JP2000159740A - シアン酸エステルの製造におけるアルコールの分離方法 - Google Patents

シアン酸エステルの製造におけるアルコールの分離方法

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JP2000159740A
JP2000159740A JP10336932A JP33693298A JP2000159740A JP 2000159740 A JP2000159740 A JP 2000159740A JP 10336932 A JP10336932 A JP 10336932A JP 33693298 A JP33693298 A JP 33693298A JP 2000159740 A JP2000159740 A JP 2000159740A
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bis
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Hisashi Watabe
久 渡部
Satoshi Okamoto
敏 岡本
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シアン酸エステルの製造において、非アルコー
ル性溶媒とアルコールとを有効に、且つ容易に分離でき
るアルコールの分離方法を提供すること。 【解決手段】式(1)のフェノール類、ハロゲン化シアン
を、3級アミン、非アルコール性溶媒の存在下反応さ
せ、シアン酸エステル、非アルコール性溶媒、不純物を
含む粗生成物溶液を得、粗生成物溶液に貧溶媒を接触さ
せ、シアン酸エステルを晶析・沈澱させ、濾液中のアル
コール、非アルコール性溶媒の配合割合を重量比で20/8
0〜90/10とし、水の含有割合を、アルコール、非アルコ
ール性溶媒の合計100重量部に対し80〜180重量部にし、
油層及び水層に分液して、水層を含む溶液を精留し、ア
ルコール含有水溶液と非アルコール性溶媒とを分離する
アルコールの分離方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアン酸エステル
の製造における、晶析・精製に伴うアルコールの分離方
法に関し、特に、電子部品の封止用、積層板用、複合材
料用、成形材料用および接着剤用として有用な、熱硬化
性シアン酸エステルを製造する際の晶析・精製によって
排出される濾液を分液して得られる水層含有溶液におい
て、非アルコール性溶媒とアルコールとを分離するアル
コールの分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シアン酸エステルの一般的な製法とし
て、ハロゲン化シアンとフェノールとを塩基及び非アル
コール性溶媒存在下で反応させる方法が知られている
(特公昭41−1928号公報、特開平8−92192
号公報)。この製法では、未反応フェノールを含む化合
物からなる不純物が残存するため、重合反応速度が早く
なり、著しい場合に熱暴走する危険性がある。その為、
水及びアルコール類を含む貧溶媒を用い、未反応フェノ
ールを晶析あるいは沈澱させることにより除去し、高純
度のシアン酸エステルを得る方法が報告されている。こ
の際、排出される濾液は、アルコール及び非アルコール
性溶媒が含有されており、その処理が煩雑であるため、
シアン酸エステルの製造自体の効率化に支障をきたして
いるのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シア
ン酸エステルを製造する際の晶析・精製によって排出さ
れる濾液を分液して得られる水層含有溶液において、非
アルコール性溶媒とアルコールとを有効に、且つ容易に
分離することができ、シアン酸エステルの製造を効率化
しうるシアン酸エステルの製造におけるアルコールの分
離方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】下記一般式(1)
【0005】
【化4】 (式中、Aはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基を示し、Xは単結合、炭素数1〜20の有
機基、カルボニル基、スルホン基、2価の硫黄原子また
は酸素原子を示し、i及びnはそれぞれ独立に0〜4の
整数値を示す。)で表されるフェノール類とハロゲン化
シアンとを、3級アミンを用いて、水と分液可能な非ア
ルコール性溶媒の存在下に反応させ、下記一般式(2)で
表されるシアン酸エステルと、前記非アルコール性溶媒
と、未置換フェノールを含む化合物からなる不純物とを
含むシアン酸エステル粗生成物溶液を得る工程(a)と、
【0006】
【化5】 (式中、A、X及びiは、一般式(1)と同じ意味を示
す。) 工程(a)により得られるシアン酸エステル粗生成物溶液
に、アルコールを含む貧溶媒を接触させて、前記一般式
(2)で表されるシアン酸エステルを晶析・沈澱させる工
程(b)と、工程(b)における晶析・沈澱により排出され
る濾液において、該濾液中のアルコール及び非アルコー
ル性溶媒の配合割合(アルコール/非アルコール性溶媒)
を、重量比で、20/80〜90/10とし、且つ該濾
液中の水の含有割合を、濾液中に含有されるアルコール
及び非アルコール性溶媒の合計量100重量部に対し
て、80〜180重量部に調整して、油層及び水層に分
液する工程(c)と、工程(c)により得られる水層を含
む、実質的にアルコール、非アルコール性溶媒及び水か
らなる水層含有溶液を精留し、水層含有溶液中に含まれ
