JP2001002730A - ポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合体塩の製造方法 - Google Patents
ポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合体塩の製造方法Info
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Abstract
を生じにくくなるようにしてポリアルキレングリコール
ポリカルボン酸系重合体塩を製造する。 【解決手段】 ポリアルキレングリコールポリカルボン
酸系重合体を中和する重合体塩の製造方法において、次
の3つの態様(1) 〜(3) を採る。 (1) 中和時の温度を50℃未満に抑えることを特徴とす
る。 (2) 前記(1) において中和を30重量%未満の濃度のア
ルカリ水溶液を用いて行う。 (3) 中和を30重量%未満の濃度のアルカリ水溶液を用
いて行うことを特徴とする。
Description
リコールポリカルボン酸系重合体塩、すなわち中和され
たポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合体の
製造方法に関する。
酸系重合体は、ポリアルキレングリコールの(メタ)ア
クリル酸エステルおよび不飽和カルボン酸を含む単量体
成分の共重合、あるいは、ポリ(メタ)アクリル酸とメ
トキシポリアルキレングリコールのエステル化等により
製造され、側鎖としてアルキレンオキサイド付加物基と
カルボキシル基とを有していて、これらの基に由来する
種々の機能性を持っているため、セメント添加剤など種
々の用途に好適に使用されている。
系重合体は酸性であるため、貯蔵タンクを腐食させた
り、水に高濃度で溶解しにくいため作業性が低かったり
するという問題点を有するため、通常は中和されてポリ
アルキレングリコールポリカルボン酸系重合体塩として
貯蔵されたり取り扱われたりしている。このようにして
得られたポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重
合体塩は、中和前の共重合体に比べて機能性を変化させ
たり分子量を低下させたりしている。
しようとする課題は、中和前と比べて機能性の変化や分
子量の低下を生じにくくなるようにしてポリアルキレン
グリコールポリカルボン酸系重合体塩を製造することが
できる方法を提供することにある。
解決するため、鋭意検討、実験を重ねた結果、ポリアル
キレングリコールポリカルボン酸系重合体の中和の際の
温度管理または中和に使用する塩基の濃度設定に問題が
あることを見いだした。すなわち、中和は、ポリアルキ
レングリコールポリカルボン酸系重合体を含む反応混合
物(通常は、水溶液の状態である。)に塩基の水溶液を
添加することにより行われているが、中和反応熱により
反応混合物の温度が上昇したり、または、添加された塩
基が反応混合物中に速やかに均一に混合されにくくて局
所的に長時間高濃度になったりして、共重合体の主鎖を
構成する炭素とアルキレンオキサイド付加物基との間の
エステル結合が加水分解されて、共重合体の有するアル
キレンオキサイド付加物基が減少していたのである。こ
のため、共重合体塩は、中和前の共重合体に比べて、機
能性が変化したり分子量が低下したりするという問題を
有していた。そこで、発明者は、加水分解しにくくなる
ように、中和反応熱による温度上昇を見越した温度管理
をするか、および/または、添加された塩基が反応混合
物中に速やかに均一に混合されるように塩基の濃度を設
定することを検討した結果、本発明を完成した。
グリコールポリカルボン酸系重合体塩の製造方法は、ポ
リアルキレングリコールポリカルボン酸系重合体を中和
する重合体塩の製造方法において、次の3つの態様(1)
〜(3) を採りうる。 (1) 中和時の温度を50℃未満に抑えることを特徴とす
る。 (2) 前記(1) において中和を30重量%未満の濃度のア
ルカリ水溶液を用いて行う。
リ水溶液を用いて行うことを特徴とする。
ルボン酸系重合体の中和は、この重合体の水溶液に攪拌
下で塩基水溶液を添加することにより行われる。この中
和時に反応熱が発生するが、中和時の温度を50℃未満
に抑えるか、および/または、中和を30重量%未満の
濃度のアルカリ水溶液を用いて行うことにより、共重合
体の主鎖を構成する炭素とアルキレンオキサイド付加物
基との間のエステル結合の加水分解を生じにくくするの
である。
ールポリカルボン酸系重合体塩は、ポリアルキレングリ
コールの(メタ)アクリル酸エステルに由来するポリア
ルキレングリコール基と、不飽和カルボン酸に由来する
カルボキシル基とを側鎖として有している。そして、ポ
リアルキレングリコール基は分散基として働き、カルボ
キシル基は吸着基として働くため、セメント分散剤や炭
酸カルシウム、カーボンブラック、インクなどの顔料分
