JP2000154247A - エステル化物及びその製造方法 - Google Patents

エステル化物及びその製造方法

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JP2000154247A JP32868698A JP32868698A JP2000154247A JP 2000154247 A JP2000154247 A JP 2000154247A JP 32868698 A JP32868698 A JP 32868698A JP 32868698 A JP32868698 A JP 32868698A JP 2000154247 A JP2000154247 A JP 2000154247A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最終的な製品の分散性能などに悪影響を及ぼ
す不純物の極めて少ない高純度の、アルコールと(メ
タ)アクリル酸との反応により得られるエステル化物を
提供する。 【解決手段】 高分子量体の含有率が、2.0面積%以
下であることを特徴とする下記一般式(1) 【化1】 (ただし、R1 は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
わし、R2 Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
基を表わし、この際、各R2 Oの繰り返し単位は同一で
あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2 Oが
2種以上の混合物の形態である場合には各R2 Oの繰り
返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
ム状に付加していてもよく、R3 は水素原子またはメチ
ル基であり、ならびにnはオキシアルキレン基の平均付
加モル数を表わし、0〜300の数である)で示される
エステル化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エステル化物及び
その製造方法、このエステル化物を用いてなる重合体及
びその製造方法、並びにこの重合体の用途に関するもの
である。
【0002】より詳しくは、アルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応により、原料や生成物の2量
体以上の高分子量体の形成が抑えられて合成された、高
純度のエステル化物及びその製造方法、このエステル化
物を用いてなる重合体及びその製造方法、並びにこの重
合体の用途(セメント分散剤の主成分として用いるこ
と)に関するものである。
【0003】
【従来の技術】1981年にコンクリート構造物の早期
劣化が社会問題化して以来、コンクリート中の単位水量
を減らしてその耐久性と施工性を向上させることが強く
求められており、このような要求を満たすセメント組成
物さらにはこの品質及び性能に多大な影響を与えるセメ
ント分散剤の開発が盛んに行われている。
【0004】これらのうち、セメント分散剤に使用され
る重合体成分は、アルコールと(メタ)アクリル酸とを
エステル化反応することにより得られる各種(メタ)ア
クリル酸エステル(単に、本明細書ではエステル化物と
もいう)を単量体成分とし、これを重合反応することに
より得られるものである。こうしたエステル化反応で
は、同時に反応生成水が副生するため、この反応生成水
を反応系から除去しないと(すなわち、反応生成水がた
まると)、平衡反応ゆえにエステル化物を生成する方向
に反応が進まなくなる。そのため、エステル化物を合成
するのに、脱水溶剤を用い、これと反応生成水とを留出
(共沸)させ、このうち反応生成水を分離除去し、脱水
溶剤を還流させて反応を行い、反応終了後に該脱水溶剤
を水との共沸により留去して目的のエステル化物を得て
いる。そして、得られたエステル化物を単量体成分とし
て重合反応を行って目的の重合体成分を製造している。
【0005】このうち、エステル化物の製造過程では、
原料や生成物の2量体以上の高分子量体の形成を防止す
るために、エステル化反応時には、使用する脱水溶剤に
溶解する重合禁止剤を、また脱水溶剤を留去する際に
は、水溶性の重合禁止剤をそれぞれ添加しているのが現
状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、現状の
高分子量体の発生を防止する方法によってもなお、得ら
れるエステル化物中に、最終製品に影響を及ぼすレベル
以上の高分子量体が形成されており、これらを分離精製
するのは困難である一方、こうしたエステル化物を単量
体成分に用いて重合した重合体をセメント分散剤に使用
した場合、該単量体成分中に含まれる高分子量体が重合
反応で架橋剤として作用し、分散性能の乏しい高分子量
架橋ポリマーが生成してしまい、該重合体を用いてなる
最終製品であるセメント分散剤のセメント分散性能やス
ランプ保持性能にまで悪影響を及ぼすことが分かってき
た。
【0007】そこで、本発明の目的は、アルコールと
(メタ)アクリル酸とのエステル化反応を行って得られ
るエステル化物中に含まれる、原料のアルコール及び
(メタ)アクリル酸、生成物のエステル化物またはこれ
らの混合物の重合により形成された2量体以上の高分子
量体の含有率が極めて低く、高品質のエステル化物及び
その製造方法を提供するものである。
【0008】また、本発明の目的は、セメント分散剤等
の最終的な製品の基本性能などに悪影響を及ぼす不純物
の原料物質の極めて少ない高品質の単量体成分として
の、アルコールと(メタ)アクリル酸との反応により得
られるエステル化物を提供するものである。
【0009】本発明の他の目的は、アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応により得られるエス
テル化物を単量体成分に用いて重合することにより得ら
れる重合体中に含まれる、分散性能、特にセメント分散
性能の乏しい高分子量架橋ポリマーの含有率が極めて低
い重合体及びその製造方法を提供するものである。
【0010】また、本発明の他の目的は、アルコールと
(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られる
エステル化物を単量体成分に用いて重合した重合体を使
用してなるセメント分散剤において、高分子量架橋ポリ
マーの含有率が低く、セメント分散性能やスランプ保持
性能に優れるセメント分散剤を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記課題を解決するために、エステル化物及びその製造
方法、このエステル化物を用いてなる重合体及びその製
造方法、並びにこの重合体の用途につき、鋭意検討した
結果、アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化
反応後の脱水溶剤を水との共沸により留去する際に、従
来は、得られたエステル化物が水に溶けるため、水溶性
の重合禁止剤(具体的には、ハイドロキノン)を十分に
添加することが、未反応の原料のアルコール及び(メ
タ)アクリル酸、生成物のエステル化物またはこれらの
混合物の重合により形成される2量体以上の高分子量体
の発生を防止するのに極めて有用と思われていたが、意
外にも、実際に使用されているハイドロキノンのような
水溶性の重合禁止剤にも弱いながらも重合活性を有し、
こうした重合を防止する目的で加えたこれらの重合禁止
剤により高分子量体が形成されていることを見出すと共
に、エステル化反応時に加えられた脱水溶剤に溶解しや
すい重合禁止剤がその後も有効に機能しつづけており、
脱水溶剤を留去する際に水溶液中にあるエステル化物な
どにも作用し、十分な重合禁止能を発現し得ることを見
出したものである。さらに、こうしたエステル化物を単
量体成分に用いて重合反応を行うことで、高分子量架橋
ポリマーの原料となる成分を含まないため高分子量架橋
ポリマーを生ずることなく高純度の重合体が得られるこ
とができ、ひいては、こうした高分子量架橋ポリマーが
含まれる事によりもたらされる最終製品への影響の大き
いセメント分散剤において、良好なセメント分散性能や
スランプ保持性能を発現する事ができることを知得し、
当該知見に基づき本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0012】すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜
(11)に記載の方法により達成することができるもの
である。
【0013】(1) 高分子量体の含有率が、2.0面
積%以下であることを特徴とする下記一般式(1)
【0014】
【化3】
【0015】(ただし、R1 は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2 Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2 Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2 Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2 Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、R3 は水素原
子またはメチル基であり、ならびにnはオキシアルキレ
ン基の平均付加モル数を表わし、0〜300の数であ
る)で示されるエステル化物。
【0016】(2) セメント分散剤用の単量体成分の
1つに用いられるものであって、一般式(1)中のnが
1〜300の数であることを特徴とする上記(1)に記
載のエステル化物。
【0017】(3) 重合禁止剤の存在下、脱水溶剤中
で、一般式(2)
【0018】
【化4】
【0019】(ただし、R1 は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2 Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2 Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2 Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2 Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、0〜3
00の数である)で示されるアルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応を行い、エステル化反応終了
