JP3390382B2 - エステル化物の製造方法 - Google Patents

エステル化物の製造方法

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JP3390382B2 JP31166499A JP31166499A JP3390382B2 JP 3390382 B2 JP3390382 B2 JP 3390382B2 JP 31166499 A JP31166499 A JP 31166499A JP 31166499 A JP31166499 A JP 31166499A JP 3390382 B2 JP3390382 B2 JP 3390382B2
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エステル化物の製
造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、
酸触媒を水和物および/または水溶液のかたちで用いる
場合に、高品質のエステル化物を製造する方法に関する
ものである。
【0002】本発明はまた、上記方法によって製造され
たエステル化物を用いたセメント分散剤用ポリカルボン
酸系共重合体の製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】セメント分散剤や炭酸カルシウム、カー
ボンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケール防止
剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWM用分散剤、増粘
剤等に使用される重合体成分は、アルコールと(メタ)
アクリル酸とをエステル化反応することにより得られる
各種(メタ)アクリル酸エステル(単に、本明細書では
エステル化物ともいう)を単量体成分とし、これを重合
反応することにより得られるものである。
【0004】こうしたエステル化反応では、原料のアル
コールと(メタ)アクリル酸、生成物のエステル化物ま
たはこれらの混合物が重合してゲルを生成してしまうこ
とが知られている。そのため、こうした重合を防止する
ために適当な重合禁止剤を添加した上でエステル化反応
を行っている。
【0005】こうしたエステル化物の製造方法しては、
例えば、特開平9−328346号公報の比較例1〜2
にエステル化物の製造方法が記載されされている。該公
報によれば、反応器(セパラブルフラスコ)に温度計、
攪拌機および水分離器を設け、反応生成水を分離できる
ようにした反応装置に、原料としてメタクリル酸及びメ
トキシポリエチレングリコール(オキシエチレン基の平
均付加モル数:10モル)、酸触媒として硫酸(比較例
1)またはパラトルエンスルホン酸(比較例2)、重合
禁止剤としてフェノチアジン、脱水溶剤としてシクロヘ
キサンを仕込み攪拌しながら加熱し、常圧下にシクロヘ
キサン−水共沸物を留出させ、反応生成水を水分離器で
除去しながらシクロヘキサンを還流させてエステル化反
応を行い、目的とするエステル化物を合成する方法が記
載されている。
【0006】しかしながら、上記公報に記載されている
ように適当な重合禁止剤を用いてもなお、エステル化反
応中にゲルが発生することがあり、こうした場合には、
当該ゲルをろ過する工程が別途必要となるため工業的に
大量生産を行う場合には、極めて不都合である。すなわ
ち、連続的に稼働させるのがができず、バッチ毎に運転
をとめて、反応装置内部に発生したゲルをろ過するため
に別の装置に移し代える必要があるほか、反応装置の内
壁などに付着したゲルについては、これを洗浄する必要
があり、余分な生産工数及び生産設備が必要な上、連続
的な生産に支障をきたすやっかいな存在であった。な
お、重合禁止剤を用いてもなお、ゲルの発生がある点に
ついては、上記公報にエステル化反応を酸触媒存在下で
行うと、原料のアルコキシポリアルキレングリコールの
エーテル開裂により両末端に水酸基を持つ(ポリ)アル
キレングリコールが副生し、これが(メタ)アクリル酸
とのエステル化反応で二官能のジ(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体が形成されることが記載されているが、
これに対する解決方法は何ら開示されていないのが現状
である。さらに、このジ(メタ)アクリル酸エステル系
単量体を含むエステル化物を重合した際に、架橋剤とし
て作用し分散性能の乏しい高分子量架橋ポリマーが生成
してしまうため、得られた重合体を適当な用途、例え
ば、セメント分散剤に用いる場合には、良好なセメント
分散性能を十分に発揮することができないという問題を
有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、酸触媒及び重合禁止剤の存在下、アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応中に、原料のアルコ
ール及び(メタ)アクリル酸、生成物のエステル化物ま
たはこれらの混合物の重合により形成されるゲルの発生
を抑え、高品質な生成物を得ることのできるのエステル
化物の製造方法を提供するものである。
【0008】本発明の他の目的は、酸触媒及び重合禁止
剤の存在下でのエステル化反応におけるゲルの形成を抑
制することにより、各用途に応じて優れた性能を発現す
ることができる重合体の単量体成分に使用されるエステ
ル化物の製造方法を提供するものである。
【0009】本発明の別の目的は、酸触媒及び重合禁止
剤の存在下でのエステル化反応におけるゲルの形成を抑
制することにより、ゲルろ過工程を必要とせず、工業的
にエステル化物を量産する上で、連続的な生産に適した
エステル化物の製造方法を提供するものである。
【0010】本発明のさらなる目的は、本発明の方法に
よって製造された不純物(ゲル)含量の少ない高品質な
エステル化物を用いた優れたセメント分散能を有するセ
メント分散剤用のポリカルボン酸系共重合体の製造方法
に関するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記課題を解決するために、エステル化物の製造方法に
つき、鋭意検討した結果、酸触媒を水和物および/また
は水溶液として用いた場合、該酸触媒中の酸分と水分と
を適当に調整することにより、重合禁止剤が極めて有効
に機能することができる条件があり、当該条件下では、
ゲルの発生を抑えることができることを知り、かかる知
見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
【0012】すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜
(6)に記載の方法により達成することができるもので
ある。
【0013】(1) 酸触媒および重合禁止剤の存在
下、下記式(1):
【0014】
【化5】
【0015】(ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、0〜3
00の数である)で示されるアルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応を行うエステル化物の製造方
法において、該酸触媒を水和物および/または水溶液の
かたちで用い、該酸触媒の使用量が、原料のアルコール
と(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触媒中の
酸の質量の比をX(質量%)とし、原料のアルコールと
(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触媒中の水
和物および/または水溶液として存在する水分の質量の
比をY(質量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足するものであることを特徴とするエステル
化物の製造方法。
【0016】(2) 前記酸触媒はパラトルエンスルホ
ン酸の水和物および/または水溶液である、上記(1)
に記載の方法。
【0017】(3) 前記重合禁止剤はフェノチアジ
ン、メトキノンおよびハイドロキノンよりなる群から選
ばれてなる少なくとも1種のものである、上記(1)ま
たは(2)に記載の方法。
【0018】(4) 前記式(1)において、nはオキ
シアルキレン基の平均付加モル数を表わし、2〜300
の数である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方
法。
【0019】(5) 酸触媒および重合禁止剤の存在
下、該酸触媒を水和物および/または水溶液のかたちで
用いかつその使用量が、原料のアルコキシポリアルキレ
ングリコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する
該酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料の
アルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリ
ル酸の合計質量に対する該酸触媒中の水和物および/ま
たは水溶液として存在する水分の質量の比をY(質量
%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足する条件下で、下記式(1):
【0020】
【化6】
【0021】(ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜3
00の数である)で示されるアルコキシポリアルキレン
グリコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応す
ることによってアルコキシポリアルキレングリコールモ
ノ(メタ)アクリル酸系単量体を得、該アルコキシポリ
アルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体
(a)5〜98質量%、下記式(2):
【0022】
【化7】
【0023】(ただし、R3は水素もしくはメチル基を
表わし、M1は水素、一価金属、二価金属、アンモニウ
ム基または有機アミン基を表わす)で示される(メタ)
アクリル酸系単量体(b)95〜2質量%、およびこれ
らの単量体と共重合可能な他の単量体(c)0〜50質
量%(但し、(a)、(b)および(c)の合計は10
0質量%)を共重合することを特徴とする、セメント分
散剤用ポリカルボン酸系共重合体の製造方法。
【0024】(6) 酸触媒および重合禁止剤の存在下
で、該酸触媒を水和物および/または水溶液のかたちで
用いかつその使用量が、原料のアルコキシポリアルキレ
ングリコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する
該酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料の
アルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリ
ル酸の合計質量に対する該酸触媒中の水和物および/ま
たは水溶液として存在する水分の質量の比をY(質量
%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足しかつp及びqが下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 を満足する条件下で、下記式(1):
【0025】
【化8】
【0026】(ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜3
00の数である)で示されるアルコキシポリアルキレン
グリコールp質量部と(メタ)アクリル酸q質量部とを
エステル化反応し、得られた反応混合物を共重合するこ
とを特徴とする、セメント分散剤用ポリカルボン酸系共
重合体の製造方法。
【0027】
【発明の実施の形態】第一の概念によると、本発明は、
酸触媒および重合禁止剤の存在下、下記式(1):
【0028】
【化9】
【0029】(ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、0〜3
00の数である)で示されるアルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応を行うエステル化物の製造方
法において、前記酸触媒を水和物および/または水溶液
のかたちで用い、該酸触媒の使用量が、原料のアルコー
ルと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触媒中
の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料のアルコール
と(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触媒中の
水和物および/または水溶液として存在する水分の質量
の比をY(質量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足するものであることを特徴とするエステル
化物の製造方法を提供するものである。これにより、各
種用途、例えば、セメント分散剤のほか、炭酸カルシウ
ム、カーボンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケ
ール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWM用分散
剤、増粘剤等に使用される重合体成分の原料となるエス
テル化物として極めて有用である。すなわち、こうした
使用用途に要求される基本性能である分散性能などに悪
影響を及ぼす原因となる分散性能の乏しい高分子量架橋
ポリマーを発生させるもとになるゲルの発生を極めて効
果的に抑えることができるものである。
【0030】以下に、本発明のエステル化物の製造方法
の好適な実施の形態について、説明する。すなわち、本
発明のエステル化物の製造方法は、上記の通りである
が、特に、本発明では、酸触媒と重合禁止剤の存在下、
脱水溶剤中で、式(1)で表されるアルコール(以下、
単に「アルコール」ともいう)と(メタ)アクリル酸と
のエステル化反応を行う際に、酸触媒を水和物および/
または水溶液のかたちで用い、該酸触媒の使用量が、原
料のアルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対す
る該酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料
のアルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する
該酸触媒中の水和物および/または水溶液として存在す
る水分の質量の比をY(質量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足するようにしてエステル化反応を行い(エ
ステル化工程)、当該エステル化反応が終了した後、酸
触媒または酸触媒の全部と(メタ)アクリル酸の一部を
中和し(部分中和工程)、その後、反応液から脱水溶剤
を水と共沸して留去し(溶剤留去工程)、目的とするエ
ステル化物を得ることが望ましい。
【0031】上記好適な実施の形態において、エステル
化工程の好ましい実施態様を、以下に説明する。
【0032】まず、反応系(反応槽)に、原料としての
式(1)のアルコール及び(メタ)アクリル酸、脱水溶
剤、酸触媒及び重合禁止剤を仕込み、これら混合物を所
