JP3844082B2 - 耐熱性ホタルルシフェラーゼ、耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子、新規な組み換え体dna及び耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造法 - Google Patents

耐熱性ホタルルシフェラーゼ、耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子、新規な組み換え体dna及び耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造法 Download PDF

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本発明は、耐熱性ホタルルシフェラーゼ、耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子、新規な組み換え体DNA及び耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造法に関する。
ルシフェラーゼは、発光素であるルシフェリンの酸化を触媒して、これを発光させる発光酵素である。そして、ルシフェリンの発光の際にATP等の物質を必要とする、ゲンジボタル、ヘイケボタル、北米ボタル等由来のホタルのルシフェラーゼは、当該性質に基づいて、上記ATP等の微量定量に利用されている。
しかしながら、一般的にルシフェラーゼは、熱に対して不安定なため、試薬として保存する際に失活しやすいという欠点を有する。かかる欠点を克服するための手段の一つとして、試薬に塩等を添加して、ある程度ルシフェラーゼを安定に保存することは可能である。しかし、この場合にも、ルシフェラーゼの塩による反応障害が惹起されがちであるという欠点が存在する。
そこで、本発明者等は、耐熱性ホタルルシフェラーゼを開発することを主たる課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、野性型ホタルルシフェラーゼにおける特定のアミノ酸残基を疎水性アミノ酸残基に変換することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本願は、以下の発明を提供するものである。
(1)野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、217及び315位のアミノ酸、又はゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの217及び315位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ酸に変異されているアミノ酸配列をコードする耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。
(2)野生型ホタルルシフェラーゼがヘイケボタル若しくはゲンジボタルのルシフェラーゼである(1)記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。
(3)疎水性アミノ酸がイソロイシン、ロイシン、バリン若しくはフェニルアラニンである(1)又は(2)記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。
(4)(1)又は(2)記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入したことを特徴とする新規な組み換え体DNA。
(5)(4)記載の組み換え体DNAを含み、耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能を有するエッシェリシア属に属する微生物を培地に培養し、培養物より耐熱性ホタルルシフェラーゼを採取することを特徴とする耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造法。
(6)野生型ホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、217及び315位のアミノ酸、又はゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの217及び315位と同等位置のアミノ酸が疎水性アミノ酸に変異されていることを特徴とする耐熱性ホタルルシフェラーゼ。
(7)野生型ホタルルシフェラーゼがヘイケボタル若しくはゲンジボタルのルシフェラーゼである(6)記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ。
本発明により耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子、この遺伝子を組み換え体DNA及び該組み換え体DNAを含む微生物により耐熱性ホタルルシフェラーゼを製造する方法並びにそのようにして得られた新規な耐熱性ホタルルシフェラーゼが提供された。そして、本発明の方法により、耐熱性ホタルルシフェラーゼを効率よく生産することができるので、本発明は産業上極めて有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における遺伝子の改変による耐熱性ルシフェラーゼが提供される前提として、野性型のホタルのルシフェラーゼ遺伝子及びその組み換え体DNAを調製することが必要である。野性型ホタルの遺伝子等の種類は、提供が企図される耐熱性ルシフェラーゼ遺伝子の種類に応じて用いられる。そして、ホタル由来のものであれば、如何なるものでも用いることが可能であり、例えば、ゲンジボタル、ヘイケボタル、北米ボタル等由来のものを用いることが可能である。
