JP2000217592A - 3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法 - Google Patents

3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法

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JP2000217592A
JP2000217592A JP11023511A JP2351199A JP2000217592A JP 2000217592 A JP2000217592 A JP 2000217592A JP 11023511 A JP11023511 A JP 11023511A JP 2351199 A JP2351199 A JP 2351199A JP 2000217592 A JP2000217592 A JP 2000217592A
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acid
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carbamyl
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Akira Shimizu
昌 清水
Jun Ogawa
順 小川
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2,3−ピリジンカルボキシイミドから3−
カルバミルピコリン酸を経済的かつ簡便に製造する方法
を提供する。 【解決手段】 下記の一般式(I) 【化1】 で示される2,3−ピリジンカルボキシイミドに、該化
合物の環状イミドを位置選択的に加水分解する能力を有
する微生物の菌体及び/または該菌体処理物を作用させ
ることを特徴とする一般式(II) 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物の菌体及び
/または該菌体処理物を利用して環状イミドを位置選択
的に加水分解しカルバミル体を製造する方法に関する。
3−カルバミルピコリン酸は医薬、農薬の重要な合成中
間体である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】3−カ
ルバミルピコリン酸は生理活性又は薬理活性成分(医薬
品、農薬など)の中間原料として有用な物質である。こ
の3−カルバミルピコリン酸の化学的製造法において
は、2,3−ピリジンジカルボキシイミドをアルカリ中
で加水分解する方法があるが、イミドの加水分解反応に
位置選択性がないため、3−カルバミルピコリン酸と2
−カルバミルニコチン酸の混合物となり経済的に有利に
製造方法とは言えない。また生化学的手法により環状イ
ミドを加水分解する方法としてラット肝臓のイミダーゼ
によるイミド類の加水分解例の報告(Y.YangらT
he Journal of Biological
Chemistry268,10870 (199
3))があるが、物質の生産を目的とした方法ではな
く、また、加水分解反応の位置特異性を検討した報告で
はない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、経済的に優
れ、かつ、簡便な方法で3−カルバミルピコリン酸を得
るため、2,3−ピリジンカルボキシイミドを原料とし
微生物及び/又はその処理物による製造方法に着目して
鋭意検討したところ、特定の微生物及び/又はその酵素
により、2,3−ピリジンカルボキシイミドから3−カ
ルバミルピコリン酸が効率良く生成することを見い出
し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は、
2,3−ピリジンカルボキシイミドに微生物及び/また
は該菌体処理物を作用させ、3−カルバミルピコリン酸
を製造する方法に存する。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる微生物は、
2,3−ピリジンカルボキシイミドに作用し3−カルバ
ミルピコリン酸を生成する能力を有する微生物である。
具体例としては、例えばアルスロバクター(Arthr
obacter)属に属する微生物が挙げられ、具体的
菌株としては、アルスロバクター・エスピー( Arth
robacter sp. )MCI3652、アルスロ
バクター・エスピー( Arthorobacter s
p.) MCI3653株が挙げられる。MCI3652
株,MCI3653株は、本発明者らにより天然土壌か
ら分離された細菌であり、それぞれ工業技術院生命工学
技術研究所にFERM P−17154およびFERM
P−17155として寄託されている。MCI365
2株及びMCI3653株の菌学的性質は以下の通りで
ある。
【0005】
【表1】
【0006】
【表2】
【0007】5.分類学的考察 (1)属の同定 本菌株MCI3652及び3653株は1)グラム陽性
桿菌、2)好気性、3)芽胞を形成しない、4)多形性
を示す、5)グルコース等の糖類から酸を生成しない、
6)細胞壁の主要アミノ酸としてリジンを有する、7)
細胞壁のアシル基型はアセチル型、8)主要なイソプレ
ノイドキノンはメナキノンMK9(H2)を有する、な
どの特徴を持っている。これらの特徴から、本菌株はバ
ージェイズマニュアル・システマティック・バクテリオ
ロジー[Bergey's Manual of Systematic Bacteriol
ogy]第2巻、1288〜1301頁(1986)に記載
されているアルスロバクター(Arthrobacter)属に帰属
することが判明した。
【0008】(2)種の同定 現在、アルスロバクター属は、細胞壁のアミノ酸および
糖組成、また、メナキノンの分子種によって種が区別さ
れている。MCI3652及び3653株はアミノ酸の
モル比から、架橋部分にアラニン2モル及びスレオニン
1モルを有していると考えられたため、表1に周辺種と
の比較を示した。本菌株は細胞壁にガラクトースのみを
