐擦過性や耐候性等の耐久性に劣る場合がある。そのため、基材と、基材と剥離可能に設けられた保護層を有する保護層転写シートを用い、熱転写画像が形成された受容層上に保護層を転写し、保護層を備える印画物とすることが提案されている(特許文献3)。
特開2013−75480号公報 特開2013−82212号公報 特開2008−238525号公報
受容層の表面に保護層を設けた印画物とする場合、保護層を備えた熱転写シートを準備する必要があるのに加え、熱転写時の工程も複雑になるため、印画物のコスト増大という問題があった。また、保護層自体のわずかな膜厚差に起因する干渉縞(虹ムラ)が発生する可能性があるという問題があった。
本発明者らは、今般、特定範囲のガラス転移温度(Tg)を有する樹脂組成物を含む受容層を、画像形成後に、樹脂組成物を含む樹脂部材が受容層に接した状態で、特定の範囲の温度にて加熱加圧処理することにより、保護層を設けることなく、印画物の耐擦過性および耐候性を向上させることができると共に画像が形成された受容層の平滑性を向上させることができることを知見した。
さらに、樹脂部材に含まれる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を特定範囲とすることにより、樹脂部材への染料の移行および樹脂部材の変形を防止することのできることを知見した。
本発明は上記知見に基づくものであり、したがって、本発明の解決しようとする課題は、受容層上に保護層を設けることなく、印画物の耐擦過性および耐候性を向上させることができる印画物の製造方法を提供することである。また、画像が形成された受容層の平滑性を向上させることができ、画像の品質を高めることができる印画物の製造方法を提供することをその目的とする。さらに、本発明の印画物の製造方法において使用する加熱加圧処理部材への染料の移行および樹脂部材の変形を防止することのできる印画物の製造方法を提供することをその目的とする。
本発明による印画物の製造方法は、
基材と、多孔質層と、受容層と、を備える被転写体に画像形成を行い、印画物を製造する方法であって、
被転写体を準備する工程と、
被転写体の受容層上に、基材および染料層を備える熱転写シートを用いて、画像を形成する工程と、
加熱加圧処理部材を用いて、樹脂部材が前記受容層に接した状態で、樹脂部材および前記受容層を加熱加圧処理する工程と、
受容層が、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上である樹脂組成物Aを含み、
加熱加圧処理工程における加熱温度が、樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.2倍以下であり、
樹脂部材が樹脂組成物Bを含み、樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)が、加熱加圧処理工程における加熱温度の1.0倍より大きいことを特徴とする。
上記態様においては、画像の形成に使用される染料の総量に対する分子量360以下の染料の割合が、40%以上であることが好ましい。
上記態様においては、多孔質層が、多孔質フィルムからなることが好ましい。
上記態様においては、樹脂組成物Aが、樹脂材料および硬化剤を含むことが好ましい。
上記態様においては、樹脂組成物Aが、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
本発明の印画物の製造方法によれば、受容層上に保護層を設けることなく、印画物の耐擦過性および耐候性を向上させることができる。また、本発明の印画物の製造方法によれば、画像が形成された受容層の平滑性を向上させることができ、画像の品質を高めることができる。さらに、本発明の印画物の製造方法によれば、本発明の印画物の製造方法において使用する加熱加圧処理部材の表面に設けられた樹脂層への染料の移行および樹脂層の変形を防止することができる。
一実施態様における加熱加圧処理部材の模式断面図である。 一実施態様における加熱加圧処理部材の模式断面図である。 一実施態様における加熱加圧処理部材の模式断面図である。 一実施態様における加熱加圧処理部材の模式断面図である。 一実施態様におけるサーマルプリンタの模式断面図である。
発明を実施するための態様
本発明の印画物の製造方法は、被転写体を準備する工程と、被転写体の受容層上に、基材および染料層を備える熱転写シートを用いて、画像を形成する工程と、加熱加圧処理部材を用いて、樹脂部材が前記受容層に接した状態で、樹脂部材および前記受容層を加熱加圧処理する工程と、を含むものである。以下、本発明の印画物の製造方法が含む各工程について、詳細に説明する。
<被転写体準備工程>
本発明の方法に用いられる被転写体は、基材と、多孔質層と、受容層と、を少なくとも備えるものである。
被転写体を構成する基材は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上、支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
このような基材であれば、特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレンおよびポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられる。また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムも使用することができる。
また、基材として、セルロース繊維紙、セルロース系合成紙およびセルロース系樹脂のフィルム等のセルロース系基材を使用することができる。
さらに、上記基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。
具体的には、セルロース系基材とその他の基材との積層体を使用することができ、例えば、セルロース系繊維紙と合成紙との積層体、或いはセルロース系合成紙とプラスチックフィルムとの積層体が挙げられる。積層方法としては、ドライラミネーション、ウェットラミネーションおよびエクストリュージョン等の従来公知の方法を採用することができる。
基材の多孔質層を設ける面側は、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理およびグラフト化処理等の表面処理が行われていることが好ましい。上記した表面処理の中でも、コストが低い点で、コロナ処理又はプラズマ処理が好ましい。
基材の厚みは、機械的強度等の観点から、50μm以上、500μm以下であることが好ましく、100μm以上、300μm以下であることがより好ましい。
多孔質層は、被転写体へクッション性を付与する層であり、被転写体が多孔質層を備えてなることにより、サーマルヘッドとの密着性を改善することができ、受容層上により高い品質の画像を形成することができる。また、被転写体の断熱性を向上させることができると共に、画像形成の際に、受容層上へ移行する染料の孔内への侵入が可能となるため、形成された画像の耐候性を向上させることができる。また、本発明の方法は、受容層を加熱加圧処理する工程を含んでなるため、染料の孔内への侵入量を顕著に向上させることができ、形成された画像は高い耐候性を有する。
本発明の一実施態様において、多孔質層として、内部に微細空隙を有する多孔質フィルムを用いることができる。多孔質フィルムを構成する樹脂材料としては、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ならびにポリアミド系樹脂等が挙げられる。