これらの遺伝子等は、既に公知の方法に従って調製される。例えば、野性型ゲンジボタル遺伝子及びその組み換え体DNAは、特開平1−51086号公報に記載の方法により調製することが可能であり、また、ヘイケボタル遺伝子及びその組み換え体DNAは、特公平7−112434号公報に記載の方法により調製することが可能であり、また更に、北米ボタル遺伝子及びその組み換え体DNAは、東洋紡績(株)より購入することが可能である。本発明において、「ゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの217及び315位と同等位置のアミノ酸」とは、確定したルシフェラーゼのアミノ酸配列を、ゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、ゲンジボタル若しくはヘイケボタルのルシフェラーゼの217及び315位のアミノ酸に対応するアミノ酸を意味するものである。
具体的には、既製のアミノ酸の相同性の解析用ソフト、例えばMicro GenieTM(ベックマン社製)により、各々のルシフェラーゼのアミノ酸配列とゲンジボタル若しくはヘイケボタルのアミノ酸配列の相同性を比較することにより決定される。当該アミノ酸としては、例えばアラニンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明において、「疎水性アミノ酸」としては、イソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロリン又はシステイン等を挙げることができる。そして、これらの中でも、イソロイシン、ロイシン、バリン又はフェニルアラニンは、疎水性値が高いという点で特に好ましいものとして挙げることができる。
野生型ホタルルシフェラーゼ遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた通常公知の方法で行ない得る。すなわち、野生型ホタルルシフェラーゼ遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組み換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;又は蛋白質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
上記変異処理に用いられる変異原となる薬剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸、5−ブロモウラシル等を挙げることができる。この接触・作用の諸条件は、用いる薬剤の種類等に応じた条件を採ることが可能であり、現実に所望の変異を野生型ホタルルシフェラーゼ遺伝子において惹起することができる限り特に限定されない。通常、好ましくは0.5〜12Mの上記薬剤濃度において、20〜80℃の反応温度下で10分以上、好ましくは10〜180分間接触・作用させることで、所望の変異を惹起可能である。
紫外線照射を行なう場合においても、上記の通り常法に従うことができる(現代化学、pp24〜30、1989年6月号)。蛋白質工学的手法を駆使する方法としては、一般的に、サイト−スペシフィック ミュータジュネシス(Site−Specific Mutagenesis)として知られる手法を用いることができる。例えば、Kramer法(Kramer,W.et al.,Nucleic Acids Res,vol.12,pp9441−9456(1984):Kramer,W.et al.,Methods Enzymol,vol.154,pp350−367(1987):Bauer,C.E.et al.,Gene,vol.37,pp73−81(1985)),Eckstein法(Taylor,J.W.etal.,Nucleic Acids Res,vol.13,pp8749−8764(1985):Taylor,J.W.et al.,Nucleic Acids Res,vol.13,pp8765−8785(1985):Nakamaye,K.L.et al.,Nucleic Acids Res,vol.14,pp9679−9698(1986))),Kunkel法(Kunkel,T.A.,Proc.Natl.Acids Sci.U.S.A.,vol.82,pp488−492(1985):Kunkel,T.A.et al.,Methods Enzymol,vol.154,pp367−382(1987))等が挙げられる。
なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法又は酵素合成法により、直接所望の改変ホタルルシフェラーゼ遺伝子を合成し得ることはもちろんである。上記方法により得られる所望のホタルルシフェラーゼ遺伝子の塩基配列の決定・確認は、例えばマキサム−ギルバートの化学修飾法〔Maxam−Gilbert,Meth.Enzym.,vol.65,pp499−560(1980)〕やM13ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法〔Messing et al.,Gene,vol.19,pp269−276(1982)〕等により行ない得る。
上述の如くして得られた耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、又は原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主を常法により、形質転換・形質導入をすることができる。例えば、宿主として、エッシェリシア属に属する微生物、例えば大腸菌(E.coli)JM101(ATCC 33876)、大腸菌(E.coli)DH1(ATCC 33849)、大腸菌(E.coli)HB 101(ATCC33694)等を選択する場合には、ハナハン(Hana−han)の方法〔ディーエヌエイ・クローニング(DNA Cloning)、第1巻、第109〜135頁(1985)〕等により形質転換するか、あるいは「モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)、第256〜268頁、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)(1982)」記載の方法等により形質導入することにより形質転換株あるいは形質導入株を得ることが可能である。