るアルコール含有水溶液と非アルコール性溶媒とを分離
する工程(d)とを含むことを特徴とするシアン酸エステ
ルの製造におけるアルコールの分離方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の分離方法では、まず、上
記一般式(1)で表されるフェノール類とハロゲン化シア
ンとを、3級アミンを用いて、水と分液可能な非アルコ
ール性溶媒の存在下に反応させ、上記一般式(2)で表さ
れるシアン酸エステルと、前記非アルコール性溶媒と、
未置換フェノールを含む化合物からなる不純物とを含む
シアン酸エステル粗生成物溶液を得る工程(a)を行う。
【0008】工程(a)において用いるフェノール類は、
上記一般式(1)を満足するものであれば特に限定されな
い。一般式(1)において、Xは、単結合、炭素数1〜2
0の有機基、カルボニル基(−CO−)、スルホン基(−
SO2−)、2価の硫黄原子(−S−)または酸素原子(−
O−)を示す。炭素数1〜20の有機基としては、フッ
素置換されていても良い、直鎖又は分枝の飽和アルキレ
ン基、例えば、−(CH2)m−、−CH(CH2)mH−、
−C((CH2)mH)2−、−C(CF3)2−等が挙げられる
(但し、mはXの炭素数が1〜20となる数を示す)。一
般式(1)で表されるフェノール類としては、例えば、
4,4'−ジヒドロキシジフェニル、3,3',5,5'
−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒド
ロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3−t−ブチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒド
ロキシ−3,1−プロピルフェニル)メタン、ビス(4−
ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス
(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニ
ル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス
(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)エタン、ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,1−プロピルフェニル)エタ
ン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−
メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3
−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,1−プロピルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3
−t−ブチル−5−メチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチル−6−メチル
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシ−3,1−プロピルフェニル)ブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)ブタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−
ブチル−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシ−3−t−ブチル−6−メチルフェニル)
ブタン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、1,1−ビス(3−アリル−4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ
−3−t−ブチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒド
ロキシ−3,1−プロピルフェニル)スルフィド、ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィ
ド、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチ
ルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフ
ェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,1−プロ
ピルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシ−
3−t−ブチル−5−メチルフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロ
キシ−3−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,1−プロピルフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテ
ル、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチ
ルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
