JP2000211896A - 角度制御方法及び角度制御装置 - Google Patents

角度制御方法及び角度制御装置

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JP2000211896A
JP2000211896A JP1741199A JP1741199A JP2000211896A JP 2000211896 A JP2000211896 A JP 2000211896A JP 1741199 A JP1741199 A JP 1741199A JP 1741199 A JP1741199 A JP 1741199A JP 2000211896 A JP2000211896 A JP 2000211896A
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inclinometer
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JP1741199A
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English (en)
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Akio Mito
昭夫 水戸
Nakayasu Hirono
仲保 広野
Tomoo Inoue
智夫 井上
Kuniaki Kato
邦昭 加藤
Kazuteru Sato
一輝 佐藤
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Aichi Corp
Tokimec Inc
Original Assignee
Aichi Corp
Tokimec Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な機構を必要とせず、安定し且つ高精度
の角度制御を行うことができ、且つブーム部材を細くす
ることも可能な角度制御方法を提案する。 【解決手段】 俯仰を行うブーム部材14の先端部に
回動自在に設けられると共に基台用油圧シリンダ24に
よりブーム部材14となす角度を調整可能となされた基
台20を、ブーム部材14の俯仰に拘らず所望の傾斜角
度に保持するために、ブーム部材14の俯仰と共に基台
用油圧シリンダ24を駆動し基台10をブーム部材14
に対して回動させ、傾斜計26の出力安定時に傾斜角度
信号θ1を適宜読み込み、ブーム部材14の俯仰ストッ
プ指令出力後に、最新に傾斜計26から読み込まれた傾
斜角度θ1と所望の傾斜角度との偏差角度を求め、基台
用油圧シリンダ24を駆動し、角度検出器28からのブ
ーム・基台間角度信号φ1がこの偏差角度だけ変化する
ように閉ループ制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、俯仰を行うブーム
部材の先端部に設けられると共にアクチュエータにより
ブーム部材となす角度を調整可能となされた基台を、ブ
ーム部材の俯仰に拘らず所望の傾斜角度に保持するため
の角度制御方法及び角度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の基台を水平の角度に制御
する水平制御装置としては、ブーム部材と基台とを常に
平行四辺形を形成するロッドでリンク結合し、ブーム部
材の俯仰に拘らず、常に、基台が地面と平行になるよう
に保持する完全に機械的な平行リンク式の装置や、図1
9に示す装置が知られている。
【0003】図19は、油圧シリンダを用いた容積移動
による基台の水平制御装置である。図において、70は
基台であり、基台70は俯仰を行うブーム部材72に一
端が回動自在に連結されている。ブーム部材72の基端
は、ベース74上にある回転テーブル76に軸着されて
おり、ブーム部材72の俯仰は、俯仰用油圧シリンダ7
8によって行われる。基台70は、ブーム部材72と基
台70の他端との間に介設されたアクチュエータである
基台用油圧シリンダ80によってブーム部材72との間
の角度が調整される。ブーム部材俯仰用油圧シリンダ7
8とは別に、ポンプ機能を行うポンプ用油圧シリンダ8
2が回転テーブル76とブーム部材72との間に設けら
れている。そして、図20(a)に示すように、ポンプ用
油圧シリンダ82と基台用油圧シリンダ80とは、同一
サイズとなっており、互いのロッド側油圧室同士、ヘッ
ド側油圧室同士がそれぞれブーム部材内を配索される油
圧ホース84によって接続されて、非圧縮性作動油が互
いの油圧室同士を出入り可能となっている。ブーム部材
72がベース74に対して上向きに俯仰動作を行うと、
図20(b)に示すように、ポンプ用油圧シリンダ82が
伸び、これにより基台用油圧シリンダ80が縮み、基台
70をブーム部材72に対して同一角度だけ下向きに動
かすので、結果として、基台70のベース74に対する
傾斜は変わらず、水平を保持することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、平行リ
ンク式のものはシンプルであり、確実に水平を保持でき
るが、構造的に外部にロッド部材が必要であり、邪魔に
なったり、また伸縮するブーム部材に用いるには機構上
不可能であったり、または複雑な機構となってしまう、
という課題がある。
【0005】また、図19及び図20の油圧シリンダを
用いた容積移動による基台の水平制御装置でも、安定的
にブーム部材の俯仰に同期した水平出しが行われるもの
の、油圧シリンダ80,82、ホース84内に空気が残
存すると、圧縮性の影響で基台の動きがふわふわしてし
まうので、空気抜きのため本来の回路とは別に積極的に
圧力油を送り込んで循環させるための油圧回路の工夫が
必要であり、装置が複雑化し、手間がかかるという課題
がある。また、ホース84は曲がり難い強度的に強いも
のとする必要があるため、ブーム部材72内に占める容
積も大きく、ブーム部材72を細くすることができない
という課題もある。
【0006】本発明はかかる従来の課題に鑑みなされた
もので、複雑な機構を必要とせず、安定し且つ高精度の
角度制御を行うことができ、且つブーム部材を細くする
ことも可能な角度制御方法及び装置を提供することをそ
の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の角度制御方法は、俯仰を行うブーム部材の先
端部に回動自在に設けられると共にアクチュエータによ
りブーム部材となす角度を調整可能となされた基台を、
ブーム部材の俯仰に拘らず所望の傾斜角度に保持するた
めに、基台の傾斜を検出する傾斜計からの傾斜角度信号
及びブーム部材となす角度を検出する角度検出器からの
ブーム・基台間角度信号を用いて前記アクチュエータを
駆動する角度制御方法であって、ブーム部材の俯仰と共
