JP2000157262A - β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途 - Google Patents

β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途

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JP2000157262A
JP2000157262A JP10336991A JP33699198A JP2000157262A JP 2000157262 A JP2000157262 A JP 2000157262A JP 10336991 A JP10336991 A JP 10336991A JP 33699198 A JP33699198 A JP 33699198A JP 2000157262 A JP2000157262 A JP 2000157262A
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xylan
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Toshiyoshi Araki
利芳 荒木
Sougo Takeuchi
聡吾 竹内
Hiroyuki Sakata
博行 坂田
Kisaku Shimura
喜作 志村
Hiroshi Misawa
宏 三沢
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Yakult Honsha Co Ltd
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Yakult Honsha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強いβ−1,3−キシラン分解活性を有する
新規なβ−1,3−キシラナーゼを得る。 【解決手段】 β−1,3−キシランを分解し、主にキ
シロビオース(2糖類)、キシロトリオース(3糖
類)、キシロテトラオース(4糖類)、キシロペンタオ
ース(5糖類)並びにキシロヘキサオース(6糖類)に
まで低分子化する反応を触媒する酵素であって、下記の
理化学的性質を有する。(a) 分子量;57,000、(b) 等電
点;3.6、(c) 溶解性;水溶性、(d) 至適温度;40
℃、(e) 至適pH;pH 7.5、(f) pH安定性;pH
6.0〜9.0、(g) 熱安定性;30℃まで安定

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、β−1,3−キシ
ラナーゼ活性を有する新規酵素、この酵素を産生する新
規微生物、この酵素の製造方法、及びこの酵素を用いた
オリゴ糖、プロトプラストの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】キシランには、イネ科植物やトウモロコ
シ穂軸のヘミセルロースの主要部分を占めるβ−1,4
−キシランと、紅藻や緑藻の細胞壁に含まれるβ−1,
3−キシランとがある。β−1,4−キシランについて
は、β−1,4−キシラナーゼ(エンド−1,4−β−
キシラナーゼ)が、パルプの漂白に用いる塩素の消費量
を減らすパルプ漂白用酵素として実用化が始まってい
る。
【0003】また、食品分野では広葉樹キシランからの
β−1,4−キシロオリゴ糖の生産が行われている。こ
のβ−1,4−キシロオリゴ糖は、甘さは砂糖の30%
程度で、不凍効果、ビフィドバクテリウム属細菌増殖活
性、保水性向上、食品の腐敗防止等の機能を有する食品
秦材として利用されている。
【0004】一方、ある種の紅藻や緑藻の細胞壁に含ま
れる海藻特有の多糖類であるβ−1,3−キシランやそ
の分解物であるβ−1,3−キシロオリゴ糖について
は、セルロースやデンプンなどの多糖類や前述のβ−
1,4−キシラン及びその分解物であるβ−1,4−キ
シロオリゴ糖と比べて非常に研究が立ち後れており、未
だ市販されていないために、海藻細胞壁の構造研究並び
にβ−1,3−キシラナーゼの酵素学的研究に大きな支
障をきたしている。
【0005】図1はβ−1,3−キシランの化学構造を
示す説明図である。図に示す通り、β−1,3−キシラ
ンは、不溶性の中性多糖類であり、D−キシロースがβ
−1,3−結合(すなわち、3-0-β-D-xylopyranosyl-D
-xylose)で、直鎖状に繋がった構造をしている。