カルボニル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)カルボニル、ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチル
フェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3,1−
プロピルフェニル)カルボニル、ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)カルボニル、ビス(2−ヒド
ロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)カルボ
ニル等が挙げられる。この中でもビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジメチルフェニル)プロパンは工業的に入手しやす
い。特に工業的に入手しやすいのが、下記構造式で示さ
れる2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンで
ある。
【0009】
【化6】
【0010】工程(a)において用いるハロゲン化シアン
としては、塩化シアン又は臭化シアン等が挙げられる。
ハロゲン化シアンの仕込み量は、一般式(1)で表される
フェノール類の水酸基に対して1.0〜3.0倍当量が
好ましい。また、ジエチルシアナミド等の副生を抑制す
るために、ハロゲン化シアンの仕込み量は、後述する3
級アミンの仕込み量の1.0〜5.0倍当量用いること
が望ましい。
【0011】工程(a)において用いることができる3級
アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジ
メチルエチルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルア
ニリン、ジエチルアニリン等が挙げられる。3級アミン
の仕込み量は、一般式(1)で表されるフェノール類の水
酸基に対して1.0〜5.0倍当量が好ましい。
【0012】工程(a)において用いる非アルコール性溶
媒は、水と分液可能であり、且つシアン酸エステルを溶
解する非アルコール性のものであれば特に限定されな
い。例えば、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロ
エタン等の含ハロゲン炭化水素;ジメチルエ−テル、ジ
エチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル系炭
化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼ
ン等の芳香族炭化水素;2−ブタノン、2−ペンタノ
ン、3−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘ
キサノン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられ
る。特にシアン酸エステル類を良く溶解し、水への分配
率が低い含ハロゲン炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン
類が好ましく、中でもトルエン、メチルイソブチルケト
ンは工業的にも安価で入手し易いことからより好まし
い。非アルコール性溶媒の使用量は、シアン酸エステル
およびその不純物を溶解する量以上が好ましい。これ未
満では、不溶分が水との分液性を悪化させ好ましくな
い。一方、非アルコール性溶媒の使用量が多すぎる場合
には、アルコールが油層に溶解して回収率を低下させる
恐れがあるので好ましくない。具体的には、非アルコー
ル性溶媒の使用量は、0℃においてシアン酸エステルを
溶解する際の溶解度以上、溶解度の2倍以下の範囲が好
ましい。
【0013】工程(a)において、シアン酸エステル粗生
成物溶液を得る反応は、通常のシアン酸エステルを生成
反応させる方法であれば特に限定されない。例えば、一
般式(1)で表されるフェノール類を、水と分液可能な非
アルコール性溶媒に溶解させた後、3級アミンとハロゲ
ン化シアンとを接触反応させる方法、一般式(1)で表さ
れるフェノール類と、3級アミンと、水と分液可能な非
アルコール性溶媒とを予め混合して得られる混合溶液
に、ハロゲン化シアン、若しくはハロゲン化シアン、及
び水と分液可能な非アルコール性溶媒との混合溶液を接
触反応させる方法等が挙げられる。この際、反応溶液の
温度は、適宜選択することができ、例えば、ハロゲン化
シアンとして塩化シアンを用いる場合、通常−40〜4
0℃の範囲、より安全に取り扱うためには−10〜30
℃の範囲が好ましい。また、ハロゲン化シアンとして臭
化シアンを用いる場合の反応溶液の温度は−40〜65
℃が好ましい。これらシアン酸エステルを製造する方法
としては、例えば特開平8−92192号公報、特願平
10−234105号公報の記載に従って行うことがで
きる。
【0014】工程(a)により得られるシアン酸エステル
粗生成物溶液には、シアン酸エステルと、前記非アルコ
ール性溶媒と、未置換フェノールを含む化合物からなる
不純物とが含有される。得られるシアン酸エステルとし
ては、上記一般式(2)を満足するものであれば、いかな
るものでも良い。例えば、4,4'−ジシアナートジフ
ェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−
ジシアナートジフェニル、ビス(4−シアナートフェニ
ル)メタン、ビス(4−シアナート−3−メチルフェニ
ル)メタン、ビス(3−t−ブチル−4−シアナートフェ