にアクチュエータを駆動し基台をブーム部材に対して回
動させ、傾斜計の出力安定時に傾斜角度信号を適宜読み
込み、ブーム部材の俯仰ストップ指令出力後に、最新に
傾斜計から読み込まれた傾斜角度と所望の傾斜角度との
偏差角度を求め、アクチュエータを駆動し、角度検出器
からのブーム・基台間角度信号がこの偏差角度だけ変化
するように閉ループ制御を行う、ことを特徴とする。
【0008】傾斜計からの傾斜角度が所望の傾斜角度に
なるように閉ループ制御を行う代わりに、角度検出器か
らのブーム・基台間角度信号がこの偏差角度だけ変化す
るように閉ループ制御を行い、基台を回動させる。これ
により、閉ループ制御中に傾斜計が拾う外乱によってハ
ンチングが起こるといった事態を招くことなく、安定し
た高精度の制御を行うことができる。
【0009】また、本発明の他の態様による角度制御方
法は、俯仰を行うブーム部材の先端部に回動自在に設け
られると共にアクチュエータによりブーム部材となす角
度を調整可能となされた基台を、ブーム部材の俯仰に拘
らず所望の傾斜角度に保持するために、基台の傾斜を検
出する傾斜計からの傾斜角度信号を用いて前記アクチュ
エータを駆動する角度制御方法であって、ブーム部材の
俯仰と共にアクチュエータを駆動し基台をブーム部材に
対して回動させ、傾斜計の出力安定時に傾斜角度信号を
適宜読み込み、ブーム部材の俯仰ストップ指令出力後
に、最新に傾斜計から読み込まれた傾斜角度と所望の傾
斜角度との偏差角度を求め、偏差角度を基台の角速度で
除算して駆動時間を算出し、該駆動時間だけアクチュエ
ータを駆動する、ことを特徴とする。
【0010】傾斜計からの傾斜角度が所望の傾斜角度に
なるように閉ループ制御を行う代わりに、偏差角度を基
台の角速度で除算して得られた駆動時間だけアクチュエ
ータを駆動することで基台を回動させる。これにより、
閉ループ制御中に傾斜計が拾う外乱によってハンチング
が起こるといった事態を招くことなく、安定した高精度
の制御を行うことができる。前記傾斜角度信号の読み込
みは、傾斜計の出力安定時に常に行うようにすることも
できるが、傾斜計の出力に乱れがない状態におけるブー
ム部材または基台の動作スタート指令出力直後、動作ス
トップ指令出力直後または動作変更指令出力直後に行う
ようにすることもできる。指令出力直後はその応答遅れ
からまだ実際に実行されていないため、傾斜計の出力が
安定しているからである。
【0011】尚、ここで、前記ブーム部材の動作には、
そのスタート・ストップ動作が傾斜計に無視できない大
きさで感知される俯仰、伸縮、旋回等が含まれ、動作変
更には、傾斜計に無視できない大きさで感知される俯
仰、伸縮または旋回の反転、変速等が含まれる。また、
基台の動作には、そのスタート・ストップ動作が傾斜計
に無視できない大きさで感知される回動等が含まれ、動
作変更には、変速等が含まれる。
【0012】また、傾斜計の出力安定時とは、ブーム部
材または基台の動作スタート後、動作ストップ後または
動作変更後の所定時間経過後、傾斜計の出力の時間変化
率が所定値以下である時とすることができる。
【0013】また、前記ブーム部材の俯仰と共にアクチ
ュエータを駆動し基台をブーム部材に対して回動させる
のは、基台をブーム部材の俯仰角速度とほぼ同一の角速
度で、ブーム部材の俯仰と逆向きの方向に回動させるよ
うアクチュエータを駆動することによって行うことがで
きる。これにより、基台をブーム部材の俯仰に追従させ
て、ブーム部材俯仰動作中も基台を所望の傾斜角度に近
い角度に保持することができ、ブーム部材の俯仰終了後
に生じる偏差角度を小さいものとすることができる。こ
のアクチュエータの駆動は、開ループ制御で行ってもよ
く、または、ブーム部材の俯仰指令信号に基づいて制御
を行ってもよい。ほぼ同一角速度で回動させると言って
も、両者の角速度に僅かなズレがあり、ブーム部材の俯
仰中に、傾斜計からの傾斜角度信号と所望の傾斜角度と
の偏差角度が上限値または下限値を越えた場合には、そ
の偏差が小さくなるように、角速度を変化させて、例え
ば基台の回動を一旦停止させるか、または角速度を大き
くするかして、偏差角度が上下限値内にあるように制御
することもできる。
【0014】または、前記ブーム部材の俯仰と共にアク
チュエータを駆動し基台をブーム部材に対して回動させ
るのは、ブーム部材の俯仰中に、傾斜計からの傾斜角度
信号と所望の傾斜角度との偏差角度を求め、該偏差角度
が上限値または下限値を越えた場合にその偏差が小さく
なるように回動の開始、回動の停止をするようアクチュ
エータを駆動することにより行うこともできる。
【0015】または、前記ブーム部材の俯仰と共にアク
チュエータを駆動し基台をブーム部材に対して回動させ
るのは、角度検出器からのブーム・基台間角度信号が、
ブーム部材の俯仰指令信号を積分して得られた指令角度
信号に一致するようにアクチュエータを駆動することに
より行うことができ、または角度検出器からのブーム・
基台間角度信号が、検出されたブーム部材の俯仰角度に
一致するようにアクチュエータを駆動することにより行
うことができる。
【0016】また、本発明の角度制御装置は、俯仰を行
うブーム部材の先端部に回動自在に設けられると共にア
クチュエータによりブーム部材となす角度を調整可能と
なされた基台を、ブーム部材の俯仰に拘らず所望の傾斜
角度に保持するための角度制御装置であって、基台に設
置され、基台の傾斜を検出し傾斜角度信号を出力する傾
斜計と、ブーム部材と基台との間に設置され、ブーム部
材と基台とのなす角度を検出しブーム・基台間角度信号
を出力する角度検出器と、ブーム部材の俯仰スタート及
びストップを指令する指令手段と、ブーム部材の俯仰と
共に基台をブーム部材に対して回動させ、傾斜計の出力
安定時に傾斜角度信号を適宜読み込み、ブーム部材の俯
仰ストップ指令出力後に最新に傾斜計から読み込まれた
傾斜角度と所望の傾斜角度との偏差角度を求め、角度検
出器からのブーム・基台間角度信号がこの偏差角度だけ
変化するように閉ループ制御するべく、アクチュエータ
の駆動信号を出力するコントローラと、を備えることを
特徴とする。
【0017】また、他の態様による角度制御装置は、俯
仰を行うブーム部材の先端部に回動自在に設けられると
共にアクチュエータによりブーム部材となす角度を調整
可能となされた基台を、ブーム部材の俯仰に拘らず所望
の傾斜角度に保持するための角度制御装置であって、基
台に設置され、基台の傾斜を検出し傾斜角度信号を出力
する傾斜計と、ブーム部材の俯仰スタート及びストップ
を指令する指令手段と、ブーム部材の俯仰と共に基台を
ブーム部材に対して回動させ、傾斜計の出力安定時に傾
斜角度信号を適宜読み込み、ブーム部材の俯仰ストップ
指令出力後に最新に傾斜計から読み込まれた傾斜角度と
所望の傾斜角度との偏差角度を求め、偏差角度を基台の
角速度で除算して駆動時間を算出し、該駆動時間だけア
