JP5011471B2 - 皮革改質剤 - Google Patents

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Description

本発明は皮革改質剤及びこれを用いた改質皮革の製造方法に関する。
牛、豚、鹿、羊、馬、やぎ等の動物の天然皮革は、有史以前から、履物、衣料等に利用されてきた。現在では、靴等の履物類、かばん、ハンドバッグ、衣類・手袋・ベルト等の服飾類、椅子・インテリア・カーシート等の家具類、スポーツ用品の他、馬具、太鼓、手芸用等、日常生活において幅広く使用され、生活用品の重要な素材となっている。
天然皮革の製造は、大別すると、1)準備作業、2)なめし工程、3)再なめし・染色・加脂工程、4)仕上げ工程の4工程に分けることができる。準備作業では、原皮に付着している血液、汚れ、塩分、肉片、脂肪等を除去し、石灰と硫化物で皮を膨潤させ、コラーゲン繊維をほぐすとともに毛を分解除去する。なめし工程では、クロム,アルミニウム,ジルコニウム等の金属なめし剤、植物タンニン、アルデヒド等を用いて皮の蛋白質であるコラーゲンを化学的に固定・安定化させ、腐敗しにくくし、その結果として耐水性、耐熱性、柔軟性、通気性等の優れた特性を革に付与する工程である。再なめし・染色・加脂工程では、用途に応じた特性を革に与え、希望の色に染色し、加脂剤により革に柔軟性や豊満性等の特性を付与する。仕上げ工程は、最終的な革製品として必要な性質を総合的に与えることが目的である。たとえば、色調の調整、平滑性の改善、感触の改善、水、光、化学薬品に対する抵抗性の付与、はっ水性の付与等を目的に革の銀面に塗装等を施すことが行われる。
しかしながら、なめしの種類や方法、或いは原料皮の種類、個体差、部位差、傷等により、強度、風合い、染色性等の物理特性が一定とならないという問題があった。特に、強度に関しては、部位や個体差をできるだけ小さく均一にすると同時に、より高めることが普遍的に求められている。また、皮革は多かれ少なかれ生体由来の部位による組織構造の相違や、傷が存在し、均質な染色は困難であるが、均染性の向上、染色堅ろう性の向上が求められている。
革の強度向上については、加脂剤、再なめし剤、樹脂剤の使用が古くから検討され、例えば、加脂剤ではカチオン性の脂肪族スルフォクロライドを主成分とするもの、4級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩(特許文献1参照)、アニオン性では脂肪酸アルコールの硫酸エステル化合物、トリグリセライドスルフォン化物等、なめし剤としてはグルタルアルデヒド、オキサゾリジン等のアルデヒド化合物、アクリル系樹脂等、仕上げ剤としてはポリウレタン(特許文献2参照)等が報告されているが、十分な効果は得られていない。
また、近年では、環境意識の高まり、消費者への安全性情報開示、国際取引上におけるエコラベル取得の必要性等の面から、皮革産業においても環境問題は避けて通れない課題となっており、環境に優しい薬剤が求められている。
一方、コラーゲンやケラチン等のタンパク質の加水分解物は、ハムやソーセージ等の食品、健康食品、シャンプーやリンス等のヘアケア製品、化粧品等に応用されている。また、かつては、ゼラチンやニカワが皮革の仕上げ工程において、光沢を付与するために使用されていた(非特許文献1及び2)。
しかしながら、コラーゲン加水分解物を皮革製造に用いることは全く知られていない。
松井繁武、「皮革の仕上げ剤および仕上げ技術」、皮革技術、28巻、1号、1−8(1987) 平尾浩一、「皮革用仕上剤」、皮革技術、21巻、2号、30−37(1980) 特表平9−512844号公報 特開平6−340900号公報
本発明は、強度の高い皮革を製造するために有用な皮革改質剤、及びそれを用いた改質皮革の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、斯かる実情に鑑み、コラーゲンやケラチン等の硬タンパク質の加水分解物又は微粉末が皮のコラーゲン線維と親和性を有し、皮革製造中にこれらを用いることにより、強度が高く、優れた物理特性を有する皮革が製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、硬タンパク質の分解物又は微粉末を有効成分とする皮革改質剤に係るものである。
