JP2002253256A - 改変型アミノ酸アミダーゼとそれを用いたd−アミノ酸の製造方法 - Google Patents
改変型アミノ酸アミダーゼとそれを用いたd−アミノ酸の製造方法Info
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Abstract
改変型D-アミノ酸アミダーゼの提供と、それを用いた効
率の良いD-アミノ酸の製造方法。 【解決手段】 野生型D-アミノ酸アミダーゼを構成する
アミノ酸配列のアミノ酸残基のうち少なくとも一つ以上
が天然アミノ酸のグループから選択される、異なる残基
で置換されている改変型D-アミダーゼ。またその改変型
D-アミダーゼを用いて、ラセミ体α-アミノ酸アミドか
らD-α-アミノ酸を製造する。 【効果】 効率良くD-α-アミノ酸を製造することがで
きる。
Description
アミダーゼ、それらの製造手段及び方法、並びにD-α-
アミノ酸の生産におけるそれらの使用に関する。D-α-
アミノ酸は生理活性物質の原料として有用な化合物であ
る。
報告は化学的合成法、生物学的合成法ともに数多く見ら
れる。特にD-α-アミノ酸は発酵技術による工業的規模
での大量生産が困難であることから、効率の良い合成法
の開発が強く望まれている。例えば、D-α-アミノ酸の
生物学的合成法として、立体特異的なα-アミノ酸アミ
ド加水分解能を有する菌体もしくは酵素を用いたラセミ
体α-アミノ酸アミドの光学分割法が報告されている
(特開昭60-184392、特開昭61-96989、特開昭61-27469
0、特開昭63-87998、特開平1-2254842、特開平2-23467
8、特開平9-510623)。この方法は原料となるラセミ体
α-アミノ酸アミドの製造が容易であり、多種の光学活
性D-α-アミノ酸製造に応用が可能であること、また、
選択性の高い菌体または酵素の取得により光学的に純粋
なD-α-アミノ酸が容易に製造可能であることなどの理
由により、D-α-アミノ酸の汎用的な製造法として有用
である。
ドの光学分割法によるD-α-アミノ酸の合成法において
は、いずれも使用しているα-アミノ酸アミド加水分解
菌または酵素の触媒能力について工業的規模で満足でき
る能力を有しているものは報告されておらず、より生産
性、熱安定性など諸性質が改善され触媒能力が向上した
α-アミノ酸アミド加水分解菌または酵素が求められて
いた。
の改善方法としては、加水分解能力を有する菌体を培養
する際に培地に窒素源としてアミド類を添加しD-体選択
的なアミノ酸アミダーゼの活性発現を促進する方法(特
開昭61-187788)、培養菌体をキレート剤で処
理を行なう方法(特開平1-265896)、反応液中
にメルカプト基を有する化合物を存在させる方法(特開
平1-262798)が報告されている。
性のみしか改善されておらず、かつその効果も製造コス
トを格段に低下させるほどのものでは無い。また熱安定
性、生産能力等の性質改善については全く記載されてお
らず、従って上記の方法を用いたことで工業的に優位な
α-アミノ酸アミド加水分解菌または酵素の触媒が得ら
れたとは言い難い。従って実用的なD-α-アミノ酸製造
方法に使用できる能力を有した、α-アミノ酸アミドを
立体選択的に加水分解する酵素の報告はない。
ミノ酸アミド加水分解菌または酵素を用いたD-α-アミ
ノ酸製造方法は、用いる触媒、α-アミノ酸アミド加水
分解菌または酵素、の性質、能力の面で問題があるため
工業的に優位な方法となり得えず、生産能力、熱安定性
などの諸性質が改善された触媒が求められていた。
上記種々の問題点を解決し、触媒活性、熱安定性及び生
産能力などの諸性質が改善された改変型D-体選択的アミ
ノ酸アミダーゼとその製造手段、及び改変型D-体選択的
アミノ酸アミダーゼを用いた工業的に優位性のあるD-α
-アミノ酸の製造方法を提供するものである。
歩により、蛋白質アミノ酸配列を人為的に改変すること
によって、蛋白質の持つ諸性質をより工業的に優位に改
変することが可能となってきた。本発明者は上記課題の
解決のために鋭意検討し、オクロバクトラム・アンスロ
ピ由来のD-体選択的アミノ酸アミダーゼ遺伝子(Eur.J.
