JP4000448B2 - 摺動部材用コーティング組成物および摺動部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摺動部材用基材の表面に硬化体を形成し、摺動部材を得るための組成物、およびこの組成物を用いた摺動部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属、プラスチック、ゴムなどで構成されている部材表面は、他の部材との接触による摺動によりその表面が削られ、表面が凹凸になると同時に摺動特性が低下する。特に、高速で摺動する部材やトルクがかかるものは、摩耗が著しく耐久性に乏しい。これら摩耗による摺動特性低下を抑制するために、従来から潤滑油などを部材表面に付与することにより潤滑性を向上させ、摩耗低減を実現しているが、潤滑油による汚れ、作業環境の悪化などをもたらし、さらには潤滑性を維持するために潤滑油を常に供給し続けなければならないなどの問題がある。そのため、乾燥摺動部品向けにフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂などが提案されているが、耐熱性が乏しい、汚れやすい、基材との密着が乏しいなどの問題がある。また、樹脂の硬度が乏しく粒子分散により凹凸を持たせて摺動性を確保している組成物も多いが、近年の摺動部材、特に光電子部品分野における電子写真や磁気記録といった分野で装置、記録材料の構成部材において、小型、薄膜化が要求されており、凹凸が部材形状に及ぼす影響は無視できず、凹凸なく摺動性が確保できる組成が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定のオルガノシラン成分と特定のシリル基含有ビニル系樹脂を含有し、撥水・撥油性を有するため防汚性に優れ、基材との密着性が良好で、透明であるため光学特性に優れ、かつ高硬度で摩擦係数の低い表面を有するため耐摩耗性、摺動特性に優れた塗膜を形成することが可能であり、特にデジタル製版機、電子写真複写機、ファクシミリ、レーザープリンタの感光体ロール保護層などの摺動部材、インクジェットプリンタのノズルヘッドなどの摺動部材、感熱プリンタのヘッドなどの摺動部材、光および/または磁気情報装置および記録媒体、VTR用磁気ヘッドドラムや光学レンズ、光学フィルムの保護コート、電子磁気用摺動部材、または車両用ディスクブレーキやモーターにおける摺動部材、軸受け、LCD用タッチパネルや車両用窓、サンルーフの保護コート、バス、キッチン、洗面台、トイレの保護コート、CRT、LCD、PDP、ELなどの表示装置用保護コート、フォトマスク用保護コートなどに好適な、撥水・撥油性を有する耐摩耗性・摺動特性に優れた摺動部材用のコーティング組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)下記一般式(1)
(Rn Si(OR4-n ・・・・・(1)
(式中、Rは、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、Rは、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種、ならびに
(b)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記一般式(2)で表されるポリシロキサン構造を含有してなり、加水分解性基および/または水酸基と結合した珪素原子を有するシリル基含有ビニル系樹脂、の混合物を加水分解・縮合して得られる摺動部材用コーテイング組成物に関する。
Figure 0004000448
〔一般式(2)中、R1〜R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示し、mは1〜200の整数である。〕
次に、本発明は、基材に上記組成物を塗布し、熱硬化および/または光硬化させてなる硬化体を有する摺動部材に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
(a)成分
本発明のコーティング組成物に配合される(a)成分は、上記一般式(1)で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン(1)」ともいう)、オルガノシラン(1)の加水分解物、およびオルガノシラン(1)の縮合物から選択された少なくとも1種である。すなわち、(a)成分は、これら3種のうちの1種だけでもよいし、任意の2種の混合物であってもよいし、3種類すべてを含んだ混合物であってもよい。
ここで、上記オルガノシラン(1)の加水分解物は、オルガノシラン(1)に2〜4個含まれるOR2基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
また、上記オルガノシラン(1)の縮合物は、オルガノシラン(1)の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。
【0006】
一般式(1)において、R1の炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基などのアシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0007】
1の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
一般式(1)中に、R1が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0008】
また、R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(1)中に複数個存在するR2は、相互に同一でも異なってもよい。
【0009】
このようなオルガノシラン(1)の具体例としては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
【0010】
これらのうち、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が好ましく、また、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0011】
本発明において、オルガノシラン(1)としては、特にトリアルコキシシランのみ、あるいは、トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との組み合わせが好ましい。トリアルコキシシランの場合はメチルトリメトキシシランとグリシドキシプロピルトリメトキシシランの組み合わせが好ましく、得られる塗膜を柔軟化し、密着性を向上させることができる。
【0012】
オルガノシラン(1)は、そのまま、あるいは加水分解物および/または縮合物として使用される。オルガノシラン(1)を加水分解物および/または縮合物として使用する場合は、予め加水分解・縮合させて(a)成分として使用することもできるが、後述するように、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して組成物を調製する際に、適量の水を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させて、(a)成分とすることが好ましい。
【0013】
なお、(a)成分のうち、部分加水分解物、加水分解部分縮合物としては、▲1▼R3SiO2/1、▲2▼R2SiO2/2、▲3▼RSiO3/2、または▲4▼SiO4/2からなる構成単位を1種以上含有してなる組成物であってもよい。この市販品には、三菱化学(株)製のMKCシリケート、コルコート社製のエチルシリケート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、例えばYR3370、TSR127B、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、例えばX40−9220、X40−9225、ポリジメチルシロキサン、例えばX62−2676、KS−837、KS−779、KS−3656、KS−778、KS−835、KS−3650、KS−3604、KS−847、KS−847T、KS−770L、KS−776A、KS−3600、KS−856、KS−3702L、KS−3603、X−62−2405、KS−3504、KS−3703、KS−830、KS−839L、KS−3503、KS−3601、KS−830E、KS−3502、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマー、例えばMAC2101、MAC2301などがあり、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよい。
【0014】
(a)成分が縮合物として使用されるとき、該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは、300〜100,000、さらに好ましくは、400〜70,000、特に好ましくは1,000〜50,000である。Mwが1,000〜50,000であると、特に本発明の組成物の硬化性が向上する。
本発明において、(a)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
(b)成分
(b)成分は、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する上記一般式(2)で表されるポリシロキサン構造を含有してなる加水分解性基および/または水酸基と結合した珪素原子を有するシリル基(以下「特定シリル基」という)を、好ましくは重合体分子鎖の末端および/または側鎖に有するシリル基含有ビニル系樹脂からなる。
本発明の組成物において、(b)シリル基含有ビニル系樹脂は、塗膜を硬化させる際に、そのシリル基中の加水分解性基および/または水酸基がそれ自身および上記(a)成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能をもたらす成分である。