そして、上記菌株より耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能を有する菌株をスクリーニングすることにより、耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入した組み換え体DNAを含み、耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能を有するエシェリシア属に属する菌株を得ることができる。このようにして得られた菌株より純化された新規な組み換え体DNAを得るには、例えばピー・グーリー(P.Guerry)等の方法〔ジェイ.バクテイオロジー(J.Bacteriology)第116巻、第1064〜1066頁(1973年)〕、デー・ビー・クレウェル(D.B.Clewell)の方法〔ジェイ.バクテイオロジー(J.Bacteriology)第110巻、第667〜676頁(1972年)〕等により得ることができる。
そして、このようにして得られた組み換え体DNAより耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含有するDNAを得るには、例えば、該プラスミドDNAに制限酵素、例えばEcoRI及びPstIを温度30〜40℃、好ましくは37℃程度で1〜24時間、好ましくは2時間程度作用させて、反応終了液をアガロースゲル電気泳動法〔モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)、第150頁、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)(1982)〕記載で処理することにより得ることができる。
上記のようにして得られた耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入した組み換え体DNAを含み、耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能を有するエシェリシア属に属する菌株を用いて耐熱性ホタルルシフェラーゼを生産するには、この菌株を通常の固体培養法で培養してもよいが、可能な限り液体培養法を採用して培養するのが好ましい。
また、上記菌株を培養する培地としては、例えば酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーあるいは大豆若しくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄あるいは硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、更に必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものが用いられる。
なお、培地の初発pHは、pH7〜9に調整するのが適当である。また培養は30〜42℃、好ましくは37℃前後で4〜24時間、好ましくは6〜8時間で、通気撹拌培養、振盪培養、静置培養等により実施するのが好ましい。培養終了後、培養物より耐熱性ホタルルシフェラーゼを採取するには、通常の酵素採取手段を用いて得ることができる。
例えば、常法により菌体を、超音波破砕処理、磨砕処理などするか、または、リゾチーム等の溶菌酵素を用いて本酵素を抽出するか、またはトルエン等の存在下で振盪もしくは放置して自己消化を行なわせ本酵素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶液を濾過、遠心分離などして固形部分を除去し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩、硫酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採取し、粗酵素を得る。
上記粗酵素よりさらに精製酵素標品を得るには、例えばセファデックス、ウルトロゲルもしくはバイオゲル等を用いるゲル濾過法;イオン交換体を用いる吸着溶出法;ポリアクリルアミドゲル等を用いる電気泳動法;ヒドロキシアパタイトを用いる吸着溶出法;蔗糖密度勾配遠心法等の沈降法;アフィニティクロマト法;分子ふるい膜もしくは中空糸膜等を用いる分画法等を適宜選択し、またこれらを組合わせて実施することにより、精製された酵素標品を得ることが出来る。
このようにして、所望の耐熱性ホタルルシフェラーゼを得ることができる。そして、当該耐熱性ホタルルシフェラーゼのうち耐熱性ゲンジ及びヘイケボタルルシフェラーゼは、以下に示す性質を除き、特開平1−141592号公報記載の野性型ゲンジボタルのルシフェラーゼ、又は特開平1−262791号公報記載の野性型ヘイケボタルのルシフェラーゼと同様である。
(1)作用適温の範囲:0〜65℃である。
(2)pH、温度等による失活の条件:
i)pH4.0以下はpH12.0以上で4時間後完全に失活する。
ii)pH7.8において温度65℃、60分間の熱処理により完全に失活する。
(3)熱安定性:温度52℃、20分間の処理で80%以上の残存酵素活性を有し、温度52℃、60分間の処理でも65%以上の残存酵素活性を有する。
(4)発光波長:620±5nmまた、当該耐熱性ホタルルシフェラーゼのうち耐熱性北米ボタルルシフェラーゼは、以下に示す性質を除き、Deluca,M.et al.,Methods Enzymol.72,3−15(1978)記載の野生型北米ボタルのルシフェラーゼと同様である。
(1)温度等による失活の条件:pH7.8において温度55℃、60分間の熱処理により完全に失活する。
(2)熱安定性:温度40℃、20分間及び60分間の処理で夫々80%以上及び65%以上の残存酵素活性を有する。
(3)発光波長:620±5nm
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(実施例)なお、項目1及び2には、既に取得された耐熱性ヘイケボタルルシフェラーゼの315番目のAlaを疎水性アミノ酸残基に置換することにより、更なるルシフェラーゼの耐熱化を示した。また、項目3には、野性型北米ボタルルシフェラーゼのヘイケボタルルシフェラーゼの315番目と同等位置である313番目のAlaを疎水性アミノ酸残基に置換して耐熱化を行なった例を示した。