後、反応液から脱水溶剤を留去する際に、使用するアル
コールと(メタ)アクリル酸の全量に対して1000p
pm以下の水溶性重合禁止剤を反応液に添加することを
特徴とする上記(1)または(2)に記載のエステル化
物の製造方法。
【0020】(4) 前記水溶性重合禁止剤を添加する
ことなく、反応液から脱水溶剤を留去することを特徴と
する上記(3)に記載の製造方法。
【0021】(5) エステル化反応で使われる前記重
合禁止剤が、フェノチアジンであることを特徴とする上
記(3)または(4)に記載の製造方法。
【0022】(6) セメント分散剤用の単量体成分の
1つに用いるためのエステル化物の製造方法であって、
一般式(2)中のnが1〜300の数であることを特徴
とする、上記(3)〜(5)のいずれか1つに記載の製
造方法。
【0023】(7) 上記(1)に記載のエステル化物
を含む単量体成分を用いて得られたものであることを特
徴とする重合体。
【0024】(8) セメント分散剤に使用される重合
体であって、上記(2)に記載のエステル化物を含む単
量体成分を用いて得られたものであることを特徴とする
重合体。
【0025】(9) 上記(1)に記載のエステル化物
を含む単量体成分を重合反応させることを特徴とする上
記(7)に記載の重合体の製造方法。
【0026】(10) セメント分散剤に使用される重
合体の製造方法であって、上記(2)に記載のエステル
化物を含む単量体成分を重合反応させることを特徴とす
る上記(8)に記載の重合体の製造方法。
【0027】(11) 少なくとも上記(8)に記載の
重合体を有してなることを特徴とするセメント分散剤。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき、エステル化
物及びその製造方法と、エステル化物を用いてなる重合
体及びその製造方法、並びに該重合体を用いてなるセメ
ント分散剤とに分けて説明する。
【0029】まず、本発明のエステル化物は、高分子量
体の含有率が、2.0面積%以下であることを特徴とす
る下記一般式(1)
【0030】
【化5】
【0031】(ただし、R1 は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2 Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2 Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2 Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2 Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、R3 は水素原
子またはメチル基であり、ならびにnはオキシアルキレ
ン基の平均付加モル数を表わし、0〜300の数であ
る)で示されるエステル化物である。好ましくは、セメ
ント分散剤用の単量体成分の1つに用いられるものであ
って、平均付加モル数nが1〜300の数であるもので
ある。これにより、各種用途、例えば、セメント分散剤
のほか、炭酸カルシウム、カーボンブラック、インクな
どの顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用
分散剤、CWM用分散剤、増粘剤等に使用される重合体
成分の原料となるエステル化物として極めて有用であ
る。すなわち、こうした使用用途に要求される基本性能
である分散性能などに悪影響を及ぼす原因となる分散性
能の乏しい高分子量架橋ポリマーを発生させるもとにな
る高分子量体が極めて少なく、良好な分散性能を発現さ
せる事ができる。特にセメント分散剤では、良好なセメ
ント分散性能とスランプ保持性能を発揮する事ができる
ものである。
【0032】本発明の高分子量体の含有率は、液体クロ
マトグラム測定法により算出される面積比に基づいて算
出されるものである。
【0033】本発明の高分子量体の含有率は、下記液体
クロマトグラム測定条件により測定したグラフにおい
て、目的とするエステル化物の測定ピーク部分の面積に
対して、目的とするエステル化物の測定ピーク部分以外
に検出された高分子量体の測定ピーク部分の面積の比率
を表すものである(具体的には、後述する実施例1で測
定した図1を例にとれば、図1(b)にあるように目的
とするエステル化物の測定ピーク部分の面積が1774
7588であり、高分子量体の測定ピーク部分の面積が
69703として測定・解析された場合、高分子量体の
含有率は、69703÷(69703+1774750
0)×100〓0.4面積%として算出される。なお、
上記面積の大きさを表す数値は、解析装置による定量計
算結果による。)。
【0034】 <液体クロマトグラム測定条件> 解析装置 :株式会社島津製作所製 CR−4A 検出器 :Waters製 410 RI検出器 Waters製 496 UV検出器 使用カラム:東ソー株式会社製 ODS−120P 1本 東ソー株式会社製 ODS−80PS 1本 カラム温度:40℃ 溶離液 :1%リン酸水溶液 1000ml アセトニトリル 1000ml を混合して調製した。
【0035】流速 :1.0ml/min 本発明のエステル化物においては、上記測定法により、
エステル化物中の高分子量体の含有率が、2.0面積%
以下、好ましくは1.5面積%以下、特に好ましくは
1.0面積%以下である。エステル化物中の高分子量体
の含有率が2.0面積%を超える場合には、該エステル
化物が利用される(特に重合して利用される)各種用
途、例えば、セメント分散剤のほか、炭酸カルシウム、
カーボンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケール
防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWM用分散剤、
増粘剤等の基本性能に悪影響を及ぼすことになる。特
に、セメント分散剤への利用を図る場合、セメント分散
性能やスランプ保持性能に影響を及ぼすことなる。
【0036】また、上記一般式(1)で示されるエステ
ル化物につき、以下に説明する。
【0037】上記一般式(1)において、R1 は、炭素
原子数1〜30の炭化水素基を表わす。R1 が炭素原子
数30を超える炭化水素基である場合には、当該エステ
ル化物を、例えば、(メタ)アクリル酸と共重合して得
られる共重合体の水溶性が低下し、用途性能、例えば、
セメント分散性能などが低下する。好適なR1 の範囲は
その使用用途により異なるものであり、例えば、セメン
ト分散剤の原料として用いる場合には、R1 は、炭素原
子数1〜18の直鎖若しくは枝分かれ鎖のアルキル基お
よびアリール基が好ましい。R1 としては、具体的に
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、2−エ
チルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル
基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、
ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノ
ナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシ
ル基などのアルキル基;フェニル基などのアリール基;
ベンジル基、ノニルフェニル基などのアルキルフェニル
基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;アルケ
ニル基;アルキニル基などが挙げられる。これらのう
ち、セメント分散剤の原料として用いる場合には、上述
したように、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、フェニル基が好ましいものである。
【0038】また、R2 Oは、炭素原子数2〜18、好
ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であ
る。R2 Oが炭素原子数18を超えるオキシアルキレン
基である場合には、当該エステル化物を、例えば、(メ
タ)アクリル酸と共重合して得られる共重合体の水溶性
が低下し、用途性能、例えば、セメント分散性能等が低
下する。R2 Oとしては、例えば、オキシエチレン基、
オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレ
ン基などが挙げられ、これらのうち、オキシエチレン
基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基であるこ
とが好ましい。また、R2 Oの繰り返し単位は、同一で
あってもあるいは異なっていてもよい。このうち、R2
Oの繰り返し単位が異なる場合、すなわち、2種以上の
異なる繰り返し単位を有する場合には、各R2 Oの繰り
返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
ム状に付加していてもよい。
【0039】また、R3 は、水素原子またはメチル基で
ある。セメント分散剤の原料として用いる場合には、R
3 が水素原子であるエステル化物と、R3 がメチル基で
あるエステル化物を適当な比率で混合するなどして利用
することができるし、また、いずれか一方のみを利用し
ても良い。
【0040】さらに、nは0〜300の数であり、R2
O(オキシアルキレン基)の繰り返し単位の平均付加モ
ル数を表わす。nが300を超える場合には、当該エス
テル化物を、例えば、(メタ)アクリル酸と共重合する
際にその重合性が低下する。この平均付加モル数nも、
エステル化反応により得られるエステル化物の使用目的
に応じて、その最適範囲は異なるものであり、例えば、
セメント分散剤の原料として使用する場合には、平均付
加モル数nは、5〜200の数が好ましく、より好まし
くは8〜150である。また、増粘剤などとして用いる
場合には、平均付加モル数nは、10〜250の数が好
ましく、より好ましくは50〜200である。また、n
=0の場合には、当該エステル化物を合成する上での困
難性(例えば、水との溶解性および沸点の観点から製造
条件が極めて限られる事など)から、上記R1 は炭素原
子数4以上の炭化水素基が好ましい。すなわち、一般式
(1)のn=0の場合、当該エステル化物を合成する上
で、その原料がメタノールやエタノールなどのアルコー
ルでは低沸点のため生成水とともに蒸発し、さらに生成
水に溶解することから当該アルコール原料の一部が系外
に留去され、当該エステル化物の収率が低下するためで
ある。
【0041】次に、上記に規定するような高分子量体の
含有率の少ないエステル化物を得るための、本発明のエ
