JP2000157262A - β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途 - Google Patents
β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途Info
- Publication number
- JP2000157262A JP2000157262A JP10336991A JP33699198A JP2000157262A JP 2000157262 A JP2000157262 A JP 2000157262A JP 10336991 A JP10336991 A JP 10336991A JP 33699198 A JP33699198 A JP 33699198A JP 2000157262 A JP2000157262 A JP 2000157262A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- xylanase
- xylan
- producing
- strain
- enzyme
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 強いβ−1,3−キシラン分解活性を有する
新規なβ−1,3−キシラナーゼを得る。 【解決手段】 β−1,3−キシランを分解し、主にキ
シロビオース(2糖類)、キシロトリオース(3糖
類)、キシロテトラオース(4糖類)、キシロペンタオ
ース(5糖類)並びにキシロヘキサオース(6糖類)に
まで低分子化する反応を触媒する酵素であって、下記の
理化学的性質を有する。(a) 分子量;57,000、(b) 等電
点;3.6、(c) 溶解性;水溶性、(d) 至適温度;40
℃、(e) 至適pH;pH 7.5、(f) pH安定性;pH
6.0〜9.0、(g) 熱安定性;30℃まで安定
新規なβ−1,3−キシラナーゼを得る。 【解決手段】 β−1,3−キシランを分解し、主にキ
シロビオース(2糖類)、キシロトリオース(3糖
類)、キシロテトラオース(4糖類)、キシロペンタオ
ース(5糖類)並びにキシロヘキサオース(6糖類)に
まで低分子化する反応を触媒する酵素であって、下記の
理化学的性質を有する。(a) 分子量;57,000、(b) 等電
点;3.6、(c) 溶解性;水溶性、(d) 至適温度;40
℃、(e) 至適pH;pH 7.5、(f) pH安定性;pH
6.0〜9.0、(g) 熱安定性;30℃まで安定
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、β−1,3−キシ
ラナーゼ活性を有する新規酵素、この酵素を産生する新
規微生物、この酵素の製造方法、及びこの酵素を用いた
オリゴ糖、プロトプラストの製造方法に関するものであ
る。
ラナーゼ活性を有する新規酵素、この酵素を産生する新
規微生物、この酵素の製造方法、及びこの酵素を用いた
オリゴ糖、プロトプラストの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】キシランには、イネ科植物やトウモロコ
シ穂軸のヘミセルロースの主要部分を占めるβ−1,4
−キシランと、紅藻や緑藻の細胞壁に含まれるβ−1,
3−キシランとがある。β−1,4−キシランについて
は、β−1,4−キシラナーゼ(エンド−1,4−β−
キシラナーゼ)が、パルプの漂白に用いる塩素の消費量
を減らすパルプ漂白用酵素として実用化が始まってい
る。
シ穂軸のヘミセルロースの主要部分を占めるβ−1,4
−キシランと、紅藻や緑藻の細胞壁に含まれるβ−1,
3−キシランとがある。β−1,4−キシランについて
は、β−1,4−キシラナーゼ(エンド−1,4−β−
キシラナーゼ)が、パルプの漂白に用いる塩素の消費量
を減らすパルプ漂白用酵素として実用化が始まってい
る。
【0003】また、食品分野では広葉樹キシランからの
β−1,4−キシロオリゴ糖の生産が行われている。こ
のβ−1,4−キシロオリゴ糖は、甘さは砂糖の30%
程度で、不凍効果、ビフィドバクテリウム属細菌増殖活
性、保水性向上、食品の腐敗防止等の機能を有する食品
秦材として利用されている。
β−1,4−キシロオリゴ糖の生産が行われている。こ
のβ−1,4−キシロオリゴ糖は、甘さは砂糖の30%
程度で、不凍効果、ビフィドバクテリウム属細菌増殖活
性、保水性向上、食品の腐敗防止等の機能を有する食品
秦材として利用されている。
【0004】一方、ある種の紅藻や緑藻の細胞壁に含ま
れる海藻特有の多糖類であるβ−1,3−キシランやそ
の分解物であるβ−1,3−キシロオリゴ糖について
は、セルロースやデンプンなどの多糖類や前述のβ−
1,4−キシラン及びその分解物であるβ−1,4−キ
シロオリゴ糖と比べて非常に研究が立ち後れており、未
だ市販されていないために、海藻細胞壁の構造研究並び
にβ−1,3−キシラナーゼの酵素学的研究に大きな支
障をきたしている。
れる海藻特有の多糖類であるβ−1,3−キシランやそ
の分解物であるβ−1,3−キシロオリゴ糖について
は、セルロースやデンプンなどの多糖類や前述のβ−
1,4−キシラン及びその分解物であるβ−1,4−キ
シロオリゴ糖と比べて非常に研究が立ち後れており、未
だ市販されていないために、海藻細胞壁の構造研究並び
にβ−1,3−キシラナーゼの酵素学的研究に大きな支
障をきたしている。
【0005】図1はβ−1,3−キシランの化学構造を
示す説明図である。図に示す通り、β−1,3−キシラ
ンは、不溶性の中性多糖類であり、D−キシロースがβ
−1,3−結合(すなわち、3-0-β-D-xylopyranosyl-D
-xylose)で、直鎖状に繋がった構造をしている。
示す説明図である。図に示す通り、β−1,3−キシラ
ンは、不溶性の中性多糖類であり、D−キシロースがβ
−1,3−結合(すなわち、3-0-β-D-xylopyranosyl-D
