JP3261336B2 - 光学活性アミノ酸の製造法 - Google Patents

光学活性アミノ酸の製造法

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JP3261336B2
JP3261336B2 JP12470097A JP12470097A JP3261336B2 JP 3261336 B2 JP3261336 B2 JP 3261336B2 JP 12470097 A JP12470097 A JP 12470097A JP 12470097 A JP12470097 A JP 12470097A JP 3261336 B2 JP3261336 B2 JP 3261336B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物の作用により
フマール酸とアミノ基を有する化合物から光学活性アミ
ノ酸を製造する方法に関する。光学活性アミノ酸は医農
薬合成中間体として重要であると共に、重金属を補足す
るという特異な性質を有し、光学活性であることから自
然界に放出された後に生分解を受け易いなどの可能性が
期待できるため、キレート剤や洗剤用ビルダーなどの用
途が見込まれる。
【0002】
【従来の技術】後記一般式〔2〕で示されるアミノ酸の
光学異性体混合物は有機合成的手法により各種のアミン
とマレイン酸またはフマール酸から容易に合成すること
ができるが、光学活性アミノ酸の場合には、その有機合
成的手法の出発原料として光学活性アスパラギン酸など
が必要となる。例えば、ジアミノアルキレン−N,N’
−ジコハク酸は分子内に2個の不斉炭素を有する化合物
であるが、その立体異性体混合物(S,S−、R,R
−、meso−体)は有機合成的手法によりマレイン酸
と各種のジアミンから〔米国特許第3,158,635 号参
照〕、また、その光学活性体はL−アスパラギン酸とジ
ブロムエタンから〔John A. Neal et al. Inorganic Ch
em. , 2405 (1968) 参照〕各々製造できるとの報告が
ある。しかし、L−アスパラギン酸やジブロムエタンか
らの製法では、製造原料が比較的高価であるため、安価
で汎用性のある光学活性体を供給することは困難であ
る。
【0003】一方、微生物によるジアミノアルキレン−
N,N’−ジコハク酸の製造に関しては、例えば、S,
S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸が放線菌
MG417−CF17株の培養液からホスホリパーゼC
の特異的阻害剤として単離同定されている〔T. Nishiki
ori et al., J. Antibiotics 37, 426 (1984) 参照〕。
しかし、この放線菌による生産性は極めて低く工業的製
法とはなり難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、本発明者
らは、先にフマル酸と各種ジアミンから微生物の触媒作
用を利用して効率よく光学活性ジアミノアルキレン−
N,N’−ジコハク酸などを製造する新規な方法を提案
している〔特願平8-79404 号明細書参照〕。本発明は、
同方法の菌体当りの活性および生産性をさらに向上させ
ることを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、反応系にマグネシ
ウムイオンを存在させることにより、菌体および酵素に
よる光学活性アミノ酸の生産活性が飛躍的に改善される
ことを見い出し本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明は、下記一般式〔1〕で
示されるアミノ基を有する化合物とフマール酸の混合物
にリアーゼ活性を有する微生物または該処理物を作用さ
せ、下記一般式〔2〕で示される光学活性アミノ酸を製
造するに際し、該反応系にマグネシウムイオンを存在さ
せることを特徴とする光学活性アミノ酸の製造法、であ
る。
【0007】
【0008】〔式中、R1 およびR2 は、互いに同一で
も異なっていてもよく、それぞれ水素原子(但し、R1
とR2 は共に水素原子であることはない)、アミノ基も
しくはカルボキシル基で置換されたアルキル基、アミノ
基で置換されたシクロアルキル基またはアミノ基で置換
されたアリール基、R3 およびR4 はR1 とR2 と同一
またはR1 とR2 のアミノ基の少なくとも1個がその窒
素原子を介してコハク酸のエチレン基の炭素原子と結合
した構造を有する基を表す〕
【0009】一般式〔1〕において、好ましくはR1
2 の少なくとも1つはアミノ基で置換されたアルキル
基、アミノ基で置換されたシクロアルキル基またはアミ
ノ基で置換されたアリール基である。
【0010】さらに、一般式〔1〕で示されるアミノ基
を有する化合物および一般式〔2〕で示される光学活性
アミノ酸が、それぞれ下記一般式〔3〕および〔4〕で
示される場合がより好ましい。
【0011】
【0012】式中、R5 はアルキレン基、シクロアルキ
レン基またはフェニレン基を表す。一般式〔3〕および
〔4〕において、好ましくはR5 はアルキレン基であ
る。
【0013】上記したところを要旨とする本発明の反応
機構は、以下のように考えられる。まず最初に、リアー
ゼ活性を有する微生物または該処理物の作用によりフマ
ル酸と一般式〔1〕で示されるアミノ基を有する化合物
から一般式〔2〕で示される光学活性アミノ酸が生成
し、次いで、生成した該光学活性アミノ酸が基質である
フマル酸や一般式〔1〕で示されるアミノ基を有する化
合物に比べて反応系に存在するマグネシウムイオンに、
より強く配位し、安定な錯体を形成することにより、化
学平衡点が生成側に移動する。すなわち、光学活性アミ
ノ酸が生成する平衡反応に、安定な錯体を形成する平衡
反応が加わることにより、遊離の光学活性アミノ酸とそ
の金属錯体の総和としての収率が、マグネシウムイオン
を存在させない場合に比べて向上するものと推察され
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明におけるマグネシウムイオ
ン源としては、反応系が水性であるところより、硫酸
塩、塩酸塩、硝酸塩、水酸化物等の水溶性のマグネシウ
ム化合物を使用することがふつうである。また、本反応
における基質、生成物はキレート能を有し、難溶性のマ
グネシウム化合物を用いても相当量が可溶化されるた
め、炭酸塩、燐酸塩などの難溶性のマグネシウム化合物
を用いることも可能である。その他、マグネシウムイオ
ン存在下で培養または処理された菌体または該菌体処理
物を用いることもできる。
【0015】一般式〔1〕で示されるアミノ基を有する
化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−
プロパンジアミン、2−メチル−1,3−プロパンジア
ミン、1,2−シクロヘキシレンジアミン、1,3−シ
クロヘキシレンジアミン、1,4−シクロヘキシレンジ
アミン、1,3−フェニレンジアミンおよび1,4−フ
ェニレンジアミン等のジアミン、グリシン、イミノジ酢
酸、3−アミノプロピオン酸、3,3−イミノジプロピ
オン酸、グルタミン酸等のモノアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチルペンタミンおよびペンタエチレ
ンヘキサミン等のポリアミンなどを挙げることができ
る。
【0016】また、本発明で得られる一般式〔2〕で示
される光学活性アミノ酸としては、S,S−体のエチレ
ンジアミン−N,N’−ジコハク酸、1,3−プロパン
ジアミン−N,N’−ジコハク酸、2−メチル−1,3
−プロパンジアミン−N,N’−ジコハク酸、1,2−
シクロヘキシレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、
1,3−シクロヘキシレンジアミン−N,N’−ジコハ
ク酸、1,4−シクロヘキシレンジアミン−N,N’−
ジコハク酸、1,3−フェニレンジアミン−N,N’−
ジコハク酸および1,4−フェニレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸、ならびにS−体のアスパラギン酸−
N−モノ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、アス
パラギン酸−N−モノプロピオン酸、アスパラギン酸−
N,N−ジプロピオン酸およびアスパラギン酸−N−2
−グルタール酸などを挙げることができる。
【0017】一般式〔1〕で示されるアミノ基を有する
化合物は、好ましくはジアミン、特に好ましくはアルキ
レンジアミンであり、一般式〔2〕で示される光学活性
アミノ酸はこれらのジアミンに対応するものである。と
りわけ、一般式〔1〕で示されるアミノ基を有する化合
物がエチレンジアミンであり、一般式〔2〕で示される
光学活性アミノ酸がS,S−エチレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸である場合が最も好ましい。
【0018】前記のとおり、本発明は、マグネシウムイ
オンにより化学平衡点を基質側から生成物側に移動させ
ることに基づくと考えられる。通常、化学平衡点は触媒
の種類に左右されないため、本発明における化学平衡点
は、副反応やその他の反応が関わらない限り、すべての
触媒について一定の値を示す。こことは、本発明の実施
例および参考例によって立証される。したがって、本発
明の触媒であるリアーゼは、いずれの微生物由来である
かは、それが光学活性アミノ酸を生成する能力を有する
限り、特に限定されない。
【0019】本発明で使用される微生物としては、例え
ば、ハフニア(Hafnia)属、バークホルデリア(Burkho
lderia)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュ
ードモナス(Pseudomonas)属、アースロバクター(Arth
robacter)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィ
ンゴモナス(Sphingomonas)属、ブレブンジモナス(Br
evundimonas)属等の細菌を挙げることができる。具体的
には、Hafnia alvei ATCC9760株、Burkholder
ia sp.KK−5株〔FERM BP−5412〕、同K
K−9株〔FERM BP−5413〕、Acidovorax s
p.TN−51株〔FERM BP−5416〕、Pseudo
monas sp. TN−131株〔FERM BP−541
8〕、Arthrobacter sp.KK−3株〔FERM BP−
5414〕、Paracoccus sp.KK−6株〔FERM B
P−5415〕、Sphingomonas sp.TN−28株〔FE
RM BP−5419〕、Brevundimonas sp. TN−3
0株〔FERM BP−5417〕および同TN−3株
〔FERM BP−5886〕を挙げることができる。
【0020】上記細菌のうち、ATCC9760株は公
知であり、アメリカン タイプカルチャー コレクショ
ン(ATCC)から容易に入手することができる。その
他の細菌は、本発明者らにより自然界から新たに分離さ
れ、上記番号にて通産省工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されている。本菌の菌学的性質は以下に示す
通りである。
【0021】 菌学的性質 KK−5株 KK−9 形態 桿菌 桿菌 グラム染色 − − 胞子 − − 運動性 + + 鞭毛 極多毛 極多毛 酸素に対する態度 好気性 好気性 オキシダーゼ + + カタラーゼ + + OFテスト O O 蛍光色素の生成 − − キノン系 Q−8 Q−8 蛍光色素の生成 − − 硝酸塩還元 − + インドール生成 − − アルギニンジヒドロラーゼ − − 尿素分解 − − エスクリン分解 − − ゼラチン液化 − − PNPG + − キシロースからの酸生成 + + 資化性 グルコース + + L−アラビノース + + D−マンノース + + D−マンニトール + + マルトース − − グルコン酸カリウム + + n−カプリン酸 + + アジピン酸 − − dl−リンゴ酸 + + クエン酸 + − 酢酸フェニル + +
【0022】
【0023】
【0024】 KK−3株 形態 多形性桿菌 グラム染色性 + 胞子 − 運動性 − 酸素に対する態度 好気性 オキシダーゼ − カタラーゼ + 集落の色調 特徴的色素を生成せず 抗酸性 − rod-coccus cycle + 集落の周辺の伸長 認めず 細胞壁のジアミノ酸 リジン グリコリル試験 −(アセチル型) 細胞壁のアラビノ・ −(全細胞の酸加水分解 ガラクタンポリマー 物を用いて推定) キノン系 MK−9(H2 ),8(H2 ) DNAのGC含量(モル%) 65(HPLC法)
【0025】
【0026】
【0027】 TN−30株 TN−3株 形態 桿菌 桿菌 グラム染色性 − − 胞子 − − 運動性 + + 鞭毛 極毛 極毛 酸素に対する態度 好気性 好気性 オキシダーゼ + + カタラーゼ + + OFテスト − − 集落の色調 特徴的色素 特徴的色素 を生成せず を生成せず 蛍光色素の生成 − − PHBの蓄積 + + 栄養要求性 有り 有り キノン系 Q−10 Q−10 硝酸塩還元 + + インドール生成 − − アルギニンジヒドロラーゼ − − 尿素分解 − − エスクリン分解 − − ゼラチン液化 − − PNPG − − 資化性 グルコース − − L−アラビノース − − D−マンノース − − D−マンニトール − − N−アセチル− − − D−グルコサミン マルトース − − グルコン酸カリウム + + n−カプリン酸 − − アジピン酸 + + dl−リンゴ酸 − + クエン酸 + + 酢酸フェニル − −
【0028】上記菌学的性質を、Bergey's Manual of S
ystematic Bacteriology Vol.1(1984)および Bergey's
Manual of Determinative Bacteriology 9版(1994)によ
り分類するとKK−5株およびKK−9株はバークホル
デリア(Burkholderia)属に、TN−51株はアシドボ
ラックス(Acidovorax)属に、TN−131株はシュー
ドモナス(Pseudomonas)属に、Bergey's Manual of Sys
tematic BacteriologyVol.2(1986)により分類するとK
K−3はアースロバクター(Arthrobacter)属に、Berg
ey's Manual of Systematic Bacteriology Vol.1(1984)
により分類するとKK−6株はパラコッカス(Paracocc
us)属に、Bergey's Manual of Determinative Bacteri
ology 9版(1994)および Microbiol. Immunol. 34, 99
(1990)により分類するとTN−28株はスフィンゴモナ
ス(Sphingomonas)属に、また、Bergey's Manual of D
eterminative Bacteriology 9版(1994)ならびに Int.
J.Syst. Bacteriol. 44, 499(1994)により分類すると
TN−30株およびTN−3株はブレブンジモナス(Br
evundimonas)属に属する細菌と同定された。
【0029】次に本発明の一般的実施態様について説明
する。本発明で使用される細菌の培養液には何ら特別の
制限がなく、資化しうる炭素源、窒素源、無機塩、更に
微量の有機栄養物などを適当に含有するものであれば合
成培地、天然培地のいずれでもよい。また、培養に当っ
ては培地へのエチレンジアミン−N,N’−ジコハク
酸、エチレンジアミン−N−モノコハク酸、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、ヒスチジンなどのアミノ酸やフマ
ル酸等の添加は、目的とする活性の高い菌体が得られる
ことがあり好ましい。培養条件は菌体や培地により異な
るが、培地のpHは4〜10、好ましくは6〜9の範
囲、培養温度は20〜45℃、好ましくは25〜35℃
の範囲で好気的に、活性が最大となるまで1〜10日間
培養すればよい。
【0030】一般式〔2〕で示されるアミノ酸の生産反
応は、前記マグネシウム化合物を含有する水またはトリ
ス緩衝液、Goodの緩衝液、ほう酸緩衝液などの緩衝
液中で、一般式〔1〕で示されるアミノ基を有する化合
物とフマール酸の混合物に前記菌体または該菌体処理物
(乾燥菌体、菌体の破砕物、粗・精製酵素、固定化菌体
・酵素など)を接触させることにより行われるが、菌体
培養液に、一般式〔1〕で示されるアミノ基を有する化
合物とフマール酸を直接添加しても行うことができる。
【0031】反応は、通常、5〜60℃、好ましくは1
0〜45℃の範囲、pH4〜11、好ましくはpH6〜
10の範囲で行う。反応で用いる一般式〔1〕で示され
るアミノ基を有する化合物とフマール酸の濃度は反応温
度やpHにより異なるが、いずれも0.1重量%から飽
和濃度の範囲である。反応液中のマグネシウムイオン濃
度は0.1mM〜飽和濃度、また細菌などの使用量は基
質に対する乾燥菌体換算で、通常、0.01〜5重量%
である。
【0032】反応は回分、連続のいずれの方法でも行う
ことができる。反応終了液からのアミノ酸の採取は除
菌、濃縮、イオン交換樹脂による吸着、晶析などの公知
の手法を用いて行うことができる。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0034】実施例1 (1)培養 Hafnia alveiATCC9760株、Burkholderia sp.K
K−5株、同KK−9株、Acidovorax sp.TN−51
株、Pseudomonas sp. TN−131株、Arthrobacter s
p.KK−3株、Paracoccus sp.KK−6株、Sphingomon
as sp.TN−28株、Brevundimonas sp. TN−30株
および同TN−3株を斜面培地から1白金耳取り、下記
の培地に接種し、30℃、3日間好気的に振とう培養し
た。培地組成(pH7.5,100ml):
【0035】 エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸 0.2g グルコース 0.2g 酵母エキス 0.1g ポリペプトン 0.05g 硫酸マグネシウム・7H2 O 0.1g 硫酸ナトリウム 0.28g 燐酸緩衝液 25mM 金属塩混合物溶液* 0.5ml *金属塩混合物溶液(100ml); 塩化マグネシウム・6H2 O 8g,塩 化カルシウム 0.8g,硫酸マンガン・4H2 O 0.6g,塩化第二鉄・6 H2 O 0.12g,硫酸亜鉛 0.06g
【0036】(2)菌体の取得 菌体培養液20mlを遠心管に取り10,000rp
m、5℃、15分間遠心し菌体を集めた後、50mMほ
う酸緩衝液pH8.0で2回洗浄した。
【0037】(3)反応 反応液は、200mMフマル酸と200mMエチレンジ
アミン、上記菌体を含み、6N水酸化ナトリウムによっ
てpH8.0に調整したものを用い、同様の組成に10
0mMとなるようにマグネシウム塩を添加したものを、
30℃、24時間、振とうしながら反応させ比較した。
反応終了液中の生成物S,S−エチレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸(S,S−EDDS)の定量は、菌体
を15,000rpm、5℃で5分間遠心除去した後の
上清をWAKOSIL 5C8 (和光純薬)〔溶出液;10mM
水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムと0.4mM
CuSO4 を含む50mM燐酸pH2〕および MCI GEL
CRS 10W(三菱化学)〔溶出液;10mM CuS
4 〕による液体クロマトグラフィーで行った。また、
生成物の分離精製は、T, Nishikiori et al., J. Antib
iotics 37, 426, (1984)に記載のイオン交換樹脂を用い
る手法で行い、結晶を取得した後にNMRとマススペク
トルによる分析で化学構造の確認を行った。
【0038】(4)結果
【0039】実施例2 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株、Sphingomonas sp.TN
−28株、Pseudomonas sp. TN−131株、を斜面培
地から1白金耳取り、実施例1記載の培地に接種し、3
0℃、4日間好気的に振とう培養した。
【0040】(2)フマラーゼ等を除去した活性画分の
取得 菌体培養液20mlを遠心管に取り10,000rp
m、5℃、15分間遠心分離し菌体を集めた後、50m
Mリン酸緩衝液で2回洗浄した。得られた菌体に対し5
0W、5分間の超音波処理を行い、10,000rp
m、20分間の遠心分離により粗酵素液を得た。さら
に、60%飽和硫安沈殿、透析による脱塩の後、50m
Mリン酸緩衝液で平衡化されたDEAE−セファセル
〔ファルマシア〕に吸着させ、同緩衝液から、0.6M
食塩を含む同緩衝液までの直線勾配法で溶出させた。さ
らに、必要に応じ、同条件で、DEAE−セファセルの
代わりにHPLC〔TSK-gel DEAE-5PW(東ソー)〕を用
い、フマラーゼ等のフマル酸減少活性をできる限り除去
した画分を得た。
【0041】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、17.1mM硫
酸マグネシウム、上記活性画分を含み、6N水酸化ナト
リウムによってpH8に調整したものを用い、同様の組
成で硫酸マグネシウムを含まないものと、30℃、4〜
10日間、S,S−EDDSの生成がほぼ見られなくな
るまで反応させ比較した。また、6N水酸化ナトリウム
によりpHを8に保った。反応終了液中のS,S−ED
DSは、実施例1と同様の方法で定量した。
【0042】(4)結果
【0043】参考例1 次に、実施例2で得られたS,S−EDDS収量が、平
衡点における収量であることを確かめた。 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株を実施例2記載と同様の
条件で培養した。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例2と同様。
【0044】(3)反応 反応液は、34.2mMS,S−EDDS、200mM
ほう酸緩衝液、17.1mM硫酸マグネシウム、上記活
性画分を含み、6N水酸化ナトリウムによってpH8に
調整したものを用い、同様の組成で硫酸マグネシウムを
含まないものと、30℃、4〜10日間S,S−EDD
Sの分解がほぼ見られなくなるまで反応させ比較した。
また、6N硫酸によりpHを8に保った。反応終了液中
のS,S−EDDSは、実施例1と同様の方法で定量し
た。
【0045】(4)結果
【0046】実施例3 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株を実施例2と同様の条件
で培養した。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例2と同様。
【0047】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、表4に記した濃
度の硫酸マグネシウム、上記活性画分を含み、、6N水
酸化ナトリウムによってpH8に調整したものを用い、
30℃、4〜10日間、S,S−EDDSの生成がほぼ
見られなくなるまで反応させ比較した。また、6N水酸
化ナトリウムによりpHを8に保った。反応終了液中の
S,S−EDDSは、実施例1と同様の方法で定量し
た。
【0048】(4)結果
【0049】実施例4 (1)培養 実施例3と同様。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例2と同様。
【0050】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、51.3mM硫
酸マグネシウム、上記活性画分を含み、、6N水酸化ナ
トリウムによってpH8に調整したものを用い、同様の
組成で硫酸マグネシウムを含まないものと、20、3
0、40℃、4〜10日間,S,S−EDDSの生成が
ほぼ見られなくなるまで反応させ比較した。また、6N
水酸化ナトリウムによりpHを一定に保った。反応終了
液中のS,S−EDDSは、実施例1と同様の方法で定
量した。
【0051】(4)結果
【0052】実施例5 (1)培養 実施例3と同様。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例2と同様。
【0053】(3)反応 反応液は、68.4mMフマル酸と34.2mMエチレ
ンジアミン、200mMほう酸緩衝液、51.3mM硫
酸マグネシウム、上記活性画分を含み、、6N水酸化ナ
トリウムによってpH6、7、8、9に調整したものを
用い、同様の組成で硫酸マグネシウムを含まないもの
と、30℃、4〜10日間、S,S−EDDSの生成が
ほぼ見られなくなるまで反応させ比較した。また、6N
水酸化ナトリウムによりpHを一定に保った。反応終了
液中のS,S−EDDSは、実施例1と同様の方法で定
量した。
【0054】(4)結果
【0055】実施例6 (1)培養 実施例3と同様。 (2)フマラーゼ等を除去した活性画分の取得 実施例2と同様。
【0056】(3)反応 反応液は、表7に記した濃度のフマル酸、エチレンジア
ミン、水酸化マグネシウム、上記活性画分を含み、6N
水酸化ナトリウムによってpH8.5に調整したものを
用い、30℃、10〜30日間、S,S−EDDSの生
成がほぼ見られなくなるまで反応させ比較した。また、
6N水酸化ナトリウムによりpHを8.5に保った。反
応終了液中のS,S−EDDSは、実施例1と同様の方
法で定量した。
【0057】(4)結果
【0058】実施例7 (1)培養 Brevundimonas sp. TN−3株および Acidovorax sp.
TN−51株を実施例1と同様の条件で培養した。 (2)菌体の取得 実施例1と同様。
【0059】(3)反応 反応液は、200mMのフマル酸、200mMの1,3
−プロパンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,
3−シクロヘキシレンジアミンまたは1,3−フェニレ
ンジアミン、100mMの硫酸マグネシウムおよび上記
菌体を含み、6N水酸化ナトリウムによってpH8.0
に調整したものを用い、同様の組成で硫酸マグネシウム
を含まないものと、30℃、24時間、振とうしながら
反応させ比較した。反応終了液中の生成物の定量および
化学構造の確認は実施例1と同様の方法で行った。
【0060】(4)結果
【0061】
【発明の効果】フマル酸とアミノ基を有する化合物から
細菌の作用により光学活性アミノ酸を製造するに際し、
マグネシウムイオンを存在させることにより飛躍的に収
率を向上させることができ、工業的に有利な光学活性ア
ミノ酸の製造法を提供し得る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 13/04 (C12P 13/04 C12R 1:06) C12R 1:06) 微生物の受託番号 FERM BP−5417 微生物の受託番号 FERM BP−5886 前置審査 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 13/00 - 13/24 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物または該処理物の有するリアーゼ
    の触媒作用により、下記一般式(1)で示されるアミノ
    基を有する化合物とフマール酸の混合物を下記一般式
    (2)で示される光学活性アミノ酸に変換する反応にお
    いて、該反応系にマグネシウムイオンを存在させること
    を特徴とする光学活性アミノ酸の製造法。 【化1】 〔式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
    てもよく、それぞれ水素原子(但し、R1 とR2 は共に
    水素原子であることはない)、アミノ基もしくはカルボ
    キシル基で置換されたアルキル基、アミノ基で置換され
    たシクロアルキル基またはアミノ基で置換されたアリー
    ル基、R3 およびR4 はR1 とR2 と同一またはR1
    2 のアミノ基の少なくとも1個がその窒素原子を介し
    てコハク酸のエチレン基の炭素原子と結合した構造を有
    する基を表す〕 【化2】 〔式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
    てもよく、それぞれ水素原子(但し、R1 とR2 は共に
    水素原子であることはない)、アミノ基もしくはカルボ
    キシル基で置換されたアルキル基、アミノ基で置換され
    たシクロアルキル基またはアミノ基で置換されたアリー
    ル基、R3 およびR4 はR1 とR2 と同一またはR1
    2 のアミノ基の少なくとも1個がその窒素原子を介し
    てコハク酸のエチレン基の炭素原子と結合した構造を有
    する基を表す〕
  2. 【請求項2】 R1 とR2 の少なくとも1つがアミノ基
    で置換されたアルキル基、アミノ基で置換されたシクロ
    アルキル基またはアミノ基で置換されたアリール基であ
    る請求項1記載の光学活性アミノ酸の製造法。
  3. 【請求項3】 一般式(1)で示されるアミノ基を有す
    る化合物が下記一般式(3)で示され、および一般式
    (2)で示される光学活性アミノ酸が下記一般式(4)
    で示される請求項1記載の光学活性アミノ酸の製造法。 【化3】 〔式中、R5 はアルキレン基、シクロアルキレン基また
    はフェニレン基を表す〕 【化4】 〔式中、R5 はアルキレン基、シクロアルキレン基また
    はフェニレン基を表す〕
  4. 【請求項4】 一般式(3)で示されるアミノ基を有す
    る化合物が炭素数2〜4のアルキレンジアミンであり、
    一般式(4)で示される光学活性アミノ酸が対応する
    S,S−アルキレンジアミン−N,N’−ジコハク酸で
    ある請求項3記載の光学活性アミノ酸の製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(3)で示されるアミノ基を有す
    る化合物がエチレンジアミンであり、一般式(4)で示
    される光学活性アミノ酸がS,S−エチレンジアミン−
    N,N’−ジコハク酸である請求項4記載の光学活性ア
    ミノ酸の製造法。
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