Biochem.267、2028-2035(2000)記載)の遺伝子改変を行
った結果、触媒活性、熱安定性及び生産能力が向上した
改変型D-選択的アミノ酸アミダーゼ等が得られること等
を見いだし、本発明に到達した。
載のアミノ酸配列を含むタンパク質において、1もしく
は複数のアミノ酸残基が、欠失、置換もしくは付加され
たアミノ酸配列からなり、且つD-アミノ酸アミダーゼ活
性を有するタンパク質。(2)配列番号1記載のアミノ
酸配列を含むタンパク質において、278位のリジン残基
及び303位のグルタミン酸残基のうち少なくとも一つが
天然アミノ酸のグループから選択される、異なるアミノ
酸残基で置換されており、且つD-アミノ酸アミダーゼ活
性を有するタンパク質。(3)配列番号1記載のアミノ
酸配列を含むタンパク質において、少なくとも278位の
リジン残基がL-メチオニン残基に置換されており、且つ
D-アミノ酸アミダーゼ活性を有するタンパク質。(4)
配列番号1記載のアミノ酸配列を含むタンパク質におい
て、少なくとも303位のグルタミン酸残基がL-バリン残
基に置換されており、且つD-アミノ酸アミダーゼ活性を
有するタンパク質。(5)配列番号1記載のアミノ酸配
列を含むタンパク質において、少なくとも278位のリジ
ン残基がL-メチオニン残基、及び303位のグルタミン酸
残基がL-バリン残基に置換され、且つD-アミノ酸アミダ
ーゼ活性を有するタンパク質。(6)、(1)〜(5)
の少なくとも1項に記載されたタンパク質をコードする
遺伝子。(7)、上記(1)〜(6)のいずれかの遺伝
子を利用したD-α-アミノ酸の製造方法、である。
えば、以下のようにして得ることができる。まず、改変
前の野生型D-体選択的アミノ酸アミダーゼ遺伝子は、Oc
hrobactrum属に属する微生物から単離することができ、
その具体例は、Ochrobactrumanthropi SV3 である。目
的とする遺伝子の単離法は、文献に詳細に記載されてい
る(Eur.J.Biochem.267、2028-2035(2000))。この方法
によって、取得された遺伝子の塩基配列は公知の方法に
よって分析することができ、配列番号1記載のアミノ酸
配列が決定された。尚、野生型D-体選択的アミノ酸アミ
ダーゼ遺伝子を含むプラスミドpDAAは、産業技術総合研
究所生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目
1番3号)に、平成13年3月1日付けで、識別番号pD
DA、受託番号FERM P-18236として寄託されている。ま
た、そのアミノ酸アミダーゼのアミノ酸および遺伝子情
報は、National Center for Biotechnology Informatio
n(NCBI)のホームページから調べることができる。
には、該遺伝子への変異導入、例えば、部位特異的変異
導入やランダム変異誘発のような公知の変異導入技術を
利用することができる。特に、ランダム変異誘発は、PC
R(polymerase chain reaction)技術を利用すること
で、容易に達成することができる。
ーゼは、野生型D-体選択的アミノ酸アミダーゼのアミノ
酸配列の278、および303位のうち少なくとも一つのアミ
ノ酸残基が天然アミノ酸のグループから選択される異な
るアミノ酸残基で置換されていることで特徴付けられ
る。
酸アミダーゼは、278位のリジン残基からL-メチオニン
残基、および303位のグルタミン酸残基からL-バリン残
基へのアミノ酸残基の置換のうち少なくとも一つの置換
が存在するものであり、より好ましくは、303位のグル
タミン酸残基がL-バリン残基に置換されているもの、あ
るいは、278位のリジン残基がL-メチオニン残基に置換
され、かつ303位のグルタミン酸残基がL-バリン残基に
置換されている改変型D-体選択的アミノ酸アミダーゼで
ある。
ーゼの製造法には特に限定は無く、任意の公知の方法を
実施することが可能であり、最終的に目的とする改変型
D-体選択的アミノ酸アミダーゼが得られればその製造方
法は特に制限されるものではない。例えば、野生型D-体
選択的アミノ酸アミダーゼを化学的手法で直接改変する
事も可能である。また変異型D-体選択的アミノ酸アミダ
ーゼに相当する遺伝子を野生型D-体選択的アミノ酸アミ
ダーゼへの点突然変異の導入または完全化学合成法によ
り作成し、その遺伝子で形質転換された任意の細胞に生
産させることも可能である。なお、本発明の改変型D-体
選択的アミノ酸アミダーゼは野生型D-体選択的アミノ酸
アミダーゼのアミノ酸配列の278、および303位のうち少
なくとも一つの残基が他のアミノ酸に置換されていれば
良く、その他のアミノ酸配列が一部欠損・挿入されてい
ても、また他の部位にアミノ酸置換が行なわれていても
本発明の範囲内である。
