JP2000178365A - 耐熱性アクリル樹脂フィルム - Google Patents

耐熱性アクリル樹脂フィルム

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JP2000178365A
JP2000178365A JP35675798A JP35675798A JP2000178365A JP 2000178365 A JP2000178365 A JP 2000178365A JP 35675798 A JP35675798 A JP 35675798A JP 35675798 A JP35675798 A JP 35675798A JP 2000178365 A JP2000178365 A JP 2000178365A
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acrylate
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JP35675798A
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Kazuaki Hayashida
和明 林田
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
Noriyoshi Terasawa
知徳 寺澤
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性の良いアクリル樹脂フィルムを得るこ
と。 【解決手段】 マトリクス樹脂(A)とゴム弾性体
(B)とからなるアクリル樹脂において、マトリクス樹
脂(A)の主成分がメタクリル酸メチルであり、かつ熱
変形温度(HDT)が115℃以上のものを用いるこ
と、マトリクス樹脂(A)とゴム弾性体(B)との比率
をそれぞれ60〜90重量部及び40〜10重量部とす
ること、更には樹脂全体の熱変形温度が110℃以上と
なるようにすること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性のアクリル
樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂は、耐候性、透明性、成形
性等に優れているため、従来より種々の内装材及び外装
材の表面保護等に使用されている。例えば車両用内装材
及び外装材、自動販売機の外装材、家電製品、中密度木
質繊維板(MDF)、建材用内装及び外装材等の表面表
皮保護、並びにポリカーボネートや塩化ビニルなどから
なる構造物の表面保護に、アクリル樹脂性のフィルムが
使用されている。アクリル樹脂フィルムとしては例え
ば、特開昭63−77963号公報に記載のものが知ら
れている。特開昭63−77963号公報には、熱可塑
性重合体と弾性共重合体とからなる、成形加工性の良好
なアクリル樹脂フィルムが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のアクリル樹脂フ
ィルムは、その良好な成形加工性等のため商業的に多用
されているものの、比較的高温環境下では実用に耐えな
い場合があった。例えば、自動車のインストゥルメント
パネルや電気製品のモータ部分の表面は、使用中に直射
日光又はモータ自体の発熱等により温度上昇をきたすた
め、その部分に従来のアクリル樹脂フィルムを使用して
いると、当該フィルムが変形してしまうという問題を生
じていた。従って、インストゥルメントパネル等に使用
する表面保護用フィルムには一般に110℃以上の耐熱
性が要求されているが、従来のアクリル樹脂フィルムで
はそのような高温での耐熱性が不十分であった。従って
110℃以上の耐熱性を有するアクリル樹脂フィルムが
望まれている。
【0004】一方、耐熱性を向上させるためにアクリル
樹脂の成分比率を変えると、フィルム成形した際のフィ
ルムのじん性が落ちてしまい、実用上問題となる場合が
ある。
【0005】従って本発明の目的は前記課題を解決する
こと、即ち実用的なじん性を保持しつつ耐熱性に優れた
アクリル樹脂フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するため、本発明のアクリル樹脂フィルムは以下の
ごとく構成されている。即ち本発明のアクリル樹脂フィ
ルムは、熱変形温度(HDT)が115℃以上のメタク
リル酸メチルを主成分とするマトリクス樹脂(A)60
〜90重量部と、ゴム弾性体(B)10〜40重量部を
有するアクリル樹脂からなることを特徴としている。ま
た本発明のアクリル樹脂フィルムは、前記アクリル樹脂
の熱変形温度が110℃以上であることが望ましい。
【0007】尚、本発明のアクリル樹脂フィルムは、前
記ゴム弾性体(B)が、一層以上のゴム層(B−1)
と、当該一層以上のゴム層(B−1)の外側の、一層以
上のグラフト層(B−2)とからなるコア・シェル構造
をとり、前記ゴム層(B−1)のガラス転移温度が0℃
以下であることを特徴とすることが好ましい。また、前
記ゴム層(B−1)の内側に、一層以上の、ガラス転移