クチュエータを駆動するべく、アクチュエータの駆動信
号を出力するコントローラと、を備える。
【0018】また、角度制御装置は基台上またはその近
傍に配設されるとよい。傾斜計及び角度検出器等は基台
上またはその近傍に配置されるので、角度制御装置と基
台外との間でブーム部材を介してやり取りされる信号線
の数を少なくすることができ、ブーム部材を細くするこ
とができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。図1は、本発明を適用した作業機の
概略構造図(但し、作業機本体は図示省略している)
で、10はベース部材であり、ベース部材10上には回
転テーブル12がベース部材10上で回転可能に設けら
れている。回転テーブル12には、俯仰部材であるブー
ム部材14の一端が支点16に軸着されている。ブーム
部材14は、回転テーブル12とブーム部材14との間
に介設された俯仰用油圧シリンダ18によって俯仰動作
が行われるようになっている。
【0020】ブーム部材14は、外筒14aと内筒14
bとで構成され、内筒14bは外筒14a内で摺動自在
にガイドされており、図示しない伸縮用油圧アクチュエ
ータによって伸縮動作が行われるようになっている。
【0021】ブーム部材14の先端には、基台20の一
端が支点22にて回動可能に軸着されている。基台20
の他端は、内筒14bと基台20の他端との間に介設さ
れたアクチュエータである基台用油圧シリンダ24によ
ってブーム部材14との間の角度調整が行われるように
なっている。基台20上には、基台20の傾斜角度を検
出する傾斜計26が取付けられている。傾斜計26は、
重力加速度計を検出するもの、電解液を用いるもの、偏
重心を利用するもの等の公知の傾斜計で構成することが
できる。また、制御角度の精度をあまり必要としない場
合には、設定値の異なる複数の傾斜スイッチから構成す
ることもできる。また、基台20とブーム部材14との
間には、これらの間でなす角度を検出する角度検出器2
8が取付けられている。角度検出器28は、エンコー
ダ、ポテンショメータ等の公知のものを使用することが
できる。
【0022】図2は、上記作業機のブーム部材14の俯
仰を行わせる俯仰用油圧シリンダ18を駆動する油圧回
路30及び基台20の角度制御を行う基台用油圧シリン
ダ24(アクチュエータ)を駆動する油圧回路40を示し
ている。油圧回路30は、モータ、ポンプ、タンク、圧
力調整弁から主に構成される俯仰用油圧ユニット32
と、電磁切換弁34及び絞り弁ユニット36から構成さ
れ、作業機本体側またはベース側に搭載されている。
【0023】一方の油圧回路40は、モータ、ポンプ、
タンク、圧力調整弁から主に構成される基台用油圧ユニ
ット42と、電磁切換弁44及び絞り弁ユニット46か
ら構成され、基台20上に搭載され、電力はバッテリー
または作業機本体から供給される。
【0024】尚、図2の油圧回路30,40において、
電磁切換弁34と俯仰用油圧シリンダ18との間、及び
電磁切換弁44と基台用油圧シリンダ24との間には、
電磁切換弁34,44が中立状態でロックを確実にする
パイロットチェック弁を挿入すると良く、これにより自
然縮小を防止することができる。
【0025】俯仰用油圧シリンダ18は、ブーム部材1
4全体を駆動するために大径大形であり、これに対して
基台用油圧シリンダ24は基台20のみの駆動であり小
径小形となっている。
【0026】図3は本発明の角度制御装置を含むブロッ
ク図であり、50は本発明の基台の水平制御を行う基台
側コントローラである。基台側コントローラ50は基台
20上に搭載され、該基台側コントローラ50には、傾
斜計26及び角度検出器28からの角度信号が入力され
ると共に、ブーム俯仰操作スイッチ52、ブーム伸縮操
作スイッチその他の操作スイッチ54からの操作ONま
たは操作OFFの信号が入力される。また、基台側コン
トローラ50の出力ポートには電磁切換弁44が接続さ
れ、この出力ポートから電磁切換弁44への駆動信号が
出力される。
【0027】また、60は作業機本体側またはベース側
に搭載されるベース側コントローラであり、ベース側コ
ントローラ60には、ブーム俯仰操作スイッチ52、ブ
ーム伸縮操作スイッチその他の操作スイッチ54からの
操作ONまたは操作OFFの信号が入力される。また、
ベース側コントローラ60の出力ポートには電磁切換弁
34が接続され、この出力ポートから電磁切換弁34へ
の駆動信号が出力され、また、ブーム伸縮用その他の電
磁切換弁56への駆動信号が出力される。
【0028】ブーム俯仰操作スイッチ52が上向き俯仰
にONとなると、ベース側コントローラ60は、電磁切
換弁34のソレノイド34aの励磁信号を出力し、同時
に、基台側コントローラ50は、電磁切換弁44のソレ
ノイド44bの励磁信号を出力する。そして、ブーム部
材14は上向きに角度を増やし、基台20はブーム部材
14に対して下向きに角度を増やして、基台20の水平
を保持しようとする。
【0029】絞り弁ユニット36は、所定のブーム部材
14の俯仰角速度が得られるような絞りに設定され、絞
り弁ユニット46は、基台20の角速度が、ある条件で
ブーム部材14の俯仰角速度にほぼ一致するような絞り
に設定されている。従って、上記ある条件で、ブーム部
材14の俯仰角速度と基台20の角速度が同一の状態に
あると、電磁切換弁34のソレノイド34aと電磁切換
弁44のソレノイド44bとを同時に励磁すれば、上向
きに回転している基台20に対して、ブーム部材14は
同じ角速度で下向きに回転しているため、一定時間後、
基台20の傾きはほぼ水平を保持することになる。
【0030】ところが、ブーム部材14の長さが伸ばさ
れたり、基台20上の搭載重量が変わったりして、上記
ある条件から外れた場合には、この関係は崩れるため、
修正を行わないと基台20は水平を保持することができ
ない。図4に修正を行わない場合のブーム部材14、基
台20の時間軸で見た角度状態を示す。始めに、ブーム
部材14の俯仰角が15度で、基台20がブーム部材1
4に対して下向きに15度となっていたとすると、基台
20は水平状態にある。ブーム俯仰操作スイッチ52が
ONになると、その信号が各コントローラ50,60に
出力され、ブーム部材14及び基台20がそれぞれ俯仰
を同時スタートする。基台20の角速度がブーム部材1
4の角速度の117%であるとすると、所定時間経過後
にブーム部材14が30度上に向いて45度となったと
きに、基台20は、ブーム部材14に対して30度の1
17%下に向き、50度に振られることになる。従っ
て、基台20は水平となるには、動作量が多すぎ、上向
きに5度のずれを持って停止する。
【0031】またこのときに、傾斜計26の出力は、ス
タート時、ストップ時にブーム部材14が大きく振れる
ので、傾斜計26は本来の傾斜量に振れ加速度を合算し
