JP2000167993A - 防汚性積層体およびその製造方法 - Google Patents

防汚性積層体およびその製造方法

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JP2000167993A JP10346239A JP34623998A JP2000167993A JP 2000167993 A JP2000167993 A JP 2000167993A JP 10346239 A JP10346239 A JP 10346239A JP 34623998 A JP34623998 A JP 34623998A JP 2000167993 A JP2000167993 A JP 2000167993A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い硬度を有し、酸素存在下においても光硬
化反応により形成可能な防汚性樹脂層を含む防汚性積層
体を提供する。 【解決手段】 下記(A)および(B)成分を含有する
光硬化性組成物を光硬化させた防汚性樹脂層を基材上に
形成してなる防汚性積層体。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
3の整数である。] (B)光酸発生剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光硬化性組成物か
ら得られる防汚性樹脂層を基材上に有する防汚性積層体
(単に、積層体と称する場合がある。)およびその製造方
法に関する。より詳細には、高い硬度を有し、酸素存在
下において硬化反応により形成可能な防汚性樹脂層を含
む防汚性積層体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】防汚性積層体における防汚性樹脂層の形
成材料として、例えば、熱硬化型ポリシロキサン組成物
が知られており、特開昭61−247743号公報およ
び特開平63−21601号公報等に開示されている。
しかしながら、かかる熱硬化型ポリシロキサン組成物か
ら得られる積層体は、高温で、長時間にわたって加熱処
理をする必要があり、生産性が低かったり、あるいは適
用基材の種類が限定されるという問題が見られた。ま
た、かかる熱硬化型ポリシロキサン組成物は保存安定性
に乏しいため、一般的に主剤と硬化剤とからなる二液性
であり、取り扱いが煩雑であるという問題が見られた。
【0003】また、積層体における防汚性樹脂層の形成
材料として、紫外線等の光を利用して硬化させる光硬化
性樹脂組成物も知られており、特開平2−28270号
公報等に開示されている。しかしながら、光硬化性性樹
脂組成物における主成分はフッ素含有アクリレート樹脂
であり、光硬化に際してラジカル重合を利用しているた
め、大気中の酸素による活性ラジカルの失活が起きやす
く、結果として硬化不良が生じやすいという問題が見ら
れた。また、フッ素含有アクリレート樹脂は構造的に柔
らかく、例えば、JIS K5400に準拠した鉛筆硬
度の値がH以下であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の積層体における防汚性樹脂層の形成材料として、熱
硬化型ポリシロキサン組成物は、硬化時間が長くて、高
温加熱処理を必要とするため、適用できる基材が限定さ
れ、さらには保存安定性に乏しいという問題点を有して
いた。一方、従来のフッ素含有アクリレート樹脂からな
る光硬化性組成物は、光硬化の際に酸素の影響を受けや
すく、また、得られた積層体における硬度が低いという
問題点を有していた。
【0005】そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した
結果、積層体における防汚性樹脂層の形成材料として、
加水分解性シラン化合物と、光酸発生剤と、脱水剤とを
組み合わせた光硬化性組成物を使用することにより、上
述した問題を解決できることを見出した。すなわち、脱
水剤を添加して光硬化性組成物中に含まれる水分、加水
分解性シラン化合物の自己縮合により生成する水分、あ
るいは塗工時に外気から侵入してくる水分等を有効に除
去することにより、保存安定性に優れるとともに酸素の
影響を受けることなく素早く光硬化反応を生じさせるこ
とができ、しかも、このような光硬化性組成物を基材上
で硬化させることにより、優れた防汚性および高い硬度
を有する積層体を得られることを見出した。よって、本
発明は、酸素が存在する空気中においても形成可能であ
り、しかも優れた防汚性や硬度を有する積層体およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(A)お
よび(B)成分を含有する光硬化性組成物を光硬化させ
た防汚性樹脂層を基材上に形成してなる防汚性積層体に
関する。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
3の整数である。] (B)光酸発生剤 このように構成することにより、空気中においても酸素
の影響を受けることなく防汚性樹脂層を形成することが
可能であり、しかも積層体において、優れた防汚性や硬
度を得ることができる。
【0007】また、本発明の積層体を構成するにあた
り、光硬化性組成物中に、(C)成分として、脱水剤を
含有させることが好ましい。このように脱水剤を添加す
ることにより、光硬化性組成物の保存安定性を著しく向
上させることができる。
【0008】また、本発明の積層体を構成するにあた
り、光硬化性組成物中に、(D)成分として、フッ素含
有重合体を含有させることが好ましい。このようにフッ
素含有重合体を含有させることにより、撥水、撥油性が
向上し、防汚性樹脂層における防汚性を著しく向上させ
ることができる。
【0009】また、本発明の積層体を構成するにあた
り、光硬化性組成物中に、(E)成分として、シリカ粒
子を含有させることが好ましい。このようにシリカ粒子
を含有させることにより、防汚性樹脂層の硬化収縮を低
減させたり、防汚性樹脂層の機械的強度を向上させるこ
とができる。
【0010】また、本発明の積層体を構成するにあた
り、光硬化性組成物中に、(F)成分として、反応性希
釈剤を含有させることが好ましい。このように反応性希
釈剤を含有させることにより、防汚性樹脂層の基材に対
する密着力を向上させたり、硬化収縮を低減させたり、
あるいは防汚性樹脂層の機械的強度を調節することがで
きる。
【0011】また、本発明の積層体を構成するにあた
り、光硬化性組成物中に、(G)成分として、(A)成
分以外の加水分解性シリル基含有ビニル系重合体を含有
させることが好ましい。このようなビニル系重合体を含
有させることにより、防汚性樹脂層の基材に対する密着
力を向上させたり、硬化収縮を低減させたり、あるいは
防汚性樹脂層の機械的強度を調節することができる。
【0012】また、本発明の積層体を構成するにあた
り、基材の表面に、下記(A)、(B)および(G)成
分を含有する光硬化性組成物を光硬化してなるプライマ
ー層が形成してあることが好ましい。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
3の整数である。] (B)光酸発生剤 (G)(A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル
系重合体 このように特定の樹脂からなるプライマー層を設けるこ
とにより、防汚性樹脂層の基材に対する密着力を著しく
向上させることができる。
【0013】また、本発明の別の態様は、防汚性積層体
の製造方法であり、下記(A)および(B)成分を含有
する光硬化性組成物を光硬化させて防汚性樹脂層を基材
上に形成する工程を含むことを特徴とする。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
3の整数である。] (B)光酸発生剤
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の防汚性積層体(第1〜第
6の実施形態)およびその製造方法(第7の実施形態)
に関する実施の形態を具体的に説明する。
【0015】[第1の実施形態]本発明の第1の実施形
態は、基材と、加水分解性シラン化合物の加水分解物
(A成分)、光酸発生剤(B成分)、および脱水剤(C
成分)を含有する光硬化性組成物を光硬化して得られた
防汚性樹脂層とから構成された防汚性積層体である。
【0016】(1)加水分解性シラン化合物における加
水分解物 構造 第1の実施形態で使用する加水分解物は、一般式(1)
で示される加水分解性シラン化合物を加水分解した化合
物である。 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
3の整数である。]
【0017】ここで、Xで表される加水分解性基は、通
常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(25℃)〜10
0℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解され
てシラノール基を生成することができる基、もしくはシ
ロキサン縮合物を形成することができる基を指す。ま
た、一般式(1)中の添え字pは0〜3の整数である
が、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましく
は1である。ただし、一般式(1)で示される加水分解
性シラン化合物の加水分解物において、一部未加水分解
の加水分解性基が残っていても良く、その場合、加水分
解性シラン化合物と加水分解物との混合物となる。
【0018】また、加水分解性シラン化合物の加水分解
物というときは、加水分解反応によりアルコキシ基がシ
ラノール基に変わった化合物ばかりでなく、一部のシラ
ノール基同士が縮合した部分縮合物をも意味している。
さらに、加水分解性シラン化合物は、光硬化性組成物を
配合する時点で加水分解されている必要は必ずしもな
く、光照射する段階で、少なくとも一部の加水分解性基
が加水分解されていれば良い。すなわち、第1の実施形
態に使用する光硬化性組成物において、加水分解性シラ
ン化合物を予め加水分解せずに使用した場合には、事前
に水を添加して、加水分解性基を加水分解させ、シラノ
ール基を生成することにより、光硬化性組成物を光硬化
させて積層体を形成することができる。