また、本発明は、天然皮革の製造において、硬タンパク質の分解物又は微粉末で処理する工程を含むことを特徴とする改質皮革の製造方法に係るものである。
また、本発明は、上記の方法により製造された改質皮革に係るものである。
本発明によれば、天然皮革の物理特性が改善される皮革改質剤が提供される。すなわち本発明によれば、皮革の強度の向上を始め、厚さの改善、傷の補修効果、均染性又は染色堅ろう性の向上が図られ、均一な物理特性を持つ皮革の製造が可能となる。また、皮革中のコラーゲン量が増えることにより、吸放湿性が付与され、風合い等の官能性の改良もなされることから、より快適性に優れた皮革を製造することが可能となる。従って、本発明の改質皮革は、カーシート、ステアリングカバー、ダッシュボード被覆材等内装材等の自動車用、ゴルフ、野球、スキーその他手袋用、野球グローブ、オートバイ用レーシングスーツ等のスポーツ用、ベルト、革衣料、服飾用手袋等の衣料用、靴、鞄、袋物等に広く利用可能である。
本発明の皮革改質剤における、「改質」とは、天然皮革の物理特性の向上・均一化を図ることを意味する。具体的には、少なくとも皮革強度の向上を図り、好ましくは更に厚さの改善、傷の補修効果、均染性又は染色堅ろう性の向上、風合いの改善、吸放湿性の付与等を図ることをいう。
本発明における硬タンパク質としては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、セリシン、クチクリン等の繊維状タンパク質が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いてもよい。皮革の強度向上の点から、コラーゲン、ケラチン又はエラスチンが好ましく、特にコラーゲン、ケラチンが好ましい。
硬タンパク質の分解物としては、硬タンパク質に存在する化学結合の一部を酸、アルカリ、酵素等により加水分解し、当該タンパク質を低分子化(例えば、コラーゲン分解物の場合は、分子量1,000〜100,000、好ましくは2,000〜10,000)したものが挙げられる。また、微粉末としては、当該硬タンパク質を粒子径が50μm以下、好ましくは25μm以下となるよう微粒子化した微粉砕物が挙げられる。
斯かる硬タンパク質の分解物又は微粉末は、硬タンパク質含有原料から、硬タンパク質を抽出した後、或いはそのまま、酸、アルカリ、酵素等により加水分解するか、又は磨砕機等により粉砕して微粒子化することにより得ることができる。
硬タンパク質含有原料としては、例えばコラーゲンについては、牛、豚、羊、山羊、馬、鶏、魚の真皮や骨、魚の鱗等、ケラチンについては、水鳥や鶏の羽毛、羊毛、豚毛、牛毛等、エラスチンについては、牛、豚、羊、山羊、馬、鶏等の真皮、靭帯、腱、血管壁等が挙げられる。
例えばコラーゲンの分解物又は微粉末を調製する場合は、コラーゲンを含有する原料を酸又はアルカリ処理して不純物を除去した後、温水を用いて加熱してゼラチンを抽出し、これを加水分解等に付すのが好ましい。ここで使用されるアルカリとしては石灰、酸としては塩酸や硫酸等の無機酸が好適に挙げられる。処理時間は、一般に酸処理の場合は数時間から数日、石灰処理の場合は2〜3ヶ月を要する。
また、ケラチンの分解物又は微粉末を調製する場合は、ケラチンを含有する原料をそのまま分解又は微粉化処理に付してもよいが、低濃度のアルカリ(例えば0.5M水酸化ナトリウム溶液)に浸漬して不純物を除去した後、加水分解等に付すのが好ましい。
硬タンパク質の分解物を得るための酸又はアルカリによる加水分解処理は、硬タンパク質含有原料を水及び/又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の1種又は2種以上の混合物、好ましくは水及び/又はエタノールに溶解し、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸等の酸やアルカリを加えて行われる。
当該アルカリとしては、タンパク質やペプチドの加水分解に通常用いられるもの、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア等が挙げられ、対象のタンパク質原料の性質等によって適宜選択すればよい。尚、アルカリ溶液は、アルカリの水溶液であるのが好ましいが、アルコールと水との混合溶媒を用いてもよい。