本発明の遺伝子を挿入(連結)することにより得ること
ができる。本発明の遺伝子を挿入するためのベクター
は、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、
例えば、プラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。
プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例
えば、pBR322、pBR325、pUC118、pUC18、pUC19等)、枯
草菌由来のプラスミドのプラスミド(例えば、pUB110、
pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えば、YEp13、YEp
24、YCp50等)などが例示できる。ファージDNAとして
は、λファージ等が挙げられる。さらに、レトロウィル
ス又はワクシニアウィルスなどの動物ウィルス、バキュ
ロウィルスなどの昆虫ウィルスベクターを用いることも
できる。ベクターへの本発明の遺伝子の挿入は、まず、
精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、同じ制限酵
素で切断したベクターDNAに連結することにより行うこ
とができる。
の発現が行われるようにベクターに組み込まれることが
必要である。そこで、本発明のベクターには、本発明の
遺伝子の他、プロモーター、所望によりエンハンサーな
どのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA
付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(S
D配列)などを考慮して配置することが好ましい。大腸
菌を宿主とする場合のプロモーターとしては、trpプロ
モーター、lacプロモーター、P1プロモーター、PRプロ
モーターなどが挙げられる。また、tacプロモーターな
どのように、人為的に設計改変されたプロモーターを用
いても良い。また、酵母を宿主とする場合のプロモータ
ーとしては、gal1プロモーター、gal10プロモーター、
ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモ
ーター、PH05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロ
モーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーターなどが
挙げられる。動物細胞を宿主とする場合のプロモーター
としては、該動物細胞中で発現できる物であれば特に限
定されず、例えば、SRaプロモーター、SV40プロモータ
ー、LTRプロモーター、CMWプロモーター等が挙げられ
る。なお、選択マーカーとしては、導入する宿主に応じ
て、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺
伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝
子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を適宜使用すること
ができる。
Aを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入する
ことにより得ることができる。ここで、宿主としては、
本発明のDNAを発現できるものであれば特に制限はな
く、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Ba
cillus subtilis)等の細菌、サッカロマイセス・セル
ビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイ
セス・ポンペ(Schizosaccharomyces pombe)、ピチア
・パストリス(Pichia pastoris)等の酵母、サル細胞C
OS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細
胞)、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞等の動物細
胞、Sf9細胞、Sf21細胞等の昆虫細胞が挙げられる。
ムイオンを用いる方法〔Cohen, S.N.ら Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 69:2110 (1972)〕、エレクトロポーレー
ション法などにより行うことができる。酵母への組換え
DNAの導入は、エレクトロポーレーション法〔Becker D.
