JP2000197487A - 耐熱性ホタルルシフェラ―ゼ、耐熱性ホタルルシフェラ―ゼ遺伝子、新規な組み換え体dna及び耐熱性ホタルルシフェラ―ゼの製造法 - Google Patents
耐熱性ホタルルシフェラ―ゼ、耐熱性ホタルルシフェラ―ゼ遺伝子、新規な組み換え体dna及び耐熱性ホタルルシフェラ―ゼの製造法Info
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Abstract
配列において、313位のアミノ酸、又は北米ボタルの
ルシフェラーゼの313位と同等位置のアミノ酸が疎水
性アミノ酸に変異されていることを特徴とする耐熱性ホ
タルルシフェラーゼ、野生型ホタルルシフェラーゼのア
ミノ酸配列において、217及び315位のアミノ酸、
又はゲンジボタル若しくはヘイケボタルの217及び3
15位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ酸に変異さ
れていることを特徴とする耐熱性ホタルルシフェラー
ゼ、当該耐熱性ルシフェラーゼをコードする遺伝子、当
該耐熱性ルシフェラーゼをコードする遺伝子を組み込ん
だベクター、及び当該ベクターを用いた耐熱性ホタルル
シフェラーゼの製造方法。 【効果】 本発明耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子の
発現により得られる耐熱性ホタルルシフェラーゼは、A
TP等の微量検定等において極めて有用である。また本
発明の耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造方法により、
効率よく上記ルシフェラーゼを得ることが可能であり、
産業上極めて有用である。
Description
フェラーゼ、耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子、新規
な組み換え体DNA及び耐熱性ホタルルシフェラーゼの
製造法に関する。
ェリンの酸化を触媒して、これを発光させる発光酵素で
ある。そして、ルシフェリンの発光の際にATP等の物
質を必要とする、ゲンジボタル、ヘイケボタル、北米ボ
タル等由来のホタルのルシフェラーゼは、当該性質に基
づいて、上記ATP等の微量定量に利用されている。
は、熱に対して不安定なため、試薬として保存する際に
失活しやすいという欠点を有する。かかる欠点を克服す
るための手段の一つとして、試薬に塩等を添加して、あ
る程度ルシフェラーゼを安定に保存することは可能であ
る。しかし、この場合にも、ルシフェラーゼの塩による
反応障害が惹起されがちであるという欠点が存在する。
は、耐熱性ホタルルシフェラーゼを開発することを主た
る課題とする。
ついて鋭意検討した結果、野性型ホタルルシフェラーゼ
における特定のアミノ酸残基を疎水性アミノ酸残基に変
換することにより、上記課題を解決し得ることを見出し
た。すなわち、本願は、以下の発明を提供するものであ
る。 (1)野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列にお
いて、313位のアミノ酸、又は北米ボタルのルシフェ
ラーゼの313位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ
酸に変異されているアミノ酸配列をコードする耐熱性ホ
タルルシフェラーゼ遺伝子。 (2)野生型ホタルルシフェラーゼが北米ボタルのルシ
フェラーゼである(1)記載の耐熱性ホタルルシフェラ
ーゼ遺伝子。 (3)疎水性アミノ酸がイソロイシン、ロイシン、バリ
ン若しくはフェニルアラニンである(1)又は(2)記
載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。 (4)(1)又は(2)記載の耐熱性ホタルルシフェラ
ーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入したことを特徴とす
る新規な組み換え体DNA。 (5)(4)記載の組み換え体DNAを含み、耐熱性ホ
タルルシフェラーゼ生産能を有するエッシェリシア属に
属する微生物を培地に培養し、培養物より耐熱性ホタル
ルシフェラーゼを採取することを特徴とする耐熱性ホタ
ルルシフェラーゼの製造法。 (6)野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列にお
いて、313位のアミノ酸、又は北米ボタルのルシフェ
ラーゼの313位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ
酸に変異されていることを特徴とする耐熱性ホタルルシ
フェラーゼ。 (7)野生型ホタルルシフェラーゼが北米ボタルのルシ
フェラーゼである(6)記載の耐熱性ホタルルシフェラ
ーゼ。 (8)野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列にお
いて、217及び315位のアミノ酸、又はゲンジボタ
ル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの217及び
315位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ酸に変異
されているアミノ酸配列をコードする耐熱性ホタルルシ
フェラーゼ遺伝子。 (9)野生型ホタルルシフェラーゼがヘイケボタル若し
くはゲンジボタルのルシフェラーゼである(8)記載の
耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。 (10)疎水性アミノ酸がイソロイシン、ロイシン、バ
リン若しくはフェニルアラニンである(8)又は(9)
記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。 (11)(8)又は(9)記載の耐熱性ホタルルシフェ
ラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入したことを特徴と
する新規な組み換え体DNA。 (12)(11)記載の組み換え体DNAを含み、耐熱
性ホタルルシフェラーゼ生産能を有するエッシェリシア
属に属する微生物を培地に培養し、培養物より耐熱性ホ
タルルシフェラーゼを採取することを特徴とする耐熱性
ホタルルシフェラーゼの製造法。 (13)野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列に
おいて、217及び315位のアミノ酸、又はゲンジボ
タル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの217及
び315位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ酸に変
異されていることを特徴とする耐熱性ホタルルシフェラ
ーゼ。 (14)野生型ホタルルシフェラーゼがヘイケボタル若
しくはゲンジボタルのルシフェラーゼである(13)記
載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ。
する。本発明における遺伝子の改変による耐熱性ルシフ
ェラーゼが提供される前提として、野性型のホタルのル
シフェラーゼ遺伝子及びその組み換え体DNAを調製す
ることが必要である。野性型ホタルの遺伝子等の種類
は、提供が企図される耐熱性ルシフェラーゼ遺伝子の種
類に応じて用いられる。そして、ホタル由来のものであ
れば、如何なるものでも用いることが可能であり、例え
ば、ゲンジボタル、ヘイケボタル、北米ボタル等由来の
ものを用いることが可能である。
って調製される。例えば、野性型ゲンジボタル遺伝子及
びその組み換え体DNAは、特開平1−51086号公
報に記載の方法により調製することが可能であり、ま
た、ヘイケボタル遺伝子及びその組み換え体DNAは、
特公平7−112434号公報に記載の方法により調製
することが可能であり、また更に、北米ボタル遺伝子及
びその組み換え体DNAは、東洋紡績(株)より購入す
ることが可能である。本発明において、「北米ボタルの
ルシフェラーゼの313位と同等位置のアミノ酸」と
は、確定したルシフェラーゼのアミノ酸配列を、北米ボ
タルのルシフェラーゼのアミノ酸配列と比較した場合
に、北米ボタルのルシフェラーゼの313位のアミノ酸
に対応するアミノ酸を意味するものである。また本発明
において、「ゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシ
フェラーゼの217及び315位と同等位置のアミノ
酸」とは、確定したルシフェラーゼのアミノ酸配列を、
ゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの
アミノ酸配列と比較した場合に、ゲンジボタル若しくは
ヘイケボタルのルシフェラーゼの217及び315位の
アミノ酸に対応するアミノ酸を意味するものである。
析用ソフト、例えばMicro GenieTM(ベック
マン社製)により、各々のルシフェラーゼのアミノ酸配
列とゲンジボタル若しくはヘイケボタルのアミノ酸配列