て出力する。ところで、ブーム部材14の振れは、図4
(c)に示したように、スタート時に多少発生し、スト
ップ時に比較的大きく発生するものの、途中の定速区画
では安定している。スタート直後、ストップ直後を除け
ば傾斜計26はほぼ実体の傾斜を出力している。
【0032】そこで、本発明では、この傾斜計26の安
定した出力を基台側コントローラ50で読み込み、これ
を用いて基台20の角度制御を行うものである。
【0033】(第1の実施の形態)第1の実施の形態とし
て、基台側コントローラ50で実行されるフローチャー
トを図5に示す。図5は、俯仰動作以外の動作は遅く、
傾斜計26の出力変化は無視できる場合である。
【0034】まず俯仰を行うために、ブーム俯仰操作ス
イッチ52がON(上向き俯仰または下向き俯仰)となる
と、そのスタート信号の立ち上がりで、傾斜計26と角
度検出器28からの信号θ1、φ1をそれぞれ取り込
み、内蔵のメモリに記憶する(ステップS11)。取り
込んだデータは、俯仰スタート前のものなので傾斜計2
6の出力波形は乱れていない。
【0035】そして、電磁切換弁44へ信号が出力され
(ステップS12)、上向き俯仰または下向き俯仰に応
じて基台用油圧シリンダ24を縮めるかまたは伸ばすよ
うに、ソレノイドを励磁する。尚、同時に、ブーム俯仰
操作スイッチ52の信号はコントローラ60へも送られ
て、そこから、電磁切換弁34へ信号が出力され、上向
き俯仰または下向き俯仰に応じて俯仰用油圧シリンダ1
8を伸ばすかまたは縮めるように、ソレノイドを励磁し
ている。基台20は、開ループ制御により、予め設定さ
れたブーム部材14の俯仰角速度とほぼ同一の角速度
で、ブーム部材14の俯仰と逆向きに回動される。
【0036】ステップS12に引き続き、タイマーT1
のカウントアップをスタートさせる(ステップS1
3)。その後、ブーム俯仰操作スイッチ52からOFF
の信号が出力されたかどうかを判断し(ステップS1
4)、これを繰り返す。ブーム俯仰操作スイッチ52が
OFFとなったときに、タイマーT1の計時時間が時間
T1経過していた場合には(ステップS15でye
s)、OFFの信号の立ち上がりで、傾斜計26及び角
度検出器28の信号θ1、φ1をそれぞれ取り込み、ス
タート時に読み込んだデータを書き換えて、記憶する
(ステップS16、S17)。この時間T1は、俯仰動
作が開始されて傾斜計26の出力が安定したと考えられ
る時間に設定される。ブーム俯仰操作スイッチ52がO
FFとなっても、電磁切換弁34が応答するには所定の
時間がかかるので、取り込んだデータにはまだ乱れがな
く安定したデータが得られる。次いで、ステップS18
で、更新された最新の傾斜計26の信号θ1と角度検出
器28の信号φ1とを加算して、指令値φs(=θ1+
φ1)を求め、記憶する。
【0037】他方、時間T1が経過していない場合に
は、傾斜計26の出力は安定していないものと考えて、
傾斜計26の出力は取り込まず、角度検出器28の信号
φ1のみを取り込み、スタート時に読み込んだデータを
書き換えて、記憶し(ステップS17)、ステップS1
8でスタート前の傾斜信号θ1と更新したφ1とを加算
して、指令値φsとする。
【0038】そして、ステップS19ないしS21で記
憶された指令値φsに一致させるように、基台角度を制
御する閉ループが行われる。即ち、ステップS19にお
いて、設定値φsと最新の角度検出器28の信号φ1と
の差が許容範囲α内にあるかどうかを判断し、許容範囲
α内であれば、処理を終了し、許容範囲α内でなけれ
ば、電磁切換弁44へ信号を出力して(ステップS2
0)、角度検出器28の信号φ1を取り込み(ステップ
S21)、許容範囲α内になるように基台用油圧シリン
ダ24を駆動する。こうして、水平からの偏差を表す傾
斜計26からの信号θ1の偏差信号だけ、角度検出器2
8の信号φ1が変化するように、閉ループ制御が行われ
る。
【0039】図6は、図5のフローチャートによる処理
を行った場合の図4対応図である。図6(a)に示した
ようにブーム部材14が揺れており、図6(c)に示し
たように傾斜計26の出力が振動していても、これらの
外乱に無関係に角度制御が行われる。
【0040】また、図5のステップS15において判断
がnoとなるような、俯仰角が小さくてタイマーT1が
タイムアップする前に俯仰が終了してしまう場合には、
現実の角度検出器の角度信号φ1に、スタート前の傾斜
信号(通常0゜である)が加算されるので、多少のズレ
が発生するが、基本的には修正が不要である場合が多
い。
【0041】もし、その値が許容できない場合には、ブ
ーム部材14の停止後、所定時間揺れが収まったとき
に、修正動作を加えればよい。この修正動作を行うフロ
ーチャートの一例を図7に示す。ステップS15で判断
がnoの場合には、タイマーT2のカウントアップを開
始し(ステップS22)、タイマーT2の計時時間が時間
T2経過していた後(ステップS23でyes)、傾斜計
26及び角度検出器28の信号θ1、φ1をそれぞれ取
り込み、スタート時に読み込んだデータを書き換えて、
記憶する(ステップS16、S17)ようにして、ステ
ップS19からステップS21までの閉ループ制御を開
始することもできる。
【0042】また、図7のフローチャートの代わりに修
正動作スイッチを設けて基台側コントローラ50に接続
し、修正動作スイッチをONとすれば、ステップS16
からステップS21までの閉ループ制御を行うようにす
ることもできる。作業者が修正するかどうかを傾斜計2
6の出力表示を見て任意に決めることができる。
【0043】このように上記の実施の形態では、傾斜計
26による直接の制御ではないので、厳密に水平となる
とは限らないが、実用上は充分となる。また、角度検出
器28の信号φ1が指令値φsとほぼ一致するように収
束した後は、閉ループ制御を引き続き行っていても、外
乱などの影響を受けて基台20が勝手に動くことはな
い。
【0044】また、基台20の作業上角度を変えたい場
合には、別途設けた入力装置により所望の角度を入力し
るようにすることもできる。基台側コントローラ50で
は、この角度を指令値に加算して、新しい指令値とする
ことができ、ステップS19からステップS21の閉ル
ープ制御を行い所望の角度にすることができる。もう一
度水平に復帰させたい場合には、そのときの傾斜計2
6、角度検出器28の信号をとり込み、これらを加算し
て指令値φsとすることができる。
【0045】以上のように、ブーム部材14が俯仰動作
中は、開ループ制御により基台20をほぼブーム部材1
4の俯仰に追従させるようにして回動させ、ブーム部材
14の俯仰が停止された後に、安定した状態で取り込ん
だ傾斜計26の出力を用いて水平からの偏差角度を求
め、角度検出器28の出力がこの偏差角度分だけ変化す
るように閉ループ制御することにしているため、傾斜計
26の拾う外乱の影響を受けずに安定して制御を行うこ