【0006】近年、海洋生物資源としての海藻類の有効
利用の観点から、また、新規素材物質としてのβ−1,
3−キシロオリゴ糖の製造方法の観点から、強力な分解
力を有するβ−1,3−キシラン分解酵素やβ−1,3
−キシラナーゼ産生能を有する新規な微生物の探索が行
われているが、これらについての知見は非常に乏しいの
が現状である。
【0007】このような現状において、本発明者はβ−
1,3−キシラナーゼを産生するビブリオ属細菌AX−
4株を見いだしている(日本水産学会誌 Vol.58, No.1
2, 2361-2365,1992)。しかし、この菌株から酵素を誘
導するためには、基質として精製キシランを使用せねば
ならず、コスト面等の問題が生じてしまう。また、本出
願人はβ−1,3−キシラン分解活性を有する新規なβ
−1,3−キシラナーゼ及び該酵素産生能力を有するア
ルカリゲネス属細菌XY−234を見出している(特願
平9−122809号)。すなわち、海藻粉末等β−
1,3−キシランを含む培地でXY−234を培養する
ことにより、β−1,3−キシラナーゼを誘導できるこ
とと、この酵素が優れたβ−1,3−キシラン分解活性
を有することを示した。
【0008】しかしながら、上記の菌株を用いて工業的
規模の酵素生産を行うと力価が低く、多くの酵素を得よ
うとすると培養規模が過大となるため、製造コストが増
大する難点があった。このため、より酵素産生能の高い
菌株や、β−1,3−キシラン分解活性の強い新規β−
1,3−キシラナーゼの探索が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、強
いβ−1,3−キシラン分解活性を有する新規なβ−
1,3−キシラナーゼを得ることを目的としている。ま
た、このβ−1,3−キシラナーゼ産生能の高い新規な
菌株を得ることを別の目的とする。更に、このβ−1,
3−キシラナーゼを用いる用途として、キシロオリゴ糖
の製造方法及び海藻細胞のプロトプラストの製造方法を
得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載された
発明に係る新規なβ−1,3−キシラナーゼは、β−
1,3−キシランを分解し、主にキシロビオース(2糖
類)、キシロトリオース(3糖類)、キシロテトラオー
ス(4糖類)、キシロペンタオース(5糖類)並びにキ
シロヘキサオース(6糖類)にまで低分子化する反応を
触媒する酵素である。尚、具体的な理化学的性質は後に
詳述する。
【0011】本請求項2に記載された発明に係るβ−
1,3−キシラナーゼ産生微生物は、請求項1に記載さ
れたβ−1,3−キシラナーゼを産生する新規な海洋性
細菌としてビブリオ・アルギノリティクス(Vibrio algi
nolyticus)B-107を開示するものである。
【0012】本請求項3に記載された発明に係るβ−
1,3−キシラナーゼの製造方法は、請求項1に記載さ
れたβ−1,3−キシラナーゼを製造する方法であっ
て、β−1,3−キシラナーゼを産生する能力を有する
ビブリオ属に属する微生物をβ−1,3−キシランを炭
素源として培養し、その培養上清液から分離・採取する
ものである。
【0013】本請求項4に記載されたキシロオリゴ糖の
製造方法は、請求項1に記載されたβ−1,3−キシラ
ナーゼで、β−1,3−キシランを基質として作用させ
るものである。
【0014】本請求項5に記載されたプロトプラストの
製造方法は、請求項1に記載されたβ−1,3−キシラ
ナーゼを海藻に作用させるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明におけるβ−1,3−キシ
ラナーゼは、主にキシロビオース(2糖類)、キシロト
リオース(3糖類)、キシロテトラオース(4糖類)、
キシロペンタオース(5糖類)並びにキシロヘキサオー
ス(6糖類)にまで低分子化する反応を触媒する酵素で
あり、下記理化学的性質を有する。
【0016】 (a)分子量;57,000 (b)等電点;3.6 (c)溶解性;水溶性 (d)至適温度;40℃ (e)至適pH;7.5 (f)pH安定性;6.0〜9.0 (g)熱安定性;30℃まで安定
【0017】本発明のβ−1,3−キシラナーゼは微生
物を用いて生産される。このβ−1,3−キシラナーゼ
は、この酵素を生産する微生物を培養して、菌体内また
は培養上清から分離することができる。この酵素を生産
する微生物としては、例えば、本発明では新たに伊勢湾
の魚の腸管より分離されたビブリオ属菌株XY−235
