JP2000154024A - Li−Co系複合酸化物の製造方法 - Google Patents

Li−Co系複合酸化物の製造方法

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JP2000154024A
JP2000154024A JP10322287A JP32228798A JP2000154024A JP 2000154024 A JP2000154024 A JP 2000154024A JP 10322287 A JP10322287 A JP 10322287A JP 32228798 A JP32228798 A JP 32228798A JP 2000154024 A JP2000154024 A JP 2000154024A
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steam
oxide
composite oxide
based composite
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Mitsuhiro Asano
光洋 浅野
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 忌むべき水酸化リチウムの含有量の少ないL
i−Co系複合酸化物を製造し得る方法を提供すること
を課題とする。 【解決手段】 水酸化リチウム生成の原因となるリチウ
ム酸化物を含むLi−Co系複合酸化物を高温度下で水
蒸気に曝してリチウム酸化物を水酸化リチウムに変化せ
しめ、ついで水酸化リチウムを洗浄除去することを特徴
とするLi−Co系複合酸化物の製造方法。 【効果】 各種の電気機器用とりわけ携帯用品用など
の、長寿命リチウム二次電池の製造に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Li−Co系複合
酸化物の製造方法に関し、特にリチウム二次電池用の正
極活物質として有用なLi−Co系複合酸化物の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、リチウム二次電池用の正極活物質
として、LiMn2 4 、LiNiO 2 、LiCoO2
などが提案され、それらの一部は実用されるに至ってい
る。これらのうち、LiMn2 4 とLiNiO2 は、
MnやNiの資源が豊富であるために安価である反面、
概してLiMn2 4 は高容量の二次電池を製造し難い
問題があり、一方、LiNiO2 は化学的に不安定であ
って二次電池の安全性の面で問題がある。これに対して
LiCoO2 は、LiNiO2 と比較して化学的に安定
であるので取り扱いが容易であり、しかも高容量の二次
電池を製造し得るので現在では最も多く実用に供されて
いる。
【0003】かかる長所を有するLiCoO2 を正極活
物質とした二次電池に対して、最近、その電池特性を一
層改善する要求が高まっており、そのための提案や報告
もなされている。例えば特公平7−118318号公報
には、LiCoO2 を製造するにあたり、原料たるリチ
ウム化合物とコバルト化合物との使用比をリチウムがリ
ッチとなるように配合し混合して加熱し、反応生成物中
に含まれる未反応のリチウム化合物や副生せる炭酸リチ
ウムを水洗除去すること、およびかくすると二次電池の
放電容量が向上すること、などが開示されている。また
特開平5−182667号公報には、電池の稼働中にお
ける異常な電池反応に基づく爆発事故を未然に防止する
ために、LiCoO2 に炭酸リチウムを共存せしめるこ
と、およびその具体的な方法が開示されている。
【0004】LiCoO2 の製造原料としてリチウムや
コバルトの水酸化物を用いても、かかる水酸化物は未反
応物も含めて、通常の反応条件下では略すべて熱分解し
て反応生成物中には残存しないことが一般的に知られて
いるにも拘らず、本発明者の研究からLiCoO2 に水
酸化リチウムが存在すること、特に一定期間保管された
LiCoO2 中にそれが存在する頻度が高いこと、およ
びその量が少量であっても二次電池の充放電サイクル特
性に悪影響を与える、などの新知見を得た。
【0005】さらに本発明者の引き続く研究から、つぎ
の諸事実も判明した。即ち、水酸化リチウムは水洗によ
り除去することができるが、水洗が不十分であったりそ
の後の保管状態が悪いと、再び水酸化リチウムの含有量
が増大する場合のあること、その理由はLiCoO2