上記した樹脂材料等を用いた多孔質フィルムは、特に限定されるものではなく公知の方法により製造することができるが、例えば、上記した樹脂材料に対し、非相溶な有機微粒子または無機粒子を混練した混合物をフィルム化することにより作製することができる。
また、一実施態様において、多孔質フィルムは、第1の樹脂材料と、第1の樹脂材料より高い融点を有する第2の樹脂材料を含む混合物をフィルム化することにより作製することができる。この場合において、第2の樹脂材料は、微細空隙を形成する核剤として機能する。第2の樹脂材料の混合量は、第1の樹脂材料100質量部に対し、2質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。例えば、第1の樹脂材料としてポリプロピレン、第2の樹脂材料としてアクリル樹脂を含む混合物をフィルム化することにより、多孔質フィルムを作製することができる。また、市販されている多孔質フィルムを使用してもよい。
上記した多孔質フィルムは、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ゴム系接着剤およびシリコーン系接着剤等の接着剤を介して、基材上に積層することができる。
多孔質フィルムの空隙率は、クッション性や断熱性の観点から10体積%以上、90体積%以下であることが好ましく、15体積%以上、80体積%以下であることがより好ましい。多孔質フィルムの空隙率は、以下の式により求めることができる。
Pv(体積%)={(Va−Vt)/Va}×100
Pv(体積%):多孔質フィルムの空隙率
Va:多孔質フィルムの見かけ体積
Vt:多孔質フィルムの理論体積
なお、Vtは、多孔質フィルムの重量、構成材料の重量割合および構成材料の真比重の値から算出することができる。
本発明の他の実施態様においては、多孔質層は、中空粒子およびバインダーを含む中空粒子層としてもよい。
中空粒子は、樹脂材料等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。
有機系中空粒子を構成する樹脂材料としては、架橋スチレン−アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
また、中空粒子は、発泡粒子であっても、非発泡粒子であってもよい。
中空粒子の体積平均粒径は、0.1μm以上、15μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、10μm以下であることがより好ましい。
なお、体積平均粒径は、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて、JIS−Z−8819−2(2001年発行)に準拠して測定することができる。
また、中空粒子の平均中空率は、30%以上、80%以下であることが好ましく、50%以上、80%以下であることがより好ましい。中空粒子の平均中空率を上記数値範囲とすることにより、被転写体のクッション性、断熱性および形成する画像の耐候性をさらに向上することができる。
平均中空率は以下のようにして求めることができる。まず、中空粒子成分を水中に分散させてなる水分散体を調製し、この中空粒子の水分散体を乾燥させ、乾燥体を得て、その後に透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジ−社製)を用いて、乾燥体中における中空粒子成分をなす粒子を観察して(100個)、ここの粒子についてその内面側の直径(内径)を計測し、それらの平均を平均粒子内径とする。次いで、平均粒子内径から中空部の体積を定めると共に、その値を上記平均粒子(粒子外径)から粒子の見かけの体積で除して、100を乗じることで平均中空率を算出することができる。
一実施態様において、中空粒子は、樹脂粒子等中にブタンガス等の発泡剤を封入し、加熱発泡することにより作製することができる。また、一実施態様において、中空粒子は、エマルジョン重合を利用することによっても作製することができる。
また、市販されている中空粒子を使用してもよい。
中空粒子層に含まれるバインダーとしては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天およびカゼイン等が挙げられる。
中空粒子層は、上記した中空粒子、バインダーおよび適当な溶剤や水を含む中空粒子層用塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコートおよびロッドコート等の公知の手段により、基材上に塗布、乾燥することにより形成することができる。溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノンおよびジメチルホルムアミド等が挙げられる。
多孔質層の厚さは、10μm以上、100μm以下であることが好ましく、15μm以上、80μm以下であることがより好ましい。多孔質層の厚さを上記数値範囲とすることにより、被転写体のクッション性、断熱性および形成する画像の耐候性をさらに向上させることができる。
受容層は、熱転写シートから移行してくる昇華性染料を受容し、形成された画像を維持する層である。
受容層は、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上の樹脂組成物Aを含む。受容層がガラス転移温度(Tg)が70℃以上の樹脂組成物Aを含むことにより、後記するように、画像が形成された受容層を加熱加圧処理部材を用いて加熱加圧処理した際に、受容層上に形成した画像の耐擦過性を向上させることができる。
樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上、150℃以下であることがより好ましく、70℃以上、130℃以下であることがさらに好ましい。
ガラス転移温度(Tg)は、JIS−K−7121(2012年発行)に準拠して示差走査熱量測定により求めることができる。具体的には、示差走査熱量計を用いて試料(受容層を構成する樹脂)を20℃/分の昇温速度で加熱して発熱量(または吸熱量)を測定し、発熱曲線(または吸熱曲線)を作成し、当該曲線の変曲点前後の直線部分にそれぞれ延長線を引き、2本の延長線間の1/2直線と発熱曲線(または吸熱曲線)との交点をガラス転移温度(Tg)とすることができる。
樹脂組成物Aは、少なくとも1種の樹脂材料を含み、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレートおよびポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6およびナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミドおよびポリエーテルイミド等のイミド系樹脂、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアラミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルサルファイトなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、高衝撃性ポリスチレン、ならびにセロファン、セルロースアセテートおよびニトロセルロース等のセルロース系樹脂等が挙げられる。