株にNTG(ニトロソグアニジン)処理することにより
得られた変異株B−107株を用いることができる。こ
のビブリオ属B−107株は生工研菌寄託第17040
号(平成10年11月02日寄託)として既に寄託され
ている。
【0018】尚、本発明のβ−1,3−キシラナーゼを
製造する方法およびその用途に用いる微生物としては、
前記ビブリオ属菌株B−107株とその変種、変異株に
限定されるものではなく、前記β−1,3−キシラナー
ゼ生産能を有するものであればよい。
【0019】また、β−1,3−キシラナーゼを工業的
規模で生産する場合には、上記の基質を含む培地で酵素
を誘導することにより、培養液の遠心上清(6,000rpm,
20分)が 0.3U/ml以上の力価を有する菌株が望まし
い。特に緑藻イワヅタ属や紅藻アマノリ属等の海藻粉末
を基質として、0.3U/ml以上の力価を有する酵素
を産生する菌株が作業性、コスト面等から最も望まし
い。このような菌株としては、例えば、前記B−107
株(Vibrio alginolyticus B-107)が挙げられる。なお、
酵素活性の1unit(1U)は後述するソモジ・ネルソン
(Somogyi-Nelson)法にて1分間に1μmolのD−キシロ
ースに相当する還元力を生ずる酵素量と定義した。
【0020】具体的なβ−1,3−キシラナーゼの製造
方法としては、このβ−1,3−キシラナーゼを産生す
る能力を有する微生物を海藻粉末またはβ−1,3−キ
シランを含有する培地中で培養し、その培養上清液から
分離して精製する方法が挙げられる。この培地は、炭素
源として海藻粉末またはβ−1,3−キシランを含む他
に、窒素源、無機化合物等栄養素を適当量含有するもの
であれば、天然培地、合成培地のいずれも使用すること
ができる。
【0021】具体的なβ−1,3−キシランを含む物質
としては、縁藻イワヅタ属や紅藻アマノリ属から分離し
たβ−1,3−キシランを用いることもできる。培地中
の海藻粉末またはβ−1,3−キシランの濃度はβ−
1,3−キシラン換算で0.1mg/mlであれば、充
分な酵素誘導を行うことができ、1.0mg/mlを越
えると、培養時の突沸が起きてしまう場合がある。この
ため、0.1〜1.0mg/ml、特に、0.2〜0.
5mg/mlが好ましい。また、両者以外にも炭素源と
して各種糖質、すなわち、グルコース、フルクトース、
マンニトール、ガラクトース、キシロース等を別途に加
えてもよい。
【0022】また、窒素源としては、通常の培地の組成
で用いるものが使用できる。例えば、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、乾燥酵母、カザミノ酸、各種アミノ
酸、尿素等(の動植物等の加水分解物)や各種無機アン
モニウム塩、硝酸塩等の有機又は無機窒素源を、1種又
は2種以上を用いることができる。特に、ポリペプトン
を用いると、高力価が得られ好ましい。
【0023】更に、無機化合物としては、培養される微
生物の必須無機塩として、ナトリウム、カルシウム、マ
グネシウム、鉄、マンガン等のリン酸塩、塩酸塩、硝酸
塩、炭酸塩、酢酸塩等を1種以上用いることができる。
【0024】培養には、目的のβ−1,3−キシラナー
ゼを産生する微生物の至適培養条件に応じた培養方法及
び条件が選択される。例えば、好気性微生物であれば、
振盪培養、通気撹拌培養等により大量に培養することが
でき、良好である。
【0025】微生物の培養によって産生されたβ−1,
3−キシラナーゼは、通常の方法によって、分離・精製
される。例えば、菌体中に酵素を保有する場合には、菌
体を通常用いられている手段によって破砕しβ−1,3
−キシラナーゼを抽出して精製される。また、培養液中
に産生されたβ−1,3−キシラナーゼは、微生物を濾
過、遠心分離等の方法で除去して精製される。
【0026】精製方法としては、通常用いられている精
製方法を利用することができる。例えば、塩析、溶媒沈
殿により、β−1,3−キシラナーゼを沈殿させて溶媒
中から分離して、精製することができる。また、沈殿さ
せたものを更にイオン交換クロマトグラフィー、ゲルク
ロマトグラフィー、等電点電気泳動等により、更に精製
することもできる。
【0027】得られたβ−1,3−キシラナーゼの用途
としては、オリゴ糖の生産や研究試薬として利用するこ
とができる。例えば、β−1,3−キシランを基質とし
て作用させることにより、キシロオリゴ糖を製造するこ
とができる。このβ−1,3−キシランから得られるキ