1.組み換え体プラスミドpHLf7DNAの変異
先ず、組み換え体pHLf7−217LeuDNA〔プラスミドpUC119DNAに217番目のAlaがLeuに置換された耐熱変異のヘイケボタル(Luciola lateralis)ルシフェラーゼ遺伝子(特開平5−244942号公報記載)が挿入されたもの。〕の1本鎖DNAをヘルパーファージM13 K07(宝酒造社・製)を用いて調製し、DNAModel392シンセサイザー(Applied Biosystems社製)を用いて合成したオリゴヌクレオチドSLF15(AGGAATAAAGAACTCTTCACAGTT)とオリゴヌクレオチド−ダイレクティッド インビトロ ミュータジェネシス システム バージョン2(Amersham社・製)を用いて、ルシフェラーゼ遺伝子がコードするアミノ酸配列は変えずにルシフェラーゼ遺伝子の内部に存在するEcoRI部位を除去した組み換え体プラスミドpHLf107DNAを得た。
組み換え体プラスミドpHLf107DNA30μgを、ヒドロキシルアミン溶液〔0.8M塩酸ヒドロキシルアミン/0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)/1mMDTA〕100μLに溶解し、65℃で2時間変異処理したのち、常法によりエタノール沈澱を行ない沈澱物を回収した。この沈澱物をTE緩衝液〔10mMトリス‐塩酸緩衝液(pH7.5)/1mMDTA〕に溶解し、ハナハン(Hana−han)の方法〔ディーエヌエイ・クローニング(DNA Cloning)、第1巻、第109〜135頁(1985)〕により、大腸菌JM101株(ATCC33876)を形質転換し、LB−amp寒天培地〔バクトトリプトン1%(W/V)、酵母エキス0.5%(W/V)、NaCl0.5%(W/V)、アンピシリン(50μg/ml)及び1.4%(W/V)寒天〕に接種し、37℃で培養した。12時間後、出現してきたコロニーをLB−amp培地〔バクトトリプトン1%(W/V)、酵母エキス0.5%(W/V)、NaCl0.5%(W/V)、及びアンピシリン(50μg/ml)〕3ml中、37℃で18時間振盪培養を行なった。この培養液0.5mlを10mlの上記LB−amp培地に接種し、37℃で4時間振盪培養したのち、8000r.p.m.で10分間の遠心分離操作により湿潤菌体を夫々20mgずつ得た。回収した菌体を、0.10MKH2PO4(pH7.8)、2mMEDTA、1mMジテオスレイトール、及び0.2mg/mlプロタミン硫酸からなる緩衝液0.9mlに懸濁し、更に、これに、10mg/mlのリゾチーム溶液100μLを添加し、氷中に15分間放置した。次に、この懸濁液をメタノール、ドライアイス浴中で凍結し、次いで温度25℃に放置し、完全に解凍した。更に、12000r.p.m.で5分間遠心分離操作を行なうことにより、上清として粗酵素1mlを得た。
このようにして得られたルシフェラーゼを含む粗酵素液を55℃で30分間熱処理し、その中の10μlについて、特開平1−141592号公報記載の方法で力価の測定を行なった。その結果217番目のAlaがLeuに置換されている耐熱性ヘイケボタルルシフェラーゼ(以下、LlL−217Lと略称する)より熱安定性に優れているものを得た。更に、この粗酵素液を特開平1−141592号公報記載の方法で精製し、上記の方法で熱処理し、力価を測定した結果、LlL−217Lより熱安定性に優れていことが判明した。以上の如くして新たに得られた耐熱性ルシフェラーゼをコードする遺伝子の組み込まれた組み換え体プラスミドDNAをpHLf107Vと命名し、該組み換え体プラスミドDNAで形質転換された大腸菌、すなわち大腸菌(E.coli)JM101(pHLf107V)は工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−6866(FERM P−15345号より移管)として寄託されている。
なお、特開平5−244942号公報記載の方法によりpHLf107VDNAに含まれる変異LlL−217L遺伝子の塩基配列の決定を行なったところ、このようにして得られた変異型ホタルルシフェラーゼはLlL−217Lのアミノ酸配列において315位のAlaがValに置換されていることが判明した。精製した本酵素100キロカウント(Kcount)含有する酵素液100μl〔100mMリン酸カリウム、1mMエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム、2mM2−メルカプトエタノール、10%グリセリン、pH7.5〕を温度55℃で30分間保持して残存する酵素活性を測定した。その結果本酵素は上記条件で5.9%の残存酵素活性を保持していた。なお、対照としてLlL−217Lについても上記と同様にして残存酵素活性を測定したところ残存酵素活性は1.1%であった。
2.部位特異的変換
次にLlL−217Lの315番目のアラニンを疎水性アミノ酸であるロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニンに変換させる方法を記載する。大腸菌JM101(pHLf107)にヘルパーファージM13K07(宝酒造社製)を感染させることにより、メッシング(Messing)の方法〔メソズ イン エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、第101巻、第20〜78項(1983)〕に従って1本鎖DNAを調製した。得られた1本鎖DNAによる部位特異的変換はインビトロ ミュータジェネシス システム バージョン2.0(アマシャム社製)を用いて行なった。なお、部位特異的変換のプライマーとして用いる為に、合成DNASLF129(配列番号1記載)を合成した。なお、SLF129内のnがgの場合LlL−217Lの315番目のAlaがLeuに置換される。同様にtの場合にはIle、aの場合にはPheに置換される。