-xylose)で、直鎖状に繋がった構造をしている。
【0006】近年、海洋生物資源としての海藻類の有効
利用の観点から、また、新規素材物質としてのβ−1,
3−キシロオリゴ糖の製造方法の観点から、強力な分解
力を有するβ−1,3−キシラン分解酵素やβ−1,3
−キシラナーゼ産生能を有する新規な微生物の探索が行
われているが、これらについての知見は非常に乏しいの
が現状である。
利用の観点から、また、新規素材物質としてのβ−1,
3−キシロオリゴ糖の製造方法の観点から、強力な分解
力を有するβ−1,3−キシラン分解酵素やβ−1,3
−キシラナーゼ産生能を有する新規な微生物の探索が行
われているが、これらについての知見は非常に乏しいの
が現状である。
【0007】このような現状において、本発明者はβ−
1,3−キシラナーゼを産生するビブリオ属細菌AX−
4株を見いだしている(日本水産学会誌 Vol.58, No.1
2, 2361-2365,1992)。しかし、この菌株から酵素を誘
導するためには、基質として精製キシランを使用せねば
ならず、コスト面等の問題が生じてしまう。また、本出
願人はβ−1,3−キシラン分解活性を有する新規なβ
−1,3−キシラナーゼ及び該酵素産生能力を有するア
ルカリゲネス属細菌XY−234を見出している(特願
平9−122809号)。すなわち、海藻粉末等β−
1,3−キシランを含む培地でXY−234を培養する
ことにより、β−1,3−キシラナーゼを誘導できるこ
とと、この酵素が優れたβ−1,3−キシラン分解活性
を有することを示した。
1,3−キシラナーゼを産生するビブリオ属細菌AX−
4株を見いだしている(日本水産学会誌 Vol.58, No.1
2, 2361-2365,1992)。しかし、この菌株から酵素を誘
導するためには、基質として精製キシランを使用せねば
ならず、コスト面等の問題が生じてしまう。また、本出
願人はβ−1,3−キシラン分解活性を有する新規なβ
−1,3−キシラナーゼ及び該酵素産生能力を有するア
ルカリゲネス属細菌XY−234を見出している(特願
平9−122809号)。すなわち、海藻粉末等β−
1,3−キシランを含む培地でXY−234を培養する
ことにより、β−1,3−キシラナーゼを誘導できるこ
とと、この酵素が優れたβ−1,3−キシラン分解活性
を有することを示した。
【0008】しかしながら、上記の菌株を用いて工業的
規模の酵素生産を行うと力価が低く、多くの酵素を得よ
うとすると培養規模が過大となるため、製造コストが増
大する難点があった。このため、より酵素産生能の高い
菌株や、β−1,3−キシラン分解活性の強い新規β−
1,3−キシラナーゼの探索が望まれている。
規模の酵素生産を行うと力価が低く、多くの酵素を得よ
うとすると培養規模が過大となるため、製造コストが増
大する難点があった。このため、より酵素産生能の高い
菌株や、β−1,3−キシラン分解活性の強い新規β−
1,3−キシラナーゼの探索が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、強
いβ−1,3−キシラン分解活性を有する新規なβ−
1,3−キシラナーゼを得ることを目的としている。ま
た、このβ−1,3−キシラナーゼ産生能の高い新規な
菌株を得ることを別の目的とする。更に、このβ−1,
3−キシラナーゼを用いる用途として、キシロオリゴ糖
の製造方法及び海藻細胞のプロトプラストの製造方法を
得ることを目的とする。
いβ−1,3−キシラン分解活性を有する新規なβ−
1,3−キシラナーゼを得ることを目的としている。ま
た、このβ−1,3−キシラナーゼ産生能の高い新規な
菌株を得ることを別の目的とする。更に、このβ−1,
3−キシラナーゼを用いる用途として、キシロオリゴ糖
の製造方法及び海藻細胞のプロトプラストの製造方法を
得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載された
発明に係る新規なβ−1,3−キシラナーゼは、β−
1,3−キシランを分解し、主にキシロビオース(2糖
類)、キシロトリオース(3糖類)、キシロテトラオー
ス(4糖類)、キシロペンタオース(5糖類)並びにキ
シロヘキサオース(6糖類)にまで低分子化する反応を
触媒する酵素である。尚、具体的な理化学的性質は後に
詳述する。
発明に係る新規なβ−1,3−キシラナーゼは、β−
1,3−キシランを分解し、主にキシロビオース(2糖
類)、キシロトリオース(3糖類)、キシロテトラオー
ス(4糖類)、キシロペンタオース(5糖類)並びにキ
シロヘキサオース(6糖類)にまで低分子化する反応を
触媒する酵素である。尚、具体的な理化学的性質は後に
詳述する。
【0011】本請求項2に記載された発明に係るβ−
1,3−キシラナーゼ産生微生物は、請求項1に記載さ
れたβ−1,3−キシラナーゼを産生する新規な海洋性
細菌としてビブリオ・アルギノリティクス(Vibrio algi
nolyticus)B-107を開示するものである。
1,3−キシラナーゼ産生微生物は、請求項1に記載さ
れたβ−1,3−キシラナーゼを産生する新規な海洋性
細菌としてビブリオ・アルギノリティクス(Vibrio algi
nolyticus)B-107を開示するものである。
【0012】本請求項3に記載された発明に係るβ−
1,3−キシラナーゼの製造方法は、請求項1に記載さ
れたβ−1,3−キシラナーゼを製造する方法であっ
て、β−1,3−キシラナーゼを産生する能力を有する
ビブリオ属に属する微生物をβ−1,3−キシランを炭
素源として培養し、その培養上清液から分離・採取する
ものである。
1,3−キシラナーゼの製造方法は、請求項1に記載さ
れたβ−1,3−キシラナーゼを製造する方法であっ
て、β−1,3−キシラナーゼを産生する能力を有する
ビブリオ属に属する微生物をβ−1,3−キシランを炭
素源として培養し、その培養上清液から分離・採取する
ものである。
【0013】本請求項4に記載されたキシロオリゴ糖の
