JP3343227B2 - エステル化物の製造方法 - Google Patents
エステル化物の製造方法Info
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Description
造方法に関するものである。詳しくは、脱水溶剤中で、
アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応を
行い、エステル化反応終了後に該脱水溶剤を留去させる
ことにより、高品質の(メタ)アクリル酸エステル類
(本明細書中では、単にエステル化物ともいう)を効率
よく製造する方法であって、特に製造装置を連続的に運
転してエステル化物を工業的に大量生産する場合に、特
に生産効率に優れるエステル化物の製造方法に関するも
のである。
たエステル化物を用いたセメント分散剤用ポリカルボン
酸系共重合体の製造方法に関するものである。
ボンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケール防止
剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWM用分散剤、増粘
剤等に使用される重合体成分の原料となる各種(メタ)
アクリル酸エステル系単量体成分は、アルコールと(メ
タ)アクリル酸とをエステル化反応することにより得ら
れる。こうしたエステル化反応では、同時に反応生成水
が副生するため、この反応生成水を反応系から除去しな
いと(すなわち、反応生成水がたまると)、平衡反応ゆ
えにエステル化物を生成する方向に反応が進まなくな
る。そのため、エステル化物を合成するのに、脱水溶剤
を用い、これと反応生成水とを留出(共沸)させ、この
うち反応生成水を分離除去し、脱水溶剤を還流させて反
応を行い、反応終了後に該脱水溶剤を留去して目的のエ
ステル化物を含有する反応槽から取り除く手法がとられ
ている。
9−328346号公報の比較例1及び2に、反応器
(セパラブルフラスコ)に温度計、攪拌機および水分離
器を設け、反応生成水を分離できるようにした反応装置
に、原料としてメタクリル酸及びメトキシポリエチレン
グリコール(オキシエチレン基の平均付加モル数:10
モル)、酸触媒として硫酸(比較例1)またはパラトル
エンスルホン酸(比較例2)、重合禁止剤としてフェノ
チアジン、脱水溶剤としてシクロヘキサンを仕込み攪拌
しながら加熱し、常圧下にシクロヘキサン−水共沸物を
留出させ、反応生成水を水分離器で除去しながらシクロ
ヘキサンを還流させてエステル化反応を行い、エステル
反応終了後、使用したシクロヘキサンを留去し、目的と
するエステル化物を合成する方法が記載されている。
ように、脱水溶剤を用いるエステル化反応において、反
応終了後に脱水溶剤を留去すること以外は、脱水溶剤を
留去する上での技術的課題等に関して現在までに報告さ
れたものはないのが現状である。
剤を利用して高品質のエステル化物を効率よく製造する
べく鋭意研究を進める過程で、反応後に脱水溶剤を留出
し凝縮液化するときに、ゲル状物が形成され、(1)工
業化してエステル化物を大量生産する場合には、該ゲル
状物が、凝縮液化手段以降の配管や装置(例えば、コン
デンサなど)の内壁などに付着していき、凝縮液化時の
熱交換効率の低下を招くことにもなり、さらに、繰り返
し(いわば、連続的に)運転する場合には、コンデンサ
や配管内の流体(主に凝縮後の液体)の流れを悪くし、
ひいては閉塞を招くおそれがあるため、定期的に運転を
止めてコンデンサや配管内部を洗浄し該ゲル状物を取り
除く必要があるほか、(2)反応後に水を加えて脱水溶
剤を共沸して留去する場合に、反応時の反応生成水の分
離除去に用いる脱水溶剤還流システムを、反応後の脱水
溶剤の留去にも利用する場合において、これを繰り返し
て(連続的に)運転するようになる(いわば工業的に大
量生産するようになる)と、形成されたゲル状物の一部
が、次のバッチでのエステル化反応中に脱水溶剤を循環
する際に脱水溶剤中に取り込まれ、脱水溶剤とともに還
流されることにより、反応槽内に不純物として留まり、
最終的な製品中に混入され、該製品(例えば、セメント
分散剤、顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリ
ー用分散剤、CWM用分散剤、増粘剤など)の性能及び
品質を低下させることにもなるなど、ゲル状物に起因す
る多くの技術的課題が生じることがわかってきた。
反応後に脱水溶剤を留去する際に生ずる技術的課題を解
決してなるエステル化物の製造方法を提供するものであ
る。
的課題を生じさせる元凶ともいえるゲル状物の発生その
ものを防止し、高品質のエステル化物を効率よく製造す
ることのできるエステル化物の製造方法を提供するもの
である。
よって製造された不純物(ゲル状物)含量の少ないエス
テル化物を用いた優れたセメント分散能を有するセメン
ト分散剤用のポリカルボン酸系共重合体の製造方法に関
するものである。
上記課題を解決するために、高品質のエステル化物を効
率よく製造することのできる方法につき、鋭意検討した
結果、脱水溶剤を留去する際に生ずるゲル状物の多くは
ポリ(メタ)アクリル酸であって、かかるゲル状物は、
アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応が
効率良く進行するように、通常、一方の原料を過剰に使
用してエステル化反応を速めたり、目的のエステル化物
の精製面から蒸留留去し易いより低沸点の原料を過剰に
使用するため、エステル化反応終了後にもこうした低沸
点の原料が未反応のまま残っており、その一部が、脱水
溶剤(ないし脱水溶剤と水との共沸物)とともに留出さ
れ凝縮液化されるときに(液相反応によりゲル化して)
形成されるものであるとする、発生メカニズム(発生原
因)を突き止め、これに基づき極めて効果的に該ゲル状
物の発生を防止することのできる解決策を見出し、当該
知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
(8)に記載の方法により達成することができるもので
ある。
(1):
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
R2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、0〜3
00の数である)で示されるアルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応によるエステル化物の製造方
法において、該エステル化反応終了後の脱水溶剤留去工
程中に、該脱水溶剤を含む留出物に対してゲル化防止剤
を作用させる工程を含むことを特徴とするエステル化物
の製造方法。
む留出物を凝縮させる領域で作用させる、上記(1)に
記載の方法。
させるコンデンサ内で作用させる、上記(1)または
(2)に記載の方法。
るコンデンサの塔頂近傍に作用させる、上記(3)に記
載の方法。
を水と共沸して留出させることによる脱水溶剤留去工程
中に、該脱水溶剤を含む留出物に対してゲル化防止剤を
水と混合して作用させる工程を含む、上記(1)〜
(4)のいずれか1つに記載の方法。
る、上記(5)に記載の方法。
シアルキレン基の平均付加モル数を表わし、2〜300
の数である、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載
の方法。
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
R2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜3
00の数である)で示されるアルコキシポリアルキレン
グリコールを(メタ)アクリル酸とエステル化反応し、
該エステル化反応が終了した後の脱水溶剤留去工程中
に、該脱水溶剤を含む留出物に対してゲル化防止剤を作
用させることにより、アルコキシポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アクリル酸系単量体(a)を得、該ア
ルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリ
ル酸系単量体(a)5〜98質量%、下記式(2):
表わし、M1は水素、一価金属、二価金属、アンモニウ
ム基または有機アミン基を表わす)で示される(メタ)
アクリル酸系単量体(b)95〜2質量%、およびこれ
らの単量体と共重合可能な他の単量体(c)0〜50質
量%(但し、(a)、(b)および(c)の合計は10
0質量%)を共重合することを特徴とする、セメント分
散剤用ポリカルボン酸系共重合体の製造方法。
脱水溶剤の存在下、下記式(1):
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
R2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、0〜3
00の数である)で示されるアルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステル化反応によるエステル化物の製造方
法において、該エステル化反応終了後の脱水溶剤留去工
程中に、該脱水溶剤を含む留出物に対してゲル化防止剤
を作用させる工程を含むことを特徴とするエステル化物
の製造方法を提供するものである。
槽から留出されてなるもの(混合物)を意味し、以下に
詳細に説明するが、エステル化反応工程中あるいはエス
テル化反応工程終了後の脱水溶剤留去工程などの工程の
種類にかかわらず、反応槽から留出されるものすべてを
包含する。よつて、本発明による留出物は、存在する状
態は特に制限されずに、ガス状または液状のいずれの状
態で存在していてもよい。すなわち、本明細書における
「留出物」は、特記しないかぎり、エステル化反応工程
時に生成し、反応槽から留去される反応生成水、該反応
生成水を反応槽から留出する際に一緒に留出される原
料、特に(メタ)アクリル酸、さらに必要に応じて反応
生成水と共沸させる目的で反応槽に加えられる脱水溶剤
を含む留出物;ならびにエステル化反応工程終了後の脱
水溶剤留去工程中に反応槽から留去される脱水溶剤、及
び該脱水溶剤を反応槽から留出する際に一緒に留出され
る原料、特に(メタ)アクリル酸を含む留出物などを包
含する。なお、ここでいう反応槽は、その名称に拘泥さ
れるものではなく、反応器、反応容器および反応釜など
と同じ意味内容で用いられるものであって、最も広く解
されるべきものである。以下、説明の都合上、これら中
の表現を適当に用いることもあるが、個々の持つ狭い意
味内容に本発明が限定されるべきものではない。同様
に、後述するコンデンサ(凝縮器)も水分離器もその名
称に拘泥されるものではなく、最も広く解されるべきも
のである。
ル化反応終了後の脱水溶剤留去工程中に脱水溶剤を反応
槽から留去する必要があることから、上記概念における
「留出物」は、通常、この脱水溶剤を含むほか、脱水溶
剤を反応槽から留出する際に一緒に留出される原料、特
に(メタ)アクリル酸を含むものである。
の好適な実施の形態につき、工程を追って説明する。
の通りであるが、特に本発明では、酸触媒と重合禁止剤
の存在下、脱水溶剤中で、式(1)で表されるアルコー
ル(以下、単に「アルコール」ともいう)と(メタ)ア
クリル酸とのエステル化反応を行い(エステル化工
程)、エステル化反応終了後、酸触媒または酸触媒の全
部と(メタ)アクリル酸の一部を中和し(部分中和工
程)、その後、脱水溶剤を留去する(溶剤除去工程)際
に、該脱水溶剤を含む留出物に対してゲル化防止剤を作
用させるのが望ましい。
反応を行った後に、該脱水溶剤を留去する工程、すなわ
ち、溶剤留去工程を必須とするものであり、それ以外の
工程、たとえば、以下に詳述するエステル化反応(エス
テル化工程)や部分中和工程は特に制限されず、従来と
同様の方法が使用できるが、各工程の好ましい態様を以
下に説明する。
おけるエステル化反応(エステル化工程)の一実施態様
を以下に簡単に記載する。まず、反応系(反応槽)に、
原料としてのアルコール及び(メタ)アクリル酸、脱水
溶剤、酸触媒及び重合禁止剤を仕込み、これら混合物を
一定温度で所定のエステル化率になるまで、エステル化
反応を行う。
用されるアルコールは、下記式(1)で示される化合物
である。
数1〜30の炭化水素基を表わす。R1が炭素原子数3
0を超える炭化水素基である場合には、式(1)のアル
コールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物を、例え
ば、(メタ)アクリル酸と共重合して得られる共重合体
の水溶性が低下し、用途性能、例えば、セメント分散性
能などが低下する。好適なR1の範囲はその使用用途に
より異なるものであり、例えば、セメント分散剤の原料
として用いる場合には、R1は、炭素原子数1〜18の
直鎖若しくは枝分かれ鎖のアルキル基およびアリール基
が好ましい。R 1としては、具体的には、例えば、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、
デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル基、
テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘ
プタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコ
シル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基などのアルキル
基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基、ノニル
フェニル基などのアルキルフェニル基;シクロヘキシル
基などのシクロアルキル基;アルケニル基;アルキニル
基などが挙げられる。これらのうち、セメント分散剤の
原料として用いる場合には、上述したように、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基が好
ましいものである。
ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であ
る。R2Oが炭素原子数18を超えるオキシアルキレン
基である場合には、式(1)のアルコールと(メタ)ア
クリル酸とのエステル化物を、例えば、(メタ)アクリ
ル酸と共重合して得られる共重合体の水溶性が低下し、
用途性能、例えば、セメント分散性能等が低下する。R
2Oとしては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロ
ピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基などが
挙げられ、これらのうち、オキシエチレン基、オキシプ
ロピレン基及びオキシブチレン基であることが好まし
い。また、R2Oの繰り返し単位は、同一であってもあ
るいは異なっていてもよい。このうち、R2Oの繰り返
し単位が異なる場合、すなわち、2種以上の異なる繰り
返し単位を有する場合には、各R2Oの繰り返し単位は
ブロック状に付加していてもあるいはランダム状に付加
していてもよい。
300の数であり、R2O(オキシアルキレン基)の繰
り返し単位の平均付加モル数を表わす。nが300を超
える場合には、式(1)の化合物と(メタ)アクリル酸
とのエステル化物の重合性が低下する。この平均付加モ
ル数nも、エステル化反応により得られるエステル化物
の使用目的に応じて、その最適範囲は異なるものであ
り、例えば、セメント分散剤の原料として使用する場合
には、平均付加モル数nは、好ましくは2〜300、よ
り好ましくは5〜200、最も好ましくは8〜150の
数である。また、増粘剤などとして用いる場合には、平
均付加モル数nは、好ましくは10〜250、より好ま
しくは50〜200の数である。また、n=0の場合に
は、水との溶解性および沸点の観点から、上記R1は炭
素原子数4以上の炭化水素基であることが好ましい。す
なわち、式(1)のn=0の場合、特にメタノールやエ
タノールなどのアルコールでは低沸点のため生成水とと
もに蒸発し、さらに生成水に溶解することから当該アル
コール原料の一部が系外に留去され、目的とするエステ
ル化物の収率が低下するためである。
で示されるアルコール原料は、1種のものを単独で使用
してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用してもよ
い。式(1)で示されるアルコール原料が2種以上の混
合物での使用形態は、特に制限されるものではなく、R
1、R2Oまたはnの少なくともいずれか1つが異なる2
種以上の混合物での使用形態であればよいが、好ましく
はR1がメチル基とブチル基の2種で構成されている
場合;R2Oがオキシエチレン基とオキシプロピレン
基の2種で構成されている場合;nが1〜10のもの
と11〜100のものの2種で構成されている場合;お
よび〜を適宜組み合わせたもの等が挙げられる。
のできる(メタ)アクリル酸に関しても、アクリル酸お
よびメタクリル酸を、それぞれ単独で使用しても、ある
いは混合して使用してもよく、その混合比率に関しても
任意の範囲を採用することができる。
上記原料の混合比率は、化学量論的には1:1(モル
比)であるが、実際には、アルコールと(メタ)アクリ
ル酸とのエステル化反応が効率良く進行する範囲であれ
ば特に制限されるものではないが、通常、一方の原料を
過剰に使用してエステル化反応を速めたり、目的のエス
テル化物の精製面からは、蒸留留去し易いより低沸点の
原料を過剰に使用する。また、本発明では、エステル化
反応時に反応生成水と脱水溶剤を共沸する際に、低沸点
の(メタ)アクリル酸の一部も留出され、反応系外に持
ち出されるため、アルコールの使用量(仕込み量)に対
して(メタ)アクリル酸の使用量(仕込み量)を化学量
論的に算出される量よりも過剰に加えることが好まし
い。具体的には、(メタ)アクリル酸の使用量は、通
常、アルコール1モルに対して、1.0〜30モル、好
ましくは1.2〜10モル、より好ましくは1.5〜1
0モル、最も好ましくは2〜10モルである。(メタ)
アクリル酸の使用量がアルコール1モルに対して1.0
モル未満であると、エステル化反応が円滑に進行せず、
目的とするエステル化物の収率が不十分であり、逆に3
0モルを超えると、添加に見合う収率の向上が認められ
ず、不経済であり、やはり好ましくない。
は、必要に応じて、反応系に酸触媒を加えて行ってもよ
いが、反応を速やかに進行させることができるため、酸
触媒の存在下で反応を行うことが望ましい。この際使用
することのできる酸触媒としては、例えば、硫酸、メタ
ンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエン
スルホン酸水和物、キシレンスルホン酸、キシレンスル
ホン酸水和物、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスル
ホン酸水和物、トリフルオロメタンスルホン酸、「Na
fion」レジン、「Amberlyst 15」レジ
ン、リンタングステン酸、リンタングステン酸水和物、
塩酸などが挙げられる。この際、酸触媒は単独で使用さ
れてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されても
よい。
水との共沸温度、エステル化反応温度などを考慮する
と、酸触媒は、常圧における沸点が高いものであること
が好ましい。具体的には、本発明に好ましく使用される
酸触媒の常圧における沸点は、150℃以上、より好ま
しくは200℃以上である。ゆえに、硫酸(常圧におけ
る沸点:317℃)、パラトルエンスルホン酸(沸点:
185〜187℃/13.3Pa(0.1mmH
g))、パラトルエンスルホン酸水和物及びメタンスル
ホン酸(沸点:167℃/1333.2Pa(10mm
Hg))などが好ましく使用される。さらに、本発明者
らは、エステル化物の品質および性能の低下の原因とな
る不純物のジエステルの生成原因の1つが、アルコキシ
ポリアルキレングリコールの切断によるものであり、さ
らに当該切断が酸触媒によっても起こり得ることを知得
した。かかる知見に基づき、当該切断のしにくい酸触媒
がより望ましいこと見出したものである。上記点を考慮
すると、本発明において特に好ましく使用される酸触媒
としては、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスル
ホン酸水和物が例示できる。
望の触媒作用を有効に発現することができる範囲であれ
ば特に制限されるものではないが、好ましくは0.4ミ
リ当量/g以下であり、より好ましくは0.36〜0.