定温度で所定のエステル化率になるまで、エステル化反
応を行う。ここで、酸触媒に関しては、酸触媒を水和物
および/または水溶液のかたちで用い、該酸触媒の使用
量が、原料のアルコールと(メタ)アクリル酸の合計質
量に対する該酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)と
し、原料のアルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量
に対する該酸触媒中の水和物および/または水溶液とし
て存在する水分の質量の比をY(質量%)とした場合
に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足するように仕込む。
【0033】本発明によるエステル反応に原料として使
用されるアルコールは、上記式(1)で示される化合物
である。
【0034】上記式(1)において、R1は、炭素原子
数1〜30の炭化水素基を表わす。R1が炭素原子数3
0を超える炭化水素基である場合には、式(1)のアル
コールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物を、例え
ば、(メタ)アクリル酸と共重合して得られる共重合体
の水溶性が低下し、用途性能、例えば、セメント分散性
能などが低下する。好適なR1の範囲はその使用用途に
より異なるものであり、例えば、エステル化物をセメン
ト分散剤の原料として用いる場合には、R1は、炭素原
子数1〜18の直鎖若しくは枝分かれ鎖のアルキル基お
よびアリール基が好ましい。R1としては、具体的に
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、2−エ
チルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル
基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、
ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノ
ナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシ
ル基などのアルキル基;フェニル基などのアリール基;
ベンジル基、ノニルフェニル基などのアルキルフェニル
基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;アルケ
ニル基;アルキニル基などが挙げられる。これらのう
ち、セメント分散剤の原料として用いる場合には、上述
したように、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、フェニル基が好ましいものである。
【0035】また、R2Oは、炭素原子数2〜18、好
ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であ
る。R2Oが炭素原子数18を超えるオキシアルキレン
基である場合には、式(1)のアルコールと(メタ)ア
クリル酸とのエステル化物を、例えば、(メタ)アクリ
ル酸と共重合して得られる共重合体の水溶性が低下し、
用途性能、例えば、セメント分散性能等が低下する。R
2Oとしては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロ
ピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基などが
挙げられ、これらのうち、オキシエチレン基、オキシプ
ロピレン基及びオキシブチレン基であることが好まし
い。また、R2Oの繰り返し単位は、同一であってもあ
るいは異なっていてもよい。このうち、R2Oの繰り返
し単位が異なる場合、すなわち、2種以上の異なる繰り
返し単位を有する場合には、各R2Oの繰り返し単位は
ブロック状に付加していてもあるいはランダム状に付加
していてもよい。
【0036】さらに、nは0〜300、好ましくは2〜
300の数であり、R2O(オキシアルキレン基)の繰
り返し単位の平均付加モル数を表わす。nが300を超
える場合には、式(1)の化合物と(メタ)アクリル酸
とのエステル化物の重合性が低下する。この平均付加モ
ル数nも、エステル化反応により得られるエステル化物
の使用目的に応じて、その最適範囲は異なるものであ
り、例えば、セメント分散剤の原料として使用する場合
には、平均付加モル数nは、好ましくは2〜300、よ
り好ましくは5〜200、最も好ましくは8〜150の
数である。また、増粘剤などとして用いる場合には、平
均付加モル数nは、好ましくは10〜250、より好ま
しくは50〜200の数である。また、n=0の場合に
は、水との溶解性および沸点の観点から、上記R1は炭
素原子数4以上の炭化水素基であることが好ましい。す
なわち、式(1)のn=0の場合、特にメタノールやエ
タノールなどのアルコールでは低沸点のため生成水とと
もに蒸発し、さらに生成水に溶解することから当該アル
コール原料の一部が系外に留去され、目的とするエステ
ル化物の収率が低下するためである。
【0037】上記式(1)で示されるアルコール原料
は、1種のものを単独で使用してもあるいは2種以上の
混合物の形態で使用してもよい。式(1)で示されるア
ルコール原料が2種以上の混合物での使用形態は、特に
制限されるものではなく、R1、R2Oまたはnの少なく
ともいずれか1つが異なる2種以上の混合物での使用形
態であればよいが、好ましくはR1がメチル基とブチ
ル基の2種で構成されている場合;R2Oがオキシエ
チレン基とオキシプロピレン基の2種で構成されている
場合;nが1〜10のものと11〜100のものの2
種で構成されている場合;およびこれら〜の形態を
適宜組み合わせたもの等が挙げられる。
【0038】本発明によるエステル反応に使用すること
のできる(メタ)アクリル酸に関しても、アクリル酸お
よびメタクリル酸を、それぞれ単独で使用しても、ある
いは混合して使用してもよく、その混合比率に関しても
任意の範囲を採用することができる。
【0039】本発明によるエステル化反応で使用される
上記原料の混合比率は、化学量論的には1:1(モル
比)であるが、実際には、アルコールと(メタ)アクリ
ル酸とのエステル化反応が効率良く進行する範囲であれ
ば特に制限されるものではないが、通常、一方の原料を
過剰に使用してエステル化反応を速めたり、目的のエス
テル化物の精製面からは、蒸留留去し易いより低沸点の
原料を過剰に使用する。また、本発明では、エステル化
反応を脱水溶剤中で行う際に当該エステル化反応時に反
応生成水と脱水溶剤を共沸する際に、低沸点の(メタ)
アクリル酸の一部も留出され、反応系外に持ち出される
ため、アルコールの使用量(仕込み量)に対して(メ
タ)アクリル酸の使用量(仕込み量)を化学量論的に算
出される量よりも過剰に加えることが好ましい。具体的
には、(メタ)アクリル酸の使用量は、通常、アルコー
ル1モルに対して、1.0〜30モル、好ましくは1.
2〜10モル、より好ましくは1.5〜10モル、最も
好ましくは2〜10モルである。(メタ)アクリル酸の
使用量がアルコール1モルに対して1.0モル未満であ
ると、エステル化反応が円滑に進行せず、目的とするエ
ステル化物の収率が不十分であり、逆に30モルを超え
ると、添加に見合う収率の向上が認められず、不経済で
あり、やはり好ましくない。
【0040】本発明において、酸触媒の存在下でエステ
ル化反応を行う際に、酸触媒を水和物および/または水
溶液の形態で用い、かつ該酸触媒の使用量が、原料のア
ルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸
触媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料のアル
コールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触
媒中の水和物および/または水溶液として存在する水分
の質量の比をY(質量%)とした場合に、下記式: 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足することを必須とする。すなわち、酸触媒
の存在下では、エステル化物の品質および性能の低下の
原因となる不純物のジエステルの生成原因の1つが、ア
ルコール原料の切断によるものであり、さらに当該切断
が酸触媒によっても起こり得るとの知見の基づき、当該
酸触媒の触媒機能を十分に保持したままで、アルコール
原料の切断する作用を低減させる条件として上記に規定
する要件を見出し、これによりエステル化反応時におけ
るゲルの形成を抑えることができ、極めて高品質のエス
テル化物を得ることができることを知得したものであ
る。さらに、各種用途、例えば、セメント分散剤のほ
か、炭酸カルシウム、カーボンブラック、インクなどの
顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散
剤、CWM用分散剤、増粘剤等に使用される重合体成分
の原料の単量体成分として、当該エステル化物は極めて
有用であることも知得したものである。
【0041】本発明のエステル化反応において使用する
ことのできる酸触媒としては、例えば、硫酸、メタンス
ルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホ
ン酸、「Nafion」レジン、「Amberlyst
15」レジン、リンタングステン酸、塩酸などを水和
物および/または水溶液の形態で用いるものが挙げられ
る。これらのうち、以下に詳述する脱水溶剤と水との共
沸温度及びエステル化反応温度などを考慮すると、酸触
媒は、常圧における沸点が高いものであることが好まし
い。具体的には、本発明に好ましく使用される酸触媒の
常圧における沸点は、150℃以上、より好ましくは2
00℃以上である。より具体的には、硫酸(常圧におけ
る沸点:317℃)、パラトルエンスルホン酸(沸点:
185〜187℃/13.3Pa(0.1mmHg))
及びメタンスルホン酸(沸点:167℃/1333.2
Pa(10mmHg))などを水和物および/または水
溶液のかたちで用いるものが好ましく使用される。これ
らの酸触媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以
上を混合して使用しても良い。さらに、本発明者らは、
上述したように、エステル化物の品質および性能の低下
の原因となる不純物のジエステルの生成原因の1つが、
アルコール原料の切断によるものであり、さらに当該切
断が酸触媒によっても起こり得ることを知得し、かかる
知見に基づき、当該切断のしにくい酸触媒がより望まし
いこと見出したものである。上記知見に基づくと、当該
酸触媒としては、具体的には、パラトルエンスルホン酸
を水和物および/または水溶液のかたちで用いることが
特に好ましい。
【0042】本発明において、酸触媒の使用量は、所望
の触媒作用を有効に発現することができる範囲であっ
て、さらに上述したように、アルコール原料の切断作用
を抑えることができるように、該酸触媒の使用量が、原
料のアルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対す
る該酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料
のアルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する
該酸触媒中の水和物および/または水溶液として存在す
る水分の質量の比をY(質量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足するようにすればよい。なお、誤解がない
ように具体例を挙げて説明すれば、例えば、パラトルエ
ンスルホン酸一水和物を例にとれば、原料の合計質量に
対するパラトルエンスルホン酸の質量の比がX(質量
%)であり、原料の合計質量に対する一水和物として存
在する水分の質量の比がY(質量%)であるのであっ
て、決して、酸触媒以外の酸成分(例えば、原料の(メ
タ)アクリル酸など)や水分(例えば、エステル化反応
により生ずる生成水など)は、ここでいうXおよびYの
対象物となりえない。
【0043】この際、酸触媒の使用量が上記式の関係を
満足しない場合には、以下のような問題が生じる。すな
わち、Y=0の場合には、酸触媒中に水和物および/
または水溶液として存在する水分が存在しないこととな
り、エステル化反応時に反応系内で形成されるゲルの量
が増加し、エステル化反応により得られるエステル化物
を用いて合成されるセメント分散剤等の用途性能、例え
ば、セメント分散能等が低下する。また、Y≧1.8
1X−1.62となる場合には、エステル化反応時に反
応系内で形成されるゲルの量が増加し、エステル化反応
により得られるエステル化物を用いて合成されるセメン
ト分散剤等の用途性能、例えば、セメント分散能等が低
下する。
【0044】また、本発明において、酸触媒の反応系へ
の添加のし方は、一括、連続、または順次行ってもよい
が、作業性の面からは、反応槽に、原料と共に一括で仕
込むのが好ましい。
【0045】また、本発明によるエステル化反応におい
ては、重合禁止剤の存在下で反応を行うものである。す
なわち、重合禁止剤を用いることにより、原料のアルコ
ール及び(メタ)アクリル酸、生成物のエステル化物ま
たはこれらの混合物の重合を防止することできる。上記
エステル化反応において使用できる重合禁止剤として
は、公知の重合禁止剤が使用できるものであり、特に制
限されるものではなく、例えば、フェノチアジン、トリ
−p−ニトロフェニルメチル、ジ−p−フルオロフェニ
ルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジル、N−(3−
N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)ア
ニリンオキシド、ベンゾキノン、ハイドロキノン、メト
キノン、ブチルカテコール、ニトロソベンゼン、ピクリ
ン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド、クペロン、塩化
銅(II)などが挙げられる。これらのうち、脱水溶剤や
生成水の溶解性の理由から、フェノチアジン、ハイドロ
キノン及びメトキノンが好ましく使用される。これらの
重合禁止剤は、単独で使用してもよいほか、2種以上を
混合して使用することもできる。
【0046】これらの重合禁止剤のうち、上述したよう
に、本発明によるように酸触媒を水和物および/または
水溶液の形で用いるので、フェノチアジンが、反応系内
に存在する水溶液中のゲル形成物質に対しても有効に機
能することができるほか、後述するように、エステル化
反応終了後に、脱水溶剤を水との共沸により留去する際
にも、弱いながらも重合活性のあるハイドロキノンやメ
トキノン等の水溶性重合禁止剤を用いなくても極めて有
効に重合禁止能を発揮することができ、高分子量体の形
成を効果的におさえることができる点から極めて有用で
ある。
【0047】本発明の方法によると、重合禁止剤の使用
量は、原料としてのアルコール及び(メタ)アクリル酸
の合計仕込量に対して、0.001〜1質量%、好まし
くは0.001〜0.1質量%の範囲内である。重合禁
止剤の使用量が0.001質量%未満であると、重合禁
止能の発現が十分でなく、原料としてのアルコール、
(メタ)アクリル酸、生成物としてのエステル化物また
はこれらの混合物の重合を有効に防止しにくくなるため