製造の際に水に難溶性の酸化リチウムが副生し、これが
周囲に存在する水分と徐々に反応して水酸化リチウムに
変化するためであること、さらに酸化リチウムは水蒸気
の存在下で高温度で処理すると水酸化リチウムに変化す
ること、などである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかして本発明は、上
記の新知見を基に開発し完成したものであって、忌むべ
き水酸化リチウムの含有量の少ないLi−Co系複合酸
化物を製造し得る方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、つぎの製
造方法により解決することができる。 (1) リチウム酸化物を含むLi−Co系複合酸化物を高
温度下で水蒸気に曝してリチウム酸化物を水酸化リチウ
ムに変化せしめ、ついで水酸化リチウムを洗浄除去する
ことを特徴とするLi−Co系複合酸化物の製造方法。 (2) リチウム酸化物を含むLi−Co系複合酸化物が、
リチウム化合物とコバルト化合物との混合物を加熱焼成
して得た反応生成物である上記(1) 記載のLi−Co系
複合酸化物の製造方法。 (3) 上記(2) 記載の反応生成物を対象とし、該反応生成
物が反応生成後において未だ高温度を保持する間にそれ
を水蒸気に曝す上記(2) 記載のLi−Co系複合酸化物
の製造方法。 (4) 高温度が少なくとも80℃であり、水蒸気が少なく
とも30mmHgの水蒸気分圧を有する上記(1) 〜(3)
のいずれかに記載のLi−Co系複合酸化物の製造方
法。 (5) リチウム酸化物を水酸化リチウムに変化せしめる行
為を炭酸ガスが実質的に存在しない雰囲気下で行なう上
記(1) 〜(4) のいずれかに記載のLi−Co系複合酸化
物の製造方法。 (6) 洗浄除去が、水洗除去である上記(1) 〜(5) のいず
れかに記載のLi−Co系複合酸化物の製造方法。
【0008】
【作用】リチウム酸化物(主としてLi2 O)を含むL
i−Co系複合酸化物、例えばリチウム化合物とコバル
ト化合物との混合物を加熱して得られる反応生成物など
に含まれるリチウム酸化物は、それを高温度で水蒸気に
曝すことにより水酸化リチウムに変化せしめ得、かく生
成した水酸化リチウムは水洗などにより容易に除去する
ことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、Li−Co系複
合酸化物としては、LiCoO2 またはそのCoの一部
を一種または二種以上の他の元素で置換したもの、例え
ば下記の一般式(1)にて示されるものも対象とするこ
とができる。 LiA Co1-X Mex 2 (1) 一般式(1)において、Aは0.05〜1.5、好まし
くは0.1〜1.1であり、Xは0.01〜0.5、特
に0.02〜0.2であることが好ましい。元素Meと
しては、新周期率表の3〜10族元素、例えばZr、
V、Cr、Mo、Mn、Fe、Niなど、または13〜
15族元素、例えばB、Al、Ge、Pb、Sn、Sb
などである。それらの元素の二種以上でCoを置換した
Li・Co系複合酸化物にあっては、二種以上の元素の
合計量が上記Xの範囲内であればよい。
【0010】リチウム酸化物を含むLi−Co系複合酸
化物(以下、被水蒸気処理体と称す。)の代表例は、リ
チウム化合物とコバルト化合物とを反応原料として用
い、コバルト化合物とリチウム化合物とを、コバルトと
リチウムの原子比が1:1あるいはその他の原子比、就
中コバルトよりもリチウムが多少多い目となるように混
合し、かかる混合物を周知の方法にて反応せしめて、例
えば該混合物を大気中で1000℃前後で1〜50時間
加熱焼成せしめて得た反応生成物である。その際のリチ
ウム化合物およびコバルト化合物としては、それらの酸
化物、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、しゅう酸塩、
および炭酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を
例示し得る。
【0011】被水蒸気処理体を高温度下で水蒸気に曝す
と、リチウム酸化物は水蒸気と反応して水酸化リチウム
に変化する。以下においては、この反応を生ぜしめる行
為を水蒸気処理と呼ぶ。水蒸気処理は、具体的には被水
蒸気処理体を水蒸気の存在する高温度の反応雰囲気中に
曝して、被水蒸気処理体と水蒸気とを接触せしめる行為
である。一般的に水蒸気処理における温度が高い程、ま
