JP3418585B2 - エステル化物の製造方法およびその装置 - Google Patents
エステル化物の製造方法およびその装置Info
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Description
造方法およびその装置に関するものである。詳しくは、
本発明は、式(1):R1O(R2O)nHで示されるア
ルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によ
り、高品質の(メタ)アクリル酸エステル類(本明細書
中では、単に、エステル化物ともいう)を効率よく製造
する方法およびその装置に関するものである。
ボンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケール防止
剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWM用分散剤、増粘
剤等に使用される重合体の原料となる各種アルコキシポ
リアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体成分は、アルコキシポリアルキレングリコー
ルと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応することに
より得られる。こうしたエステル化反応では、同時に反
応生成水が副生するため、この反応生成水を反応系から
除去しないと、平衡反応ゆえにエステル化物を生成する
方向に反応が進まなくなる。そのため、例えば、特開平
9−328346号公報の比較例1に見られるように、
セメント分散剤に使用される重合体成分の原料となる各
種アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体成分を合成するのに、水分離
器を設け、反応生成水を分離できるようにする手法がと
られている。より詳しくは、エステル化反応によるアル
コキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル
酸エステル系単量体の合成として、反応器(セパラブル
フラスコ)に温度計、攪拌機および水分離器を設け、反
応生成水を分離できるようにした反応装置に、メタクリ
ル酸、メトキシポリエチレングリコール(オキシエチレ
ン基の平均付加モル数:10モル)、酸触媒として硫
酸、重合禁止剤としてフェノチアジン、溶剤としてシク
ロヘキサンを仕込み攪拌しながら加熱し、常圧下にシク
ロヘキサン−水共沸物を留出させ、反応生成水を水分離
器で除去しながらシクロヘキサンを還流させる、という
ものである。
ように、エステル化反応の際に、反応生成水を分離除去
するために水分離器を設けること以外は、該反応生成水
を分離除去する上での技術的課題等に関して現在までに
報告されたものはないのが現状である。
は、高品質のエステル化物を効率よく製造すべく鋭意研
究を進める過程で、脱水溶剤−反応生成水の共沸物を留
出しコンデンサ等で凝縮液化を行うときにゲル状物が形
成され、その一部は脱水溶剤とともに還流されることに
より、反応槽内に不純物として留まり、最終的な製品中
に混入され、該製品(例えば、セメント分散剤、顔料分
散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、C
WM用分散剤、増粘剤など)の性能及び品質を低下させ
ることになるほか、工業化してエステル化物を大量生産
する場合には、該ゲル状物がコンデンサなどの内壁など
に付着していき、凝縮時の熱交換効率の低下を招くこと
にもなり、さらに、繰り返し(いわば、連続的に)運転
する場合には、コンデンサ内の流体(主に凝縮後の液
体)の流れを悪くし、ひいては閉塞を招くおそれがある
ため、定期的に運転を止めてコンデンサ内部を洗浄し該
ゲル状物を取り除く必要があるなど、ゲル状物に起因す
る多くの技術的課題が生じることを見出した。
置間の経路(本明細書中では、かかる経路を単にオーバ
ーヘッドラインともいう)を通過する過程で、留出物が
オーバーヘッドラインの内壁面との温度差により該内壁
面に接触若しくはその近傍を流れるうちに冷やされ凝縮
液化することで、配管内にもゲル状物が発生し、繰り返
し運転している間に、このゲル状物が堆積化し、その一
部がコンデンサ内へ流れ流体の流れを悪くし、ひいては
閉塞を招くおそれがあるため、定期的に運転を止めて、
比較的洗浄が困難なオーバーヘッドライン内部をパーツ
毎に分解するなどして洗浄し該ゲル状物を取り除く必要
があるなど、凝縮化装置(本明細書中では、単にコンデ
ンサともいう)の場合と同様の問題が生じることを新た
に見出したものである。
ラインにおけるゲル状物の発生を常に効果的に防止し、
高品質のエスル化物を効率よく低コストで製造すること
のできるエステル化物の製造方法およびその装置を提供
するものである。
的課題を解決すべく鋭意検討した結果、オーバーヘッド
ラインでゲル状物の発生を常に効果的に防止すべく重合
禁止剤を作用することで、本発明者らが見出した新たな
技術課題を解決することができることを知得し、本発明
を完成するに至ったものである。
〜(9)に示すエステル化物の製造方法およびその装置
により達成されるものである。
0の炭化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18
のオキシアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰
り返し単位は同一であってもあるいは異なっていてもよ
く、およびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合
には各R2Oの繰り返し単位はブロック状に付加してい
てもあるいはランダム状に付加していてもよく、ならび
にnはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、
0〜300の数である)で示されるアルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応によりエステル化物
を製造する方法において、溶剤(ゲル化防止剤を含むも
のを除く。)を反応槽から凝縮化装置間の経路の少なく
とも一部で作用させることを特徴とするエステル化物の
製造方法。(2) 前記エステル化反応は脱水溶剤中で行なわれ、
かつ溶剤(ゲル化防止剤を含むものを除く。)は前記脱
水溶剤が凝縮化装置で凝縮された凝縮液の一部に由来す
るものである上記(1)に記載の製造方法。 (3) 前記溶剤(ゲル化防止剤を含むものを除く。)
を、前記反応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも反
応槽側(反応槽とベーパーの立ち上がりラインとの間の
フランジ部近傍)および/または凝縮化装置側の付け根
(コンデンサの塔頂近傍)の部分で作用させる上記
(1)または(2)に記載の製造方法。 (4) 反応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも一
部に重合禁止剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝縮された凝
縮液の一部に由来するものを除く。)供給機構および/
または溶剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝縮された凝縮液
の一部に由来するものを除く。)供給機構が設けられて
いることを特徴とするアルコールと酸によるエステル化
物を製造するときに使用する装置。 (5) 前記重合禁止剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝縮
された凝縮液の一部に由来するものを除く。)供給機構
および/または溶剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝縮され
た凝縮液の一部に由来するものを除く。)供給機構は、
前記反応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも一部に
設けられたノズル部と、前記ノズル部に重合禁止剤(脱
水溶剤を凝縮化装置で凝縮された凝縮液の一部に由来す
るものを除く。)および/または溶剤(脱水溶剤を凝縮
化装置で凝縮された凝縮液の一部に由来するものを除
く。)を供給するための経路とを有してなる上記(4)
に記 載の装置。 (6) 前記ノズル部は前記反応槽から凝縮化装置間の
経路の少なくとも反応槽側(反応槽とベーパーの立ち上
がりラインとの間のフランジ部近傍)および/または凝
縮化装置側の付け根(コンデンサの塔頂近傍)の部分に
設けられてなる上記(5)に記載の装置。 (7) 前記ノズル部は前記反応槽から凝縮化装置間の
経路の少なくとも反応槽側(反応槽とベーパーの立ち上
がりラインとの間のフランジ部近傍)に設けられてなる
上記(6)に記載の装置。 (8) 溶剤(ゲル化防止剤を含むものを除く。)を反
応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも一部で作用さ
せながら、下記式(1):
わし、R 2 Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
基を表わし、この際、各R 2 Oの繰り返し単位は同一で
あってもあるいは異なっていてもよく、およびR 2 Oが
2種以上の混合物の形態である場合には各R 2 Oの繰り
返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
ム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシアルキ
レン基の平均付加モル数を表わし、1〜300の数であ
る)で示されるアルコキシポリアルキレングリコールと
(メタ)アクリル酸とをエステル化反応することによっ
てアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)ア
クリル酸系単量体(a)を得、該アルコキシポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体(a)
5〜98質量%、下記式(2):
水素、一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機
アミン基を表わす)で示される(メタ)アクリル 酸系単
量体(b)95〜2質量%、およびこれらの単量体と共
重合可能な他の単量体(c)0〜50質量%(但し、
(a)、(b)および(c)の合計は100質量%)を
共重合することを特徴とする、セメント分散剤用ポリカ
ルボン酸系共重合体の製造方法。
詳細に説明する前に、本明細書中の用語につき、解釈
上、疑義が生じないように以下に明確に定義する。
原料に対してゲル化防止目的で作用するものであればよ
く、少なくとも重合禁止剤を含有していればよい。
るもの(混合物)を意味し、以下に詳細に説明するが、
エステル化反応工程中あるいはエステル化反応工程終了
後の脱水溶剤留去工程などの工程の種類にかかわらず、
反応槽から留出されるものすべてを包含する。よつて、
本発明による留出物は、存在する状態は特に制限されず
に、ガス状または液状のいずれの状態で存在していても
よい。すなわち、本明細書における「留出物」は、特記
しないかぎり、エステル化反応工程時に生成し、反応槽
から留去される反応生成水、該反応生成水を反応槽から
留出する際に一緒に留出される原料、特に(メタ)アク
リル酸、さらに必要に応じて反応生成水と共沸させる目
的で反応槽に加えられる脱水溶剤を含む留出物;ならび
にエステル化反応工程終了後の脱水溶剤留去工程中に反
応槽から留去される脱水溶剤、及び該脱水溶剤を反応槽
から留出する際に一緒に留出される原料、特に(メタ)
アクリル酸を含む留出物などを包含する。なお、ここで
いう反応槽は、その名称に拘泥されるものではなく、反
応器、反応容器および反応釜などと同じ意味内容で用い
られるものであって、最も広く解されるべきものであ
る。以下、説明の都合上、これら中の表現を適当に用い
ることもあるが、個々の持つ狭い意味内容に本発明が限
定されるべきものではない。同様に、後述するコンデン
サ(凝縮器)も水分離器もその名称に拘泥されるもので
はなく、最も広く解されるべきものである。
てきたものを意味する。また、本発明によると、重合禁
止剤および/または溶剤をオーバーヘッドラインの少な
くとも一部においてエステル化反応時に生成する反応生
成水などの留出物に対して作用させるため、このような
場合には、重合禁止剤および/または溶剤が凝縮液に含
まれる。さらにその後に水分離器で凝縮残液と分離水に
分離されるため、凝縮残液及び分離水双方とも、凝縮液
の定義に含まれ、これらは相互独立的に単独で使用する
こともできる。
溶剤側の成分をいう。「分離水」は凝縮液を水分離器で
分けた水側の成分をいう。溶剤側の成分としては、オー
バーヘッドラインの少なくとも一部で作用させる重合禁
止剤および/または溶剤のほか、必要に応じて使用され
る脱水溶剤等が含まれている。水側の成分としては、反
応生成水や原料等がある。
部分的に分けたもの以外に、該凝縮液を分離して得られ
る凝縮残液および凝縮残液の一部も含まれ得る。
発明のエステル化物の製造方法において、次のように使
用されるものである。すなわち、本発明のエステル化物
の製造方法では、エステル化反応時に生成する反応生成
水を反応槽から留去する必要があるが、留出物中には上
記したように反応生成水以外の成分も含まれるため、直
接大気中に放出することは環境汚染等の問題からできな
いため、かかる反応生成水を反応槽から留出した後に、
適当に処理したり再利用したりできるようにする必要が
ある。そこで、反応槽から留出されてなるものをコンデ
ンサ(凝縮器)に送り、凝縮液化するのに使われる。さ
らにコンデンサの出口から出てきたものを、水分離器に
送り、その性質の違いを利用して2層に分離し、一方の
層の水側の成分からなる分離水と、もう一方の層の溶剤
側の成分からなる凝縮残液とに分けるのに使われる。
は、式(1):R1O(R2O)nH(ただし、式中、R1
は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表わし、R2Oは
炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表わし、こ
の際、各R2Oの繰り返し単位は同一であってもあるい
は異なっていてもよく、およびR2Oが2種以上の混合
物の形態である場合には各R2Oの繰り返し単位はブロ
ック状に付加していてもあるいはランダム状に付加して
いてもよく、ならびにnはオキシアルキレン基の平均付
加モル数を表わし、0〜300の数である)で示される
アルコール(本明細書では、単にアルコールともいう)
と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によりエステ
ル化物を製造する方法において、重合禁止剤および/ま
たは溶剤を反応槽から凝縮化装置間の経路(すなわち、
オーバーヘッドライン)の少なくとも一部で作用させる
ことを特徴とするものである。重合禁止剤をオーバーヘ
ッドラインの少なくとも一部で作用させることにより、
オーバーヘッドラインに重合禁止剤が常に存在する状態
にすることができるので、ゲル状物の発生を常に効果的
に防止することができる。また、溶剤をオーバーヘッド
ラインの少なくとも一部で作用させることにより、溶剤
が常にオーバーヘッドラインの内壁面を覆う状態にして
留出物の乾固を防止することができるので、重合禁止剤
が存在しなくとも重合反応およびその後のゲル発生を効
果的に防止できる。