(b)成分におけるケイ素原子の含有量は、(b)成分全体に対して、通常、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜15重量%である。
好ましい特定シリル基は、下記一般式(4)で表される基である。
【0016】
Figure 0004000448
(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシル基、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシル基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基を示し、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアラルキル基を示し、iは1〜3の整数である。)
【0017】
(b)成分は、例えば、下記(イ)や(ロ)などの方法により、製造することができる。
(イ)上記一般式(4)に対応するヒドロシラン化合物(以下「ヒドロシラン化合物(イ)」という)を、炭素−炭素二重結合を有するビニル系重合体(以下「不飽和ビニル系重合体」という)中の該炭素−炭素二重結合に付加反応させる方法。
【0018】
(ロ)下記一般式(5)
Figure 0004000448
〔式中、X,R3,iは一般式(4)におけるそれぞれX,R3,iと同義であり、R4は重合性二重結合を有する有機基を示す〕で表されるシラン化合物(以下「不飽和シラン化合物(ロ)」という)と、他のビニル系単量体とを共重合する方法。
【0019】
上記(イ)の方法に使用されるヒドロシラン化合物(イ)としては、例えば、メチルジクロルシラン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなどのハロゲン化シラン類;メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシシラン、ジメチル・アミノキシシランなどのアミノキシシラン類などを挙げることができる。
これらのヒドロシラン化合物(イ)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
また、上記(イ)の方法に使用される不飽和ビニル系重合体は、水酸基を有する重合体以外であれば特に限定されず、例えば下記(イ−1)や(イ−2)の方法あるいはこれらの組み合わせなどによって製造することができる。
(イ−1)官能基(以下「官能基(α)」という)を有するビニル系単量体を(共)重合したのち、該(共)重合体中の官能基(α)に、該官能基(α)と反応しうる官能基(以下「官能基(β)」という)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物を反応させることにより、重合体分子鎖の側鎖に炭素−炭素二重結合を有する不飽和ビニル系重合体を製造する方法が挙げられる。
【0021】
(イ−2)官能基(α)を有するラジカル重合開始剤(例えば、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸など)を使用し、あるいは、ラジカル重合開始剤と連鎖移動剤の双方に官能基(α)を有する化合物(例えば、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸とジチオグリコール酸など)を使用して、ビニル系単量体を(共)重合して、重合体分子鎖の片末端あるいは両末端にラジカル重合開始剤や連鎖移動剤に由来する官能基(α)を有する(共)重合体を合成したのち、該(共)重合体中の官能基(α)に、官能基(β)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物を反応させることにより、重合体分子鎖の片末端あるいは両末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和ビニル系重合体を製造する方法。
【0022】
(イ−1)および(イ−2)の方法における官能基(α)と官能基(β)との反応の例としては、カルボキシル基と水酸基とのエステル化反応、カルボン酸無水物基と水酸基との開環エステル化反応、カルボキシル基とエポキシ基との開環エステル化反応、カルボキシル基とアミノ基とのアミド化反応、カルボン酸無水物基とアミノ基との開環アミド化反応、エポキシ基とアミノ基との開環付加反応、水酸基とイソシアネート基とのウレタン化反応や、これらの反応の組み合わせなどを挙げることができる。重合開始剤、分子量調整剤、キレート化剤、無機電解質は、公知のものを使用することができる。
【0023】
官能基(α)を有するビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニル系単量体;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系単量体;1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−フェニル−2′−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2′−ヒドロキシ−2′−フェノキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミドなどのアミンイミド基含有ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビニル系単量体などを挙げることができる。
これらの官能基(α)を有するビニル系単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
官能基(α)を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体としては、例えば、
(1)スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;
【0025】
(2)メチル(メタ)アクリレート、 エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物;
【0026】
(3)ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量体;
【0027】
(4)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドなどの酸アミド化合物;
(5)塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステルなどのビニル化合物;
【0028】
(6)1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、イソプレン、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基などの置換基で置換された置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖状および側鎖状の共役ヘキサジエンなどの脂肪族共役ジエン;トラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン類;
(7)CH2=CH−O−Rf
(Rfは、フッ素原子を含むアルキル基もしくはアルコキシアルキル基を示す)で表される(フルオロアルキル)ビニルエーテル、または、(フルオロアルコキシアルキル)ビニルエーテル類;
【0029】
(8)パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;
(9)パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類
(10)アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;
(11)2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0030】
(12)4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのピペリジン系モノマー;
(13)ビニルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
【0031】
(14)アリルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどのアリルエーテル類;
(15)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類、
などが挙げられる。
官能基(β)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物としては、例えば、官能基(α)を有するビニル系単量体と同様のビニル系単量体や、上記水酸基含有ビニル系単量体とジイソシアネート化合物とを等モルで反応させることにより得られるイソシアネート基含有不飽和化合物などを挙げることができる。
【0032】
また、上記(ロ)の方法に使用される不飽和シラン化合物(ロ)の具体例としては
CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2
CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHSi(OC253
CH2=CHSi(CH3)Cl2、CH2=CHSiCl3
CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
【0033】
【化1】
Figure 0004000448
【0034】
【化2】
Figure 0004000448
【0035】
【化3】
