JP2002209589A - 変異型ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼb型サブユニットタンパク質 - Google Patents

変異型ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼb型サブユニットタンパク質

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 変異型のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型
サブユニットタンパク質の提供。 【解決手段】 ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブ
ユニットタンパク質は、ニワトリ由来特定のアミノ酸配
列の2個所の特定位置のアミノ酸残基がアラニンである
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変異型ニワトリ乳
酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質に関す
る。
【0002】
【従来の技術】乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、N
AD+を水素受容体として乳酸を脱水素してピルビン酸
を生じる酵素であって、解糖系でピルビン酸から乳酸を
生成することに働く酵素として、動物諸組織、微生物に
広く存在する。
【0003】特に動物のLDHにはA型(M型または骨
格筋型)、B型(H型または心筋型)といった2種類の
サブユニットが存在することが知られ、その酵素学的な
性質もLDHアイソザイム間で異なっている。サブユニ
ットは同種同士または異種間で四量体を形成し、陽極側
への電気移動度の高いものからLDH1(B4)、LDH
2(A13)、LDH3(A22)、LDH4(A
31)、LDH5(A4)と呼ばれるアイソザイムが存在
する。体内における各アイソザイムの分布は偏ってお
り、心筋、赤血球および腎にはLDH−B4が、骨格筋
および肝にはLDH−A4が多く含まれている。また、
前立腺、結腸、甲状腺、肺の各組織にはLDH−A 22
が多い。さらに近年、新たにC型およびD型サブユニッ
トの存在も確認されており、精巣および精子中からLD
H−X(C4)が、絨毛癌(choriocarcin
oma)とその転移巣からLDH−Z(D4)が見い出
されている。
【0004】LDHは特に臨床検査薬の分野において、
1)生成ピルビン酸のUV測定法における共役酵素とし
て、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)等の
種々のアミノトランスフェラーゼの酵素活性を測定する
場合や、2)尿素等の種々の基質をピルビン酸に変換
し、生成ピルビン酸のUV測定法における共役酵素とし
て、また、3)検体中の内因性ピルビン酸の消去にも利
用されている。特に、1)のアミノトランスフェラーゼ
は肝臓、心臓、腎臓などに強い活性を示す酵素であり、
各種疾患時に血清中に著しく増大するため、LDHを使
用した生体試料(血清、血漿などの体液)中のアミノト
ランスフェラーゼ活性の測定は、臨床検査の一項目とし
て広く行われている。
【0005】臨床検査用試薬として使用するには、簡便
性の観点から粉末状態のものよりも液体状態で安定なも
のが好ましい。アミノトランスフェラーゼ活性測定のた
めの臨床検査用試薬としては大量に入手できるという観
点から一般にブタ由来のLDH−B4が使用されてきた
が、これは液体状態では長期間に渡って安定した状態で
保存することが困難であるという欠点があった。
【0006】近年、鳥類由来のLDH−B4が補酵素
(NADH)の溶液安定性を考慮したpH領域、例えば
pH約9−10の範囲においても、著しい耐熱溶液安定
性を示すことがわかった。鳥類由来のLDH−B4の酵
素的性質は、従来のブタLDH−B4とほとんどかわら
ず、トランスアミナーゼ(アミノトランスフェラーゼ)
活性測定試薬として本酵素を使用した場合も、測定感度
において特に問題はない。従って、鳥類由来のLDH−
4は、溶液安定性および酵素的性質からして、臨床検
査用酵素として充分有用性があると期待される(「トラ
ンスアミナーゼ測定試薬」特開平8−289)および
「液状ALT測定試薬に好適な耐熱型乳酸脱水素酵素」
臨床化学 第23巻補冊2号 1994年 141
b)。
【0007】しかしながら、天然のLDH−B4タンパ
ク質を鳥類から調製する場合極少量しか得られないた
め、臨床検査用酵素として例えば、ニワトリ臓器より取
得し実用化を図ることは数量面で困難である。また、天
然源から調製されたLDH−B 4タンパク質の場合、精
製を充分に行っても混在するNADH分解酵素を完全に
除けないことが知られている。これは、LDHの酵素反
応はNADHを補酵素として利用するため問題となる。
従って、鳥類由来のLDH−B遺伝子をクローニング
し、遺伝子工学的手法によりLDH−B4タンパク質を
大量かつ簡便に発現させることが重要である。
【0008】この点、内田らの特開平9−262089
号は、ニワトリ心臓由来乳酸デヒドロゲナーゼBサブユ
ニットの遺伝子をクローニングし、ニワトリLDH−B
4組換えタンパク質の発現に成功したことを開示してい
る。得られた組換えニワトリLDH−B4タンパク質の
熱安定性について、特開平9−262089号は天然の
ニワトリLDH−B4と同等であると記載している。
【0009】しかしながら、本発明者らがより詳細に熱
安定性を検討した結果、特開平9−262089号の組
換えLDH−B4タンパク質はタンパク質濃度に依存し
て熱安定性が大きく変化することが見出された。具体的
には、トランスアミナーゼ活性を測定するための構成成
分として使用されるLDH量は通常1−10U/mL程
度の範囲である。よって、組換えLDH−B4比活性
(136U/mgタンパク質)より、熱安定性および溶
液安定性はLDHタンパク質濃度として0.007−
0.07mg/mLの範囲で測定すべきであると換算さ
れる。ところが、後述の参考例1に記載したように、特
開平9−262089号の組換えLDH−B 4タンパク
質は、このような低濃度では熱に不安定であることがわ
かった。よって、当該組換えLDH−B4タンパク質
は、熱安定性および溶液安定性を有するトランスアミナ
ーゼ活性測定試薬を提供するには未だ充分でない可能性
がある。
【0010】よって、簡便で大量に遺伝子工学的手法に
よって得ることができ、かつ充分な熱安定性および溶液
安定性を保持する乳酸デヒドロゲナーゼタンパク質の提
供が希求される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性およ
び溶液安定性を示し、NADH分解酵素を含まない、変
異型のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニット
タンパク質を提供することを目的とする。本発明のニワ
トリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質
は、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号10に相
当する位置のアミノ酸残基がアラニンであり、そして、
アミノ酸番号207に相当する位置のアミノ酸残基がア
ラニンであることを特徴とする。本発明のニワトリ乳酸
デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質は、好ま
しくは配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0012】本発明はまた、前記変異型のニワトリ乳酸
デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質をコード
する核酸を提供することを目的とする。本発明の核酸
は、好ましくは配列番号2に記載の塩基配列を有する。
【0013】本発明はさらに、前記変異型のニワトリ乳
酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質を発現
するためのベクター、前記ベクターを含む宿主細胞を提
供することを目的とする。
【0014】本発明はさらにまた、前記宿主細胞を培養
して、ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニット
タンパク質を製造する方法を提供することを目的とす
る。本発明はさらに、前記変異型のニワトリ乳酸デヒド
ロゲナーゼB型サブユニットタンパク質を構成成分とす
るニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型タンパク質を含
む、トランスアミナーゼ測定用試薬を提供することを目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
解決のため鋭意研究を重ねた結果、特開平9−2620
89号の組換えLD−B4タンパク質に変異を導入し、
その生化学的活性の熱安定性および溶液安定性(pH安
定性)、ならびにNADH分解活性を検討することによ
り、低濃度でも熱安定性および溶液安定性(pH安定
性)を保持する変異型のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼ
B型サブユニットを見出し、本発明を想到した。
【0016】以下、本発明を詳述する。変異型ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニット
タンパク質 本発明の変異型ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブ
ユニットタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列のア
ミノ酸番号10に相当する位置のアミノ酸残基がアラニ
ンであり、そして、アミノ酸番号207に相当する位置
のアミノ酸残基がアラニンであることを特徴とする。そ
して、生学的的な特徴としては、補酵素NADHの存在
下でピルビン酸を乳酸に変換する活性を有し、そしてゲ
ル濾過クロマトグラフィーで4量体の状態で分子量が約
150,000であり、特に以下の性質: 1)0.1mg/ml、pH7、65℃、30分間の熱
処理で失活せず;そして 2)NADH分解酵素を実質的に含まない を有することを特徴とする。上記1)および2)の性質
は公知のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニッ
トタンパク質にはない特有の性質である。
【0017】本発明者らは先ずニワトリ心臓cDNAラ
イブラリーの作製し、特開平9−262089号に記載
のLD−B遺伝子をコードするcDNA配列を取得し
た。cDNAライブラリーの作製は慣用技術、例えばM
olecular Cloning (Cold Sp
ring Harbor Laboratory Pr
ess 1989)に詳述されている方法に従った。特
開平9−262089号に記載の方法に従がい、作製し
たcDNAライブラリーをスクリーニングすることによ
りLD−B遺伝子をコードするcDNAクローンを取得
した。得られたcDNAクローンの塩基配列を決定し、
本明細書で後述する配列表の配列番号5に記載した。さ
らに、配列番号5の塩基配列より推定されるアミノ酸配
列は配列番号4に記載した。これらは、特開平9−26
2089号に開示された塩基配列及びアミノ酸配列(各
々、特開平9−262089号の配列番号3及び1)と
同一であることが確認された。
【0018】一方、ニワトリ心臓より精製された天然の
ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットのアミ
ノ酸配列が Tsoi,S.C.M., Li,J.