溶液中における酸又はアルカリの濃度は、対象のタンパク質原料に適した条件を適宜選択すればよいが、酸を用いる場合、通常0.1〜0.8mol/Lとするのが好ましく、アルカリの場合、通常0.2〜0.5mol/Lとするのが好ましい。
加水分解処理は、上記酸又はアルカリ溶液中でタンパク質原料を振とう又は攪拌することによって行われる。反応は、通常20〜120℃の範囲内で、0.1〜72時間処理するのが好ましい。
酵素による加水分解は、通常、タンパク質を0.1〜40重量%の溶液とし、用いる酵素の作用pH域、作用温度域で、酵素を作用させればよい。
加水分解に用いられる酵素としては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン等の硬タンパク質を分解できるものであればよく、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼのいずれでもよく、また動物起源、植物起源あるいは微生物起源の何れでもよい。具体的には、例えば、ペプシン、パパイン、ブロメライン、フィシン等が挙げられる。
斯くして得られた硬タンパク質の加水分解物は、必要に応じて、例えば中和処理、濾過、脱塩(限外濾過、イオン交換、透析膜、電気透析、電解透析、ゲル濾過等)、遠心分離等を用いて分離・精製処理することができ、また水分を除去して濃縮又は粉末化することも可能である。
硬タンパク質の微粉末を得るための微粉砕化は、粒子径を50μm以下、好ましくは25μm以下に微粒化できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば石臼、ボールミル、ジェットミル、凍結粉砕等の方法が挙げられる。
尚、上記硬タンパク質の分解物又は微粉末は、市販品を用いてもよい。例えばコラーゲン分解物としては、PA−10、PA−100、PRA(以上、株式会社ニッピ社)、コラーゲンペプチドGCP−1000、コラーゲンペプチド700F、コラーゲンペプチド800F、スーパーコラーゲンペプチドSCP−5000(以上、新田ゼラチン株式会社)等を使用することができる。
斯くして得られた硬タンパク質分解物又は微粉末は、皮革中のコラーゲン繊維に付着し、皮革の強度を向上させ、厚さの改善、傷の補修効果を発揮する(後記実施例参照)。
従って、硬タンパク質の分解物又は微粉末を有効成分とする製剤は皮革改質剤として有用であり、皮革をこれで処理する工程を含む皮革の製造方法は、改質皮革を得るための方法として有用である。
尚、皮革とは、牛、豚、鹿、羊、馬、やぎ等の動物の天然皮革を意味するが、コラーゲン繊維を有し、本発明の硬タンパク質の分解物又は微粉末が付着し、本発明の効果を発揮し得るものであればその動物種は限定されるものではない。
本発明の皮革改質剤の剤形は、特に限定されるものではないが、液状又は粉末状の形態とするのが好ましい。
液状製剤は、本発明の硬タンパク質分解物又は微粉末を所望のタンパク含有濃度になるよう、溶媒に溶解することにより調製できる。ここで用いられる溶媒としては、水及び/又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
斯かる製剤には、硫酸ナトリウム、亜硫酸塩等の中性塩、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸等の有機酸、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等の防腐剤、アルコールサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、スルフォサクシネート等の各種界面活性剤等を適宜配合することができる。
粉末状製剤は、上記の液状製剤をスプレードライにて調製するか、或いは硬タンパク質分解物又は微粉末をそのまま、必要に応じてタルク、酸化亜鉛、シリカ、酸化チタン等のいわゆる助剤を混合して調製することができる。
本発明の皮革改質剤における硬タンパク質分解物又は微粉末の配合量は、本発明の効果を発揮し得る有効量を含有させればよいが、好ましくは1〜50重量%、特に5〜30重量%が特に好ましい。
本発明のタンパク質分解物又は微粉末を用いた皮革の処理は、皮革製造のいずれかの工程において行うことができる。
処理は、本発明の硬タンパク質の分解物又は微粉末を水、アルコール等の溶媒や各種助剤中に混合又は溶解して直接皮革に作用させること、或いは上述したこれらの硬タンパク質分解物又は微粉末を含む皮革改質剤を作用させることでもよい。