Figure 0004000448
【0036】
【化4】
Figure 0004000448
【0037】
を挙げることができる。
これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0038】
また、(b)成分の他の例としては、特定シリル基含有エポキシ樹脂、特定シリル基含有ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
上記特定シリル基含有エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエステルなどのエポキシ樹脂中のエポキシ基に、特定シリル基を有するアミノシラン類、ビニルシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。
また、上記特定シリル基含有ポリエステル樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂中に含有されるカルボキシル基や水酸基に、特定シリル基を有するアミノシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。
【0039】
(b)成分のポリスチレン換算数平均分子量(以下「Mn」という)は、好ましくは、1,000〜500,000、さらに好ましくは、3,000〜300,000である。
本発明において、(b)成分は、単独でまたは上記のようにして得られた2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
また、(b)成分は、下記一般式(2)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来するポリシロキサン構造を、好ましくは0.1〜10モル%含有してなる。
Figure 0004000448
〔一般式(2)中、R1〜R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示し、mは1〜200の整数である。〕
さらに詳しくは、(b)成分は、下記一般式(3)で表される構造単位を含有してなり、−(OSiR8R10)qの量に換算して0.1〜10モル%からなる。
Figure 0004000448
〔一般式(3)中、R3〜R6は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、またはシアノ基を示し、R7〜R10は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。s,rは1〜6の整数、o,pは0〜6の整数、qは1〜200の整数である。〕
本発明の一般式(2)で表される化合物は、具体的には和光純薬(株)製、商品名VPS−1001、VPS−0501が挙げられる。
これらアゾ基含有ポリシロキサンは、それ自体が熱ラジカル発生剤であり、他のラジカル発生剤も併用することができる。
すなわち、本発明の(b)成分は、例えば、一般式(2)で表されるポリシロキサン構造を有する化合物、好ましくは一般式(3)、さらに好ましくはR3,R4〜がCH3、R5,R6がCN、R7〜R10がCH3で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する構造単位を有する化合物を用いて重合してなる、加水分解性基および/または水酸基と結合した珪素原子を有するシリル基含有ビニル系樹脂である。
【0041】
溶媒
本発明の組成物は、上記(a)、(b)成分を必須とし、場合により後述する任意成分などを含有するものであり、通常、これらの成分を均一に混合させ、組成物の全固形分濃度を調整するために水および/または有機溶剤が添加される。本発明における水の使用量は、(a)成分におけるオルガノシラン(1)1モルに対して、通常、0.5〜3モル、好ましくは、0.7〜2モル程度である。
【0042】
また、上記有機溶剤としては、上記各成分を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤のうち、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。
【0043】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0044】
本発明の組成物の全固形分濃度は、好ましくは、50重量%以下であり、使用目的に応じて適宜調整される。例えば、薄膜形成を目的とするときには、通常、20重量%以下であり、また厚膜形成を目的で使用するときには、通常、20〜50重量%、好ましくは30〜45重量%である。組成物の全固形分濃度が50重量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。
なお、本発明の組成物には、以下の(c)成分以降の上記(a)〜(b)成分以外の他の成分を配合することができる。
【0045】
(c)触媒
本発明のコーティング組成物には、(a)成分、(b)成分などの加水分解・縮合反応を促進する(c)触媒を添加してもよい。
(c)成分を使用することにより、得られる塗膜の硬化速度を高めるとともに、アルコキシシリル基の架橋反応が促進され、低温での硬化性や硬度、耐刺傷性などの塗膜強度、長期耐久性などに優れた塗膜を得ることができる。
【0046】
このような(c)成分としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸である。
また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
また、上記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0047】
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシランである。
【0048】
また、上記有機金属化合物等としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物(以下「有機金属化合物(6)」という)、同一のスズ原子に結合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」という)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物などを挙げることができる。
【0049】
M(OR5)p(R6COCHCOR7)q・・・(6)
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R5およびR6は、同一または異なって、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R7は、R5およびR6と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、pおよびqは0〜4の整数で、(p+q)=(Mの原子価)である。〕
【0050】
有機金属化合物(6)の具体例としては、
(イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
【0051】
(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウム、テトラ−n−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナ−ト)チタニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコール、チタニウムステアレート、テトラ−i−プロポキシチタニウムの重合体、テトラ−n−プロポキシチタニウムの重合体などの有機チタン化合物;
(ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
などを挙げることができる。
【0052】
これらの有機金属化合物(6)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0053】
また、有機スズ化合物の具体例としては、
(C492Sn(OCOC11232
(C492Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C492Sn(OCOCH=CHCOOC492
(C8172Sn(OCOC8172
(C8172Sn(OCOC11232
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC492
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC8172
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC16332
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC17352
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC18372
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC20412
【0054】
Figure 0004000448
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0055】
(C492Sn(SCH2COOC8172
(C492Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC12252
(C8172Sn(SCH2CH2COOC12252
(C49)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
(C817)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