散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、C
WN用分散剤、増粘剤など種々の用途に好適に使用され
る。しかも、このポリアルキレングリコールポリカルボ
ン酸系重合体塩は、貯蔵タンクを腐食させにくく、水に
高濃度で溶解しやすいため作業性が高い。
しては、たとえば、重合体水溶液の温度を予め十分に
低くしておき50℃未満のアルカリ水溶液を徐々に添加
する方法、50℃未満の重合体水溶液を冷却しながら
50℃未満のアルカリ水溶液を徐々に添加する方法、
50℃未満のアルカリ水溶液の濃度を十分に低くしてお
き50℃未満の重合体水溶液に添加する方法、これらの
2以上の方法を組み合わせた方法、などが挙げられる。
重合体水溶液の温度を予め十分に低くしておき50℃
未満のアルカリ水溶液を徐々に添加する方法としては、
重合体水溶液の温度を、たとえば40℃以下、好ましく
は35℃以下にしておくことが挙げられる。50℃未
満の重合体水溶液を冷却しながら50℃未満のアルカリ
水溶液を徐々に添加する方法としては、たとえば、重合
体水溶液を攪拌しておき、アルカリ水溶液の添加量と上
昇温度を比較しながら、アルカリ水溶液の添加条件を調
整することが挙げられる。50℃未満のアルカリ水溶
液の濃度を十分に低くしておき50℃未満の重合体水溶
液に添加する方法としては、50℃未満のアルカリ水溶
液をあらかじめ水で希釈し、濃度を、たとえば30重量
%未満、好ましくは25重量%未満にしておき、重合体
水溶液を攪拌させながらアルカリ水溶液を添加すること
が挙げられる。
されないが、水酸化物M(OH)mの形式を有し、塩基
性を示す物質であればよく、この場合のMは、アルカリ
金属、アルカリ土類金属やアンモニウム基等をいう。さ
らに、アルカリ金属の炭酸塩や燐酸塩、アンモニア、ア
ミン等もここでいうアルカリに含まれる。よって、アル
カリとしては、具体的には、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金
属の水酸化物、アンモニア、アミン等が挙げられるが、
セメントに配合した場合に異臭が発生しないとの理由か
ら、好ましくはアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸
化物、炭酸塩、燐酸塩等であり、工業材料として安価で
あることや、水に対する溶解度が高い点で、水酸化ナト
リウムが特に好ましい。また、本発明では、これらアル
カリを1種若しくは2種以上を適当な比率で混合して使
用してもよい。
リコールポリカルボン酸系重合体の中和を30重量%未
満、好ましくは25重量%未満の濃度のアルカリ水溶液
を用いて行うことができる。30重量%未満の濃度のア
ルカリ水溶液は、これを中和に用いることにより、ポリ
アルキレングリコールポリカルボン酸系重合体の水溶液
と速やかに混合するので、中和反応熱が発生しても重合
体水溶液が局所的に高温になりにくいため、上記エステ
ル結合の加水分解を引き起こしにくい。30重量%未満
の濃度のアルカリ水溶液を中和に用いる場合、中和時の
重合体水溶液の温度は50℃以上になってもよいが、好
ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であ
る。重合体水溶液の温度の温度は、特に限定はないが、
中和直前には、たとえば50℃以下、好ましくは40℃
以下である。アルカリ水溶液の温度も、特に限定はない
が、たとえば40℃以下、好ましくは30℃以下であ
る。重合体水溶液またはアルカリ水溶液が前記温度より
も高温であると上記エステル結合の加水分解が起こりや
すくなることがある。これらの温度の管理は、上記した
方法に準拠して行うことができる。
系重合体の製造方法については、特に限定されないが、
好ましくは、ポリアルキレングリコールの(メタ)アク
リル酸エステル(単量体A)および不飽和カルボン酸
(単量体B)を含む単量体成分の共重合により生成され
る。ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エ
ステル(単量体A)とは、たとえば、アルキレングリコ
ールとアクリル酸および/またはメタクリル酸とから得
られたモノエステルであり、下記一般式(I)の反応に
よって得られるものである。
R1O(R2O)nHで示される化合物である。上記一般
式R1O(R2O)nHにおいて、R1は、炭素原子数1〜
30の炭化水素基を表す。R1が炭素原子数30を超え
る炭化水素基である場合には、一般式R1O(R2O)n
Hで示される化合物とアクリル酸および/またはメタク
リル酸とから得られたモノエステルを、たとえば、(メ
タ)アクリル酸とのエステルと共重合して得られる共重
合体の水溶性が低下し、用途性能、たとえば、セメント
分散性能等が低下する。R1の好ましい範囲は、その使
用用途により異なり、たとえば、セメント分散剤の原料