【0019】加水分解性シラン化合物の具体例 次に、式(1)で表される加水分解性シラン化合物(単
に、シラン化合物と称する場合がある。)の具体例を説
明する。まず、非重合性の有機基 を有するシラン化合物
としては、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、
テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェ
ノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキ
シシラン、トリエトキシシラン等の4個の加水分解性基
で置換されたシラン化合物が挙げられる。
【0020】また、同様に、メチルトリクロロシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブ
トキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフル
オロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、d3−メチルトリメトキシシラン、ノナフル
オロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメ
チルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基で置換
されたシラン化合物が挙げられる。
【0021】また、同様に、ジメチルジクロロシラン、
ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水分解
性基で置換されたシラン化合物、及びトリメチルクロロ
シラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、
トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブ
チルエトキシシラン等の1個の加水分解性基で置換され
たシラン化合物を挙げることができる。
【0022】また、重合性の有機基 を有するシラン化合
物としては、一般式(1)における非加水分解性の有機
基Rに重合性の有機基を含むシラン化合物、一般式
(1)における加水分解性の有機基Xに重合性の有機基
を有するシラン化合物のいずれかを用いることができ
る。
【0023】ここで、いずれの重合性の有機基において
も、当該有機基の炭素数を1〜12の範囲内の値とする
のが好ましい。具体的に、一般式(1)における非加水
分解の有機基Rに重合性の有機基を含むシラン化合物
としては(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシジロキシトリ
メトキシシラン、3−(3−メチル−3−オキセタンメ
トキシ)プロピルトリメトキシシラン、オキサシクロヘ
キシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0024】また、一般式(1)における加水分解性の
有機基Xに重合性の有機基 を含むシラン化合物の例とし
ては、テトラ(メタ)アクリロキシシラン、テトラキス
[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シラン、テトラ
グリシジロキシシラン、テトラキス(2−ビニロキシエ
トキシ)シラン、テトラキス(2−ビニロキシブトキ
シ)シラン、テトラキス(3−メチル−3−オキセタン
メトキシ)シラン、メチルトリ(メタ)アクリロキシシ
ラン、メチル[2−(メタ)アクリロキシエトキシ]シ
ラン、メチル−トリグリシジロキシシラン、メチルトリ
ス(3−メチル−3−オキセタンメトキシ)シランを挙
げることができる。
【0025】加水分解性シラン化合物の加水分解物 次に、加水分解性シラン化合物の加水分解物における分
子量について説明する。かかる分子量は、移動相にテト
ラヒドロフランを使用したゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(以下、GPCと略記する。)を用い、ポ
リスチレン換算の重量平均分子量として測定することが
できる。そして、加水分解物の重量平均分子量を、通常
500〜10000の範囲内の値とするのが好ましい。
加水分解物における重量平均分子量の値が500未満の
場合、塗膜の成膜性が低下する場合があり、一方、10
000を越えると光硬化性が低下する場合がある。した
がって、より好ましくは加水分解物における重量平均分
子量を、1000〜5000の範囲内の値とすることで
ある。
【0026】(2)光酸発生剤 定義 光硬化性組成物に添加する光酸発生剤(B成分)は、光
等のエネルギー線を照射することにより、(A)成分で
ある加水分解性シラン化合物を光硬化(架橋)可能な酸
性活性物質を放出することができる化合物と定義され
る。なお、光酸発生剤を分解させて、カチオンを発生す
るするために照射する光エネルギー線としては、可視
光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を挙げ
ることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを有
し、硬化速度が大(速く)であり、しかも照射装置が比
較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが
好ましい。
【0027】また、第1の実施形態の積層体を形成する
において、光硬化性組成物に、光酸発生剤とともに後述
するラジカル発生剤を併用することも好ましい。中性の
活性物質であるラジカルは、シラノール基の縮合反応を
促進することはないが、(A)成分中にラジカル重合性
の官能基を有する場合に、かかる官能基の重合を推進さ
せることができる。したがって、光硬化性組成物をより
効率的に硬化させることができる。
【0028】光酸発生剤の種類 次に、第1の実施形態に使用する光酸発生剤の種類を説
明する。かかる光酸発生剤としては、一般式(2)で表
される構造を有するオニウム塩(第1群の化合物)や一
般式(3)で表される構造を有するスルホン酸誘導体
(第2群の化合物)を挙げることができる。
【0029】 [R2 a3 b4 c5 dW]+m [MZm+n] -m (2) [一般式(2)中、カチオンはオニウムイオンであり、
WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、
Br、Clまたは−N≡Nであり、R2、R3、R4およ
びR5は同一または異なる有機基であり、a、b、cお
よびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c
+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯
体[MXm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイ
ドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、B
i、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、
Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハ
ロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物
錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価であ
る。]
【0030】QS−〔S(=O)2−R6t (3) [一般式(3)中、Qは一価もしくは二価の有機基、R
6は炭素数1〜12の一価の有機基、添え字sは0又は
1、添え字tは1又は2である。]
【0031】まず、第1群の化合物であるオニウム塩
は、光を受けることにより酸性活性物質を放出すること
ができる化合物である。このような第1群の化合物のう
ち、より有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩であり、
特に好ましくは下記一般式(4)で表されるジアリール
ヨードニウム塩である。 [R7−Ar1−I+−Ar2−R8][Y-] (4) [一般式(4)中、 R7およびR8は、それぞれ1価の
有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R7およ
びR8の少なくとも一方は炭素数が4以上のアルキル基
を有しており、Ar1およびAr2はそれぞれ芳香族基で
あり、同一でも異なっていてもよく、Y-は1価の陰イ
オンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンも
しくは、ClO4 -、CF3−SO3 -から選ばれる陰イオ
ンである。]
【0032】また、第2群の化合物としての一般式
(3)で表されるスルホン酸誘導体の例を示すと、ジス
ルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニル
メタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスル
ホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−
2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネー
ト類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスル
ホネート類を挙げることができる。また、一般式(3)
で表されるスルホン酸誘導体のうち、より好ましくはイ
ミドスルホネート類であり、さらに好ましくはイミドス
ルホネートのうち、トリフルオロメチルスルホネート誘
導体である。
【0033】光酸発生剤の添加量 次に、光硬化性組成物に使用される光酸発生剤の添加量
(含有割合)について説明する。かかる光酸発生剤の添
加量は特に制限されるものではないが、(A)成分10
0重量部に対して、通常0.1〜15重量部の範囲内の
値とするのが好ましい。光酸発生剤の添加量が0.1重
量部未満となると、光硬化性が低下し、十分な硬化速度
が得られない場合がある。一方、光酸発生剤の添加量が