点が20℃以上である内層重合体層(B−3)を有する
ことが更に好ましい。また、本発明のアクリル樹脂フィ
ルムは、厚みが15〜500μmであることが好まし
い。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル樹脂フィルム
は、熱変形温度が115℃以上のメタクリル酸メチルを
主成分とするマトリクス樹脂(A)60〜90重量部
と、ゴム弾性体(B)10〜40重量部を有するアクリ
ル樹脂からなることを特徴としている。
【0009】前記マトリクス樹脂(A)としては、その
主成分単量体であるメタクリル酸メチルを50〜90重
量%とするものが好ましく、70〜85重量%とするも
のがより好ましい。
【0010】前記マトリクス樹脂の副成分単量体として
は、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アク
リル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)ア
クリル酸C1-8アルキル、スチレンやα−メチルスチレ
ン等のスチレン類、N−フェニルマレイミドやN−シク
ロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、マレイン酸、
無水マレイン酸、およびアクリロニトリル等の共重合可
能な二重結合を有する単量体を10〜50重量%となる
ように使用することが望ましい。尚、主成分単量体のメ
タクリル酸メチルのみでは、熱変形温度が115℃未満
となってしまうので、共重合反応後のアクリル樹脂の熱
変形温度が115℃以上となるよう、主成分と副成分の
配合を適宜選択することが必要である。そのためにはス
チレン類及びマレイミド類等の耐熱性の高い単量体を1
5重量%以上用いることが好ましい。また、アクリル樹
脂フィルムの使用目的に応じて、上記した二種類以上の
副成分単量体を使用しても良い。この好ましい組合せと
しては、マレイミド酸とスチレン類が含まれる。上記成
分より合成されるマトリクス樹脂(A)の平均分子量
は、40,000〜200,000の範囲、更に好まし
くは、80,000〜140,000の範囲にあること
が好ましい。
【0011】アクリル樹脂フィルムのもう一方の構成成
分であるゴム弾性体(B)としては、アクリル系、ブタ
ジエン系、ポリオレフィン系、シリコーン系、及びフッ
素系等のゴム弾性体から選択することが好ましい。本発
明のアクリル樹脂フィルムの透明性及び加工性の観点か
らは、ゴム弾性体(B)は、これらのゴム弾性体を樹脂
フィルム全体の10〜40重量部の範囲で含まれること
が好ましい。
【0012】成型品のアクリル樹脂フィルムに透明性を
与えるためには、上記のゴム弾性体の中ではアクリル系
のものが好ましい。また成型品に透明性、伸度、及び等
物性を与えるため、前記アクリル系の架橋弾性ゴムは、
アクリル酸C1-8アルキル70〜99.9重量%と、共
重合可能な二重結合を1つ有する単量体25重量%以下
と、共重合可能な二重結合を2つ以上有する多官能性単
量体0.1〜5重量%とからなり、かつガラス転移温度
が0℃以下となるように選択することが好ましい。
【0013】上記アクリル酸C1-8アルキルとしては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリ
ル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル等を例示することができる。共重合
可能な二重結合を一つ有する単量体としては、例えばア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘ
キシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、スチレンやα−メチルスチレ
ン等のスチレン類;N−フェニルマレイミドやN−シク
ロヘキシルマレイミドなどのマレイミド類;マレイン
酸、無水マレイン酸、アクリルニトリルなどを例示する
ことができる。また、同様に共重合可能な二重結合を二
つ以上有する多官能性単量体としては例えばエチレング
リコールジメタクリレート、1,3ブチレングリコール
ジメタクリレート、1,4ブチレングリコールジメタク
リレート、及びプロピレングリコールジメタクリレート
などのアルキレングリコールジメタクリレート、ジビニ
ルベンゼン、トリビニルベンゼンなどのポリビニルベン
ゼン、アルキレングリコールジアクリレート、アクリル
酸アリル、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、マ
レイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート、トリメチロールトリアクリレー
ト、アリルシンナメートなどを例示することができる。
【0014】本発明のアクリル樹脂フィルムでは、アク
リル樹脂の熱変形温度を110℃以上とすることができ
る。この耐熱性を得るには、マトリクス樹脂(A)及び
ゴム弾性体(B)との比率を、マトリクス樹脂(A)6
0〜90重量部及びゴム弾性体(B)10〜40重量部