として用いる場合には、R1は、炭素原子数1〜18の
直鎖または枝分かれ鎖のアルキル基、および、アリール
基が好ましい。R 1としては、たとえば、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、デシル
基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル基、テトラ
デシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデ
シル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル
基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等のアルキル基;フ
ェニル基等のアリール基;ベンジル基、ノニルフェニル
基等のアルキルフェニル基;シクロヘキシル基等のシク
ロアルキル基;アルケニル基;アルキニル基等が挙げら
れる。これらのうちでも、セメント分散剤の原料として
用いる場合には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、フェニル基が好ましい。
ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であ
る。R2Oが炭素原子数18を超えるオキシアルキレン
基である場合には、一般式R1O(R2O)nHの化合物
とアクリル酸および/またはメタクリル酸とから得られ
たモノエステルを、たとえば、(メタ)アクリル酸との
エステルと共重合して得られる共重合体の水溶性が低下
し、用途性能、たとえば、セメント分散性能等が低下す
る。R2Oとしては、たとえば、オキシエチレン基、オ
キシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン
基等が挙げられる。これらのうちでも、オキシエチレン
基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が好まし
い。R2Oの繰り返し単位は、同一であっても、異なっ
ていてもよい。R2Oの繰り返し単位が異なる場合、す
なわち、2種以上の異なる繰り返し単位を有する場合に
は、各R2Oの繰り返し単位はブロック状またはランダ
ム状に付加していてもよい。
り、R2O(オキシアルキレン基)の繰り返し単位の平
均付加モル数を表す。nが300を超える場合には、一
般式R 1O(R2O)nHの化合物とアクリル酸および/
またはメタクリル酸とから得られたモノエステルの重合
性が低下する。この平均付加モル数nも、エステル化反
応により得られるモノエステルの使用目的に応じて、そ
の最適範囲は異なるものであり、たとえば、セメント分
散剤の原料として用いる場合には、平均付加モル数n
は、5〜200の数が好ましく、より好ましくは8〜1
50である。また、増粘剤等として用いる場合には、平
均付加モル数nは、10〜250の数が好ましく、より
好ましくは50〜200である。
て、1種のものを単独で使用してもよく、また、2種以
上の混合物の形態で使用してもよい。2種以上の混合物
の形態としては、特に限定されるものではなく、R1、
R2Oおよびnのうちの少なくとも1つが異なる混合物
であればよい。混合物の形態としては、好ましくは、
R 1がメチル基とブチル基の2種で構成されている場
合、R2Oがオキシエチレン基とオキシプロピレン基
の2種で構成されている場合、nが1〜10のもの
と、11〜100のものの2種で構成されている場合、
および〜を適宜組み合わせたもの等が挙げられる。
コールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキ
シポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン
グリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリ
エチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポ
リエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エト
キシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポ
リエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール
ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エ
トキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコー
ルポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等