例えば、硬タンパク質の分解物を用いる場合は、太鼓を用いた水浴中で一定時間処理して、皮革中のコラーゲン線維に浸透させ、必要に応じて、更に塩基性硫酸クロム等の水溶性金属塩、グルタルアルデヒド等のアルデヒド化合物、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアミン樹脂等の架橋剤で処理することにより革中にて高分子化して結合をより強固にすればよい。また、硬タンパク質微粉末を用いる場合は、当該微粉末をバインダーや油脂等の薬剤と混合し、これを用いて革中のコラーゲン繊維に付着させることにより行うことができる。
皮革製造工程において、上記タンパク質の分解物又は微粉末による処理を適用する時期は、特に限定されるものではなく、1)なめし前の浸酸(ピックル)工程時、2)再なめし工程時、3)中和工程時、4)染色工程時、5)加脂工程時、6)最終水処理工程時、を始め、7)仕上げ工程(スプレー、ロールコーター等)においても可能である。いずれの場合においても目的に応じた上記架橋剤の併用が効果的である。
1)なめし前の浸酸(ピックル)工程において行う場合
浸酸は、通常、準備作業の終了した原料皮を、約20℃の水浴に投入し、塩化ナトリウムを添加して数十分間処理した後、1〜2%の硫酸を単独又は0.5〜1%の蟻酸を併用して投入し、数時間処理することにより行われる。
本工程において、本発明の皮革改質剤の添加は、例えば、塩化ナトリウム処理に続いて行うことができ、30〜60分処理を行えばよい。
2)再なめし工程時において行う場合
再なめしは、通常、原料皮を、約30℃の水浴中に投入し、有機酸、カチオン性再なめし剤(例えば塩基性硫酸クロム、塩基性硫酸アルミニウム等)を添加することにより行われる。尚、この工程中には、柔軟性付与、薬剤の分散を目的として電解質に安定な薬剤(例えば脂肪酸燐酸エステル化合物、トリグリセライド亜硫酸化油等)等も併用添加することができる。
本工程において、本発明の皮革改質剤の添加は、例えば、有機酸処理後(なめし剤添加前)に続いて行うことができ、30〜60分処理を行えばよい。
3)中和工程時において行う場合
中和は、通常、カチオン性の再なめしの後、原料革を約35℃の水浴で洗浄した後、新水浴に投入し、これに中和用薬剤(例えば重曹、蟻酸ソーダ、中和用合成タンニン)を添加し、30〜90分処理し、pHを調整することにより行われる。
本工程において、本発明の皮革改質剤の添加は、例えば、中和用薬剤の添加と同時に行うことができる。
4)染色工程時において行う場合
染色は、通常、原料革を約40℃の水浴に投入後、染料浸透化薬剤(例えば0.5〜1%のアンモニア水)で処理し、その後、染色均一化薬剤(例えば1〜3%のフェノールスルホン酸縮合物)で処理した後、希望する色合いの酸性染料を所定量投入することにより行われる。
本工程において、本発明の皮革改質剤の添加は、例えば、染色均一化薬剤による処理に続いて行うことができ、30分程度処理を行えばよい。
5)加脂工程時において行う場合
加脂は、通常、染色工程浴で行う場合は製造する製品革の目的に沿った所定の加脂剤を染色浴に添加して処理し、その後、蟻酸を投入することにより行われる。
本工程において、本発明の皮革改質剤の添加は、例えば加脂剤の添加と同時に行えばよい。
6)最終水処理工程時に行う場合
最終水処理は、防水処理等の特殊な加工を行う場合に行われるが、通常、その直前すなわち加脂工程の後に、原料革を約45℃の水浴に入れ、その後防水剤(例えば、2〜5%アルキル燐酸エステル)、蟻酸、金属塩(例えば、塩基性硫酸クロム等)、場合により脂肪酸の金属化合物(例えば、ステアリン酸アルミニウム等)を添加して処理を行い、最後に水浴で洗浄することにより行われる。
本工程において、本発明の皮革改質剤の添加は、例えば、防水剤の添加前に行うことができ、30分程度処理を行えばよい。
7)仕上げ工程時に行う場合
仕上げ工程は、大別すると、(i)傷の補修、薬剤吸収均一化目的の目止めコート、(ii)皮膜形成着色目的の中間コート、(iii)感触付与、表面保護のトップコート、の各作業がある。仕上げ用薬剤の溶媒は水及び、メチルセルロース、ブチルセルロースを主剤とする混合溶剤を使用する2種類があり、作業環境等の問題から水溶媒系が主流になっている。