の範囲内で適宜決定することが好ましい。熱変形温度の
測定は、JIS K−7207に従って行われる。
【0015】尚、フィルムの物性及び製膜性の観点から
は、アクリル樹脂フィルムのアセトン不溶分は8〜40
%の範囲となるようにマトリクス樹脂(A)及びゴム弾
性体(B)の比率を決定することが好ましい。ここで、
アセトン不溶分の決定は次のようにして行う。まずアク
リル樹脂フィルムの1重量%アセトン溶液を調製し、2
5℃で一昼夜放置し、次いで4時間還流する。その後、
遠心分離機(久保田製作所製、ミニ高速冷却遠心機68
10)にてアングルロータRA300Fを使用して、1
4,000rpmで60分間、遠心分離して得られる沈
殿物の重量を求める。
【0016】本発明のアクリル樹脂フィルムはまた、前
記ゴム弾性体(B)が、一層以上のゴム層(B−1)
と、当該一層以上のゴム層(B−1)の外側の、一層以
上のグラフト層(B−2)とからなるコア・シェル構造
をとり、前記ゴム層(B−1)のガラス転移温度が0℃
以下であることが望ましい。ここでグラフト層(B−
2)には、メタクリル酸C1-4アルキル20〜100重
量%と、共重合可能な二重結合を有する単量体80〜0
重量%からなる共重合物を使用することが好ましい。上
記アクリル酸C1-4アルキルとしては、アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プ
ロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等を例示することが
できる。共重合可能な二重結合を一つ有する単量体とし
ては、例えばアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アク
リル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレンやα
−メチルスチレン等のスチレン類;N−フェニルマレイ
ミドやN−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド
類;マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルニトリルな
どを例示することができる。このようなグラフト層(B
−2)を有し、コア・シェル構造をとるようにゴム弾性
体(B)を構成すると、ゴム弾性体(B)とマトリクス
樹脂(A)の界面剥離が起きにくいので、本発明のアク
リル樹脂フィルムに物理的ストレスがかかったときのフ
ィルムの白化が起りにくくなる。
【0017】前記ゴム層(B−1)は、一種類の架橋弾
性ゴムからなる一層構造としてもよく、また、ゴム層
(B−1)中で中心となるゴム層の上に、その中心とな
るゴム層とは異なった種類の架橋弾性ゴムからなる一層
以上の他のゴム層が設けられた複数層からなる構造とし
てもよい。また、前記グラフト層(B−2)において
も、一種類の化合物から成る一層構造としてもよいし、
各々異なる種類の化合物から成る複数の層が積層した構
造としてもよい。
【0018】架橋弾性体(B)において、ゴム層(B−
1)とグラフト層(B−2)との割合は、ゴム層(B−
1)が10〜90重量%、グラフト層(B−2)は、1
0〜90重量%となることが好ましい。ここでグラフト
層(B−2)の割合が10重量%未満の場合は、グラフ
ト層(B−2)を設けた効果が得られず、90重量%を
越えると、アクリル樹脂フィルムに対する柔軟性付与効
果が低下する場合があるので好ましくない。
【0019】本発明のアクリル樹脂フィルムは更に、前
記ゴム層(B−1)の内側に、一層以上の、ガラス転移
点が20℃以上である内層重合体層(B−3)を有する
ことが望ましい。このようにして内層重合体層(B−
3)を設けることは、本発明のアクリル樹脂フィルムの
耐ストレス白化性及び耐衝撃性を向上させることにおい
て好ましい。
【0020】上記内層重合体層(B−3)に使用する単
量体としては、メタクリル酸メチル50重量%以上と、
共重合可能な二重結合を有する単量体の50重量%未満
との組合せが含まれる。内層重合体層全体における上記
のメタクリル酸メチルの割合としては、好ましくは80
〜100重量%である。また、上記の共重合可能な二重
結合を有する単量体の好ましい例としては、アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−
エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1-8アルキ
ル、スチレンやα−メチルスチレン等のスチレン類、N
−フェニルマレイミドやN−シクロヘキシルマレイミド
等のマレイミド類、マレイン酸、無水マレイン酸、およ
びアクリロニトリル等が含まれる。尚、この組合せによ
りできる内層重合体のなかでも、ガラス転移温度(T
g)が20℃以上となるように選択すると、ゴム層(B
−1)の変形がおさえられ、ゴム層(B−1)の破壊が
低減されるので特に好ましい。
【0021】内層重合体層(B−3)は、一種類の化合
物からなる一層構造とすることもできるし、各々異なる
化合物から成る複数層が積層された構成とすることもで