上記した樹脂材料の中でも、樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上の樹脂材料、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタラート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアミドイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)およびポリテトラフルオロエチレン等を1種または2種以上含むことが好ましい。
また、樹脂組成物Aは、硬化剤(架橋剤)を含むことが好ましい。樹脂組成物Aが硬化剤を含むことにより、受容層形成時に樹脂組成物Aに含まれる樹脂材料が架橋されるため、樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)を向上させることができ、受容層上に形成した画像の耐擦過性をより向上させることができる。
硬化剤としては、例えば、イソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤、金属キレート硬化剤、メラミン硬化剤およびアジリジン硬化剤等が挙げられる。
より具体的には、イソシアネート硬化剤としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、ならびに芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートおよびこれらのビュレット体、ヌレート体、アダクト体等が挙げられる。
また、エポキシ硬化剤としては、例えば、グリシジルエーテル基および/または脂環式エポキシ基を有する化合物が挙げられる。
また、金属キレート硬化剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、胴、亜鉛、スズ、チタン、ニッケルおよびマグネシウム等の多価金属にアセチルアセトンおよびアセト酢酸エチル等が配位した化合物等が挙げられる。
また、メラミン硬化剤としては、例えば、メチル化メラミン、ブチル化メラミンおよびエポキシ変性メラミン等が挙げられる。
また、アジリジン硬化剤としては、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]および4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
これらの中でも、特に触媒等を加えることなく、容易に膜を硬化させることができるという理由から、イソシアネート硬化剤およびエポキシ硬化剤が好ましい。
樹脂組成物Aにおける硬化剤の含有量は、樹脂組成物Aに含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、3質量部以上、50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上、20質量部以下であることがより好ましい。
また、樹脂組成物Aは、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。樹脂組成物Aが紫外線吸収剤を含むことにより、形成する画像の耐候性をさらに向上することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物およびトリアジン系化合物等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
また、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンおよびビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等が挙げられる。
サリチル酸エステル系化合物としては、例えば、フェニルサルチレートおよび2,4−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
オキシベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、例えば、アルキル−2−シアノアクリレート、シクロアルキル−2−シアノアクリレートおよびアルケニル−2−シアノアクリレート等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシロキシフェノール等が挙げられる。
樹脂組成物Aにおける紫外線吸収剤の含有量は、樹脂組成物Aに含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、3質量部以上、40質量部以下であることが好ましく、5質量部以上、20質量部以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量を上記数値範囲とすることにより、形成する画像の安定性を維持しつつ、耐候性を向上させることができる。
また、樹脂組成物Aは、その特性を損なわない範囲において、各種添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤およびイオン交換剤等が挙げられる。
受容層の厚さは、0.5μm以上、20μm以下であることが好ましく、1μm以上、15μm以下であることがより好ましい。
受容層は、樹脂材料等を含む樹脂組成物Aを、適当な溶剤や水に溶解または分散させた受容層用塗工液を、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコートおよびロッドコート等の公知の手段により、多孔質層上に塗布、乾燥することにより形成することができる。溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノンおよびジメチルホルムアミド等が挙げられる。
<画像形成工程>
本発明の方法は、被転写体の受容層上に、基材および染料層を備える熱転写シートを用いて、画像を形成する工程を含む。
より具体的には、基材上にイエロー染料層、マゼンダ染料層、シアン染料層およびブラック染料層等の染料層を備える熱転写シートを、被転写体と、熱転写シートの染料層側と被転写体の受容層側とが対向するように、重ね合わせ、次いで、熱転写シートを染料層側とは反対の側から、サーマルヘッド等を用いて加熱し、染料層に含まれる染料を受容層上へ熱転写させることにより画像を形成することができる。
熱転写シートが備える基材としては、熱転写の際に加えられる熱に耐えることのできる程度の耐熱性と染料層等を保持することができる程度の機械的強度を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルムおよびアイオノマーフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
基材の厚さは、0.5μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm以上、10μm以下であることがより好ましい。基材の厚さを上記数値範囲とすることにより、基材の機械的強度を維持しつつ、熱転写シートから染料層を転写する際に加えられる熱エネルギーの伝達性を向上させることができる。
上記基材に対し、隣接する層との接着性を向上させるため、表面処理を施すことが好ましい。上記表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理およびグラフト化処理等の公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記表面処理は、1種のみ行ってもよいし、2種以上行ってもよい。上記した表面処理の中でも、コストが低い点で、コロナ処理又はプラズマ処理が好ましい。