15重量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱
性が低下する場合がある。したがって、光硬化性と得ら
れる硬化物の耐候性等とのバランスがより良好な観点か
ら、光酸発生剤の添加量を、(A)成分100重量部に
対して1〜10重量部の範囲内の値とすることがより好
ましい。
【0034】(3)脱水剤 定義 光硬化性組成物に使用される脱水剤は、化学反応により
水以外の物質に変換する化合物、物理吸着または包接に
より、光硬化性および保存安定性に影響を与えなくする
化合物と定義される。すなわち、このような脱水剤を含
有することにより、光硬化性組成物の耐候性や耐熱性を
損なうことなく、保存安定性や光硬化性という相反する
特性を向上させることができる。この理由として、外部
から侵入してくる水を、脱水剤が有効に吸収するために
光硬化性組成物の保存安定性が向上し、一方、光硬化反
応である縮合反応においては、生成した水を順次に脱水
剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の光硬化性が
向上するものと考えられる。
【0035】脱水剤の種類 次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の種類を説明
する。かかる脱水剤の種類は特に制限されるものでない
が、有機化合物として、カルボン酸エステル、アセター
ル類(ケタール類を含む。)、およびカルボン酸無水物
からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であ
ることが好ましい。また、無機化合物として、脱水機能
を有するセラミック粉体の使用も好ましい。これらの脱
水剤は、優れた脱水効果を示し、少量の添加で脱水剤の
機能を効率的に発揮することができる。
【0036】また、脱水剤としてのカルボン酸エステル
は、カルボン酸オルトエステルやカルボン酸シリルエス
テル等の中から選ばれる。ここで、好ましいカルボン酸
オルトエステルとしては、オルト蟻酸メチル、オルト蟻
酸エチル、オルト蟻酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オ
ルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピ
ル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチルおよ
びオルトプロピオン酸エチル等が挙げられる。また、こ
れらのカルボン酸オルトエステルのうち、より優れた脱
水効果を示し、保存安定性や光硬化性をより向上させる
ことができる観点から、オルト蟻酸エステルが、本発明
における脱水剤として特に好ましい。また、好ましいカ
ルボン酸シリルエステルとしては、酢酸トリメチルシリ
ル、酢酸トリブチルシリル、蟻酸トリメチルシリル、シ
ュウ酸トリメチルシリル等が挙げられる。
【0037】また、好ましいアセタール類としては、例
えば、アセトンジメチルアセタール、アセトンジエチル
アセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、
メチルエチルケトンジメチルアセタール、シクロヘキサ
ノンジメチルアセタールおよびシクロヘキサノンジエチ
ルアセタールが挙げられる。これらのアセタール類は優
れた脱水効果を示し、光硬化性組成物の保存安定性や光
硬化性をより向上させることができる。
【0038】また、好ましいカルボン酸無水物として
は、例えば、蟻酸無水物、無水酢酸、無水コハク酸、無
水マレイン酸、無水フタル酸、安息香酸無水物、酢酸安
息香酸無水物等が挙げられる。特に、無水酢酸および無
水コハク酸は、脱水効果に特に優れており好ましい。
【0039】また、好ましい脱水機能を有するセラミッ
ク粉体としては、シリカゲル粒子、アルミナ粒子、シリ
カアルミナ粒子、活性白土、ゼオライト等が挙げられ
る。これらのセラミック粉体は、水に対して、強い親和
力を有しており、優れた脱水効果を発揮することができ
る。
【0040】脱水剤の添加量 次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の添加量につ
いて説明する。脱水剤の添加量は特に制限されるもので
はないが、(A)成分100重量部に対して、通常、
0.1〜100重量部の範囲内の値とするのが好まし
い。この理由は、脱水剤の添加量が0.1重量部未満と
なると、添加効果の発現に乏しい場合があり、また、保
存安定性や光硬化性の向上効果が低くなる場合があり、
一方、脱水剤の添加量が100重量部を越えると、保存
安定性や光硬化性の向上効果が飽和する場合があるため
である。したがって、より好ましくは、脱水剤の添加量
を(A)成分100重量部に対して、0.5〜50重量
部の範囲内の値とすることであり、さらに好ましくは、
1〜10重量部の範囲内の値とすることである。
【0041】(4)添加剤 光硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない
範囲において、ラジカル性光重合開始剤、光増感剤、有
機溶剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡
れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化
防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、無機充填
剤、顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好
ましい。
【0042】(5)防汚性積層体 防汚性樹脂層の形成方法 光硬化性組成物から防汚性樹脂層を形成する場合、ま
ず、基材(適用部材)にコーテイングすることが好まし
い。このようなコーテイング方法としては、ディッピン
グ法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ス
ピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シ
ルクスクリーン法、またはインクジェット法等の方法を
用いることができる。
【0043】また、光硬化性組成物を光硬化する手段も
特に制限されるものではないが、例えば、高圧水銀ラン
プ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマ
ランプ等の光源を用いて、波長200〜400nmの光
を照射することが好ましい。また、レーザ光、あるいは
レンズ、ミラー等を用いて得られた収束光等を走査させ
ながら光硬化性組成物に光照射することも好ましい。さ
らに、所定のパターンの光透過部を有するマスクを用
い、このマスクを介して非収束光を組成物に光照射した
り、あるいは、多数の光ファイバーを束ねてなる導光部
材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応
する光ファイバーを介して光照射することも好ましい。
【0044】また、光硬化させて得られた防汚性樹脂層
(塗膜)は必要に応じて、さらに加熱することも好まし
い。その場合、通常、室温から基材もしくは塗膜の分解
開始温度以下で、5分〜72時間の条件で加熱するのが
好ましい。このように光硬化後に、さらに加熱すること
により、より耐熱性や耐候性に優れた積層体を得ること
ができる。
【0045】厚さ 防汚性樹脂層の厚さは特に制限されるものではないが、
たとえば、0.01〜200μmの範囲内の値であるこ
とが好ましい。この理由は、厚さが0.01μm未満と
なると、機械的特性が低下したり、防汚性や基材に対す
る密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さ
が200μmを超えると、光硬化することが困難となる
場合があったり、積層体の厚さが過度に厚くなる場合が
あるためである。したがって、防汚性樹脂層の厚さを
0.1〜100μmの範囲内の値とするのがより好まし
く、0.5〜50μmの範囲内の値とするのがさらに好
ましい。なお、防汚性積層体を光学的用途に用いる場合
には、光干渉等を生じないように、防汚性樹脂層の厚さ
を0.01〜1μmの範囲内の値とするのがより好まし
い。
【0046】基材 積層体に使用する基材の種類については特に限定される
ものではないが、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、
イミド系樹脂、シリコ−ン系樹脂、フェノール系樹脂、
ゴム系樹脂または塩化ビニル系樹脂からなる基材を使用
することが好ましい。これらの基材は、機械的特性や耐
熱性に優れており、優れた耐久性を有する積層体が得ら
れるためである。また、これらの基材は、透明性にも優
れており、基材上に文字や模様等が形成されている場合
あるいは基材が液晶表示装置におけるカラーフィルタの
場合であっても、これらの文字等について十分に視認す
ることができる。なお、基材を構成する材料中に、顔料
や染料、あるいはシリカ等の無機粒子を添加して、基材
自体を着色化したり、不透明化しても良い。
【0047】また、基材の厚さについても特に限定され
るものではないが、例えば、10μm〜5mmの範囲内
の値とすることが好ましい。この理由は、基材の厚さが
10μm未満となると、基材の機械的強度が低下する場
合があり、一方、基材の厚さが5mmを超えると、取り
扱いが困難となる場合があるためである。
【0048】また、基材の裏面に、例えば、厚さ5〜2
00μmのアクリル系粘着剤やエポキシ系熱硬化型接着
剤からなる接着剤層を設けることが好ましい。このよう
に接着剤層を設けることにより、防汚効果を所望する被
着体に対して積層体を容易に積層することができ、積層
体の使い勝手が良好となる。
【0049】[第2の実施形態]本発明の第2の実施形
態は、基材と、加水分解性シラン化合物の加水分解物
(A成分)、光酸発生剤(B成分)、脱水剤(C成分)
およびフッ素含有重合体(D成分)を含有する光硬化性
組成物を光硬化して得られた防汚性樹脂層とから構成さ
れた積層体である。このようにフッ素含有重合体を含有
させることにより、撥水、撥油性が向上し、防汚性樹脂
層における防汚性を著しく向上させることができる。し
たがって、例えば汚染物を乾布でふき取るだけで除去す