【0056】
Figure 0004000448
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0057】
Figure 0004000448
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0058】
(C49)SnCl3、(C492SnCl2
(C8172SnCl2
Figure 0004000448
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物
などを挙げることができる。
【0059】
(c)成分として、好ましくは有機金属化合物であり、さらに好ましくは前述のテトラ−n−ブトキシジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナ−ト)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。
【0060】
(c)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0061】
(c)成分は、組成物を調製する際に配合してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
(c)成分の使用量は、コーティング組成物100重量部(固形分換算)に対して、通常、0〜100重量部、好ましくは、0.005〜80重量部、さらに好ましくは、0.01〜50重量部であり、(c)成分の使用量が100重量部を超えると、組成物中に部分ゲルが発生し、コーティング膜中の平滑性が低下する傾向がある。
【0062】
(d)成分
(d)成分は、下記一般式(7)
6COCH2COR7 ・・・(7)
〔式中、R6およびR7は、有機金属化合物(6)における上記各一般式のそれぞれR6およびR7と同義である〕で表されるβ−ジケトン類およびβ−ケトエステル類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合物、およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
このような(d)成分は、特に、上記(c)成分として有機金属化合物等を使用する場合に併用することが好ましい。
【0063】
(d)成分は、組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、(d)成分が上記有機金属化合物等の金属原子に配位して、該有機金属化合物等による上記(a)成分と(b)成分の共縮合反応を促進する作用を適度にコントロールすることにより、得られる組成物の保存安定性をさらに向上させる作用をなすものと推定される。
【0064】
(d)成分の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどを挙げることができる。これらのうち、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルが好ましい。
(d)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0065】
(d)成分の使用量は、上記有機金属化合物等における有機金属化合物1モルに対して、通常、2モル以上、好ましくは3〜20モルである。この場合、(d)成分の使用量が2モル未満では、得られる組成物の保存安定性の向上効果が不充分となる傾向がある。
【0066】
(e)成分
摺動性向上を目的として、(e)無機化合物、有機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドからなる組成物を配合してもよい。
(e)成分をなす化合物の具体例としては、SiO2、TiO2、Al23、ZrO2、ZnO、MoS2、SiC、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、BN、ポリエチレン、グラファイト、カーボン、弗化黒鉛、タルク、メラミン架橋粒子などを挙げることができる。
これら(e)成分は、単独でまたは2種以上を混合あるいは化学結合を有する複合体として使用することができ、好ましくはSiO2、Al23、MoS2、PTFEである。
【0067】
(e)成分の存在形態には、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
【0068】
(e)成分が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、平均粒子径は5μm以下、好ましくは3μm以下で、でかつ固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
コロイド状シリカとしては、スノーテックス、イソプロパノールシリカゾル、メタノールシリカゾル〔以上、日産化学工業(株)製〕;カタロイド、オスカル〔以上、触媒化成工業(株)製〕;Ludex(米国デユポン社製);Syton(米国モンサント社製);Nalcoag(米国ナルコケミカル社製)の商品名で市販されている。
また、上記コロイド状アルミナは、例えば、合成アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイトなどを使用することができる。このようなコロイド状アルミナは、例えば、アルミナゾル100、アルミナゾル520〔以上、日産化学工業(株)製〕などの名称で市販されている。
PTFEは、ルブロン(ダイキン株式会社製)などの名称で市販されている。
【0069】
(e)成分を組成物中に配合する方法としては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組成物の調製時に添加して、(e)成分を、上記(a)成分、(b)成分などと共加水分解・縮合させてもよい。
(e)成分の使用量は、コーティング組成物100重量部(固形分換算)に対して、固形分で、通常、0〜500重量部、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0070】
(f)成分
(f)成分は、(e)成分以外の無機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドからなり、塗膜の所望の特性に応じて配合される。
【0071】
(f)成分をなす化合物の具体例としては、AlGaAs、Al(OH) 、Sb 、Si 、SnO 、Sn−In 、In、Sb−In 、InP、InSb、InAs、InGaAlP、MgF、CeF 、CeO 、3Al・2SiO 、BeO、SiC、AlN、Fe、Fe 、Co、Co−FeOx 、CrO 、FeN、BaTiO 、BaO−Al−SiO 、Baフェライト、SmCO 、YCO 、CeCO 、PrCO 、SmCO17、NdFe14B、ZrO 、Al4O 、AlN、α−Si、SiN 、CoO、Sb−SnO 、MnO 、MnB、Co 、CoB、LiTaO 、MgO、MgAl 、BeAl 、ZrSiO 、ZnS、ZnSe、ZnSb、ZnTe、PbTe、PbS、PbSe、GeSi、FeSi 、CrSi 、CoSi 、MnSi1.73、MgSi、β−B、BaC、BP、TiB 、ZrB 、HfB 、RuSi 、RuO 、TiO 、SrTiO 、FeTiO 、PbTiO 、AlTiO 、ZnSiO 、ZrSiO 、2MgO−Al−5SiO 、WO 、Bi 、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO 、MoS 、LaRhO 、GaN、CdP、Nb 、GaAsP、LiO−Al−4SiO 、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。これら(f)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
さらに、(f)成分としては、光触媒能を付与するためにはTiO(アナターゼ型を含むことが好ましい)、紫外線吸収能を付与するためにはCeO 、ZnOなどを用いることが好ましい。
【0073】
(f)成分の平均粒径は、好ましくは30μm以下、より好ましくは0.005〜20μm、さらに好ましくは0.005〜10μmである。平均粒径が30μmを超えると、得られる塗膜の表面が平滑にならない場合がある。
【0074】
(f)成分の存在形態には、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
(f)成分が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
【0075】
(f)成分を組成物中に配合する方法としては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組成物の調製時に添加して、(f)成分を、上記(a)成分、(b)成分などと共加水分解・縮合させてもよい。
(f)成分の使用量は、上記(a)100重量部(固形分換算)に対して、固形分で、通常、0〜500重量部、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0076】
レベリング剤
なお、組成物のコーティング性をより向上させるためにレベリング剤を配合することができる。このようなレベリング剤のうち、フッ素系のレベリング剤(商品名。以下同様)としては、例えば、ビーエムヘミー(BM−CHEMIE)社のBM1000、BM1100;エフカケミカルズ社のエフカ772、エフカ777;共栄社化学(株)製のフローレンシリーズ;住友スリーエム(株)のFCシリーズ;東邦化学(株)のフルオナールTFシリーズなどを挙げることができ、シリコーン系のレベリング剤としては、例えば、ビックケミー社のBYKシリーズ;シュメグマン(Sshmegmann)社のSshmegoシリーズ;エフカケミカルズ社のエフカ30、エフカ31、エフカ34、エフカ35、エフカ36、エフカ39、エフカ83、エフカ86、エフカ88などを挙げることができ、エーテル系またはエステル系のレベリング剤としては、例えば、日信化学工業(株)のカーフィノール;花王(株)のエマルゲン、ホモゲノールなどを挙げることができる。
