JP3852503B2 - 生物学的処理による光学活性なカルボン酸及び光学活性なn−アルキルアミド化合物の製造方法 - Google Patents

生物学的処理による光学活性なカルボン酸及び光学活性なn−アルキルアミド化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生物学的処理による光学活性なカルボン酸及び光学活性なN−アルキルアミド化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性な有機酸類あるいはアミド化合物類は医薬及び農薬の中間原料として有用な化合物である。従来ラセミ体のアミド化合物を生物学的に光学分割し、かつ光学活性な有機酸を得る方法としては、環状α-アミノカルボキサミドから環状S-α-アミノカルボン酸と環状R-α-アミノカルボキサミドを製造する方法(特開平8−56652)が報告されている。しかしながら、N−アルキルアミド化合物のアミド結合を酵素的に加水分解し有機カルボン酸をつくる方法は、これまで全く見い出されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の化学合成において、不斉炭素を有する有機酸類あるいはN−アルキルアミド化合物類の光学異性体の中の1種を医薬または農薬の中間原料として用いるためには、ラセミ体を適当な分割剤を用いて工業的に光学分割する必要がある。しかしながら、その分割率あるいはコストの面からも有効な方法が見いだされていなかった。そこでこれらの問題を生じず、さらには、工業的に効率よくラセミ体を分割する方法の開発が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題を解決すべく鋭意検討した結果、海洋に生息するイボ鯛の一種の魚の腸より分離したシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433及びシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434がN−アルキルアミド化合物のアミド結合をR体選択的に加水分解する能力を有することを見い出した。さらに鋭意研究を重ねた結果、これら微生物の菌体及び/または該菌体処理物を用いてN−アルキルアミド化合物のアミド結合を加水分解することにより光学活性な有機カルボン酸を製造できることを見いだし、ひいてはこの方法により、N−アルキルアミド化合物を光学分割できることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433(工業技術院生命工学工業技術研究所における受託番号:FERM−P16169)及びシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434(工業技術院生命工学工業技術研究所における受託番号:FERM−P16170)から選ばれる微生物の菌体及び/または該菌体処理物を、下記一般式(I)
【0005】
【化6】
【0006】
[上記一般式(I)中、R1は置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C10のアルキル基、置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C10のアルケニル基、または置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C10のアルキニル基を表し、R2はハロゲン原子、置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C5のアルキル基を有していてもよいアミノ基、またはヒドロキシル基を表すか、R1とR2が結合してR12CHで
【0007】
【化7】
【0008】
{上記式中、R4はそれぞれ独立してカルボキシル基、ハロゲン原子、NO2、CN、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルコキシ基または−CONHR5(式中,R5は水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4アルキル基を表す。)を表し、Xは−NH−または−O−を表し、pは0〜3の整数を表し、mは1または2を表し、nおよびrは0、1または2を表し、qは0または1を表す。但し、2≦m+n+r+q≦4である。またq=1でありかつn≠0のときはm≦n−1である。}を表し、R3はメチル基、エチル基またはt-ブチル基を表す] で表される(RS)-アミド化合物と反応させ、加水分解により生成した下記一般式(II)
【0009】
【化8】
【0010】
(上記一般式(II)中、R1およびR2既に定義した通り。)で表される(R)-カルボン酸及び下記一般式(III)
【0011】
【化9】
【0012】
(上記一般式(III)中、R1、R2およびR3は既に定義した通り。)で表される加水分解されなかった(S)-アミド化合物を得、次いでこれを単離することを特徴とする、(R)-カルボン酸及び(S)-アミド化合物を製造する方法に存する。
上記一般式(I)、(II)および(III)におけるR1 で定義される直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、n−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、好ましくは直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C5のアルキル基であり、直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C10のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C5のアルケニル基であり、直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C10のアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられ、好ましくは直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C5のアルキニル基が挙げられる。なお、これらの基はカルボキシル基、ハロゲン、NO2、CN、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルコキシ基および−CONHR6(式中、R6は水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4アルキル基を表す)からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい。
【0013】