ニル)メタン、ビス(4−シアナート−3−i−プロピル
フェニル)メタン、ビス(4−シアナート−3,5−ジメ
チルフェニル)メタン、ビス(3−t−ブチル−2−シア
ナート−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−シアナ
ートフェニル)エタン、ビス(4−シアナート−3−メチ
ルフェニル)エタン、ビス(3−t−ブチル−4−シアナ
ートフェニル)エタン、ビス(4−シアナート−3−i−
プロピルフェニル)エタン、ビス(4−シアナート−3,
5−ジメチルフェニル)エタン、ビス(3−t−ブチル−
2−シアナート−5−メチルフェニル)エタン、2,2
−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−シアナート−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−t−ブチル−4−シアナートフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナート−3−i−
プロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナ
ート−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(2−シアナート−3−t−ブチル−5−メチルフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナート−3−
t−ブチル−6−メチルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−アリル−4−シアナートフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−シアナートフェニル)ブタン、1,1
−ビス(4−シアナート−3−メチルフェニル)ブタン、
1,1−ビス(3−t−ブチル−4−シアナートフェニ
ル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナート−3−i−プ
ロピルフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナート
−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3
−t−ブチル−2−シアナート−5−メチルフェニル)
ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−シアナー
ト−6−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−ア
リル−4−シアナートフェニル)プロパン、1,1−ビ
ス(3−アリル−4−シアナートフェニル)ブタン,1,
1−ビス(4−シアナートフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−シアナート−3−メチルフェニル)シ
クロヘキサン、ビス(4−シアナートフェニル)スルフィ
ド、ビス(4−シアナート−3−メチルフェニル)スルフ
ィド、ビス(3−t−ブチル−4−シアナートフェニル)
スルフィド、ビス(4−シアナート−3−i−プロピル
フェニル)スルフィド、ビス(4−シアナート−3,5−
ジメチルフェニル)スルフィド、ビス(3−t−ブチル−
2−シアナート−5−メチルフェニル)スルフィド、ビ
ス(4−シアナートフェニル)スルホン、ビス(4−シア
ナート−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(3−t−
ブチル−4−シアナートフェニル)スルホン、ビス(4−
シアナート−3−i−プロピルフェニル)スルホン、ビ
ス(4−シアナート−3,5−ジメチルフェニル)スルホ
ン、ビス(3−t−ブチル−2−シアナート−5−メチ
ルフェニル)スルホン、ビス(4−シアナートフェニル)
エ−テル、ビス(4−シアナート−3−メチルフェニル)
エ−テル、ビス(3−t−ブチル−4−シアナートフェ
ニル)エ−テル、ビス(4−シアナート−3−i−プロピ
ルフェニル)エ−テル、ビス(4−シアナート−3,5−
ジメチルフェニル)エ−テル、ビス(3−t−ブチル−2
−シアナート−5−メチルフェニル)エ−テル、ビス(4
−シアナートフェニル)カルボニル、ビス(4−シアナー
ト−3−メチルフェニル)カルボニル、ビス(3−t−ブ
チル−4−シアナートフェニル)スルフィド、ビス(4−
シアナート−3−i−プロピルフェニル)カルボニル、
ビス(4−シアナート−3,5−ジメチルフェニル)カル
ボニル、ビス(3−t−ブチル−2−シアナート−5−
メチルフェニル)カルボニル等が挙げられる。この中で
もビス(4−シアナートフェニル)メタン、ビス(4−シ
アナート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2
−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−シアナート−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ンが好ましく、特に下記式で表される2,2−ビス(4
−シアナートフェニル)プロパンが特に好ましい。
【0015】
【化7】
【0016】本発明の分離方法では、次に、工程(a)に
より得られるシアン酸エステル粗生成物溶液に、アルコ
ールを含む貧溶媒を接触させて、前記一般式(2)で表さ