Y.,Mannen,H. and Li,S.S.
L. Submitted (03−JUN−199
8): GI “3342403” [GenBan
k]に開示されている(配列番号3)。
【0019】特開平9−262089号の組換えニワト
リ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットのアミノ酸配
列(配列番号4)とTsoiらの天然ニワトリ乳酸デヒ
ドロゲナーゼB型サブユニットのアミノ酸配列(配列番
号3)を比較したところ、2カ所のアミノ酸残基が相違
した。具体的には、配列番号3および4において10番
目のアミノ酸残基が前者(配列番号3)はスレオニン、
後者(配列番号4)はアラニンであり、そして207番
目のアミノ酸残基が前者ではアラニン、後者はバリンで
あった。
【0020】上記特開平9−262089号の組換えニ
ワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットとTso
iらの天然ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニ
ットのアミノ酸配列に基づき、これら公知のニワトリ乳
酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットに変異を施すこと
によって、本発明者らは熱安定性および溶液安定性(p
H安定性)に優れ、かつNADH分解活性を有しない優
れた生化学的性質を有する変異型ニワトリ乳酸デヒドロ
ゲナーゼB型サブユニットを得ることに成功し、本発明
を想到した。具体的には、本発明の変異型ニワトリ乳酸
デヒドロゲナーゼB型サブユニットは、配列番号1(ま
たは配列番号3または4)のアミノ酸配列のアミノ酸番
号10に相当する位置のアミノ酸残基がアラニンであ
り、そして、アミノ酸番号207に相当する位置のアミ
ノ酸残基がアラニンであることを特徴とする。
【0021】本発明の変異型ニワトリ乳酸デヒドロゲナ
ーゼB型サブユニットは、公知の上記特開平9−262
089号の組換えニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サ
ブユニットとTsoiらの天然ニワトリ乳酸デヒドロゲ
ナーゼB型サブユニットのいずれとも相違し、新規なタ
ンパク質である。以下、本明細書中、簡便のため必要に
応じ、本発明のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブ
ユニットを(10A、207A)LDH−B、上記特開
平9−262089号の組換え型のものを(10A、2
07V)LDH−B、そして天然由来のものを(10
T、207A)LDH−Bと略称する。
【0022】本発明の変異型LDH−Bは好ましくは配
列番号1に記載のアミノ酸配列1−333を有するが、
これらに限定されない。天然のタンパク質の中にはそれ
を生産する生物種の品種の違いや、生態系の違いによる
遺伝子の変異、あるいはよく似たアイソザイムの存在な
どに起因して1から複数個のアミノ酸変異を有する変異
タンパク質が存在することは周知である。さらに、一般
に生理活性を有するペプチドのアミノ酸配列が多少変更
された場合、即ち、該アミノ酸配列の中の1又は複数の
アミノ酸が置換され若しくは欠失し、または1又は複数
のアミノ酸が付加された場合でも該ペプチドの生理活性
が維持される場合があることは周知の事実である。
【0023】よって、本発明の変異型LDH−Bタンパ
ク質は、配列番号1のアミノ酸残基1−333におい
て、10番目のアラニン残基および207番目のアラニ
ン残基以外の部分において1またはそれ以上のアミノ酸
残基の欠失、置換もしくは付加による変異を含むアミノ
酸配列を有し、かつ、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有す
る(生物学的に活性な、酵素的に活性な)タンパク質も
含む。本発明の変異型LDH−Bタンパク質が「乳酸デ
ヒドロゲナーゼ活性を有する」とは、B型同士またはA
型等の異なる型のサブユニットと四量体を形成して、N
AD+を水素受容体として乳酸を脱水素してピルビン酸
を生じる活性を有することを意味する。
【0024】本明細書で使用する用語「アミノ酸変異」
とは、1以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は
付加などを意味する。本発明の変異ニワトリLDH−B
酵素は、好ましくは配列番号1に記載のアミノ酸配列を
有するが、その配列を有するタンパク質のみに限定され
るわけではなく、本明細書中に記載した特性を有する限
り全ての相同タンパク質を含むことが意図される。
【0025】配列番号1に示された本発明のLDH−B
タンパク質のアミノ酸配列は、ニワトリLDHのA型サ
ブユニットタンパク質のアミノ酸配列と73.3%の相
同性を有する。また、ニワトリLDH−Bタンパク質の
アミノ酸配列と、対応するヒト、ブタおよびマウスB型
サブユニットタンパク質のアミノ酸配列との相同性は、
それぞれ89.5%、88.9%および88.3%であ
る。よって、限定されるわけではないが、本発明の変異
ニワトリLDH−B酵素は、配列番号1のアミノ酸配列
と、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以
上、もっとも好ましくは98%以上の相同性を有するア
ミノ酸配列を有する。
【0026】本明細書において、相同性のパーセント
は、例えばAltschulら(Nucl.Acid
s.Res.25.,p.3389−3402,199
7)に記載されているBLASTプログラムを用いて配
列情報と比較し決定することが可能である。当該プログ
ラムは、インターネット上でNational Cen
ter for Biotechnology Inf
ormation(NCBI)、あるいはDNA Da
ta Bank of Japan(DDBJ)のウェ
ブサイトから利用することが可能である。BLASTプ
ログラムによる相同性検索の各種条件(パラメーター)
は同サイトに詳しく記載されており、一部の設定を適宜
変更することが可能であるが、検索は通常デフォルト値
を用いて行う。
【0027】一般的に、同様の性質を有するアミノ酸同
士の置換(例えば、ある疎水性アミノ酸から別の疎水性
アミノ酸への置換、ある親水性アミノ酸から別の親水性
アミノ酸への置換、ある酸性アミノ酸から別の酸性アミ
ノ酸への置換、あるいはある塩基性アミノ酸から別の塩
基性アミノ酸への置換)を導入した場合、得られる変異
タンパク質は元のタンパク質と同様の性質を有すること
が多い。遺伝子組換え技術を使用して、このような所望
の変異を有する組換えタンパク質を作製する手法は当業
者に周知であり、このような変異タンパク質も本発明の
範囲に含まれる。
【0028】その他の例として、Cys残基が欠失する
または他のアミノ酸で置き換えられる原因となる様に、
Cys残基をコードする配列を変化させ、再生時の不適
当な分子内ジスルフィド架橋の形成を防ぐことができ
る。置換されるアミノ酸は、トリプトファン、セリン、
アスパラギン酸およびリジンからなる基より選択され、
最も好ましくは、アミノ酸はトリプトファンである。
【0029】同様に、生物活性への欠失または挿入によ
る潜在的効果を考慮することにより、アミノ酸配列を欠
失または付加することが可能である。例えば、酵母の発
現系を用いると均一の炭水化物が減少した類似体が発現
されるが、N−グリコシル化部位を修飾してグルコシル
化を排除することができる。真核生物のポリペプチド内
のグリコシル化部位は、アミノ酸のトリプレット、As
n−X−Y(式中,XはProを除く任意のアミノ酸で
あり、YはSerまたはThrである)を特徴とする。
このトリプレットをコードするヌクレオチド配列の適当
な修飾は、Asn側鎖の炭水化物残基の結合を防ぐ置
換、付加または欠失を結果として生ずるであろう。ある
いは、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母系での
発現を強化するために、二塩基性のアミノ酸残基をコー
ドする配列を修飾することも可能である。
【0030】変異型ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型
サブユニットの生化学的性質 ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットが、
「乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有する」とは、B型同士
またはA型等の異なる型のサブユニットと四量体を形成
して、NAD+を水素受容体として乳酸を脱水素してピ
ルビン酸を生じる活性を有することを意味する。即ち、
ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼ四量体タンパク質は、以
下の酵素反応を可逆的に促進する。
【0031】
【化1】酵素反応: ピルビン酸+NADH⇔L−乳酸
+NAD+ また、ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニット
は、ゲル濾過クロマトグラフィーで4量体の状態で分子
量が約150,000である。本発明の変異型ニワトリ
乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットは、特に以下の
生化学性質: 1)0.1mg/ml、pH7、65℃、30分間の熱
処理で失活せず;そして 2)NADH分解酵素を実質的に含まない を有することを特徴とする。上記1)および2)の性質
は公知のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニッ
トタンパク質にはない特有の性質である。
【0032】本発明のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB
型サブユニットが耐熱性であり、熱処理で失活しない、
とは、本発明のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブ
ユニットからなるLDH−B4(以下、単に「本発明の
LDH−B4」という)が、好ましくは80%以上、よ
り好ましくは90%以上、最も好ましくは93%以上の
LDH活性の残存活性率を有することを意味する。本発
明のLDH−B4はより低濃度、即ち、好ましくは0.