上記一般式(I)、(II)および(III)におけるR2で定義される直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C5のアルキル基を有していてもよいアミノ基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、n−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基等を有していてもよいアミノ基があげられ、アミノ基に置換している直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C5のアルキル基は更にカルボキシル基、ハロゲン、NO2、CN、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルコキシ基および−CONHR7(式中、R7は水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4アルキル基を表す)からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい。
また、上記一般式(I)、(II)および(III)におけるR1とR2が結合したR12CHである
【0014】
【化10】
【0015】
としては置換基を有していてもよいアジリジニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、モルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、好ましくはピペラジニル基である。これらの置換基としては、カルボキシル基、ハロゲン原子、NO2、CN、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基および−CONHR5(式中,R5は水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4アルキル基を表す)が挙げられる。
本発明の好ましい実施の形態としては、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433(工業技術院生命工学工業技術研究所における受託番号:FERM−P16169)及びシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434(工業技術院生命工学工業技術研究所における受託番号:FERM−P16170)から選ばれる菌体及び/または該菌体処理物を、下記一般式(I)
【0016】
【化11】
【0017】
[上記一般式(I)中、R1とR2が結合してR12CHで
【0018】
【化12】
【0019】
{上記式中、R4はそれぞれ独立してカルボキシル基、ハロゲン原子、NO2、CN、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1 〜C4 のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルコキシ基または−CONHR5(式中、R5は水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4アルキル基を表す。)を表し、Xは−NH−または−O−を表し、pは0〜3の整数を表し、mは1または2を表し、nおよびrは0、1または2を表し、qは0または1を表す。但し、2≦m+n+r+q≦4である。またq=1でありかつn≠0のとき、m≦n−1である。}を表し、R3はt-ブチル基を表す] で表される(RS)-アミド化合物と反応させ、加水分解により生成した下記一般式(II)
【0020】
【化13】
【0021】
(上記一般式(II)中、R1およびR2既に定義した通り。)で表される(R)-カルボン酸もしくは下記一般式(III)
【0022】
【化14】
【0023】
(上記一般式(III)中、R1、R2およびR3は既に定義した通り。)で表される加水分解されなかった(S)-アミド化合物を単離することにより、(R)-カルボン酸または(S)-アミド化合物を製造する方法が挙げられる。
本発明で使用する微生物としては、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433及びシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434が挙げられる。なお、微生物を使用するさいは、菌体のままでもよいし、該菌体の処理物でもよいし、菌体と該菌体処理物を併せて使用してもよい。
シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433及びシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434を用いた場合、反応液又は培養液中の加水分解により生成した(R)-カルボン酸または加水分解されなかった(S)-アミド化合物を溶媒抽出、クロマトグラフィー等の常法により単離することにより光学分割を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する微生物としては、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433及びシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434が挙げらる。これらの微生物は本発明者等により、海洋に生息するイボ鯛の一種の魚の腸から分離された細菌であり、工業技術院生命工学工業技術研究所にそれぞれ生命工研菌寄9生寄文第521号(FERM−P16169)、及び9生寄文522号(FERM−P16170)として寄託されている。また、上記微生物は、UV照射、N−メチル−N’−ニトロソグアニジン(NTG)処理、エチルメタンスルホネート(EMS)処理、亜硝酸処理、アクリジン処理等による変異株、あるいは細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法により誘導される組換え株などのいずれの株であってもよい。
【0025】
シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433及びシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434の分類学的性質を以下に示す。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
5.化学分類学的性質 MCI3433 MCI3434
(1)主要なイソプレノイドキノン ユビキノン Q9 ユビキノン Q9
6.分類学的考察
(1)高次の同定
