JP4293759B2 - 洗浄水の利用方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エステル系単量体を取り出した後の容器を洗浄して生じる洗浄水を重合工程に利用する方法及びそれを用いて得られるセメント添加剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エステル化反応工程により得られるエステル系単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体等として、各種の重合体の製造原料として有用である。このような重合体は、例えば、セメント添加剤(セメント分散剤)や炭酸カルシウム、カーボンブラック、インク等の顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、石炭・水スラリー(CWM)用分散剤、増粘剤等の化学製品に好適に用いられることになる。
【0003】
ところで、通常では反応槽を用いて、エステル化反応、エステル交換反応、エポキシ付加反応等を行うことによりエステル系単量体が得られる。生成したエステル系単量体は、反応槽から取り出してそのまま重合用原料として使用されたり、貯蔵槽に取り出して一旦貯蔵される。エステル系単量体を取り出した後の容器、すなわち反応槽や貯蔵槽にはエステル系単量体が残存しており、次品種への混入を防止するためには容器を洗浄することが必要になる。容器を洗浄した際には、エステル系単量体を含む排水が生じる。
【0004】
反応槽や貯蔵槽等容器の洗浄を簡便かつ充分に行うためには、廃水発生量低減及び洗浄時間短縮の目的で、蒸気を用いて行うことが好適である。容器の洗浄に用いた蒸気は凝縮して擬縮水となる。この凝縮水、すなわち洗浄水には、反応槽中の壁面等に残ったエステル系単量体の他に、蒸気で洗浄を行った際に生じるゲル状物が含まれる。このゲル状物を含んだ洗浄水を廃液としないで生成物であるエステル系単量体に混合すると、ゲル状物が含まれることによってエステル系単量体の品質が低下し、重合体の生産性が低下したり重合体の品質や性能が低下したりする。
【0005】
しかしながら、このようにエステル系単量体を含む洗浄水を廃液として棄てると、廃液処理費用が必要となり製品が高価になったり、エステル系単量体の回収率が低下したりするという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、エステル系単量体を容器から取り出した後、該容器を洗浄して生じる洗浄水を重合工程に利用することにより、廃液の発生量を低減し、生成したエステル系単量体や貯蔵されていたエステル系単量体を有効に回収し利用することができる洗浄水の利用方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エステル系単量体を容器から取り出した後、上記容器を洗浄して生じる洗浄水を利用する方法であって、上記洗浄水の利用方法は、洗浄水を重合工程に利用してなる洗浄水の利用方法である。
【0008】
本発明者らは、高品質のエステル系単量体を効率よく製造するべく鋭意研究を進めた結果、エステル系単量体を取り出した後の容器を洗浄し、発生する洗浄水の量を低減し、生成したエステル系単量体を有効に回収して利用するにあたり、生じた洗浄水をエステル系単量体に回収して利用することに着目した。具体的には、(1)回収した洗浄水をエステル系単量体に混合すること、(2)蒸気を使用することによって洗浄水の発生量を極力低減すること、(3)容器中に洗浄水が実質的に滞留しないようにすることによって、蒸気を使用した際に発生するゲル状物の量を低減することにより、上記課題をみごとに解決できることに想到し、本発明に到達したものである。また、このような洗浄水を利用して得られるエステル系単量体が高品質のものとなることから、このエステル系単量体をセメント添加剤用重合体等の製造原料として好適に用いることができることも見いだした。
以下に、本発明を詳述する。
【0009】
本発明の洗浄水の利用方法は、エステル系単量体を容器から取り出した後、上記容器を洗浄して生じる洗浄水を利用する方法であって、洗浄水を重合工程に利用してなる。なお、本明細書中、重合工程とは、エステル系単量体を重合する反応工程を意味する。このような洗浄水の利用方法においては、容器内のエステル系単量体、すなわちエステル系単量体を生成させる工程により容器中で生成させたエステル系単量体や、貯蔵・保存等のために容器中に貯留しているエステル系単量体を、その容器から取り出した後、該容器の内壁面等を洗浄する洗浄工程を行い、洗浄工程により生じる洗浄水をエステル系単量体の重合工程に利用することになる。
【0010】
先ず、本発明の洗浄水の利用方法における洗浄工程について説明する。
上記洗浄工程は、蒸気、水、温水、若干の添加物(アルカリや重合禁止剤等)を加えた水等を用いて洗浄が行われることになる。これらは、単独で用いてもよく併用してもよいが、蒸気を必須として洗浄することが、廃水量の削減の点からは好ましい。洗浄方法としては、蒸気だけで洗浄する方法、水で洗浄後に蒸気で洗浄する方法、蒸気で洗浄後に水で洗浄する方法が有効であるが、これらの中でも、蒸気だけで洗浄する方法が好適である。このとき用いられる蒸気の温度や圧力は、特に限定されず、例えば、温度が20〜180℃、容器内の圧力が1.0MPa以下となるように容器に供給することが好ましい。より好ましくは0.05〜0.3MPaである。
【0011】
上記洗浄工程において、蒸気を必須として洗浄する際、洗浄工程により生ずる洗浄水は、蒸気の凝縮水を含むことになる。このように、上記洗浄水が、蒸気を用いて上記容器を洗浄した際に生じる凝縮水を含むものであることは、本発明の好ましい形態の1つである。より好ましくは、上記洗浄水が、蒸気を用いて容器を洗浄した際に生じる凝縮水であることである。
【0012】
上記蒸気の量としては、例えば、洗浄水の量を設定し、それに応じた量となるように蒸気の供給時間や圧力を調整することが好ましい。一方、洗浄に用いられる水、温水、若干の添加物(アルカリや重合禁止剤等)を加えた水の量は、特に限定されず、例えば、容器の容積の0.001〜1倍、より好ましくは0.001〜0.1倍となるように容器に供給することが好ましい。水、温水、若干の添加物(アルカリや重合禁止剤等)を加えた水等の液体は、洗浄面が満遍なく洗浄できるようにスプレーノズルを用いて散霧することが好ましい。更に、蒸気や水、温水、若干の添加物(アルカリや重合禁止剤等)を加えた水等を容器に供給する回数と時期は、特に制限されず、例えば、通常ではエステル系単量体を容器から取り出した後に1回で供給することになるが、本発明の作用効果を奏することになる限り、全量を数回に分けて供給してもよい。
【0013】
上記洗浄工程において、エステル系単量体を容器から取り出すには、例えば、容器の下部に設けた液抜き出し口から流出させることにより行うことができ、また、容器の上部や側部に設けた液抜き出し口から流出させたり汲み上げたりすることによって行うことができる。なお、本明細書中、エステル系単量体とは、エステル結合を有する不飽和単量体であり、このような単量体が必須として含まれる限り特に限定されない。エステル系単量体は、エステル結合を有する不飽和単量体の他に、水、溶媒、中和剤、重合禁止剤、エステルの原料や分類物である、アルコールや酸等を含んでもよい。
【0014】
本発明では、上記洗浄工程において、容器を洗浄することにより生じる洗浄水を容器内に溜めておき、洗浄が終了した後に液抜き出し口を開けることで洗浄水を取り出し、その洗浄水を重合工程に利用してもよいが、上記洗浄工程が、上記容器中に洗浄水が実質的に滞留しないように行われることが好ましい。容器中の洗浄水には容器中の壁面等に残ったエステル系単量体が含有されることになるが、容器中に洗浄水が実質的に滞留すると、洗浄水が蒸気から生じたものであるため高温であることに起因してエステル系単量体が重合し、ゲル状物が生じることになる。容器中に洗浄水が実質的に滞留しないとは、洗浄水に含有されるエステル系単量体が重合してゲル状物が生じることになる容器中での洗浄水の滞留を意図的に生じないようにすることである。すなわち容器中で洗浄水の滞留が全く生じないようにすることのみを意味するのではなく、容器中での洗浄水の滞留を意図的に生じないように操作することにより、洗浄水中でのゲル状物の生成を抑制してゲル状物が全く生じないようにすること又はエステル系単量体から得られる重合体の性能や品質の低下が抑制されるようにゲル状物が生じないようにすることを意味する。なお、上記洗浄工程においては、容器を洗浄することで生じる洗浄水も、上述したようなエステル系単量体を取り出す場合と同様に取り出すことができる。
【0015】
本発明ではまた、上記容器が、液抜き出し口及び蒸気供給口を必須として備えたものであり、上記洗浄が、洗浄水が実質的に上記容器中に滞留しないように液抜き出し口を開けて、蒸気供給口から蒸気を供給する操作を含むことが好ましい。これにより、ゲルの発生を抑えつつ効果的に洗浄することが可能となる。このような容器としては、反応槽、タンク、貯蔵槽が好適である。
【0016】
上記容器において、液抜き出し口とは容器中にあるエステル系単量体や洗浄水などの液を容器から抜き出すための口であり、蒸気供給口とは蒸気を容器に供給する入口である。液抜き出し口や蒸気供給口の数は、少なくとも1つずつ備えられていればよく、種類は特に限定されるものではない。液抜き出し口としては、液抜き出し弁が好ましく、蒸気供給口としては、蒸気供給弁が好ましい。
【0017】
