JP2003238894A - 摺動部材用コーティング組成物および摺動部材 - Google Patents

摺動部材用コーティング組成物および摺動部材

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JP2003238894A
JP2003238894A JP2002041241A JP2002041241A JP2003238894A JP 2003238894 A JP2003238894 A JP 2003238894A JP 2002041241 A JP2002041241 A JP 2002041241A JP 2002041241 A JP2002041241 A JP 2002041241A JP 2003238894 A JP2003238894 A JP 2003238894A
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仲篤 能村
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Yuichi Hashiguchi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性、基材との密着性に優れ、かつ得
られる塗膜が耐摩耗性、摺動特性に優れ、摺動部材用に
好適なコーティング組成物を得る。 【解決手段】 (a)(R1 n Si(OR2 )で表さ
れるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物お
よび該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なく
とも1種、ならびに(b)アゾ基含有ポリシロキサン化
合物に由来するポリシロキサン構造を含有してなる加水
分解性基および/または水酸基と結合した珪素原子を有
するシリル基含有ビニル系樹脂、を含有する耐摩耗性・
摺動特性に優れた摺動部材用コーティング組成物、なら
びに、基材上にこの組成物を塗布し、熱硬化および/ま
たは光硬化させてなる硬化体を有する摺動部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動部材用基材の
表面に硬化体を形成し、摺動部材を得るための組成物、
およびこの組成物を用いた摺動部材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】金属、プラスチック、ゴムなどで構成さ
れている部材表面は、他の部材との接触による摺動によ
りその表面が削られ、表面が凹凸になると同時に摺動特
性が低下する。特に、高速で摺動する部材やトルクがか
かるものは、摩耗が著しく耐久性に乏しい。これら摩耗
による摺動特性低下を抑制するために、従来から潤滑油
などを部材表面に付与することにより潤滑性を向上さ
せ、摩耗低減を実現しているが、潤滑油による汚れ、作
業環境の悪化などをもたらし、さらには潤滑性を維持す
るために潤滑油を常に供給し続けなければならないなど
の問題がある。そのため、乾燥摺動部品向けにフッ素樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール
樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂などが提案され
ているが、耐熱性が乏しい、汚れやすい、基材との密着
が乏しいなどの問題がある。また、樹脂の硬度が乏しく
粒子分散により凹凸を持たせて摺動性を確保している組
成物も多いが、近年の摺動部材、特に光電子部品分野に
おける電子写真や磁気記録といった分野で装置、記録材
料の構成部材において、小型、薄膜化が要求されてお
り、凹凸が部材形状に及ぼす影響は無視できず、凹凸な
く摺動性が確保できる組成が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定のオル
ガノシラン成分と特定のシリル基含有ビニル系樹脂を含
有し、撥水・撥油性を有するため防汚性に優れ、基材と
の密着性が良好で、透明であるため光学特性に優れ、か
つ高硬度で摩擦係数の低い表面を有するため耐摩耗性、
摺動特性に優れた塗膜を形成することが可能であり、特
にデジタル製版機、電子写真複写機、ファクシミリ、レ
ーザープリンタの感光体ロール保護層などの摺動部材、
インクジェットプリンタのノズルヘッドなどの摺動部
材、感熱プリンタのヘッドなどの摺動部材、光および/
または磁気情報装置および記録媒体、VTR用磁気ヘッ
ドドラムや光学レンズ、光学フィルムの保護コート、電
子磁気用摺動部材、または車両用ディスクブレーキやモ
ーターにおける摺動部材、軸受け、LCD用タッチパネ
ルや車両用窓、サンルーフの保護コート、バス、キッチ
ン、洗面台、トイレの保護コート、CRT、LCD、P
DP、ELなどの表示装置用保護コート、フォトマスク
用保護コートなどに好適な、撥水・撥油性を有する耐摩
耗性・摺動特性に優れた摺動部材用のコーティング組成
物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)下記一
般式(1) (R1n Si(OR24-n ・・・・・(1) (式中、R1は、2個存在するときは同一または異な
り、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2は、同一
または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分
解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる
少なくとも1種、ならびに(b)アゾ基含有ポリシロキ
サン化合物に由来する下記一般式(2)で表されるポリ
シロキサン構造を含有してなる加水分解性基および/ま
たは水酸基と結合した珪素原子を有するシリル基含有ビ
ニル系樹脂、を含有する摺動部材用コーテイング組成物
に関する。 〔一般式(2)中、R1〜R2は同一でも異なっていても
よく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、
またはアリール基を示し、mは1〜200の整数であ
る。〕 次に、本発明は、基材に上記組成物を塗布し、熱硬化お
よび/または光硬化させてなる硬化体を有する摺動部材
に関する。ここで、上記硬化体の表面の、動摩擦係数は
0.5以下が好ましく、水接触角は90度以上、オレイ
ン酸接触角は50度以上が好ましく、また、硬化体の、
光線透過率は90%以上、ヘイズは1以下が好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】(a)成分;本発明のコーティン
グ組成物に配合される(a)成分は、上記一般式(1)
で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン
(1)」ともいう)、オルガノシラン(1)の加水分解
物、およびオルガノシラン(1)の縮合物から選択され
た少なくとも1種である。すなわち、(a)成分は、こ
れら3種のうちの1種だけでもよいし、任意の2種の混
合物であってもよいし、3種類すべてを含んだ混合物で
あってもよい。ここで、上記オルガノシラン(1)の加
水分解物は、オルガノシラン(1)に2〜4個含まれる
OR2基がすべて加水分解されている必要はなく、例え
ば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加
水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であっ
てもよい。また、上記オルガノシラン(1)の縮合物
は、オルガノシラン(1)の加水分解物のシラノール基
が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである
が、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必
要はなく、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、
縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含し
た概念である。
【0006】一般式(1)において、R1の炭素数1〜
8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−
ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エ
チルヘキシル基などのアルキル基、アセチル基、プロピ
オニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、ト
リオイル基などのアシル基、ビニル基、アリル基、シク
ロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)ア
クリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセ
トアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基
の置換誘導体などを挙げることができる。
【0007】R1の置換誘導体における置換基として
は、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミ
ノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリ
シドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メ
タ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基
などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導
体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含め
て8以下である。一般式(1)中に、R1が2個存在す
るときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0008】また、R2の炭素数1〜5のアルキル基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることが
でき、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセ
チル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カ
プロイル基などを挙げることができる。一般式(1)中
に複数個存在するR2は、相互に同一でも異なってもよ
い。
【0009】このようなオルガノシラン(1)の具体例
としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロ
ポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテト
ラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシ
シラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピ
ルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラ
ン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエ
トキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−
ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキ
シシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロ
ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,
3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチル
トリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキ
シシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−
ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキ
シプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエ
トキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキ
シシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリル
オキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロ
ピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエ
トキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチ
ルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−
n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエ
トキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ
−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメ
トキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−
n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエ
トキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ
−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジ
メトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、
ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチル
ジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシ
シラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン
などのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチ
ルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなど
を挙げることができる。
【0010】これらのうち、トリアルコキシシラン類、
ジアルコキシシラン類が好ましく、また、トリアルコキ
シシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメト
キシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類
としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシランが好ましい。
【0011】本発明において、オルガノシラン(1)と
しては、特にトリアルコキシシランのみ、あるいは、ト
リアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシ
ラン60〜5モル%との組み合わせが好ましい。トリア
ルコキシシランの場合はメチルトリメトキシシランとグ
リシドキシプロピルトリメトキシシランの組み合わせが
好ましく、得られる塗膜を柔軟化し、密着性を向上させ
ることができる。
【0012】オルガノシラン(1)は、そのまま、ある
いは加水分解物および/または縮合物として使用され
る。オルガノシラン(1)を加水分解物および/または
縮合物として使用する場合は、予め加水分解・縮合させ
て(a)成分として使用することもできるが、後述する
ように、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して
組成物を調製する際に、適量の水を添加することによ
り、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させて、
(a)成分とすることが好ましい。
【0013】なお、(a)成分のうち、部分加水分解物、
加水分解部分縮合物としては、R 3SiO2/1、R2
iO2/2、RSiO3/2、またはSiO4/2からなる
構成単位を1種以上含有してなる組成物であってもよ
い。この市販品には、三菱化学(株)製のMKCシリケ
ート、コルコート社製のエチルシリケート、東レ・ダウ
コーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン
(株)製のシリコンレジン、例えばYR3370、TS
R127B、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、
例えばX40−9220、X40−9225、ポリジメ
チルシロキサン、例えばX62−2676、KS−83
7、KS−779、KS−3656、KS−778、K
S−835、KS−3650、KS−3604、KS−
847、KS−847T、KS−770L、KS−77
6A、KS−3600、KS−856、KS−3702
L、KS−3603、X−62−2405、KS−35
04、KS−3703、KS−830、KS−839
L、KS−3503、KS−3601、KS−830
E、KS−3502、日本ユニカ(株)製のシリコンオ
リゴマー、例えばMAC2101、MAC2301など
があり、これらをそのまま、または縮合させて使用して
もよい。
【0014】(a)成分が縮合物として使用されると
き、該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量(以下
「Mw」という)は、好ましくは、300〜100,0
00、さらに好ましくは、400〜70,000、特に
好ましくは1,000〜50,000である。Mwが
1,000〜50,000であると、特に本発明の組成
物の硬化性が向上する。本発明において、(a)成分
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。
【0015】(b)成分 (b)成分は、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来
する上記一般式(2)で表されるポリシロキサン構造を
含有してなる加水分解性基および/または水酸基と結合
した珪素原子を有するシリル基(以下「特定シリル基」
という)を、好ましくは重合体分子鎖の末端および/ま
たは側鎖に有するシリル基含有ビニル系樹脂からなる。
本発明の組成物において、(b)シリル基含有ビニル系
樹脂は、塗膜を硬化させる際に、そのシリル基中の加水
分解性基および/または水酸基がそれ自身および上記
(a)成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能を
もたらす成分である。(b)成分におけるケイ素原子の
含有量は、(b)成分全体に対して、通常、0.001
〜20重量%、好ましくは0.01〜15重量%であ
る。好ましい特定シリル基は、下記一般式(4)で表さ
れる基である。
【0016】 (式中、Xはハロゲン原子、アルコキシル基、アセトキ
シ基、フェノキシ基、チオアルコキシル基、アミノ基な
どの加水分解性基または水酸基を示し、R3は水素原
子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10
のアラルキル基を示し、iは1〜3の整数である。)
【0017】(b)成分は、例えば、下記(イ)や
(ロ)などの方法により、製造することができる。 (イ)上記一般式(4)に対応するヒドロシラン化合物
(以下「ヒドロシラン化合物(イ)」という)を、炭素
−炭素二重結合を有するビニル系重合体(以下「不飽和
ビニル系重合体」という)中の該炭素−炭素二重結合に
付加反応させる方法。
【0018】(ロ)下記一般式(5) 〔式中、X,R3,iは一般式(4)におけるそれぞれ
X,R3,iと同義であり、R4は重合性二重結合を有す
る有機基を示す〕で表されるシラン化合物(以下「不飽
和シラン化合物(ロ)」という)と、他のビニル系単量
体とを共重合する方法。
【0019】上記(イ)の方法に使用されるヒドロシラ
ン化合物(イ)としては、例えば、メチルジクロルシラ
ン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなどの
ハロゲン化シラン類;メチルジメトキシシラン、メチル
ジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメ
トキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシ
ラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセト
キシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシシ
ラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシシ
ラン、ジメチル・アミノキシシランなどのアミノキシシ
ラン類などを挙げることができる。これらのヒドロシラ
ン化合物(イ)は、単独でまたは2種以上を混合して使
用することができる。
【0020】また、上記(イ)の方法に使用される不飽
和ビニル系重合体は、水酸基を有する重合体以外であれ
ば特に限定されず、例えば下記(イ−1)や(イ−2)
の方法あるいはこれらの組み合わせなどによって製造す
ることができる。 (イ−1)官能基(以下「官能基(α)」という)を有
するビニル系単量体を(共)重合したのち、該(共)重
合体中の官能基(α)に、該官能基(α)と反応しうる
官能基(以下「官能基(β)」という)と炭素・炭素二
重結合とを有する不飽和化合物を反応させることによ
り、重合体分子鎖の側鎖に炭素−炭素二重結合を有する
不飽和ビニル系重合体を製造する方法が挙げられる。
【0021】(イ−2)官能基(α)を有するラジカル
重合開始剤(例えば、4,4−アゾビス−4−シアノ吉
草酸など)を使用し、あるいは、ラジカル重合開始剤と
連鎖移動剤の双方に官能基(α)を有する化合物(例え
ば、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸とジチオグリ
コール酸など)を使用して、ビニル系単量体を(共)重
合して、重合体分子鎖の片末端あるいは両末端にラジカ
ル重合開始剤や連鎖移動剤に由来する官能基(α)を有
する(共)重合体を合成したのち、該(共)重合体中の
官能基(α)に、官能基(β)と炭素・炭素二重結合と
を有する不飽和化合物を反応させることにより、重合体
分子鎖の片末端あるいは両末端に炭素−炭素二重結合を
有する不飽和ビニル系重合体を製造する方法。
【0022】(イ−1)および(イ−2)の方法におけ
る官能基(α)と官能基(β)との反応の例としては、
カルボキシル基と水酸基とのエステル化反応、カルボン
酸無水物基と水酸基との開環エステル化反応、カルボキ
シル基とエポキシ基との開環エステル化反応、カルボキ
シル基とアミノ基とのアミド化反応、カルボン酸無水物
基とアミノ基との開環アミド化反応、エポキシ基とアミ
ノ基との開環付加反応、水酸基とイソシアネート基との
ウレタン化反応や、これらの反応の組み合わせなどを挙
げることができる。重合開始剤、分子量調整剤、キレー
ト化剤、無機電解質は、公知のものを使用することがで
きる。
【0023】官能基(α)を有するビニル系単量体とし
ては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン
酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カル
ボン酸無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メ
チロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチ
ルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニル系単量体;2
−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロ
ピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メ
タ)アクリレート、2−アミノエチルビニルエーテルな
どのアミノ基含有ビニル系単量体;1,1,1−トリメ
チルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチル−1−
エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチ
ル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)ア
クリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−フェニ
ル−2′−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリル
イミド、1,1−ジメチル−1−(2′−ヒドロキシ−
2′−フェノキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイ
ミドなどのアミンイミド基含有ビニル系単量体;グリシ
ジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル
などのエポキシ基含有ビニル系単量体などを挙げること
ができる。これらの官能基(α)を有するビニル系単量
体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することが
できる。
【0024】官能基(α)を有するビニル系単量体と共
重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、 (1)スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチ
レン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−
メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4
−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジ
メチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロ
ロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メ
チルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジク
ロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニル
ナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;
【0025】(2)メチル(メタ)アクリレート、 エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ
ート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル
(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、
i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)ア
クリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物;
【0026】(3)ジビニルベンゼン、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、 テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量
体;
【0027】(4)(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)
アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミ
ド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、
マレイミドなどの酸アミド化合物; (5)塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエス
テルなどのビニル化合物;
【0028】(6)1,3−ブタジエン、2−メチル−
1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタ
ジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−
クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブ
タジエン、イソプレン、アルキル基、ハロゲン原子、シ
アノ基などの置換基で置換された置換直鎖共役ペンタジ
エン類、直鎖状および側鎖状の共役ヘキサジエンなどの
脂肪族共役ジエン;トラフルオロエチレン、ヘキサフル
オロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオ
ロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テ
トラフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン類; (7)CH2=CH−O−Rf (Rfは、フッ素原子を含むアルキル基もしくはアルコ
