JP2000178399A - アクリル樹脂フィルム - Google Patents

アクリル樹脂フィルム

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JP2000178399A
JP2000178399A JP35675698A JP35675698A JP2000178399A JP 2000178399 A JP2000178399 A JP 2000178399A JP 35675698 A JP35675698 A JP 35675698A JP 35675698 A JP35675698 A JP 35675698A JP 2000178399 A JP2000178399 A JP 2000178399A
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JP35675698A
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Kazuaki Hayashida
和明 林田
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
Noriyoshi Terasawa
知徳 寺澤
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、耐熱性、耐候性とともに、じん性に
優れたアクリル樹脂フィルムを提供する。 【解決手段】 アクリル樹脂(A)40〜90重量部
と、架橋弾性体(B)10〜60重量部からなる混合物
を主材料とする、厚み500μm以下のアクリル樹脂フ
ィルムであって、前記アクリル樹脂(A)は、メタクリ
ル酸メチル単位50〜90重量%、スチレン系単位1〜
25重量%、特定の六員環酸無水物単位1〜25重量%
を含むアクリル樹脂フィルムを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用内装材およ
び外装材、自動販売機の外装材、家電製品、中密度木質
繊維板(MDF)、建材用内装および外装材などの表面
表皮に用いられる透明性、耐候性に優れたアクリル樹脂
フィルム、および、ポリカーボネート、塩化ビニルなど
の表面保護などに使用されている透明性、耐候性に優れ
たアクリル樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂フィルムは透明性が良好な
ため、車両用内装材および外装材、自動販売機の外装
材、家電製品、MDF、建材用内装および外装材などの
表面表皮に用いられたり、ポリカーボネート、塩化ビニ
ルなどの表面保護などに使用されている。このようなア
クリル樹脂フィルムは、例えば特開昭63−77963
号公報などに開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アクリル樹脂フィルムは耐熱性が不十分であるという問
題があった。例えば、自動車のインストゥルメントパネ
ルや電気製品のモーター部分の表面をアクリル樹脂フィ
ルムで被覆した場合、直射日光の照射や、自動車や電気
製品自体の、その使用中の温度の上昇によって、アクリ
ル樹脂フィルムが変形することがあった。したがって、
耐熱性と直射日光などに対する耐候性の向上が要望され
ていた。しかし、単にアクリル樹脂フィルムの組成の調
整によって耐熱性を向上させると、柔軟性が不足し、曲
げ応力によって割れやすくなり、十分なじん性が得られ
ないという問題が生じた。
【0004】よって、本発明においては、アクリル樹脂
フィルムの特性である透明性を維持しつつ、耐熱性に優
れたアクリル樹脂フィルムを提供することを課題とす
る。さらには、耐熱性の向上により、直射日光などに対
する耐候性に優れたアクリル樹脂フィルムを提供するこ
とを目的とする。また、透明性、耐熱性、耐候性ととも
に、じん性に優れたアクリル樹脂フィルムを提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはアクリル樹
脂中に、下記構造式(I)で示される六員環酸無水物単
位を導入することにより、現行のアクリル樹脂フィルム
よりも、耐熱性に優れたフィルムが得られることを見い
だし、本発明を完成させた。すなわち、前記課題を解決
するために本発明においては、アクリル樹脂(A)40
〜90重量部と、架橋弾性体(B)10〜60重量部を
含む、厚み500μm以下のアクリル樹脂フィルムであ
って、前記アクリル樹脂(A)は、メタクリル酸メチル
単位50〜90重量%、スチレン系単位1〜25重量
%、下記構造式(I)
【0006】
【化2】
【0007】で表される六員環酸無水物単位1〜25重