製造方法は、請求項1に記載されたβ−1,3−キシラ
ナーゼで、β−1,3−キシランを基質として作用させ
るものである。
製造方法は、請求項1に記載されたβ−1,3−キシラ
ナーゼで、β−1,3−キシランを基質として作用させ
るものである。
【0014】本請求項5に記載されたプロトプラストの
製造方法は、請求項1に記載されたβ−1,3−キシラ
ナーゼを海藻に作用させるものである。
製造方法は、請求項1に記載されたβ−1,3−キシラ
ナーゼを海藻に作用させるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明におけるβ−1,3−キシ
ラナーゼは、主にキシロビオース(2糖類)、キシロト
リオース(3糖類)、キシロテトラオース(4糖類)、
キシロペンタオース(5糖類)並びにキシロヘキサオー
ス(6糖類)にまで低分子化する反応を触媒する酵素で
あり、下記理化学的性質を有する。
ラナーゼは、主にキシロビオース(2糖類)、キシロト
リオース(3糖類)、キシロテトラオース(4糖類)、
キシロペンタオース(5糖類)並びにキシロヘキサオー
ス(6糖類)にまで低分子化する反応を触媒する酵素で
あり、下記理化学的性質を有する。
【0016】 (a)分子量;57,000 (b)等電点;3.6 (c)溶解性;水溶性 (d)至適温度;40℃ (e)至適pH;7.5 (f)pH安定性;6.0〜9.0 (g)熱安定性;30℃まで安定
【0017】本発明のβ−1,3−キシラナーゼは微生
物を用いて生産される。このβ−1,3−キシラナーゼ
は、この酵素を生産する微生物を培養して、菌体内また
は培養上清から分離することができる。この酵素を生産
する微生物としては、例えば、本発明では新たに伊勢湾
の魚の腸管より分離されたビブリオ属菌株XY−235
株にNTG(ニトロソグアニジン)処理することにより
得られた変異株B−107株を用いることができる。こ
のビブリオ属B−107株は生工研菌寄託第17040
号(平成10年11月02日寄託)として既に寄託され
ている。
物を用いて生産される。このβ−1,3−キシラナーゼ
は、この酵素を生産する微生物を培養して、菌体内また
は培養上清から分離することができる。この酵素を生産
する微生物としては、例えば、本発明では新たに伊勢湾
の魚の腸管より分離されたビブリオ属菌株XY−235
株にNTG(ニトロソグアニジン)処理することにより
得られた変異株B−107株を用いることができる。こ
のビブリオ属B−107株は生工研菌寄託第17040
号(平成10年11月02日寄託)として既に寄託され
ている。
【0018】尚、本発明のβ−1,3−キシラナーゼを
製造する方法およびその用途に用いる微生物としては、
前記ビブリオ属菌株B−107株とその変種、変異株に
限定されるものではなく、前記β−1,3−キシラナー
ゼ生産能を有するものであればよい。
製造する方法およびその用途に用いる微生物としては、
前記ビブリオ属菌株B−107株とその変種、変異株に
限定されるものではなく、前記β−1,3−キシラナー
ゼ生産能を有するものであればよい。
【0019】また、β−1,3−キシラナーゼを工業的
規模で生産する場合には、上記の基質を含む培地で酵素
を誘導することにより、培養液の遠心上清(6,000rpm,
20分)が 0.3U/ml以上の力価を有する菌株が望まし
い。特に緑藻イワヅタ属や紅藻アマノリ属等の海藻粉末
を基質として、0.3U/ml以上の力価を有する酵素
を産生する菌株が作業性、コスト面等から最も望まし
い。このような菌株としては、例えば、前記B−107
株(Vibrio alginolyticus B-107)が挙げられる。なお、
酵素活性の1unit(1U)は後述するソモジ・ネルソン
(Somogyi-Nelson)法にて1分間に1μmolのD−キシロ
ースに相当する還元力を生ずる酵素量と定義した。
規模で生産する場合には、上記の基質を含む培地で酵素
を誘導することにより、培養液の遠心上清(6,000rpm,
20分)が 0.3U/ml以上の力価を有する菌株が望まし
い。特に緑藻イワヅタ属や紅藻アマノリ属等の海藻粉末
を基質として、0.3U/ml以上の力価を有する酵素
を産生する菌株が作業性、コスト面等から最も望まし
い。このような菌株としては、例えば、前記B−107
株(Vibrio alginolyticus B-107)が挙げられる。なお、
酵素活性の1unit(1U)は後述するソモジ・ネルソン
(Somogyi-Nelson)法にて1分間に1μmolのD−キシロ
ースに相当する還元力を生ずる酵素量と定義した。
【0020】具体的なβ−1,3−キシラナーゼの製造
方法としては、このβ−1,3−キシラナーゼを産生す
る能力を有する微生物を海藻粉末またはβ−1,3−キ
シランを含有する培地中で培養し、その培養上清液から
分離して精製する方法が挙げられる。この培地は、炭素
源として海藻粉末またはβ−1,3−キシランを含む他
に、窒素源、無機化合物等栄養素を適当量含有するもの
であれば、天然培地、合成培地のいずれも使用すること
ができる。
方法としては、このβ−1,3−キシラナーゼを産生す
る能力を有する微生物を海藻粉末またはβ−1,3−キ
シランを含有する培地中で培養し、その培養上清液から
分離して精製する方法が挙げられる。この培地は、炭素
源として海藻粉末またはβ−1,3−キシランを含む他
に、窒素源、無機化合物等栄養素を適当量含有するもの
であれば、天然培地、合成培地のいずれも使用すること
ができる。
【0021】具体的なβ−1,3−キシランを含む物質
としては、縁藻イワヅタ属や紅藻アマノリ属から分離し
たβ−1,3−キシランを用いることもできる。培地中
の海藻粉末またはβ−1,3−キシランの濃度はβ−
1,3−キシラン換算で0.1mg/mlであれば、充
分な酵素誘導を行うことができ、1.0mg/mlを越
えると、培養時の突沸が起きてしまう場合がある。この
ため、0.1〜1.0mg/ml、特に、0.2〜0.