有すという点で、アルスロバクター ウレアファシエン
ス( Arthr obacter ureafaciens)またはアルスロバクタ
ー シトレウス( Arthrobactercit reus) に近縁である
ことが示唆された。そこで本菌株2株の16SrDNA
(約1500bp)の塩基配列を決定し、データベース
において検索したところ、MCI3652株とアルスロ
バクター ウレアファシエンス及びアルスロバクター
シトレウスとの相同性は、それぞれ99. 4%及び9
5. 8%であった。従って以上の結果から、運動性の有
無で相違が見られたが、本菌株MCI3652及び36
53株をアルスロバクター ウレアファシエンス( Arth
robacterureafaciens)に帰属させるのが妥当と考えた。
また、MCI3652株と3653株は、コロニー色
調、無機窒素源利用及び16S rDNA塩基配列の相
違から、同種異株であることが判明した。
【0009】
【表3】
【0010】また、上記微生物は、変異株、あるいは細
胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法によ
り誘導される組換え株などのいずれの株であってもよ
い。本発明の製造方法においては、上記微生物の1種あ
るいは2種以上が菌体及び/または菌体処理物として用
いられる。具体的には、上記微生物を培養して得られた
菌体をそのまま、あるいは培養して得られた菌体を公知
の手法で処理したもの、即ち、アセトン処理したもの、
凍結乾燥処理したもの、菌体を物理的または酵素的に破
砕したもの等の菌体処理物を用いることができる。ま
た、これらの菌体または菌体処理物から、2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドに作用し3−カルバミルピコリ
ン酸に変換するする能力を有する酵素画分を粗製物ある
いは精製物として取り出して用いることも可能である。
さらには、このようにして得られた菌体、菌体処理物、
酵素画分等を通常の固定化技術を用いて、すなわち、ポ
リアクリルアミド、カラギーナンゲル等の担体に固定化
したもの等を用いることも可能である。そこで本明細書
において、「菌体及び/または該菌体処理物」の用語
は、上述の菌体、菌体処理物、酵素画分、及びそれらの
固定化物全てを含有する概念として用いられる。
【0011】次に、本発明の製造方法について具体的に
説明する。本発明においては、原料として2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを用い、これに上記特定の微生
物の菌体又は該菌体処理物を作用させて、3−カルバミ
ルピコリン酸を製造する。本発明の製造方法において微
生物は、通常、培養して用いられるが、この培養につい
ては定法通り行うことができる。本微生物の培養の為に
用いられる培地には本微生物が資化しうる炭素源、窒素
源、及び無機イオン等が含まれる。炭素源としては、グ
ルコース、フルクトース、サッカロース等の炭水化物、
グリセロール、マンニトール、キシリトール、リビトー
ル等のポリアルコール類、有機酸その他が適宜使用され
る。窒素源としては、NZアミン、トリプトース、酵母
エキス、ポリペプトン、肉エキス、大豆抽出物などの有
機窒素源、あるいは硫酸アンモニウム塩、硝酸アンモニ
ウム塩などの無機窒素源、その他などが適宜使用され
る。無機イオンとしては、リン酸イオン、マグネシウム
イオン、鉄イオン、マンガンイオン、モリブデンイオン
その他が必要に応じ適宜使用される。更に、イノシトー
ル、パントテン酸、ニコチン酸アミドその他のビタミン
類を必要に応じ添加することは有効である。酵素の誘導
剤として、イミド類が適宜使用される。培養は、好気的
条件下に、pH約3〜11、温度約4〜50℃の適当な
範囲に制御しつつ1〜100時間行う。
【0012】3−カルバミルピコリン酸を製造する方法
として、本微生物を培養し、得られた菌体及び/または
該菌体処理物に2,3−ピリジンジカルボキシイミドを
添加し反応させ3−カルバミルピコリン酸を得る方法、
培地に2,3−ピリジンジカルボキシイミドを添加し培
養と反応を同時に行う方法、あるいは培養終了後、2,
3−ピリジンジカルボキシイミドを添加して更に反応を
行う方法等を適宜用いることができる。反応は温度4〜
70℃、好ましくは20〜50℃の範囲で行い、pHは
2〜11、好ましくは6〜9のの範囲で行う。2,3−
ピリジンジカルボキシイミドの濃度は0.0001〜8
0%、好ましくは0.01〜50%の範囲が望ましく、
必要ならば反応の間、2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドは追補添加される。
【0013】培養及び反応で得られた3−カルバミルピ
コリン酸の採取方法としては、微生物などの固形分を遠
心分離、フィルタープレス、限外濾過などの通常の分離
装置によりを除去した後に反応液を有機溶媒による抽
出、晶析、カラムクロマトグラフィー、濃縮、蒸留など
の分離精製手段に供することにより光学活性体を得るこ
とができ、分離精製手段は単独でまたは複数の手段を組
み合わせて利用できる。前記有機溶媒としては例えばブ
タノールなどのアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、トルエン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチ
レンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メ
チルなどのエステル類、ケトン類、エーテル類、これら
の混合溶媒などが利用できる。本発明では微生物または
その処理物の活性を利用して2,3−ピリジンジカルボ
キシイミドから3−カルバミルピコリン酸を簡便な方法
で経済的に有利に製造できる。
【0014】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 リン酸水素2カリウム0.1%,リン酸2水素カリウム
0.1%,硫酸マグネシウム0.03%,酵母エキス
0.01%,塩化アンモニウム0.2%,フタルイミド