の相同性を比較することにより決定される。当該アミノ
酸としては、例えばアラニンが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
酸」としては、イソロイシン、ロイシン、バリン、メチ
オニン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロリン
又はシステイン等を挙げることができる。そして、これ
らの中でも、イソロイシン、ロイシン、バリン又はフェ
ニルアラニンは、疎水性値が高いという点で特に好まし
いものとして挙げることができる。
処理は、企図する変異形態に応じた通常公知の方法で行
ない得る。すなわち、野生型ホタルルシフェラーゼ遺伝
子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組み換え体DNA
と変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線
照射法;遺伝子工学的手法;又は蛋白質工学的手法を駆
使する方法等を広く用いることができる。
剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N−メチル
−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、
亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸、5−ブロモウラシ
ル等を挙げることができる。この接触・作用の諸条件
は、用いる薬剤の種類等に応じた条件を採ることが可能
であり、現実に所望の変異を野生型ホタルルシフェラー
ゼ遺伝子において惹起することができる限り特に限定さ
れない。通常、好ましくは0.5〜12Mの上記薬剤濃
度において、20〜80℃の反応温度下で10分以上、
好ましくは10〜180分間接触・作用させることで、
所望の変異を惹起可能である。
の通り常法に従うことができる(現代化学、pp24〜
30、1989年6月号)。蛋白質工学的手法を駆使す
る方法としては、一般的に、サイト−スペシフィック
ミュータジュネシス(Site−Specific M
utagenesis)として知られる手法を用いるこ
とができる。例えば、Kramer法(Kramer,
W.et al.,Nucleic Acids Re
s,vol.12,pp9441−9456(198
4):Kramer,W.et al.,Method
s Enzymol,vol.154,pp350−3
67(1987):Bauer,C.E.et a
l.,Gene,vol.37,pp73−81(19
85)),Eckstein法(Taylor,J.
W.etal.,Nucleic Acids Re
s,vol.13,pp8749−8764(198
5):Taylor,J.W.et al.,Nucl
eic Acids Res,vol.13,pp87
65−8785(1985):Nakamaye,K.
L.et al.,Nucleic Acids Re
s,vol.14,pp9679−9698(198
6))),Kunkel法(Kunkel,T.A.,
Proc.Natl.Acids Sci.U.S.
A.,vol.82,pp488−492(198
5):Kunkel,T.A.et al.,Meth
ods Enzymol,vol.154,pp367
−382(1987))等が挙げられる。
法又は酵素合成法により、直接所望の改変ホタルルシフ
ェラーゼ遺伝子を合成し得ることはもちろんである。上
記方法により得られる所望のホタルルシフェラーゼ遺伝
子の塩基配列の決定・確認は、例えばマキサム−ギルバ
ートの化学修飾法〔Maxam−Gilbert,Me
th.Enzym.,vol.65,pp499−56
0(1980)〕やM13ファージを用いるジデオキシ
ヌクレオチド鎖終結法〔Messing et a
l.,Gene,vol.19,pp269−276
(1982)〕等により行ない得る。
フェラーゼ遺伝子を、常法により、バクテリオファー
ジ、コスミド、又は原核細胞若しくは真核細胞の形質転
換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各
々のベクターに対応する宿主を常法により、形質転換・
形質導入をすることができる。例えば、宿主として、エ
ッシェリシア属に属する微生物、例えば大腸菌(E.c
oli)JM101(ATCC 33876)、大腸菌
(E.coli)DH1(ATCC 33849)、大