5mg/mlが好ましい。また、両者以外にも炭素源と
して各種糖質、すなわち、グルコース、フルクトース、
マンニトール、ガラクトース、キシロース等を別途に加
えてもよい。
としては、縁藻イワヅタ属や紅藻アマノリ属から分離し
たβ−1,3−キシランを用いることもできる。培地中
の海藻粉末またはβ−1,3−キシランの濃度はβ−
1,3−キシラン換算で0.1mg/mlであれば、充
分な酵素誘導を行うことができ、1.0mg/mlを越
えると、培養時の突沸が起きてしまう場合がある。この
ため、0.1〜1.0mg/ml、特に、0.2〜0.
5mg/mlが好ましい。また、両者以外にも炭素源と
して各種糖質、すなわち、グルコース、フルクトース、
マンニトール、ガラクトース、キシロース等を別途に加
えてもよい。
【0022】また、窒素源としては、通常の培地の組成
で用いるものが使用できる。例えば、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、乾燥酵母、カザミノ酸、各種アミノ
酸、尿素等(の動植物等の加水分解物)や各種無機アン
モニウム塩、硝酸塩等の有機又は無機窒素源を、1種又
は2種以上を用いることができる。特に、ポリペプトン
を用いると、高力価が得られ好ましい。
で用いるものが使用できる。例えば、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、乾燥酵母、カザミノ酸、各種アミノ
酸、尿素等(の動植物等の加水分解物)や各種無機アン
モニウム塩、硝酸塩等の有機又は無機窒素源を、1種又
は2種以上を用いることができる。特に、ポリペプトン
を用いると、高力価が得られ好ましい。
【0023】更に、無機化合物としては、培養される微
生物の必須無機塩として、ナトリウム、カルシウム、マ
グネシウム、鉄、マンガン等のリン酸塩、塩酸塩、硝酸
塩、炭酸塩、酢酸塩等を1種以上用いることができる。
生物の必須無機塩として、ナトリウム、カルシウム、マ
グネシウム、鉄、マンガン等のリン酸塩、塩酸塩、硝酸
塩、炭酸塩、酢酸塩等を1種以上用いることができる。
【0024】培養には、目的のβ−1,3−キシラナー
ゼを産生する微生物の至適培養条件に応じた培養方法及
び条件が選択される。例えば、好気性微生物であれば、
振盪培養、通気撹拌培養等により大量に培養することが
でき、良好である。
ゼを産生する微生物の至適培養条件に応じた培養方法及
び条件が選択される。例えば、好気性微生物であれば、
振盪培養、通気撹拌培養等により大量に培養することが
でき、良好である。
【0025】微生物の培養によって産生されたβ−1,
3−キシラナーゼは、通常の方法によって、分離・精製
される。例えば、菌体中に酵素を保有する場合には、菌
体を通常用いられている手段によって破砕しβ−1,3
−キシラナーゼを抽出して精製される。また、培養液中
に産生されたβ−1,3−キシラナーゼは、微生物を濾
過、遠心分離等の方法で除去して精製される。
3−キシラナーゼは、通常の方法によって、分離・精製
される。例えば、菌体中に酵素を保有する場合には、菌
体を通常用いられている手段によって破砕しβ−1,3
−キシラナーゼを抽出して精製される。また、培養液中
に産生されたβ−1,3−キシラナーゼは、微生物を濾
過、遠心分離等の方法で除去して精製される。
【0026】精製方法としては、通常用いられている精
製方法を利用することができる。例えば、塩析、溶媒沈
殿により、β−1,3−キシラナーゼを沈殿させて溶媒
中から分離して、精製することができる。また、沈殿さ
せたものを更にイオン交換クロマトグラフィー、ゲルク
ロマトグラフィー、等電点電気泳動等により、更に精製
することもできる。
製方法を利用することができる。例えば、塩析、溶媒沈
殿により、β−1,3−キシラナーゼを沈殿させて溶媒
中から分離して、精製することができる。また、沈殿さ
せたものを更にイオン交換クロマトグラフィー、ゲルク
ロマトグラフィー、等電点電気泳動等により、更に精製
することもできる。
【0027】得られたβ−1,3−キシラナーゼの用途
としては、オリゴ糖の生産や研究試薬として利用するこ
とができる。例えば、β−1,3−キシランを基質とし
て作用させることにより、キシロオリゴ糖を製造するこ
とができる。このβ−1,3−キシランから得られるキ
シロオリゴ糖は、海藻細胞壁の構造研究やβ−1,3−
キシラナーゼの酵素学的性質を解明する上での研究用試
薬として利用できるのは前述の通りである。
としては、オリゴ糖の生産や研究試薬として利用するこ
とができる。例えば、β−1,3−キシランを基質とし
て作用させることにより、キシロオリゴ糖を製造するこ
とができる。このβ−1,3−キシランから得られるキ
シロオリゴ糖は、海藻細胞壁の構造研究やβ−1,3−
キシラナーゼの酵素学的性質を解明する上での研究用試
薬として利用できるのは前述の通りである。
【0028】また、得られたβ−1,3−キシラナーゼ
の研究試薬の用途しては、例えば、アマノリ等の海藻に
β−1,3−キシラナーゼを作用させることにより、容
易にプロトプラストを単離することができる。
の研究試薬の用途しては、例えば、アマノリ等の海藻に
β−1,3−キシラナーゼを作用させることにより、容
易にプロトプラストを単離することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】1.β−1,3−キシラナーゼ高生産株の
取得 β−1,3−キシラン生産能を有する微生物として、伊
勢湾の魚の腸管より分離された、ビブリオ・アルギノリ
ティクス(Vibrio alginolyticus)XY−235株を親株
として、下記の方法によりβ−1,3−キシラナーゼ高
生産株を作出した。
取得 β−1,3−キシラン生産能を有する微生物として、伊
勢湾の魚の腸管より分離された、ビブリオ・アルギノリ
ティクス(Vibrio alginolyticus)XY−235株を親株
として、下記の方法によりβ−1,3−キシラナーゼ高
生産株を作出した。
【0031】(供試菌株)ビブリオ・アルギノリティク
ス(Vibrio alginolyticus)XY−235株
ス(Vibrio alginolyticus)XY−235株
【0032】(変異株の取得方法)上記XY−235株
を親株に、化学変異剤NTG(ニトロソグアニジン)で
変異処理を施し、酵素高生産株の分離を試みた。まず、
100ml容三角コルベンに、炭素源としてスリコギズ