01mg/mlより好ましくは0.001mg/mlの
濃度でも、例えば、pH7、65℃、30分間の熱処理
で好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、
最も好ましくは93%以上残存活性率を有する。
【0033】LDH活性は例えば、100mM リン酸
カリウム緩衝液(pH7.0)−0.8mM ピリビン
酸ナトリウム−0.3mM NADHを基質混合液とし
て用い、測定温度25℃で1分間あたり1μmolのN
AD+生成量を1単位とすることができる。NAD+生成
量は、例えば、NADHの分子吸光係数(例えば、波長
340nmで1cm光路幅のキュベットセルを用いた場
合に、NAD+の1ミリモル濃度あたり6.30とな
る)を用いる。基質反応混合液に試料を添加し、その後
1分間あたりの340nmにおける吸光度減少量を測定
し、次式に従い試料中のLDH活性(U/ml)を換算
することができる。
【0034】
【化2】LDH活性(U/ml)=V×(1分間あたり
の340nmにおける吸光度減少量)(v×6.30) V: キュベット中の最終反応液量(ml) v: 試料液量(ml) 6.30: NADH分子吸光係数(NAD+の1ミリ
モル濃度あたり) 上記分光光度計によるLDH活性測定方法については例
えば、オリエンタル酵母工業株式会社製品カタログ(2
000年版)の第66頁−第67頁に、NADH分子吸
光係数の説明とともに詳述されている。例えば、限定さ
れるわけではないが、配列番号1のアミノ酸配列を有す
る本発明のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニ
ットからなるLDH−B4は、後述する実施例3で0.
003mg/ml、pH7、65℃、30分間の熱処理
で約93%の残存活性率を示した(図1)。
【0035】本発明のLDH−B4はまた、溶液pH安
定性にも優れており、好ましくはpH5−9の範囲で安
定である。限定されるわけではないが、好ましくは0.
003mg/ml、pH9、55℃、30分間の熱処理
でも失活しない。例えば、限定されるわけではないが、
配列番号1のアミノ酸配列を有する本発明のニワトリ乳
酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットからなるLDH−
4は、後述する実施例3でpH9.0の条件下、0.
003mg/ml、55℃、30分間の熱処理で98
%、65℃の熱処理で95%の残存活性率を示した(図
1)。
【0036】本発明のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB
型サブユニットからなるLDH−B 4はさらに、NAD
H分解酵素を実質的に含まない。NADH分解酵素を実
質的に含まないとは、例えば、LDH−B4を45℃で
2日間保存した後に、NADH残存率が好ましくは89
%以上、より好ましくは92%以上保持することを意味
する。
【0037】本発明においてLDHタンパク質とともに
添加混合したNADHの残存率は、例えばNADHの有
する吸収スペクトルに基づき、340nmの吸光度を分
光学的に測定して求めることができる。例えば、本明細
書において後述する実施例3では、NADHをLDHタ
ンパク質と混合して試薬R−1を調製した直後の初期吸
光度に対する保存経過後の吸光後の割合として試算し
た。
【0038】
【化3】NADH残存率=(保存経過後の吸光後)/
(試薬調製直後) さらに、限定されるわけではないが、本発明のLDH−
4は好ましくは、補酵素NADHに対する高い特異
性、を有する。さらには、補酵素アナログに対する反応
性については、補酵素アナログとの組合せにより測定方
法ならびに測定試薬の特徴付けをし得ることが望まし
い。例えば、NADHの補酵素アナログAPADHはN
ADHに比べて溶液安定性が高い。本発明のLDHを補
酵素APADHともに利用して、例えば生体試料中のピ
ルビン酸を基質あるいは生成物質とする酵素活性を測定
するための液状試薬を構築することが可能である。その
場合、LDHの有するAPADHに対する交差反応性が
問題となる。例えば、本明細書中の実施例1において、
配列番号1のアミノ酸配列を有する本発明のニワトリ乳
酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットからなるLDH−
4は、NADHへの反応性100%とした時、APA
DHに対して10%程度の交差反応性を有した(実施例
1)。
【0039】なお、上述したように、本発明のニワトリ
乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットは、アミノ酸配
列が好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸
番号10に相当する位置のアミノ酸残基がアラニンであ
り、そして、アミノ酸番号207に相当する位置のアミ
ノ酸残基がアラニンである。しかしながら、上記生化学
的性質を有するニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブ
ユニットは本発明によって初めて得られたものである。
よって、本発明の新規なニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼ
B型サブユニットタンパク質は、上記生化学的性質を有
するものであればそのアミノ酸配列は特に限定されな
い。
【0040】変異型ニワトリLDH−B型サブユニット
(LDH−B)遺伝子 本発明のLDH−Bタンパク質は、例えば後述の実施例
に記載するように、LDH−Bタンパク質遺伝子を用い
て遺伝子工学的に発現させることができる。当業者は本
明細書の記載および慣用された遺伝子工学技術を用い
て、本発明のLDH−B遺伝子を容易に得ることが可能
である。
【0041】よって、本発明は変異型LDH−Bタンパ
ク質をコードする核酸を提供する。本明細書において、
「核酸」または「遺伝子」とは、一本鎖又は二本鎖のD
NAまたはRNAを意味する。本発明のLDH−B遺伝
子は特に限定されず、天然由来のDNA又はRNA、組
換えDNAまたはRNA、化学合成DNAまたはRNA
の何れでもよく、またゲノムDNAクローン、cDNA
クローン、mRNA等、いずれの核酸でもよい。
【0042】1つのアミノ酸をコードするコドンは複数
存在するので、コードされるアミノ酸配列が同じであれ
ば、どのような塩基配列の核酸も本発明の範囲に含まれ
る。従って、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコー
ドするいずれの核酸も本発明の範囲に含まれる。
【0043】天然の遺伝子の中にはそれを生産する生物
種の品種の違いや、生態系の違いに起因する少数の変異
やよく似たアイソザイムの存在に起因する少数の変異が
存在することは当業者に周知である。従って、本発明の
変異型LDH−Bの遺伝子は、配列番号5に記載の塩基
配列を有する野生型LDH−B遺伝子に由来するものに
限定されるわけではなく、上述した本発明の変異型LD
H−Bの生化学的性質を有するポリペプチドをコードす
る全ての遺伝子を包含する。
【0044】本発明のLDH−B遺伝子の好ましい態様
は、配列番号2に記載の塩基配列を有するものである。
配列番号2の塩基配列を有する本発明のLDH−B遺伝
子を有する発現プラスミドで形質転換された大腸菌形質
転換細胞は、平成13年1月16日に寄託番号FERM
BP−7431で、経済産業省産業技術総合研究所生
命工学工業技術研究所(〒305−8566 茨城県つ
くば市東1丁目1番3号)に微生物の国際寄託に関する
ブタペスト条約に基づき国際寄託されている。
【0045】本発明の変異型はまた、まず野生型のLD
H−B遺伝子を得て、それに変異を施すことにより得る
ことも可能である。例えば配列番号5に記載の塩基配列
を有する野生型のLDH−B遺伝子は、特開平9−26
2089に記載されているように、平成7年11月13
日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(当
時)に寄託番号FERM BP−5292で国際寄託さ
れている酵母宿主細胞Saccharomyces c
erevisiae(YRp1G−cLD−B)から得
ることができる。また、必要に応じ特開平9−2620
89に記載されているように、ニワトリ心臓mRNA由
来のcDNAライブラリーから、例えばプラークハイブ
リダイゼーション法を利用して得ることもできるし、あ
るいはまた本発明により決定されたDNAの塩基配列に
基づいて、ニワトリ心臓mRNA由来のcDNAライブ
ラリーを鋳型とするPCR法により、又はニワトリ心臓
mRNAを出発物質とするRT−PCR法により容易に
調製することもできる。このように調製したLDH−B
cDNAを利用して後述する方法により変異体を調製
することもできる。
【0046】あるいはまた、本発明の変異型LDH−B
遺伝子であって、配列番号2に記載された塩基配列を有
するもの、さらに配列番号2以外の塩基配列を有するも
のも、本明細書中の配列番号1に記載された変異型LD
H−Bタンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードす
るDNA配列、またはそれらの一部に基づいて、例え
ば、ハイブリダイゼーションや核酸増幅反応等の遺伝子
工学の基本的手法を用いて得ることが可能である。これ
らの遺伝子工学的手法を用いてさらに同様の生理活性を
有するタンパク質をコードする遺伝子を単離することも
可能である。
【0047】遺伝子のスクリーニングのために使用する
ハイブリダイゼーション条件は特に限定されないが、一
般的にはストリンジェントな条件が好ましく、例えば、
2×SSC、5×Denhardt’s、0.1%SD
S、45℃ないし68℃などのハイブリダイゼーション
条件を使用することが考えられる。この場合、ハイブリ
ダイゼーションの温度としては、より好ましくは55℃
ないし68℃(ホルムアミド無し)または45℃ないし
55℃(50%ホルムアミド)を挙げることができる。
ホルムアミド濃度、塩濃度及び温度などのハイブリダイ
ゼーション条件を適宜設定することによりある一定の相
同性以上の相同性を有する塩基配列を含むDNAをクロ
ーニングできることは当業者に周知であり、このように
してクローニングされた相同遺伝子も本発明の変異LD
H−Bを製造するために用いられ得る。
【0048】核酸増幅反応は、例えば、複製連鎖反応
(PCR)(サイキら、1985,Science 2
30,p.1350−1354)、ライゲース連鎖反応
(LCR)(ウーら、1989,Genomics
4,p.560−569;バリンガーら、1990,G
ene 89,p.117−122;バラニーら、19
91,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
88,p.1809−193)および転写に基づく増
幅(コーら、1989,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 86,p.1173−1177)
等の温度循環を必要とする反応、並びに鎖置換反応(S
DA)(ウォーカーら、1992,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 89,p.392−3
96;ウォーカーら、1992,Nuc.Acids.