好ましくなく、重合禁止剤の使用量が1質量%を超える
と、生成物であるエステル化物中に残留する重合禁止剤
量が増えるため、品質及び性能面から好ましくなく、ま
た、過剰に添加することに見合うさらなる効果も得られ
ず、経済的な観点からも好ましくない。
【0048】本発明において、エステル化反応は、脱水
溶剤を用いずに無溶媒下で行ってもあるいは脱水溶剤の
存在下で行ってもよい。このうち、前者の場合には、生
成する反応生成水を除去するために反応液に空気、不活
性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸
化炭素)等の気体(好ましくは水蒸気を含まない気体)
を用いたバブリング処理などを行う必要がある。かかる
バブリング処理としては、例えば、反応槽内の下部に設
けたエアノズル等から連続して気体(バブル)を反応液
内に吹き出させ、反応液内を通過する過程で反応液内の
水分を気泡(バブル)内に取り込ませ、反応液中を通過
してきた水蒸気含有気体を反応槽から留出する(好まし
くは留出したガス状の留出物(水蒸気含有気体)に含ま
れる水蒸気を液化除去し、再び乾燥された気体を循環す
る)方法などが例示できるが、特にこれに限定されるも
のではなく、従来既知のバブリング処理方法を適宜選択
し必要に応じて組み合わせる等して利用することができ
る。したがって、バブリング処理で使用するエア流量
は、逐次生成される反応生成水を反応槽内に長持間滞留
することがないように、生成される反応生成水の生成
(速度)量に応じて、必要なエア流量を連続的に供給す
ればよい。また、該気体は、反応槽内の温度が変動しな
いように、反応液温と同じ温度に加温した気体を供給す
るのが好ましい。
【0049】本発明において、脱水溶剤を用いずに無溶
媒下でエステル化反応を行う場合には、上述したよう
に、反応生成水を除去するために反応液に空気等を用い
たバブリング処理を行うが、無溶媒では加熱源から直接
原料が加熱されるため、おそらくアルコールの切断が起
こってジエステルが生成し、これにより、セメント分散
能が低下してしまう可能性がある。このため、本発明で
は、エステル化反応を脱水溶剤を加えて行うことが好ま
しい。本明細書において、脱水溶剤とは、水と共沸する
溶剤として規定されるもの、すなわち、脱水溶剤を用い
ることにより、エステル化反応により生成する反応生成
水を効率よく共沸させることができるものを意味する。
脱水溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、シクロヘキサン、ジオキサン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、クロロベンゼン、イソプロピルエーテル
などが挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上の
ものを混合溶剤として使用することができる。これらの
うち水との共沸温度が150℃以下、より好ましくは6
0〜90℃の範囲であるものが好ましく、具体的には、
シクロヘキサン、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、イ
ソプロピルエーテル、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げら
れる。水との共沸温度が150℃を超える場合には、取
り扱いの面(反応時の反応系内の温度管理および共沸物
の凝縮液化処理などの制御等を含む)から好ましくな
い。
【0050】上記実施態様において、脱水溶剤は、反応
系外に反応生成水と共沸させ、反応生成水を凝縮液化し
て分離除去しながら還流させることが望ましく、この
際、脱水溶剤の使用量は、原料としてのアルコール及び
(メタ)アクリル酸の合計仕込量に対して、1〜100
質量%、好ましくは2〜50質量%の範囲内である。脱
水溶剤の使用量が1質量%未満であると、エステル化反
応中に生成する反応生成水を共沸により反応系外に十分
除去できず、エステル化の平衡反応が進行しにくくなる
ため、好ましくなく、脱水溶剤の使用量が100質量%
を超えると、過剰に添加することに見合う効果が得られ
ず、また、反応温度を一定に維持するために多くの熱量
が必要となり、経済的な観点から好ましくない。
【0051】また、本発明によるエステル化反応を脱水
溶剤中で行う際には、エステル化反応中の反応温度を3
0〜130℃、より望ましくは60〜130℃とし、か
つエステル化反応中の溶剤循環速度を0.5サイクル以
上/時間、より好ましくは1〜100サイクル以上/時
間とすることが望ましい。これにより、反応温度を不純
物形成温度領域(130℃超の領域)まで高くして反応
させる必要もなく、反応槽内で不純物が形成するのを抑
えることができる。また、溶剤循環速度を速めること
で、反応槽内に反応生成水を長期間滞留させることなく
効率よく反応槽から共沸により留出でき、平衡反応がエ
ステル化の方向に進むため、反応時間も短くできるもの
である。
【0052】本明細書において、エステル化反応中の溶
剤循環速度とは、次のように定義されるものをいう。す
なわち、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量(体積量)に
対して、エステル化反応中に、反応槽内の脱水溶剤を反
応槽から循環経路を通して再び反応槽に戻し循環させる
ことにより、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量に相当す
る量(体積量)が循環されたときを1サイクルと規定
し、エステル化反応中の溶剤循環速度は、単位時間(1
時間)あたりの当該サイクル数で表されるものとし、そ
の単位は「サイクル/時間」とする。したがって、例え
ば、5時間で、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量に対し
て、これに相当する量の15倍の量が循環されたときに
は、溶剤循環速度は3サイクル/時間となる。同様に、
2時間で、反応系に仕込んだ脱水溶剤の全量に対して、
これに相当する量の半分(0.5倍)の量が循環された
ときには、溶剤循環速度は0.25サイクル/時間とな
る。なお、ここで、反応系内の脱水溶剤を反応系から留
出し凝縮液化して反応系に戻し循環させる際に循環され
るもの(被循環対象物)には、脱水溶剤のほか、その実
施態様によっては、少量ではあるが、留出される低沸点
原料(主に、(メタ)アクリル酸原料)、およびこの留
出原料がゲルを形成して有害な不純物となるのを防止す
るために添加されるゲル化防止剤(重合禁止剤または該
重合禁止剤を含む溶剤等)などの各種添加剤が含まれる
こともあり得る。そのため、ゲル化防止剤等の添加剤を
使用する場合には、これにより溶剤循環速度がエステル
化反応が進むにつれて変動することを考慮して設定条件
を適当に調整するのが望ましい。
【0053】また、上記反応温度および溶剤循環速度
は、反応槽の加熱方法(手段)およびその装置を用いて
反応槽に加えられる温度(熱量)及び反応槽に仕込む原
料に対する脱水溶剤の使用量などによって所望の範囲に
調整することができる。なお、反応温度は、反応槽内で
の最大(MAX)温度である。すなわち、加熱手段とし
て用いられる装置(例えば、外部ジャケット、内部ヒー
タなど)の態様により、反応槽内の温度(反応温度)
は、その位置によりバラツクほか、エステル化反応が進
むにつれても上がり、時間の経過によっても変動する
が、反応温度が高くなることで、不純物の形成を招くた
め、位置的及び時間的な条件に関わらず、如何なる位置
及び時間であれ、上記に規定する上限温度を超えないこ
とが必要であることから、ここでは、最大温度をもって
規定することにしたものである。
【0054】さらに、エステル化反応中に、反応槽内の
脱水溶剤を反応槽から循環経路を通して再び反応槽に戻
し循環させる方法(手段)及びその装置(機構)に関し
ては、特に制限されるものではなく、従来既知の方法
(手段)および装置を適当に組み合わせて行うことがで
きる。例えば、後述する図1に示すように、ガス状の留
出物を凝縮液化する手段およびその装置である熱交換
器、冷却器、凝縮器(コンデンサ)等と、液化した留出
物を水相と溶剤相に2層化して各層毎に分離する手段お
よびその装置である液−液分離器等と、このうち水相
(反応生成水)を装置系外に除去する手段およびその装
置であるポンプ、他方の溶剤相の脱水溶剤を反応系に戻
すための圧送手段およびその装置であるポンプと、さら
に各装置間を連結する輸送手段およびその装置である配
管とによって主に構成されてなるものが例示できる。さ
らに、反応系を含めたこれらの手段および装置には、適
当な制御機構(温度、圧力、流量・流速、液面等を感知
する各種センサ部、該センサ部からの情報(電気的信
号)を処理し、動作部に指令(電気的信号)を与えコン
トロールを行う制御部本体、該制御部本体からの指令に
より必要な制御動作を行う動作部(例えば、温度調整手
段(ヒータ等)、圧力、流量等の調整バルブ、反応槽内
の液面等を一定にするレベルコントローラ等)が適宜設
けられているのが一般的である。また、上記した各手段
に用いることのできる装置に関しても、何ら限定される
ものではなく、上記に例示した装置に変えて、従来既知
の各種装置の中から適当に選択して利用することができ
ることは言うまでもない。また、上記に例示した手段に
変えて、反応系内の脱水溶剤を反応系から留出し凝縮液
化して反応系に戻し循環させるとする本発明の目的・概
念を逸脱しない限り、従来既知の他の手段及びその装置
との組み合わせ、あるいは他の手段及びその装置による
代替えなどによる方法を適宜採用することができること
もいうまでもない。さらにまた、上述したように、これ
らに付随的に、ゲル化防止剤等を作用させる手段および
その装置である滴下ないし噴霧ノズルを有する添加剤供
給機構や、反応後に反応系内の脱水溶剤を反応系から留
出し凝縮液化して系外に除去する手段およびその装置で
ある真空ポンプ等を加設することもできる。また、上記
溶剤循環速度を測定するための手段およびその装置(機
構)としては、上記に規定する溶剤循環速度の測定に適
した積算流量が計測可能な流量計測システムを構築し、
流量計測部(例えば、流量計)を、水相を分離除去した
後の溶剤相を反応系に戻す経路上に設けることが望まし
い。該流量計測部を、水相を分離除去するよりも前の経
路上に設けることも可能ではあるが、この場合、経路内
を流れる留出物には反応生成水も含まれている。このた
め、この中から循環される成分の流量を求めるには、共
沸温度等や留出物の流体状態(気液状態、温度等)から
留出物の成分組成を推論する必要があり、溶剤循環速度
を算出するのに、多くの計測データ等に基づいて原料の
違いなどにより異なる複雑な計算プログラムを作成する
必要があるなど実用化に困難を要するため、あまり得策
とは言えない。
【0055】本発明において、エステル化反応は、回分
または連続いずれによっても行ないうるが、回分式で行
うことが好ましい。
【0056】また、本発明によるエステル化反応におけ
る反応条件は、エステル化反応が円滑に進行する条件で
あればよく、反応温度は30〜140℃、好ましくは6
0〜130℃、さらに好ましくは90〜125℃、特に
好ましくは100〜120℃である。なお、上記反応温
度は、本発明の一般的なエステル化反応の条件であり、
脱水溶剤を反応系外に反応生成水と共沸させ、反応生成
水を凝縮液化して分離除去しながら還流させる場合は、
その1例であり、これらの範囲内に含まれるが、完全に
一致するものではない。反応温度が30℃未満では、エ
ステル化反応が進行しづらく、反応生成水の脱水(留
出)にも時間がかかり、また、脱水溶剤の還流が遅くて
脱水に時間がかかり、ゆえに、エステル化反応に要する
時間が長くなり好ましくない。逆に、反応温度が140
℃を超えると、アルコール原料の切断によって過大量の
ジエステルが生成してセメント分散性能のほか、各種用
途における分散性能や増粘特性が低下する。また、原料
の重合が生じたり、留出物への原料の混入量が増すな
ど、生成物であるエステル化物の性能及び品質の劣化が
生じるなど、やはり好ましくない。また、反応時間は、
後述するようにエステル化率が少なくとも70%、好ま
しくは少なくとも80%に達するまでであるが、通常、
1〜50時間、好ましくは3〜40時間である。さら
に、本発明によるエステル化反応は、常圧下または減圧
下いずれで行ってもよいが、設備面から、常圧下で行う
ことが望ましい。
【0057】本発明によるエステル化反応におけるエス
テル化率は、70%以上、より好ましくは70〜99
%、最も好ましくは80〜98%であることが好まし
い。エステル化率が70%未満であると、製造されるエ
ステル化物の収率が不十分であり、これを原料として得
られるセメント分散剤等の用途性能、例えば、セメント
分散能等が低下する。なお、本明細書において使用され
る「エステル化率」は、下記表に示すエステル化測定条
件で、エステル化の出発物質であるアルコールの減少量
を測定することにより、下記式によって算出される値と
して定義されるものである。
【0058】
【数1】
【0059】 ・エステル化率測定条件 解析装置; Waters製 Millennium クロマトグラフィーマネージャー 検出器; Waters製 410 RI検出器 使用カラム;GLサイエンス製 イナートシルODS−2 3本 カラム温度;40℃ 溶離液; 水 8946g アセトニトリル 6000g 酢酸 54g を混合して30質量%水酸化ナトリウム水溶液でpH4.0に 調整 流速; 0.6ml/min なお、上記の式によりエステル化率を決定しているた
め、エステル化率が100%を越えることはない。従っ
て、本発明においては、エステル化率が規定以上に達し
た時点でエステル化反応が終了したものとする。
【0060】なお、本発明の製造方法において、反応生
成水と共に留出されてくる低沸点の原料が、凝縮される
段階で起こる重合反応を抑え、反応槽からコンデンサへ
の立ち上がり管のフランジ部などで発生するゲルの形
成、即ち、コンデンサのチューブや反応槽とコンデンサ
との間の連結管のつまりを抑制する目的で、反応生成水
を反応系外に留出させ、この際に反応生成水を含む留出
物に対してゲル化防止剤を作用させることが望ましい。
該ゲル化防止剤としては、反応系内で同様の目的を持っ
て使用される重合禁止剤と何ら変わるものではなく、そ
こで説明したと同様に、特に制限されるものではなく、
従来既知の各種ゲル化防止剤の中から適宜選択して利用
することができるものであり、該ゲル化防止剤として
は、具体的には、フェノチアジン、トリ−p−ニトロフ
ェニルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミン、ジフ
ェニルピクリルヒドラジル、N−(3−N−オキシアニ
リノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシ
ド、ベンゾキノン、ハイドロキノン、メトキノン、ブチ
ルカテコール、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、ジチオ
ベンゾイルジスルフィド、クペロン、塩化銅(II)など
が挙げられる。これらのうち、脱水溶剤や生成水の溶解
性の理由から、フェノチアジン、ハイドロキノン、メト
キノンが好ましく使用される。これらのゲル化防止剤
は、単独で使用してもよいほか、2種以上を混合して使
用することもできる。
【0061】上記ゲル化防止剤の添加量としては、エス
テル化反応条件、特に反応系に加える熱量や反応系内に