シロオリゴ糖は、海藻細胞壁の構造研究やβ−1,3−
キシラナーゼの酵素学的性質を解明する上での研究用試
薬として利用できるのは前述の通りである。
【0028】また、得られたβ−1,3−キシラナーゼ
の研究試薬の用途しては、例えば、アマノリ等の海藻に
β−1,3−キシラナーゼを作用させることにより、容
易にプロトプラストを単離することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】1.β−1,3−キシラナーゼ高生産株の
取得 β−1,3−キシラン生産能を有する微生物として、伊
勢湾の魚の腸管より分離された、ビブリオ・アルギノリ
ティクス(Vibrio alginolyticus)XY−235株を親株
として、下記の方法によりβ−1,3−キシラナーゼ高
生産株を作出した。
【0031】(供試菌株)ビブリオ・アルギノリティク
ス(Vibrio alginolyticus)XY−235株
【0032】(変異株の取得方法)上記XY−235株
を親株に、化学変異剤NTG(ニトロソグアニジン)で
変異処理を施し、酵素高生産株の分離を試みた。まず、
100ml容三角コルベンに、炭素源としてスリコギズ
タ海藻粉末(β−1,3−キシランを含む)下記組成の
基本培地20mlを加え、これにXY−235株を接種
し、25℃で振盪培養もしくは静置培養した。次に、培
養経過5時間目の菌体をMESバッファーに懸濁後、N
TG処理濃度200μg/ml,25℃、15分の条件
で処理した。これにより得られた処理菌体を基本培地の
プレートで2日間培養し、出現したコロニーを選択プレ
ートに移し、1日培養後、周囲が透明になっているコロ
ニーを選択し、再度基本培地にて20時間試験管振盪培
養を行い、酵素活性(力価)を測定した。なお、選択プ
レートとは、上記基本培地を半量の水に溶解後、超音波
破砕機で10分処理し、121℃、30分滅菌後、遠心
分離した上清を培地主成分として作製したものである。
【0033】(生菌数測定)培養液をMESバッファー
(pH7.5)にて希釈し、TCBS寒天培地(ニッス
イ社製)プレートで−晩培養し、コロニーカウント法に
より算出した。
【0034】(力価の測定)ネルソン・ソモギー法を用
いて、β−1,3−キシラナーゼの酵素活性を測定し
た。培養液の遠心上清(6000rpm,20分)を酵
素液とした。酵素液0.2ml,100mMMESバッ
ファー(pH7.5)0.3mlを試験管に入れ40℃
で5分予熱後、基質溶液(精製キシラン1.0%を10
0mM MESバッファーに溶解したもの)0.5ml
を加え、15〜30分反応させた。アルカリ性銅試薬を
1.0ml加えて反応を停止し、試験管口をガラス玉で
塞ぎ、沸騰水中で15〜30分加熱する。冷却後、この
液に砒素モリブデン酸試薬1.0mlを加えよく撹拌
し、15分室温で放置する。この液にさらに10mlの
蒸留水を加えよく撹拌する。1000rpm,2分間遠
心後、500mlで吸光度を測定し、対照との吸光度差
から力価を算出した。
【0035】上記の変異処理により、XY−235株よ
りもβ−1,3−キシラナーゼ力価の高い株が得られ
た。この中で、最も活性の高かった株に対し、再度上記
の操作を行った結果、0.3U/ml(培養液上清)以
上の力価を有するB−107株及びB−133株が得ら
れた。図2は得られたB−107株、B−133株及び
XY−235株(親株)のβ−1,3−キシラナーゼ力
価を示すグラフである。
【0036】(基本培地) NaCl 3.0% ポリペプトン 0.5% イーストエキス 0.3% MgSO・7HO 0.1% KHPO 0.05% KHPO 0.2% 海藻粉末(スリコギズタ) 0.3% pH7.5,121℃、30分滅菌
【0037】2.菌学的性質 このβ−1,3−キシラナーゼ生産能の高いB−107
株は、Bergeys' MamalSystematic Bacteriologyの記載
に準拠して同定を行ったところ、次に示す結果からビブ
リオ・アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)に属
していることが判明した。この微生物の形態は、次の表
1に示すものである。また、表2に生理学的試験結果を
示す。この表1及び表2の結果より、本微生物は海洋性
細菌ビブリオ・アルギノリティクスであることが確認さ
れた。なお、本菌株をビブリオ・アルギノリティクスB
−107株と命名した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】すなわち、グラム陰性で単極毛を有し、O