Res.20,p.1691−1696)、自己保持配
列複製(3SR)(グアテリら、1990,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 87,p.18
74−1878)およびQβレプリカーゼシステム(リ
ザイルディら、1988,BioTechnology
6,p.1197−1202)等の恒温反応を含む。
また、欧州特許第0525882号に記載されている標
的核酸と変異配列の競合増幅による核酸配列に基づく増
幅(Nucleic Acid Sequence B
ased Amplification:NASAB
A)反応等も利用可能である。好ましくはPCR法であ
る。
【0049】上記のようなハイブリダイゼーション、核
酸増幅反応等を使用してクローニングされる相同遺伝子
は、配列表の配列番号2に記載の塩基配列に対して少な
くとも80%以上、好ましくは90%以上、より好まし
くは95%以上の相同性を有する。
【0050】ニワトリLDH−B遺伝子の塩基配列に基
づいて、ニワトリLDH−B遺伝子を得るための核酸増
幅反応に用いる増幅用オリゴヌクレオチドプライマーを
作製できる。より詳細には、オリゴヌクレオチドは、例
えば、配列番号2の塩基配列から以下の条件を満たすよ
うに2つの領域を選択し: 1)各領域の長さが15−30塩基であること; 2)各領域中のG+Cの割合が40−60%であるこ
と;および 3)各領域間の距離が約100−約1000塩基である
こと 上記領域と同じ塩基配列若しくは上記領域に相補的な塩
基配列を有する一本鎖DNAを製造し、または、上記一
本鎖DNAによってコードされるアミノ酸残基を変化さ
せないように遺伝子暗号の縮重を考慮した一本鎖DNA
の混合物を製造し、さらに必要であれば上記タンパク質
をコードする遺伝子の塩基配列に対する結合特異性を失
わないように修飾した上記一本鎖DNAを製造すること
を含む方法により製造することが可能である。当該オリ
ゴヌクレオチド用いて、例えば本発明の変異型LDH−
B遺伝子を検出もしくは単離するためのハイブリダイゼ
ーション、適当な2種をプライマー対として用いたPC
R等の増幅反応、あるいは変異を導入する部分を含む適
当な相補的なプライマー対を用いた部位特異的突然変異
導入するための温度循環反応に用いることが可能であ
る。
【0051】本発明の変異LDH−B遺伝子は、上述の
ように得られた野生型のLDH−BをコードするDNA
配列、またはそれらの一部を利用して、例えば、周知技
術である部位特異的変異誘発(例えば、Nucleic
Acid Research,Vol.10,No.
20,p.6487−6500,1982)を施すこと
によって得ることもできる。また、市販の部位突然変異
誘発用キット(例えば、Staragagen社のQu
ikChangeTM Site−Directed M
utagenisis Kit)を利用することもでき
る。なお、本明細書において「1または複数個のアミノ
酸残基」とは、部位特異的変異誘発法により付加、欠失
または置換できる程度の数のアミノ酸を意味する。
【0052】部位特異的変異誘発法は、例えば、所望の
変異である特定の不一致の他は、変異を受けるべき、例
えばファージ等の一本鎖DNAに相補的な合成オリゴヌ
クレオチドプライマーを用いて次のように行うことがで
きる。即ち、プライマーとして上記合成オリゴヌクレオ
チドを用いて上記一本鎖DNAに相補的な鎖を合成さ
せ、得られた二本鎖DNAで宿主細胞を形質転換する。
形質転換された宿主細胞の培養物を寒天にプレートし、
上記DNAを含有する単一細胞からプラークを形成せし
める。すると、理論的には50%の新コロニーが一本鎖
として変異を有するDNAを含有し、残りの50%が元
の配列を有する。上記所望の変異を有するDNAと完全
に一致するものとはハイブリダイズするが、不一致のも
の、即ち元の配列を有するものとはハイブリダイズしな
い温度において、得られたプラークをラジオアイソトー
プ等で標識された合成プローブとハイブリダイズさせ
る。次に該プローブとハイブリダイズするプローブを拾
い、培養しDNAを回収する。
【0053】尚、酵素などの生物活性ペプチドのアミノ
酸配列にその活性を喪失せしめない1又は複数のアミノ
酸の置換、欠失または挿入を施す方法としては、上記の
部位特異的変異誘発の他にも、遺伝子を変異源で処理す
る方法及び遺伝子を選択的に開裂し、次に選択されたヌ
クレオチドを除去、付加または置換し、次いで連結する
方法もある。尚、上記した本発明の核酸の両端、即ち翻
訳開始暗号および翻訳停止暗号は、それぞれ任意の核酸
断片と結合することができる。この核酸断片の塩基配列
のサイズは重要ではなく、バクテリア等の有する核外遺
伝子と連結するための適当な核酸断片であればよい。
【0054】さらに、組換えタンパク質の発現量を高め
る、回収を容易にする等の目的ための変異を行うこと
は、当該技術分野において通常行われている改変であ
り、このようなこのも当然本発明の範囲に含まれる。
【0055】組換え変異型ニワトリLDHのB型サブユ
ニットポリペプチドの製造 さらに、本発明は変異型LDH−B をコードする核酸
を含む発現ベクター、及びこれら発現ベクターを含有す
る宿主細胞を変異型LDH−Bポリペプチドの発現に適
する条件下で培養して、その発現された変異型LDH−
Bを回収することにより組換え変異型LDH−Bポリペ
プチドを製造する方法も提供する。
【0056】本発明の組換え変異型LDH−B(以下、
場合により「LDH−B」と略称する)ポリペプチドを
製造するためには、使用する宿主細胞に応じて選ばれた
発現ベクターに、哺乳動物、微生物、ウィルス、又は昆
虫遺伝子等から誘導された、適当な転写又は翻訳調節ヌ
クレオチド配列に連結した変異型LDH−B DNA配
列を挿入する。調節配列の例として、転写プロモータ
ー、オペレーター、又はエンハンサー、mRNAリボソ
ーム結合部位、及び転写及び翻訳の開始及び終結を制御
する適切な配列が挙げられる。加えて、LDH−B遺伝
子に本来存在しない適切なシグナルペプチドをコードす
る配列を発現ベクター内に組み込んでもよい。
【0057】変異型LDH−Bポリペプチドの発現に適
する宿主細胞には、原核細胞、酵母又は高等真核細胞が
含まれる。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞宿主で
用いる適切なクローニング及び発現ベクターは、例え
ば、Pouwels ら, Cloning Vect
ors: A Laboratory Manual,
Elsevier, New York, (198
5) に記載されている。
【0058】宿主細胞は、大腸菌、酵母または昆虫細胞
が好ましく、具体的には、大腸菌(M15、JM10
9、BL21等)、酵母(INVSc1(サッカロマイ
セス属)、GS115、KM71(以上ピキア属)な
ど)、昆虫細胞(BmN4、カイコ幼虫など)などが例
示される。また、動物細胞としてはマウス由来、アフリ
カツメガエル由来、ラット由来、ハムスタ−由来、サル
由来またはヒト由来の細胞若しくはそれらの細胞から樹
立した培養細胞株などが例示される。特に好ましい宿主
細胞は大腸菌、より好ましくは大腸菌JM109(JM
109のコンピテントセルは宝酒造等より市販されてい
る)である。
【0059】好ましい宿主細胞は原核細胞である。原核
生物には、グラム陰性又はグラム陽性菌、例えば、大腸
菌又は枯草菌が含まれる。大腸菌のような原核細胞内で
は、cLDH−Bポリペプチドは、原核細胞内でも組換
えポリペプチドの発現を容易にするためにN末端メチオ
ニン残基を含んでもよい。このN末端Metは、公知の
方法により発現後に組換えcLDH−Bポリペプチドか
ら切り離すことができる。宿主細胞として細菌、特に大
腸菌を用いる場合、一般に発現べクターは少なくとも、
プロモーター/オペレーター領域、開始コドン、LDH
−B酵素タンパク質をコードする遺伝子、終止コドン、
ターミネーターおよび複製可能単位から構成される。
【0060】原核宿主細胞内で用いる発現ベクターは、
一般に1又は2以上の表現型選択可能マーカー遺伝子を
含む。表現型選択可能マーカー遺伝子は、例えば、抗生
物質耐性を付与するか又は独立栄養要求性を付与する遺
伝子である。原核宿主細胞に適する発現ベクターの例に
は、pBR322(ATCC37017)の如き市販の
プラスミドまたはそれらから誘導されるものが含まれ
る。pBR322は、アンピシリン及びテトラサイクリ
ン耐性のための遺伝子を含有するので、形質転換細胞を
同定するのが簡単である。適切なプロモーターおよびc
LDH−B DNA配列が、このpBR322ベクター
内に挿入される。他の市販のベクターには、例えば、p
TRP(Uchida K.ら,1995 Clin.