仕込む脱水溶剤量等に応じて、低沸点原料の留出量に見
合う量、すなわち、共沸物の留出開始時からエステル化
反応終了まで逐次留出されてくる低沸点原料に対して常
にゲルの形成を効果的に防止することができる量を適宜
添加すればよく、原料であるアルコールおよび(メタ)
アクリル酸の仕込み量に対して0.1〜1000質量p
pm、好ましくは1〜500質量ppmの範囲で添加す
ることで上記目的を達成することができる。原料の仕込
み量に対して0.1質量ppm未満の場合には、ゲル状
物が生成する場合があり、共沸物の留出開始時からエス
テル化反応終了まで逐次留出されてくる低沸点原料に対
して、常に重合禁止能を有効に発現させる上で不十分な
量と言える。一方、原料仕込み量に対して1000質量
ppmを超える場合には、ゲル形成防止(重合禁止)能
を有効に発現させるには十分過ぎる量であり、過剰な添
加に見合う更なる効果の発現が見込めず不経済となる。
なお、添加量の全量を一時に加えたのでは、共沸物の留
出開始時からエステル化反応終了まで逐次留出されてく
る低沸点原料に対してゲルの形成を有効に阻止すること
ができにくいため、共沸物の留出に呼応するたかちで、
共沸物の留出開始時からエステル化反応終了まで逐次
(連続的に)一定量づつを添加し、最終的な添加量の総
計が上記範囲となるように調整することが望ましい。
【0062】上記ゲル化防止剤の作用のさせかた(作用
形態や作用させる領域など)としては、反応系外に留出
された低沸点原料(流体物)に対して有効に作用(接
触)させることができるものであれば、特に制限される
ものではないが、反応生成水を反応系外に留出する場合
に、取り扱いの面からはより低い温度で留出できるのが
望ましい。そのため、反応生成水と共沸する溶剤(以
下、単に脱水溶剤ともいう)を反応系に仕込んでおき、
反応時に脱水溶剤−反応生成水の共沸物(以下、単に溶
剤−水共沸物ともいう)のかたちで留出させる方法が一
般的である。このことから、低沸点の原料を含有する溶
剤−水共沸物に素早く作用する(すなわち、低沸点の原
料を含有する溶剤−水共沸物が凝縮(液化)した際に、
この液化物と速やかに接触し、ゲル化する低沸点の原料
が含有されている脱水溶剤に対して相溶ないし分散す
る)ことができるように、ゲル化防止剤を脱水溶剤と同
種の溶剤に溶解したものを添加するのが望ましい。
【0063】以下に、上記ゲル化防止剤の好適な作用方
法を、作用形態ごとに例を挙げて説明するが、本発明で
は、これらを適当に組み合わせることができるほか、従
来既知の他の作用方法を適宜利用することができる。な
お、下記に例示する作用方法は、当業者が本発明を容易
に理解することができるように代表的なものを例示的に
示したものであり、本発明がこれらに限定されるもので
はないことはいうまでもない。
【0064】1.液化(溶解)した状態で作用させる方
法;適当な溶剤、好ましくは反応系に仕込む脱水溶剤と
同種の溶剤にゲル化防止剤を溶かして液状にしたもの
を、反応生成水を含む留出物(好ましくは溶剤−水共沸
物)を凝縮させる領域、具体的には、反応生成水を含む
留出物の凝縮液化が行われる、コンデンサ内部に、好ま
しくはコンデンサの上部(とりわけ塔頂部)からその内
部に該留出物と並流接触するように滴下ないし噴霧する
ものである。また、コンデンサのタイプ等によっては、
ゲル化防止剤を含む溶液をコンデンサ内部に仕込んでお
いて、これにガス状の留出物を吹き込むあるいは液化し
た留出物を流し込むようにして接触(相溶ないし分散)
させるようにしてもよい。
【0065】2.固化した状態で作用させる方法;粉末
状のゲル化防止剤を、反応生成水を含む留出物を凝縮さ
せる領域、具体的には、反応生成水を含む留出物の凝縮
液化が行われる、コンデンサ内部に、好ましくはコンデ
ンサの上部(とりわけ塔頂部)からコンデンサー内部に
該留出物と並流接触するように投下ないし散布して降ら
せるものである。また、コンデンサのタイプなどによっ
ては、一定粒度のゲル化防止剤を予めコンデンサ内部に
積載ないし充填などして仕込んでおいて接触させるよう
にしてもよい。
【0066】3.気化した状態で作用させる方法;ゲル
化防止剤を気化(昇華したものを含む)させて、ガズ状
の反応生成水を含む留出物(低沸点原料を含む)を凝縮
液化させる前に、反応系(反応器)とコンデンサとを連
通する配管経路内に供給して混合させるものである。
【0067】なお、上記1.の液化、ここでは溶解した
状態でゲル化防止剤を作用させる場合に、上記ゲル化防
止剤を溶解することのできる溶剤としては、例えば、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、アセト
ン、メチルエチルケトン、n−ヘキサン、ヘプタン等が
挙げられるが、好ましくは上述したように、反応系に仕
込まれる脱水溶剤と同種のものを用いるのがよい。溶剤
を還流して戻す際に、異なる溶剤を用いた場合には、こ
れらを別途回収するか、あるいは還流して戻す場合に
は、混合溶剤の持つ熱伝達係数が、仕込み溶剤の熱伝達
係数となる場合、反応系に加える熱量等の調整を行い、
反応生成水の留出量(留出速度)が大きく変動しないよ
うにする必要があるなど、反応系の制御管理が複雑化す
ることがあるため、仕込み溶剤と同種のものを用いるの
がよいと言える。
【0068】上記ゲル化防止剤を溶剤(好ましくは脱水
溶剤)に溶解して作用させる場合にのゲル化防止剤と溶
剤との混合比率としては、ゲル状物の発生を抑制するこ
とができるように、コンデンサ内を通過する低沸点原料
(ガスないし液化物)に対して、常にゲル化防止剤が存
在し、有効に機能するように供給されればよく、特に制
限されるものではないが、ゲル化防止剤と溶剤との混合
比率は、通常、溶剤100質量部に対してゲル化防止剤
が0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質
量部の範囲となるような比率である。混合比率が、溶剤
100質量部に対してゲル化防止剤が0.001質量部
未満の場合には、使用するゲル化防止剤の添加量が上記
に規定するように仕込みの原料に対して一定量であるた
め、結果的に使用する溶剤の量(添加される全量)が大
きくなり、最初に仕込んだ脱水溶剤に対して逐次環流さ
れることで溶剤量が増大していくため、反応系に加える
熱量等の調整を行い、反応生成水の留出量(留出速度)
が大きく変動しないようにする必要があるなど、反応系
の制御管理が複雑化する必要が生じ、また、脱水溶剤と
異なる溶剤を用い、これを分離回収する場合には、その
回収コストが増大製造コストがかさむことになる。一
方、混合比率が、溶剤100質量部に対してゲル化防止
剤が10質量部を超える場合には、逆に使用する溶剤の
量(添加される全量)が少なくなるため、単位時間当た
りの添加量が制限され、低沸点原料との接触頻度が相対
的に低下し、未接触のまま液状化しゲル状物を形成する
のを効果的に抑制するのが困難になる。そのため、単位
時間当たりに必要な添加量を確保するには、仕込みの原
料に対して上記に規定する以上の大量のゲル化防止剤が
必要になり、製造コストが上昇する。
【0069】ここで、本発明に係るエステル化物の製造
方法を図1を参照しながら以下に説明する。
【0070】図1は、本発明に係るエステル化物の製造
方法に用いられる代表的な装置構成の概略図である。図
1より、本実施形態の装置構成では、まず、エステル化
反応を行うための加熱手段(例えば、内部ヒータ等の直
接加熱方式、外部ジャケット等の間接加熱方式)として
加圧スチーム等を熱媒体に使用する外部ジャケット102
を有する反応槽101が設けられいる。この際、反応槽の
内部の材料は、特に制限されるものではなく公知の材料
が使用できるが、例えば、SUS製、好ましくは耐蝕性
の面からSUS304、SUS316及びSUS316
L、より好ましくはSUS316及びSUS316Lが
挙げられる。または、反応槽の内部にグラスライニング
加工等が施され原料及び生成物に対して不活性なものと
してもよい。該反応槽101には、原料のアルコール用の
ステンレススチール(例えば、SUS316)製の原料
貯蔵タンク103および(メタ)アクリル酸用の原料貯蔵
タンク105、反応酸触媒用の触媒貯蔵タンク107、反応系
(反応槽101)内の重合を防止するための重合禁止剤を
貯蔵した重合禁止剤貯蔵タンク109およびエステル化反
応後に前記触媒を中和処理するための中和剤(中和剤水
溶液)を貯蔵したカーボンスチール(例えば、高炭素
鋼)製の中和剤貯蔵タンク111がそれぞれ配管113、11
5、117、119および121により連結されている。また、
(メタ)アクリル酸は、重合しやすく、例えば、メタク
リル酸では、長期の保存や熱等によっても重合するため
微量の重合禁止剤(0.1%ハイドロキノンなど)が加
えられるほか、結晶化しても重合しやすくなるので、原
料貯蔵タンク105内で保存する場合、ベンゼンを加え結
晶化を防ぐようにしてもよいほか、図1に示すように常
時30〜40℃に保温するべく、ポンプ116を用いた外
部ジャケット150(保温手段)を有する循環経路151が形
成されており、(メタ)アクリル酸原料を常に30〜4
0℃に保持し重合しないように循環させている。(メ
タ)アクリル酸用の原料貯蔵タンク105、配管115および
ポンプ116および循環経路151内部には、腐食性を有する
(メタ)アクリル酸による腐食防止目的で、合成樹脂等
の耐食性材料によるライニング加工が施されているもの
が使用される。同様に、触媒貯蔵タンク107およびその
配管117内部にも、酸触媒による腐食防止のため、合成
樹脂などの耐酸性材料によるライニング加工が施されて
いるものが使用される。また、上記反応槽101の下部に
は、エステル化反応により反応槽101内部に合成された
エステル化物(あるいは、セメント分散剤等では、該エ
ステル化物を単量体成分として該反応槽101でさらに重
合を行い得られた重合体)を回収するための配管153が
連結されている。さらに、上記反応槽101内には、反応
温度を計測するための温度センサ(図示せず)が適当な
部位(数カ所)に取り付けられている。該温度センサ
は、反応温度を規定の温度に保つのに必要な装置機構
(例えば、反応槽101に取り付けられたジャケット102の
温度)などを制御するための制御部本体(図示せず)に
電気的に接続されていてもよい。
【0071】さらに、本実施形態の装置構成では、反応
系内(反応槽101内)でエステル化反応時に生成される
反応生成水を含む留出物を留出し、ゲル状物の発生を防
止しながら凝縮液化した後に、該反応生成水を分離除去
し、残りの留出物を所定の溶剤循環速度で戻すための機
構(の装置構成)として、該反応生成水を脱水溶剤とと
もに共沸させた留出物にゲル化防止剤を作用させて凝縮
液化し、該凝縮液化した留出物から反応生成水(水相)
を分離除去し、残りの凝縮物(主に脱水溶剤を含む溶剤
相)を上記溶剤循環速度で還流させて反応槽101に戻す
循環系が形成されている。詳しくは、反応槽101上部と
向流(または並流)接触形式の縦型の多管式円管形コン
デンサ125の塔頂部とが配管123により連結されている。
またコンデンサ125の下底部とSUS製の水分離器127の
上部とが配管129により連結されている。該水分離器127
の内部には仕切板131が設けられており、該仕切板131で
区切られた2つの室133、134が形成されている。このう
ち、コンデンサ125で凝縮液化された留出物が貯められ
る側の室133の下部と反応生成水の処理タンク135とが配
管137により連結されている。また、該処理タンク135に
は廃水用の配管139が連結されている。また、水分離器1
27のもう一方の室134の下部と反応槽101とが配管141で
連結されている。また、この配管141には、反応槽101内
の反応生成水と共沸する脱水溶剤を貯蔵する脱水溶剤貯
蔵タンク143と連結された配管145が合流(連結)されて
いる。かかる合流点の手前(水分離器127側)の配管141
の経路上には循環ポンプ142が設置されている。また、
上記合流点の後方(反応槽101側)の配管141の経路上に
は流量計144が設けられている。そして、該流量計144に
は、計測される流量を積算し、溶剤循環速度を算出する
ための流量計測システム本体(図示せず)と電気的に接
続されている。さらに、コンデンサ125の塔頂部には噴
霧ノズル126が設けられており、この噴霧ノズル126は、
留出物のゲル化防止用のゲル化防止剤を貯蔵するゲル化
防止剤貯蔵タンク147と配管149により連結されている。
また、水分離器127には配管157を介してエステル化反応
後にエステル化物を単離するために脱水溶剤を留出し除
去するために真空ポンプ(エゼクタ)155が取り付けら
れている。
【0072】本発明において、コンデンサとしては、S
US304、SUS316及びSUS316L等のSU
S製や炭素鋼(CS)等、公知のものが使用できるが、
好ましくは、ゲルの発生をより軽減するために、内面を
鏡面仕上げやグラスライニング加工されたコンデンサを
使用できるが、加工やメンテナンスにかかるコストを考
慮すると、SUS304、SUS316及びSUS31
6L、好ましくはSUS316及びSUS316L等の
SUS製のコンデンサが好ましく使用でき、このような
コンデンサを用いた場合でも、ゲルの形成を有効に防止
できる。また、本発明において好ましく使用されるコン
デンサの伝熱面積は、反応槽の容積などによって異なる
が、例えば、反応槽30m3では、50〜500m2、好
ましくは100〜200m2である。本発明において、
コンデンサに使用される冷却媒体としては、水やオイル
などが挙げられる。
【0073】また、本発明に係るエステル化物の製造方
法では、以上の装置構成を有するエステル化物の製造装
置を用いて次のように行われる。
【0074】まず、反応槽101内部に、各原料貯蔵タン
ク103、105、触媒貯蔵タンク107、重合禁止剤貯蔵タン
ク109、脱水溶剤貯蔵タンク143より配管113、115、11
7、119および配管145を介した配管141を通じて原料のア
ルコールおよび(メタ)アクリル酸、酸触媒、重合禁止
剤および脱水溶剤をそれぞれ上記に規定する所定の量を
送り込み(仕込み)、上記に規定するエステル化条件
(反応温度、ジャケット温度、圧力)でエステル化反応
を行う。エステル化反応により逐次生成する反応生成水
は、反応槽101内に仕込まれた脱水溶剤と共沸され配管1
23を通じて留出されてくる。留出されてきたガス流体で
ある溶剤−水共沸物は、コンデンサ125に通され凝縮液
化される。この凝縮液化時に該共沸物に含まれる低沸点
原料がゲル化するのを防止する目的で、ゲル化防止剤貯
蔵タンク147より配管149を通じて該コンデンサ125の塔
頂部に設けられた噴霧ノズル126から上記に規定する量
のゲル化防止剤を連続的に滴下して、共沸物(ガス流体
物および凝縮液化物の双方をいう)と並流接触させる。
凝縮液化された共沸物(滴下されたゲル化防止剤を含
む)は、該コンデンサ125の下部より配管129を通じて水
分離器127の室133に貯められ、水相と溶剤相の2層に分
離される。このうち、下層部の反応生成水は、室133の
下部より配管137を通じて逐次抜かれ、反応生成水の処
理タンク135に貯められる。そして該処理タンク135内
で、必要に応じて、環境基準(廃水基準)値を満足する
ように化学的ないし生物学的に処理された後、配管139
を通じて、本装置系外に廃水される。一方、上層部の溶
剤相(滴下されたゲル化防止剤および低沸点原料を含
む)は、仕切板131をオーバーフローして隣の室134に貯
められる。そして、該溶剤相は該室134の下部よりポン
プ142により配管141を通じて上記に規定する溶媒循環速