本菌株 MCI3433及び3434株は1)グラム陰性桿菌、2)好気性、3)芽胞を形成しない、4)単極鞭毛による運動性を有する、5)主要なイソプレノイドキノンはユビキノンQ9を有するなどの特徴を持っている。これらの特徴から、本菌株はバージェイズマニュアル・システマティック・バクテリオロジー[Bergey's Manual of Systematic Bacteriology] 第1巻、140〜219頁(1984)に記載されているシュードモナダーシ科(Pseudomonadaceae)に帰属することが示唆された。
【0030】
(2)属及び種の同定
現在、シュードモナダーシ科(Pseudomonadaceae)にはシュードモナス属(Pseudomonas)、キサントモナス属(Xanthomonas)、ズーグレア属(Zoogloea)及びフラトリア属(Frateuria)の4属が含まれている。この内、本菌株はユビキノンQ9を持つことから、シュードモナス属(Pseudomonas)の特徴に一致することが分かった。さらにキサントモナス属(Xanthomonas)とは黄色色素の生成、ズーグレア属(Zoogloea)とはウレアーゼの産生、フラトリア属(Frateuria)とはオキシダーゼの産生および酸耐性の点でも明らかに区別された。
【0031】
バージェイズマニュアル・システマティック・バクテリオロジーではシュードモナス属(Pseudomonas)をRNA−DNA相同性をもとにグルーピングしており、ユビキノンQ9をもつ菌群はシュードモナス エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)を含む多数の種から成っている。そこで本菌株の種の帰属を明らかにするため、16S rDNA(大腸菌ナンバー8〜1540)1533塩基の配列を決定した。得られた塩基配列についてデータベース検索を行い、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する菌種との系統関係を図 に示した。図に示すように本菌株MCI3433及び3434株はシュードモナス タエトロレンス(Pseudomonas taetrolens)に最も近縁であったが、種レベルで区別されると思われ、種の特定はできなかった。また、MCI3433株と3434株は近接した一つの系統枝を形成し、種レベルで同一と思われるが、マンニトール及びN−アセチルグルコスアミンの資化性で異なることから、明らかに区別された。
以上のことから、本菌株MCI3433及び3434株をシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)と同定し、それぞれFERM−P16169、及びFERM−P16170として工業技術院生命工学工業研究所に寄託した。
【0032】
本発明の製造方法においては、上記微生物が菌体及び/または菌体処理物として用いられる。具体的には、上記微生物を培養して得られた菌体をそのまま、あるいは培養して得られた菌体を公知の手法で処理したもの、即ち、アセトン処理したもの、凍結乾燥処理したもの、菌体を物理的または酵素的に破砕したもの等の菌体処理物を用いることができる。また、これらの菌体または菌体処理物から、上記一般式(I)で表される(RS)-アミド化合物のアミド結合に作用しこれを一般式(II)で表される(R)-カルボン酸へ変換する能力を有する酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出して用いることも可能である。さらには、このようにして得られた菌体、菌体処理物、酵素画分等をポリアクリルアミドゲル、カラギーナンゲル等の担体に固定化したもの等を用いることも可能である。そこで本明細書において、「菌体及び/または該菌体処理物」の用語は、上述の菌体、菌体処理物、酵素画分、及びそれらの固定化物全てを含有する概念として用いられる。
【0033】
次に、本発明の製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法において微生物は、通常、培養して用いられるが、この培養については常法通り行うことができる。本微生物の培養の為に用いられる培地には本微生物が資化しうる炭素源、窒素源、及び無機イオン等が含まれる。炭素源としては、グルコース等の炭水化物、グリセロール等のアルコール類、有機酸その他が適宜使用される。窒素源としては、NZアミン、トリプトース、酵母エキス、ポリペプトン等の有機窒素源、硫酸アンモニウム、尿素等の無機窒素源その他が適宜使用される。無機イオンとしては、リン酸イオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、モリブデンイオンその他が必要に応じ適宜使用される。更に、イノシトール、パントテン酸、ニコチン酸アミドその他のビタミン類を必要に応じ添加することは有効である。以上の成分以外にも、ピペラジンカルボン酸やピラジンアミド、ピペラジンアミド、ピコリンアミド、n−ブチロニトリル、n−ブチルアミド、iso−ブチロニトリル、iso−ブチルアミド、クロトンニトリル、クロトンアミド、メタクリロニトリル、メタクリルアミドなどのニトリル化合物やアミド化合物、好ましくはピラジンアミドやピコリンアミドやピペラジンアミドを加えることにより、高活性が得られることもある。また、炭素源、窒素源として上記のニトリル化合物やアミド化合物を用いることもできる。培養は、好気的条件下に、pH6〜8、温度10〜35℃の適当な範囲に制御しつつ10〜100時間行う。
【0034】
上記一般式(I)で表される(RS)-アミド化合物に上記微生物を作用させて有機酸を製造する方法として、本微生物を培養し、得られた菌体懸濁液に上記一般式(I)で表される(RS)-アミド化合物を添加し反応させ有機酸を得る方法、培地に上記一般式(I)で表される(RS)-アミド化合物を添加し培養と反応を同時に行う方法、あるいは培養終了後、上記一般式(I)で表されるアミド化合物を添加して更に反応を行う方法等を用いることができる。反応温度は15〜40℃が好ましく、pH5〜12の範囲である。上記一般式(I)で表される(RS)-アミド化合物濃度は0.1〜10%の範囲が望ましく、必要ならば上記一般式(I)で表される(RS)-アミド化合物は反応の間、追補添加される。また、必要に応じて金属イオンを添加することにより反応が促進される場合がある。
【0035】
培養及び反応で得られた(R)-カルボン酸または未反応の(S)-アミド化合物の採取方法としては溶媒抽出、クロマトグラフィー等、通常の分離・精製方法により行うことができる。例えば、アミド化合物はクロロホルムや酢酸エチル等を用いた溶媒抽出により抽出できる。また逆相カラムを用いれば、水とメタノールやアセトニトリル等の溶媒との混合液で、カルボン酸と未反応のアミド化合物を各々単独で溶出させることも可能である。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、その要旨を越えない限り本発明の技術分野における通常の変更をすることができる。
実施例1