た反応雰囲気中の水蒸気の分圧が高い程、リチウム酸化
物を効率よく水酸化リチウムに変化せしめ得るが、通
常、水蒸気の分圧は少なくとも30mmHg、特に少な
くとも500mmHgであり、温度は少なくとも80
℃、特に少なくとも100℃である。水蒸気処理の所要
時間は、水蒸気処理の温度、水蒸気分圧、被水蒸気処理
体に含有されているリチウム酸化物の量や被水蒸気処理
体の表面積などによって異なるが、一般的には0.2〜
10時間程度である。なお水蒸気処理の際、被水蒸気処
理体を撹拌して常に新しい表面が水蒸気と直接接触する
ようにすると水蒸気処理の時間を短縮することができ
る。また被水蒸気処理体の平均粒径を0.1μm〜5m
m程度の粒子として表面積を大きくすることも水蒸気処
理時間を短縮する上で効果がある。
【0012】上記の反応雰囲気は、水蒸気処理を行なう
室内に高圧水蒸気を適当な流量にて連続供給し、該室内
に高温度と所定の水蒸気分圧とを付与することにより容
易に得ることができる。反応雰囲気における水蒸気分圧
は、飽和あるいは不飽和の水蒸気圧によって形成されて
もよく、また水蒸気は過熱水蒸気であってもよいことは
勿論である。
【0013】被水蒸気処理体が、リチウム化合物とコバ
ルト化合物との混合物を加熱焼成して得た反応生成物で
ある場合、加熱焼成直後の該反応生成物は数百℃程度の
高温度を保持しているのでその高温度を利用して、それ
が室温に冷却するまでの間に水蒸気処理を行なうとエネ
ルギーの節約と製造工程の単純化の点で頗る好都合であ
る。例えば、加熱焼成して得た反応生成物を高温度のま
まで前記した平均粒径を有するに至るまで粉砕し、つい
で粉砕物をつぎの工程に移送するコンベアベルト上に薄
く拡げて乗せ、コンベアベルトを上記した水蒸気分圧を
有する室内を所定時間をかけて通過せしめる。
【0014】被水蒸気処理体を製造する原料としてリチ
ウムやコバルトの炭酸塩を使用したり、前記の加熱焼成
や反応生成物の冷却を炭酸ガスが存在する雰囲気下で行
なうと、反応生成物中に炭酸リチウムが含まれることが
ある。前者の場合は、主として未反応原料の残留や副生
反応によるものであり、後者の場合は加熱焼成の際に生
じたリチウム酸化物が雰囲気中の炭酸ガスと反応して炭
酸リチウムに変化することによる。被水蒸気処理体が炭
酸リチウムを含有する場合は、前記した特公平7−11
8318号公報に開示されているように水洗除去するこ
とができる。しかし炭酸リチウムは、水酸化リチウムよ
りも水に難溶性であるので、その水洗除去は水酸化リチ
ウムのそれより多少とも手数がかかる。よって本発明に
おいては、炭酸リチウムの副生量は少ないほうが好まし
く、また水蒸気処理はその間での炭酸リチウムの生成を
軽減あるいは防止するために、炭酸ガス濃度が低い雰囲
気下、例えば炭酸ガス分圧が10mmHg以下、好まし
くは大気中の炭酸ガス分圧よりも低い分圧下、特に好ま
しくは炭酸ガスが実質的に存在しない雰囲気下で行なう
ことが好ましい。
【0015】被水蒸気処理体は水蒸気処理のあと洗浄工
程に移され、生成した水酸化リチウムは溶解除去され
る。水酸化リチウムは、エチルアルコールなどの低級ア
ルコール類や水などに溶解するので、かかる溶媒にて溶
解除去すればよい。水酸化リチウムを効果的に除去する
ためにつぎの諸方法、即ち、被水蒸気処理体を洗浄液と
の接触面積を大きくして水酸化リチウムの抽出効率を高
めるために予め平均粒径が100μm以下、特に30μ
m以下の微粉末として洗浄工程に付す、洗浄に関する分
配の法則を活用した洗浄方法を行なう、洗浄の際に超音
波を併用する、洗浄液として硫酸、塩酸、硝酸などの酸
を少量溶かしたpH4〜7程度の弱酸性水溶液を使用す
る、などが好ましい。なお本発明において粒子の平均粒
径は、全て周知のマイクロトラック粒度分析計を用いて
レーザー光の散乱により測定し算出した平均体積径、あ
るいは体積加重平均粒径とする。
【0016】水蒸気処理後の被水蒸気処理体が水酸化リ
チウム以外に炭酸リチウムを含有している場合、炭酸リ
チウムは低級アルコール類には溶解しないが水に溶解す
るので、該被水蒸気処理体の洗浄には洗浄液として水あ
るいは上記の弱酸性水溶液を使用して炭酸リチウムを水
酸化リチウムと一緒に溶解除去するとよい。
【0017】水酸化リチウムなどを洗浄除去した被水蒸
気処理体、即ちLi−Co系複合酸化物は、乾燥後、正
極活物質としてリチウム二次電池用として周知の他の材
料や部材と共に用いてリチウム二次電池の製造に供する
