JP2000169668A - ポリアセタール樹脂組成物ならびにそれからなる成形品 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物ならびにそれからなる成形品

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JP2000169668A
JP2000169668A JP10343466A JP34346698A JP2000169668A JP 2000169668 A JP2000169668 A JP 2000169668A JP 10343466 A JP10343466 A JP 10343466A JP 34346698 A JP34346698 A JP 34346698A JP 2000169668 A JP2000169668 A JP 2000169668A
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polyacetal resin
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weight
resin composition
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JP10343466A
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English (en)
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Kuniaki Kawaguchi
邦明 川口
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Polyplastics Co Ltd
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Polyplastics Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたクリープ特性と良好な表面外観を兼備
したポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形物
を提供すること。 【解決手段】 Mw/Mnが2.5〜10のポリアセタ
ール樹脂100重量部と酸化防止剤0.001〜3重量
部とからなり、アルカリ分解率が3重量%以下であるポ
リアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れたクリープ特性
と良好な表面外観を有するポリアセタール樹脂組成物及
びそれからなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアセタール樹脂は機械的性質、耐薬
品性、摺動性等のバランスに優れ、且つ、その加工が容
易であることにより代表的なエンジニアリングプラスチ
ックとして電気・電子部品、自動車部品その他の各種機
械部品を中心として広く利用されている。近年、利用範
囲の拡大に伴い、ポリアセタール樹脂を外装部品や水回
り部品、精密部品に用いるケースが多く見られている。
この場合、ゲート部周辺にフローマークや表面荒れ等が
発生し易く、良好な成形品を得難いという問題がある。
これに対し、ポリアセタール樹脂の重合時に分子量調節
剤を増量させ樹脂自体のメルトインデックスを上げる提
案がされている。しかし、かかる方法では、機械的特性
の低下、特にクリープ特性の低下を招くため好ましい結
果が得られず、更にその改善が求められている。
【0003】また、特開平4−339831号公報では
比較的多量のジグリシジル化合物により、ポリアセター
ル樹脂に分岐を形成する提案がされている。この方法で
は樹脂の流動性は向上し、フローマークは改善されるも
のの、分岐成分に由来すると思われる表面荒れが発生す
るという課題が残されている。一方、特公昭55−39
182号公報及び特開平9−40842号公報では2成
分以上の異なるメルトインデックスを有するポリアセタ
ール樹脂を溶融ブレンドした組成物の提案がされてい
る。しかし、かかる方法では、多種のポリアセタール樹
脂の調製が必要となり、その工程が煩雑になるため品質
管理面・コスト面からみて改善の余地がある。また、ク
リープ特性の低下は抑えられるものの、優れたクリープ
特性という点では改善の余地がある。また、成形条件か
らの対策として、射出成形時に金型温度を上げるなどの
成形条件の検討もなされているが、生産性が著しく低下
するためやはり不適である。このように、優れたクリー
プ特性と良好な表面外観を有し、生産性やコスト面で好
適なポリアセタール樹脂を得ることは工業的に高い価値
を有し、その開発が切望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実状に
鑑み、優れたクリープ特性と良好な表面外観を兼備した
ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形物を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、特定のポリアセタール
樹脂組成物が上述の課題が解決することを見出し、本発
明を完成するに至った。すなわち本発明の第1は、Mw
/Mnが2.5〜10のポリアセタール樹脂100重量
部と酸化防止剤0.001〜3重量部とからなり、アル
カリ分解率が3重量%以下であるポリアセタール樹脂組
成物を提供する。本発明の第2は、ポリアセタール樹脂
がカチオン重合触媒を用いたトリオキサンと環状エーテ
ル及び/又は環状ホルマールとの反応物、或いは、カチ
オン重合触媒を用いたトリオキサンと環状エーテル及び
/又は環状ホルマールと分子量調節剤の一部との反応物
に、分子量調節剤の全部又は残りの一部をそれぞれ1段
階又は2段階以上で供給して更に反応させて得られたも
のである本発明の第1のポリアセタール樹脂組成物を提
供する。本発明第3は、分子量調節剤が下記式(1)で
示される低分子量アセタール化合物からなる群から選ば
れる少なくとも1種である本発明の第1のポリアセター
ル樹脂組成物を提供する。 R1−O−(−CH2O−)n−R2 (1) (但し、R1、R2は炭素数1〜20のアルキル基で、各
々同一であっても、異なっていてもよい。nは1〜20
の整数) 本発明の第4は、前記各ポリアセタール樹脂組成物から
なる成形品を、また本発明の第5は該成形品が外装部
品、水回り部品、精密部品から選ばれる部品をそれぞれ
提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のポリアセタール樹脂組成物はMw/Mnが2.
