JP2000217592A - 3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法 - Google Patents
3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法Info
- Publication number
- JP2000217592A JP2000217592A JP11023511A JP2351199A JP2000217592A JP 2000217592 A JP2000217592 A JP 2000217592A JP 11023511 A JP11023511 A JP 11023511A JP 2351199 A JP2351199 A JP 2351199A JP 2000217592 A JP2000217592 A JP 2000217592A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- cells
- microorganism
- carbamylpicolinic
- carbamyl
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 2,3−ピリジンカルボキシイミドから3−
カルバミルピコリン酸を経済的かつ簡便に製造する方法
を提供する。 【解決手段】 下記の一般式(I) 【化1】 で示される2,3−ピリジンカルボキシイミドに、該化
合物の環状イミドを位置選択的に加水分解する能力を有
する微生物の菌体及び/または該菌体処理物を作用させ
ることを特徴とする一般式(II) 【化2】
カルバミルピコリン酸を経済的かつ簡便に製造する方法
を提供する。 【解決手段】 下記の一般式(I) 【化1】 で示される2,3−ピリジンカルボキシイミドに、該化
合物の環状イミドを位置選択的に加水分解する能力を有
する微生物の菌体及び/または該菌体処理物を作用させ
ることを特徴とする一般式(II) 【化2】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物の菌体及び
/または該菌体処理物を利用して環状イミドを位置選択
的に加水分解しカルバミル体を製造する方法に関する。
3−カルバミルピコリン酸は医薬、農薬の重要な合成中
間体である。
/または該菌体処理物を利用して環状イミドを位置選択
的に加水分解しカルバミル体を製造する方法に関する。
3−カルバミルピコリン酸は医薬、農薬の重要な合成中
間体である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】3−カ
ルバミルピコリン酸は生理活性又は薬理活性成分(医薬
品、農薬など)の中間原料として有用な物質である。こ
の3−カルバミルピコリン酸の化学的製造法において
は、2,3−ピリジンジカルボキシイミドをアルカリ中
で加水分解する方法があるが、イミドの加水分解反応に
位置選択性がないため、3−カルバミルピコリン酸と2
−カルバミルニコチン酸の混合物となり経済的に有利に
製造方法とは言えない。また生化学的手法により環状イ
ミドを加水分解する方法としてラット肝臓のイミダーゼ
によるイミド類の加水分解例の報告(Y.YangらT
he Journal of Biological
Chemistry268,10870 (199
3))があるが、物質の生産を目的とした方法ではな
く、また、加水分解反応の位置特異性を検討した報告で
はない。
ルバミルピコリン酸は生理活性又は薬理活性成分(医薬
品、農薬など)の中間原料として有用な物質である。こ
の3−カルバミルピコリン酸の化学的製造法において
は、2,3−ピリジンジカルボキシイミドをアルカリ中
で加水分解する方法があるが、イミドの加水分解反応に
位置選択性がないため、3−カルバミルピコリン酸と2
−カルバミルニコチン酸の混合物となり経済的に有利に
製造方法とは言えない。また生化学的手法により環状イ
ミドを加水分解する方法としてラット肝臓のイミダーゼ
によるイミド類の加水分解例の報告(Y.YangらT
he Journal of Biological
Chemistry268,10870 (199
3))があるが、物質の生産を目的とした方法ではな
く、また、加水分解反応の位置特異性を検討した報告で
はない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、経済的に優
れ、かつ、簡便な方法で3−カルバミルピコリン酸を得
るため、2,3−ピリジンカルボキシイミドを原料とし
微生物及び/又はその処理物による製造方法に着目して
鋭意検討したところ、特定の微生物及び/又はその酵素
により、2,3−ピリジンカルボキシイミドから3−カ
ルバミルピコリン酸が効率良く生成することを見い出
し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は、
2,3−ピリジンカルボキシイミドに微生物及び/また