01ミリ当量/g、特に好ましくは0.32〜0.05
ミリ当量/gの範囲内である。酸触媒の使用量が0.4
ミリ当量/gを超えると、エステル化反応時に反応系内
で形成されるジエステルの量が増加し、エステル化反応
により得られるエステル化物[アルコキシポリアルキレ
ングリコールモノ(メタ)アクリル酸]を用いて合成さ
れるセメント分散剤のセメント分散能が低下する。ここ
で、酸触媒の使用量(ミリ当量/g)は、反応に使用し
た酸触媒のH+の当量数(ミリ当量)を、原料であるア
ルコール及び(メタ)アクリル酸の合計仕込み量(g)
で割った値で表される。より具体的には下記式によって
算出される値である。
のし方は、一括、連続、または順次行ってもよいが、作
業性の面からは、反応槽に、原料と共に一括で仕込むの
が好ましい。
でエステル化反応を行う際に、酸触媒を水和物および/
または水溶液の形態で用いてもよい。
触媒としては、例えば、硫酸、メタンスルホン酸、パラ
トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレン
スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、「Naf
ion」レジン、「Amberlyst 15」レジ
ン、リンタングステン酸、塩酸などを水和物および/ま
たは水溶液の形態で用いるものが挙げられ、これらのう
ち、硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸
などを水和物および/または水溶液のかたちで用いるも
のが好ましく使用される。これらは、1種単独で使用し
てもよいし、2種以上を混合して使用しても良い。さら
に、本発明者らは、上述したように、エステル化物の品
質および性能の低下の原因となる不純物のジエステルの
生成原因の1つが、アルコール原料の切断によるもので
あり、さらに当該切断が酸触媒によっても起こり得るこ
とを知得し、かかる知見に基づき、当該切断のしにくい
酸触媒がより望ましいこと見出したものである。当該酸
触媒としては、具体的には、パラトルエンスルホン酸を
水和物および/または水溶液のかたちで用いるものであ
る。
触媒作用を有効に発現することができる範囲であれば特
に制限されるものではないが、アルコール原料の切断作
用の抑制、各種用途、例えば、セメント分散剤、炭酸カ
ルシウム、カーボンブラック、インクなどの顔料分散
剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、CW
M用分散剤、増粘剤等に使用される重合体成分の原料と
なるエステル化物としての有用性、このような使用用途
に要求される基本性能である分散性能などに悪影響を及
ぼす原因となる分散性能の乏しい高分子量架橋ポリマー
を発生させる原因となるゲル発生の防止・抑制を考慮す
ると、該酸触媒の使用量が、原料のアルコールと(メ
タ)アクリル酸の合計質量に対する該酸触媒中の酸の質
量の比をX(質量%)とし、該酸触媒中の水和物および
/または水溶液として存在する水分の質量の比をY(質
量%)とした場合に、 0<Y<1.81X−1.62 の関係を満足することが好ましい。なお、誤解がないよ
うに具体例を挙げて説明すれば、例えば、パラトルエン
スルホン酸一水和物を例にとれば、原料の合計質量に対
するパラトルエンスルホン酸の質量の比がX(質量%)
であり、原料の合計質量に対する一水和物として存在す
る水分の質量の比がY(質量%)であるのであって、決
して、酸触媒以外の酸成分(例えば、原料の(メタ)ア
クリル酸など)や水分(例えば、エステル化反応により
生ずる生成水など)は、ここでいうXおよびYの対象物
となりえない。
満足しない場合には、以下のような問題が生じる。すな
わち、Y=0の場合には、酸触媒中に水和物および/ま
たは水溶液として存在する水分が存在しないこととな
り、エステル化反応時に反応系内で形成されるゲルの量
が増加し、エステル化反応により得られるエステル化物
を用いて合成されるセメント分散剤等の用途性能、例え
ば、セメント分散能等が低下する。また、Y≧1.81
X−1.62となる場合には、エステル化反応時に反応
系内で形成されるゲルの量が増加し、エステル化反応に
より得られるエステル化物を用いて合成されるセメント
分散剤等の用途性能、例えば、セメント分散能等が低下
する。
加のし方は、一括、連続、または順次行ってもよいが、
作業性の面からは、反応槽に、原料と共に一括で仕込む
のが好ましい。
要に応じて、重合禁止剤の存在下で行われてもよい。こ
の際、重合禁止剤を用いることにより、原料としてのア
ルコール、(メタ)アクリル酸またはこれらの混合物の
重合を防止することできるため、本発明によるエステル
化反応を重合禁止剤の存在下で反応を行うことが望まし
い。本発明において使用できる重合禁止剤としては、公
知の重合禁止剤が使用できるものであり、特に制限され
るものではなく、例えば、フェノチアジン、トリ−p−
ニトロフェニルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミ
ン、ジフェニルピクリルヒドラジル、N−(3−N−オ
キシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリン
オキシド、ベンゾキノン、ハイドロキノン、メトキノ
ン、ブチルカテコール、ニトロソベンゼン、ピクリン
酸、ジチオベンゾイルジスルフィド、クペロン、塩化銅
(II)などが挙げられる。これらのうち、脱水溶剤や生
成水の溶解性の理由から、フェノチアジン、ハイドロキ
ノン及びメトキノンが好ましく使用される。これらの重
合禁止剤は、単独で使用してもよいほか、2種以上を混
合して使用することもできる。
/または水溶液の形で用いる場合には、フェノチアジン
が、反応系内に存在する水溶液中のゲル形成物質に対し
ても有効に機能することができるほか、後述するよう
に、エステル化反応終了後に、脱水溶剤を水との共沸に
より留去する際にも、弱いながらも重合活性のあるハイ
ドロキノンやメトキノン等の水溶性重合禁止剤を用いな
くても極めて有効に重合禁止能を発揮することができ、
高分子量体の形成を効果的におさえることができる点か
ら極めて有用である。
する際の重合禁止剤の使用量は、原料としてのアルコー
ル及び(メタ)アクリル酸の合計仕込量に対して、0.
001〜1質量%、好ましくは0.001〜0.1質量
%の範囲内である。重合禁止剤の使用量が0.001質
量%未満であると、重合禁止能の発現が十分でなく、原
料としてのアルコール、(メタ)アクリル酸、生成物と
してのエステル化物またはこれらの混合物の重合を有効
に防止しにくくなるため好ましくなく、重合禁止剤の使
用量が1質量%を超えると、生成物であるエステル化物
中に残留する重合禁止剤量が増えるため、品質及び性能
面から好ましくなく、また、過剰に添加することに見合
うさらなる効果も得られず、経済的な観点からも好まし
くない。
いては、脱水溶剤中で、エステル化反応を行うことを必
須とする。本明細書中、脱水溶剤とは、反応生成水と共
沸する溶剤として規定されるものである。すなわち、脱
水溶剤を用いることにより、エステル化反応により生成
する反応生成水を効率よく共沸させることができるもの
である。脱水溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、ジオキサン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、イソプロピ
ルエーテルなどが挙げられ、これらを単独で、あるいは
2種以上のものを混合溶剤として使用することができ
る。これらのうち水との共沸温度が150℃以下、より
好ましくは60〜90℃の範囲であるものが好ましく、
具体的には、シクロヘキサン、トルエン、ジオキサン、
ベンゼン、イソプロピルエーテル、ヘキサン、ヘプタン
などが挙げられる。水との共沸温度が150℃を超える
場合には、取り扱いの面(反応時の反応槽内の温度管理
および共沸物の凝縮液化処理などの制御等を含む)から
好ましくない。
共沸させ、反応生成水を凝縮液化して分離除去しながら
還流させることが望ましく、この際、脱水溶剤の使用量
は、原料としてのアルコール及び(メタ)アクリル酸の
合計仕込量に対して、1〜100質量%、好ましくは2
〜50質量%の範囲内である。脱水溶剤の使用量が1質
量%未満であると、エステル化反応中に生成する反応生
成水を共沸により反応系外に十分除去できず、エステル
化の平衡反応が進行しにくくなるため、好ましくなく、
脱水溶剤の使用量が100質量%を超えると、過剰に添
加することに見合う効果が得られず、また、反応温度を
一定に維持するために多くの熱量が必要となり、経済的
な観点から好ましくない。
て、脱水溶剤を使用する際には、エステル化反応中の反
応温度を30〜130℃、より望ましくは60〜130
℃とし、かつエステル化反応中の溶剤循環速度を0.5
サイクル以上/時間、より好ましくは1〜100サイク
ル以上/時間とすることが望ましい。これにより、反応
温度を不純物形成温度領域(130℃超の領域)まで高
くして反応させる必要もなく、反応槽内で不純物が形成
するのを抑えることができる。また、溶剤循環速度を速
めることで、反応槽内に反応生成水を長期間滞留させる
ことなく効率よく反応槽から共沸により留出でき、平衡
反応がエステル化の方向に進むため、反応時間も短くで
きるものである。
剤循環速度とは、次のように定義されるものをいう。す
なわち、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量(体積量)に
対して、エステル化反応中に、反応槽内の脱水溶剤を反
応槽から循環経路を通して再び反応槽に戻し循環させる
ことにより、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量に相当す
る量(体積量)が循環されたときを1サイクルと規定
し、エステル化反応中の溶剤循環速度は、単位時間(1
時間)あたりの当該サイクル数で表されるものとし、そ
の単位は「サイクル/時間」とする。したがって、例え
ば、5時間で、反応槽に仕込んだ脱水溶剤の全量に対し
て、これに相当する量の15倍の量が循環されたときに
は、溶剤循環速度は3サイクル/時間となる。同様に、
2時間で、反応系に仕込んだ脱水溶剤の全量に対して、
これに相当する量の半分(0.5倍)の量が循環された
ときには、溶剤循環速度は0.25サイクル/時間とな
る。なお、ここで、反応系内の脱水溶剤を反応系から留
出し凝縮液化して反応系に戻し循環させる際に循環され
るもの(被循環対象物)には、脱水溶剤のほか、その実
施態様によっては、少量ではあるが、留出される低沸点
原料(主に、(メタ)アクリル酸原料)、およびこの留
出原料がゲルを形成して有害な不純物となるのを防止す
るために添加されるゲル化防止剤(重合禁止剤または該
重合禁止剤を含む溶剤等)などの各種添加剤が含まれる
こともあり得る。そのため、ゲル化防止剤等の添加剤を
使用する場合には、これにより溶剤循環速度がエステル
化反応が進むにつれて変動することを考慮して設定条件
を適当に調整するのが望ましい。
は、反応槽の加熱方法(手段)およびその装置を用いて
反応槽に加えられる温度(熱量)及び反応槽に仕込む原
料に対する脱水溶剤の使用量などによって所望の範囲に
調整することができる。なお、反応温度は、反応槽内で
の最大(MAX)温度である。すなわち、加熱手段とし
て用いられる装置(例えば、外部ジャケット、内部ヒー
タなど)の態様により、反応槽内の温度(反応温度)
は、その位置によりバラツクほか、エステル化反応が進
むにつれても上がり、時間の経過によっても変動する
が、反応温度が高くなることで、不純物の形成を招くた
め、位置的及び時間的な条件に関わらず、如何なる位置
及び時間であれ、上記に規定する上限温度を超えないこ
とが必要であることから、ここでは、最大温度をもって
規定することにしたものである。
または連続いずれによっても行ないうるが、回分式で行
うことが好ましい。
は、エステル化反応が円滑に進行する条件であればよ
く、反応温度は30〜140℃、好ましくは60〜13
0℃、さらに好ましくは90〜125℃、特に好ましく
は100〜120℃である。なお、上記反応温度は、本
発明の一般的なエステル化反応の条件であり、脱水溶剤
を反応系外に反応生成水と共沸させ、反応生成水を凝縮
液化して分離除去しながら還流させる場合は、その1例
であり、これらの範囲内に含まれるが、完全に一致する
ものではない。反応温度が30℃未満では、エステル化
反応が進行しづらく、反応生成水の脱水(留出)にも時
間がかかり、また、脱水溶剤の還流が遅くて脱水に時間
がかかり、ゆえに、エステル化反応に要する時間が長く
なり好ましくない。逆に、反応温度が140℃を超える
と、アルコール原料の切断によって過大量のジエステル
が生成してセメント分散性能のほか、各種用途における
分散性能や増粘特性が低下する。また、原料の重合が生
じたり、留出物への原料の混入量が増すなど、生成物で
あるエステル化物の性能及び品質の劣化が生じるなど、
やはり好ましくない。また、反応時間は、後述するよう
にエステル化率が少なくとも70%、好ましくは少なく
とも80%に達するまでであるが、通常、1〜50時
間、好ましくは3〜40時間である。さらに、本発明に
よるエステル化反応は、常圧下または減圧下いずれで行
ってもよいが、設備面から、常圧下で行うことが望まし
い。
テル化率は、70%以上、より好ましくは70〜99
%、最も好ましくは80〜98%であることが好まし
い。エステル化率が70%未満であると、製造されるエ
ステル化物の収率が不十分であり、これを原料として得
られるセメント分散剤等の用途性能、例えば、セメント
分散能等が低下する。なお、本明細書において使用され
る「エステル化率」は、下記に示すエステル化測定条件
で、エステル化の出発物質であるアルコールの減少量を
測定することにより、下記式によって算出される値とし
て定義されるものである。
め、エステル化率が100%を越えることはない。従っ
て、本発明においては、エステル化率が規定以上に達し
た時点でエステル化反応が終了したものとする。
て説明してきたが、本発明者らは、エステル化反応時に
生成する反応生成水を留出させ、この反応生成水を含む
留出物に対してゲル化防止剤を作用させる(本明細書で
は、第一の実施態様とも称する)ことが望ましいことを
見出した。これにより、反応系内の反応生成水を反応系
外に留出してから凝縮液化し分離除去する間に、反応生
成水とともに反応系外に留出されてくる低沸点の原料で
ある(メタ)アクリル酸等により生ずるゲル状物(ポリ
(メタ)アクリル酸等)の発生そのものを効果的に防止
する、すなわち、製品の品質劣化や装置類の閉塞等の原
因になるゲル状物を形成するのを防止することができ
る。
時に生成する反応生成水などの留出物に対して作用させ
るために用いられるゲル化防止剤としては、反応生成水
と共に留出されてくる低沸点の原料の留出段階、特に凝
縮段階での重合反応を抑えられ、反応槽からコンデンサ
への立ち上がり管のフランジ部などで発生するゲルの形
成、即ち、コンデンサのチューブや反応槽とコンデンサ
との間の連結管のつまりを抑制できるものであれば特に
制限されるものではなく、反応系内で同様の目的を持っ
て使用される重合禁止剤と何ら変わるものではなく、上
記に説明したと同様に使用でき、また、従来既知の各種
ゲル化防止剤の中から適宜選択して使用することができ
る。該ゲル化防止剤としては、具体的には、例えば、フ
ェノチアジン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジ−
p−フルオロフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒド
ラジル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメ
チルブチリデン)アニリンオキシド、ベンゾキノン、ハ
イドロキノン、メトキノン、ブチルカテコール、ニトロ
ソベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィ
ド、クペロン、塩化銅(II)などが挙げられる。これら
のうち、脱水溶剤や生成水の溶解性の理由から、フェノ
チアジン、ハイドロキノン、メトキノンが好ましく使用
される。これらのゲル化防止剤は、単独で使用してもよ
いほか、2種以上を混合して使用することもできる。
テル化反応条件、特に反応系に加える熱量や反応系内に
仕込む脱水溶剤量等に応じて、低沸点原料の留出量に見
合う量、すなわち、共沸物の留出開始時からエステル化
反応終了まで逐次留出されてくる低沸点原料に対して常
にゲルの形成を効果的に防止することができる量を適宜
添加すればよく、原料であるアルコールおよび(メタ)
アクリル酸の仕込み量に対して0.1〜1000質量p
pm、好ましくは1〜500質量ppmの範囲で添加す
ることで上記目的を達成することができる。原料の仕込
み量に対して0.1質量ppm未満の場合には、ゲル状
物が生成する場合があり、共沸物の留出開始時からエス
テル化反応終了まで逐次留出されてくる低沸点原料に対
して、常に重合禁止能を有効に発現させる上で不十分な
量と言える。一方、原料仕込み量に対して1000質量
ppmを超える場合には、ゲル形成防止(重合禁止)能
を有効に発現させるには十分過ぎる量であり、過剰な添
加に見合う更なる効果の発現が見込めず不経済となる。
なお、添加量の全量を一時に加えたのでは、共沸物の留
出開始時からエステル化反応終了まで逐次留出されてく
る低沸点原料に対してゲルの形成を有効に阻止すること
ができにくいため、共沸物の留出に呼応するたかちで、
共沸物の留出開始時からエステル化反応終了まで逐次
(連続的に)一定量づつを添加し、最終的な添加量の総
計が上記範囲となるように調整することが望ましい。
形態や作用させる領域など)としては、反応系外に留出
された低沸点原料(流体物)に対して有効に作用(接
触)させることができるものであれば、特に制限される
