JP2000162331A - 時計用部品の製造方法、時計部品及び時計 - Google Patents

時計用部品の製造方法、時計部品及び時計

Info

Publication number
JP2000162331A
JP2000162331A JP10339609A JP33960998A JP2000162331A JP 2000162331 A JP2000162331 A JP 2000162331A JP 10339609 A JP10339609 A JP 10339609A JP 33960998 A JP33960998 A JP 33960998A JP 2000162331 A JP2000162331 A JP 2000162331A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cavity
timepiece
manufacturing
component
metal material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10339609A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3521773B2 (ja
Inventor
Kazumi Asuke
一巳 足助
Atsuki Takei
厚樹 武井
Tatsukado Hirabayashi
辰門 平林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP33960998A priority Critical patent/JP3521773B2/ja
Publication of JP2000162331A publication Critical patent/JP2000162331A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3521773B2 publication Critical patent/JP3521773B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 型成形法によって時計用部品を成形する方法
であって、安価に製造できるとともに部品精度の低下や
歩留まりの悪化を抑制することができる新規の製造方法
を提供する。 【解決手段】 地板10の外周領域11は環枠状に形成
された厚肉部分となっており、外周領域11には、その
周回方向に相互に離れた位置に分散配置された薄肉部1
1a,11b,11c,11d,11e,11fが設け
られている。さらに、外周領域11よりも内側の領域は
基本的には薄肉に形成されているが、ここにも部分的に
周囲よりも厚肉に形成された厚肉部12,13,14,
15,16が設けられている。地板10の製造方法とし
ては、地板の形状に対応するキャビティを備えた金型を
用いて、ゲート17から溶融した金属材料を注入して射
出成形を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は時計用部品の製造方
法及び、時計用部品時計に係り、特に、金属材料により
形成される部品の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、時計用部品の製造方法としては、
切削加工、鍛造加工、プレス加工などの種々の成形方法
が採用されており、部品の形状や要求される機械的特性
に合わせて成形方法が選択されている。特に、腕時計用
の微少な内蔵部品においては、成形によって実現するべ
き形状が非常に細かいため、その成形加工が困難である
ため、射出成形法などによって比較的容易に量産できる
合成樹脂製の部品を用いることも増えている。
【0003】しかしながら、合成樹脂製の部品では機械
的強度や硬度が不足する場合が多く、また、タッピング
ネジを用いることができないなどの不都合な点があり、
また、素材として充分な信頼性が得られないことから、
ネジを固定する部分や歯車のかみ合わせ部分、歯車の軸
受部分などには依然として多くの金属材料が用いられて
おり、また、高級時計の場合には信頼性を得るためにほ
とんどが金属部品によって構成されているのが現状であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、金属材料を
用いて微少な部品や微細かつ複雑な形状を備えた金属材
料を上記のような切削、鍛造、プレスなどによって行う
