JP2000212874A - 機能性繊維、その製造方法及び機能性繊維の加工溶液 - Google Patents

機能性繊維、その製造方法及び機能性繊維の加工溶液

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JP2000212874A JP880599A JP880599A JP2000212874A JP 2000212874 A JP2000212874 A JP 2000212874A JP 880599 A JP880599 A JP 880599A JP 880599 A JP880599 A JP 880599A JP 2000212874 A JP2000212874 A JP 2000212874A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗菌、消臭、抗炎症、抗アレルギー、痩身、
引き締め、保湿、抗酸化、美白、血行促進などの機能性
を有し、しかも直接皮膚に接する繊維製品とする時、そ
れらの機能が皮膚に対して保護又は働きかける機能性を
有し、しかも耐洗濯性に優れ、風合いの柔軟な機能性繊
維及びその製造方法を提供する。 【構成】 抗菌、消臭、抗炎症、抗アレルギー、痩身、
引き締め、保湿、抗酸化、美白、血行促進などの効果を
有する機能性物質と、加水分解コラーゲン、加水分解絹
フィブロイン、加水分解羊毛ケラチンなどの加水分解タ
ンパク質及び架橋剤とを併用した加工溶液を繊維に付与
する。そしてこれを乾燥、加熱処理することにより、機
能性物質を効果的に繊維に固着させる。更には、使用す
る加水分解タンパク質の中でも低分子と高分子を併用す
ることにより、更に効率的に固着させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直接皮膚に接する
肌着、衣料又はこれらを構成する繊維などに、抗菌、消
臭、抗炎症、抗アレルギー、痩身、引き締め、保湿、抗
酸化、美白、血行促進効果などの効果を有する機能性物
質を風合いを損なうことなく効率的に固着させ、且つ耐
洗濯性に優れた機能性繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維そのものにない性質を持
たせたり、繊維の欠点を向上又は解消させることを目的
とし、繊維の機能的加工に対する取り組みが行われてき
た。例えば、抗菌、消臭、保湿(吸水)効果などを持た
せた機能性繊維がある。これらの製造法としては、繊維
に抗菌剤、消臭剤、保湿剤などの機能性物質を塗布し、
乾燥させる方法がとられてきた。しかし、これらの機能
性物質は、繊維表面に付着しているだけで、洗濯をすれ
ば機能性物質は容易に脱離してしまい、その効果はほと
んどなくなってしまうため、この方法による加工は簡単
であるが持続性において全く効果的ではなかった。
【0003】そこで、上記機能性物質をより効率的に付
着させる方法として、接着剤又は架橋剤を併用してより
強固に付着(以下、固着とする)させる方法があり、例
えば、特開平7−166469号公報、特開平2−30
0301号公報など多数開示されている。これらの方法
を用いれば、機能性物質を繊維に塗布し、乾燥させる方
法に比べ、より効果的に固着させることができ、耐洗濯
性が向上する。しかし、架橋剤のみでは機能性物質を十
分に固着できず、しかも耐洗濯性が劣るという欠点があ
った。このため、少量の樹脂系の接着剤を併用して固着
率や耐洗濯性を上げる方法が開発されている。この方法
により、機能性物質の固着率が高くなる一方、繊維の風
合いが著しく硬くなり、ゴワゴワ感、ザラザラ感が残る
など、実使用において問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するものであり、直接皮膚に接する肌着、
衣料又はこれらを構成する繊維などに、抗菌、消臭など
繊維の状態を維持させる効果、又は抗炎症、抗アレルギ
ー、痩身、引き締め、保湿、抗酸化、美白、血行促進な
ど人体の皮膚を保護又は皮膚に働きかける効果を有し、
風合いを損ねることなく、且つ機能性物質の効果の持続
性、特に洗濯に対しての耐久性に優れた機能性繊維及び
その製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は機能性物質、加水分解タンパ
ク質及び架橋剤の混合液(以下、加工溶液とする)を繊
維に作用させることにより、機能性物質を加水分解タン
パク質及び架橋剤とを併用して固着させた繊維及びその
製法を特徴とするものである。しかも、加水分解タンパ
ク質の中でも、低分子量と高分子量の加水分解タンパク
質を併用することにより、機能性物質を更に効果的に固
着できることも特徴である。また、本発明で用いる固着
とは、主として機能性物質が加水分解タンパク質及び架
橋剤で繊維に強固に付着していることを意味する。
【0006】また、機能性物質が固着した機能性繊維
は、機能性物質が少なからず繊維表面に露出しており、
これに皮膚が接触することで機能性物質が皮膚表面に働
きかけたり、皮膚表面を保護又は健やかに保つことがで
きる。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける繊維としては、天然繊維、化学繊維、合成繊維な
どの繊維素材、綿状品、トウ、トップ、糸、不織布、織
物、編み物など各種の形態の中間品、縫製最終品を含
む。縫製最終品としては、パンツ、ブラジャー、シャ
ツ、ソックス、パンティーストッキング、ガードルなど
の肌着類、ズボン、スカートなどの衣服、タオル、ハン
カチ、手袋、布団、じゅうたん、枕カバーなどがあげら
れる。また、これらの繊維の中でも、特に直接肌に接す
る上記肌着類などの縫製最終品又はこれらを構成する繊
維が好ましい。
【0008】上記の繊維の種類としては、木綿、羊毛、
絹、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの化
学繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル
などの合成繊維があげられる。これらの繊維は一種を単
独又は二種以上を混紡したものであってもよい。その中
でも、固着度の点において、木綿、羊毛、絹、ナイロ
ン、ポリウレタン、ポリエステルが好ましい。
【0009】機能性物質とは、繊維に固着、吸着又は結
合などの付与を行うことにより、繊維に有用な機能をも
たらす物質を意味し、この機能性物質を付与した繊維を
機能性繊維という。機能性物質としては、繊維加工分野
で用いられている機能性物質のほか、化粧品分野で用い
られているスキンケアを目的とした物質などがあげられ
る。中でも、抗菌、消臭、抗炎症、抗アレルギー、痩
身、引き締め、保湿、抗酸化、美白、血行促進剤などか
ら選択される一種を単独又は二種以上を組み合わせて用
いることができる。また、これらは化学合成物質であっ
てもよいし、植物、動物、菌培養物などの天然物を粉砕
したものや、適当な溶媒により抽出した抽出物であって
もよい。また、市販されている物質や抽出物を利用する
ことができる。
【0010】抗菌又は消臭剤は、繊維又は皮膚において
菌の繁殖を抑える効果、殺菌効果又は消臭効果を有する
ものがあげられ、例えば、安息香酸、サリチル酸、デヒ
ドロ酢酸、ウンデシレン酸などの酸類、パラベン、レゾ
ルシン、ヒノキチオール、フェノキシエタノールなどの
フェノール類、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリ
ジニウムなどの4級アンモニウム塩、グルコン酸クロロ
ヘキシジン、ジンクピリチオンなどの有機化合物、ユー
カリ、セージ、ローズマリー、カモミール、茶などの植
物抽出物があげられる。
【0011】抗炎症剤又は抗アレルギー剤は、皮膚の炎
症を抑える効果を有するものがあげられる。例えば、ε
−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレ
ン、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリ
チルレチン酸及びその塩やキダチアロエ、アロエベラ及
びアロエアンドンゲンシスなどのアロエ、霊芝、甘草な
どがあげられる。
【0012】痩身剤及び引き締め剤は、身体に塗布した
場合、痩せる効果を有するものや、皮膚表面を引き締め
る(収斂させる)効果を有するものがあげられる。例え
ば、タンニン、カテキン類、カフェイン、乳酸、クエン
酸、リンゴ酸などの有機酸や、茶、ブドウ、チンピ、蓮
肉などの植物抽出物などがあげられ、中でも、タンニ
ン、カフェインが好ましい。
【0013】保湿剤は、繊維の場合、繊維が吸水性(保
水性)を増し、帯電を防止する効果を有するものが、ま
た皮膚の場合、皮膚に適度な水分を保持させ、しわ、ひ
びなどを抑える効果を有するものがあげられる。例え
ば、ラノリン、蜜ロウ、ホホバ油、オリーブ油、ヤシ油
などのロウや油脂、スクアラン、スクアレンなどの高分
子炭化水素、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン
硫酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、アミノ
酸、アミノ酸誘導体、デンプン、プロテオグリカン、キ
チン、キトサン、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその
塩、乳酸及びその塩や、霊芝、シロキクラゲ、海藻、ジ
ュンサイ、メロンなどの植物抽出物があげられる。これ
ら保湿剤を繊維に固着させた場合、吸水性が増し、帯電
を防止させるだけでなく、繊維の風合いがソフトにな
り、皮膚に与える刺激を緩和することができる。
【0014】抗酸化剤は、アスコルビン酸及びその塩、
トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子
酸プロピル、グアヤク脂などや、リンゴ、茶、ブドウ、
ニンジン、セージ、モモなどの植物抽出物などがあげら
れる。
【0015】美白剤は、皮膚におけるメラニン色素の生
成を抑えたり、生成したメラニン色素の淡色化、排出を
促進させる効果を有するものがあげられる。例えば、ア
スコルビン酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、コ
ウジ酸、アルブチン、エラグ酸、乳酸などや、ワレモコ
ウ、桑白皮、桑、トウキ、ウワウルシなどの植物抽出物
などがあげられる。
【0016】血行促進剤は、皮膚中の毛細血管を拡張さ
せることにより血行を促進させるものがあげられる。例
えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン
酸、カプサイシン、γ―オリザノールなどや、センブ
リ、ニンニク、トウガラシ、イチョウ、ショウガなどの
植物抽出物などがあげられる。
【0017】上記植物抽出物の製造方法は、特に制限が
なく、一般公知の方法を用いることができる。例えば、
植物の種子、根、地下茎、茎、葉、花、全草などを、
水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,
3−ブチレングリコール、アセトンなどの水溶性溶媒
や、エーテル、ヘキサン、酢酸エチル、トルエンなどの
非水溶性溶媒を一種を単独又は二種以上を組み合わせて
抽出することができる。また、これらの抽出物の形態
は、液体でも固体であってもよく、繊維処理条件や目的
に応じて適宜選択できる。
【0018】機能性物質の配合量は、繊維、使用目的、
風合いに応じて適宜決められ、加工溶液100重量%に
対して、固形分として、0.001〜30重量%、好ま
しくは0.005〜20重量%、更には0.01〜10
重量%の範囲が好ましい。配合量が0.001重量%未
満だと十分な本発明の効果が得られず、30重量%を越
えると繊維の処理が困難になり、更には風合いが固くな
り使用感を損ねるため好ましくはない。
【0019】上記架橋剤は、繊維同士、加水分解タンパ
ク質同士又は繊維と加水分解タンパク質同士を架橋させ
るものであれば特に限定されず、繊維、機能性物質など
の素材、加水分解タンパク質の種類、使用目的、風合い
などに応じて適宜決められ、架橋剤の多くは市販されて
いるものを使用できる。架橋剤としては、2,4−トリ
レンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート、イ
ソフオロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイシシ
アネートなどのジイソシアネート系架橋剤、ジイソシア
ネート系架橋剤とトリメチロールプロパン又はグリセリ
ンなどを反応させて得られるトリイソシアネート系架橋
剤、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザ
ール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グ
ルタルジアルデヒド、フタルジアルデヒドなどのアルデ
ヒド系架橋剤、エチレンイミン系架橋剤などから選択さ
れ、一種を単独又は二種以上を組み合わせて用いること
ができる。また、上記を含む種々のイソシアネート構造
を有する架橋剤をイソシアネート系架橋剤と呼ぶことも
できる。中でも、固着度、風合いの点からイソシアネー
ト系及びエチレンイミン系架橋剤が好ましい。
【0020】架橋剤の配合量は、繊維、機能性物質など
の素材、使用目的、風合いに応じて適宜決められ、加工
溶液100重量%に対して、固形分として、0.001
〜30重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に
は0.1〜5重量%の範囲が好ましい。用いる量が0.