ことができる。その主な材料あるいは部材を以下に例示
する。
【0018】Li−Co系複合酸化物の結着剤として
は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフル
オリド、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン
系ポリマーなどが例示され、導電剤としては、例えば繊
維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの天然や人造の黒
鉛類や導電性カーボンブラックなどが例示される。結着
剤の使用量は、Li−Co系複合酸化物100重量部あ
たり1〜10重量部程度、特に2〜5重量部程度であ
り、導電剤の使用量はLi−Co系複合酸化物100重
量部あたり3〜15重量部程度、特に4〜10重量部程
度である。正極集電体としては、アルミニウム、アルミ
ニウム合金、チタンなどの導電性金属の、厚さ10〜1
00μm程度、特に15〜50μm程度の箔や穴あき
箔、厚さ25〜300μm程度、特に30〜150μm
程度のエキスパンドメタルなどが好ましい。
【0019】負極活物質として好ましい例を挙げると、
各種の天然黒鉛や人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状
黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類であり、その結着剤として
は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフル
オリド、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン
系ポリマーなどである。負極活物質の使用量は、負極活
物質と結着剤との合計量100重量部あたり80〜96
重量部程度である。負極集電体としては、銅、ニッケ
ル、銀、SUSなどの導電性金属の、厚さ5〜100μ
m程度、特に8〜50μm程度の箔や穴あき箔、厚さ2
0〜300μm程度、特に25〜100μm程度のエキ
スパンドメタルなどが好ましい。
【0020】電解液としては、塩類を有機溶媒に溶解さ
せたものが例示される。該塩類としては、LiCl
4 、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiA
lCl4、Li(CF3 SO2 2 Nなどが例示され、
それらの一種または二種以上の混合物が使用される。
【0021】有機溶媒としては、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ
メチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクト
ン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホル
ムアミド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル
などが例示され、それらの一種または二種以上の混合物
が使用される。また電解液中における上記塩類の濃度
は、0.1〜3モル/リットル程度が適当である。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を一層詳細に説明
するとともに、比較例をも挙げて本発明の顕著な効果を
示す。
【0023】比較例1 LiCoO2 の製造原料としてCoCO3 とLiOH・
2 Oとを用い、CoCO3 とその100重量部あたり
300重量部のLiOH・H2 Oとを混合し、その均一
混合物を約980℃で約10時間焼成し、焼成により得
た塊状の反応生成物を粉砕して未だ約400℃の高温度
を保持する平均粒径約1mmの粒子とし、この粒子を室
温に冷却して約1週間雨水のかからない大気中に放置し
た。
【0024】実施例1 比較例1の途上で得た粉砕直後の平均粒径約1mm(約
400℃)の粒子を水蒸気処理室内に設置したブレンダ
ーに投入し、30分間常に機械的に撹拌して水蒸気処理
した。なおこの水蒸気処理室には、高圧水蒸気を連続導
入し排出した。このために該水蒸気処理室は、高圧水蒸
気と被処理粒子の各高温度により平均温度約200℃、
水蒸気分圧760mmHgに保持された。一方、被処理
粒子の温度は、水蒸気処理の当初は約300℃であり、
30分間の水蒸気処理後の段階では約150℃に低下し
た。