上記洗浄水が実質的に容器中に滞留しないように洗浄水を容器から取り出すには、液抜き出し口を開けて行うことになる。この場合、例えば、蒸気を供給する際に蒸気や蒸気が凝縮して生じた凝縮水(ドレイン)が容器内に滞留しないように、容器下部に設けた液抜き出し口を開放したり、容器の上部から下部に向かって、又は、側部から下部に向かって液を抜き出すための管等が備えられ、液抜き出し口から連続的に液を抜き出せるようにポンプで汲み上げてもよい。
【0018】
上記容器には、凝縮水を抜き出すために設けた液抜き出し口の他に、蒸気を抜き出すために解圧口(パージ口)等を備えていてもよい。また、解圧口としては、解圧弁(パージ弁)等が好適であるが、上蓋、マンホール、ハンドホール等であってもよい。このような容器では、設置コストや安全性の点から、解圧口、蒸気供給口が容器の上部に一つずつ備えられ、液抜き出し口(フラッシュ弁等)が容器の下部に1つ備えられていることが好ましいが、解圧口、液抜き出し口、蒸気供給口等の容器における位置や個数、大きさ等は容器の形状や規模を考慮して滴宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0019】
上記洗浄工程において、解圧口を備えた容器に蒸気を供給する場合、解圧口を開けた状態で蒸気を蒸気供給口から容器に供給する操作を行うことが好ましく、この解圧口を継続的に又は断続的に開け、一度に又は数度に分けて蒸気を容器に供給することになる。また、液抜き出し口を開けて容器から洗浄水を取り出す操作では、例えば、容器への蒸気の供給開始前に若しくは供給開始と同時に又は供給開始後しばらくしてから液抜き出し口を継続的に又は断続的に開け、一度に又は数度に分けて洗浄水を液抜き出し口から取り出すことになる。このとき、容器中に洗浄水が実質的に滞留しないように行われることになるが、容器への蒸気の供給開始前に又は供給開始と同時に液抜き出し口を継続的に開けて取り出すことが好ましい。
【0020】
本発明の洗浄水の利用方法では、容器から取り出した洗浄水をエステル系単量体に混合する操作を含むことが好ましい。これにより、容器から取り出された洗浄水が高温である場合に、エステル系単量体に混合することで温度を下げてゲル状物の発生を充分に抑制することができる。この場合、洗浄水を容器からドラム缶等の別の容器に取り出した後、タンクや処理槽等に入れられたエステル系単量体に混合してもよく、洗浄水を容器からタンクや処理槽等に入れられたエステル系単量体に直接混合してもよい。また、容器から取り出した洗浄水は、ストレーナーやポンプ等が設置された配管等を移送されてエステル系単量体に混合されることが好ましい。
【0021】
本発明の洗浄水の利用方法について、図1を用いて説明する。
図1(1)は、本発明の洗浄水の利用方法において、従来は廃棄していた洗浄水を容器から取り出した後、エステル系単量体の重合工程に利用することを示している。
図1(2)及び(3)は、本発明の洗浄水の利用方法の実施形態の一例を示す概念図である。図1(2)では、蒸気を容器中に供給し、それにより生じた凝縮水である洗浄水を容器中に溜めておき、洗浄終了後に取り出して重合工程に利用することを示している。このように洗浄水を廃棄することなく重合工程に利用することで、廃棄費用が発生せず、効率的にエステル系単量体を回収できることになる。また、図1(3)では、解圧口を開けた状態で、開放した蒸気供給口から蒸気を容器中に供給するとともに、液抜き出し口を開放して洗浄水を取り出し、重合工程に利用することを示している。これにより、廃棄費用が発生せず、効率的にエステル系単量体を回収できることに加えて、ゲル状物の発生を抑制できることになる。
【0022】
本発明の洗浄水の利用方法を、図2及び図3を用いてより具体的に説明する。図2及び図3は、後述する反応槽(容器)を用いて行うエステル化反応工程により生成したエステル系単量体を反応槽から取り出し、その後反応槽を洗浄し、生じた洗浄水をエステル系単量体の重合工程に利用する形態である。
【0023】
図2は、本発明の洗浄水の利用方法における操作方法の一例を示した概念図である。この図2では、反応槽(エステル化反応用反応槽)、タンク(処理槽)及び重合用反応槽により構成される一形態が示されている。この形態では、反応槽からエステル系単量体を取り出すことになる。反応槽(容器)の上部には、解圧弁及び蒸気供給口(図示せず)があり、下部に液抜き出し口(図示せず)が備えられていることが概念的に示されている。また、タンクと重合用反応槽とを接続する連結管には、ストレーナー及びポンプが1基ずつ設置されている。タンクはエステル系単量体を貯蔵すると共に、必要に応じて重合体の製造原料として調製するために用いられ、ストレーナーはエステル系単量体の溶液中に不純物がある場合に取り除くために用いられ、ポンプは重合用反応槽にエステル系単量体の溶液を仕込んだり、逐次滴下したりするために用いられることになる。
【0024】
上記図2の形態においては、反応槽を用いてエステル化反応工程を行って生成したエステル系単量体を反応槽からタンクに取り出した後、図2(1)では、(1)解圧弁を開けた状態で蒸気を蒸気供給口から反応槽に供給する操作を液抜き出し口を開けた状態で行いつつ、(2)洗浄水を液抜き出し口から容器に取り出し、(3)容器に取り出した洗浄水をタンク中のエステル系単量体に混合させる操作を行うことになる。図2(2)では、上記(1)の操作を液抜き出し口を開けた状態で行いつつ、(2)洗浄水を液抜き出し口から配管等を通じてタンクに取り出す操作を行うことになる。これらの操作において、タンク中のエステル系単量体の液温としては、例えば、60℃以下、好ましくは40℃以下となるようにすることが好ましい。60℃を超えると、エステル系単量体が加水分解する等のおそれがある。これらの後に、タンク中の溶液を重合用反応槽に移送することになる。そして重合用反応槽中に重合開始剤等を添加して重合を行うことになる。
【0025】
図3は、従来の洗浄水の利用方法における操作方法の一例を示した概念図である。この図3では、反応槽(エステル化反応用反応槽)、タンク(処理槽)及び重合用反応槽により構成される一形態が図2と同様に示されている。このような図3の形態においては、反応槽を用いてエステル化反応工程を行って生成したエステル系単量体を反応槽からタンク取り出した後、(1)解圧弁を開けた状態で蒸気を蒸気供給口から反応槽に供給する操作を液抜き出し口を閉めた状態で行い、次いで(2)洗浄水が反応槽中に溜まった後に、解圧弁を開けた状態で液抜き出し口を開け、洗浄水を液抜き出し口から配管等を通じてタンクに取り出す操作を行うことになる。なお、図2及び図3においては、洗浄水が斜線で示され、また、解圧弁や液抜き出し弁において、弁を開けている状態が反応槽上部や下部の面の上に弁が位置することで概念的に示され、弁を閉めている状態が反応槽上部や下部の面に弁が貫通して位置することで概念的に示されている。
【0026】
本発明では更に、上記エステル系単量体が、セメント添加剤の製造原料として用いられることが好ましい。すなわち本発明の洗浄水の利用方法を用いて製造されるエステル系単量体から得られる重合体をセメント添加剤の製造原料として用いることが好ましい。これにより、セメント添加剤の製造において、その性能や品質が低下することが抑制されて安定的に製造することが可能となる。
【0027】
次に、本発明の実施形態として、エステル系単量体を生成させる方法について説明する。エステル系単量体を生成させる方法としては、反応槽を用いて(1)エステル化反応工程によりエステル系単量体を生成させる方法、(2)エステル交換反応工程によりエステル系単量体を生成させる方法、(3)(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ化合物を反応させるエポキシ付加反応工程によりエステル系単量体を生成させる方法が好適である。このようにエステル系単量体を生成させた後に洗浄工程を行うことになる。本発明の洗浄水の利用方法は、これらの中でも、(1)の方法でエステル系単量体を生成する際に好適に適用されることになる。
【0028】
以下に、反応槽を用いて行うエステル化反応工程によりエステル系単量体を生成させる方法として、エステル化反応工程に続けて、必要に応じて中和工程、溶剤留去工程等を含んでなる方法について説明する。
上記エステル化反応工程では、例えば、エステル化反応用反応槽及びコンデンサにより構成され、かつ、エステル化反応用反応槽とコンデンサとを接続する連結管が設けられたエステル化反応装置を用い、エステル化反応が化学平衡となる場合には、反応によって生成される反応生成水をエステル化反応用反応槽から取り除くと反応が進行することから、コンデンサと連結管により接続された水分離器を用いて行われる。このようなエステル化反応装置を用いて、エステル化反応用反応槽によりエステル化反応を行いつつ、コンデンサと水分離器とを用いて蒸留操作を行うことになる。
【0029】
上記エステル化反応工程では、(1)エステル化反応用反応槽中で生成する反応生成水を取り除きやすくするため、反応液に脱水溶剤を混合し、該脱水溶剤と水とを共沸させることにより気化された留出物を生じさせる操作、(2)該留出物がエステル化反応用反応槽とコンデンサとを接続する連結管を通過してコンデンサに入り、該コンデンサ中で留出物を凝縮液化させる操作、(3)凝縮液化された留出物をコンデンサに接続された水分離器中で脱水溶剤と水とに分離する操作、(4)分離された脱水溶剤をエステル化反応用反応槽中に還流させる操作、等の操作が行われることになる。
【0030】