(i)目止めコートは、パラフィンワックスを主剤とする可塑剤、アクリル、ウレタン等を主剤とする樹脂バインダー、ミルクカゼインを主剤とする皮膜補強助剤及び水等を混合した薬剤液をスプレー、あるいはローラーコーター、ブラシ等で表面に塗布し、常温あるいは熱風で乾燥、その後ロールアイロン、ハイドローリックプレス等のアイロン機械で加熱しながら圧力を塗装表面に加えて皮膜を形成し面を平滑化する工程である。
本工程において、本発明の皮革改質剤は、例えば、目止めコートに先立ち、架橋剤及び水と共に混合し、塗布、乾燥、アイロンすること、或いは皮革改質製剤を単独又は架橋剤と共に目止め用薬剤に混合して使用することができる。
(ii)中間コートは、パラフィンワックスを主剤とする可塑剤、アクリル、ウレタン等を主剤とする樹脂バインダー、有機又は無機顔料、ミルクカゼインを主剤とする皮膜補強助剤等を混合した薬剤液を塗布し、乾燥、アイロンを行う工程である。
本工程において、本発明の皮革改質剤は、例えば、単独又は架橋剤と共に中間コート混合薬剤に添加することができる。
(iii)トップコートは、シリコン等を主剤とする感触剤、酢酸セルロースを主剤とするラッカー乳化液、パラフィンワックスを主剤とする可塑剤、ミルクカゼインを主剤とする皮膜補強助剤及び水を混合した薬剤液を塗布し、乾燥、アイロンを行う工程である。
本工程において、本発明の皮革改質剤は、例えば、単独又は架橋剤と共にトップコート混合薬剤に添加することができる。
コラーゲン分解物として、(株)ニッピ製のPRA(平均分子量5,000)を水に溶解して、10%加水分解コラーゲン溶液を調製し、以下の実施例1及び3に使用した。
ケラチン加水分解物は、以下のようにして調製した。
すなわち、豚毛に0.5M水酸化ナトリウム溶液を加えて、室温で12〜24時間浸漬後、水酸化ナトリウム溶液を廃棄して10〜20倍量の水を加え、70℃に保ちながら4〜6時間撹拌し可溶化した。抽出残さを遠心分離又はフィルターで濾過し、その濾液を塩酸で中和し、限外ろ過により脱塩を行い、凍結乾燥することによりケラチン加水分解物を得た。得られたケラチン分解物を水に溶解して、10%加水分解ケラチン溶液を調製し、以下の実施例2に使用した。
実施例1 コラーゲン加水分解物による皮革の処理
常法により処理したスペイン産羊ウエットブルーをドラム中に入れ、ウエットブルー100重量部に対して300重量部の水で水洗後、200重量部の水、2%炭酸水素ナトリウムを添加し60分間回転し中和を行った。さらに、水(500重量部)で水洗した。これに10%の加水分解コラーゲン溶液を添加して、50℃で30分間回転した。続いて、乳化させた加脂剤(10重量部)を加えて50℃で60分間加脂を行った。ギ酸等の有機酸を添加して30分間回転定着処理を行い、馬掛け、ガラ干し、味入れ、バイブレーション、ネット張りを行った。
得られた革について、加水分解コラーゲン溶液のみを添加せず同様に処理した革をコントロールとして、JIS K 6550革試験方法に基づき試験した。結果を表1に示す。
Figure 0005011471
表1に示すとおり、引張切断荷重において約2.1倍の強度上昇効果が得られた。また、引裂切断荷重においても約17%の強度上昇が認められた。
実施例2 ケラチン加水分解物による皮革の処理
常法により処理したスペイン産羊ウエットブルーをドラム中に入れ、ウエットブルー100重量部に対して300重量部の水で水洗後、200重量部の水、2%炭酸水素ナトリウムを添加し60分間回転し中和を行った。さらに、水(500重量部)で水洗した。これに10%のケラチン加水分解溶液を添加して、50℃で30分間回転した。続いて、乳化させた加脂剤10%を加えて50℃で60分間加脂を行った。ギ酸等の有機酸を添加し30分間回転定着処理を行い、馬掛け、ガラ干し、味入れ、バイブレーション、ネット張りを行った。
得られた革について、ケラチン加水分解溶液のみを添加せず同様に処理した革をコントロールとして、JIS K 6550革試験方法に基づき試験した結果を表2に示す。
Figure 0005011471
表2に示すとおり、引張切断荷重において約1.7倍の強度上昇効果が得られた。また、引裂切断荷重においても約10%の強度上昇が認められた。
実施例3
通常に市販されている牛素上げ革の表面をサンドペーパーで削ったものを試料とし、当該試料に10%加水分解コラーゲン溶液を塗布し、十分に乾燥させた後に、アイロンをかけた。処理前後の革の厚さを測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005011471