バーヘッドラインの内壁面を覆い留出物の乾固を防止で
きるものであれば特に制限されず、脱水溶剤を凝縮化装
置で凝縮された凝縮液の一部に由来するものであっても
あるいは別途設けられた溶剤供給機構(例えば、溶剤供
給タンク)から供給されてもよい。後者の場合に使用さ
れる溶剤の具体例としては、水、ベンゼン、トルエン、
キシレン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケ
トン、n−ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。これら
のうち、溶剤の分離・回収工程、安全・品質管理や在庫
管理などの点から、反応槽内に仕込んである脱水溶剤と
同種の溶剤を使用することが好ましい。また、特にエス
テル化反応を脱水溶剤中で行なう際には、溶剤は、脱水
溶剤を凝縮化装置で凝縮された凝縮液の一部、特に凝縮
残液の一部に由来するものであることが好ましい。ま
た、本発明において、ゲル化防止剤をコンデンサで作用
させてもよく、この際、溶剤はこのコンデンサで作用さ
せたゲル化防止剤に由来するものを含むものであっても
よい。ここで、「コンデンサで作用させたゲル化防止剤
に由来するもの」としては、例えば、凝縮残液の一部が
これに相当する。なお、「ゲル化防止剤」、「凝縮残
液」に関しては、上記に定義した通りである。
一部に作用させる場合には、ゲル状物の発生を抑制する
ことができるように、オーバーヘッドライン内を通過す
る留出物に対して、常に溶剤が存在してオーバーヘッド
ラインの内壁を覆うよう、有効に機能するように供給す
ればよい。具体的には、溶剤の流量(流速)は、反応装
置(反応槽や配管、コンデンサ等)の大きさや留出物の
量等により異なるため、一義的に規定することはでき
ず、また、エステル化反応に脱水溶剤を使用し、該脱水
溶剤を留出し還流させる場合には、反応槽内の溶剤量の
増加を極力抑えることができるように使用態様に応じて
適宜決定(規定)すれば良い。例えば、溶剤のオーバー
ヘッドラインへの供給量は、溶剤がオーバーヘッドライ
ンの壁面を覆って留出物の乾固を防止するのに十分な量
であれば特に制限されるものではないが、0.1〜10
0kg/分が好ましい。この際、溶剤の供給量が0.1
kg/分未満では、溶剤の供給が十分でなく、留出物が
オーバーヘッドラインの壁面に乾固してしまい、ゲル状
物の発生を招くおそれがあるため好ましくない。これに
対して、供給量が100kg/分を超えても、添加に見
合うゲル化防止効果は得られず、過剰設備(大型のポン
プや大口径ないし耐圧配管など)になって不経済であ
る。
水と共に留出されてくる低沸点の原料が、オーバーヘッ
ドラインで重合反応を起こすのを抑えることができるも
のであれば特に制限されるものではなく、従来既知の各
種重合禁止剤の中から適宜選択して利用することができ
る。該重合禁止剤としては、具体的には、例えば、フェ
ノチアジン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジ−p
−フルオロフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラ
ジル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチ
ルブチリデン)アニリンオキシド、ベンゾキノン、ハイ
ドロキノン、メトキノン、ブチルカテコール、ニトロソ
ベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィ
ド、クペロン、塩化銅(II)などが挙げられる。これら
のうち、反応生成水や脱水溶剤への溶解性の理由から、
フェノチアジン、ハイドロキノン、メトキノンが好まし
く使用される。これらの重合禁止剤は、単独で使用して
もよいほか、2種以上を混合して使用することもでき
る。
原料の留出量(経時的に増減する)に見合う量、すなわ
ち、留出物の留出開始時からエステル化反応終了まで逐
次留出されてくる低沸点原料に対して常にゲル状物の形
成を効果的に防止することができる量を適宜添加すれば
よく、原料である上記式(1):R1O(R2O)nHで
示されるアルコールおよび(メタ)アクリル酸の全使用
量に対して0.1〜1000質量ppm、好ましくは1
〜500質量ppmの範囲である。原料の使用量に対し
て0.1質量ppm未満の場合には、ゲル状物が生成す
る場合があり不十分な量と言える。一方、原料の使用量
に対して1000質量ppmを超える場合には、重合禁
止能を有効に発現させるには十分過ぎる量であり不経済
となる。また、オーバーヘッドラインで作用させた重合
禁止剤は、最終的に反応槽内に留まり、その後、エステ
ル化反応で得られたエステル化物を用いてさらに重合反
応を行う際に悪影響を及ぼすおそれが生ずるため好まし
くない。なお、使用量の全量を一時に加えたのでは、常
にゲル状物の形成を有効に阻止することができにくいた
め、留出物の留出量に呼応するたかちで、留出物の留出
開始時からエステル化反応終了まで逐次一定量づつを添
加し、最終的な使用量の総計が上記範囲となるように調
整する事が望ましい。
は、重合禁止剤を単体で作用させてもよいが、適当な溶
剤に溶解した溶液(重合禁止剤溶液)にして作用させて
もよいし、凝縮化装置(以下、単にコンデンサともい
う)で作用させるゲル化防止剤の一部を作用させてもよ
いし、コンデンサで作用させたゲル化防止剤に由来する
ものを作用させてもよいし、これらを適当に組み合わせ
て作用させてもよい。
液(重合禁止剤溶液)にして作用させる場合に、該重合
禁止剤を溶解することのできる溶剤としては、特に制限
されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケト
ン、n−ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。また、エ
ステル化反応に脱水溶剤を使用し、該脱水溶剤を留出し
還流させる場合には、重合禁止剤を、溶剤と組み合わせ
て使用して、詳しくは凝縮残液の一部に溶解して、重合
禁止剤溶液として使用してもよい。この場合には、重合
禁止剤溶液に用いた溶剤成分も凝縮残液側に含有されて
反応槽に戻されるため、重合禁止剤を溶解するのに使用
される溶剤や凝縮残液はエステル化反応槽内で脱水溶剤
として有効に作用し得るものであることが望ましい。特
に、反応槽内に仕込んである脱水溶剤と異なる溶剤を重
合禁止剤を溶解するのに用いた場合には、反応槽内の該
溶剤量(濃度)の漸増により、該溶剤を含む脱水溶剤と
反応生成水との共沸点(およびこれに伴う留出速度)が
経時的に変動するため反応槽内部に加える熱量等の制御
管理、さらには原材料の点数の増加に伴い、設備が増加
し、安全・品質管理や在庫管理などが複雑化ないし煩雑
化する等の恐れがあるため、重合禁止剤を溶解するのに
使用される溶剤や凝縮残液は脱水溶剤と同種の溶剤がよ
り好ましい。
には、ゲル状物の発生を抑制することができるように、
オーバーヘッドライン内を通過する留出物に対して、常
に重合禁止剤が存在し、有効に機能するように供給すれ
ばよい。重合禁止剤と溶剤(凝縮残液の一部を含む)と
の混合比率は、特に制限されるものではないが、溶剤1
00質量部に対して重合禁止剤を0.001〜10質量
部、好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。混合
比率が、溶剤100質量部に対して重合禁止剤が0.0
01質量部未満の場合には、上記に規定する重合禁止剤
の使用量を溶解するのに極めて多量の溶剤が必要とな
る。反応槽に戻される脱水溶剤や重合禁止剤量が漸増し
ていくため、増加しても対応可能な大きな反応槽が必要
であり、それにともない反応系の制御管理が複雑化す
る。また重合禁止剤に関しては上述したように、エステ
ル化反応で得られたエステル化物を用いてさらに重合反
応を行う際に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、混合
比率が、溶剤100質量部に対して重合禁止剤が10質
量部を超える場合には、逆に使用する溶剤の量(添加さ
れる全量)が少なくなるため、単位時間当たりの添加量
が制限され、オーバーヘッドラインの内壁部を常に濡れ
た状態に保つことが困難となり、重合禁止剤と未接触の
まま液状化しゲル状物を形成するのを効果的に抑制する
のが困難になる。そのため、単位時間当たりに必要な添
加量を確保するには、原料の使用量に対して上記に規定
する以上の重合禁止剤が必要になり、製造コストが上昇
するほか、その後の重合反応に悪影響を及ぼすおそれが
生ずることになる。
様)をオーバーヘッドラインの少なくとも一部に作用さ
せる場合には、ゲル状物の発生を抑制することができる
ように、重合禁止剤がオーバーヘッドライン内を通過す
る留出物に有効に作用するように供給すればよい。具体
的には、重合禁止剤の添加量は、重合禁止剤の種類、反
応装置(反応槽や配管、コンデンサ等)の大きさや留出
物の量等により異なるため、一義的に規定することはで
きない。例えば、重合禁止剤を適当な溶剤に溶解して重
合禁止剤溶液として作用させる場合には、重合禁止剤溶
液の流量(流速)が、コンデンサの直径(内径)1mに
対する1分間あたりの流量として表わした際に、0.0
1〜40リットル/分・m、好ましくは0.1〜15リ
ットル/分・m、より好ましくは0.1〜5リットル/
分・mである。重合禁止剤溶液の流量が0.01リット
ル/分・m未満の場合には、溶液中の重合禁止剤濃度が
低下し、常に十分なゲル化防止能力を発現させることが
困難となる。一方、重合禁止剤溶液の流量が30リット
ル/分・mを超える場合には、新たに加えられる溶剤量
が増加するため、重合禁止剤の量を減らして、これに代
えて十分な量の凝縮液を用いるとする本発明の主旨の達
成が困難となる。
剤として、上記のものを適当に組み合わせたものをオー
バーヘッドラインで作用させることもできる。
は、オーバーヘッドラインの少なくとも一部であればよ
い。好ましくは、オーバーヘッドラインの反応槽側およ
び/または凝縮化装置側の付け根の部分、配管の折れ曲
がり部で流れが緩やかになる外側や凹凸面のある溶接部
等のように留出物の流れが乱れる部分など、ゲル状物が
発生しやすい部分に作用させることが望ましい。および
/または溶剤を作用させる手段と、他のゲル化防止手段
とを組み合わせて行うこともできる。
(反応槽から凝縮化装置間の経路)の少なくとも一部を
加熱および/または保温することが好ましい。具体的に
は、重合禁止剤および/または溶剤をオーバーヘッドラ
インの反応槽側の付け根の部分等、少なくとも一部で重
合禁止剤および/または溶剤を作用し、重合禁止剤およ
び/または溶剤を作用しないオーバーヘッドライン部分
に加熱および/または保温する手段を施すものである。
これにより、重合禁止剤および/または溶剤を供給しな
いオーバーヘッドライン部分でもゲル状物の発生を効果
的に常に防止することができると共に、当該オーバーヘ
ッドライン部分では重合禁止剤および/または溶剤を常
に効果的に作用させなくともよいので、オーバーヘッド
ライン全域の内壁面を常に濡れた状態にすべく数多くの
ノズル部を設けなくともよく供給機構がシンプルでその
制御も簡単となる。
作用させる手段と共にオーバーヘッドライン部分に適用
できるゲル化防止手段としては、オーバーヘッドライン
の少なくとも一部、好ましくは重合禁止剤および/また
は溶剤を作用させる手段を用いていない部分の、面積換
算で、25%以上、より好ましくは50%、さらに好ま
しくは75%以上を、加熱および/または保温するもの
である。なお、加熱および/または保温する部分は、オ
ーバーヘッドラインの少なくとも一部であればよく、連
続している必要はなく、不連続であってもよい。これに
より、オーバーヘッドラインでのゲル状物の発生を効果
的に常に防止することができ、高品質のエスル化物を効
率よく低コストで製造することができるものである。
は保温する部分において、ガス状の留出物が低温部(具
体的には、オーバーヘッドラインの内壁面)と接触する
ことで凝縮液化しゲル状物を生成していたことから、当
該低温部を留出物が凝縮液化しないように加熱および/
または保温することにより、具体的には、オーバーヘッ
ドライン内の留出物の温度が、共沸温度以上になるよう
に加熱および/または保温するものであればよい。共沸
温度は脱水溶剤の種類により変化するだけでなく、反応
生成水/共沸溶媒の比率(反応の初めと終わりで変化す
る。)、減圧度などにもより変化する。そのため、留出
物の温度を具体的に数字では示しにくいが、好ましくは
25〜200℃、さらに好ましくは50〜150℃、特
に好ましくは60〜100℃の温度範囲になるように加
熱および/または保温することが望ましい。オーバーヘ
ッドライン内の留出物の温度が、共沸温度未満の場合に
は、1年間でゲル状物が多量に発生するようになるため
好ましくない。さらに、該オーバーヘッドライン内の留
出物の温度が25℃未満の場合には、ゲル状物の発生が
一部に確認されるため好ましくない。200℃を超える
場合、それに見合うだけの更なる効果が期待できず不経
済であり、また留出物の一部が重合することが起こり得
るなど好ましくない。
および/または保温する部分)の留出物の温度の変化を
経時的に測定し、制御管理しても良いが、該オーバーヘ
ッドラインの壁の温度または熱媒の温度の方が比較的測
定しやすく、制御管理も行い易いという利点がある。壁
の温度は、壁の構成材料や厚さなどによる熱導伝特性の
違いにより変化するだけでなく、加熱および/または保
温手段(伝熱線や熱媒等)の違いなどにもより変化す
る。そのため、壁の温度を具体的に数字では示しにくい
が、好ましくは25〜400℃、さらに好ましくは50
〜300℃、特に好ましくは60〜200℃の範囲にな
るように加熱および/または保温すればよい。該オーバ
ーヘッドラインの壁の温度または熱媒の温度が25℃未
満の場合には、1年間でゲル状物が多量に発生するよう
になるため好ましくない。400℃を超える場合、それ
に見合うだけの更なる効果が期待できず不経済で、また
留出物の一部が重合することが起こり得るなど好ましく
ない。なお、上記オーバーヘッドライン内の留出物の温
度は、上記に規定する温度範囲内であれば変動してもよ
い。同様に、オーバーヘッドラインの壁の温度も、オー
バーヘッドラインの部位によって温度が異なっていても
よい。すなわち、加熱および/または保温部分は、少な
くとも一部分あればよく、また連続している必要はな
く、不連続であってもよい。
するとは、適当な加熱手段を用いて加熱する場合、
適当な加熱手段と保温手段とを用いて加熱と保温を行う
場合、適当な保温手段を用いて保温する場合をいう。
そして、上記に規定する留出物の温度やオーバーヘッド
ラインの壁の温度は、温度センサなどで経時的な温度変
化を検出しながら、上記に規定する温度範囲を外れない
ように、加熱および/または保温手段を用いて調整すれ
ばよく、その具体的方法は、′外管に通じる媒体を通
じて留出物の温度や内管の壁の温度を制御し得る二重管
(ダブルチューブ)により構成し、該外管に通じる媒体
(蒸気、加圧蒸気、オイル、燃焼排ガスなどの加熱ガス
など)の温度および流量を適当に調節しながら外管に当
該媒体を通じて、オーバーヘッドライン内を通過する留
出物を凝縮液化しないように共沸温度以上になるように
加熱および/または保温する方法、′外設した電熱線
(銅線など)コイルなどの加熱ヒータへの電流量を変動
または電源をオン−オフさせることで所定の設定温度に
保持できるように加熱および/または保温する方法、
′外周部をグラスウールや発泡ウレタン等の保温(断
熱)性の高い部材で被覆することで、上記に規定する温
度範囲に保持できるように保温する方法などが挙げられ
る。さらには、上記手段を適用に組み合わせても良い。