を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用
いることができる。
す。)で示される、アクリル酸およびメタクリル酸、等
を挙げることができ、さらに、これらの酸基の一部分の
みを中和した塩(いわゆる部分中和物)をここにいう不
飽和カルボン酸として扱っても良い。そして、これらの
1種または2種以上を用いることができる。完全に中和
した不飽和カルボン酸塩を用いると、分子量が大きくな
らなかったり、残存モノマーが多くなって好ましくな
い。
ールの(メタ)アクリル酸エステル(単量体A)および
不飽和カルボン酸(単量体B)のみからなっていてもよ
く、あるいは、これらと必要に応じて配合される他の共
重合可能な単量体(以下、「他の単量体」と言う。)と
を含んでいてもよい。他の単量体としては、炭素数1〜
20個の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエ
ステル;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸などの不
飽和ジカルボン酸(不飽和ジカルボン酸の無水物を用い
てもよい。)ならびにそれらの一価金属塩、二価金属
塩、アンモニウム塩および有機アミン塩;マレイン酸、
フマル酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸と炭
素数1〜20個の脂肪族アルコールまたは炭素数2〜4
のグリコールもしくはこれらのグリコールの付加モル数
2〜300の(アルコキシ)ポリアルキレングリコール
とのモノエステルあるいはジエステル;(メタ)アクリ
ルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミドなどの不飽
和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビ
ニルエステル類;スチレンなどの芳香族ビニル類;(メ
タ)アリルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレ
ート、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリル
アミド、スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸類
ならびにそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウ
ム塩および有機アミン塩などを挙げることができ、これ
らの1種または2種以上を用いることができる。ここ
で、有機アミン塩とは、モノエタノ−ルアミン、ジエタ
ノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリエチルアミ
ン、エチレンジアミンである。
応じて適宜設定される。共重合体塩がセメント混和剤と
して使用される場合には、単量体成分は、たとえば、ポ
リアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル
を5〜98重量%、不飽和カルボン酸を95〜2重量
%、および他の単量体を0〜50重量%(ただし、これ
ら3者の合計は100重量%である。)含むのが好まし
く、ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エ
ステルを25〜96重量%、不飽和カルボン酸を75〜
4重量%、および他の単量体を0〜30重量%(ただ
し、これら3者の合計は100重量%である。)含むの
がより好ましい。さらに好ましくは、ポリアルキレング
リコールの(メタ)アクリル酸エステルを40〜94重
量%、不飽和カルボン酸を60〜6重量%、および他の
単量体を0〜20重量%(ただし、これら3者の合計は
100重量%である。)含むのがより好ましい。共重合
体塩が増粘剤として使用される場合には、単量体成分
は、たとえば、ポリアルキレングリコールの(メタ)ア
クリル酸エステルを2〜95重量%、不飽和カルボン酸
を5〜98重量%、および他の単量体を0〜60重量%
(ただし、これら3者の合計は100重量%である。)
含むのが好ましい。
共重合体の重量平均分子量は、共重合体塩の用途に応じ
て種々異なる。共重合体塩をセメント混和剤として用い
る場合には、中和前の共重合体の重量平均分子量は、G
PC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)
によるポリエチレングリコール換算で、たとえば10,
000〜500,000、好ましくは10,000〜1
00,000の範囲にある。共重合体塩が増粘剤として
使用される場合には、中和前の共重合体の重量平均分子
量は、GPCによるポリエチレングリコール換算で、た