キシアルキル基を示す)で表される(フルオロアルキ
ル)ビニルエーテル、または、(フルオロアルコキシア
ルキル)ビニルエーテル類;
【0029】(8)パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフ
ルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブ
チルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニ
ルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエー
テル)類; (9)パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテ
ル)などのパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエ
ーテル)類 (10)アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなど
のシアン化ビニル化合物; (11)2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アク
リレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)
エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキ
シル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオ
ロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パー
フルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、1H,
1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレ
ート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデ
シル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)ア
クリル酸エステル類;
【0030】(12)4−(メタ)アクリロイルオキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メ
タ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,
2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのピペリ
ジン系モノマー; (13)ビニルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエ
チルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエ
ーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−
ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチ
ルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエー
テル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどのビ
ニルエーテル類;
【0031】(14)アリルグリシジルエーテル、2−
ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチ
ルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルな
どのアリルエーテル類; (15)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニル
エーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニ
ルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペ
ンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、
n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエー
テル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキ
シルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルもし
くはシクロアルキルビニルエーテル類、などが挙げられ
る。官能基(β)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽
和化合物としては、例えば、官能基(α)を有するビニ
ル系単量体と同様のビニル系単量体や、上記水酸基含有
ビニル系単量体とジイソシアネート化合物とを等モルで
反応させることにより得られるイソシアネート基含有不
飽和化合物などを挙げることができる。
【0032】また、上記(ロ)の方法に使用される不飽
和シラン化合物(ロ)の具体例としてはCH2=CHS
i(CH3)(OCH3)2、CH2=CHSi(OC
3)3、CH2=CHSi(OC253、CH2=CHS
i(CH3)Cl2、CH2=CHSiCl3、CH2=CH
COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C
HCOO(CH2)2Si(OCH3)3、CH2=CHCO
O(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHC
OO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCOO
(CH2)2Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(C
2)2SiCl3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(C
3)Cl2、CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3、C
2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH
3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OC
3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(C
3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3
Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)2
Si(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH2)
2SiCl3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si
(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3
iCl3
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】
【化4】
【0037】を挙げることができる。これらは、1種単
独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0038】また、(b)成分の他の例としては、特定
シリル基含有エポキシ樹脂、特定シリル基含有ポリエス
テル樹脂などを挙げることができる。上記特定シリル基
含有エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビス
フェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエ
ーテル、脂肪族ポリグリシジルエステルなどのエポキシ
樹脂中のエポキシ基に、特定シリル基を有するアミノシ
ラン類、ビニルシラン類、カルボキシシラン類、グリシ
ジルシラン類などを反応させることにより製造すること
ができる。また、上記特定シリル基含有ポリエステル樹
脂は、例えば、ポリエステル樹脂中に含有されるカルボ
キシル基や水酸基に、特定シリル基を有するアミノシラ
ン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを
反応させることにより製造することができる。
【0039】(b)成分のポリスチレン換算数平均分子
量(以下「Mn」という)は、好ましくは、1,000
〜500,000、さらに好ましくは、3,000〜3
00,000である。本発明において、(b)成分は、
単独でまたは上記のようにして得られた2種以上を混合
して使用することができる。
【0040】また、(b)成分は、下記一般式(2)で
表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来するポ
リシロキサン構造を、好ましくは0.1〜10モル%含
有してなる。 〔一般式(2)中、R1〜R2は同一でも異なっていても
よく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、
またはアリール基を示し、mは1〜200の整数であ
る。〕 さらに詳しくは、(b)成分は、下記一般式(3)で表さ
れる構造単位を含有してなり、−(OSiR8R10)q
量に換算して0.1〜10モル%からなる。 〔一般式(3)中、R3〜R6は同一でも異なっていても
よく、水素原子、アルキル基、またはシアノ基を示し、
R7〜R10は同一でも異なっていてもよく、水素原子、
アルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基
を示す。s,rは1〜6の整数、o,pは0〜6の整
数、qは1〜200の整数である。〕 本発明の一般式(2)で表される化合物は、具体的には
和光純薬(株)製、商品名VPS−1001、VPS−
0501が挙げられる。これらアゾ基含有ポリシロキサ
ンは、それ自体が熱ラジカル発生剤であり、他のラジカ
ル発生剤も併用することができる。すなわち、本発明の
(b)成分は、例えば、一般式(2)で表されるポリシ
ロキサン構造を有する化合物、好ましくは一般式
(3)、さらに好ましくはR3,R4〜がCH3、R5,R
6がCN、R7〜R10がCH3で表されるアゾ基含有ポリ
シロキサン化合物に由来する構造単位を有する化合物を
用いて重合してなる、加水分解性基および/または水酸
基と結合した珪素原子を有するシリル基含有ビニル系樹
脂である。
【0041】溶媒 本発明の組成物は、上記(a)、(b)成分を必須と
し、場合により後述する任意成分などを含有するもので
あり、通常、これらの成分を均一に混合させ、組成物の
全固形分濃度を調整するために水および/または有機溶
剤が添加される。本発明における水の使用量は、(a)
成分におけるオルガノシラン(1)1モルに対して、通
常、0.5〜3モル、好ましくは、0.7〜2モル程度
である。
【0042】また、上記有機溶剤としては、上記各成分
を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、
例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル
類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤のうち、アルコール類の具体例として
は、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコー
ル、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n
−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなど
を挙げることができる。
【0043】また、芳香族炭化水素類の具体例として
は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類
の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンな
どを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケ
トンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを
挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でまた
は2種以上を混合して使用することができる。
【0044】本発明の組成物の全固形分濃度は、好まし
くは、50重量%以下であり、使用目的に応じて適宜調
整される。例えば、薄膜形成を目的とするときには、通
常、20重量%以下であり、また厚膜形成を目的で使用
するときには、通常、20〜50重量%、好ましくは3
0〜45重量%である。組成物の全固形分濃度が50重
量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。な
お、本発明の組成物には、以下の(c)成分以降の上記
(a)〜(b)成分以外の他の成分を配合することができ
る。
【0045】(c)触媒 本発明のコーティング組成物には、(a)成分、(b)
成分などの加水分解・縮合反応を促進する(c)触媒を
添加してもよい。(c)成分を使用することにより、得
られる塗膜の硬化速度を高めるとともに、アルコキシシ
リル基の架橋反応が促進され、低温での硬化性や硬度、
耐刺傷性などの塗膜強度、長期耐久性などに優れた塗膜
を得ることができる。
【0046】このような(c)成分としては、酸性化合
物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機
金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、
有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をま
とめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。上記
酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン
酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタ
ル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸であ
る。また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることがで
き、好ましくは、水酸化ナトリウムである。また、上記
塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、
亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属
塩などを挙げることができる。
【0047】また、上記アミン化合物としては、例え
ば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェ
ニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノール
アミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリ
メトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・ト
リメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノ
プロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチ
ル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3
−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキル
アミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹
脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げ
ることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリ
メトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・ト
リエトキシシランである。
【0048】また、上記有機金属化合物等としては、例
えば、下記一般式(6)で表される化合物(以下「有機
金属化合物(6)」という)、同一のスズ原子に結合し
た炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価ス
ズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」とい
う)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物など
を挙げることができる。
【0049】 M(OR5)p(R6COCHCOR7)q・・・(6) 〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウム
を示し、R5およびR6は、同一または異なって、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n
−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭
素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R 7は、R5およ
びR6と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほ
か、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−
プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、
t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ
基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、pお
よびqは0〜4の整数で、(p+q)=(Mの原子価)
である。〕
【0050】有機金属化合物(6)の具体例としては、 (イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−
ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−
n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコ
ニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテー
ト)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトア
セテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセト
アセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセト
アセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合
物;
【0051】(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウ
ム、テトラ−n−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロ
ポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、
ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナ−ト)チ
タニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセト
ナート)チタニウム、テトラキス(2−エチルヘキシル
オキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、チタ
ニウム−i−プロポキシオクチレングリコール、チタニ
ウムステアレート、テトラ−i−プロポキシチタニウム
の重合体、テトラ−n−プロポキシチタニウムの重合体
などの有機チタン化合物; (ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プ
ロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−
i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、
i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アル
ミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナー
ト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)
アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミ
ニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセ
トアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化
合物などを挙げることができる。
【0052】これらの有機金属化合物(6)およびその
部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルア
セトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビ
ス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロ
ポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス
(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、
これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0053】また、有機スズ化合物の具体例としては、
(C492Sn(OCOC11232、(C492
n(OCOCH=CHCOOCH32、(C492
n(OCOCH=CHCOOC492、(C8172
Sn(OCOC8172、(C8172Sn(OCOC
11232、(C8172Sn(OCOCH=CHCO
OCH32、(C8172Sn(OCOCH=CHCO
OC492、(C8172Sn(OCOCH=CHC
OOC8172、(C8172Sn(OCOCH=CH
COOC16332、(C8172Sn(OCOCH=
CHCOOC17352、(C8172Sn(OCOC
H=CHCOOC18372、(C8172Sn(OC
OCH=CHCOOC20412
【0054】 (C49)Sn(OCOC11233、(C49)Sn
(OCONa)3などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0055】(C492Sn(SCH2COOC
8172、(C492Sn(SCH2CH2COOC8
172、(C8172Sn(SCH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC12252、(C8
172Sn(SCH2CH2COOC12252、(C4
9)Sn(SCOCH=CHCOOC8173、(C8
17)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
【0056】 などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0057】(C492Sn=S、(C8172Sn
=S、 などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0058】(C49)SnCl3、(C492SnC
2、(C8172SnCl2などのクロライド型有機スズ化合物;(C492Sn
O、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、
これらの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレ
イン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオク
チルなどのエステル化合物との反応生成物などを挙げる
ことができる。
【0059】(c)成分として、好ましくは有機金属化
合物であり、さらに好ましくは前述のテトラ−n−ブト
キシジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチ
ルアセトナ−ト)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エ
チルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルア
セトアセテート)アルミニウムである。
【0060】(c)成分は、単独でまたは2種以上を混
合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の
反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0061】(c)成分は、組成物を調製する際に配合
してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合
してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との
両方の段階で配合してもよい。(c)成分の使用量は、
コーティング組成物100重量部(固形分換算)に対し
て、通常、0〜100重量部、好ましくは、0.005
〜80重量部、さらに好ましくは、0.01〜50重量
部であり、(c)成分の使用量が100重量部を超える
と、組成物中に部分ゲルが発生し、コーティング膜中の
平滑性が低下する傾向がある。
【0062】(d)成分 (d)成分は、下記一般式(7) R6COCH2COR7 ・・・(7) 〔式中、R6およびR7は、有機金属化合物(6)におけ
る上記各一般式のそれぞれR6およびR7と同義である〕
で表されるβ−ジケトン類およびβ−ケトエステル類、
カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合
物、およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択
される少なくとも1種である。このような(d)成分
は、特に、上記(c)成分として有機金属化合物等を使
用する場合に併用することが好ましい。
【0063】(d)成分は、組成物の安定性向上剤とし
て作用するものである。すなわち、(d)成分が上記有
機金属化合物等の金属原子に配位して、該有機金属化合
物等による上記(a)成分と(b)成分の共縮合反応を
促進する作用を適度にコントロールすることにより、得
られる組成物の保存安定性をさらに向上させる作用をな
すものと推定される。
【0064】(d)成分の具体例としては、アセチルア
セトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト
酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセ
ト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、ア
セト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘ
プタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、
オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、
5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュ
ウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢
酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコー
ル、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジ
ン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミ
ン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジ
チゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどを挙げる
ことができる。これらのうち、アセチルアセトン、アセ
ト酢酸エチルが好ましい。(d)成分は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。
【0065】(d)成分の使用量は、上記有機金属化合
物等における有機金属化合物1モルに対して、通常、2
モル以上、好ましくは3〜20モルである。この場合、
(d)成分の使用量が2モル未満では、得られる組成物
の保存安定性の向上効果が不充分となる傾向がある。