M.ら Methods. Enzymol., 194:182 (1990)〕、スフェ
ロプラスト法〔Hinnen A.ら Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 75:1929 (1978)〕、酢酸リチウム法〔Itoh, Hら
J. Bacteriol., 153:163 (1983)〕などの方法により行
うことができる。さらに、動物細胞への組換えDNAの導
入方法としては、例えばエレクトロポーレーション法、
リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられ
る。
を、α-アミノ酸アミドを立体選択的に加水分解しD-α-
アミノ酸に変換する触媒として利用するには、前記組換
えDNAが導入された形質転換体を培養する必要がある。
大腸菌や酵母等の形質転換体を培養する培地としては、
当該微生物が資化しうる炭素源、窒素源、無機塩類を含
有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば
いずれでも構わない。炭素源としては、グルコース、フ
ラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢
酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノー
ル等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、ア
ンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸塩若しく
は有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物の
他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が
用いられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リ
ン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。前記微生物の培
養は、通常、振とう培養又は通気攪拌培養などの好気的
条件下、37℃で6〜24時間行う。培養中は、pHが7.0〜7.
5に保持する。PHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ
溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリ
ンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加しても
良い。また、動物細胞の形質転換体を培養する培地とし
ては、RPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎
児血清等を添加した培地等が用いられる。動物細胞の培
養は、通常、5% CO2存在下、37℃で1〜30日行う。培養
中は必要に応じてカナマイシンやペニシリン等の抗生物
質を培地に添加してもよい。
クターで形質転換された形質転換体を培養する場合は、
インデューサーを培地に添加することによってプロモー
ターの下流のタンパク質を誘導する。例えば、lacプロ
モーターを含む発現ベクターで形質転換された形質転換
体を培養する場合には、イソプロピル−β−D−チオガ
ラクトピラノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを含
む発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場
合には、インドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加
することで目的のタンパク質の発現を誘導する。
胞内又は細胞外に蓄積する。前記アミダーゼをα-アミ
ノ酸アミドからD-α-アミノ酸への変換反応に利用する
には、通常の手段、例えば、遠心分離、濾過等により、
細胞及び培養上清を分離し、該細胞、細胞処理物又は培
養上清を前記変換反応の触媒として利用する。
ノ酸アミドを上記細胞またはその処理物と接触させるこ
とによって行われる。細胞はそのまま反応に利用しても
良いし、また適当な処理を施しても良い。該処理の方法
としては、細胞を適当な担体(アクリルアミドポリマ
ー、アルギニン、アガロース等)に固定化する方法、細
胞を破砕して粗酵素とする方法等が挙げられる。通常、
α-アミノ酸アミド濃度は0.1〜60重量%、好ましくは1
〜40重量%、細胞または細胞処理物の濃度は、その活性