れるシアン酸エステルを晶析・沈澱させる工程(b)を行
う。
【0017】工程(b)において用いる貧溶媒に含まれる
アルコールは、沸点100℃未満、またはアルコール/
水との共沸点が100℃未満となるアルコールの使用が
好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル
−2−プロパノール、シクロヘキサノール等が挙げられ
る。特に、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メ
チル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノー
ル、シクロヘキサノール等の2級又は3級アルコール
は、シアン酸エステルと反応し難いことから好ましく、
さらに、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)は
工業的に安価で入手し易いことから好ましい。貧溶媒と
してのアルコールの使用量は、貧溶媒としてシアン酸エ
ステルを析出させるのに十分な量必要であるが、多すぎ
ると非アルコール性溶媒が油層を形成しない恐れがある
ので好ましくない。例えば、貧溶媒中のアルコールと工
程(a)に使用する非アルコール性溶媒との割合(アルコ
ール/非アルコール性溶媒)が、重量比で、20/80
〜90/10の範囲内となる量の使用が好ましい。アル
コールの使用割合が、非アルコール性溶媒に対して20
重量%未満では、シアン酸エステル及び不純物の晶析・
沈澱が十分でなく、しかも、上記範囲外では後述する分
液操作がし難いので好ましくない。貧溶媒は水が含まれ
ていても良い。貧溶媒が水を含有する場合の含有割合
は、シアン酸エステルを晶析・沈澱させうる範囲であれ
ば特に限定されないが、通常、貧溶媒中のアルコール/
水の割合が重量比で、70/30〜85/15であるの
が好ましい。
【0018】工程(b)において、シアン酸エステルを晶
析・沈澱させるにあたり、上記貧溶媒を接触させる前
に、例えば、シアン酸エステル粗生成物溶液から3級ア
ミンに基く塩基を水洗除去し、更に、非アルコール性溶
媒を減圧下、部分的に留去することが好ましい。このよ
うな方法は、例えば,特開平8−92192号公報等に
記載されている。また、前述の非アルコール性溶媒を部
分濃縮した液を、更にアルコールを含む貧溶媒中に加え
て高純度のシアン酸エステルを沈殿させてもよい。
【0019】本発明の分離方法では、次いで、工程(b)
における晶析・沈澱により排出される濾液のアルコール
と非アルコール性溶媒との含有割合を特定割合に調整
し、且つ濾液中の水含有割合を特定割合に調整すること
により、油層と水層とに分液する工程(c)を行う。工程
(b)により排出される濾液には、シアン酸エステル、未
反応フェノールを含む化合物からなる不純物、アルコー
ル、非アルコール性溶媒が含まれ、通常、これらが均一
に溶解している。この濾液が均一に溶解していなけれ
ば、精製されたシアン酸エステル類に不純物を含む油層
が不均一に分散されて好ましくない。
【0020】工程(c)において、濾液中のアルコールと
非アルコール性溶媒との含有割合(アルコール/非アル
コール性溶媒)は、重量比で、20/80〜90/10
の範囲に調整する。加えて、濾液中の水含有割合を、濾
液中に含まれるアルコール及び非アルコール性溶媒の合
計量100重量部に対して、80〜180重量部の割合
となるように調整する必要がある。これらの含有割合の
いずれもが上記範囲外である場合には、濾液を水層と油
層とに十分に分液することができず、また水含有割合の
上限が上記割合を超える場合には、排水量が多くなる。
要するに、これらの割合を調整することにより、濾液を
水層と油層とに分液することができる。上記アルコール
と非アルコール性溶媒との含有割合、並びに水含有割合
の調整方法は特に限定されず、例えば、工程(a)に用い
る非アルコール性溶媒の使用量、工程(b)における貧溶
媒の添加量、並びに非アルコール性溶媒の部分濃縮除去
等において、予めアルコールと非アルコール性溶媒との
含有割合が上記割合となるように調整しておくこともで
き、また、不足のアルコールを添加して調整することが
できる。一方、水含有割合の調整は、単に不足分の水を
添加すれば良く、例えば、濾液中に含まれる貧溶媒等に
水が含有される場合には、該水の割合の不足分を加える
方法等により行うことができる。このような調整に用い
るアルコール及び水は、水含有アルコールであっても良
く、アルコールに含まれる水分を、添加する水とみなし
て量を決定することができる。また、このような水含有
アルコールとしては、例えば、工程(b)で晶析・沈澱さ
せたシアン酸エステルを精製等のためにアルコール又は
アルコール含有水溶液によってリンス処理して得られ
る、水とアルコールと非アルコール性溶媒とを含むアル
コール洗浄濾液、更に、前記リンス処理した後に水洗浄
することにより得られる、水とアルコールとを含む水洗
浄濾液を利用することができる。
【0021】上記アルコール、水等の割合の調整により
行う分液は、非アルコール性溶媒がなるべく水層に抽出
されないように低温で実施することが好ましく、具体的
には通常0〜60℃、好ましくは0〜30℃で実施する
ことが好ましい。上記分液により得られる油層には、未
置換フェノールを含む化合物からなる不純物等の大部分
が移行しており、また実質的に水を含んでいないので焼
却して処理することができる。
【0022】本発明の分離方法では、工程(c)により得
られる水層を含む、実質的にアルコール、水及び非アル
コール性溶媒からなる水層含有溶液を精留し、水層含有