【0025】実施例2 実施例1で水蒸気処理対象としたものと同じ平均粒径約
1mmの粒子(約400℃)を水蒸気処理室内に設置し
たステンレス板の上に層厚さ約10mmで拡げて約60
分間放置して水蒸気処理した。なおこの水蒸気処理室に
は、高圧水蒸気を連続導入し排出した。このために該水
蒸気処理室は、高圧水蒸気と被処理粒子の各高温度によ
り平均温度約100℃、水蒸気分圧500mmHgに保
持された。一方、被処理粒子の温度は、水蒸気処理の当
初は約200℃であり、60分間の水蒸気処理後の段階
では約100℃に低下した。
【0026】実施例3 実施例1で水蒸気処理対象としたものと同じ平均粒径約
1mmの粒子(約400℃)を水蒸気処理室内に設置し
たステンレス板の上に層厚さ約10mmで拡げて約30
0分間放置して水蒸気処理した。なおこの水蒸気処理室
には、1気圧の水蒸気を連続導入し排出した。該水蒸気
処理室は、被処理粒子の高温度により水蒸気処理の当初
は約300℃、水蒸気分圧200mmHgであったが、
被処理粒子の温度低下に伴って室温も漸次低下し、30
0分間の水蒸気処理後の段階では温度約50℃、水蒸気
分圧約50mmHgとなった。
【0027】実施例4 比較例1から得た粒子(未水蒸気処理、室温)をステン
レス板の上に層厚さ約10mmで拡げ、これを平均温度
約100℃、水蒸気分圧100mmHgに保持したオー
ブン中に約60分間放置して水蒸気処理した。
【0028】実施例5 LiCoO2 の製造原料としてCo3 4 とLi2 CO
3 とを用い、Co3 4 100重量部あたりLiCO3
を42重量部混合し、その均一混合物を約980℃で約
10時間焼成し、焼成により得た塊状の反応生成物を粉
砕して未だ約400℃の高温度を保持する平均粒径約1
mmの粒子とし、その後は実施例1と同じ条件にて水蒸
気処理した。
【0029】実施例6 実施例5で水蒸気処理対象としたものと同じ平均粒径約
1mmの粒子(約400℃)について、実施例2と同じ
条件にて水蒸気処理した。
【0030】比較例1および実施例1〜6から得た各粒
子をさらに粉砕して平均粒径約20μmの微粒子とし、
充分に水洗し、乾燥した。その後、各乾燥粒子を相対湿
度60%の室温下に7日間放置してから各粒子を使用し
て後記する方法にてリチウム二次電池を作成し、電池の
充放電サイクル特性を評価した。
【0031】〔リチウム二次電池の作製〕相対湿度60
%の室温下に7日間放置した比較例1および実施例1〜
6の各粒子を用い、その92重量部、結着剤としてのポ
リフッ化ビニリデン5重量部、導電剤としてのアセチレ
ンブラック3重量部、およびN−メチル2ピロリドン7
0重量部とを混合してスラリーとした。このスラリー
を、集電体としての厚さ20μmのアルミニウム箔の片
面上に塗布し乾燥して、20mg/cm2 の正極活物質
組成物層を有する正極体を作製した。つぎに、各正極体
とLi箔とを多孔質ポリエチレンセパレータを介して密
着対向させ、エチレンカーボネートとエチルメチルカー
ボネートとの混合溶媒(混合体積比率は1:1)1リッ
トルあたり1モルのLiPF6 を溶解してなる溶液を電
解液として使用して、これを上記正極体とLi箔との間
に含浸して密閉コイン型のリチウム二次電池を作製し
た。
【0032】表1には、実施例1〜6の各LiCoO2
粒子については、水蒸気処理前後(水洗前)、水洗乾燥
後、および相対湿度60%の室温下に7日間放置後にお
けるLiCoO2 粒子中の各LiOH含有量を示し、比
較例1のLiCoO2 粒子については、水洗乾燥後、お
よび相対湿度60%の室温下に7日間放置後におけるL
iCoO2 粒子中の各LiOH含有量を示す。なお比較
例1の水洗前におけるLiOH含有量は、1.0重量%
であった。さらに表1には、比較例1および実施例1〜
6から得た各粒子を用いて作成したリチウム二次電池の
充放電サイクル特性(放電容量維持率(%))の測定結
果をも示す。LiCoO2 粒子中のLiOH含有量およ
びリチウム二次電池の充放電サイクル特性については、
下記の方法で測定した。
【0033】〔LiOHの定量方法〕一定重量のLiC
oO2 粒子をエタノールを抽出溶媒として使用してソッ
クスレー抽出し、抽出液を対象として通常の方法にて水
酸化リチウムの定量分析を行なった。その際、実施例1
〜3および実施例5〜6における各粒子の水蒸気処理前
でのLiOHの含有量は、サンプリングした高温度の粒
子を乾燥室内で急冷して定量に供した。
【0034】〔充放電サイクル特性の試験方法〕正極シ