ものではなく、例えば、(a)凝縮液化させる前のガス
状の留出物に対して作用させてもよいし、(b)凝集液
化により液化した液状の留出物に対して作用させてもよ
い。また、上記(a)及び(b)の双方を活用してもよ
い。
法を、作用形態ごとに例を挙げて説明するが、本発明で
は、これらを適当に組み合わせることができるほか、従
来既知の他の作用方法を適宜利用することができる。な
お、下記に例示する作用方法は、当業者が本発明を容易
に理解することができるように代表的なものを例示的に
示したものであり、本発明がこれらに限定されるもので
はないことはいうまでもない。
作用させる方法;適当な溶剤、好ましくは反応系に仕込
む脱水溶剤と同種の溶剤にゲル化防止剤を溶かして液状
にしたものを、反応生成水を含む留出物(好ましくは溶
剤−水共沸物)を凝縮させる領域、具体的には、反応生
成水を含む留出物の凝縮液化が行われるコンデンサ内部
の凝縮部に、好ましくはコンデンサの上部(とりわけ塔
頂部近傍)からその内部に該留出物と並流接触するよう
に滴下ないし噴霧するものである。また、コンデンサの
タイプ等によっては、ゲル化防止剤を含む溶液をコンデ
ンサ内部に仕込んでおいて、これにガス状の留出物を吹
き込むあるいは液化した留出物を流し込むようにして接
触(相溶ないし分散)させるようにしてもよい。さらに
上記態様では、ゲル化防止剤の作用部位をコンデンサ内
部の凝縮部としたが、上記部位に加えて、反応槽とベー
パーの立ち上がりラインとの間の接合部(フランジ部)
やベーパーラインとコンデンサ塔頂部との間のフランジ
部等のフランジ部、反応槽等に設置された温度計やのぞ
き窓に設けられた突起部など、ゲルが形成されやすい部
位であってもよい。これらのうち、コンデンサ内部の凝
縮部(とりわけ塔頂部近傍)、反応槽とベーパーの立ち
上がりラインとの間のフランジ部やベーパーラインとコ
ンデンサ塔頂部との間のフランジ部が好ましいゲル化防
止剤の作用部位である。また、上記作用部位は、一箇所
でなくてもよく、必要に応じて、複数箇所を同時に設け
てもよい。
る方法;粉末状のゲル化防止剤を、反応生成水を含む留
出物を凝縮させる領域、具体的には、反応生成水を含む
留出物の凝縮液化が行われるコンデンサ内部の凝縮部
に、好ましくはコンデンサの上部(とりわけ塔頂部近
傍)からコンデンサ内部に該留出物と並流接触するよう
に投下ないし散布して降らせるものである。また、コン
デンサのタイプなどによっては、一定粒度のゲル化防止
剤を予めコンデンサ内部に積載ないし充填などして仕込
んでおいて接触させるようにしてもよい。さらに上記態
様では、ゲル化防止剤の作用部位をコンデンサ内部の凝
縮部としたが、上記部位に加えて、反応槽とベーパーの
立ち上がりラインとの間の接合部(フランジ部)やベー
パーラインとコンデンサ塔頂部との間のフランジ部等の
フランジ部、反応槽等に設置された温度計やのぞき窓に
設けられた突起部など、ゲルが形成されやすい部位であ
ってもよい。これらのうち、コンデンサ内部の凝縮部
(とりわけ塔頂部近傍)、反応槽とベーパーの立ち上が
りラインとの間のフランジ部やベーパーラインとコンデ
ンサ塔頂部との間のフランジ部が好ましいゲル化防止剤
の作用部位である。また、上記作用部位は、一箇所でな
くてもよく、必要に応じて、複数箇所を同時に設けても
よい。
る方法;ゲル化防止剤を気化(昇華したものを含む)さ
せて、ガス状の反応生成水を含む留出物(低沸点原料を
含む)を凝縮液化させる前に、反応系(反応器)とコン
デンサとを連通する配管経路内に、例えば、コンデンサ
内部の凝縮部(とりわけ塔頂部近傍)、反応槽とベーパ
ーの立ち上がりラインとの間の接合部(フランジ部)や
ベーパーラインとコンデンサ塔頂部との間のフランジ部
等のフランジ部、反応槽等に設置された温度計やのぞき
窓に設けられた突起部などのゲルが形成されやすい部位
に、好ましくはコンデンサ内部の凝縮部(とりわけ塔頂
部近傍)、反応槽とベーパーの立ち上がりラインとの間
のフランジ部やベーパーラインとコンデンサ塔頂部との
間のフランジ部に、供給して混合させるものである。
の立ち上がりラインとの間のフランジ部におけるゲルの
形成を抑制することを目的とする場合には、ゲル化防止
剤を含ませずに脱水溶剤のみを上記フランジ部に供給す
ることにより上記目的を達成してもよい。なお、上記場
合において、脱水溶剤の具体例は、前記脱水溶剤と同様
である。上記態様において、エステル化反応中に使用す
る場合には、同種の脱水溶剤を使用しても若しくは異な
る種類の脱水溶剤をフランジ部に供給しても、または以
下に詳述するが、凝縮液(またはその一部)を循環させ
て使用してもよい。また、脱水溶剤の不存在下でエステ
ル化反応を行う際には、別途、脱水溶剤供給機構を好ま
しくはフランジ部付近に設けて、脱水溶剤をフランジ部
供給すればよい。
理由から、上記を採用するのがよく、なかでも溶剤に
溶解した状態で作用させるのがよいと言える。すなわ
ち、反応生成水を反応系外に留出する場合に、取り扱い
の面からはより低い温度で留出できるのが望ましい。そ
のため、反応生成水と共沸する脱水溶剤を反応系に仕込
んでおき、反応時に脱水溶剤−反応生成水の共沸物(以
下、単に溶剤−水共沸物ともいう)のかたちで留出させ
る方法が一般的である。このことから、低沸点の原料を
含有する溶剤−水共沸物に素早く作用する(すなわち、
低沸点の原料を含有する溶剤−水共沸物が凝縮液化した
際に、この液化物と速やかに接触し、ゲル化する低沸点
の原料が含有されている脱水溶剤に対して相溶ないし分
散する)ことができるように、重合禁止剤を適当な溶
剤、特に脱水溶剤と同種の溶剤に溶解したものを添加す
るのが望ましい。
態でゲル化防止剤を作用させる場合に、上記ゲル化防止
剤を溶解することのできる溶剤としては、例えば、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、アセト
ン、メチルエチルケトン、n−ヘキサン、ヘプタン等が
挙げられるが、好ましくは上述したように、反応系に仕
込まれる脱水溶剤と同種のものを用いるのがよい。溶剤
を還流して戻す際に、異なる溶剤を用いた場合には、こ
れらを別途回収するか、あるいは還流して戻す場合に
は、混合溶剤の持つ熱伝達係数が、仕込み溶剤の熱伝達
係数となる場合、反応系に加える熱量等の調整を行い、
反応生成水の留出量(留出速度)が大きく変動しないよ
うにする必要があるなど、反応系の制御管理が複雑化す
ることがあるため、仕込み溶剤と同種のものを用いるの
がよいと言える。
くは脱水溶剤)に溶解して作用させる場合、ゲル化防止
剤は、ゲル状物の発生を抑制することができるように、
コンデンサ内を通過する低沸点原料(ガスないし液化
物)に対して、常にゲル化防止剤が存在し、有効に機能
するように供給されればよく、ゲル化防止剤と溶剤との
混合比率としては、特に制限されるものではないが、ゲ
ル化防止剤を、溶剤100質量部に対して、通常、0.
001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部の
範囲で添加するような比率である。混合比率が、溶剤1
00質量部に対してゲル化防止剤が0.001質量部未
満の場合には、使用するゲル化防止剤の添加量が上記に
規定するように仕込みの原料に対して一定量であるた
め、結果的に使用する溶剤の量(添加される全量)が大
きくなり、最初に仕込んだ脱水溶剤に対して逐次環流さ
れることで溶剤量が増大していくため、反応系に加える
熱量等の調整を行い、反応生成水の留出量(留出速度)
が大きく変動しないようにする必要があるなど、反応系
の制御管理が複雑化する必要が生じ、また、脱水溶剤と
異なる溶剤を用い、これを分離回収する場合には、その
回収コストが増大製造コストがかさむことになる。一
方、混合比率が、溶剤100質量部に対してゲル化防止
剤が10質量部を超える場合には、逆に使用する溶剤の
量(添加される全量)が少なくなるため、単位時間当た
りの添加量が制限され、低沸点原料との接触頻度が相対
的に低下し、未接触のまま液状化しゲル状物を形成する
のを効果的に抑制するのが困難になる。そのため、単位
時間当たりに必要な添加量を確保するには、仕込みの原
料に対して上記に規定する以上の大量のゲル化防止剤が
必要になり、製造コストが上昇する。
脱水溶剤中で行われるため、上記ゲル化防止剤の作用の
させかたとして、エステル化反応時に生成する反応生成
水を脱水溶剤と共に留出させ、該反応生成水を含む留出
物を凝縮液化し、該凝縮液化した凝縮液から反応生成水
を分離除去し、該反応生成水を分離除去した後の脱水溶
剤を含有する凝縮残液を反応槽に戻しながらエステル化
反応を行う際に、該凝縮残液の一部とゲル化防止剤とを
含有してなるゲル化防止剤溶液を留出物に作用させるこ
とができる(この態様を、以下、「第二の実施態様」と
も称する)。これにより反応槽内に増える凝縮残液の量
を極力抑え、かつ留出物に対して(特に、留出物に対し
て該留出物が凝縮液化するコンデンサの壁面、とりわけ
塔頂部の壁面を十分に濡らすことができるだけの)十分
な量のゲル化防止剤溶液を常に供給する(コンデンサの
塔頂部から降らせる)ことができる。そのため、反応槽
内の反応生成水を反応槽から留出してから凝縮液化し分
離除去する間に、反応生成水と共に留出されてくる低沸
点の原料によるゲル状物の発生を、常に効果的に防止す
ることができ、高品質のエスル化物を効率よく低コスト
で製造することができるものである。
出物は、通常、エステル化反応により生成した反応生成
水を含むほか、該反応生成水を反応槽から留出する際に
一緒に留出される原料、特に(メタ)アクリル酸、さら
に必要に応じて反応生成水と共沸させる目的で反応槽に
加えられる脱水溶剤を含むものである。
明において、本発明の必須の構成要件である、エステル
化反応終了後の脱水溶剤留去工程中に、該脱水溶剤を含
む留出物に対してゲル化防止剤を作用させる要件は、上
記第二の実施態様、即ち、エステル化反応時に生成する
反応生成水を脱水溶剤と共に留出させ、この反応生成水
を含む留出物を凝縮液化し、この凝縮液から反応生成水
を分離除去し、反応生成水を分離除去した後の脱水溶剤
を含有する凝縮残液を反応槽に戻しながらエステル化反
応を行う際に、この凝縮残液の一部とゲル化防止剤とを
含有してなるゲル化防止剤溶液を留出物に作用させる態
様および/または前記第一の実施態様、即ち、エステル
化反応時に生成する反応生成水を脱水溶剤と共に留出さ
せた留出物にゲル化防止剤を作用させる態様を含むもの
であってもよい。
溶液は、留出物に作用させる溶液、より詳しくは留出物
中の低沸点の原料に対してゲル化防止を目的で作用させ
る溶液であって、凝縮液の一部とゲル化防止剤とを含む
ものであるが、この際、ゲル化防止剤はそのままの形態
で用いてもあるいは溶液の形態で用いてもよいが、より
好ましくは凝縮残液の一部と溶液形態のゲル化防止剤と
を含むものである。
ばは、コンデンサの出口から出てきたものを意味する。
また、第二の実施態様によると、ゲル化防止剤溶液をエ
ステル化反応時に生成する反応生成水などの留出物に対
して作用させてもよいため、このような場合には、ゲル
化防止剤溶液が凝縮液に含まれる。さらにその後に水分
離器で凝縮残液と分離水に分離されるため、凝縮残液及
び分離水双方とも、凝縮液の定義に含まれ、これらは相
互独立的に単独で使用することもできる。また、本明細
書において、「凝縮液の一部」とは、凝縮液をただ単に
部分的に分けたもの以外に、該凝縮液を分離して得られ
る凝縮残液および凝縮残液の一部も含まれる。
た溶剤側の成分をいい、「分離水」とは、水分離手段で
ある水分離器で分けた水側の成分をいう。溶剤側の成分
としては、ゲル化防止剤溶液のほか、必要に応じて使用
される脱水溶剤等が含まれている。水側の成分として
は、反応生成水や原料等がある。なお、上記コンデンサ
および水分離器は本発明のエステル化物の製造方法にお
いて、次のように使用されるものである。すなわち、本
発明のエステル化物の製造方法では、エステル化反応時
に生成する反応生成水を反応槽から留去する必要がある
が、留出物中には上記したように反応生成水以外の成分
も含まれるため、直接大気中に放出することは環境汚染
等の問題からできないため、かかる反応生成水を反応槽
から留出した後に、適当に処理したり再利用したりでき
るようにする必要がある。そこで、反応槽から留出され
てなるものをコンデンサ(凝縮器)に送り、凝縮液化す
るのに使われる。さらにコンデンサの出口から出てきた
ものを、水分離器に送り、その性質の違いを利用して2
層に分離し、一方の層の水側の成分からなる分離水と、
もう一方の層の溶剤側の成分からなる凝縮残液とに分け
るのに使われる。
の一部のほか、以下に説明するゲル化防止剤(溶液の形
態を含む;以下、同様)、さらに他の添加剤、例えば、
反応槽内への補充目的で適宜追加する酸触媒などが含有
されていてもよい。
溶剤、好ましくは脱水溶剤と同種の溶剤に溶解(ないし
混合、例えば、過飽和状態で一部のゲル化防止剤が溶解
せずに含まれている場合、2種以上のゲル化防止剤を用
いた場合に、その一部のゲル化防止剤が溶剤に溶解せず
に含まれている場合、さらにはゲル化防止剤が混合され
ている場合なども含む)されていることが好ましい。
しては、反応生成水等と共に留出されてくる低沸点の原
料が、凝縮される段階で起こる重合反応を抑えることが
できるものであれば特に制限されるものではなく、従来
既知の各種ゲル化防止剤の中から適宜選択して利用する
ことができ、その具体例や好ましい例については、上記
ゲル化防止剤に関するものと同様である。
出開始時からエステル化反応終了まで逐次留出されてく
る低沸点原料に対して常にゲルの形成を効果的に防止す
ることができる量(留出物の留出開始時からエステル化
反応終了までの積算量)であることが必要である。さら
に、エステル化反応に脱水溶剤を使用し、該脱水溶剤を
留出し還流させる場合には、該ゲル化防止剤は、留出物
に対して重合防止目的を達成した後、反応生成水を分離
除去後の凝縮残液側に溶解した状態で反応槽に戻され、
反応槽内に漸次蓄積される。その結果、反応により得ら
れたエステル化物を原料として重合を行いセメント分散
剤などの各種製品を製造する際に重合し難くする。よっ
て、ゲル化防止剤の使用量は極力抑えることが望まし
い。以上の観点から、該ゲル化防止剤の使用量は、原料
であるアルコールおよび(メタ)アクリル酸の全使用量
に対して、0.1〜1000質量ppm、好ましくは1
〜500質量ppmの範囲である。ゲル化防止剤の使用
量が、原料の全使用量に対して0.1質量ppm未満の
場合には、反応生成水等を含む留出物の留出開始時から
エステル化反応終了まで逐次留出されてくる低沸点原料
に対して、常に重合禁止能を有効に発現させる上で不十
分な量であるため、ゲル状物が生成する場合がある。一
方、原料の全使用量に対して1000質量ppmを超え
る場合には、重合禁止能を有効に発現させるには十分過
ぎる量であり、過剰な添加に見合う更なる効果の発現が
見込めず不経済となるほか、得られたエステル化物を原
料として重合を行いセメント分散剤などの各種製品を製
造する際に重合が難しくなる。なお、ゲル化防止剤の使
用量の全量を一時に加えたのでは、反応生成水を含む留
出物の留出開始時からエステル化反応終了まで逐次留出
されてくる低沸点原料に対してゲル状物の形成を有効に
阻止することができにくいため、ゲル化防止剤の使用量
が上記に規定する範囲内で連続的に加えるのが望まし
い。この際、逐次留出される低沸点原料に対して、ゲル
化防止剤溶液中のゲル化防止剤濃度が常に下記に規定す
る範囲となるように調整し連続的に加えるのがより望ま
しい。
用いることのできる溶剤としては、特に制限されるもの
ではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シ
クロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、n−ヘ
キサン、ヘプタン等が挙げられる。また、エステル化反
応に脱水溶剤を使用し、該脱水溶剤を留出し還流させる
場合には、ゲル化防止剤溶液に用いた溶剤成分も凝縮残
液側に含有されて反応槽に戻されるため、エステル化反
応槽内で脱水溶剤として有効に作用し得るものであるこ
とが望ましい。特に、反応槽内に仕込んである脱水溶剤
と異なる溶剤を用いた場合には、反応槽内の該溶剤量
(濃度)の漸増により、該溶剤を含む脱水溶剤と反応生
成水との共沸点(およびこれに伴う留出速度)が経時的
に変動するため反応槽内部に加える熱量等の制御管理、
さらには原材料の点数の増加に伴い、設備が増加し、安
全・品質管理や在庫管理などが複雑化ないし煩雑化する
等の点から、反応槽内に仕込んである脱水溶剤と同種の
溶剤がより好ましい。
止剤の溶液化にあり、凝縮液の一部との混合が容易にな
されるようにし、凝縮液の一部との混合に際し撹拌装置
等(例えば、撹拌槽など)を設けなくともよいようにす
ることにある。そして、エステル化反応に脱水溶剤を使
用し、該脱水溶剤を留出し還流させる場合に、反応槽内
に戻される凝縮残液量の増加を極力抑えるには、ゲル化
防止剤溶液に使用する凝縮液(好ましくは凝縮残液)の
一部の混合比率が高い方がよいことから、ここでの溶剤
使用量は極力抑える事が望ましい。かかる観点から、上
記溶液中のゲル化防止剤濃度としては、該溶液全体に対
して10質量ppm〜飽和濃度、好ましくは100質量
ppm〜飽和濃度、より好ましくは200質量ppm〜
飽和濃度、特に好ましくは200質量ppm〜飽和濃度
の95%に相当する濃度(ただし、飽和濃度は、ゲル化
防止剤および溶剤の種類、温度、圧力等により変動し一
義的に決まるものではないため、具体的な数値は規定し
ていない)である。飽和溶液を用いることにより、溶剤
の使用量を極力少なくすることができる。さらに、コン
デンサから降らせるゲル化防止剤濃度を一定にするため
には温度により変化する飽和濃度より、該飽和濃度より
も少し低濃度の方が良いため、飽和濃度の95%に相当
する濃度以下で用いるのが好ましい。上記ゲル化防止剤
濃度が、該溶液全体に対して10質量ppm未満の場合
には、ゲル化防止剤溶液に使用する凝縮液の一部の混合
比率が低下し、エステル化反応に脱水溶剤を使用し、該
脱水溶剤を留出し還流させる場合には、反応槽に戻され
る凝縮残液の量が増える。あるいは漸増する凝縮残液を
エステル化反応終了時まで貯えておける大きな保存部や
時間とともに凝縮残液の一部を系外に出すための装置・
手段等が必要となる。さらに溶剤の使用量も増えコスト
アップになる。
化防止剤および凝縮液の一部の流量(流速)に関して
も、ゲル化防止剤溶液中のゲル化防止剤の濃度および反
応装置(反応槽や配管、コンデンサ等)の大きさや留出
物の量等により異なるため、一義的に規定することはで
きないが、ゲル化防止剤の量を減らして、これに代えて
十分な量の凝縮液を用いることで、十分な量のゲル化防
止剤溶液を留出物に作用させることができ、さらにエス
テル化反応に脱水溶剤を使用し、該脱水溶剤を留出し還
流させる場合には、反応槽内の溶剤量の増加を極力抑え
ることができるように使用態様に応じて適宜決定(規
定)すれば良い。コンデンサの直径(内径)1mに対す
るゲル化防止剤1分間あたりの流量は、0.01〜40
リットル/分m、好ましくは0.1〜15リットル/分
m、より好ましくは0.1〜5リットル/分mであり、
また、コンデンサの直径(内径)1mに対する凝縮液の
一部の1分間あたりの流量は、1〜1000リットル/
分m、好ましくは5〜500リットル/分m、より好ま
しくは10〜200リットル/分mである。ゲル化防止
剤の流量が0.01リットル/分m未満の場合には、溶
液中のゲル化防止剤濃度が低下し、常に十分な重合禁止
能力を発現させることが困難となる。一方、ゲル化防止
剤の流量が30リットル/分mを超える場合には、新た
に加えられる溶剤量が増加するため、ゲル化防止剤の量
を減らして、これに代えて十分な量の凝縮液を用いると
する本発明の主旨の達成が困難となる。また、凝縮液の
一部の流量が1リットル/分m未満の場合には、留出物
に対して常に十分な量の凝縮液を供給することができ
ず、ゲル状物の発生を招くおそれがあるため好ましくな
い。一方、凝縮液の一部の流量が1000リットル/分
mを超える場合には、これ以上の高流量で供給する事に
見合う更なる効果が得られず、こうした多量の凝縮液を
高流量で供給するための装置(大型のポンプや大口径な
いし耐圧配管など)を設ける必要があり、不経済であ
る。
剤の流量を決定(規定)し、凝縮液の一部、好ましくは
凝縮残液の一部の流量を決定(規定)した上で、流量の
組み合わせは規定した流量の範囲内の組み合わせであれ
ば全て可能であるが、本発明の主旨を十分に発揮するに
は、ゲル化防止剤に用いられるゲル化防止剤溶液と凝縮
液の一部との混合比率は、以下の組み合わせがよい。
部を0.5〜10000質量部、好ましくは1〜100
0質量部、より好ましくは10〜1000質量部、特に
好ましくは10〜100質量部の範囲である。ゲル化防
止剤1質量部に対して凝縮液の一部が0.5質量部未満
の場合には、本発明の上記主旨を十分に満足させること
ができず好ましくない。一方、ゲル化防止剤1質量部に
対して凝縮液の一部が10000質量部を超える場合に
は、両者を安定して混合することが困難となるためであ
る。なお、これらの混合比率は、一定としてもあるいは
可変させてもよく、本発明の上記主旨を満足するように
適宜混合比率を決定すればよい。
させる方法としては、留出物、特に留出された低沸点原
料に対して有効に作用させることができるものであれ
ば、特に制限されるものではなく、従来既知の方法(手
段)を適宜用いて行うことができる。好ましくはガス状
の留出物を凝縮液化させる領域、具体的には、ガス状の
留出物を凝縮液化する領域である熱交換器、冷却器ある
いは凝縮器等(本明細書中では、これらを総称して単に
コンデンサともいう)、特にガス状の留出物が凝縮液化
し始めるコンデンサの塔頂部のガス入口部分において、
有効にゲル化防止剤溶液が作用できるようにすることが
望ましい。そのためには、ゲル化防止剤溶液が存在する
領域はコンデンサ内には限られず、コンデンサの塔頂近
傍、すなわち、コンデンサの塔頂ないしコンデンサ直前
の留出経路内などにゲル化防止剤溶液を作用させればよ
く、そうすることでコンデンサの内壁を常に濡れた状態
に保てることが望ましいと言える。具体例としては、
コンデンサの塔頂部の中央部に上向きに設置したノズル
部よりコンデンサの塔頂部のガス入口部分の内壁(ここ
で、最初の凝縮液化が生じ、同時に低沸点原料のゲル化
も生ずるためである)にゲル化防止剤溶液を噴霧した
り、吹き出したり、吹き付けたり、吐出させたり、吹き
上げたり、降らせたりすることでコンデンサの内壁を常
に濡れた状態に保たせる方法、あるいはコンデンサ直
前の留出経路(後述する図2の配管503で形成された経
路;オーバーヘッドライン)内にノズル部を設置し(図
3参照)、ここでゲル化防止剤溶液を噴霧し(または吹
き出し)オーバーヘッドラインの壁を伝わせてコンデン
サ内に到達させることでコンデンサの内壁を常に濡れた
状態に保たせる方法などが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。さらに、エステル化反応に脱水溶
剤を使用し、該脱水溶剤を留出し還流させる場合には、
留出物が凝縮液化する際に、この液化物と速やかに接触
し、ゲル化する低沸点の原料が含有されている脱水溶剤
に対して相溶ないし分散することができるように、ゲル
化防止剤は、ゲル化防止剤を脱水溶剤と同種の溶剤に溶
解した形態で使用されるのが望ましい。
用いるべく還流させる方法としても、特に制限されるも
のではなく、従来既知の方法(手段)を適宜用いて行う
ことができる。具体例を以下に示す。
し、該脱水溶剤を留出し還流させる場合には、凝縮残液
を反応槽に戻す際に凝縮残液の一部を抜き取って、上記
ノズル部に直接的に供給し、該ノズル部でゲル化防止剤
溶液とするか、あるいは上記ノズル部に供給する途中
で、ゲル化防止剤と混合させてゲル化防止剤溶液とする
ことなどができる。具体例としては、後述する図2に示
すように、凝縮残液を反応槽(好ましくは、反応槽とベ
ーパーの立ち上がりラインとの間のフランジ部)に戻す
経路上に必要に応じて凝縮残液を一時的に貯めておく保
存部(タンクなど)を設け、該保存部から該凝縮残液の
一部を抜き取り、ゲル化防止剤の供給経路に抜き取った
凝縮残液の一部を合流させるだけで簡単に混合されたゲ
ル化防止剤溶液とすることができる。そのため、わざわ
ざ両者を混合撹拌するための装置は不要である。ここ
で、保存部を設けるメリットとしては、ゲル化防止剤溶
液用の凝縮残液の抜き取り量を一定量ないし徐々に増や
す際にもその調整が便利であり、かつ反応槽に戻す凝縮
残液の量を反応開始から終了までの間、常に一定量ない
しは極力増加量を抑えながら還流させる事が容易に調整
できる点にある。なお、保存タンクのような保存部を新
たに設けなくともは、例えば、水分離器では、コンデン
サで凝縮液化された凝縮液が一方の室に貯められ、水相
と溶剤相の2層に分離され、下層部の水相はこの室の下
部より配管を通じて逐次抜かれ、上層部の溶剤相は仕切
板をオーバーフローして隣のもう一方の室に貯められる
が、この溶剤相のみが貯められる室を大きくすれば、水
分離器自体が保存部を兼ね備えることもできる(図4参
照)。
従来のゲル化防止剤単独使用の時と比較した場合、例え
ば、凝縮残液を含むゲル化防止剤溶液を使用している
ため、ゲル化防止剤の量は従来と同程度あるいは少ない
量で大きなゲル化防止効果を発揮できるようになった。
そのため、反応槽内での溶剤量の増加も従来と同程度あ
るいは少ない量に抑えられている。特にエステル化時間
が短い場合、反応温度の低下は少なく反応終了時間への
影響も少なくてすむため、保存部を設けない方が経済的
にも有利となるからである。また、反応槽内に戻され
る溶剤量が増加し多くなってきた場合、一部反応槽へ溶
剤を戻さずに系外に抜き取ってもよい。この場合にも、
系外に抜き取られる溶剤量は、大きくなくその処理コス
トも少ないため、わざわざ保存部を設けるよりも、経済
的に有利となり、製品の性能を左右することもないから
である。このように、性能面への影響、さらに費用対効
果を勘案して、保存部を設けるか否か適宜判断する事が
肝要であると言える。
を行う場合には、本来的に留出物は反応生成水(僅かに
低沸点原料を含む)だけであり、反応槽に留出物の一部
を還流させることはない。従って、留出物にゲル化防止
剤溶液を作用させた後の凝縮液から反応生成水(低沸点
原料を含む)を分離除去した凝縮残液の全量若しくはそ
の一部を抜き取って、上記ノズル部に直接的に供給し
て、該ノズル部でゲル化防止剤溶液とするか、あるいは
上記ノズル部に供給する途中でゲル化防止剤と混合させ
てゲル化防止剤溶液とすることなどができる。なお、凝
縮残液の一部を利用する場合、あとの凝縮残液は系外に
抜き取れるなどすればよい。
び還流させる方法は、代表的なものを例示したに過ぎ
ず、本発明がこれらに限定されるものではない。
程について詳述したが、本発明によるエステル化反応を
酸触媒の存在下でかつ脱水溶剤中で行う際には、上記エ
ステル化反応が終了した後、以下に説明する酸触媒また
は酸触媒の全部と(メタ)アクリル酸の一部を中和する
部分中和工程を行うのが望ましい。すなわち、本発明者
らは、エステル化反応後に脱水溶剤を留去する工程で水
を加えて共沸する場合、あるいはエステル化物を用いて
さらに重合を行うために、エステル反応後に調整水を加
えて生成されたエステル化物水溶液を作製する場合に、
酸触媒による加水分解が生じ、エステル化物の品質及び
性能の低下を招くほか、加水分解により生じたもの(以
下、単に加水分解生成物ともいう)がエステル化物中に
残留し、当該エステル化物を用いてセメント分散剤等の
各種分散剤や増粘剤等に使用される重合体を合成する場
合には、該加水分解生成物は、重合には関与しない不純
物となり、重合率(ひいては生産性)が低下し、また重
合体の品質や性能の劣化にもつながることから、かかる
課題を解決するには、上記エステル化工程によるエステ
ル化反応終了後、90℃以下で酸触媒をアルカリで中和
することが望ましいことを見出したものである。これに
より、エステル化反応後の処理過程で、加水分解生成物
を生じることもなく、高純度で高品質のエステル化物を
得ることができる。
につき、以下に説明する。
応終了後、90℃以下、好ましくは50〜0℃の範囲で
酸触媒をアルカリで中和するものである。
液温)が、90℃を超える場合には、添加されるアルカ
リが加水分解の触媒として作用し、加水分解生成物を多
量に生成するようになるため好ましくない。さらに、5
0℃以下では、アルカリが加水分解の触媒として作用す
ることはなく、加水分解生成物の発生を完全に抑えるこ
とができる。一方、0℃未満の場合には、エステル化反
応液が粘稠になり、中和時の撹拌がしずらくなるほか、
エステル化反応後に所定の温度まで降温するのに長時間
を要するほか、室温よりも低い温度まで降温するには、
新たに冷却手段(装置)を設ける必要があり、コストア
ップになるためあまり望ましくない。
できるアルカリ(中和剤)としては、特に制限されるも
のではなく、水酸化物M(OH)nの形式をとり、水に
溶解し、塩基性を示す物質であればよく、この場合のM
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアンモニウム基
をさす。さらに、アルカリ金属の炭酸塩や燐酸塩、アン
モニア、アミン等もここでいうアルカリに含まれる。よ
って、アルカリとしては、具体的には、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化
物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカ
リ土類金属の水酸化物、アンモニア、アミン等が挙げら
れるが、セメントに配合した場合に異臭が発生しないと
の理由から、好ましくはアルカリ金属やアルカリ土類金
属の水酸化物、炭酸塩、燐酸塩等である。また、本発明
では、これらアルカリを1種若しくは2種以上を適当な
比率で混合して使用してもよい。
媒、好ましくは酸触媒の全部と(メタ)アクリル酸の一
部である。ここで、中和される(メタ)アクリル酸は、
エステル化反応に使用した(メタ)アクリル酸の10質
量%以下、好ましくは0.01〜5質量%の範囲であ
る。従って、アルカリ(中和剤)の添加量は、酸触媒1
当量に対して1.0〜100当量、好ましくは1.0〜
10当量、さらに好ましくは1.01〜2当量である。
中和すべき酸が、酸触媒である理由は上述したように酸
触媒が、エステル化反応後に添加される水と強く反応
し、加水分解生成物を生じさせるため、酸触媒を不活性
にする必要があるためである。なお、酸成分としては、
酸触媒以外にも(メタ)アクリル酸が存在し得るが、酸
触媒の方が酸強度が大きいので、酸触媒から中和される
ため問題ない。従って、酸触媒を中和できれば所期の目
的は達成できるが、実際に使用する酸触媒の種類の違い
(=酸強度の違い)や工業的に大量に処理するような場
合には、酸触媒の全量を中和するまでに、(メタ)アク
リル酸の一部が中和されるおそれがあるため、こうした
危険性(リスク)をなくす観点から、酸触媒の全量と
(メタ)アクリル酸の一部を中和してもよい。ただし、
中和される(メタ)アクリル酸が、エステル化反応に使
用した(メタ)アクリル酸の10質量%を超える場合に
は、おそらく(メタ)アクリル酸塩の重合速度が(メ
タ)アクリル酸に比べて遅いために、得られたエステル
化物を用いて重合する際の重合率が低下するため好まし
くない。また、アルカリ(中和剤)の添加量は、酸触媒
1当量に対して1.0当量未満の場合には、酸触媒を完
全に中和できず、加水分解生成物を多量に生じるように
なるため好ましくない。逆にアルカリ(中和剤)の添加
量は、酸触媒1当量に対して100当量を超える場合に
も、大量の(メタ)アクリル酸を中和され、やはり、
(メタ)アクリル酸塩の重合速度が(メタ)アクリル酸
に比べて遅いために、得られたエステル化物を用いて重
合する際の重合率が低下するため好ましくない。
は、特に制限されるものではないが、アルカリ水溶液の
形態とすることが、エステル化物の加水分解を防止する
観点から好ましいといえる。
ため、アルカリと共に多量の水を反応系に添加するの
が、エステル化物の加水分解を防止するためには好適で
ある。すなわち、多量の水が無い反応系では、アルカリ
が脱水溶剤に難溶であるために濃い状態で系内に浮遊
し、この高濃度アルカリの浮遊は中和に消費されるまで
の長持間にわたって消失せず、エステル化物の加水分解
を引き起こす。該水の添加量は、アルカリの使用形態に
もよるが、例えば、40〜60%のアルカリ水溶液を中
和剤として添加する場合には、該アルカリ水溶液とは別
に、該アルカリ水溶液の1質量部に対して通常5〜10
00質量部、好ましくは10〜100質量部である。こ
の場合に、水の添加量が、5質量部未満の場合には、上
記理由でアルカリが反応系内で不均一になり、高濃度の
アルカリがエステル化物の加水分解を引き起こし、10
00質量部を超える場合には、生産性を確保するために
中和槽が別途必要になるなどコスト高につながり好まし
くない。
程について以下に説明する。すなわち、本発明では、上
記エステル化反応を脱水溶剤中で行うため、上記エステ
ル化工程を行った後に、反応液から脱水溶剤を留去する
ものである。さらに上記エステル化反応を酸触媒の存在
下で行う場合には、上記エステル化工程によりエステル
化反応を行った後に、上記部分中和工程により酸触媒、
さらには(メタ)アクリル酸の一部を中和し、次いで、
反応液から脱水溶剤を留去するものである。
以下に説明する。
応終了後(必要に応じて、部分中和処理を行い)、脱水
溶剤を留去する際に、該脱水溶剤を含む留出物に対して
重合禁止剤を作用させることを特徴とするものである。
これにより、エステル化反応終了後、脱水溶剤を留去す
る際に、脱水溶剤を含む留出物中に混入された低沸点の
原料である(メタ)アクリル酸等により生ずるゲル状物
(ポリ(メタ)アクリル酸など)の発生そのものを効果
的に防止することができ、高純度で高品質のエステル化
物を得ることができるものである。なお、この際、留出
物は、通常、脱水溶剤を含むほか、脱水溶剤を反応槽か
ら留出する際に一緒に留出される原料、特に(メタ)ア
クリル酸を含むものである。
脱水溶剤を留出させ、該脱水溶剤を含む留出物に対して
作用させるために用いられるゲル化防止剤としては、留
出物に含まれる未反応の低沸点原料が、凝縮液化される
段階で起こる重合反応を抑えることができるものであれ
ば特に制限されるものではなく、従来既知の各種ゲル化
防止剤の中から適宜選択して利用することができる。本
発明において使用できるゲル化防止剤としては、具体的
には、例えば、フェノチアジン、トリ−p−ニトロフェ
ニルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミン、ジフェ
ニルピクリルヒドラジル、N−(3−N−オキシアニリ
ノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、
ベンゾキノン、ハイドロキノン、メトキノン、ブチルカ
テコール、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、ジチオベン
ゾイルジスルフィド、クペロン、塩化銅(II)などが挙
げられる。脱水溶剤や水への溶解性の理由から、フェノ
チアジン、ハイドロキノン、メトキノンが好ましく使用
される。これらの重合禁止剤は、単独で使用してもよい
ほか、2種以上を混合して使用することもできる。
加量)としては、留出温度(熱量)やエステル化反応に
使用された脱水溶剤量(さらにはエステル化終了後に加
えられた水分量)等に応じて、未反応の低沸点原料の留
出量に見合う量、すなわち、脱水溶剤を含む留出物の留
出開始時から脱水溶剤が十分に留去されるまで、逐次留
出されてくる未反応の低沸点原料に対して常にゲル状物
の形成を効果的に防止することができる量を作用させれ
ばよく、原料である式(1)のアルコールおよび(メ
タ)アクリル酸の使用量(仕込み量)に対して通常0.
1〜1000質量ppm、好ましくは1〜500質量p
pmの範囲である。原料の使用量に対して0.1質量p
pm未満の場合には、ゲル状物が生成する場合があり、
脱水溶剤を含む留出物の留出開始時から脱水溶剤が十分
に留去されるまで逐次留出されてくる未反応の低沸点原
料に対して、常に重合禁止能を有効に発現させる上で不
十分な量と言える。一方、原料の使用量に対して100
0質量ppmを超える場合には、重合禁止能を有効に発
現させるには十分過ぎる量であり、過剰な添加に見合う
更なる効果の発現が見込めず不経済となる。なお、使用
するゲル化防止剤の全量を一時に加えたのでは、脱水溶
剤を含む留出物の留出開始時から脱水溶剤が十分に留去
されるまで逐次留出されてくる未反応の低沸点原料に対
してゲルの形成を有効に阻止することができにくいた
め、留出物に含有される脱水溶剤量の経時的な変化に呼
応するたかちで、脱水溶剤を含む留出物の留出開始時か
ら脱水溶剤が十分に留去されるまで逐次(連続的に)必
要な量を添加し、最終的な添加量の総計が上記範囲とな
るように調整することが望ましい。
かた(作用形態や作用させる領域など)としては、逐次
留出されてくる未反応の低沸点原料(流体物)に対して
有効に作用(接触)させる事ができるものであれば、特
に制限されるものではなく、例えば、(a′)凝縮液化
させる前のガス状の留出物に対して作用させてもよい
し、(b′)凝集液化により液化した液状の留出物に対
して作用させてもよい。また、上記(a′)及び
(b′)の双方を活用しても良い。
させかたを、作用形態ごとに例を挙げて説明するが、本
発明では、これらを適当に組み合わせる事ができるほ
か、従来既知の他の作用方法を適宜利用することができ
る。なお、下記に例示する作用のさせかたは、当業者が
本発明を容易に理解することができるように代表的なも
のを例示的に示したものであり、本発明がこれらに限定
されるものではないことはいうまでもない。
解)した状態で作用させる方法;適当な液体(例えば、
溶剤、好ましくは反応で使用した脱水溶剤と同種の溶剤
ないし水)にゲル化防止剤を混合して液状にしたもの
(単に分散されていても良いが、好ましくは溶解されて
いるものが望ましい)を、脱水溶剤を含む留出物(好ま
しくは脱水溶剤と水との共沸による留出物)を凝縮させ
る領域、具体的には、脱水溶剤を含む留出物の凝縮液化
が行われる凝縮液化用装置、例えば、コンデンサの内部
に、好ましくはコンデンサ等の装置の上部(とりわけ塔
頂部近傍)からその内部に該留出物と並流接触するよう
に滴下ないし噴霧するものである。また、凝縮液化用装
置の種類やタイプ等によっては、ゲル化防止剤を含む溶
液をコンデンサ等の装置の内部に仕込んでおいて、これ
にガス状の留出物を吹き込むあるいは液化した留出物を
流し込むようにして接触(相溶ないし分散)させるよう
にしてもよい。さらに上記態様では、ゲル化防止剤の作
用部位をコンデンサ内部としたが、上記部位に加えて、
反応槽とベーパーの立ち上がりラインとの間の接合部
(フランジ部)やベーパーラインとコンデンサ塔頂部と
の間のフランジ部等のフランジ部、反応槽等に設置され
た温度計やのぞき窓に設けられた突起部など、ゲルが形
成されやすい部位であってもよい。これらのうち、コン
デンサ上部(とりわけ塔頂部近傍)、反応槽とベーパー
の立ち上がりラインとの間のフランジ部やベーパーライ
ンとコンデンサ塔頂部との間のフランジ部が好ましいゲ
ル化防止剤の作用部位である。また、上記作用部位は、
一箇所でなくてもよく、必要に応じて、複数箇所を同時
に設けてもよい。
用させる方法;粉末状のゲル化防止剤を、脱水溶剤を含
む留出物を凝縮液化させる領域、具体的には、脱水溶剤
を含む留出物の凝縮液化が行われる凝縮液化用装置、例
えば、コンデンサの内部に、好ましくはコンデンサ等の
装置の上部(とりわけ塔頂部)からその内部に該留出物
と並流接触するように投下ないし散布して降らせるもの
である。また、コンデンサ等の装置の種類やタイプ等に
よっては、所定の粒度のゲル化防止剤を予めコンデンサ
等の装置の内部に積載ないし充填などして仕込んでおい
て接触させるようにしてもよい。さらに上記態様におい
ても、ゲル化防止剤の作用部位をコンデンサ内部とした
が、上記部位に加えて、反応槽とベーパーの立ち上がり
ラインとの間の接合部(フランジ部)やベーパーライン
とコンデンサ塔頂部との間のフランジ部等のフランジ
部、反応槽等に設置された温度計やのぞき窓に設けられ
た突起部など、ゲルが形成されやすい部位であってもよ
い。これらのうち、コンデンサ上部(とりわけ塔頂部近
傍)、反応槽とベーパーの立ち上がりラインとの間のフ
ランジ部やベーパーラインとコンデンサ塔頂部との間の
フランジ部が好ましいゲル化防止剤の作用部位である。
また、上記作用部位は、一箇所でなくてもよく、必要に
応じて、複数箇所を同時に設けてもよい。
用させる方法;ゲル化防止剤を気化(昇華したものを含
む)させて、ガズ状の凝縮液化を含む留出物(未反応の
低沸点原料を含む)を凝縮液化させる前に、脱水溶剤を
留出させるのに用いる装置(例えば、エステル化反応に
用いた反応装置をそのまま利用するのが望ましい)とコ
ンデンサ等の凝縮液化用装置とを連通する配管経路内に
供給して混合させるものである。
下に説明する理由から、上記(1′)を採用するのがよ
いと言える。すなわち、経済的な観点および取り扱いの
面からはより低い温度で脱水溶剤を留出し除去するのが
望ましく、そのための手法としては、例えば、適量の水
を用いて(特に、上記部分中和工程で薄い濃度のアルカ
リ水溶液で処理した場合には、大量の水が系内に既に存
在しており、この水を用いてもよい)留出させる方法等
が有効な手段として挙げられる。適量の水を用いて脱水
溶剤と留出(共沸)させる場合には、水相側にも低沸点
原料が移行し、水と共に留出されるほか、脱水溶剤の留
去が漸次進につれて徐々に共沸されてくる留出物中の脱
水溶剤の割合が低下し、最終的にはほとんど水(低沸点
原料を含む)が留出されるようになることから、ゲル化
防止剤を溶剤に溶かしても十分な効果が得られなくなる
ことから、上記(1′)の方法により、ゲル化防止剤を
水と混合して作用させることが望ましく、特に、水溶性
のゲル化防止剤を使用し、該水溶性ゲル化防止剤を水に
溶解して作用させることがより望ましいものである。さ
らには、未反応の低沸点の原料を含有する留出物に有効
に作用する(すなわち、低沸点の原料を含有する留出物
が凝縮(液化)した際に、この液化物と速やかに接触
し、ゲル化する低沸点の原料が含有されている液化物
(水及び有機溶剤)に対して相溶ないし分散する)こと
ができるように、上記(1′)の方法により、留出物の
成分組成に応じてゲル化防止剤を水および/または溶剤
に溶解したものを作用させることが望ましい。例えば、
経時的な留出物の組成変化をセンサ等によりモニタしな
がら、作用させるゲル化防止剤組成(例えば、数種のゲ
ル化防止剤を用い、溶剤、好ましくは脱水溶剤に溶解す
るゲル化防止剤組成と水に溶解するゲル化防止剤組成の
混合比率)を変化させても良く、脱水溶剤に溶解するゲ
ル化防止剤は脱水溶剤に溶解させたものと、水に溶解す
るゲル化防止剤は水に溶解させたものを別々の経路よ
り、コンデンサ等の装置内に設けられたそれぞれの噴霧
ノズルより滴下ないし噴霧するなどして作用させること
が望ましいものである。また、上記(1′)を採用する
理由としては、単位質量あたりのゲル化防止剤に対して
使用される液体の量が多くなるほど、かかるゲル化防止
剤を混合した液体を液化凝縮手段の1つ(=熱交換媒
体)として作用し得るとする利点も挙げられる。
を作用させる場合に用いることのできる水溶性のゲル化
防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキノン
等が好ましく使用される。
を作用させる場合に、上記ゲル化防止剤を溶解すること
のできる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、
キシレン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケ
トン、n−ヘキサン、ヘプタン等が挙げられるが、好ま
しくはエステル化反応で使用される脱水溶剤と同種のも
のを用いるのがよい。すなわち、異なる溶剤を用いた場
合には、これら混合溶剤を別途回収し再利用するには、
多段階で分離精製処理を行う必要があり、再利用に要す
るコストが高くなり、使い捨てにした方が低コストであ
る。しかし、こうした使い捨てによる混合溶剤の廃棄処
理(焼却処理あるいは環境基準値以下に希釈化して廃水
処理するなど)にも、一定のコストを要し、かつ少なか
らず大気汚染ないし水質汚染等を招くことから、今日の
良く言われる地球に優しい環境づくりにいわば逆行する
ことになる。一方、脱水溶剤と同種のものを用いる場合
には、簡単な処理により低コストでの再利用が可能とな
り、コストおよび環境面で優れていると言える。
および/または溶剤)に溶解して作用させる場合にも、
ゲル状物の発生を抑制することができるように、コンデ
ンサ等の装置内を通過する低沸点原料(ガスないし液化
物)に対して、常にゲル化防止剤が存在し、有効に機能
するように供給されればよく、ゲル化防止剤と液体との
混合比率としては、特に制限されるものではないが、
(ア)水に溶解して作用させる場合には、水100質量
部に対して水溶性のゲル化防止剤を0.001〜10質
量部、好ましくは0.01〜5質量部の範囲で、(イ)
溶剤に溶解して作用させる場合には、溶剤100質量部
に対してゲル化防止剤を0.001〜10質量部、好ま
しくは0.01〜5質量部の範囲で溶解する。水100
質量部に対して水溶性のゲル化防止剤が0.001質量
部未満、若しくは溶剤100質量部に対してゲル化防止
剤が0.001質量部未満の場合には、留出物中の低沸
点原料に対して適当な濃度のゲル化防止剤を効率よく効
果的に接触させることが困難となり虞れがある。また、
単位質量のゲル化防止剤に対する液体の量が多くなり、
脱水溶剤と共に系外に留去した後の廃棄等の処理コスト
が増大するため、経済的に不利となる。一方、水100
質量部に対して水溶性のゲル化防止剤が10質量部を超
える、若しくは溶剤100質量部に対してゲル化防止剤
が10質量部を超える場合には、使用する液体の量(脱
水溶剤の留去中に添加される全量)が少なくなるため、
単位時間、単位容積当たりの添加量が制限され、低沸点
原料との接触頻度が相対的に低下し、未接触のまま液状
化しゲル状物を形成するのを効果的に抑制するのが困難
になる。そのため、単位時間、単位体積当たりに必要な
添加量を確保するには、上記に規定する以上の大量のゲ
ル化防止剤が必要になり、製造コストが上昇する。な
お、水および溶剤にそれぞれ溶解したものを併用する場
合には、その使用比率に応じて上記(ア)及び(イ)に
規定する範囲にとらわれることなく、これらの総計が大
体上記(ア)ないし(イ)に規定する範囲あたりになる
ように、適宜調整すればよい。
物および脱水溶剤を含有する溶液から脱水溶剤を留出し
てから、凝縮液化して系外に除去するまでの装置機構に
関しては、この間にゲル化防止剤を作用させるための手
段(装置機構)が設けられていれば何ら制限されるもの
ではなく、従来既知の装置機構を適当に組み合わせるこ
とができる。例えば、上述したエステル化工程におい
て、エステル化反応中に、反応系内の脱水溶剤を反応系
から留出し凝縮液化して反応系に戻し循環させるのに使
用した装置機構(単に溶剤循環装置という)の一部を利
用してもよく、装置設備の簡素化・小型化も図れること
から望ましい実施態様の1つと言える。具体的には、ガ
ス状の留出物を凝縮液化するための装置であるコンデン
サ等に関しては先の溶剤循環装置をそのまま利用でき、
凝縮液化された留出物の分離除去装置である液−液分離
装置である水分離器等に関しては先の溶剤循環装置を適
宜使用形態を変更して利用できる。すなわち、留出物の
成分組成に応じて、当該水分離器に輸送されてくる液状
の留出物を、水を系外に除去する輸送経路及び輸送装置
であるポンプ等を利用して、水相部分あるいは液状の留
出物の全てを系外に除去することができるほか、新たに
当該水分離器等に真空ポンプ(エゼクタ)を取り付けて
吸引することで、相対的に揮発性の高い成分等を選択的
に、あるいは液状の留出物の全てを系外に除去するよう
にしてもよい。あるいは凝縮液化した留出物をコンデン
サ等から別途輸送経路を設けてそのまま系外(例えば、
廃棄物処理装置やリサイクル処理装置など)に取り出
し、適当に処理(廃棄ないし再利用)することもでき
る。また、これらの装置にも、適当な制御機構が適宜設
けられているのが望ましい。なお、上記に例示した装置
機構に変えて、系内の脱水溶剤を留出し凝縮液化して系
外に除去させるとする本来的な目的を逸脱しない限り、
従来既知の他の手段及びその装置との組み合わせ、ある
いは他の手段及びその装置による代替えなどによる方法
を適宜採用することができることもいうまでもない。
反応終了後(必要に応じて、上記部分中和工程を行
い)、系内のエステル化物および脱水溶剤を含有する溶
液から脱水溶剤を留去する方法に関しては、特に制限さ
れるものではなく、上述したように水を用いて脱水溶剤
と共沸させて留出し除去てもよいし、他の適当な添加剤
を加えて脱水溶剤を効果的に除去するようにしてもよい
ほか、何等の添加剤(水を含む)を用いることなく、留
出させて除去する事もできるが、エステル化反応におい
て、酸触媒を用いることが極めて有用(すなわち、その
後に部分中和しなければならないことを勘案してもその
有用性は極めて高いといえる)であることから、水を用
いて脱水溶剤と共沸させて留出し除去する方法が好まし
い実施態様の1つと言える。なお、当該溶剤留去工程ま
でに、酸触媒の部分中和処理が行われている際には、系
内のエステル化物および脱水溶剤を含有する溶液中に
は、活性な酸触媒及びアルカリはなく(中和により塩に
なっている)、水を加えて昇温しても加水分解反応が起
こらないため、脱水溶剤を留去する上で、水と共沸させ
る事ができる。なお、水と共沸させるほうが、より低い
温度で効率よく脱水溶剤を除去することができるもので
ある。
の溶液中から脱水溶剤を留出させるための条件として
は、系内の脱水溶剤を好適に留出(蒸発)させることが
できるものであれば、特に制限されるものではなく、溶
剤留去中の系内温度(系内の液温(常圧下))として
は、例えば、(1″)水を用いる場合には、通常80〜
120℃、好ましくは90〜110℃であり、(2″)
水を用いない場合には、通常80〜160℃、好ましく
は90〜150℃である。上記(1″)ないし(2″)
のいずれも場合にも、上記に規定する温度よりも低い温
度の場合には、脱水溶剤を蒸発するのに十分な温度(熱
量)でなく、脱水溶剤の留去に長時間を要するなど好ま
しくなく、一方、上記に規定する温度よりも高い温度の
場合には、重合の危険性があるほか、多くの熱量が大量
の低沸点原料の蒸発に消費されるため好ましくない。ま
た、系内(装置内)圧力は、常圧下または減圧下いずれ
で行ってもよいが、設備面から、常圧下で行うことが望
ましい。また、脱水溶剤を含む溶液から溶剤の留出を行
うための装置系としては、エステル化反応で使用した装
置系(反応槽)をそのまま使用するのがよい。すなわ
ち、エステルカ反応後、別途他の装置に内容物を移し変
える場合には、設備及び管理費が増加するほか、輸送時
にエステル化物等が外的要因(熱、光、輸送温度、輸送
圧力、活性な雰囲気ガスの介在)などにより劣化した
り、輸送経路内に固着したり、逆に輸送時に装置などか
ら不純物が溶出ないし混入するのを防止する必要があ
り、余分なコストが発生するなど好ましくない。
アクリル酸の重合を防止すべく重合禁止剤の存在下に、
エステル化反応を行っている場合には、当該重合禁止剤
がエステル化反応後(さらには部分中和処理後)におい
ても有効に機能するため、本溶剤留去工程において、系
内の溶液中に、新たに重合禁止剤を補充する必要はない
が、濃度の薄いアルカリ水溶液を用いて部分中和処理を
行っている場合には、系内の溶液中に比較的多くの水が
存在している。そのため、例えば、エステル化反応を行
う際に使用した重合禁止剤が水に難溶ないし不溶である
ような場合に限り、(メタ)アクリル酸が水に溶けて系
内の溶液内で重合することがあるため、これを防止する
観点から、系内の溶液に水溶性重合禁止剤を加えてから
上記に規定する温度まで昇温することが望ましいもので
ある。
に制限されるものではなく、例えば、ハイドロキノン、
メトキノン、カテコール及びこれらの誘導体(例えば、
p−t−ブチルカテコール等)、ハイドロキノンモノメ
チルエーテル等が挙げられる。なかでもハイドロキノ
ン、メトキノンが好ましい。また、これらの水溶性重合
禁止剤は、1種若しくは2種以上を混合して使用しても
よい。
原料としてのアルコール及び(メタ)アクリル酸の合計
使用量に対して0.001〜1質量%、好ましくは0.
001〜0.1質量%である。水溶性重合禁止剤の添加
量が、0.001質量%未満の場合には、重合禁止能の
発現が不十分な場合があり、水溶性重合禁止剤の添加量
が、1質量%を超える場合には、過剰に添加することに
見合う重合禁止能が得られず、不経済であり、好ましく
ない。
方法を、図1を参照しながら説明する。
方法に用いられる代表的な装置構成の概略図である。
ず、所定温度まで昇温してエステル化反応し、エステル
化反応後に所定温度まで降温して中和し、中和後に所定
温度まで昇温し脱水溶剤の留去を行うための熱交換手段
(例えば、内部ヒータ等の直接加熱方式、外部ジャケッ
ト等の間接の熱交換方式)として加圧スチーム等を熱媒
体に使用し得る外部ジャケット102を有する反応槽101が
設けられいる。この際、反応槽の内部の材料は、特に制
限されるものではなく公知の材料が使用できるが、例え
ば、SUS製、好ましくは耐蝕性の面からSUS30
4、SUS316及びSUS316L、より好ましくは
SUS316及びSUS316Lが挙げられる。また
は、反応槽の内部にグラスライニング加工等が施され原
料及び生成物に対して不活性なものとしてもよい。該反
応槽101には、アルコール原料用のステンレススチール
(例えば、SUS316)製の原料貯蔵タンク103およ
び(メタ)アクリル酸原料用の原料貯蔵タンク105、酸
触媒用の触媒貯蔵タンク107、エステル化反応時の反応
系(反応槽101)内の重合を防止するための重合禁止剤
を貯蔵した重合禁止剤貯蔵タンク109、エステル化反応
終了後の脱水溶剤の留去時の系内(反応槽101)の溶液
内での重合を防止するための水溶性重合禁止剤を貯蔵し
た水溶性重合禁止剤貯蔵タンク110およびエステル化反
応後に前記触媒を中和処理するための中和剤(中和剤水
溶液)を貯蔵したカーボンスチール(例えば、高炭素
鋼)製の中和剤貯蔵タンク111がそれぞれ配管113、11
5、117、119、120および121により連結されている。ま
た、(メタ)アクリル酸は、重合しやすく、例えば、メ
タクリル酸では、長期の保存や熱等によっても重合する
ため微量の重合防止剤(0.1%ハイドロキノンなど)
が加えられるほか、結晶化しても重合しやすくなるの
で、原料貯蔵タンク105内で保存する場合、ベンゼンを
加え結晶化を防ぐようにしてもよいほか、図1に示すよ
うに常時30〜40℃に保温するべく、ポンプ116を用
いた外部ジャケット150(保温手段)を有する循環経路1
51が形成されており、(メタ)アクリル酸原料を常に3
0〜40℃に保持し重合しないように循環させている。
(メタ)アクリル酸用の原料貯蔵タンク105、配管115お
よびポンプ116および循環経路151内部には、腐食性を有
する(メタ)アクリル酸による腐食防止目的で、合成樹
脂等の耐食性材料によるライニング加工が施されている
ものが使用される。同様に、触媒貯蔵タンク107および
その配管117内部にも、酸触媒による腐食防止のため、
合成樹脂などの耐酸性材料によるライニング加工が施さ
れているものが使用される。また、上記反応槽101の下
部には、エステル化反応により反応槽101内部に合成さ
れたエステル化物(あるいは、セメント分散剤等では、
該エステル化物を単量体成分として該反応槽101でさら
に重合を行い得られた重合体)を回収するための配管15
3が連結されている。さらに、上記反応槽101内には、反
応温度を計測するための温度センサ(図示せず)が適当
な部位(数カ所)に取り付けられている。該温度センサ
は、反応温度を規定の温度に保つのに必要な装置機構
(例えば、反応槽101に取り付けられたジャケット102の
温度)などを制御するための制御部本体(図示せず)に
電気的に接続されている。
系内(反応槽101内)でエステル化反応時に生成される
反応生成水を含む留出物を留出し、ゲル状物の発生を防
止しながら凝縮液化した後に、該反応生成水を分離除去
し、残りの留出物を所定の溶剤循環速度で戻すための機
構(の装置構成)として、該反応生成水を脱水溶剤とと
もに共沸させた留出物にゲル化防止剤を作用させて凝縮
液化し、該凝縮液化した留出物から反応生成水(水相)
を分離除去し、残りの凝縮物(主に脱水溶剤を含む溶剤
相)を上記溶剤循環速度で還流させて反応槽101に戻す
循環系が形成されている。詳しくは、反応槽101上部と
向流(または並流)接触形式の縦型の多管式円管形コン
デンサ125の頭頂部とが配管123により連結されている。
またコンデンサ125の下底部とSUS製の水分離器127の
上部とが配管129により連結されている。該水分離器127
の内部には仕切板131が設けられており、該仕切板131で
区切られた2つの室133、134が形成されている。このう
ち、コンデンサ125で凝縮液化された留出物が貯められ
る側の室133の下部と反応生成水の処理タンク135とが配
管137により連結されている。また、該処理タンク135に
は廃水用の配管139が連結されている。また、水分離器1
27のもう一方の室134の下部と反応槽101とが配管141で
連結されている。また、この配管141には、反応槽101内
の反応生成水と共沸する脱水溶剤を貯蔵する脱水溶剤貯
蔵タンク143と連結された配管145が合流(連結)されて
いる。かかる合流点の手前(水分離器127側)の配管141
の経路上には循環ポンプ142が設置されている。また、
上記合流点の後方(反応槽101側)の配管141の経路上に
は流量計144が設けられている。そして、該流量計144に
は、計測される流量を積算し、溶剤循環速度を算出する
ための流量計測システム本体(図示せず)と電気的に接
続されている。さらに、コンデンサ125の頭頂部には噴
霧ノズル126が設けられており、この噴霧ノズル126は、
留出物のゲル化防止用のゲル化防止剤を貯蔵するゲル化
防止剤貯蔵タンク147と配管149により連結されている。
US304、SUS316及びSUS316L等のSU
S製や炭素鋼(CS)等、公知のものが使用できるが、
好ましくは、ゲルの発生をより軽減するために、内面を
鏡面仕上げやグラスライニング加工されたコンデンサを
使用できるが、加工やメンテナンスにかかるコストを考
慮すると、SUS304、SUS316及びSUS31
6L、好ましくはSUS316及びSUS316L等の
SUS製のコンデンサが好ましく使用でき、このような
コンデンサを用いた場合でも、ゲルの形成を有効に防止
できる。また、本発明において好ましく使用されるコン
デンサの伝熱面積は、反応槽の容積などによって異なる
が、例えば、反応槽30m3では、50〜500m2、好
ましくは100〜200m2である。本発明において、
コンデンサに使用される冷却媒体としては、水やオイル
などが挙げられる。
構成)、すなわち、反応系内(反応槽101内)でエステ
ル化反応時に生成される反応生成水を含む留出物を留出
し、ゲル状物を発生を防止しなから凝縮液化した後に、
該反応生成水を分離除去し、残りの留出物を還流させる
ための機構(の装置構成)の一部は、エステル化反応後
に、系内(反応槽101内)の生成物であるエステル化物
を含有する溶液から脱水溶剤を含む留出物を留出し、ゲ
ル状物の発生を防止しながら凝縮液化した後に、該脱水
溶剤を含む留出物を系外に除去するための機構(の装置
構成)としても利用されており、該脱水溶剤を水ととも
に共沸させた留出物に水溶性重合禁止剤を作用させて凝
縮液化し、該凝縮液化した留出物を水相と溶剤相に分離
し、それぞれを適当な方法により別々に除去する経路
(取り出し経路)が形成されている。詳しくは、上述し
た循環機構(の装置構成)に、新たに、コンデンサ125
の頭頂部に設けられた噴霧ノズル126には、脱水溶剤を
含む留出物のゲル化防止用に利用される水溶性重合禁止
剤を溶かした水溶液(以下、単に水溶性ゲル化防止剤と
もいう)を貯蔵する水溶性ゲル化防止剤貯蔵タンク159
が配管161により連結されている。さらに、水分離器127
には配管157を介して、脱水溶媒を減圧吸引により除去
するために真空ポンプ(エゼクタ)155が取り付けられ
ている。
は、以上の装置構成を有するエステル化物の製造装置を
用いて次のように行われる。
ク103、105、触媒貯蔵タンク107、重合禁止剤貯蔵タン
ク109、脱水溶剤貯蔵タンク143より配管113、115、11
7、119および配管145を介した配管141を通じて原料のア
ルコールおよび(メタ)アクリル酸、酸触媒、重合禁止
剤および脱水溶剤をそれぞれ上記に規定する所定の量を
送り込み(仕込み)、上記に規定するエステル化条件
(反応温度、ジャケット温度、圧力)でエステル化反応
を行う。エステル化反応により逐次生成する反応生成水
は、反応槽101内に仕込まれた脱水溶剤と共沸され配管1
23を通じて留出されてくる。留出されてきたガス流体で
ある溶剤−水共沸物は、コンデンサ125に通され凝縮液
化される。この凝縮液化時に該共沸物に含まれる低沸点
原料がゲル化するのを防止する目的で、ゲル化防止剤貯
蔵タンク147より配管149を通じて該コンデンサ125の頭
頂部に設けられた噴霧ノズル126から上記に規定する量
のゲル化防止剤を連続的に滴下して、共沸物(ガス流体
物および凝縮液化物の双方をいう)と並流接触させる。
凝縮液化された共沸物(滴下されたゲル化防止剤を含
む)は、該コンデンサ125の下部より配管129を通じて水
分離器127の室133に貯められ、水相と溶剤相の2層に分
離される。このうち、下層部の反応生成水は、室133の
下部より配管137を通じて逐次抜かれ、反応生成水の処
理タンク135に貯められる。そして該処理タンク135内
で、必要に応じて、環境基準(廃水基準)値を満足する
ように化学的ないし生物学的に処理された後、配管139
を通じて、本装置系外に廃水される。一方、上層部の溶
剤相(滴下されたゲル化防止剤および低沸点原料を含
む)は、仕切板131をオーバーフローして隣の室134に貯
められる。そして、該溶剤相は該室134の下部よりポン
プ142により配管141を通じて上記に規定する溶媒循環速
度で還流され反応槽101に戻される。
給するゲル化防止剤貯蔵タンク設置部位は、ゲルが形成
されやすい部位が好ましいものの特に制限されないが、
例えば、図1における態様、即ち、ゲル化防止剤を噴霧
する噴霧ノズル126をコンデンサ125の塔頂部に設ける態
様に加えて、反応槽101とコンデンサ125との間の配管12
3上の少なくとも1箇所にゲル化防止剤を噴霧する噴霧
ノズルを設ける態様などが挙げられる。後者の態様にお
いて、配管123上にゲル化防止剤を噴霧する噴霧ノズル
を設ける部位としては、例えば、コンデンサ内部の凝縮
部(とりわけ塔頂部近傍)、反応槽とベーパーの立ち上
がりラインとの間の接合部(フランジ部)やベーパーラ
インとコンデンサ塔頂部との間のフランジ部等のフラン
ジ部、反応槽等に設置された温度計やのぞき窓に設けら
れた突起部など、ゲルが形成されやすい部位が挙げら
れ、これらのうち、コンデンサ内部の凝縮部(とりわけ
塔頂部近傍)、反応槽とベーパーの立ち上がりラインと
の間のフランジ部やベーパーラインとコンデンサ塔頂部
との間のフランジ部が好ましい。
以上に達した時点で終了とする)後、降温し反応槽101
の内温(液温)が上記に規定する温度(90℃)以下に
下がるまで、反応槽101の外部ジャケット102に冷媒を通
じて降温し、その後は所定温度以下を維持するように適
宜調整しながら、中和剤貯蔵タンク111より配管121を通
じて反応槽101内に、多量の水により上記に規定する濃
度まで薄められたアルカリ水溶液(中和剤)を添加して
酸触媒(及び(メタ)アクリル酸の一部)を部分中和す
る。
合禁止剤タンク110より配管120を通じて反応槽101内の
溶液に添加混合する。常圧下に、反応槽101の外部ジャ
ケット102に熱媒(加圧スチーム)を通じて上記に規定
する温度まで昇温することにより、反応槽101内の脱水
溶剤及び部分中和処理の際に加えられている多量の水の
ほか未反応の低沸点原料(例えば、(メタ)アクリル
酸)も共沸され配管123を通じて留出されてくる。留出
されてきたガス流体である溶剤−水共沸物は、コンデン
サ125に通され凝縮液化される。この場合にも未反応の
低沸点原料(例えば、(メタ)アクリル酸)によりゲル
状物が発生するが、ここでは、脱水溶剤が除かれていく
ので次第に水及び低沸点原料だけが蒸発してくるように
なるため、水溶性重合禁止剤を作用させることが望まし
い。この凝縮液化時に該留出物に含まれる未反応の低沸
点原料がゲル化するのを防止する目的で、水溶性ゲル化
防止剤貯蔵タンク159より配管161を通じて該コンデンサ
125の頭頂部に設けられた噴霧ノズル126から上記に規定
する量の水溶性ゲル化防止剤を連続的に滴下して、留出
物(ガス流体物および凝縮液化物の双方をいう)と並流
接触させる。凝縮液化された留出物(滴下された水溶性
重合禁止剤を含む)は、該コンデンサ125の下部より配
管129を通じて水分離器127の室133に貯められ、水相
(滴下された水溶性重合禁止剤および低沸点原料を含
む)と溶剤相の2層に分離される。このうち、下層部の
水は、循環させずに除去する場合には、室133の下部よ
り配管137を通じて逐次抜かれ、水の処理タンク135に貯
められる。そして該処理タンク135内で、必要に応じ
て、環境基準(廃水基準)値を満足するように化学的な
いし生物学的に処理された後、配管139を通じて、本装
置系外に廃水される(また、下層部の水を循環させる場
合には、室133の下部より反応槽101に連結される配管
(図示せず)を設け、この配管を通じて還流すればよ
い。)。一方、上層部の溶剤相は、還流することなく装
置系外に除去する必要上、水分離器127に取り付けられ
た真空ポンプ(エゼクタ)155を用いて装置系外に取り
出される。なお、これらは廃棄処理されるか、あるいは
系外の装置を用いて化学処理し再利用してもよい。
た後、反応槽101内に、配管(図示せず)により連結さ
れている水貯蔵タンク(図示せず)または上水管(図示
せず)より調整水を添加して所望のエステル化物の水溶
液を得る。得られたエステル化物の水溶液は、配管153
より回収(貯蔵)される。なお、得られたエステル化物
をセメント分散剤等の合成に用いる場合には、該エステ
ル化物を単量体成分の1つとして該反応槽101でさらに
重合を行い、セメント分散剤の主要組成成分となり得る
重合体を合成するようにしてもよい。この場合には、過
剰に加えられ残っている未反応の(メタ)アクリル酸を
もう一方の単量体成分として分離・除去せずにそのまま
使用することが好ましい。
の一実施態様を図1を用いて説明したものであるが、本
発明に係るエステル化物の製造方法は、当該実施態様に
限定されるものではなく、エステル化反応終了後、脱水
溶剤を留去する際に、該脱水溶剤を含む留出物に対して
重合禁止剤を作用させることができるものであれば、そ
の製法(手段)、装置構成などに関しては何ら制限され
るものではなく、従来既知の製法、装置構成などを適宜
組み合わせて利用することができる。
の存在下、下記式:
化水素基を表わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキ
シアルキレン基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し
単位は同一であってもあるいは異なっていてもよく、お
よびR2Oが2種以上の混合物の形態である場合には各
R2Oの繰り返し単位はブロック状に付加していてもあ
るいはランダム状に付加していてもよく、ならびにnは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、1〜3
00の数である)で示されるアルコキシポリアルキレン
グリコール(本明細書では、単に「アルコキシポリアル
キレングリコール」と称する)を(メタ)アクリル酸と
エステル化反応し、該エステル化反応が終了した後の脱
水溶剤留去工程中に、該脱水溶剤を含む留出物に対して
ゲル化防止剤を作用させることにより、アルコキシポリ
アルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体
(a)を得、該アルコキシポリアルキレングリコールモ
ノ(メタ)アクリル酸系単量体(a)5〜98質量%、
下記式(2):
表わし、M1は水素、一価金属、二価金属、アンモニウ
ム基または有機アミン基を表わす)で示される(メタ)
アクリル酸系単量体(b)95〜2質量%、およびこれ
らの単量体と共重合可能な他の単量体(c)0〜50質
量%(但し、(a)、(b)および(c)の合計は10
0質量%)を共重合することを特徴とする、セメント分
散剤用ポリカルボン酸系共重合体(本明細書では、単に
「共重合体」または「重合体」と称する)の製造方法を
提供するものである。
レングリコールは、nが0を含まない以外は上記第一の
概念におけるアルコールと同様に定義される。また、
(メタ)アクリル酸やエステル化反応など、上記第一の
概念において同様に使われている用語に関しては同様の
意味を有する。
応において、アルコキシポリアルキレングリコール及び
(メタ)アクリル酸の使用量は、アルコキシポリアルキ
レングリコールの使用量をp質量部と及び(メタ)アク
リル酸の使用量をq質量部とした際に、下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 の関係を満足する量であることが好ましい。これによ
り、(メタ)アクリル酸をアルコキシポリアルキレング
リコールに比べて過剰に存在させてエステル化反応を行
なうと、得られたアルコキシポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリル酸系単量体は(メタ)アクリル酸
を含む混合物の形態で存在するので、この混合物を単離
せずにそのままあるいは必要により(メタ)アクリル酸
(塩)単量体やこれらの単量体と共重合可能な単量体を
加えて、好ましくは混合物を単離せずにそのまま共重合
反応に供することにより、ポリカルボン酸系共重合体が
製造でき、好ましい。すなわち、アルコキシポリアルキ
レングリコール及び(メタ)アクリル酸の使用量を上記
したような範囲内に調節することにより、アルコキシポ
リアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸を単離
するという工程を省略することができるため、量産に適
しており、産業上の観点から好ましい。
リアルキレングリコールの使用量であるp質量部と(メ
タ)アクリル酸の使用量であるq質量部は、下記式: 40≦[(p/n1/2)/q]×100≦200 (ただし、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を
表わし、1〜300の数である)の関係を満足すること
を必須とする。本明細書においては、式:[(p/n
1/2)/q]×100の値を「K値」とも称し、K値
は、カルボン酸の質量当たりのポリアルキレングリコー
ル鎖の平均数を表わす尺度である。本発明において、K
値は、好ましくは42〜190(42≦K値≦19
0)、より好ましくは45〜160(45≦K値≦16
0)である、この際、K値が40未満であると、得られ
るセメント分散剤のセメント分散性能が十分でない。逆
に、K値が200を超えると、得られるセメント分散剤
のセメント分散性能がやはり低下する上、エステル化反
応時間が著しく増大し、生産性が大幅に低下するので好
ましくない。
共重合体(その塩を含む;以下、同様)の製造方法は、
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アク
リル酸系単量体を単量体成分として、重合反応を行うこ
とにより、所期の用途に応じた、本発明の重合体を得る
ことができるものであれば、特に制限されるものではな
く、所期の用途に応じて重合されてなるものが含まれる
と解されるべきである。例えば、特公昭59−1833
8号公報、特開平9−86990号公報や特開平9−2
86645号公報に記載の方法などの公知の方法と同様
にして、(メタ)アクリル酸(塩)、および必要により
これらの単量体と共重合可能な単量体と共に重合反応に
供されることによって、セメント分散能に優れたセメン
ト分散剤とすることができるが、これらに限定されるも
のではなく、本発明の重合体の詳細な説明において例示
したそれぞれの公報に記載の重合方法が適用できること
はもちろんのこと、これら以外にも従来既知の各種重合
方法を適用できることはいうまでもない。また、上記方
法のほか、炭酸カルシウム、カーボンブラック、インク
などの顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー
用分散剤、CWM用分散剤、増粘剤等への利用が可能で
ある。
ルボン酸系共重合体の製造方法では、アルコキシポリア
ルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体
を、(メタ)アクリル酸(塩)単量体および必要により
これらの単量体と共重合可能な単量体とともに重合反応
する。
を得るには、重合開始剤を用いてアルコキシポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリル酸系単量体成分等
を共重合させれば良い。共重合は、溶媒中での重合や塊
状重合等の方法により行なうことができる。
行なうことができ、その際使用される溶媒としては、
水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等の低級アルコール;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香
族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化
合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合
物;等が挙げられる。原料のエステル化物の単量体成分
および得られる共重合体の溶解性ならびに該共重合体の
使用時の便からは、水および炭素原子数1〜4の低級ア
ルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用い
ることが好ましい。その場合、炭素原子数1〜4の低級
アルコールの中でもメチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール等が特に有効である。
としてアンモニウムまたはアルカリ金属の過硫酸塩ある
いは過酸化水素等の水溶性の重合開始剤が使用される。
この際、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩等の促進剤を
併用することもできる。また、低級アルコール、芳香族
炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物あるいはケ
トン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルパーオキ
シドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシド;クメ
ンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;ア
ゾビスイソブチロニトリル等の芳香族アゾ化合物等が重
合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促
進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコ
ール混合溶剤を用いる場合には、上記の種々の重合開始
剤あるいは重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から
適宜選択して用いることができる。重合温度は、用いる
溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜1
20℃の範囲内で行なわれる。
パーオキシドやラウロイルパーオキシド等のパーオキシ
ド;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキ
シド;アゾビスイソブチロニトリル等の脂肪族アゾ化合
物等を用い、50〜200℃の温度範囲内で行なわれ
る。
に、チオール系連鎖移動剤を併用することもできる。こ
の際に用いられるチオール系連鎖移動剤は、一般式HS
−R 5−Eg(ただし、式中R5は炭素原子数1〜2のア
ルキル基を表わし、Eは−OH、−COOM2、−CO
OR6または−SO3M2基を表わし、M2は水素、一価金
属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン基を表
わし、R6は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わ
し、gは1〜2の整数を表わす。)で表わされ、例え
ば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグ
リコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカ
プトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オ
クチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げ
られ、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。
までもセメント分散剤等の各種用途の主成分として用い
られるが、必要に応じて、さらにアルカリ性物質で中和
して得られる重合体塩をセメント分散剤等の各種用途の
主成分として用いても良い。このようなアルカリ性物質
としては、一価金属および二価金属の水酸化物、塩化物
および炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等が
好ましいものとして挙げられる。
することのできるアルコキシポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリル酸系単量体成分は、1種単独で用
いても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。特
に、2種以上を混合して使用する場合には、使用用途に
応じた特性(機能・性能等)を発現させることができる
ように、発現特性の異なる種類を適当に組み合わせて用
いることが望ましく、以下の2種の組み合わせが有利で
ある。
コールモノ(メタ)アクリル酸系単量体において、式
(1)における平均付加モル数nが1〜97、好ましく
は1〜10の整数である第1のエステル化物(a1)
と、式(1)における平均付加モル数nが4〜100、
好ましくは11〜100の整数である第2のエステル化
物(a2)との混合物(ただし、第2のエステル化物
(a2)の平均付加モル数の方が第1のエステル化物
(a1)の平均付加モル数よりも3以上大きいものとす
る)の組み合わせが有利である。
第2のエステル化物(a2)との混合物を製造する方法
は、当該エステル化物の製造方法で説明した通りであ
り、これらの第1および第2のエステル化物(a1)お
よび(a2)を別々にエステル化反応により製造しても
よいし、それぞれ相当するアルコールの混合物と、(メ
タ)アクリル酸とのエステル化反応により製造してもよ
く、特に後者の方法は工業的に安価の製造方法を提供で
きる。
第2のエステル化物(a2)との質量比は5:95〜9
5:5、好ましくは10:90〜90:10である。
えば、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)ブチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコ
ール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シ(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ
(ポリ)エチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)プロピ
レングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコー
ル(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。第1
のエステル化物(a1)は、その側鎖の短鎖アルコール
に疎水性を有することが重要である。
エチレングリコール単位が多く含まれているのが好まし
い。したがって、(a1)としては、平均付加モル数が
1〜97、好ましくは1〜10の(アルコキシ)(ポ
リ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好
ましい。
えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、メトキシポリエチレングリコール(ポリ)
プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メト
キシポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレング
リコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキ
シポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレング
リコール(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、エトキシポリエチレングリコール(ポリ)プ
ロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレートなどが例示される。
ル化物(a2)の平均付加モル数が4〜100のアルコ
ール鎖による立体反発と親水性でセメント粒子を分散さ
せることが重要である。そのためには、ポリアルキレン
グリコール鎖にはオキシエチレン基が多く導入されるこ
とが好ましく、ポリエチレングリコール鎖が最も好まし
い。よって、第2のエステル化物(a2)のアルキレン
グリコール鎖の平均付加モル数nは、4〜100、好ま
しくは11〜100である。
することのできる、上記(メタ)アクリル酸(塩)単量
体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸ならびにこ
れらの酸の一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩お
よび有機アミン塩を挙げることができ、これらの1種ま
たは2種以上を用いることができる。
することのできるエステル化物単量体および(メタ)ア
クリル酸(塩)単量体の単量体成分と共重合可能な単量
体の例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン
酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸類;これ
らのジカルボン酸類とHO(R11O)rR12(ただし、
R11Oは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基の1種
または2種以上の混合物を表わし、2種以上の場合はブ
ロック状に付加していてもランダム状に付加していても
よく、rはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり
1から100の整数を表わし、R12は水素または炭素原
子数1〜22、好ましくは1〜15のアルキル基を表わ
す。)で表わされるアルコールとのモノエステルあるい
はジエステル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)ア
クリルアルキルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニル
スルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スルホエチル
(メタ)アクリレート、2−メチルプロパンスルホン酸
(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽
和スルホン酸類およびそれらの一価金属塩、二価金属
塩、アルモニウム塩、有機アミン塩類;スチレン、α−
メチルスチレン等の芳香族ビニル類;炭素原子数1〜1
8、好ましくは1〜15の脂肪族アルコールあるいはベ
ンジルアルコール等のフェニル基含有アルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル類;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコ
ールモノ(メタ)アリルエーテル等が挙げられ、これら
の1種または2種以上を用いることができる。
とする本発明のセメント分散剤では、良好なセメント分
散性能及びスランプ保持性能を発揮することができる。
に規定する重合体成分の他に、従来公知のナフタレン系
セメント分散剤、アミノスルホン酸系セメント分散剤、
ポリカルボン酸系セメント分散剤およびリグニン系セメ
ント分散剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種のセ
メント分散剤を配合してもよい。すなわち、本発明のセ
メント分散剤では、上記重合体単独で使用しても良い
し、必要に応じて、さらに付加価値を持たせるべく、上
記および下記に示す各種成分を配合することができるも
のであり、これらの配合組成については、目的とする付
加的機能の有無により大きく異なるものであり、上記重
合体成分を100質量%(全量)ないし主成分とするも
のから、上記重合体成分を高付加価値成分として、従来
のセメント分散剤に適量加える態様まで様々であり、一
義的に規定することはできない。しかしながら、本発明
のセメント分散剤におけるポリカルボン酸系共重合体の
配合量は、全成分に対して、通常、5〜100質量%、
好ましくは50〜100質量%である。
公知のセメント分散剤の他に、空気連行剤、セメント湿
潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶性高分子
物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、
硬化促進剤、消泡剤等を配合することができる。
するセメント分散剤は、少なくともセメントおよび水よ
りなるセメント組成物に配合することによりセメントの
分散を促進する。
セメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメン
ト、各種混合セメント等の水硬セメント、あるいは、石
膏などのセメント以外の水硬材料などに用いることがで
きる。
作用効果を奏するため、従来のセメント分散剤に比較し
て少量の添加でも優れた効果を発揮する。たとえば水硬
セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する
場合には、セメント質量の0.001〜5%、好ましく
は0.01〜1%となる比率の量を練り混ぜの際に添加
すればよい。この添加により高減水率の達成、スランプ
ロス防止性能の向上、単位水量の低減、強度の増大、耐
久性の向上などの各種の好ましい諸効果がもたらされ
る。添加量が0.001%未満では性能的に不十分であ
り、逆に5%を越える多量を使用しても、その効果は実
質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
均分子量を有し、かつ重量平均分子量からピークトップ
分子量を差し引いた値が特定の値を有する重合体を主成
分とするセメント分散剤であることが望ましい。この
際、本発明によるポリカルボン酸系共重合体の重量平均
分子量は、所期の用途に応じて適宜最適な範囲に決定さ
れるものであり、例えば、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーによるポリエチレングリコール換算で50
0〜500000、特に5000〜300000の範囲
とすることが好ましい。また、重合体の重量平均分子量
からピークトップ分子量を差し引いた値は、0〜800
0であることが必要であり、好ましくは0〜7000で
ある。重量平均分子量が500未満では、セメント分散
剤の減水性能が低下するために好ましくない。一方、5
00000を越える分子量では、セメント分散剤の減水
性能、スランプロス防止能が低下するために好ましくな
い。また、重量平均分子量からピークトップ分子量を差
し引いた値が8000を越える場合には、得られたセメ
ント分散剤のスランプ保持性能が低下するために好まし
くない。
に説明する。なお、例中、特にことわりのない限り、
「%」は「質量%」を、また、「部」は「質量部」を表
わすものとする 実施例1 温度計、攪拌機、生成水分離器および還流冷却管(コン
デンサ)を備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内
容量:30リットル)にメトキシポリ(n=25)エチ
レングリコール16500部、メタクリル酸4740部
(K値=70)、パラトルエンスルホン酸水和物235
部、フェノチアジン5部およびシクロヘキサン1060
部を仕込み、反応温度115℃でエステル化反応を行っ
た。別途、シクロヘキサンの還流開始からエステル化反
応終了まで、コンデンサの塔頂へフェノチアジン0.5
部を含むシクロヘキサン溶液500.5部を滴下した。
約20時間でエステル化率が100%に達したのを確認
した。得られたエステル化反応液22255部に49%
水酸化ナトリウム水溶液135部と水4890部を加え
てパラトルエンスルホン酸を中和し、ハイドロキノン8
部を加えて105℃までに昇温し、シクロヘキサンを水
との共沸で留去した。シクロヘキサンの留去中、コンデ
ンサの塔頂部へハイドロキノン1部を含む水301部を
滴下した。そして、シクロヘキサン留去後、調整水を添
加して80%のエステル化物の水溶液(1)を得た。以
上の操作を数バッチ繰り返したあとでコンデンサである
還流冷却管内部を点検したところ、ゲルは認められなか
った。
反応条件およびエステル化率、中和工程での中和条件、
およびシクロヘキサン留去工程でのコンデンサである還
流冷却管への滴下組成、並びに本実施例の操作を数バッ
チ繰り返した後のコンデンサの状態につき下記表1に示
す。
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付SUS316製反応槽(内容量:30m3)
を反応槽として使用する以外は実施例1と同様にして8
0%のエステル化物水溶液を得、得られたエステル化物
水溶液について、反応終了後、コンデンサの内部を点検
したところ、ゲル状物は認められなかった。
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付グラスライニング反応槽(内容量:30
m3)を反応槽として使用する以外は実施例1と同様に
して80%のエステル化物水溶液を得、得られたエステ
ル化物水溶液について、反応終了後、コンデンサの内部
を点検したところ、ゲル状物は認められなかった。
デンサ)を備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内
容量:30リットル)にメトキシポリ(n=25)エチ
レングリコール16500部、メタクリル酸4740
部、パラトルエンスルホン酸水和物235部、フェノチ
アジン5部およびシクロヘキサン1060部を仕込み、
反応温度115℃でエステル化反応を行った。別途、シ
クロヘキサンの還流開始からエステル化反応終了まで、
コンデンサの塔頂へフェノチアジン0.5部を含むシク
ロヘキサン溶液500.5部を滴下した。約20時間で
エステル化率が100%に達したのを確認した。 次
に、得られたエステル化反応液22255部に49%水
酸化ナトリウム水溶液135部と水4890部を加えて
パラトルエンスルホン酸を中和し、ハイドロキノン8部
を加えて105℃までに昇温し、シクロヘキサンを水と
の共沸で留去した。シクロヘキサンの留去中、コンデン
サの塔頂へのハイドロキノン水溶液の滴下は行わなかっ
た。シクロヘキサン留去後、調整水を添加して比較用8
0%のエステル化物の水溶液を得た。以上の操作を数バ
ッチ繰り返したあとでコンデンサである還流冷却管内部
を点検したところ、多量のゲルが認められた。
反応条件およびエステル化率、中和工程での中和条件、
およびシクロヘキサン留去工程でのコンデンサである還
流冷却管への滴下組成、並びに本実施例の操作を数バッ
チ繰り返した後のコンデンサの状態につき下記表1に示
す。
[胴部(シェル):内径750mm×長さ4000m
m、伝熱管(チューブ):内径24mm×485本、伝
熱面積:150m2]を備えた外部ジャケット付グラス
ライニング反応槽(内容量:30m3)に、メトキシポ
リ(n=25)エチレングリコール16500部、メタ
クリル酸4740部、パラトルエンスルホン酸1水和物
235部、フェノチアジン5部およびシクロヘキサン1
060部を仕込み、反応温度115℃でエステル化反応
を行った。別途、シクロヘキサンの還流開始からエステ
ル化反応終了まで、フェノチアジンを含むシクロヘキサ
ン溶液(A)(シクロヘキサン中のフェノチアジンの濃
度を1000質量ppmにした。)を0.35部/mi
nの速度で、水分離器から反応槽へ循環させる凝縮残液
(主にシクロヘキサン)の一部(B)を20部/min
の速度で、(A)と(B)を混合後、コンデンサ内に設
けられた上向きノズルを通してコンデンサの塔頂へ降ら
した。
したのを確認した。そして49%水酸化ナトリウム水溶
液135部と水4890部を加えてパラトルエンスルホ
ン酸を中和し、ハイドロキノン8部を加えて昇温し、シ
クロヘキサンを水との共沸で留去した。シクロヘキサン
の留去中、コンデンサの塔頂へハイドロキノン1部を含
む水301部を滴下した。シクロヘキサン留去後、調整
水を添加して80%のエステル化水溶液を得た。以上の
操作を3バッチ繰り返した後コンデンサ内部を目視で点
検したところ、ゲル状物の発生はなかった。さらに1年
間、上記バッチ操作を継続した後にコンデンサ内部を目
視で点検したところ、極々微量のゲル状物の発生しか確
認されなかった。これは、下記実施例7のものと1年間
で比較した場合、非常に少ないものであり、実施例7の
ものよりも目視で1/10以下まで減少していた。
サの塔頂へ降らせるゲル化防止剤溶液組成、部分中和条
件、溶剤留去条件および実験結果を下記表2〜4に示
す。
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付SUS316製反応槽(内容量:30m3)
を反応槽として使用する以外は実施例4と同様にしてコ
ンデンサ内部を目視で点検したところ、ゲル状物の発生
はなかった。さらに1年間、上記バッチ操作を継続した
後にコンデンサ内部を目視で点検したところ、極々微量
のゲル状物の発生しか確認されなかった。
び還流冷却管(コンデンサ)を備えた外部ジャケット付
ガラス製反応槽(内容量:30リットル)を反応槽とし
て使用する以外は実施例4と同様にしてコンデンサ内部
を目視で点検したところ、ゲル状物の発生はなかった。
さらに1年間、上記バッチ操作を継続した後にコンデン
サである還流冷却管内部を目視で点検したところ、極々
微量のゲル状物の発生しか確認されなかった。
[胴部(シェル):内径750mm×長さ4000m
m、伝熱管(チューブ):内径24mm×485本、伝
熱面積:150m2]を備えた外部ジャケット付グラス
ライニング反応槽(内容量:30m3)に、メトキシポ
リ(n=25)エチレングリコール16500部、メタ
クリル酸4740部、パラトルエンスルホン酸1水和物
235部、フェノチアジン5部およびシクロヘキサン1
060部を仕込み、反応温度115℃でエステル化反応
を行った。別途、シクロヘキサンの還流開始からエステ
ル化反応終了まで、フェノチアジンを含むシクロヘキサ
ン溶液(A)(シクロヘキサン中のフェノチアジンの濃
度を1000質量ppmにした。)を0.35部/mi
nの速度で、水分離器から反応槽へ循環させる凝縮残液
(主にシクロヘキサン)の一部(B)を20部/min
の速度で、(A)と(B)を混合後、コンデンサ内に設
けられた下向きノズルを通してコンデンサの塔頂へ降ら
した。
したのを確認した。そして49%水酸化ナトリウム水溶
液135部と水4890部を加えてパラトルエンスルホ
ン酸を中和し、ハイドロキノン8部を加えて昇温し、シ
クロヘキサンを水との共沸で留去した。シクロヘキサン
の留去中、コンデンサの塔頂へハイドロキノン1部を含
む水301部を滴下した。シクロヘキサン留去後、調整
水を添加して80%のエステル化水溶液を得た。以上の
操作を3バッチ繰り返した後コンデンサ内部を点検した
ところ、ゲル状物の発生はなかった。さらに1年間、上
記バッチ操作を継続した後にコンデンサ内部を目視で点
検したところ、極少量のゲル状物が発生しているのが確
認された。これは、上記実施例4のものと1年間で比較
した場合、目視で10倍以上の差が認められた。
サの塔頂へ降らせるゲル化防止剤溶液組成、部分中和条
件、溶剤留去条件および実験結果を下記表2〜4に示
す。
び多管式コンデンサ[胴部(シェル):内径750mm
×長さ4000mm、伝熱管(チューブ):内径24m
m×485本、伝熱面積:150m2]を備えた外部ジ
ャケット付SUS316製反応槽(内容量:30m3)
を反応槽として使用する以外は実施例7と同様にしてコ
ンデンサ内部を目視で点検したところ、ゲル状物の発生
はなかった。さらに1年間、上記バッチ操作を継続した
後にコンデンサ内部を目視で点検したところ、極少量の
ゲル状物が発生しているのが確認された。
び還流冷却管(コンデンサ)を備えた外部ジャケット付
ガラス製反応槽(内容量:30リットル)を反応槽とし
て使用する以外は実施例7と同様にしてコンデンサ内部
を目視で点検したところ、ゲル状物の発生はなかった。
さらに1年間、上記バッチ操作を継続した後にコンデン
サである還流冷却管内部を目視で点検したところ、極少
量のゲル状物が発生しているのが確認された。
部(シェル):内径750mm×長さ4000mm、伝
熱管(チューブ):内径24mm×485本、伝熱面
積:150m2]を備えた外部ジャケット付グラスライ
ニング反応槽(内容量:30m3)に、メトキシポリ
(n=25)エチレングリコール16500部、メタク
リル酸4740部、パラトルエンスルホン酸1水和物2
35部、フェノチアジン5部およびシクロヘキサン10
60部を仕込み、反応温度115℃でエステル化反応を
行った。別途、シクロヘキサンの還流開始からエステル
化反応終了まで、フェノチアジンを含むシクロヘキサン
溶液(A)(シクロヘキサン中のフェノチアジンの濃度
を1000質量ppmにした。)だけを0.35部/m
inの速度でコンデンサ内に設けられた下向きノズルを
通してコンデンサの塔頂へ降らした。
したのを確認した。そして49%水酸化ナトリウム水溶
液135部と水4890部を加えてパラトルエンスルホ
ン酸を中和し、ハイドロキノン8部を加えて昇温し、シ
クロヘキサンを水との共沸で留去した。シクロヘキサン
の留去中、コンデンサの塔頂へハイドロキノン1部を含
む水301部を滴下した。シクロヘキサン留去後、調整
水を添加して80%のエステル化水溶液を得た。以上の
操作を3バッチ繰り返した後コンデンサ内部を点検した
ところ、ゲル状物の発生はなかった。さらに1年間、上
記バッチ操作を継続した後にコンデンサ内部を目視で点
検したところ、ゲル状物が発生しているのが確認され
た。これは、上記実施例4のものと1年間で比較した場
合、目視で1000倍以上の差が認められた。
サの塔頂へ降らせる重合禁止剤溶液組成、部分中和条
件、溶剤留去条件および実験結果を下記表2〜4に示
す。
デンサ)を備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内
容量:30リットル)に、メトキシポリ(n=25)エ
チレングリコール16500部、メタクリル酸4740
部、パラトルエンスルホン酸1水和物235部、フェノ
チアジン5部およびシクロヘキサン1060部を仕込
み、反応温度115℃でエステル化反応を行った。な
お、シクロヘキサンの還流開始からエステル化反応終了
まで、ゲル化防止対策は行わず、したがって、凝縮残液
はおろか、ゲル化防止剤溶液も作用させなかった。
したのを確認した。そして49%水酸化ナトリウム水溶
液135部と水4890部を加えてパラトルエンスルホ
ン酸を中和し、ハイドロキノン8部を加えて昇温し、シ
クロヘキサンを水との共沸で留去した。シクロヘキサン
の留去中、コンデンサの塔頂へハイドロキノン1部を含
む水301部を滴下した。シクロヘキサン留去後、調整
水を添加して80%のエステル化水溶液を得た。以上の
操作を3バッチ繰り返した後コンデンサ内部を点検した
ところ、多量のゲル状物の発生が認められた。
条件、溶剤留去条件および実験結果を下記表2〜4に示
す。
おいて、定期的にコンデンサである冷却還流管内部を観
察したところ、ゲル状物の生成は、コンデンサの塔頂部
に多く認められが、さらに、ここで生成したゲル状物が
一部流れ落ちるため、ゲル状物はコンデンサ全体で確認
できた。
拌機、生成水分離器および還流冷却管(コンデンサ)を
備えた外部ジャケット付ガラス製反応槽(内容量:30
リットル)に、水8200部を仕込み、攪拌下で上記反
応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温し
た。次に、上記反応器内に、実施例1で得られた80%
のエステル化物水溶液(1)13100部に3−メルカ
プトプロピオン酸94部を溶解させた溶液を4時間かけ
て滴下すると同時に、過硫酸アンモニウム125部を水
1000部に溶解させた水溶液を5時間かけて滴下し
た。滴下終了後、反応混合液を80℃に1時間維持し
た。さらに、この反応混合液のpHを水酸化ナトリウム
で8になるように調節することにより、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコー
ル換算で重量平均分子量21000の本発明のポリカル
ボン酸(1)を得た。
(1)をそのままセメント分散剤として用い、以下の、
モルタル試験方法に従ってセメント組成物(1)を調製
し、フロー値を測定した。結果を下記表5に示す。
ント分散剤[ポリカルボン酸(1)]を含む水240
部、セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋
セメント製)400部及び豊浦産標準砂800部を、モ
ルタルミキサーで混練して、セメント組成物(1)を調
製した。なお、セメント分散剤の添加量は下記表5に示
す。
5mm、高さ55mmの中空円筒に充填した後、円筒を
垂直に静かに持ち上げ、広がったセメント組成物(1)
の長径と短径を測定し、その平均値をフロー値とした。
グリコールの使用量を19430部に、及びメタクリル
酸の使用量を1810部(K値=215)に変更した以
外は、実施例1と同様のエステル化反応を行なったとこ
ろ、約90時間でエステル化率約99%を確認した。次
に、シクロヘキサンを水との共沸で留去した後、調整水
を添加して80%のエステル化物水溶液(2)を得た。
び還流冷却管(コンデンサ)を備えた外部ジャケット付
ガラス製反応槽(内容量:30リットル)に、水820
0部を仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素
雰囲気下で80℃まで昇温した。続いて、上記反応器内
に、上記で得られた80%のエステル化物水溶液(2)
13700部に3−メルカプトプロピオン酸58部を溶
解させた溶液を4時間かけて滴下すると同時に、過硫酸
アンモニウム122部を水2300部に溶解させた水溶
液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液を
80℃に1時間維持した。さらに、この反応混合液のp
Hを水酸化ナトリウムで8になるように調節することに
より、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる
ポリエチレングリコール換算で重量平均分子量1970
0のポリカルボン酸(2)を得た。
(2)をそのままセメント分散剤として用い、実施例1
2と同様にして、モルタル試験方法に従ってセメント組
成物(2)を調製し、フロー値を測定した。結果を下記
表5に示す。
範囲(40〜200)の上限を超えると、フロー値が顕
著に下がり、ゆえにセメント分散能が減少することが確
認された。
法は、脱水溶剤中で、上記式(1)で示されるアルコー
ルと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応を行い、エ
ステル化反応終了後、脱水溶剤を留去する際に、該脱水
溶剤を含む留出物に対して重合禁止剤を作用させること
により、ゲル状物の形成を有効防止することができ、コ
ンデンサ等の装置や配管経路の閉塞を防止することがで
きるほか、エステル化反応で脱水溶剤を循環させる際に
用いる装置を脱水溶剤を留去する際にも利用する場合に
は、脱水溶剤を留去する際に形成されたゲル状物が、エ
ステル化物の製造装置を繰り返して(いわば連続的に)
運転するような場合に、次のバッチでのエステル化反応
において、反応生成水を分離除去した留出物を反応系に
還流する際に、該ゲル状物が反応系内に持ち込まれる危
険性もなく、よってエステル化物の品質・性能の低下を
招くこともない。従って、該エステル化物を用いて製造
されるセメント分散剤等の製品の性能及び品質がゲル状
物が原因で低下することもない。
記載のエステル化物の製造方法において、ゲル化防止剤
を、脱水溶剤を含む留出物を凝縮させる領域で作用させ
ることにより、ゲル化防止剤を留出物中に含まれる未反
応の低沸点原料などのゲル状物の形成原料に対して極め
て有効かつ効果的に作用させることができるため、上記
(1)に示す作用効果が非常に顕著に得られるものであ
る。
に記載のエステル化物の製造方法において、ゲル化防止
剤を、コンデンサ内で作用させることによって、ゲル化
防止剤を留出物中に含まれる未反応の低沸点原料などの
ゲル状物の形成原料に対して極めて有効かつ効果的に作
用させることができるため、上記(2)に示す作用効果
と同等の作用効果を奏することができる。
(1)〜(3)に記載のエステル化物の製造方法におい
て、前記脱水溶剤を水と共沸して留出させる場合におい
て、ゲル化防止剤を水と混合して作用させることによ
り、上記(1)〜(3)に記載の作用効果を奏すること
ができるほか、脱水溶剤の留出・除去処理が進につれ
て、系内の溶液より水と共沸して留出(蒸発)されてく
る留出物組成は、そのほとんどが水となるため、かかる
留出物の大半を占める水に溶けている未反応の低沸点原
料に素早く作用させる上で極めて有利である。
(4)に記載のエステル化物の製造方法において、特
に、ゲル化防止剤が水溶性のものである際には、ゲル化
防止剤を水に溶解させて作用させることができるため、
上記(1)〜(4)に記載の作用効果を奏することがで
きるほか、その取り扱いが容易である;留出物が凝縮液
化されたものに対して並流接触等の接触方法により素早
く作用させることができる;および例えば、ゲル化防止
剤を溶剤に溶解させた水溶液にガス状の留出物を吹込ん
でやれば、液状化と同時にゲル化防止剤を接触させるこ
ともできるなど極めて効率の良く作用させる各種の手法
を採用することができるなどの利点がある。
られる代表的な装置構成の概略図である。
化防止剤供給機構の装置構成を含めた本発明の製造装置
の一実施形態を表す概略説明図である。
ノズルを設置した様子を表す概略説明図である。
である。
3、157…配管、 116…ポンプ、 125…コンデンサ、 126…噴霧ノズル、 127…水分離器、 131…仕切板、 133、134…水分離器内部の室、 135…反応生成水の処理タンク、 142…循環ポンプ、 143…脱水溶剤貯蔵タンク、 147…ゲル化防止剤貯蔵タンク、 151…循環経路、 155…真空ポンプ、 159…水溶性ゲル化防止剤貯蔵タンク、 501…反応槽、 502…ジャケット、 503、520〜525…配管、 505…コンデンサ、 506…ノズル部、 507…水分離器、 508…保存タンク、 509…重合禁止剤溶液貯蔵タンク、 510〜513…ポンプ。
Claims (7)
- 【請求項1】 脱水溶剤の存在下、下記式(1): 【化1】 (ただし、R1は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表
わし、R2Oは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン
基を表わし、この際、各R2Oの繰り返し単位は同一で
あってもあるいは異なっていてもよく、およびR2Oが
2種以上の混合物の形態である場合には各R2Oの繰り
返し単位はブロック状に付加していてもあるいはランダ
ム状に付加していてもよく、ならびにnはオキシアルキ
レン基の平均付加モル数を表わし、0〜300の数であ
る)で示されるアルコールと(メタ)アクリル酸とのエ
ステル化反応によるエステル化物の製造方法において、 該エステル化反応終了後の脱水溶剤留去工程中に、該脱
水溶剤を含む留出物に対してゲル化防止剤を作用させる
工程を含むことを特徴とするエステル化物の製造方法。 - 【請求項2】 前記ゲル化防止剤は脱水溶剤を含む留出
物を凝縮させる領域で作用させる、請求項1に記載の方
法。 - 【請求項3】 前記ゲル化防止剤は留出物を凝縮させる
コンデンサ内で作用させる、請求項1または2に記載の
エステル化物の製造方法。 - 【請求項4】 前記ゲル化防止剤は留出物を凝縮させる
コンデンサの塔頂近傍に作用させる、請求項3に記載の
方法。 - 【請求項5】 エステル化反応終了後の脱水溶剤を水と
共沸して留出させることによる脱水溶剤留去工程中に、
該脱水溶剤を含む留出物に対してゲル化防止剤を水と混
合して作用させる工程を含む、請求項1〜4のいずれか
1項に記載の方法。 - 【請求項6】 前記ゲル化防止剤は水溶性である、請求
項5に記載の方法。 - 【請求項7】 前記式(1)において、nはオキシアル
キレン基の平均付加モル数を表わし、2〜300の数で
ある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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1999
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