加水分解コラーゲン溶液が損傷部位に選択的に吸着され目止め効果が大きいことが認められた。
実施例4
常法により処理した豚ウエットブルーをドラム中に入れ、ウエットブルー重量に対して300%の水で水洗後、200%水、2%炭酸水素ナトリウムを添加し60分間回転し中和を行った。さらに、500%水で水洗した。これに10%のコラーゲン加水分解溶液を添加して、50℃で30分間回転した。続いて、乳化させた加脂剤10%を加えて50℃で60分間加脂を行った。ギ酸等の有機酸を添加し30分間回転定着処理を行い、馬掛け、ガラ干し、味入れ、バイブレーション、ネット張りを行った。
牛ウエットブルーについても、同様の処理を行った。
得られた豚革及び牛革について、コラーゲン加水分解溶液のみを添加せず同様に処理した革をコントロールとして、JIS K 6550革試験方法に基づき試験した結果をそれぞれ表4(豚革)、表5(牛革)に示す。引張切断荷重において、豚は約1.5倍、牛は1.3倍の強度上昇効果が得られた。また、引裂切断荷重においても、豚では約6%、牛で約60%の強度上昇が認められた。
Figure 0005011471
Figure 0005011471
実施例5
常法により処理を行ったエチオピア産羊ピックル皮に対して、脱脂、中和を行った後、60%水、6%塩化ナトリウム、1%ギ酸を添加し再ピックルを行った。50%水、6%塩化ナトリウム、5%コラーゲン加水分解物溶液を添加し60分間回転した後、6%クロム鞣剤を添加し120分回転させ、クロム鞣しを行った。炭酸水素ナトリウムで塩基度を上昇させた後、さらに180分回転し、翌朝まで静置しウエットブルーとした。ウエットブルー重量に対して300%の水で水洗後、200%水、2%炭酸水素ナトリウムを添加し60分間回転し中和を行った。さらに、500%水で水洗した。続いて、乳化させた加脂剤10%を加えて50℃で60分間加脂を行った。ギ酸等の有機酸を添加し30分間回転定着処理を行い、馬掛け、ガラ干し、味入れ、バイブレーション、ネット張りを行った。
得られた革について、コラーゲン加水分解溶液のみを添加せず同様に処理した革をコントロールとして、JIS K 6550革試験方法に基づき試験した結果は表6に示す。
特に革の充実性が増加し、コラーゲン加水分解物の添加濃度によって種々の風合いを有する革を製造することが可能であった。また革のしぼが改善された。厚さにおいて10%の増加、引張切断荷重において約1.6倍、引裂切断荷重においても約1.7倍の強度上昇が認められた。
Figure 0005011471
実施例6
スペイン産シープクラスト革に対し、400%水、1%アンモニア(1:10溶液)で60分回転させた後、8%コラーゲン加水分解物溶液を添加し、さらに200%水を加えて60分回転させた。ギ酸等の有機酸を添加し15分間回転処理を行い、馬掛け、ガラ干し、味入れ、バイブレーション、ネット張りを行った。
得られた革について、コラーゲン加水分解溶液のみを添加せず同様に処理した革をコントロールとして、JIS K 6550革試験方法に基づき試験した結果は表7に示す。特に革の充実性が増加し、コラーゲン添加濃度によって種々の風合いを有する革を製造することが可能であった。また革のしぼが改善された。引張切断荷重と引裂切断荷重において約10%の強度上昇が認められた。
Figure 0005011471
実施例7
染色・加脂が終わった革に対して、コラーゲン加水分解物9gに対して水911gの割合で混合し、スプレー塗装により目止めコートを行った後、乾燥を行った。
得られた革の表面について評価を行ったところ、表8に示すように表面平滑性、外観均一性に優れた革が得られ、小さな傷の補修効果が認められた。
Figure 0005011471

Claims (3)

  1. ケラチン加水分解物及び分子量1,000〜10,000のコラーゲン加水分解物から選ばれる硬タンパク質の分解物を有効成分とする皮革改質剤。
  2. 天然皮革の製造において、ケラチン加水分解物及び分子量1,000〜10,000のコラーゲン加水分解物から選ばれる硬タンパク質の分解物で処理する工程を含むことを特徴とする改質皮革の製造方法。
  3. 請求項記載の方法により製造された改質皮革。
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