ことは非常に困難であり、製造コストが増大する。この
ために、ダイカスト法などの型成形法を用いることも考
えられるが、特に微少な構造を備えた部品を成形する場
合には型形状の転写性が問題となり、巣やヒケなどが発
生して製品の精度や歩留まりが低下するために、製造上
の理由から金属素材の特性に関わる長所を活かせないと
いう問題点がある。
【0005】そこで本発明は上記問題点を解決するもの
であり、その課題は、型成形法によって時計用部品を成
形する方法であって、安価に製造できるとともに部品精
度の低下や歩留まりの悪化を抑制することができる新規
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、射出成形法により溶融若しく
は半溶融状態の金属材料を型内に充填して成形してなる
ことを特徴とする時計用部品の製造方法である。従来は
合成樹脂の成型に用いられることが多い射出成形法であ
るが、金属材料の型成型に用いることによって高精度か
つ安価に時計用部品を形成することが可能になる。ここ
で、金属材料を用いるダイキャスト法や粉末成形法では
微少かつ複雑な形状の精度を得ることが困難であり、成
形後の部品としての信頼性も不十分であるが、溶融若し
くは半溶融状態の金属材料を用いる射出成形法によって
成形を行うことにより、製造コストを抑制しつつ、時計
用部品の形状精度及び信頼性を満たすことができる。
【0007】請求項1において、半溶融金属を用いるチ
クソモールディング法により成形してなることが好まし
い。半溶融金属を用いるチクソモールディング法を用い
ることにより、低温成形が可能になり、より高精度な成
形品を得ることができるとともに、金型の長寿命化を図
ることができるなど、製造上の利点もある。
【0008】請求項1又は請求項2において、前記時計
用部品は地板である場合がある。時計用部品には数々の
種類があるが、外装部品と内蔵部品とがあり、さらに内
蔵部品には、地板の他に受け、中枠、歯車、レバー、
軸、などがある。この中でも地板は最も大きくかつ複雑
な形状を備えているとともに、多数の内蔵部品を支持す
るための最も重要な部品である。従来は複雑な形状の地
板を製造するために多大の労力を払っていたため、本発
明を地板に適用することにより大きな効果が得られる。
【0009】請求項3において、前記地板の外周領域に
枠状の肉厚部分を設けるべくキャビティを形成し、前記
射出成形のゲート部を前記キャビティにおける前記外周
領域に相当する部分に臨ませて成形することが好まし
い。地板の外周領域に枠状の肉厚部分を形成することに
よって、地板の剛性を高めることができるとともに射出
成形時において金属材料を地板の板面全体に行き渡らせ
るための流路として用いることができるので、より均一
に成形することができ、しかも、不良箇所を低減するこ
とができる。
【0010】請求項4において、前記キャビティは、前
記外周領域においてその周回方向に複数の薄肉部が間隔
をもって形成されるように構成されていることが好まし
い。外周領域に薄肉部が形成されるようにキャビティを
構成することにより、外周領域に対応するキャビティ部
分が成形時に金属材料の流路となったとき、当該薄肉部
に対応する部分がキャビティの中央部分に金属材料を導
く堰きとして作用するため、キャビティ全体により均一
かつ整然と金属材料を流し込むことができる。
【0011】請求項3から請求項5までのいずれか1項
において、前記キャビティにおける前記外周領域に相当
する部分に臨むオーバーフロー部を形成して成形するこ
とが好ましい。外周領域に相当する部分にオーバーフロ
ー部を形成することにより、キャビティ内のガス圧や余
分な金属材料の流れをオーバーフロー部に排出させて特
に地板の中央部分の微細形状部に欠陥が生ずるのを防止
できる。
【0012】請求項6において、前記ゲート部から離れ
た位置に形成される、前記キャビティにおける前記外周
領域の薄肉部に相当する部分に対し、前記オーバーフロ
ー部が臨むように設けられていることが望ましい。オー
バーフロー部が薄肉部に相当する部分に臨むように設け
られていることにより、キャビティ内における地板とな
る部分よりも優先的にオーバーフロー部に金属材料が流
れ込むことが抑制される。
【0013】請求項4から請求項7までのいずれか1項
において、前記ゲート部は前記地板の板面と平行に前記
金属材料を注入するサイドゲートである場合がある。
【0014】また、請求項4から請求項7までのいずれ
か1項において、前記ゲート部は前記地板の板面と垂直