とができる。従って、高精度に制御してもハンチングが
起こることはない。
【0046】(第2の実施の形態)次に、図8ないし図1
3を用いて、本発明の第2の実施の形態を説明する。図
5のフローチャートでは、俯仰動作以外の動作は無視で
きるものとしたが、図8では、俯仰以外にブーム部材1
4の俯仰が伸縮、旋回、走行などの他の動作と共に行わ
れることがある場合のフローチャートである。これらの
動きは傾斜計26が感知してしまうので、これらの動作
のスタート直後またはストップ直後の所定時間は、傾斜
計26の出力が波打ってしまい、正確ではない。そこ
で、ここでも傾斜計26を安定した状態の出力のみを取
り込むようにしたものである。
【0047】図12は、俯仰動作中に伸縮動作が時間t
1からt2まで行われた場合の図4対応図であり、傾斜
計26の出力は、俯仰のスタート直後、ストップ直後の
みならず、伸縮動作スタート直後、ストップ直後に乱れ
がある。その一方で、それ以外の区画は傾斜計26の出
力が安定している。そこで、安定時のみの傾斜計26の
出力のみを取り込むようにしたのが、図8ないし図11
に示したフローチャートに示した処理である。
【0048】図8において、ブーム俯仰操作スイッチ5
2がONとなると、図5のステップS11〜ステップS
13までと同じ処理が実行される。その後、ブーム伸縮
操作スイッチがONになったかどうかを判断し(ステッ
プS31)、さらにブーム俯仰操作スイッチ52がOF
Fになったかどうかを判断し(ステップS32)、いず
れの判断もnoであれば、ステップS31からステップ
S32を繰り返す。
【0049】ブーム伸縮操作スイッチがONになると、
図9に示したように、タイマーT3のカウントアップを
スタートさせる(ステップS33)と共に、ステップS
34において俯仰スタート直後の乱れが終了したと考え
られる時間T1が経過したかどうかを判断し、経過して
いれば傾斜計26及び角度検出器28の信号θ1、φ1
を取り込み(ステップS35)、経過していなければ角
度検出器28の信号のみを取り込み(ステップS3
6)、スタート時に読み込んだデータを書き換えて、記
憶する。そして、ベース側コントローラ60の制御によ
り伸縮動作が行われる。次に、ブーム伸縮操作スイッチ
がOFFになったかどうかを判断し(ステップS3
7)、さらにブーム俯仰操作スイッチ52がOFFにな
ったかどうかを判断し(ステップS38)、いずれの判
断もnoであれば、ステップS37及びステップS38
の判断を繰り返す。
【0050】ブーム伸縮操作スイッチがOFFになる
と、図10に示したように、タイマーT4のカウントア
ップをスタートさせる(ステップS39)と共に、ステ
ップS40において前記の時間T1及び伸縮スタート直
後の乱れが終了したと考えられる時間T3が経過したか
どうかを判断し、経過していれば傾斜計26及び角度検
出器28の信号θ1、φ1を取り込み(ステップS4
1)、経過していなければ角度検出器28の信号のみを
取り込み(ステップS42)、これらデータを記憶して
更新する。次に、ブーム俯仰操作スイッチ52がOFF
になったかどうかを判断し(ステップS43)、この判
断がnoであれば、ステップS43の判断を繰り返す。
【0051】ブーム俯仰操作スイッチ52がOFFにな
ると、図11に示したように、ステップS44において
前記の時間T1、T3及び伸縮ストップ直後の乱れが終
了したと考えられる時間T4が経過したかどうかを判断
し、経過していれば傾斜計26及び角度検出器28の信
号θ1、φ1を取り込み(ステップS46、ステップS
47)、経過していなければ角度検出器28の信号のみ
を取り込み(ステップS46)、これらデータを記憶し
て更新する。そして、ステップS47で、更新された傾
斜計26の信号θ1と角度検出器28の信号φ1とを加
算して、指令値φs(=θ1+φ1)を求め、記憶し、
次いで、この指令値φsに一致させるように、基台角度
を制御する閉ループ(ステップS19〜ステップS2
1)が行われる。
【0052】このようにして、動作スタート後及び動作
ストップ後、所定時間内の傾斜計26の出力は取り込ま
ないようにし、動作スタート指令または動作ストップ指
令である操作スイッチがONまたはOFFになった直後
でまだ動作が開始されていない状態の傾斜計26の出力
を取り込むことで、安定した傾斜計26の出力が得られ
る。
【0053】タイマー作動中、即ち、動作スタート後及
び動作ストップ後、所定時間内にブーム俯仰操作スイッ
チ52がOFFとなると、最新の傾斜計26の出力は取
り込まれずに、その前の安定時に取り込んだデータを用
いて、閉ループ制御を行うことになるが、実際の値との
ズレは僅かであり、実用上問題ない範囲とすることがで
きる。
【0054】また、任意には、図11の代わりに図13
に示すように、ステップS44の判断がnoである場合
に、タイマーT2のカウントアップを開始し(ステップ
S49)、タイマーT2の計時時間が時間T2経過して
いた後(ステップS50でyes)、傾斜計26及び角度
検出器28の信号θ1、φ1をそれぞれ取り込み、スタ
ート時に読み込んだデータを書き換えて、記憶する(ス
テップS45、S46)ようにして、閉ループ制御を行
うことで、高精度の角度制御を行うこともできる。ま
た、タイマーT2を用いる代わりに、修正動作スイッチ
を設けてもよいことは、第1の実施の形態と同様であ
る。
【0055】尚、第2の実施の形態では、ブーム部材1
4の伸縮動作を例にとったが、これに限るものではな
く、旋回動作、走行動作が俯仰動作と共に行われるとき
も同様である。
【0056】(第3の実施の形態)次に、図14を用い
て、第3の実施の形態を説明する。
【0057】この実施の形態は、基台20をブーム部材
14の俯仰と共に回動させる際に、基台20の異常傾斜
を防止する上限と下限とを設けておき、基台20の行き
すぎた傾斜を防止することができるようにしたものであ
る。即ち、基台20の角速度をブーム部材14の俯仰角
速度に比べて早くすると、図14の(c)に示したよう
に、俯仰途中である時刻t3において傾斜が上限(図の
例では5°)になってしまうので、傾斜計26の出力が
上限値に達したら基台駆動を所定時間または下限値にな
る時刻t4まで停止させ、その後再び回動させるように
制御させるものである。また、逆に基台20の角速度が
ブーム部材14の俯仰角速度に比べて遅くて、傾斜計2
6の出力が下限値に達したら基台駆動を所定時間または
上限値になるまで停止させるように制御させるものであ
る。尚、このときの傾斜計26の出力は、フィルタを用
いて平滑化して使用するとよい。
【0058】この基台20の回動停止動作の際に、基台
角速度が遅い場合には傾斜計26が感知する量は少ない
が、基台20の角速度が高速であると、傾斜計26がこ
の基台20の加速度を拾ってしまい、図14(c)に示
したように、基台20のスタート後及びストップ後の所