は該菌体処理物を作用させ、3−カルバミルピコリン酸
を製造する方法に存する。
れ、かつ、簡便な方法で3−カルバミルピコリン酸を得
るため、2,3−ピリジンカルボキシイミドを原料とし
微生物及び/又はその処理物による製造方法に着目して
鋭意検討したところ、特定の微生物及び/又はその酵素
により、2,3−ピリジンカルボキシイミドから3−カ
ルバミルピコリン酸が効率良く生成することを見い出
し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は、
2,3−ピリジンカルボキシイミドに微生物及び/また
は該菌体処理物を作用させ、3−カルバミルピコリン酸
を製造する方法に存する。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる微生物は、
2,3−ピリジンカルボキシイミドに作用し3−カルバ
ミルピコリン酸を生成する能力を有する微生物である。
具体例としては、例えばアルスロバクター(Arthr
obacter)属に属する微生物が挙げられ、具体的
菌株としては、アルスロバクター・エスピー( Arth
robacter sp. )MCI3652、アルスロ
バクター・エスピー( Arthorobacter s
p.) MCI3653株が挙げられる。MCI3652
株,MCI3653株は、本発明者らにより天然土壌か
ら分離された細菌であり、それぞれ工業技術院生命工学
技術研究所にFERM P−17154およびFERM
P−17155として寄託されている。MCI365
2株及びMCI3653株の菌学的性質は以下の通りで
ある。
2,3−ピリジンカルボキシイミドに作用し3−カルバ
ミルピコリン酸を生成する能力を有する微生物である。
具体例としては、例えばアルスロバクター(Arthr
obacter)属に属する微生物が挙げられ、具体的
菌株としては、アルスロバクター・エスピー( Arth
robacter sp. )MCI3652、アルスロ
バクター・エスピー( Arthorobacter s
p.) MCI3653株が挙げられる。MCI3652
株,MCI3653株は、本発明者らにより天然土壌か
ら分離された細菌であり、それぞれ工業技術院生命工学
技術研究所にFERM P−17154およびFERM
P−17155として寄託されている。MCI365
2株及びMCI3653株の菌学的性質は以下の通りで
ある。
【0005】
【表1】
【0006】
【表2】
【0007】5.分類学的考察 (1)属の同定 本菌株MCI3652及び3653株は1)グラム陽性
桿菌、2)好気性、3)芽胞を形成しない、4)多形性
を示す、5)グルコース等の糖類から酸を生成しない、
6)細胞壁の主要アミノ酸としてリジンを有する、7)
細胞壁のアシル基型はアセチル型、8)主要なイソプレ
ノイドキノンはメナキノンMK9(H2)を有する、な
どの特徴を持っている。これらの特徴から、本菌株はバ
ージェイズマニュアル・システマティック・バクテリオ
ロジー[Bergey's Manual of Systematic Bacteriol
ogy]第2巻、1288〜1301頁(1986)に記載
されているアルスロバクター(Arthrobacter)属に帰属
することが判明した。
桿菌、2)好気性、3)芽胞を形成しない、4)多形性
を示す、5)グルコース等の糖類から酸を生成しない、
6)細胞壁の主要アミノ酸としてリジンを有する、7)
細胞壁のアシル基型はアセチル型、8)主要なイソプレ
ノイドキノンはメナキノンMK9(H2)を有する、な
どの特徴を持っている。これらの特徴から、本菌株はバ
ージェイズマニュアル・システマティック・バクテリオ
ロジー[Bergey's Manual of Systematic Bacteriol
ogy]第2巻、1288〜1301頁(1986)に記載
されているアルスロバクター(Arthrobacter)属に帰属
することが判明した。
【0008】(2)種の同定 現在、アルスロバクター属は、細胞壁のアミノ酸および
糖組成、また、メナキノンの分子種によって種が区別さ
れている。MCI3652及び3653株はアミノ酸の
モル比から、架橋部分にアラニン2モル及びスレオニン
1モルを有していると考えられたため、表1に周辺種と
の比較を示した。本菌株は細胞壁にガラクトースのみを
有すという点で、アルスロバクター ウレアファシエン
ス( Arthr obacter ureafaciens)またはアルスロバクタ
ー シトレウス( Arthrobactercit reus) に近縁である
ことが示唆された。そこで本菌株2株の16SrDNA
(約1500bp)の塩基配列を決定し、データベース
において検索したところ、MCI3652株とアルスロ
バクター ウレアファシエンス及びアルスロバクター
シトレウスとの相同性は、それぞれ99. 4%及び9
5. 8%であった。従って以上の結果から、運動性の有
無で相違が見られたが、本菌株MCI3652及び36
53株をアルスロバクター ウレアファシエンス( Arth