ることができるようになる。以下、第2の実施形態に使
用するフッ素含有重合体について詳細に説明するが、加
水分解性シラン化合物の加水分解物(A成分)、光酸発
生剤(B成分)、脱水剤(C成分)および基材等につい
ては、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様
のものが使用できるため、ここでの説明は省略する。
【0050】(1)フッ素含有重合体(フッ素含有単量
体)の種類 フッ素含有重合体の種類は、フッ素原子を分子内に有す
る重合体であれば特に制限されるものではないが、例え
ば、フルオロオレフィン類、パーフルオロアルキルビニ
ルエーテル、パーフルオロアルコキシアルキルビニルエ
ーテル、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロア
ルコキシアルキルビニルエーテル類、フッ素含有(メ
タ)アクリル酸エステル類等のフッ素含有単量体を重合
して得られる重合体であるのが好ましい。
【0051】より具体的には、トリフルオロエチレン、
テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、
ヘキサフルオロプロピレンなどのフルオロオレフィン
類、フルオロアルキルビニルエーテル類、フルオロアル
コキシアルキルビニルエーテル類が好ましく、特に、ヘ
キサフルオロプロピレンが好ましい。
【0052】(2)共重合成分1 また、フッ素含有重合体を重合して得るに当たり、加水
分解性シリル基含有単量体、エポキシ基含有単量体、オ
キセタン基含有単量体、水酸基(ヒドロキシ基)含有単
量体およびカルボキシル基含有単量体からなる群から選
択される少なくとも一つの共重合成分1(反応性基含有
単量体)を共重合することが好ましい。このような反応
性基含有単量体を共重合することにより、官能基とし
て、加水分解性シリル基、エポキシ基、オキセタン基、
水酸基およびカルボキシル基を分子内に容易に導入する
ことができる。したがって、フッ素含有重合体と、加水
分解性シラン化合物との相溶性が向上し、さらには、フ
ッ素含有重合体を加水分解性シラン化合物と反応させる
こともできる。
【0053】また、このような共重合性成分の使用量に
ついても特に制限されるものではないが、例えば、共重
合成分の全体量を100モル%としたときに、使用量を
1〜70モル%の範囲内の値とするのが好ましい。その
理由は、使用量が1モル%未満となると、添加効果が乏
しい場合があり、一方、70モル%を超えると、得られ
たフッ素含有重合体がゲル化しやすい場合があるためで
ある。したがって、添加効果とゲル化防止とのバランス
がより良好な観点から、使用量を3〜50モル%の範囲
内の値とするのがより好ましい。
【0054】(3)共重合成分2 また、フッ素含有重合体を重合して得るに当たり、収率
をより向上させたり、フッ素含有量を容易に調節できる
観点から、上述した以外の共重合成分(共重合成分
2)、例えば、メチルビニルエーテル等のアルキルビニ
ルエーテル類;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステ
ル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;メ
チル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル類が挙げられる。なお、これらの共重合性成分は、
単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を組み合せ
て使用してもよい。
【0055】また、これらの共重合成分の使用量につい
ても特に制限されるものではないが、例えば、共重合成
分の全体量を100モル%としたときに、使用量を10
〜70モル%の範囲内の値とするのが好ましい。その理
由は、使用量が10モル%未満となると、添加効果が乏
しい場合があり、一方、70モル%を超えると、相対的
にフッ素含有単量体の使用量が減少し、幅広い範囲で、
屈折率の値を調節することが困難となったり、あるいは
有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためである。
【0056】(4)フッ素含有重合体のラジカル重合 上述したフッ素含有重合体は、ラジカル重合開始剤(ラ
ジカル発生剤)の存在下にフッ素含有単量体等をラジカ
ル重合することにより得ることができる。このようなラ
ジカル重合法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合
法、塊状重合法および溶液重合法等を採用することがで
きる。また、ラジカル重合法における重合操作について
も、回分式、半連続式、連続式など目的に応じて適宜選
択することができる。
【0057】ここで、ラジカル重合開始剤としては、例
えばケトンパーオキサイド類;ハイドロパーオキサイド
類;パーオキシエステル類;アゾ系化合物;過硫酸塩;
ヨウ素含有フッ素化合物が挙げられる。これらのラジカ
ル重合開始剤は、一種単独で使用することも、あるいは
2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、ラ
ジカル重合速度を調節する観点から、上述したラジカル
重合開始剤とともに、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫
酸ナトリウムなどの無機還元剤や、ナフテン酸コバル
ト、ジメチルアニリンなどの有機還元剤を使用すること
も好ましい。
【0058】また、好ましいラジカル重合開始剤とし
て、下記一般式(5)で表されるアゾ基含有ポリシロキ
サン化合物を使用することも好ましい。このようなラジ
カル重合開始剤を使用することにより、ラジカル重合反
応を生じさせるとともに、得られる含フッ素重合体中に
シロキサン結合を容易に導入することができる。
【0059】
【化1】
【0060】[一般式(5)中、R9、R10、R13〜R
16は炭素数1〜6の一価の有機基であり、R11およびR
12は−CNまたは−COOCH3であり、p、q、s、
y、tは1〜6の整数であり、zは1〜20の整数であ
る。]
【0061】また、一般式(5)で表される化合物とし
て、具体的に下記式(6)で表される化合物がより好ま
しい。
【0062】
【化2】
【0063】[式(6)中、yおよびzは、一般式
(5)おける内容と同様である。]
【0064】(5)フッ素含量 フッ素含有重合体中のフッ素含量は特に制限されるもの
ではないが、例えば、3重量%以上の値、より好ましく
は5〜60重量%の範囲内の値とすることである。フッ
素含有重合体中のフッ素含量が3重量%未満である場合
には、防汚性が低下する場合があるためである。なお、
フッ素含有重合体中のフッ素含量は、アリザリンコンプ
レクソン法を用いて測定することができ、重合時におけ
るフッ素含有単量体の使用量(含有割合)や種類を調整
することにより、容易に制御することができる。
【0065】(6)フッ素含有重合体の添加量 フッ素含有重合体の添加量は、特に制限されるものでは
ないが、例えば、(A)成分100重量部に対して、
0.5〜250重量部の範囲内の値とするのが好まし
い。フッ素含有重合体の添加量が0.5重量部未満とな
ると、添加効果は軽微となる場合があり、一方、250
重量部を超えると保存安定性や塗装性が低下する場合が
ある。したがって、確実に添加効果が得られ、またより
保存安定性が優れている観点から、フッ素含有重合体の
添加量を、(A)成分100重量部に対して、1〜20
0重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、30〜
150重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0066】[第3の実施形態]本発明の第3の実施形
態は、基材と、加水分解性シラン化合物の加水分解物
(A成分)、光酸発生剤(B成分)、脱水剤(C成分)
およびシリカ粒子(E成分)を含有する光硬化性組成物
を光硬化して得られた防汚性樹脂層とから構成された積
層体である。このようにシリカ粒子を添加(配合)する
ことにより、得られる積層体の硬化収縮を低減すること
ができる。また、積層体の機械的強度、例えば、ヤング
率の値を高くして、耐擦傷性を向上させることもでき
る。以下、第3の実施形態に使用するシリカ粒子の詳細
について説明するが、加水分解性シラン化合物の加水分
解物(A成分)、光酸発生剤(B成分)、脱水剤(C成
分)、基材等については、第1の実施形態と同様のもの
が使用できるため、ここでの説明は省略する。
【0067】(1)シリカ粒子の添加量 第3の実施形態に使用するシリカ粒子の添加量は、特に
制限されるものではないが、例えば、(A)成分100
重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲内の値と
するのが好ましい。シリカ粒子の添加量が0.1重量部
未満となると、添加効果は軽微であり、一方、100重
量部を超えると保存安定性や塗装性が低下する場合があ
る。したがって、確実に添加効果が得られ、またより保
存安定性が優れている観点から、シリカ粒子の添加量
を、(A)成分100重量部に対して、0.2〜80重
量部の範囲内の値とするのがより好ましく、0.5〜5
0重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0068】(2)シリカ粒子の種類 第3の実施形態に使用するシリカ粒子は、シリカを主成
分とする粒子であれば良く、シリカ以外の他の成分を含
んでいても良い。そのようなシリカ以外の成分としては
アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、及びTi、
Zr、Al、B、Sn、P等の酸化物を挙げることがで
きる。また、シリカ粒子の平均粒子径を、0.001〜
20μmの範囲内の値とするのが好ましい。さらに、シ
リカ粒子を用いて透明な光硬化性組成物あるいは積層体
を形成することを目的とする場合には、平均粒子径を
0.001〜0.2μmの範囲内の値とするのが好まし
く、より好ましくは0.001〜0.01μmの範囲内の
値とすることである。また、使用するシリカ粒子の屈折
率(温度25℃、Na−D線、以下、同様)と、光硬化
性組成物の屈折率との差を、0.02(−)以下とする