【0077】
このようなレベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均一に塗布することができる。
レベリング剤の使用量は、全組成物に対して、好ましくは、0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.02〜3重量%である。
【0078】
レベリング剤を配合する方法としては、組成物を調製する際に配合してもよく、また塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
【0079】
他の添加剤(1)
また、本発明のコーティング組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化などのために、別途、充填材を添加・分散させることもできる。
このような充填材としては、例えば、非水溶性の有機顔料や無機顔料、顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状のセラミックス、金属あるいは合金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などを挙げることができる。ただし、この他の添加剤としては、上記の(e)、(f)成分を除く。
【0080】
上記充填材の具体例としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
これらの充填材は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。充填材の使用量は、組成物の全固形分100重量部に対して、通常、300重量部以下である。
【0081】
さらに、本発明のコーティング組成物には、所望により、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類や、ひまし油誘導体、フェロけい酸塩などの増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドなどの無機発泡剤や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジンなどのヒドラジン化合物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物などの有機発泡剤のほか、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料などの他の添加剤を配合することもできる。
【0082】
本発明のコーティング組成物の調製法の具体例としては、下記▲1▼〜▲4▼の方法などを挙げることができる。
▲1▼(a)成分を構成するオルガノシラン(1)、(b)成分、(c)成分および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行ったのち、(d)成分を添加する方法。
▲2▼(a)成分を構成するオルガノシラン(1)、および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(b)成分および(c)成分を加えて混合して、さらに縮合反応を行ったのち、(d)成分を添加する方法。
【0083】
▲3▼(a)成分を構成するオルガノシラン(1)、(c)成分および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(b)成分を加えて混合して、さらに部分縮合反応を行ったのち、(d)成分を添加する方法。
▲4▼(a)成分を構成するオルガノシラン(1)の一部、(b)成分、(c)成分および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いでオルガノシラン(1)の残部を添加して、さらに加水分解・部分縮合反応を行なったのち、(d)成分を添加する方法。
【0084】
本発明のコーティング組成物は、撥水・撥油による防汚性を有し、保存安定性に優れ、種々の基材との密着性、耐湿性、透明性に優れ、低摩擦係数を有する耐磨耗性、摺動特性に優れた塗膜(硬化体)を形成することができる。
【0085】
本発明のコーティング組成物の全固形分濃度は、通常、1〜45重量%、好ましくは、2〜40重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が45重量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。
【0086】
コーティング仕様(硬化体)
本発明の摺動部材を構成する硬化体の構成としては、例えば、基材/本発明のコーティング組成物、基材/プライマー/本発明のコーティング組成物などが挙げられる。
本発明のコーティング組成物およびプライマーを基材に塗布する際には、いずれの組成物の場合も、刷毛、ロールコーター、フローコーター、スピンコーター、超音波コーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着などが挙げられる。
【0087】
基材
本発明の組成物を適用しうる基材としては、プラスチックフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)などのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリアクリル;ビスフェノールA型ポリカーボネート、ビスフェノールZ型ポリカーボネート(bisZ−PC)、共重合ポリカーボネート(BP−Pc)などのポリカーボネートを挙げることができ、その他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのフッ素系フィルムなどが挙げられる。
【0088】
これらの基材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、予め表面処理を施すこともできる。
例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理などを挙げることができる。
【0089】
なお、あらかじめプライマーを施す場合には、乾燥膜厚として1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成させることができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、各種の壁紙基材に塗膜を形成することができる。
なお、プライマーと本発明のコーティング組成物から得られる塗膜の総計膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜80μm、好ましくは、0.2〜60μm程度である。
【0090】
さらに、用途に応じてプライマーを用いる場合には、プライマーの種類は特に限定されず、基材と組成物との密着性を向上させる作用を有するものであればよく、基材の種類、使用目的に応じて選択する。プライマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また、顔料、染料などの着色成分を含んでいても良い。
【0091】
プライマーの種類としては、例えば、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、アクリルシリコン樹脂と本発明の(a)成分からなる組成物などを挙げることができる。成膜条件には特に制限がなく、硬化樹脂の場合は常温硬化、熱硬化、UV硬化、電子線硬化などが使用できる。また、これらのプライマーには、厳しい条件での基材と塗膜との密着性が必要な場合、各種の官能基を付与することもできる。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミン基、グリシジル基、アルコキシシリル基、エーテル結合、エステル結合などを挙げることができる。さらに、プライマーには、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などが配合されていてもよい。
【0092】
以上の本発明のコーティング組成物は、熱硬化性組成物として用いられるが、この組成物に、さらに、(g)光酸発生剤や、(h)脱水剤を配合することにより、光硬化性組成物として用いることができる。
【0093】
(g)光酸発生剤
▲1▼定義
本発明の組成物に添加する(g)光酸発生剤は、光などのエネルギー線を照射することにより、(a)成分である加水分解性のオルガノシランを光硬化(架橋)可能な酸性活性物質を放出することができる化合物と定義される。
なお、光酸発生剤を分解させて、カチオンを発生するするために照射する光エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線などを挙げることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大(速く)であり、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
【0094】
また、本発明の耐摩耗性・摺動特性に優れた硬化体を形成するにおいて、組成物に、光酸発生剤とともに後述するラジカル発生剤を併用することも好ましい。中性の活性物質であるラジカルは、シラノール基の縮合反応を促進することはないが、(a)成分中にラジカル重合性の官能基を有する場合に、この官能基の重合を推進させることができる。したがって、光硬化性組成物をより効率的に硬化させることができる。
【0095】
▲2▼光酸発生剤の種類
次に、本発明に用いられる光酸発生剤の種類を説明する。この光酸発生剤としては、一般式(8)で表される構造を有するオニウム塩(第1群の化合物)や一般式(9)で表される構造を有するスルホン酸誘導体(第2群の化合物)を挙げることができる。