上記反応槽とは、反応器や、反応容器、反応釜等と同じ意味内容で用いられるものであって、脱水反応を行うことができる容器であれば特に限定されるものではない。反応槽の形状は、特に限定されるものではない。多角型、円筒型等があるが、攪拌効率、取扱い性、汎用性等の点から円筒型が好ましい。また邪魔板の有無は問わない。反応槽の加熱方式は外部ジャケットにスチーム等の熱媒を接触させることによって加熱するものであってもよいし、反応槽の内部にコイル等の伝熱装置を備えていて加熱するものであってもよい。このような反応槽の内部の材質としては特に限定されず、公知の材質が使用できるが、例えば、SUS製、好ましくは、耐蝕性の点から、SUS304、SUS316、SUS316L、より好ましくは、SUS316、SUS316L等が挙げられる。また、反応槽内部にグラスライニング加工等が施されて反応原料及び生成物に対して不活性なものとしてもよい。このような反応槽は、通常では脱水反応を均一に効率よく行うため攪拌機が備えられている。攪拌機は特に限定されるものではない。攪拌機は通常、電動モーター、軸、攪拌機から構成されるがその攪拌翼も形状を問わない。攪拌機としては、デスクタービン、ファンタービン、わん曲ファンタービン、矢羽根タービン、多段ファンタービン翼、ファウドラー翼、ブルマージン型、角度付き羽根、プロペラ型、多段翼、アンカー型、ゲート型、二重リボン翼、スクリュー翼、マックスブレンド翼等を挙げることができ、なかでも多段ファンタービン翼、ファウドラー翼が汎用性の点で好ましい。
【0031】
上記コンデンサとは、反応槽から生じる留出物を凝縮液化させる装置であり、該凝縮液化は、冷却液である管外流体と留出物とを熱交換させることにより行われる。なお、留出物とは、脱水反応工程やその他の工程により反応槽から留出されるものすべてを意味する。すなわち反応槽から留去される反応生成水や、必要に応じて反応生成水と共沸させるために用いられる脱水溶剤の他、留出された(メタ)アクリル酸等の反応原料等を含むものを意味し、その形態としては、ガス状、液状等が挙げられる。
【0032】
上記コンデンサとしては、SUS304、SUS316、SUS316L等のSUS製や炭素鋼(CS)等、公知のものが使用できるが、好ましくは、ゲル状物の発生をより低減するために、内面を鏡面仕上げやグラスライニング加工されたコンデンサを使用できるが、加工やメンテナンスにかかるコストの点から、SUS304、SUS316、SUS316L、好ましくは、SUS316、SUS316L等のSUS製のコンデンサを用いることが好ましい。
【0033】
上記コンデンサの伝熱面積としては、反応槽の容積等によって異なるが、例えば、反応槽30m3では、50〜500m2とすることが好ましい。より好ましくは、100〜200m2である。このようなコンデンサに使用される冷却媒体としては、例えば、水やオイル等が挙げられる。
【0034】
上記水分離器の容積としては、反応槽の容積や留出物の留出量等によって異なるが、例えば、反応槽30m3では、1〜10m3とすることが好ましい。より好ましくは、1〜5m3である。
【0035】
上記エステル化反応工程は、アルコールと(メタ)アクリル酸とを含む反応液をエステル化反応させてエステル系単量体を生成する工程であることが好ましい。これらの工程において反応原料とされる化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの工程が加水分解生成物を形成しやすいため、本発明の作用効果を充分に発揮させることができることになる。なお、エステル系単量体は、エステル又はエステル化物とも呼ばれる。
【0036】
上記エステル化反応に使用されるアルコールとしては、水酸基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、アルコール類、フェノール類、ジオール類、3価以上のアルコール類、ポリオール類等が挙げられる。例えば、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルブタノール、n−オクタノール、1−ドデカノール、1−オクタデカノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の1級アルコール;iso−プロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、メチルアミルアルコール、2−オクタノール、ノニルアルコールや、日本触媒社製「ソフタノール(商品名)」等の炭素数12〜14のアルコール等の2級アルコール;tert−ブタノール、tert−ペンタノール等の3級アルコール等が挙げられ、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等が挙げられ、ジオール類としては、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等が挙げられ、3価以上のアルコール類やポリオール類としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトール、グルコース、フラクトース、ソルビトール、グルコン酸、酒石酸、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0037】
上記アルコールとしてはまた、本発明により製造されるエステル系単量体をセメント添加剤用重合体の製造原料として用いる場合には、下記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましく、このような化合物は、アルコールにおける主成分として含有されることが好ましい。この場合、アルコール中には付加的にその他の成分を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0038】
1O(R2O)nH (1)
式(1)中、R1は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R2Oは、同一又は異なって、炭素数2〜18、好ましくは炭素数2〜8のオキシアルキレン基を表す。nは、R2Oで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、0〜300、好ましくは2〜300の数である。なお、平均付加モル数とは、当該化合物1モル中における当該繰り返し単位のモル数の平均値を意味する。
【0039】
上記R1の炭素数が30を超えたり、上記R2Oの炭素数が18を超えたりすると、エステル系単量体を製造原料として得られる重合体の水溶性が低下し、セメント添加剤等に用いる場合の用途性能、すなわちセメント分散性能等が低下するおそれがある。また、上記nが300を超えると、一般式(1)で表される化合物と(メタ)アクリル酸との反応性が低下するおそれがある。
【0040】
上記R1やR2Oの好適な炭素数の範囲は、エステル系単量体の使用用途により設定されることになる。例えば、エステル系単量体をセメント添加剤用重合体の製造原料として用いる場合には、R1としては、炭素数1〜18の直鎖又は枝分かれ鎖のアルキル基及びアリール基とすることが好ましい。このような基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基、ノニルフェニル基等のアルキルフェニル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;アルケニル基;アルキニル基等が挙げられる。これらの中でも、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基である。
【0041】
上記R2Oとしては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基等が挙げられ、これらの中でも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。なお、R2Oは、一般式(1)で表される化合物を構成する繰り返し単位であり、各繰り返し単位は同一であってもよく、異なっていてもよい。このうち、2種以上の異なる繰り返し単位を有する場合には、各繰り返し単位はブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよく、特に限定されるものではない。
【0042】
上記nの範囲についても、エステル系単量体の使用用途により設定されることになり、例えば、エステル系単量体をセメント添加剤用重合体の製造原料として用いる場合には、2〜300とすることが好ましい。より好ましくは、5〜200であり、更に好ましくは、8〜150である。また、増粘剤等として用いる場合には、10〜250とすることが好ましい。より好ましくは、50〜200である。
【0043】
上記nが0の場合には、水との溶解性や沸点の点から、上記R1は、炭素数4以上の炭化水素基であることが好ましい。すなわちnが0の場合には、特にメタノールやエタノール等のアルコールでは低沸点のため反応生成水と共に蒸発して反応生成水に溶解することにより、当該アルコール原料の一部が反応系外に留去され、目的とするエステル系単量体の収率が低下することから、これを防止するためである。
【0044】