腸菌(E.coli)HB 101(ATCC3369
4)等を選択する場合には、ハナハン(Hana−ha
n)の方法〔ディーエヌエイ・クローニング(DNA
Cloning)、第1巻、第109〜135頁(19
85)〕等により形質転換するか、あるいは「モレキュ
ラー・クローニング(Molecular Cloni
ng)、第256〜268頁、コールド・スプリング・
ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring H
arbor Laboratory)(1982)」記
載の方法等により形質導入することにより形質転換株あ
るいは形質導入株を得ることが可能である。
ェラーゼ生産能を有する菌株をスクリーニングすること
により、耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子をベクター
DNAに挿入した組み換え体DNAを含み、耐熱性ホタ
ルルシフェラーゼ生産能を有するエシェリシア属に属す
る菌株を得ることができる。このようにして得られた菌
株より純化された新規な組み換え体DNAを得るには、
例えばピー・グーリー(P.Guerry)等の方法
〔ジェイ.バクテイオロジー(J.Bacteriol
ogy)第116巻、第1064〜1066頁(197
3年)〕、デー・ビー・クレウェル(D.B.Clew
ell)の方法〔ジェイ.バクテイオロジー(J.Ba
cteriology)第110巻、第667〜676
頁(1972年)〕等により得ることができる。
体DNAより耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含有
するDNAを得るには、例えば、該プラスミドDNAに
制限酵素、例えばEcoRI及びPstIを温度30〜
40℃、好ましくは37℃程度で1〜24時間、好まし
くは2時間程度作用させて、反応終了液をアガロースゲ
ル電気泳動法〔モレキュラー・クローニング(Mole
cular Cloning)、第150頁、コールド
・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold S
pring Harbor Laboratory)
(1982)〕記載で処理することにより得ることがで
きる。
シフェラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入した組み換
え体DNAを含み、耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能
を有するエシェリシア属に属する菌株を用いて耐熱性ホ
タルルシフェラーゼを生産するには、この菌株を通常の
固体培養法で培養してもよいが、可能な限り液体培養法
を採用して培養するのが好ましい。
例えば酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、
コーンスティープリカーあるいは大豆若しくは小麦ふす
まの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、
リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、硫酸マグネ
シウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄あ
るいは硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、
更に必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したも
のが用いられる。
整するのが適当である。また培養は30〜42℃、好ま
しくは37℃前後で4〜24時間、好ましくは6〜8時
間で、通気撹拌培養、振盪培養、静置培養等により実施
するのが好ましい。培養終了後、培養物より耐熱性ホタ
ルルシフェラーゼを採取するには、通常の酵素採取手段
を用いて得ることができる。
理、磨砕処理などするか、または、リゾチーム等の溶菌
酵素を用いて本酵素を抽出するか、またはトルエン等の
存在下で振盪もしくは放置して自己消化を行なわせ本酵
素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶
液を濾過、遠心分離などして固形部分を除去し、必要に
よりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩、硫
酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、
アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採
取し、粗酵素を得る。
には、例えばセファデックス、ウルトロゲルもしくはバ
イオゲル等を用いるゲル濾過法;イオン交換体を用いる
吸着溶出法;ポリアクリルアミドゲル等を用いる電気泳
動法;ヒドロキシアパタイトを用いる吸着溶出法;蔗糖
密度勾配遠心法等の沈降法;アフィニティクロマト法;
分子ふるい膜もしくは中空糸膜等を用いる分画法等を適
宜選択し、またこれらを組合わせて実施することによ
り、精製された酵素標品を得ることが出来る。
フェラーゼを得ることができる。そして、当該耐熱性ホ
タルルシフェラーゼのうち耐熱性ゲンジ及びヘイケボタ
ルルシフェラーゼは、以下に示す性質を除き、特開平1
−141592号公報記載の野性型ゲンジボタルのルシ
フェラーゼ、又は特開平1−262791号公報記載の
野性型ヘイケボタルのルシフェラーゼと同様である。 作用適温の範囲:0〜65℃である。 pH、温度等による失活の条件: i)pH4.0以下はpH12.0以上で4時間後完全
に失活する。
0分間の熱処理により完全に失活する。 熱安定性:温度52℃、20分間の処理で80%以上
の残存酵素活性を有し、温度52℃、60分間の処理で
も65%以上の残存酵素活性を有する。 発光波長:620±5nm また、当該耐熱性ホタルルシフェラーゼのうち耐熱性北
米ボタルルシフェラーゼは、以下に示す性質を除き、D
eluca,M.et al.,Methods En
zymol.72,3−15(1978)記載の野生型
北米ボタルのルシフェラーゼと同様である。 温度等による失活の条件:pH7.8において温度5
5℃、60分間の熱処理により完全に失活する。 熱安定性:温度40℃、20分間及び60分間の処理
で夫々80%以上及び65%以上の残存酵素活性を有す
る。 発光波長:620±5nm
説明する。 (実施例)なお、項目1及び2には、既に取得された耐
熱性ヘイケボタルルシフェラーゼの315番目のAla
を疎水性アミノ酸残基に置換することにより、更なるル
シフェラーゼの耐熱化を示した。また、項目3には、野
性型北米ボタルルシフェラーゼのヘイケボタルルシフェ
ラーゼの315番目と同等位置である313番目のAl
aを疎水性アミノ酸残基に置換して耐熱化を行なった例
を示した。
Aの変異 先ず、組み換え体pHLf7−217LeuDNA〔プ
ラスミドpUC119DNAに217番目のAlaがL
euに置換された耐熱変異のヘイケボタル(Lucio
la lateralis)ルシフェラーゼ遺伝子(特
開平5−244942号公報記載)が挿入されたも
の。〕の1本鎖DNAをヘルパーファージM13 K0
7(宝酒造社・製)を用いて調製し、DNAModel
392シンセサイザー(Applied Biosys
tems社製)を用いて合成したオリゴヌクレオチドS
LF15(AGGAATAAAGAACTCTTCAC
AGTT)とオリゴヌクレオチド−ダイレクティッド
インビトロ ミュータジェネシス システム バージョ
ン2(Amersham社・製)を用いて、ルシフェラ
ーゼ遺伝子がコードするアミノ酸配列は変えずにルシフ
ェラーゼ遺伝子の内部に存在するEcoRI部位を除去
した組み換え体プラスミドpHLf107DNAを得
た。
A30μgを、ヒドロキシルアミン溶液〔0.8M塩酸
ヒドロキシルアミン/0.1Mリン酸緩衝液(pH6.
0)/1mMDTA〕100μLに溶解し、65℃で2
時間変異処理したのち、常法によりエタノール沈澱を行
ない沈澱物を回収した。この沈澱物をTE緩衝液〔10
mMトリス‐塩酸緩衝液(pH7.5)/1mMDT
A〕に溶解し、ハナハン(Hana−han)の方法
〔ディーエヌエイ・クローニング(DNA Cloni
ng)、第1巻、第109〜135頁(1985)〕に
より、大腸菌JM101株(ATCC33876)を形
質転換し、LB−amp寒天培地〔バクトトリプトン1
%(W/V)、酵母エキス0.5%(W/V)、NaC
l0.5%(W/V)、アンピシリン(50μg/m
l)及び1.4%(W/V)寒天〕に接種し、37℃で
培養した。12時間後、出現してきたコロニーをLB−
amp培地〔バクトトリプトン1%(W/V)、酵母エ
キス0.5%(W/V)、NaCl0.5%(W/
V)、及びアンピシリン(50μg/ml)〕3ml
中、37℃で18時間振盪培養を行なった。この培養液
0.5mlを10mlの上記LB−amp培地に接種
し、37℃で4時間振盪培養したのち、8000r.