溶液中に含まれるアルコール含有水溶液と非アルコール
性溶媒とを分離する工程(d)を行うことによってアルコ
ールを分離することができる。この際、水層含有溶液
は、水層そのものであっても、また、水層に、例えば、
上述のリンス処理したアルコール洗浄濾液等を添加した
溶液であっても良い。ここで、実質的にアルコール、水
及び非アルコール性溶媒からなる水層含有溶液とは、微
量のシアン酸エステルおよびその加水分解物等の不純物
が含有される場合を包含する意味である。この精留によ
り、水層含有溶液は、アルコール/非アルコール性溶媒
/水の混合物が共沸組成で留出させることができる。精
留は段数が多いほど、また、還流比が大きいほど分離能
が高く、アルコールの分離能が高くなるので好ましい。
具体的には、水層含有溶液の気液平衡により公知の方法
(例えば化学機械の理論と計算、第7章蒸留、第5節精
留装置、亀井編、産業図書(昭和57年))で精留条件を
適宜決定することができる。
【0023】工程(d)により精留して得られるアルコー
ル水溶液には、非アルコール性溶媒がほとんど含まれて
おらず、例えば、電子部品の封止用、積層板用、複合材
料用、成形材料用および接着剤用の熱硬化性シアン酸エ
ステル類の晶析用貧溶媒としてリサイクル可能である。
また、工程(d)における精留塔底の水溶液には、シアン
酸エステルおよびその加水分解物等の不純物が不溶して
いる場合があるが、水が大量に存在するため、熱硬化す
る恐れはない。ラジオライト等の濾過助剤を加えて吸着
させた後に濾過することによって、排水は清澄な水とし
て環境に放出することができる。更に、精留によって得
られる共沸混合物は廃液として焼却することができる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例及び比較例により説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、例中の液体クロマトグラフィーによる測定の条件
は、安息香酸−2−エチルヘキシルを用いるLC内部標
準を用い、移動層(A液:水、B液:アセトニトリ
ル)、溶液条件:グラジエント法、検出波長:UV25
4nmで行った。また、ガスクロマトグラフィーは、ア
セトンで一定濃度に溶解した試料を用いる絶対検量線法
により、キャリアーとしてHeを、検出器としてFID
を用いて行った。
【0025】実施例1 <シアン酸エステル及びシアン酸エステル含有粗生成物
溶液の合成>ビーカーに2,2'−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(以下、BPAと略記する。)25
5.0g(三井化学社製)、トリエチルアミン248.7
g(ダイセル化学社製)およびトルエン255.0g(三
菱化学社製)を混合溶解させ、目視により不溶物がない
ことを確認し、BPA含有溶液を調製した。ファウドラ
ー翼および温度計を備えた反応容器に、クロルシアン1
27mlおよびトルエン340gを仕込んだフラスコを設
置して冷却した。このフラスコ中へフラスコ内の溶液の
温度が10℃以下になるように調整しながら、上記で調
製したBPA含有溶液を約2時間かけて滴下した。滴下
後、溶液を10℃以下の温度条件で30分間攪拌反応さ
せ、シアン酸エステル(2,2'−ビス(4−シアネート
フェニル)プロパン)を生成させた。反応溶液を常法によ
り水洗し、シアン酸エステル含有粗生成物溶液を得た。
得られた粗生成物溶液を液体クロマトグラフィーにより
分析した。その結果、2,2'−ビス(4−シアネートフ
ェニル)プロパンの収率は96.1%、2−(4−シアネ
ートフェニル)−2'−(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンの収率は0.6%、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンの収率は0.2%であった。次いで、
得られたシアン酸エステル含有粗生成物溶液を、トルエ
ン含量が26wt%になるまで減圧濃縮したのち、イソプ
ロピルアルコール/水=85/15(重量比)の貧溶媒5
10gを加え直ちに冷却攪拌した。内温3℃まで冷却し
たのち濾過し、白色結晶と原液濾液とを得た。白色結晶
には、さらにイソプロピルアルコール/水=85/15
(重量比)510gを加えてリンス洗浄し(このリンス洗
浄した濾液を「アルコール洗浄濾液」とする)、引き続
き冷水510gによって水置換して(この水置換した濾
液を「水洗浄濾液」とする)ケーキを得た。得られたケ
ーキを減圧乾燥して白色結晶を得、これを液体クロマト
グラフィーにより分析した。その結果、2,2'−ビス
(4−シアネートフェニル)プロパンは286.0g(収
率92%)得られ、2−(4−シアネートフェニル)−2'
−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびその他のフェ
ノール成分は検出されなかった。また、上述の原液濾
液、アルコール洗浄濾液および、水洗浄濾液について、
不揮発分、トルエン、イソプロピルアルコールおよび水
の含有割合を分析した。分析結果を表1に示す。なお、
不揮発分の分析は、シアン酸エステルおよびその他の不
純物がこれに該当し、通風オーブン(105℃)にて3時
間乾燥した、乾燥減量より求めた。トルエンおよびイソ
プロピルアルコールは、ガスクロマトグラフィーより求
めた。水は、上記3成分の残分として求めた。
【0026】
【表1】
【0027】<濾液の分液及びアルコールの分離>表1
に示す原液濾液および水洗浄濾液を全量仕込み、20℃
で攪拌分液して油層230g、水層924gの分液を得