ステル化物の製造方法は、重合禁止剤の存在下、脱水溶
剤中で、一般式(2)
【0042】
【化6】
【0043】(ただし、R1 は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2 Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2 Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2 Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2 Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、0〜3
00の数である)で示されるアルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応を行い、エステル化反応終了
後、反応液から脱水溶剤を留去する際に、使用するアル
コールと(メタ)アクリル酸の全量に対して1000p
pm以下の水溶性重合禁止剤を反応液に添加することを
特徴とするものである。これにより、上記に規定するよ
うな高分子量体の含有率の少ないエステル化物を得るこ
とができるものである。なお、本発明において、エステ
ル化反応終了後、反応液から脱水溶剤を留去する際に、
重合活性のない重合禁止剤であって、水溶性の重合禁止
剤に含まれない重合禁止剤を別途加えることに関して
は、特に制限されるものではない。従って、後述するよ
うに、フェノチアジンのような重合禁止剤を、反応液か
ら脱水溶剤を留去する際に、たとえ上記に規定する量を
超えて添加しても、高分子量体の形成に関与するもので
はなく、単にコスト高になるだけであるが、こうした事
により本発明の範囲を外れる(回避される)ものでない
ことは言うまでもない。上記エステル化物の製造方法と
して好ましくは、前記水溶性重合禁止剤を添加すること
なく反応液から脱水溶剤を留去することである。これに
より、高分子量体の含有率の極めて少ないエステル化物
を得ることができる点で有利である。また、上記エステ
ル化物の製造方法として、より好ましくは、エステル化
反応で使われる前記重合禁止剤をフェノチアジンとする
ものである。これにより、反応液から脱水溶剤を留去す
る際に水溶性重合禁止剤を添加することなく、高分子量
体の含有率を上記に規定する測定法において計測されな
いレベルまでその発生を抑えることができる点で極めて
有利である。また、上記エステル化物の製造方法の好適
な態様は、セメント分散剤用の単量体成分の1つに用い
るためのものであって、一般式(2)中のnが1〜30
0の数であることを特徴とするものである。特に、こう
した単量体成分を重合して得られるセメント分散剤で
は、良好なセメント分散性能とスランプ保持性能を発揮
する事ができるためである。
【0044】以下に、本発明のエステル化物の製造方法
の好適な実施の形態につき、工程を追って説明する。
【0045】本発明のエステル化物の製造方法は、上記
の通りであるが、特に本発明では、酸触媒と重合禁止剤
の存在下、脱水溶剤中で、一般式(2)で表されるアル
コール(以下、単に「アルコール」ともいう)と(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応を行い(エステル化
工程)、エステル化反応終了後、酸触媒または酸触媒の
全部と(メタ)アクリル酸の一部を中和し(部分中和工
程)、その後、反応液から脱水溶剤を水と共沸して留去
する(溶剤除去工程)際に、使用するアルコールと(メ
タ)アクリル酸の全量に対して1000ppm以下の水
溶性重合禁止剤を反応液に添加して行うのが望ましい。
【0046】(I)エステル化工程の説明 上記エステル化工程の好適な実施の形態につき、以下に
説明する。
【0047】まず、反応系(反応槽)に、原料としての
一般式(2)のアルコール及び(メタ)アクリル酸、脱
水溶剤、酸触媒及び重合禁止剤を仕込み、これら混合物
を所定温度で所定のエステル化率になるまで、エステル
化反応を行う。
【0048】上記エステル反応に使用することのできる
アルコール原料は、上記一般式(2)で示される化合物
である。
【0049】上記一般式(2)において、R1 、R2
およびnの詳細な説明は、上記一般式(1)において詳
細に説明したと同様であり、ここでは、重複を避けるた
めその説明を省略する。
【0050】上記一般式(2)で示されるアルコール原
料は、1種のものを単独で使用してもあるいは2種以上
の混合物の形態で使用してもよい。一般式(2)で示さ
れるアルコール原料が2種以上の混合物での使用形態
は、特に制限されるものではなく、R1 、R2 Oまたは
nの少なくともいずれか1つが異なる2種以上の混合物
での使用形態であればよいが、好ましくはR1 がメチ
ル基とブチル基の2種で構成されている場合、R2
がオキシエチレン基とオキシプロピレン基の2種で構成
されている場合、nが1〜10のものと11〜100
のものの2種で構成されている場合、および〜を適
宜組み合わせたもの等が挙げられる。
【0051】上記エステル反応に使用することのできる
(メタ)アクリル酸に関しても、アクリル酸およびメタ
クリル酸を、それぞれ単独で使用しても、あるいは混合
して使用してもよく、その混合比率に関しても任意の範
囲を採用する事ができる。
【0052】エステル化反応で使用される上記原料の混
合比率は、化学量論的には1:1(モル比)であるが、
実際には、アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステ
ル化反応が効率良く進行する範囲であれば特に制限され
るものではなく、通常、一方の原料を過剰に使用してエ
ステル化反応を速めたり、目的のエステル化物の精製面
からは、蒸留留去し易いより低沸点の原料を過剰に使用
する。また、本発明では、エステル化反応時に反応生成
水と脱水溶媒を共沸する際に、低沸点の(メタ)アクリ
ル酸の一部も留出され、反応系外に持ち出されるため、
アルコールの使用量(仕込み量)に対して(メタ)アク
リル酸の使用量(仕込み量)を化学量論的に算出される
量よりも過剰に加えることが好ましい。具体的には、
(メタ)アクリル酸の使用量は、通常、アルコール1モ
ルに対して、1.0〜30モル、好ましくは1.2〜1
0モルである。(メタ)アクリル酸の使用量がアルコー
ル1モルに対して1.0モル未満であると、エステル化
反応が円滑に進行せず、目的とするエステル化物の収率
が不十分であり、逆に30モルを超えると、添加に見合
う収率の向上が認められず、不経済であり、やはり好ま
しくない。
【0053】本発明のエステル化反応においては、酸触
媒の存在下でエステル化反応を行うことが望ましい。酸
触媒の存在下で反応を行うことにより、反応を速やかに
進行させることができる。本発明のエステル化反応にお
いて使用することのできる酸触媒としては、例えば、硫
酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラ
トルエンスルホン酸水和物、キシレンスルホン酸、キシ
レンスルホン酸水和物、ナフタレンスルホン酸、ナフタ
レンスルホン酸水和物、トリフルオロメタンスルホン
酸、「Nafion」レジン、「Amberlyst
15」レジン、リンタングステン酸、リンタングステン
酸水和物、塩酸などが挙げられ、これらのうち、硫酸、
パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸水和
物、メタンスルホン酸などが好ましく使用される。さら
に、本発明者らは、エステル化物の品質および性能の低
下の原因となる不純物のジエステルの生成原因の1つ
が、アルコール原料の切断によるものであり、さらに当
該切断が酸触媒によっても起こり得ることを知得した。
かかる知見に基づき、当該切断のしにくい酸触媒がより
望ましいこと見出したものである。当該酸触媒として
は、具体的には、パラトルエンスルホン酸、パラトルエ
ンスルホン酸水和物が例示できる。
【0054】上記酸触媒の使用量としては、所望の触媒
作用を有効に発現する事ができる範囲であれば特に制限
されるものではないが、本発明者らは、上述したよう
に、セメント等の分散性能や増粘特性の乏しい、高分子
量架橋ポリマーを与えるとする酸触媒存在下でのエステ
ル化反応における技術的課題についての解決方法とし
て、酸触媒の使用量を、0.4ミリ当量/g以下、好ま
しくは0.36〜0.01ミリ当量/g、より好ましく
は0.32〜0.05ミリ当量/gの範囲内とすること
で、こうした技術的課題を解決する事ができる事を見出
したものである。すなわち、本発明では、エステル化反
応時における上記に規定する酸触媒量の制限と、エステ
ル化反応終了後の脱水溶剤の留去時の水溶性の重合禁止
剤の使用量の制限を併用することが特に望ましい態様で
あることを見出したものといえる。
【0055】すなわち、酸触媒の使用量が0.4ミリ当
量/gを超えると、エステル化反応時に反応系内で形成
されるジエステルの量が増加し、エステル化反応により
得られるエステル化物を用いて合成されるセメント分散
剤等の用途性能、例えば、セメント分散能等が低下す
る。ここで、酸触媒の使用量(ミリ当量/g)は、反応
に使用した酸触媒のH+ の当量数(ミリ当量)を、原料
であるアルコール及び(メタ)アクリル酸の合計仕込み
量(g)で割った値で表される。より具体的には下記式
によって算出される値である。
【0056】
【数1】
【0057】上記酸触媒の反応系への添加のし方は、一
括、連続、または順次行ってもよいが、作業性の面から
は、反応槽に、原料と共に一括で仕込むのが好ましい。
【0058】また、上記エステル化反応においては、重
合禁止剤の存在下で反応を行うものである。重合禁止剤
を用いることにより、原料のアルコール及び(メタ)ア
クリル酸、生成物のエステル化物またはこれらの混合物
の重合を防止することできる。上記エステル化反応にお
いて使用できる重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤
が使用できるものであり、特に制限されるものではな
く、例えば、フェノチアジン、トリ−p−ニトロフェニ
ルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミン、ジフェニ
ルピクリルヒドラジル、N−(3−N−オキシアニリノ
−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ベ
ンゾキノン、ハイドロキノン、メトキノン、ブチルカテ
コール、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾ
イルジスルフィド、クペロン、塩化銅(II)などが挙げ
られる。これらのうち、脱水溶剤や生成水の溶解性の理