に前記金属材料を注入するピンポイントゲートである場
合がある。
【0015】請求項1から請求項9までのいずれか1項
において、前記時計用部品は突起部若しくはリブを備え
ており、キャビティにおける前記突起若しくはリブに相
当する凹部の開口縁部における前記金属材料の流入方向
にみて上流側に配置された角部近傍を部分的にカットし
た形状に構成することが好ましい。キャビティの凹部に
おいて、金属材料の流入方向の上流側の角部近傍をカッ
トした形状に構成することにより、凹部への金属材料の
流入を容易にするので、突起やリブの不良を低減するこ
とができる。
【0016】請求項1から請求項9までのいずれか1項
において、前記時計用部品は突部若しくはリブを備えて
おり、キャビティにおける前記突起若しくはリブに相当
する凹部の最奥部にガス抜き可能な隙間を有する金型合
わせ面を配置することが好ましい。金型合わせ面の配置
により、凹部の最奥部にガス抜き可能な隙間を備えてい
ることにより、突起やリブの形状精度をより向上するこ
とができる。
【0017】請求項11において、前記金型合わせ面が
前記凹部の深さ方向とほぼ平行に伸びるように構成され
ていることが望ましい。このことにより隙間が凹部の深
さ方向にガス抜きを可能にするので、離型時に隙間に形
成されたバリなどがともに金型より離れ易くなることか
ら、隙間の目詰まりが抑制できる。
【0018】請求項11において、前記金型合わせ面が
前記凹部の深さ方向と交差する方向に伸びるように構成
されていることが望ましい。このことにより隙間が凹部
の深さ方向と交差する方向に伸びていることとなるた
め、成形品のバリを無くすことができる。
【0019】上記方法により製造された時計用部品は各
種時計に用いることができ、高精度、高剛性、高耐久性
を備えた部品として時計機能の信頼性を高めることがで
きるので、特に、信頼性の必要な高級時計に用いること
が効果的である。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る実施形態につ
いて詳細に説明する。以下に説明する各実施形態はいず
れも腕時計の内蔵部品に関するものであるが、本発明は
以下のものに限らず、時計の種々の部品に対して適用す
ることができるものである。
【0021】[第1実施形態] 図1は腕時計用の地板
10の概略の平面形状を示す模式的な概略平面図であ
り、図2は地板10の平面形状の具体例を示す詳細な平
面図である。図1に示すように、地板10には、中央部
において指針部を回転させるための案内を行う軸孔10
aと、時計モータのコイルや発電機のコイルを収容する
ための矩形孔10b,10cと、電池を収容する収容部
の底部に形成された薄肉部10dと、薄肉部10dの一
部に形成された開口10eとが設けられている。
【0022】地板10の外周領域11は環枠状に形成さ
れた厚肉部分となっており、地板10全体の強度を高め
る役割を担っている。外周領域11には、その周回方向
に相互に離れた位置に分散配置された薄肉部11a,1
1b,11c,11d,11e,11fが設けられてい
る。さらに、外周領域11よりも内側の領域は基本的に
は薄肉に形成されているが、ここには部分的に周囲より
も厚肉に形成された厚肉部12,13,14,15,1
6が設けられている。
【0023】地板10の製造方法としては、図1に示す
地板の形状に対応するキャビティを備えた金型を用い
て、図示のゲート17から溶融した金属材料を注入して
射出成形を行う。ここで、ゲート17は、キャビティに
おける地板10の外周領域11に相当する部分に臨むよ
うに形成されたサイドゲート構造を備えている。金型の
パーティング面は図の紙面と平行に設定される。また、
このゲート17に対して離れた外周領域11に相当する
キャビティの部分に臨むようにオーバーフロー部18が
配置されている。ここで、オーバーフロー部18ととも
にオーバーフロー部18’を併用してもよい。また、ゲ
ート17とともにゲート17’を併用してもよい。な
お、本願に添付した各図において示したゲートやオーバ
ーフロー部の形状は模式的なものであって、実際の形状
を示すものではない。
【0024】この金型を用いた型成形は、図8に示す射
出成形機30を用いた射出成形法によって行われる。特
に、本実施形態では、マグネシウム合金を用いたチクソ
モールディング法により地板10を成形している。チク
ソモールディング法は微細な粒状晶が液相中に混合され
た半溶融状態の溶湯を金型内に注入して成形する方法で
あり、図8に示す射出成形機30を用いる場合には、原