また、部位特異的変換遺伝子のシークエンシングは、ダイプライマー タックシークェンシング キット(アプライド バイオシステムズ社製)を用いて反応を行ない、ABI373A DNAシーケンサー(アプライド バイオシステムズ社製)で泳動、解析を行なった。このようにして得られた部位特異的変換遺伝子は、LlL−217Lの315番目のアミノ酸がロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニンに変換さているアミノ酸配列をコードしており、夫々のプラスミドをpHLf107L、pHLf107I及びpHLf107Fと命名した。
これらのプラスミドを夫々保有する大腸菌JM101より項目1記載の方法により粗酵素液を得、更にこの粗酵素液を精製した。このようにして得られた精製ルシフェラーゼを、項目1記載の方法にて55℃で30分間熱処理し、その中の10μlについて残存する酵素活性を測定したところ、大腸菌(E.coli)JM101(pHLf107L)由来ルシフェラーゼは、2.1%残存酵素活性を保持し、大腸菌(E.coli)JM101(pHLf107I)由来ルシフェラーゼは、5.1%残存酵素活性を保持し、また大腸菌(E.coli)JM101(pHLf107F)由来ルシフェラーゼは、2.1%残存酵素活性を保持した。いずれも対照のLlL−217Lの残存酵素活性1.1%を上回った。
3.組み換え体プラスミドpALf301DNAの変異
次に北米ボタルのルシフェラーゼのヘイケボタルの315位と同等の位置の残基を疎水性アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニンに変換させる方法を記載する。北米ホタルルシフェラーゼ(PpL)のアミノ酸配列において、ヘイケボタルルシフェラーゼ(LlL)の315位のアミノ酸残基と同等の位置を見い出すために、ベックマン社製のアミノ酸相同性解析用ソフトMicro GenieTMを用いて両者のアミノ酸配列を解析したところ、PpLの313位のAlaがLlLの315位に相当することが明らかになった。組み換え体DNAプラスミドpT3/T7−LUC(東洋紡・社・製)〔野性型北米ホタルルシフェラーゼ(PpL)の遺伝子を含有する〕よりPpL遺伝子を含有する1.9KbのBamHIを切り出し、プラスミドpUC119(宝酒造社・製)のBamHI部位にPpL遺伝子の転写方向をラクトースプロモーターの転写方向と同じ向きに挿入した組み換え体プラスミドpALf301を得た。
このようにして得られた大腸菌より項目2記載の方法で1本鎖DNAを調製した。得られた1本鎖DNAによる部位特異的変換は、インビトロ ミュータジェネシス システム バージョン−2.0(アマシャム社製)を用いて行なった。なお、部位特異的変換のプライマーとして用いる為に、以下の合成DNASLF127(配列番号2記載)を合成した。なお、SLF127内のnがcの場合,PpLの313番目のAlaがValに置換される。同様にgの場合はLeu、tの場合はIle,aの場合はPheに置換される。
また、部位特異的変換遺伝子のシークエンシングは、ダイプライマータックシークエンシングキット(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて反応を行ない、ABI 373A DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)で泳動解析を行なった。このようにして得られた組み換え体プラスミドにおけるルシフェラーゼの部位特異的変換遺伝子は、PpLの313番目のアミノ酸に相当する遺伝子部分がバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンに変換さているアミノ酸配列をコードしており、夫々pALf303、pALf304、pALf306、pALf305と命名した。
大腸菌(E.coli)JM101(pALf303)は、FERM BP−6865(FERM P−15344号より移管)として工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。この形質転換体及び野性型PpLを生産する組み換え体JM101(pALf301)より項目1記載の方法により粗酵素液を得、更に、この粗酵素液を精製した。このようにして得られた精製ルシフェラーゼを、項目1記載の緩衝液中、45℃で30分間熱処理し、その中の10μlについて残存する酵素活性を測定したところ、野性型PpLが3.2%の残存活性しか示さなかったのに対し、313番目のAlaを夫々Val、Leu、Ile、Pheに置換された変異型PpLは夫々51.6%、9.1%、24.4%、29.1%の残存活性を示した。上記より明らかな如く本発明は、対照に比し著しく耐熱性を有するルシフェラーゼであることが判った。

Claims (4)

  1. ヘイケボタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、217のアミノ酸がロイシンに、及び315位のアミノ酸がバリン、ロイシン、イソロイシン又はフェニルアラニンに変異されているアミノ酸配列をコードする耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子。
  2. 請求項1記載の耐熱性ホタルルシフェラーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入したことを特徴とする新規な組み換え体DNA。
  3. 請求項記載の組み換え体DNAを含み、耐熱性ホタルルシフェラーゼ生産能を有するエッシェリシア属に属する微生物を培地に培養し、培養物より耐熱性ホタルルシフェラーゼを採取することを特徴とする耐熱性ホタルルシフェラーゼの製造法。
  4. ヘイケボタルルシフェラーゼのアミノ酸配列において、217のアミノ酸がロイシンに、及び315位のアミノ酸がバリン、ロイシン、イソロイシン又はフェニルアラニンに変異されていることを特徴とする耐熱性ホタルルシフェラーゼ。

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