【0096】
〔R8 a9 b10 c11 dW〕+m〔MZm+n-m …… (8)
〔一般式(8)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Clまたは−N≡Nであり、R8〜R11は同一または異なる有機基であり、a,b,cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体〔MXm+n〕の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えば、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Coである。Zは、例えば、F,Cl,Brなどのハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。〕
【0097】
−〔S(=O)2−R12t …… (9)
〔一般式(9)中、Qは一価もしくは二価の有機基、R12は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0または1、添え字tは1または2である。〕
【0098】
まず、第1群の化合物であるオニウム塩は、光を受けることにより酸性活性物質を放出することができる化合物である。このような第1群の化合物のうち、より有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩であり、特に好ましくは下記一般式(10)で表されるジアリールヨードニウム塩である。
[R13−Ar1−I+−Ar2−R14][Y-] …… (10)
〔一般式(10)中、R13およびR14は、それぞれ1価の有機基であり、同一でも 異なっていてもよく、R13およびR14の少なくとも一方は炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ar1およびAr2はそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y-は1価の陰イオンであり、周期律表3族,5族のフッ化物陰イオン、もしくはClO4 -,CF3 -およびSO3 -から選ばれる陰イオンである。〕
【0099】
また、第2群の化合物としての一般式(9)で表されるスルホン酸誘導体の例を示すと、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。
また、一般式(9)で表されるスルホン酸誘導体のうち、より好ましくはイミドスルホネート類であり、さらに好ましくはイミドスルホネートのうち、トリフルオロメチルスルホネート誘導体である。
【0100】
▲3▼光酸発生剤の添加量
次に、光硬化性組成物に使用される光酸発生剤の添加量(含有割合)について説明する。
この光酸発生剤の添加量は特に制限されるものではないが、(a)成分を構成するオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部の範囲内の値とするのが好ましい。光酸発生剤の添加量が0.1重量部未満となると、光硬化性が低下し、充分な硬化速度が得られない場合がある。一方、光酸発生剤の添加量が15重量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する場合がある。
したがって、光硬化性と得られる硬化物の耐候性などとのバランスがより良好な観点から、光酸発生剤の添加量を、オルガノシラン(1)100重量部に対して1〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0101】
(h)脱水剤
▲1▼定義
本発明の光硬化性組成物に使用される脱水剤は、化学反応により水以外の物質に変換する化合物、物理吸着または包接により、光硬化性および保存安定性に影響を与えなくする化合物と定義される。
すなわち、このような脱水剤を含有することにより、光硬化性組成物の耐候性や耐熱性を損なうことなく、保存安定性や光硬化性という相反する特性を向上させることができる。この理由として、外部から侵入してくる水を、脱水剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の保存安定性が向上し、一方、光硬化反応である縮合反応においては、生成した水を順次に脱水剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の光硬化性が向上するものと考えられる。
【0102】
▲2▼脱水剤の種類
次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の種類を説明する。この脱水剤の種類は特に制限されるものでないが、有機化合物として、カルボン酸エステル、アセタール類(ケタール類を含む)、およびカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。また、無機化合物として、脱水機能を有するセラミック粉体の使用も好ましい。これらの脱水剤は、優れた脱水効果を示し、少量の添加で脱水剤の機能を効率的に発揮することができる。
【0103】
また、脱水剤としてのカルボン酸エステルは、カルボン酸オルトエステルやカルボン酸シリルエステルなどの中から選ばれる。
ここで、好ましいカルボン酸オルトエステルとしては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルトギ酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチルおよびオルトプロピオン酸エチルなどが挙げられる。また、これらのカルボン酸オルトエステルのうち、より優れた脱水効果を示し、保存安定性や光硬化性をより向上させることができる観点から、オルトギ酸エステルが、本発明における脱水剤として特に好ましい。
また、好ましいカルボン酸シリルエステルとしては、酢酸トリメチルシリル、酢酸トリブチルシリル、ギ酸トリメチルシリル、シュウ酸トリメチルシリルなどが挙げられる。
【0104】
また、好ましいアセタール類としては、例えば、アセトンジメチルアセタール、アセトンジエチルアセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、シクロヘキサノンジメチルアセタールおよびシクロヘキサノンジエチルアセタールが挙げられる。これらのアセタール類は、優れた脱水効果を示し、光硬化性組成物の保存安定性や光硬化性をより向上させることができる。
【0105】
また、好ましいカルボン酸無水物としては、例えば、ギ酸無水物、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、安息香酸無水物、酢酸安息香酸無水物などが挙げられる。特に、無水酢酸および無水コハク酸は、脱水効果に特に優れており好ましい。
【0106】
また、好ましい脱水機能を有するセラミック粉体としては、シリカゲル粒子、アルミナ粒子、シリカアルミナ粒子、活性白土、ゼオライトなどが挙げられる。これらのセラミック粉体は、水に対して、強い親和力を有しており、優れた脱水効果を発揮することができる。
【0107】
▲3▼脱水剤の添加量
次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の添加量について説明する。脱水剤の添加量は特に制限されるものではないが、(a)成分を構成するオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、脱水剤の添加量が0.1重量部未満となると、添加効果の発現に乏しく、保存安定性や光硬化性の向上効果が低い場合があるためであり、一方、脱水剤の添加量が100重量部を超えると、保存安定性や光硬化性の向上効果が飽和する場合がある。
したがって、より好ましくは、脱水剤の添加量を、オルガノシラン(1)100重量部に対して、0.5〜50重量部の範囲内の値とすることであり、さらに好ましくは、1〜10重量部の範囲内の値とすることである。
【0108】
その他の添加剤(2)
本発明の光硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、ラジカル性光重合開始剤、光増感剤、有機溶剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤などの添加剤をさらに含有させることができる。
【0109】
▲1▼光硬化による硬化体の形成方法
本発明の光硬化性組成物から光硬化により硬化体を形成する場合も、コーティングする方法を採ることが好ましく、コーティング方法は上記熱硬化性組成物と同様である。
また、光硬化性組成物を光硬化する手段も特に制限されるものではないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプなどの光源を用いて、波長150〜400nmの光を照射することが好ましい。また、レーザ光、あるいはレンズ、ミラーなどを用いて得られた収束光などを走査させながら光硬化性組成物に光照射することも好ましい。さらに、所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して非収束光を組成物に光照射したり、あるいは、多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光照射することも好ましい。
【0110】
▲2▼厚さ
光硬化による硬化体(コーティング膜)の厚さは特に制限されるものでなく、上記熱硬化による硬化体と同様である。
【0111】
光硬化性組成物の硬化体の製造方法
本発明の光硬化性組成物から硬化体を製造する方法としては、その第1の工程は、上述した光硬化性組成物を基材上で成形する工程(成形工程と称する場合がある)であり、第2の工程は、露光機を用いて露光することにより、光硬化性組成物を光硬化させる工程(露光工程と称する場合がある)である。