001重量%未満だと十分な本発明の効果が得られず、
30重量%を越えると繊維の処理が困難になり、更には
風合いが固くなり使用感を損ねるため好ましくはない。
【0021】また、繊維、使用目的によっては、機能性
物質の効果や風合いを損なわない範囲で樹脂バインダー
を加工溶液に配合することができる。その種類として
は、ウレタン系、アクリル系、酢酸ビニル系、シリコン
系などの非反応型樹脂があげられる。配合量は、繊維、
機能性物質などの素材、使用目的、風合いに応じて適宜
決められ、加工溶液100重量%に対して、0.001
〜10重量%、更には0.01〜5重量%の範囲が好ま
しい。
【0022】上記加水分解タンパク質としては、コラー
ゲン、絹、羊毛、真珠、カゼイン、卵白、大豆などを加
水分解したポリペプチドがあげられ、一種を単独又は二
種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、加
水分解コラーゲン、加水分解絹フィブロイン、加水分解
羊毛ケラチンが好ましい。また、加水分解タンパク質の
分子内官能基をエステル化、アセチル化などの誘導体化
もできる。
【0023】上記加水分解したポリペプチドとは、コラ
ーゲン、絹などの高分子量タンパク質を化学又は酵素処
理により、タンパク質分子内の任意のアミド結合を加水
分解することで、より分子量の小さなポリペプチドにす
ることを意味する。
【0024】加水分解タンパク質の平均分子量(以下、
分子量とする)は加水分解する度合いによって異なる
が、一般には分子量が500〜100,000であり、
好ましくは1,000〜80,000、更には2,00
0〜60,000の範囲が好ましい。
【0025】加水分解タンパク質の多くは市販されてい
るものを使用できるが、目的に応じて適宜製造すること
もできる。製造方法は特に制限はなく、一般公知な方法
を用いることができる。例えば、コラーゲン、絹、羊毛
などの繊維をプロテアーゼなどの酵素を用いて加水分解
する方法や、塩酸、硫酸などの酸、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムなどの塩基を用いて加水分解する方法な
どがあげられる。また、加水分解物は透析、クロマトグ
ラフィーなどの方法で精製できる。
【0026】更には、使用する加水分解タンパク質の中
でも低分子と高分子を併用することにより、機能性物質
を更に効果的に固着させることができる。この2種類の
分子量画分を併用して用いることにより、機能性物質の
固着度が増し、更に、風合いや耐洗濯性が向上する。本
発明で用いる加水分解タンパク質としては、低分子量は
分子量が500〜9,000未満、好ましくは1,00
0〜8,000、更には2,000〜6,000の範囲
がより好ましい。高分子量の加水分解タンパク質は分子
量が9,000〜100,000、好ましくは10,0
00〜80,000、更には20,000〜60,00
0の範囲がより好ましい。
【0027】加水分解タンパク質における、低分子量と
高分子量の加水分解タンパク質の配合比は、用いる加水
分解タンパク質の種類によって異なるが、低分子量の配
合量を高分子量の加水分解タンパク質の配合量で除した
値(低分子量の配合量/高分子量の加水分解タンパク質
の配合量)として、0.02〜50、好ましくは0.1
〜10、更には0.2〜5の範囲がより好ましい。
【0028】上記加水分解タンパク質のうち、低分子量
と高分子量の加水分解タンパク質は、上記製造方法にお
いて、酵素、酸、塩基などの処理量、反応時間、温度な
どの反応条件を変化させることにより得ることができ
る。また、このようにして得られた加水分解タンパク質
を更に透析、ゲルろ過クロマトグラフィー、限外ろ過な
どの一般公知の方法で分子量別に分画精製できる。
【0029】加水分解タンパク質の配合量は、繊維、機
能性物質などの素材、使用目的、風合いに応じて適宜決
められ、加工溶液100重量%に対して、低分子量と高
分子量の加水分解タンパク質を合わせた量が、固形分と
して、0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜
15重量%、更には0.05〜10重量%の範囲が好ま
しい。配合量が0.001重量%未満だと十分な本発明
の効果が得られず、30重量%を越えると繊維の処理が
困難になり、更には風合いが固くなり使用感を損ねるた
め好ましくはない。
【0030】次に、本発明の機能性繊維の製造方法を説
明する。本発明で用いる加工溶液は、上記低分子量及び
/又は高分子量の加水分解タンパク質、架橋剤及び機能
性物質を水に加え、均一に混合させて製造することがで
きる。また、場合によっては、この加工溶液に樹脂バイ
ンダーや、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性
系の界面活性剤を加えることができる。また、界面活性
剤の有無に関わらず、ホモミキサーなどのせん断力の大
きな混合攪拌機を用いたり、超音波、高圧ホモジナイザ
ーを用いて乳化分散させて加工溶液を得ることもでき
る。加工溶液は、均一に分散させることが繊維に均一に
固着させる点において好ましい。
【0031】上記の加工溶液を繊維に作用させる方法と
しては、一般公知の方法を用いることができる。この方
法としては、パディング法、吸尽法、スプレー法、プリ
ント法、コーティング法などがあげられるが、均一な付
与と簡便性からパディング法又は吸尽法が好ましい。こ
れらの方法で加工溶液を繊維に作用させた後、例えば、
マングル、遠心脱水機、真空脱水機で処理するなどして
付与量を調整することができる。次いで、加工溶液を付
与した繊維は乾燥し、更に加熱処理することにより強固
に固着させることができる。加熱処理は80℃以上、好
ましくは110℃以上で30秒〜30分間の処理が好ま
しい。このように、加工溶液の付与処理、乾燥、熱処理
などの温度、時間及びその他の処理条件は、用いる機能
性物質、繊維又は架橋剤の種類によって適宜決定でき
る。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。その概要は、機能性物質1及び2、加水分解タン
パク質1及び2を調製し、これらをはじめとする加水分
解タンパク質及び機能性物質から種々の繊維を製造して
実施例1〜21となし、これを比較例1〜8とともに、
実験例1〜7を行うものである。実施例及び比較例で示
す「部」とは重量部を意味する。また、実施例及び比較
例の加工溶液の配合量において、用いる機能性物質、加
水分解タンパク質、架橋剤などの組成物が溶液の場合、
固形物に換算して配合量を記載した。
【0033】(1)機能性物質1 シロキクラゲ抽出物を調製した。シロキクラゲの子実体
(市販の乾燥品)50gを細かく粉砕した後、水2Lを用
いて、95℃で3時間抽出した。不溶物をろ別した後、ろ
液を濃縮し、次いで凍結乾燥してシロキクラゲ抽出物15
gを得た。
【0034】(2)機能性物質2 霊芝抽出物を調製した。霊芝の子実体(市販の乾燥品)
100gを細かく粉砕した後、水2Lを用いて、95℃で、
3時間抽出した。不溶物をろ別した後、ろ液を濃縮し、
次いで凍結乾燥して霊芝抽出物10gを得た。
【0035】(3)加水分解タンパク質1 低分子量加水分解羊毛ケラチンを調製した。羊毛1gに
8mol/Lの尿素100ml及び2−メルカプトエタノール0.5m
lを加え、次いで水酸化カリウムを加え、pHを10.5にす
る。旋回振とう培養機(100r.p.m)を用いて40℃で72時
間振とうさせた後、透析セロハン膜(分画分子量 MW=3,
500)で72時間透析処理し、羊毛溶解液とした。この羊
毛溶解液を1%(W/V)に調整し、プロテアーゼNを1%
o.w.f.になるように加え、旋回振とう培養機(80r.p.