また、基材は、その一方の面又は両面に下引き層(プライマー層)を備えるものであってもよい。プライマー層(接着層)は塗工して形成させることも可能である。
またプライマー層は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して形成することもできる。
プライマー層は、例えば、以下の有機材料及び無機材料から形成することができる。
有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂およびポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムおよび酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
これ以外にも、有機チタネート、例えば、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、ビス(エチル−3−オキソブタノレート−0、0)ビス(2−プロパノレート)チタン、又はイソプロピルトリイソステアロイルチタネートから形成され、或いは、チタンアルコキシド、例えば、チタンテトライソプロポキシド、又はチタンテトラ−n−ブトキシドから形成される無機主鎖をもつポリマーをプライマー層の材料として用いることもできる。
本発明による方法において使用される熱転写シートは、基材の一方の面に染料層を備える。熱転写シートは、所望の画像がモノカラーである場合には、適宜選択した1色の染料層を備え、所望の画像がフルカラー画像である場合には、染料層として、イエロー染料層、マゼンダ染料層およびシアン染料層(更に、必要に応じてブラック染料層)等の各色の染料層を備えていてもよい。
染料層は、染料を含み、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、ピラゾロメチン、ビスピラゾロメチン、ピリドンメチン等のメチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、ピラゾロトリアゾールアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料およびキノフタロン系染料等が挙げられる。
画像形成において、分子量が360以下の染料が積極的に使用されることが好ましく、より具体的には、画像形成に使用される染料の総量に対する分子量が360以下の染料の割合が、40%以上であることが好ましく、40%以上、90%以下であることがより好ましく、40%以上、70%以下であることがさらに好ましい。分子量が360以下の染料を用いて画像を形成することにより、受容層上に移行した染料が、受容層下の多孔質層の孔内へより侵入することができ、形成された画像の耐候性をさらに向上することができる。
染料層において、染料の含有量は、染料層の全固形分100質量部に対し、50質量部以上、350質量部以下であることが好ましく、80質量部以上、300質量部以下であることがさらに好ましい。
染料層は、上記染料を担持するためのバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂およびニトロセルロース樹脂等が挙げられる。
上記染料層は、ポリイソシアネート樹脂等の架橋剤を含むことができる。また、離型剤、無機微粒子および有機微粒子等の添加剤を含むことができる。上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウムおよび二硫化モリブデン等が挙げられる。また、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
また、染料層の厚さは、0.2μm以上、6μm以下であることが好ましく、0.3μm以上、3μm以下であることがより好ましい。
染料層は、上述の染料とバインダー樹脂とを、必要に応じて添加する添加剤とともに、適当な溶剤や水に溶解又は分散して塗工液を調製し、これを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法およびグラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、基材の一方の面に、塗布し、乾燥することにより形成することができる。溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノンおよびジメチルホルムアミド等が挙げられる。
熱転写シートは、サーマルヘッドや転写用熱板等の熱によるスティッキングや印字しわ等の発生を防止するために、基材の染料層が設けられた面とは反対の面に耐熱滑性層を備えることが好ましい。
耐熱滑性層は、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂およびセルロース系樹脂等を含むことができる。
また、耐熱滑性層は、耐熱性および強度の観点から、ポリイソシアネート樹脂等の架橋剤を含むことが好ましい。ポリイソシアネート樹脂の中でも、芳香族系イソシアネートのアダクト体が好ましい。例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートまたはこれらの混合物等が挙げられる。
また、一実施態様において、耐熱滑性層は、金属石けんを含むことが好ましい。金属石けんとしては、例えば、アルキルリン酸エステルの多価金属塩、脂肪酸の多価金属塩およびアルキルカルボン酸の金属塩等が挙げられ、より具体的には、ステアリルリン酸亜鉛およびステアリン酸亜鉛等が挙げられる。耐熱滑性層が金属石けんを含むことにより、熱転写シートのスリップ性を向上させることができる。さらに、後述するように、熱転写シートの耐熱滑性層を備える面に対し、キレート染料を用いて、パターン印刷を施した場合にキレート発色を生じさせることができる。耐熱滑性層において、金属石けんの含有量は、耐熱滑性層の全固形分100質量部に対し、5質量部以上、50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上、30質量部以下であることがさらに好ましい。
また、耐熱滑性層は、スリップ性を向上させる目的から、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、シリコーンオイルおよび界面活性剤等の各種添加剤を含むことが好ましい。
耐熱滑性層の厚さは、0.1μm以上、10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上、3μm以下であることがより好ましい。
<加熱加圧処理工程>
本発明による方法は、樹脂部材が受容層に接した状態で、樹脂部材および画像が形成された受容層を、加熱加圧処理部材を用いて、加熱加圧処理する工程を含む。
加熱加圧処理工程における加熱温度(加熱加圧処理部材の表面温度)は、受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.2倍以下である。より好ましくは、加熱温度は、受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.0倍以上、1.2倍以下であり、さらに好ましくは、1.02倍以上、1.1倍以下である。