p.m.で10分間の遠心分離操作により湿潤菌体を夫
々20mgずつ得た。回収した菌体を、0.10MKH
2PO4(pH7.8)、2mMEDTA、1mMジテオスレ
イトール、及び0.2mg/mlプロタミン硫酸からな
る緩衝液0.9mlに懸濁し、更に、これに、10mg
/mlのリゾチーム溶液100μLを添加し、氷中に1
5分間放置した。次に、この懸濁液をメタノール、ドラ
イアイス浴中で凍結し、次いで温度25℃に放置し、完
全に解凍した。更に、12000r.p.m.で5分間
遠心分離操作を行なうことにより、上清として粗酵素1
mlを得た。
含む粗酵素液を55℃で30分間熱処理し、その中の1
0μlについて、特開平1−141592号公報記載の
方法で力価の測定を行なった。その結果217番目のA
laがLeuに置換されている耐熱性ヘイケボタルルシ
フェラーゼ(以下、LlL−217Lと略称する)より
熱安定性に優れているものを得た。更に、この粗酵素液
を特開平1−141592号公報記載の方法で精製し、
上記の方法で熱処理し、力価を測定した結果、LlL−
217Lより熱安定性に優れていことが判明した。以上
の如くして新たに得られた耐熱性ルシフェラーゼをコー
ドする遺伝子の組み込まれた組み換え体プラスミドDN
AをpHLf107Vと命名し、該組み換え体プラスミ
ドDNAで形質転換された大腸菌、すなわち大腸菌
(E.coli)JM101(pHLf107V)は工
業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−15
345として寄託されている。
の方法によりpHLf107VDNAに含まれる変異L
lL−217L遺伝子の塩基配列の決定を行なったとこ
ろ、このようにして得られた変異型ホタルルシフェラー
ゼはLlL−217Lのアミノ酸配列において315位
のAlaがValに置換されていることが判明した。精
製した本酵素100キロカウント(Kcount)含有
する酵素液100μl〔100mMリン酸カリウム、1
mMエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム、2mM2−
メルカプトエタノール、10%グリセリン、pH7.
5〕を温度55℃で30分間保持して残存する酵素活性
を測定した。その結果本酵素は上記条件で5.9%の残
存酵素活性を保持していた。なお、対照としてLlL−
217Lについても上記と同様にして残存酵素活性を測
定したところ残存酵素活性は1.1%であった。
アミノ酸であるロイシン、イソロイシン及びフェニルア
ラニンに変換させる方法を記載する。大腸菌JM101
(pHLf107)にヘルパーファージM13K07
(宝酒造社製)を感染させることにより、メッシング
(Messing)の方法〔メソズ イン エンザイモ
ロジー(Methods in Enzymolog
y)、第101巻、第20〜78項(1983)〕に従
って1本鎖DNAを調製した。得られた1本鎖DNAに
よる部位特異的変換はインビトロ ミュータジェネシス
システム バージョン2.0(アマシャム社製)を用
いて行なった。なお、部位特異的変換のプライマーとし
て用いる為に、合成DNASLF129(配列番号1記
載)を合成した。なお、SLF129内のnがgの場合
LlL−217Lの315番目のAlaがLeuに置換
される。同様にtの場合にはIle、aの場合にはPh
eに置換される。
シングは、ダイプライマー タックシークェンシング
キット(アプライド バイオシステムズ社製)を用いて
反応を行ない、ABI373A DNAシーケンサー
(アプライド バイオシステムズ社製)で泳動、解析を
行なった。このようにして得られた部位特異的変換遺伝
子は、LlL−217Lの315番目のアミノ酸がロイ
シン、イソロイシン及びフェニルアラニンに変換さてい
るアミノ酸配列をコードしており、夫々のプラスミドを
pHLf107L、pHLf107I及びpHLf10
7Fと命名した。
JM101より項目1記載の方法により粗酵素液を得、
更にこの粗酵素液を精製した。このようにして得られた
精製ルシフェラーゼを、項目1記載の方法にて55℃で
30分間熱処理し、その中の10μlについて残存する
酵素活性を測定したところ、大腸菌(E.coli)J
M101(pHLf107L)由来ルシフェラーゼは、
2.1%残存酵素活性を保持し、大腸菌(E.col
i)JM101(pHLf107I)由来ルシフェラー
ゼは、5.1%残存酵素活性を保持し、また大腸菌
(E.coli)JM101(pHLf107F)由来
ルシフェラーゼは、2.1%残存酵素活性を保持した。
いずれも対照のLlL−217Lの残存酵素活性1.1
%を上回った。
DNAの変異 次に北米ボタルのルシフェラーゼのヘイケボタルの31
5位と同等の位置の残基を疎水性アミノ酸であるバリ
ン、ロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニンに変
換させる方法を記載する。北米ホタルルシフェラーゼ
(PpL)のアミノ酸配列において、ヘイケボタルルシ