5〜10のポリアセタール樹脂を使用する。Mw及びM
nはポリアセタール樹脂の重量平均分子量、及び、数平
均分子量をそれぞれ示し、GPCにより、溶媒及びキャ
リヤーをトリフルオロ酢酸を0.07重量%含むヘキサ
フルオロイソプロパノールとし、オーブン温度40℃、
溶液濃度0.1重量%、キャリヤー流量0.2ml/分
として測定し、PMMA標準サンプルをもとに常法にて
算出した値である。尚、環状オリゴマーに由来するサブ
ピークが存在する場合には、該ピークを除外し、主ピー
クのみを用いてMw及びMnの算出を行う。実施・比較
例で述べるように、従来のポリアセタール樹脂では単体
でも、また、複数の分子量の異なる樹脂成分を混合した
組成物でもMw/Mnが1.8〜2.3となるのが通常
であり、かかる場合にはクリープ特性の改善は不十分で
あり、また、フローマークの低減等の良好な表面外観と
クリープ特性との兼備も不十分であった。本発明の大き
な特徴は、Mw/Mnが2.5〜10であるポリアセタ
ール樹脂を用いることが、ポリアセタール樹脂の優れた
クリープ特性と良好な表面外観を得る上で有用であるこ
とを見出した点であり、従来にない新しい知見である。
Mw/Mnが2.5を下回る場合には、従来技術以上の
優れたクリープ特性を得ることは困難であり、また、ク
リープ特性と良好な表面外観を併せ持つことも難しく、
また、Mw/Mnが10を上回る場合には、ポリアセタ
ール樹脂の不均一性が見られてくるので、いずれの場合
も好ましくない。特にMw/Mnは3.0〜8.0が好
ましい。
【0007】本発明に用いるポリアセタール樹脂は、ト
リオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマール等
のコモノマー成分とをカチオン重合触媒を用いて重合し
たポリアセタール樹脂コポリマー、及び、ホルムアルデ
ヒドを主成分として用いアニオン重合触媒を用いて重合
し末端を安定化処理したポリアセタール樹脂ホモポリマ
ーに代表される、ポリマーの基本骨格が−CH2O−の
繰り返し単位を有する樹脂を総称する。その中でも特
に、トリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマ
ール等のコモノマー成分とをカチオン重合触媒を用いて
塊状重合したポリアセタール樹脂コポリマーの使用が、
優れたクリープ特性と良好な表面外観を得る上で好まし
い。また、本発明に用いるポリアセタール樹脂のその基
本的な分子構造は特に限定されず、分岐・架橋構造を有
するもの、ブロック成分を導入したもの等も包含され
る。また、その溶融粘度は、本発明の効果を損なうもの
でなければ、何ら限定されるものではない。
【0008】ここで、ポリアセタール樹脂コポリマーの
製造において使用される環状エーテル及び/又は環状ホ
ルマールの例としては、エチレンオキシド、プロピレン
オキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エ
ピブロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、
3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒド
ロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン、エ
チレングリコールホルマール、プロピレングリコールホ
ルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチ
レングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホ
ルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,
6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられ、その中
でも、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエ
チレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオール
ホルマールが好ましい。これら環状エーテル及び/又は
環状ホルマールの使用量は成形品の剛性、耐薬品性等を
考慮すると、好ましくはトリオキサンに対して1種又は
2種以上で合わせて20重量%以下、特に好ましくは1
5重量%以下である。また、上記成分に少量の分岐・架
橋構造を形成する成分を併用することも可能である。
【0009】ポリアセタール樹脂コポリマーにおいて使
用されるカチオン重合触媒としては、四塩化鉛、四塩化
スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、
三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、
五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素
ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテ
ラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ
素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエ
チルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物、過
塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロ
レート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオ
ロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の無機及び有機酸、
トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフ
ェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジア
ゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウ
ムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜
鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムク
ロライト等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ
酸等が挙げられる。その中でも特に三フッ化ホウ素、三
フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジ
ブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、
三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化
ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配
位化合物が好ましい。これらの触媒は有機溶剤等で予め
希釈しても、またモノマーの一部である環状エーテル及
び/又は環状ホルマールに一旦混合させてもよく、その
調製方法は特に限定されない。
【0010】本発明に使用するMw/Mnが2.5〜1
0の範囲のポリアセタール樹脂の代表的な製造方法とし
ては、カチオン重合触媒を用いたトリオキサンと環状エ
ーテル及び/又は環状ホルマールとの反応物、或いは、
カチオン重合触媒を用いたトリオキサンと環状エーテル
及び/又は環状ホルマールと分子量調節剤の一部との反
応物に、分子量調節剤の全部又は残りの一部をそれぞれ
1段階又は2段階以上で供給して更に反応させる方法等
が挙げられる。重合は特に装置により限定されるもので
はなく、公知の装置が使用され、バッチ式、連続式等、
いずれの方法も可能である。
【0011】ここで使用される分子量調節剤としてはア
ルコキシ基を有する低分子量アセタール化合物、メタノ
ール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、水、
エステル化合物などが例示される。その中でも、アルコ
キシ基を有する低分子量アセタール化合物が好ましく、
更に詳しく説明するならば、下記式(1)で示される低
分子量アセタール化合物からなる群から選ばれる少なく
とも1種が例示される。 R1−O−(−CH2O−)n−R2 (1) (但し、R1、R2は炭素数1〜20のアルキル基で、各
々同一であっても、異なっていてもよい。nは1〜20
の整数) 具体的な化合物名としてはメチラール、メトキシメチラ
ール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラー
ル、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル等が挙げら
れる。また、これらの分子量調整剤の添加量は、本発明
の効果を損なわない範囲であれば、何ら限定されるもの
ではない。
【0012】具体的な方法としては、カチオン重合触
媒を用いたトリオキサンと環状エーテル及び/又は環状
ホルマールとの反応物に、分子量調節剤の全部を1段階
で供給し反応させる方法、カチオン重合触媒を用いた
トリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマール
との反応物に、分子量調節剤の全部を2段階以上で供給
し反応させる方法、カチオン重合触媒を用いたトリオ
キサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールと分子
量調節剤の一部との反応物に、分子量調節剤の残りを1
段階で供給し反応させる方法、カチオン重合触媒を用
いたトリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマ
ールと分子量調節剤の一部との反応物に、分子量調節剤
の残りを2段階以上で供給し反応させる方法が挙げられ
る。
【0013】ここで、本発明で規定する反応物とは、そ
の一部又は全部が2量体以上の低分子量化合物又はオリ
ゴマー、あるいはポリアセタール重合体を形成している
ものを総称し、液体状態でも、固体状態でも、またその
混合状態でもよい。その中でも、一部又は全部がポリア
セタール重合体を形成しているものが、ポリアセタール
樹脂のMw/Mnを2.5〜10にする上で特に好まし
い。
【0014】反応物への分子量調節剤の添加段階は、分
子量調節剤の添加位置、添加時間、添加回数等により設
定することができる。例えば、(a)連続重合装置にお
いて、トリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホル
マールとの混合物を重合機入り口から供給し、更にカチ
オン重合触媒を別の口から供給し反応させた後、その反
応生成物に分子量調節剤を触媒供給口から重合機出口ま
での間の1箇所又は2箇所以上から供給し反応させる方
法、(b)バッチ重合装置において、トリオキサンと環
状エーテル及び/又は環状ホルマールとの混合物を任意
の口から供給し、更にカチオン重合触媒を別の口から供
給し反応させた後、その反応生成物に分子量調節剤を別
の口から1回又は2回以上に分けて供給し反応させる方
法等が例示される。分子量調節剤の添加にあたっては、
添加温度や添加方法等は何ら限定されず、また、希釈剤
等の使用も可能である。ここで、分子量調節剤の一部を
反応物が生成する前に、予めトリオキサンと環状エーテ
ル及び/又は環状ホルマールに供給する場合、その供給
量は分子量調節剤の全量の90%以下であることが、ポ
リアセタール樹脂のMw/Mnを2.5〜10にする上
で好ましく、特に分子量調節剤の全量の70%以下であ
ることが好ましい。また、分子量調節剤を反応物に供給
して更に反応させてポリアセタール樹脂を得る場合に、
分子量調節剤の供給時、又は、供給後にカチオン重合触
媒及び/又は、トリオキサン、及び/又は環状エーテル及
び/又は環状ホルマールを1段階又は2段階以上で追加
添加することも可能である。
【0015】更に、カチオン重合触媒の失活は、重合反
応後、重合機より排出される反応生成物、あるいは、重
合機中の反応生成物に塩基性化合物、あるいは、その水
溶液等を加えて行う。重合触媒を中和し失活するための
塩基性化合物としては、アンモニア、或いは、トリエチ
ルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、
トリブタノールアミン等のアミン類、或いは、アルカリ
金属、アルカリ土類金属の水酸化物、塩類、その他公知
の触媒失活剤が用いられる。かかる重合方法及び失活方
法の後、必要に応じて更に、洗浄、未反応モノマーの分
離回収、乾燥等を従来公知の方法にて行う。また、不安
定末端部の分解除去又は安定物質による不安定末端の封
止等、必要に応じて公知の方法にて安定化処理を行う。
更に、本発明に用いるポリアセタール樹脂はフレーク状
の形状でも、また、溶融押出によりペレット化してもよ
い。
【0016】以上、上記例を挙げて本発明のポリアセタ
ール樹脂の製造方法について説明したが、本発明に使用
するポリアセタール樹脂はMw/Mnが2.5〜10と
なるように重合することが肝要であり、Mw/Mnがこ
の範囲に含まれればその製造方法は特に限定されるもの
ではない。
【0017】本発明のポリアセタール樹脂組成物はMw
/Mnが2.5〜10となるように重合して得られたポ
リアセタール樹脂100重量部に対し、更に、酸化防止
剤0.001〜3重量部を添加して得ることができる。
酸化防止剤として、ヒンダートフェノール系酸化防止剤
が特に好ましく、その具体的な化合物としては、ペンタ
エリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、2,2’−メチレン−ビス(6−t−ブチ
ル−4−メチルフェノール)、3,9−ビス{2−〔3
−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチ
ル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.
5〕ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。ま
たその添加量はポリアセタール樹脂100重量部に対し
0.001〜3重量部であることが必要である。該添加
量が0.001重量部を下回る場合にはポリマーの熱安
定性が低下し、クリープ特性の改善も表面外観の改善も
不十分となり好ましくなく、また、該添加量が3重量部
を上回る場合には、樹脂表面にブリードアウトし易くな
るため、成形品の表面外観を損ない、また、クリープ特
性の低下の原因となるため好ましくない。特に好ましい
添加量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し0.