魚肉エキス10.0g/L,DL-リンゴ酸ナトリウム10.0g/L,リン酸2カリウム 3.0g/L,リン酸1カリウム 1.0g/L(pH7.0)の組成からなる液体培地100mLに、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3434株を接種し、25℃で8時間好気的に培養した。得られた培養液を遠心分離し、菌体を集め25mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で洗浄した。これに(RS)-N-t-ブチルピペラジン-2-カルボキサミド5.0g/Lを含む25mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)を加え、全量を10mLとし30℃で撹拌し48時間反応させた。反応終了後、反応液を塩化ナトリウムで飽和した後クロロホルムにて抽出を行った。得られた(S)-N-t-ブチルピペラジン-2-カルボキサミドは21.2mg(99.5%e.e.)であった。なお、水層中の(R)-ピペラジン-2-カルボン酸の蓄積量は1.70g/L(70%e.e.)であった。上記の光学純度は高速液体クロマトグラフィーにより下記の条件で測定した。N-t-ブチルピペラジン−2−カルボキサミドのS体の保持時間は下記分析条件1において8.9分であり、R体の保持時間は11.5分であった。ピペラジン−2−カルボン酸については下記分析条件1においてはS体が2.2分、R体が3.6分であり、分析条件2においてはS体が5.3分、R体が3.7分であった。得られたN-t-ブチルピペラジン−2−カルボキサミドとピペラジン−2−カルボン酸各々について1H−NMRにて構造確認を行った。N-t-ブチルピペラジン−2−カルボキサミドは(CDCl3,400MHz)条件下で、δ(p.p.m.)=6.75(14,br),2.67〜3.20(74,w),1.33(94,s)であり、ピペラジン−2−カルボン酸2水和物は(D2O,400MHz)条件下で、δ(p.p.m.)=4.11(1H,dd,J=11.2Hz and 3.6Hz),3.22〜3.83(total 6H,w)であった。
【0037】
【0038】
実施例2
シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)MCI3433を実施例1記載の方法により8時間培養した。得られた培養液を遠心分離し、菌体を集め、25mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)100mLに懸濁後再度遠心操作により菌体を集め、10mLになるよう5g/L (RS)-N-t-ブチルピペラジン-2-カルボキサミドを含む25mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)に懸濁し、30℃で撹拌し反応させた。48時間後、本反応液を遠心分離により除菌し、上清を上記高速液体クロマトグラフィー分析条件2により分析したところ、1.35g/Lの(R)-ピペラジン-2-カルボン酸(65%e.e.)が蓄積していた。
【0039】
【発明の効果】
本発明によって、微生物を利用して、加水分解により光学活性な有機カルボン酸の製造及びラセミ体のN−アルキルアミド化合物の光学分割を容易に行うことが可能となった。

Claims (5)

  1. シュードモナス エスピー(Pseudomonassp.)MCI3433(工業技術院生命工学工業技術研究所における受託番号:FERM−P16169)及びシュードモナス エスピー(Pseudomonassp.)MCI3434(工業技術院生命工学工業技術研究所における受託番号:FERM−P16170)から選ばれる微生物の菌体及び/または該菌体処理物を、下記一般式(I)
    [上記一般式(I)中、R1は置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C10のアルキル基、置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C10のアルケニル基、または置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC2〜C10のアルキニル基を表し、R2はハロゲン原子、置換基を有していても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C5のアルキル基を有していてもよいアミノ基、またはヒドロキシル基を表すか、R1とR2が結合してR12CHで
    {上記式中、R4はそれぞれ独立してカルボキシル基、ハロゲン原子、NO2、CN、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルコキシ基または−CONHR5(式中,R5は水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4アルキル基を表す。)を表し、Xは−NH−または−O−を表し、pは0〜3の整数を表し、mは1または2を表し、nおよびrは0、1または2を表し、qは0または1を表す。但し、2≦m+n+r+q≦4である。またq=1でありかつn≠0のときはm≦n−1である}を表し、R3はメチル基、エチル基またはt-ブチル基を表す] で表される(RS)-アミド化合物と反応させ、加水分解により生成した下記一般式(II)
    (上記一般式(II)中、R1およびR2は、既に定義した通り。)で表される(R)-カルボン酸及び下記一般式(III)
    (上記一般式(III)中、R1、R2およびR3は既に定義した通り。)で表される加水分解されなかった(S)-アミド化合物を得、次いでこれを単離することを特徴とする、(R)-カルボン酸及び(S)-アミド化合物の製造方法。
  2. 12CHが
    (上記式中、R4はそれぞれ独立してカルボキシル基、ハロゲン原子、NO2、CN、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4のアルコキシ基または−CONHR5(式中,R5は水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のC1〜C4アルキル基を表す。)を表し、Xは−NH−または−O−を表し、pは0〜3の整数を表し、m、nおよびrは0、1または2を表し、qは0または1を表す。但し、2≦m+n+r+q≦4である。)を表し、R3がt-ブチル基を表すことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 12CHがピペラジニル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. シュードモナス エスピー (Pseudomonas sp.)MCI3433(FERM−P16169)
  5. シュードモナス エスピー (Pseudomonas sp.)MCI3434(FERM−P16170)
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