料ホッパー31にチップ化されたマグネシウム合金を投
入し、原料供給装置32によって内部に投入された原料
は加熱溶融されるとともにシリンダ34内に配置された
スクリュー33によって撹拌され、半溶融状態になる。
なお、ヒータ35はシリンダ34を加熱するためのもの
であり、駆動部38はシリンダ34内の撹拌動作及び射
出動作を可能にするものである。
【0025】図9は半溶融状態にある金属材料の状態を
示すものであり、(a)は静止状態での凝固過程におけ
る半溶融状態を示し、(b)は本実施形態において用い
る撹拌作用によって剪断力を与えた場合の粒状晶を含む
半溶融状態を示すものである。このような粒状晶を含む
半溶融状態は撹拌の他、Znなどの微量添加物を添加す
ることによっても実現できる。半溶融状態の金属材料
は、通常、材料系の融点よりも10〜20℃低い温度に
維持され、金型内へ射出される。
【0026】上記のような半溶融状態のマグネシウム合
金はノズル36から金型37内に高速に射出される。射
出成形法の利点は射出圧力が通常でも500〜600k
g/cm2と高く、高圧でかつ高速に金型37内に金属
材料を充填することができるため、転写性が高く、形状
精度を高めることができるという点にある。
【0027】マグネシウム合金としてはAZ91、AM
60などを使用することができ、軽量、切削加工が容
易、剛性が高い、経時変化が少ない、振動吸収性が良い
などの特徴がある。また、マグネシウム合金以外にも、
アルミニウム、亜鉛、スズなどの金属或いはこれらの合
金などの比較的低融点の金属材料を用いることが好まし
い。もちろん、原理的にはこれらの素材に限定されるこ
となく他の種々の金属材料を用いることもできる。
【0028】実際の射出成形に当たっては、金型温度を
200〜300℃、金属材料の温度を595〜610
℃、射出圧力を500〜700kg/cm2、ゲート通
過時の射出速度を30〜40m/秒として成形を行っ
た。なお、本実施形態では、半溶融状態の金属材料を用
いているが、他の条件は上記とほぼ同様にして、完全溶
融状態の金属材料を射出成形法によって成形してもよ
い。
【0029】本実施形態では、図1に示すようにゲート
17から注入された金属材料は地板10の中心部に相当
するキャビティ中心に向かって進むが、薄肉部の多い内
側領域よりも肉厚部分として形成される外周領域11に
相当するキャビティ部分を通り易いので、キャビティの
外周部に沿って周回方向両側に広がっていき、やがてキ
ャビティ全体を金属材料が満たすようになる。金属材料
の一部はオーバーフロー部18に進入して停止する。こ
こで、外周領域11には複数箇所に薄肉部11a,11
b,・・・が形成されているので、外周領域11に相当
するキャビティの外周部のみに金属材料が回ってしまう
ことが防止され、薄肉部11a,11b,・・・に相当
するキャビティ部分が堰きとなって金属材料の一部をキ
ャビティ中央部へと導く役割を果たしている。
【0030】腕時計用の地板10は、薄肉部の厚さが約
0.2〜0.3mm、地板面には0.16mm径の孔部
や0.3mm径のボスなどが形成されているため、金属
材料の型成形によって充分な形状精度を得ることが困難
であった。本実施形態では、射出成形法を用いるととも
に上記の工夫をこらすことによって細部まで充分な形状
精度を持つ地板を成形できた。
【0031】なお、オーバーフロー部18,18’の開
口部は、外周領域の薄肉部に相当するキャビティ部分に
配置することが、キャビティ内の充填性を損なわないよ
うにするために好ましい。
【0032】本実施形態では、金属材料の射出成形法を
用いていることによって高圧高速に素材を型内に充填す
ることができ、迅速に高精度の時計用部品を形成するこ
とができる。これは、ゲート口の固化などの理由により
一定の反力が加わると素材の注入が停止する従来のダイ
キャストなどの鋳造法とは異なり、所定量の材料を確実
に型内に注入することにより、巣やヒケなどが生じにく
くなるため、より精度よく、より微細な構造についても
成形することができるからである。
【0033】特に、チクソモールディング法を用いるこ
とによって、低温で金属材料を型内に注入することがで
きるので、鋳造欠陥や偏析が少なく金属組織が均一で、
時計用部品としてはきわめて好ましい特性を得ることが
できる。また、このチクソモールディング法は金型寿命
が長いことや成形サイクルが短いなどの製造工程上の利
点も有する。この実施形態のように微細な部品をチクソ
モールディング法によって成形する場合には、ゲート1