熱転写シートを用いて受容層に染料を移行させて画像形成を行った場合、受容層の表面はサーマルヘッド等の熱によって凹凸が形成されることがある。印画物の表面(即ち、受容層の表面)に凹凸が存在すると、画像の光沢性が損なわれたり、引っかかりが生じて画像表面が傷つき易くなってしまう。本発明においては、受容層に染料が移行した後(即ち、画像形成工程の後)に、受容層上面を、樹脂部材が受容層に接した状態で、所定温度にて加熱加圧処理することにより、受容層の凹凸を抑制し、耐擦過性を向上させることができる。また、本発明においては、驚くべきことに、受容層表面を所定温度で加熱加圧処理することで、印画物の耐候性を向上させ、染料が退色することを防止することができることが判明した。その結果、従来のような保護層を受容層上に設けなくとも、画像の品質を高めることができる。
また、保護層を設ける必要がないため、虹ムラが発生してしまうおそれがなく、また、コストを格段に抑えることができる。
また、加熱加圧処理工程における加熱温度が、受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.1倍を超えると、受容層上に形成された画像から、樹脂部材へ、染料が移行してしまう場合がある。
加熱加圧処理工程において、画像が形成された受容層に加えられる圧力は、5N/cm以上、100N/cm以下であることが好ましく、10N/cm以上、80N/cm以下であることがより好ましい。加熱加圧処理工程における圧力を上記数値範囲とすることにより、印画物の耐擦過性および画像を形成した受容層の平滑性を向上させることができる。また、被転写体が備える多孔質層の孔内への染料の侵入量を増大させることができ、形成された画像の耐候性を高めることができる。
樹脂部材は、加熱加圧処理工程における加熱温度の1.0倍より大きいガラス転移温度(Tg)を有する樹脂組成物Bを含む。
樹脂部材が、加熱加圧処理工程における加熱温度の1.0倍より大きいガラス転移温度(Tg)を有する樹脂組成物Bを含むことにより、印画物の繰り返しの製造によって樹脂部材が変形してしまうことを防止することができる。
より好ましくは、樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は、加熱加圧処理工程における加熱温度の1.1倍以上、3倍以下であり、さらに好ましくは1.1倍以上、2倍以下である。
樹脂組成物Bは、樹脂組成物Aに含有されうる少なくとも1種の樹脂材料と同様の樹脂材料および硬化剤等を含むことができる。
樹脂組成物Bは、その特性を損なわない範囲において、各種添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤およびイオン交換剤等が挙げられる。
樹脂部材は、加熱加圧処理部材により受容層を加熱加圧処理する際に、受容層と接した状態となるように設けられ、受容層と共に加熱加圧処理部材により、加熱加圧処理される。
樹脂部材は、加熱加圧処理部材と一体となるように設けられるものであってもよく、また、加熱加圧処理部材とは別個に設けられたものであってもよい。
一実施態様において、加熱加圧処理部材は、図1に示すようなローラー10であり、その表面に樹脂部材11が設けられる。
この加熱加圧処理部材を用いて被転写体12上の受容層(図示せず)を加熱することにより、樹脂部材と受容層とが接した状態でこれらを加熱することができる。
また、他の態様において、加熱化加圧処理部材は、図2に示すように、一対のローラー20、21を有するものであり、少なくともその一方の表面に樹脂部材22が設けられる。この場合、樹脂部材22が設けられたローラー20により受容層を加熱する。
上記態様において使用されるローラー10、20、21は、その表面が平滑な金属ローラーであることが好ましい。
また、他の態様において、加熱加圧処理部材は、図3に示すように、プレス板30であり、その表面に樹脂部材31が設けられる。
また、他の態様において、加熱加圧処理部材は、図4に示すようにプレス板40であり、樹脂部材41は、被転写体42上に設けられる。
樹脂部材が、加熱加圧処理部材と一体となって設けられる場合、樹脂組成物Bを含むフィルム状の樹脂部材を、加熱加圧処理部材の表面に巻き付けたり、接着したり、または樹脂組成物Bを含む塗工液を塗布乾燥させ、加熱加圧処理部材表面に層を形成させることにより、樹脂部材を設けることができる。
また、樹脂部材が、加熱加圧処理部材とは別個に設けられる場合、被転写体の一部または全体に樹脂部材を配置することにより、設けることができる。
なお、樹脂フィルムは、樹脂組成物Bを少なくとも含む混合物を、Tダイ法またはインフレーション法等を利用してフィルム成形することにより得ることができる。また、市販されている樹脂フィルムを使用してもよい。
また、他の実施態様において、樹脂部材は、樹脂組成物B等を水や溶剤に溶解または分散させた塗工液を加熱加圧処理部材表面に塗布、乾燥することにより設けることができる。
樹脂部材は、その表面が平滑であることが好ましく、具体的には、表面粗さ(Ra)が、1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、0.8μm以下であることがより好ましい。
表面粗さ(Ra)は、JIS−B−0601に準拠して、表面粗さ測定器(例えばキヤノン株式会社製、商品名:NewViewTM 8000)を用いて測定することができる。
樹脂部材の厚さは、1μm以上、3000μm以下であることが好ましく、200μm以上、2000μm以下であることがより好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<被転写体を準備する工程>
多孔質ポリエチレンフィルム(厚さ35μm、東洋紡績株式会社、商品名:トヨパール−SS P4255)からなる多孔質層上に、下記組成の中間層用塗工液、受容層用塗工液をグラビアリバースコート方式で、順次塗工、乾燥して、中間層、受容層を形成させた。次いで、中間層、受容層の設けられた面と反対面の多孔質ポリエチレンフィルムに、下記組成の接着層用塗工液を用いて、グラビアリバースロールコート方式で塗工、乾燥して、接着層を形成させ、RC原紙(155g/m、厚さ151μm、三菱製紙株式会社製)と貼り合わせて被転写体を得た。上記の各々の乾燥塗工量は、中間層は1.5g/m、受容層は5.0g/m、接着層は5g/mであった。
(中間層用塗工液)
・ポリエステル系樹脂 50質量部
(日本合成化学工業株式会社製、商品名:ポリエスターWR−905)
・酸化チタン 20質量部
(トーケムプロダクツ株式会社製、商品名:TCA888)
・蛍光増白剤 1.2質量部
(チバ・スペシャリティーケミカルズ株式会社製、商品名:ユビテックスBAC)
・水 14.4質量部
・イソプロピルアルコール 14.4質量部
(受容層用塗工液組成)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30質量部
(樹脂組成物A、ガラス転移温度(Tg):70℃、日信化学工業株式会社製、商品名:ソルバインC)
・エポキシ変性シリコーン 1.2質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−22−3000T)
・メチルスチル変性シリコーン 0.6質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−24−510)
・メチルエチルケトン 35質量部
・トルエン 35質量部
(接着層用塗工液)
・ポリウレタン系樹脂 30質量部
(三井武田ケミカル株式会社製、商品名:タケラックA−969V)
・ポリイソシアネート 10質量部
(三井武田ケミカル株式会社製、商品名:タケネートA−5)
・酢酸エチル 100質量部
<画像形成工程>