ように、シリカ粒子を選択することが好ましい。屈折率
差を、このような値とすることにより、積層体の透明性
をより高めることができる。
【0069】[第4の実施形態]本発明の第4の実施形
態は、基材と、加水分解性シラン化合物の加水分解物
(A成分)、光酸発生剤(B成分)、脱水剤(C成分)
および反応性希釈剤(F成分)を含有する光硬化性組成
物を光硬化して得られた防汚性樹脂層とから構成された
積層体である。このように反応性希釈剤を添加(配合)
することにより、基材に対する密着力を向上させたり、
得られる積層体の硬化収縮を低減したり、あるいは積層
体の機械的強度を制御することができる。さらに、ラジ
カル重合性の反応性希釈剤を用いた場合には、ラジカル
発生剤を添加することにより、光硬化性組成物の光硬化
性をよりきめ細かく調節することができる。また、カチ
オン重合性の反応性希釈剤を用いた場合には、光硬化性
や機械的特性を調節することができる。以下、第4の実
施形態における反応性希釈剤(F成分)の詳細について
説明するが、加水分解性シラン化合物の加水分解物(A
成分)、光酸発生剤(B成分)、脱水剤(C成分)およ
び基材等については、第1の実施形態と同様のものが使
用できるため、ここでの説明は省略する。
【0070】反応性希釈剤の配合量 第3の実施形態において、反応性希釈剤の配合量(添加
量)は特に制限されるものではないが、例えば、(A)
成分100重量部に対して、0.1〜50重量部の範囲
内の値とするのが好ましい。反応性希釈剤の配合量が1
重量部未満となると、添加効果が発現しない場合があ
り、一方、50重量部を超えると、得られる積層体の耐
候性が低下する場合がある。したがって、反応性希釈剤
の配合量を1〜30重量部の範囲内の値とするのがより
好ましく、2〜20重量部の範囲内の値とするのがさら
に好ましい。
【0071】反応性希釈剤の種類 次に、第3の実施形態に使用する反応性希釈剤の種類に
ついて説明する。かかる反応性希釈剤としてカチオン重
合性モノマーおよびエチレン性不飽和モノマーあるいは
いずれか一方のモノマーを配合することが好ましい。具
体的に、カチオン重合性モノマーとしては、エポキシ化
合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセ
タール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、
チエタン化合物、ビニルエーテル化合物、スピロオルソ
エステル化合物、環状エーテル化合物、環状チオエーテ
ル化合物等を挙げることができる。
【0072】また、エチレン性不飽和モノマーはエチレ
ン性不飽和結合(C=C)を分子中に有する化合物であ
り、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有する単
官能モノマー、および1分子中に2個以上のエチレン性
不飽和結合を有する多官能モノマーと定義することがで
きる。好ましいエチレン性不飽和モノマーとして、例え
ば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレー
トポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジ
グリコール(メタ)アクリレートを挙げることができ
る。
【0073】[第5の実施形態]本発明の第5の実施形
態は、基材と、加水分解性シラン化合物の加水分解物
(A成分)、光酸発生剤(B成分)、脱水剤(C成分)
および(A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル
系重合体(G成分)を含有する光硬化性組成物を光硬化
して得られた防汚性樹脂層とから構成された積層体であ
る。このように(A)成分以外の加水分解性シリル基含
有ビニル系重合体を添加(配合)することにより、防汚
性樹脂層の基材に対する密着力を向上させたり、防汚性
樹脂層の硬化収縮を低減したり、あるいは防汚性樹脂層
の機械的強度を制御することができる。以下、第5の実
施形態における(A)成分以外の加水分解性シリル基含
有ビニル系重合体(G成分)のついて詳細に説明する
が、加水分解性シラン化合物の加水分解物(A成分)、
光酸発生剤(B成分)、脱水剤(C成分)および基材等
については、第1の実施形態と同様のものが使用できる
ため、ここでの説明は省略する。
【0074】(1)種類 (A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル系重合
体としては、一般式(7)で表されるように、分子中に
少なくとも1個の加水分解性シリル基を有するビニルモ
ノマーの重合体と定義される。そして、一般式(7)に
おける加水分解性シリル基は、一般式(1)における加
水分解シリル基と同一内容である。
【0075】
【化3】
【0076】[一般式(7)中、R17はそれぞれ独立で
あり、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜12
である一価の有機基であり、R18は炭素数が0または1
〜200の二価の有機基であり、R19は水素または炭素
数が1〜200の一価の有機基であり、tは1〜100
0の整数であり、uは0または1〜1000の整数であ
り、R1、Xおよびpは一般式(1)の内容と同様であ
る。]
【0077】(2)製造方法 次に、(A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル
系重合体の製造方法について説明する。このビニル系重
合体の製造方法は特に制限されるものではないが、例え
ば、以下に示す第1の製造方法や第2の製造方法により
製造することが好ましい。
【0078】(第1の製造方法)加水分解性シリル基含
有ビニル系重合体を製造する第1の製造方法は、加水分
解性シリル基を有する重合性不飽和モノマーを単独重合
するか、あるいは、加水分解性シリル基を有する重合性
不飽和モノマーと加水分解性シリル基を有しない重合性
不飽和モノマーとを共重合することである。このような
第1の製造方法に使用される加水分解性シリル基を有す
る重合性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)ア
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アク
リロキシプロピルトリクロロシラン、ビス(メタクリロ
キシプロピル)ジメトキシシランなどの(メタ)アクリ
ロキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
クロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジ
メトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどのビニ
ルシラン等を挙げることができる。なお、上述した加水
分解性シリル基を有する重合性不飽和モノマーは、1種
を単独重合もしくは、2種以上を組み合わせて重合して
も良い。また、加水分解性シリル基を含まない重合性不
飽和モノマーは、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結
合(C=C)を分子中に有する化合物であり、1分子中
に1個のエチレン性不飽和結合を有する単官能モノマー
から選ばれる。このような加水分解性シリル基を有しな
い化合物(単官能性モノマー)としては、(メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリレート類、アクリルアミド類、
N−ビニル化合物、スチレン類、ビニルエーテル類、ビ
ニルエステル類、ハロゲン化オレフィン類、ジエン類等
が挙げられる。
【0079】(第2の製造方法)第2の製造方法は、反
応性有機基を有するビニル系重合体と、加水分解性シリ
ル基を有する化合物とを化学反応させることにより、加
水分解性シリル基含有ビニル系重合体を製造する方法で
ある。この場合、加水分解性シリル基を有する化合物と
して、予め加水分解もしくは、さらに縮合させたものを
使用することができる。このように加水分解性シリル基
を化学反応により導入する場合、公知の方法を用いるこ
とができ、例えば 1)不飽和二重結合を有するポリマーに対し遷移金属触
媒の存在下、トリアルコキシシランを付加させるヒドロ
シリル化反応、 2)エポキシ基を含有するポリマーに対し、メルカプト
基もしくはアミノ基を有するアルコキシシラン類を付加
反応させる方法、 3)ヒドロキシ基を有するポリマーに対しイソシアネー
ト基を有するアルコキシシランを反応させウレタン結合
によりシリル化する方法などを用いることができる。
【0080】(3)添加量 次に、(A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル
系重合体の添加量について説明する。かかるビニル系重
合体の添加量は特に制限されるものではないが、(A)
成分100重量部に対して、1〜10000重量部の範
囲内の値とするのが好ましい。この理由は、添加量が1
重量部未満となると、下地に対する密着性や柔軟性、あ
るいは耐薬品性が低下する場合があり、一方、添加量が
10000重量部を超えると、光硬化性樹脂組成物の光
硬化性や、得られた硬化物における耐候性が低下する場
合があるためである。したがって、下地に対する密着性
と得られる硬化物の耐候性等とのバランスがより良好な
観点から、かかるビニル系重合体の添加量を、(A)成
分100重量部に対して5〜200重量部の範囲内の値
とすることがより好ましく、10〜100重量部の範囲
内の値とすることがさらに好ましい。
【0081】[第6の実施形態]本発明の第6の実施形
態は、第1〜第5の実施形態で説明した積層体の変形例
であり、図1に示す様に基材14と防汚性樹脂層10と
の間に、プライマー層12を有する構造の積層体16で
ある。なお、基材14および防汚性樹脂層10について
は、第1〜第5の実施形態で説明した内容と同様である
ため、ここでの説明は省略する。
【0082】まず、プライマー層を構成する材料は、特
に限定されるものではなく、アクリル系樹脂、ウレタン
系樹脂、エポキシ系樹脂、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤等を用いることが好ましい。これらの
プライマー層を構成する材料は、一般的に使用されてお