005〜1量部である。
【0018】また、本発明のポリアセタール樹脂組成物
は不安定末端部に由来するアルカリ分解率が3重量%以
下であることが必須である。ここで、アルカリ分解率は
後記の方法で求めることができる。アルカリ分解率が3
重量%を超える場合には、樹脂表面に発現する発生ガス
が成形品の表面外観を損ない、また、クリープ特性の改
善も不十分となり好ましくない。特に好ましいアルカリ
分解率は、1重量%以下である。
【0019】更に、本発明のポリアセタール樹脂組成物
に好適に用いられる安定剤としては、窒素含有化合物、
アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、
カルボン酸塩等の抗酸剤のいずれか1種又は2種以上を
挙げることができる。更に、本発明を阻害しない限り、
必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、
例えば染料、顔料等の着色剤、滑剤、核剤、離型剤、帯
電防止剤、界面活性剤、或いは、有機高分子材料、無機
又は有機の繊維状、粉体状、板状の充填剤等を1種又は
2種以上添加することができる。
【0020】以上のようにして得られる本発明のポリア
セタール樹脂組成物は、優れたクリープ特性と良好な表
面外観を有し、生産性やコスト面でも好適であり、工業
的価値が非常に高い。その使用用途としては広範であ
り、その中でも例えば、文房具、電話機、水回り部品等
の表面外観が商品価値に極めて影響する外装部品、歯車
等の表面外観が寸法精度等に極めて影響する精密部品に
は極めて好適に用いられる。また、本発明のポリアセタ
ール樹脂組成物は一般の射出成形、ガスアシスト射出成
形、ブロー成形、押出成形等にも供することができ、そ
の利用範囲は極めて広い。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、
実施例において特性評価に用いた方法は以下の通りであ
る。 1.Mw/Mn:Mw及びMnは重量平均分子量、及び
数平均分子量をそれぞれ示し,GPC測定により、溶媒
及びキャリヤーをトリフルオロ酢酸を0.07重量%含
むヘキサフルオロイソプロパノールとし、オーブン温度
40℃、溶液濃度0.1重量%、キャリヤー流量0.2
ml/分として測定し、PMMA標準サンプルをもとに
常法により算出した値である。尚、環状オリゴマーに由
来するサブピークが存在する場合には、該ピークを除外
し、主ピークのみを用いてMw及びMnの算出を行う。
Mw/Mnが大きいほど樹脂の分子量分布が幅広くなっ
ていることを示している。 2.メルトインデックス:ポリアセタール樹脂組成物を
ASTM D−1238に準じて測定した。 3.アルカリ分解率:ポリアセタール樹脂組成物1gを
0.5重量%のアンモニアを含む50重量%メタノール
水溶液100mlに入れ、密閉容器中で180℃、45
分間加熱した後、液中に分解溶出したホルムアルデヒド
の量を定量分析し、ポリアセタール樹脂組成物に対する
割合を重量%で示した。 4.表面外観評価:株式会社日本製鋼所製射出成形機
「J75SS2A」(φ35)を用いて、φ1.5mm
のセンター1点ピンゲートの50mm角、3mm厚さの
平板を以下の条件で射出成形した。得られた成形品は
(1)ゲート付近のフローマークの大きさ(mm)、及
び(2)表面荒れの目視評価の2項目について表面外観
評価を行った。(1)ではフローマークの大きさが小さ
いほど良好であり、特に5mm以下が好ましい。 成形条件:シリンダー温度200−200−180−1
50℃、金型温度:90℃、保圧:750kg/c
2、射出条件:射出時間:5秒、計量(1次−2次−
保圧):25−20−8mm、速度(1次−2次):2
5−2.5mm/sec。 5.クリープ特性評価:株式会社日本製鋼所製射出成形
機「J75SS2A」(φ35)を用いてJIS K7
113の1号形試験片を作製し、安田精器製作所製てこ
負荷方式引張クリープ試験器を用いて、80℃、100
0時間でのクリープ試験を行い、引張強度を測定した。
【0022】(製造例1)(ポリアセタール樹脂A1の
製造) 重合反応器として断面が2つの円が一部重なる形状を有
し、外側に熱(冷)煤を通すジャケットが付いたバレル
とパドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用