量により異なるがアミノ酸アミド重量に対し1/10000〜1
/2重量、好ましくは1/1000〜1/10重量、反応液のpHは
4〜11、好ましくは6〜10、および反応温度は10〜60℃、
好ましくは20〜50℃である。
る。ただし、本発明は以下の実施例によって制限される
ものではない。
ゼ遺伝子を含む組み換え体プラスミドpDAAを、エラー頻
度が高いPCR法(Error prone PCR)〔Cadwell and Joyc
eの方法(PCR Methods and Application, 3, S136-S140,
1994)〕によって複製し、大腸菌JM109を形質転換後、
形質転換株を得た。Error prone PCRの反応液(50μL)
は、 12.5μLの蒸留水, 5μLの MgCl2 を含まない10 x
Taq 緩衝液5 mM MgCl2, 0.5 mM MnCl2, 0.2 mM のdATP
と dGTP, 1 mM のdCTP と dTTP, 1μM の二種類のプラ
イマー、2.5 U Taq DNA ポリメラーゼおよび 500 ng の
pDAAを鋳型として含んでいた。95℃ の変性ステップを
30 分 (最初のサイクルのみは 5 分)、 55℃のアニー
リングを 1.5 分間、 72℃の伸長を1 分間、そして72℃
に10 分間保温した。このサイクルを30回行った。増幅
されたPCR産物は、HindIIIおよびXbaIで切断後、アガロ
ースゲル、次いで、QIAquick ゲル精製キットを用いて
精製した。増幅されたDNAはpUC19の lac プロモーター
の下流に挿入し、常法により大腸菌JM 109を形質転換し
た。
グ 大腸菌形質転換株は、LB 寒天平板培地上のニトロセル
ロースフィルター上に塗布された。合計約 10000個のコ
ロニーが出現したニトロセルロースフィルター数枚を、
それぞれ10 mg/mlのリゾチーム液、10 μmolの EDTA (p
H 6.0) を含む1mlの液に下からひたし、30℃で30 分間
保温することにより、スフェロプラストを作った。さら
にこれらのフィルターは、-20℃で凍結及び室温におけ
る融解を1サイクルとし、3サイクル行い、酵素を溶出
させた。これらのフィルターを、そのまま、45℃で15
分間保温した後、D-アミノ酸アミドから生成するD-アミ
ノ酸をD-アミノ酸オキシダーゼの反応によって検出した
(Ikenakaら、Biosci. Biotechnol. Biochem. 62 1668-
1671, 1998)。10 分間の反応の後、赤く発色したコロニ
ーを熱耐性の向上した変異株として単離した。この変異
株をLB培地で培養し、菌体を各種の温度で保温後、 耐
熱性の向上を確認した。このようにして、変異株B29を
得た。次に、変異株B29から常法により単離した変異型
遺伝子を含むプラスミドpDAA-B29を鋳型として、さらに
変異を重ねた。実施例1(1)記載と同様にしてError
prone PCRを行い、約 40000個のコロニーを50℃で15 分
間保温することにより、変異株BFB40を得た。変異株BFB
40から常法により変異型遺伝子を含むプラスミドpDAA-B
FB40を単離した。
伝子について、どの部位が変異を受けているかを次に解
析した。大腸菌形質転換株から、変異遺伝子を常法によ
り精製した。該組み換え体DNAに含まれる変異を受けた
改変D−体選択的アミダーゼ遺伝子の塩基配列を、4000L
DNA sequencer(Li-Cor社製)を用いて決定した。その
結果、該塩基配列をコードするアミノ酸配列を野生型D-
体選択的アミダーゼと比較したところ、変異株B29にお
いては、303位のグルタミン酸残基(GAA)がバリン残基(G
TA)に置換されていた。変異株BFB40においては、さらに
278位のリジン残基(AAG)がメチオニン残基(TAG)に置換
されていた。
に分注してオートクレーブ滅菌した後、アンピシリンナ
トリウムを80μg/mlの濃度となるよう添加し、これに常
法により形質転換した組換え体大腸菌を接種して37℃に
て12時間振とう培養した。LB培地(pH7.2)100mlを500m
l容フラスコに分注してオートクレーブ滅菌した後、ア
ンピシリンナトリウム80μg/ml、IPTG(isopropyl-β-D
-thiogalactopyranoside)0.5mMを添加し、これに上記
培養液を1ml接種して37℃にて8時間振とう培養した。菌
体を遠心分離にて取得し、培養液と等量の0.9重量%NaCl
水溶液で洗浄した後、5mlの0.1 M のTris/HCl(pH 8)に
菌体を懸濁し、これを菌体懸濁液とした。野生株および
耐熱性が向上した変異型大腸菌形質転換株、B29株、BFB