【0112】
(1)第1の工程
第1の工程において、形成方法および膜厚は上記のとおりであるが、光硬化性組成物の成形後に、100〜150℃の温度で予備加熱(プリベイク)することが好ましい。このような条件で光硬化性組成物を予備加熱することにより、光硬化性組成物における揮発部分を有効に除去することができ、光硬化性組成物の成形品が型崩れすることがなくなる。また、(a)成分を構成するオルガノシラン(1)のシラノールの一部を反応させることができ、基材に対する密着力や現像時における耐薬品(現像剤)性を向上させることもできる。
ただし、過度に加熱して、現像特性が逆に低下しないように、110〜140℃の温度で加熱することがより好ましく、115〜130℃の温度で加熱することがより好ましい。
【0113】
さらに、加熱時間については、加熱温度を考慮して定めるのが好ましいが、100〜150℃の温度で予備加熱する場合、1〜20分の加熱時間とするのが好ましい。この理由は、加熱時間が1分未満となると、シラノールの反応が不均一となる場合があり、一方、加熱時間が10分を超えると、シラノールが過度に反応して、現像液を用いて精度良く現像することが困難となる場合があるためである。したがって、加熱時間を2〜15分の範囲内の値とするのが好ましく、3〜10分の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
なお、加熱手段については特に制限されるものではなく、例えば、オーブンや赤外線ランプを用いることができる。
【0114】
(2)第2の工程
また、第2の工程における光硬化方法は、全面露光して光硬化させることはもちろんのこと、所定パターンを有するフォトマスク介して非収束光を光硬化性組成物にパターン露光したり、あるいは、多数の光ファイバーを束ねた導光部材を用い、フォトマスクのパターンに対応する光ファイバーからのみ光照射して、パターン露光することも好ましい。
このようにパターン露光することにより、露光して硬化させた光硬化物部分と、露光せず未硬化の光硬化性組成物部分とを精度良く形成することができる。具体的に、マスクパターンのライン/スペース(比率50/50)が10μm以上の範囲、より好ましくは30μm以上の範囲、さらに好ましくは、50μm以上の範囲において、光硬化させた後、現像により基材の露出部を再現性良く形成できることが確認されている。
したがって、未硬化の光硬化性組成物部分のみを、現像液を用いて容易にウエット現像(除去)することができ、基材の露出部、すなわち硬化体が設けられていない部分を短時間かつ容易に形成することができる。よって、このような基材の露出部を利用して、所望の部材を強固に接着固定などをすることができる。
【0115】
さらに、第2の工程において、光硬化物である耐摩耗性・摺動特性に優れた硬化体をさらに加熱することも好ましい。その場合、基材もしくは塗膜の分解開始温度以下である温度25〜200℃、5分〜72時間の条件で加熱するのが好ましい。このように硬化体を加熱することにより、より耐久性に優れた硬化体(積層体)を得ることができる。
【0116】
本発明の組成物(熱硬化性組成物、光硬化性組成物)から、上記のようにして得られる硬化体は、耐摩耗性と摺動特性に優れており、その表面の動摩擦係数は、通常、0.5以下、さらに好ましくは0.45以下、さらに好ましくは0.4以下である。
また、本発明の組成物から得られる硬化体の表面の、水接触角は90度以上、好ましくは95度以上であり、オレイン酸接触角は50度以上、好ましくは55度以上である。
また、本発明の組成物中に顔料などが含有されない場合には、透明性に優れ、この場合の硬化体の透過率は、通常、90%以上、好ましくは93以上%、ヘイズは、通常、2以下、好ましくは1以下である。
【0117】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例になんら制約されるものでない。なお、実施例および比較例中の部および%は、特記しない限り重量基準である。また、実施例および比較例における各種の測定・評価は、下記の方法により行った。
【0118】
(1)重量平均分子量
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、オルガノシランの縮合物1gまたはシリル基含有ビニル系樹脂0.1gを、それぞれ100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃
流速:1cc/分
(2)保存安定性
硬化促進剤を添加しない組成物を、ポリエチレン製ビン内に、常温で3ヶ月密栓保存して、ゲル化の有無を目視により判定した。ゲル化を生じていないものについては、東京計器(株)製のBM型粘度計による粘度測定を行った。
○:粘度増加率が20%未満
△:粘度増加率が20%以上50%未満
×:粘度増加率が50%以上
【0119】
(3)密着性
JIS K5400による碁盤目テスト(ます目100個)により、テープ剥離試験を3回実施し、密着したます目の平均に拠った。
(4)動摩擦係数の測定
株式会社レスカ製摩擦摩耗試験機FRP−2000負荷荷重200g、回転速度1rpm、線速度0.524にて動摩擦係数の測定を行った。
(5)耐摩耗性の測定
テーバー摩耗試験機により、摩耗輪cs−10、荷重0.5kgを負荷させて500回転の摩擦摩耗試験を行い、試験前と試験後とのヘイズ(曇値)の差を求め、下記基準で評価した。
○;ヘイズの差が10未満
△;ヘイズの差が10以上、20未満
×;ヘイズの差が20以上
(6)透過率
BYK Gardner社製haze-gard plusにより全光線透過率、ヘイズを求めた。
(7)接触角
硬化体に水またはオレイン酸を静かに1滴乗せたときの接触角を協和界面科学(株)製自動接触角計により測定した。
【0120】
参考例1〔(a)成分の調製(ポリシロキサンの調製)〕
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、テトラメトキシシラン100gをプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gに溶解させた後、スリーワンモーターで攪拌させ、溶液温度を60℃に安定させた。次に、マレイン酸2.1gを溶解させたイオン交換水50gを1時間かけて溶液に添加した。その後、60℃で4時間反応させた後、反応液を室温まで冷却し、固形分濃度8%の溶液(a−1)を得た。
【0121】
参考例2〔(b)成分の調製(シリル基含有フッ素含有ビニルエーテル系重合体の調製)〕
電磁攪拌機を備えたステンレス製のオートクレーブを窒素ガスで充分置換したのち、当該オートクレーブ内にメチルイソブチルケトンを100部とエチルビニルエーテル30部と和光純薬(株)製VPS−1001Nのメチルイソブチルケトン溶液(固形分濃度30%)5部とを仕込み、オートクレーブ内の溶液をドライアイス−メタノールにより−50℃まで冷却したのち、窒素ガスによって系内の酸素を再度除去した。次いで、ヘキサフルオロプロピレン70部、ビニルトリメトキシシラン7部を添加し、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点におけるオートクレーブ内の圧力は、5kgf/cm2であった。反応系の温度を60℃に保持しながら攪拌することにより、20時間重合反応を継続させ、オートクレーブ内の圧力が1.5kgf・cm2に低下した時点で水冷して反応を停止させ、固形分濃度30%の組成物(b−1)を得た。得られた溶液について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、28,000という値が得られた。
【0122】
参考例3〔(b)成分の調製(シリル基含有フッ素含有ビニルエーテル系重合体の調製)〕
電磁攪拌機を備えたステンレス製のオートクレーブを窒素ガスで充分置換したのち、当該オートクレーブ内にメチルイソブチルケトンを100部とエチルビニルエーテル30部と和光純薬(株)製VPS−1001Nのメチルイソブチルケトン溶液(固形分濃度30%)5部とを仕込み、オートクレーブ内の溶液をドライアイス−メタノールにより−50℃まで冷却したのち、窒素ガスによって系内の酸素を再度除去した。次いで、ヘキサフルオロプロピレン25部、フルオロメチルビニルエーテル50部、ビニルトリメトキシシラン7部を添加し、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点におけるオートクレーブ内の圧力は、5kgf/cm2であった。反応系の温度を60℃に保持しながら攪拌することにより、20時間重合反応を継続させ、オートクレーブ内の圧力が1.5kgf・cm2に低下した時点で水冷して反応を停止させ、固形分濃度30%の組成物(b−2)を得た。得られた溶液について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、25,000という値が得られた。
【0123】
参考例4〔(b)成分の調製(シリル基含有フッ素含有アクリル系重合体の調製)〕
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート10.0部、メチルメタクリレート53.0部、2−エチルヘキシルアクリレート5.7部、ブチルアクリレート4.3部、シクロヘキシルメタクリレート6.0部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン11.3部、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン5.0部、イソブチルアルコール75.0部、メチルエチルケトン50.0部部、メタノール25部を加えて混合したのち、撹拌下で80℃に加温し、この混合物に、VPS−1001Nのメチルエチルケトン溶液(固形分濃度30%)4部を加え、さらに80℃で5時間反応させて、固形分濃度40%の組成物(b−3)を得た。得られた溶液について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、12,000という値が得られた。
【0124】
参考例5〔(b)成分の調製(シリル基含有アクリル系重合体の調製)〕
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート51.4部、2−エチルヘキシルアクリレート5.5部、シクロヘキシルアクリレート6.0部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン11.3部、カプロラクトン変性アクリレート0.8部、グリシジルメタクリレート20.0部、−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン5.0部およびi−ブチルアルコール75.0部、メチルエチルケトン50.0部、メタノール25.0部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にVPS−1001Nのメチルエチルケトン溶液(固形分濃度30%)4部を加えた後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の組成物(b−4)を得た。得られた溶液について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、9,000という値が得られた。
【0125】
参考例6〔(シリル基含有アクリル系重合体)〕
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート55.0部、2−エチルヘキシルアクリレート5.0部、シクロヘキシルアクリレート5.0部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10.0部、グリシジルメタクリレート20.0部、−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン5.0部およびi−ブチルアルコール75.0部、メチルエチルケトン50.0部、メタノール25.0部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾイソバレロニトリル3部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下したのち、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の組成物を得た。得られた溶液100部をイソプロピルアルコール350部、メチルエチルケトン350部にて希釈し、固形分濃度5%の溶液を得た。
【0126】
実施例1〜12
還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に表1、2に示す各成分(水と後添加成分を除く)を加えて混合し、水添加後、60℃で4時間反応させた後、後添加成分を加えて室温まで冷却し、固形分濃度15〜20%の本発明の重合体組成物(a〜l)を得た。
実施例1〜12で得られた組成物は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製カプセルフィルター(ろ過精度0.1μm)にて2kgf/cm2の加圧ろ過を実施した。
なお、表中、「MTMS」は「メチルトリメトキシシラン」を、「GPTS」は「グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」を、「DMDMS」は「ジメチルジメトキシシラン」を、「DiPEAAAl」は「ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム」を、「MEK」は「メチルエチルケトン」を、「iPA」は「イソプロピルアルコール」を、「AcAc」は「アセチルアセトン」を、それぞれ示す。
【0127】
実施例13〜14
攪拌機および蒸留装置を備えた容器内に表2に示す各成分(水と後添加成分を除く)を加えて混合し、水添加後、60℃で4時間反応させた後、後添加成分を加えて室温まで冷却し、固形分濃度15〜20%の本発明の重合体組成物を得た。次いで、容器内の温度を80℃に昇温させたのち、メチルイソブチルケトンを滴下しながら加水分解により副生したメタノールを蒸留除去した。最終的に固形分濃度を20%に調製し後添加成分を添加し本発明の組成物(m、n)を得た。
【0128】
【表1】
Figure 0004000448
【0129】
【表2】
Figure 0004000448
【0130】
(e−1):メタノール分散SiO2 (固形分濃度30%、0.02μm):日産化学工業株式会社製
(e−2) :SiO2被覆メラミン粒子(粉体3μm) :日産化学工業株式会社製
(e−3):ルブロンLD−100E(固形分濃度12%、0.2μm):ダイキン工業株式会社製
【0131】
実施例15〜30
IPA溶液および超純水にて脱脂洗浄を行ったポリカーボネート基板(厚み2mm)に、参考例6で得られた組成物を約0.5μm塗布し、130℃で10分乾燥させた後、本発明のコーティング組成物a〜l(イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテル=4/4/2の比率の溶媒にて希釈し固形分濃度10%に調製されたもの)100部に対し、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウムのイソプロピルアルコール、メチルエチルケトンの等量希釈溶液(固形分濃度20%)15部を添加混合し、それぞれ、乾燥膜厚が1μmになるように塗布、130℃で30分乾燥させコーティングシートとした。同様に、IPA溶液および超純水にて脱脂洗浄を行ったポリカーボネート基板(厚み2mm)に、本発明のコーティング組成物m、n(メチルイソブチルケトンにて希釈し固形分濃度10%に調製されたもの)を塗布し、次いで室温(25℃)、2分の条件で乾燥して、厚さ0.5μmの塗膜を得た後、大気下、温度25℃、露光量300mJ/cm2(照射時間3秒)となるように、オーク製作所(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ(2kW)を用いて紫外線を照射し、膜を形成した。
結果を表3〜4に示す。
【0132】
【表3】
Figure 0004000448
【0133】
【表4】
Figure 0004000448
【0134】
実施例31〜35
得られた組成物を各種基材に塗布し、密着性、耐摩耗性評価を行った。
結果を表5に示す。なお、PETを除く全ての基材は実施例15同様の基材洗浄を実施し、PETフィルムは易接着処理を施した東レ株式会社製、算術平均荒さが0.1μm、厚さ50μmを使用した。塗布・硬化条件は、実施15同様である。
【0135】
【表5】
Figure 0004000448
【0136】
ガラス:JIS R3201
アルミニウム:JIS H4000 A1050P
PET:株式会社東レ製,算術平均粗さ0.1μm,厚み50μm)
【0137】
【発明の効果】
本発明の摺動部材用コーティング組成物は、オルガノシラン成分と特定のシリル基含有ビニル系樹脂を含有し、撥水・撥油による防汚性を有し、保存安定性と、基材に対する密着性に優れ、かつ動摩擦係数の低いことから耐摩耗性と摺動特性に優れており、特にデジタル製版機、電子写真複写機、ファクシミリ、レーザープリンタの感光体ロール保護層などの摺動部材、インクジェットプリンタのノズルヘッドなどの摺動部材、感熱プリンタのヘッドなどの摺動部材、光および/または磁気情報装置および記録媒体、VTR用磁気ヘッドドラムや光学レンズ、光学フィルムの保護コート、電子磁気用摺動部材、または車両用ディスクブレーキやモーターにおける摺動部材、軸受け、LCD用タッチパネルや車両用窓、サンルーフの保護コート、バス、キッチン、洗面台、トイレの保護コート、CRT、LCD、PDP、ELなどの表示装置用保護コート、フォトマスク用保護コートなどに好適である。

Claims (3)

  1. (a) 下記一般式(1)
    (Rn Si(OR4-n ・・・・・(1)
    (式中、Rは、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、Rは、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
    で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種、ならびに
    (b)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記一般式(2)で表されるポリシロキサン構造を含有してなり、加水分解性基および/または水酸基と結合した珪素原子を有するシリル基含有ビニル系樹脂、
    の混合物を加水分解・縮合して得られる摺動部材用コーテイング組成物。
    Figure 0004000448
    〔一般式(2)中、R1〜R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示し、mは1〜200の整数である。〕
  2. 上記一般式(2)で表されるポリシロキサン構造が下記一般式(3)で表される構造単位を含有してなる請求項1記載の摺動部材用コーテイング組成物。
    Figure 0004000448
    〔一般式(3)中、R3〜R6は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、またはシアノ基を示し、R7〜R10は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。s,rは1〜6の整数、o,pは0〜6の整数、qは1〜200の整数である。〕
  3. 基材に請求項1または2記載の組成物を塗布し、熱硬化および/または光硬化させてなる硬化体を有する摺動部材。
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