7の開口面積は通常よりもかなり大きく設定することが
好ましい。
【0034】本実施形態の製造方法による具体的構造に
係る利点としては、以下のような点が挙げられる。ま
ず、板状部の表面上にピンやリブを立てた形状、穴や溝
を穿設した形状を成形する場合に、これらの形状部にお
いて、従来の切削加工よりも突出量を大きくとり、ピン
径やリブ厚を小さくし、穴径や溝幅を小さくすることが
できる。特に、時計に内蔵される地板や受けなどの部品
には上記のような突部や凹部を多く形成する必要がある
ので、きわめて顕著な効果を奏する。
【0035】[第2実施形態] 次に、図3を参照して
本発明に係る第2実施形態について説明する。この実施
形態では図2に示す地板10を成形する場合に、地板1
0の板面に対してほぼ直交する方向から金属材料を注入
するピンポイントゲート19を地板10の外周領域11
に相当するキャビティ部分に開口するように複数箇所に
設けている。なお、図3はあくまでも模式的なものであ
り、詳細な地板形状を正確に反映しているものではな
い。
【0036】この実施形態では、ピンポイントゲート1
9による金属材料の注入方向が地板10の板面と交差し
注入抵抗が高くなるので、これを補償するために、ピン
ポイントゲート19をキャビティの外周部(特に薄肉部
以外の場所)に複数箇所設けることによって充填性を確
保している。この場合、周知のようにピンポイントゲー
トは金型内でゲート切断を行えるため、ゲート切断工程
が不要になる。
【0037】この実施形態においても、図1と同様に、
地板10の外周領域11に肉厚部分が形成されているこ
とによって金属材料のキャビティ全体への充填が容易に
なり充填性を高めることができる。さらに、外周領域に
周回方向に離れて形成された薄肉部11a,11b,・
・・を設けたことによってキャビティ内側への金属材料
の供給も支障なく行われる。
【0038】上記第1実施形態及び第2実施形態では地
板を成形する方法について説明したが、同様に内蔵部品
として使用される板状の受け部材、環状の中枠もまた同
様の方法で製造することができる。
【0039】[第3実施形態] 次に、時計用歯車を成
形する第3実施形態について説明する。この実施形態で
は、第2実施形態と同様のピンポイントゲートを用いて
射出成形により金属製の歯車40を成形している。歯車
40は、歯を外縁に備えた外周部41と、外周部41よ
りも肉厚に形成された内周部42と、内周部42の中央
に突出形成された軸部43とから構成されている。
【0040】この歯車40を成形するための金型には歯
車40の形状に対応する形状のキャビティが形成されて
いるとともに、当該キャビティに金属材料を注入するピ
ンポイントゲート45,46が開口している。ピンポイ
ントゲート45は歯車40の軸部45の端面に対応する
キャビティ部分に臨むように形成され、ピンポイントゲ
ート46は外周部41の板面に対応するキャビティ部分
に臨むように形成されている。図示の場合2つのピンポ
イントゲート46が設けられているが、歯車の回転方向
に対して均等間隔で複数のピンポイントゲート46が形
成されていることが充填性を高める上で好ましい。
【0041】この実施形態においても、金属材料の射出
成形法により形成することによって、形状精度の良好な
剛性の高い歯車40を安価に得ることができる。また、
チクソモールディング法を用いることによってより高精
度な歯車を簡単に製造することができる。
【0042】このような歯車などの動力伝達部品にはき
わめて大きな剛性、耐摩耗性が要求されるが、従来は、
プラスチック成形により形成する場合には剛性を確保す
るために全体や基部、或いは歯幅を肉厚に形成する必要
があり、小型化や接触抵抗の低減に限界があった。特
に、時計歯車では時刻修正などの際に歯車の回転を規制
する必要があるが、合成樹脂製の歯車では歯がつぶれや
すいため、歯の部分以外で規制をかける必要があり、規
制が不確実で構造が複雑になるという問題点がある。一
方、金属を用いるが切削加工、鍛造、プレスなどにより
時計用部品を形成すると、加工の手間がかかり製造コス
トの削減が不十分であり、形状精度も充分でなかった。
本実施形態では、金属を容易に成形できるとともに、薄
肉化、高精度化が可能であるので、従来よりも低コスト
で高い能力を発揮できる時計用部品を製造できる。
【0043】[金型構造] 最後に、上記各実施形態に
おいて用いることのできる金型構造の特徴点について説
明する。上述のように時計用部品は一般に微細で複雑な