【0066】(e)成分 摺動性向上を目的として、(e)無機化合物、有機化合
物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドからなる
組成物を配合してもよい。(e)成分をなす化合物の具
体例としては、SiO2、TiO2、Al23、Zr
2、ZnO、MoS2、SiC、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオ
ロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル(P
FA)、BN、ポリエチレン、グラファイト、カーボ
ン、弗化黒鉛、タルク、メラミン架橋粒子などを挙げる
ことができる。これら(e)成分は、単独でまたは2種
以上を混合あるいは化学結合を有する複合体として使用
することができ、好ましくはSiO2、Al23、Mo
2、PTFEである。
【0067】(e)成分の存在形態には、粉体、水に分
散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアル
コールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中
に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒
系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によ
ってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また
分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
【0068】(e)成分が水系のゾルもしくはコロイ
ド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場
合、平均粒子径は5μm以下、好ましくは3μm以下
で、でかつ固形分濃度は40重量%以下が好ましい。コ
ロイド状シリカとしては、スノーテックス、イソプロパ
ノールシリカゾル、メタノールシリカゾル〔以上、日産
化学工業(株)製〕;カタロイド、オスカル〔以上、触
媒化成工業(株)製〕;Ludex(米国デユポン社
製);Syton(米国モンサント社製);Nalco
ag(米国ナルコケミカル社製)の商品名で市販されて
いる。また、上記コロイド状アルミナは、例えば、合成
アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイトなどを使用するこ
とができる。このようなコロイド状アルミナは、例え
ば、アルミナゾル100、アルミナゾル520〔以上、
日産化学工業(株)製〕などの名称で市販されている。
PTFEは、ルブロン(ダイキン株式会社製)などの名
称で市販されている。
【0069】(e)成分を組成物中に配合する方法とし
ては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組
成物の調製時に添加して、(e)成分を、上記(a)成
分、(b)成分などと共加水分解・縮合させてもよい。
(e)成分の使用量は、コーティング組成物100重量
部(固形分換算)に対して、固形分で、通常、0〜50
0重量部、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0070】(f)成分 (f)成分は、(e)成分以外の無機化合物の粉体およ
び/またはゾルもしくはコロイドからなり、塗膜の所望
の特性に応じて配合される。
【0071】(f)成分をなす化合物の具体例として
は、AlGaAs、Al(OH)、Sb 、S
、SnO 、Sn−In 、In
、Sb−In 、InP、InSb、InA
s、InGaAlP、MgF、CeF 、CeO
、3Al・2SiO 、BeO、SiC、
AlN、Fe、Fe 、Co、Co−FeOx
、CrO 、FeN、BaTiO 、BaO−
Al−SiO 、Baフェライト、SmCO
、YCO 、CeCO 、PrCO 、Sm
CO17、NdFe14B、ZrO 、Al4O
、AlN、α−Si、SiN 、CoO、Sb−S
nO 、MnO 、MnB、Co 、Co
B、LiTaO 、MgO、MgAl 、Be
Al 、ZrSiO 、ZnS、ZnSe、Z
nSb、ZnTe、PbTe、PbS、PbSe、Ge
Si、FeSi 、CrSi 、CoSi 、M
nSi1.73、MgSi、β−B、BaC、BP、
TiB 、ZrB 、HfB 、RuSi
RuO 、TiO 、SrTiO 、FeTiO
、PbTiO、AlTiO 、ZnSiO
、ZrSiO 、2MgO−Al −5
SiO 、WO 、Bi 、CdO、Cd
S、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO 、M
oS 、LaRhO 、GaN、CdP、Nb
、GaAsP、LiO−Al−4SiO
、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェ
ライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げる
ことができる。これら(f)成分は、単独でまたは2種
以上を混合して使用することができる。
【0072】さらに、(f)成分としては、光触媒能を
付与するためにはTiO(アナターゼ型を含むことが
好ましい)、紫外線吸収能を付与するためにはCeO
、ZnOなどを用いることが好ましい。
【0073】(f)成分の平均粒径は、好ましくは30
μm以下、より好ましくは0.005〜20μm、さら
に好ましくは0.005〜10μmである。平均粒径が
30μmを超えると、得られる塗膜の表面が平滑になら
ない場合がある。
【0074】(f)成分の存在形態には、粉体、水に分
散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアル
コールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中
に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒
系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によ
ってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また
分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
(f)成分が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶
媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は
40重量%以下が好ましい。
【0075】(f)成分を組成物中に配合する方法とし
ては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組
成物の調製時に添加して、(f)成分を、上記(a)成
分、(b)成分などと共加水分解・縮合させてもよい。
(f)成分の使用量は、上記(a)100重量部(固形
分換算)に対して、固形分で、通常、0〜500重量
部、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0076】レベリング剤 なお、組成物のコーティング性をより向上させるために
レベリング剤を配合することができる。このようなレベ
リング剤のうち、フッ素系のレベリング剤(商品名。以
下同様)としては、例えば、ビーエムヘミー(BM−C
HEMIE)社のBM1000、BM1100;エフカ
ケミカルズ社のエフカ772、エフカ777;共栄社化
学(株)製のフローレンシリーズ;住友スリーエム
(株)のFCシリーズ;東邦化学(株)のフルオナール
TFシリーズなどを挙げることができ、シリコーン系の
レベリング剤としては、例えば、ビックケミー社のBY
Kシリーズ;シュメグマン(Sshmegmann)社
のSshmegoシリーズ;エフカケミカルズ社のエフ
カ30、エフカ31、エフカ34、エフカ35、エフカ
36、エフカ39、エフカ83、エフカ86、エフカ8
8などを挙げることができ、エーテル系またはエステル
系のレベリング剤としては、例えば、日信化学工業
(株)のカーフィノール;花王(株)のエマルゲン、ホ
モゲノールなどを挙げることができる。
【0077】このようなレベリング剤を配合することに
より、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均
一に塗布することができる。レベリング剤の使用量は、
全組成物に対して、好ましくは、0.01〜5重量%、
さらに好ましくは0.02〜3重量%である。
【0078】レベリング剤を配合する方法としては、組
成物を調製する際に配合してもよく、また塗膜を形成す
る段階で組成物に配合してもよく、さらには組成物の調
製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
【0079】他の添加剤(1) また、本発明のコーティング組成物には、得られる塗膜
の着色、厚膜化などのために、別途、充填材を添加・分
散させることもできる。このような充填材としては、例
えば、非水溶性の有機顔料や無機顔料、顔料以外の、粒
子状、繊維状もしくは鱗片状のセラミックス、金属ある
いは合金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、
炭化物、窒化物、硫化物などを挙げることができる。た
だし、この他の添加剤としては、上記の(e)、(f)
成分を除く。
【0080】上記充填材の具体例としては、鉄、銅、ア
ルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボ
ンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガ
ン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ム
ライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、
窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石
灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、
亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー
緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン
緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリ
ーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸
銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マ
ンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カ
ルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カ
ドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、
ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン
赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモ
ン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、
酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソ
ン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン
黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性
黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンな
どを挙げることができる。これらの充填材は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。充填材
の使用量は、組成物の全固形分100重量部に対して、
通常、300重量部以下である。
【0081】さらに、本発明のコーティング組成物に
は、所望により、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチ
ル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤;ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカル
ボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミ
ドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤;
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類や、
ひまし油誘導体、フェロけい酸塩などの増粘剤;炭酸ア
ンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドなどの
無機発泡剤や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ
化合物、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒド
ラジンなどのヒドラジン化合物、セミカルバジド化合
物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物などの有
機発泡剤のほか、界面活性剤、シランカップリング剤、
チタンカップリング剤、染料などの他の添加剤を配合す
ることもできる。
【0082】本発明のコーティング組成物の調製法の具
体例としては、下記〜の方法などを挙げることがで
きる。 (a)成分を構成するオルガノシラン(1)、(b)
成分、(c)成分および必要量の有機溶剤からなる混合
物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行った
のち、(d)成分を添加する方法。 (a)成分を構成するオルガノシラン(1)、および
必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加え
て加水分解・縮合反応を行い、次いで(b)成分および
(c)成分を加えて混合して、さらに縮合反応を行った
のち、(d)成分を添加する方法。
【0083】(a)成分を構成するオルガノシラン
(1)、(c)成分および必要量の有機溶剤からなる混
合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行
い、次いで(b)成分を加えて混合して、さらに部分縮
合反応を行ったのち、(d)成分を添加する方法。 (a)成分を構成するオルガノシラン(1)の一部、
(b)成分、(c)成分および必要量の有機溶剤からな
る混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を
行い、次いでオルガノシラン(1)の残部を添加して、
さらに加水分解・部分縮合反応を行なったのち、(d)
成分を添加する方法。
【0084】本発明のコーティング組成物は、撥水・撥
油による防汚性を有し、保存安定性に優れ、種々の基材
との密着性、耐湿性、透明性に優れ、低摩擦係数を有す
る耐磨耗性、摺動特性に優れた塗膜(硬化体)を形成す
ることができる。
【0085】本発明のコーティング組成物の全固形分濃
度は、通常、1〜45重量%、好ましくは、2〜40重
量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物
の全固形分濃度が45重量%を超えると、保存安定性が
低下する傾向がある。
【0086】コーティング仕様(硬化体) 本発明の摺動部材を構成する硬化体の構成としては、例
えば、基材/本発明のコーティング組成物、基材/プラ
イマー/本発明のコーティング組成物などが挙げられ
る。本発明のコーティング組成物およびプライマーを基
材に塗布する際には、いずれの組成物の場合も、刷毛、
ロールコーター、フローコーター、スピンコーター、超
音波コーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗
り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着などが
挙げられる。
【0087】基材 本発明の組成物を適用しうる基材としては、プラスチッ
クフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレート(PEN)などのポリエ
ステル;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミ
ド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)な
どのポリオレフィン;ポリメタクリル酸メチル(PMM
A)などのポリアクリル;ビスフェノールA型ポリカー
ボネート、ビスフェノールZ型ポリカーボネート(bi
sZ−PC)、共重合ポリカーボネート(BP−Pc)
などのポリカーボネートを挙げることができ、その他
に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレ
ンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素系
フィルムなどが挙げられる。
【0088】これらの基材には、下地調整、密着性向
上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的
として、予め表面処理を施すこともできる。例えば、ブ
ラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸
気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処
理、イオン処理などを挙げることができる。
【0089】なお、あらかじめプライマーを施す場合に
は、乾燥膜厚として1回塗りで厚さ0.05〜20μm
程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を
形成させることができる。その後、常温で乾燥するか、
あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜6
0分程度加熱して乾燥することにより、各種の壁紙基材
に塗膜を形成することができる。なお、プライマーと本
発明のコーティング組成物から得られる塗膜の総計膜厚
は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜80μm、好ましく
は、0.2〜60μm程度である。
【0090】さらに、用途に応じてプライマーを用いる
場合には、プライマーの種類は特に限定されず、基材と
組成物との密着性を向上させる作用を有するものであれ
ばよく、基材の種類、使用目的に応じて選択する。プラ
イマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用するこ
とができ、また、顔料、染料などの着色成分を含んでい
ても良い。
【0091】プライマーの種類としては、例えば、アル
キド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ア
クリルシリコン樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポ
キシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポ
リエステルエマルジョン、アクリルシリコン樹脂と本発
明の(a)成分からなる組成物などを挙げることができ
る。成膜条件には特に制限がなく、硬化樹脂の場合は常
温硬化、熱硬化、UV硬化、電子線硬化などが使用でき
る。また、これらのプライマーには、厳しい条件での基
材と塗膜との密着性が必要な場合、各種の官能基を付与
することもできる。このような官能基としては、例え
ば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド
基、アミン基、グリシジル基、アルコキシシリル基、エ
ーテル結合、エステル結合などを挙げることができる。
さらに、プライマーには、紫外線吸収剤、紫外線安定剤
などが配合されていてもよい。
【0092】以上の本発明のコーティング組成物は、熱
硬化性組成物として用いられるが、この組成物に、さら
に、(g)光酸発生剤や、(h)脱水剤を配合すること
により、光硬化性組成物として用いることができる。
【0093】(g)光酸発生剤 定義 本発明の組成物に添加する(g)光酸発生剤は、光など
のエネルギー線を照射することにより、(a)成分であ
る加水分解性のオルガノシランを光硬化(架橋)可能な
酸性活性物質を放出することができる化合物と定義され
る。なお、光酸発生剤を分解させて、カチオンを発生す
るするために照射する光エネルギー線としては、可視
光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線などを挙
げることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを
有し、硬化速度が大(速く)であり、しかも照射装置が
比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用すること
が好ましい。
【0094】また、本発明の耐摩耗性・摺動特性に優れ
た硬化体を形成するにおいて、組成物に、光酸発生剤と
ともに後述するラジカル発生剤を併用することも好まし
い。中性の活性物質であるラジカルは、シラノール基の
縮合反応を促進することはないが、(a)成分中にラジ
カル重合性の官能基を有する場合に、この官能基の重合
を推進させることができる。したがって、光硬化性組成
物をより効率的に硬化させることができる。
【0095】光酸発生剤の種類 次に、本発明に用いられる光酸発生剤の種類を説明す
る。この光酸発生剤としては、一般式(8)で表される
構造を有するオニウム塩(第1群の化合物)や一般式
(9)で表される構造を有するスルホン酸誘導体(第2
群の化合物)を挙げることができる。
【0096】 〔R8 a9 b10 c11 dW〕+m〔MZm+n-m …… (8) 〔一般式(8)中、カチオンはオニウムイオンであり、
WはS,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,
Br,Clまたは−N≡Nであり、R8〜R11は同一ま
たは異なる有機基であり、a,b,cおよびdはそれぞ
れ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価
数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体〔MXm+n
の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例
えば、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,
Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co
である。Zは、例えば、F,Cl,Brなどのハロゲン
原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イ
オンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。〕
【0097】 Q−〔S(=O)2−R12t …… (9) 〔一般式(9)中、Qは一価もしくは二価の有機基、R
12は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0また
は1、添え字tは1または2である。〕
【0098】まず、第1群の化合物であるオニウム塩
は、光を受けることにより酸性活性物質を放出すること
ができる化合物である。このような第1群の化合物のう
ち、より有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩であり、
特に好ましくは下記一般式(10)で表されるジアリー
ルヨードニウム塩である。 [R13−Ar1−I+−Ar2−R14][Y-] …… (10) 〔一般式(10)中、R13およびR14は、それぞれ1価
の有機基であり、同一でも 異なっていてもよく、R13
およびR14の少なくとも一方は炭素数が4以上のアルキ
ル基を有しており、Ar1およびAr2はそれぞれ芳香族
基であり、同一でも異なっていてもよく、Y-は1価の
陰イオンであり、周期律表3族,5族のフッ化物陰イオ
ン、もしくはClO4 -,CF3 -およびSO3 -から選ばれ
る陰イオンである。〕
【0099】また、第2群の化合物としての一般式
(9)で表されるスルホン酸誘導体の例を示すと、ジス
ルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニル
メタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスル
ホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−
2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネー
ト類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスル
ホネート類を挙げることができる。また、一般式(9)
で表されるスルホン酸誘導体のうち、より好ましくはイ
ミドスルホネート類であり、さらに好ましくはイミドス
ルホネートのうち、トリフルオロメチルスルホネート誘
導体である。
【0100】光酸発生剤の添加量 次に、光硬化性組成物に使用される光酸発生剤の添加量
(含有割合)について説明する。この光酸発生剤の添加
量は特に制限されるものではないが、(a)成分を構成
するオルガノシラン(1)100重量部に対して、通
常、0.1〜15重量部の範囲内の値とするのが好まし
い。光酸発生剤の添加量が0.1重量部未満となると、
光硬化性が低下し、充分な硬化速度が得られない場合が
ある。一方、光酸発生剤の添加量が15重量部を超える
と、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する場合が
ある。したがって、光硬化性と得られる硬化物の耐候性
などとのバランスがより良好な観点から、光酸発生剤の
添加量を、オルガノシラン(1)100重量部に対して
1〜10重量部の範囲内の値とすることがより好まし
い。
【0101】(h)脱水剤 定義 本発明の光硬化性組成物に使用される脱水剤は、化学反
応により水以外の物質に変換する化合物、物理吸着また
は包接により、光硬化性および保存安定性に影響を与え
なくする化合物と定義される。すなわち、このような脱
水剤を含有することにより、光硬化性組成物の耐候性や
耐熱性を損なうことなく、保存安定性や光硬化性という
相反する特性を向上させることができる。この理由とし
て、外部から侵入してくる水を、脱水剤が有効に吸収す
るために光硬化性組成物の保存安定性が向上し、一方、
光硬化反応である縮合反応においては、生成した水を順
次に脱水剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の光
硬化性が向上するものと考えられる。
【0102】脱水剤の種類 次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の種類を説明
する。この脱水剤の種類は特に制限されるものでない
が、有機化合物として、カルボン酸エステル、アセター
ル類(ケタール類を含む)、およびカルボン酸無水物か
らなる群から選択される少なくとも一つの化合物である
ことが好ましい。また、無機化合物として、脱水機能を
有するセラミック粉体の使用も好ましい。これらの脱水
剤は、優れた脱水効果を示し、少量の添加で脱水剤の機
能を効率的に発揮することができる。
【0103】また、脱水剤としてのカルボン酸エステル
は、カルボン酸オルトエステルやカルボン酸シリルエス
テルなどの中から選ばれる。ここで、好ましいカルボン
酸オルトエステルとしては、オルトギ酸メチル、オルト
ギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルトギ酸ブチル、
オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロ
ピル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチルお
よびオルトプロピオン酸エチルなどが挙げられる。ま
た、これらのカルボン酸オルトエステルのうち、より優
れた脱水効果を示し、保存安定性や光硬化性をより向上
させることができる観点から、オルトギ酸エステルが、
本発明における脱水剤として特に好ましい。また、好ま
しいカルボン酸シリルエステルとしては、酢酸トリメチ
ルシリル、酢酸トリブチルシリル、ギ酸トリメチルシリ
ル、シュウ酸トリメチルシリルなどが挙げられる。
【0104】また、好ましいアセタール類としては、例
えば、アセトンジメチルアセタール、アセトンジエチル
アセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、
メチルエチルケトンジメチルアセタール、シクロヘキサ
ノンジメチルアセタールおよびシクロヘキサノンジエチ
ルアセタールが挙げられる。これらのアセタール類は、
優れた脱水効果を示し、光硬化性組成物の保存安定性や
光硬化性をより向上させることができる。
【0105】また、好ましいカルボン酸無水物として
は、例えば、ギ酸無水物、無水酢酸、無水コハク酸、無
水マレイン酸、無水フタル酸、安息香酸無水物、酢酸安
息香酸無水物などが挙げられる。特に、無水酢酸および
無水コハク酸は、脱水効果に特に優れており好ましい。
【0106】また、好ましい脱水機能を有するセラミッ
ク粉体としては、シリカゲル粒子、アルミナ粒子、シリ
カアルミナ粒子、活性白土、ゼオライトなどが挙げられ
る。これらのセラミック粉体は、水に対して、強い親和
力を有しており、優れた脱水効果を発揮することができ
る。
【0107】脱水剤の添加量 次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の添加量につ
いて説明する。脱水剤の添加量は特に制限されるもので
はないが、(a)成分を構成するオルガノシラン(1)
100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部の
範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、脱水剤の
添加量が0.1重量部未満となると、添加効果の発現に
乏しく、保存安定性や光硬化性の向上効果が低い場合が
あるためであり、一方、脱水剤の添加量が100重量部
を超えると、保存安定性や光硬化性の向上効果が飽和す
る場合がある。したがって、より好ましくは、脱水剤の
添加量を、オルガノシラン(1)100重量部に対し
て、0.5〜50重量部の範囲内の値とすることであ
り、さらに好ましくは、1〜10重量部の範囲内の値と
することである。
【0108】その他の添加剤(2) 本発明の光硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損
なわない範囲において、ラジカル性光重合開始剤、光増
感剤、有機溶剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリン
グ剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤な
どの添加剤をさらに含有させることができる。
【0109】光硬化による硬化体の形成方法 本発明の光硬化性組成物から光硬化により硬化体を形成
する場合も、コーティングする方法を採ることが好まし
く、コーティング方法は上記熱硬化性組成物と同様であ
る。また、光硬化性組成物を光硬化する手段も特に制限
されるものではないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧
水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ
などの光源を用いて、波長150〜400nmの光を照
射することが好ましい。また、レーザ光、あるいはレン
ズ、ミラーなどを用いて得られた収束光などを走査させ
ながら光硬化性組成物に光照射することも好ましい。さ
らに、所定のパターンの光透過部を有するマスクを用
い、このマスクを介して非収束光を組成物に光照射した
り、あるいは、多数の光ファイバーを束ねてなる導光部
材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応
する光ファイバーを介して光照射することも好ましい。
【0110】厚さ 光硬化による硬化体(コーティング膜)の厚さは特に制
限されるものでなく、上記熱硬化による硬化体と同様で
ある。
【0111】光硬化性組成物の硬化体の製造方法 本発明の光硬化性組成物から硬化体を製造する方法とし
ては、その第1の工程は、上述した光硬化性組成物を基
材上で成形する工程(成形工程と称する場合がある)で
あり、第2の工程は、露光機を用いて露光することによ
り、光硬化性組成物を光硬化させる工程(露光工程と称
する場合がある)である。
【0112】(1)第1の工程 第1の工程において、形成方法および膜厚は上記のとお
りであるが、光硬化性組成物の成形後に、100〜15
0℃の温度で予備加熱(プリベイク)することが好まし
い。このような条件で光硬化性組成物を予備加熱するこ
とにより、光硬化性組成物における揮発部分を有効に除
去することができ、光硬化性組成物の成形品が型崩れす
ることがなくなる。また、(a)成分を構成するオルガ
ノシラン(1)のシラノールの一部を反応させることが
でき、基材に対する密着力や現像時における耐薬品(現
像剤)性を向上させることもできる。ただし、過度に加
熱して、現像特性が逆に低下しないように、110〜1
40℃の温度で加熱することがより好ましく、115〜
130℃の温度で加熱することがより好ましい。
【0113】さらに、加熱時間については、加熱温度を
考慮して定めるのが好ましいが、100〜150℃の温
度で予備加熱する場合、1〜20分の加熱時間とするの
が好ましい。この理由は、加熱時間が1分未満となる
と、シラノールの反応が不均一となる場合があり、一
方、加熱時間が10分を超えると、シラノールが過度に
反応して、現像液を用いて精度良く現像することが困難
となる場合があるためである。したがって、加熱時間を
2〜15分の範囲内の値とするのが好ましく、3〜10
分の範囲内の値とするのがさらに好ましい。なお、加熱
手段については特に制限されるものではなく、例えば、
オーブンや赤外線ランプを用いることができる。
【0114】(2)第2の工程 また、第2の工程における光硬化方法は、全面露光して
光硬化させることはもちろんのこと、所定パターンを有
するフォトマスク介して非収束光を光硬化性組成物にパ
ターン露光したり、あるいは、多数の光ファイバーを束
ねた導光部材を用い、フォトマスクのパターンに対応す
る光ファイバーからのみ光照射して、パターン露光する
ことも好ましい。このようにパターン露光することによ
り、露光して硬化させた光硬化物部分と、露光せず未硬
化の光硬化性組成物部分とを精度良く形成することがで
きる。具体的に、マスクパターンのライン/スペース
(比率50/50)が10μm以上の範囲、より好まし
くは30μm以上の範囲、さらに好ましくは、50μm
以上の範囲において、光硬化させた後、現像により基材
の露出部を再現性良く形成できることが確認されてい
る。したがって、未硬化の光硬化性組成物部分のみを、
現像液を用いて容易にウエット現像(除去)することが
でき、基材の露出部、すなわち硬化体が設けられていな
い部分を短時間かつ容易に形成することができる。よっ
て、このような基材の露出部を利用して、所望の部材を
強固に接着固定などをすることができる。
【0115】さらに、第2の工程において、光硬化物で
ある耐摩耗性・摺動特性に優れた硬化体をさらに加熱す
ることも好ましい。その場合、基材もしくは塗膜の分解
開始温度以下である温度25〜200℃、5分〜72時
間の条件で加熱するのが好ましい。このように硬化体を
加熱することにより、より耐久性に優れた硬化体(積層
体)を得ることができる。
【0116】本発明の組成物(熱硬化性組成物、光硬化
性組成物)から、上記のようにして得られる硬化体は、
耐摩耗性と摺動特性に優れており、その表面の動摩擦係
数は、通常、0.5以下、さらに好ましくは0.45以
下、さらに好ましくは0.4以下である。また、本発明
の組成物から得られる硬化体の表面の、水接触角は90
度以上、好ましくは95度以上であり、オレイン酸接触
角は50度以上、好ましくは55度以上である。また、
本発明の組成物中に顔料などが含有されない場合には、
透明性に優れ、この場合の硬化体の透過率は、通常、9
0%以上、好ましくは93以上%、ヘイズは、通常、2
以下、好ましくは1以下である。
【0117】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態
をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これら
の実施例になんら制約されるものでない。なお、実施例
および比較例中の部および%は、特記しない限り重量基
準である。また、実施例および比較例における各種の測
定・評価は、下記の方法により行った。
【0118】(1)重量平均分子量 試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、オルガ
ノシランの縮合物1gまたはシリル基含有ビニル系樹脂
0.1gを、それぞれ100ccのテトラヒドロフラン
に溶解して調製した。 標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標
準ポリスチレンを使用した。 装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマ
トグラム(モデル150−C ALC/GPC) カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M
(長さ50cm) 測定温度:40℃ 流速:1cc/分 (2)保存安定性 硬化促進剤を添加しない組成物を、ポリエチレン製ビン
内に、常温で3ヶ月密栓保存して、ゲル化の有無を目視
により判定した。ゲル化を生じていないものについて
は、東京計器(株)製のBM型粘度計による粘度測定を
行った。 ○:粘度増加率が20%未満 △:粘度増加率が20%以上50%未満 ×:粘度増加率が50%以上
【0119】(3)密着性 JIS K5400による碁盤目テスト(ます目100
個)により、テープ剥離試験を3回実施し、密着したま
す目の平均に拠った。 (4)動摩擦係数の測定 株式会社レスカ製摩擦摩耗試験機FRP−2000負荷
荷重200g、回転速度1rpm、線速度0.524に
て動摩擦係数の測定を行った。 (5)耐摩耗性の測定 テーバー摩耗試験機により、摩耗輪cs−10、荷重
0.5kgを負荷させて500回転の摩擦摩耗試験を行
い、試験前と試験後とのヘイズ(曇値)の差を求め、下
記基準で評価した。 ○;ヘイズの差が10未満 △;ヘイズの差が10以上、20未満 ×;ヘイズの差が20以上 (6)透過率 BYK Gardner社製haze-gard plusにより全光線透過率、
ヘイズを求めた。 (7)接触角 硬化体に水またはオレイン酸を静かに1滴乗せたときの
接触角を協和界面科学(株)製自動接触角計により測定
した。
【0120】参考例1〔(a)成分の調製(ポリシロキ
サンの調製)〕 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、テトラメトキシ
シラン100gをプロピレングリコールモノプロピルエ
ーテル300gに溶解させた後、スリーワンモーターで
攪拌させ、溶液温度を60℃に安定させた。次に、マレ
イン酸2.1gを溶解させたイオン交換水50gを1時
間かけて溶液に添加した。その後、60℃で4時間反応
させた後、反応液を室温まで冷却し、固形分濃度8%の
溶液(a−1)を得た。
【0121】参考例2〔(b)成分の調製(シリル基含
有フッ素含有ビニルエーテル系重合体の調製)〕 電磁攪拌機を備えたステンレス製のオートクレーブを窒
素ガスで充分置換したのち、当該オートクレーブ内にメ
チルイソブチルケトンを100部とエチルビニルエーテ
ル30部と和光純薬(株)製VPS−1001Nのメチ
ルイソブチルケトン溶液(固形分濃度30%)5部とを
仕込み、オートクレーブ内の溶液をドライアイス−メタ
ノールにより−50℃まで冷却したのち、窒素ガスによ
って系内の酸素を再度除去した。次いで、ヘキサフルオ
ロプロピレン70部、ビニルトリメトキシシラン7部を
添加し、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が6
0℃に達した時点におけるオートクレーブ内の圧力は、
5kgf/cm2であった。反応系の温度を60℃に保
持しながら攪拌することにより、20時間重合反応を継
続させ、オートクレーブ内の圧力が1.5kgf・cm
2に低下した時点で水冷して反応を停止させ、固形分濃
度30%の組成物(b−1)を得た。得られた溶液につ
いて、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子
量を測定したところ、28,000という値が得られ
た。
【0122】参考例3〔(b)成分の調製(シリル基含
有フッ素含有ビニルエーテル系重合体の調製)〕 電磁攪拌機を備えたステンレス製のオートクレーブを窒
素ガスで充分置換したのち、当該オートクレーブ内にメ
チルイソブチルケトンを100部とエチルビニルエーテ
ル30部と和光純薬(株)製VPS−1001Nのメチ
ルイソブチルケトン溶液(固形分濃度30%)5部とを
仕込み、オートクレーブ内の溶液をドライアイス−メタ
ノールにより−50℃まで冷却したのち、窒素ガスによ
って系内の酸素を再度除去した。次いで、ヘキサフルオ
ロプロピレン25部、フルオロメチルビニルエーテル5
0部、ビニルトリメトキシシラン7部を添加し、昇温を
開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時
点におけるオートクレーブ内の圧力は、5kgf/cm
2であった。反応系の温度を60℃に保持しながら攪拌
することにより、20時間重合反応を継続させ、オート
クレーブ内の圧力が1.5kgf・cm2に低下した時
点で水冷して反応を停止させ、固形分濃度30%の組成
物(b−2)を得た。得られた溶液について、GPCを
用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したと
ころ、25,000という値が得られた。
【0123】参考例4〔(b)成分の調製(シリル基含
有フッ素含有アクリル系重合体の調製)〕 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、1H,1H,5
H−オクタフルオロペンチルメタクリレート10.0
部、メチルメタクリレート53.0部、2−エチルヘキ
シルアクリレート5.7部、ブチルアクリレート4.3
部、シクロヘキシルメタクリレート6.0部、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン11.3部、4
−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタ
メチルピペリジン5.0部、イソブチルアルコール7
5.0部、メチルエチルケトン50.0部部、メタノー
ル25部を加えて混合したのち、撹拌下で80℃に加温
し、この混合物に、VPS−1001Nのメチルエチル
ケトン溶液(固形分濃度30%)4部を加え、さらに8
0℃で5時間反応させて、固形分濃度40%の組成物
(b−3)を得た。得られた溶液について、GPCを用
いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したとこ
ろ、12,000という値が得られた。
【0124】参考例5〔(b)成分の調製(シリル基含
有アクリル系重合体の調製)〕 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルメタクリ
レート51.4部、2−エチルヘキシルアクリレート
5.5部、シクロヘキシルアクリレート6.0部、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン11.3
部、カプロラクトン変性アクリレート0.8部、グリシ
ジルメタクリレート20.0部、−メタクリロイルオキ
シ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン5.