タ海藻粉末(β−1,3−キシランを含む)下記組成の
基本培地20mlを加え、これにXY−235株を接種
し、25℃で振盪培養もしくは静置培養した。次に、培
養経過5時間目の菌体をMESバッファーに懸濁後、N
TG処理濃度200μg/ml,25℃、15分の条件
で処理した。これにより得られた処理菌体を基本培地の
プレートで2日間培養し、出現したコロニーを選択プレ
ートに移し、1日培養後、周囲が透明になっているコロ
ニーを選択し、再度基本培地にて20時間試験管振盪培
養を行い、酵素活性(力価)を測定した。なお、選択プ
レートとは、上記基本培地を半量の水に溶解後、超音波
破砕機で10分処理し、121℃、30分滅菌後、遠心
分離した上清を培地主成分として作製したものである。
を親株に、化学変異剤NTG(ニトロソグアニジン)で
変異処理を施し、酵素高生産株の分離を試みた。まず、
100ml容三角コルベンに、炭素源としてスリコギズ
タ海藻粉末(β−1,3−キシランを含む)下記組成の
基本培地20mlを加え、これにXY−235株を接種
し、25℃で振盪培養もしくは静置培養した。次に、培
養経過5時間目の菌体をMESバッファーに懸濁後、N
TG処理濃度200μg/ml,25℃、15分の条件
で処理した。これにより得られた処理菌体を基本培地の
プレートで2日間培養し、出現したコロニーを選択プレ
ートに移し、1日培養後、周囲が透明になっているコロ
ニーを選択し、再度基本培地にて20時間試験管振盪培
養を行い、酵素活性(力価)を測定した。なお、選択プ
レートとは、上記基本培地を半量の水に溶解後、超音波
破砕機で10分処理し、121℃、30分滅菌後、遠心
分離した上清を培地主成分として作製したものである。
【0033】(生菌数測定)培養液をMESバッファー
(pH7.5)にて希釈し、TCBS寒天培地(ニッス
イ社製)プレートで−晩培養し、コロニーカウント法に
より算出した。
(pH7.5)にて希釈し、TCBS寒天培地(ニッス
イ社製)プレートで−晩培養し、コロニーカウント法に
より算出した。
【0034】(力価の測定)ネルソン・ソモギー法を用
いて、β−1,3−キシラナーゼの酵素活性を測定し
た。培養液の遠心上清(6000rpm,20分)を酵
素液とした。酵素液0.2ml,100mMMESバッ
ファー(pH7.5)0.3mlを試験管に入れ40℃
で5分予熱後、基質溶液(精製キシラン1.0%を10
0mM MESバッファーに溶解したもの)0.5ml
を加え、15〜30分反応させた。アルカリ性銅試薬を
1.0ml加えて反応を停止し、試験管口をガラス玉で
塞ぎ、沸騰水中で15〜30分加熱する。冷却後、この
液に砒素モリブデン酸試薬1.0mlを加えよく撹拌
し、15分室温で放置する。この液にさらに10mlの
蒸留水を加えよく撹拌する。1000rpm,2分間遠
心後、500mlで吸光度を測定し、対照との吸光度差
から力価を算出した。
いて、β−1,3−キシラナーゼの酵素活性を測定し
た。培養液の遠心上清(6000rpm,20分)を酵
素液とした。酵素液0.2ml,100mMMESバッ
ファー(pH7.5)0.3mlを試験管に入れ40℃
で5分予熱後、基質溶液(精製キシラン1.0%を10
0mM MESバッファーに溶解したもの)0.5ml
を加え、15〜30分反応させた。アルカリ性銅試薬を
1.0ml加えて反応を停止し、試験管口をガラス玉で
塞ぎ、沸騰水中で15〜30分加熱する。冷却後、この
液に砒素モリブデン酸試薬1.0mlを加えよく撹拌
し、15分室温で放置する。この液にさらに10mlの
蒸留水を加えよく撹拌する。1000rpm,2分間遠
心後、500mlで吸光度を測定し、対照との吸光度差
から力価を算出した。
【0035】上記の変異処理により、XY−235株よ
りもβ−1,3−キシラナーゼ力価の高い株が得られ
た。この中で、最も活性の高かった株に対し、再度上記
の操作を行った結果、0.3U/ml(培養液上清)以
上の力価を有するB−107株及びB−133株が得ら
れた。図2は得られたB−107株、B−133株及び
XY−235株(親株)のβ−1,3−キシラナーゼ力
価を示すグラフである。
りもβ−1,3−キシラナーゼ力価の高い株が得られ
た。この中で、最も活性の高かった株に対し、再度上記
の操作を行った結果、0.3U/ml(培養液上清)以
上の力価を有するB−107株及びB−133株が得ら
れた。図2は得られたB−107株、B−133株及び
XY−235株(親株)のβ−1,3−キシラナーゼ力
価を示すグラフである。
【0036】(基本培地) NaCl 3.0% ポリペプトン 0.5% イーストエキス 0.3% MgSO4・7H2O 0.1% K2HPO4 0.05% KH2PO4 0.2% 海藻粉末(スリコギズタ) 0.3% pH7.5,121℃、30分滅菌
【0037】2.菌学的性質 このβ−1,3−キシラナーゼ生産能の高いB−107
株は、Bergeys' MamalSystematic Bacteriologyの記載
に準拠して同定を行ったところ、次に示す結果からビブ
リオ・アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)に属
していることが判明した。この微生物の形態は、次の表
1に示すものである。また、表2に生理学的試験結果を
示す。この表1及び表2の結果より、本微生物は海洋性
細菌ビブリオ・アルギノリティクスであることが確認さ
れた。なお、本菌株をビブリオ・アルギノリティクスB
−107株と命名した。
株は、Bergeys' MamalSystematic Bacteriologyの記載
に準拠して同定を行ったところ、次に示す結果からビブ
リオ・アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)に属
していることが判明した。この微生物の形態は、次の表
1に示すものである。また、表2に生理学的試験結果を
示す。この表1及び表2の結果より、本微生物は海洋性
細菌ビブリオ・アルギノリティクスであることが確認さ
れた。なお、本菌株をビブリオ・アルギノリティクスB
−107株と命名した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】すなわち、グラム陰性で単極毛を有し、O
Fテストでは発酵性がなく、カタラーゼならびにオキシ
ダーゼテスト陽性、グルコース培地から酸を酸性しガス
非酸性であった。
Fテストでは発酵性がなく、カタラーゼならびにオキシ