ートの面積1cm2 あたり1mAの定電流および4.3
Vの定電圧下で5時間充電し、ついで正極シートの面積
1cm2 あたり0.4mAの定電流のもとで端子電圧が
3Vとなる時点まで放電させ、この後1時間充放電を休
止する。以上の充放電並びに休止を1サイクルとして室
温(20℃)下で100回繰り返す。各サイクルにおけ
る放電容量は、放電電流値と放電時間から電気量(mA
・H)を算出する。表1には、初回の放電容量に対する
100サイクル目の放電容量の割合、即ち放電容量維持
率(%)を示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかな通り、実施例1〜6から
得た各LiCoO2 粒子は、相対湿度60%の室温下に
7日間放置後においてもLiOH含有量の増加がなく、
それを用いて作成されたリチウム二次電池は、充放電サ
イクル試験において優れた放電容量維持率を有する。こ
れに対して、水蒸気処理を行なっていない比較例1のそ
れは、水洗乾燥直後では実施例1〜6と同じ程度の低L
iOH含有量であったが、相対湿度60%の室温下に7
日間放置後では、LiOH含有量が増加し、この結果、
それを用いて作成されたリチウム二次電池は、低放電容
量維持率を示している。比較例1における上記の7日間
放置後でのLiOH含有量の増加は、残留せるリチウム
酸化物が大気中の水蒸気と反応して水酸化リチウムに変
化したことによることは明らかである。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法から得られるLi−Co系
複合酸化物は、リチウム二次電池の充放電サイクル特性
に悪影響を及ぼす水酸化リチウム、並びに該水酸化リチ
ウム生成の原因たるリチウム酸化物の含有量が極めて少
ないので、充放電サイクル特性に優れた、しかして各種
の電気機器用とりわけ携帯用品用などの長寿命リチウム
二次電池の製造に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AB02 AB05 AC06 AD04 AE05 5H003 AA04 BA01 BA02 BB05 BC01 BD01 5H014 AA01 BB01 BB03 BB06 HH08 5H029 AJ05 AK03 AL07 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ02 CJ08 CJ12 CJ28 HJ14 HJ15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム酸化物を含むLi−Co系複合
    酸化物を高温度下で水蒸気に曝してリチウム酸化物を水
    酸化リチウムに変化せしめ、ついで水酸化リチウムを洗
    浄除去することを特徴とするLi−Co系複合酸化物の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 リチウム酸化物を含むLi−Co系複合
    酸化物が、リチウム化合物とコバルト化合物との混合物
    を加熱焼成して得た反応生成物である請求項1記載のL
    i−Co系複合酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の反応生成物を対象とし、
    該反応生成物が反応生成後において未だ高温度を保持す
    る間にそれを水蒸気に曝す請求項2記載のLi−Co系
    複合酸化物の製造方法。
  4. 【請求項4】 高温度が少なくとも80℃であり、水蒸
    気が少なくとも30mmHgの水蒸気分圧を有する請求
    項1〜3のいずれかに記載のLi−Co系複合酸化物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 リチウム酸化物を水酸化リチウムに変化
    せしめる行為を炭酸ガスが実質的に存在しない雰囲気下
    で行なう請求項1〜4のいずれかに記載のLi−Co系
    複合酸化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 洗浄除去が、水洗除去である請求項1〜
    5のいずれかに記載のLi−Co系複合酸化物の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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