た。この際、仕込液の組成は、トルエン/イソプロピル
アルコール=19/81(重量比)であり、トルエンとア
ルコールとの合計100重量部に対する水の含有割合は
100重量部であった。得られた油層は、トルエン20
重量%、イソプロピルアルコール37重量%、2,2'
−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、2−(4−
シアネートフェニル)−2'−(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンおよび2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンを含む不揮発分2重量%からなり、焼却す
ることができた。水層を、表1に示すアルコール洗浄濾
液と共に丸底フラスコに入れ、直径3mm、高さ3mmのデ
ィクソンを充填した直径30mm、高さ700mmの精留塔
(段数20段に相当)を備えた精留装置を使用して常圧
下、還流比8で精留した。その結果、塔底温度が82℃
に達するまでに180gのトルエン含有溶液が留出し、
続いて、塔底温度が100℃に達するまでに85重量%
のイソプロピルアルコール水溶液676g(アルコール
としての回収率78%)が得られた。このアルコールに
はトルエン0.3重量%しか含まれていなかった。残っ
た釜残を濾紙濾過したところ清澄な水溶液であった。
【0028】実施例2 <シアン酸エステル及びシアン酸エステル含有粗生成物
溶液の合成>実施例1において用いたトルエンの代わり
にメチルイソブチルケトンを用いた以外は実施例1と同
様にシアン酸エステル含有粗生成物溶液を得た。得られ
た粗生成物溶液を液体クロマトグラフィーにより分析し
た。その結果、この溶液中における2,2'−ビス(4−
シアネートフェニル)プロパンの収率は98.0%、2
−(4−シアネートフェニル)−2'−(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンの収率は0.3%であり、2,2'−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンは回収されなかっ
た。この粗生成物溶液を、メチルイソブチルケトン含量
が25wt%になるまで減圧濃縮したのち、イソプロピル
アルコール/水=85/15(重量比)の貧溶媒510g
を加え直ちに冷却攪拌した。続いて、内温3℃に冷却し
たのち濾過し、白色結晶と原液濾液を得た。白色結晶
は、さらにイソプロピルアルコール/水=85/15
(重量比)510gを加えてリンス洗浄し(このリンス洗
浄した濾液を「アルコール洗浄濾液」とする)、引き続
き冷水510gにて水置換して(この水置換した濾液を
「水洗浄濾液」とする)ケーキを得た。得られたケーキを
減圧乾燥して、2,2'−ビス(4−シアネートフェニ
ル)プロパン279.8g(収率90%)の白色結晶を
得、これを液体クロマトグラフィーにより分析した。そ
の結果、2−(4−シアネートフェニル)−2'−(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパンおよびその他のフェノール成
分は検出されなかった。また、原液濾液、アルコール洗
浄濾液および水洗浄濾液について実施例1と同様な分析
を行った。結果を表2に示す。なお、実施例1における
トルエン含量の代わりにメチルイソブチルケトン含量を
分析した。
【0029】
【表2】
【0030】<濾液の分液及びアルコールの分離>表2
に示す原液濾液および水洗浄濾液を全量仕込み、20℃
で撹拌分液して油層185g、水層967gの分液を得
た。この際、仕込液の組成は、メチルイソブチルケトン
/イソプロピルアルコール=19/81(重量比)であ
り、メチルイソブチルケトンとアルコールとの合計10
0重量部に対する水の含有割合は96重量部であった。
得られた油層は、メチルイソブチルケトン15重量%、
イソプロピルアルコール42重量%、2,2'−ビス(4
−シアネートフェニル)プロパン、2−(4−シアネート
フェニル)−2'−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンお
よび2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
を含む不揮発分2重量%からなり、焼却することができ
た。水層を、表2に示すアルコール洗浄濾液と共に丸底
フラスコに入れ、実施例1と同様な条件で精留したとこ
ろ、塔底温度85℃に達するまでに85重量%のイソプ
ロピルアルコール水溶液650g(アルコールとしての
回収率75%)が得られた。このアルコールにはメチル
イソブチルケトン1.5重量%しか含まれていなかっ
た。
【0031】実施例3 実施例1と同様にシアン酸エステル含有粗生成物溶液を
得た後、実施例1におけるイソプロピルアルコール/水
=85/15(重量比)の代わりに、100%イソプロピ
ルアルコールを用いた以外はすべて実施例1と同様に実
施して、原液濾液、アルコール洗浄濾液、水洗浄濾液、
並びに白色結晶290.6gを得た。この白色結晶を液
体クロマトグラフィーにより分析した。その結果、2,
2'−ビス(4−シアネートフェニル)プロパンの収率は
92%、2−(4−シアネートフェニル)−2'−(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパンの収率は1.0%、2,2'
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの収率は0.