Chem.Acta. Vol.237(1−2),p
p.43−58)、pKK223−3(スェーデン、ウ
プサラの Pharmacia Fine Chemi
cals)及びpGEM1(米国、ウィスコンシン州、
マジソンの PromegaBiotec)が含まれ
る。
【0061】原核宿主細胞用の発現ベクターに普通に用
いられるプロモーター配列には、β−ラクタマーゼ(ペ
ニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター(Chang
ら,Nature 275:615, 1978;及
び Goeddelら, Nature 281:54
4, 1979)等が含まれる。特に有用な原核宿主細
胞発現系は、ファージλPLプロモーター及びcI85
7ts不耐熱性レプレッサー配列を用いる。λPLプロ
モーターの誘導体を取り込んでいるアメリカン・タイプ
・カルチャー・コレクションから入手できるプラスミド
ベクターには、プラスミドpHUB2(大腸菌株JMB
9(ATCC37092)内に存する)及びpPLc2
8(大腸菌RP1(ATCC53082)内に存する)
が含まれる。
【0062】好ましい宿主細胞の他の例は酵母細胞であ
る。好ましくはサッカロミセス属(例えば、S.セレビ
シエ)を用いるが、ピキア (Pichia) 又はク
ルイベロミセス (Kluyveromyces) の
如き他の酵母の属を用いてもよい。酵母ベクターは、2
μ酵母プラスミドからの複製起点の配列、自律複製配列
(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のため
の配列、転写終結のための配列、及び選択可能なマーカ
ー遺伝子を含有することが多い。酵母ベクターに適する
プロモーター配列には、とりわけ、メタロチオネイン、
3−ホスホグリセレートキナーゼ(Hitzeman
ら, J. Biol. Chem. 255:207
3, 1980)又は他の解糖酵素(Hessら,
J. Adv. Enzyme Reg. 7:14
9, 1968;及び Hollandら, Bioc
hem. 17:4900, 1978)、例えば、エ
ノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒ
ドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキ
シラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−
ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートム
ターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェート
イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグ
ルコキナーゼが含まれる。酵母発現に用いるのに適する
他のベクター及びプロモーターは、Hitzeman,
EPA−73,657に更に記載されている。もう1
つの代用物は、Russell ら(J. Biol.
Chem.258:2674, 1982)及び B
eierら(Nature 300:724, 198
2)により記載されたグルコース被抑制性ADH2プロ
モーターである。大腸菌内での選択及び複製のためのp
BR322からのDNA配列(Ampr遺伝子及び複製
の起点)を上記の酵母ベクター内に挿入することによ
り、酵母及び大腸菌の両方で複製可能なシャトルベクタ
ーを構築することができる。
【0063】酵母α因子リーダー配列を用いて、cLD
H−Bポリペプチドの分泌を行わせることができる。こ
のα因子リーダー配列は、プロモーター配列と構造遺伝
子配列の間に挿入されることが多い。例えば、Kurj
anら, Cell 30:933, 1982;Bi
tterら, Proc. Natl. Acad.S
ci. USA 81:5330, 1984;米国特
許第4,546,082号;及びEP324,274を
参照のこと。酵母宿主からの組換えポリペプチドの分泌
を促進するのに適する他のリーダー配列も知られてい
る。リーダー配列は、1又は2以上の制限部位を含有す
るようにその3’末端の近くで修飾されていてもよい。
これは、そのリーダー配列の構造遺伝子への連結を容易
にするであろう。
【0064】酵母の形質転換手順は公知である。かかる
手順の1つは、Hinnenら,Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 75:192
9,1978 に記載されている。Hinnenらの手
順は、選択培地中でTrp+形質転換体を選択するもの
であって、その選択培地は、0.67%酵母窒素原基、
0.5%カザミノ酸、2%グルコース、10μg/ml
アデニン及び20μg/mlウラシルからなる。
【0065】発現を誘発するために、ADH2プロモー
ター配列を含有するベクターにより形質転換された酵母
宿主細胞を“リッチ”培地中で生育させてもよい。リッ
チ培地の例は、80μg/mlアデニン及び80μg/
mlウラシルを補充した1%酵母エキス、2%ペプト
ン、及び1%グルコースからなる培地である。ADH2
プロモーターの抑制解除は、グルコースが培地から消費
され尽くした時に起こる。
【0066】哺乳動物又は昆虫宿主細胞培養系を用い
て、組換えcLDH−Bポリペプチドを発現することも
できる。哺乳動物起源の株化細胞系も用いることができ
る。哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写及び翻
訳制御配列は、ウィルスゲノムから得ることができる。
普通に用いられるプロモーター配列及びエンハンサー配
列は、ポリオーマウィルス、アデノウィルス2等から誘
導される。SV40ウィルスゲノム、例えば、SV40
起点、初期及び後期プロモーター、エンハンサー、スプ
ライス部位、及びポリアデニル化部位から誘導されるD
NA配列を用いて、哺乳動物宿主細胞内での構造遺伝子
配列の発現のための他の遺伝子要素を与えてもよい。哺
乳動物宿主細胞内で用いるための発現ベクターは、例え
ば Okayama 及び Berg(Mol. Ce
ll. Biol. 3:280,1983)の方法で
構築することができる。
【0067】cLDH−Bタンパク質をコードするDN
Aを含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞を、cL
DH−Bタンパク質が発現する条件下で培養することに
よって組換えcLDH−Bタンパク質を産生できる。産
生された組換えcLDH−Bサブユニットは、四量体を
形成してcLDH−B4アイソザイムとなる。次いで、
用いた発現系に依存して、組換えcLDH−Bタンパク
質を培養培地又は細胞抽出液から回収する。cLDH−
Bタンパク質を精製する操作は、用いた宿主細胞の型及
びcLDH−Bタンパク質が培養培地中に分泌されるか
どうかといった要因に応じて適宜決定してもよい。
【0068】細菌宿主で産生した組換えcLDH−Bタ
ンパク質は、通常宿主細胞内に存在するので、まず細胞
を崩壊し、細胞沈殿物または上澄み液を遠心分離や濾過
等で分離した後、濃縮、塩析、イオン交換、アフィニテ
ィ精製又はゲル濾過精製の適当な組み合わせにより単離
される。最後に、最終精製工程のためにRP−HPLC
を用いてもよい。微生物細胞宿主の破壊は、凍結−解凍
の繰り返し、音波処理、機械的崩壊、又は細胞溶解剤の
使用を含む適当な慣用的方法により行うことができる。
【0069】形質転換酵母宿主を用いるときは、好まし
くはcLDH−B4を分泌ポリペプチドとして発現させ
ることができる。これにより精製が簡単になる。酵母宿
主細胞発酵上清に分泌された組換えポリペプチドは、U
rdal ら(J. Chromatog. 296:
171, 1984)により開示された方法と類似の方
法により精製することができる。 Urdalらは、組
換えcLDH−B4の精製のための分取HPLCカラム
での2連続逆相HPLC工程を記載している。
【0070】得られた組換え変異型LDH−B4タンパ
ク質は、例えば臨床検査薬の分野において、1)生成ピ
ルビン酸のUV測定法における共役酵素として、アラニ
ンアミノトランスフェラーゼ(ALT)等の種々のアミ
ノトランスフェラーゼの酵素活性を測定する場合や、
2)尿素等の種々の基質をピルビン酸に変換し、生成ピ
ルビン酸のUV測定法における共役酵素として、また、
3)検体中の内因性ピルビン酸の消去等に使用すること
ができる。特に、1)のLDHを使用したアミノトラン
スフェラーゼ活性の測定は、臨床検査の一つとして広く
行われており、本発明により大量に得られた組換えcL
DH−B4タンパク質を使用することが可能となった。
【0071】本発明の組換えcLDH−B4を使用した
トランスアミナーゼの酵素活性の測定およびALT活性
の算出は、前述の特開平8−289、臨床検査提要 第
31版」 1998年 金原出版株式会社 pp.64
3−649等に記載の原理に従った公知の方法によって
行うことができる(例えば、実施例3に記載の方法)。参考文献 1. 特開平8−289 2.「液状ALT測定試薬に好適な耐熱型乳酸脱水素酵
素」 臨床化学 第23巻補冊2号 1994年 14
1b) 3. 特開平9−262089 4. Nucleic Acid Research,
Vol.10,No.20,p.6487−6500,
1982 5. 臨床検査提要 第31版」 1998年 金原出
版株式会社 pp.643−649等
【0072】
【実施例】参考例1 ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼ
(LDH)の熱安定性 特開平9−262089号の組換えLDH−B4タンパ
ク質および天然のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サ
ブユニットタンパク質の熱安定性、特に溶液中、低濃度
の状態での耐熱性について検討した。具体的には、トラ
ンスアミナーゼ活性を測定するための構成成分として使
用されるLDH量は通常1−10U/mL程度の範囲で
ある。よって、組換えLDH−B4比活性(136U/
mgタンパク質)より、熱安定性(および溶液安定性)
はLDHタンパク質濃度として0.007−0.07m
g/mLの範囲で測定すべきであると換算される。
【0073】よって、下記表に示した各濃度になるよう
に、特開平9−262089号の組換えLDH−B4
ンパク質(10A、207V)H−B、および天然のニ
ワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク
質(10T、207A)を50mM リン酸ナトリウム
バッファー(pH7.0)に溶解した試料を調製した。
試料調製直後と、30分間の熱処理後におけるLDH活
性を測定し、残存活性率を調べた。LDH活性は、50
mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)−0.8m
M ピリビン酸ナトリウム−0.3mM NADHを基
質混合液として用い、測定温度25℃で1分間あたり1
μmolのNAD+生成量を1単位とした。
【0074】
【表1】 表1 65℃熱安定性(残存活性率)とLD−B4タンパク質濃度との関係 試料中のLD―B4 組換えLDH−B4 天然LDH−B4 タンパク質濃度 (10A、207V) (10T、207A) 1mg/mL 98% 90% 0.1 20% 90% 0.01 1% 90%0.001 <1% 85% 表1に示したように、組換えLDH−B4(10A、2