m)を用いて50℃で2時間振とうさせた。その後、90℃
で10分間保ち、酵素を失活させ、凍結乾燥して低分子量
加水分解羊毛ケラチンを得た。これについて分子量を測
定した結果、平均分子量は3,500であった。
【0036】(4)加水分解タンパク質2 低分子量加水分解絹フィブロインを調製した。絹20gに
40%塩化カルシウム溶液100mlを加え、5時間加熱還流
させた後、透析セロハン膜(分画分子量 MW=3,500)で7
2時間透析処理し、絹溶解液とした。この絹溶解液を10
%(W/V)に調整し、プロテアーゼSを1%o.w.f.になる
ように加え、旋回振とう培養機(80r.p.m)を用いて50
℃で2時間振とうさせた。その後、90℃で10分間保ち、
酵素を失活させ、凍結乾燥して低分子量加水分解絹フィ
ブロインを得た。これについて分子量を測定した結果、
平均分子量は3,900であった。
【0037】実施例1 試験布1 試験布1は、低分子量及び高分子量の加水分解コラーゲ
ンを併用してカフェインをナイロン帛布に固着させたこ
とを特徴とするものであり、次の方法により製造した。
すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS
L 0803準拠)のナイロン帛布を下記組成の加工溶
液1に浸漬後、マングルで絞り率80%になるように絞
り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾燥し、更に130℃で
3分間加熱処理した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更
に流水で3分間洗浄した。次いで、遠心脱水機で脱水
し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥し、試験布1を得
た。
【0038】 加工溶液1の組成 配合量 1.カフェイン 2.0 部 2.低分子量加水分解コラーゲン 1.5 部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 1.0 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 1.5 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0039】実施例2 試験布2 試験布2は、高分子量の加水分解コラーゲンを用いてカ
フェインをナイロン帛布に固着させたことを特徴とする
ものであり、次の方法により製造した。すなわち、実施
例1の加工溶液1の組成において、低分子量加水分解コ
ラーゲンを高分子量加水分解コラーゲンに変えて実施例
1と同様にして製造し、試験布2を得た。
【0040】実施例3 試験布3 試験布3は、低分子量の加水分解コラーゲンを用いてカ
フェインをナイロン帛布に固着させたことを特徴とする
ものであり、次の方法により製造した。すなわち、実施
例1の加工溶液1の組成において、高分子量加水分解コ
ラーゲンを低分子量加水分解コラーゲンに変えて実施例
1と同様にして製造し、試験布3を得た。
【0041】比較例1 比較布1 比較布1は、加水分解コラーゲンを用いず、カフェイン
と架橋剤だけを配合した加工溶液でナイロン帛布を処理
したものであり、次の方法により製造した。すなわち、
実施例1の加工溶液1の組成において、低分子量及び高
分子量加水分解コラーゲンを精製水に変えて実施例1と
同様にして製造し、比較布1を得た。
【0042】比較例2 比較布2 比較布2は、架橋剤を用いず、カフェインと低分子量及
び高分子量加水分解コラーゲンだけを配合した加工溶液
でナイロン帛布を処理したものであり、次の方法により
製造した。すなわち、実施例1の加工溶液1の組成にお
いて、架橋剤を精製水に変えて実施例1と同様にして製
造し、比較布2を得た。
【0043】実施例4 試験布4 試験布4は、低分子量及び高分子量の加水分解羊毛ケラ
チンを併用してシロキクラゲ抽出物をナイロン帛布に固
着させたことを特徴とするものであり、次の方法により
製造した。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白
布(JIS L0803準拠)のナイロン帛布を下記組
成の加工溶液2に浸漬後、マングルで絞り率90%になる
ように絞り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾燥し、更に
130℃で3分間加熱処理した後、50℃の湯水に5分間浸
漬し、更に流水で3分間洗浄した。次いで、遠心脱水機
で脱水し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥し、試験布4
を得た。
【0044】 加工溶液2の組成 配合量 1.シロキクラゲ抽出物(機能性物質1) 1.0 部 2.低分子量加水分解羊毛ケラチン 0.2 部 (加水分解タンパク質1 平均分子量 3,500) 3.高分子量加水分解羊毛ケラチン 0.5 部 〔(株)成和化成製プロモイス WK-H 平均分子量 22,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 0.6 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0045】実施例5 試験布5 試験布5は、高分子量の加水分解羊毛ケラチンを用いて
シロキクラゲ抽出物をナイロン帛布に固着させたことを
特徴とするものであり、次の方法により製造した。すな
わち、実施例4の加工溶液2の組成において、低分子量
加水分解羊毛ケラチンを高分子量加水分解羊毛ケラチン
に変えて実施例4と同様にして製造し、試験布5を得
た。
【0046】実施例6 試験布6 試験布6は、低分子量の加水分解羊毛ケラチンを用いて
シロキクラゲ抽出物をナイロン帛布に固着させたことを
特徴とするものであり、次の方法により製造した。すな
わち、実施例4の加工溶液2の組成において、高分子量
加水分解羊毛ケラチンを低分子量加水分解羊毛ケラチン
に変えて実施例4と同様にして製造し、試験布6を得
た。
【0047】比較例3 比較布3 比較布3は、加水分解羊毛ケラチンを用いず、シロキク
ラゲ抽出物と架橋剤だけを配合した加工溶液でナイロン
帛布を処理したものであり、次の方法により製造した。
すなわち、実施例4の加工溶液2の組成において、低分
子量及び高分子量加水分解羊毛ケラチンを精製水に変え
て実施例4と同様にして製造し、比較布3を得た。
【0048】比較例4 比較布4 比較布4は、架橋剤を用いず、シロキクラゲ抽出物と低
分子量及び高分子量加水分解羊毛ケラチンだけを配合し
た加工溶液でナイロン帛布を処理したものであり、次の
方法により製造した。すなわち、実施例4の加工溶液2
の組成において、架橋剤を精製水に変えて実施例4と同
様にして製造し、比較布4を得た。
【0049】実施例7 試験布7 試験布7は、低分子量及び高分子量の加水分解絹フィブ
ロインを併用してセージ抽出物を綿帛布に固着させたこ
とを特徴とするものであり、次の方法により製造した。
すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS
L 0803準拠)の綿帛布を下記組成の加工溶液3に
浸漬後、マングルで絞り率85%になるように絞り、乾燥
機にて90℃で3分間予備乾燥し、更に130℃で3分間加
熱処理した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更に流水で
3分間洗浄する。次いで、遠心脱水機で脱水し、乾燥機
にて110℃で5分間乾燥し、試験布7を得た。
【0050】 加工溶液3の組成 配合量 1.セージ抽出物 1.0 部 〔一丸ファルコス(株)製 ファルコレックスサルビア〕 2.低分子量加水分解絹フィブロイン 0.4 部 (加水分解タンパク質2 平均分子量 3,900) 3.高分子量加水分解絹フィブロイン 0.1 部 〔一丸ファルコス(株)製 シルクゲンGソルブルKE 平均分子量 35,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 0.5 部 〔明成化学工業(株)製 TP-120〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0051】実施例8 試験布8 試験布8は、低分子量及び高分子量の加水分解絹フィブ
ロインを併用してホホバ油を羊毛帛布に固着させたこと
を特徴とするものであり、次の方法により製造した。す
なわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS
L 0803準拠)の羊毛帛布を用い、実施例7の加工
溶液3の組成において、セージ抽出物をホホバ油に変え
て実施例7と同様にして製造し、試験布8を得た。
【0052】実施例9 試験布9 試験布9は、低分子量及び高分子量の加水分解絹フィブ
ロインを併用してユーカリ抽出物を絹帛布に固着させた
ことを特徴とするものであり、次の方法により製造し
た。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(J
IS L 0803準拠)の絹帛布を用い、実施例7の加
工溶液3の組成において、セージ抽出物をユーカリ抽出
物〔一丸ファルコス(株)製〕に変えて実施例7と同様
にして製造し、試験布9を得た。
【0053】実施例10 試験布10 試験布10は、高分子量の加水分解コラーゲンを用いて
ウンデシレン酸をナイロン帛布に固着させたことを特徴
とするものであり、次の方法により製造した。すなわ
ち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS L
0803準拠)のナイロン帛布を下記組成の加工溶液4
に浸漬後、マングルで絞り率80%になるように絞り、乾
燥機にて90℃で3分間予備乾燥し、更に120℃で3分間
加熱処理した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更に流水
で3分間洗浄する。次いで、遠心脱水機で脱水し、乾燥
機にて110℃で5分間乾燥し、試験布10を得た。
【0054】 加工溶液4の組成 配合量 1.ウンデシレン酸 0.5 部 2.高分子量加水分解コラーゲン 2.0 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 3.エチレンイミン系架橋剤 0.5 部 〔明成化学工業(株)製 SU-125Z〕 4.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0055】実施例11 試験布11 試験布11は、高分子量の加水分解コラーゲンを用いて
ウンデシレン酸をポリエステル帛布に固着させたことを
特徴とするものであり、次の方法により製造した。すな
わち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS L
0803準拠)のポリエステル帛布を用い、実施例10
と同様にして製造し、試験布11を得た。
【0056】実施例12 試験布12 試験布12は、高分子量の加水分解コラーゲンを用いて
ウンデシレン酸を羊毛帛布に固着させたことを特徴とす
るものであり、次の方法により製造した。すなわち、J
IS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS L 0803
準拠)の羊毛帛布を用い、実施例10と同様にして製造
し、試験布12を得た。
【0057】実施例13 試験布13 試験布13は、高分子量の加水分解コラーゲンを用いて
ウンデシレン酸を綿帛布に固着させたことを特徴とする
ものであり、次の方法により製造した。すなわち、JI
S染色堅ろう度試験用添付白布(JIS L 0803準
拠)の綿帛布を用い、実施例10と同様にして製造し、
試験布13を得た。
【0058】比較例5 比較布5の調製 比較布5は、加水分解コラーゲンを用いず、ウンデシレ
ン酸と架橋剤だけを配合した加工溶液でナイロン帛布を
処理したものであり、次の方法により製造した。すなわ
ち、実施例10の加工溶液4の組成において、高分子量
加水分解コラーゲンを精製水に変えて実施例10と同様
にして製造し、比較布5を得た。
【0059】比較例6 比較布6の調製 比較布6は、架橋剤を用いず、ウンデシレン酸と高分子
量加水分解コラーゲンだけを配合した加工溶液でナイロ
ン帛布を処理したものであり、次の方法により製造し
た。すなわち、実施例10の加工溶液4の組成におい
て、架橋剤を精製水に変えて実施例10と同様にして製
造し、比較布6を得た。
【0060】実施例14 試験布14 試験布14は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを用いて霊芝抽出物を羊毛帛布に固着させたことを
特徴とするものであり、次の方法により製造した。すな
わち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS L
0803準拠)の羊毛帛布を下記組成の加工溶液5に浸
漬後、マングルで絞り率80%になるように絞り、乾燥機
にて90℃で3分間予備乾燥し、更に130℃で3分間加熱
処理した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更に流水で3
分間洗浄する。次いで、遠心脱水機で脱水し、乾燥機に
て110℃で5分間乾燥し、試験布14を得た。
【0061】 加工溶液5の組成 配合量 1.霊芝抽出物(機能性物質2) 1.0 部 2.低分子量加水分解絹フィブロイン 0.2 部 (加水分解タンパク質2 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解絹フィブロイン 0.2 部 〔一丸ファルコス(株)製 シルクゲン G ソルブル KE 平均分子量 35,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 0.5 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0062】実施例15 試験布15 試験布15は、高分子量の加水分解絹フィブロインを用
いて霊芝抽出物を羊毛帛布に固着させたことを特徴とす
るものであり、次の方法により製造した。すなわち、実
施例14の加工溶液5の組成において、低分子量加水分
解絹フィブロインを高分子量加水分解絹フィブロインに
変えて実施例14と同様にして製造し、試験布15を得
た。
【0063】実施例16 試験布16 試験布16は、低分子量の加水分解絹フィブロインを用
いて霊芝抽出物を羊毛帛布に固着させたことを特徴とす
るものであり、次の方法により製造した。すなわち、実
施例14の加工溶液5の組成において、高分子量加水分
解絹フィブロインを低分子量加水分解絹フィブロインに
変えて実施例14と同様にして製造し、試験布16を得
た。
【0064】比較例7 比較布7 比較布7は、加水分解絹フィブロインを用いず、霊芝抽
出物と架橋剤だけを配合した加工溶液で羊毛帛布を処理
したものであり、次の方法により製造した。すなわち、
実施例14の加工溶液5の組成において、高分子量加水
分解絹フィブロイン及び低分子量加水分解絹フィブロイ
ンを精製水に変えて実施例14と同様にして製造し、比
較布7を得た。
【0065】比較例8 比較布8 比較布8は、架橋剤を用いず、霊芝抽出物と低分子量及
び高分子量加水分解絹フィブロインだけを配合した加工