形状を備えているため、細部の充填性が悪いと充分な形
状精度を得ることができない。例えば、図5は、金型5
0におけるキャビティ内に板状部を成形するための板状
キャビティ部51が形成され、さらに、この板状キャビ
ティ部51から引き込まれた形状の穴部若しくは溝部か
らなる凹部52が形成されている場合を示す。この凹部
52は、板状部から突出する突起(ボス、ピンなど)若
しくはリブを形成するためのキャビティ部分である。
【0044】この場合、ゲートの配置によって板状キャ
ビティ部51を流れる金属材料の流入方向がほぼ決定さ
れるので、その流入方向を基準として、凹部52の上流
側の角部52aを図示のように部分的に削除して面取り
若しくはR面(曲面)化する。一方、下流側の角部52
bは特に削除せず、そのままの形状とすることによっ
て、金属材料の凹部52への充填性を高めることがで
き、しかも、巣の発生を防止することができる。
【0045】ここで、角部52aは、面取り加工やR面
加工に限らず、部分的に凹部52の深さ方向に削り取る
だけでもよい。また、下流側の角部52bもまた、角部
52aと同様に加工してもよい。
【0046】次に、図6及び図7を参照して、上記と同
様にキャビティ内面に形成された凹部62,72の近傍
の構造について説明する。上記のように凹部62,72
は金属材料の充填性が問題となるが、その中で、金属材
料或いはその他から発生した気体が凹部の底部分に溜ま
って巣が形成される原因になることが多い。
【0047】図6に示す構造では、キャビティ60を構
成する金型部材61に貫通部を形成し、この貫通部の内
部に金型部材63を配置することによって凹部62を構
成している。この凹部62においては、その奥に金型部
材61と金型部材63との間の金型合わせ面が存在し、
きわめて僅かな隙間が存在するので、この隙間から気体
が少しずつ抜けて内圧を低減し、巣の発生原因を無くす
効果がある。なお、この場合には、隙間の伸びている方
向が離型時に成形体が凹部62から抜ける方向とほぼ一
致しているため、隙間に金属材料が詰まり難いという利
点もある。
【0048】図7に示す例では、金型部材71に形成さ
れた貫通部を外側から覆うように金型部材73が取り付
けられており、構成された凹部72の内部からは、金型
部材71の背後と金型部材73との間に形成された金型
合わせ面の僅かな隙間から気体が抜けるように構成され
ている。この場合には、隙間の伸びている方向が離型時
に成形体が凹部72から抜ける方向と平行ではないた
め、成形体にバリなどが生じ難いという利点がある。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、溶
融若しくは半溶融状態の金属材料を用いる射出成形法に
よって成形を行うことにより、製造コストを抑制しつ
つ、時計用部品の形状精度及び信頼性を満たすことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る時計用部品の製造方法の第1実施
形態において製造される地板とその金型のゲート構造と
の関係を模式的に描いた概略平面図である。
【図2】同実施形態により製造される地板のより詳細な
具体的構造例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る時計用部品の製造方法の第2実施
形態において製造される地板とその金型のゲート構造と
の関係を模式的に描いた概略断面図(a)及び概略平面
図(b)である。
【図4】本発明に係る時計用部品の製造方法の第3実施
形態において製造される歯車とその金型のゲート構造と
の関係を模式的に描いた概略図である。
【図5】各実施形態において用いることができる金型の
キャビティ内の凹部近傍を示す拡大断面図である。
【図6】各実施形態において用いることができる金型の
キャビティ内の凹部近傍を示す拡大断面図である。
【図7】各実施形態において用いることができる金型の
キャビティ内の凹部近傍を示す拡大断面図である。
【図8】各実施形態において用いる射出成形機の概略構
成を示す概略断面図である。
【図9】通常の金属材料の半溶融状態(a)と、チクソ
モールディング法に用いる半溶融状態(b)の状態を示
す説明図である。
【符号の説明】
10 地板 11 外周領域 11a,11b,11c,・・・ 薄肉部 12,13,14,15,16 厚肉部 17,17’ ゲート 18,18’ オーバーフロー部 30 射出成形機 37 金型 40 歯車 50,60、70 金型 52,62,72 凹部