07V)は1mg/mlでは耐熱性を示すが、0.1m
g/ml以下では残存活性率が20%と低下し、0.0
01mg/mlでは1%以下と実質的にほぼ失活してし
まった。
【0075】実施例1 アミノ酸置換による変異酵素
(10A、207A)の作製 a.V207A発現プラスミドの構築 本発明の変異酵素(10A、207A)は、前述した特
開平9−262089号記載のニワトリLDH−B遺伝
子(10A、207V)を基に作製した。具体的には、
特開平9−262089号記載のニワトリLDH−B
(10A、207V)は、207番目アミノ酸残基がバ
リンであるので、これをアラニンに変換するように、遺
伝子に突然変異を施した。
【0076】具体的には、特開平9−262089号の
ニワトリLDH−B遺伝子(10A、207V)をコー
ドするcDNAクローン(pBluescript S
K−CLDB8−E/B)を含む環状2本鎖プラスミド
を鋳型とし、先ず、当該鋳型の変異を導入したい箇所
(207V)に対応する前後10塩基程度からなる2重
鎖のオリゴヌクレオチド対をDNA合成機により合成し
た。プライマーの具体的な配列は下記の通りである。
【0077】
【化4】 プライマー1(配列番号6) (611) tt aat gtg gca ggt gtt tct ctc c (634) aa tta cac cgt cca caa aga gag g プライマー2(配列番号7) 対応アミノ酸配列 (205) Asn Val Ala Gly Val Ser Leu (211) (アミノ酸置換部位に該当する改変塩基配列を下線で表記した) 前記二本鎖プラスミドを鋳型、前記オリゴヌクレオチド
対をプライマーとし、市販の部位突然変異誘発用キット
(例えば、Staragagen社のQuikChan
geTM Site−Directed Mutagen
isis Kit)を用いて、DNAポリメラーゼ(P
fu Turbo(登録商標) DNApolymer
ase)を用い、アニーリング反応後、温度循環反応
(temperature cycling)を行っ
た。温度循環反応により鋳型プラスミドが複製され、オ
リゴヌクレオチドプライマーに含まれる変異を有するニ
ックプラスミドが得られた。これを、メチル化されたD
NAのみを切断する制限酵素酵素DpnIで処理するこ
とにより、変異の入っていない鋳型プラスミドのみが切
断された。なお、制限酵素処理後、変異が入ったプラス
ミドを大腸菌に形質転換すると、大腸菌内でニックが修
復され、完全な環状プラスミドとして得られる。変異プ
ラスミドの具体的な調製手順はStaratagene
社のキット使用説明書に従って行った。
【0078】次いで、得られた上記変異を含む遺伝子を
含むプラスミドを用いて、市販のJM109コンピテン
トセル(宝酒造製)を形質転換し、変異プラスミド
(「pBluescript SK−V207A−E/
B」と呼ぶ)を回収した。pBluescript S
K− V207A −E/Bを制限酵素EcoRIとB
amHIで消化し、V207AをコードするDNAを断
片化した。DNA断片を抽出し、pTRP発現プラスミ
ド(Uchida K.ら,1995 Clin.Ch
em.Acta. Vol.237(1−2),pp.
43−58)のEcoRI―BamHI部位に連結挿入
し、発現プラスミド(pTRP−V207A)を作製し
た。市販JM109コンピテントセルをpTRP−V2
07Aにて形質転換し、組換えV207Aタンパク質を
発現する形質転換体(pTRP−V207A/JM10
9)を得た。pTRP−V207A/JM109は、E
scherichia coli JM109/pTR
P−cLDHとして、平成13年1月16日に寄託番号
FERM BP−7431で、経済産業省産業技術総合
研究所生命工学工業技術研究所(〒305−8566
茨城県つくば市東1丁目1番3号)に微生物の国際寄託
に関するブタペスト条約に基づき国際寄託された。
【0079】b.形質転換体の培養 大腸菌形質転換体(pTRP−V207A/JM10
9)を50μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培
地プレート上でコロニー化し、白金耳にて単一コロニー
を100mLのアンピシリンを含むLB培地が入ったフ
ラスコにて37℃、終夜振盪培養した。得られた菌体懸
濁液より、遠心分離にて菌体を集め、さらに超音波破砕
処理を行い発現した組換えタンパク質を抽出した。
【0080】本発明の(10A、207A)変異型タン
パク質(本明細書中、以下、簡便のため「V207A)
と呼称する)は、超音波破砕処理にて可溶性分画に回収
された。培養液あたり5U/mLの活性発現量であっ
た。LDH活性は、100mMリン酸カリウム緩衝液
(pH7.0)−0.8mM ピリビン酸ナトリウム−
0.3mM NADHを基質混合液として用い、測定温
度25℃で1分間あたり1μmolのNAD+生成量を
1単位とした。
【0081】c.V207Aタンパク質の精製 上記の超音波破砕処理した遠心分離上清を出発材料と
し、DEAE−cellulofineゲルを用いたイ
オン交換クロマトグラフィー、フェニル−セファロース
CL4Bを用いた疎水クロマトグラフィー、さらにUl
trogel ACA44を用いたゲルろ過クロマトグ
ラフィーを行うことにより、V207Aタンパク質を精
製した。
【0082】具体的には、先ずイオン交換クロマトグラ
フィーで素通り分画に回収されたV207Aを疎水クロ
マトグラフィーにて吸着溶出分画に分離精製した。硫安
濃度のグラジエント溶出にて0.5−0Mの硫安分画に
V207Aが回収できた。次いで、ゲルろ過クロマトグ
ラフィーにより分子量150,000のところに位置す
るV207Aを回収した。
【0083】大腸菌形質転換体(pTRP−V207A
/JM109)より最終的に得られたV207Aタンパ
ク質精製標品の理化学的性質を下記の表2にまとめた。
【0084】
【表2】酵素反応: ピルビン酸+NADH⇔L−乳酸
+NAD+ 分子量: 150,000(ゲルろ過、4量体) 作用pH: pH5−8(25℃測定) pH安定性: pH5−9(60℃、30分間の熱処
理) 熱安定性: 65℃まで失活しない(pH7、30分間
の熱処理) 補酵素特異性: NADHを100%とした時、NAD
HアナログであるAPADHとの反応性は10%程度 また、V207Aは比活性350U/mgを示し、特開
平9−262089号記載のものに比べ2.5倍の高比
活性型となった。実施例2 V207Aタンパク質の熱安定性 実施例1で得られたV207A精製タンパク質を1U/
mL(0.003mgタンパク質/mL)になるように
50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解
し、45℃、55℃、65℃、75℃の各温度にて30
分間熱処理をおこなった。また、同様に50mMトリス
塩酸緩衝液(pH9.0)にて溶解したV207Aにつ
いても同様に熱処理を行った。
【0085】熱処理後のV207Aタンパク質(10
A、207A)の残存活性率(%)をニワトリ心臓から
精製した天然酵素タンパク質(オリエンタル酵母製)
(10T、207A)および特開平9−262089号
の組換えLD−B4タンパク質(10A、207V)を
対照品として比較した。結果を図1に示す。
【0086】図1より、V207Aは対照品2者と比べ
て優れた耐熱性を示した。例えば、0.003mg/m
l、pH7、65℃、30分間の熱処理で93%の残存
活性率を示した。また、pH9.0の条件下でも0.0
03mg/ml、55℃、30分間の熱処理で98%、
65℃の熱処理で93%の残存活性率を示した。実施例3 V207Aタンパク質を構成成分とする活性
測定試薬を用いたヒトプール血清中のアラニンアミノト
ランスフェラーゼ(ALT)活性測定 a.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性
測定試薬の調製 以下の液状試薬R−1及びR−2を調製し、以下のアラ
ニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性の測定に
使用した。
【0087】
【表3】R−1試薬(pH9.2) 10mM トリス 0.45mM NADH 3200U/L 組換えLDH(V207A) 181mM L−アラニン 1mM EDTA−2ナトリウム 0.1%アジ化ナトリウムR−2試薬(pH7.2) 160mM リン酸カリウム緩衝液 47mM 2−オキソグルタル酸 1.2M L−アラニン 3mM EDTA−2ナトリウム 0.1% アジ化ナトリウム b.ALTの活性測定 ALT活性測定方法およびALT活性の算出方法につい
ては、「臨床検査提要第31版」 1998年 金原出
版株式会社 pp.643−649に記載の原理に従っ
た。具体的には先ず、測定試料(ヒトプール血清)を1
5μL、R−1試薬を240μL、R−2試薬を120
μLを混合し、以下の式で示される反応を開始した。
【0088】
【化5】 反応開始から1分後から5分後までの340nmにおけ
る吸光後減少量を日立7150型自動分析機にてモニタ
リングし、1分間あたりの吸光度減少量を求めた。当該
吸光度減少量を利用し、以下の式に従って、試料中のA
LT活性(U/L、37℃)を算出した。
【0089】
【化6】 A1/分: 試料を用いた場合の反応開始後の1分間あ
たりの340nmにおける吸光度減少量 A2/分: 対照(生理食塩水)を用いた盲験の場合の
反応開始後の1分間あたりの340nmにおける吸光度
減少量 6.3 × 103: NADHの分光吸光係数(NA
+の1モル濃度あたり) 試料液量、R1液量およびR2液量の単位はμLであ
る。結果を図2に示す。ALT測定における直線性を、
原点を通る直線回帰より理論値の±5%範囲と設定する
と、本実施例のaで調製した液状試薬の場合は、0−
2,000U/L(37℃)と良好な結果となった。調
製試薬を45℃で2日間虐待保存し、保存後の劣化度を
ALT直線性より求めた。その結果、45℃2日間虐待
保存後でもALT直線性は初期性能を維持していた。
【0090】また、液状試薬の構成成分として共存する
補酵素NADHの保存安定性についてもその残存率を調
べた。具体的にはNADHをLDHタンパク質と混合し
て試薬R−1を調製した直後の初期吸光度に対する保存
経過後の吸光後の割合として試算した。
【0091】
【化7】NADH残存率=(保存経過後の吸光後)/
(試薬調製直後) その結果、本発明のV207Aタンパク質は、天然酵素
タンパク質(10T、207A)および特開平9−26
2089号の組換えLD−B4タンパク質(10A、2
07V)と比較して、高い成分安定性を示した。45℃
で2日間虐待保存後の、LD活性およびNADH残存率
の結果を図3にまとめた。
【0092】
【発明の効果】本発明の変異型ニワトリ乳酸デヒドロゲ
ナーゼB型サブユニットは、耐熱性および溶液安定性に
優れている。よって、本発明のLDHの産業的な量産化
の達成により、より安定な組換え型乳酸デヒドロゲナー
ゼが供給が可能となった。特に臨床面において生体液中
のトランスアミナーゼ活性を汎用的な測定を可能とし
た。