剤や溶剤の供給方法は、例えば、ポンプなどを用いて上
述した重合禁止剤および/または溶剤をそれぞれ貯蔵タ
ンクや留出経路上から適当な供給経路を通じて、オーバ
ーヘッドラインの1〜数ヶ所に設けたノズル部より、オ
ーバーヘッドライン内の留出物の流れを著しく阻害しな
い程度に噴霧や吹付などにより常に内壁面が十分に濡れ
るように供給すればよいが、これらに制限されるもので
はなく、オーバーヘッドラインの内径や長さ、ノズル部
の数、ノズル部の設置位置や向き、ノズル部の形状、さ
らに重合禁止剤および/または溶剤の作用部分、他のゲ
ル化防止手段との併用の有無などに応じて、ガス状物が
流れる配管内への流体物の供給手段(技術)に関する従
来公知の技術を適宜選択して利用する事ができるもので
あり、特に制限されるものではない。
化物の製造方法に関しては、何ら制限されるものではな
く、従来公知の方法などを適宜利用することができるも
のである。以下に、上記に説明した以外の本発明のエス
テル化物の製造方法の好適な実施の形態につき、エステ
ル化工程、部分中和工程、溶剤留去工程の順に工程を追
って説明する。
2O)nHのアルコール及び(メタ)アクリル酸、好まし
くは、さらに脱水溶剤、酸触媒及び重合禁止剤を仕込
み、これら混合物を所定温度で所定のエステル化率にな
るまで、エステル化反応を行う。このエステル化反応時
に生成する反応生成水は、脱水溶剤と共に反応槽から留
出させ、該反応生成水および脱水溶剤を含む留出物をコ
ンデンサにて凝縮液化し、該凝縮液化した凝縮液から反
応生成水を水分離器にて分離除去し、該反応生成水を分
離除去した後の凝縮残液を還流させて反応槽に戻す。
きるアルコール原料は、式(1):R1O(R2O)nH
で示される化合物である。
て、R1は、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表わ
す。R1が炭素原子数30を超える炭化水素基である場
合には、式(1)のアルコールと(メタ)アクリル酸と
のエステル化物を、例えば、(メタ)アクリル酸と共重
合して得られる共重合体の水溶性が低下し、用途性能、
例えば、セメント分散性能などが低下する。好適なR1
の範囲はその使用用途により異なるものであり、例え
ば、セメント分散剤の原料として用いる場合には、R 1
は、炭素原子数1〜18の直鎖若しくは枝分かれ鎖のア
ルキル基およびアリール基が好ましい。R1としては、
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル
基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、ウ
ンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデ
シル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシ
ル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル
基、ドコシル基などのアルキル基;フェニル基などのア
リール基;ベンジル基、ノニルフェニル基などのアルキ
ルフェニル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル
基;アルケニル基;アルキニル基などが挙げられる。こ
れらのうち、セメント分散剤の原料として用いる場合に
は、上述したものであり、具体的には、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基などが挙げら
れる。
ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であ
る。R2Oが炭素原子数18を超えるオキシアルキレン
基である場合には、式(1)のアルコールと(メタ)ア
クリル酸とのエステル化物を、例えば、(メタ)アクリ
ル酸と共重合して得られる共重合体の水溶性が低下し、
用途性能、例えば、セメント分散性能等が低下する。R
2Oとしては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロ
ピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基などが
挙げられ、これらのうち、オキシエチレン基、オキシプ
ロピレン基及びオキシブチレン基であることが好まし
い。また、R2Oの繰り返し単位は、同一であってもあ
るいは異なっていてもよく、2種以上の異なる繰り返し
単位を有する場合には、ブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよい。
300の数であり、R2O(オキシアルキレン基)の繰
り返し単位の平均付加モル数を表わす。nが300を超
える場合には、式(1)の化合物と(メタ)アクリル酸
とのエステル化物の重合性が低下する。この平均付加モ
ル数nも、エステル化反応により得られるエステル化物
の使用目的に応じて、その最適範囲は異なるものであ
り、例えば、セメント分散剤の原料として使用する場合
には、平均付加モル数nは、好ましくは2〜300、よ
り好ましくは5〜200、最も好ましくは8〜150の
数である。また、増粘剤などとして用いる場合には、平
均付加モル数nは、10〜250の数が好ましく、より
好ましくは50〜200である。また、n=0の場合に
は、水との溶解性および沸点の観点から、上記R1は炭
素原子数4以上の炭化水素基が好ましい。すなわち、式
(1):R1O(R2O)nHのn=0の場合、特にメタ
ノールやエタノールなどのアルコールでは低沸点のため
反応生成水とともに蒸発し、さらに反応生成水に溶解す
ることから当該アルコール原料の一部が系外に留去さ
れ、目的とするエステル化物の収率が低下するためであ
る。
れるアルコール原料は、1種のものを単独で使用しても
あるいは2種以上の混合物の形態で使用してもよい。式
(1):R1O(R2O)nHで示されるアルコール原料
が2種以上の混合物での使用形態は、特に制限されるも
のではなく、R1、R2Oまたはnの少なくともいずれか
1つが異なる2種以上の混合物での使用形態であればよ
いが、好ましくはR 1がメチル基とブチル基の2種で
構成されている場合、R2Oがオキシエチレン基とオ
キシプロピレン基の2種で構成されている場合、nが
1〜10のものと11〜100のものの2種で構成され
ている場合、および〜を適宜組み合わせたもの等が
挙げられる。
る(メタ)アクリル酸に関しても、アクリル酸およびメ
タクリル酸を、それぞれ単独で使用しても、あるいは混
合して使用してもよく、その混合比率に関しても任意の
範囲を採用する事ができる。
ルコールと(メタ)アクリル酸との混合比率は、化学量
論的には1:1(モル比)であるが、エステル化反応が
効率良く進行する範囲であれば特に制限されるものでは
なく、通常、一方の原料を過剰に使用してエステル化反
応を速めたり、目的のエステル化物の精製面からは、蒸
留留去し易いより低沸点の原料を過剰に使用するなどし
てもよい。また、本発明では、エステル化反応時に反応
生成水と脱水溶剤を共沸する際に、低沸点の(メタ)ア
クリル酸の一部も留出され、反応系外に持ち出されるた
め、アルコールの使用量(仕込み量)に対して(メタ)
アクリル酸の使用量(仕込み量)を化学量論的に算出さ
れる量よりも過剰に加えることが好ましい。具体的に
は、(メタ)アクリル酸の使用量は、通常、アルコール
1モルに対して、1.0〜30モル、好ましくは1.2
〜10モル、より好ましくは1.5〜10モル、最も好
ましくは2〜10モルである。(メタ)アクリル酸の使
用量がアルコール1モルに対して1.0モル未満である
と、エステル化反応が円滑に進行せず、目的とするエス
テル化物の収率が不十分であり、逆に30モルを超える
と、添加に見合う収率の向上が認められず、不経済であ
り、やはり好ましくない。
下行うことにより、反応を速やかに進行させることがで
きる。使用することのできる酸触媒としては、例えば、
硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キ
シレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、「Nafion」レジン、「Am
berlyst 15」レジン、リンタングステン酸、
塩酸などを水和物および/または水溶液のかたちで用い
るものが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても
よいし、2種以上を混合して使用しても良い。さらに、
アルコール原料を切断しにくい酸触媒がより望ましく、
具体的には、パラトルエンスルホン酸を水和物および/
または水溶液のかたちで用いるものである。
作用を有効に発現する事ができる範囲であれば特に制限
されるものではないが、好ましくは0.4ミリ当量/g
以下であり、より好ましくは0.01〜0.36ミリ当
量/g、特に好ましくは0.05〜0.32ミリ当量/
gの範囲内である。酸触媒の使用量が0.4ミリ当量/
gを超えると、エステル化反応時に反応槽内で形成され
るジエステルの量が増加し、エステル化反応により得ら
れるエステル化物を用いて合成されるセメント分散剤の
セメント分散能が低下する。ここで、酸触媒の使用量
(ミリ当量/g)は、反応に使用した酸触媒のH+の当
量数(ミリ当量)を、原料であるアルコール及び(メ
タ)アクリル酸の合計仕込み量(g)で割った値で表さ
れる。より具体的には下記式によって算出される値であ
る。
水溶液のかたちで用いる場合には、該酸触媒の使用量
は、原料のアルコールと(メタ)アクリル酸の合計質量
に対する該酸触媒中の酸の質量の比をX(質量%)と
し、該酸触媒中の水和物および/または水溶液として存
在する水分の質量の比をY(質量%)とした場合に、0
<Y<1.81X−1.62の関係を満足することがよ
り望ましい。ただし、酸触媒以外の酸成分(例えば、原
料の(メタ)アクリル酸など)や水分(例えば、エステ
ル化反応により生ずる生成水など)は、ここでいうXお
よびYの対象物となりえない。これにより、当該酸触媒
の触媒機能を十分に保持したままで、アルコール原料を
切断する副作用を低減させることができ、極めて高品質
で、セメント分散剤等の各種分散剤、スケール防止剤、
増粘剤等の原料として極めて有用なエステル化物を得る
ことができる。
括、連続、または順次行ってもよいが、作業性の面から
は、反応槽に、原料と共に一括で仕込むのが好ましい。
の存在下で行うことが望ましいものである。重合禁止剤
を用いることにより、原料のアルコール及び(メタ)ア
クリル酸、生成物のエステル化物またはこれらの混合物
の重合を防止することができる。上記エステル化反応に
おいて使用できる重合禁止剤としては、公知の重合禁止
剤が使用できるものであり、特に制限されるものではな
く、また、オーバーヘッドラインの少なくとも一部に作
用するのに使用される重合禁止剤と同一であってもある
いは異なる種類のものであってもよいが、オーバーヘッ
ドラインに供給される重合禁止剤との分離等の操作の煩
雑さなどを考慮すると、オーバーヘッドラインの少なく
とも一部に作用するのに使用される重合禁止剤と同一で
あることが好ましい。エステル化反応に好ましく使用さ
れる重合禁止剤としては、例えば、フェノチアジン、ト
リ−p−ニトロフェニルメチル、ジ−p−フルオロフェ
ニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジル、N−(3
−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)
アニリンオキシド、ベンゾキノン、ハイドロキノン、メ
トキノン、ブチルカテコール、ニトロソベンゼン、ピク
リン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド、クペロン、塩
化銅(II)などが挙げられ、これらの重合禁止剤は、単
独で使用してもよいほか、2種以上を混合して使用する
こともできる。反応生成水、さらには脱水溶剤の溶解性
の理由から、フェノチアジン、ハイドロキノン、メトキ
ノンが好ましく使用され、特に酸触媒を水和物および/
または水溶液の形態で用いる場合には、フェノチアジン
が、反応系内に存在する水溶液中のゲル形成物質に対し
ても有効に機能することができるほか、後述するよう
に、エステル化反応終了後に、脱水溶剤を水との共沸に
より留去する際にも、弱いながらも重合活性のあるハイ
ドロキノンやメトキノン等の水溶性重合禁止剤を用いな
くても極めて有効に重合禁止能を発揮することができ、
高分子量体の形成を効果的におさえることができる点か
ら極めて有用である。
アルコール及び(メタ)アクリル酸の合計仕込量に対し
て、0.001〜1質量%、好ましくは0.001〜
0.1質量%の範囲内である。重合禁止剤の使用量が
0.001質量%未満であると、重合禁止能の発現が十
分でなく、1質量%を超えると、生成物であるエステル
化物中に残留する重合禁止剤量が増えるため、品質及び
性能面から好ましくない。
からより低い温度で反応生成水を反応槽から留出できる
のが望ましいとの観点から、脱水溶剤の存在下でエステ
ル化反応を行う事が望ましい。本明細書中、脱水溶剤と
は、水と共沸する溶剤として規定されるものである。す
なわち、脱水溶剤を用いることにより、エステル化反応
により生成する反応生成水を効率よく共沸させることが
できるものである。脱水溶剤としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ジオキサ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、
イソプロピルエーテルなどが挙げられ、これらを単独
で、あるいは2種以上のものを混合溶剤として使用する
ことができる。これらのうち水との共沸温度が150℃
以下、より好ましくは60〜90℃の範囲であるものが
好ましく、具体的には、シクロヘキサン、トルエン、ジ
オキサン、ベンゼン、イソプロピルエーテル、ヘキサ
ン、ヘプタンなどが挙げられる。水との共沸温度が15
0℃を超える場合には、取り扱いの面(反応時の反応槽
内の温度管理および共沸物の凝縮液化処理などの制御等
を含む)から好ましくない。
共に共沸させ、凝縮化装置にて凝縮液化し、さらに反応
生成水を水分離器にて分離除去しながら還流されるもの
である。脱水溶剤の使用量は、原料としてのアルコール
及び(メタ)アクリル酸の合計仕込量に対して、1〜1
00質量%、好ましくは2〜50質量%の範囲内であ
る。脱水溶剤の使用量が1質量%未満であると、反応生
成水を十分除去できず好ましくなく、脱水溶剤の使用量
が100質量%を超えると、過剰に添加することに見合
う効果が得られず好ましくない。
は、脱水溶剤を用いずに無溶媒下でエステル化反応を行
うこともできる。この場合には、生成する反応生成水を
除去するために反応液に空気、不活性ガス(窒素ガス、
ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素)等の気体
(好ましくは水蒸気を含まない気体)を用いたバブリン
グ処理などを行う必要がある。かかるバブリング処理と
しては、例えば、反応槽内の下部に設けたエアノズル等
から連続して気体(バブル)を反応液内に吹き出させ、
反応液内を通過する過程で反応液内の水分を気泡(バブ
ル)内に取り込ませ、反応液中を通過してきた水蒸気含
有気体を反応槽から留出する方法などが例示できるが、
特にこれに限定されるものではなく、従来既知のバブリ
ング処理方法を適宜選択し必要に応じて組み合わせる等
して利用することができる。
式または連続式のいずれによっても行ないうるが、回分
式で行うことが好ましい。
は、エステル化反応が円滑に進行する条件であればよ