40株の菌体懸濁液を各温度に15分間保温した後の酵素
活性を図1に示した。酵素活性の測定は、次のように行
った。20μモルのD-フェニルアラニンアミドを含む0.1
M のTris/HCl(pH 8)に適当量の菌体懸濁液を添加した反
応液1mlで、30℃、5分間反応を行い、0.2mlの2 N HClO4
を添加し反応を停止し、遠心により菌体を除いた。 菌
体を除いた反応液中のD-フェニルアラニン量は、 ODS
カラム (Puresil C18 column,4.6 x 150 mm, Waters, J
apan)を着装したWaters 600 MS HPLCを用いて、溶媒と
して5 mM potassiumphosphate (pH 3) - MeOH = 8 : 2
[vol/vol]を0.7 ml/分の流速で流し、 D-フェニルアラ
ニンのピークを254 nmで検出することにより定量した。
尚、1unitとは、1分間に1μモルのフェニルアラニンを
生成する酵素活性である。
異型大腸菌形質転換株BFB40株と同野生株から、Eur.J.B
iochem.267、2028-2035(2000) 記載の方法に従いアミダ
ーゼを電気泳動的に単一に精製した。さまざまな温度で
野生株とBFB40株の酵素の比活性を比較したところ、図
2に示すように各温度において、活性が二倍以上向上
し、特に最大活性のピークが野生株では、45℃である
のに対し、BFB40株では、50℃であった。
り、BFB40株の菌体懸濁液を調製した。0.2gのD,L-フェ
ニルアラニンアミドと0.2mlの菌体懸濁液を含む0.1 M
のTris/HCl(pH 8)溶液 (1 ml)を22 時間、30℃ あるい
は40℃ で振盪しながらD-フェニルアラニンの蓄積量反
応を行った(170 回転/分)。30℃での反応でBFB40株
では、転換反応は良好に進行し、10重量%のD-フェニル
アラニンが生成した。生成したD-フェニルアラニンのee
は98%であった。野生株では、5重量%のD-フェニルアラ
ニンが生成した。また、40℃では、BFB40株では、7重
量%のD-フェニルアラニンが生成し、野生株では、3重量
%のD-フェニルアラニンが生成した。
酸アミダーゼ、特に触媒活性、熱安定性及び生産能力が
向上したD-体選択的アミノ酸アミダーゼが効率良く製造
できる。またこの改変型D-体選択的アミノ酸アミダーゼ
をラセミ体α-アミノ酸アミドの立体選択的加水分解反
応に用いることで、D-α-アミノ酸の製造効率を向上さ
せることができる。
図である。
について示した図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 配列番号1記載のアミノ酸配列を含むタ
ンパク質において、1もしくは複数のアミノ酸残基が、
欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、
且つD-アミノ酸アミダーゼ活性を有するタンパク質。 - 【請求項2】 配列番号1記載のアミノ酸配列を含むタ
ンパク質において、278位のリジン残基及び303位のグル
タミン酸残基のうち少なくとも一つが天然アミノ酸のグ
ループから選択される、異なるアミノ酸残基で置換され
ており、且つD-アミノ酸アミダーゼ活性を有するタンパ
ク質。 - 【請求項3】 配列番号1記載のアミノ酸配列を含むタ
ンパク質において、少なくとも278位のリジン残基がL-
メチオニン残基に置換されており、且つD-アミノ酸アミ
ダーゼ活性を有するタンパク質。 - 【請求項4】 配列番号1記載のアミノ酸配列を含むタ
ンパク質において、少なくとも303位のグルタミン酸残
基がL-バリン残基に置換されており、且つD-アミノ酸ア
ミダーゼ活性を有するタンパク質。 - 【請求項5】 配列番号1記載のアミノ酸配列を含むタ
ンパク質において、少なくとも278位のリジン残基がL-
メチオニン残基、及び303位のグルタミン酸残基がL-バ
リン残基に置換され、且つD-アミノ酸アミダーゼ活性を
有するタンパク質。 - 【請求項6】 請求項1〜5の少なくとも1項に記載さ
れたタンパク質をコードする遺伝子。 - 【請求項7】 請求項6記載の遺伝子をベクターDNAに
挿入した組換えDNA。 - 【請求項8】 請求項7記載の組換えDNAを含む形質転
換体。 - 【請求項9】 α-アミノ酸アミドを立体選択的に加水
分解する能力を有する触媒を用いてD-α-アミノ酸を製
造する方法において、触媒が請求項8記載の形質転換体
又は該処理物であることを特徴とするD-α-アミノ酸の
製造方法。
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