由から、フェノチアジン、ハイドロキノン、メトキノン
が好ましく使用される。これらの重合禁止剤は、単独で
使用してもよいほか、2種以上を混合して使用すること
もできる。とりわけ、フェノチアジン、ハイドロキノ
ン、メトキノンが、上記したように、エステル化反応終
了後に、脱水溶剤を水との共沸により留去する際にも、
弱いながらも重合活性のある水溶性重合禁止剤を用いな
くても極めて有効に重合禁止能を発揮することができ、
高分子量体の形成を効果的におさえる事ができる点から
極めて有用である。
【0059】上記重合禁止剤の使用量は、原料としての
アルコール及び(メタ)アクリル酸の合計仕込量に対し
て、0.001〜1重量%、好ましくは0.001〜
0.1重量%の範囲内である。重合禁止剤の使用量が
0.001重量%未満であると、重合禁止能の発現が十
分でなく、原料としてのアルコール、(メタ)アクリル
酸、生成物としてのエステル化物またはこれらの混合物
の重合を有効に防止しにくくなるため好ましくなく、重
合禁止剤の使用量が1重量%を超えると、生成物である
エステル化物中に残留する重合禁止剤量が増えるため、
品質及び性能面から好ましくなく、また、過剰に添加す
ることに見合うさらなる効果も得られず、経済的な観点
からも好ましくない。
【0060】さらに、本発明のエステル化反応において
は、脱水溶剤中で、エステル化反応を行うものである。
本明細書中、脱水溶剤とは、水と共沸する溶剤として規
定されるものである。すなわち、脱水溶剤を用いること
により、エステル化反応により生成する反応生成水を効
率よく共沸させることができるものである。脱水溶剤と
しては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シク
ロヘキサン、ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、クロロベンゼン、イソプロピルエーテルなどが挙げ
られ、これらを単独で、あるいは2種以上のものを混合
溶剤として使用することができる。これらのうち水との
共沸温度が150℃以下、より好ましくは60〜90℃
の範囲であるものが好ましく、具体的には、シクロヘキ
サン、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、イソプロピル
エーテル、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。水と
の共沸温度が150℃を超える場合には、取り扱いの面
(反応時の反応系内の温度管理および共沸物の凝縮液化
処理などの制御等を含む)から好ましくない。
【0061】上記脱水溶剤は、反応系外に反応生成水と
共沸させ、反応生成水を凝縮液化して分離除去しながら
還流させることが望ましく、この際、脱水溶剤の使用量
は、原料としてのアルコール及び(メタ)アクリル酸の
合計仕込量に対して、1〜100重量%、好ましくは2
〜50重量%の範囲内である。脱水溶剤の使用量が1重
量%未満であると、エステル化反応中に生成する反応生
成水を共沸により反応系外に十分除去できず、エステル
化の平衡反応が進行しにくくなるため、好ましくなく、
脱水溶剤の使用量が100重量%を超えると、過剰に添
加することに見合う効果が得られず、また、反応温度を
一定に維持するために多くの熱量が必要となり、経済的
な観点から好ましくない。
【0062】本発明において、エステル化反応は、回分
または連続いずれによっても行ないうるが、回分式で行
うことが好ましい。
【0063】また、エステル化反応における反応条件
は、エステル化反応が円滑に進行する条件であればよい
が、例えば、反応温度は30〜140℃、好ましくは6
0〜130℃、さらに好ましくは90〜125℃、特に
好ましくは100〜120℃である(なお、これらは、
本発明の一般的な(広い意味での)エステル化反応の条
件であり、上述した脱水溶剤を反応系外に反応生成水と
共沸させ、反応生成水を凝縮液化して分離除去しながら
還流させる場合は、その1例であり、これらの範囲内に
含まれるが、完全に一致するものではない。)。反応温
度が30℃未満では、脱水溶剤の還流が遅くて脱水に時
間がかかるほか、エステル化反応が進行しづらく、好ま
しくない。逆に、反応温度が140℃を超えると、アル
コール原料の切断によって過大量のジエステルが生成し
てセメント分散性能のほか、各種用途における分散性能
や増粘特性が低下するほか、原料の重合が生じたり、共
沸物への原料の混入量が増すなど、生成物であるエステ
ル化物の性能及び品質の劣化が生じるなど、やはり好ま
しくない。また、反応時間は、後述するようにエステル
化率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%
に達するまでであるが、通常、1〜50時間、好ましく
は3〜40時間である。さらに、本発明によるエステル
化反応は、常圧下または減圧下いずれで行ってもよい
が、設備面から、常圧下で行うことが望ましい。
【0064】本発明によるエステル化反応におけるエス
テル化率は、70%以上、より好ましくは70〜99
%、最も好ましくは80〜98%であることが好まし
い。エステル化率が70%未満であると、製造されるエ
ステル化物の収率が不十分であり、これを原料として得
られるセメント分散剤等の用途性能、例えば、セメント
分散能等が低下する。なお、本明細書において使用され
る「エステル化率」は、下記に示すエステル化測定条件
で、エステル化の出発物質であるアルコールの減少量を
測定することにより、下記式によって算出される値とし
て定義されるものである。
【0065】
【数2】
【0066】 ・エステル化率測定条件 解析装置;Waters製 Millennium クロマトグラフィーマネージャー 検出器;Waters製 410 RI検出器 使用カラム;GLサイエンス製 イナートシルODS−2 3本 カラム温度;40℃ 溶離液;水 8946g アセトニトリル 6000g 酢酸 54g を混合して、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH4.0に調整 流速;0.6ml/min なお、上記の式によりエステル化率を決定しているた
め、エステル化率が100%を越えることはない。従っ
て、本発明においては、エステル化率が規定以上に達し
た時点でエステル化反応が終了したものとする。
【0067】(II)部分中和工程 次に、本発明では、上記(I)のエステル化工程におい
て、酸触媒の存在下でエステル反応を行う場合には、以
下に説明する部分中和工程を行うのが望ましい。すなわ
ち、本発明者らは、エステル化反応後に脱水溶剤を留去
する工程で水を加えて共沸する場合、あるいはエステル
化物を用いてさらに重合を行うために、エステル反応後
に調整水を加えて生成されたエステル化物の水溶液を作
製する場合に、酸触媒による加水分解が生じ、エステル
化物の品質及び性能の低下を招くほか、加水分解により
生じたもの(以下、単に加水分解生成物ともいう)がエ
ステル化物中に残留し、当該エステル化物を用いてセメ
ント分散剤等の各種分散剤や増粘剤等に使用される重合
体を合成する場合には、該加水分解生成物は、重合には
関与しない不純物となり、重合率(ひいては生産性)が
低下し、また重合体の品質や性能の劣化にもつながるこ
とから、かかる課題を解決するには、上記(I)のエス
テル化工程によるエステル化反応終了後、90℃以下で
酸触媒をアルカリで中和することが望ましいことを見出
したものである。これにより、エステル化反応後の処理
過程で、加水分解生成物を生じることもなく、高純度で
高品質のエステル化物を得ることができる。
【0068】(III)溶剤留去工程 本発明では、上記エステル化反応を脱水溶媒中で行うた
め、上記(I)のエステル化工程によりエステル化反応
を行った後に、反応液から脱水溶剤を留去するものであ
る。さらに上記エステル化反応を酸触媒の存在下で行う
場合には、上記(I)のエステル化工程によりエステル
化反応を行った後に、上記(II)の部分中和工程により
酸触媒、さらには(メタ)アクリル酸の一部を中和し、
次いで、反応液から脱水溶剤を留去するものである。こ
の際に、原料のアルコールと(メタ)アクリル酸の全使
用量に対して1000ppm以下の水溶性重合禁止剤を
反応液に添加して行うことを特徴とするものである。
【0069】溶剤留去工程の好適な実施の形態につき、
以下に説明する。
【0070】本発明は、エステル化反応終了後(必要に
応じて、部分中和処理を行い)、当該溶剤留去工程にお
いて、反応液から脱水溶剤を留去する際に、原料のアル
コールと(メタ)アクリル酸の全使用量に対して100
0ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ま
しくは300ppm以下の水溶性重合禁止剤を反応液に
添加して、特に好ましくは添加せずに行うことを特徴と
するものである。すなわち、本来的には重合を禁止する
目的で添加されていた水溶性重合禁止剤を加えること
で、この重合禁止剤が弱いながらも重合活性を有するた
めに、意外にも、未反応の原料、生成物であるエステル
化物またはこれらの混合物の重合を招き、高分子量体を
形成していたことを見出すとともに、エステル化反応時
に添加されていた重合禁止剤が、当該脱水溶剤の留去時
にも有効に機能することを見出し、これら水溶性重合禁
止剤を全く使用しなくとも高分子量体の発生を防止し得
る事を見出したものである。したがって、水溶性重合禁
止剤の使用量が、原料のアルコールと(メタ)アクリル
酸の全使用量に対して1000ppmを超える場合に
は、該水溶性重合禁止剤のもつ重合活性により、2.0
面積%以上の高分子量体の発生を招き、これらを含むエ
ステル化物を単量体成分として利用する場合には、得ら
れる重合体を用いたセメント分散剤等に影響を及ぼすた
め好ましくない。
【0071】本溶剤留去工程では、重合禁止剤の存在下
に、エステル化反応を行っているが、当該重合禁止剤が
上述したようにエステル化反応後(さらには部分中和処
理後)においても有効に機能するものである場合には、
本溶剤留去工程において、系内の溶液中に、新たに重合
禁止剤を補充する必要はないが、濃度の薄いアルカリ水
溶液を用いて部分中和処理を行っている場合には、反応
液中に比較的多くの水が存在している。そのため、例え
ば、エステル化反応を行う際に使用した重合禁止剤が水
に難溶ないし不溶であり、エステル化反応後(さらには
部分中和処理後)においてさほど有効に機能しえない場
合に限り、未反応の原料やエステル化物が水に溶けて重
合することがあるため、これを防止する観点から、水溶
性重合禁止剤のもつ重合活性による重合作用と本来的に
有する重合禁止能との関係から、重合活性以上に有効に
重合禁止能を発現し得る範囲(上記に規定する範囲)に