ダーゼテスト陽性、グルコース培地から酸を酸性しガス
非酸性であった。
【0041】ビブリオ・アルギノリティクスB−107
株の炭素源としての糖の利用性等を調べた。結果を表3
に示す。
株の炭素源としての糖の利用性等を調べた。結果を表3
に示す。
【0042】
【表3】
【0043】3.β−1,3−キシラナーゼの精製 産生されたβ−1,3−キシラナーゼを精製した。すな
わち、本菌株を上記の条件で大量培養し、遠心分離して
得られた培養上清液に75%飽和になるように固形硫酸
アンモニウムを加えた。4℃で1日放置後、遠心分離
し、生じた沈殿を少量の50mM MES緩衝液pH
7.5に溶解し、同緩衝液で透析後、透析内液を塩析酵
素液として用いた。
わち、本菌株を上記の条件で大量培養し、遠心分離して
得られた培養上清液に75%飽和になるように固形硫酸
アンモニウムを加えた。4℃で1日放置後、遠心分離
し、生じた沈殿を少量の50mM MES緩衝液pH
7.5に溶解し、同緩衝液で透析後、透析内液を塩析酵
素液として用いた。
【0044】塩析酵素液を陰イオン交換クロマトグラフ
ィー(Q-Sepharose FF)、ゲル濾過クロマトグラフィー(T
oyopearl HW-55)、疎水クロマトグラフィー(Ether-Toyo
pearl 650S)、陰イオン交換クロマトグラフィー(Mono Q
HR5/5)で分画したところ、ポリアクリルアミドディス
ク電気泳動とSDS−ポリアクリルアミド電気泳動とで
均−に精製されていることが判明した。
ィー(Q-Sepharose FF)、ゲル濾過クロマトグラフィー(T
oyopearl HW-55)、疎水クロマトグラフィー(Ether-Toyo
pearl 650S)、陰イオン交換クロマトグラフィー(Mono Q
HR5/5)で分画したところ、ポリアクリルアミドディス
ク電気泳動とSDS−ポリアクリルアミド電気泳動とで
均−に精製されていることが判明した。
【0045】4.β−1,3−キシラナーゼの酵素学的
性質 得られたβ−1,3−キシラナーゼの分子量、当電点、
溶解性、至適pH,pH安定性、至適温度、金属イオン
の活性に与える影響等を測定した。金属イオンの活性に
与える影響は、各金属塩を反応系での最終濃度が金属イ
オンで1mMになるよう添加し、金属塩無添加(脱イオ
ン水)での活性を100として各金属イオンの相対活性
を測定した。結果を次の表4,5に示す。また、精製β
−1,3−キシラナーゼのβ−1,3−キシランに対す
る作用様式を調べた。その結果を表6に示す。
性質 得られたβ−1,3−キシラナーゼの分子量、当電点、
溶解性、至適pH,pH安定性、至適温度、金属イオン
の活性に与える影響等を測定した。金属イオンの活性に
与える影響は、各金属塩を反応系での最終濃度が金属イ
オンで1mMになるよう添加し、金属塩無添加(脱イオ
ン水)での活性を100として各金属イオンの相対活性
を測定した。結果を次の表4,5に示す。また、精製β
−1,3−キシラナーゼのβ−1,3−キシランに対す
る作用様式を調べた。その結果を表6に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】5.β−1,3−キシランからのキシロオ
リゴ糖の製造 β−1,3−キシランからオリゴ糖を調製する方法とし
て酸による加水分解がある。しかしながら、酸加水分解
法は100 ℃での加熱を要し、また、反応時間が長いと、
オリゴ糖が更に単糖に分解されてしまうため、効率よく
オリゴ糖を調製することが困難である。それに対して、
前記β−1,3−キシラナーゼを用いる方法では室温で
効率よくオリゴ糖を調製することが可能である。
リゴ糖の製造 β−1,3−キシランからオリゴ糖を調製する方法とし
て酸による加水分解がある。しかしながら、酸加水分解
法は100 ℃での加熱を要し、また、反応時間が長いと、
オリゴ糖が更に単糖に分解されてしまうため、効率よく
オリゴ糖を調製することが困難である。それに対して、
前記β−1,3−キシラナーゼを用いる方法では室温で
効率よくオリゴ糖を調製することが可能である。
【0050】すなわち、100ml 容三角フラスコに1%β−
1,3−キシランを含む20mM酢酸緩衝液を20ml注入し、
ビブリオ・アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)
B−107株のβ−1,3−キシラナーゼ溶液(0.65uni
t/ml) を1.5ml 加え、37℃、24時間反応させた。反応フ
ラスコを沸騰水浴中に15分間浸漬して反応を停止し、冷
却後遠心分離した。得られた上澄液を蒸留水で平衡化し
た活性炭カラム(2×40cm)に通した。最初蒸留水で
溶出し、次いで、9,14,29,50及び75%のエ
タノールで段階的にオリゴ糖を溶出した。
1,3−キシランを含む20mM酢酸緩衝液を20ml注入し、
ビブリオ・アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)
B−107株のβ−1,3−キシラナーゼ溶液(0.65uni
t/ml) を1.5ml 加え、37℃、24時間反応させた。反応フ
ラスコを沸騰水浴中に15分間浸漬して反応を停止し、冷
却後遠心分離した。得られた上澄液を蒸留水で平衡化し
た活性炭カラム(2×40cm)に通した。最初蒸留水で
溶出し、次いで、9,14,29,50及び75%のエ
タノールで段階的にオリゴ糖を溶出した。
【0051】6.プロトプラストの製造 アマノリ1gを5%パパインと、0.5Mマンニトール
(ソルビトールでもかまわない)含有20mM MES
緩衝液pH7.5(海水もしくは人口海水でもかまわな
い)30mlを入れた100ml容コルベンに加え、2
2℃、15分間振盪した。葉状体を0.5Mマンニトー
ル(ソルビトールでもかまわない)、2%NaClを含
む20mM MES緩衝液pH7.5(海水もしくは人
口海水でもかまわない)で数回洗浄した後、メスで数mm
片に切断した。
(ソルビトールでもかまわない)含有20mM MES
緩衝液pH7.5(海水もしくは人口海水でもかまわな
い)30mlを入れた100ml容コルベンに加え、2
2℃、15分間振盪した。葉状体を0.5Mマンニトー
ル(ソルビトールでもかまわない)、2%NaClを含
む20mM MES緩衝液pH7.5(海水もしくは人
口海水でもかまわない)で数回洗浄した後、メスで数mm
片に切断した。
【0052】次いで、20mM客三角フラスコに分注し
た細胞壁分解酵素(β−1,4−マンナナーゼ(ヤクル