フェラーゼ(LlL)の315位のアミノ酸残基と同等
の位置を見い出すために、ベックマン社製のアミノ酸相
同性解析用ソフトMicro GenieTMを用いて両
者のアミノ酸配列を解析したところ、PpLの313位
のAlaがLlLの315位に相当することが明らかに
なった。組み換え体DNAプラスミドpT3/T7−L
UC(東洋紡・社・製)〔野性型北米ホタルルシフェラ
ーゼ(PpL)の遺伝子を含有する〕よりPpL遺伝子
を含有する1.9KbのBamHIを切り出し、プラス
ミドpUC119(宝酒造社・製)のBamHI部位に
PpL遺伝子の転写方向をラクトースプロモーターの転
写方向と同じ向きに挿入した組み換え体プラスミドpA
Lf301を得た。
記載の方法で1本鎖DNAを調製した。得られた1本鎖
DNAによる部位特異的変換は、インビトロ ミュータ
ジェネシス システム バージョン−2.0(アマシャ
ム社製)を用いて行なった。なお、部位特異的変換のプ
ライマーとして用いる為に、以下の合成DNASLF1
27(配列番号2記載)を合成した。なお、SLF12
7内のnがcの場合,PpLの313番目のAlaがV
alに置換される。同様にgの場合はLeu、tの場合
はIle,aの場合はPheに置換される。
シングは、ダイプライマータックシークエンシングキッ
ト(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて反応を
行ない、ABI 373A DNAシークエンサー(ア
プライドバイオシステムズ社製)で泳動解析を行なっ
た。このようにして得られた組み換え体プラスミドにお
けるルシフェラーゼの部位特異的変換遺伝子は、PpL
の313番目のアミノ酸に相当する遺伝子部分がバリ
ン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンに変換
さているアミノ酸配列をコードしており、夫々pALf
303、pALf304、pALf306、pALf3
05と命名した。
Lf303)は、FERM P−15344として工業
技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。この
形質転換体及び野性型PpLを生産する組み換え体JM
101(pALf301)より項目1記載の方法により
粗酵素液を得、更に、この粗酵素液を精製した。このよ
うにして得られた精製ルシフェラーゼを、項目1記載の
緩衝液中、45℃で30分間熱処理し、その中の10μ
lについて残存する酵素活性を測定したところ、野性型
PpLが3.2%の残存活性しか示さなかったのに対
し、313番目のAlaを夫々Val、Leu、Il
e、Pheに置換された変異型PpLは夫々51.6
%、9.1%、24.4%、29.1%の残存活性を示
した。上記より明らかな如く本発明は、対照に比し著し
く耐熱性を有するルシフェラーゼであることが判った。
ゼ遺伝子、この遺伝子を組み換え体DNA及び該組み換
え体DNAを含む微生物により耐熱性ホタルルシフェラ
ーゼを製造する方法並びにそのようにして得られた新規
な耐熱性ホタルルシフェラーゼが提供された。そして、
本発明の方法により、耐熱性ホタルルシフェラーゼを効
率よく生産することができるので、本発明は産業上極め
て有用である。
含む粗酵素液を55℃で30分間熱処理し、その中の1
0μlについて、特開平1−141592号公報記載の
方法で力価の測定を行なった。その結果217番目のA
laがLeuに置換されている耐熱性ヘイケボタルルシ
フェラーゼ(以下、LlL−217Lと略称する)より
熱安定性に優れているものを得た。更に、この粗酵素液
を特開平1−141592号公報記載の方法で精製し、
上記の方法で熱処理し、力価を測定した結果、LlL−
217Lより熱安定性に優れていことが判明した。以上
の如くして新たに得られた耐熱性ルシフェラーゼをコー
ドする遺伝子の組み込まれた組み換え体プラスミドDN
AをpHLf107Vと命名し、該組み換え体プラスミ
ドDNAで形質転換された大腸菌、すなわち大腸菌
(E.coli)JM101(pHLf107V)は工
業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−6
866(FERM P−15345号より移管)として
寄託されている。
Lf303)は、FERM BP−6865(FERM
P−15344号より移管)として工業技術院生命工
学工業技術研究所に寄託されている。この形質転換体及
び野性型PpLを生産する組み換え体JM101(pA
Lf301)より項目1記載の方法により粗酵素液を
得、更に、この粗酵素液を精製した。このようにして得
られた精製ルシフェラーゼを、項目1記載の緩衝液中、
45℃で30分間熱処理し、その中の10μlについて
残存する酵素活性を測定したところ、野性型PpLが
3.2%の残存活性しか示さなかったのに対し、313
番目のAlaを夫々Val、Leu、Ile、Pheに
置換された変異型PpLは夫々51.6%、9.1%、
24.4%、29.1%の残存活性を示した。上記より
明らかな如く本発明は、対照に比し著しく耐熱性を有す