とえば200万〜1万、好ましくは100万〜1万の範
囲にある。 <重量平均分子量測定条件> 機種 :Shodex SYSTEM-21 検出器:Shodex RI-71S 溶離液:種類 アセトニトリル/水=40/60Vol% pH6.0 流量 0.5ml/min カラム:種類 東ソー(株)製 TSK-GEL α−2500、α−3000 各 7.8×300mm 検量線:ポリエチレングリコール基準 ポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合体が有
するアルキレンオキサイド付加物基およびカルボキシル
基の量は、重合体塩の用途に応じて種々異なる。重合体
塩をセメント混和剤として用いる場合には、中和前の重
合体が有するアルキレンオキサイド付加物基およびカル
ボキシル基の量は、それぞれ、たとえば、5〜98(単
位:重量%)および0.1〜15(単位:meq/g )、好
ましくは25〜96(単位:重量%)および0.2〜1
0(単位:meq/g )、さらに好ましくは40〜94(単
位:重量%)および0.3〜5(単位:meq/g )の範囲
にある。アルキレンオキサイド付加物基またはカルボキ
シル基の量が前記範囲を外れると、減水性能が低下する
ことがある。重合体塩が増粘剤として使用される場合に
は、中和前の重合体が有するアルキレンオキサイド付加
物基およびカルボキシル基の量は、それぞれ、5〜98
(単位:重量%)および0.2〜15(単位:meq/g
)、好ましくは10〜95(単位:重量%)および
0.4〜12(単位:meq/g )、さらに好ましくは20
〜90(単位:重量%)および0.5〜10(単位:me
q/g )の範囲にある。アルキレンオキサイド付加物基ま
たはカルボキシル基の量が前記範囲を外れると、増粘効
果が低下することがある。
キレングリコールポリカルボン酸系重合体と中和された
重合体塩とを比べた場合、重量平均分子量の低下は5%
程度であり、加水分解により重合体より外れたアルキレ
ンオキサイド付加物基の量は1%程度であり、カルボキ
シル基の量の増加は1%程度(ミリ当量)であり、いず
れも、従来の中和方法よりも低下が非常に少ないもので
ある。
系重合体を得るための重合方法は、特に限定されず、例
えば、重合開始剤を用いての溶液重合や塊状重合などの
公知の方法で行なうことができる。水溶液重合は回分式
でも連続式でも行うことができ、その際に使用される溶
媒としては、水、または、水および水と相溶し得る有機
溶剤(たとえば、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール等のアルコール;アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物)等が挙
げられるが、原料単量体及び得られる共重合体の溶解性
から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群
から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、
その中でも水を溶媒に用いるのが、脱溶媒工程を省略で
きる点で更に好ましい。
して、たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,
2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩
等のアゾアミジン化合物などの水溶性の重合開始剤が使
用され、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸
塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等
のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナト
リウム二水和物、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン
塩酸塩、チオ尿素等の促進剤を併用することもできる。
は、脂肪族炭化水素、エステル化合物あるいはケトン化
合物を重合系の溶剤として用いる際には、ベンゾイルパ
ーオキシドやラウロイルパーオキシドなどのパーオキシ
ド、クメンハイドロパーオキシドなどのハイドロパーオ
キシド、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物
などが重合開始剤として用いられる。この際、アミン化
合物などの促進剤を併用することもできる。
る場合には、上記の種々の重合開始剤或いは重合開始剤
と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いること
ができる。塊状重合は、たとえば、重合開始剤として前
記のものを用い、50〜200℃の温度範囲内で行うこ