0部およびi−ブチルアルコール75.0部、メチルエ
チルケトン50.0部、メタノール25.0部を加えて
混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物
にVPS−1001Nのメチルエチルケトン溶液(固形
分濃度30%)4部を加えた後、80℃で5時間反応さ
せて固形分濃度40%の組成物(b−4)を得た。得ら
れた溶液について、GPCを用いてポリスチレン換算の
重量平均分子量を測定したところ、9,000という値
が得られた。
【0125】参考例6〔(シリル基含有アクリル系重合
体)〕 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルメタクリ
レート55.0部、2−エチルヘキシルアクリレート
5.0部、シクロヘキシルアクリレート5.0部、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10.0
部、グリシジルメタクリレート20.0部、−メタクリ
ロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペ
リジン5.0部およびi−ブチルアルコール75.0
部、メチルエチルケトン50.0部、メタノール25.
0部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温
し、この混合物にアゾイソバレロニトリル3部をキシレ
ン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下したの
ち、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の組成
物を得た。得られた溶液100部をイソプロピルアルコ
ール350部、メチルエチルケトン350部にて希釈
し、固形分濃度5%の溶液を得た。
【0126】実施例1〜12 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に表1、2に示す各
成分(水と後添加成分を除く)を加えて混合し、水添加
後、60℃で4時間反応させた後、後添加成分を加えて
室温まで冷却し、固形分濃度15〜20%の本発明の重
合体組成物(a〜l)を得た。実施例1〜12で得られ
た組成物は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
製カプセルフィルター(ろ過精度0.1μm)にて2k
gf/cm2の加圧ろ過を実施した。なお、表中、「M
TMS」は「メチルトリメトキシシラン」を、「GPT
S」は「グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」
を、「DMDMS」は「ジメチルジメトキシシラン」
を、「DiPEAAAl」は「ジ−i−プロポキシ・エ
チルアセトアセテートアルミニウム」を、「MEK」は
「メチルエチルケトン」を、「iPA」は「イソプロピ
ルアルコール」を、「AcAc」は「アセチルアセトン」
を、それぞれ示す。
【0127】実施例13〜14 攪拌機および蒸留装置を備えた容器内に表2に示す各成
分(水と後添加成分を除く)を加えて混合し、水添加
後、60℃で4時間反応させた後、後添加成分を加えて
室温まで冷却し、固形分濃度15〜20%の本発明の重
合体組成物を得た。次いで、容器内の温度を80℃に昇
温させたのち、メチルイソブチルケトンを滴下しながら
加水分解により副生したメタノールを蒸留除去した。最
終的に固形分濃度を20%に調製し後添加成分を添加し
本発明の組成物(m、n)を得た。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】(e−1):メタノール分散SiO2 (固形
分濃度30%、0.02μm):日産化学工業株式会社製 (e−2) :SiO2被覆メラミン粒子(粉体3μm) :日
産化学工業株式会社製 (e−3):ルブロンLD−100E(固形分濃度12
%、0.2μm):ダイキン工業株式会社製
【0131】実施例15〜30 IPA溶液および超純水にて脱脂洗浄を行ったポリカー
ボネート基板(厚み2mm)に、参考例6で得られた組
成物を約0.5μm塗布し、130℃で10分乾燥させ
た後、本発明のコーティング組成物a〜l(イソプロピ
ルアルコール/メチルエチルケトン/プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル=4/4/2の比率の溶媒にて
希釈し固形分濃度10%に調製されたもの)100部に
対し、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナー
ト)チタニウムのイソプロピルアルコール、メチルエチ
ルケトンの等量希釈溶液(固形分濃度20%)15部を
添加混合し、それぞれ、乾燥膜厚が1μmになるように
塗布、130℃で30分乾燥させコーティングシートと
した。同様に、IPA溶液および超純水にて脱脂洗浄を
行ったポリカーボネート基板(厚み2mm)に、本発明
のコーティング組成物m、n(メチルイソブチルケトン
にて希釈し固形分濃度10%に調製されたもの)を塗布
し、次いで室温(25℃)、2分の条件で乾燥して、厚
さ0.5μmの塗膜を得た後、大気下、温度25℃、露
光量300mJ/cm2(照射時間3秒)となるよう
に、オーク製作所(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ
(2kW)を用いて紫外線を照射し、膜を形成した。結
果を表3〜4に示す。
【0132】
【表3】
【0133】
【表4】
【0134】実施例31〜35 得られた組成物を各種基材に塗布し、密着性、耐摩耗性
評価を行った。結果を表5に示す。なお、PETを除く全
ての基材は実施例15同様の基材洗浄を実施し、PET
フィルムは易接着処理を施した東レ株式会社製、算術平
均荒さが0.1μm、厚さ50μmを使用した。塗布・
硬化条件は、実施15同様である。
【0135】
【表5】
【0136】ガラス:JIS R3201 アルミニウム:JIS H4000 A1050P PET:株式会社東レ製,算術平均粗さ0.1μm,厚
み50μm)
【0137】
【発明の効果】本発明の摺動部材用コーティング組成物
は、オルガノシラン成分と特定のシリル基含有ビニル系
樹脂を含有し、撥水・撥油による防汚性を有し、保存安
定性と、基材に対する密着性に優れ、かつ動摩擦係数の
低いことから耐摩耗性と摺動特性に優れており、特にデ
ジタル製版機、電子写真複写機、ファクシミリ、レーザ
ープリンタの感光体ロール保護層などの摺動部材、イン
クジェットプリンタのノズルヘッドなどの摺動部材、感
熱プリンタのヘッドなどの摺動部材、光および/または
磁気情報装置および記録媒体、VTR用磁気ヘッドドラ
ムや光学レンズ、光学フィルムの保護コート、電子磁気
用摺動部材、または車両用ディスクブレーキやモーター
における摺動部材、軸受け、LCD用タッチパネルや車
両用窓、サンルーフの保護コート、バス、キッチン、洗
面台、トイレの保護コート、CRT、LCD、PDP、
ELなどの表示装置用保護コート、フォトマスク用保護
コートなどに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋口 裕一 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 3J011 QA05 SC01 4J038 CA022 CC002 CC022 CC072 CC082 CD092 CE052 CG032 CG142 CG172 CH032 CH042 CH122 CH172 CH202 CH232 DL021 DL031 GA01 GA03 GA07 GA08 GA09 GA11 GA12 GA13 NA05 NA07 NA11 NA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 下記一般式(1) (R1n Si(OR24-n ・・・・・(1) (式中、R1は、2個存在するときは同一または異な
    り、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2は、同一
    または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
    1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
    で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分
    解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる
    少なくとも1種、ならびに(b)アゾ基含有ポリシロキ
    サン化合物に由来する下記一般式(2)で表されるポリ
    シロキサン構造を含有してなる加水分解性基および/ま
    たは水酸基と結合した珪素原子を有するシリル基含有ビ
    ニル系樹脂、を含有する摺動部材用コーテイング組成
    物。 〔一般式(2)中、R1〜R2は同一でも異なっていても
    よく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、
    またはアリール基を示し、mは1〜200の整数であ
    る。〕
  2. 【請求項2】 上記一般式(2)で表されるポリシロキ
    サン構造が下記一般式(3)で表される構造単位を含有
    してなる請求項1記載の摺動部材用コーテイング組成
    物。 〔一般式(3)中、R3〜R6は同一でも異なっていても
    よく、水素原子、アルキル基、またはシアノ基を示し、
    R7〜R10は同一でも異なっていてもよく、水素原子、
    アルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基
    を示す。s,rは1〜6の整数、o,pは0〜6の整
    数、qは1〜200の整数である。〕
  3. 【請求項3】 基材に請求項1記載の組成物を塗布し、
    熱硬化および/または光硬化させてなる硬化体を有する
    摺動部材。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の硬化体の表面の動摩擦係
    数が0.5以下である摺動部材。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の硬化体の表面の、水接触
    角が90度以上、オレイン酸接触角が50度以上である
    摺動部材。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の硬化体の、光線透過率が
    90%以上、ヘイズが1以下である摺動部材。
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