上記エステル化反応では、(メタ)アクリル酸と共に、又は、(メタ)アクリル酸に代えて、その他の重合性化合物を用いることができる。このような重合性化合物としては、カルボキシル基を有する不飽和単量体、アミノ基を有する不飽和単量体、水酸基を有する不飽和単量体が挙げられる。カルボキシル基を有する不飽和単量体とは、少なくともカルボキシル基と不飽和結合を有する単量体である。具体的には、クロトン酸、チグリン酸、シトロネル酸、ウンデシレン酸、エライジン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類等やこれらのモノエステル等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記エステル化反応においては、必要に応じて、反応系に触媒を添加して行ってもよく、酸触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。特にエステル化反応では好適であり、反応を速やかに進行させることができる。このような酸触媒としては、水和物及び/又は水溶液の形態で用いてもよく、例えば、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸水和物、キシレンスルホン酸、キシレンスルホン酸水和物、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸水和物、トリフルオロメタンスルホン酸、「Nafion(商品名、デュポン社製)」レジン、「Amberlyst 15(商品名)」レジン、リンタングステン酸、リンタングステン酸水和物、塩酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記酸触媒の中でも、後述する脱水溶剤と水との共沸温度や反応温度等の点から、常圧(1013hPa)における沸点が高いもの、具体的には、常圧における沸点が150℃以上であるものが好ましい。より好ましくは、200℃以上である。このような酸触媒としては、例えば、硫酸(常圧における沸点:317℃)、パラトルエンスルホン酸(沸点:185〜187℃/13.3Pa(0.1mmHg))、パラトルエンスルホン酸水和物、メタンスルホン酸(沸点:167℃/1333.2Pa(10mmHg))等が挙げられる。これらの中でも、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸水和物を用いることが好適である。
【0047】
上記酸触媒の使用量としては、所望の触媒作用を有効に発現することができる範囲であれば特に限定されず、例えば、0.4ミリ当量/g以下とすることが好ましい。0.4ミリ当量/gを超えると、エステル化反応時に反応系内で形成されるジエステルの量が増加し、それらを用いて合成されるセメント添加剤用重合体のセメント分散能が低下するおそれがある。より好ましくは、0.01〜0.36ミリ当量/gであり、更に好ましくは、0.05〜0.32ミリ当量/gである。なお、酸触媒の使用量(ミリ当量/g)とは、反応に使用した酸触媒のH+ の当量数(ミリ当量)を、反応原料の合計仕込み量(g)で割った値で表され、具体的には、下記式により算出される値を意味する。
【0048】
【数1】
Figure 0004293759
【0049】
上記酸触媒の使用量としてはまた、各種の化学製品用途に適用される重合体の製造原料となるエステル系単量体の有用性や、このような適用用途に要求される基本性能である分散性能等に悪影響を及ぼすことになるゲル状物発生の防止・抑制の点から、反応原料の合計質量に対する酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)とし、酸触媒中の水和物及び/又は水溶液として存在する水分の質量の比をY(質量%)とした場合に、0<Y<1.81X−1.62
の関係式を満足することが好ましい。
【0050】
上記関係式について具体例を挙げて説明すれば、例えば、パラトルエンスルホン酸一水和物を例にとると、反応原料の合計質量に対するパラトルエンスルホン酸の質量の比がX(質量%)であり、反応原料の合計質量に対する一水和物として存在する水分の質量の比がY(質量%)であるのであって、決して、酸触媒以外の酸成分として、例えば、原料の(メタ)アクリル酸等や水分すなわちエステル化反応により生ずる反応生成水等は、上記XやYの対象物とはなり得ない。
【0051】
上記酸触媒の使用量が上記関係式を満足しない場合には、例えば、Yが0であると、酸触媒中に水和物及び/又は水溶液として存在する水分が存在しないこととなり、エステル化反応時に反応系内で形成されるゲルの量が増加し、それらを用いて合成されるセメント添加剤用重合体等の用途性能として、例えば、セメント分散能等が低下するおそれがある。また、Y≧1.81X−1.62であると、エステル化反応時に反応系内で形成されるゲルの量が増加し、上記と同様となる。
上記酸触媒の反応系への添加方法としては、一括、連続又は順次行ってもよいが、作業性の面からは、エステル化反応用反応槽に、反応原料と共に一括で仕込むことが好ましい。
【0052】
上記エステル化反応は、重合禁止剤の存在下で行われることが好ましい。これにより、反応原料中の不飽和カルボン酸とその生成物であるエステル系単量体の重合を防止することできる。このような重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤が使用でき、特に限定されず、例えば、フェノチアジン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ベンゾキノン、ハイドロキノン、メトキノン、ブチルカテコール、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド、クペロン、塩化銅(II)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、溶解性の点から、フェノチアジン、ハイドロキノン、メトキノンを用いることが好ましい。これらは、エステル化反応工程においても溶剤留去工程においても極めて有効に重合禁止能を発揮することができる点から極めて有用である。
【0053】
上記重合禁止剤の使用量としては、反応原料であるアルコール及び酸の合計仕込量を100質量%とすると、0.001〜1質量%とすることが好ましい。0.001質量%未満であると、重合禁止能の発現が充分でなく、反応原料や生成物の重合を有効に防止しにくくなり、1質量%を超えると、エステル系単量体中に残留する重合禁止剤量が増えるため、品質及び性能が低下するおそれがあり、また、過剰に添加することに見合う効果も得られず、経済的な面から不利となるおそれがある。より好ましくは0.001〜0.1質量%である。
【0054】
上記エステル化反応操作としては、脱水溶剤がなくても行えるが、脱水溶剤を用いて行うことにより、例えば、反応系外に反応生成水と脱水溶剤とを共沸させ、凝縮液化して反応生成水を分離除去させながら還流させることにより行うことが好ましい。これにより、エステル化反応で生成する反応生成水を効率よく共沸させることができることになる。このような脱水溶剤としては、水と共沸する溶剤であれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、イソプロピルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水との共沸温度が150℃以下であるものが好ましく、60〜90℃であるものがより好ましい。このような脱水溶剤として具体的には、シクロヘキサン、トルエン、ジオキサン、ベンゼン、イソプロピルエーテル、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。水との共沸温度が150℃を超えると、反応時の反応系内の温度管理や留出物の凝縮液化処理等の制御等を含む取り扱い性が低下するおそれがある。
【0055】
上記脱水溶剤を用いるエステル化反応操作において、脱水溶剤の使用量としては、反応原料であるアルコール及び酸の合計仕込量を100質量%とすると、0〜100質量%とすることが好ましい。100質量%を超えると、過剰に添加することに見合う効果が得られず、また、反応温度を一定に維持するために多くの熱量が必要となり、経済的な面から不利となるおそれがある。より好ましくは、2〜50質量%である。
【0056】
上記エステル化反応工程において、エステル化反応は、回分式や連続式いずれの反応操作方法によっても行い得るが、回分式で行うことが好ましい。また、反応条件としては特に限定されず、反応が円滑に進行する条件であればよいが、例えば、反応温度としては、30〜180℃とすることが好ましい。より好ましくは、60〜130℃であり、更に好ましくは、90〜125℃であり、最も好ましくは、100〜120℃である。30℃未満であると、脱水溶剤の還流が遅くなり、脱水に時間がかかる他、反応が進行しにくくなるおそれがあり、180℃を超えると、反応原料の一部が分解することにより、エステル系単量体により得られる重合体において、セメント分散性能等の各種用途における分散性能や増粘特性の低下や、反応原料の重合、留出物への反応原料の混入量の増加、エステル系単量体の性能及び品質の劣化等が生じるおそれがある。
【0057】
上記反応条件において、反応時間としては、後述するように反応率が70%以上に達するまでとすることが好ましい。より好ましくは、80%以上に達するまで、更により好ましくは98%以上に達するまでである。通常では、1〜100時間、好ましくは3〜60時間である。また、反応圧力としては、常圧又は減圧下のいずれで行ってもよいが、設備面から、常圧下で行うことが好ましい。なお、これらの反応条件は、本発明におけるエステル化反応工程の一般的な意味でのエステル化反応の条件であり、上述した脱水溶剤を反応系外に反応生成水と共沸させ、反応生成水を凝縮液化して分離除去しながら還流させる場合には、これらの範囲内に含まれるが、完全に一致するものではない。
【0058】
上記エステル化反応の反応率としては、70%以上となるように設定することが好ましい。70%未満であると、製造されるエステルの収率が不充分であり、これを重合原料として得られるセメント添加剤用重合体等の用途性能、すなわちセメント分散能等が低下するおそれがある。より好ましくは、70〜99%、更に好ましくは、80〜98%である。なお、上記反応率とは、反応原料であるアルコールの仕込み時及び反応終了時の量の比率であって、例えば、下記測定条件で液体クロマトグラフィー(LC)により各々のピーク面積として測定することにより、下記式により算出される値(%)である。