図5に表すサーマルプリンタ50(階調制御方式:1ライン周期を256になど分割したパルス長をもつ分割パルス数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式)において、下記のようにして得られた熱転写シート51を供給ローラー52から送り出し、上記のようにして得られた被転写体53を供給ローラー54から送り出し、これらを、熱転写シート51の染料層(図示せず)と、被転写体53の受容層(図示せず)と、が重なるように圧接可能に配設されたサーマルヘッド55とプラテンローラー56との間に供給した。
<熱転写シートの作成>
基材として厚さ4.5μmポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液を乾燥時の塗工量が、0.8g/mになるように塗工し、耐熱滑性層を形成させた。
(耐熱滑性層用塗工液)
・ポリビニルブチラール 2.0質量部
(水酸基価16質量%、積水化学工業株式会社製、商品名:エスレックBX−1)
・ポリイソシアネート 4.4質量部
(NCO:17.3質量%、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:バーノックD750)
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3質量部
(第一製薬工業株式会社製、商品名:プライサーフA208N)
・フィラー 0.3質量部
(タルク、日本タルク工業株式会社製、商品名:ミクロエースP−3)
・メチルエチルケトン 43.6質量部
・トルエン 43.6質量部
上記基材の耐熱滑性層を設けた側とは反対の面の一部に、下記組成のプライマー層用塗工液をグラビアコート法により、乾燥時の塗工量が0.10g/mになるように塗工、乾燥してプライマー層を形成させた。
(プライマー層用塗工液)
・アルミナゾル 30質量部
(平均1次粒子径10nm×100nm、固形分10%、日産化学工業株式会社製、商品名:アルミナゾル200)
・ポリビニルピロリドン 3.0質量部
(ISP社製、商品名:K−90)
・水 50質量部
・イソプロピルアルコール 17質量部
続いて、そのプライマー層上に、下記組成のイエロー染料層用塗工液(Y)、マゼンタ染料層用塗工液(M)、およびシアン染料層用塗工液(C)を、グラビア印刷機により、各層の乾燥時塗工量が0.6g/mになるように塗工、乾燥して、この順に面順次に繰返して染料層を形成させた。
(イエロー染料層用塗工液(Y))
・Y染料1(分子量 363) 2.4質量部
・Y染料2(分子量 358.4) 2.3質量部
・ポリビニルアセタール樹脂2.35質量部
(積水化学工業株式会社製、商品名:エスレックKS−5)
・変性シリコーンオイル 0.12質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:KF−101)
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 68質量部
・トルエン 68質量部
(マゼンタ染料層用塗工液(M))
・M染料1(分子量 429.6) 2.24質量部
・M染料2(分子量 331.3) 1.98質量部
・M染料3(分子量 422.4) 1.92質量部
・ポリビニルアセタール樹脂 3.07質量部
(積水化学工業株式会社、商品名:エスレックKS−5)
・変性シリコーンオイル 0.15質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:KF−101)
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 87質量部
・トルエン 87質量部
(シアン染料層用塗工液(C))
・C染料1(分子量 342.4) 3.5質量部
・C染料2(分子量 373) 3質量部
・ポリビニルアセタール樹脂 3.25質量部
(積水化学工業株式会社、商品名:エスレックKS−5)
・変性シリコーンオイル 0.16質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:KF−101)
・ポリエチレンワックス 0.1質量部
・メチルエチルケトン 93質量部
・トルエン 93質量部
次いで、画像データに応じてサーマルヘッド35を発熱させ、熱転写シート31の染料層に含まれる染料を、受容層へ移行させ、受容層上に画像を形成させた。なお、サーマルプリンタの条件は下記の通りとした。また、画像形成に使用した染料の量は以下の通りであり、使用した染料の総量における分子量360以下の染料の割合は、45.3%であった。
(サーマルプリンタの条件)
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300(dpi)
副走査方向印字密度:300(dpi)
印画電圧:22.5(V)
1ライン周期:3.0(msec.)
印字開始温度:35(℃)
パルスデューティー:85%

(画像形成に使用した染料の量)
・Y染料1(分子量363) 0.2g
・Y染料2(分子量358) 0.19g
・M染料1(分子量430) 0.14g
・M染料2(分子量331) 0.13g
・M染料3(分子量422) 0.12g
・C染料1(分子量342) 0.21g
・C染料2(分子量373) 0.18g
・使用された染料の総量 1.25g
・分子量360以下の染料の割合 45.3%
<加熱加圧処理する工程>
画像を形成した受容層上を、図1に示す加熱加圧処理部材を用いて、77℃(被転写体の受容層に含まれる主樹脂のガラス転移温度(Tg)の1.1倍の温度)、10N/cmで加熱加圧処理し、印画物を得た。
加熱加圧処理部材の表面には、Tダイ法により作製された、アクリル系樹脂(樹脂組成物B、ガラス転移温度(Tg):80℃、三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナ−ルBR−77)からなるフィルム(樹脂部材)が巻き付けられており、樹脂部材の厚さは50μmであった。樹脂部材に含まれるアクリル系樹脂(樹脂組成物B)のガラス転移温度(Tg)は80℃であり、加熱温度の1.04倍であった。なお、樹脂部材の表面粗さを、表面粗さ測定器(キヤノン株式会社製、商品名:NewViewTM 8000)を用いて測定したところ、0.5μmであった。
(実施例2)
被転写体の作製に使用した受容層用塗工液における塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を、
ポリエステル系樹脂(樹脂組成物A、ガラス転移温度(Tg):72℃、東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン290)に変更し、加熱加圧処理工程における加熱温度を、79℃(被転写体の受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)72℃の1.1倍の温度)に変更した以外は、実施例1と同様にして印画物を得た。なお、樹脂部材に含まれる樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は80℃であり、加熱温度の1.01倍であった。
(実施例3)
樹脂部材をポリカーボネート系樹脂(樹脂組成物B、ガラス転移温度(Tg):130℃、三菱ガス化学株式会社製、商品名:FPC2136)からなるフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして印画物を得た。なお、樹脂部材に含まれる樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は130℃であり、加熱温度の1.69倍であった。