定時間は、傾斜計26の出力に乱れが生じてしまう。従
って、第2の実施の形態における、ブーム部材14の伸
縮動作が俯仰動作と併せて行われるときと同様に、基台
20のスタート及びストップの指令が出されたとき、即
ち電磁切換弁44への信号が出力された瞬間の傾斜計2
6及び角度検出器28の信号を取り込み、スタート後及
びストップ後の所定時間は、傾斜計26の出力を取り込
まないようにすると良い。
【0059】(第4の実施の形態)次に、図15を用い
て、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0060】この実施の形態は、基台20をブーム部材
14の俯仰と共に回動させる方法として、所謂追従型で
回動させた例である。追従型とは、基台20の傾斜角度
が下限または上限に至る(時刻t5)と基台20が駆動
され、次に上限または下限に至る(時刻t6)と基台2
0が停止され、再び下限または上限に至る(時刻t7)
と基台20が再び駆動され、これを繰り返しながら、基
台20をブーム部材14の俯仰に追随させるものであ
る。
【0061】そして、この実施の形態の場合において
も、基台20のスタート直後及びストップ直後のある時
間は、傾斜計26の出力に乱れが生じてしまうため、基
台20のスタート及びストップの指令が出されたとき、
即ち電磁切換弁44への信号が出力された瞬間の傾斜計
26及び角度検出器28の信号を取り込み、スタート後
及びストップ後の所定時間は、傾斜計26の出力を取り
込まないようにする。この例では、時刻t7において、
傾斜計26の出力を取り込んでデータを更新した後、ブ
ーム部材14の俯仰がストップしたときには、時刻t7
後充分な時間が経過していないため、傾斜計26の出力
は取り込まない。従って、時刻t7において取り込んだ
最新の傾斜計26の信号(5°)と、ブーム部材14の
俯仰のストップ指令が出された直後の基台・ブーム間角
度φ1(≒43°)とを加算し、φs=43°+5°=
48°の角度に一致するように角度検出器28で検出さ
れる基台・ブーム間角度を閉ループ制御する。結果とし
て、図の例の場合には3°の誤差が出た状態で処理が終
了するが、この傾斜が許容できない場合には、その後、
充分に安定した時刻t8において修正動作スイッチをO
Nとして、修正を行えば良い。
【0062】(第5の実施の形態)次に、図16を用い
て、本発明の第5の実施の形態を説明する。この実施の
形態では、前述した各実施の形態において、角度検出器
28からの信号を用いて閉ループ制御を実行する代わり
に、時間による制御を行う点で前実施の形態と異なって
いる。図16は、この時間による制御のフローチャート
である。ブーム俯仰操作スイッチ52がONとなると、
図5のステップS11〜ステップS13までと同じよう
な処理が実行される。但しステップS11’において
は、角度検出器28からの信号は取り込まず、傾斜計2
6からの信号θ1のみが取り込まれる。そして、ブーム
俯仰操作スイッチ52がOFFとなったときに、タイマ
ーT1の計時時間が時間T1経過していた場合には(ス
テップS15でyes)、OFFの信号の立ち上がり
で、傾斜計26の信号θ1を取り込み、スタート時に読
み込んだデータを書き換えて、記憶する(ステップS1
6)。時間T1経過していない場合には、傾斜計26の
出力は取り込まず、ステップS51へ進む。ステップS
51では、記憶された最新の傾斜計26の信号θ1を基
台20の角速度ωで除算し、駆動時間Ts(=θ1/ω)
を求め、記憶する。尚、ここで角速度ωは、絞り弁ユニ
ット46の設定によって決まる既知の値である。
【0063】そして、電磁切換弁44へと信号を出力
し、ステップS51で記憶された駆動時間Tsだけ基台
用油圧シリンダ24を駆動し、傾斜がゼロになるように
基台20を回転させる(ステップS52)。直接、傾斜
計26の出力を用いて制御しておらず、特に、ステップ
S15の判断がnoの場合には、とり込まれた傾斜計2
6の出力が俯仰スタート時のものであるため、多少のズ
レが発生するが、その場合には、前述のように修正動作
スイッチをONとして(ステップS53のyes)、再
びステップS16に戻り、修正を行うと良い。
【0064】この実施の形態では、角度検出器28を省
略することができる。
【0065】(その他の実施の形態)以上の第1、第2、
第3、第5の実施の形態において(追従型以外の実施の
形態において)、ブーム俯仰操作スイッチ52がOFF
になるまでの基台20の開ループ制御は、基台20をブ
ーム部材14と同時に且つ逆向きに回動させると、基台
20に乗っている作業者に同期して動いているという感
覚を与えることができる。基台20及びブーム部材14
のそれぞれの角速度は、絞り弁ユニット36、46を適
宜調整することにより設定することができるが、電磁切
換弁34、44を比例弁として、各種設定を電気的に調
整することもでき、これにより動作に時間遅れを用い
て、急激スタート、急激ストップを防止し、滑らかな操
作、動作を得ることもできる。比例弁を用いる場合、基
台20上のブーム俯仰操作スイッチ52を、操作ハンド
ルの操作角に比例して連続的な電圧出力を発生するブー
ム俯仰操作ハンドルとし、その発生電圧によってブーム
俯仰用の比例弁の開度を制御し、俯仰角速度を制御す
る。そして、同じ電圧に適当ゲインを掛けて、基台用の
比例弁の開度を制御し、基台角速度を制御すると、ブー
ム部材14と基台20の回動を精度良く、同期させるこ
とができる。または、基台20の角速度をブーム部材1
4の角速度に対して適当に変化させて、少し速めたり、
遅らせたりして感覚的に適した先行動作や遅らし動作を
掛けることも可能である。例えば、ブーム部材14を上
向きに俯仰させるときに基台20の角速度を速めに設定
すると、ブーム部材14が上を向くに従って、基台20
は前に向かって下がり気味となり基台20上の作業者が
安全と感じることができる。また、ブーム部材14を下
向きに向かわせる場合にも大きめに設定するとブーム部
材14が下を向くに従って、基台20は前に向かって上
がり気味となり基台20上の作業者が安全と感じること
ができる。そして、停止後は、上述の閉ループ制御また
は時間制御によって傾斜計出力を取り込んだ補正を加え
ることで正確な水平出し制御を行うことができる。こ
の、閉ループ制御においても電磁切換弁34、44を比
例弁とすることで、スムーズに精度良く行うことができ
る。また、速度の設定を俯仰時の開ループ制御時には所
定の高速とし、閉ループ制御時には低速として切換を行
い、最終的な位置決め精度を向上させることもできる。
また、ブーム部材14の俯仰動作も高速・低速の2値制
御を行うことができ、基台20の回動動作も合わせて高
速・低速の2値制御をできるようにするか、第4の実施
の形態の追従型とすることができる。さらに、ブーム俯
仰操作スイッチ52がONになってからOFFになるま