量%を含むことを特徴とするアクリル樹脂フィルムを提
案する。前記アクリル樹脂フィルムにおいては、前記ア
クリル樹脂(A)が、前記メタクリル酸メチル単位、前
記スチレン単位、前記六員環酸無水物単位以外のもので
あり、かつこれらと共重合可能な二重結合を有する単量
体単位を10重量%以下の範囲で含むこともできる。ま
た、前記架橋弾性体(B)が、中心のゴム層(B−1)
と、その外側のグラフト層(B−2)を備えたコア−シ
ェル構造を有し、前記ゴム層(B−1)のガラス転移点
が0℃以下であると好ましい。さらに、前記ゴム層(B
−1)内に、ガラス転移点が20℃以上の内層重合体層
(B−3)を備えていると好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル樹脂フィルム
は、マトリックス樹脂であるアクリル樹脂(A)中に、
架橋弾性体(B)が粒子状となって分散している混合物
を主材料とする。前記アクリル樹脂(A)において、メ
タクリル酸メチル単位の含量は50〜90重量%とされ
る。50重量%未満ではフィルムの透明性が不足し、9
0重量%をこえると、耐熱性などが不足する場合があ
る。透明性や外観の向上を重視する場合は、この含量は
70重量%以上に設定すると好ましいが、耐熱性、じん
性などの他に要求される物性を考慮して、他の組成単位
と調整して決定すると望ましい。
【0009】また、アクリル樹脂(A)に含まれるスチ
レン系単位とは、例えばスチレン、α−メチルスチレン
などである。スチレン系単位は1種類用いることもでき
るし、例えば耐熱性、透明性などの物性を改良するため
に、2種以上を同時に使用することもできる。また、ア
クリル樹脂(A)のスチレン系単位の含量は1〜25重
量%とされる。25重量%をこえると透明性が不足し、
外観の低下を招く場合がある。
【0010】前記構造式(I)で表される六員環酸無水
物単位(以下、GAH単位と略記する)の含量は1〜2
5重量%とされる。1重量%未満では耐熱性が不足し、
不都合である。25重量%をこえると透明性が不足し、
外観の低下を招く場合がある。また、アクリル樹脂
(A)の数平均分子量は、40000〜200000と
される。
【0011】なお、このような条件を満足するアクリル
樹脂として、スミペックスTR(住友化学製)が市販さ
れており、これを使用すると経済上有利である。このス
ミペックスTRは、メタクリル酸メチル単位/スチレン
単位/GAH単位の比率がおよそ90/4/6の共重合
体である。
【0012】また、アクリル樹脂(A)においては、前
記メタクリル酸メチル単位、前記スチレン単位、前記六
員環酸無水物単位以外の単量体単位であって、かつ、こ
れらと共重合可能な二重結合を有する単量体(ビニル系
単量体)の単位を、アクリル樹脂フィルム中、10重量
%以下の範囲で共重合させることもできる。このような
単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシルなどの炭素数1〜8のメタクリル酸アルキル;ス
チレンやα−メチルスチレンなどのスチレン類;N−フ
ェニルマレイミドやN−シクロヘキシルマレイミドなど
のマレイミド類;マレイン酸、無水マレイン酸、アクリ
ロニトリルなどを例示することができる。また、これら
の単量体単位を配合すると、アクリル樹脂フィルムの耐
熱性や透明性などの物性を改良することができる。よっ
て、その種類と配合量は、アクリル樹脂(A)の組成や
目的とする改良物性などによって適宜調節すると好まし
い。
【0013】一方、架橋弾性体(B)の必須の成分とし
ては、アクリル系、ブタジエン系、ポリオレフィン系、
シリコーン系、フッ素系などの架橋弾性ゴムが用いられ
る。これらの中では、透明性などを考慮すると、アクリ
ル系の架橋弾性ゴムが最も望ましい。アクリル系の架橋
弾性ゴムとしては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基
を有するアクリル酸アルキル単位70〜99.9重量
%、このアクリル酸アルキル単位以外のものであって、
かつこのアクリル酸アルキル単位と共重合可能な二重結
合を1つ有する単量体単位を25重量%以下、同様に共
重合可能な二重結合を2つ以上有する多官能性単量体の
単位0.1〜5重量%を含むものが好ましい。
【0014】前記炭素数1〜8のアルキル基を有するア
クリル酸アルキル単位は、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ
ル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどを例
示することができる。前記共重合可能な二重結合を1つ
有する単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、スチレンやα−メチルスチレンなどのス
チレン類;N−フェニルマレイミドやN−シクロヘキシ
ルマレイミドなどのマレイミド類;マレイン酸、無水マ
レイン酸、アクリルニトリルなどを例示することができ
る。また、同様に共重合可能な二重結合をふたつ以上有
する多官能性単量体としては、例えばエチレングリコー
ルジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメ
タクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリ
レートおよびプロピレングリコールジメタクリレートな
どのアルキレングリコールジメタクリレート;ジビニル
ベンゼン、トリビニルベンゼンなどのポリビニルベンゼ
ン;アルキレングリコールジアクリレート;アクリル酸
アリル、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、マレ
イン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリル
イソシアヌレート、トリメチロールアクリレート、アリ
ルシンナメートなどを例示することができる。
【0015】また、前記架橋弾性ゴムのガラス転移点
(以下、Tgと略記する)は、望ましくは0℃以下とさ
れる。Tgを0℃以下とすることにより、フィルムの透
明性、伸度などの物性面の特性が向上する。よって、上
述のアクリル系の架橋弾性ゴムの組成は、Tgが0℃以
下になるように適宜選択すると好ましい。
【0016】さらに、架橋弾性体(B)は、上述のよう
な架橋弾性ゴムからなる一層構造とすることもできる
し、各々が異なる材料から形成された複数層からなる構
造とすることもできる。例えば、中心の粒子状のゴム層
(B−1)の外側を覆うようにグラフト層(B−2)が
形成されたコア−シェル構造を有するものが好ましい。
前記中心のゴム層(B−1)は上述のような架橋弾性ゴ
ムからなるものであり、前記グラフト層(B−2)は、
炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキ
ル単位20〜100重量%と、このメタクリル酸アルキ
ル単位以外であって、かつこのメタクリル酸アルキル単
位と共重合可能な二重結合を有する単量体の単位0〜8
0重量%からなる重合体である。このような構成によ
り、フィルムのストレス白化を低減することができる。
【0017】前記炭素数1〜8のアルキル基を有するメ
タクリル酸アルキル単位としては、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸
2−エチルヘキシルなどを例示することができる。共重
合可能な二重結合を1つ有する単量体単位としては、例
えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、ア
クリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、スチレンやα−メチルスチレ
ンなどのスチレン類;N−フェニルマレイミドやN−シ
クロヘキシルマレイミドなどのマレイミド類;マレイン
酸、無水マレイン酸、アクリルニトリルなどを例示する
ことができる。
【0018】前記ゴム層(B−1)は、一種類の架橋弾
性ゴムからなる一層構造とすることもできるし、中心の
ゴム層の上に、中心のゴム層とな異なる種類の架橋弾性
ゴムからなる一層以上の他のゴム層が設けられた複数層
からなる構造とすることもできる。また、グラフト層
(B−2)においても、一種類の化合物からなる一層構
造とすることもできるし、各々異なる種類の化合物から
なる複数の層が積層した構造とすることもできる。
【0019】この場合、例えば、架橋弾性体(B)中の
中心のゴム層(B−1)の割合は10〜90重量%、グ
ラフト層(B−2)の割合は10〜90重量%とされ
る。グラフト層(B−2)の割合が10重量%未満の場
合は、グラフト層(B−2)を設けた効果が得られず、
90重量%をこえると、アクリル樹脂フィルムに対する
柔軟性付与効果が低下する場合がある。
【0020】また、さらに透明性、衝撃強度を向上させ
るためには、前記ゴム層(B−1)を構成する層のうち
の、最外層ではない少なくともひとつの層が、以下のよ
うな構成の内層重合体層(B−3)であると好ましく、
ゴム層(B−1)の中心の層が内層重合体層(B−3)
であると最も好ましい。前記内層重合体層(B−3)
は、好ましくはメタクリル酸メチル単位50重量%以
上、メタクリル酸メチル単位以外のものであって、かつ
メタクリル酸メチル単位と共重合可能な二重結合を有す
る単量体の単位50重量%未満とから構成されるもので
ある。
【0021】前記単量体としては、例えば、アクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、
メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリ
ル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリ
ル酸2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8のアルキル
基を有するメタクリル酸アルキル、スチレンやα−メチ
ルスチレンなどのスチレン類、N−フェニルマレイミド
やN−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド類、
マレイン酸、無水マレイン酸、およびアクリロニトリル
などが挙げられる。
【0022】また、内層重合体層(B−3)のTgは2
0℃以上であることが好ましく、20℃未満の場合は折
曲白化改良効果および衝撃強度付与効果が不十分となる
場合がある。よって、上述のメタクリル酸メチル単位以
外の単量体単位も、このTgを満足するように選択さ
れ、その配合量が決定される。内層重合体層(B−3)
は、ひとつの化合物からなる一層構造とすることもでき
るし、各々異なる化合物からなる複数層が積層された構
成とすることもできる。この場合、架橋弾性体(B)中
の内層重合体層(B−3)は好ましくは5〜35重量%
である。5重量%未満では内層重合体層(B−3)を設
けた効果が得られず、35重量%をこえると、アクリル
樹脂フィルムに対する柔軟性付与効果が低下する場合が
ある。また、このときの架橋弾性体(B)におけるゴム
層(B−1)の割合は10〜85重量%、グラフト層
(B−2)の割合は10〜85重量%とされる。
【0023】上述のように複数層からなる構造を有する
架橋弾性体(B)は、例えば中心層を構成する単量体を
重合し、この重合体に、順次外側の層を構成する単量体
を供給して重合を繰り返すことによって製造することが
できる。
【0024】本発明のアクリル樹脂フィルムを構成する
主材料において、アクリル樹脂(A)と架橋弾性体
(B)の混合比率は、アクリル樹脂(A)が40〜90
重量%、架橋弾性体(B)が10〜60重量%の範囲で
あることが望ましい。アクリル樹脂(A)が40重量%
未満で、架橋弾性体(B)が60重量%をこえると、ア
クリル樹脂フィルムの耐熱性が低下する。また、アクリ
ル樹脂(A)が90重量%をこえ、架橋弾性体(B)が
10重量%未満の場合は、柔軟性が低下して加工性が低
下する。
【0025】また、架橋弾性体(B)の配合量は、以下
の方法で求められるアセトン不溶分が8〜60重量%の
範囲内となるように設定すると、アクリル樹脂フィルム
の引張強・伸度、耐溶剤性、温水白化性などの物性や製
膜性の観点から好ましい。すなわち、前記アセトン不溶
分は、前記主材料の1重量%アセトン溶液を調製し25
℃にて一昼夜放置後4時間環流後、これを遠心分離器に
て14000r.p.mで60分間遠心分離して求められる。
【0026】また、本発明のアクリル樹脂フィルムに
は、目的に応じて、例えば安定剤、滑剤、加工助剤、可
塑剤、耐衝撃助剤、着色剤、紫外線吸収剤などの公知の
配合剤を添加することができる。
【0027】本発明のアクリル樹脂フィルムの製造方法
は特に限定することはないが、例えば、Tダイ法、イン
フレーション法などの溶融押出法;またはカレンダ法な
どによって製膜する方法などが挙げられる。アクリル樹
脂フィルムの厚みは、500μm以下とされる。500
μmをこえると加工性が低下するため不都合である。特
に耐熱性と、表面の意匠性を考慮すると、50〜300
μmが好ましい。
【0028】また、アクリル樹脂フィルムの耐熱性を向
上させるためには、アクリル樹脂の熱変形温度(HD
T)が110℃以上であると好ましい。したがって、こ
の数値範囲を満足するように、上述のアクリル樹脂
(A)と架橋弾性体(B)の比率を決定すると好まし
い。前記HDTはJIS K−7207に従って測定す
る値である。
【0029】
【実施例】以下、実施例を示してさらに詳細に説明す
る。また、実施例中の「部」は「重量部」の意味であ
る。 架橋弾性体(K−1)の製造:中心のゴム層(B−1)
の周囲に一層のグラフト層(B−2)が形成されたコア
−シェル構造を有する架橋弾性体(K−1)を以下のよ
うにして製造した。まず、反応容器に下記のような割合
の原料を仕込み、窒素雰囲気下50℃で4時間攪拌を行
いながら重合を完結させて、弾性体ラテックス(ゴム層
(B−1))を得た。
【0030】 ブチルアクリレート(BA) 77 部 スチレン 22.7部 アリルメタクリレート 0.3部 ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 2.0部 脱イオン水 300 部 過硫酸カリ 0.3部 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5部 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3部
【0031】この弾性体ラテックスを、固形分として1
00重量部、反応容器に移し、攪拌しながら充分窒素置
換した後、80℃に昇温した。ついで、ナトリウムフォ
ルムアルデヒドスルフォキシレート0.125部、硫酸
第二鉄0.0005部、エチレンジアミン四酢酸二ナト
リウム0.0015部、純水2部からなる水溶液を添加
後、温度を80℃に保ちながらメチルメタクリレート6
0部、n−オクチルメルカプタン0.05部、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド0.125部からなる混合物
を2時間に渡って滴下した後、2時間保持してグラフト
層(B−2)を形成し、粒子径0.15μmの架橋弾性
体(K−1)を得た。
【0032】架橋弾性体(K−2)の製造:ゴム層(B
−1)が設けられ、その周囲にグラフト層(B−2)が
設けられ、ゴム層(B−1)内に内層重合体(B−3)
が設けられている三層構造の架橋弾性体(K−2)を以
下のようにして製造した。まず、反応容器に下記のよう
な割合の原料を仕込み、窒素雰囲気下50℃で4時間攪
拌を行いながら重合を完結させ重合体ラテックス(内層
重合体(B−3))を得た。
【0033】 メタクリル酸メチル 39 部 スチレン 1 部 アリルメタクリレート 0.1部 ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 2.0部 脱イオン水 300 部 過硫酸カリ 0.3部 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5部 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3部
【0034】ひきつづいて、80℃に昇温し、ナトリウ
ムフォルムアルデヒドスルフォキシレート0.125
部、硫酸第二鉄0.0005部、エチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム0.0015部、純水2部からなる水溶
液を添加後、温度を80℃に保ちながらブチルアクリレ
ート55部、メチルメタクリレート3部、スチレン2
部、アリルメタクリレート0.3部、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド0.05部を3時間に渡って滴下した
後、1時間保持して、前記内層ゴム重合体(B−3)を
内側に設けたゴム層(B−1)を形成した。
【0035】その後、メチルメタクリレート59部、メ
チルアクリレート1部、n−オクチルメルカプタン0.
05部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.125
部からなる混合物を2時間に渡って滴下後、2時間保持
して、前記ゴム層(B−1)の周囲にグラフト層(B−
2)を形成し、粒子径0.25μmの架橋弾性体(K−
2)を得た。
【0036】実施例1〜3、5、比較例1、2:アクリ
ル樹脂(A)として、スミペックスTR(住友化学製)
を用意した。そして、表1に示した組成比で、アクリル
樹脂(A)と、上述のようにして製造した架橋弾性体
(K−1)または架橋弾性体(K−2)のいずれかを架
橋弾性体(B)として混合して、主材料とした。つい
で、この主材料100部に対して、紫外線吸収剤である
アデカスタブLA−32(旭電化工業(株)製)2部、
抗酸化剤であるイルガノックス1010(チバ・スペシ
ャルティ・ケミカルズ社製)0.5部を添加し、40m
mφのスクリュー型押出機(L/D=26)を用いて、
シリンダー温度200〜260℃、ダイ温度250℃で
溶融混練してペレット化した。このようにして得られた
ペレットを、80℃で一昼夜乾燥し、65mmφ押出機
にてT−ダイを用いて、厚み125μmのアクリル樹脂
フィルムを得た。
【0037】実施例4:表1に示した比率でアクリル樹
脂(A)と、架橋弾性体(B)として架橋弾性体(K−
2)を混合してなる主材料100部に、紫外線吸収剤で
あるアデカスタブLA−31(旭電化工業(株)製)2
部、抗酸化剤であるイルガノックス1076(チバ・ス
ペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5部、無機系艶消
剤であるマイカM400H(レプコ社製)を5部を添加
し、実施例1と同様にして厚み100μmのフィルムを
得た。
【0038】
【表1】
【0039】このようにして得られたアクリル樹脂フィ
ルムについて、表1に示した基準でもろさと熱変形を評
価し、結果をあわせて表1に示した。また、透明性は実
施例4を除いて良好であった。表1に示した結果より、
本発明に係る実施例のアクリル樹脂フィルムは、適度な
柔軟性があるため、じん性に優れ、また、良好な耐熱性
を有していることがわかった。これと比らべて比較例1
は、架橋弾性体(B)の配合量が多いため、耐熱性が十
分得られず、また、比較例2においては、アクリル樹脂
(A)の配合量が多いことから、柔軟性が低く、もろい
ものが得られた。したがって、GAH単位を導入したア
クリル樹脂を用いるとともに、アクリル樹脂(A)と架
橋弾性体(B)との混合比率を適切に設定することによ
ってはじめて、じん性と耐熱性をあわせ持ったアクリル
樹脂フィルムが得られることが明らかとなった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
GAH単位を導入したアクリル樹脂(A)を用いるとと
もに、アクリル樹脂(A)と架橋弾性体(B)との混合
比率を適切に設定することにより、適度な柔軟性の付与
によってじん性に優れ、また耐熱性が良好なアクリル樹
脂フィルムを提供することができる。また、このように
耐熱性が良好であるため、直射日光の照射などに対する
耐候性を備えたものである。また、前記アクリル樹脂
(A)には、前記メタクリル酸メチル単位、前記スチレ
ン単位、前記六員環酸無水物単位以外の単量体単位であ
って、かつ、これらと共重合可能な二重結合を有する単
量体の単位を、10重量%以下の範囲で配合することに
より、アクリル樹脂フィルムの耐熱性や透明性などの物
性を改良することができる。また、架橋弾性体(B)と
して、中心の粒子状のゴム層(B−1)の外側を覆うよ
うにグラフト層(B−2)が形成されたコア−シェル構
造を有するを用いることによって、アクリル樹脂フィル
ムのストレス白化を低減することができる。さらに、前
記ゴム層(B−1)内に、ガラス転移点が20℃以上の
内層重合体層(B−3)が設けられている架橋弾性体
(B)を用いることによって、ストレス白化性、衝撃強
度をさらに向上させることができる。
フロントページの続き (72)発明者 寺澤 知徳 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 Fターム(参考) 4J002 BG06W BG07W BN03X BN12X BN14X BN17X CP17X GF00 GL00 GN00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル樹脂(A)40〜90重量部
    と、架橋弾性体(B)10〜60重量部からなる混合物
    を主材料とする、厚み500μm以下のアクリル樹脂フ
    ィルムであって、 前記アクリル樹脂(A)は、メタクリル酸メチル単位5
    0〜90重量%、スチレン系単位1〜25重量%、下記
    構造式(I) 【化1】 で表される六員環酸無水物単位1〜25重量%を含むこ
    とを特徴とするアクリル樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 前記アクリル樹脂(A)が、前記メタク
    リル酸メチル単位、前記スチレン単位、前記六員環酸無
    水物単位以外のものであり、かつこれらと共重合可能な
    二重結合を有する単量体単位を10重量%以下の範囲で
    含むことを特徴とする請求項1記載のアクリル樹脂フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 前記架橋弾性体(B)が、中心のゴム層
    (B−1)と、その外側のグラフト層(B−2)を備え
    たコア−シェル構造を有し、前記ゴム層(B−1)のガ
    ラス転移点が0℃以下であることを特徴とする請求項1
    または2に記載のアクリル樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 前記ゴム層(B−1)内に、ガラス転移
    点が20℃以上の内層重合体層(B−3)が設けられて
    いることを特徴とする請求項3記載のアクリル樹脂フィ
    ルム。
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