【0093】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Oriental Yeast Co., Ltd. NAITOU Toshiaki <120> <130> 010031 <160> <210> 1 <211> 333 <212> PRT <213> chicken <214> 1 Met Ala Thr Leu Lys Glu Lys Leu Ile Ala Pro Val Ala Ala Gly 1 5 10 15 Ser Thr Val Pro Ser Asn Lys Ile Thr Val Val Gly Val Gly Gln 20 25 30 Val Gly Met Ala Cys Ala Ile Ser Ile Leu Gly Lys Gly Leu Cys 35 40 45 Asp Glu Leu Ala Leu Val Asp Val Leu Glu Asp Lys Leu Lys Gly 50 55 60 Glu Met Met Asp Leu Gln His Gly Ser Leu Phe Leu Gln Thr His 65 70 75 Lys Ile Val Ala Asp Lys Asp Tyr Ala Val Thr Ala Asn Ser Lys 80 85 90 Ile Val Val Val Thr Ala Gly Val Arg Gln Gln Glu Gly Glu Ser 95 100 105 Arg Leu Asn Leu Val Gln Arg Asn Val Asn Val Phe Lys Phe Ile 110 115 120 Ile Pro Gln Ile Val Lys Tyr Ser Pro Asn Cys Thr Ile Leu Val 125 130 135 Val Ser Asn Pro Val Asp Ile Leu Thr Tyr Val Thr Trp Lys Leu 140 145 150 Ser Gly Leu Pro Lys His Arg Val Ile Gly Ser Gly Cys Asn Leu 155 160 165 Asp Thr Ala Arg Phe Arg Tyr Leu Met Ala Glu Arg Leu Gly Ile 170 175 180 His Pro Thr Ser Cys His Gly Trp Ile Leu Gly Glu His Gly Asp 185 190 195 Ser Ser Val Ala Val Trp Ser Gly Val Asn Val Ala Gly Val Ser 200 205 210 Leu Gln Glu Leu Asn Pro Ala Met Gly Thr Asp Lys Asp Ser Glu 215 220 225 Asn Trp Lys Glu Val His Lys Gln Val Val Glu Ser Ala Tyr Glu 230 235 240 Val Ile Arg Leu Lys Gly Tyr Thr Asn Trp Ala Ile Gly Leu Ser 245 250 255 Val Ala Glu Leu Cys Glu Thr Met Leu Lys Asn Leu Tyr Arg Val 260 265 270 His Ser Val Ser Thr Leu Val Lys Gly Thr Tyr Gly Ile Glu Asn 275 280 285 Asp Val Phe Leu Ser Leu Pro Cys Val Leu Ser Ala Ser Gly Leu 290 295 300 Thr Ser Val Ile Asn Gln Lys Leu Lys Asp Asp Glu Val Ala Gln 305 310 315 Leu Lys Lys Ser Ala Asp Thr Leu Trp Ser Ile Gln Lys Asp Leu 320 325 330 Lys Asp Leu 333 <210> 2 <211> 999 <212> DNA <213> chicken <400> 2 atggcgaccc tgaaggagaa gctgatcgcc cccgtggccg cgggcagcac ggttcccagc 60 aacaagatca ccgtggtggg ggtcgggcag gtggggatgg cgtgtgccat cagcatcctc 120 ggcaagggtc tttgtgatga gcttgctctg gttgatgttt tggaagacaa gctaaaagga 180 gaaatgatgg atctacagca tggcagcttg ttccttcaga ctcataagat tgtggcagac 240 aaagattatg ctgtcacagc caactccaag attgtggtag taactgcagg tgttcgtcag 300 caagaggggg agagtcgtct caacctggtt cagaggaatg tgaacgtctt caaattcatc 360 attcctcaga ttgtgaaata cagccccaat tgcactatcc ttgtggtttc caacccagtg 420 gatatattaa cctatgtcac atggaagctg agtggcctgc caaagcaccg tgtgattgga 480 agtggctgca atctagacac agctagattc cgctacctga tggctgagag acttggtatc 540 cacccaacca gctgccatgg ctggatttta ggagaacatg gtgattctag tgtggctgtt 600 tggagcggag ttaatgtggc aggtgtttct ctccaggagc tgaatcctgc catgggaact 660 gacaaagaca gcgagaactg gaaggaagtt cacaagcagg ttgttgaaag tgcctatgag 720 gtaatcagac tcaaggggta tacgaactgg gccattggtc ttagcgttgc tgagctctgt 780 gagacaatgc tgaagaactt gtaccgagtt cattctgtgt caacactggt aaagggcaca 840 tatggcattg agaacgatgt cttcctgagc ctgccttgtg tcctgagtgc ctctggattg 900 acaagtgtca tcaaccaaaa gctgaaggat gatgaagtgg ctcagctgaa gaagagtgca 960 gacacattgt ggagcatcca gaaagatctt aaagatctg 999 <210> 3 <211> 333 <212> PRT <213> chicken <214> 3 Met Ala Thr Leu Lys Glu Lys Leu Ile Thr Pro Val Ala Ala Gly 1 5 10 15 Ser Thr Val Pro Ser Asn Lys Ile Thr Val Val Gly Val Gly Gln 20 25 30 Val Gly Met Ala Cys Ala Ile Ser Ile Leu Gly Lys Gly Leu Cys 35 40 45 Asp Glu Leu Ala Leu Val Asp Val Leu Glu Asp Lys Leu Lys Gly 50 55 60 Glu Met Met Asp Leu Gln His Gly Ser Leu Phe Leu Gln Thr His 65 70 75 Lys Ile Val Ala Asp Lys Asp Tyr Ala Val Thr Ala Asn Ser Lys 80 85 90 Ile Val Val Val Thr Ala Gly Val Arg Gln Gln Glu Gly Glu Ser 95 100 105 Arg Leu Asn Leu Val Gln Arg Asn Val Asn Val Phe Lys Phe Ile 110 115 120 Ile Pro Gln Ile Val Lys Tyr Ser Pro Asn Cys Thr Ile Leu Val 125 130 135 Val Ser Asn Pro Val Asp Ile Leu Thr Tyr Val Thr Trp Lys Leu 140 145 150 Ser Gly Leu Pro Lys His Arg Val Ile Gly Ser Gly Cys Asn Leu 155 160 165 Asp Thr Ala Arg Phe Arg Tyr Leu Met Ala Glu Arg Leu Gly Ile 170 175 180 His Pro Thr Ser Cys His Gly Trp Ile Leu Gly Glu His Gly Asp 185 190 195 Ser Ser Val Ala Val Trp Ser Gly Val Asn Val Ala Gly Val Ser 200 205 210 Leu Gln Glu Leu Asn Pro Ala Met Gly Thr Asp Lys Asp Ser Glu 215 220 225 Asn Trp Lys Glu Val His Lys Gln Val Val Glu Ser Ala Tyr Glu 230 235 240 Val Ile Arg Leu Lys Gly Tyr Thr Asn Trp Ala Ile Gly Leu Ser 245 250 255 Val Ala Glu Leu Cys Glu Thr Met Leu Lys Asn Leu Tyr Arg Val 260 265 270 His Ser Val Ser Thr Leu Val Lys Gly Thr Tyr Gly Ile Glu Asn 275 280 285 Asp Val Phe Leu Ser Leu Pro Cys Val Leu Ser Ala Ser Gly Leu 290 295 300 Thr Ser Val Ile Asn Gln Lys Leu Lys Asp Asp Glu Val Ala Gln 305 310 315 Leu Lys Lys Ser Ala Asp Thr Leu Trp Ser Ile Gln Lys Asp Leu 320 325 330 Lys Asp Leu 333 <210> 4 <211> 333 <212> PRT <213> chicken <214> 4 Met Ala Thr Leu Lys Glu Lys Leu Ile Ala Pro Val Ala Ala Gly 1 5 10 15 Ser Thr Val Pro Ser Asn Lys Ile Thr Val Val Gly Val Gly Gln 20 25 30 Val Gly Met Ala Cys Ala Ile Ser Ile Leu Gly Lys Gly Leu Cys 35 40 45 Asp Glu Leu Ala Leu Val Asp Val Leu Glu Asp Lys Leu Lys Gly 50 55 60 Glu Met Met Asp Leu Gln His Gly Ser Leu Phe Leu Gln Thr His 65 70 75 Lys Ile Val Ala Asp Lys Asp Tyr Ala Val Thr Ala Asn Ser Lys 80 85 90 Ile Val Val Val Thr Ala Gly Val Arg Gln Gln Glu Gly Glu Ser 95 100 105 Arg Leu Asn Leu Val Gln Arg Asn Val Asn Val Phe Lys Phe Ile 110 115 120 Ile Pro Gln Ile Val Lys Tyr Ser Pro Asn Cys Thr Ile Leu Val 125 130 135 Val Ser Asn Pro Val Asp Ile Leu Thr Tyr