度で還流され反応槽101に戻される。
【0075】なお、本発明において、ゲル化防止剤を供
給するゲル化防止剤貯蔵タンク設置部位は、ゲルが形成
されやすい部位が好ましいものの特に制限されないが、
例えば、図1における態様、即ち、ゲル化防止剤を噴霧
する噴霧ノズル126をコンデンサ125の塔頂部に設ける態
様に加えて、反応槽101とコンデンサ125との間の配管12
3上の少なくとも1箇所にゲル化防止剤を噴霧する噴霧
ノズルを設ける態様などが挙げられる。後者の態様にお
いて、配管123上にゲル化防止剤を噴霧する噴霧ノズル
を設ける部位としては、例えば、コンデンサ内部の凝縮
部、反応槽とベーパーの立ち上がりラインとの間の接合
部(フランジ部)やベーパーラインとコンデンサ塔頂部
との間のフランジ部等のフランジ部、反応槽等に設置さ
れた温度計やのぞき窓に設けられた突起部など、ゲルが
形成されやすい部位が挙げられ、これらのうち、コンデ
ンサ内部の凝縮部、反応槽とベーパーの立ち上がりライ
ンとの間のフランジ部やベーパーラインとコンデンサ塔
頂部との間のフランジ部が好ましい。
【0076】エステル化反応終了(エステル化率が規定
以上に達した時点で終了とする)後、中和剤貯蔵タンク
111より配管121を通じて反応槽101内に中和剤水溶液を
添加して、酸触媒を中和し、常圧下に脱水溶剤(および
過剰の(メタ)アクリル酸)を水との共沸で留出し、所
望のエステル化物を単離する。尚、脱水溶剤および過剰
の(メタ)アクリル酸を留出する場合には、上述した、
反応系内(反応槽101内)でエステル化反応時に生成さ
れる反応生成水を含む留出物を留出し、ゲル状物を発生
を防止しながら凝縮液化した後に、該反応生成水を分離
除去し、残りの留出物を還流させるための機構(の装置
構成)の一部を使って行うことができる。なお、この場
合には、脱水溶剤(引き続き、重合せずに単離する場合
には過剰の(メタ)アクリル酸を含む)を還流すること
なく装置系外に除去する必要上、水分離器127に取り付
けられた真空ポンプ(エゼクタ)155を用いて装置系外
に取り出される。なお、これらは廃棄処理されるか、あ
るいは系外の装置を用いて化学処理し再利用してもよ
い。一方、得られたエステル化物は配管153より回収さ
れる。なお、セメント分散剤等の合成に用いる場合に
は、得られたエステル化物を単量体成分の1つとして該
反応槽101でさらに重合を行い、セメント分散剤の主要
組成成分となり得る重合体を合成するようにしてもよ
い。この場合には、過剰に加えられ残っている未反応の
(メタ)アクリル酸をもう一方の単量体成分として分離
・除去せずにそのまま使用することが好ましい。
【0077】以上が、本発明のエステル化物の製造方法
の一実施態様を図1を用いて説明したものであるが、本
発明に係るエステル化物の製造方法は、当該実施態様に
限定されるものではなく、酸触媒を水和物および/また
は水溶液のかたちで用いかつ酸触媒の使用量を、原料の
アルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該
酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料のア
ルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸
触媒中の水和物および/または水溶液として存在する水
分の質量の比をY(質量%)とした場合に、0<Y<
1.81X−1.62の関係を満足するように設定する
ものであれば、その製法(手段)、装置構成などに関し
ては何ら制限されるものではなく、従来既知の製法、装
置構成などを適宜組み合わせて利用することができる。
【0078】以上において、本発明によるエステル化工
程について詳述したが、上記エステル化反応終了後、下
記に詳述する酸触媒または酸触媒の全部と(メタ)アク
リル酸の一部を中和し(部分中和工程)、その後、下記
に詳述する反応液から脱水溶剤を水と共沸して留去し
(溶剤留去工程)、目的とするエステル化物を得ること
が望ましい。
【0079】以下に、本発明による部分中和工程を説明
する。本発明では、酸触媒の存在下でエステル反応が行
われるので、上記エステル化工程後に以下に説明する部
分中和工程を行うのが望ましい。すなわち、本発明者ら
は、エステル化反応後に脱水溶剤を留去する工程で水を
加えて共沸する場合、あるいはエステル化物を用いてさ
らに重合を行うために、エステル反応後に調整水を加え
て生成されたエステル化物水溶液を作製する場合に、酸
触媒による加水分解が生じ、エステル化物の品質及び性
能の低下を招くほか、加水分解により生じたもの(以
下、単に加水分解生成物ともいう)がエステル化物中に
残留し、当該エステル化物を用いてセメント分散剤等の
各種分散剤や増粘剤等に使用される重合体を合成する場
合には、該加水分解生成物は、重合には関与しない不純
物となり、重合率(ひいては生産性)が低下し、また重
合体の品質や性能の劣化にもつながることから、かかる
課題を解決するには、上記エステル化工程によるエステ
ル化反応終了後、90℃以下で酸触媒をアルカリで中和
することが望ましいことを見出したものである。これに
より、エステル化反応後の処理過程で、加水分解生成物
を生じることもなく、高純度で高品質のエステル化物を
得ることができる。
【0080】また、本発明による溶剤留去工程を以下に
説明する。すなわち、上記エステル化反応を脱水溶媒中
で行う際には、上記エステル化工程によりエステル化反
応を行った後、好ましくは上記部分中和工程により酸触
媒、さらには(メタ)アクリル酸の一部を中和した後
に、反応液から脱水溶剤を留去する溶剤留去工程を行う
のが望ましい。
【0081】溶剤留去工程の好適な実施の形態につき、
以下に説明する。
【0082】本発明者らは、エステル化反応終了後(必
要に応じて、部分中和処理を行い)、当該溶剤留去工程
において、反応液から脱水溶剤を留去する際に、原料の
アルコールと(メタ)アクリル酸の全使用量に対して1
000質量ppm以下、好ましくは500質量ppm以
下、より好ましくは300質量ppm以下の水溶性重合
禁止剤を反応液に添加して、特に好ましくは添加せずに
行うことにより、本来的には重合を禁止する目的で添加
されていた水溶性重合禁止剤を加えることで、この重合
禁止剤が弱いながらも重合活性を有するために、意外に
も、未反応の原料、生成物であるエステル化物またはこ
れらの混合物の重合を招き、高分子量体を形成していた
ことを見出すとともに、エステル化反応時に添加されて
いた重合禁止剤が、当該脱水溶剤の留去時にも有効に機
能することを見出し、これら水溶性重合禁止剤を全く使
用しなくとも高分子量体の発生を防止し得ることを見出
したものである。したがって、水溶性重合禁止剤の使用
量が、原料のアルコールと(メタ)アクリル酸の全使用
量に対して1000質量ppmを超える場合には、該水
溶性重合禁止剤のもつ重合活性により、上記したような
高分子量体の発生を招き、これらを含むエステル化物を
単量体成分として利用する場合には、得られる重合体を
用いたセメント分散剤等に影響を及ぼすため好ましくな
い。
【0083】本溶剤留去工程では、重合禁止剤の存在下
にエステル化反応を行っているが、当該重合禁止剤が上
述したようにエステル化反応後(さらには部分中和処理
後)においても有効に機能するものである場合には、本
溶剤留去工程において、系内の溶液中に、新たに重合禁
止剤を補充する必要はないが、濃度の薄いアルカリ水溶
液を用いて部分中和処理を行っている場合には、反応液
中に比較的多くの水が存在している。そのため、例え
ば、エステル化反応を行う際に使用した重合禁止剤が水
に難溶ないし不溶であり、エステル化反応後(さらには
部分中和処理後)においてさほど有効に機能しえない場
合に限り、未反応の原料やエステル化物が水に溶けて重
合することがあるため、これを防止する観点から、水溶
性重合禁止剤のもつ重合活性による重合作用と本来的に
有する重合禁止能との関係から、重合活性以上に有効に
重合禁止能を発現し得る範囲(上記に規定する範囲)に
おいて、反応液に水溶性重合禁止剤を加えてから下記に
規定する温度まで昇温し、脱水溶剤を水との共沸により
留去することが望ましいものである。
【0084】ここで、使用することのできる水溶性重合
禁止剤としては、特に制限されるものではなく、例え
ば、ハイドロキノン、メトキノン、カテコール及びこれ
らの誘導体(例えば、p−t−ブチルカテコール等)、
ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。な
かでも、比較的重合活性が低いとの理由から、ハイドロ
キノン、メトキノンが好ましい。また、これらの水溶性
重合禁止剤は、1種若しくは2種以上を混合して使用し
てもよい。
【0085】第二の概念によると、本発明は、酸触媒お
よび重合禁止剤の存在下、該酸触媒を水和物および/ま
たは水溶液のかたちで用いかつその使用量が、原料のア
ルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル
酸の合計質量に対する該酸触媒中の酸の質量の比をX
(質量%)とし、原料のアルコキシポリアルキレングリ
コールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触
媒中の水和物および/または水溶液として存在する水分
の質量の比をY(質量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足する条件下で、下記式(1):
【0086】
【化10】
【0087】(ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜3
00の数である)で示されるアルコキシポリアルキレン
グリコール(本明細書では、単に「アルコキシポリアル
キレングリコール」とも称する)と(メタ)アクリル酸
とをエステル化反応することによってアルコキシポリア
ルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体を
得、該アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メ
タ)アクリル酸系単量体(a)5〜98質量%、下記式
(2):
【0088】
【化11】
【0089】(ただし、R3は水素もしくはメチル基を
表わし、M1は水素、一価金属、二価金属、アンモニウ
ム基または有機アミン基を表わす)で示される(メタ)
アクリル酸系単量体(b)95〜2質量%、およびこれ
らの単量体と共重合可能な他の単量体(c)0〜50質
量%(但し、(a)、(b)および(c)の合計は10
0質量%)を共重合することを特徴とする、セメント分
散剤用ポリカルボン酸系共重合体(本明細書では、単に
「共重合体」または「重合体」と称する)の製造方法を
提供するものである。
【0090】上記概念において、アルコキシポリアルキ
レングリコールは、nが0を含まない以外は上記第一の
概念におけるアルコールと同様に定義される。また、
(メタ)アクリル酸やエステル化反応など、上記第一の
概念において同様に使われている用語に関しては同様の
意味を有する。
【0091】上記第二の概念におけるポリカルボン酸系
共重合体(その塩を含む;以下、同様)の製造方法は、
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アク
リル酸系単量体を単量体成分として、重合反応を行うこ
とにより、所期の用途に応じた、本発明の重合体を得る
ことができるものであれば、特に制限されるものではな
く、所期の用途に応じて重合されてなるものが含まれる
と解されるべきである。例えば、特公昭59−1833
8号公報、特開平9−86990号公報や特開平9−2
86645号公報に記載の方法などの公知の方法と同様
にして、(メタ)アクリル酸(塩)、および必要により
これらの単量体と共重合可能な単量体と共に重合反応に
供されることによって、セメント分散能に優れたセメン
ト分散剤とすることができるが、これらに限定されるも
のではなく、本発明の重合体の詳細な説明において例示
したそれぞれの公報に記載の重合方法が適用できること
はもちろんのこと、これら以外にも従来既知の各種重合
方法を適用できることはいうまでもない。また、上記方
法のほか、炭酸カルシウム、カーボンブラック、インク
などの顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー
用分散剤、CWM用分散剤、増粘剤等への利用が可能で
ある。
【0092】より具体的には、例えば、本発明のポリカ
ルボン酸系共重合体の製造方法では、アルコキシポリア
ルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体
を、(メタ)アクリル酸(塩)単量体および必要により
これらの単量体と共重合可能な単量体とともに重合反応
する。
【0093】ここで、所望のポリカルボン酸系共重合体
を得るには、重合開始剤を用いてアルコキシポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体成分等
を共重合させれば良い。共重合は、溶媒中での重合や塊
状重合等の方法により行なうことができる。
【0094】溶媒中での重合は、回分式でも連続式でも
行なうことができ、その際使用される溶媒としては、
水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香
族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化
合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合
物;等が挙げられる。原料のエステル化物の単量体成分
および得られる共重合体の溶解性ならびに該共重合体の
使用時の便からは、水および炭素原子数1〜4の低級ア
ルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用い
ることが好ましい。その場合、炭素原子数1〜4の低級
アルコールの中でもメチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール等が特に有効である。
【0095】水媒体中で重合を行なう時は、重合開始剤
としてアンモニウムまたはアルカリ金属の過硫酸塩ある
いは過酸化水素等の水溶性の重合開始剤が使用される。
この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩等の促進剤を
併用することもできる。また、低級アルコール、芳香族
炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物あるいはケ
トン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキ
シドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメ
ンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;ア
ゾビスイソブチロニトリル等の芳香族アゾ化合物等が重
合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促
進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコ
ール混合溶剤を用いる場合には、上記の種々の重合開始