5%であった。この際、その他のフェノール成分は検出
されなかった。また、得られた原液濾液、アルコール洗
浄濾液及び水洗浄濾液について実施例1と同様な分析を
行った。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】<濾液の分液及びアルコールの分離>表3
に示す原液濾液および水洗浄濾液を全量仕込み、加えて
水300gを仕込み、20℃で攪拌分液して油層230
g、水層1311gを得た。この際、仕込液の組成は、
トルエン/イソプロピルアルコール=29/71(重量
比)、トルエンとアルコールとの合計100重量部に対
する水の含有割合は100重量部であった。得られた水
層を、表3に示すアルコール洗浄濾液と共に丸底フラス
コに入れ、実施例1と同様の方法で精留したところ、塔
底温度82℃に達するまでに180gのトルエン含有溶
液が留出し、続いて塔底温度100℃に達するまでに8
5重量%のイソプロピルアルコール水溶液949g(ア
ルコールとしての回収率78%)が得られた。このアル
コールにはトルエン0.3重量%しか含まれていなかっ
た。
【0034】比較例 実施例1における原液濾液、アルコール洗浄濾液及び水
洗浄濾液を用いて、仕込液の組成を、トルエン/イソプ
ロピルアルコール=11/89(重量比)、トルエンとア
ルコールとの合計量100重量部に対する水含有割合が
64重量部となるように調整した。得られた溶液は20
℃で撹拌したが分液しなかった。得られた溶液を、実施
例1と同様の方法で精留したところ、塔底温度が82℃
に達するまでに570gのトルエン含有廃液が留出し、
続いて塔底温度が100℃に達するまでに85重量%の
イソプロピルアルコール水溶液589g(アルコールと
しての回収率68%)しか得られなかった。さらに釜内
の溶液は白濁しており、濃縮釜底および壁にはタールが
付着していた。付着したタール分を液体クロマトグラフ
ィーで分析したところ、シアン酸エステルとアルコール
が反応した生成物のほか多数のピークが検出された。
【0035】
【発明の効果】本発明のアルコールの分離方法では、シ
アン酸エステル含有粗生成物溶液を貧溶媒で晶析・沈澱
させた際の濾液を分液して、水層含有溶液を精留する工
程を含むので、シアン酸エステルの製造に用いるアルコ
ールを有効に分離することができる。また、水層含有溶
液から得られる含水アルコールは、シアン酸エステル類
の精製に欠かせない含水アルコールとして再利用でき、
安価で安全なシアン酸エステル類の製造方法に有用であ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、Aはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6
    のアルキル基を示し、Xは単結合、炭素数1〜20の有
    機基、カルボニル基、スルホン基、2価の硫黄原子また
    は酸素原子を示し、i及びnはそれぞれ独立に0〜4の
    整数値を示す。)で表されるフェノール類とハロゲン化
    シアンとを、3級アミンを用いて、水と分液可能な非ア
    ルコール性溶媒の存在下に反応させ、下記一般式(2)で
    表されるシアン酸エステルと、前記非アルコール性溶媒
    と、未置換フェノールを含む化合物からなる不純物とを
    含むシアン酸エステル粗生成物溶液を得る工程(a)と、 【化2】 (式中、A、X及びiは、一般式(1)と同じ意味を示
    す。) 工程(a)により得られるシアン酸エステル粗生成物溶液
    に、アルコールを含む貧溶媒を接触させて、前記一般式
    (2)で表されるシアン酸エステルを晶析・沈澱させる工
    程(b)と、 工程(b)における晶析・沈澱により排出される濾液にお
    いて、該濾液中のアルコール及び非アルコール性溶媒の
    配合割合(アルコール/非アルコール性溶媒)を、重量比
    で、20/80〜90/10とし、且つ該濾液中の水の
    含有割合を、濾液中に含有されるアルコール及び非アル
    コール性溶媒の合計量100重量部に対して、80〜1
    80重量部に調整して、油層及び水層に分液する工程
    (c)と、 工程(c)により得られる水層を含む、実質的にアルコー
    ル、非アルコール性溶媒及び水からなる水層含有溶液を
    精留し、水層含有溶液中に含まれるアルコール含有水溶
    液と非アルコール性溶媒とを分離する工程(d)とを含む
    ことを特徴とするシアン酸エステルの製造におけるアル
    コールの分離方法。
  2. 【請求項2】 貧溶媒に含まれるアルコールが、沸点1
    00℃未満のアルコール、またはアルコール/水の共沸
    点が100℃未満となるアルコールであることを特徴と
    する請求項1記載のアルコールの分離方法。
  3. 【請求項3】 貧溶媒に含まれるアルコールがイソプロ
    ピルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の
    アルコールの分離方法。
  4. 【請求項4】 非アルコール性溶媒が、ケトン類、芳香
    族系炭化水素、含ハロゲン化炭化水素及びこれらの混合
    物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか1項記載のアルコールの分離方法。
  5. 【請求項5】 非アルコール性溶媒が、メチルイソブチ
    ルケトンおよび/またはトルエンであることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項記載のアルコールの分離
    方法。
  6. 【請求項6】 シアン酸エステルが、式(3)で示される
    2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパンである
    請求項1〜5のいずれか1項記載のアルコールの分離方
    法。 【化3】
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US09/413,538 US6225492B1 (en) 1998-10-07 1999-10-06 Purification method of cyanate
CH01822/99A CH693904A5 (de) 1998-10-07 1999-10-06 Reinigungsverfahren für Cyanate.

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