robacterureafaciens)に帰属させるのが妥当と考えた。
また、MCI3652株と3653株は、コロニー色
調、無機窒素源利用及び16S rDNA塩基配列の相
違から、同種異株であることが判明した。
糖組成、また、メナキノンの分子種によって種が区別さ
れている。MCI3652及び3653株はアミノ酸の
モル比から、架橋部分にアラニン2モル及びスレオニン
1モルを有していると考えられたため、表1に周辺種と
の比較を示した。本菌株は細胞壁にガラクトースのみを
有すという点で、アルスロバクター ウレアファシエン
ス( Arthr obacter ureafaciens)またはアルスロバクタ
ー シトレウス( Arthrobactercit reus) に近縁である
ことが示唆された。そこで本菌株2株の16SrDNA
(約1500bp)の塩基配列を決定し、データベース
において検索したところ、MCI3652株とアルスロ
バクター ウレアファシエンス及びアルスロバクター
シトレウスとの相同性は、それぞれ99. 4%及び9
5. 8%であった。従って以上の結果から、運動性の有
無で相違が見られたが、本菌株MCI3652及び36
53株をアルスロバクター ウレアファシエンス( Arth
robacterureafaciens)に帰属させるのが妥当と考えた。
また、MCI3652株と3653株は、コロニー色
調、無機窒素源利用及び16S rDNA塩基配列の相
違から、同種異株であることが判明した。
【0009】
【表3】
【0010】また、上記微生物は、変異株、あるいは細
胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法によ
り誘導される組換え株などのいずれの株であってもよ
い。本発明の製造方法においては、上記微生物の1種あ
るいは2種以上が菌体及び/または菌体処理物として用
いられる。具体的には、上記微生物を培養して得られた
菌体をそのまま、あるいは培養して得られた菌体を公知
の手法で処理したもの、即ち、アセトン処理したもの、
凍結乾燥処理したもの、菌体を物理的または酵素的に破
砕したもの等の菌体処理物を用いることができる。ま
た、これらの菌体または菌体処理物から、2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドに作用し3−カルバミルピコリ
ン酸に変換するする能力を有する酵素画分を粗製物ある
いは精製物として取り出して用いることも可能である。
さらには、このようにして得られた菌体、菌体処理物、
酵素画分等を通常の固定化技術を用いて、すなわち、ポ
リアクリルアミド、カラギーナンゲル等の担体に固定化
したもの等を用いることも可能である。そこで本明細書
において、「菌体及び/または該菌体処理物」の用語
は、上述の菌体、菌体処理物、酵素画分、及びそれらの
固定化物全てを含有する概念として用いられる。
胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法によ
り誘導される組換え株などのいずれの株であってもよ
い。本発明の製造方法においては、上記微生物の1種あ
るいは2種以上が菌体及び/または菌体処理物として用
いられる。具体的には、上記微生物を培養して得られた
菌体をそのまま、あるいは培養して得られた菌体を公知
の手法で処理したもの、即ち、アセトン処理したもの、
凍結乾燥処理したもの、菌体を物理的または酵素的に破
砕したもの等の菌体処理物を用いることができる。ま
た、これらの菌体または菌体処理物から、2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドに作用し3−カルバミルピコリ
ン酸に変換するする能力を有する酵素画分を粗製物ある
いは精製物として取り出して用いることも可能である。
さらには、このようにして得られた菌体、菌体処理物、
酵素画分等を通常の固定化技術を用いて、すなわち、ポ
リアクリルアミド、カラギーナンゲル等の担体に固定化
したもの等を用いることも可能である。そこで本明細書
において、「菌体及び/または該菌体処理物」の用語
は、上述の菌体、菌体処理物、酵素画分、及びそれらの
固定化物全てを含有する概念として用いられる。
【0011】次に、本発明の製造方法について具体的に
説明する。本発明においては、原料として2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを用い、これに上記特定の微生
物の菌体又は該菌体処理物を作用させて、3−カルバミ
ルピコリン酸を製造する。本発明の製造方法において微
生物は、通常、培養して用いられるが、この培養につい
ては定法通り行うことができる。本微生物の培養の為に
用いられる培地には本微生物が資化しうる炭素源、窒素
源、及び無機イオン等が含まれる。炭素源としては、グ
ルコース、フルクトース、サッカロース等の炭水化物、
グリセロール、マンニトール、キシリトール、リビトー
ル等のポリアルコール類、有機酸その他が適宜使用され
る。窒素源としては、NZアミン、トリプトース、酵母