り、実績があるためである。
【0083】また、その他のプライマー層を構成する材
料として、下記(A)〜(C)および(G)成分を含有
する光硬化性組成物を用いることも好ましい。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
3の整数である。] (B)光酸発生剤 (C)脱水剤 (G)(A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル
系重合体 このような光硬化性組成物を用いることにより、プライ
マー層を迅速に形成することができ、また、このような
プライマー層であれば、防汚性樹脂層と組成物が近似し
ており、基材に対する密着力を著しく向上させることが
できる。なお、上述した(A)〜(G)成分は、第1〜
第5の実施形態で既に説明した内容と同様である。
【0084】また、プライマー層の厚さについても特に
限定されるものではないが、例えば、0.01〜10μ
mの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、プラ
イマー層の厚さが0.01μm未満となると、防汚性樹
脂層の基材に対する密着力が向上しない場合があり、一
方、プライマー層の厚さが10μmを超えると、積層体
の全体の厚さが過度に厚くなったり、あるいは光硬化に
より短時間で形成することが困難となる場合があるため
である。
【0085】[第7の実施形態]本発明の第7の実施形
態は、以下に示す第1の工程および第2の工程を含む積
層体の製造方法に関する実施形態である。なお、第1の
工程は、上述した第1〜6の実施形態のいずれか一つの
光硬化性組成物を成形する工程(成形工程と称する場合
がある。)であり、第2の工程は、露光機を用いて露光
することにより、光硬化性組成物を光硬化させる工程
(露光工程と称する場合がある。)である。
【0086】(1)第1の工程 光硬化性組成物の成形方法は特に制限されるものではな
いが、例えば、ディッピングコータやスピンコータある
いはバーコータを用いて、光硬化性組成物を塗布、形成
することが好ましい。具体的に、スピンコータを用いた
場合、スピンコータ内に、基材を固定した後、一例とし
て、回転数1000rpmの条件で、予め粘度調整した
光硬化性組成物を塗布することが好ましい。また、光硬
化性組成物の成形後の厚さは特に制限されるものではな
いが、例えば、1〜200μmの範囲内の値であること
が好ましい。この理由は、成形後の厚さが1μm未満で
は、所定形状に保持することが困難となる場合があり、
一方、200μmを超えると、均一に光硬化させること
が困難となる場合がある。
【0087】また、第1の工程において、光硬化性組成
物の成形後に、100〜150℃の温度で予備加熱(プ
リベイク)することが好ましい。このような条件で光硬
化性組成物を予備加熱することにより、光硬化性組成物
における揮発部分を有効に除去することができ、光硬化
性組成物の成形品が型崩れすることがなくなる。また、
加水分解性シラン化合物(A成分)のシラノールの一部
を反応させることができ、基材に対する密着力や現像時
における耐薬品(現像剤)性を向上させることもでき
る。ただし、過度に加熱して、現像特性が逆に低下しな
いように、110〜140℃の温度で加熱することがよ
り好ましく、115〜130℃の温度で加熱することが
より好ましい。
【0088】さらに、加熱時間については、加熱温度を
考慮して定めるのが好ましいが、100〜150℃の温
度で予備加熱する場合、1〜20分の加熱時間とするの
が好ましい。この理由は、加熱時間が1分未満となる
と、シラノールの反応が不均一となる場合があり、一
方、加熱時間が10分を超えると、シラノールが過度に
反応して、現像液を用いて精度良く現像することが困難
となる場合があるためである。したがって、加熱時間を
2〜15分の範囲内の値とするのが好ましく、3〜10
分の範囲内の値とするのがさらに好ましい。なお、加熱
手段については特に制限されるものではなく、例えば、
オーブンや赤外線ランプを用いることができる。
【0089】(2)第2の工程 また、第2の工程における光硬化方法は第1の実施形態
で一部説明したとおりであるが、全面露光して光硬化さ
せることはもちろんのこと、所定パターンを有するフォ
トマスク介して非収束光を光硬化性組成物にパターン露
光したり、あるいは、多数の光ファイバーを束ねた導光
部材を用い、フォトマスクのパターンに対応する光ファ
イバーからのみ光照射して、パターン露光することも好
ましい。このようにパターン露光することにより、露光
して硬化させた光硬化物部分と、露光せず未硬化の光硬
化性組成物部分とを精度良く形成することができる。し
たがって、未硬化の光硬化性組成物部分のみを、現像液
を用いて容易にウエット現像(除去)することができ、
結果として、耐汚染性樹脂層が設けられていない基材の
露出部を短時間かつ容易に形成することができる。な
お、このような基材の露出部を利用して、所望の部材を
接着固定等することができる。また、マスクパターンの
ライン/スペース(比率50/50)が10μm以上の
範囲、より好ましくは30μm以上の範囲、さらに好ま
しくは、50μm以上の範囲において、光硬化させた
後、現像により基材の露出部を再現性良く形成できるこ
とが確認されている。
【0090】また、光硬化性組成物からなる成形品を離
型材に形成した後、この成形品に対して基材を積層し、
さらに、基材を積層した側から間接的に光を照射するこ
とも好ましく、あるいは基材と反対側すなわち成形品側
から光を直接的に照射することも好ましい。これによ
り、基材に積層する前に、光硬化性組成物からなる成形
品の厚さを予め制御することができる。
【0091】さらに、第2の工程において、光硬化物で
ある汚染性樹脂層をさらに加熱することも好ましい。そ
の場合、通常、室温から基材もしくは塗膜の分解開始温
度以下で、5分〜72時間の条件で加熱するのが好まし
い。このように加熱することにより、より耐熱性や耐候
性に優れた積層体を得ることができる。
【0092】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではな
い。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない
限り重量部を意味している。
【0093】[実施例1] (光硬化性組成物の調製)撹拌機および蒸留装置を備え
た容器内に、メチルトリメトキシシラン(MTMS、8
0.0g、0.558モル)と、電気伝導率が8×10
-5S・cm-1のイオン交換水(16.0g、0.889
モル)とを収容した後、温度60℃、6時間の条件で加
熱撹拌することにより、メチルトリメトキシシランの加
水分解を行った。次いで、容器内の温度を80℃に昇温
させた後、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと
略記)を滴下しながら、加水分解により副生したメタノ
ールを蒸留除去した。そして、最終的に固形分を22重
量%に調整し、(A)成分であるポリシロキサンを含有
する溶液(以下、ポリシロキサン溶液1と称する。)を
得た。得られたポリシロキサン溶液1について、GPC
を用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した
ところ、1500という値が得られた。次いで、得られ
たポリシロキサン溶液1(固形分および溶剤の合計)1
00重量部あたり、(B)成分の光酸発生剤として、S
I−100L(三新化学(株)製)を3重量部、(C)
成分の脱水剤として、オルト蟻酸メチル(和光純薬工業
(株)製)5重量部をそれぞれ添加して、光硬化性組成
物Aを得た。
【0094】(積層体の形成および評価) (1)光硬化性1 得られた光硬化性組成物A(溶液)を、バーコータを用
いて、ポリカーボネート板(厚さ1mm、帝人化成
(株)製)上に塗膜を形成した。次いで、オーブンを用
いて60℃、1分の条件で乾燥し、厚さ5μmの塗膜を
得た後、露光量が100mJ/cm2(照射時間1
秒)、200mJ/cm2(照射時間2秒)および30
0mJ/cm2(照射時間3秒)となるように、温度2
5℃、大気中および窒素中の条件で、オーク製作所
(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ(2kW)を用い
て紫外線を照射し、積層体を形成した。得られた積層体
につき、指触で表面タックを測定し、以下の基準で光硬
化性を評価した。結果を表1に示す。 ◎:100mJ/cm2露光後、防汚性樹脂層に表面タ
ックがない。 ○:200mJ/cm2露光後、防汚性樹脂層に表面タ
ックがない。 △:300mJ/cm2露光後、防汚性樹脂層に表面タ
ックがない。 ×:300mJ/cm2露光後、防汚性樹脂層に表面タ
ックがある。
【0095】(2)光硬化性2 光硬化性組成物Aを温度40℃で1ヶ月間および3ヶ月
間保管した後、目視で外観変化(粘度増加)を測定し、
さらに上記(1)の光硬化性を測定して、以下の基準で
長期保存後の光硬化性を評価した。得られた結果を保存
安定性として表1に示す。 ○:3ヶ月経過後も、外観変化や光硬化性の変化は観察
されない。 △:1ヶ月経過後も、外観変化や光硬化性の変化は観察
されない。 ×:1ヶ月経過後に、外観変化あるいは光硬化性の低下
が観察される。
【0096】(3)防汚染性 光硬化性組成物Aを、上記ポリカーボネート板上にバー
コータを用いて塗布した後、前記コンベア式高圧水銀ラ
ンプを用いて、大気中で、露光量が200mJ/cm2
となるように紫外線を照射し、厚さ5μmの防汚性樹脂
層を有する積層体を形成した。得られた積層体における
防汚性樹脂層の耐汚染性をJIS K6902(熱硬化
性樹脂化粧板試験方法)に準拠して、下記汚染物質を用
いてスポット試験を行い、10分後(汚染物質1〜5)
または16時間後(汚染物質6〜11)に目視により以
下の基準で判断した。結果を表1に示す。なお、汚染物
としては、以下に示す11種類の物質を使用した。 汚染物1(防黴剤、商品名:カビキラー、ジョンソンエ
ンドジョンソン社製) 汚染物2(白髪染剤、商品名:ビゲンヘアカラー、ホー
ユー(株)製) 汚染物3(洗浄剤、商品名:ドメスト、日本リーバ(株)
製) 汚染物4(洗浄剤、商品名:サンポール、大日本除虫菊
(株)製) 汚染物5(靴墨、商品名:クリスタルピン、(株)コロ