での基台20の制御としては、上記開ループ制御、追従
制御の他に、ブーム部材14の角速度指令を積分して角
度を求め、この角度に一致するように、基台側の比例弁
44を制御すると良い。図17にこの場合のブロック図
を示す。これにより、基台20はブーム部材14にあま
り誤差を持たずに追従していることになり、ブーム部材
14の俯仰がストップ後の、閉ループ制御を迅速に終了
させることができる。
【0066】また、図17に示したブーム部材14の角
速度指令信号を積分する代わりに、ブーム部材14とベ
ース部材10とのなす角である角度情報、即ちブーム俯
仰角度が、ベース部材10側に設置されたブーム部材角
度検出器62から得られる場合には、このブーム俯仰角
度に一致するように低ゲインの閉ループとして、基台側
の比例弁44を制御しても良い。仮に、このブーム俯仰
角度を指令として基台角度を追従させる閉ループだけで
高精度に制御を行おうとして、高ゲインの閉ループとす
ると、例えば、ブーム部材14の修正逆動作があった場
合に、タイミングによっては指令が逆に変化し、基台2
0の動作が急激な反転動作になったり、ハンチングが起
きたりする恐れがあるが、本発明によるブーム俯仰OF
F指令後の閉ループ制御は、ブーム部材の動きとは全く
無関係となるので、かかる恐れがない。例えば、ブーム
部材14が反転してから停止するという動作を想定した
場合、反転の瞬間の傾斜計26の信号を取り込み、この
信号を用いて、ブーム部材14が停止後に制御が行われ
るため、ブーム部材14の動きとは無関係に制御される
からである。
【0067】また、以上の実施の形態において、傾斜計
26が安定状態にあるかどうかの判断を所定時間T1、
T2、T3、T4経過したかどうかで判断していた。し
かしながら、これに限ることなく、微分器を備えて、傾
斜計26の波形の時間に対する変化率を求め、所定の範
囲内にあるかどうかで安定しているかどうかを判別する
安定判別回路を使用することも可能である。これによ
り、安定状態の判断を的確に且つ迅速に行うことができ
る。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ブーム部材の俯仰と共に基台を回動させ、ブーム部材の
俯仰ストップ指令出力後に、傾斜計の出力安定時に読み
込まれた最新の傾斜角度信号を用いて所望の傾斜角度か
らの偏差角度を求め、角度検出器のブーム・基台間角度
信号がこの偏差角度分だけ変化するように閉ループ制御
し、または、偏差角度を基台の角速度で除算して駆動時
間を算出し、該駆動時間だけアクチュエータを駆動する
ように時間制御することにしているため、機構が複雑化
することなく、また、傾斜計の拾う外乱の影響を受けず
に安定して制御を行うことができる。従って、高精度に
制御してもハンチングが起こることはない。
【0069】基台上または基台近傍にある傾斜計や角度
検出器は基台上または基台近傍に配置することができる
ので、基台外からの信号を受け取らずに、基台側のみで
基台の角度制御を行うことができる。従って、ブーム部
材内に油圧ホースや多数の電気ケーブル等を配設する必
要が無く、ブーム部材を細くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した作業機の概略構造図である。
【図2】作業機のブーム部材の俯仰を行わせる俯仰用油
圧シリンダを駆動する油圧回路図及び基台の角度制御を
行う基台用油圧シリンダを駆動する油圧回路図である。
【図3】本発明の角度制御装置を含むブロック図であ
る。
【図4】本発明を使用しない場合の(a)ブーム俯仰角、
(b)基台・ブーム間角、(c)傾斜計出力の時間変化
を表すグラフである。
【図5】第1の実施の形態において、基台側コントロー
ラで実行されるフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートによる処理を行った場合
の図4対応図である。
【図7】図5のフローチャートの変形である。
【図8】第2の実施の形態において、基台側コントロー
ラで実行されるフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態において、基台側コントロー
ラで実行されるフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態において、基台側コントロ
ーラで実行されるフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態において、基台側コントロ
ーラで実行されるフローチャートである。
【図12】俯仰動作中に伸縮動作が時間t1からt2ま
で行われた場合の図4対応図である。
【図13】図11のフローチャートの変形である。
【図14】第3の実施の形態を表す図4対応図である。
【図15】第4の実施の形態を表す図4対応図である。
【図16】第5の実施の形態において、基台側コントロ
ーラで実行されるフローチャートである
【図17】他の実施の形態を表すブロック図である。
【図18】他の実施の形態を表すブロック図である。
【図19】従来の水平制御装置を概略構造図である。
【図20】図19の原理を表す説明図である。
【符号の説明】
14 ブーム部材 20 基台 24 基台用油圧シリンダ(アクチュエータ) 26 傾斜計 28 角度検出器 44 電磁切換弁 50 基台側コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広野 仲保 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株式 会社トキメック内 (72)発明者 井上 智夫 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株式 会社トキメック内 (72)発明者 加藤 邦昭 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株式 会社トキメック内 (72)発明者 佐藤 一輝 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株式 会社トキメック内 Fターム(参考) 3F205 CA03 CB01 DA04 HA02 HB06 KA10 3F333 AA08 AB04 BB09 BD02 BE02 FA17 FA22 FB03 FD08 FE04 FE08 FE09

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 俯仰を行うブーム部材の先端部に回動自
    在に設けられると共にアクチュエータによりブーム部材
    となす角度を調整可能となされた基台を、ブーム部材の
    俯仰に拘らず所望の傾斜角度に保持するために、基台の
    傾斜を検出する傾斜計からの傾斜角度信号及びブーム部
    材となす角度を検出する角度検出器からのブーム・基台
    間角度信号を用いて前記アクチュエータを駆動する角度
    制御方法であって、 ブーム部材の俯仰と共にアクチュエータを駆動し基台を
    ブーム部材に対して回動させ、 傾斜計の出力安定時に傾斜角度信号を適宜読み込み、 ブーム部材の俯仰ストップ指令出力後に、最新に傾斜計
    から読み込まれた傾斜角度と所望の傾斜角度との偏差角
    度を求め、アクチュエータを駆動し、角度検出器からの
    ブーム・基台間角度信号がこの偏差角度だけ変化するよ
    うに閉ループ制御を行う、ことを特徴とする角度制御方
    法。
  2. 【請求項2】 俯仰を行うブーム部材の先端部に回動自
    在に設けられると共にアクチュエータによりブーム部材
    となす角度を調整可能となされた基台を、ブーム部材の
    俯仰に拘らず所望の傾斜角度に保持するために、基台の
    傾斜を検出する傾斜計からの傾斜角度信号を用いて前記
    アクチュエータを駆動する角度制御方法であって、 ブーム部材の俯仰と共にアクチュエータを駆動し基台を
    ブーム部材に対して回動させ、 傾斜計の出力安定時に傾斜角度信号を適宜読み込み、 ブーム部材の俯仰ストップ指令出力後に、最新に傾斜計
    から読み込まれた傾斜角度と所望の傾斜角度との偏差角
    度を求め、偏差角度を基台の角速度で除算して駆動時間
    を算出し、該駆動時間だけアクチュエータを駆動する、
    ことを特徴とする角度制御方法。
  3. 【請求項3】 前記傾斜角度信号の読み込みは、傾斜計
    の出力に乱れがない状態におけるブーム部材または基台
    の動作スタート指令出力直後、動作ストップ指令出力直
    後または動作変更指令出力直後に行われることを特徴と
    する請求項1または2記載の角度制御方法。
  4. 【請求項4】 前記傾斜計の出力安定時は、ブーム部材
    または基台の動作スタート後、動作ストップ後または動
    作変更後の所定時間経過後とする請求項1または2記載
    の角度制御方法。
  5. 【請求項5】 前記傾斜計の出力安定時は、傾斜計の出
    力の時間変化率が所定値以下である時とする請求項1ま
    たは2記載の角度制御方法。
  6. 【請求項6】 前記ブーム部材の俯仰と共にアクチュエ
    ータを駆動し基台をブーム部材に対して回動させるの
    は、基台をブーム部材の俯仰角速度とほぼ同一の角速度
    で、ブーム部材の俯仰と逆向きの方向に回動させるよう
    アクチュエータを駆動することによって行うことを特徴
    とする請求項1または2記載の角度制御方法。
  7. 【請求項7】 前記アクチュエータの駆動は、開ループ
    制御で行うことを特徴とする請求項6記載の角度制御方
    法。
  8. 【請求項8】 前記アクチュエータの駆動は、ブーム部
    材の俯仰指令信号に基づいて制御することによって行う
    ことを特徴とする請求項6記載の角度制御方法。
  9. 【請求項9】 ブーム部材の俯仰と共にアクチュエータ
    を駆動し基台をブーム部材に対して回動させるのは、ブ
    ーム部材の俯仰中に、傾斜計からの傾斜角度信号と所望
    の傾斜角度との偏差角度を求め、該偏差角度が上限値ま
    たは下限値を越えた場合にその偏差が小さくなるように
    回動の開始、回動の停止をするようアクチュエータを駆
    動することにより行うことを特徴とする請求項1または
    2記載の角度制御方法。
  10. 【請求項10】 前記ブーム部材の俯仰と共にアクチュ
    エータを駆動し基台をブーム部材に対して回動させるの
    は、角度検出器からのブーム・基台間角度信号が、ブー
    ム部材の俯仰指令信号を積分して得られた指令角度信号
    に一致するようにアクチュエータを駆動することにより
    行うことを特徴とする請求項1記載の角度制御方法。
  11. 【請求項11】 前記ブーム部材の俯仰と共にアクチ
    ュエータを駆動し基台をブーム部材に対して回動させる
    のは、角度検出器からのブーム・基台間角度信号が、検
    出されたブーム部材の俯仰角度に一致するようにアクチ
    ュエータを駆動することにより行うことを特徴とする請
    求項1記載の角度制御方法。
  12. 【請求項12】 俯仰を行うブーム部材の先端部に回動
    自在に設けられると共にアクチュエータによりブーム部
    材となす角度を調整可能となされた基台を、ブーム部材
    の俯仰に拘らず所望の傾斜角度に保持するための角度制
    御装置であって、 基台に設置され、基台の傾斜を検出し傾斜角度信号を出
    力する傾斜計と、 ブーム部材と基台との間に設置され、ブーム部材と基台
    とのなす角度を検出しブーム・基台間角度信号を出力す
    る角度検出器と、 ブーム部材の俯仰スタート及びストップを指令する指令
    手段と、 ブーム部材の俯仰と共に基台をブーム部材に対して回動
    させ、傾斜計の出力安定時に傾斜角度信号を適宜読み込
    み、ブーム部材の俯仰ストップ指令出力後に最新に傾斜
    計から読み込まれた傾斜角度と所望の傾斜角度との偏差
    角度を求め、角度検出器からのブーム・基台間角度信号
    がこの偏差角度だけ変化するように閉ループ制御するべ
    く、アクチュエータの駆動信号を出力するコントローラ
    と、 を備えることを特徴とする角度制御装置。
  13. 【請求項13】 俯仰を行うブーム部材の先端部に回動
    自在に設けられると共にアクチュエータによりブーム部
    材となす角度を調整可能となされた基台を、ブーム部材
    の俯仰に拘らず所望の傾斜角度に保持するための角度制
    御装置であって、 基台に設置され、基台の傾斜を検出し傾斜角度信号を出
    力する傾斜計と、 ブーム部材の俯仰スタート及びストップを指令する指令
    手段と、 ブーム部材の俯仰と共に基台をブーム部材に対して回動
    させ、傾斜計の出力安定時に傾斜角度信号を適宜読み込
    み、ブーム部材の俯仰ストップ指令出力後に最新に傾斜
    計から読み込まれた傾斜角度と所望の傾斜角度との偏差
    角度を求め、偏差角度を基台の角速度で除算して駆動時
    間を算出し、該駆動時間だけアクチュエータを駆動する
    べく、アクチュエータの駆動信号を出力するコントロー
    ラと、 を備えることを特徴とする角度制御装置。
  14. 【請求項14】 前記角度制御装置は基台上またはその
    近傍に配設されることを特徴とする請求項12または1
    3記載の角度制御装置。
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