(実施例4)
被転写体の作製に使用した受容層用塗工液の組成を以下の組成に変更し、樹脂部材をアクリル系樹脂(樹脂組成物B、ガラス転移温度(Tg):100℃、三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナ−ルBR−73)からなるフィルムに変更し、加熱加圧処理工程における加熱温度を、94.5℃に変更した以外は、実施例1と同様にして印画物を得た。本実施態様において、受容層は、硬化剤を含むため、受容層に含まれる樹脂組成物A中の樹脂材料は、架橋し、樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)は向上しており、90℃であった。よって、加熱加圧処理工程における加熱温度は、被転写体の受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.05倍であった。また、樹脂部材に含まれる樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は100℃であり、加熱温度の1.06倍であった。
(受容層用塗工液組成)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30質量部
(樹脂組成物A、ガラス転移温度(Tg):70℃、日信化学工業株式会社製、商品名:ソルバインC)
・エポキシ変性シリコーン 1.2質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−22−3000T)
・メチルスチル変性シリコーン 0.6質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−24−510)
・硬化剤 6質量部
(三井化学株式会社製、商品名:タケネート)
・メチルエチルケトン 35質量部
・トルエン 35質量部
(実施例5)
被転写体の作製に使用した受容層用塗工液の組成を以下の組成に変更し、加熱加圧処理工程における加熱温度を、84℃に変更した以外は、実施例4と同様にして印画物を得た。本実施態様において、受容層は、硬化剤を含むため、受容層に含まれる樹脂組成物A中の樹脂材料は、架橋し、樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)は向上しており、80℃であった。よって、加熱加圧処理工程における加熱温度は、転写体の受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.05倍であった。また、樹脂部材に含まれる樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は100℃であり、加熱温度の1.19倍であった。
(受容層用塗工液の組成)
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体 80質量部
(樹脂組成物A、ガラス転移温度(Tg):60℃、日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン902)
・硬化剤 3.6質量部
(ナガセケムテック株式会社製、商品名:EX512S)
・水 20質量部
(実施例6)
画像形成に使用した染料の量は以下の通りに変更し、使用した染料の総量における分子量360以下の染料の割合を、51.1%とした以外は実施例1と同様にして印画物を得た。
(画像形成に使用した染料の量)
・Y染料1(分子量363) 0.18g
・Y染料2(分子量358) 0.23g
・M染料1(分子量430) 0.13g
・M染料2(分子量331) 0.15g
・M染料3(分子量422) 0.12g
・C染料1(分子量342) 0.25g
・C染料2(分子量373) 0.16g
・使用された染料の総量 1.22g
・分子量360以下の染料の割合 51.2%
(実施例7)
被転写体の作製に使用した受容層用塗工液の組成を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして印画物を得た。受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)は、70℃であった。
(受容層用塗工液組成)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30質量部
(樹脂組成物A、ガラス転移温度(Tg):70℃、日信化学工業株式会社製、商品名:ソルバインC)
・エポキシ変性シリコーン 1.2質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−22−3000T)
・メチルスチル変性シリコーン 0.6質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−24−510)
・紫外線吸収剤a 3質量部
(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン928)
・メチルエチルケトン 35質量部
・トルエン 35質量部
(実施例8)
受容層用塗工液に含まれる紫外線吸収剤aを紫外線吸収剤b(大塚化学株式会社製、商品名:PUVA50M)に変更した以外は、実施例7と同様にして印画物を得た。
(比較例1)
画像を形成した受容層に対し、加熱加圧処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして印画物を作製した。
(比較例2)
多孔質層を設けず、基材上に直接受容層を形成させた被転写体を使用した以外は、実施例1と同様にして印画物を作製した。
(比較例3)
被転写体の作製に使用した受容層用塗工液の組成を以下の組成に変更し、樹脂部材をアクリル系樹脂(樹脂組成物B、ガラス転移温度(Tg):65℃、三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナ−ルBR−90)からなるフィルムに変更し、加熱加圧処理工程における加熱温度を、51.7℃に変更した以外は、実施例1と同様にして印画物を得た。受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)は47℃であり、加熱加圧処理工程における加熱温度は、受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.1倍であった。また、樹脂部材に含まれる樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は65℃であり、加熱温度の1.26倍であった。
(受容層用塗工液の組成)
・ポリエステル系樹脂 30質量部
(樹脂組成物A、ガラス転移温度(Tg):47℃、東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン290)
・エポキシ変性シリコーン 1.2質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−22−3000T)
・メチルスチル変性シリコーン 0.6質量部
(信越化学工業株式会社製、商品名:X−24−510)
・メチルエチルケトン 35質量部
・トルエン 35質量部
(比較例4)