エキス、ポリペプトン、肉エキス、大豆抽出物などの有
機窒素源、あるいは硫酸アンモニウム塩、硝酸アンモニ
ウム塩などの無機窒素源、その他などが適宜使用され
る。無機イオンとしては、リン酸イオン、マグネシウム
イオン、鉄イオン、マンガンイオン、モリブデンイオン
その他が必要に応じ適宜使用される。更に、イノシトー
ル、パントテン酸、ニコチン酸アミドその他のビタミン
類を必要に応じ添加することは有効である。酵素の誘導
剤として、イミド類が適宜使用される。培養は、好気的
条件下に、pH約3〜11、温度約4〜50℃の適当な
範囲に制御しつつ1〜100時間行う。
説明する。本発明においては、原料として2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを用い、これに上記特定の微生
物の菌体又は該菌体処理物を作用させて、3−カルバミ
ルピコリン酸を製造する。本発明の製造方法において微
生物は、通常、培養して用いられるが、この培養につい
ては定法通り行うことができる。本微生物の培養の為に
用いられる培地には本微生物が資化しうる炭素源、窒素
源、及び無機イオン等が含まれる。炭素源としては、グ
ルコース、フルクトース、サッカロース等の炭水化物、
グリセロール、マンニトール、キシリトール、リビトー
ル等のポリアルコール類、有機酸その他が適宜使用され
る。窒素源としては、NZアミン、トリプトース、酵母
エキス、ポリペプトン、肉エキス、大豆抽出物などの有
機窒素源、あるいは硫酸アンモニウム塩、硝酸アンモニ
ウム塩などの無機窒素源、その他などが適宜使用され
る。無機イオンとしては、リン酸イオン、マグネシウム
イオン、鉄イオン、マンガンイオン、モリブデンイオン
その他が必要に応じ適宜使用される。更に、イノシトー
ル、パントテン酸、ニコチン酸アミドその他のビタミン
類を必要に応じ添加することは有効である。酵素の誘導
剤として、イミド類が適宜使用される。培養は、好気的
条件下に、pH約3〜11、温度約4〜50℃の適当な
範囲に制御しつつ1〜100時間行う。
【0012】3−カルバミルピコリン酸を製造する方法
として、本微生物を培養し、得られた菌体及び/または
該菌体処理物に2,3−ピリジンジカルボキシイミドを
添加し反応させ3−カルバミルピコリン酸を得る方法、
培地に2,3−ピリジンジカルボキシイミドを添加し培
養と反応を同時に行う方法、あるいは培養終了後、2,
3−ピリジンジカルボキシイミドを添加して更に反応を
行う方法等を適宜用いることができる。反応は温度4〜
70℃、好ましくは20〜50℃の範囲で行い、pHは
2〜11、好ましくは6〜9のの範囲で行う。2,3−
ピリジンジカルボキシイミドの濃度は0.0001〜8
0%、好ましくは0.01〜50%の範囲が望ましく、
必要ならば反応の間、2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドは追補添加される。
として、本微生物を培養し、得られた菌体及び/または
該菌体処理物に2,3−ピリジンジカルボキシイミドを
添加し反応させ3−カルバミルピコリン酸を得る方法、
培地に2,3−ピリジンジカルボキシイミドを添加し培
養と反応を同時に行う方法、あるいは培養終了後、2,
3−ピリジンジカルボキシイミドを添加して更に反応を
行う方法等を適宜用いることができる。反応は温度4〜
70℃、好ましくは20〜50℃の範囲で行い、pHは
2〜11、好ましくは6〜9のの範囲で行う。2,3−
ピリジンジカルボキシイミドの濃度は0.0001〜8
0%、好ましくは0.01〜50%の範囲が望ましく、
必要ならば反応の間、2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドは追補添加される。
【0013】培養及び反応で得られた3−カルバミルピ
コリン酸の採取方法としては、微生物などの固形分を遠
心分離、フィルタープレス、限外濾過などの通常の分離
装置によりを除去した後に反応液を有機溶媒による抽
出、晶析、カラムクロマトグラフィー、濃縮、蒸留など
の分離精製手段に供することにより光学活性体を得るこ
とができ、分離精製手段は単独でまたは複数の手段を組
み合わせて利用できる。前記有機溶媒としては例えばブ
タノールなどのアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、トルエン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチ
レンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メ
チルなどのエステル類、ケトン類、エーテル類、これら
の混合溶媒などが利用できる。本発明では微生物または
その処理物の活性を利用して2,3−ピリジンジカルボ
キシイミドから3−カルバミルピコリン酸を簡便な方法
で経済的に有利に製造できる。
コリン酸の採取方法としては、微生物などの固形分を遠
心分離、フィルタープレス、限外濾過などの通常の分離