おいて、反応液に水溶性重合禁止剤を加えてから下記に
規定する温度まで昇温し、脱水溶剤を水との共沸により
留去することが望ましいものである。
【0072】ここで、使用することのできる水溶性重合
禁止剤としては、特に制限されるものではなく、例え
ば、ハイドロキノン、メトキノン、カテコール及びこれ
らの誘導体(例えば、p−t−ブチルカテコール等)、
ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。な
かでも、比較的重合活性が低いとの理由から、ハイドロ
キノン、メトキノンが好ましい。また、これらの水溶性
重合禁止剤は、1種若しくは2種以上を混合して使用し
てもよい。
【0073】次に、本発明のエステル化物を用いてなる
重合体及びその製造方法に関して、以下に説明する。
【0074】本発明の重合体は、上記に詳細に説明した
通り、高分子量体の含有率が、2.0面積%以下である
上記一般式(1)で示されるエステル化物を含む単量体
成分を用いて得られたものであることを特徴とするもの
である。好ましくは、セメント分散剤に使用される重合
体であって、上記一般式(1)中のnが1〜300の数
であるエステル化物を含む単量体成分を用いて得られた
ものである。これにより、上述したとおり、当該重合体
中に含まれる分散性能の乏しい高分子量架橋ポリマーの
含有率が極めて低く、如何なる用途に利用(特に、主成
分として配合して利用)しようとも、その基本性能に悪
影響を与える不純物の混入が極めて低く、良好な分散性
能、特にセメント分散剤として利用を図る場合には、良
好なセメント分散性能とスランプ保持性能を発揮するこ
とができる点で極めて有用なものといえる。
【0075】本発明の重合体は、高分子量体の含有率
が、2.0面積%以下である上記一般式(1)で示され
るエステル化物を含む単量体成分を用いて得られたもの
であり、このうち、高分子量体の含有率が、2.0面積
%以下である上記一般式(1)で示されるエステル化物
については、上述した通りである。なお本発明の重合体
には、上記エステル化物を1種、若しくは2種以上を用
いて重合してなるもののいずれも含まれるほか、必要に
応じて、さらにアルカリ性物質で中和して得られる重合
体塩を含むものである。
【0076】また、本発明の重合体は、本発明の上記目
的の範囲を逸脱しない限りは、上記エステル化物を単量
体成分として用いて得られたものであること以外には、
特に制限されるものではなく、所期の用途に応じて重合
されてなるものが含まれると解されるべきである。例え
ば、特公昭59−18338号公報、特開平9−869
90号公報および特開平9−286645号公報に記載
の重合体において、これに使用してなるエステル化物と
して、本発明の高分子量体の含有率が、2.0面積%以
下であるエステル化物を用いることにより得られる重合
体(いずれも、セメント分散剤への利用に供される重合
体の例)などが例示できるが、これらに限定されるもの
でないことは言うまでもなく、これ以外にも、例えば、
特願平9−211968号、特願平10−10047号
などに記載の重合体において、これに使用してなるエス
テル化物として、本発明の高分子量体の含有率が、2.
0面積%以下であるエステル化物を用いることにより得
られる重合体等が例示でき、これらはみな本発明の範囲
に含まれるものである。
【0077】また、本発明の重合体(重合体塩を含む)
の重量平均分子量は、所期の用途に応じて適宜最適な範
囲に決定されるものであり、例えば、セメント分散剤へ
の利用を図る場合には、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーによるポリエチレングリコール換算で500
〜500000、特に5000〜300000の範囲と
することが好ましい。また、重合体の重量平均分子量か
らピークトップ分子量を差し引いた値は、0〜8000
であることが必要であり、好ましくは0〜7000であ
る。重量平均分子量が500未満では、セメント分散剤
の減水性能が低下するために好ましくない。一方、50
0000を越える分子量では、セメント分散剤の減水性
能、スランプロス防止能が低下するために好ましくな
い。また、重量平均分子量からピークトップ分子量を差
し引いた値が8000を越える場合には、得られたセメ
ント分散剤のスランプ保持性能が低下するために好まし
くない。
【0078】次に、本発明の重合体の製造方法は、上述
したとおり、高分子量体の含有率が、2.0面積%以下
であることを特徴とする上記一般式(1)で示されるエ
ステル化物を含む単量体成分を重合反応させることを特
徴とするものである。好ましくは、セメント分散剤に使
用される重合体の製造方法であって、一般式(1)中の
nが1〜300の数であるエステル化物を含む単量体成
分を重合反応させることを特徴とするものである。これ
により、該高分子量体が重合反応で架橋剤として作用
し、分散性能の乏しい高分子量架橋ポリマーが生成する
のを防止することができるものであり、特にセメント分
散剤への利用を図る場合には、良好なセメント分散性能
とスランプ保持性能を発揮する事ができる重合体を有効
に得ることができるものである。
【0079】以下に、本発明のエステル化物の製造方法
の好適な実施の形態につき、工程を追って説明する。
【0080】本発明の重合体の製造方法は、上記の通り
であるが、特に本発明では、上記一般式(1)で表され
るエステル化物を単量体成分として、重合反応を行うも
のである。
【0081】本発明の重合体の製造方法は、上記一般式
(1)で表されるエステル化物を単量体成分として、重
合反応を行うことにより、所期の用途に応じた、本発明
の重合体を得ることができるものであれば、特に制限さ
れるものではなく、例えば、特公昭59−18338号
公報、特開平9−86990号公報および特開平9−2
86645号公報に記載の方法などの公知の方法と同様
にして、(メタ)アクリル酸(塩)、および必要により
これらのエステル化物の単量体成分と共重合可能な単量
体と共に重合反応に供することができるが、これらに限
定されるものではなく、本発明の重合体の詳細な説明に
おいて例示したそれぞれの公報に記載の重合方法が適用
できる事はもちろんのこと、これら以外にも従来既知の
各種重合方法を適用できることはいうまでもない。
【0082】具体的には、例えば、本発明の重合体の製
造方法では、上記一般式(1)で表されるエステル化物
単量体(以下、単にエステル化物単量体とも言う)を、
(メタ)アクリル酸(塩)単量体および必要によりこれ
らの単量体と共重合可能な単量体とともに重合反応する
ことにより得ることができる。
【0083】ここで、所望の重合体を得るには、重合開
始剤を用いて前記エステル化物単量体成分等を共重合さ
せれば良い。共重合は、溶媒中での重合や塊状重合等の
方法により行なうことができる。
【0084】溶媒中での重合は、回分式でも連続式でも
行なうことができ、その際使用される溶媒としては、
水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香
族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化
合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合
物;等が挙げられる。原料のエステル化物の単量体成分
および得られる共重合体の溶解性ならびに該共重合体の
使用時の便からは、水および炭素原子数1〜4の低級ア
ルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用い
ることが好ましい。その場合、炭素原子数1〜4の低級
アルコールの中でもメチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール等が特に有効である。
【0085】水媒体中で重合を行なう時は、重合開始剤
としてアンモニウムまたはアルカリ金属の過硫酸塩ある
いは過酸化水素等の水溶性の重合開始剤が使用される。
この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩等の促進剤を
併用することもできる。また、低級アルコール、芳香族
炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物あるいはケ
トン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキ
シドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメ
ンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;ア
ゾビスイソブチロニトリル等の芳香族アゾ化合物等が重
合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促
進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコ
ール混合溶剤を用いる場合には、上記の種々の重合開始
剤あるいは重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から
適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる
溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜1
20℃の範囲内で行なわれる。
【0086】塊状重合は、重合開始剤としてベンゾイル
パーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシ
ド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキ
シド;アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合
物等を用い、50〜200℃の温度範囲内で行なわれ
る。
【0087】また、得られる重合体の分子量調節のため
に、チオール系連鎖移動剤を併用することもできる。こ
の際に用いられるチオール系連鎖移動剤は、一般式HS
−R5 −Eg (ただし、式中R5 は炭素原子数1〜2の
アルキル基を表わし、Eは−OH、−COOM2 、−C
OOR6 または−SO3 2 基を表わし、M2 は水素、
一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン
基を表わし、R6 は炭素原子数1〜10のアルキル基を
表わし、gは1〜2の整数を表わす。)で表わされ、例
えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオ
グリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メル
カプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸
オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙
げられ、これらの1種または2種以上を用いることがで
きる。
【0088】このようにして得られた重合体は、そのま
までもセメント分散剤等の各種用途の主成分として用い
られるが、必要に応じて、さらにアルカリ性物質で中和
して得られる重合体塩をセメント分散剤等の各種用途の
主成分として用いても良い。このようなアルカリ性物質
としては、一価金属および二価金属の水酸化物、塩化物
および炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等が
好ましいものとして挙げられる。
【0089】本発明の重合体の製造方法において、使用
することのできる上記一般式(1)で示されるエステル
化物単量体成分は、1種単独で用いても良いし、2種以
上を混合して使用しても良い。特に、2種以上を混合し
て使用する場合には、使用用途に応じた特性(機能・性
能等)を発現させる事ができるように、発現特性の異な
る種類を適当に組み合わせて用いる事が望ましく、1例
としてセメント分散剤への利用を行う場合には、以下の
2種の組み合わせが有利である。
【0090】すなわち、一般式(1)で示されるエステ
ル化物において、平均付加モル数nが1〜97、好まし
くは1〜10の整数を表わす。)で示される第1のエス
テル化物(a1 )と、平均付加モル数nが4〜100、
好ましくは11〜100の整数を表わす。)で示される
第2のエステル化物(a2 )との混合物(ただし、第2
のエステル化物(a2 )の平均付加モル数の方が第1の
エステル化物(a1 )の平均付加モル数よりも3以上大
きいものとする)の組み合わせが有利である。
【0091】このような第1のエステル化物(a1 )と
第2のエステル化物(a2 )との混合物を製造する方法
は、当該エステル化物の製造方法で説明した通りであ
り、これらの第1および第2のエステル化物(a1 )お
よび(a2 )を別々にエステル化反応により製造しても
よいし、それぞれ相当するアルコールの混合物と、(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応により製造してもよ
く、特に後者の方法は工業的に安価の製造方法を提供で
きる。
【0092】この場合、第1のエステル化物(a1 )と
第2のエステル化物(a2 )との重量比は5:95〜9
5:5、好ましくは10:90〜90:10である。
【0093】第1のエステル化物(a1 )としては、例
えば、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)ブチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シ(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロ
ピレングリコールモノ(エタ)アクリレート、エトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プロピ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコー
ル(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。第1
のエステル化物(a1 )は、その側鎖の短鎖アルコール
に疎水性を有することが重要である。
【0094】また、共重合のし易さの面からは、側鎖は
エチレングリコール単位が多く含まれているのが好まし
い。したがって、(a1 )としては、平均付加モル数が
1〜97、好ましくは1〜10の(アルコキシ)(ポ
リ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好
ましい。
【0095】第2のエステル化物(a2 )としては、例
えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、メトキシポリエチレングリコール(ポリ)
プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メト
キシポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレング
リコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレング
リコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、エトキシポリエチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレートなどが例示される。
【0096】高い減水性を得るためには、第2のエステ
ル化物(a2 )の平均付加モル数が4〜100のアルコ
ール鎖による立体反発と親水性でセメント粒子を分散さ
せることが重要である。そのためには、ポリアルキレン
グリコール鎖にはオキシエチレン基が多く導入されるこ
とが好ましく、ポリエチレングリコール鎖が最も好まし
い。よって、第2のエステル化物(a2 )のアルキレン
グリコール鎖の平均付加モル数nは、4〜100、好ま
しくは11〜100である。
【0097】本発明の重合体の製造方法において、使用
することのできる、上記(メタ)アクリル酸(塩)単量
体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸ならびにこ
れらの酸の一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩お
よび有機アミン塩を挙げることができ、これらの1種ま
たは2種以上を用いることができる。
【0098】本発明の重合体の製造方法において、使用
することのできるエステル化物単量体および(メタ)ア
クリル酸(塩)単量体の単量体成分と共重合可能な単量
体の例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン
酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;これ
らのジカルボン酸類とHO(R11O)r 12(ただし、
11Oは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基の1種
または2種以上の混合物を表わし、2種以上の場合はブ
ロック状に付加していてもランダム状に付加していても
よく、rはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり
1から100の整数を表わし、R12は水素または炭素原
子数1〜22、好ましくは1〜15のアルキル基を表わ
す。)で表わされるアルコールとのモノエステルあるい
はジエステル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)ア
クリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニル
スルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スルホエチル
(メタ)アクリレート、2−メチルプロパンスルホン酸
(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽
和スルホン酸類およびそれらの一価金属塩、二価金属
塩、アルモニウム塩、有機アミン塩類;スチレン、α−
メチルスチレン等の芳香族ビニル類;炭素原子数1〜1
8、好ましくは1〜15の脂肪族アルコールあるいはベ
ンジルアルコール等のフェニル基含有アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル類;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられ、これら
の1種または2種以上を用いることができる。
【0099】上記重合体の製造方法により得られた重合
体(重合体塩を含む)では、セメント分散能に優れたセ
メント分散剤の主成分とすることができるほか、炭酸カ
ルシウム、カーボンブラック、インクなどの顔料分散
剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、CW
M用分散剤、増粘剤等への利用が可能である。
【0100】以上が、本発明の重合体及びその製造方法
についての詳細な説明である。
【0101】最後に、本発明のセメント分散剤は、少な
くと下記に示す重合体;すなわち、高分子量体の含有率
が2.0面積%以下であることを特徴とする上記一般式
(1)で示されるエステル化物において、一般式(1)
中のnが1〜300の数であるエステル化物を含む単量
体成分を用いて得られた重合体、を有してなることを特
徴とするものである。これにより、良好なセメント分散
性能とスランプ保持性能を発揮する事ができるものであ
る。
【0102】ここで、上記に示す重合体については、上
記に説明した通りである、ここではその説明を省略す
る。
【0103】また、本発明のセメント分散剤には、上記
に規定する重合体成分の他に、従来公知のナフタレン系
セメント分散剤、アミノスルホン酸系セメント分散剤、
ポリカルボン酸系セメント分散剤およびリグニン系セメ
ント分散剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種のセ
メント分散剤を配合してもよい。すなわち、本発明のセ
メント分散剤では、上記重合体単独で使用しても良い
し、必要に応じて、さらに付加価値を持たせるべく、上
記および下記に示す各種成分を配合する事ができるもの
であり、これらの配合組成については、目的とする付加
的機能の有無により大きく異なるものであり、上記重合
体成分を100重量%(全量)ないし主成分とするもの
から、上記重合体成分を高付加価値成分として、従来の
セメント分散剤に適量加える態様まで様々であり、一義
的に規定することはできない。
【0104】また、本発明のセメント分散剤には、従来
公知のセメント分散剤の他に、空気連行剤、セメント湿
潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶性高分子
物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、
硬化促進剤、消泡剤等を配合することができる。
【0105】このようにして得られる重合体を主成分と