Val Thr Trp Lys Leu 140 145 150 Ser Gly Leu Pro Lys His Arg Val Ile Gly Ser Gly Cys Asn Leu 155 160 165 Asp Thr Ala Arg Phe Arg Tyr Leu Met Ala Glu Arg Leu Gly Ile 170 175 180 His Pro Thr Ser Cys His Gly Trp Ile Leu Gly Glu His Gly Asp 185 190 195 Ser Ser Val Ala Val Trp Ser Gly Val Asn Val Val Gly Val Ser 200 205 210 Leu Gln Glu Leu Asn Pro Ala Met Gly Thr Asp Lys Asp Ser Glu 215 220 225 Asn Trp Lys Glu Val His Lys Gln Val Val Glu Ser Ala Tyr Glu 230 235 240 Val Ile Arg Leu Lys Gly Tyr Thr Asn Trp Ala Ile Gly Leu Ser 245 250 255 Val Ala Glu Leu Cys Glu Thr Met Leu Lys Asn Leu Tyr Arg Val 260 265 270 His Ser Val Ser Thr Leu Val Lys Gly Thr Tyr Gly Ile Glu Asn 275 280 285 Asp Val Phe Leu Ser Leu Pro Cys Val Leu Ser Ala Ser Gly Leu 290 295 300 Thr Ser Val Ile Asn Gln Lys Leu Lys Asp Asp Glu Val Ala Gln 305 310 315 Leu Lys Lys Ser Ala Asp Thr Leu Trp Ser Ile Gln Lys Asp Leu 320 325 330 Lys Asp Leu 333 <210> 5 <211> 999 <212> DNA <213> chicken <400> 5 atggcgaccc tgaaggagaa gctgatcgcc cccgtggccg cgggcagcac ggttcccagc 60 aacaagatca ccgtggtggg ggtcgggcag gtggggatgg cgtgtgccat cagcatcctc 120 ggcaagggtc tttgtgatga gcttgctctg gttgatgttt tggaagacaa gctaaaagga 180 gaaatgatgg atctacagca tggcagcttg ttccttcaga ctcataagat tgtggcagac 240 aaagattatg ctgtcacagc caactccaag attgtggtag taactgcagg tgttcgtcag 300 caagaggggg agagtcgtct caacctggtt cagaggaatg tgaacgtctt caaattcatc 360 attcctcaga ttgtgaaata cagccccaat tgcactatcc ttgtggtttc caacccagtg 420 gatatattaa cctatgtcac atggaagctg agtggcctgc caaagcaccg tgtgattgga 480 agtggctgca atctagacac agctagattc cgctacctga tggctgagag acttggtatc 540 cacccaacca gctgccatgg ctggatttta ggagaacatg gtgattctag tgtggctgtt 600 tggagcggag ttaatgtggt aggtgtttct ctccaggagc tgaatcctgc catgggaact 660 gacaaagaca gcgagaactg gaaggaagtt cacaagcagg ttgttgaaag tgcctatgag 720 gtaatcagac tcaaggggta tacgaactgg gccattggtc ttagcgttgc tgagctctgt 780 gagacaatgc tgaagaactt gtaccgagtt cattctgtgt caacactggt aaagggcaca 840 tatggcattg agaacgatgt cttcctgagc ctgccttgtg tcctgagtgc ctctggattg 900 acaagtgtca tcaaccaaaa gctgaaggat gatgaagtgg ctcagctgaa gaagagtgca 960 gacacattgt ggagcatcca gaaagatctt aaagatctg 999 <210> 6 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> oligonucleotide designed for PCR primer <400> 6 ttaatgtggc aggtgtttct ctcc <210> 7 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> oligonucleotide designed for PCR primer <400> 7 aattacaccg tccacaaaga gagg
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の変異酵素(10A、207
A)の熱安定性およびpH安定性を示す。
【図2】図2は、本発明の変異酵素(10A、207
A)のALT測定における直線性能を示す。
【図3】図3は、本発明の変異酵素(10A、207
A)の長時間高温保存後の残存活性およびNADH安定
性に及ぼす影響を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/04 (C12N 9/04 C12Q 1/52 C12R 1:19) //(C12N 9/04 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:19) 5/00 A (72)発明者 内田 浩二 東京都板橋区小豆沢三丁目6番10号 オリ エンタル酵母工業株式会社内 (72)発明者 松川 寛和 東京都板橋区小豆沢三丁目6番10号 オリ エンタル酵母工業株式会社内 (72)発明者 松尾 雄志 東京都板橋区小豆沢三丁目6番10号 オリ エンタル酵母工業株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA08 CA04 DA06 EA04 GA11 GA19 HA01 HA03 4B050 CC01 CC04 DD11 EE10 FF09E FF11E FF12E HH04 LL03 4B063 QA01 QQ03 QQ26 QQ82 QR04 QR42 QR57 QR65 QS28 QX01 4B065 AA26X AA77X AA80X AA90X AA90Y AB01 AC14 BA02 CA28 CA46

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号
    10に相当する位置のアミノ酸残基がアラニンであり、
    そして、アミノ酸番号207に相当する位置のアミノ酸
    残基がアラニンであることを特徴とする、ニワトリ乳酸
    デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質。
  2. 【請求項2】配列番号1のアミノ酸配列を有するか、ま
    たは、配列番号1のアミノ酸配列において1または複数
    個のアミノ酸残基が欠失、置換若しくは付加されたアミ
    ノ酸配列を有し(ただし、配列番号1のアミノ酸配列の
    アミノ酸番号10に相当する位置のアミノ酸残基はアラ
    ニンであり、そして、アミノ酸番号207に相当する位
    置のアミノ酸残基はアラニンである)、かつ乳酸デヒド
    ロゲナーゼ活性を有する、請求項1に記載のニワトリ乳
    酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質。
  3. 【請求項3】配列番号1のアミノ酸配列を有する、請求
    項1または2に記載のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB
    型サブユニットタンパク質。
  4. 【請求項4】補酵素NADHの存在下でピルビン酸を乳
    酸に変換する活性を有し、そしてゲル濾過クロマトグラ
    フィーで4量体の状態で分子量が約150,000であ
    るニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタン
    パク質であって、以下の性質: 1)0.1mg/ml、pH7、65℃、30分間の熱
    処理で失活せず;そして 2)NADH分解酵素を実質的に含まない を有することを特徴とする、前記ニワトリ乳酸デヒドロ
    ゲナーゼB型サブユニットタンパク質。
  5. 【請求項5】さらに0.003mg/ml、pH9、5
    5℃、30分間の熱処理でも失活しないという性質を有
    する、請求項4に記載のニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼ
    B型サブユニットタンパク質。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5に記載のニワトリ乳酸デ
    ヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質をコードす
    る核酸。
  7. 【請求項7】請求項1に記載のアミノ酸配列を有するニ
    ワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク
    質をコードする、請求項6に記載の核酸。
  8. 【請求項8】請求項2に記載の塩基配列を有する、請求
    項6または7に記載の核酸。
  9. 【請求項9】請求項6ないし8のいずれか1項に記載の
    核酸を含む、ニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユ
    ニットタンパク質を発現するためのベクター。
  10. 【請求項10】pTRP−V207Aである、請求項9
    に記載のベクター。
  11. 【請求項11】請求項9または10のベクターによって
    形質転換された宿主細胞。
  12. 【請求項12】請求項9または10のベクターによって
    形質転換された宿主細胞を、前記ベクターによるニワト
    リ乳酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質の
    発現に適した条件下で培養することを含む、ニワトリ乳
    酸デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質の製造
    方法。
  13. 【請求項13】請求項1ないし5に記載のニワトリ乳酸
    デヒドロゲナーゼB型サブユニットタンパク質を構成成
    分とするニワトリ乳酸デヒドロゲナーゼB型タンパク質
    を含む、トランスアミナーゼ測定用試薬。
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