0.15%(pH7.0)の組成からなる2%寒天培地
にアルスロバクター・エスピーMCI3652を接種
し,28℃で72時間好気的に培養した。培養終了後,
菌体を集め150mM塩化ナトリウム溶液で洗浄した。
得られた洗浄湿菌体10mgに10mMの2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを含む100mM酢酸緩衝液
(pH5.0)を加え,全量を0.25mLとし30℃
で6時間反応させた。15%過塩素酸水溶液を0.05
mL加えて反応終了させ遠心の後,得られた上精を高速
液体クロマトグラフィー(カラム:Cosmosil
5C18、溶離液組成:水/アセトニトリル/トリフル
オロ酢酸=90/10/0.1)で分析した。分析の結
果、3−カルバミルピコリン酸4.0mM,2−カルバ
ミルニコチン酸0.49mMが蓄積した。
【0015】実施例2 リン酸水素2カリウム0.1%,リン酸2水素カリウム
0.1%,硫酸マグネシウム0.03%,酵母エキス
0.01%,塩化アンモニウム0.2%,フタルイミド
0.15%(pH7.0)の組成からなる2%寒天培地
にアルスロバクター・エスピーMCI3653を接種
し,28℃で72時間好気的に培養した。培養終了後,
菌体を集め150mM塩化ナトリウム溶液で洗浄した。
得られた洗浄湿菌体10mgに10mMの2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを含む100mM酢酸緩衝液
(pH5.0)を加え,全量を0.25mLとし30℃
で6時間反応させた。15%過塩素酸水溶液を0.05
mL加えて反応終了させ遠心の後,得られた上精を高速
液体クロマトグラフィー(カラム:Cosmosil
5C18、溶離液組成:水/アセトニトリル/トリフル
オロ酢酸=90/10/0.1)で分析した。分析の結
果、3−カルバミルピコリン酸3.1mM,2−カルバ
ミルニコチン酸0.56mMが蓄積した。
【0016】実施例3 実施例1で培養した菌体の洗浄湿菌体10mgに0.1
25mLの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加
え,さらに、20mMの2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドを含むシクロヘキサノン溶液を0.125mL添加
し、全量を0.25mLとし30℃で6時間反応させ
た。15%過塩素酸水溶液を0.05mL加えて反応終
了させ遠心の後,得られた水溶液相を高速液体クロマト
グラフィー(カラム:Cosmosil 5C18、溶
離液組成:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=9
0/10/0.1)で分析した。分析の結果、3−カル
バミルピコリン酸5.1mM,2−カルバミルニコチン
酸0.35mMが蓄積した。
【0017】実施例4 実施例2で培養した菌体の洗浄湿菌体10mgに0.1
25mLの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加
え,さらに、20mMの2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドを含むシクロヘキサノン溶液を0.125mL添加
し、全量を0.25mLとし30℃で6時間反応させ
た。15%過塩素酸水溶液を0.05mL加えて反応終
了させ遠心の後,得られた水溶液相を高速液体クロマト
グラフィー(カラム:Cosmosil 5C18、溶
離液組成:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=9
0/10/0.1)で分析した。分析の結果、3−カル
バミルピコリン酸3.8mM,2−カルバミルニコチン
酸0.36mMが蓄積した。
【0018】
【発明の効果】本願の方法によれば、2,3−ピリジン
カルボキシイミドから簡便に3−カルバミルピコリン酸
を製造することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:06) Fターム(参考) 4B064 AE49 CA02 CB05 CC03 CD12 CE01 CE08 CE10 CE15 DA01 DA11 4B065 AA13X BA23 BB13 BC01 BD14 BD34 CA18 CA31 CA43 CA44

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I) 【化1】 で示される2,3−ピリジンカルボキシイミドに、該化
    合物の環状イミドを位置選択的に加水分解する能力を有
    する微生物の菌体及び/または該菌体処理物を作用させ
    ることを特徴とする一般式(II) 【化2】 で表される3−カルバミルピコリン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 微生物として、アルスロバクター属の微
    生物を用いることを徴とする請求項1記載の製造方法。
JP11023511A 1999-02-01 1999-02-01 3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法 Pending JP2000217592A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004090147A1 (ja) * 2003-04-01 2004-10-21 Dia-Nitrix Co., Ltd. アミド化合物水溶液の精製方法およびアミド化合物の製造方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004090147A1 (ja) * 2003-04-01 2004-10-21 Dia-Nitrix Co., Ltd. アミド化合物水溶液の精製方法およびアミド化合物の製造方法

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