とができる。
応じて、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チ
オグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メ
ルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール
酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2
−メルカプトエタンスルホン酸などの連鎖移動剤の1種
又は2種以上を用いることができる。
れたポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合体
を上記のようにして中和することによりポリアルキレン
グリコールポリカルボン酸系重合体塩が得られる。本発
明で得られるポリアルキレングリコールポリカルボン酸
系重合体塩は、セメント分散剤や炭酸カルシウム、カー
ボンブラック、インクなどの顔料分散剤、スケール防止
剤、石膏・水スラリー用分散剤、CWN用分散剤、増粘
剤等に用いることが出来るが、特にセメント分散剤とし
て好ましく使用することができる。
系重合体塩は、単独または混合物の形態や、水溶液の形
態でそのままセメント分散剤として使用することができ
る。また、ポリアルキレングリコールポリカルボン酸系
重合体塩を他の公知のセメント混和剤と組み合わせて使
用してもよく、このような公知のセメント混和剤として
は、たとえば、従来のセメント分散剤、空気連行剤、セ
メント湿潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶
性高分子物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度
増進剤、硬化促進剤、および消泡剤等を挙げることがで
きる。
ルポリカルボン酸系重合体塩を必須とするセメント分散
剤は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、ビー
ライト高含有セメントや各種混合セメント等の水硬セメ
ント、または、石膏等のセメント以外の水硬材料等に用
いることができる。上記セメント分散剤は、たとえば、
水硬セメントを用いるモルタルやコンクリートに使用す
る場合には、セメント重量の0.01〜1.0%、好ま
しくは、0.02〜0.5%程度の比率の量を添加すれ
ば良い。この添加によってスランプ保持性能の向上、単
位水量の低減、コンクリート強度の増大、およびモルタ
ルまたはコンクリートの耐久性の向上等の各種の好まし
い諸効果がもたらされる。セメント分散剤の添加量が
0.01%未満では性能的に不十分であり、逆に、1.
0%を超えた量を使用しても、その効果は実質上、頭打
ちとなり、経済性の面から不利である。
組成物は、少なくともセメント、水および上記セメント
分散剤を含有する組成物である。セメント分散剤の配合
割合は、セメント固形分100重量部に対して、0.0
1〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部
である。セメント分散剤が上記範囲を満たすように配合
されて調製されたセメント組成物では、たとえば、スラ
ンプ保持時間がはるかに向上する他、単位水量の低減、
コンクリート強度の増大、およびモルタルまたはコンク
リートの耐久性の向上等の各種好ましい諸効果がもたら
される。なお、セメント組成物に配合し得るセメントと
しては、特に制限はなく、たとえば、ポルトランドセメ
ント、アルミナセメント、ビーライト高含有セメントや
各種混合セメント等の水硬セメントが挙げられる。ま
た、セメント組成物に配合し得る細骨材および粗骨材に
おいても、特に制限されるものではなく、現在使用され
ている数多くの種類の細骨材および粗骨材から適宜選択
して使用することができる。また、セメント組成物中へ
の細骨材および粗骨材の配合量等に関して特に制限され
るものではなく、使用する材料等に応じて、適宜決定さ
れる。
具体的に説明するが、本発明はこれだけに限定されるも
のではない。なお、例中、特にことわりのない限り、%
は重量%を、部は重量部をそれぞれ表すものとする。ま
た、下記例中、重合体の重量平均分子量は、前述した測
定条件のGPCにより求められたポリエチレングリコー
ル換算値である。
拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備え
たガラス製反応容器に水473部を仕込み、攪拌下に反
応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱
した。そして、メトキシポリエチレングリコ−ルモノア
クリル酸エステル(以下、MPEGAEと呼ぶ。)43
4部(エチレンオキサイドの平均付加モル数25)、ア
クリル酸196部、水157部と連鎖移動剤としてメル
カプトプロピオン酸5.9部を均一に混合した単量体混
合物水溶液を4時間、および10%過硫酸ナトリウム水
溶液140部を5時間で滴下した。その後、1時間引き
続いて80℃に温度を維持し、重合反応を完結させた。
pH2.2、重量平均分子量31,600のポリアルキ
レングリコールポリカルボン酸共重合体(1)の水溶液
(ポリマー水溶液(1))を得た。
−カ−に25℃のポリマー水溶液(1)300部を入
れ、温度・pHを観察しながら48%水酸化ナトリウム
水溶液(23℃)を滴下した。pH7に調整した水酸化
ナトリウム水溶液は31g必要であった。ビ−カ−の外
側を氷水で冷却を行いながら中和を行ったが、中和発熱
のため41℃まで温度上昇が見られた。pH調整により
ポリアルキレングリコールポリカルボン酸共重合体塩
(1)を得た。
−カ−に48℃のポリマー水溶液(1)300部を入
れ、温度・pHを観察しながら、20%水酸化ナトリウ
ム水溶液74g(23℃)を加え、pH7に調整した。
ビ−カ−の外側を氷水で冷却を行いながら中和を行った
が、中和発熱のため57℃まで温度上昇が見られた。p
H調整によりポリアルキレングリコールポリカルボン酸
共重合体塩(2)を得た。
−カ−に30℃のポリマー水溶液(1)300部を入
れ、温度・pHを観察しながら、20%水酸化ナトリウ
ム水溶液74g(23℃)を3回に分けて分割投入し、
pH7に調整した。ビ−カ−の外側を氷水で冷却を行い
ながら中和を行ったが、中和発熱のため39℃まで温度
上昇が見られた。pH調整によりポリアルキレングリコ
ールポリカルボン酸共重合体塩(3)を得た。
−カ−に49℃のポリマー水溶液(1)300部を入
れ、温度・pHを観察しながら、48%水酸化ナトリウ
ム水溶液31g(23℃)を加えたところpH6.5に
なった。さらに48%水酸化ナトリウム水溶液2gを加
え、pH7に調整した。冷却を行いながら中和を行った
が、中和発熱のため67℃まで温度上昇が見られた。p
H調整により比較ポリアルキレングリコールポリカルボ
ン酸共重合体塩(1)を得た。
体塩について、重量平均分子量、分子量分布をGPCに
より測定し、中和工程で加水分解により生成したメトキ
シポリエチレングリコール(n=25)(以下、MPE
G25と呼ぶ。)の量を決定した。加水分解性を下記基
準で評価した。
5%未満 ○:MPEG25の生成量0.5〜20%かつ分子量変
化5〜10% ×:MPEG25の生成量20%かつ分子量変化10%
以上 結果を表1に示した。
リマーの重量平均分子量の低下はほとんどなく、加水分
解した場合に生成するMPEG25の増加もない。しか
し、比較例1においては分子量が低下し、「MPEGA
E+MPEG25」が増加したことにより、MPEG2
5の生成が確認でき、ポリマーが加水分解していること
がわかる。加水分解によりポリマー純分は低下し、ポリ
マー組成が変化する。
べて機能性の変化や分子量の低下を生じにくくなるよう
にしてポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合
体塩を得ることができる。このような重合体塩をセメン
ト分散剤等に用いれば、重合体のときに想定した機能性
を発揮することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】ポリアルキレングリコールポリカルボン酸
系重合体を中和する重合体塩の製造方法において、前記
中和時の温度を50℃未満に抑えることを特徴とする、
ポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合体塩の
製造方法。 - 【請求項2】前記ポリアルキレングリコールポリカルボ
ン酸系重合体が、ポリアルキレングリコールの(メタ)
アクリル酸エステルおよび不飽和カルボン酸を含む単量
体成分の共重合により生成した共重合体である、請求項
1に記載のポリアルキレングリコールポリカルボン酸系
重合体塩の製造方法。 - 【請求項3】前記中和を30重量%未満の濃度のアルカ
リ水溶液を用いて行う、請求項1または2のいずれかに
記載のポリアルキレングリコールポリカルボン酸系重合
体塩の製造方法。 - 【請求項4】ポリアルキレングリコールポリカルボン酸
系重合体を中和する重合体塩の製造方法において、前記
中和を30重量%未満の濃度のアルカリ水溶液を用いて
行うことを特徴とする、ポリアルキレングリコールポリ
カルボン酸系重合体塩の製造方法。 - 【請求項5】前記ポリアルキレングリコールポリカルボ
ン酸系重合体が、ポリアルキレングリコールの(メタ)
アクリル酸エステルおよび不飽和カルボン酸を含む単量
体成分の共重合により生成した共重合体である、請求項
4に記載のポリアルキレングリコールポリカルボン酸系
重合体塩の製造方法。
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