きる。この場合、架橋弾性体(B)中の内層重合体層
(B−3)は、ゴム弾性体(B)全体の3〜35重量%
であることが好ましい。
【0022】上記のマトリクス樹脂(A)及びゴム弾性
体(B)の重合方法としてはとくに限定されるものでは
なく、その成分や配合比率に応じて乳化重合、懸濁重
合、塊状重合等の公知の方法により重合を行えばよい。
【0023】上述のように複数層からなる構造を有する
架橋弾性体(B)は、例えばコアのゴム層(B−1)を
構成する単量体を重合し、この重合体に順次外側の層を
構成する単量体を供給して重合を繰り返すことによって
製造することが可能である。尚、内層重合体層を有する
場合には、内層重合体層(B−3)、ゴム層(B−
1)、グラフト層(B−2)の順で重合を繰り返せばよ
い。
【0024】本発明のアクリル樹脂フィルムには、目的
に応じて公知の配合剤、例えば安定剤、滑剤、加工助
剤、可塑剤、耐衝撃助剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌
剤等を添加してもよい。
【0025】本発明の耐熱性アクリル樹脂フィルムの製
法は、特に限定されるものではなく、どのような周知の
方法であっても良いが、例としては、Tダイ法、インフ
レーション法等の溶融押出法や、カレンダ法等を用いて
アクリル樹脂をフィルムに製膜する方法が挙げられる。
【0026】本発明のアクリル樹脂フィルムは、その厚
みが、15〜500μmであることが望ましい。厚みが
500μmを超える場合には加工性が悪くなり、15μ
m未満の場合には取扱性が悪化するため好ましくない。
耐熱性と表面の意匠性を考慮するとアクリル樹脂フィル
ムの厚みは50〜300μmの範囲内にすることがより
好ましい。
【0027】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定される
ものではない。
【0028】・マトリクス樹脂(M−1〜M−5)の製
法:撹拌器付き反応容器を使用して、それぞれのマトリ
クス樹脂毎に以下のものを調製した。 脱イオン水 2700 重量部、 水溶性重合体(I)(メタクリル酸メチル30重量%、メタクリル酸カリウ ム70重量%からなる共重合体) 1.4 重量部、 水溶性重合体(II)(メタクリル酸メチル25重量%、メタクリル酸カリウ ム10重量%、及びメタクリル酸2−スルフォン酸エチルNa塩65重量%から なる共重合体) 5.67重量部、 無水硫酸ナトリウム 2.7 重量部。 次いで、下記の表1に示すモノマー組成からなる単量体
混合物を1800重量部とn−オクチルメルカプタンを
0.07重量部、そしてアゾイソブチロニトリルを0.
2重量部、上記の調製液に仕込み、窒素雰囲気下で40
0rpmで攪拌しながら80℃で3時間、95℃で1時
間攪拌して重合を行い、マトリクス樹脂(M−1〜M−
5)を得た。
【0029】
【表1】
【0030】・ゴム弾性体(K−1)の製法 中心のゴム層(B−1)の周囲に一層のグラフト層(B
−2)が形成されたコア・シェル構造を有するゴム弾性
体(K−1)を以下のようにして製造した。まず、反応
容器に下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲気下
50℃で4時間攪拌を行いながら重合を完結させ弾性体
ラテックス(ゴム層(B−1))を得た。 ブチルアクリレート(BA) 77 重量部、 スチレン 22.7 重量部、 アリルメタクリレート 0.3 重量部、 ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 2.0 重量部、 脱イオン水 300 重量部、 過硫酸カリウム 0.3 重量部、 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5 重量部、 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3 重量部。 この弾性体ラテックスを固形分として100重量部、反
応容器に取り、攪拌しながら充分窒素置換した後、80
℃に昇温し、以下の組成の水溶液を添加した。 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.125 重量部、 硫酸第二鉄 0.0005重量部 、 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0015重量部、 純水 2 重量部。
【0031】その後、上記混合液の温度を80℃に保ち
ながら以下の組成の混合物を2時間に渡り滴下後、2時
間保持してグラフト層(B−2)を形成し、粒子径が
0.15μmのゴム弾性体(K−1)を得た。 メチルメタクリレート 60 重量部、 n−オクチルメルカプタン 0.05 重量部、 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.125重量部。
【0032】・ゴム弾性体(K−2)の製法 ゴム層(B−1)が設けられ、その周囲に二層のグラフ
ト層(B−2)が設けられた三層構造の架橋弾性体(K
−2)を以下のようにして製造した。まず、反応容器に
下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲気下50℃
で4時間攪拌を行いながら重合を完結させ内層重合体層
(B−3)を得た。 メタクリル酸メチル 39 重量部、 スチレン 1 重量部、 アリルメタクリレート 0.1重量部、 ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 2.0重量部、 脱イオン水 300 重量部、 過硫酸カリウム 0.3重量部、 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5重量部、 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3重量部。 引き続いて、80℃に昇温し、以下の組成の水溶液を添
加した。 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.125 重量部、 硫酸第二鉄 0.0005重量部、 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0015重量部、 純水 2 重量部。
【0033】その後、上記混合物の温度を80℃に保ち
ながら以下の組成の混合物を3時間で滴下し1時間保持
して、前記内層重合体層(B−3)を内側に有するゴム
層(B−1)を形成した。 ブチルアクリレート 55 重量部、 メチルメタクリレート 3 重量部、 スチレン 2 重量部、 アリルメタクリレート 0.3 重量部、 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.05 重量部。
【0034】その後、更に以下の組成の混合物を2時間
に渡り滴下後、2時間保持して、前記ゴム層(B−1)
の周囲に、グラフト層(B−2)を形成し、粒子径0.
25μmのゴム弾性体(K−2)を得た。 メチルメタクリレート 59 重量部、 メチルアクリレート 1 重量部、 n−オクチルメルカプタン 0.05 重量部、 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.125重量部。
【0035】(実施例1〜7、及び比較例1〜3)上記
のマトリクス樹脂、及び上記架橋弾性体(K−1)又は
上記架橋弾性体(K−2)の何れかであるゴム弾性体
を、表2に示した割合で配合して、アクリル樹脂の主材
料とした。
【0036】
【表2】
【0037】次いで、上記主材料を100重量部に対し
て、以下のものを添加した。 紫外線吸収剤アデカスタブLA−32 (旭電化工業(株)製) 2 重量部、 抗酸化剤イルガノックス1010 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5 重量部。
【0038】実施例3においては、上記の紫外線吸収剤
アデカスタブLA−32の代りに、紫外線吸収剤アデカ
スタブLA−31(旭電化工業(株)製)を2重量部加
え、また抗酸化剤イルガノックス1010の代りに、抗
酸化剤イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ
・ケミカルズ社製)を0.5重量部加えた。更に、無機
系艶消剤マイカM400H(レプコ社製)を5重量部加
えた。
【0039】添加後、40mmφのスクリュー型押出機
(L/D=26)を用いてシリンダー温度200〜26
0℃、ダイ温度250℃で溶融混練しペレット化した。
得られたペレットを80℃で一昼夜乾燥し、65mmφ
押出機にてT−ダイを用いて、実施例1,2,4〜7及
び比較例1〜3については厚み100μmのフィルムを
得た。一方、実施例3については、同様に65mmφ押
出機にてT−ダイを用いて、厚み75μmの艶消しフィ
ルムを得た。
【0040】(実施例及び比較例におけるサンプルの性
能評価)上記実施例1〜7及び比較例1〜3で調製した
アクリル樹脂フィルムのサンプルのそれぞれにつき、じ
ん性(もろさ)と耐熱性についての評価を行った。じん
性については、手でアクリル樹脂フィルムを折り曲げた
ときの割れやすさを評価した。一方、耐熱性について
は、熱変形を指標として評価した。具体的には、耐熱A
BS樹脂(三菱レイヨン(株)製)の射出成型品(30
×30×3mm)に、それぞれのアクリル樹脂フィルム
サンプルを熱ラミネートし、これを110℃で2時間加
熱して、それぞれのアクリル樹脂フィルムに、しわ等が
発生するかの有無で評価を行った。
【0041】評価結果:実施例1〜7のサンプルは全
て、熱変形試験において熱変形を示さなかった。これ
は、実施例1〜7のサンプルのアクリル樹脂の熱変形温
度が110℃以上であることに起因していると考えられ
る。一方、比較例においては熱変形試験において不十分
な耐熱性を示すか(比較例1及び3)、又は耐熱性は十
分であってもじん性の点で難点がある(比較例2)かの
何れかであった。比較例1における耐熱性の低さは、マ
トリクス樹脂(A)に、熱変形温度の低いものを使用し
ていることに起因する。一方、比較例3における耐熱性
の低さは、アクリル樹脂中のゴム弾性体の割合が50重