く、反応温度は30〜140℃、好ましくは60〜13
0℃、さらに好ましくは90〜125℃、特に好ましく
は100〜120℃である。反応温度が30℃未満で
は、エステル化反応が進行しづらく、反応生成水の脱水
(留出)にも時間がかかり、エステル化反応に要する時
間が長くなり好ましくない。逆に、反応温度が140℃
を超えると、アルコール原料の切断によって過大量のジ
エステルが生成してセメント分散性能のほか、各種用途
における分散性能や増粘特性が低下する。また、反応時
間は、後述するようにエステル化率が少なくとも70
%、好ましくは少なくとも80%に達するまでである
が、通常、1〜50時間、好ましくは3〜40時間であ
る。さらに、本発明によるエステル化反応は、常圧下ま
たは減圧下いずれで行ってもよいが、設備面から、常圧
下で行うことが望ましい。
テル化率は、70%以上、より好ましくは70〜99
%、最も好ましくは80〜98%であることが好まし
い。エステル化率が70%未満であると、製造されるエ
ステル化物の収率が不十分であり、これを原料として得
られるセメント分散剤等の用途性能、例えば、セメント
分散能等が低下する。なお、本明細書において使用され
る「エステル化率」は、下記に示すエステル化測定条件
で、エステル化の出発物質であるアルコールの減少量を
測定することにより、下記式によって算出される値とし
て定義されるものである。
しているため、エステル化率が100%を越えることは
ない。従って、本発明においては、エステル化率が規定
以上に達した時点(最大100%)でエステル化反応が
終了したものとする。
水溶剤を使用する場合、エステル化反応中の反応温度を
130℃以下、より望ましくは30〜130℃、特に望
ましくは60〜130℃とし、かつエステル化反応中の
溶剤循環速度を0.5サイクル以上/時間、より好まし
くは1〜100サイクル/時間とすることが望ましい。
これにより、反応温度を不純物形成温度領域(130℃
を超える領域)まで高くして反応させる必要もなく、反
応槽内で不純物が形成するのを抑えることができる。ま
た、溶剤循環速度を速めることで、反応槽内に反応生成
水を長期間滞留させることなく効率よく反応槽外に共沸
により留出でき、平衡反応がエステル化の方向に進むた
め、反応時間も短くできるものである。
応中の溶剤循環速度とは、次のように定義されるものを
いう。すなわち、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量(体
積量)に対して、エステル化反応中に、反応槽内の脱水
溶剤を反応槽から循環経路を通して再び反応槽に戻し還
流させることにより、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量
に相当する量(体積量)が循環されたときを1サイクル
と規定し、エステル化反応中の溶剤循環速度は、単位時
間(1時間)あたりの当該サイクル数で表されるものと
し、その単位は「サイクル/時間」とする。したがっ
て、例えば、5時間で、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全
量に対して、これに相当する量の15倍の量が循環され
たときには、溶剤循環速度は3サイクル/時間となる。
は、反応槽の加熱方法(手段)およびびその装置を用い
て反応槽により加えられる温度(熱量)及び反応槽に仕
込む原料に対する脱水溶剤の使用量などによって所望の
範囲に調整することができる。なお、反応温度は、位置
的及び時間的な条件に関わらず、如何なる位置及び時間
であれ、上記に規定する上限温度を超えないことが必要
であることから、ここでは、最大温度をもって規定する
ことにしたものである。
ら留出されてくる留出物に対して重合禁止剤および/ま
たは溶剤をオーバーヘッドラインおよび/またはコンデ
ンサ(留出物を凝縮液化させる領域)で作用させること
が望ましい。より具体的には、(a)重合禁止剤および
/または溶剤を含有するゲル化防止剤を作用させるても
よいし、(b)少なくとも凝縮液の一部を含有してなる
ゲル化防止剤を作用させる場合などが挙げられる。
有する(凝縮液の一部を含有するものである(b)を除
く)ゲル化防止剤をコンデンサで作用させる場合上記重
合禁止剤および/または溶剤としては、オーバーヘッド
ラインで作用させる重合禁止剤や溶剤と同様のものを利
用することができる。
は、留出物の留出開始時からエステル化反応終了まで逐
次留出されてくる低沸点原料に対して常にゲル状物の形
成を効果的に防止することができる量(留出物の留出開
始時からエステル化反応終了までの積算量)が必要であ
る一方、エステル化反応に脱水溶剤を使用し、該脱水溶
剤を留出し還流させる場合には、さらに重合禁止剤の使
用量は極力抑える必要があるとの観点から、原料である
上記アルコールおよび(メタ)アクリル酸の仕込み量に
対して0.1〜1000質量ppm、好ましくは1〜5
00質量ppmの範囲である。また、溶剤の使用量は、
ゲル状物の形成を効果的に防止することができる量であ
れば特に制限されないが、原料である上記アルコールお
よび(メタ)アクリル酸の仕込み量に対して、通常、
0.05〜10リットル/g・min、好ましくは0.
1〜1リットル/g・minである。
するゲル化防止剤は、重合禁止剤を脱水溶剤と同種の溶
剤に溶解した溶液の形態で作用させるのが望ましい。こ
の場合、常に重合禁止剤が存在し、有効に機能するよう
に供給されればよいことから、溶剤100質量部に対し
て重合禁止剤は0.001〜10質量部、好ましくは
0.01〜5質量部の範囲である。
なるゲル化防止剤をコンデンサで作用させる場合上記
(a)に比べ反応槽内に増える凝縮残液の量を極力抑
え、かつコンデンサの壁面を十分に濡らすことができる
ゲル化防止剤(溶液)を常に供給することができ、ゲル
状物の発生を常に効果的に防止することができる。
か、重合禁止剤溶液、重合禁止剤、さらに他の添加剤が
含まれていてもよい。ここで重合禁止剤溶液とは、重合
禁止剤を適当な溶剤に溶解(ないし混合)してなるもの
をいう。重合禁止剤は、留出物中の低沸点原料が重合反
応するのを抑えることができればよく、従来既知の重合
禁止剤の中から適宜選択することができ、上記オーバー
ヘッドラインで作用させる重合禁止剤と同様のものを利
用することができる。重合禁止剤溶液用の溶剤も上記
(a)と同様のものを利用できるが、好ましくは反応槽
内で脱水溶剤として作用し得るもの、特に脱水溶剤と同
種の溶剤である。
て0.1〜1000質量ppm、好ましくは1〜500
質量ppmである。0.1質量ppm未満ではゲル状物
が多量に生成するおそれがあり、1000質量ppmを
超える場合ではエステル化物の重合が難しくなる。重合
禁止剤溶液中の重合禁止剤濃度は、重合禁止剤溶液全体
に対して10質量ppm〜飽和濃度、好ましくは100
質量ppm〜飽和濃度、より好ましくは200質量pp
m〜飽和濃度、特に好ましくは200質量ppm〜飽和
濃度の95%に相当する濃度である。10質量ppm未
満では、溶剤の使用量が増え、コストアップになる。
合禁止剤溶液1分間あたりの流量は、0.01〜40リ
ットル/分・m、好ましくは0.1〜15リットル/分
・m、より好ましくは0.1〜5リットル/分・mであ
り、コンデンサの直径(内径)1mに対する凝縮液の一
部の1分間あたりの流量は、1〜1000リットル/分
・m、好ましくは5〜500リットル/分・m、より好
ましくは10〜200リットル/分・mである。重合禁
止剤溶液の流量が0.01リットル/分・m未満では、
常に十分な重合禁止能力を発現させるのが困難となり、
40リットル/分・mを超える場合では溶剤量が増加す
る。凝縮液の一部の流量が1リットル/分・m未満で
は、ゲル状物が多量に発生するおそれがあり、1000
リットル/分・mを超える場合では、更なる効果が得ら
れず不経済である。また、重合禁止剤溶液と凝縮液の一
部との混合比率は、重合禁止剤溶液1質量部に対して凝
縮液の一部を0.5〜10000質量部、好ましくは1
〜1000質量部、より好ましくは10〜1000質量
部、特に好ましくは10〜100質量部の範囲である。
0.5質量部未満では、溶剤量が増加し、10000質
量部を超える場合では、両者を安定して混合することが
困難となる。
料に対してコンデンサ内で有効に作用するように、コン
デンサの塔頂近傍に作用させるのが望ましい。
方法の一実施態様を、図1を参照しながら説明する。
方法に用いられる装置構成の一実施態様の概略図であ
る。
ず、エステル化反応を行うための加熱手段(例えば、内
部ヒータ等の直接加熱方式、外部ジャケット等の間接加
熱方式)として加圧スチーム等を熱媒体に使用する外部
ジャケット102を有する反応槽101が設けられいる。この
際、反応槽の内部の材料は、特に制限されるものではな
く公知の材料が使用できるが、例えば、SUS製、好ま
しくは耐蝕性の面からSUS304、SUS316及び
SUS316L、より好ましくはSUS316及びSU
S316Lが挙げられる。または、反応槽の内部にグラ
スライニング加工等が施され原料及び生成物に対して不
活性なものとしてもよい。該反応槽101には、原料のア
ルコール用のステンレススチール(例えば、SUS31
6)製の原料貯蔵タンク103および(メタ)アクリル酸
用の原料貯蔵タンク105、反応酸触媒用の触媒貯蔵タン
ク107、反応系(反応槽101)内の重合を防止するための
重合禁止剤を貯蔵した重合禁止剤貯蔵タンク109および
エステル化反応後に前記触媒を中和処理するための中和
剤(中和剤水溶液)を貯蔵したカーボンスチール(例え
ば、高炭素鋼)製の中和剤貯蔵タンク111がそれぞれ配
管113、115、117、119および121により連結されてい
る。また、(メタ)アクリル酸は、重合しやすく、例え
ば、メタクリル酸では、長期の保存や熱等によっても重
合するため微量の重合禁止剤(0.1%ハイドロキノン
など)が加えられるほか、結晶化しても重合しやすくな
るので、原料貯蔵タンク105内で保存する場合、ベンゼ
ンを加え結晶化を防ぐようにしてもよいほか、図1に示
すように常時30〜40℃に保温するべく、ポンプ116
を用いた外部ジャケット150(保温手段)を有する循環
経路151を形成して、(メタ)アクリル酸原料を常に3
0〜40℃に保持し重合しないように循環させてもよ
い。(メタ)アクリル酸用の原料貯蔵タンク105、配管1
15およびポンプ116および循環経路151内部には、腐食性
を有する(メタ)アクリル酸による腐食防止目的で、合
成樹脂等の耐食性材料によるライニング加工を施すこと
が好ましい。同様に、触媒貯蔵タンク107およびその配
管117内部にも、酸触媒による腐食防止を目的として、
合成樹脂などの耐酸性材料によるライニング加工を施す
ことが好ましい。また、上記反応槽101の下部には、エ
ステル化反応により反応槽101内部に合成されたエステ
ル化物(あるいは、セメント分散剤等では、該エステル
化物を単量体成分として該反応槽101でさらに重合を行
い得られた重合体)を回収するための配管153が連結さ
れている。さらに、必要であれば、上記反応槽101内
に、反応温度を計測するための温度センサ(図示せず)
が適当な部位(数カ所)に取り付けられていてもよい。
該温度センサは、反応温度を規定の温度に保つのに必要
な装置機構(例えば、反応槽101に取り付けられたジャ
ケット102の温度)などを制御するための制御部本体
(図示せず)に電気的に接続されている。
系内(反応槽101内)でエステル化反応時に生成される
反応生成水を含む留出物を留出し、ゲル状物の発生を防
止しながら凝縮液化した後に、該反応生成水を分離除去
し、残りの留出物を所定の溶剤循環速度で戻すための機
構(の装置構成)として、該反応生成水を脱水溶剤とと
もに共沸させた留出物にゲル化防止剤を作用させて凝縮
液化し、該凝縮液化した留出物から反応生成水(水相)
を分離除去し、残りの凝縮物(主に脱水溶剤を含む溶剤
相)を上記溶剤循環速度で還流させて反応槽101に戻す
循環系が形成されている。詳しくは、反応槽101上部と
向流(または並流)接触形式の縦型の多管式円管形コン
デンサ125の塔頂部とが配管123により連結されている。
またコンデンサ125の下底部とSUS製の水分離器127の
上部とが配管129により連結されている。なお、この水
分離器127には配管157を介してエステル化反応後にエス
テル化物を単離するために脱水溶剤を留出し除去するた
めに真空ポンプ(エゼクタ)155が取り付けられてい
る。また、該水分離器127の内部には仕切板131が設けら
れており、該仕切板131で区切られた2つの室133、134
が形成されている。このうち、コンデンサ125で凝縮液
化された留出物が貯められる側の室133の下部と反応生
成水の処理タンク135とが配管137により連結されてい
る。また、該処理タンク135には廃水用の配管139が連結
されている。また、水分離器127のもう一方の室134の下
部と凝縮残液を一時的に貯えるための保存タンク128と
が配管141で連結されており、この保存タンク128と反応
槽101とが配管148で連結されている。また、この配管14
8には、反応槽101内の反応生成水と共沸する脱水溶剤を
貯蔵する脱水溶剤貯蔵タンク143と連結された配管145が
合流(連結)されている。かかる合流点の手前(保存タ
ンク128側)の配管148の経路上には循環ポンプ142が設
置されている。また、上記合流点の後方(反応槽101
側)の配管148の経路上には流量計144が設けられてい
る。そして、該流量計144には、計測される流量を積算
し、溶剤循環速度を算出するための流量計測システム本
体(図示せず)と電気的に接続されている。さらに、こ
の保存タンク128の他方には、凝縮残液をコンデンサ125
の塔頂部に供給するための配管152が連結されており、
この配管152の経路上にはポンプ146が設置されている。
また、上述したように、凝縮残液に加えて必要であれば
重合禁止剤及び溶剤をコンデンサ125の塔頂部に供給す
ることを目的として、重合禁止剤供給機構としての重合
禁止剤貯蔵タンク147および溶剤供給機構としての溶剤
貯蔵タンク159が、それぞれ、配管149及び161を介して
配管154で合流(連結)し、重合禁止剤及び溶剤の混合
溶液が配管154を通る。さらに、この配管154は配管152
に合流(連結)して、配管156となり、ここで必要であ
れば重合禁止剤及び溶剤が凝縮残液と混合された混合溶
液が、最終的に、この配管156を介して、噴霧ノズル126
からコンデンサ125の塔頂部に供給される。なお、図1
においては、噴霧ノズルは下向きに設置されているが、
噴霧ノズルの向きは所望の位置に混合溶液を供給できる
向きであれば特に制限されず、下記図2に関する説明の
ように、上向きであってもよい。
US304、SUS316及びSUS316L等のSU
S製や炭素鋼(CS)等、公知のものが使用できるが、
好ましくは、ゲルの発生をより軽減するために、内面を
鏡面仕上げやグラスライニング加工されたコンデンサを
使用できるが、加工やメンテナンスにかかるコストを考
慮すると、SUS304(JIS規格におけるSUS2
7;以下、省略)、SUS316(JIS規格における
SUS32;以下、省略)及びSUS316L(JIS
規格におけるSUS33;以下、省略)、好ましくはS
US316及びSUS316L等のSUS製のコンデン
サが好ましく使用でき、このようなコンデンサを用いた
場合でも、ゲルの形成を有効に防止できる。また、本発
明において好ましく使用されるコンデンサの伝熱面積
は、反応槽の容積などによって異なるが、例えば、反応
槽30m3では、50〜500m2、好ましくは100〜
200m2である。本発明において、コンデンサに使用
される冷却媒体としては、水やオイルなどが挙げられ
る。
法において、上記実施態様による装置構成を有するエス