剤あるいは重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から
適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる
溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜1
20℃の範囲内で行なわれる。
【0096】塊状重合は、重合開始剤としてベンゾイル
パーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシ
ド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキ
シド;アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合
物等を用い、50〜200℃の温度範囲内で行なわれ
る。
【0097】また、得られる重合体の分子量調節のため
に、チオール系連鎖移動剤を併用することもできる。こ
の際に用いられるチオール系連鎖移動剤は、一般式HS
−R 5−Eg(ただし、式中R5は炭素原子数1〜2のア
ルキル基を表わし、Eは−OH、−COOM2、−CO
OR6または−SO32基を表わし、M2は水素、一価金
属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン基を表
わし、R6は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わ
し、gは1〜2の整数を表わす。)で表わされ、例え
ば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグ
リコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカ
プトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オ
クチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げ
られ、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。
【0098】このようにして得られた重合体は、そのま
までもセメント分散剤等の各種用途の主成分として用い
られるが、必要に応じて、さらにアルカリ性物質で中和
して得られる重合体塩をセメント分散剤等の各種用途の
主成分として用いても良い。このようなアルカリ性物質
としては、一価金属および二価金属の水酸化物、塩化物
および炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等が
好ましいものとして挙げられる。
【0099】本発明の重合体の製造方法において、使用
することのできるアルコキシポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリル酸系単量体成分は、1種単独で用
いても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。特
に、2種以上を混合して使用する場合には、使用用途に
応じた特性(機能・性能等)を発現させることができる
ように、発現特性の異なる種類を適当に組み合わせて用
いることが望ましく、以下の2種の組み合わせが有利で
ある。
【0100】すなわち、アルコキシポリアルキレングリ
コールモノ(メタ)アクリル酸系単量体において、式
(1)における平均付加モル数nが1〜97、好ましく
は1〜10の整数である第1のエステル化物(a1
と、式(1)における平均付加モル数nが4〜100、
好ましくは11〜100の整数である第2のエステル化
物(a2)との混合物(ただし、第2のエステル化物
(a2)の平均付加モル数の方が第1のエステル化物
(a1)の平均付加モル数よりも3以上大きいものとす
る)の組み合わせが有利である。
【0101】このような第1のエステル化物(a1)と
第2のエステル化物(a2)との混合物を製造する方法
は、当該エステル化物の製造方法で説明した通りであ
り、これらの第1および第2のエステル化物(a1)お
よび(a2)を別々にエステル化反応により製造しても
よいし、それぞれ相当するアルコールの混合物と、(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応により製造してもよ
く、特に後者の方法は工業的に安価の製造方法を提供で
きる。
【0102】この場合、第1のエステル化物(a1)と
第2のエステル化物(a2)との質量比は5:95〜9
5:5、好ましくは10:90〜90:10である。
【0103】第1のエステル化物(a1)としては、例
えば、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)ブチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シ(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プロピ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコー
ル(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。第1
のエステル化物(a1)は、その側鎖の短鎖アルコール
に疎水性を有することが重要である。
【0104】また、共重合のし易さの面からは、側鎖は
エチレングリコール単位が多く含まれているのが好まし
い。したがって、(a1)としては、平均付加モル数が
1〜97、好ましくは1〜10の(アルコキシ)(ポ
リ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好
ましい。
【0105】第2のエステル化物(a2)としては、例
えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、メトキシポリエチレングリコール(ポリ)
プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メト
キシポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレング
リコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレング
リコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、エトキシポリエチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレートなどが例示される。
【0106】高い減水性を得るためには、第2のエステ
ル化物(a2)の平均付加モル数が4〜100のアルコ
ール鎖による立体反発と親水性でセメント粒子を分散さ
せることが重要である。そのためには、ポリアルキレン
グリコール鎖にはオキシエチレン基が多く導入されるこ
とが好ましく、ポリエチレングリコール鎖が最も好まし
い。よって、第2のエステル化物(a2)のアルキレン
グリコール鎖の平均付加モル数nは、4〜100、好ま
しくは11〜100である。
【0107】本発明の重合体の製造方法において、使用
することのできる、上記(メタ)アクリル酸(塩)単量
体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸ならびにこ
れらの酸の一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩お
よび有機アミン塩を挙げることができ、これらの1種ま
たは2種以上を用いることができる。
【0108】本発明の重合体の製造方法において、使用
することのできるエステル化物単量体および(メタ)ア
クリル酸(塩)単量体の単量体成分と共重合可能な単量
体の例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン
酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;これ
らのジカルボン酸類とHO(R11O)r12(ただし、
11Oは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基の1種
または2種以上の混合物を表わし、2種以上の場合はブ
ロック状に付加していてもランダム状に付加していても
よく、rはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり
1から100の整数を表わし、R12は水素または炭素原
子数1〜22、好ましくは1〜15のアルキル基を表わ
す。)で表わされるアルコールとのモノエステルあるい
はジエステル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)ア
クリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニル
スルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スルホエチル
(メタ)アクリレート、2−メチルプロパンスルホン酸
(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽
和スルホン酸類およびそれらの一価金属塩、二価金属
塩、アルモニウム塩、有機アミン塩類;スチレン、α−
メチルスチレン等の芳香族ビニル類;炭素原子数1〜1
8、好ましくは1〜15の脂肪族アルコールあるいはベ
ンジルアルコール等のフェニル基含有アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル類;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられ、これら
の1種または2種以上を用いることができる。
【0109】このようにして得られた共重合体を主成分
とする本発明のセメント分散剤では、良好なセメント分
散性能及びスランプ保持性能を発揮することができる。
【0110】また、本発明のセメント分散剤には、上記
に規定する重合体成分の他に、従来公知のナフタレン系
セメント分散剤、アミノスルホン酸系セメント分散剤、
ポリカルボン酸系セメント分散剤およびリグニン系セメ
ント分散剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種のセ
メント分散剤を配合してもよい。すなわち、本発明のセ
メント分散剤では、上記重合体単独で使用しても良い
し、必要に応じて、さらに付加価値を持たせるべく、上
記および下記に示す各種成分を配合することができるも
のであり、これらの配合組成については、目的とする付
加的機能の有無により大きく異なるものであり、上記重
合体成分を100質量%(全量)ないし主成分とするも
のから、上記重合体成分を高付加価値成分として、従来
のセメント分散剤に適量加える態様まで様々であり、一
義的に規定することはできない。しかしながら、本発明
のセメント分散剤におけるポリカルボン酸系共重合体の
配合量は、全成分に対して、通常、5〜100質量%、
好ましくは50〜100質量%である。
【0111】また、本発明のセメント分散剤には、従来
公知のセメント分散剤の他に、空気連行剤、セメント湿
潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶性高分子
物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、
硬化促進剤、消泡剤等を配合することができる。
【0112】このようにして得られる重合体を主成分と
するセメント分散剤は、少なくともセメントおよび水よ
りなるセメント組成物に配合することによりセメントの
分散を促進する。
【0113】本発明のセメント分散剤は、ポルトランド
セメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメン
ト、各種混合セメント等の水硬セメント、あるいは、石
膏などのセメント以外の水硬材料などに用いることがで
きる。
【0114】本発明のセメント分散剤は、上記に記載の
作用効果を奏するため、従来のセメント分散剤に比較し
て少量の添加でも優れた効果を発揮する。たとえば水硬
セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する
場合には、セメント質量の0.001〜5%、好ましく
は0.01〜1%となる比率の量を練り混ぜの際に添加
すればよい。この添加により高減水率の達成、スランプ
ロス防止性能の向上、単位水量の低減、強度の増大、耐
久性の向上などの各種の好ましい諸効果がもたらされ
る。添加量が0.001%未満では性能的に不十分であ
り、逆に5%を越える多量を使用しても、その効果は実
質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
【0115】本発明のセメント分散剤は、特定の重量平
均分子量を有し、かつ重量平均分子量からピークトップ
分子量を差し引いた値が特定の値を有する重合体を主成
分とするセメント分散剤であることが望ましい。この
際、本発明によるポリカルボン酸系共重合体の重量平均
分子量は、所期の用途に応じて適宜最適な範囲に決定さ
れるものであり、例えば、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーによるポリエチレングリコール換算で50
0〜500000、特に5000〜300000の範囲
とすることが好ましい。また、重合体の重量平均分子量
からピークトップ分子量を差し引いた値は、0〜800
0であることが必要であり、好ましくは0〜7000で
ある。重量平均分子量が500未満では、セメント分散
剤の減水性能が低下するために好ましくない。一方、5
00000を越える分子量では、セメント分散剤の減水
性能、スランプロス防止能が低下するために好ましくな
い。また、重量平均分子量からピークトップ分子量を差
し引いた値が8000を越える場合には、得られたセメ
ント分散剤のスランプ保持性能が低下するために好まし
くない。
【0116】第三の概念によると、本発明は、酸触媒お
よび重合禁止剤の存在下で、該酸触媒を水和物および/
または水溶液のかたちで用いかつその使用量が、原料の
アルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリ
ル酸の合計質量に対する該酸触媒中の酸の質量の比をX
(質量%)とし、原料のアルコキシポリアルキレングリ
コールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触
媒中の水和物および/または水溶液として存在する水分
の質量の比をY(質量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足しかつp及びqが下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 を満足する条件下で、下記式(1):
【0117】
【化12】
【0118】(ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜3
00の数である)で示されるアルコキシポリアルキレン
グリコールp質量部と(メタ)アクリル酸q質量部とを
エステル化反応し、得られた反応混合物を共重合するこ
とを特徴とする、セメント分散剤用ポリカルボン酸系共