樹脂部材をアクリル系樹脂(樹脂組成物B、ガラス転移温度(Tg):100℃、三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナ−ルBR−100)からなるフィルムに変更し、加熱加圧処理工程における加熱温度を、91℃(受容層に含まれる樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.3倍の温度)に変更した以外は、実施例1と同様にして印画物を得た。樹脂部材に含まれる樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は100℃であり、加熱温度の1.1倍であった。
(比較例5)
樹脂部材をアクリル系樹脂(樹脂組成物B、ガラス転移温度(Tg):65℃、三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナ−ルBR−90)からなるフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして印画物を得た。樹脂部材に含まれる樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)は65℃であり、加熱温度の0.84倍であった。
(比較例6)
加圧加熱処理を実施することなく、画像を形成した受容層上に、保護層転写シートから、接着層および保護層を、熱転写シートの転写と同様の条件で転写した。
<保護層転写シートの作製>
基材として厚さ4.5μmポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、下記組成からなる保護層用塗工液および接着層用塗工液を、乾燥後の厚さが、2μmとなるように、グラビア方式により塗布、乾燥し、保護層転写シートを得た。
(接着層用塗工液)
・ポリエステル樹脂 30質量部
(東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン290)
・紫外吸収剤 10質量部
(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン928)
・メチルエチルケトン 35質量部
・トルエン 35質量部
(保護層用塗工液)
・アクリル樹脂 30質量部
(三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナールBR−87)
・メチルエチルケトン 35質量部
・トルエン 35質量部
<<耐擦過性評価>>
実施例および比較例において得られた印画物の画像が形成された受容層を、下記条件で、当て布を使用して擦り、画像の状態を目視により観察し、下記評価基準に従い、印画物の耐擦過性を評価した。評価結果を表3にまとめた。
(擦過条件)
試験機:スガ試験機株式会社製、商品名:RUBBER METER
荷重:200(g)
速度:150(mm/sec)
往復回数:20回
当て布:染色堅ろう度試験用添付白布(カナキン3号)
(評価基準)
◎:画像の脱落が全く無かった。
○:画像の脱落が少しあったが、実用上問題なかった。
△:画像の脱落が多かった。
×:画像の脱落が目立ち、実用上問題があった。
<<平滑性試験>>
実施例および比較例において得られた印画物の画像が形成された受容層の平滑性を目視により観察し、下記評価基準に従い、平滑性を評価した。評価結果を表3にまとめた。
(評価基準)
○:画像が形成された受容層上の凹凸が目立たず、高い平滑性を有していた。
×:画像が形成された受容層上の凹凸が目立った。
<<耐候性評価>>
画像が形成された受容層を、耐候性試験機(株式会社東洋精機製作所、商品名:Ci−4000)を用いて、キセノンアークランプ光を、200kJ/mで照射し、照射前後の光学濃度の変化を、光学濃度計(マクベス社製、商品名:RD−918)により測定し、下記式により光学濃度の残存率を算出し、下記評価基準に従い、印画物の耐候性を評価した。評価結果を表3にまとめた。
・残存率(%)=(照射後の光学濃度/照射前の光学濃度)×100
(評価基準)
○:残存率が70%以上であった。
△:残存率が50%以上、70%未満であった。
×:残存率が50%未満であった。
<<染料移行防止性評価>>
実施例および比較例の方法により、印画物を50個製造した後の加熱加圧処理部材表面に設けられた樹脂部材への染料の移行の程度を目視により観察し、下記評価基準に従い、染料移行防止性を評価した。評価結果を表3にまとめた。
○:樹脂部材への染料の移行がほとんどなかった。
△:樹脂部材への染料の移行が少しあったが、実用上問題なかった。
×:樹脂部材への染料の移行が多く、実用上問題があった。
<<樹脂部材の形状変化防止性評価>>
実施例および比較例の方法により、印画物を50個製造した後の加熱加圧処理部材表面に設けられた樹脂部材の形状変化の程度を目視により観察し、下記評価基準に従い、樹脂部材の形状変化防止性を評価した。評価結果を表3にまとめた。
○:樹脂部材の形状変化がほとんどなかった。
×:樹脂部材の形状変化が大きく、実用上問題があった。
<<虹ムラの評価>>
実施例および比較例の方法により得られた印画物表面を蛍光灯下で目視観察し、虹ムラの発生程度について観察した。評価結果を表3にまとめた。
○:虹ムラが発生しなかった。
×:虹ムラが発生した。
Figure 2017170844
Figure 2017170844
Figure 2017170844
10:ローラー
11:樹脂部材
12:被転写体
20、21:一対のローラー
22:樹脂部材
23:被転写体
30:プレス板
31:樹脂部材
32:被転写体
40:プレス板
41:樹脂部材
42:被転写体
50:サーマルプリンタ
51:熱転写シート
52:供給ローラー
53:被転写体
54:供給ローラー
55:サーマルヘッド
56:プラテンローラー
57、58:巻取ローラー

Claims (5)

  1. 被転写体に画像形成を行い、印画物を製造する方法であって、
    基材と、多孔質層と、受容層と、を少なくとも備える被転写体を準備する工程と、
    前記被転写体の受容層上に、基材および染料層を備える熱転写シートを用いて、画像を形成する工程と、
    加熱加圧処理部材を用いて、樹脂部材が前記受容層に接した状態で、前記樹脂部材および前記受容層を加熱加圧処理する工程と、を含み、
    前記受容層が、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上である樹脂組成物Aを含み、
    前記加熱加圧処理工程における加熱温度が、前記樹脂組成物Aのガラス転移温度(Tg)の1.2倍以下であり、
    前記樹脂部材が樹脂組成物Bを含み、前記樹脂組成物Bのガラス転移温度(Tg)が、前記加熱加圧処理工程における加熱温度の1.0倍より大きいことを特徴とする、方法。
  2. 前記画像の形成に使用される染料の総量に対する分子量360以下の染料の割合が、40%以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多孔質層が、多孔質フィルムである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記樹脂組成物Aが、樹脂材料および硬化剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記樹脂組成物Aが、紫外線吸収剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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