【0059】
【数2】
Figure 0004293759
【0060】
反応率測定条件
解析装置:Waters社製 Millennium クロマトグラフィーマネージャー(商品名)
検出器:Waters社製 410 RI検出器(商品名)
使用カラム:GLサイエンス社製 イナートシルODS−2(内径4.6mm、長さ250mm)(商品名) 3本
カラム温度:40℃
溶離液:水8946g、アセトニトリル6000g及び酢酸54gを混合して、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH4.0に調整した溶液を用いる。
流速:0.6ml/min
【0061】
本発明におけるエステル系単量体を生成させる方法では、エステル化反応工程において酸触媒を用いた場合には、酸触媒や(メタ)アクリル酸を中和する中和工程を行うことが好ましい。これにより、触媒が活性を失い、エステル化反応により得られるエステル系単量体の加水分解が抑制され、重合に関与しない不純物の発生が抑制された結果、重合体の品質や性能の低下を抑制することが可能となる。また、脱水溶剤を用いた場合には、該脱水溶剤を取り除くため、脱水溶剤を留去する溶剤留去工程を行うことが好ましい。
【0062】
上記中和工程の方法としては、例えば、エステル化反応の終了後、酸触媒を中和剤で中和することにより行う方法が好ましい。
上記中和剤としては、酸触媒を中和できるものであれば特に制限はない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩;アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類等を挙げられることができ、これらが1種又は2種以上使用される。また、中和剤の形態としては特に限定されず、例えば、アルカリ水溶液の形態とすることが好ましい。
【0063】
上記中和工程では、酸触媒や(メタ)アクリル酸が中和されることになるが、酸触媒の全部と、(メタ)アクリル酸の一部が中和されるように設定することが好ましい。この場合、中和される(メタ)アクリル酸は、エステル化反応後の残りの(メタ)アクリル酸を100質量%とすると、20質量%以下、好ましくは、0.01〜5質量%であることが好ましい。なお、酸触媒と(メタ)アクリル酸とでは、酸触媒の方が酸強度が大きいため、酸触媒から中和されることになる。
【0064】
上記中和工程における中和方法では、脱水溶剤中でエステル化反応を行う場合には、アルカリと共に多量の水を反応系に添加することが好ましい。すなわち多量の水がない状態では、アルカリが脱水溶剤に難溶であるために濃い状態で系内に浮遊し、このような高濃度のアルカリの浮遊は中和に消費されるまでの長時間にわたって消失せず、エステル系単量体の加水分解を引き起こすことになる。この場合、水の添加量としては、アルカリの使用形態にもよるが、例えば、40〜60質量%のアルカリ水溶液を中和剤として添加する場合には、アルカリ水溶液とは別に、アルカリ水溶液の1重量部に対して、通常5〜1000重量部とすることが好ましい。より好ましくは、10〜100重量部である。5重量部未満であると、アルカリが反応系内で不均一になるおそれがあり、1000重量部を超えると、生産性を確保するために中和槽が別途必要となる等、生産コストが上昇するおそれがある。
【0065】
上記中和工程における中和温度としては、例えば、90℃以下とすることが好ましい。より好ましくは、0〜80℃である。更により好ましくは、25〜65℃である。90℃を超えると、添加される中和剤が加水分解の触媒として作用し、加水分解生成物を多量に生成するようになるおそれがある。80℃以下であると、加水分解生成物の生成がより充分に抑制されることになるが、0℃未満であると、反応液が粘稠になることに起因して攪拌がしにくくなる他、反応後に水を留去するため所定の温度まで昇温するのに長時間を要したり、室温よりも低い温度まで降温するのに新たに冷却手段(装置)を設けたりする必要が生じて生産コストが上昇するおそれがある。
【0066】
上記溶剤留去工程において、脱水溶剤の留去方法としては特に限定されず、例えば、脱水溶剤のみを留出するようにして留去してもよく、他の適当な添加剤を加えて留去してもよいが、水を用いて脱水溶剤と共沸させて留去することが好ましい。この場合、中和工程が行われているときには、反応系内に酸触媒やアルカリが実質的に存在しないため、水を加えて昇温しても加水分解反応が起こらない。このような方法により、より低い温度で効率よく脱水溶剤を除去することができることになる。
【0067】
上記留去方法の条件としては、反応系内の脱水溶剤を好適に留出(蒸発)させるように設定すれば特に限定されず、例えば、溶剤留去中のエステル化反応用反応槽内の液温(常圧下)としては、水を用いる場合には、通常80〜120℃とすることが好ましい。より好ましくは、90〜110℃である。また、水を用いない場合には、通常80〜160℃とすることが好ましい。より好ましくは、90〜150℃である。上記のいずれも場合にも、上記温度よりも低いと、脱水溶剤を蒸発させるのに充分な温度(熱量)とはならないおそれがあり、上記温度よりも高いと、重合を引き起こすおそれがある他、多くの熱量が大量の低沸点原料の蒸発に消費されるおそれがある。エステル化反応用反応槽内の圧力としては、常圧下又は減圧下いずれで行ってもよいが、設備面から、常圧下で行うことが好ましい。
上記溶剤留去工程において用いる装置系としては、エステル化反応工程で用いた装置系をそのまま使用することが好ましい。
【0068】
本発明の洗浄水の利用方法を用いることにより得られるエステル系単量体は、各種の重合体を製造するための製造原料として好適に適用されることになる。このような重合体は、例えば、セメント添加剤の製造原料として好適に用いることができるが、その他にも、炭酸カルシウム、カーボンブラック、インク等の顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、石炭・水スラリー(CWM)用分散剤、増粘剤等の化学製品に用いることもできる。
【0069】
以下では、洗浄水の利用方法を用いることにより得られるエステル系単量体を製造原料とするセメント添加剤用重合体の製造方法や、該セメント添加剤用重合体を含有するセメント添加剤を製造する方法、該セメント添加剤を使用する方法について説明する。
【0070】
上記セメント添加剤用重合体としては、得られたエステル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体を必須成分とする単量体を重合して得られるポリカルボン酸系重合体が挙げられる。このようなポリカルボン酸系重合体の重合方法としては、特に制限はなく、例えば、重合開始剤を用いての溶液重合や塊状重合等の公知の重合方法を採用できる。
【0071】
上記不飽和カルボン酸系単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、シトロネル酸、ウンデシレン酸、エライジン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;これらのジカルボン酸とアルコールのモノエステル類等を挙げることができ、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩を挙げることができる。
【0072】
ポリカルボン酸系重合体には、必要に応じて不飽和カルボン酸系単量体以外の単量体を共重合させることもできる。この様な単量体としては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類やそれらの一価金属塩、二価金属塩、アルモニウム塩、有機アミン塩類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;炭素数1〜18、好ましくは1〜15の脂肪族アルコールやベンジルアルコール等のフェニル基を有するアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0073】
上記ポリカルボン酸系重合体は、特定の重量平均分子量を有する重合体であることが好ましい。例えば、下記測定条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算での重量平均分子量としては、例えば、500〜500000であることが好ましい。500未満であると、セメント添加剤の減水性能が低下するおそれがあり、500000を超えると、セメント添加剤の減水性能、スランプロス防止能が低下するおそれがある。より好ましくは、5000〜300000であり、最も好ましくは8000〜100000の範囲である。
【0074】
上記GPCは、溶離液貯蔵槽、溶離液の送液装置、オートサンプラー、カラムオーブン、カラム、検出器、データ処理機等から構成される。例えば、下記の市販の装置を組み合わせることにより測定条件を設定して分子量を測定することができる。
【0075】
分子量測定条件
機種 :LCモジュール1plus(商品名、WATERS社製)
検出器:示差屈折計(RI)410示差屈折計(商品名、WATERS社製)
溶離液:0.05M 酢酸ナトリウム、アセトニトリル/イオン交換水=40/60混合液を酢酸でpHを6に調整したものを使用する。
溶離液の流量:1.0ml/min
カラム:
TSK−GEL ガードカラム(内径6mm、長さ40mm)
+TSK−GEL G−4000SWXL(内径7.8mm、長さ300mm)
+TSK−GEL G−3000SWXL(内径7.8mm、長さ300mm)