重合体の製造方法を提供するものである。
【0119】上記概念において、アルコキシポリアルキ
レングリコール及び(メタ)アクリル酸の使用量に関す
る定義を除くと、アルコキシポリアルキレングリコー
ル、(メタ)アクリル酸やエステル化反応など、上記第
一及び第二の概念において同様に使われている用語に関
しては同様の意味を有する。
【0120】上記第三の概念は、(メタ)アクリル酸を
アルコキシポリアルキレングリコールに比べて過剰に存
在させてエステル化反応を行なうと、得られたアルコキ
シポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系
単量体は(メタ)アクリル酸を含む混合物の形態で存在
するので、この混合物を単離せずにそのままあるいは必
要により(メタ)アクリル酸(塩)単量体やこれらの単
量体と共重合可能な単量体を加えて、好ましくは混合物
を単離せずにそのまま共重合反応に供することにより、
ポリカルボン酸系共重合体が製造できるということを特
徴とするものである。すなわち、第三の概念によるポリ
カルボン酸系共重合体の製造では、アルコキシポリアル
キレングリコールモノ(メタ)アクリル酸を単離すると
いう工程を省略することができるため、量産に適してお
り、産業上の観点から好ましい。
【0121】上記概念において、アルコキシポリアルキ
レングリコールの使用量であるp質量部と(メタ)アク
リル酸の使用量であるq質量部は、下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 (ただし、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を
表わし、1〜300の数である)の関係を満足すること
を必須とする。本明細書においては、式:[(p/n
1/2)/q]×100の値を「K値」とも称し、K値
は、カルボン酸の質量当たりのポリアルキレングリコー
ル鎖の平均数を表わす尺度である。本発明において、K
値は、好ましくは42〜190(42≦K値≦19
0)、より好ましくは45〜160(45≦K値≦16
0)である、この際、K値が40未満であると、得られ
るセメント分散剤のセメント分散性能が十分でない。逆
に、K値が200を超えると、得られるセメント分散剤
のセメント分散性能がやはり低下する上、エステル化反
応時間が著しく増大し、生産性が大幅に低下するので好
ましくない。
【0122】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、例中、特にことわりのない限り、
「%」は「質量%」を、また、「部」は「質量部」を表
わすものとする。
【0123】実施例1 温度計、攪拌機、生成水分離器および還流冷却管(コン
デンサ)を備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内
容量:30リットル)にメトキシポリ(n=25)エチ
レングリコール16500部、メタクリル酸4740
部、パラトルエンスルホン酸水和物470部、フェノチ
アジン5部およびシクロヘキサン1060部を仕込み、
反応温度115℃でエステル化反応を行った。反応中に
ゲルの生成は目視によっては認められなかった。
【0124】実施例2 実施例1のパラトルエンスルホン酸水和物470部を9
40部とした以外は、実施例1と同様にしてエステル化
反応を行った。反応中にゲルの生成は目視によっては認
められなかった。
【0125】実施例3 実施例1のパラトルエンスルホン酸水和物470部に代
えて60%のパラトルエンスルホン酸水溶液707部を
用いた以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応を
行った。反応中にゲルの生成は目視によっては認められ
なかった。
【0126】実施例4 実施例1のパラトルエンスルホン酸水和物470部に代
えて70%のパラトルエンスルホン酸水溶液454部を
用いた以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応を
行った。反応中にゲルの生成は目視によっては認められ
なかった。
【0127】実施例5 実施例1のパラトルエンスルホン酸水和物470部に代
えて70%のパラトルエンスルホン酸水溶液606部を
用いた以外は、実施例1と同様にしてエステル化反応を
行った。反応中にゲルの生成は目視によっては認められ
なかった。
【0128】実施例6 実施例1において、温度計、攪拌機、生成水分離器およ
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付SUS316製反応容器(内容量:30
3)を反応容器として使用する以外は、実施例1と同
様にしてエステル化反応を行ったところ、反応中にゲル
の生成は目視によっては認められなかった。
【0129】実施例7 実施例1において、温度計、攪拌機、生成水分離器およ
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付グラスライニング反応容器(内容量:30m
3)を反応容器として使用する以外は、実施例1と同様
にしてエステル化反応を行ったところ、反応中にゲルの
生成は目視によっては認められなかった。
【0130】比較例1 実施例1において、パラトルエンスルホン酸水和物47
0部を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてエス
テル化反応を行った。反応中に多量のゲルが生成してい
ることが目視により確認された。
【0131】比較例2 実施例1において、パラトルエンスルホン酸水和物47
0部の使用量を223部とした以外は、実施例1と同様
にしてエステル化反応を行った。反応中に少量のゲルが
生成していることが目視により確認された。 比較例3 実施例1において、パラトルエンスルホン酸水和物47
0部に代えて50%のパラトルエンスルホン酸水溶液8
48部を用いた以外は、実施例1と同様にしてエステル
化反応を行った。反応中に少量のゲルが生成しているこ
とが目視により確認された。
【0132】上記実施例1〜5及び比較例1〜3につ
き、エステル化反応での反応組成、酸触媒水和物あるい
は水溶液の酸量X質量%と水分量Y質量%および本発明
に規定する1.81X−1.62の値、反応温度、およ
び反応中のゲル生成の有無につき下記表1に示す。ま
た、図2には、Y=1.81X−1.62とY=0の関
係式を示すと共に、実施例1〜5及び比較例1〜3にお
ける(X,Y)座標をプロットしてなるX−Yの相間図
を示した。
【0133】
【表1】
【0134】表1及び図2から、酸触媒の使用量を本発
明に規定する範囲である0<Y<1.81X−1.62
の範囲を逸脱すると、不純物たるゲルが発生することが
示される。
【0135】実施例8 温度計、攪拌機、生成水分離器および還流冷却管(コン
デンサ)を備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内
容量:30リットル)にメトキシポリ(n=25)エチ
レングリコール16500部、メタクリル酸4740
部、パラトルエンスルホン酸水和物470部、フェノチ
アジン5部およびシクロヘキサン1060部を仕込み、
エステル化反応中、生成水分離器および還流冷却管から
なる循環系から反応容器に戻される経路上に流量計を設
けて、還流される溶剤の流量(体積量)を計測し、溶剤
循環速度が5サイクル/時間となるように、反応容器に
取り付けられたジャケット温度を135℃に設定し、必
要に応じて適宜微調節しながら、反応温度115℃でエ
ステル化反応を行った。約20時間でエステル化率が9
9%に達したのを確認後、49%水酸化ナトリウム水溶
液135部と水4890部を加えてパラトルエンスルホ
ン酸を中和し、ハイドロキノン8部を加えて昇温し、シ
クロヘキサンを水との共沸で留去した。シクロヘキサン
留去後、調整水を添加して80%のエステル化物水溶液
を得た。得られたエステル化物水溶液につき、下記に示
す条件でのキャピラリー電気泳動により不純物の定量を
行ったところ、目的のエステル化物、触媒(PTS)、
原料(MAA)によるピークが認められるだけで、不純
物によるピークは認められなかった。すなわち、得られ
たエステル化物水溶液には不純物は認められなかった。
【0136】<電気泳動測定条件> 測定機種;Waters製 Quanta4000 キ
ャピラリークロマトグラフィー 使用カラム;Waters製 AccuSep 75μ
m×60cm 使用泳動バッファー;20mmol/gホウ酸ナトリウ
ム 電圧;20.00KV 実施例9 温度計、攪拌機、生成水分離器および還流冷却管(コン
デンサ)を備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内
容量:30リットル)にメトキシポリ(n=25)エチ
レングリコール16500部、メタクリル酸4740部
(K値=70)、パラトルエンスルホン酸水和物235
部、フェノチアジン5部およびシクロヘキサン1060
部を仕込み、エステル化反応中、生成水分離器および還
流冷却管からなる循環系から反応容器に戻される経路上
に流量計を設けて、還流される溶剤の流量(体積量)を
計測し、溶剤循環速度が5サイクル/時間となるよう
に、反応容器に取り付けられたジャケット温度を135
℃に設定し、必要に応じて適宜微調節しながら、反応温
度120℃でエステル化反応を行った。約20時間でエ
ステル化率が99%に達したのを確認後、49%水酸化
ナトリウム水溶液135部と水4890部を加えてパラ
トルエンスルホン酸を中和し、ハイドロキノン8部を加
えて昇温し、シクロヘキサンを水との共沸で留去した。
シクロヘキサン留去後、調整水を添加して80%のエス
テル化物水溶液(1)を得た。得られたエステル化物水
溶液(1)について、実施例8と同様にしてキャピラリ
ー電気泳動により不純物の定量を行った。本実施例の反
応組成、反応条件および反応結果を下記表2に示すと共
にキャピラリー電気泳動チャートを図3に示す。図3の
結果から、目的のエステル化物、触媒(PTS)、原料
(MAA)によるピークが認められるだけで、不純物に
よるピークは認められなかった。すなわち、得られたエ
ステル化物水溶液(1)には不純物は認められなかっ
た。
【0137】実施例10 反応容器に取り付けられたジャケット温度を140℃に
設定し、反応温度を125℃とする以外は、実施例9と
同様にしてエステル化反応を行った。約18時間でエス
テル化率が100%に達したのを確認後、実施例9と同
様にして80%のエステル化物水溶液を得た。得られた
エステル化物水溶液につき、実施例8と同様にしてキャ
ピラリー電気泳動により不純物の定量を行った。本実施
例の反応組成、反応条件および反応結果を下記表2に示
すと共にキャピラリー電気泳動チャートを図3に示す。
図3の結果から、目的のエステル化物、触媒(PT
S)、原料(MAA)によるピークが認められるだけ
で、不純物によるピークは認められなかった。すなわ
ち、得られたエステル化物水溶液には不純物は認められ
なかった。
【0138】実施例11 実施例9において、温度計、攪拌機、生成水分離器およ
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付SUS316製反応容器(内容量:30
3)を反応容器として使用する以外は実施例9と同様
にして80%のエステル化物水溶液を得、得られたエス
テル化物水溶液について実施例8と同様にしてキャピラ
リー電気泳動により不純物の定量を行ったところ、目的
のエステル化物、触媒(PTS)、原料(MAA)によ
るピークが認められるだけで、不純物によるピークは認
められなかった。すなわち、得られたエステル化物水溶
液には不純物は認められなかった。
【0139】実施例12 実施例9において、温度計、攪拌機、生成水分離器およ
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付グラスライニング反応容器(内容量:30m
3)を反応容器として使用する以外は実施例9と同様に
して80%のエステル化物水溶液を得、得られたエステ
ル化物水溶液について実施例8と同様にしてキャピラリ
ー電気泳動により不純物の定量を行ったところ、目的の
エステル化物、触媒(PTS)、原料(MAA)による
ピークが認められるだけで、不純物によるピークは認め
られなかった。すなわち、得られたエステル化物水溶液
には不純物は認められなかった。
【0140】実施例13 反応容器に取り付けられたジャケット温度を150℃に
設定し、反応温度を135℃とする以外は、実施例9と
同様にしてエステル化反応を行った。約15時間でエス
テル化率が99%に達したのを確認後、実施例9と同様
にして80%のエステル化物水溶液を得た。得られたエ
ステル化物水溶液につき、実施例8と同様にしてキャピ
ラリー電気泳動により不純物の定量を行った。本比較例
の反応組成、反応条件および反応結果を下記表2に示す
と共にキャピラリー電気泳動チャートを図3に示す。図
3の結果から、目的のエステル化物、触媒(PTS)、
原料(MAA)によるピーク以外にも、図中に白抜きの
矢印で示す位置に不純物によるピークが認められた。こ
のことから、得られたエステル化物水溶液には不純物が
形成されていることが確認された。
【0141】
【表2】
【0142】表2に示されるように、実施例9、10及
び13の結果から、溶剤循環速度をほぼ等しくして、反
応温度を変化させた場合、反応温度を130℃を超えて
高く設定すると、セメント分散性能の低下をもたらす不
純物が形成されることが示される。
【0143】実施例14 温度計、攪拌機、生成水分離器および還流冷却管(コン
デンサ)を備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内
容量:30リットル)に、水8200部を仕込み、攪拌
下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃ま
で昇温した。次に、上記反応器内に、実施例9で得られ
た80%のエステル化物水溶液(1)13100部に3
−メルカプトプロピオン酸94部を溶解させた溶液を4
時間かけて滴下すると同時に、過硫酸アンモニウム12
5部を水1000部に溶解させた水溶液を5時間かけて
滴下した。滴下終了後、反応混合液を80℃に1時間維
持した。さらに、この反応混合液のpHを水酸化ナトリ
ウムで8になるように調節することにより、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリ
コール換算で重量平均分子量21000の本発明のポリ
カルボン酸(1)を得た。
【0144】このようにして得られたポリカルボン酸
(1)をそのままセメント分散剤として用い、以下の、
モルタル試験方法に従ってセメント組成物(1)を調製
し、フロー値を測定した。結果を下記表3に示す。
【0145】<モルタル試験方法>上記で得られたセメ
ント分散剤[ポリカルボン酸(1)]を含む水240
部、セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋
セメント製)400部及び豊浦産標準砂800部を、モ
ルタルミキサーで混練して、セメント組成物(1)を調
製した。なお、セメント分散剤の添加量は下記表3に示
す。
【0146】次に、このセメント組成物(1)を直径5
5mm、高さ55mmの中空円筒に充填した後、円筒を
垂直に静かに持ち上げ、広がったセメント組成物(1)
の長径と短径を測定し、その平均値をフロー値とした。