99.9.10)
工学工業技術研究所
工学工業技術研究所
9.9.10)
工学工業技術研究所
工学工業技術研究所
Claims (14)
- 【請求項1】 野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸
配列において、313位のアミノ酸、又は北米ボタルの
ルシフェラーゼの313位と同等位置のアミノ酸が疎水
性アミノ酸に変異されているアミノ酸配列をコードする
耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。 - 【請求項2】 野生型ホタルルシフェラーゼが北米ボタ
ルのルシフェラーゼである請求項1記載の耐熱性ホタル
ルシフェラーゼ遺伝子。 - 【請求項3】 疎水性アミノ酸がイソロイシン、ロイシ
ン、バリン若しくはフェニルアラニンである請求項1又
は請求項2記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。 - 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の耐熱性ホタ
ルルシフェラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入したこ
とを特徴とする新規な組み換え体DNA。 - 【請求項5】 請求項4記載の組み換え体DNAを含
み、耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能を有するエッシ
ェリシア属に属する微生物を培地に培養し、培養物より
耐熱性ホタルルシフェラーゼを採取することを特徴とす
る耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造法。 - 【請求項6】 野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸
配列において、313位のアミノ酸、又は北米ボタルの
ルシフェラーゼの313位と同等位置のアミノ酸が疎水
性アミノ酸に変異されていることを特徴とする耐熱性ホ
タルルシフェラーゼ。 - 【請求項7】 野生型ホタルルシフェラーゼが北米ボタ
ルのルシフェラーゼである請求項6記載の耐熱性ホタル
ルシフェラーゼ。 - 【請求項8】 野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸
配列において、217及び315位のアミノ酸、又はゲ
ンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの2
17及び315位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ
酸に変異されているアミノ酸配列をコードする耐熱性ホ
タルルシフェラーゼ遺伝子。 - 【請求項9】 野生型ホタルルシフェラーゼがヘイケボ
タル若しくはゲンジボタルのルシフェラーゼである請求
項8記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。 - 【請求項10】 疎水性アミノ酸がイソロイシン、ロイ
シン、バリン若しくはフェニルアラニンである請求項8
又は請求項9記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝
子。 - 【請求項11】 請求項8又は請求項9記載の耐熱性ホ
タルルシフェラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入した
ことを特徴とする新規な組み換え体DNA。 - 【請求項12】 請求項11記載の組み換え体DNAを
含み、耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能を有するエッ
シェリシア属に属する微生物を培地に培養し、培養物よ
り耐熱性ホタルルシフェラーゼを採取することを特徴と
する耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造法。 - 【請求項13】 野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ
酸配列において、217及び315位のアミノ酸、又は
ゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの
217及び315位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミ
ノ酸に変異されていることを特徴とする耐熱性ホタルル
シフェラーゼ。 - 【請求項14】 野生型ホタルルシフェラーゼがヘイケ
ボタル若しくはゲンジボタルのルシフェラーゼである請
求項13記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ。
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