するセメント分散剤は、少なくともセメントおよび水よ
りなるセメント組成物に配合することによりセメントの
分散を促進する。
【0106】本発明のセメント分散剤は、ポルトランド
セメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメン
ト、各種混合セメント等の水硬セメント、あるいは、石
膏などのセメント以外の水硬材料などに用いることがで
きる。
【0107】本発明のセメント分散剤は、上記に記載の
作用効果を奏するため、従来のセメント分散剤に比較し
て少量の添加でも優れた効果を発揮する。たとえば水硬
セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する
場合には、セメント重量の0.001〜5%、好ましく
は0.01〜1%となる比率の量を練り混ぜの際に添加
すればよい。この添加により高減水率の達成、スランプ
ロス防止性能の向上、単位水量の低減、強度の増大、耐
久性の向上などの各種の好ましい諸効果がもたらされ
る。添加量が0.001%未満では性能的に不十分であ
り、逆に5%を越える多量を使用しても、その効果は実
質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
【0108】本発明のセメント分散剤は、上述のような
特定の重量平均分子量を有し、かつ重量平均分子量から
ピークトップ分子量を差し引いた値が特定の値を有する
重合体を主成分とするセメント分散剤であることが望ま
しい。
【0109】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、例中、特にことわりのない限り、%
は重量%を、また、部は重量部を表わすものとする。
【0110】実施例1 ・エステル化物水溶液(1)の製造 温度計、攪拌機、生成水分離器、コンデンサである還流
冷却管、窒素導入管を備えたジャケット付ガラス製反応
器(内容量:30リットル)にメトキシポリ(n=2
5)エチレングリコール16500部、メタクリル酸4
740部、パラトルエンスルホン酸水和物235部、フ
ェノチアジン5部およびシクロヘキサン1060部を仕
込み、反応温度115℃でエステル化反応を行った。2
0時間でエステル化率が100%に達したのを確認し
た。
【0111】得られたエステル化反応液(1)2225
5部に49%水酸化ナトリウム水溶液135部と水48
90部を加えてパラトルエンスルホン酸を中和し、ハイ
ドロキノン1部(原料のメトキシポリ(n=25)エチ
レングリコールとメタクリル酸の全使用量に対して10
0ppm)を加えて105℃までに昇温し、シクロヘキ
サンを水との共沸で留去後、調整水を添加して80%の
エステル化物水溶液(1)を得た。
【0112】得られたエステル化物水溶液(1)につ
き、本発明で規定する液体クロマトグラム測定法によ
り、高分子量体の含有量を測定した。測定により得られ
たグラフを図1に示す。図1のグラフより、本発明で規
定する算出方法にしたがってエステル化物及び高分子量
体の面積比を求め、高分子量体の含有率を算出した。そ
の結果、エステル化物水溶液(1)中の高分子量体の含
有率は、0.4面積%であった。
【0113】・本実施例の重合体(1)の製造 次に、温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還
流冷却管を備えたガラス製反応容器(内容量:30リッ
トル)に、水8200部を仕込み、撹拌下に反応容器内
を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。次
に、上記エステル化反応により得られたエステル化物水
溶液(1)13100部と連鎖移動剤として14%メル
カプトプロピオン酸水溶液694部を均一に混合した単
量体混合物水溶液を4時間、および11%過硫酸アンモ
ニウム水溶液1125部を5時間で滴下した。その後1
時間引き続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結
させた。そして、49%水酸化ナトリウム水溶液148
0部で中和して、重量平均分子量(GPCによるポリエ
チレングリコール換算;以下、同様とする。)2000
0の本実施例の重合体(1)を得た。
【0114】・本実施例のセメント分散剤の性能評価
(スランプ値の測定) 得られた本実施例の重合体(1)を本実施例のセメント
分散剤(1)として以下に示すコンクリート試験を行っ
た。
【0115】セメントとして普通ポルトランドセメント
(秩父小野田セメント株式会社製:比重3.16)、細
骨材として大井川水系産陸砂(比重2.62、FM2.
71)、粗骨材として青梅産硬質砂岩砕石(比重2.6
4、MS20mm)を用いた。
【0116】コンクリートの配合条件は、単位セメント
量320kg/m3 、単位水量165kg/m3 、水/
セメント比51%および細骨材率49%であった。ま
た、セメント100重量部に対する本実施例のセメント
分散剤(1)固形分の添加量(重量部)は、下記表2に
示すとおりとした。
【0117】スランプ値(初期、30分後、60分後)
の測定は、上記配合によるコンクリートを使用し、日本
工業規格(JIS A 1101)に準拠して行った。
【0118】本実施例のエステル化工程での反応組成、
反応条件およびエステル化率につき下記表1に示す。ま
た、中和工程での組成、本実施例のエステル化物水溶液
(1)中の高分子量体の含有率、本実施例の重合体
(1)を用いた本実施例のセメント分散剤(1)のコン
クリートの性能評価につき下記表2に示す。
【0119】実施例2 ・エステル化物水溶液(2)の製造 実施例1で得られたエステル化反応液(1)22255
部に49%水酸化ナトリウム水溶液135部と水489
0部を加えてパラトルエンスルホン酸を中和し、ハイド
ロキノンを加えることなく105℃までに昇温し、シク
ロヘキサンを水との共沸で留去後、調整水を添加して8
0%のエステル化物水溶液(2)を得た。
【0120】得られたエステル化物水溶液(2)につ
き、本発明で規定する液体クロマトグラム測定法によ
り、高分子量体の含有量を測定した。測定により得られ
たグラフを図2に示す。図2のグラフより、本発明で規
定する算出方法にしたがってエステル化物及び高分子量
体の面積比を求め、高分子量体の含有率を算出した。そ
の結果、エステル化物水溶液(2)中の高分子量体の含
有率は、0.0面積%(すなわち、図2から明らかなよ
うに高分子量体に相当する測定データは認められなかっ
た。)であった。
【0121】・本実施例の重合体(2)の製造 次に、エステル化物水溶液(1)に代えてエステル化物
水溶液(2)を用いた以外は、実施例1と同様の装置を
用い、実施例1と同様にして重合反応、さらには中和処
理を行い、重量平均分子量19000の本実施例の重合
体(2)を得た。
【0122】・本実施例のセメント分散剤の性能評価
(スランプ値の測定) 得られた本実施例の重合体(2)を本実施例のセメント
分散剤(2)とし、セメント100重量部に対する本実
施例のセメント分散剤(2)固形分の添加量(重量部)
を下記表2に示すように、初期のスランプ値が略実施例
1のものと同じになるように調整した以外は、実施例1
と同様にして実施例1に示すコンクリート試験を行っ
た。
【0123】本実施例のエステル化工程での反応組成、
反応条件およびエステル化率につき下記表1に示す。ま
た、中和工程での組成、本実施例のエステル化物水溶液
(2)中の高分子量体の含有率、本実施例の重合体
(2)を用いた本実施例のセメント分散剤(2)のコン
クリートの性能評価につき下記表2に示す。
【0124】比較例1 ・比較用エステル化物水溶液(1)の製造 実施例1で得られたエステル化反応液(1)22255
部に49%水酸化ナトリウム水溶液135部と水489
0部を加えてパラトルエンスルホン酸を中和し、ハイド
ロキノン30部(原料のメトキシポリ(n=25)エチ
レングリコールとメタクリル酸の全使用量に対して15
00ppm)を加えて105℃までに昇温し、シクロヘ
キサンを水との共沸で留去後、調整水を添加して80%
の比較用エステル化物水溶液(1)を得た。
【0125】得られた比較用エステル化物水溶液(1)
につき、本発明で規定する液体クロマトグラム測定法に
より、高分子量体の含有量を測定した。本発明で規定す
る算出方法にしたがってエステル化物及び高分子量体の
面積比を求め、高分子量体の含有率を算出した。その結
果、比較用エステル化物水溶液(1)中の高分子量体の
含有率は、2.4面積%であった。
【0126】・比較用重合体(1)の製造 次に、エステル化物水溶液(1)に代えて比較用エステ
ル化物水溶液(1)を用いた以外は、実施例1と同様の
装置を用い、実施例1と同様にして重合反応、さらには
中和処理を行い、重量平均分子量23000の比較用重
合体(1)を得た。
【0127】・比較用セメント分散剤の性能評価(スラ
ンプ値の測定) 得られた比較用重合体(1)を比較用セメント分散剤
(1)とし、セメント100重量部に対する比較用セメ
ント分散剤(1)固形分の添加量(重量部)を下記表2
に示すように、初期のスランプ値が略実施例1のものと
同じになるように調整した以外は、実施例1と同様にし
て実施例1に示すコンクリート試験を行った。
【0128】本比較例のエステル化工程での反応組成、
反応条件およびエステル化率につき下記表1に示す。ま
た、中和工程での組成、比較用エステル化物水溶液
(1)中の高分子量体の含有率、比較用重合体(1)を
用いた比較用セメント分散剤(1)のコンクリートの性
能評価につき下記表2に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】上記表2から分かるように、水溶性重合禁
止剤であるハイドロキノンの添加量が増加するに従っ
て、高分子量体の含有率が大きくなり、原料の全使用量
に対して1000ppmを超える比較例では、高分子量
体が2.0面積%を超えることが確認された。また、高
分子の含有率が、2.0面積%を超える比較例1では、
これらよりも少ない高分子量体の含有率である実施例
1、2に比して、初期のスランプ値をほぼ同じレベルに
保持するのに、より多くのセメント分散剤の添加(実施
例に対して約10%強)を必要とする事が確認された。
さらに、比較例1では、初期にほぼ同じレベルに合わさ
れたスランプ値が、その後、経時的に著しく低下するの
に対し、高分子量体の含有率が低い実施例では、スラン
プ値の低下率が緩やかであり、該高分子量体を含まない
実施例2の方が僅かではあるがその低下率がより緩やか
になる、すなわち、スランプ保持性能がより優れる事が
確認された。
【0132】
【発明の効果】(1) 本発明のエステル化物は、高分
子量体の含有率が、2.0面積%以下であることを特徴
とする上記一般式(1)で示されるエステル化物である