いた。パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ50rp
mで回転させながら、その一端にコモノマーとして1,
3−ジオキソラン3.1重量%を含有するトリオキサン
を連続的に図1の供給口1より供給した。続いて触媒の
三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートの1重量%ジブチ
ルエーテル溶液をトリオキサンに対して0.003重量
%(三フッ化ホウ素換算)となる様に連続的に供給口2
より添加供給した。続いて、触媒供給口から重合機出口
までの間に位置する供給口3aより、分子量調節剤とし
てメチラール0.12重量%をその反応物に連続的に添
加供給し、更に塊状重合を行った。重合機排出口4から
排出された反応生成物は速やかに破砕機に通しながら、
トリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水
溶液に加え、粒子状に粉砕すると同時に触媒を失活し
た。さらに、分離、洗浄、乾燥後、押出機でペレット化
し、ポリアセタール樹脂A1を得た。得られた樹脂のM
w/Mnは3.8であった。
【0023】(製造例2)(ポリアセタール樹脂A2の
製造) 実施例1と同様な連続式混合反応機を用い、その一端に
1,3−ジオキソラン3.1重量%を含有するトリオキ
サンを連続的に供給口1より供給し、続いて三フッ化ホ
ウ素ジブチルエーテラートの1重量%ジブチルエーテル
溶液をトリオキサンに対して0.003重量%(三フッ
化ホウ素換算)となるように連続的に供給口2より添加
供給した。続いて、触媒供給口から重合機出口までの間
に位置する供給口3aよりメチラール0.06重量%
を、また、供給口3bよりメチラール0.06重量%を
反応物にそれぞれ連続的に添加供給し、更に塊状重合し
た。実施例1と同様にしてポリアセタール樹脂A2を得
た。得られた樹脂のMw/Mnは4.1であった。
【0024】(製造例3)(ポリアセタール樹脂A3の
製造) 実施例1と同様な連続式混合反応機を用い、その一端に
1,3−ジオキソラン3.1重量%、及び、メチラール
0.04重量%を含有するトリオキサンを連続的に供給
口1より供給し、続いて三フッ化ホウ素ジブチルエーテ
ラートの1重量%ジブチルエーテル溶液をトリオキサン
に対して0.003重量%(三フッ化ホウ素換算)とな
るように連続的に供給口2より添加供給した。続いて、
触媒供給口から重合機出口までの間に位置する供給口3
aよりメチラール0.1重量%を反応物に連続的に添加
供給し、更に塊状重合した。実施例1と同様にしてポリ
アセタール樹脂A3を得た。得られた樹脂のMw/Mn
は3.5であった。
【0025】(比較製造例1)(ポリアセタール樹脂B
1の製造) 実施例1と同様な連続式混合反応機を用い、その一端に
1,3−ジオキソラン3.1重量%、及びメチラール
0.07重量%を含有するトリオキサンを連続的に供給
口1より供給した。続いて三フッ化ホウ素ジブチルエー
テラートの1重量%ジブチルエーテル溶液をトリオキサ
ンに対して0.003重量%(三フッ化ホウ素換算)と
なるように連続的に供給口2より供給し、塊状重合し
た。実施例1と同様にしてポリアセタール樹脂B1を得
た。得られた樹脂のMw/Mnは2.0であった。
【0026】(比較製造例2)(ポリアセタール樹脂B
2の製造) 実施例1と同様な連続式混合反応機を用い、その一端に
1,3−ジオキソラン3.1重量%、及びメチラール
0.13重量%を含有するトリオキサンを連続的に供給
口1より供給し、続いて三フッ化ホウ素ジブチルエーテ
ラートの1重量%ジブチルエーテル溶液をトリオキサン
に対して0.003重量%(三フッ化ホウ素換算)とな
る様に連続的に供給口2より添加供給し、塊状重合し
た。実施例1と同様にしてポリアセタール樹脂B2を得
た。得られた樹脂のMw/Mnは2.0であった。
【0027】(実施例1〜3及び比較例1〜5)Mw/
Mnの異なるポリアセタール樹脂(A1〜A3,B1〜
B2)、酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕)、抗酸剤(メラミン)、滑剤
(エチレンビスステアリルアミド)を所定量溶融混練処
理(温度200℃)してペレット化した。このペレット