装置によりを除去した後に反応液を有機溶媒による抽
出、晶析、カラムクロマトグラフィー、濃縮、蒸留など
の分離精製手段に供することにより光学活性体を得るこ
とができ、分離精製手段は単独でまたは複数の手段を組
み合わせて利用できる。前記有機溶媒としては例えばブ
タノールなどのアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、トルエン等の炭化水素類、クロロホルム、塩化メチ
レンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メ
チルなどのエステル類、ケトン類、エーテル類、これら
の混合溶媒などが利用できる。本発明では微生物または
その処理物の活性を利用して2,3−ピリジンジカルボ
キシイミドから3−カルバミルピコリン酸を簡便な方法
で経済的に有利に製造できる。
【0014】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 リン酸水素2カリウム0.1%,リン酸2水素カリウム
0.1%,硫酸マグネシウム0.03%,酵母エキス
0.01%,塩化アンモニウム0.2%,フタルイミド
0.15%(pH7.0)の組成からなる2%寒天培地
にアルスロバクター・エスピーMCI3652を接種
し,28℃で72時間好気的に培養した。培養終了後,
菌体を集め150mM塩化ナトリウム溶液で洗浄した。
得られた洗浄湿菌体10mgに10mMの2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを含む100mM酢酸緩衝液
(pH5.0)を加え,全量を0.25mLとし30℃
で6時間反応させた。15%過塩素酸水溶液を0.05
mL加えて反応終了させ遠心の後,得られた上精を高速
液体クロマトグラフィー(カラム:Cosmosil
5C18、溶離液組成:水/アセトニトリル/トリフル
オロ酢酸=90/10/0.1)で分析した。分析の結
果、3−カルバミルピコリン酸4.0mM,2−カルバ
ミルニコチン酸0.49mMが蓄積した。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 リン酸水素2カリウム0.1%,リン酸2水素カリウム
0.1%,硫酸マグネシウム0.03%,酵母エキス
0.01%,塩化アンモニウム0.2%,フタルイミド
0.15%(pH7.0)の組成からなる2%寒天培地
にアルスロバクター・エスピーMCI3652を接種
し,28℃で72時間好気的に培養した。培養終了後,
菌体を集め150mM塩化ナトリウム溶液で洗浄した。
得られた洗浄湿菌体10mgに10mMの2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを含む100mM酢酸緩衝液
(pH5.0)を加え,全量を0.25mLとし30℃
で6時間反応させた。15%過塩素酸水溶液を0.05
mL加えて反応終了させ遠心の後,得られた上精を高速
液体クロマトグラフィー(カラム:Cosmosil
5C18、溶離液組成:水/アセトニトリル/トリフル
オロ酢酸=90/10/0.1)で分析した。分析の結
果、3−カルバミルピコリン酸4.0mM,2−カルバ
ミルニコチン酸0.49mMが蓄積した。
【0015】実施例2 リン酸水素2カリウム0.1%,リン酸2水素カリウム
0.1%,硫酸マグネシウム0.03%,酵母エキス
0.01%,塩化アンモニウム0.2%,フタルイミド
0.15%(pH7.0)の組成からなる2%寒天培地
にアルスロバクター・エスピーMCI3653を接種
し,28℃で72時間好気的に培養した。培養終了後,
菌体を集め150mM塩化ナトリウム溶液で洗浄した。
得られた洗浄湿菌体10mgに10mMの2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを含む100mM酢酸緩衝液
(pH5.0)を加え,全量を0.25mLとし30℃
で6時間反応させた。15%過塩素酸水溶液を0.05
mL加えて反応終了させ遠心の後,得られた上精を高速
液体クロマトグラフィー(カラム:Cosmosil
5C18、溶離液組成:水/アセトニトリル/トリフル
オロ酢酸=90/10/0.1)で分析した。分析の結
果、3−カルバミルピコリン酸3.1mM,2−カルバ
ミルニコチン酸0.56mMが蓄積した。
0.1%,硫酸マグネシウム0.03%,酵母エキス
0.01%,塩化アンモニウム0.2%,フタルイミド
0.15%(pH7.0)の組成からなる2%寒天培地
にアルスロバクター・エスピーMCI3653を接種
し,28℃で72時間好気的に培養した。培養終了後,
菌体を集め150mM塩化ナトリウム溶液で洗浄した。
得られた洗浄湿菌体10mgに10mMの2,3−ピリ
ジンジカルボキシイミドを含む100mM酢酸緩衝液
(pH5.0)を加え,全量を0.25mLとし30℃
で6時間反応させた。15%過塩素酸水溶液を0.05
mL加えて反応終了させ遠心の後,得られた上精を高速
液体クロマトグラフィー(カラム:Cosmosil
5C18、溶離液組成:水/アセトニトリル/トリフル
オロ酢酸=90/10/0.1)で分析した。分析の結
果、3−カルバミルピコリン酸3.1mM,2−カルバ
ミルニコチン酸0.56mMが蓄積した。
【0016】実施例3 実施例1で培養した菌体の洗浄湿菌体10mgに0.1
25mLの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加
え,さらに、20mMの2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドを含むシクロヘキサノン溶液を0.125mL添加
し、全量を0.25mLとし30℃で6時間反応させ
た。15%過塩素酸水溶液を0.05mL加えて反応終
了させ遠心の後,得られた水溶液相を高速液体クロマト
グラフィー(カラム:Cosmosil 5C18、溶
離液組成:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=9
0/10/0.1)で分析した。分析の結果、3−カル
バミルピコリン酸5.1mM,2−カルバミルニコチン
酸0.35mMが蓄積した。
25mLの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加
え,さらに、20mMの2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドを含むシクロヘキサノン溶液を0.125mL添加
し、全量を0.25mLとし30℃で6時間反応させ
た。15%過塩素酸水溶液を0.05mL加えて反応終
了させ遠心の後,得られた水溶液相を高速液体クロマト
グラフィー(カラム:Cosmosil 5C18、溶
離液組成:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=9
0/10/0.1)で分析した。分析の結果、3−カル
バミルピコリン酸5.1mM,2−カルバミルニコチン
酸0.35mMが蓄積した。
【0017】実施例4 実施例2で培養した菌体の洗浄湿菌体10mgに0.1
25mLの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加
え,さらに、20mMの2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドを含むシクロヘキサノン溶液を0.125mL添加
し、全量を0.25mLとし30℃で6時間反応させ
た。15%過塩素酸水溶液を0.05mL加えて反応終
了させ遠心の後,得られた水溶液相を高速液体クロマト
グラフィー(カラム:Cosmosil 5C18、溶
離液組成:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=9
0/10/0.1)で分析した。分析の結果、3−カル
バミルピコリン酸3.8mM,2−カルバミルニコチン
酸0.36mMが蓄積した。
25mLの100mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加
え,さらに、20mMの2,3−ピリジンジカルボキシイ
ミドを含むシクロヘキサノン溶液を0.125mL添加
し、全量を0.25mLとし30℃で6時間反応させ
た。15%過塩素酸水溶液を0.05mL加えて反応終
了させ遠心の後,得られた水溶液相を高速液体クロマト
グラフィー(カラム:Cosmosil 5C18、溶
離液組成:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=9
0/10/0.1)で分析した。分析の結果、3−カル
バミルピコリン酸3.8mM,2−カルバミルニコチン
酸0.36mMが蓄積した。
【0018】
【発明の効果】本願の方法によれば、2,3−ピリジン
カルボキシイミドから簡便に3−カルバミルピコリン酸
を製造することが出来る。
カルボキシイミドから簡便に3−カルバミルピコリン酸
を製造することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:06) Fターム(参考) 4B064 AE49 CA02 CB05 CC03 CD12 CE01 CE08 CE10 CE15 DA01 DA11 4B065 AA13X BA23 BB13 BC01 BD14 BD34 CA18 CA31 CA43 CA44
Claims (2)
- 【請求項1】 下記の一般式(I) 【化1】 で示される2,3−ピリジンカルボキシイミドに、該化
合物の環状イミドを位置選択的に加水分解する能力を有
する微生物の菌体及び/または該菌体処理物を作用させ
ることを特徴とする一般式(II) 【化2】 で表される3−カルバミルピコリン酸の製造方法。 - 【請求項2】 微生物として、アルスロバクター属の微