ため、各種用途、例えば、セメント分散剤のほか、炭酸
カルシウム、カーボンブラック、インクなどの顔料分散
剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、CW
M用分散剤、増粘剤等に使用される重合体成分の原料と
なるエステル化物として極めて有用である。すなわち、
こうした使用用途に要求される基本性能である分散性能
などに悪影響を及ぼす原因となる分散性能の乏しい高分
子量架橋ポリマーを発生させるもとになる高分子量体が
極めて低く、良好な分散性能を発現させる事ができる。
【0133】(2) 本発明では、上記(1)に記載の
エステル化物が、セメント分散剤用の単量体成分の1つ
に用いられるものであって、一般式(1)中のnが1〜
300の数であるため、上記(1)に記載の作用効果を
奏する事ができるほか、特にセメント分散剤に利用する
際に、良好なセメント分散性能とスランプ保持性能を発
揮する事ができるものである。
【0134】(3) また、本発明では、上記(1)ま
たは(2)に記載のエステル化物を好適に製造するため
の方法であって、重合禁止剤の存在下、脱水溶剤中で、
上記一般式(2)で示されるアルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応を行い、エステル化反応終了
後、反応液から脱水溶剤を留去する際に、使用するアル
コールと(メタ)アクリル酸の全量に対して1000p
pm以下の水溶性重合禁止剤を反応液に添加することに
より、上記(1)または(2)に記載するような高分子
量体の含有率の少ないエステル化物を好適に製造する事
ができるものである。
【0135】(4) 本発明では、上記(3)に記載の
エステル化物の製造方法において、前記水溶性重合禁止
剤を添加することなく反応液から脱水溶剤を留去するこ
とより、高分子量体の含有率の極めて少ないエステル化
物を得ることができる点で有利である。
【0136】(5) 本発明では、上記(3)または
(4)に記載のエステル化物の製造方法において、エス
テル化反応で使われる前記重合禁止剤をフェノチアジン
とすることにより、反応液から脱水溶剤を留去する際に
水溶性重合禁止剤を添加することなく、高分子量体の含
有率を上記に規定する測定法において計測されないレベ
ルまでその発生を抑えることができる点で極めて有利で
ある。
【0137】(6) 本発明では、上記(3)〜(5)
に記載のエステル化物の製造方法がセメント分散剤用の
単量体成分の1つに用いるためのものであって、一般式
(2)中のnが1〜300の数とすることで、こうした
単量体成分を重合して得られるセメント分散剤では、良
好なセメント分散性能とスランプ保持性能を発揮する事
ができるものである。
【0138】(7) 本発明の重合体では、上記(1)
に記載のエステル化物を含む単量体成分を用いて得られ
たものであため、当該重合体中に含まれる分散性能の乏
しい高分子量架橋ポリマーの含有率が極めて低く、如何
なる用途に利用(特に、主成分として配合して利用)し
ようとも、その基本性能に悪影響を与える不純物の混入
が極めて低く、有用なものといえる。
【0139】(8) 本発明の重合体がセメント分散剤
に使用される重合体であって、上記一般式(1)中のn
が1〜300の数であるエステル化物を含む単量体成分
を用いて得られたものであるため、上記(7)に記載の
作用効果として良好な分散性能を奏するが、特にセメン
ト分散剤として利用を図る場合において、良好なセメン
ト分散性能とスランプ保持性能を発揮することができる
点で極めて有用なものといえる。
【0140】(9) 本発明では、上記(7)に記載の
重合体を好適に製造するための方法であって、上記
(1)に記載のエステル化物を含む単量体成分を重合反
応させることにより、該高分子量体が重合反応で架橋剤
として作用し、分散性能の乏しい高分子量架橋ポリマー
が生成するのを防止することができるものである。
【0141】(10) 本発明では、上記(8)に記載
の重合体を好適に製造するための方法であって、上記
(2)に記載のエステル化物を含む単量体成分を重合反
応させることにより、上記(9)に記載の作用効果を奏
する上で、特に、セメント分散剤への利用を図る場合に
おいて、良好なセメント分散性能とスランプ保持性能を
発揮する事ができる重合体を有効に得ることができるも
のである。
【0142】(11) 本発明のセメント分散剤では、
少なくとも上記(8)に記載の重合体を有してなること
により、良好なセメント分散性能とスランプ保持性能を
発揮する事ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例1により得られたエステル化物水溶
液(1)を液体クロマトグラムにより測定して得られた
グラフである。図1(a)は、グラフのほぼ全体図であ
り、図2(b)は、エステル化物と高分子量体の検出部
分を拡大したグラフである。
【図2】 本実施例2により得られたエステル化物水溶
液(2)を液体クロマトグラムにより測定して得られた
グラフである。図2(a)は、グラフのほぼ全体図であ
り、図2(b)は、エステル化物のみが検出され、図1
に検出された高分子量体の検出領域には相当する検出ピ
ークが認められないことを示すために該当する部分を拡
大したグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 33/14 C08L 33/14 // C04B 103:40 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AA05 AB46 AB74 AC48 AD11 AD41 BB11 BB12 BB15 BB25 KA06 4J002 BG051 GL00 HA07 4J005 AA04 BD02 4J027 AC02 AC06 AJ02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子量体の含有率が、2.0面積%以
    下であることを特徴とする下記一般式(1) 【化1】 (ただし、R1 は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
    わし、R2 Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
    基を表わし、この際、各R2 Oの繰り返し単位は同一で
    あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2 Oが
    2種以上の混合物の形態である場合には各R2 Oの繰り
    返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
    ム状に付加していてもよく、R3 は水素原子またはメチ
    ル基であり、ならびにnはオキシアルキレン基の平均付
    加モル数を表わし、0〜300の数である)で示される
    エステル化物。
  2. 【請求項2】 セメント分散剤用の単量体成分の1つに
    用いられるものであって、一般式(1)中のnが1〜3
    00の数であることを特徴とする請求項1に記載のエス
    テル化物。
  3. 【請求項3】 重合禁止剤の存在下、脱水溶剤中で、一
    般式(2) 【化2】 (ただし、R1 は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
    わし、R2 Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
    基を表わし、この際、各R2 Oの繰り返し単位は同一で
    あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2 Oが
    2種以上の混合物の形態である場合には各R2 Oの繰り
    返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
    ム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシアルキ
    レン基の平均付加モル数を表わし、0〜300の数であ
    る)で示されるアルコールと(メタ)アクリル酸とのエ
    ステル化反応を行い、 エステル化反応終了後、反応液から脱水溶剤を留去する
    際に、原料のアルコールと(メタ)アクリル酸の全使用
    量に対して1000ppm以下の水溶性重合禁止剤を反
    応液に添加することを特徴とする請求項1または2に記
    載のエステル化物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水溶性重合禁止剤を添加することな
    く、反応液から脱水溶剤を留去することを特徴とする請
    求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 エステル化反応で使われる前記重合禁止
    剤が、フェノチアジンであることを特徴とする請求項3
    または4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 セメント分散剤用の単量体成分の1つに
    用いるためのエステル化物の製造方法であって、一般式
    (2)中のnが1〜300の数であることを特徴とす
    る、請求項3〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のエステル化物を含む単
    量体成分を用いて得られたものであることを特徴とする
    重合体。
  8. 【請求項8】 セメント分散剤に使用される重合体であ
    って、 請求項2に記載のエステル化物を含む単量体成分を用い
    て得られたものであることを特徴とする重合体。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載のエステル化物を含む単
    量体成分を重合反応させることを特徴とする請求項7に
    記載の重合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 セメント分散剤に使用される重合体の
    製造方法であって、 請求項2に記載のエステル化物を含む単量体成分を重合
    反応させることを特徴とする請求項8に記載の重合体の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも請求項8に記載の重合体を
    有してなることを特徴とするセメント分散剤。
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