Fテストでは発酵性がなく、カタラーゼならびにオキシ
ダーゼテスト陽性、グルコース培地から酸を酸性しガス
非酸性であった。
【0041】ビブリオ・アルギノリティクスB−107
株の炭素源としての糖の利用性等を調べた。結果を表3
に示す。
【0042】
【表3】
【0043】3.β−1,3−キシラナーゼの精製 産生されたβ−1,3−キシラナーゼを精製した。すな
わち、本菌株を上記の条件で大量培養し、遠心分離して
得られた培養上清液に75%飽和になるように固形硫酸
アンモニウムを加えた。4℃で1日放置後、遠心分離
し、生じた沈殿を少量の50mM MES緩衝液pH
7.5に溶解し、同緩衝液で透析後、透析内液を塩析酵
素液として用いた。
【0044】塩析酵素液を陰イオン交換クロマトグラフ
ィー(Q-Sepharose FF)、ゲル濾過クロマトグラフィー(T
oyopearl HW-55)、疎水クロマトグラフィー(Ether-Toyo
pearl 650S)、陰イオン交換クロマトグラフィー(Mono Q
HR5/5)で分画したところ、ポリアクリルアミドディス
ク電気泳動とSDS−ポリアクリルアミド電気泳動とで
均−に精製されていることが判明した。
【0045】4.β−1,3−キシラナーゼの酵素学的
性質 得られたβ−1,3−キシラナーゼの分子量、当電点、
溶解性、至適pH,pH安定性、至適温度、金属イオン
の活性に与える影響等を測定した。金属イオンの活性に
与える影響は、各金属塩を反応系での最終濃度が金属イ
オンで1mMになるよう添加し、金属塩無添加(脱イオ
ン水)での活性を100として各金属イオンの相対活性
を測定した。結果を次の表4,5に示す。また、精製β
−1,3−キシラナーゼのβ−1,3−キシランに対す
る作用様式を調べた。その結果を表6に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】5.β−1,3−キシランからのキシロオ
リゴ糖の製造 β−1,3−キシランからオリゴ糖を調製する方法とし
て酸による加水分解がある。しかしながら、酸加水分解
法は100 ℃での加熱を要し、また、反応時間が長いと、
オリゴ糖が更に単糖に分解されてしまうため、効率よく
オリゴ糖を調製することが困難である。それに対して、
前記β−1,3−キシラナーゼを用いる方法では室温で
効率よくオリゴ糖を調製することが可能である。
【0050】すなわち、100ml 容三角フラスコに1%β−
1,3−キシランを含む20mM酢酸緩衝液を20ml注入し、
ビブリオ・アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)
B−107株のβ−1,3−キシラナーゼ溶液(0.65uni
t/ml) を1.5ml 加え、37℃、24時間反応させた。反応フ
ラスコを沸騰水浴中に15分間浸漬して反応を停止し、冷
却後遠心分離した。得られた上澄液を蒸留水で平衡化し
た活性炭カラム(2×40cm)に通した。最初蒸留水で
溶出し、次いで、9,14,29,50及び75%のエ
タノールで段階的にオリゴ糖を溶出した。
【0051】6.プロトプラストの製造 アマノリ1gを5%パパインと、0.5Mマンニトール
(ソルビトールでもかまわない)含有20mM MES
緩衝液pH7.5(海水もしくは人口海水でもかまわな
い)30mlを入れた100ml容コルベンに加え、2
2℃、15分間振盪した。葉状体を0.5Mマンニトー
ル(ソルビトールでもかまわない)、2%NaClを含
む20mM MES緩衝液pH7.5(海水もしくは人
口海水でもかまわない)で数回洗浄した後、メスで数mm
片に切断した。
【0052】次いで、20mM客三角フラスコに分注し
た細胞壁分解酵素(β−1,4−マンナナーゼ(ヤクル
ト薬品工業社製)、本発明のβ−1,3−キシラナー
ゼ、βアガラーゼ(特開平8−294389号公報に記
載)の各1unit)に葉状体断片を投入し、22℃で振盪
した。未分解の葉状体を取り除くために40μmのナイ
ロンネットで濾別し、ネットを通過したプロトプラスト
を遠心分離(TOMY LC-121,70×g,5分間)して集
め、次いで、0.5M及び0.2Mマンニトール(ソル
ビトールでもかまわない)を含むASP12(NTA)
培地(海水もしくは人口海水でもかまわない)で順次遠
心洗浄した。その結果、アマノリ1gから約1×10
個のプロトプラストを得た。
【0053】
【発明の効果】本発明は以上説明した通り、β−1,3