ト薬品工業社製)、本発明のβ−1,3−キシラナー
ゼ、βアガラーゼ(特開平8−294389号公報に記
載)の各1unit)に葉状体断片を投入し、22℃で振盪
した。未分解の葉状体を取り除くために40μmのナイ
ロンネットで濾別し、ネットを通過したプロトプラスト
を遠心分離(TOMY LC-121,70×g,5分間)して集
め、次いで、0.5M及び0.2Mマンニトール(ソル
ビトールでもかまわない)を含むASP12(NTA)
培地(海水もしくは人口海水でもかまわない)で順次遠
心洗浄した。その結果、アマノリ1gから約1×107
個のプロトプラストを得た。
た細胞壁分解酵素(β−1,4−マンナナーゼ(ヤクル
ト薬品工業社製)、本発明のβ−1,3−キシラナー
ゼ、βアガラーゼ(特開平8−294389号公報に記
載)の各1unit)に葉状体断片を投入し、22℃で振盪
した。未分解の葉状体を取り除くために40μmのナイ
ロンネットで濾別し、ネットを通過したプロトプラスト
を遠心分離(TOMY LC-121,70×g,5分間)して集
め、次いで、0.5M及び0.2Mマンニトール(ソル
ビトールでもかまわない)を含むASP12(NTA)
培地(海水もしくは人口海水でもかまわない)で順次遠
心洗浄した。その結果、アマノリ1gから約1×107
個のプロトプラストを得た。
【0053】
【発明の効果】本発明は以上説明した通り、β−1,3
−キシラナーゼは、β−1,3−キシランを分解してキ
シロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオー
ス、キシロペンタオース、キシロヘキサオースなどへの
低分子化反応を触媒する等の特徴を有する新規な酵素で
あり、本発明ではこのβ−1,3−キシラナーゼを得る
ことができる。
−キシラナーゼは、β−1,3−キシランを分解してキ
シロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオー
ス、キシロペンタオース、キシロヘキサオースなどへの
低分子化反応を触媒する等の特徴を有する新規な酵素で
あり、本発明ではこのβ−1,3−キシラナーゼを得る
ことができる。
【0054】また、本発明では、このβ−1,3−キシ
ラナーゼを産生する新規な微生物ビブリオ・アルギノリ
ティクス(Vibrio alginolyticus)B−107株を得るこ
とができる。
ラナーゼを産生する新規な微生物ビブリオ・アルギノリ
ティクス(Vibrio alginolyticus)B−107株を得るこ
とができる。
【0055】更に、このβ−1,3−キシラナーゼを産
生する微生物をβ−1,3−キシランを炭素源にして培
養し、その培養上清液から分離して精製することによ
り、製造することができる。
生する微生物をβ−1,3−キシランを炭素源にして培
養し、その培養上清液から分離して精製することによ
り、製造することができる。
【0056】また、このβ−1,3−キシラナーゼを用
いる用途として、本発明のβ−1,3−キシラナーゼ
は、β−1,3−キシランを基質として作用させること
により、キシロオリゴ糖を製造することができる。この
β−1,3−キシランから得られるオリゴ糖は海藻細胞
壁多糖の研究用試薬として有用である。
いる用途として、本発明のβ−1,3−キシラナーゼ
は、β−1,3−キシランを基質として作用させること
により、キシロオリゴ糖を製造することができる。この
β−1,3−キシランから得られるオリゴ糖は海藻細胞
壁多糖の研究用試薬として有用である。
【0057】更に、本発明のβ−1,3−キシラナーゼ
は、細胞壁にβ−1,3−キシランを含む海藻(アマノ
リ、イワズダ等)に作用させることにより、容易に細胞
壁を溶解し、プロトプラストを単離することができると
いう効果がある。
は、細胞壁にβ−1,3−キシランを含む海藻(アマノ
リ、イワズダ等)に作用させることにより、容易に細胞
壁を溶解し、プロトプラストを単離することができると
いう効果がある。
【図1】β−1,3−キシランの化学構造を示す説明図
である。
である。
【図2】B−107株、B−133株及びXY−235
株(親株)のβ−1,3−キシラナーゼ力価を示すグラ
フである。
株(親株)のβ−1,3−キシラナーゼ力価を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:63) (C12N 5/10 C12R 1:89) (72)発明者 志村 喜作 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 三沢 宏 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 Fターム(参考) 4B050 CC01 DD02 EE02 LL01 LL02 LL05 LL10 4B064 AF04 CA02 DA01 DA10 DA16 DA20 4B065 AA55X AA88X AC14 BA10 BB18 CA31
Claims (5)
- 【請求項1】 β−1,3−キシランを分解し、主にキ
シロビオース(2糖類)、キシロトリオース(3糖
類)、キシロテトラオース(4糖類)、キシロペンタオ
ース(5糖類)並びにキシロヘキサオース(6糖類)に
まで低分子化する反応を触媒する酵素であって、下記の
理化学的性質を有する新規なβ−1,3−キシラナー
ゼ。 (a) 分子量;57,000 (b) 等電点;3.6 (c) 溶解性;水溶性 (d) 至適温度;40℃ (e) 至適pH;pH 7.5 (f) pH安定性;pH 6.0〜9.0 (g) 熱安定性;30℃まで安定 - 【請求項2】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
ラナーゼを産生する新規な海洋性細菌であるビブリオ・
アルギノリティクス(Vibrio alginolyticus)B-107。 - 【請求項3】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
ラナーゼを製造する方法であって、 β−1,3−キシラナーゼを産生する能力を有するビブ
リオ属に属する微生物をβ−1,3−キシランを炭素源
として培養し、その培養上清液から分離・採取すること
を特徴とするβ−1,3−キシラナーゼの製造方法。 - 【請求項4】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