溶液で羊毛帛布を処理したものであり、次の方法により
製造した。すなわち、実施例14の加工溶液5の組成に
おいて、架橋剤を精製水に変えて実施例14と同様にし
て製造し、比較布8を得た。
【0066】実施例17 試験布17 試験布17は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを併用してアロエ抽出物をナイロン帛布に固着させ
たことを特徴とするものであり、次の方法により製造し
た。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(J
IS L 0803準拠)のナイロン帛布を下記組成の加
工溶液6に50℃で5分間吸尽処理した後、遠心脱水機で
脱水する。さらに、乾燥機にて130℃で3分間加熱処理
した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更に流水で3分間
洗浄する。次いで、遠心脱水機で脱水し、乾燥機にて11
0℃で5分間乾燥し、試験布17を得た。
【0067】 加工溶液6の組成 配合量 1.アロエ抽出物 2.0 部 〔一丸ファルコス(株)製 アロエベラリキッド〕 2.低分子量加水分解コラーゲン 1.5 部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 2.0 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 1.0 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0068】実施例18 試験布18 試験布18は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを併用してアロエ抽出物をポリエステル帛布に固着
させたことを特徴とするものであり、次の方法により製
造した。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布
(JIS L 0803準拠)のポリエステル帛布を用
い、実施例17と同様にして製造し、試験布18を得
た。
【0069】実施例19 試験布19の調製 試験布19は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを併用してアロエ抽出物を綿帛布に固着させたこと
を特徴とするものであり、次の方法により製造した。す
なわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS
L 0803準拠)の綿帛布を用い、実施例17と同様
にして製造し、試験布19を得た。
【0070】実施例20 試験製品1 試験製品1は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを併用してショウガ抽出物をポリエステル製のソッ
クスに固着させたことを特徴とするものであり、次の方
法により製造した。すなわち、ポリエステル製のソック
スを下記組成の加工溶液7に浸漬後、マングルで絞り率
80%になるように絞り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾
燥し、更に130℃で3分間加熱処理した後、50℃の湯水
に5分間浸漬し、更に流水で3分間洗浄する。次いで、
遠心脱水機で脱水し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥
し、試験製品1を得た。
【0071】 加工溶液7の組成 配合量 1.ショウガ抽出物 2.0 部 〔一丸ファルコス(株)製 ファルコレックスショウキョウ)〕 2.低分子量加水分解コラーゲン 1.0 部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 1.5 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.ウレタン系架橋剤 1.5 部 〔日華化学(株)製 NKアシストFU〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0072】実施例21 試験製品2 試験製品2は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを用いてショウガ抽出物をナイロン製のストッキン
グに固着させたことを特徴とするものであり、次の方法
により製造した。すなわち、ナイロン製のストッキング
を用い、実施例20と同様にして製造し、試験製品2を
得た。
【0073】実施例22 試験製品3 試験製品3は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを用いてカフェインをナイロン製のストッキングに
固着させたことを特徴とするものであり、次の方法によ
り製造した。すなわち、ナイロン製のストッキングを下
記組成の加工溶液8に浸漬後、マングルで絞り率120%
になるように絞り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾燥
し、更に120℃で3分間加熱処理した後、50℃の湯水に
5分間浸漬し、更に流水で3分間洗浄した。次いで、遠
心脱水機で脱水し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥し、
試験製品3を得た。
【0074】 加工溶液8の組成 配合量 1.カフェイン 4.0 部 2.低分子量加水分解コラーゲン 2.0 部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 1.0 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 1.5 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0075】次に、実験例を挙げて、本発明の機能性繊
維の効果を詳細に説明する。
【0076】実験例1 カフェインの固着率の測定 実施例1〜3及び比較例1、2で得た加工繊維につい
て、洗濯前後のカフェインの固着率を測定した。ただ
し、洗濯はJIS L 0217−103に準じ、中性洗
剤を使用して行った。
【0077】カフェインの固着率測定法 加工繊維を細切し、その約0.2gを精密に量り(その重
量をWgとする)、70%硫酸4mlを加え、攪拌してカフ
ェインを抽出する。これに水を加えて正確に20mlとし、
良く混合した後、ろ過し、ろ液を試料溶液とする。別
に、カフェイン(試薬特級)20.0mgを正確に量り、水を
加えて溶かして正確に100 mlとし、この液2mlを正確に
量り、水を加えて正確に20mlとし、標準溶液とする。試
料溶液及び標準溶液各10μlにつき下記操作条件で高速
液体クロマトグラフィーによりそれぞれの液のカフェイ
ンのピーク面積At及びAsを測定し、次式より固着率
を求めた。 カフェイン固着率(%)=At÷As÷W÷25 <高速液体クロマトグラフィーの操作条件> カラム:Wakosil−2;5C18HG(4.6mmφ
×25cm) 検出器:紫外吸光光度計(測定波長 265 nm) 移動相:アセトニトリル・酢酸エチル・0.5%リン酸水
溶液の混合溶液(容量比=6:1:45) 温 度:25℃ 流 量:毎分1ml
【0078】結果を表1に示した。この表から比較例1
のように架橋剤のみで繊維を加工する従来の方法に比
べ、実施例1〜3のように本発明の加水分解タンパク質
を併用した方が効果的にカフェインが固着していること
が認められた。また、加水分解タンパク質においては、
低分子量及び高分子量の加水分解タンパク質と併用する
ことにより、カフェインが更に効率的に固着しているこ
とが明らかとなった。また、洗濯後の固着率についても
同様の結果が得られ、従来の方法に比べ、本発明の加工
繊維が優れた耐洗濯性を有することが認められた。
【0079】
【0080】実験例2 吸水性試験 実施例4〜6及び比較例3、4で得た加工繊維につい
て、洗濯前後の吸水性をJIS L1907の(1)吸
水速度(a)滴下法に準じて測定した。ただし、洗濯は
JIS L 0217−103に準じ、中性洗剤を使用し
て行った。
【0081】結果を表2に示した。この表から比較例3
のように架橋剤のみで繊維を加工する従来の方法に比
べ、実施例4〜6のように本発明の加水分解タンパク質
を併用した方が吸水性に優れていることが認められた。
また、加水分解タンパク質においては、低分子量及び高
分子量の加水分解タンパク質を併用することにより、更
に吸水性が向上することが明らかとなった。また、洗濯
後の吸水速度についても同様の結果が得られ、従来の製
造方法に比べ、本発明の加工繊維が優れた耐洗濯性を有
することが認められた。
【0082】
【0083】実験例3 帯電性試験 実施例4〜6及び比較例3、4で得た加工繊維につい
て、洗濯前後の耐電性をJIS L 1094 A法(半
減期測定法)に準じて測定した。その測定条件は、20±
2℃、40±2%RHにて行った。ただし、洗濯はJIS
L 0217−103に準じ、中性洗剤を使用して行っ
た。
【0084】結果を表3に示した。この表から比較例3
のように架橋剤のみで繊維を加工する従来の方法に比
べ、実施例4〜6のように本発明の加水分解タンパク質
を併用した方が帯電防止性に優れていることが認められ
た。また、加水分解タンパク質においては、低分子量と
高分子量の加水分解タンパク質を併用することにより、
更に帯電防止性が向上することが認められた。また、洗
濯後の帯電性についても同様の結果が得られ、従来の製
造方法に比べ、本発明の加工繊維が優れた耐洗濯性を有
することが認められた。
【0085】
【0086】実験例4 抗菌性試験 実施例10〜13で得た加工繊維について、SEK(繊
維製品新機能評価協議会)マーク認定試験法に従い、菌
数減少法の浸漬法(菌数測定法)及び振とう法(シェー
クフラスコ法)により試験した。試験には黄色ぶどう状
球菌(Staphylococcus aureus:IFO12732)を用いた。
また、計算式は次の2法によった。尚、当試験法によれ
ば抗菌性は増減値差及び減菌率で表わされ、それぞれ1.
6以上及び26%以上で抗菌性ありと評価される。
【0087】菌数測定法 増減値差=log(B÷A)−log(C÷A) A:未処理布に接種、直後に分散回収した分散液の生菌
数 B:未処理布に接種、18時間培養後に分散回収した分散
液の生菌数 C:加工布に接種、18時間培養後に分散回収した分散液
の生菌数 シェークフラスコ法 減菌率(%)=[(A−B)÷A]× 100 A:生菌数(初発菌数)= 振とう前の生菌数 B:生菌数= 振とう後の生菌数
【0088】結果を表4及び5に示した。これらの表か
ら、比較例5のように架橋剤のみで繊維を加工する従来
の方法に比べ、実施例10〜13のように本発明の加水
分解タンパク質を併用て得られた試験布10〜13は、
SEK評価基準に適合することが認められた。また、洗
濯50回後においても同様の結果であった。よって、本発
明の加工繊維は、優れた抗菌性を有し、しかも耐洗濯性
にも優れていることが認められた。
【0089】
【0090】
【0091】実験例5 皮膚刺激性試験 実施例14〜16、比較例7、8で得た加工繊維及び未
加工の羊毛帛布について皮膚刺激性を試験した。
【0092】皮膚刺激性試験法 衣料の皮膚刺激性を評価する方法として広く用いられて
いる河合法〔文献:河合享三,繊消誌,Vol.36,No.
3,256〜260(1995)〕により試験した。すなわち、被
験者の男性20名の上腕内側部に2cm×2cmの試料布を24時
間貼付した後、試料布を除去し、レプリカ板にて貼付部
位の皮膚レプリカを作製し、実体顕微鏡を用いて河合法
(レプリカ法)にて判定した。尚、判定は次の基準で行
なった。
【0093】判定基準 皮溝深化が全体の50%以上 スコア=2 皮溝深化が全体の25%以上 スコア=1 皮溝深化が全体の25%未満 スコア=0.5 皮溝深化なし スコア= 0
【0094】結果を表6に示した。この表から、霊芝抽
出物を加水分解タンパク質と架橋剤とを併用して繊維に
固着させた羊毛帛布は、未加工、架橋剤のみ又は加水分
解タンパク質のみで固着させた羊毛帛布に比べ、皮膚刺
激性を緩和させることが認められた。
【0095】
【0096】実験例6 風合い試験 実施例14〜16、比較例7、8で得た加工繊維及び未
加工の羊毛帛布について洗濯前後での風合いを試験し
た。試験は、繊維を掴んだ触感により、次の基準で判定
した。ただし、洗濯はJIS L 0217−103に準
じ、中性洗剤を使用して行った。 ◎:極めてソフトな風合である。 ○:ソフトな風合である。 △:ややソフトな風合である。 ×:ソフト感がなく、硬い風合である。
【0097】結果を表7に示した。この表から、本発明
で得られた加工繊維はソフトな風合いを示したが、従来
法により得られた比較例の加工繊維は、未加工の羊毛帛
布と変わらず硬い風合いであった。よって、本発明によ
る風合いのソフト化が認められた。また、洗濯後におい
てもソフトな風合いは損なわれず、耐洗濯性のあること
が認められた。
【0098】
【0099】実験例7 使用試験1 実施例21のストッキングを用いて、女性30名(22
〜43才)を対象に2ヶ月間の使用試験を行った。洗濯
及び取り替えサイクルは被験者の自由とした。使用後、
脚の保温感及び血色についてアンケート調査を実施し、
保温及び血行促進効果を判定した。
【0100】結果を表8に示した。この表からショウガ
抽出物を固着したことを特徴とする繊維は優れた保温及
び血行促進効果を示した。尚、試験期間中皮膚トラブル
は一人もなく、安全性においても問題なかった。
【0101】
【0102】実験例8 使用試験2 実施例22のストッキングを用いて、女性10名(22
〜43才)を対象に3ヶ月間の使用試験を行った。すな
わち、一人当たり3足を供して毎日8時間の着用をし、
洗濯及び取り替えサイクルは被験者の自由とした。使用
後、脚の膝上15cm大腿部の周囲長を布製巻尺にて計測
し、試験前後の周囲長を比較することにより痩身効果を
判定した。
【0103】結果を表9に示した。この表において、1
0名中7名に対して大腿部を細くする効果が認められ
た。尚、周囲長の変化の−5mmとは、大腿部が5mm細く
なったことを意味する。また、試験期間中皮膚トラブル
は一人もなく、安全性においても問題なかった。
【0104】
【0105】実施例7、9について、実験例4と同様に
抗菌性試験を行なったところ、優れた抗菌性を示した。
実施例8について、実験例5と同様に皮膚刺激性試験を
行なったところ、皮膚刺激を緩和させた。実施例17〜
19について、実験例6と同様に風合い試験を行なった
ところ、優れた風合いを示した。実施例20について、
実験例7と同様に使用試験を行なったところ、優れた保
温効果を示した。
【0106】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、抗菌、消
臭、抗炎症、抗アレルギー、痩身、引き締め、保湿、抗
酸化、美白、血行促進などの効果を有する機能性物質を
加水分解タンパク質及び架橋剤とともに混合又は分散し
た加工溶液を用い、繊維を加工処理することにより、従
来既知である架橋剤のみや樹脂バインダーで固着させる
方法に比べ、上記の機能性物質を効果的に固着させるこ
とができ、しかも耐洗濯性に優れた、風合いの柔軟な機
能性繊維を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月28日(1999.12.
28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 機能性繊維その製造方法及び機
能性繊維の加工溶液
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直接皮膚に接する
肌着、衣料又はこれらを構成する繊維などに、抗菌、消
臭、抗炎症、抗アレルギー、痩身、引き締め、保湿、抗
酸化、美白、血行促進効果などの効果を有する機能性物
質を風合いをほとんど損なうことなく効果的に固着さ
せ、且つ耐洗濯性に優れた特に風合いの柔軟な機能性繊
その製造方法及び機能性繊維の加工溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維そのものにない性質を持
たせたり、繊維の欠点を向上又は解消させることを目的
とし、繊維の機能的加工に対する取り組みが行われてき
た。例えば、抗菌、消臭、保湿(吸水)効果などを持た
せた機能性繊維がある。これらの製造法としては、繊維
に抗菌剤、消臭剤、保湿剤などの機能性物質を塗布し、
乾燥させる方法がとられてきた。しかし、これらの機能
性物質は、繊維表面に付着しているだけで、洗濯をすれ
ば機能性物質は容易に脱離してしまい、その効果はほと
んどなくなってしまうため、この方法による加工は簡単
であるが持続性において全く効果的ではなかった。
【0003】そこで、上記機能性物質をより効果的に付
着させる方法として、接着剤又は架橋剤を併用してより
強固に付着(以下、固着とする)させる方法があり、例
えば、特開平7−166469号公報、特開平2−30
0301号公報など多数開示されている。これらの方法
を用いれば、機能性物質を繊維に塗布し、乾燥させる方
法に比べ、より効果的に固着させることができ、耐洗濯
性が向上する。しかし、架橋剤のみでは機能性物質を十
分に固着できず、しかも耐洗濯性が劣るという欠点があ
った。このため、少量の樹脂系の接着剤を併用して固着
率や耐洗濯性を上げる方法が開発されている。この方法
により、機能性物質の固着率が高くなる一方、繊維の風
合いが著しく硬くなり、ゴワゴワ感、ザラザラ感が残る
など、実使用において問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するものであり、直接皮膚に接する肌着、
衣料又はこれらを構成する繊維などに、抗菌、消臭など
繊維の状態を維持させる効果、又は抗炎症、抗アレルギ
ー、痩身、引き締め、保湿、抗酸化、美白、血行促進な
ど人体の皮膚を保護又は皮膚に働きかける効果を有し、
風合いをほとんど損ねることなく、且つ機能性物質の効
果の持続性、特に洗濯に対しての耐久性に非常に優れた
機能性繊維及びその製造方法及び機能性繊維の加工溶液
を提供することを課題とする。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は機能性物質、低分子量の加水
分解タンパク質、高分子量の加水分解タンパク質及び架
橋剤を配合した加工溶液を製造し、これを繊維に作用さ
せることにより、機能性物質を低分子量の加水分解タン
パク質、高分子量の加水分解タンパク質及び架橋剤とを
併用して固着させた繊維及びその製法を特徴とするもの
である。また、本発明で用いる固着とは、主として機能
性物質が低分子量の加水分解タンパク質、高分子量の加
水分解タンパク質及び架橋剤で繊維に強固に付着してい
ることを意味する。
【0006】また、機能性物質が固着した機能性繊維
は、機能性物質が少なからず繊維表面に露出しており、
これに皮膚が接触することで機能性物質が皮膚表面に働
きかけたり、皮膚表面を保護又は健やかに保つことがで
きる。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける繊維としては、天然繊維、化学繊維、合成繊維な
どの繊維素材、綿状品、トウ、トップ、糸、不織布、織
物、編み物など各種の形態の中間品、縫製最終品を含
む。縫製最終品としては、パンツ、ブラジャー、シャ
ツ、ソックス、パンティーストッキング、ガードルなど
の肌着類、ズボン、スカートなどの衣服、タオル、ハン
カチ、手袋、布団、じゅうたん、枕カバーなどがあげら
れる。また、これらの繊維の中でも、特に直接肌に接す
る上記肌着類などの縫製最終品又はこれらを構成する繊
維が好ましい。
【0008】上記の繊維の種類としては、木綿、羊毛、
絹、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの化
学繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル
などの合成繊維があげられる。これらの繊維は一種を単
独又は二種以上を混紡したものであってもよい。その中
でも、固着度の点において、木綿、羊毛、絹、ナイロ
ン、ポリウレタン、ポリエステルが好ましい。
【0009】機能性物質とは、繊維に固着、吸着又は結
合などの付与を行うことにより、繊維に有用な機能をも
たらす物質を意味し、この機能性物質を付与した繊維を
機能性繊維という。機能性物質としては、繊維加工分野
で用いられている機能性物質のほか、化粧品分野で用い
られているスキンケアを目的とした物質などがあげられ
る。中でも、抗菌、消臭、抗炎症、抗アレルギー、痩
身、引き締め、保湿、抗酸化、美白、血行促進剤などか
ら選択される一種を単独又は二種以上を組み合わせて用
いることができる。また、これらは化学合成物質であっ
てもよいし、植物、動物、菌培養物などの天然物を粉砕
したものや、適当な溶媒により抽出した抽出物であって
もよい。また、市販されている物質や抽出物を利用する
ことができる。
【0010】抗菌又は消臭剤は、繊維又は皮膚において
菌の繁殖を抑える効果、殺菌効果又は消臭効果を有する
ものがあげられ、例えば、安息香酸、サリチル酸、デヒ
ドロ酢酸、ウンデシレン酸などの酸類、パラベン、レゾ
ルシン、ヒノキチオール、フェノキシエタノールなどの
フェノール類、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリ
ジニウムなどの4級アンモニウム塩、グルコン酸クロロ
ヘキシジン、ジンクピリチオンなどの有機化合物、ユー
カリ、セージ、ローズマリー、カモミール、茶などの植
物抽出物があげられる。
【0011】抗炎症剤又は抗アレルギー剤は、皮膚の炎
症を抑える効果を有するものがあげられる。例えば、ε
−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレ
ン、アラントイン、霊芝、甘草などや、グリチルリチン
酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩、キダチア
ロエ、アロエベラ及びアロエアンドンゲンシスなどのア
ロエなどがあげられる。
【0012】痩身剤及び引き締め剤は、身体に塗布した
場合、痩せる効果を有するものや、皮膚表面を引き締め
る(収斂させる)効果を有するものがあげられる。例え
ば、タンニン、カテキン類、カフェイン、乳酸、クエン
酸、リンゴ酸などの有機酸や、茶、ブドウ、チンピ、蓮
肉などの植物抽出物などがあげられ、中でも、タンニ
ン、カフェインが好ましい。
【0013】保湿剤は、繊維の場合、繊維が吸水性(保
水性)を増し、帯電を防止する効果を有するものを意味
し、皮膚の場合、皮膚に適度な水分を保持させ、しわ、
ひびなどを抑える効果を有するものがあげられる。例え
ば、ラノリン、蜜ロウ、ホホバ油、オリーブ油、ヤシ油
などのロウや油脂、スクアラン、スクアレンなどの高分
子炭化水素、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン
硫酸ナトリウム、キサンタンガム、ペクチン、アミノ
酸、アミノ酸誘導体、デンプン、プロテオグリカン、キ
チン、キトサン、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその
塩、乳酸及びその塩や、霊芝、シロキクラゲ、海藻、ジ
ュンサイ、メロンなどの植物抽出物があげられる。これ
ら保湿剤を繊維に固着させた場合、吸水性が増し、帯電
を防止させるだけでなく、繊維の風合いがソフトにな
り、皮膚に与える刺激を緩和することができる。
【0014】抗酸化剤は、アスコルビン酸及びその塩、
トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子
酸プロピル、グアヤク脂などや、リンゴ、茶、ブドウ、
ニンジン、セージ、モモなどの植物抽出物などがあげら
れる。
【0015】美白剤は、皮膚におけるメラニン色素の生
成を抑えたり、生成したメラニン色素の淡色化、排出を
促進させる効果を有するものがあげられる。例えば、ア
スコルビン酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、コ
ウジ酸、アルブチン、エラグ酸、乳酸などや、ワレモコ
ウ、桑白皮、桑、トウキ、ウワウルシなどの植物抽出物
などがあげられる。
【0016】血行促進剤は、皮膚中の毛細血管を拡張さ
せることにより血行を促進させるものがあげられる。例
えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン
酸、カプサイシン、γ―オリザノールなどや、センブ
リ、ニンニク、トウガラシ、イチョウ、ショウガなどの
植物抽出物などがあげられる。
【0017】上記植物抽出物の製造方法は、特に制限が
なく、一般公知の方法を用いることができる。例えば、
植物の種子、根、地下茎、茎、葉、花、全草などを、
水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,
3−ブチレングリコール、アセトンなどの水系溶媒や、
エーテル、ヘキサン、酢酸エチル、トルエンなどの非水
系溶媒を一種を単独又は二種以上を組み合わせて抽出す
ることができる。また、これらの抽出物の形態は、液体
でも固体であってもよく、繊維処理条件や目的に応じて
適宜選択できる。
【0018】機能性物質の配合量は、繊維、使用目的、
風合いに応じて適宜決められ、加工溶液100重量%に
対して、固形分として、0.001〜30重量%、好ま
しくは0.005〜20重量%、更には0.01〜10
重量%の範囲が好ましい。配合量が0.001重量%未
満だと十分な本発明の効果が得られず、30重量%を越
えると繊維の処理が困難になり、更には風合いが固くな
り使用感を損ねるため好ましくはない。
【0019】上記架橋剤は、繊維同士、加水分解タンパ
ク質同士又は繊維と加水分解タンパク質同士を架橋させ
るものであれば特に限定されず、繊維、機能性物質など
の素材、加水分解タンパク質の種類、使用目的、風合い
などに応じて適宜決められ、架橋剤の多くは市販されて
いるものを使用できる。架橋剤としては、2,4−トリ
レンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート、イ
ソフオロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイシシ
アネートなどのジイソシアネート系架橋剤、ジイソシア
ネート系架橋剤とトリメチロールプロパン又はグリセリ
ンなどを反応させて得られるトリイソシアネート系架橋
剤、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザ
ール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グ
ルタルジアルデヒド、フタルジアルデヒドなどのアルデ
ヒド系架橋剤、エチレンイミン系架橋剤などから選択さ
れ、一種を単独又は二種以上を組み合わせて用いること
ができる。また、上記を含む種々のイソシアネート構造
を有する架橋剤をイソシアネート系架橋剤と呼ぶことも
できる。中でも、固着度、風合いの点からイソシアネー
ト系及びエチレンイミン系架橋剤が好ましい。
【0020】架橋剤の配合量は、繊維、機能性物質など
の素材、使用目的、風合いに応じて適宜決められ、加工
溶液100重量%に対して、固形分として、0.001
〜30重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に
は0.1〜5重量%の範囲が好ましい。用いる量が0.
001重量%未満だと十分な本発明の効果が得られず、
30重量%を越えると繊維の処理が困難になり、更には
風合いが固くなり使用感を損ねるため好ましくはない。
【0021】また、繊維、使用目的によっては、機能性
物質の効果や風合いを損なわない範囲で樹脂バインダー
を加工溶液に配合することができる。その種類として
は、ウレタン系、アクリル系、酢酸ビニル系、シリコン
系などの非反応型樹脂があげられる。配合量は、繊維、
機能性物質などの素材、使用目的、風合いに応じて適宜
決められ、加工溶液100重量%に対して、0.001
〜10重量%、更には0.01〜5重量%の範囲が好ま
しい。
【0022】上記加水分解タンパク質としては、コラー
ゲン、絹、羊毛、真珠、カゼイン、卵白、大豆などを加
水分解したポリペプチドがあげられ、一種を単独又は二
種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、加
水分解コラーゲン、加水分解絹フィブロイン、加水分解
羊毛ケラチンが好ましい。また、加水分解タンパク質の
分子内官能基をエステル化、アセチル化などの誘導体化
もできる。
【0023】上記加水分解したポリペプチドとは、コラ
ーゲン、絹などの高分子量タンパク質を化学又は酵素処
理により、タンパク質分子内の任意のアミド結合を加水
分解することで、より分子量の小さなポリペプチドにす
ることを意味する。
【0024】低分子量の加水分解タンパク質、高分子量
加水分解タンパク質は市販されているものを使用でき
るが、目的に応じて適宜製造することもできる。製造方
法は特に制限はなく、一般公知な方法を用いることがで
きる。例えば、コラーゲン、絹、羊毛などの繊維をプロ
テアーゼなどの酵素を用いて加水分解する方法や、塩
酸、硫酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
などの塩基を用いて加水分解する方法などがあげられ
る。また、加水分解物は透析、クロマトグラフィーなど
の方法で精製できる。
【0025】本発明において、低分子量の加水分解タン
パク質、高分子量の加水分解タンパク質を併用すること
により、低分子量の加水分解タンパク質又は高分子量の
加水分解タンパク質を単独で用いるよりも機能性物質を
効果的に固着させることができる。この2種類の分子量
画分を併用して用いることにより、機能性物質の固着度
が増し、更に、風合いや耐洗濯性が向上する。
【0026】本発明で用いる低分子量及び高分子量の
水分解タンパク質としては、低分子量は分子量が2,0
00〜6,000の範囲が好ましい。高分子量の加水分
解タンパク質は分子量が10,000〜80,000、
好ましくは20,000〜60,000である。
【0027】低分子量と高分子量の加水分解タンパク質
の配合比は、用いる加水分解タンパク質の種類によって
異なるが、低分子量の配合量を高分子量の加水分解タン
パク質の配合量で除した値(低分子量の配合量/高分子
量の加水分解タンパク質の配合量)として、0.02〜
50、好ましくは0.1〜10、更には0.2〜5の範
囲がより好ましい。
【0028】上記加水分解タンパク質のうち、低分子量
と高分子量の加水分解タンパク質は、上記製造方法にお
いて、酵素、酸、塩基などの処理量、反応時間、温度な
どの反応条件を変化させることにより得ることができ
る。また、このようにして得られた加水分解タンパク質
を更に透析、ゲルろ過クロマトグラフィー又は限外ろ過
などの一般公知の方法で分子量別に分画精製できる。
【0029】加水分解タンパク質の配合量は、繊維、機
能性物質などの素材、使用目的、風合いに応じて適宜決
められ、加工溶液100重量%に対して、低分子量と高
分子量の加水分解タンパク質を合わせた量が、固形分と
して、0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜
15重量%、更には0.05〜10重量%の範囲が好ま
しい。配合量が0.001重量%未満だと十分な本発明
の効果が得られず、30重量%を越えると繊維の処理が
困難になり、更には風合いが固くなり使用感を損ねるた
め好ましくはない。
【0030】次に、本発明の機能性繊維の製造方法を説
明する。本発明で用いる加工溶液は、上記低分子量及び
高分子量の加水分解タンパク質、架橋剤及び機能性物質
を水に加え、均一に混合させて製造することができる。
また、場合によっては、この加工溶液に樹脂バインダー
や、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性系の界
面活性剤を加えることができる。また、界面活性剤の有
無に関わらず、ホモミキサーなどのせん断力の大きな混
合攪拌機を用いたり、超音波、高圧ホモジナイザーを用
いて乳化分散させて加工溶液を得ることもできる。加工
溶液は、均一に分散させることが繊維に均一に固着させ
る点において好ましい。
【0031】上記の加工溶液を繊維に作用させる方法と
しては、一般公知の方法を用いることができる。この方
法としては、パディング法、吸尽法、スプレー法、プリ
ント法、コーティング法などがあげられるが、均一な付
与と簡便性からパディング法又は吸尽法が好ましい。こ
れらの方法で加工溶液を繊維に作用させた後、例えば、
マングル、遠心脱水機、真空脱水機で処理するなどして
付与量を調整することができる。次いで、加工溶液を付
与した繊維は乾燥し、更に加熱処理することにより強固
に固着させることができる。加熱処理は80℃以上、好
ましくは110℃以上で30秒〜30分間の処理が好ま
しい。このように、加工溶液の付与処理、乾燥、熱処理
などの温度、時間及びその他の処理条件は、用いる機能
性物質、繊維又は架橋剤の種類によって適宜決定でき
る。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。その概要は、機能性物質1及び2、加水分解タン
パク質1及び2を調製し、これらをはじめとする加水分
解タンパク質及び機能性物質から種々の繊維を製造して
実施例1〜12となし、これを比較例1〜12ととも
に、実験例1〜7を行うものである。実施例及び比較例
で示す「部」とは重量部を意味する。また、実施例及び
比較例の加工溶液の配合量において、用いる機能性物
質、加水分解タンパク質、架橋剤などの組成物が溶液の
場合、固形物に換算して配合量を記載した。
【0033】(1)機能性物質1 シロキクラゲ抽出物を調製した。シロキクラゲの子実体
(市販の乾燥品)50gを細かく粉砕した後、水2Lを用
いて、95℃で3時間抽出した。不溶物をろ別した後、ろ
液を濃縮し、次いで凍結乾燥してシロキクラゲ抽出物15
gを得た。
【0034】(2)機能性物質2 霊芝抽出物を調製した。霊芝の子実体(市販の乾燥品)
100gを細かく粉砕した後、水2Lを用いて、95℃で、
3時間抽出した。不溶物をろ別した後、ろ液を濃縮し、
次いで凍結乾燥して霊芝抽出物10gを得た。
【0035】(3)加水分解タンパク質1 低分子量加水分解羊毛ケラチンを調製した。羊毛1gに
8mol/Lの尿素100ml及び2−メルカプトエタノール0.5m
lを加え、次いで水酸化カリウムを加え、pHを10.5にす
る。旋回振とう培養機(100r.p.m)を用いて40℃で72時
間振とうさせた後、透析セロハン膜(分画分子量 MW=3,
500)で72時間透析処理し、羊毛溶解液とした。この羊
毛溶解液を1%(W/V)に調整し、プロテアーゼNを1%
o.w.f.になるように加え、旋回振とう培養機(80r.p.
m)を用いて50℃で2時間振とうさせた。その後、90℃
で10分間保ち、酵素を失活させ、凍結乾燥して低分子量
加水分解羊毛ケラチンを得た。これについて分子量を測
定した結果、平均分子量は3,500であった。
【0036】(4)加水分解タンパク質2 低分子量加水分解絹フィブロインを調製した。絹20gに
40%塩化カルシウム溶液100mlを加え、5時間加熱還流
させた後、透析セロハン膜(分画分子量 MW=3,500)で7
2時間透析処理し、絹溶解液とした。この絹溶解液を10
%(W/V)に調整し、プロテアーゼSを1%o.w.f.になる
ように加え、旋回振とう培養機(80r.p.m)を用いて50
℃で2時間振とうさせた。その後、90℃で10分間保ち、
酵素を失活させ、凍結乾燥して低分子量加水分解絹フィ
ブロインを得た。これについて分子量を測定した結果、
平均分子量は3,900であった。
【0037】実施例1 試験布1 試験布1は、低分子量及び高分子量の加水分解コラーゲ
ンを併用してカフェインをナイロン帛布に固着させたこ
とを特徴とするものであり、次の方法により製造した。
すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS
L 0803準拠)のナイロン帛布を下記組成の加工溶
液1に浸漬後、マングルで絞り率80%になるように絞
り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾燥し、更に130℃で
3分間加熱処理した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更
に流水で3分間洗浄した。次いで、遠心脱水機で脱水
し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥し、試験布1を得
た。
【0038】 加工溶液1の組成 配合量 1.カフェイン 2.0部 2.低分子量加水分解コラーゲン 1.5部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 1.0部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 1.5部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0039】比較例1 比較布1 比較布1 は、高分子量の加水分解コラーゲンを用いてカ
フェインをナイロン帛布に固着させたことを特徴とする
ものであり、次の方法により製造した。すなわち、実施
例1の加工溶液1の組成において、低分子量加水分解コ
ラーゲンを高分子量加水分解コラーゲンに変えて実施例
1と同様にして製造し、比較布1を得た。
【0040】比較例2 比較布2 比較布2 は、低分子量の加水分解コラーゲンを用いてカ
フェインをナイロン帛布に固着させたことを特徴とする
ものであり、次の方法により製造した。すなわち、実施
例1の加工溶液1の組成において、高分子量加水分解コ
ラーゲンを低分子量加水分解コラーゲンに変えて実施例
1と同様にして製造し、比較布2を得た。
【0041】比較例 比較布 比較布は、加水分解コラーゲンを用いず、カフェイン
と架橋剤だけを配合した加工溶液でナイロン帛布を処理
したものであり、次の方法により製造した。すなわち、
実施例1の加工溶液1の組成において、低分子量及び高
分子量加水分解コラーゲンを精製水に変えて実施例1と
同様にして製造し、比較布を得た。
【0042】比較例 比較布 比較布は、架橋剤を用いず、カフェインと低分子量及
び高分子量加水分解コラーゲンだけを配合した加工溶液
でナイロン帛布を処理したものであり、次の方法により
製造した。すなわち、実施例1の加工溶液1の組成にお
いて、架橋剤を精製水に変えて実施例1と同様にして製
造し、比較布を得た。
【0043】実施例 試験布 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解羊毛ケラ
チンを併用してシロキクラゲ抽出物をナイロン帛布に固
着させたことを特徴とするものであり、次の方法により
製造した。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白
布(JIS L0803準拠)のナイロン帛布を下記組
成の加工溶液2に浸漬後、マングルで絞り率90%になる
ように絞り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾燥し、更に
130℃で3分間加熱処理した後、50℃の湯水に5分間浸
漬し、更に流水で3分間洗浄した。次いで、遠心脱水機
で脱水し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥し、試験布
を得た。
【0044】 加工溶液2の組成 配合量 1.シロキクラゲ抽出物(機能性物質1) 1.0部 2.低分子量加水分解羊毛ケラチン 0.2部 (加水分解タンパク質1 平均分子量 3,500) 3.高分子量加水分解羊毛ケラチン 0.5部 〔(株)成和化成製プロモイス WK-H 平均分子量 22,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 0.6部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0045】比較例5 比較布5 比較布5 は、高分子量の加水分解羊毛ケラチンを用いて
シロキクラゲ抽出物をナイロン帛布に固着させたことを
特徴とするものであり、次の方法により製造した。すな
わち、実施例の加工溶液2の組成において、低分子量
加水分解羊毛ケラチンを高分子量加水分解羊毛ケラチン
に変えて実施例と同様にして製造し、比較布5を得
た。
【0046】比較例6 比較布6 比較布6 は、低分子量の加水分解羊毛ケラチンを用いて
シロキクラゲ抽出物をナイロン帛布に固着させたことを
特徴とするものであり、次の方法により製造した。すな
わち、実施例の加工溶液2の組成において、高分子量
加水分解羊毛ケラチンを低分子量加水分解羊毛ケラチン
に変えて実施例と同様にして製造し、比較布6を得
た。
【0047】比較例 比較布 比較布は、加水分解羊毛ケラチンを用いず、シロキク
ラゲ抽出物と架橋剤だけを配合した加工溶液でナイロン
帛布を処理したものであり、次の方法により製造した。
すなわち、実施例の加工溶液2の組成において、低分
子量及び高分子量加水分解羊毛ケラチンを精製水に変え
て実施例と同様にして製造し、比較布を得た。
【0048】比較例 比較布 比較布は、架橋剤を用いず、シロキクラゲ抽出物と低
分子量及び高分子量加水分解羊毛ケラチンだけを配合し
た加工溶液でナイロン帛布を処理したものであり、次の
方法により製造した。すなわち、実施例の加工溶液2
の組成において、架橋剤を精製水に変えて実施例と同
様にして製造し、比較布を得た。
【0049】実施例 試験布 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解絹フィブ
ロインを併用してセージ抽出物を綿帛布に固着させたこ
とを特徴とするものであり、次の方法により製造した。
すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS
L 0803準拠)の綿帛布を下記組成の加工溶液3に
浸漬後、マングルで絞り率85%になるように絞り、乾燥
機にて90℃で3分間予備乾燥し、更に130℃で3分間加
熱処理した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更に流水で
3分間洗浄する。次いで、遠心脱水機で脱水し、乾燥機
にて110℃で5分間乾燥し、試験布を得た。
【0050】 加工溶液3の組成 配合量 1.セージ抽出物 1.0 部 〔一丸ファルコス(株)製 ファルコレックスサルビア〕 2.低分子量加水分解絹フィブロイン 0.4 部 (加水分解タンパク質2 平均分子量 3,900) 3.高分子量加水分解絹フィブロイン 0.1 部 〔一丸ファルコス(株)製 シルクゲンGソルブルKE 平均分子量 35,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 0.5 部 〔明成化学工業(株)製 TP-120〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0051】実施例 試験布 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解絹フィブ
ロインを併用してホホバ油を羊毛帛布に固着させたこと
を特徴とするものであり、次の方法により製造した。す
なわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS
L 0803準拠)の羊毛帛布を用い、実施例の加工
溶液3の組成において、セージ抽出物をホホバ油に変え
て実施例と同様にして製造し、試験布を得た。
【0052】実施例 試験布 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解絹フィブ
ロインを併用してユーカリ抽出物を絹帛布に固着させた
ことを特徴とするものであり、次の方法により製造し
た。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(J
IS L 0803準拠)の絹帛布を用い、実施例の加
工溶液3の組成において、セージ抽出物をユーカリ抽出
物〔一丸ファルコス(株)製〕に変えて実施例と同様
にして製造し、試験布を得た。
【0053】実施例 試験布 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解コラーゲ
ンを用いて霊芝抽出物を羊毛帛布に固着させたことを特
徴とするものであり、次の方法により製造した。すなわ
ち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS L 0
803準拠)の羊毛帛布を下記組成の加工溶液に浸漬
後、マングルで絞り率80%になるように絞り、乾燥機に
て90℃で3分間予備乾燥し、更に130℃で3分間加熱処
理した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更に流水で3分
間洗浄する。次いで、遠心脱水機で脱水し、乾燥機にて
110℃で5分間乾燥し、試験布を得た。
【0054】 加工溶液の組成 配合量 1.霊芝抽出物(機能性物質2) 1.0 部 2.低分子量加水分解絹フィブロイン 0.2 部 (加水分解タンパク質2 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解絹フィブロイン 0.2 部 〔一丸ファルコス(株)製 シルクゲンGソルブルKE平均分子量 35,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 0.5 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0055】比較例9 比較布9 比較布9 は、高分子量の加水分解絹フィブロインを用い
て霊芝抽出物を羊毛帛布に固着させたことを特徴とする
ものであり、次の方法により製造した。すなわち、実施
の加工溶液の組成において、低分子量加水分解絹
フィブロインを高分子量加水分解絹フィブロインに変え
て実施例と同様にして製造し、比較布9を得た。
【0056】比較例10 比較布10 比較布10 は、低分子量の加水分解絹フィブロインを用
いて霊芝抽出物を羊毛帛布に固着させたことを特徴とす
るものであり、次の方法により製造した。すなわち、実
施例の加工溶液の組成において、高分子量加水分解
絹フィブロインを低分子量加水分解絹フィブロインに変
えて実施例と同様にして製造し、比較布10を得た。
【0057】比較例11 比較布11 比較布11は、加水分解絹フィブロインを用いず、霊芝
抽出物と架橋剤だけを配合した加工溶液で羊毛帛布を処
理したものであり、次の方法により製造した。すなわ
ち、実施例の加工溶液の組成において、高分子量加
水分解絹フィブロイン及び低分子量加水分解絹フィブロ
インを精製水に変えて実施例と同様にして製造し、比
較布11を得た。
【0058】比較例12 比較布12 比較布12は、架橋剤を用いず、霊芝抽出物と低分子量
及び高分子量加水分解絹フィブロインだけを配合した加
工溶液で羊毛帛布を処理したものであり、次の方法によ
り製造した。すなわち、実施例の加工溶液の組成に
おいて、架橋剤を精製水に変えて実施例と同様にして
製造し、比較布12を得た。
【0059】実施例 試験布 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解コラーゲ
ンを併用してアロエ抽出物をナイロン帛布に固着させた
ことを特徴とするものであり、次の方法により製造し
た。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(J
IS L 0803準拠)のナイロン帛布を下記組成の加
工溶液に50℃で5分間吸尽処理した後、遠心脱水機で
脱水する。さらに、乾燥機にて130℃で3分間加熱処理
した後、50℃の湯水に5分間浸漬し、更に流水で3分間
洗浄する。次いで、遠心脱水機で脱水し、乾燥機にて11
0℃で5分間乾燥し、試験布を得た。
【0060】 加工溶液の組成 配合量 1.アロエ抽出物 2.0 部 〔一丸ファルコス(株)製 アロエベラリキッド〕 2.低分子量加水分解コラーゲン 1.5 部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 2.0 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 1.0 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0061】実施例 試験布 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解コラーゲ
ンを併用してアロエ抽出物をポリエステル帛布に固着さ
せたことを特徴とするものであり、次の方法により製造
した。すなわち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布
(JIS L0803準拠)のポリエステル帛布を用
い、実施例と同様にして製造し、試験布を得た。