生物を用いることを徴とする請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11023511A JP2000217592A (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11023511A JP2000217592A (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000217592A true JP2000217592A (ja) | 2000-08-08 |
Family
ID=12112487
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11023511A Pending JP2000217592A (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000217592A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004090147A1 (ja) * | 2003-04-01 | 2004-10-21 | Dia-Nitrix Co., Ltd. | アミド化合物水溶液の精製方法およびアミド化合物の製造方法 |
-
1999
- 1999-02-01 JP JP11023511A patent/JP2000217592A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004090147A1 (ja) * | 2003-04-01 | 2004-10-21 | Dia-Nitrix Co., Ltd. | アミド化合物水溶液の精製方法およびアミド化合物の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9822335B2 (en) | Amycolatopsis sp. strain and methods of using the same for vanillin production | |
JPH0499497A (ja) | 光学活性乳酸の製造法 | |
US20100075381A1 (en) | Method for Producing Glucuronic Acid by Glucuronic Acid Fermentation | |
JP2840722B2 (ja) | 4‐ハロ‐3‐ヒドロキシブチロニトリルの製造法 | |
JP3858505B2 (ja) | R−3−キヌクリジノールの製造方法 | |
JP3014171B2 (ja) | 4−ハロ−3−ヒドロキシブチルアミドの製造法 | |
US5155030A (en) | Process for preparing optically active (R)-(-)-3-halo-1,2-propanediol from an epihalohydrin by a strain of corynebacterium or microbacterium | |
JP2000217592A (ja) | 3−カルバミルピコリン酸の生物学的製造方法 | |
JPH022589B2 (ja) | ||
KR101267314B1 (ko) | 셀룰로오스를 분해하는 신규 호열성 세균 및 이의 용도 | |
JP3514799B2 (ja) | リパーゼ及びこれを産生する微生物 | |
JP3976355B2 (ja) | α−ヒドロキシ−4−メチルチオ酪酸の製造方法 | |
KR100260837B1 (ko) | 광학활성 카본산 및 그 거울상 이성체 에스테르의 제조방법 | |
JP2840723B2 (ja) | 4‐ハロ‐3‐ヒドロキシブチロニトリルの製造法 | |
JP4197778B2 (ja) | 光学活性なα−メルカプトカルボン酸の製造方法 | |
JP3754785B2 (ja) | 3−ヒドロキシ含窒素六員環化合物の製造方法 | |
JP2708536B2 (ja) | ロドコッカス属細菌及びそれを用いる2―ヒドロキシ酪酸の製造法 | |
JP2983695B2 (ja) | 4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 | |
JP3010850B2 (ja) | (s)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または(s)−(−)−2,3−ジハロ−1ープロパノールの製造法 | |
JPH08196288A (ja) | 長鎖脂肪酸の製造法 | |
JP3743172B2 (ja) | L−ホモシステインの製造方法 | |
JP3852503B2 (ja) | 生物学的処理による光学活性なカルボン酸及び光学活性なn−アルキルアミド化合物の製造方法 | |
JP3817725B2 (ja) | ピルビン酸の製造方法 | |
JPH04248989A (ja) | 8−ヒドロキシカルボスチリル及び/または8−ヒド ロキシクマリンの製造方法 | |
JPH0339092A (ja) | 微生物が生産する物質の製造法 |