+TSK−GEL G−2000SWXL(内径7.8mm、長さ300mm)
(いずれも商品名、東ソー社製)
カラムオーブンの温度:40℃
【0076】
検量線:検量線は、標準試料の分子量や数、ベースラインの引き方、検量線近似式の作製方法等により変化する。このため、以下の条件を設定することが好ましい。
1.標準試料
標準試料には、市販の標準ポリエチレンオキシド(PEO)と標準ポリエチレングリコール(PEG)を使用する。標準試料には、次の分子量のものを使用することが好ましい。
1470、4250、7100、12600、24000、46000、85000、219300、272500(合計9点)
これらの標準試料は、以下の点に配慮して選択した。
(1)分子量900以上の標準試料を7点以上使用する。
(2)分子量900〜2000の標準試料を少なくとも1点含む。
(3)分子量2000〜60000の標準試料を少なくとも3点含む。
(4)分子量200000±30000の標準試料を少なくとも1点含む。
(5)分子量270000±30000の標準試料を少なくとも1点含む。
【0077】
2.ベースラインの引き方
分子量の上限:水平で安定なベースラインからピークが立ち上がる点とする。
分子量の下限:主ピークの検出が終了した点とする。
3.検量線の近似式
上記標準試料を用いて作製した検量線(「溶出時間」対「log分子量」)は3次式の近似式を作製し、これを計算に用いる。
【0078】
上記ポリカルボン酸系重合体を含有するセメント添加剤では、良好なセメント分散性能及びスランプ保持性能を発揮することができるが、必要により、ポリカルボン酸系重合体以外の公知のセメント添加剤を更に配合してもよい。
【0079】
上記セメント添加剤ではまた、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶性高分子物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、消泡剤等を配合することができる。
このようにして得られるセメント添加剤は、セメントや水を含有するセメント組成物として、例えば、ポルトランドセメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメント、各種混合セメント等の水硬セメントや、石膏等のセメント以外の水硬性材料に用いられることになる。
【0080】
上記セメント添加剤の水硬性材料への添加量としては、従来のセメント添加剤に比較して少量の添加でも優れた効果を発揮することになるが、例えば、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメントの質量を100質量%とすると、0.001〜5質量%となるような比率の量を練り混ぜの際に添加すればよい。0.001質量%未満であると、セメント添加剤の作用効果が充分に発揮されないおそれがあり、5質量%を超えると、その効果は実質的に頭打ちとなり、経済性の面からも不利となるおそれがある。より好ましくは、好ましくは0.01〜1質量%である。これにより、高減水率の達成、スランプロス防止性能の向上、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の作用効果を奏することになる。
【0081】
【発明の実施の形態】
本発明の洗浄水の利用方法について、エステル化反応工程等を含めた装置構成の一実施形態の概略図を示した図4を用いて説明する。なお、このような実施形態は本発明の代表的な一例であり、本発明の実施形態はこれに限られるものではない。
【0082】
図4では、先ず所定温度まで昇温してエステル化反応工程を行った後、所定温度まで降温して中和工程を行い、次いで所定温度まで昇温し脱水溶剤の溶剤留去工程を行った後に洗浄工程を行うための装置構成が示されている。このような装置構成では、反応槽101内で脱水反応時に生成される反応生成水を含む留出物を留出させ、ゲル状物の発生を防止しながらコンデンサ125にて凝縮液化した後に、水分離器127にて反応生成水を分離除去し、残りの留出物をポンプ142により所定の溶剤循環速度で還流させて反応槽101に戻す循環機構が形成されている。このような循環機構では、反応槽101上部と向流又は並流接触形式の縦型多管式円管形コンデンサ125の塔頂部とが連結管123により連結され、コンデンサ125の下底部と水分離器127の上部とが供給管(配管)129により連結されることにより、反応槽101と水分離器127とが供給管129で繋がっている。
以下では、エステル化反応について説明する。
【0083】
反応槽101は、内部ヒータ等の直接加熱方式、外部ジャケット等の間接の熱交換方式等の熱交換手段として、加庄スチーム等を熱媒体に使用し得る外部ジャケット102が設けられている。また、反応槽101内には、反応温度を計測するための温度センサ(図示せず)が適当な数カ所の部位に取り付けられている。このような温度センサは、反応温度を規定の温度に保つのに必要な装置機構等を制御するための制御部本体(図示せず)に電気的に接続されている。上記装置機構としては、例えば、反応槽101に取り付けられたジャケット102等が挙げられる。
【0084】
上記反応槽101はまた、解圧弁及び蒸気供給弁(いずれも図示せず)が反応槽の上部に備えられ、液抜き出し弁(図示せず)が反応槽の下部に備えられている。また、蒸気を供給するための配管170が蒸気供給弁に連結されている。反応槽101の下部には、エステル化反応により反応槽101内部に合成されたエステル系単量体を回収するためのタンク171が備えられ、配管153により液抜き出し弁に連結されている。これにより、蒸気が凝縮して生じた凝縮水を液抜き出し弁から配管153を通じてタンク171に流出させるような構成となっている。タンク171には配管172が連結され、重合用反応槽へ移送されることになる。
【0085】
上記水分離器127は、SUS304製であり、その内部には仕切板131が設けられており、仕切板131で区切られた2つの室133及び134が形成されている。このうち、コンデンサ125で凝縮液化された留出物が貯められる側の室133の下部と反応生成水の処理タンク135とが配管137により連結されている。処理タンク135には廃水用の配管139が連結され、水分離器127のもう一方の室134の下部と反応槽101とが配管141で連結され、この配管141には、反応槽101内の反応生成水と共沸する脱水溶剤を貯蔵する脱水溶剤貯蔵タンク143と連結された配管145が合流(連結)されている。また、合流点の手前(水分離器127側)の配管141の経路上には循環ポンプ142が設置され、合流点の後方(反応槽101側)の配管141の経路上には流量計144が設けられている。更に、該流量計144には、計測される流量を積算し、溶剤循環速度を算出するための流量計測システム本体(図示せず)と電気的に接続されている。
【0086】
上記反応槽101には、アルコール原料用のステンレススチール(例えば、SUS316)製の原料貯蔵タンク103、(メタ)アクリル酸原料用の原料貯蔵タンク105、酸触媒用の触媒貯蔵タンク107、及び、脱水反応後に酸触媒を中和処理するための中和剤(中和剤水溶液)を貯蔵したカーボンスチール(例えば、高炭素鋼)製の中和剤貯蔵タンク111が備えられ、それぞれ配管113、115、117及び121により連結されている。配管117には、ポンプ167が設けられている。また、エステル化反応時の反応系(反応槽101)内の重合を防止するための重合禁止剤を貯蔵した重合禁止剤貯蔵タンク109が配管119によりポンプ169を介して連結されている。
【0087】
上記原料貯蔵タンク105では、(メタ)アクリル酸が重合しやすく、例えば、メタクリル酸では、長期の保存や熱等によっても重合するため、通常では0.1質量%メトキノン等の微量の重合禁止剤が(メタ)アクリル酸に添加されている。また、図4では、常時30〜40℃に保温するため、ポンプ116を用いた外部ジャケット150(保温手段)を有する循環経路151が設けられ、(メタ)アクリル酸原料を常に30〜40℃に保持して重合しないように循環させるような装置構成となっている。
【0088】
上記原料貯蔵タンク105、配管115、ポンプ116及び循環経路151内部には、腐食性を有する(メタ)アクリル酸による腐食を防止するため、合成樹脂等の耐食性材料によるライニング加工が施されているものを使用することが好ましい。同様に、触媒貯蔵タンク107、配管117、ポンプ167にも酸触媒による腐食を防止するためにテフロン(R)、塩化ビニル等合成樹脂等の耐酸性材料によるライニング加工が施されているものを使用することが好ましく、ポンプ167にはマグネットポンプを用いることが好ましい。重合禁止剤の貯蔵タンク109、ゲル化防止剤の貯蔵タンク147、159には、攪拌装置を備えている(図示せず)。粉末状の重合禁止剤を溶剤に溶解させる場合には、充分に攪拌を行い、完全に溶解させることが好ましい。しかしながら、何らかの原因で完全に溶解していない重合禁止剤又はゲル化防止剤の溶液を、ポンプ160、169、179で移送すると、ポンプは閉塞を起こし停止することがある。このような事態は、溶解さえ充分であれば起こり得ないことであるが、ポンプ160、169、179には、少々のスラリー状の液体が移送されても滞りなく移送を継続できるポンプが好ましい。また、溶剤に溶解した重合禁止剤又はゲル化防止剤を移送する場合には、テフロン(R)、バイトン(いずれも商品名)等の耐薬性の材料でシールされたポンプを使用することが好ましい。この様な条件を満たすポンプとしては、モーノポンプ(兵神装備社製)に適当なシールを施すのが最適である。
【0089】
上記図4ではまた、コンデンサ125におけるゲル状物の発生を抑制するため、コンデンサ125の塔頂部には噴霧ノズル126が設けられており、この噴霧ノズル126は、留出物のゲル化防止用のゲル化防止剤を貯蔵するゲル化防止剤貯蔵タンク147と配管149によりポンプ179介して連結されている。同様に、反応槽101と連結管123の接続部付近には、噴霧ノズル(図示せず)が連結管123側から反応槽101側に向けて噴霧できるように設けられており、この噴霧ノズルは水分離器127と配管141により連結されている。
【0090】
上記循環機構の一部は、エステル化反応後に、系内(反応槽101内)の生成物であるエステル系単量体を含有する溶液から脱水溶剤を含む留出物を留出し、ゲル状物の発生を防止しながら凝縮液化した後に、脱水溶剤を含む留出物を系外に除去するための循環機構としても利用されている。このような循環機構では、水分離器127に、配管157を介して、脱水溶媒を減圧吸引により除去するために真空ポンプ(エゼクタ)155が取り付けられている。また、上記図4では、脱水溶剤を含む留出物のゲル化を防止するため、新たにコンデンサ125の塔頂部に設けられた噴霧ノズル126に、水溶性重合禁止剤を溶かした水溶液(以下、単に「水溶性ゲル化防止剤」ともいう)を貯蔵する水溶性ゲル化防止剤貯蔵タンク159が配管161により連結されている。
【0091】
上記図4では、以上の装置構成により、以下に説明するようにエステル系単量体の製造が行われることになる。
先ず、エステル化反応工程として、反応槽101内部に、各原料貯蔵タンク103及び105、触媒貯蔵タンク107、重合禁止剤貯蔵タンク109、並びに、脱水溶剤貯蔵タンク143より、配管113、115、117、119及び配管145を介した配管141を通じて、反応原料であるアルコール及び(メタ)アクリル酸、酸触媒、重合禁止剤及び脱水溶剤をそれぞれ所定量を仕込み、適宜設定された反応温度、ジャケット温度、圧力等の反応条件でエステル化反応を行う。これにより逐次生成する反応生成水は、反応槽101内に仕込まれた脱水溶剤と共沸され連結管123を通じて留出されることになる。留出されてきたガス流体、すなわち溶剤−水共沸物である留出物は、コンデンサ125に通され凝縮液化される。また、上記図4では、ゲル化防止剤貯蔵タンク147より配管149を通じてコンデンサ125の塔頂部に設けられた噴霧ノズル126から所定量のゲル化防止剤を連続的に噴霧して、ガス流体や凝縮液化物である留出物と並流接触させている。
【0092】
次いで、凝縮液化された留出物は、コンデンサ125の下部より配管129を通じて水分離器127の室133に貯められ、水相と溶剤相の2層に分離されることになる。このうち、下層部の反応生成水は、室133の下部より配管137を通じて逐次抜かれ、反応生成水の処理タンク135に貯められる。そして、処理タンク135内で、必要に応じて、環境基準(廃水基準)値を満足するように化学的又は生物学的に処理された後、配管139を通じて、本装置系外に廃水される。一方、水分離器127において、ノズル126より噴霧されたゲル化防止剤を含有する溶剤相は、仕切板131をオーバーフローして隣の室134に貯められる。そして、溶剤相は該室134の下部よりポンプ142により配管141を通じて所定の溶媒循環速度で還流され反応槽101に戻されることになる。このとき一部は反応槽101と連結管123の接続部付近に設けられた噴霧ノズルを通して噴霧され、反応槽101と連結管123の接続部付近でのゲル化を防止している。
【0093】
更に、中和工程として、エステル化反応終了後、降温し反応槽101の内温(液温)が、例えば、60℃以下に降温するまで、反応槽101の外部ジャケット102に冷媒を通じて降温し、その後は所定温度以下を維持するように適宜調整しながら、中和剤貯蔵タンク111より配管121を通じて反応槽101内に、多量の水により所定の濃度まで薄められたアルカリ水溶液(中和剤)を添加することにより酸触媒や(メタ)アクリル酸の一部を部分中和することになる。
【0094】
上記中和工程が終了後、溶剤留去工程として、常圧下に、反応槽101の外部ジャケット102に熱媒(加圧スチーム)を通じて所定の温度まで昇温することにより、反応槽101内の脱水溶剤及び部分中和処理の際に加えられている多量の水の他、(メタ)アクリル酸等の未反応の低沸点原料も共沸されて、連結管123を通じて留出されることになる。留出されてきたガス流体である溶剤−水共沸物は、コンデンサ125に通され凝縮液化されることになる。
【0095】
上記溶剤留去工程において凝縮液化された留出物は、上記エステル化反応工程における凝縮液化された留出物と同様に処理されることになる。
上記溶剤留去工程においては、溶剤と共に水がコンデンサ125に入る。重合性化合物が水相側においてゲル化することを防止するため、水溶性ゲル化防止剤貯蔵タンク159より配管161を通じてコンデンサ125の塔頂部に設けられた噴霧ノズル126から所定量の水溶性ゲル化防止剤を連続的に滴下して、留出物と並流接触させることが好ましい。
【0096】
上記溶剤留去工程の後、反応槽101内に、配管(図示せず)により連結されている水貯蔵タンク(図示せず)又は上水管(図示せず)より調整水を添加して所望のエステル系単量体の水溶液を得ることになる。得られるエステル系単量体の水溶液は、配管153よりタンク171に回収(貯蔵)された後、反応槽101の洗浄工程が行われることになる。
【0097】
上記洗浄工程では、解圧弁を開けた状態で蒸気を配管170を通じて蒸気供給弁から反応槽101に供給する操作を液抜き出し弁を開けた状態で行うことになる。このとき、洗浄水は液抜き出し弁から配管153を通じてタンク171に流出し、洗浄水がタンク171中のエステル系単量体の水溶液に混合されることになる。洗浄水は高温であるが、反応槽101中に実質的に滞留しないでタンク171中のエステル系単量体の水溶液に混合されることにより、洗浄水中に含有されるエステル系単量体が重合してゲル状物が生じることはなく、配管172を通じて重合工程へ移送されることにより、重合反応に利用されることになる。
【0098】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味し、「%」は、「質量%」を意味する。
【0099】
実施例1
エステル化反応
温度計、攪拌機、生成水分離器及び円柱型還流冷却管(コンデンサ)各1個を備えた外部ジャケット付円筒型反応槽にメトキシポリ(n=25)エチレングリコール16500部、メタクリル酸4870部、パラトルエンスルホン酸水和物の70%水溶液550部、フェノチアジン5部及びシクロヘキサン1380部を仕込み、反応温度115℃でエステル化反応を行った。反応槽には、内径3.0m、高さ3.8mの円柱の上部と下部を楕円曲面(2対1)とした俵型の反応槽を用いた。反応槽の容量は約30m3である。反応槽は、蒸気や温水による加熱ができる外部ジャケット、2段各3枚の後退翼((上段)羽根径1.05m、羽根幅0.12m、(下段)羽根径1.65m、羽根幅0.12m)及び邪魔棒を備えた攪拌装置、底部には反応液の抜き出し等に使用するフラッシュ弁、上部にはマンホールや原料投入口や解圧弁等を装備した。材質はSUS製とし、反応槽内部及び攪拌装置はグラスライニングとした。反応槽は、反応槽の中心から1.15mの位置に内径0.2mの連結管を接続できる構造である。コンデンサには、縦型固定管板式熱交換器を作製して用いた。コンデンサは、胴部(シェル)内径0.85m、高さ4.0mの円柱の上部と下部を楕円曲面(2対1)とした俵型であり、内部には上下の管板及び7枚の邪魔板と、624本の伝熱管(チューブ)(外径24mm、内径20mm、長さ3.5m)等を装備した。伝熱面績は161m2である。材質はSUS304製とした。なお、上部管板面と伝熱管の溶接部は全て平坦になるように研磨し、液溜まりが生じないようにした。コンデンサは、塔頂部にゲル化防止剤の溶液を噴霧できる構造となっている。反応槽とコンデンサの塔頂部を接続する連結管の水平換算長さは、1.55mであり、反応槽側からコンデンサ側に0.57°の下り勾配を持っており、反応槽の中心からコンデンサの中心までの距離は、2.7mである。
【0100】
別途、溶解槽にフェノチアジン0.5部とシクロヘキサン640部を混合し、シクロヘキサンの還流開始(内温107℃)からエステル化反応終了までの間、コンデンサの塔頂部ヘモーノポンプ(兵神装備社製)を用いてスプレーノズルから噴霧した。また、反応槽の連結部にも、シクロヘキサンをスプレーノズルから噴霧して、メタクリル酸の重合を防止した。約20時間でエステル化率が99%に達したのを確認した。得られたエステル化反応液に65℃以下で4.2%水酸化ナトリウム水溶液2590部及び水2260部を加えてパラトルエンスルホン酸とメタクリル酸の一部を中和した。中和後98℃まで昇温し、シクロヘキサンを水との共沸で留去した。シクロヘキサンの留去中、コンデンサの塔頂部ヘハイドロキノン1部を含む水350部を、モーノポンプを用いて噴霧した。また連結管のジャケットには、上部から蒸気を吹き込み、下部の2箇所の出口(反応槽側とコンデンサ側)からドレイン及び蒸気を抜き出すことによって保温した。そして、シクロヘキサン留去後冷却してエステル化物の水溶液(M1)を得た。得られた水溶液(M1)は、反応槽底部のフラッシュ弁を開くことで、反応槽の下部に設けたタンク(処理槽)に移送した。
【0101】
反応槽の洗浄
移送後、反応槽上部の解圧弁と反応槽底部のフラッシュ弁を開き、反応槽に蒸気(温度120℃)を導入することによって反応槽を洗浄した。蒸気で洗浄中、反応槽内の圧力は0.12MPa以下であった。蒸気は凝縮して反応槽底部のフラッシュ弁から別途設けた容器に貯蔵した。反応槽に1時間蒸気を通気したとき、230部の凝縮水(ドレイン)が発生した。凝縮水の温度は45℃であった。凝縮水230部中には、メトキシポリ(n=25)エチレングリコール(モノ)メタクリル酸エステル3.5重量部、メタクリル酸0.5重量部が含まれていることが、下記測定条件による液体クロマトグラフィー(HPLC)により確認された。
【0102】
HPLCの測定条件
HPLCは、溶離液貯蔵糟、溶離液の送液装置、オートサンプラー、カラムオーブン、カラム、検出器、データ処理機等から構成される。本実施例では、下記の市販の装置を組み合わせることにより測定条件を設定して分子量を測定した。
(設定)
機種 :LCモジュール1plus(商品名、WATERS社製)
検出器:示差屈折計(RI)410示差屈折計(商品名、WATERS社製)
溶離液:りん酸0.1%水溶液/アセトニトリル=50/50(容量比)の混合液(りん酸9gにイオン交換水を加えて9000mlとする。アセトニトリル(試薬特級)9000mlを加えてよく攪拌し、pH2.5の溶離液を得た。)
溶離液の流量:1.0ml/min
カラム:
TKS−ODS 120T(内径4.6mm、長さ250mm)
十TKS−ODS 80TS(内径4.6mm、長さ250mm)(いずれも商品名、東ソー社製)
カラムオーブンの温度:40℃
溶出時聞:メタクリル酸は7.9分、メトキシポリ(n=25)エチレングリコール(モノ)メタクリル酸エステルは9.8分である。
【0103】
洗浄水の利用
上記タンク(処理槽)の水溶液(M1)を攪拌しながら、容器に貯蔵した上記凝縮水230部を投入し、水溶液(J1)を得た。
次に、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び円柱型還流冷却管を備えたグラスライニング製反応容器に、水8220重量部を仕込み、攪拌しながら、反応容器内を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気下で水の温度を80℃まで加熱した。更に、上記で得られた水溶液(J1)13250重量部をメルカプトプロピオン酸96重量部に水600重量部を加えた水溶液とスタティックミキサーT8−15−4PT(商品名、ノリタケ社製)で混合しながら4時間かけて反応容器内に滴下し、この滴下開始と同時に重合開始剤として過硫酸アンモニウム125重量部を水1000重量部に溶解した水溶液を5時間かけて滴下した。重合開始剤の滴下終了後、更に1時間引き続いて反応温度を80℃に維持して重合反応を完結させ、反応溶液に49%水酸化ナトリウム水溶液1660重量部及び水3725重量部を加えてpH7まで中和して、重量平均分子量20000の重合体水溶液(P1)を得た。
【0104】
重合体水溶液(P1)のGPCチャートに高分子量のピークは無かった。また、重合体水溶液(P1)を透明なガラスビン(200ml)に採って目視で外観を確認したがゲルはなく、重合体水溶液(P1)の移送ポンプのストレーナーにもゲルは蓄積しなかった。
また、重合中、上記タンク(処理槽)から滴下装置に繋がるポンプの前に設置したストレーナーにもゲルが詰まることはなく、予定通りに一定の速度で水溶液を滴下できた。
【0105】
実施例2
上記実施例1と同様の方法により、エステル化物の水溶液(M1)を得た。
反応糟の洗浄
移送後、反応槽上部の解圧弁を開き、反応槽底部のフラッシュ弁を閉じて、反応槽に蒸気(温度120℃)を導入することによって反応槽を洗浄した。洗浄中、反応槽内の圧力は0.12MPa以下であった。凝縮水の温度は95℃であった。
【0106】
洗浄水の利用
1時間蒸気を通気した後、反応槽底部のフラッシュ弁を開いて凝縮水を下部に設けたタンク(処理槽)に投入した。その際、タンク(処理槽)の水溶液(M1)を攪拌しながら、凝縮水を投入し、水溶液(H1)を得た。
次に、水溶液(J1)を用いる代わりに水溶液(H1)を用いた以外は、実施例1と同様にして重合を行い、重量平均分子量20500の重合体水溶液(B1)を得た。
【0107】
重合体水溶液(B1)のGPCチャートに高分子量の小さなピークがあった。また、重合体水溶液(B1)を透明なガラスビン(200ml)に採って目視で外観を確認した場合にゲルはなかったが、重合体水溶液(B1)の移送ポンプのストレーナーにはゲルが蓄積した。また、重合中上記タンク(処理槽)から滴下装置に繋がるポンプの前に設置したストレーナーにゲルが詰まった。そのため、設定時間で水溶液(H1)の滴下を終了させるために、流路を並列に繋いだ流路に切り替えて、ストレーナーを清掃する必要があった。
【0108】
実施例3
上記実施例1及び実施例2と同様の方法により、エステル化物の水溶液(M1)を得た。
反応槽の洗浄
移迭後、反応槽上部の解圧弁を開き、反応槽底部のフラッシュ弁を開いて、反応槽に蒸気(温度120℃)を導入することによって反応槽を洗浄した。洗浄中、反応槽内の圧力は0.12MPa以下であった。凝縮水の温度は95℃であった。
【0109】
洗浄水の利用
1時間蒸気を通気している間、反応槽底部のフラッシュ弁を開いて凝縮水を下部に設けたタンク(処理槽)に投入し、水溶液(J2)を得た。その際、タンク(処理槽)の水溶液(M1)は攪拌しながら、凝縮水を投入した。タンクの水溶液(M1)の温度は37℃であったが、凝縮水を投入することにより38℃になった。
次に、水溶液(J1)を用いる代わりに水溶液(J2)を用いた以外は、実施例1と同様にして重合を行い、重量平均分子量20000の重合体水溶液(P2)を得た。
【0110】
重合体水溶液(P2)のGPCチャートに高分子量のピークは無かった。また、重合体水溶液(P2)を透明なガラスビン(200ml)に採って目視で外観を確認したがゲルはなく、重合体水溶液(P2)の移送ポンプのストレーナーにもゲルは蓄積しなかった。
また、重合中、上記タンク(処理槽)から滴下装置に繋がるポンプの前に設置したストレーナーにもゲルが詰まることはなく、予定通りに一定の速度で水溶液を滴下できた。
【0111】
比較例1
上記実施例1と同様の方法により反応槽の洗浄を行い、230部の凝縮水が発生した。この凝縮水を廃棄し、1部当り5円の廃棄費用が発生した。
【0112】
【発明の効果】
本発明の洗浄水の利用方法は、上述の構成よりなるので、廃液処理費用を低減させ、エステル系単量体の回収率を向上させることができ、また、洗浄水を含有したエステル系単量体を高品質のものとすることができる。このようなエステル系単量体は、セメント添加剤や炭酸カルシウム、カーボンブラック、インク等の顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、石炭・水スラリー(CWM)用分散剤、増粘剤等の化学製品の製造原料として好適に用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄水の利用方法の実施形態の一例を示す概念図である。
【図2】本発明における洗浄水の利用方法における操作方法の一形態を示した概念図である。
【図3】本発明における洗浄水の利用方法における操作方法の一形態を示した概念図である。
【図4】本発明の洗浄水の利用方法に用いられる装置構成の一形態を示した概略図である。
【符号の説明】
101 反応槽
102、150 ジャケット
103 アルコール用の原料貯蔵タンク
105 (メタ)アクリル酸用の原料貯蔵タンク
107 触媒貯蔵タンク
109 重合禁止剤貯蔵タンク
111 中和剤貯蔵タンク
113、115、117、119、121、137、139、141、145、149、153、157、161、170、172 配管
116、160、167、169、179 ポンプ
123 連結管
125 コンデンサ
126 噴霧ノズル
127 水分離器
129 供給管(配管)
131 仕切板
133、134 水分離器内部の室
135 反応生成水の処理タンク
142 循環ポンプ
143 脱水溶剤貯蔵タンク
144 流量計
147 ゲル化防止剤貯蔵タンク
151 循環経路
155 真空ポンプ
159 水溶性ゲル化防止剤貯蔵タンク
171 タンク(処理槽)

Claims (5)

  1. エステル系単量体を容器から取り出した後、該容器を洗浄して生じる洗浄水を利用する方法であって、
    該洗浄水の利用方法は、該容器から取り出した洗浄水をエステル系単量体に混合し、該洗浄水を該エステル系単量体の重合工程に利用する方法であり、
    該洗浄水は、蒸気を用いて該容器を洗浄した際に生じる凝縮水を含むものであって、
    該容器は、液抜き出し口及び蒸気供給口を必須として備えたものであり、
    該洗浄は、洗浄水が実質的に該容器中に滞留しないように液抜き出し口を開けて、蒸気供給口から蒸気を供給する操作を含むものである
    ことを特徴とする洗浄水の利用方法。
  2. 前記エステル系単量体は、アルコールと、カルボキシル基を有する不飽和単量体とを含む反応液をエステル化反応させて得られるものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄水の利用方法。
  3. 前記エステル系単量体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄水の利用方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄水の利用方法を用い、エステル系単量体を重合して重合体を製造する
    ことを特徴とする重合体の製造方法。
  5. 前記製造方法は、前記エステル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを必須とする単量体を重合してポリカルボン酸系重合体を製造するものである
    ことを特徴とする請求項4に記載の重合体の製造方法。
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