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形法により溶融若しくは半溶融状
    態の金属材料を型内に充填して成形してなることを特徴
    とする時計用部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、半溶融金属を用いる
    チクソモールディング法により成形してなることを特徴
    とする時計用部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記時
    計用部品は地板であることを特徴とする時計用部品の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記地板の外周領域
    に枠状の肉厚部分を設けるべくキャビティを形成し、前
    記射出成形のゲート部を前記キャビティにおける前記外
    周領域に相当する部分に臨ませて成形することを特徴と
    する時計用部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記キャビティは、
    前記外周領域においてその周回方向に複数の薄肉部が間
    隔をもって形成されるように構成されていることを特徴
    とする時計用部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3から請求項5までのいずれか1
    項において、前記キャビティにおける前記外周領域に相
    当する部分に臨むオーバーフロー部を形成して成形する
    ことを特徴とする時計用部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記ゲート部から離
    れた位置に形成される、前記キャビティにおける前記外
    周領域の薄肉部に相当する部分に対し、前記オーバーフ
    ロー部が臨むように設けられていることを特徴とする時
    計用部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項4から請求項7までのいずれか1
    項において、前記ゲート部は前記地板の板面と平行に前
    記金属材料を注入するサイドゲートであることを特徴と
    する時計用部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項4から請求項7までのいずれか1
    項において、前記ゲート部は前記地板の板面と垂直に前
    記金属材料を注入するピンポイントゲートであることを
    特徴とする時計用部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項9までのいずれか
    1項において、前記時計用部品は突起若しくはリブを備
    えており、キャビティにおける前記突起若しくはリブに
    相当する凹部の開口縁部における前記金属材料の流入方
    向にみて上流側に配置された角部近傍を部分的にカット
    した形状に構成することを特徴とする時計用部品の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項9までのいずれか
    1項において、前記時計用部品は突起若しくはリブを備
    えており、キャビティにおける前記突起若しくはリブに
    相当する凹部の最奥部にガス抜き可能な隙間を有する金
    型合わせ面を配置することを特徴とする時計用部品の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11において、前記金型合わせ
    面が前記凹部の深さ方向とほぼ平行に伸びるように構成
    されていることを特徴とする時計用部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項11において、前記金型合わせ
    面が前記凹部の深さ方向と交差する方向に伸びるように
    構成されていることを特徴とする時計用部品の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項1から請求項13までのいずれ
    か1項に記載された製造方法により形成された時計用部
    品。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載された時計用部品を
    備えた時計。
JP33960998A 1998-11-30 1998-11-30 時計用部品の製造方法、時計部品及び時計 Expired - Fee Related JP3521773B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33960998A JP3521773B2 (ja) 1998-11-30 1998-11-30 時計用部品の製造方法、時計部品及び時計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33960998A JP3521773B2 (ja) 1998-11-30 1998-11-30 時計用部品の製造方法、時計部品及び時計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000162331A true JP2000162331A (ja) 2000-06-16
JP3521773B2 JP3521773B2 (ja) 2004-04-19