テル化物の製造装置を用いて次のように行われる。
ク103、105、触媒貯蔵タンク107、重合禁止剤貯蔵タン
ク109、脱水溶剤貯蔵タンク143より配管113、115、11
7、119および配管145を介した配管148を通じて原料のア
ルコールおよび(メタ)アクリル酸、酸触媒、重合禁止
剤および脱水溶剤をそれぞれ上記に規定する所定の量を
送り込み(仕込み)、上記に規定するエステル化条件
(反応温度、ジャケット温度、圧力)でエステル化反応
を行う。エステル化反応により逐次生成する反応生成水
は、反応槽101内に仕込まれた脱水溶剤と共沸され配管1
23を通じて留出されてくる。留出されてきたガス流体で
ある溶剤−水共沸物は、コンデンサ125に通され凝縮液
化される。この凝縮液化時に該共沸物に含まれる低沸点
原料がゲル化するのを防止する目的で、重合禁止剤貯蔵
タンク147より配管149を、溶剤供給タンク159より配管1
61を、または保存タンク128より配管152をの少なくとも
一を通じて該コンデンサ125の塔頂部に設けられた噴霧
ノズル126から上記に規定する量の重合禁止剤および/
または溶剤および/または凝縮残液の一部を連続的に滴
下して、共沸物(ガス流体物および凝縮液化物の双方を
いう)と並流接触させる。凝縮液化された共沸物は、該
コンデンサ125の下部より配管129を通じて水分離器127
の室133に貯められ、水相と溶剤相の2層に分離され
る。このうち、下層部の反応生成水は、室133の下部よ
り配管137を通じて逐次抜かれ、反応生成水の処理タン
ク135に貯められる。そして該処理タンク135内で、必要
に応じて、環境基準(廃水基準)値を満足するように化
学的ないし生物学的に処理された後、配管139を通じ
て、本装置系外に廃水される。一方、上層部の溶剤相
(=凝縮残液;脱水溶剤のほか、溶剤、重合禁止剤およ
び低沸点原料を含む)は、仕切板131をオーバーフロー
して隣の室134に貯められる。そして、該溶剤相は該室1
34の下部より保存タンク128に一時的に貯えられる。該
保存タンク128に貯えられた凝縮残液のうち、反応槽101
から留出された脱水溶剤の減少分を補填するのに必要な
量の凝縮残液が、ポンプ142により配管148を通じて上記
に規定される溶媒循環速度で還流され反応槽101に戻さ
れる。また、保存タンク128に貯えられた凝縮残液の一
部は、上述したようにポンプ146により配管152を通じて
逐次抜き出され、必要であれば、重合禁止剤貯蔵タンク
147及び溶剤貯蔵タンク159からそれぞれ配管149及び161
を介して供給される重合禁止剤及び溶剤と混合されて、
混合溶液が形成され、この混合溶液が配管156を通って
噴霧ノズル126からコンデンサ125の塔頂部に供給され
る。なお、上述したように、反応開始後しばらくは、保
存タンク128には、ゲル状物の形成の抑制・防止に用い
ることのできる凝縮残液が十分に貯えられていないた
め、保存タンク128に十分に貯えられるまでは、重合禁
止剤貯蔵タンク147及び溶剤貯蔵タンク159からそれぞれ
配管149,161、次に配管154、さらには配管156を介して
噴霧ノズル126に供給してコンデンサ125の塔頂部に噴霧
しても、あるいは予めゲル状物の形成に必要最小限の脱
水溶剤(あるいは重合禁止剤を適量含有する脱水溶剤)
を保存タンク128に仕込んでおき、反応初期から上記と
同様にして噴霧ノズル126を介してコンデンサ125の塔頂
部に噴霧するようにしてもよい。
する重合禁止剤貯蔵タンクや溶剤を供給する溶剤貯蔵タ
ンクの設置部位は、ゲルが形成されやすい部位が好まし
いものの特に制限されないが、例えば、図1における態
様、即ち、噴霧ノズル126をコンデンサ125の塔頂部に設
ける態様に加えて、反応槽101とコンデンサ125との間の
配管123上の少なくとも1箇所に噴霧ノズルを設ける態
様などが挙げられる。後者の態様において、配管123上
に噴霧ノズルを設ける部位としては、例えば、コンデン
サ内部の凝縮部(とりわけ塔頂部近傍)、反応槽とベー
パーの立ち上がりラインとの間の接合部(フランジ部)
やベーパーラインとコンデンサ塔頂部との間のフランジ
部等のフランジ部、反応槽等に設置された温度計やのぞ
き窓に設けられた突起部など、ゲルが形成されやすい部
位が挙げられ、これらのうち、コンデンサ内部の凝縮部
(とりわけ塔頂部近傍)、反応槽とベーパーの立ち上が
りラインとの間のフランジ部やベーパーラインとコンデ
ンサ塔頂部との間のフランジ部が好ましい。
以上に達した時点で終了とする)後、中和剤貯蔵タンク
111より配管121を通じて反応槽101内に中和剤水溶液を
添加して、酸触媒を中和し、常圧下に脱水溶剤(および
過剰の(メタ)アクリル酸)を水との共沸で留出し、所
望のエステル化物を単離する。尚、脱水溶剤および過剰
の(メタ)アクリル酸を留出する場合には、上述した、
反応系内(反応槽101内)でエステル化反応時に生成さ
れる反応生成水を含む留出物を留出し、ゲル状物を発生
を防止しながら凝縮液化した後に、該反応生成水を分離
除去し、残りの留出物を還流させるための機構(の装置
構成)の一部を使って行うことができる。なお、この場
合には、脱水溶剤(引き続き、重合せずに単離する場合
には過剰の(メタ)アクリル酸を含む)を還流すること
なく装置系外に除去する必要上、水分離器127に取り付
けられた真空ポンプ(エゼクタ)155を用いて装置系外
に取り出される。なお、これらは廃棄処理されるか、あ
るいは系外の装置を用いて化学処理し再利用してもよ
い。一方、得られたエステル化物は配管153より回収さ
れる。なお、セメント分散剤等の合成に用いる場合に
は、得られたエステル化物を単量体成分の1つとして該
反応槽101でさらに重合を行い、セメント分散剤の主要
組成成分となり得る重合体を合成するようにしてもよ
い。この場合には、過剰に加えられ残っている未反応の
(メタ)アクリル酸をもう一方の単量体成分として分離
・除去せずにそのまま使用することが好ましい。
の一実施態様を図1を用いて説明したものであるが、本
発明に係るエステル化物の製造方法は、当該実施態様に
限定されるものではなく、重合禁止剤および/または溶
剤を留出物に作用させる工程を含むものであれば、その
製法(手段)、装置構成などに関しては何ら制限される
ものではなく、従来既知の製法、装置構成などを適宜組
み合わせて利用することができる。
る工程、あるいはエステル化物を用いてさらに重合を行
うために、エステル化水溶液を調製する工程で、酸触媒
による加水分解が生じ、エステル化物の品質及び性能の
低下を招くほか、加水分解により生じたものがエステル
化物中に残留し、当該エステル化物を用いてセメント分
散剤等の各種分散剤や増粘剤等に使用される重合体を合
成する場合には、品質や性能の劣化にもつながる。かか
る課題を解決するには、上記(I)のエステル化工程に
よるエステル化反応終了後、90℃以下で酸触媒をアル
カリで中和することが望ましいことを見出したものであ
る。これにより、エステル化反応後の処理過程で、加水
分解生成物を生じることもなく、高純度で高品質のエス
テル化物を得ることができる。
につき、以下に簡単に説明する。
応終了後、90℃以下、好ましくは50〜0℃の範囲で
酸触媒をアルカリで中和するものである。この際、中和
温度(反応系の液温)が、90℃を超える場合には、添
加されるアルカリが加水分解の触媒として作用し、加水
分解生成物を多量に生成するようになるため好ましくな
く、逆に、50℃以下では、アルカリが加水分解の触媒
として作用することはなく、加水分解生成物の発生を完
全に抑えることができる。一方、0℃未満の場合には、
エステル化反応液が粘稠になり、中和時の撹拌がしずら
くなるほか、エステル化反応後に所定の温度まで降温す
るのに長時間を要するほか、室温よりも低い温度まで降
温するには、新たに冷却手段(装置)を設ける必要があ
り、コストアップになるためあまり望ましくない。
できるアルカリ(中和剤)としては、特に制限されるも
のではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、
水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、ア
ンモニア、アミン等が挙げられるが、セメントに配合し
た場合に異臭が発生しないとの理由から、好ましくはア
ルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、燐
酸塩等である。また、本発明では、これらアルカリを1
種若しくは2種以上を適当な比率で混合して使用しても
よい。
媒、好ましくは酸触媒の全部と(メタ)アクリル酸の一
部である。ここで、中和される(メタ)アクリル酸は、
エステル化反応に使用した(メタ)アクリル酸の10質
量%以下、好ましくは0.01〜5質量%の範囲であ
る。従って、アルカリ(中和剤)の添加量は、酸触媒1
当量に対して1.0〜100当量、好ましくは1.0〜
10当量、さらに好ましくは1.01〜2当量である。
この際、(メタ)アクリル酸の中和量がエステル化反応
に使用した(メタ)アクリル酸の10質量%を超える場
合には、おそらく(メタ)アクリル酸塩の重合速度が
(メタ)アクリル酸に比べて遅いために、得られたエス
テル化物を用いて重合する際の重合率が低下するため好
ましくない。また、アルカリ(中和剤)の添加量は、酸
触媒1当量に対して1.0当量未満の場合には、酸触媒
を完全に中和できず、加水分解生成物を多量に生じるよ
うになるため好ましくない。逆にアルカリ(中和剤)の
添加量は、酸触媒1当量に対して100当量を超える場
合にも、大量の(メタ)アクリル酸を中和され、同様の
理由により得られたエステル化物を用いて重合する際の
重合率が低下するため好ましくない。
は、特に制限されるものではないが、アルカリ水溶液の
形態とすることが、エステル化物の加水分解を防止する
観点から好ましいといえる。特に、脱水溶剤中でエステ
ル化反応を行うため、アルカリと共に多量の水を反応系
に添加するのが、エステル化物の加水分解を防止するた
めには好適である。すなわち、多量の水が無い反応系で
は、アルカリが脱水溶剤に難溶であるために濃い状態で
系内に浮遊し、この高濃度アルカリの浮遊は中和に消費
されるまでの長持間にわたって消失せず、エステル化物
の加水分解を引き起こす。該水の添加量は、アルカリの
使用形態にもよるが、例えば、40〜60%のアルカリ
水溶液を中和剤として添加する場合には、該アルカリ水
溶液とは別に、該アルカリ水溶液の1質量部に対して通
常5〜1000質量部、好ましくは10〜100質量部
である。この場合に、水の添加量が、5質量部未満の場
合には、上記理由でアルカリが反応系内で不均一にな
り、高濃度のアルカリがエステル化物の加水分解を引き
起こし、1000質量部を超える場合には、生産性を確
保するために中和槽が別途必要になるなどコスト高につ
ながり好ましくない。
め、上記(I)のエステル化工程終了後、上記(II)の
部分中和工程により酸触媒、さらには(メタ)アクリル
酸の一部を中和し、次いで反応液から脱水溶剤を留去す
るものである。
以下に説明する。
のアルコールと(メタ)アクリル酸の全使用量に対して
1000質量ppm以下、好ましくは500質量ppm
以下、より好ましくは300質量ppm以下の水溶性重
合禁止剤を反応液に添加して、特に好ましくは添加せず
に行うことにより、高分子量体の発生を防止し得る事を
見出したものである。重合を禁止する目的で添加されて
いた水溶性重合禁止剤が、弱いながらも重合活性を有す
るために、意外にも、未反応の原料、生成物であるエス
テル化物の重合を招き、高分子量体を形成していたこと
を見出すとともに、エステル化反応時に添加されていた
重合禁止剤が、当該脱水溶剤の留去時にも有効に機能す
ることを見出したことによる。
和処理を行うと、反応液中に比較的多くの水が存在する
ようになる。この場合、未反応の原料やエステル化物が
水に溶けて重合することがあるため、これを防ぐ観点か
ら反応液に水溶性重合禁止剤を加えてから下記に規定す
る温度まで昇温し、脱水溶剤を水との共沸により留去す
ることが望ましいものである。ただし、水溶性重合禁止
剤のもつ重合活性による重合作用と本来的に有する重合
禁止能との関係から、重合活性以上に有効に重合禁止能
を発現し得る範囲(上記に規定する範囲)にとどめてお
く必要がある。
禁止剤としては、特に制限されるものではなく、例え
ば、ハイドロキノン、メトキノン、カテコール及びこれ
らの誘導体(例えば、p−t−ブチルカテコール等)、
ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられ、1種
若しくは2種以上を混合して使用してもよい。なかで
も、比較的重合活性が低いとの理由から、ハイドロキノ
ン、メトキノンが好ましい。
テル化物を製造するときに使用する装置としては、特に
制限されるものではなく、従来公知の製造装置を適宜組
み合わせて利用する事ができるものである。好ましく
は、(1)オーバーヘッドラインの少なくとも一部に重
合禁止剤供給機構および/または溶剤供給機構が設けら
れていることを特徴とするアルコールと酸によるエステ
ル化物を製造するときに使用する装置である。また、
(2)オーバーヘッドラインの少なくとも一部を加熱お
よび/または保温する手段、さらに(3)コンデンサで
ゲル化防止剤を作用させるためのゲル化防止剤供給機構
が新たに設けられているアルコールと酸によるエステル
化物を製造するときに使用する装置がより望ましい。
または溶剤供給機構は、オーバーヘッドラインの少なく
とも一部にそれぞれ重合禁止剤および/または溶剤を作
用させることができるものであればよい。そのために
は、オーバーヘッドラインの少なくとも一部に重合禁止
剤および/または溶剤、好ましくは凝縮残液を供給する
ための経路が設けられているものであればよい。
ては、オーバーヘッドラインの少なくとも一部に設けら
れたノズル部と、前記ノズル部に重合禁止剤を供給する
供給経路、例えば、重合禁止剤溶液を貯蔵タンクから直
接的に供給する供給経路、あるいはコンデンサで作用さ
せたゲル化防止剤に由来するもの(例えば、凝縮残液の
一部)を循環経路上から抜き取って供給する供給経路と
を有してなるものであればよい(こうした供給経路の具
体例を図3(a)、(b)、(c)に示した)。さら
に、こうした供給経路上には、圧送ポンプ等を設けて、
必要な流量を常に供給できるようにすることが望まし
い。また、貯蔵タンクや循環経路とノズル部とを結ぶ供
給経路は、ノズル部の数に応じて途中で分岐させてもよ
いし、ノズル部の数に対応する数の供給経路を設けても
良い。これらの供給経路上には、流量調整弁や開閉弁、
圧送ポンプ等を設けてもよいほか、重合禁止剤の温度が
低下したり、供給先の留出物との温度差が拡大しないよ
うに、加熱および/または保温手段を設けても良い。
は、上記した重合禁止剤供給機構で述べたのとほとんど
同様である。詳しくは、オーバーヘッドラインの少なく
とも一部に設けられたノズル部と、前記ノズル部に溶剤
を供給する供給経路、例えば、溶剤を貯蔵タンクから直
接的に供給する供給経路、あるいはコンデンサで作用さ
せたゲル化防止剤に由来するもの(例えば、凝縮残液の
一部)を循環経路上から抜き取って供給する供給経路と
を有してなるものであればよい。さらに、こうした供給
経路上には、圧送ポンプ等を設けて、必要な流量を常に
供給できるようにすることが望ましい。また、貯蔵タン
クや循環経路とノズル部とを結ぶ供給経路は、ノズル部
の数に応じて途中で分岐させてもよいし、ノズル部の数
に対応する数の供給経路を設けても良い。これらの供給
経路上には、流量調整弁や開閉弁、圧送ポンプ等を設け
てもよいほか、溶剤の温度が低下したり、供給先の留出
物との温度差が拡大しないように、加熱および/または
保温手段を設けても良い。
給機構および溶剤供給機構のいずれか一方を有するもの
であっても、またはこれらの機構の代わりに以下に詳述
するような凝縮液の保存タンクを設けてこのタンクから
凝縮液の一部を直接若しくは必要であれば別途設けられ
た重合禁止剤供給機構および/または溶剤供給機構と組
み合わせてオーバーヘッドラインの所定の部位に供給し
てもよい。
ル化物の製造方法において詳述したように、ゲル状物の
形成を有効に抑制できるものであれば特に制限されない
が、オーバーヘッドラインの少なくとも反応槽側および
/または凝縮化装置側の付け根の部分に設けられている
ことが望ましい。
(ノズル等)のいずれに関しても、重合禁止剤や溶剤の
作用部分などに応じて、ガス状物が流れる配管内への流
体物の供給装置技術に関する従来公知の技術を適宜選択
して利用する事ができるものである。例えば、前記オー
バーヘッドライン内部の反応槽側の付け根の部分に用い
る場合には、留出物の流れに対向して重合禁止剤や溶剤
を供給できるように下向きに設けられてなるノズル部を
用いることが望ましいが、逆にノズル部を上向きに設け
ることで、留出物の流れに乗ってより広範囲に重合禁止
剤や溶剤を供給することもできる。したがって、球状や
円盤状のノズルから全方向ないし上下方向に重合禁止剤
や溶剤を噴霧ないし吹き出すことができるようにしても
よいし、ノズル先端部が回転(さらには回動)すること
で、全方向や上下方向に重合禁止剤や溶剤を噴霧ないし
吹き出すことができるようにしてもよい。また、ノズル
の細孔径や細孔分布等が任意に調整できるように種々の
調整制御機構が設けられていてもよい。
ンにおけるゲル化防止手段として、上記重合禁止剤供給
機構および/または溶剤供給機構と、他のゲル化防止手
段とを組み合わせて行うこともできる。とくに、前述し
た図1に記載の態様と組み合わせるのがよい。具体的に
は、オーバーヘッドラインの一部に当該重合禁止剤供給
機構および/または溶剤供給機構を適用し、当該重合禁
止剤供給機構および/または溶剤供給機構を適用しない
オーバーヘッドライン部分には、下記に示す加熱および
/または保温するための手段を適用することが望まし
い。
くとも一部、好ましくは重合禁止剤供給機構および/ま
たは溶剤供給機構を適用しないオーバーヘッドライン部
分の、面積換算で、25%以上、より好ましくは50
%、さらに好ましくは75%以上を加熱および/または
保温するための手段としては、特に制限されるものでは
なく、電熱線(銅線など)コイルなどの加熱ヒータ等
を用いて加熱する場合、オーバーヘッドラインを2重
管にして内管に留出物を通し、外管に媒体(加圧蒸気、
オイル、燃焼排ガスなどの加熱ガスなど)を通し、媒体
の温度および流量を適当に調節しながら加熱および保温
する場合、グラスウール等の保温性の高い材料を用い
て保温する場合がある。また、必要に応じて、これら
〜の手段を適当に組み合わせても良い。また、オーバ
ーヘッドラインの部分ごとに最適なゲル化防止手段を用
いるようにしてもよい。
ンデンサでゲル化防止剤を作用させるためのゲル化防止
剤供給機構が設けられていることがより好ましい。該ゲ
ル化防止剤供給機構としては、ゲル化防止剤溶液を作用
させるノズル部が、前記コンデンサの塔頂近傍、すなわ
ち、コンデンサの塔頂内部もしくはコンデンサ直前の留
出経路内に設けられていることが望ましく、より望まし
くは該ノズル部が、ゲル化防止剤溶液を上向きに供給し
得るように上向きに設置されているものである。ノズル
部よりゲル化防止剤溶液を、当該留出経路上に、例え
ば、噴霧したり、吹き出したり、吹き付けたり、吐出さ
せたり、吹き上げたり、降らせたりすることで、直接的
にまたは経路上の内壁を伝わって間接的にコンデンサの
内壁を常に濡らすことができる。よって、ゲル状物が発
生するコンデンサの塔頂部の内壁にゲル化防止剤溶液を
極めて有効かつ効果的に作用させることができる。ま
た、ゲル化防止剤供給機構としては、(a)重合禁止剤
を含有するゲル化防止剤を作用させる機構であっても、
(b)少なくとも凝縮液の一部を含有してなるゲル化防
止剤を作用させる機構であってもよい。
施形態としては、例えば、重合禁止剤を含むゲル化防止
剤溶液の貯蔵部からコンデンサの上部に設けられたノズ
ル部に該ゲル化防止剤溶液を供給する供給経路(適当な
配管及び圧送ポンプが利用できる)が設けられているも
のが例示できる。
施形態としては、重合禁止剤溶液の貯蔵部から前記ノズ
ル部に該重合禁止剤溶液を供給する第1供給経路(適当
な配管及び圧送ポンプが利用できる)と、前記ノズル部
に凝縮残液の一部を供給する第2供給経路(適当な配管
及び圧送ポンプが利用できる)とが設置されているもの
が例示できる(図4参照)。第2供給経路は、凝縮残液
を送流する留出経路(特に循環経路)と前記ノズル部と
を結ぶものであればよく、例えば、直接的にノズル部と
結んでもよいし(図4(a)参照)、あるいは第1供給
経路と合流することで、いわば間接的に前記ノズル部と
結んでもよく(図4(b)参照)、さらに、必要に応じ
て留出経路(特に循環経路)上に保存部を設け、該保存
部以降の留出経路と前記ノズル部とを結んでもよい(図
4(c)参照)。
ッドラインの少なくとも一部に重合禁止剤供給機構およ
び/または溶剤供給機構が設けられている以外は、特に
制限されるものではなく、上記オーバーヘッドラインの
少なくとも一部を加熱および/または保温する手段、あ
るいはコンデンサでゲル化防止剤を作用させるためのゲ
ル化防止剤供給機構が設けられていてもよいし、さらに
従来公知のエステル化反応装置や機構・手段(例えば、
脱水溶剤、重合禁止剤および酸触媒の存在または非存在
下、式(1):R1O(R2O)nHで示されるアルコー
ルと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応を行う反応
槽(さらに該反応槽に関連する原料貯蔵槽、触媒貯蔵
槽、溶剤貯蔵槽等の各種貯蔵槽や配管、供給ポンプ、流
量調整弁や切替弁等)から留出される留出物を凝縮液化
させるコンデンサと、該凝縮液化した凝縮液から反応生
成水を分離除去する水分離器とを有する留出経路、さら
に反応生成水を分離除去した後の凝縮残液を反応槽に還
流させる圧送手段を加えた循環経路などの反応装置や機
構・手段など)の製造技術を適宜利用することができる
ものである。
るエステル化物を製造するときに使用する装置を図面を
用いて詳しく説明する。図2は、本発明に係るアルコー
ルと酸によるエステル化物を製造するときに使用する装
置の代表的な装置構成の概略図であって、特にその特徴
部分であるオーバーヘッドラインの少なくとも一部に重
合禁止剤供給機構(さらには、オーバーヘッドラインの
少なくとも一部を加熱および/または保温する手段、お
よびコンデンサでゲル化防止剤を作用させるためのゲル
化防止剤供給機構)を含めた装置構成を示すものであ
る。なお、図2中では、留出物に作用させる機構として
重合禁止剤供給機構509のみを記載したが、この代わり
に溶剤供給機構を設けてもあるいは溶剤供給機構と組み
合わせて使用してもよいことはいうまでもないことであ
り、また、他の装置構成(例えば、原料や触媒等の各種
添加剤等の貯蔵や供給手段など)に関しては、上記図1
に記載される装置構成と同様であるため、ここでは省略
した。
とも一部に重合禁止剤供給機構を設けた本実施形態の装
置構成では、まず、エステル化反応を行う反応槽501の
上部と向流(または並流)接触形式の縦型の多管式円管
形コンデンサ505の塔頂部とが配管503により連結されて
いる。反応槽501には、加熱手段(例えば、内部ヒー
タ、外部ジャケット等)としてジャケット502が周囲に
外設されているほか、適当な撹拌装置が付設されてい
る。また、反応槽501の内面は、金属腐食性の原料や触
媒に対し耐腐食性をもたせるめたにグラスライニング処
理が施されている。またコンデンサ505の下底部と水分
離器507の上部とが配管520により連結されている。該水
分離器507の内部には仕切板515が設けられており、該仕
切板515で区切られた2つの室が形成されている。この
うち、コンデンサ505で凝縮液化された留出物が貯めら
れる側の室の下部と反応生成水の処理タンク(図示せ
ず)とが配管527により連結されており、該処理タンク
にはさらに廃水用の配管(図示せず)が連結されてい
る。また、水分離器507のもう一方の室の下部と凝縮残
液を一時的に貯えるための保存タンク508の上部とが配
管521で連結されている。該保存タンク508の下部と反応
槽501の上部とが配管525で連結されている。配管525の
経路上には循環ポンプ512が設置されている。
503の反応槽501側の付け根の部分に、留出物の流れに対
向するように下向きにノズル部516が内設されている。
さらに、前記保存タンク508と前記圧送ポンプ512と間の
配管525からノズル部516まで凝縮残液の一部(重合禁止
剤の1種)を供給するための供給経路である配管526に
より連通されている。配管526の経路上には、圧送ポン
プ513が設置されている。
を供給しないオーバーヘッドラインの部分は、オーバー
ヘッドラインの少なくとも一部を加熱および/または保
温する手段として、内管503aに留出物を通し、外管504
に媒体(加圧蒸気、オイル、燃焼排ガスなどの加熱ガス
など)の温度および流量を適当に調節しながら当該媒体
を(連続的に又は断続的に)通じることにより内管503a
の温度を制御し得るダブルチューブ(二重管)を用いて
構成されている。
ンデンサ505の頭頂部の中央部にはゲル化防止剤をコン
デンサの頭頂部に噴霧させるためのノズル部506が上向
きに設けられており、このノズル部506と留出物のゲル
化防止用に利用される重合禁止剤溶液を貯蔵する重合禁
止剤貯蔵タンク509とは第1供給経路である配管523、52
4(このうち、重合禁止剤溶液のみが運ばれる部分が配
管523であり、重合禁止剤溶液と凝縮残液の一部とから
なるゲル化防止剤が運ばれる部分が配管524である)に
より連結されている。また、配管523の経路上には、圧
送ポンプ510が設置されている。さらに、前記保存タン
ク508の下部から第1供給経路まで凝縮残液の一部を供
給するための第2供給経路である配管522により連通さ
れている。配管522の経路上には、圧送ポンプ511が設置
されている。
反応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも一部で作用
させながら、下記式:
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
R2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜3
00の数である)で示されるアルコキシポリアルキレン
グリコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応す
ることによってアルコキシポリアルキレングリコールモ
ノ(メタ)アクリル酸系単量体(a)を得、該アルコキ
シポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系
単量体(a)5〜98質量%、下記式(2):
表わし、M1は水素、一価金属、二価金属、アンモニウ
ム基または有機アミン基を表わす)で示される(メタ)
アクリル酸系単量体(b)95〜2質量%、およびこれ
らの単量体と共重合可能な他の単量体(c)0〜50質
量%(但し、(a)、(b)および(c)の合計は10
0質量%)を共重合することを特徴とする、セメント分
散剤用ポリカルボン酸系共重合体(本明細書では、単に
「共重合体」または「重合体」と称する)の製造方法を
提供するものである。
アルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜300の
数であることを必須要件とし、本明細書中では、上記式
(1)におけるnが1〜300のである式(1)のアル
コールを、「アルコキシポリアルキレングリコール」と
称し、アルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)
アクリル酸とのエステル化反応によって得られる化合物
を、「アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メ
タ)アクリル酸系単量体」と称する。
ングリコールは、nが0を含まない以外は上記アルコー
ルと同様に定義される。また、(メタ)アクリル酸やエ
ステル化反応など、本明細書において同様に使われてい
る用語に関しては同様の意味を有する。
ルコキシポリアルキレングリコール及び(メタ)アクリ
ル酸の使用量は、アルコキシポリアルキレングリコール
の使用量をp質量部と及び(メタ)アクリル酸の使用量
をq質量部とした際に、下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 の関係を満足する量であることが好ましい。これによ
り、(メタ)アクリル酸をアルコキシポリアルキレング
リコールに比べて過剰に存在させてエステル化反応を行
なうと、得られたアルコキシポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリル酸系単量体は(メタ)アクリル酸
を含む混合物の形態で存在するので、この混合物を単離
せずにそのままあるいは必要により(メタ)アクリル酸
(塩)単量体やこれらの単量体と共重合可能な単量体を
加えて、好ましくは混合物を単離せずにそのまま共重合
反応に供することにより、ポリカルボン酸系共重合体が
製造でき、好ましい。すなわち、アルコキシポリアルキ
レングリコール及び(メタ)アクリル酸の使用量を上記
したような範囲内に調節することにより、アルコキシポ
リアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸を単離
するという工程を省略することができるため、量産に適
しており、産業上の観点から好ましい。
リアルキレングリコールの使用量であるp質量部と(メ
タ)アクリル酸の使用量であるq質量部は、下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 (ただし、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を
表わし、1〜300の数である)の関係を満足すること
を必須とする。本明細書においては、式:[(p/n
1/2)/q]×100の値を「K値」とも称し、K値
は、カルボン酸の質量当たりのポリアルキレングリコー
ル鎖の平均数を表わす尺度である。本発明において、K
値は、好ましくは42〜190(42≦K値≦19
0)、より好ましくは45〜160(45≦K値≦16
0)である、この際、K値が40未満であると、得られ
るセメント分散剤のセメント分散性能が十分でない。逆
に、K値が200を超えると、得られるセメント分散剤
のセメント分散性能がやはり低下する上、エステル化反
応時間が著しく増大し、生産性が大幅に低下するので好
ましくない。
(その塩を含む;以下、同様)の製造方法は、アルコキ
シポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系
単量体を単量体成分として、重合反応を行うことによ
り、所期の用途に応じた、本発明の重合体を得ることが
できるものであれば、特に制限されるものではなく、所
期の用途に応じて重合されてなるものが含まれると解さ
れるべきである。例えば、特公昭59−18338号公
報、特開平9−86990号公報や特開平9−2866
45号公報に記載の方法などの公知の方法と同様にし
て、(メタ)アクリル酸(塩)、および必要によりこれ
らの単量体と共重合可能な単量体と共に重合反応に供さ
れることによって、セメント分散能に優れたセメント分
散剤とすることができるが、これらに限定されるもので
はなく、本発明の重合体の詳細な説明において例示した
それぞれの公報に記載の重合方法が適用できることはも
ちろんのこと、これら以外にも従来既知の各種重合方法
を適用できることはいうまでもない。また、上記方法の
ほか、炭酸カルシウム、カーボンブラック、インクなど
の顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分
散剤、CWM用分散剤、増粘剤等への利用が可能であ
る。
ルボン酸系共重合体の製造方法では、アルコキシポリア
ルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体
を、(メタ)アクリル酸(塩)単量体および必要により
これらの単量体と共重合可能な単量体とともに重合反応
する。
を得るには、重合開始剤を用いてアルコキシポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体成分等
を共重合させれば良い。共重合は、溶媒中での重合や塊
状重合等の方法により行なうことができる。
行なうことができ、その際使用される溶媒としては、
水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香
族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化
合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合
物;等が挙げられる。原料のエステル化物の単量体成分
および得られる共重合体の溶解性ならびに該共重合体の
使用時の便からは、水および炭素原子数1〜4の低級ア
ルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用い
ることが好ましい。その場合、炭素原子数1〜4の低級
アルコールの中でもメチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール等が特に有効である。
としてアンモニウムまたはアルカリ金属の過硫酸塩ある
いは過酸化水素等の水溶性の重合開始剤が使用される。
この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩等の促進剤を
併用することもできる。また、低級アルコール、芳香族
炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物あるいはケ
トン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキ
シドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメ
ンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;ア
ゾビスイソブチロニトリル等の芳香族アゾ化合物等が重
合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促
進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコ
ール混合溶剤を用いる場合には、上記の種々の重合開始
剤あるいは重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から
適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる
溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜1
20℃の範囲内で行なわれる。
パーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシ
ド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキ
シド;アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合
物等を用い、50〜200℃の温度範囲内で行なわれ
る。
に、チオール系連鎖移動剤を併用することもできる。こ
の際に用いられるチオール系連鎖移動剤は、式:HS−
R5−Eg(ただし、式中R5は炭素原子数1〜2のアル
キル基を表わし、Eは−OH、−COOM2、−COO
R6または−SO3M2基を表わし、M2は水素、一価金
属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン基を表
わし、R6は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わ
し、gは1〜2の整数を表わす。)で表わされ、例え
ば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグ
リコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカ
プトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オ
クチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げ
られ、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。
までもセメント分散剤等の各種用途の主成分として用い
られるが、必要に応じて、さらにアルカリ性物質で中和
して得られる重合体塩をセメント分散剤等の各種用途の
主成分として用いても良い。このようなアルカリ性物質
としては、一価金属および二価金属の水酸化物、塩化物
および炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等が
好ましいものとして挙げられる。
することのできるアルコキシポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリル酸系単量体成分は、1種単独で用
いても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。特
に、2種以上を混合して使用する場合には、使用用途に
応じた特性(機能・性能等)を発現させることができる
ように、発現特性の異なる種類を適当に組み合わせて用
いることが望ましく、以下の2種の組み合わせが有利で
ある。
コールモノ(メタ)アクリル酸系単量体において、式
(1)における平均付加モル数nが1〜97、好ましく
は1〜10の整数である第1のエステル化物(a1)
と、式(1)における平均付加モル数nが4〜100、
好ましくは11〜100の整数である第2のエステル化
物(a2)との混合物(ただし、第2のエステル化物
(a2)の平均付加モル数の方が第1のエステル化物
(a1)の平均付加モル数よりも3以上大きいものとす
る)の組み合わせが有利である。
第2のエステル化物(a2)との混合物を製造する方法
は、当該エステル化物の製造方法で説明した通りであ
り、これらの第1および第2のエステル化物(a1)お
よび(a2)を別々にエステル化反応により製造しても
よいし、それぞれ相当するアルコールの混合物と、(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応により製造してもよ
く、特に後者の方法は工業的に安価の製造方法を提供で
きる。
第2のエステル化物(a2)との質量比は5:95〜9
5:5、好ましくは10:90〜90:10である。
えば、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)ブチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シ(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プロピ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコー
ル(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。第1
のエステル化物(a1)は、その側鎖の短鎖アルコール
に疎水性を有することが重要である。
エチレングリコール単位が多く含まれているのが好まし
い。したがって、(a1)としては、平均付加モル数が
1〜97、好ましくは1〜10の(アルコキシ)(ポ
リ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好
ましい。
えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、メトキシポリエチレングリコール(ポリ)
プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メト
キシポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレング
リコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレング
リコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、エトキシポリエチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレートなどが例示される。
ル化物(a2)の平均付加モル数が4〜100のアルコ
ール鎖による立体反発と親水性でセメント粒子を分散さ
せることが重要である。そのためには、ポリアルキレン
グリコール鎖にはオキシエチレン基が多く導入されるこ
とが好ましく、ポリエチレングリコール鎖が最も好まし
い。よって、第2のエステル化物(a2)のアルキレン
グリコール鎖の平均付加モル数nは、4〜100、好ま
しくは11〜100である。
することのできる、上記(メタ)アクリル酸(塩)単量
体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸ならびにこ
れらの酸の一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩お
よび有機アミン塩を挙げることができ、これらの1種ま
たは2種以上を用いることができる。
することのできるエステル化物単量体および(メタ)ア
クリル酸(塩)単量体の単量体成分と共重合可能な単量
体の例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン
酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;これ
らのジカルボン酸類とHO(R11O)rR12(ただし、
R11Oは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基の1種
または2種以上の混合物を表わし、2種以上の場合はブ
ロック状に付加していてもランダム状に付加していても
よく、rはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり
1から100の整数を表わし、R12は水素または炭素原
子数1〜22、好ましくは1〜15のアルキル基を表わ
す。)で表わされるアルコールとのモノエステルあるい
はジエステル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)ア
クリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニル
スルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スルホエチル
(メタ)アクリレート、2−メチルプロパンスルホン酸
(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽
和スルホン酸類およびそれらの一価金属塩、二価金属
塩、アルモニウム塩、有機アミン塩類;スチレン、α−
メチルスチレン等の芳香族ビニル類;炭素原子数1〜1
8、好ましくは1〜15の脂肪族アルコールあるいはベ
ンジルアルコール等のフェニル基含有アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル類;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられ、これら
の1種または2種以上を用いることができる。
とする本発明のセメント分散剤では、良好なセメント分
散性能及びスランプ保持性能を発揮することができる。
に規定する重合体成分の他に、従来公知のナフタレン系
セメント分散剤、アミノスルホン酸系セメント分散剤、
ポリカルボン酸系セメント分散剤およびリグニン系セメ
ント分散剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種のセ
メント分散剤を配合してもよい。すなわち、本発明のセ
メント分散剤では、上記重合体単独で使用しても良い
し、必要に応じて、さらに付加価値を持たせるべく、上
記および下記に示す各種成分を配合することができるも
のであり、これらの配合組成については、目的とする付
加的機能の有無により大きく異なるものであり、上記重
合体成分を100質量%(全量)ないし主成分とするも
のから、上記重合体成分を高付加価値成分として、従来
のセメント分散剤に適量加える態様まで様々であり、一
義的に規定することはできない。しかしながら、本発明
のセメント分散剤におけるポリカルボン酸系共重合体の
配合量は、全成分に対して、通常、5〜100質量%、
好ましくは50〜100質量%である。
公知のセメント分散剤の他に、空気連行剤、セメント湿
潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶性高分子
物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、
硬化促進剤、消泡剤等を配合することができる。
するセメント分散剤は、少なくともセメントおよび水よ
りなるセメント組成物に配合することによりセメントの
分散を促進する。
セメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメン
ト、各種混合セメント等の水硬セメント、あるいは、石
膏などのセメント以外の水硬材料などに用いることがで
きる。
作用効果を奏するため、従来のセメント分散剤に比較し
て少量の添加でも優れた効果を発揮する。たとえば水硬
セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する
場合には、セメント質量の0.001〜5%、好ましく
は0.01〜1%となる比率の量を練り混ぜの際に添加
すればよい。この添加により高減水率の達成、スランプ
ロス防止性能の向上、単位水量の低減、強度の増大、耐
久性の向上などの各種の好ましい諸効果がもたらされ
る。添加量が0.001%未満では性能的に不十分であ
り、逆に5%を越える多量を使用しても、その効果は実
質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
均分子量を有し、かつ重量平均分子量からピークトップ
分子量を差し引いた値が特定の値を有する重合体を主成
分とするセメント分散剤であることが望ましい。この
際、本発明によるポリカルボン酸系共重合体の重量平均
分子量は、所期の用途に応じて適宜最適な範囲に決定さ
れるものであり、例えば、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーによるポリエチレングリコール換算で50
0〜500000、特に5000〜300000の範囲
とすることが好ましい。また、重合体の重量平均分子量
からピークトップ分子量を差し引いた値は、0〜800
0であることが必要であり、好ましくは0〜7000で
ある。重量平均分子量が500未満では、セメント分散
剤の減水性能が低下するために好ましくない。一方、5
00000を越える分子量では、セメント分散剤の減水
性能、スランプロス防止能が低下するために好ましくな
い。また、重量平均分子量からピークトップ分子量を差
し引いた値が8000を越える場合には、得られたセメ
ント分散剤のスランプ保持性能が低下するために好まし
くない。
に説明する。なお、例中、特にことわりのない限り、%
は質量%を、また、部は質量部を表わすものとする。
サ)を備えた反応槽にメトキシポリ(n=25)エチレ
ングリコール16500部、メタクリル酸4740部、
パラトルエンスルホン酸1水和物235部、フェノチア
ジン5部およびシクロヘキサン1060部を仕込み、反
応温度115℃でエステル化反応を行った。別途、シク
ロヘキサンの還流開始からエステル化反応終了まで、貯
蔵タンクからフェノチアジンを含むシクロヘキサン溶液
(重合禁止剤溶液(A);シクロヘキサン中のフェノチ
アジンの濃度を1000質量ppmにした。)を0.3
5部/minの速度で、水分離器から反応槽へ戻す凝縮
残液(主にシクロヘキサン)の一部(B)を20部/m
inの速度で、(A)と(B)を混合後、ゲル化防止剤
として、コンデンサ内に設けられた上向きノズルを通し
てコンデンサの塔頂へ降らした。このとき、オーバーヘ
ッドラインで作用させる溶剤として水分離器から反応槽
へ戻す凝縮残液の一部を20部/minの速度でオーバ
ーヘッドラインに設けられた上向きノズルを通してオー
バーヘッドラインの反応槽側の付け根部分に降らせた。
たのを確認した後、49%水酸化ナトリウム水溶液13
5部と水4890部を加えてパラトルエンスホン酸を中
和し、ハイドロキノン8部を加えて昇温し、シクロヘキ
サンを水との共沸で留去した。シクロヘキサンの留去
中、コンデンサの塔頂へハイドロキノン1部を含む水3
01部を滴下した。シクロヘキサン留去後、調整水を添
加して80%のエステル化水溶液を得た。以上の操作を
一年間繰り返した後でオーバーヘッドラインの反応槽側
の付け根の部分およびコンデンサ内部を点検(目視)し
たところ、ゲル状物は認められなかった。
ヘッドラインへの重合禁止剤の使用条件、コンデンサへ
のゲル化防止剤の使用条件、ノズル設置条件、部分中和
条件を下記表1〜3に示す。
サ)を備えた反応槽にメトキシポリ(n=25)エチレ
ングリコール16500部、メタクリル酸4740部、
パラトルエンスルホン酸1水和物235部、フェノチア
ジン5部およびシクロヘキサン1060部を仕込み、反
応温度115℃でエステル化反応を行った。別途、シク
ロヘキサンの還流開始からエステル化反応終了まで、貯
蔵タンクからフェノチアジンを含むシクロヘキサン溶液
(重合禁止剤溶液(A);シクロヘキサン中のフェノチ
アジンの濃度を1000質量ppmにした。)を0.3
5部/minの速度で、水分離器から反応槽へ戻す凝縮
残液(主にシクロヘキサン)の一部(B)を20部/m
inの速度で、(A)と(B)を混合後、ゲル化防止剤
として、コンデンサ内に設けられた上向きノズルを通し
てコンデンサの塔頂へ降らした。このとき、オーバーヘ
ッドラインへは重合禁止剤はなんら作用させなかった。
たのを確認した後、49%水酸化ナトリウム水溶液13
5部と水4890部を加えてパラトルエンスホン酸を中
和し、ハイドロキノン8部を加えて昇温し、シクロヘキ
サンを水との共沸で留去した。シクロヘキサンの留去
中、コンデンサの塔頂へハイドロキノン1部を含む水3
01部を滴下した。シクロヘキサン留去後、調整水を添
加して80%のエステル化水溶液を得た。以上の操作を
一年間繰り返した後でオーバーヘッドラインの反応槽側
の付け根の部分およびコンデンサ内部を点検(目視)し
たところ、反応槽側の付け根の部分には多量のゲルが認
められた。コンデンサ内部にはゲル状物は認められなか
った。
ヘッドラインへの重合禁止剤の使用条件、コンデンサへ
のゲル化防止剤の使用条件、ノズル設置条件、部分中和
条件を下記表1〜3に示す。
拌機、生成水分離器および還流冷却管(コンデンサ)を
備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内容量:30
リットル)に、水8200部を仕込み、攪拌下で上記反
応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温し
た。次に、上記反応器内に、実施例1で得られた80%
のエステル化物水溶液13100部に3−メルカプトプ
ロピオン酸94部を溶解させた溶液を4時間かけて滴下
すると同時に、過硫酸アンモニウム125部を水100
0部に溶解させた水溶液を5時間かけて滴下した。滴下
終了後、反応混合液を80℃に1時間維持して重合を終
了させた。さらに、この反応混合液のpHを水酸化ナト
リウム水溶液で8になるように調節することにより、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリエチ
レングリコール換算で重量平均分子量21000の本発
明のセメント分散剤用ポリカルボン酸系共重合体を得
た。
び/または溶剤をオーバーヘッドラインの少なくとも一
部で作用させることにより、ゲル状物の発生を効果的に
常に防止することができ、高品質のエスル化物を効率よ
く低コストで製造することができ、これを用いて製造さ
れるセメント分散剤等の製品の性能及び品質の低下もな
い。またコンデンサで作用させたゲル化防止剤に由来す
る重合禁止剤とすることで、新たに重合禁止剤溶液を加
えてなくともよく、反応槽に蓄積される重合禁止剤が低
減でき、その後の重合反応への影響も低減できる。さら
に、ゲル化防止手段として、オーバーヘッドライン部分
の少なくとも一部を加熱および/または保温する方法や
ゲル化防止剤をコンデンサで作用させる方法を併用する
ことで、ゲル状物が多量に発生する危険性のあるオーバ
ーヘッドラインからコンデンサまでの全域にわたって、
常に効果的にその発生を防止することができる。
イン(さらにはコンデンサ)にゲル状物が多量に発生す
ることもないので、長期間連続的に安定して運転(操
業)することができ、わざわざ定期的に運転を止めてオ
ーバーヘッドライン(さらにはコンデンサ)内部に生じ
た多量のゲル状物を洗浄するなどの保守点検作業(メン
テナンス)も大幅に省け、生産性の向上も図れ、経済的
にも有利である。
られる代表的な装置構成の概略図である。
化物を製造するときに使用する装置の代表的な装置の概
略図であって、特に本発明の特徴部分であるオーバーヘ
ッドラインの少なくとも一部に重合禁止剤供給機構、さ
らには、オーバーヘッドラインの少なくとも一部を加熱
および/または保温する手段、およびコンデンサでゲル
化防止剤を作用させるためのゲル化防止剤供給機構を設
けた装置構成を示すものである。
タンクや循環経路等から、オーバーヘッドラインの反応
槽側の付け根の部分に下向きに内設されているノズル部
に、種々の重合禁止剤を供給する供給経路の配置関係の
実施態様を示す概略説明図である。尚、図2と同じ装置
部材には、同じ符号を付すか、若しくは省略した。図3
(a)は、重合禁止剤として重合禁止剤溶液を、新たに
設けた重合禁止剤溶液タンク528からノズル部に直接的
に供給するように供給経路526aが配置されているもので
ある。図3(b)は、重合禁止剤としてゲル化防止剤
(重合禁止剤溶液と凝縮残液の一部とを混合してなるも
の)の一部を、ゲル化防止剤を供給する供給経路524か
ら分岐させてノズル部に供給するように供給経路526bが
配置されているものである。図3(c)は、重合禁止剤
としてコンデンサで作用させたゲル化防止剤に由来する
凝縮残液の一部を、循環経路525から分岐させてノズル
部に供給するように供給経路52cが配置されているもの
である。
液の貯蔵部からノズル部に該重合禁止剤溶液を供給する
第1供給経路と、ノズル部に凝縮液の一部を供給する第
2供給経路との配置関係の実施態様を示す概略説明図で
ある。尚、図2と同じ装置部材には、同じ符号を付す
か、若しくは省略した。図4(a)は、第1供給経路1
aと、水分離器の保存部から凝縮残液の一部を供給する
第2供給経路2aとが独立してノズル部に供給するよう
に配置されているものである。図4(b)は、第1供給
経路1bと、水分離器の保存部から凝縮残液の一部を供
給する第2供給経路2bとが合流されてノズル部に供給
するように配置されているものである。図4(c)は、
第1供給経路1cと、保存タンクから凝縮残液の一部を
供給する第2供給経路2cとが合流されてノズル部に供
給するように配置されているものである。
ット、103…アルコール用の原料貯蔵タンク、105…(メ
タ)アクリル酸用の原料貯蔵タンク、107…触媒貯蔵タ
ンク、 109…重合禁止剤貯蔵タンク、111…
中和剤貯蔵タンク、113、115、117、119、121、123、129、137、
139、141…配管、145、148、149、152、153、154、156、157、161
…配管、116、146…ポンプ、 125…コンデン
サ、126…噴霧ノズル、 127…水分離器、12
8…保存タンク、 131…仕切板、133、134…
水分離器内部の室、 135…反応生成水の処理タンク、14
2…循環ポンプ、 143…脱水溶剤貯蔵タン
ク、147…ゲル化防止剤貯蔵タンク、151…循環経路、15
5…真空ポンプ、 159…溶剤貯蔵タンク、50
1…反応槽、 502…ジャケット、503…
配管(二重管)、 503a…二重管の内管、504…
二重管の外管、 505…コンデンサ、506…ノズ
ル部、 507…水分離器、508…保存タン
ク、 509…重合禁止剤貯蔵タンク、510〜51
3…ポンプ、 515…水分離器の仕切板、516…
ノズル部、 520〜527…配管 528…重合禁止剤貯蔵タンク。
Claims (8)
- 【請求項1】 下記式(1): 【化1】 (ただし、式中、R1は炭素原子数1〜30の炭化水素
基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキシアル
キレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し単位は
同一であってもあるいは異なっていてもよく、およびR
2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各R2Oの
繰り返し単位はブロック状に付加していてもあるいはラ
ンダム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシア
ルキレン基の平均付加モル数を表わし、0〜300の数
である)で示されるアルコールと(メタ)アクリル酸と
のエステル化反応によりエステル化物を製造する方法に
おいて、溶剤(ゲル化防止剤を含むものを除く。)を反
応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも一部で作用さ
せることを特徴とするエステル化物の製造方法。 - 【請求項2】 前記エステル化反応は脱水溶剤中で行な
われ、かつ溶剤(ゲル化防止剤を含むものを除く。)は
前記脱水溶剤が凝縮化装置で凝縮された凝縮液の一部に
由来するものである請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 前記溶剤(ゲル化防止剤を含むものを除
く。)を、前記反応槽から凝縮化装置間の経路の少なく
とも反応槽側(反応槽とベーパーの立ち上がりラインと
の間のフランジ部近傍)および/または凝縮化装置側の
付け根(コンデンサの塔頂近傍)の部分で作用させる請
求項1または2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 反応槽から凝縮化装置間の経路の少なく
とも一部に重合禁止剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝縮さ
れた凝縮液の一部に由来するものを除く。)供給機構お
よび/または溶剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝縮された
凝縮液の一部に由来するものを除く。)供給機構が設け
られていることを特徴とするアルコールと酸によるエス
テル化物を製造するときに使用する装置。 - 【請求項5】 前記重合禁止剤(脱水溶剤を凝縮化装置
で凝縮された凝縮液の一部に由来するものを除く。)供
給機構および/または溶剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝
縮された凝縮液の一部に由来するものを除く。)供給機
構は、前記反応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも
一部に設けられたノズル部と、前記ノズル部に重合禁止
剤(脱水溶剤を凝縮化装置で凝縮された凝縮液の一部に
由来するものを除く。)および/または溶剤(脱水溶剤
を凝縮化装置で凝縮された凝縮液の一部に由来するもの
を除く。)を供給するための経路とを有してなる請求項
4に記載の装置。 - 【請求項6】 前記ノズル部は前記反応槽から凝縮化装
置間の経路の少なくとも反応槽側(反応槽とベーパーの
立ち上がりラインとの間のフランジ部近傍)および/ま
たは凝縮化装置側の付け根(コンデンサの塔頂近傍)の
部分に設けられてなる請求項5に記載の装置。 - 【請求項7】 前記ノズル部は前記反応槽から凝縮化装
置間の経路の少なくとも反応槽側(反応槽とベーパーの
立ち上がりラインとの間のフランジ部近傍)に設けられ
てなる請求項6に記載の装置。 - 【請求項8】 溶剤(ゲル化防止剤を含むものを除
く。)を反応槽から凝縮化装置間の経路の少なくとも一
部で作用させながら、下記式(1): 【化2】 (ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し単位は同一で
あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2Oが
2種以上の混合物の形態である場合には各R2Oの繰り
返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
ム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシアルキ
レン基の平均付加モル数を表わし、1〜300の数であ
る)で示されるアルコキシポリアルキレングリコールと
(メタ)アクリル酸とをエステル化反応することによっ
てアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)ア
クリル酸系単量体(a)を得、該アルコキシポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体(a)
5〜98質量%、下記式(2): 【化3】 (ただし、R3は水素もしくはメチル基を表わし、M1は
水素、一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機
アミン基を表わす)で示される(メタ)アクリル酸系単
量体(b)95〜2質量%、およびこれらの単量体と共
重合可能な他の単量体(c)0〜50質量%(但し、
(a)、(b)および(c)の合計は100質量%)を
共重合することを特徴とする、セメント分散剤用ポリカ
ルボン酸系共重合体の製造方法。
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