量%と多いためである。比較例2におけるじん性の悪化
は、アクリル樹脂の成分として、ゴム弾性体が5重量%
しか含まれていないことに起因する。
【0042】実施例1〜7のサンプルのじん性はおおむ
ね良好であり、特に実施例1、2、5〜7のサンプル
は、じん性及び熱変形において、ともに十分な値を示し
た。実施例3及び4のサンプルは、熱変形においては十
分な値を示したが、じん性においては、上記のその他の
実施例と比較してやや劣っていた。もっとも、実施例3
及び4のサンプルについても、表面保護用のフィルムと
しては実用上問題のない物理的強度を有しているといえ
る。
【0043】以上を総合的に評価すると、実施例1〜7
においてはマトリクス樹脂(A)に熱変形温度が115
℃以上のものを用いており、かつマトリクス樹脂(A)
とゴム弾性体(B)との配合比率については、マトリク
ス樹脂(A)を適正な範囲である60〜90重量部で使
用しているため、じん性と耐熱性のバランスのとれたサ
ンプルとなっている。これに対して、比較例1〜3にお
いては、熱変形温度の低いマトリクス樹脂を使用するか
(比較例1)、又はマトリクス樹脂(A)とゴム弾性体
(B)との比率が適性な範囲にないため(比較例2及び
3)、じん性又は耐熱性の何れかにおいて不十分な性質
を有している。従って、比較例のサンプルは全て、高温
(一部は通常の温度)での使用に際して不具合を生じる
可能性が高いのに対し、実施例のサンプルは全て、11
0℃以上の高温でも使用可能な、好ましい性能を有して
いる。
【0044】
【発明の効果】熱変形温度(HDT)が115℃以上で
あるメタクリル酸メチルを主成分とするマトリクス樹脂
(A)60〜90重量部と、ゴム弾性体(B)10〜4
0重量部で構成される本発明のアクリル樹脂は、容易に
熱変形しない、耐熱性良好なものとなっている。特に良
いものにおいては、熱変形温度が110℃以上となって
いる。また、本発明のアクリル樹脂フィルムは、前記ゴ
ム層(B)にグラフト層を有する場合には、ストレス白
化が低減されており、また前記ゴム層のコア(B−1)
の内側に内層重合体層(B−3)が設けられている場合
には、耐ストレス白化性及び衝撃強度に優れている。従
って本発明のアクリル樹脂フィルムは、インストゥルメ
ントパネル等の表面保護用であって、耐熱性や審美性等
を有するフィルムとして最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺澤 知徳 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA22X AA33X AA76 AF45Y AH19 BC01 4J002 AC032 BB152 BB182 BD122 BG042 BG051 BN062 BN122 BN142 BN212 CP032

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱変形温度が115℃以上のメタクリル
    酸メチルを主成分とするマトリクス樹脂(A)60〜9
    0重量部と、ゴム弾性体(B)10〜40重量部を有す
    るアクリル樹脂からなることを特徴とするアクリル樹脂
    フィルム。
  2. 【請求項2】 前記アクリル樹脂の熱変形温度が110
    ℃以上であることを特徴とする請求項1記載のアクリル
    樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 前記ゴム弾性体(B)が、一層以上のゴ
    ム層(B−1)と、当該一層以上のゴム層(B−1)の
    外側の、一層以上のグラフト層(B−2)とからなるコ
    ア・シェル構造をとり、前記ゴム層(B−1)のガラス
    転移温度が0℃以下であることを特徴とする請求項1又
    は2記載のアクリル樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 前記ゴム層(B−1)の内側に、一層以
    上の、ガラス転移点が20℃以上である内層重合体層
    (B−3)を有することを特徴とする請求項3記載のア
    クリル樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 厚みが15〜500μmであることを特
    徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のアクリル樹
    脂フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010138279A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Mitsubishi Rayon Co Ltd 浴室内装材の被覆用アクリル樹脂フィルム
JP2014132353A (ja) * 2007-09-17 2014-07-17 Lg Chem Ltd 光学フィルム及びその製造方法

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