−キシラナーゼは、β−1,3−キシランを分解してキ
シロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオー
ス、キシロペンタオース、キシロヘキサオースなどへの
低分子化反応を触媒する等の特徴を有する新規な酵素で
あり、本発明ではこのβ−1,3−キシラナーゼを得る
ことができる。
【0054】また、本発明では、このβ−1,3−キシ
ラナーゼを産生する新規な微生物ビブリオ・アルギノリ
ティクス(Vibrio alginolyticus)B−107株を得るこ
とができる。
【0055】更に、このβ−1,3−キシラナーゼを産
生する微生物をβ−1,3−キシランを炭素源にして培
養し、その培養上清液から分離して精製することによ
り、製造することができる。
【0056】また、このβ−1,3−キシラナーゼを用
いる用途として、本発明のβ−1,3−キシラナーゼ
は、β−1,3−キシランを基質として作用させること
により、キシロオリゴ糖を製造することができる。この
β−1,3−キシランから得られるオリゴ糖は海藻細胞
壁多糖の研究用試薬として有用である。
【0057】更に、本発明のβ−1,3−キシラナーゼ
は、細胞壁にβ−1,3−キシランを含む海藻(アマノ
リ、イワズダ等)に作用させることにより、容易に細胞
壁を溶解し、プロトプラストを単離することができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】β−1,3−キシランの化学構造を示す説明図
である。
【図2】B−107株、B−133株及びXY−235
株(親株)のβ−1,3−キシラナーゼ力価を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:63) (C12N 5/10 C12R 1:89) (72)発明者 志村 喜作 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 三沢 宏 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 Fターム(参考) 4B050 CC01 DD02 EE02 LL01 LL02 LL05 LL10 4B064 AF04 CA02 DA01 DA10 DA16 DA20 4B065 AA55X AA88X AC14 BA10 BB18 CA31

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−1,3−キシランを分解し、主にキ
    シロビオース(2糖類)、キシロトリオース(3糖
    類)、キシロテトラオース(4糖類)、キシロペンタオ
    ース(5糖類)並びにキシロヘキサオース(6糖類)に
    まで低分子化する反応を触媒する酵素であって、下記の
    理化学的性質を有する新規なβ−1,3−キシラナー
    ゼ。 (a) 分子量;57,000 (b) 等電点;3.6 (c) 溶解性;水溶性 (d) 至適温度;40℃ (e) 至適pH;pH 7.5 (f) pH安定性;pH 6.0〜9.0 (g) 熱安定性;30℃まで安定
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
    ラナーゼを産生する新規な海洋性細菌であるビブリオ・
    アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)B-107。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
    ラナーゼを製造する方法であって、 β−1,3−キシラナーゼを産生する能力を有するビブ
    リオ属に属する微生物をβ−1,3−キシランを炭素源
    として培養し、その培養上清液から分離・採取すること
    を特徴とするβ−1,3−キシラナーゼの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
    ラナーゼで、β−1,3−キシランを基質として作用さ
    せることを特徴とするキシロオリゴ糖の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
    ラナーゼを海藻に作用させることを特徴とする海藻細胞
    のプロトプラストの製造方法。
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