ンブス製) 汚染物6(コーヒー、商品名:ネスカフェゴールドブレ
ンド、ネスレ日本(株)製) 汚染物7(紅茶、商品名:日東紅茶、三井農林(株)製) 汚染物8(醤油、商品名:キッコーマンしょうゆ、キッ
コーマン (株)製) 汚染物9(カレー、商品名:ジャワカレー、ハウス食品
(株)製) 汚染物10(ボールペンインク、商品名:SA−7、三
菱鉛筆(株)製) 汚染物11(油性インク、商品名:ぺんてるペンN5
0、ぺんてる(株)製) ○:変化なし △:わずかに変色が観察される。 ×:顕著な変色や防汚性樹脂層の溶解が観察される。
【0097】(4)鉛筆硬度 光硬化性組成物Aを石英板上に回転塗布した後、前記コ
ンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で露光量が2
00mJ/cm2となるように紫外線を照射し、厚さ3
μmの積層体を形成した。得られた積層体の防汚性樹脂
層における鉛筆硬度をJIS K5400に従い測定し
た。なお、基材の柔らかさが影響しないように、硬度の
値が高い石英板を基材として用いた。また、鉛筆硬度の
判定は表面の傷を目視で観察することにより行った。結
果を表1に示す。
【0098】(5)透明性 光硬化性組成物Aをポリカーボネート板に回転塗布した
後、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で
露光量が200mJ/cm2となるように紫外線を照射
し、厚さ10μmの防汚性樹脂層を形成した。次いで、
分光光度計を用いて、波長550nmにおける光透過率
(T%)を測定し、得られた光透過率から以下の基準で
防汚性樹脂層の透明性を評価した。結果を表1に示す。 ○:光透過率が95%以上の値である。 △:光透過率が80〜95%未満の値である。 ×:光透過率が80%未満の値である。
【0099】(6)耐候性 光硬化性組成物Aを石英板上に回転塗布した後、前記コ
ンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で露光量が2
00mJ/cm2となるように紫外線を照射し、厚さ5
μmの防汚性樹脂層を形成し、積層体とした。得られた
積層体についてJIS D0205に準拠して(湿度5
0%、温度63℃、降雨18分/120分照射の条
件)、サンシャインカーボンアーク灯式耐光性試験機を
用い、促進耐候試験を実施した。なお、基材の耐候性に
影響されないように、耐候性に優れた石英板を基材とし
て用いた。そして、促進耐候試験1000時間後および
2000時間後の積層体における防汚性樹脂層の外観を
目視で観察し、以下の基準で以て耐候性を評価した。ま
た、同時に、JIS K7103に準拠した黄変度を△
YI値で以て測定し、同様に耐候性を評価した。結果を
表1に示す。 ○:外観変化(クラック等)が無く、また△YI値が
0.1以下である。 △:外観変化(クラック等)がほとんど無く、また△Y
I値が2以下である。 ×:外観変化(クラック等)が認められるか、△YI値
が2を超えている。
【0100】[実施例2] (光硬化性樹脂組成物の調製)実施例1と同様にポリシ
ロキサン溶液1を調製した。
【0101】また、温度50℃に保持した撹拌機付の容
器内にメチルエチルケトン(以下、MEKと略記)10
0重量部を収容しておき、アクリロイルモルフォリン3
1重量部と、イソボルニルアクリレート57重量部と、
テトラヒドロフルフリルアクリレート9重量部と、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3重量部
と、アゾビスイソブチロニトリル3重量部とからなる反
応液を1時間かけて滴下した。その後、温度80℃、3
時間の条件で加熱撹拌することにより、固形分50重量
%のアクリルシリコン重合体溶液を得た。得られたアク
リルシリコン重合体について、GPCを用いてポリスチ
レン換算の重量平均分子量を測定したところ、約15、
000という値が得られた。次いで、撹拌機付の容器内
に、ポリシロキサン溶液1(固形分および溶剤)318
重量部と、アクリルシリコン重合体溶液(固形分および
溶剤)60重量部と、光酸発生剤CD1012(サート
マー社製)3重量部と、脱水剤であるオルト蟻酸メチル
19重量部をそれぞれ収容後、均一に混合撹拌して光硬
化性樹脂組成物Bを得た。
【0102】(積層体の形成および評価)得られた光硬
化性組成物Bにつき、実施例1と同様に積層体を形成し
て、耐汚染性等を評価した。結果を表1に示す。
【0103】[実施例3] (光硬化性樹脂組成物の調製) (1)フッ素含有重合体の重合 内容積1.0リットルの電磁撹拌機を備えたステンレス
製のオートクレーブ内を窒素ガスを用いて十分に置換し
た。次いで、このオートクレーブ内に、酢酸エチル(重
合溶剤)300gと、エチルビニルエーテル24.0g
と、ヒドロキシブチルビニルエーテル25.8gと、ノ
ニオン性反応性乳化剤NE−30(旭電化工業(株)
製)10.0gと、ラジカル発生剤としてアゾ基含有ポ
リジメチルシロキサンVPS−1001(和光純薬工業
(株)製)1.0gと、過酸化ラウロイル0.5gとを
収容した。そして、共重合成分等を十分に撹拌した後、
ドライアイスおよびメタノールを用いて−50℃まで冷
却し、再度窒素ガスを用いて系内の酸素を除去した。次
いで、ヘキサフルオロプロピレン(ガス)99.9gを
オートクレーブ内に導入した後、オートクレーブ内の温
度を70℃に昇温した。なお、70℃に達した時点で
の、オートクレーブ内の圧力は5.9kgf/cm2
あった。
【0104】次いで、オートクレーブ内の共重合成分等
を撹拌しながら、温度を70℃に保持したまま20時間
かけてラジカル重合反応を行った。そして、オートクレ
ーブ内の圧力が2.5kgf/cm2 まで低下した時点
で、オートクレーブを水冷して反応を停止させた。オー
トクレーブ内の温度が室温まで降下したのを確認した
後、オートクレーブを開放し、未反応モノマーを系外に
放出させるとともに、フッ素含有共重合体溶液(ポリマ
ー溶液)を取り出した。得られたフッ素含有共重合体溶
液を、多量のメタノールに投入し、フッ素含有共重合体
を析出させた。その後、多量のメタノールを用いてフッ
素含有共重合体を洗浄し、さらに温度50℃の真空乾燥
を行い、水酸基を有するフッ素含有重合体の精製物(以
下、共重合体1と称する。)を得た。得られた共重合体
1について、以下のような評価項目をそれぞれ5回測定
し平均した。
【0105】重量平均分子量の測定 得られたフッ素含有共重合体を、濃度0.5重量%とな
るようにTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させた。
次いで、GPC装置HLC−8020(東ソー(株)
製)を使用し、屈折率計(RI)を用いて、ポリスチレ
ン換算分子量として、フッ素含有共重合体の重量平均分
子量を算出した。その結果、得られたフッ素含有共重合
体の重量平均分子量は、23,000であった。
【0106】フッ素含量の測定 得られたフッ素含有共重合体のフッ素含量を、アリザリ
ンコンプレクソン法に準拠して測定した。その結果、得
られたフッ素含有共重合体のフッ素含量は、46.1重
量%であった。
【0107】(2)フッ素含有共重合体の変性 得られた水酸基を有するフッ素含有共重合体100g
と、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン2
0gと、メチルイソブチルケトン500gと、ジブチル
スズジラウレート0.01gとを撹拌機付きの反応容器
内に収容した。次いで、撹拌しながら、窒素ガス雰囲気
下、温度20℃、12時間の条件で、共重合体1とγ−
イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを反応さ
せた。
【0108】次いで、得られた反応液の一部を取り出
し、これに所定量のジブチルアミンを添加して、反応液
中の未反応のγ−イソシアネートプロピルトリエトキシ
シランと反応させた。なお、反応しなかったジブチルア
ミン量を、0.1Nの塩酸を用いて滴定し、未反応のγ
−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン量を求め
た。その結果、反応液中において、γ−イソシアネート
プロピルトリエトキシシランは完全に消費されており、
γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランと共重
合体1とが十分に反応していることが確認された。ま
た、反応溶液の一部をNaCl板上に塗布し、窒素雰囲
気下で乾燥することにより塗膜を形成した。この塗膜に
ついて赤外線スペクトルを測定したところ、イソシアネ
ート基に由来したピークは観察されず、一方で、イソシ
アネート基が反応した生成したウレタン基に由来する新
たなピークが観察された。したがって、以上の滴定およ
び赤外線スペクトルの結果から、γ−イソシアネートプ
ロピルトリエトキシシランとフッ素含有共重合体との反
応は完結し、シラン変性されたフッ素含有共重合体が得
られたことが確認された。
【0109】さらに、シラン変性されたフッ素含有共重
合体を含むことが確認された反応液の一部を取り出し、
これを多量のメタノール中に投入し、シラン変性された
フッ素含有共重合体を析出させた。その後、多量のメタ
ノールを用いて、シラン変性されたフッ素含有共重合体
を洗浄し、さらに温度50℃の真空乾燥を行い、シラン
変性されたフッ素含有重合体の精製物を得た。
【0110】(3)シラン化合物の縮合 実施例1と同様に、MTMS縮合物溶液である、固形分
濃度が22重量%のポリシロキサン溶液1を得た。
【0111】(4)光硬化性樹脂組成物の調製 シラン変性されたフッ素含有重合体の精製物を、MIB
Kに溶解させて、固形分濃度が22重量%の共重合体溶
液とした。この共重合体溶液30gと、ポリシロキサン
溶液1 70gと、光酸発生剤としてのSI−100L
0.66gとを撹拌機付きの容器内に収容後、均一に
混合撹拌して光硬化性樹脂組成物Cを得た。
【0112】(積層体の形成および評価)得られた光硬
化性組成物Cを用い、実施例1と同様に積層体(防汚性
樹脂層)を形成して評価した。結果を表1に示す。な
お、防汚性評価において汚染物質をスポット試験した際
に、乾布を用いて併せてふき取り試験を行ったところ、
すべての汚染物質を容易にふき取ることができることが
確認された。
【0113】[実施例4]実施例1におけるポリカーボ