【0147】実施例15 実施例9において、メトキシポリ(n=25)エチレン
グリコールの使用量を19430部に、及びメタクリル
酸の使用量を1810部(K値=215)に変更した以
外は、実施例9と同様のエステル化反応を行なったとこ
ろ、約90時間でエステル化率約99%を確認後、49
%水酸化ナトリウム水溶液104部と水4900部を加
えてパラトルエンスルホン酸を中和し、ハイドロキノン
8部を加えて昇温し、シクロヘキサンを水との共沸で留
去した。シクロヘキサン留去後、調整水を添加して80
%のエステル化物水溶液(2)を得た。
【0148】次に、温度計、攪拌機、生成水分離器およ
び還流冷却管(コンデンサ)を備えた外部ジャケット付
ガラス製反応槽(内容量:30リットル)に、水820
0部を仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素
雰囲気下で80℃まで昇温した。続いて、上記反応器内
に、上記で得られた80%のエステル化物水溶液(2)
13700部に3−メルカプトプロピオン酸58部を溶
解させた溶液を4時間かけて滴下すると同時に、過硫酸
アンモニウム122部を水2300部に溶解させた水溶
液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液を
80℃に1時間維持した。さらに、この反応混合液のp
Hを水酸化ナトリウムで8になるように調節することに
より、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる
ポリエチレングリコール換算で重量平均分子量1970
0のポリカルボン酸(2)を得た。
【0149】このようにして得られたポリカルボン酸
(2)をそのままセメント分散剤として用い、実施例1
4と同様にして、モルタル試験方法に従ってセメント組
成物(2)を調製し、フロー値を測定した。結果を下記
表3に示す。
【0150】
【表3】
【0151】表3に示される結果から、K値が本発明の
請求項6に規定される範囲の上限を超えると、フロー値
が顕著に下がり、ゆえにセメント分散能が減少すること
が確認された。
【0152】
【発明の効果】本発明のエステル化物の製造方法は、酸
触媒および重合禁止剤の存在下、上記式(1)で示され
るアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応
を行うことからなるエステル化物の製造方法において、
前記酸触媒を水和物および/または水溶液のかたちで用
い、該酸触媒の使用量が、原料のアルコールと(メタ)
アクリル酸の合計質量に対する該酸触媒中の酸の質量の
比をX(質量%)とし、原料のアルコールと(メタ)ア
クリル酸の合計質量に対する該該酸触媒中の水和物およ
び/または水溶液として存在する水分の質量の比をY
(質量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足するものであることを特徴とするものであ
る。したがって、本発明の方法によると、エステル化反
応時におけるゲルの形成を抑えることができ、極めて高
品質のエステル化物を得ることができる。さらに、各種
用途、例えば、セメント分散剤のほか、炭酸カルシウ
ム、カーボンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケ
ール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWM用分散
剤、増粘剤等に優れた性能を発現することができる重合
体成分の単量体成分として、当該エステル化物は極めて
有用である。すなわち、こうした使用用途に要求される
基本性能である分散性能などに悪影響を及ぼす原因とな
る分散性能の乏しい高分子量架橋ポリマーを発生させる
もとになるゲルの形成が抑えられ、良好な分散性能を発
現させることができる。さらに、エステル化反応時のゲ
ルの形成を抑制することができるため、ゲルをろ過する
工程を必要とせず、工業的にエステル化物を量産する上
で、連続的な生産に適した製造方法を提供できる。
【0153】また、本発明において酸触媒がパラトルエ
ンスルホン酸の水和物および/または水溶液である際に
は、上記に記載の作用効果を奏することができるほか、
エステル化物の品質および性能の低下の原因となるゲル
の生成原因の1つである酸触媒によるアルコール原料の
切断が起こりにくく、所望の触媒作用を有効に発現する
ことができるものであり、極めて高品質のエステル化物
を得ることができる。
【0154】さらに、本発明において、重合禁止剤がフ
ェノチアジン、メトキノンおよびハイドロキノンよりな
る群から選ばれてなる少なくとも1種のものである際に
は、酸触媒を水和物および/または水溶液の形で用いる
場合に反応系内に存在する水溶液中のゲル形成物質に対
しても有効に機能することができるほか、エステル化反
応終了後に、脱水溶剤を水との共沸により留去する際に
も、弱いながらも重合活性のある水溶性重合禁止剤を用
いなくても極めて有効に重合禁止能を発揮することがで
き、高分子量体の形成を効果的に抑えることができる点
から極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るエステル化物の製造方法に用い
られる代表的な装置構成の概略図である。
【図2】 Y=1.81X−1.62とY=0の関係式
を示すと共に、実施例1〜5及び比較例1〜3における
(X,Y)座標をプロットしてなるX−Yの相間図であ
る。
【図3】 実施例9、10および13で反応温度を変え
た場合にそれぞれ得られたエステル化物水溶液につき、
キャピラリー電気泳動により不純物の定量を行った結果
を示すキャピラリー電気泳動チャート図である。
【符号の説明】
101…反応槽、 102、150…ジャケット、 103…アルコキシポリアルキレングリコール用の原料貯
蔵タンク、 105…(メタ)アクリル酸用の原料貯蔵タンク、 107…触媒貯蔵タンク、 109…重合禁止剤貯蔵タンク、 111…中和剤貯蔵タンク、 113、115、117、119、121、123、129、137、139、141、145、149、15
3、157…配管、 116…ポンプ、 125…コンデンサ、 126…噴霧ノズル、 127…水分離器、 131…仕切板、 133、134…水分離器内部の室、 135…反応生成水の処理タンク、 142…循環ポンプ、 143…脱水溶剤貯蔵タンク、 144…流量計、 147…ゲル化防止剤貯蔵タンク、 151…循環経路、 155…真空ポンプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 69/54 C07C 69/54 Z C08G 65/332 C08G 65/332 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C04B 103:40 C04B 103:40 (56)参考文献 特開2000−159883(JP,A) 特開2000−159881(JP,A) 特開2000−154247(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 67/08 C07C 67/62 C07C 69/54 C08G 65/332 C04B 24/26

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸触媒および重合禁止剤の存在下、下記
    式(1): 【化1】 (ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
    わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
    基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し単位は同一で
    あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2Oが
    2種以上の混合物の形態である場合には各R2Oの繰り
    返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
    ム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシアルキ
    レン基の平均付加モル数を表わし、0〜300の数であ
    る)で示されるアルコールと(メタ)アクリル酸とのエ
    ステル化反応を行うエステル化物の製造方法において、 該酸触媒を水和物および/または水溶液のかたちで用
    い、 該酸触媒の使用量が、原料のアルコールと(メタ)アク
    リル酸の合計質量に対する該酸触媒中の酸の質量の比を
    X(質量%)とし、原料のアルコールと(メタ)アクリ
    ル酸の合計質量に対する該酸触媒中の水和物および/ま
    たは水溶液として存在する水分の質量の比をY(質量
    %)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足するものであることを特徴とするエステル
    化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸触媒はパラトルエンスルホン酸の
    水和物および/または水溶液である、請求項1に記載の
    エステル化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記重合禁止剤はフェノチアジン、メト
    キノンおよびハイドロキノンよりなる群から選ばれてな
    る少なくとも1種のものである、請求項1または2に記
    載のエステル化物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記式(1)において、nはオキシアル
    キレン基の平均付加モル数を表わし、2〜300の数で
    ある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 酸触媒および重合禁止剤の存在下、該酸
    触媒を水和物および/または水溶液のかたちで用いかつ
    その使用量が、原料のアルコキシポリアルキレングリコ
    ールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触媒
    中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料のアルコキ
    シポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸の合
    計質量に対する該酸触媒中の水和物および/または水溶
    液として存在する水分の質量の比をY(質量%)とした
    場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足する条件下で、下記式(1): 【化2】 (ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
    わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
    基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し単位は同一で
    あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2Oが
    2種以上の混合物の形態である場合には各R2Oの繰り
    返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
    ム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシアルキ
    レン基の平均付加モル数を表わし、1〜300の数であ
    る)で示されるアルコキシポリアルキレングリコールと
    (メタ)アクリル酸とをエステル化反応することによっ
    てアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)ア
    クリル酸系単量体を得、該アルコキシポリアルキレング
    リコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体(a)5〜9
    8質量%、下記式(2): 【化3】 (ただし、R3は水素もしくはメチル基を表わし、M1
    水素、一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機
    アミン基を表わす)で示される(メタ)アクリル酸系単
    量体(b)95〜2質量%、およびこれらの単量体と共
    重合可能な他の単量体(c)0〜50質量%(但し、
    (a)、(b)および(c)の合計は100質量%)を
    共重合することを特徴とする、セメント分散剤用ポリカ
    ルボン酸系共重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸触媒および重合禁止剤の存在下で、該
    酸触媒を水和物および/または水溶液のかたちで用いか
    つその使用量が、原料のアルコキシポリアルキレングリ
    コールと(メタ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触
    媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、原料のアルコ
    キシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸の
    合計質量に対する該酸触媒中の水和物および/または水
    溶液として存在する水分の質量の比をY(質量%)とし
    た場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足しかつp及びqが下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 を満足する条件下で、下記式(1): 【化4】 (ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
    わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
    基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し単位は同一で
    あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2Oが
    2種以上の混合物の形態である場合には各R2Oの繰り
    返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
    ム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシアルキ
    レン基の平均付加モル数を表わし、1〜300の数であ
    る)で示されるアルコキシポリアルキレングリコールp
    質量部と(メタ)アクリル酸q質量部とをエステル化反
    応し、得られた反応混合物を共重合することを特徴とす
    る、セメント分散剤用ポリカルボン酸系共重合体の製造
    方法。
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