を使用し、メルトインデックス、アルカリ分解率、Mw
/Mn、表面外観、クリープ特性の評価を行った。
(尚、比較例5は260℃で溶融混練処理した。)結果
を表1に示した。
【0028】(比較例6)メルトインデックスが2(g
/10min)のポリアセタール樹脂30重量部、メル
トインデックスが9(g/10min)のポリアセター
ル樹脂40重量部、及びメルトインデックスが45(g
/10min)のポリアセタール樹脂30重量部を溶融
混練処理してポリアセタール樹脂B3を得た。得られた
樹脂のMw/Mnは2.1であった。また、添加剤は表
1に示す通りである。続いて、このペレットを使用し、
メルトインデックス、アルカリ分解率、Mw/Mn、表
面外観、クリープ特性の評価を行った。結果を表1に示
した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】実施例で示したように本発明により、優
れたクリープ特性と良好な表面外観を有するポリアセタ
ール樹脂組成物が得られる。その用途は広範囲である
が、とりわけ、文房具、電話機、水回り部品等のような
表面外観が商品価値に密接に関わる外装部品、また、歯
車等のように表面外観が寸法精度等に著しく影響する精
密部品には好適に用いられる。また、本発明のポリアセ
タール樹脂組成物は一般の射出成形以外にも、ガスアシ
スト射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形、押出成形等
にも供することができ、その利用範囲は極めて広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に使用される連続式混合反応機の概略
図である。
【符号の説明】
1:供給口、2:供給口、3a:供給口、3b:供給
口、4:排出口、5:連続式混合反応機のジャッケット
(内部は図示せず)
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CB001 EJ066 FD030 FD076 GM00 GN00 GQ00 4J032 AA05 AA32 AA33 AA34 AA42 AB04 AB35 AC16 AC49 AD31 AD32 AD33 AD34 AD35 AD36 AD38 AD41 AD45 AD46 AD47 AD51 AE14 AF08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mw/Mnが2.5〜10のポリアセタ
    ール樹脂100重量部と酸化防止剤0.001〜3重量
    部とからなり、アルカリ分解率が3重量%以下であるポ
    リアセタール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリアセタール樹脂がカチオン重合触媒
    を用いたトリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホ
    ルマールとの反応物、或いは、カチオン重合触媒を用い
    たトリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマー
    ルと分子量調節剤の一部との反応物に、分子量調節剤の
    全部又は残りの一部をそれぞれ1段階又は2段階以上で
    供給して更に反応させて得られたものである請求項1記
    載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 分子量調節剤が下記式(1)で示される
    低分子量アセタール化合物からなる群から選ばれる少な
    くとも1種である請求項2記載のポリアセタール樹脂組
    成物。 R1−O−(−CH2O−)n−R2 (1) (但し、R1、R2は炭素数1〜20のアルキル基で、各
    々同一であっても、異なっていてもよい。nは1〜20
    の整数)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリア
    セタール樹脂組成物からなる成形品。
  5. 【請求項5】 外装部品、水回り部品、精密部品から選
    ばれる部品である請求項4記載の成形品。
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