ネート板の替わりに、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(厚さ188μm、東洋紡(株)製)を基材として
用いたほかは、実施例1と同様に光硬化性組成物Aから
積層体を形成して、耐汚染性等を評価した。結果を表1
に示す。
【0114】[実施例5]実施例1で調製した光硬化性
組成物A(固形分換算)100重量部に対して、シリカ
粒子MEK−ST(日産化学工業(株)製)を20重量部
添加して、光硬化性組成物Dとしたほかは、実施例1と
同様に積層体を形成して評価した。結果を表1に示す。
【0115】[実施例6]実施例1で調製した光硬化性
組成物A(固形分換算)100重量部に対して、反応性
希釈剤KRM2110(ダイセル化学工業(株)製、ニ官
能エポキシ樹脂)を10重量部添加して、光硬化性組成
物Eとしたほかは、実施例1と同様に積層体を形成して
評価した。結果を表1に示す。
【0116】[実施例7] (プライマー層の形成)実施例2と同様にして、ポリシ
ロキサン溶液1およびアクリルシリコン重合体溶液を調
製した後、ポリシロキサン溶液1(固形分および溶剤)
227重量部と、アクリルシリコン重合体溶液(固形分
および溶剤)100重量部と、オルト蟻酸メチル16重
量部と、光酸発生剤としてのSI−100L 6重量部
とを均一に混合してプライマー樹脂溶液を調製した。こ
のプライマー樹脂溶液を、バーコータを用いて、ポリカ
ーボネート板(厚さ1mm、帝人化成(株)製)上に塗
膜を形成した。次いで、オーブンを用いて60℃、1分
の条件で乾燥し、厚さ1μmの塗膜を得た後、大気下、
温度25℃、露光量が500mJ/cm2(照射時間5
秒)となるように、オーク製作所(株)製のコンベア式
高圧水銀ランプ(2kW)を用いて紫外線を照射し、プ
ライマー層を形成した。得られたプライマー層につき、
指触で表面タックを測定したところ、全く表面タックは
感じられなかった。
【0117】(積層体の形成および評価)次いで、得ら
れたプライマー層上に、実施例1と同様の光硬化性組成
物Aからなる防汚性樹脂層を形成して、実施例1と同様
に評価を行った。結果を表1に示す。
【0118】[実施例8] (光硬化性組成物の調製)実施例1と同様にして、ポリ
シロキサン溶液1を作製した。次いで、得られたポリシ
ロキサン溶液1 100重量部あたり、光酸発生剤SI
−100Lを3.0重量部添加して、光硬化性組成物G
を得た。すなわち、実施例7においては、実施例1と異
なり脱水剤を添加せず、光硬化性組成物Gを調製した。
【0119】(積層体の形成および評価)実施例1と同
様に、光硬化性組成物Gから積層体を形成し、評価を行
った。結果を表1に示す。結果から理解されるように、
脱水剤を添加していないため、光硬化性組成物Gにおけ
る保存安定性や硬度が相対的に低下しているものの、そ
の他の特性については同等であることが確認された。
【0120】[比較例1] (光硬化性組成物の調製)ウレタンアクリレートオリゴ
マーであるアロニックスM−1200(東亜合成(株)
製)60重量部と、アクリロイルモルフォリン((株)
興人製)10重量部と、イソボロニルアクリレート(大
阪有機化学工業(株)製)20重量部と、テトラヒドロ
フルフリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
10重量部と、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア
184(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)3重
量部とを均一に混合して、光硬化性組成物Hを得た。
【0121】(積層体の形成および評価)実施例1と同
様に、光硬化性組成物Hから積層体を形成し、耐汚染性
等の評価を行った。結果を表1に示す。
【0122】[比較例2] (評価用組成物の調製)実施例1と同様にして、ポリシ
ロキサン溶液1を調製した。次いで、得られたポリシロ
キサン溶液1 100重量部あたり、オルト蟻酸メチル
を5.0重量部添加して、評価用組成物Iを得た。すな
わち、比較例2においては、実施例1と異なり光酸発生
剤を添加しなかった。
【0123】(積層体の形成および評価)実施例1と同
様に、得られた評価用組成物Iの光硬化性の評価を行っ
た。結果を表1に示す。結果から理解されるように、大
気中でも窒素中でも光硬化しないことが確認された。な
お、適当な積層体が得られなかったため、耐汚染性等の
評価は行わなかった。
【0124】
【表1】
【0125】
【発明の効果】本発明の防汚性積層体によれば、特定の
光硬化性組成物を光硬化してなる防汚性樹脂層を基材上
に有することから、優れた防汚性とともに、高い硬度を
有し、酸素存在下においても光硬化反応により形成可能
な防汚性樹脂層を有する防汚性積層体を提供することが
可能となった。また、本発明の防汚性積層体の好ましい
態様によれば、脱水剤を含む保存安定性に優れた光硬化
性組成物からなる防汚性樹脂層を基材上に有することか
ら、より高い硬度を有する防汚性積層体を提供すること
が可能となった。
【0126】また、本発明の好ましい防汚性積層体の態
様によれば、防汚性樹脂層と同様の組成からなるプライ
マー層を基材上に有することから、優れた防汚性や高い
硬度を有したまま、基材と防汚性樹脂層との間の密着力
を飛躍的に向上させることが可能となった。さらに、本
発明の防汚性積層体の製造方法によれば、酸素存在下に
おいても光硬化反応を用いて、優れた防汚性を有する防
汚性積層体を効率的に提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の防汚性積層体(プライマー層を含
む)の断面図である。
【符号の説明】
10 防汚性樹脂層 12 プライマー層 14 基材 16 防汚性積層体
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 穂積 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA20A AA20K AA21K AH06A AH06K AK01A AK17A AK17J AK17K AK21A AK45 AL01A AL01K AL05A AT00B BA02 CA23A CA30A EJ65B GB07 JB14A JK12 JL06 JL09 JN01 4J038 CD092 CD102 CE052 CH252 CJ182 CL002 DL031 GA15 HA216 HA446 HA556 JA29 JA37 JA56 JA75 JC13 JC31 JC32 JC38 KA02 KA03 KA06 KA08 NA05 PA14 PA17 PC08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)および(B)成分を含有する
    光硬化性組成物を光硬化させた防汚性樹脂層を基材上に
    形成してなる防汚性積層体。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
    物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
    選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
    水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
    3の整数である。] (B)光酸発生剤
  2. 【請求項2】 前記光硬化性組成物中に、(C)成分と
    して、脱水剤を含有させてなる請求項1に記載の防汚性
    積層体。
  3. 【請求項3】 前記光硬化性組成物中に、(D)成分と
    して、フッ素含有重合体を含有させてなる請求項1また
    は2に記載の防汚性積層体。
  4. 【請求項4】 前記光硬化性組成物中に、(E)成分と
    して、シリカ粒子を含有させてなる請求項1〜3のいず
    れか一項に記載の防汚性積層体。
  5. 【請求項5】 前記光硬化性組成物中に、(F)成分と
    して、反応性希釈剤を含有させてなる請求項1〜4のい
    ずれか一項に記載の防汚性積層体。
  6. 【請求項6】 前記光硬化性組成物中に、(G)成分と
    して、(A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル
    系重合体を含有させてなる請求項1〜5のいずれか一項
    に記載の防汚性積層体。
  7. 【請求項7】 前記基材の表面に、下記(A)、(B)
    および(G)成分を含有する光硬化性組成物を光硬化し
    てなるプライマー層が形成してあることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれか一項に記載の防汚性積層体。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
    物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
    選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
    水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
    3の整数である。] (B)光酸発生剤 (G)(A)成分以外の加水分解性シリル基含有ビニル
    系重合体
  8. 【請求項8】 下記(A)および(B)成分を含有する
    光硬化性組成物を光硬化させ、防汚性樹脂層を基材上に
    形成する工程を含むことを特徴とする防汚性積層体の製
    造方法。 (A)一般式(1)で示される加水分解性シラン化合
    物、その加水分解物、およびその縮合物からなる群から
    選択される少なくとも一つの化合物 (R1PSi(X)4-P (1) [一般式(1)中、R1は炭素数が1〜12である非加
    水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜
    3の整数である。] (B)光酸発生剤
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