ラナーゼで、β−1,3−キシランを基質として作用さ
せることを特徴とするキシロオリゴ糖の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1に記載されたβ−1,3−キシ
ラナーゼを海藻に作用させることを特徴とする海藻細胞
のプロトプラストの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10336991A JP2000157262A (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10336991A JP2000157262A (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000157262A true JP2000157262A (ja) | 2000-06-13 |
Family
ID=18304467
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10336991A Pending JP2000157262A (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000157262A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004509626A (ja) * | 2000-09-21 | 2004-04-02 | デーエスエム・ナムローゼ・フェンノートシャップ | タラロマイセスのキシラナーゼ |
US9127174B2 (en) | 2006-01-20 | 2015-09-08 | Ezaki Glico Co., Ltd. | Aqueous composition for conductive coating |
-
1998
- 1998-11-27 JP JP10336991A patent/JP2000157262A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004509626A (ja) * | 2000-09-21 | 2004-04-02 | デーエスエム・ナムローゼ・フェンノートシャップ | タラロマイセスのキシラナーゼ |
JP4878428B2 (ja) * | 2000-09-21 | 2012-02-15 | ベーアーエスエフ・アクチエンゲゼルシャフト | タラロマイセスのキシラナーゼ |
US9127174B2 (en) | 2006-01-20 | 2015-09-08 | Ezaki Glico Co., Ltd. | Aqueous composition for conductive coating |
US9315678B2 (en) | 2006-01-20 | 2016-04-19 | Ezaki Glico Co., Ltd. | Affinity of hardly soluble or insoluble substance solvent by water-soluble xylan |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100406023C (zh) | 细胞凋亡诱导物 | |
US3983002A (en) | Process for preparation of cellulase | |
RU2193039C2 (ru) | Соединение сахара | |
CN105431534A (zh) | β-1,3-葡聚糖酶、多核苷酸、重组载体、转化体、β-1,3-葡聚糖酶的制造方法、酶制剂及低分子化裸藻淀粉的制造方法 | |
JP3865801B2 (ja) | 新規なβ−アガラーゼ,その製造方法及びその用途 | |
JP2000116376A (ja) | 新規なκ−カラゲナーゼ、その産生微生物、その製造方法及びその用途 | |
JP2002101876A (ja) | 新規なβ−グルコシダーゼ | |
JP2000157262A (ja) | β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途 | |
JP3071068B2 (ja) | ポルフィラン分解酵素、ネオアガロオリゴ糖およびそれらの製造方法 | |
JPS63209595A (ja) | β−1,4−マンノビオ−スの製造法 | |
JPH10295372A (ja) | β−1,3−キシラナーゼ、その産生微生物、製造方法及びその用途 | |
JPS61236790A (ja) | ガラクトオリゴ糖の製造法 | |
JPH06125774A (ja) | レバンサッカラーゼ酵素、その製造方法、それを産生する微生物およびそれを含む組成物 | |
JP3656762B2 (ja) | ラミナリトリオースの製造法 | |
JP3002140B2 (ja) | 新規なキチナーゼとその製造法 | |
JP3642095B2 (ja) | 新規中性キシラナーゼおよびその製造法 | |
JP3309188B2 (ja) | アルギン酸リアーゼ | |
JPH0124121B2 (ja) | ||
KR100664582B1 (ko) | 키티나아제를 생산하는 트리코더마 비리데 agcc-m41균주, 상기 균주로부터 분리된 키티나아제 및 이를 이용한n-아세틸글루코사민의 생산방법 | |
JPH0229311B2 (ja) | ||
JPH054067B2 (ja) | ||
KR100479359B1 (ko) | 신규 해조류 분해 | |
JPH0515388A (ja) | アマノリ属海藻からのガラクタンの製造方法 | |
JPH0248231B2 (ja) | Shinkikishiranaazeoyobisonoseizoho | |
JP3617688B2 (ja) | β−N−アセチルグルコサミニダーゼ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070907 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 7 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080907 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |