JP2000159843A - 変性ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

変性ポリオレフィンの製造方法

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JP2000159843A
JP2000159843A JP10342784A JP34278498A JP2000159843A JP 2000159843 A JP2000159843 A JP 2000159843A JP 10342784 A JP10342784 A JP 10342784A JP 34278498 A JP34278498 A JP 34278498A JP 2000159843 A JP2000159843 A JP 2000159843A
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carboxylic acid
unsaturated carboxylic
bis
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Takashige Watanabe
恭成 渡辺
Masayuki Takemoto
正幸 武本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルボン酸基の導入量が多い変性ポリオレフ
ィンの製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン、ラジカル発生剤及び変
性剤を混合・加熱して変性ポリオレフィンを製造する方
法において、変性剤として不飽和カルボン酸エステル、
特に下記一般式(1)で表される化合物を用いることを
特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル
基、又はシクロヘキシル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はカルボン酸基の導
入量が多い変性ポリオレフィンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンは、機械的特性、熱安定
性、耐薬品性、耐侯性、成形加工性などの諸特性に優れ
ており、中空成形製品、射出成形製品、フィルムおよび
繊維などとして広範囲にわたり使用されている。しか
し、ポリオレフィンは汎用性の高い樹脂である反面、分
子内に極性官能基を有していないために、エチレン−酢
酸ビニル共重合体のけん化物やナイロンなどの合成樹
脂、金属、木材などの異種材料との接着性が極めて劣る
という欠点を有している。このような欠点を補うため
に、有機過酸化物等のラジカル発生剤の存在下、ポリオ
レフィンにアクリル酸、アクリル酸メチル、マレイン
酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸またはその誘
導体をグラフト化する方法が試みられている。例えば、
特公昭43−27421号公報、特公昭44−1542
2号公報には変性剤として無水マレイン酸を用いる方法
が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マレイ
ン酸や無水マレイン酸等の従来の変性剤は、極性が著し
く高いために、無極性であるポリオレフィンとの相溶性
が非常に悪い。そのため目的とするグラフト化反応が遅
くなる一方で、副反応であるポリオレフィンの架橋反応
やポリオレフィンの分解反応等が無視できない量とな
り、カルボン酸基の導入量が少ないという問題があっ
た。この発明は、上記従来技術の存在する問題点に着目
してなされたものである。その目的とするところは、カ
ルボン酸基の導入量が多い変性ポリオレフィンの製造方
法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意検討した結果、変性剤として特定の不飽和カルボ
ン酸エステルを使用することによりカルボン酸基の導入
量が多い変性ポリオレフィンが得られることを見出し本
発明を完成した。即ち、第1の発明は、ポリオレフィ
ン、ラジカル発生剤及び変性剤を混合・加熱して変性ポ
リオレフィンを製造する方法において、変性剤として不
飽和カルボン酸とビニルエーテルとを反応させて得られ
る不飽和カルボン酸エステルを用いることを特徴とする
変性ポリオレフィンの製造方法である。第2の発明は、
不飽和カルボン酸エステルが下記一般式(1)で表され
る化合物である第1の発明の変性ポリオレフィンの製造
方法である。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐
のアルキル基、又はシクロヘキシル基を表す。) 第3の発明は、加熱する温度が100〜300℃の温度
範囲である第1又は第2の発明の変性ポリオレフィンの
製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施形態につ
いて詳細に説明する。本発明で使用されるポリオレフィ
ンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−
メチル−ブテン−1、1−ヘキセン、4−メチル−ペン
テン−1、1−オクテン等のオレフィンの単独重合体も
しくはこれらオレフィンの2種以上のランダムないしブ
ロック共重合体、またはこれらオレフィンを主成分とし
これに酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリ
ル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル
等のうち少なくとも1種類を共重合させた共重合体が挙
げられる。
【0008】具体的には、例えば高密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、
エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテン−1ゴ
ム、エチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合
体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン
−プロピレン−1−ブテンブロック共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−1−ブテンランダ
ム共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン
−メタクリル酸共重合体の金属塩、エチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体等である。これらの中で、高密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体は改
質効果が大きい点で好ましいものである。
【0009】本発明において変性剤として使用される不
飽和カルボン酸エステルは、不飽和カルボン酸とビニル
エーテルとを通常の方法、即ち室温ないし150℃の温
度で必要により酸触媒の存在下で反応させて得ることが
できるし、また市販品を用いてもよい。原料となる不飽
和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、α
-エチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ア
ンゲリカ酸、2−ペンテン酸、ソルビン酸、アトロパ
酸、桂皮酸等の一塩基性不飽和カルボン酸;マレイン
酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン
酸、イタコン酸等の二塩基性不飽和カルボン酸が挙げら
れる。また原料となるビニルエーテルとしては、例えば
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プ
ロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテ
ル、、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエ
ーテル、sec−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビ
ニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、t−アミル
ビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−
エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0010】本発明に用いる不飽和カルボン酸エステル
としては、例えば(メタ)アクリル酸から誘導される1
−メトキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシ
エチル(メタ)アクリレート、1−n−プロポキシエチ
ル(メタ)アクリレート、1−イソプロポキシエチル
(メタ)アクリレート、1−n−ブトキシエチル(メ
タ)アクリレート、1−イソブトキシエチル(メタ)ア
クリレート、1−sec−ブトキシエチル(メタ)アク
リレート、1−t−ブトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、1−イソアミロキシエチル(メタ)アクリレート、
1−t−アミロキシエチル(メタ)アクリレート、1−
シクロヘキシロキシエチル(メタ)アクリレート、1−
(2−エチルヘキシロキシ)エチル(メタ)アクリレー
ト;マレイン酸から誘導されるビス(1−メトキシエチ
ル)マレエート、ビス(1−エトキシエチル)マレエー
ト、ビス(1−n−プロポキシエチル)マレエート、ビ
ス(1−イソプロポキシエチル)マレエート、ビス(1
−n−ブトキシエチル)マレエート、ビス(1−イソブ
トキシエチル)マレエート、ビス(1−sec−ブトキ
シエチル)マレエート、ビス(1−t−ブトキシエチ
ル)マレエート、ビス(1−イソアミロキシエチル)マ
レエート、ビス(1−t−アミロキシエチル)マレエー
ト、ビス(1−シクロヘキシロキシエチル)マレエー
ト、ビス[1−(2−エチルヘキシロキシ)エチル]マ
レエート;フマル酸から誘導されるビス(1−メトキシ
エチル)フマレート、ビス(1−エトキシエチル)フマ
レート、ビス(1−n−プロポキシエチル)フマレー
ト、ビス(1−イソプロポキシエチル)フマレート、ビ
ス(1−n−ブトキシエチル)フマレート、ビス(1−
イソブトキシエチル)フマレート、ビス(1−sec−
ブトキシエチル)フマレート、ビス(1−t−ブトキシ
エチル)フマレート、ビス(1−イソアミロキシエチ
ル)フマレート、ビス(1−t−アミロキシエチル)フ
マレート、ビス(1−シクロヘキシロキシエチル)フマ
レート、ビス[1−(2−エチルヘキシロキシ)エチ
ル]フマレート;イタコン酸から誘導されるビス(1−
メトキシエチル)イタコネート、ビス(1−エトキシエ
チル)イタコネート、ビス(1−n−プロポキシエチ
ル)イタコネート、ビス(1−イソプロポキシエチル)
イタコネート、ビス(1−n−ブトキシエチル)イタコ
ネート、ビス(1−イソブトキシエチル)イタコネー
ト、ビス(1−sec−ブトキシエチル)イタコネー
ト、ビス(1−t−ブトキシエチル)イタコネート、ビ
ス(1−イソアミロキシエチル)イタコネート、ビス
(1−t−アミロキシエチル)イタコネート、ビス(1
−シクロヘキシロキシエチル)イタコネート、ビス[1
−(2−エチルヘキシロキシ)エチル]イタコネートが
挙げられる。上記の不飽和カルボン酸エステルの中で、
下記一般式(1)で示されるマレイン酸又はフマル酸か
ら誘導される化合物が、カルボン酸基の導入量が多くな
り特に好ましい。
【0011】
【化3】
【0012】(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐
のアルキル基、又はシクロヘキシル基を表す。)
【0013】本発明において変性のために加熱する温度
は、前記不飽和カルボン酸エステルが不飽和カルボン酸
とビニルエーテルに解離する温度以上であり、ポリオレ
フィンの熱分解温度以下の温度範囲であるが、好ましく
は100〜300℃、さらに好ましくは120〜250
℃である。なぜなら、前記不飽和カルボン酸エステルが
不飽和カルボン酸とビニルエーテルに解離する温度は、
不飽和カルボン酸エステルの構造や反応条件により異な
るが、通常100℃以上であり、また300℃を超える
とポリオレフィンが熱分解をおこして劣化するからであ
る。またポリオレフィン、ラジカル発生剤及び変性剤を
混合・加熱して変性ポリオレフィンを製造する際、加熱
する温度を不飽和カルボン酸エステルの分解開始温度以
上ポリオレフィンの熱分解温度以下で行なう場合には、
反応系内に生じた不飽和カルボン酸ないし二塩基性不飽
和カルボン酸の脱水反応により生成する酸無水物がポリ
オレフィンにグラフト化される反応が主となる。それに
対して、加熱する温度を不飽和カルボン酸エステルの分
解開始温度以下で行なう場合には、不飽和カルボン酸エ
ステルがポリオレフィンにグラフト化される反応が主と
なる。そのためカルボン酸基を有する変性ポリオレフィ
ンを得たい場合には、前記不飽和カルボン酸エステルに
よる変性ポリオレフィンをカルボン酸エステル基が分解
する温度以上に再加熱する後工程が必要となり好ましく
ない。
【0014】前記不飽和カルボン酸エステルの使用量
は、通常ポリオレフィン1gに対して0.001〜1ミ
リモルであり、好ましくは0.01〜0.5ミリモルで
ある。0.001ミリモル未満ではポリオレフィンの改
質効果が不十分であり、また1ミリモルを越えると未反
応不飽和カルボン酸エステルが多量に残存する傾向にあ
る。
【0015】また本発明の不飽和カルボン酸エステルの
他に、本発明の不飽和カルボン酸エステルに対し50重
量%以下の割合で他の変性剤を併用してもよい。併用可
能な他の変性剤として、例えばマレイン酸、無水マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラ
コン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、ビシクロ
[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン
酸およびその無水物、マレイン酸モノエステル、(メ
タ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】本発明に用いられるラジカル発生剤として
は、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、t−ヘキシ
ルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、p
−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロベンゼンヒ
ドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5
−ジヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類;ジ
−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキ
シド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,
5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−
ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキ
シン−3、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−
ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン
等のジアルキルペルオキシド類;1,1−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−
ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、n−ブチル 4,4−ビス(t−ブチルペルオ
キシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキ
シ)ブタン等のペルオキシケタール類;t−ブチルペル
オキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシラウレー
ト、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘ
キサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキ
サノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブ
チルペルオキシマレエート等のペルオキシエステル類;
t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、
t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボ
ネート等のモノペルオキシカーボネート類;ベンゾイル
ペルオキシド、ジトルイルぺルオキシド、ラウロイルペ
ルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペル
オキシド、コハク酸ペルオキシド等のジアシルペルオキ
シド類;ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ
−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート等のペ
ルオキシジカーボネート類等の有機過酸化物;アゾビス
イソブチロニトリル、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ
ブタン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチル
ペンタン)等のアゾ化合物;2,3−ジメチル−2,3
−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフ
ェニルブタン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(p−メ
チルフェニル)ブタン等の炭素−炭素結合開裂型ラジカ
ル発生剤が挙げられる。
【0017】ラジカル発生剤の使用量は各種反応条件に
より異なるが、通常ポリオレフィン1gに対して0.0
01〜1ミリモルであり、好ましくは0.001〜0.
1ミリモルである。0.001ミリモル未満ではポリオ
レフィンの改質効果が不十分であり、また1ミリモルを
越えると、ポリオレフィンの架橋反応や分解反応等の副
反応が起こりやすくなる傾向にある。本発明の変性ポリ
オレフィンの製造方法は、通常溶媒を使用せずに、ポリ
オレフィンの融点以上に加熱して溶融状態で行われる
が、系中に溶媒を存在させて溶液状態で行なうことも可
能である。溶融状態で反応を行なう場合には、通常の溶
融混錬装置を利用することができる。溶融混錬装置の例
としては、一軸あるいは二軸押出機、バンバリーミキサ
ー、ニーダー、ロール等が挙げられる。
【0018】また溶液状態で反応を行なう場合には、例
えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、シク
ロヘキサン、シクロペンタン等の飽和脂肪族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ク
ロロベンゼン、ジクロロメタン、メチレンクロライド等
のハロゲン化炭化水素が溶媒として使用される。
【0019】本発明においては、本発明の目的をそこな
わない範囲で、耐侯性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止
剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、
滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸
収材、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されて
いてもよい。
【0020】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、この発明
をさらに具体的に説明する。なお、各例中の略号は以下
の化合物を示す。 DCP:ジクミルペルオキシド 25B:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチル
ペルオキシ)ヘキサン BuP:α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイ
ソプロピルベンゼン MANP:ビス(1−n−プロポキシエチル)マレエー
ト(一般式(1)中のR:n−プロピル基、シス体) MAEH:ビス[1−(2−エチルヘキシロキシ)エチ
ル)マレエート(一般式(1)中のR:2−エチルヘキ
シル基、シス体) FMNP:ビス(1−n−プロポキシエチル)フマレー
ト(一般式(1)中のR:n−プロピル基、トランス
体) MAH:無水マレイン酸
【0021】実施例1 低密度ポリエチレン(商品名:G401、住友化学
(株)製、表中G401と略記)、及び低密度ポリエチ
レン1gに対してMANPが0.1ミリモルそしてDC
Pが0.018ミリモルとなるように変性剤とラジカル
発生剤をそれぞれ混合し、得られた混合物を一軸押出機
に投入し210℃で押出してペレットを得た。前記ペレ
ットをトルエンに溶解後、大量のアセトンに投じること
により得られた析出物をろ過、乾燥して変性ポリオレフ
ィンを得た。変性ポリオレフィンのカルボン酸基含有量
を求めるため中和滴定により酸価を測定した結果、変性
物1gあたりのカルボン酸基含有量は0.033ミリモ
ルであった。
【0022】実施例2〜5及び比較例1〜2 変性剤およびラジカル発生剤の種類を表1に示した様に
代えた他は実施例1に準じて変性ポリオレフィンを得、
そのカルボン酸基含有量を求めた結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】表1の実施例1〜5と比較例1〜2からわ
かるように、本発明の特定の不飽和カルボン酸エステル
を用いた方法は、従来の無水マレイン酸を用いた方法に
比べ、低密度ポリエチレンへのカルボン酸基の導入量が
多くなっていることが明らかとなった。
【0025】実施例6 実施例1において低密度ポリエチレンの代わりに高密度
ポリエチレン(商品名:日石スタフレンE780、日本
石油化学(株)製、表中E780と略記)を用いた他は
実施例1に準じて変性ポリオレフィンを得、そのカルボ
ン酸基含有量を求めた。その結果、変性物1gあたりの
カルボン酸基含量は0.037ミリモルであった。
【0026】比較例3 実施例6において変性剤としてMANPの代わりにMA
Hを用いた他は実施例6に準じて変性ポリオレフィンを
得、そのカルボン酸基含有量を求めた。その結果、変性
物1gあたりのカルボン酸基含有量は0.013ミリモ
ルであった。実施例6と比較例3の結果から、高密度ポ
リエチレンに対しても本発明の不飽和カルボン酸エステ
ルを用いることにより、カルボン酸基の導入量が多くな
ることが認められた。
【0027】実施例7 実施例1において低密度ポリエチレンの代わりにポリプ
ロピレン(商品名:ジェイアロマーPM671A、日本
ポリオレフィン(株)製、表中PM671Aと略記)を
用いた他は実施例1に準じて変性ポリオレフィンを得、
そのカルボン酸基含有量を求めた。その結果、変性物1
gあたりのカルボン酸基含有量は0.056ミリモルで
あった。
【0028】比較例4 実施例7において変性剤としてMANPの代わりにMA
Hを用いた他は実施例7に準じて変性ポリオレフィンを
得、そのカルボン酸基含有量を求めた。その結果、変性
物1gあたりのカルボン酸基含有量は0.021ミリモ
ルであった実施例7と比較例4の結果から、ポリプロピ
レンに対しても本発明の不飽和カルボン酸エステルを用
いることにより、カルボン酸基の導入量が多くなること
が認められた。
【0029】
【発明の効果】第1に、ポリオレフィン、ラジカル発生
剤及び変性剤を混合・加熱する工程において、本発明に
用いる特定の不飽和カルボン酸エステルはポリオレフィ
ンとの相溶性が良いため、ポリオレフィン中に十分均一
に分散させた状態でグラフト化できるので、不飽和カル
ボン酸エステルに由来するカルボン酸基を効率よく導入
できる。第2に、特に低密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン及びポリプロピレン等の何れに対しても効率よ
くカルボン酸基が導入できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン、ラジカル発生剤及び変
    性剤を混合・加熱して変性ポリオレフィンを製造する方
    法において、変性剤として不飽和カルボン酸とビニルエ
    ーテルとを反応させて得られる不飽和カルボン酸エステ
    ルを用いることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 不飽和カルボン酸エステルが下記一般式
    (1)で表される化合物である請求項1に記載の変性ポ
    リオレフィンの製造方法。 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル
    基、又はシクロヘキシル基を表す。)
  3. 【請求項3】 加熱する温度が100〜300℃の温度
    範囲である請求項1又は請求項2に記載の変性ポリオレ
    フィンの製造方法。
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