【0062】実施例 試験布の調製 試験布は、低分子量及び高分子量の加水分解コラーゲ
ンを併用してアロエ抽出物を綿帛布に固着させたことを
特徴とするものであり、次の方法により製造した。すな
わち、JIS染色堅ろう度試験用添付白布(JIS L
0803準拠)の綿帛布を用い、実施例と同様にして
製造し、試験布を得た。
【0063】実施例10 試験製品1 試験製品1は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを併用してショウガ抽出物をポリエステル製のソッ
クスに固着させたことを特徴とするものであり、次の方
法により製造した。すなわち、ポリエステル製のソック
スを下記組成の加工溶液に浸漬後、マングルで絞り率
80%になるように絞り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾
燥し、更に130℃で3分間加熱処理した後、50℃の湯水
に5分間浸漬し、更に流水で3分間洗浄する。次いで、
遠心脱水機で脱水し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥
し、試験製品1を得た。
【0064】 加工溶液の組成 配合量 1.ショウガ抽出物 2.0 部 〔一丸ファルコス(株)製 ファルコレックスショウキョウ)〕 2.低分子量加水分解コラーゲン 1.0 部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 1.5 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.ウレタン系架橋剤 1.5 部 〔日華化学(株)製 NKアシストFU〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0065】実施例11 試験製品2 試験製品2は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを用いてショウガ抽出物をナイロン製のストッキン
グに固着させたことを特徴とするものであり、次の方法
により製造した。すなわち、ナイロン製のストッキング
を用い、実施例10と同様にして製造し、試験製品2を
得た。
【0066】実施例12 試験製品3 試験製品3は、低分子量及び高分子量の加水分解コラー
ゲンを用いてカフェインをナイロン製のストッキングに
固着させたことを特徴とするものであり、次の方法によ
り製造した。すなわち、ナイロン製のストッキングを下
記組成の加工溶液に浸漬後、マングルで絞り率120%
になるように絞り、乾燥機にて90℃で3分間予備乾燥
し、更に120℃で3分間加熱処理した後、50℃の湯水に
5分間浸漬し、更に流水で3分間洗浄した。次いで、遠
心脱水機で脱水し、乾燥機にて110℃で5分間乾燥し、
試験製品3を得た。
【0067】 加工溶液の組成 配合量 1.カフェイン 4.0 部 2.低分子量加水分解コラーゲン 2.0 部 〔(株)成和化成製プロモイス W-4000 平均分子量 4,000〕 3.高分子量加水分解コラーゲン 1.0 部 〔新田ゼラチン(株)製 HCP-M15 平均分子量 29,000〕 4.イソシアネート系架橋剤 1.5 部 〔明成化学工業(株)製 FS-9000〕 5.精製水にて全量を100部とする。 加工溶液の製造方法:上記全成分を混合し、50℃に加温して均一にする。
【0068】次に、実験例を挙げて、本発明の機能性繊
維の効果を詳細に説明する。
【0069】実験例1 カフェインの固着率の測定 実施例1及び比較例1〜4で得た加工繊維について、洗
濯前後のカフェインの固着率を測定した。ただし、洗濯
はJIS L0217−103に準じ、中性洗剤を使用
して行った。
【0070】カフェインの固着率測定法 加工繊維を細切し、その約0.2gを精密に量り(その重
量をWgとする)、70%硫酸4mlを加え、攪拌してカフ
ェインを抽出する。これに水を加えて正確に20mlとし、
良く混合した後、ろ過し、ろ液を試料溶液とする。別
に、カフェイン(試薬特級)20.0mgを正確に量り、水を
加えて溶かして正確に100mlとし、この液2mlを正確に
量り、水を加えて正確に20mlとし、標準溶液とする。試
料溶液及び標準溶液各10μlにつき下記操作条件で高速
液体クロマトグラフィーによりそれぞれの液のカフェイ
ンのピーク面積At及びAsを測定し、次式より固着率
を求めた。 カフェイン固着率(%)=At/As/W/25 <高速液体クロマトグラフィーの操作条件> カラム:Wakosil−II 5C18HG(4.6mmφ
×25cm) 検出器:紫外吸光光度計(測定波長 265 nm) 移動相:アセトニトリル:酢酸エチル:0.5%リン酸水
溶液混液(6:1:45) 温 度:25℃ 流 量:毎分1ml
【0071】結果を表1に示した。この表から比較例
〜4のように低分子量又は高分子量のみを用いた加水分
解タンパク質や架橋剤のみで繊維を加工する従来の方法
に比べ、実施例1のように低分子量及び高分子量の加水
分解タンパク質併用することにより、カフェインが更
に効果的に固着していることが明らかとなった。また、
洗濯後の固着率についても同様の結果が得られ、従来の
方法に比べ、本発明の加工繊維が優れた耐洗濯性を有す
ることが認められた。
【0072】
【表1】
【0073】実験例2 吸水性試験 実施例及び比較例5〜8で得た加工繊維について、洗
濯前後の吸水性をJIS L1907の(1)吸水速度
(a)滴下法に準じて測定した。ただし、洗濯はJIS
L0217−103に準じ、中性洗剤を使用して行っ
た。
【0074】結果を表2に示した。この表から比較例
〜8のように低分子量又は高分子量のみを用いた加水分
解タンパク質や架橋剤のみで繊維を加工する従来の方法
に比べ、実施例のように低分子量及び高分子量の加水
分解タンパク質を併用することにより、更に吸水性が向
上することが明らかとなった。また、洗濯後の吸水速度
についても同様の結果が得られ、従来の製造方法に比
べ、本発明の加工繊維が優れた耐洗濯性を有することが
認められた。
【0075】
【表2】
【0076】実験例3 帯電性試験 実施例及び比較例5〜8で得た加工繊維について、洗
濯前後の電性をJIS L1094 A法(半減期測
定法)に準じて測定した。その測定条件は、20±2℃、
40±2%RHにて行った。ただし、洗濯はJIS L0
217−103に準じ、中性洗剤を使用して行った。
【0077】結果を表3に示した。この表から比較例
〜8のように低分子量又は高分子量のみを用いた加水分
解タンパク質や架橋剤のみで繊維を加工する従来の方法
に比べ、実施例のように低分子量と高分子量の加水分
解タンパク質を併用することにより、更に帯電防止性が
向上することが認められた。また、洗濯後の帯電性につ
いても同様の結果が得られ、従来の製造方法に比べ、本
発明の加工繊維が優れた耐洗濯性を有することが認めら
れた。
【0078】
【表3】
【0079】実験例 皮膚刺激性試験 実施例、比較例9〜12で得た加工繊維及び未加工の
羊毛帛布について皮膚刺激性を試験した。
【0080】皮膚刺激性試験法 衣料の皮膚刺激性を評価する方法として広く用いられて
いる河合法〔文献:河合享三,繊消誌,Vol.36,No.
3,256〜260(1995)〕により試験した。すなわち、被
験者の男性20名の上腕内側部に2cm×2cmの試料布を24時
間貼付した後、試料布を除去し、レプリカ板にて貼付部
位の皮膚レプリカを作製し、実体顕微鏡を用いて河合法
(レプリカ法)にて判定した。尚、判定は次の基準で行
なった。
【0081】判定基準 皮溝深化が全体の50%以上 スコア=2 皮溝深化が全体の25%以上 スコア=1 皮溝深化が全体の25%未満 スコア=0.5 皮溝深化なし スコア= 0
【0082】結果を表に示した。この表から、霊芝抽
出物を低分子量、高分子量加水分解タンパク質及び架橋
剤とを併用して繊維に固着させた羊毛帛布は、未加工、
架橋剤又は低分子量若しくは高分子量の加水分解タンパ
ク質のみで固着させた羊毛帛布に比べ、皮膚刺激性を緩
和させることが認められた。
【0083】
【表4】
【0084】実験例 風合い試験 実施例、比較例9〜12で得た加工繊維及び未加工の
羊毛帛布について洗濯前後での風合いを試験した。試験
は、繊維を掴んだ触感により、次の基準で判定した。た
だし、洗濯はJIS L0217−103に準じ、中性
洗剤を使用して行った。 ◎:極めてソフトな風合である。 ○:ソフトな風合である。 △:ややソフトな風合である。 ×:ソフト感がなく、硬い風合である。
【0085】結果を表に示した。この表から、本発明
で得られた加工繊維はソフトな風合いを示したが、従来
法により得られた比較例の加工繊維は、未加工の羊毛帛
布と変わらず硬い風合いであった。よって、本発明によ
る風合いのソフト化が認められた。また、洗濯後におい
てもソフトな風合いは損なわれず、耐洗濯性のあること
が認められた。
【0086】
【表5】
【0087】実験例 使用試験1 実施例11のストッキングを用いて、女性30人(22〜43
才)を対象に2ヶ月間の使用試験を行った。洗濯及び取
り替えサイクルは被験者の自由とした。使用後、脚の保
温感及び血色についてアンケート調査を実施し、保温及
び血行促進効果を判定した。
【0088】結果を表に示した。この表からショウガ
抽出物を固着したことを特徴とする繊維は優れた保温及
び血行促進効果を示した。尚、試験期間中皮膚トラブル
は一人もなく、安全性においても問題なかった。
【0089】
【表6】
【0090】実験例 使用試験2 実施例12のストッキングを用いて、女性10人(22〜43
才)を対象に3ヶ月間の使用試験を行った。すなわち、
一人当たり3足を供して毎日8時間の着用をし、洗濯及び
取り替えサイクルは被験者の自由とした。使用後、脚の
膝上15cm大腿部の周囲長を布製巻尺にて計測し、試験前
後の周囲長を比較することにより痩身効果を判定した。
【0091】結果を表に示した。この表において、10
名中7名に対して大腿部を細くする効果が認められた。
尚、周囲長の変化の-5mmとは、大腿部が5mm細くなった
ことを意味する。また、試験期間中皮膚トラブルは一人
もなく、安全性においても問題なかった。
【0092】
【表7】
【0093】実施例について、実験例と同様に皮膚
刺激性試験を行なったところ、皮膚刺激を緩和させた。
実施例7〜9について、実験例と同様に風合い試験を
行なったところ、優れた風合いを示した。実施例10
ついて、実験例と同様に使用試験を行なったところ、
優れた保温効果を示した。
【0094】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、抗菌、消
臭、抗炎症、抗アレルギー、痩身、引き締め、保湿、抗
酸化、美白、血行促進などの効果を有する機能性物質を
低分子量の加水分解タンパク質、高分子量の加水分解タ
ンパク質及び架橋剤とともに混合又は分散した加工溶液
を用い、繊維を加工処理することにより、従来既知であ
る架橋剤のみや樹脂バインダーで固着させる方法や、
低分子量の加水分解タンパク質と高分子量の加水分解タ
ンパク質を併用せずに単独で架橋剤とともに用いる方法
に比べ、上記の機能性物質を効果的に固着させることが
でき、しかも耐洗濯性に優れた、特に風合いの柔軟な機
能性繊維を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井田 勉 愛知県名古屋市西区鳥見町二丁目7番 日 本メナード化粧品株式会社総合研究所内 (72)発明者 川合 芳文 愛知県名古屋市中区丸の内三丁目5番24号 日本メナード化粧品株式会社内 (72)発明者 水谷 宏 愛知県名古屋市西区鳥見町二丁目7番 日 本メナード化粧品株式会社総合研究所内 (72)発明者 小西 宏明 愛知県名古屋市西区鳥見町二丁目7番 日 本メナード化粧品株式会社総合研究所内 (72)発明者 北野 道雄 愛知県名古屋市千種区東山通3丁目33番地 (72)発明者 茶谷 悦司 愛知県稲沢市朝府町8番1−1106号 Fターム(参考) 4L033 AB01 AC10 AC15 BA55 BA69 CA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能性物質が加水分解タンパク質及び
    架橋剤を併用して固着されていることを特徴とする機能
    性繊維。
  2. 【請求項2】 加水分解タンパク質が加水分解コラー
    ゲン、加水分解絹フィブロイン、加水分解羊毛ケラチン
    から少なくとも一種選択されることを特徴とする請求項
    1記載の機能性繊維。
  3. 【請求項3】 加水分解タンパク質が平均分子量50
    0〜9,000未満である低分子量と平均分子量9,0
    00〜100,000である高分子量の加水分解タンパ
    ク質を併用していることを特徴とする請求項1又は2記
    載の機能性繊維。
  4. 【請求項4】 加水分解タンパク質のうち、低分子量
    と高分子量の加水分解タンパク質の配合比(低分子量の
    加水分解タンパク質の配合量/高分子量の加水分解タン
    パク質の配合量)が、0.02〜50であることを特徴
    とする請求項3記載の機能性繊維。
  5. 【請求項5】 加水分解タンパク質の配合量が加工溶
    液を100重量%とした場合、固形分として、0.00
    1〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか一項記載の機能性繊維。
  6. 【請求項6】 機能性物質、加水分解タンパク質及び
    架橋剤を含有する溶液を繊維に作用させ、次いで付与量
    を調整し、加熱処理をすることにより、機能性物質を繊
    維に固着させることを特徴とする機能性繊維の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 加水分解タンパク質が平均分子量50
    0〜9,000未満である低分子量と平均分子量9,0
    00〜100,000である高分子量の加水分解タンパ
    ク質を併用していることを特徴とする請求項6記載の機
    能性繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 繊維に作用させる方法がパディング法
    又は吸尽法であることを特徴とする請求項6又は7記載
    の機能性繊維の製造方法。
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