Family

ID=18329116

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33960998A Expired - Fee Related JP3521773B2 (ja) 1998-11-30 1998-11-30 時計用部品の製造方法、時計部品及び時計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3521773B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007225492A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Seiko Instruments Inc 地板及び該地板を備えた電子時計並びに該地板成形用金型
WO2015169465A1 (de) * 2014-05-06 2015-11-12 Hans-Joachim Bergfeld Verfahren zur herstellung eines schmuckteiles

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5783828U (ja) * 1980-11-07 1982-05-24
JPS5984181A (ja) * 1982-11-05 1984-05-15 Rhythm Watch Co Ltd 時計外装部品とその製造方法
JPH06174710A (ja) * 1992-12-07 1994-06-24 Akihiro Yoshida 複数種の特定化学物質を同時定量するための方法
JPH06238711A (ja) * 1993-02-12 1994-08-30 Olympus Optical Co Ltd プラスチックの射出成形方法および装置
JPH08122454A (ja) * 1994-10-25 1996-05-17 Seiko Epson Corp 時計用外装部品及びその製造方法
JPH09272945A (ja) * 1996-04-04 1997-10-21 Mazda Motor Corp 耐熱マグネシウム合金成形部材、その成形に用いる耐熱マグネシウム合金および該成形方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5783828U (ja) * 1980-11-07 1982-05-24
JPS5984181A (ja) * 1982-11-05 1984-05-15 Rhythm Watch Co Ltd 時計外装部品とその製造方法
JPH06174710A (ja) * 1992-12-07 1994-06-24 Akihiro Yoshida 複数種の特定化学物質を同時定量するための方法
JPH06238711A (ja) * 1993-02-12 1994-08-30 Olympus Optical Co Ltd プラスチックの射出成形方法および装置
JPH08122454A (ja) * 1994-10-25 1996-05-17 Seiko Epson Corp 時計用外装部品及びその製造方法
JPH09272945A (ja) * 1996-04-04 1997-10-21 Mazda Motor Corp 耐熱マグネシウム合金成形部材、その成形に用いる耐熱マグネシウム合金および該成形方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007225492A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Seiko Instruments Inc 地板及び該地板を備えた電子時計並びに該地板成形用金型
WO2015169465A1 (de) * 2014-05-06 2015-11-12 Hans-Joachim Bergfeld Verfahren zur herstellung eines schmuckteiles

Also Published As

Publication number Publication date
JP3521773B2 (ja) 2004-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
GB2023488A (en) Metal die for injection moulding
CN101596771B (zh) 电子机器机箱的制造方法及电子机器机箱
JP4450080B2 (ja) 腕時計用歯車及び腕時計用歯車の製造方法
JP3521773B2 (ja) 時計用部品の製造方法、時計部品及び時計
US7344670B2 (en) Lost core plastic molding process for transferring, positioning and molding inserts into a plastic part
KR20150087225A (ko) 다중 금속 층들을 갖는 피가공재 제조 방법
WO2009009592A1 (en) Method and apparatus for die casting of parts
JP2005305779A (ja) 合成樹脂製ギヤの製造方法
JP5042384B1 (ja) 鋳造装置及び鋳造方法
KR100302674B1 (ko) 플랜지용 스테인레스재 후판의 원심주조방법 및 그 장치
JPS5821450A (ja) 時計用プラスチック部品
JP3744695B2 (ja) 金型の製造方法
JP2009262196A (ja) 鋳造方法および鋳型
JP2008272796A (ja) 金型、成形品の製造方法、および成形品
CN207711284U (zh) 一种新型按键注口自动去除装置
JPH0422614A (ja) プラスチックレンズの成形方法
SU1338968A1 (ru) Способ центробежного лить с вертикальной осью вращени и форма дл его осуществлени
WO2022009369A1 (en) Moulding tool with heat sink
CN214720554U (zh) 一种用于粉末合金注塑水口的旋转切除结构
JP2001009562A (ja) 金属成形品成形用金型
JPS5996922A (ja) 時計用スリツプ歯車体の射出成形方法
JP2000005846A (ja) 電子機器及び電子機器の製造方法、金型装置
JP2783987B2 (ja) 成形型及びその製造方法
JP2000042713A (ja) 金属成形方法および金属成形品
JP2020143733A (ja) 樹脂製歯車および歯車の多層成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20031201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20031209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031218

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040202

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080220

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090220

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090220

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees